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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】イオンガイドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/06 20060101AFI20230613BHJP
【FI】
H01J49/06 800
H01J49/06 300
H01J49/06 100
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021207867
(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公開番号】P2022099329
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】2020381.6
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508306565
【氏名又は名称】サーモ フィッシャー サイエンティフィック (ブレーメン) ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコ バルシュン
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-208326(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0315086(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0287689(US,A1)
【文献】Marcus D. Hughes, et al.,Microfabricated Ion Traps,arXiv,1101.3207v2 [quant-ph],米国,cornell university,2011年06月28日,pp. 1-21
【文献】R. R. A. Syms,The development of MEMS mass spectrometers,2013 Transducers & Eurosensors XXVII: The 17th International Conference on Soild-State Sensors, Actuators and Microsystems,米国,IEEE,2013年10月10日,pp. 2749-2754
【文献】J. P. Hauschild, et al.,Mass spectra measured by a fully integrated MEMS mass spectrometer,International Journal of Mass Spectrometry,NL,Elsevier,2007年03月27日,Vol. 264,pp. 53-60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン光学デバイスの構成要素を製造する方法であって、前記構成要素が、位置合わせされた第1および第2の電極セットを含み、前記方法が、
第1の材料のフレーム部分に取り付けられた第1の電極セットを含む、部分的に機械加工された第1の電極セットを提供するために、前記第1の材料を機械加工するステップと、
第2の材料のフレーム部分に取り付けられた第2の電極セットを含む、部分的に機械加工された第2の電極セットを提供するために、前記第2の材料を機械加工するステップと、
前記部分的に機械加工された第1および第2の電極セットを位置合わせすることにより、前記イオン光学デバイスの前記構成要素を組み立てるステップと、
前記部分的に機械加工された第1および第2の電極セットを位置合わせした後、
前記第1の電極セットを前記第1の材料の前記フレーム部分から分離するように、前記部分的に機械加工された第1の電極セットをさらに機械加工するステップと、
前記第2の電極セットを前記第2の材料の前記フレーム部分から分離するように、前記部分的に機械加工された第2の電極セットをさらに機械加工するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記さらに機械加工するステップが、同時に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械加工するステップが、ワイヤ侵食、フォーム侵食、化学エッチング、ウォータージェット切断、および熱切断のうちの1つによって実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記さらに機械加工するステップが、ワイヤ侵食、フォーム侵食、化学エッチング、ウォータージェット切断、および熱切断のうちの1つによって実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の電極セットが、第1の電極を含み、および/または前記第2の電極セットが、第2の電極を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の電極セットが第1の複数の電極を含み、および/または前記第2の電極セットが第2の複数の電極を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の材料を機械加工するステップおよび/または前記第2の材料を機械加工するステップが、前記さらに機械加工するステップに続いて、セグメント化された電極セットを提供するために成形特徴を機械加工で形成することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の材料を機械加工するステップおよび/または前記第2の材料を機械加工するステップが、前記さらに機械加工するステップに続いて、成形された電極セットを提供するために特徴を機械加工で形成することを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2の材料が同じ材料である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記イオン光学デバイスの前記構成要素が、イオンガイドまたはイオンデフレクタである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記構成要素がイオンガイドであり、前記イオンガイドがY字型多重極である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記部分的に機械加工された第1および第2の電極セットが、ダボおよび/またはガイドピンを使用して位置合わせされる、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ダボおよび/またはガイドピン用のガイド穴が、前記機械加工するステップ中に提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記さらに機械加工するステップが、前記構成要素を外部ホルダに位置合わせするための外部位置合わせ特徴を機械加工で形成することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記構成要素を組み立てるステップの前に、
前記第1の電極セットが、プリント回路基板(PCB)に接着され、および/または
前記第2の電極セットが、PCBに接着される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ワイヤ侵食用のワイヤが、前記機械加工の切断が行われる切断方向を有し、前記ワイヤが、前記切断方向に対して垂直な平面に対して15度以下の角度にある、請求項3または4に従属する際の請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記角度が、0度である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に、質量分析計における使用のためのイオン光学デバイスの構成要素を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン光学系は、電界および磁界を使用してイオンビームの形成、集束、および偏向を制御する。イオン光学系は、イオンガイド、イオン貯蔵デバイス、イオンデフレクタ、イオン分析デバイス、および本分野で既知の他のイオン操作デバイスを含み得る。イオンガイドは、イオンの輸送に使用される。例えば、質量分析では、イオンガイドを使用して、イオン源からイオン分析器にイオンを輸送し得る。
【0003】
US7,829,850は、イオンガイドとして機能するように構成された分岐無線周波数(RF)多重極を記載している。分岐多重極は、イオンを交互に向けることができる複数のイオンチャネルを含む。分岐多重極は、RF電位の印加を通じて、イオンがどの多重極イオンチャネルに方向付けられるかを制御するように構成されている。
【0004】
GB2392005は、イオン移動面に配置された複数のプレート電極、上部プレート電極、および下部プレート電極を含む、質量分析計イオンガイドに関する。イオンガイド領域がイオンガイド内に形成されるように、1つ以上のチャネルがプレート電極内に形成される。
【0005】
WO2017/194974は、複数の軸方向に積み重ねられたプレートを含むイオンガイドに関するものであり、各プレートは、一対のインターリーブされた電極を含む。電極は、電極を軸方向の位置に保持するためにハウジングに取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US7,829,850
【文献】GB2392005
【文献】WO2017/194974
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
イオンガイドを製造する従来の方法、例えば、上で考察されるものは、単一の部品を機械加工し(例えば、フライス盤または侵食によって)、ダボなどの従来の位置合わせ要素を使用して部品を共に取り付けることを含む。これらの方法では、このようなイオンガイドを分析機器の一部として使用する場合、要素を高精度で確実に位置合わせすること、または一貫した制御条件を提供することは困難である。
【0008】
したがって、これらの問題を克服するイオン光学デバイスの構成要素を製造するための方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、イオン光学デバイスの構成要素を製造する方法が提供される。
【0010】
この方法は、有利に、材料を機械加工して、構成要素の電極セットを位置合わせする前に、材料のフレーム部分に取り付けられた電極セットを含む部分的に機械加工された電極セットを提供する最初のステップを含む。電極セットを位置合わせするステップに続いて、部分的に機械加工された電極セットをさらに機械加工するステップは、電極セットを材料のフレーム部分から分離させる。
【0011】
このような順序でステップを実行することにより、電極セットを高精度および一貫して位置合わせすることが有利に可能になる。本明細書に開示される方法は、寸法、平坦度、および平行度において±25μmの精度でアセンブリを構築することを可能にし得る。さらに、前述の高い精度と一貫性を維持しながら、より複雑な構成要素(例えば、より多くの電極セットを含む、または従来の方法を使用して位置合わせするのがより困難な複雑な形状の電極セットを含む)を製造することができる。この高い精度および一貫性により、分析機器の一貫した制御条件も可能になる。
【0012】
好ましくは、さらに機械加工するステップは、同時に実行される。これにより、電極セットの位置合わせの高精度および一貫性が維持され得る。
【0013】
好ましくは、機械加工および/またはさらに機械加工するステップは、ワイヤ侵食によって実行される。ワイヤ侵食は、形状が複雑であり得る電極セットの正確な機械加工を有利に可能にする。機械加工および/またはさらに機械加工するステップがワイヤ侵食によって実行される場合、ワイヤ侵食のためのワイヤは、機械加工の切断が行われる切断方向を有し、ワイヤは、好ましくは、15度以下の切断方向に対して垂直な平面に対して所定の角度にある。これにより、電極セットのエッジは、小さい角度で傾斜され得る。任意選択的に、角度は、0度である。それにより、電極セットのエッジは、平坦であり得る。
【0014】
任意選択的に、第1の電極セットは、第1の電極を含む。任意選択的に、第1の電極セットは、第1の複数の電極を含む。第1の電極セットが第1の複数の電極を含む場合、形状または構造が複雑であり得る、多くの電極間の非常に正確かつ一貫した位置合わせ。このようなレベルの精度は、従来の方法を使用して一貫して達成するのが困難であり得る。
【0015】
任意選択的に、第2の電極セットは、第2の電極を含む。任意選択的に、第2の電極セットは、第2の複数の電極を含む。第1の複数の電極に関して説明したものと同じ利点を提供することができる。
【0016】
好ましくは、第1の材料を機械加工するステップは、さらに機械加工するステップに続いて、セグメント化された電極セットを提供するための成形特徴を機械加工することを含む。このようにして、本明細書の開示によって提供され得る電極セットの高精度の位置合わせを維持しながら、より複雑な電極セットが提供され得る。
【0017】
好ましくは、第2の材料を機械加工するステップは、さらに機械加工するステップに続いて、セグメント化された電極セットを提供するための成形特徴を機械加工することを含む。それにより、より複雑な電極セットが提供され得る一方で、高精度の位置合わせを維持することが、本明細書の開示によって提供され得る。成形特徴を提供するために第2の材料を機械加工することは、成形特徴を提供するために第1の材料を機械加工することに加えて、またはその代替としてあり得る。
【0018】
好ましくは、第1および第2の材料は、同じ材料である。
【0019】
好ましくは、イオン光学デバイスの構成要素は、イオンガイドまたはイオンデフレクタである。任意選択的に、イオンガイドは、より具体的には、Y字型の多重極である。他のイオンガイドタイプが提供され得る。
【0020】
好ましくは、部分的に機械加工された第1および第2の電極セットは、ダボおよび/またはガイドピンを使用して位置合わせされる。これにより、電極セットが高精度で好都合に位置合わせされることを可能にする。
【0021】
好ましくは、ダボおよび/またはガイドピン用のガイド穴は、機械加工するステップ中に提供される。機械加工するステップ中にガイド穴を機械加工することにより、位置合わせのステップ中に電極セットの高精度かつ一貫した位置合わせを可能にする。
【0022】
好ましくは、さらに機械加工するステップは、構成要素を外部ホルダに位置合わせするための外側位置合わせ特徴を機械加工することを含む。有利に、外側位置合わせ特徴は、従来の方法を使用するよりも高い精度で、構成要素が外部ホルダに位置合わせされることを可能にし得る。外部ホルダは、例えば、イオン光学ベンチまたはチャンバシステムであり得る。通常、外部ホルダへの位置合わせは、さらなるガイドピンおよび/またはサポートを使用して行われ、これにより、位置合わせの精度が低減され得るさらなるステップが追加される。本開示における位置合わせの精度は、±0.01mmであり得る。
【0023】
任意選択的に、構成要素を組み立てるステップの前に、第1の電極セットがプリント回路基板(PCB)に接着される、および/または第2の電極セットがPCBに接着される。これにより、PCBは、電極セットと適切に位置合わせされ得、最終的な構成要素アセンブリの位置合わせを改善する。
【0024】
本発明は、多くの方式で実施することができ、ここで実施形態を、単なる例示として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示によるイオンガイド用の部分的に機械加工された電極セットの斜視図を示す。
図2】本開示に従って製造された位置合わせされた部分的に機械加工された電極セットの斜視図を示す。
図3図2のイオンガイドの分解図である。
図4】イオンデフレクタ用の部分的に機械加工された電極セットの斜視図を示す。
図5】本開示に従って製造されたイオンデフレクタの斜視図を示す。
図6図5のイオンデフレクタの分解図を示す。
図7】イオンガイド用の部分的に機械加工された下部電極セットの斜視図を示す。
図8】イオンガイド用の部分的に機械加工された上部電極セットの斜視図を示す。
図9】プリント回路基板(PCB)に接着された部品的に機械加工された下部電極セットの分解図を示す。
図10】PCBに接着された部分的に機械加工された上部電極セットの分解図を示す。
図11】位置合わせされた部分的に機械加工された上部および下部電極セットの斜視図を示す。
図12図11の位置合わせされた部分的に機械加工された上部および下部電極セットの分解図を示す。
図13】電極セットをさらに機械加工するステップの前に、位置合わせされた部分的に機械加工された上部および下部電極セットの別の斜視図を示す。
図14】電極セットをさらに機械加工するステップに続く、位置合わせされた部分的に機械加工された上部および下部電極セットの斜視図を示す。
図15】電極セットをさらに機械加工するステップに続く、位置合わせされた部分的に機械加工された上部および下部電極セットの別の図を示す。
図16】最終的なイオンガイドアセンブリに設定された第1および第2の電極に接続され得る接点を示す。
図17】最終的なイオンガイドアセンブリを示す。
図18図17のイオンガイドアセンブリの断面図を示す。
図19図17のイオンガイドアセンブリの別の断面図を示す。
図20】イオン光学デバイスの構成要素の製造方法のフローチャートを示す。
図21】イオン光学デバイスの構成要素の製造方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図は、簡単にするために示されているものであり、必ずしも一定の縮尺で描画されているわけではないことに注意されたい。同様の特徴には、同じ参照番号が付されている。
【0027】
本開示は、イオン光学デバイスの構成要素を製造するための方法を提供する。構成要素は、イオン光学デバイス自体または光学デバイスの一部であり得る。
【0028】
イオン光学デバイスの構成要素を製造するために、材料のシートが使用され得る。材料は、ステンレス鋼であり得る。代替的に、材料は、36%のニッケルを含むニッケル-鉄合金である、合金36(インバー(RTM)36)であり得る。合金36は、非常に低い熱膨張係数を有し、高い寸法安定性を提供する。合金36は、磁性でもあるため、磁気クランプチャックを使用して、機械加工および/またはさらに機械加工するステップ中に材料を所定の位置に保持することができる。
【0029】
図1を参照すると、第1の機械加工するステップに続いて材料から製造されたイオンガイド用の部分的に機械加工された電極セット100が示されている。これは、第1の電極セット110およびフレーム部分120を含む。フレーム部分120はまた、フレーム120と称され得る。第1の機械加工するステップは、ワイヤ侵食および/またはフライス盤によって実行され得る。
【0030】
図1に示されるように、部分的に機械加工された電極セット100は、第1の材料のフレーム部分120に取り付けられた第1の電極セット110を含む。材料は、ステンレス鋼または合金36であり得る。部分的に機械加工された電極セット100は、平坦であり得るか、または1つ以上のリッジを含み得る。図1に示される電極セット110は、複数の電極を含むが、電極セット110は、1つの電極を含み得ることが理解されよう。
【0031】
部分的に機械加工された電極セット100は、イオンガイドを組み立てるためのガイド穴130を含み、これは、ワイヤ侵食を使用して機械加工され得る。ガイド穴130は、第1の電極セット110に設けられている。ガイド穴は、電極セット110の各電極(1つの電極であり得るか、または複数の電極であり得る)に提供され得るか、または電極セット110のいくつかの電極のみに提供され得る。ガイド穴130は、第1の機械加工するステップを実行するのと同時に機械加工され得る。これにより、完全に組み立てられた構成要素の位置合わせの精度を改善する。
【0032】
部分的に機械加工された電極セット100はまた、さらに機械加工するステップに続いてセグメント化および/または成形された電極セット110を提供するために、成形特徴140(機械加工された特徴140とも称される)を含み得る。それにより、さらに機械加工するステップは、フレーム部分120を介して接続されていた電極セット110内の電極を分割またはセグメント化し得る。図1に示す例では、機械加工された特徴は、さらに機械加工するステップに続いて、セグメント化および成形された(湾曲した)電極を提供する。電極は、湾曲している必要はないが、例えば、長方形の形状であり得ることを理解されたい。
【0033】
この方法は、1つ以上の材料を機械加工して、さらに部分的に機械加工された電極セット100を提供することを含み得る。例えば、第2の材料は、第2の材料のフレーム部分120に取り付けられた第2の電極セット110を含む第2の部分的に機械加工された電極セット100を提供するように機械加工され得る。第2の材料は、第1の材料と同じであり得る。
【0034】
図2は、さらに機械加工するステップに続いて、図1に示される実施形態に従って機械加工された、位置合わせされた第1および第2の電極セット210、211を示す。さらに機械加工するステップはまた、ステップ、またはさらに機械加工する「ステップ」と称され得ることに留意されたい。
【0035】
第2の電極セット211は、第1の電極セット210と同じ材料から機械加工され得る(すなわち、第1および第2の材料は、同じであり得る)。さらに機械加工する第1のステップは、第1の部分的に機械加工された電極セット100を第1の材料のフレーム部分120から分離し、第2のステップは、第2の部分的に機械加工された電極セット100を第2の材料のフレーム部分120から分離する。さらに機械加工するステップは、同時に実行され得る。
【0036】
位置合わせされた第1および第2の電極セット210、211は、イオンガイド用であり得る。第1および第2の電極セット210、211はまた、上部電極セット210および下部電極セット211と呼ばれ得る。
【0037】
第1および第2の電極セット210、211は、さらに機械加工するステップの前に、位置合わせ穴130を使用して位置合わせされる。第1および第2の電極セット210、211の各々またはいずれかは、第1および第2の電極セット210、211を位置合わせする前または後に、PCB250に接着され得る。第1および/または第2の電極セット210、211がPCB250、251に接着される実施形態では、位置合わせ穴130(ガイド穴130)がPCB(視認不可)に提供される。PCB250、251は、RFラミネート、例えば、メグトロン6材料から作製され得、かつそれが接着される電極セット210、211の形状および機械加工された特徴に対応するように成形およびスロット形成され得る。
【0038】
図2に示される実施形態では、第1のPCB250は、第1の電極セット210の上面に接着されて示され、第2のPCB251は、第2の電極セット211の下面に接着されて示されている。イオンチャネルの高さを画定するために、電極セット間に絶縁体260が設けられ得る。絶縁体260は、電極セット210、211を位置合わせするステップの前に、電極セット210、211のうちの1つに提供され得る。
【0039】
さらに機械加工するステップのステップはまた、外側位置合わせ特徴270または外側位置合わせ面270を機械加工することを含み得る。外側位置合わせ特徴270を使用して、組み立てられた構成要素200(図2のイオンガイド)を外部ホルダに位置合わせし得る。外部ホルダは、例えば、イオン光学ベンチまたはチャンバシステムであり得る。有利に、外側位置合わせ特徴270は、従来の方法を使用するよりも高い精度で構成要素200を外部ホルダに位置合わせすることを可能にする。通常、外部ホルダへの位置合わせは、さらなるガイドピンおよび/またはサポートを使用して行われる。本開示における位置合わせの精度は、±0.01mmであり得る。
【0040】
図1を参照して説明したように、この方法は、1つ以上の材料を機械加工して、さらなる電極セット210、211を提供することを含み得る。例えば、第2の材料は、第2の材料のフレーム部分120に取り付けられた第2の電極セット210、211を含む第2の部分的に機械加工された電極セット100を提供するように機械加工され得る。第2の材料は、第1の材料と同じであり得る。
【0041】
図3は、図2に示される位置合わせされた電極セット200の分解図を示す。この図は、第1および第2の電極セット200が、位置合わせ穴130を使用してどのように位置合わせされるかをより明確に示している。位置合わせ穴130は、例えば、ダボまたはガイドピン(視認不可)を使用して、第1および第2の部分的に機械加工された電極セット100の位置合わせを可能にするために、絶縁体260に提供される。
【0042】
図4を参照すると、イオンデフレクタ用の部分的に機械加工された電極セット400が示されている。部分的に機械加工された電極セット400は、材料のフレーム部分420に取り付けられた電極セット410を含む。材料は、ステンレス鋼または合金36であり得る。図4に示される電極セット410は、複数の電極を含むが、電極セット410は、1つの電極を含み得ることが理解されよう。部分的に機械加工された電極セット400は、平坦であり得るか、または1つ以上のリッジ460を含み得る。1つ以上のリッジは、組み立てられたときに、所定の距離だけ第1および第2の電極セット410、411を分離し得る。
【0043】
部分的に機械加工された電極セット400は、イオンガイドを組み立てるためのガイド穴130を含み、これは、ワイヤ侵食を使用して機械加工され得る。ガイド穴は、電極セット410のいくつかの電極にのみ提供され得る。ガイド穴130は、第1の機械加工するステップを実行すると同時に機械加工され得る。
【0044】
部分的に機械加工された電極セット400はまた、さらに機械加工するステップに続いてセグメント化および/または成形された電極セットを提供するための成形特徴440を含み得る。したがって、さらに機械加工するステップは、フレーム部分420を介して接続された電極セット410内の電極410を分割またはセグメント化し得る。図4に示される例では、機械加工された特徴440は、さらに機械加工するステップに続いて、セグメント化および成形された(台形プリズム)電極セット410を提供する。台形は、実質的に三角形の形状であり得る。例えば、台形は、1つ(または2つ以上)の切り捨てられた頂点を有する三角形であり得る。
【0045】
図5に示されているのは、本開示に従って製造された一対の電極セット500である。図4に示される構成を有する第1および第2の電極セット510、511は、位置合わせされ、さらに機械加工されて、イオンデフレクタを提供する。第1および第2の電極セット510、511は、電極セット510、511を位置合わせし、さらに機械加工する前に、PCB250、251に接着され得る。接着剤は、導電性接着剤であり得る。1つ以上のリッジ460は、組み立てられたときに、所定の距離だけ電極セット510、511を分離する。
【0046】
図6は、図5に示したイオンデフレクタアセンブリの分解図を示す。この図は、第1および第2の電極セット410、411が、位置合わせ穴130を使用してどのように位置合わせされるかをより明確に示している。位置合わせ穴130は、例えば、ダボまたはガイドピン(視認不可)を使用して、第1および第2の部分的に機械加工された電極セット400の位置合わせを可能にするために、リッジ460およびPCB250に提供される。PCB250はまた、PCB250の外面から電極セット410、411への電気的接触を提供するためのビアホール(ビア)を有し得、これは、導電性接着剤と組み合わせて使用され得る。
【0047】
図7および図8は、Yスプリッタ(Y字型多重極とも呼ばれる)を製造するための部分的に機械加工された電極セット700、800を示している。Yスプリッタは、イオンを交互に向けることができる分岐多重極である。多重極の分岐は、機械加工された特徴740、840によって提供される。電極セット711、810およびガイド穴730、830は、ワイヤ侵食を使用して、またはフライス盤によって機械加工され得る。ガイド穴730、830は、同じサイズ、または異なるサイズであり得る。
【0048】
部分的に機械加工された電極セット700、800は、平坦であり得るか、または1つ以上のリッジ760を含み得る。1つ以上のリッジ760は、組み立てられたときに、所定の距離だけ第1および第2の電極セット711、810を分離し得る。図7に示される実施形態では、電極セット711は、下部電極セット711であり、リッジ760を含む。図8の実施形態では、電極セット810は、上部電極セット810であり、平坦である。代わりに、下部の部分的に機械加工された電極は、平坦であり得、上部の部分的に機械加工された電極は、リッジ760を含み得ることを理解されたい。
【0049】
ガイド穴730、830は、上部および下部の部分的に機械加工された電極セット700、800に(例えば、フライス盤またはワイヤ侵食によって)機械加工されている。上部および下部の部分的に機械加工された電極セット700、800のガイド穴730、830は、共に組み立てたとき、上部の部分的に機械加工された電極セット800のガイド穴830が、下部の部分的に機械加工された電極セット700のガイド穴730と位置合わせされるように対応する。ガイド穴730、830は、電極セット711、810を部分的に機械加工するステップ中に機械加工され得る。この方法は、マーカー770、870を機械加工することをさらに含み得、マーカーの軸線に沿って、さらに機械加工するステップが実行されるべきである。マーカー770、870は、追加的または代替的に、さらに機械加工するステップで除去されるフレーム部分720、820を形成する材料の部分を示し得る。マーカー770、870は、電極セット711、810を部分的に機械加工するステップ中に機械加工され得る。
【0050】
図9は、PCB950に結合された下部の部分的に機械加工された電極セット700の分解図を示している。部分的に機械加工された電極セット700は、導電性接着剤を使用してPCB950に結合され、ガイドピン1081またはダボ980を使用して位置合わせされ得る。PCB950は、下部の部分的に機械加工された電極セット700上のものに対応する位置合わせ穴730を含む。PCB950は、それが接着される部分的に機械加工された電極セット700の形状および機械加工された特徴に対応するように成形され、スロットが形成され得る。例えば、PCB950は、機械加工された特徴740に対応するスロット941を含み得る。
【0051】
図10は、PCB1050に結合された上部の部分的に機械加工された電極セット800の分解図を示している。部分的に機械加工された電極セット800は、導電性接着剤を使用してPCB1050に結合され、ガイドピン1081またはダボ980を使用して位置合わせされ得る。ガイドピン1081はまた、またはその代わりに、最終的な構成要素アセンブリ内の電極セットへの電気的接触を提供し得る。
【0052】
PCB1050は、上部の部分的に機械加工された電極セット800上のものに対応する位置合わせ穴830を含む。PCB1050は、図9を参照して説明したように、成形およびスロットが形成され得る。例えば、PCB1050は、機械加工された特徴840に対応するスロット(視認不可)を含み得る。
【0053】
図11は、ガイドピン1081およびダボ980を使用して位置合わせされた上部および下部の部分的に機械加工された電極セット700、800の分解図を示す。電極セット700、800は、代わりに、ダボ980のみまたはガイドピン1081のみを使用して位置合わせされ得る。位置合わせに使用されない場合、ガイドピン1081は、最終的な構成要素アセンブリにおいて電極セットへの電気的接触を提供するために依然として存在し得る。
【0054】
図11はさらに、部分的に機械加工された上部および下部電極セット700、800を共にねじ込むためにねじ1190がどのように提供されるかを示している。電気接続1192は、ねじ1190のいくつかまたは全ての間に提供され得る。
【0055】
図12に示されるように、上部および下部の部分的に機械加工された電極セット700、800(例えば、図9および図10に示される)は、ねじ1190で共に螺合され、ガイドピン1081と位置合わせされる。ダボ980はまた、位置合わせステップで使用され得る。ねじ1190の端部は、PCB1050の位置合わせ穴130を通って延在し得る。位置合わせされた電極セット700、800およびPCB950、1050のアセンブリは、電極-PCBユニット1200と称され得る。
【0056】
図13は、電極-PCBユニット1200を形成するために、PCB1350、1351に位置合わせされて接着された第1および第2の部分的に機械加工された電極セットを示す。さらに機械加工するステップは、例えば、第1および第2の部分的に機械加工された電極セット700、800を第1および第2の材料のフレーム部分720、820からそれぞれ分離するために、ワイヤ侵食を使用して実行される。さらに機械加工するステップは、有利に同時に行われ得、それにより、従来の方法を使用することによるよりも高い精度および一貫性で位置合わせされる第1および第2の電極セット711、810を提供する。
【0057】
さらに機械加工するステップのワイヤパス1392の例を、図13に示す。さらに機械加工するステップは、部分的に機械加工された電極セット700、800をそれらのそれぞれのフレーム部分720、820から分離する。図13に示されるように、さらに機械加工するステップは、外部位置合わせ特徴1370の機械加工を含み得る。外側位置合わせ特徴1370を使用して、イオンガイドであり得る組み立てられた構成要素(具体的には、図13のYスプリッタ)を外部ホルダに位置合わせし得る。
【0058】
有利に、外側位置合わせ特徴1370は、従来の方法を使用するよりも高い精度で構成要素を外部ホルダに位置合わせすることを可能にする。通常、外部ホルダへの位置合わせは、さらなるガイドピンおよび/またはサポートを使用して行われる。本開示における位置合わせの精度は、±0.01mmであり得る。
【0059】
ワイヤ侵食によって実行されるカットの初期方向が、図13に示されている。図13では、1つ以上のワイヤ1391が、最初の切断方向に対して垂直な方向に提供されている。代替的に、1つ以上のワイヤ1391は、垂線に対して小さい角度であり得る。この角度は、例えば、15度であり得る。代替的に、角度は、15度未満であり得る。
【0060】
図13に示されるように、図7および図8に関連して説明されたマーカー770、870は、部分的に機械加工された電極セット700、800の複数のフレーム部分720、820上に存在し得る。
【0061】
図14は、さらに機械加工するステップに続く、図13に示される電極-PCBユニット1200を示している。図13に関連して説明したように、さらに機械加工するステップは、1つ以上の外側位置合わせ面1370、1471、1472を機械加工するステップを含み得る。例えば、1つ以上の位置合わせ面1472は、ハードストップとして提供され得る。1つ以上の位置合わせ面1471はまた、またはその代わりに、電極セット700、800の外面に提供され得る。代替的または追加的に、1つ以上の位置合わせ特徴1370は、電極セット700、800のエッジとして提供され得る。図14は、これらのタイプの位置合わせ面1370、1471、1472の各々が提供される実施形態を示している。
【0062】
図15は、さらに機械加工するステップに続く、Yスプリッタにおける第1および第2の電極セット711、810のアセンブリを示している。上部電極セット810は、さらに機械加工するステップに続いて、6つの電極810に分離されている(PCB1050は、7つの部分に分離されている)。下部電極セット711もまた、6つの電極(視認不可)に分離されている。RF電位を電極711、810に印加して、Yスプリッタの1つ以上の分岐に沿ってイオンを方向付け得る。
【0063】
アセンブリ1500は、最終的な幅wおよび深さdを有する。幅wは、41mm以下であり得る。深さdは、19mm以下であり得る。
【0064】
接点1694が図16に示されている。接点1694は、コネクタ1693にはんだ付けされ得る。代替的に、レーザスポット溶接が使用され得る。コネクタ1693は、好ましくはステンレス鋼から形成され得る。コネクタ1693がステンレス鋼製から形成されており、接点1694にはんだ付けされている場合は、ステンレス鋼部品に好適なはんだが使用されるべきである。例えば、Mutlticore(RTM)によって製造されたARAX 96Sワイヤ、Stannol(RTM)によって製造されたSSN96Ag4 ARAXワイヤまたは同等のはんだワイヤが使用され得る。
【0065】
図17は、Yスプリッタを含むイオン光学デバイスの構成要素1700の最終アセンブリを示している。Yスプリッタは、誘電体ホルダ1795に組み立てられ、これは、ホルダ1795を、電極セット711、810のうちの少なくとも1つにおける位置合わせ特徴270または表面270に組み立てることによって達成され得る。次に、ねじ1790は、電極PCBユニット1200を誘電体ホルダ1795に固定し得る。
【0066】
誘電体は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり得るか、または(実質的に)それを含み得る。接点1694および配線が、ホルダに追加される。接点1694は、ガイドピン1081(図17では視認不可)に嵌合し得る。電極セット711、810をホルダ1795に組み立て、配線および接点1694を組み立てるステップは、任意の順序で実行され得る(すなわち、接点1694および配線のアセンブリは、電極セット711、810を誘電体ホルダ1795に組み立てる前または後に実行され得る)。
【0067】
図18は、構成要素1700の最終アセンブリの断面図を示している。位置合わせ面270は、電極セット711、810を誘電体ホルダに組み立てるために提供され得る。
【0068】
無線周波数(RF)電圧が、電極セット711、810に印加され得る。例えば、正のRF電圧は、図18の電極セット711の隆起した電極に印加され得る。負のRF電圧は、図18に示される電極セット711のステム電極に印加され得る。電極セット711の分岐電極は、イオンを分岐の他方ではなく分岐の一方に導くように設定されたRF電圧値を有し得る。例えば、分岐電極711のうちの1つは、それに印加された正のRF電圧を有し得る一方、別の分岐電極711は、印加された負のRF電圧を有し得る。
【0069】
イオンガイドアセンブリ1700の別の断面図が、図19に示されている。Yスプリッタは、誘電体ホルダ1795に組み立てられ、これは、電極セット711、810のうちの少なくとも1つにおける1つ以上の位置合わせ面1370、1471、1472上にホルダを組み立てることによって達成され得る。これは、図19に示されている(位置合わせ面1472は視認不可である)。次に、ねじ1790は、電極-PCBユニットを誘電体ホルダ1795に固定し得る。
【0070】
誘電体は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり得るか、または(実質的に)それを含み得る。接点1694および配線が、ホルダに追加される。電極セット711、810をホルダに組み立て、配線および接点1694を組み立てるステップは、任意の順序で実行され得る(すなわち、接点1694および配線のアセンブリは、電極セット711、810を誘電体ホルダに組み立てる前または後に実行され得る)。
【0071】
図20は、イオン光学デバイスの構成要素を組み立てるための方法のフローチャートを示している。ステップ2010で、第1の材料が機械加工されて、部分的に機械加工された第1の電極セット100、400を提供する。部分的に機械加工された第1の電極セット100、400は、第1の材料120、420のフレーム部分に取り付けられた第1の電極セット110、410を含む。ステップ2020で、第2の材料が機械加工されて、第2の材料のフレーム部分120、420に取り付けられた第2の電極セット110、410を含む部分的に機械加工された第2の電極セット100、400を提供する。第1および第2の材料は、同じ材料または異なる材料であり得る。構成要素は、部分的に機械加工された第1および第2の電極セット100、400を位置合わせすることによって、ステップ2030において組み立てられる。位置合わせするステップ2030に続いて、さらに機械加工するステップ2040が実行される。さらに機械加工するステップ2040は、第1の電極セット110、410を第1の材料のフレーム部分120、420から分離する。ステップ2050において、部分的に機械加工された第2の電極セット100、400はさらに機械加工されて、第2の電極セット110、410を第2の材料のフレーム部分120、420から分離する。ステップ2040および2050は、同時に実行され得る。
【0072】
図21は、イオン光学デバイスの構成要素を組み立てるための方法のフローチャートを示している。ステップ2110において、第1の材料は、部分的に機械加工された第1の電極セット100、400を提供するように機械加工され、第2の材料は、部分的に機械加工された第2の電極セット100、400を提供するように機械加工される。部分的に機械加工された電極セット100、400は、それぞれの材料のフレーム部分120、420に取り付けられた電極セット110、410を含む。第1および第2の材料は、同じであり得る。
【0073】
ステップ2120において、第1の部分的に加工された電極セット100、400が第1のプリント回路基板250に接着され、第2の部分的に機械加工された電極が第2のプリント回路基板251に接着される。ステップ2120に続いて、構成要素は、ステップ2130において、部分的に機械加工された第1および第2の電極セット100、400を位置合わせすることによって組み立てられる。ステップ2140は、部分的に機械加工された第1および第2の電極セット100、400をさらに機械加工することを含む。ワイヤ侵食により、さらに機械加工が行われ得る。
【0074】
ステップ2150において、接点1693および配線が、電極セット110、410のためのホルダ1794に追加される。ホルダは、PEEKであり得る誘電体から作製されている。ステップ2160において、電極-PCBユニットは、誘電体ホルダ1794に組み立てられる。ステップ2150および2160は、図21に示される順序とは逆の順序で実行され得る(すなわち、ステップ2160は、ステップ2150の前に行われ得る)。
【0075】
本開示による実施形態は、特定のタイプのデバイスおよび用途(特に質量分析計)を参照して説明されており、実施形態は、本明細書で考察されるように、そのような場合に特定の利点を有するが、本開示によるアプローチは、他のタイプのデバイスおよび/または用途に適用され得る。イオン光学デバイス(イオンガイドなど)および/またはイオン光学システムの特定の製造の詳細は、潜在的に有利である一方で(特に既知の製造上の制約および能力の観点から)、類似または同一の操作を有するデバイスに到達するために大幅に変更され得る。本明細書に開示される各特徴は、別段の指定のない限り、同一、同等または類似の目的を果たす代替の特徴と置き換えられてもよい。したがって、別段の指定のない限り、開示される各特徴は、一般的な一連の同等または類似の特徴の単なる一例である。
【0076】
例えば、機械加工およびさらに機械加工するステップがワイヤ侵食を参照して説明されてきたが、他の方法を使用して、電極セットを材料から取り外し、および/またはガイド穴を形成し得る。例えば、火炎切断、プラズマ切断、またはレーザ切断などの熱切断プロセスが使用され得る。別の例では、化学エッチングまたはフォームエロージョンが使用され得る。さらなる例では、ウォータージェットまたは摩耗ジェットを使用して、電極セットを取り外し、および/またはガイド穴を形成し得る。さらに別の例では、ガイド穴は、ドリルまたは穴あけによって機械加工され得る。
【0077】
本開示の方法および装置は、様々な電極構造で利用することができる。適切な寸法の電極は、基板上に対称または非対称のパターンに配置することができ、電極の伸長が特定の用途に有益である場合、電極は線形であり得るか、または湾曲し得る。個々の電極は、半球形、長方形、または他の形状であることができる。
【0078】
本明細書で開示される態様および/または特徴の全ては、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。特に、本開示の好ましい特徴は、本開示の全ての態様および実施形態に適用可能であり、任意の組み合わせで使用され得る。同様に、必須ではない組み合わせで記述された特徴は、(組み合わせてではなく)別々に使用されてもよい。
【0079】
特許請求の範囲内を含む、本明細書において使用される際、特に文脈が示さない限り、本明細書における用語の単数形は、複数形を含むものとして解釈され、逆の場合も同様である。例えば、文脈が他の意味を示さない限り、(電極セットの対などの)「a」または「an」などの特許請求の範囲を含む本明細書における単数形の言及は、「1つ以上」を意味する(例えば、1つ以上の電極セットの対)。本開示の明細書および特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」、「含む」(including)、「有する(having)」、および「含む(contain)」などの語、ならびに、語の変形、例えば、「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」または同様のものは、「~を含むが、これに限定されない」ことを意味し、他の構成を排除することを意図したものではない。
【0080】
本明細書において提供されるありとあらゆる例、または例示的な文言(「例えば(for instance)」、「~など(such as)」、「例えば(for example)」、および同様の文言)の使用は、単に、発明をより良く例示することを意図され、特に特許請求されない限り、本開示の範囲への限定を示すものではない。本明細書におけるいずれの文言も、本開示の実施に不可欠なものとして主張されていないいかなる要素をも示すものとして解釈されるべきではない。
【0081】
「第1の」および「第2の」という用語は、本発明の範囲を変更することなく逆にされ得る。すなわち、「第1の」要素と呼ばれる要素は、代わりに「第2の」要素と呼ばれ得、「第2の」要素と呼ばれる要素は、代わりに「第1の」要素と見なされ得る。同様に、「上」および「下」という用語は、限定することを意図するものではなく、「上」の要素は、代わりに「下」の要素と呼ばれ得、逆もまた同様である。
【0082】
本明細書に記載された任意のステップは、異なるように記載されていない限り、または文脈により別の意味が必要とされない限り、任意の順序で、または同時に実行され得る。さらに、あるステップがあるステップの後に実行されると説明されている場合、これは、介在ステップが実行されていることを排除するものではない。
【0083】
さらにまた、別段、暗黙的または明示的に理解または記載されない限り、本明細書に記載された任意の所与の構成要素または実施形態について、その構成要素について列挙された可能性のある候補または代替物のいずれも、個々にまたは互いに組み合わせて一般に使用され得ることが理解される。さらに、別段、暗黙的または明示的に理解または記載されない限り、そのような候補または代替物のいかなる列挙も、単なる例示であり、限定されるものではないことが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図21