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特許7295257水生環境における処理化合物の制御放出のための処理リザーバ及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】水生環境における処理化合物の制御放出のための処理リザーバ及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/13 20170101AFI20230613BHJP
【FI】
A01K61/13
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021547448
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 US2020018134
(87)【国際公開番号】W WO2020168095
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-10-12
(31)【優先権主張番号】62/805,620
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ショーン エム.レオーネ
(72)【発明者】
【氏名】アレクシス エヌ.スループ
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/020339(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/142416(WO,A1)
【文献】米国特許第04400374(US,A)
【文献】特開平03-108428(JP,A)
【文献】特開2001-045912(JP,A)
【文献】特開平08-196628(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051725(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理化合物を水生環境にデリバリーするための処理リザーバであって、
処理化合物、及び
リバリー装置、
を含んでなり、
該デリバリー装置は、該処理化合物と操作可能に連携されており、かつ、該処理化合物を所望の放出プロファイルに従って該デリバリー装置から該水生環境に放出するように構成された放出媒体を含み、さらに
該放出媒体は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む材料から形成された膜、シート、チューブ、ブラダ、繊維、コーティング又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、処理リザーバ。
【請求項2】
前記放出媒体は、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、ニトロセルロース及びポリエーテルスルホンのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1記載の処理リザーバ。
【請求項3】
前記放出媒体はミクロポーラスポリエチレン及び/又は発泡ポリエチレンを含む、請求項1又は2記載の処理リザーバ。
【請求項4】
前記放出媒体は少なくとも1つのコーティングをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項記載の処理リザーバ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコーティングは半透過性である、請求項4記載の処理リザーバ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコーティングは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、少なくとも1つのフルオロポリマー又はそれらの組み合わせを含む、請求項4又は5記載の処理リザーバ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリベンズイミダゾール、アクリル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(エテン-コ-テトラフルオロエテン)(ETFE)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリウレタン(PUR)、ニトロセルロース(NC)、ポリエーテルスルホン及びそれらの組み合わせから選ばれ、かつ、前記少なくとも1つのフルオロポリマーは、ポリ(エテン-コ-テトラフルオロエテン)(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びそれらの組み合わせから選ばれる、請求項6記載の処理リザーバ。
【請求項8】
処理化合物を水生環境にデリバリーするための処理リザーバであって、
処理化合物、及び
デリバリー装置、
を含んでなり、
該デリバリー装置は、該処理化合物と操作可能に連携されており、かつ、該処理化合物を所望の放出プロファイルに従って該デリバリー装置から該水生環境に放出するように構成された放出媒体を含み、さらに
デリバリー装置は、少なくとも1つのポートを有する容器を含み、容器は、処理化合物を含み、かつ、少なくとも1つのポートは放出媒体を含むことを特徴とする、処理リザーバ。
【請求項9】
前記デリバリー装置を保持するように構成された外部封じ込め容器をさらに含み、前記外部封じ込め容器は複数の開口部を含み、かつ、前記デリバリー装置は、前記放出媒体から少なくとも部分的に形成されたデリバリーブラダを含む、請求項1~8のいずれか1項記載の処理リザーバ。
【請求項10】
前記デリバリーブラダは、密封可能なチューブ又は注射可能なブラダである、請求項9記載の処理リザーバ。
【請求項11】
前記外部封じ込め容器は筒形であり、該筒形封じ込め容器の各端部にエンドキャップを含み、かつ、各エンドキャップは前記外部封じ込め容器に係合するように構成されている、請求項9又は10記載の処理リザーバ。
【請求項12】
前記外部封じ込め容器を所定の位置に保持するように構成されている1つ以上の取り付けデバイスをさらに含む、請求項9~11のいずれか1項記載の処理リザーバ。
【請求項13】
前記処理化合物は前記放出媒体を通して拡散性である、請求項1~12のいずれか1項記載の処理リザーバ。
【請求項14】
前記処理化合物は、情報化学化合物、抗寄生生物化合物、マスキング化合物、餌付け化合物及びそれらの組み合わせから選ばれる、請求項1~13のいずれか1項記載の処理リザーバ。
【請求項15】
前記処理化合物は、2-アミノアセトフェノン(2-AA)、4-メチルキナゾリン、チオスルホネート、チオスルフィネート、アリシン、アリルスルフィド、イソホロン、α-イソホロン、1-オクテン-3-オール、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、カテリシジン-2、ホルムアルデヒド、有機ホスフェート、トリクロルフォン、マラチオン、ジクロルボス、ホルマリン、アザメチホス、除虫菊、カルバリル、ジフルベンズロン、デルタメトリン、過酸化水素、ニンニク、マスタード、ローズマリー、ラベンダー、ヤチヤナギ、クローブ、ナツメグ、シナモン、バジル、月桂樹の葉、タイム、ショウブ、カナダ野生ショウガ、タラゴン、それらの油、エマルジョン、水溶液又は水性スラリーならびにそれらの組み合わせから選ばれる、請求項1~14のいずれか1項記載の処理リザーバ。
【請求項16】
前記水生環境は塩水環境である、請求項1~15のいずれか1項記載の処理リザーバ。
【請求項17】
水生環境において水生生物を収容するための封じ込めペンであって、
支持構造、
該支持構造に結合された、該水生生物を収容するためのエンクロージャを画定するためのネット、及び
該封じ込めペンのエンクロージャに操作可能に連携されており、かつ、該エンクロージャ内の水生寄生生物の存在を低減するために該水生環境において処理化合物を制御放出するように構成された処理リザーバシステム、
を含んでなり、
該処理リザーバシステムは、請求項1~15のいずれか1項記載の少なくとも1つの処理リザーバを含む、封じ込めペン。
【請求項18】
前記少なくとも1つの処理リザーバは、前記エンクロージャの近位又は内部に配置された点源リザーバ、前記エンクロージャの近位又は内部に配置されたデリバリーブラダ容器、前記エンクロージャを少なくとも部分的に取り囲む周囲リザーバ、水平配向リザーバ、垂直配向リザーバ、又はそれらの組み合わせである、請求項17記載の封じ込めペン。
【請求項19】
前記水生環境は塩水環境である、請求項17又は18記載の封じ込めペン。
【請求項20】
水生環境中で水生生物を収容するための水生生物封じ込めシステムであって、
請求項17又は18の複数の封じ込めペン、及び
封じ込めサイト内の封じ込めペンアレイを画定するために該複数の封じ込めペンの相対位置を維持するためのアンカリングシステム、
を含んでなるシステム。
【請求項21】
前記水生環境は塩水環境である、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
水生寄生生物を制御するための方法であって、
水産養殖封じ込めペンに操作可能に近位に又はその内部に、請求項1~16のいずれか1項記載の1つ以上の処理リザーバを配置することを含んでなる方法。
【請求項23】
前記水生寄生生物はウオジラミである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記水産養殖封じ込めペンはサケを含む、請求項22又は23記載の方法。
【請求項25】
処理化合物を水生環境にデリバリーするための処理リザーバであって、
処理化合物、及び
デリバリー装置、
を含んでなり、
該デリバリー装置は、該処理化合物と操作可能に連携されており、かつ、該処理化合物を所望の放出プロファイルに従って該デリバリー装置から該水生環境に放出するように構成されたミクロポーラス膜を含むことを特徴とする、処理リザーバ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
処理化合物を魚の飼料に組み込むこと、魚を化学物質又は薬剤に浸すこと、又は、物理的除去によって魚のウオジラミ寄生を低減する方法が知られている。しかしながら、従来の処理化合物は、安全性、健康、ウエルネスならびに後に食品として市場に販売される魚の味に影響を与える可能性があるため、望ましくない。水産養殖場での魚への寄生生物(例えば、ウオジラミ)の付着及び接合の成功に起因する寄生生物の個体数増加を制限するために、阻害物質、忌避剤及び/又はマスキング化合物を生存期間にわたって伝達する必要がある。実行可能なシーズンのピークは4か月以上になることがある。そのため、食品用に収穫される魚の品質、味、安全性又は収量に影響を与えずに、養魚場環境の寄生生物集団を有効に抑止、削減又は排除するために、処理化合物の制御放出を行う必要がある。さらに、必要とされるとおりの海洋状態で、所望の放出プロファイルでの拡散を介して処理化合物を放出するのに有効な放出媒体を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0002】
1つの例(「例1」)によれば、処理化合物を水生環境にデリバリーするための処理リザーバは、処理化合物、及び、該処理化合物を所望の放出プロファイルに従って放出するように構成されたデリバリー装置を含み、該デリバリー装置は該処理化合物と操作可能に連携されており、かつ、該処理化合物を所望の放出プロファイルに従って該水生環境に放出するように構成されている。
【0003】
別の例(「例2」)によれば、例1に加えて、前記デリバリー装置は、所望の放出プロファイルに従って、前記処理化合物を前記デリバリー装置から前記水生環境に放出するように構成された放出媒体を含む。
【0004】
別の例(「例3」)によれば、例2に加えて、前記放出媒体は、膜、シート、チューブ、ブラダ、繊維、コーティング及びそれらの組み合わせから選ばれる形態である。
【0005】
別の例(「例4」)によれば、例2又は3に加えて、前記放出媒体は、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、ニトロセルロース及びポリエーテルスルホンのうちの少なくとも1つを含む。
【0006】
別の例(「例5」)によれば、例2~4に加えて、前記放出媒体は、ミクロポーラスポリエチレン及び/又は発泡ポリエチレンを含む。
【0007】
別の例(「例6」)によれば、例4に加えて、前記フルオロポリマーは延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)である。
【0008】
別の例(「例7」)によれば、例2~6に加えて、前記放出媒体は、少なくとも1つのコーティングをさらに含む。
【0009】
別の例(「例8」)によれば、例7に加えて、前記少なくとも1つのコーティングは半透過性である。
【0010】
別の例(「例9」)によれば、例7又は8に加えて、前記少なくとも1つのコーティングは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー、少なくとも1つのフルオロポリマー又はそれらの組み合わせを含む。
【0011】
別の例(「例10」)によれば、例9に加えて、前記少なくとも1つの熱可塑性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリベンズイミダゾール、アクリル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(エテン-コ-テトラフルオロエテン)(ETFE)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリウレタン(PUR)、ニトロセルロース(NC)、ポリエーテルスルホン及びそれらの組み合わせから選ばれ、そして前記少なくとも1つのフルオロポリマーは、ポリ(エテン-コ-テトラフルオロエテン)(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びそれらの組み合わせから選ばれる。
【0012】
別の例(「例11」)によれば、例2~10に加えて、前記デリバリー装置は、少なくとも1つのポートを有する容器を含み、前記容器は、前記処理化合物を含み、そして前記少なくとも1つのポートは前記放出媒体を含む。
【0013】
別の例(「例12」)によれば、例2~10に加えて、前記処理リザーバは、前記デリバリー装置を保持するように構成された外部封じ込め容器をさらに含み、前記外部封じ込め容器は複数の開口部を含み、前記デリバリー装置は、前記放出媒体から少なくとも部分的に形成されたデリバリーブラダを含む。
【0014】
別の例(「例13」)によれば、例12に加えて、前記デリバリーブラダは、密封可能なチューブ又は注射可能なブラダである。
【0015】
別の例(「例14」)によれば、例12又は例13に加えて、前記外部封じ込め容器は筒形であり、該筒形封じ込め容器の各端部にエンドキャップを含み、各エンドキャップは前記外部封じ込め容器に係合するように構成されている。
【0016】
別の例(「例15」)によれば、例12~14に加えて、前記処理リザーバは、前記外部封じ込め容器を所定の位置に保持するように構成されている1つ以上の取り付けデバイスをさらに含む。
【0017】
別の例(「例16」)によれば、例2~15に加えて、前記処理化合物は前記放出媒体を通して拡散性である。
【0018】
別の例(「例17」)によれば、例1~16に加えて、前記処理化合物は、情報化学化合物、抗寄生生物化合物、マスキング化合物、餌付け化合物及びそれらの組み合わせから選ばれる。
【0019】
別の例(「例18」)によれば、例1~17に加えて、前記処理化合物は、2-アミノアセトフェノン(2-AA)、4-メチルキナゾリン、チオスルホネート、チオスルフィネート、アリシン、アリルスルフィド、イソホロン(isopherone)、α-イソホロン(α- isopherone)、1-オクテン-3-オール、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、カテリシジン-2、ホルムアルデヒド、有機ホスフェート、トリクロルフォン、マラチオン、ジクロルボス、ホルマリン、アザメチホス、除虫菊、カルバリル、ジフルベンズロン、デルタメトリン、過酸化水素、ニンニク、マスタード、ローズマリー、ラベンダー、ヤチヤナギ、クローブ、ナツメグ、シナモン、バジル、月桂樹の葉、タイム、ショウブ、カナダ野生ショウガ、タラゴン、それらの油、エマルジョン、水溶液又は水性スラリーならびにそれらの組み合わせから選ばれる。
【0020】
別の例(「例19」)によれば、例1~18に加えて、前記水生環境は塩水環境である。
【0021】
別の例(「例20」)によれば、水生環境において水生生物を収容するための封じ込めペンであって、該封じ込めペンは、支持構造、該支持構造に結合された、該水生生物を収容するためのエンクロージャを画定するためのネット、及び、該封じ込めペンのエンクロージャに操作可能に連携されており、かつ、該エンクロージャ内の水生寄生生物の存在を低減するために該水生環境において処理化合物を制御放出するように構成された処理リザーバシステムを含み、該処理リザーバシステムは、例1~18のいずれかに記載の少なくとも1つの処理リザーバを含む。
【0022】
別の例(「例21」)によれば、例20に加えて、前記少なくとも1つの処理リザーバは、前記エンクロージャの近位又はエンクロージャ内に配置された点源リザーバ、前記エンクロージャの近位又はエンクロージャ内に配置されたデリバリーブラダ容器、前記エンクロージャを少なくとも部分的に取り囲む周囲リザーバ、水平配向リザーバ、垂直配向リザーバ、又は、それらの組み合わせである。
【0023】
別の例(「例22」)によれば、例20又は例21に加えて、前記水生環境は塩水環境である。
【0024】
別の例(「例23」)によれば、水生環境中で水生生物を収容するための水生生物封じ込めシステムであって、前記システムは、例20又は例21の複数の封じ込めペン、及び、封じ込めサイト内の封じ込めペンアレイを画定するための複数の封じ込めペンの相対位置を維持するためのアンカリングシステムを含む。
【0025】
別の例(「例24」)によれば、例23に加えて、前記水生環境は塩水環境である。
【0026】
別の例(「例25」)によれば、水生寄生生物を制御するための方法は、水産養殖封じ込めペンに操作的に近位に又はその内部に、例1~19のいずれかの1つ以上の処理リザーバを配置することを含む。
【0027】
別の例(「例26」)によれば、例25に加えて、前記水生寄生生物はウオジラミである。
【0028】
別の例(「例27」)によれば、例25又は例26に加えて、前記水産養殖封じ込めペンはサケを含む。
【0029】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限するか、さもなければ狭めるために読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
添付の図面は、開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、開示の原理を説明するのに役立つ。
【0031】
図1図1は、幾つかの実施形態による、アレイ内に複数の封じ込めペンを含み、1つ以上の処理リザーバを有するシステムの斜視図の概略図である。
【0032】
図2A図2Aは、幾つかの実施形態による、封じ込めペンの斜視図の概略図である。
【0033】
図2B図2Bは、幾つかの実施形態による、別の封じ込めペンの斜視図の概略図である。
【0034】
図3A図3Aは、幾つかの実施形態による、水平構成及び少なくとも1つのポートを有する処理リザーバの斜視図の概略図である。
【0035】
図3B図3Bは、幾つかの実施形態による、垂直構成及び少なくとも1つのポートを有する処理リザーバの斜視図の概略図である。
【0036】
図3C図3Cは、幾つかの実施形態による、ブイ構成及び少なくとも1つのポートを有する処理リザーバの斜視図の概略図である。
【0037】
図3D図3Dは、幾つかの実施形態による、デリバリーブラダ容器の斜視図の概略図である。
【0038】
図3E図3Eは、図3Dに示される実施形態の分解図である。
【0039】
図3F図3Fは、幾つかの実施形態による、餌付け又は抑止化合物を放出するための処理リザーバを含む、処理リザーバを有する封じ込めサイトの概略図である。
【0040】
図4A図4Aは、幾つかの実施形態による、ハウジング、膜及びシールを有するポートの内面の写真である。
【0041】
図4B図4Bは、図4Aのポートの内面の反対側の外面の写真である。
【0042】
図4C図4Cは、幾つかの実施形態による、ハウジング、膜及びシールを有する別のポートの内面の写真である。
【0043】
図4D図4Dは、図4Cのポートの内面の反対側の外面の写真である。
【0044】
図4E図4Eは、幾つかの実施形態による、ハウジング、膜及びシールを有するさらに別のポートの内面の写真である。
【0045】
図4F図4Fは、図4Eのポートの内面の反対側の外面の写真である。
【0046】
図5A図5Aは、幾つかの実施形態による、多孔質媒体の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真である。
【0047】
図5B図5Bは、幾つかの実施形態による、上に透過性コーティングを有する多孔質媒体の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真である。
【0048】
図6図6は、幾つかの実施形態による、水生環境の処理のための点源リザーバとして構成された処理リザーバの上面図の概略図である。
【0049】
図7図7は、幾つかの実施形態による、水生環境の処理のための周囲リザーバとして構成された処理リザーバの上面図の概略図である。
【0050】
図8図8は、幾つかの実施形態による、水生環境において封じ込めペンアレイを処理するための水平配向された処理リザーバのセットの斜視図の概略図である。
【0051】
図9図9は、幾つかの実施形態による、水生環境において封じ込めペンアレイを処理するための垂直配向された処理リザーバの斜視図の概略図である。
【0052】
図10図10は、幾つかの実施形態による、水生環境において封じ込めペンアレイを処理する処理リザーバの一連の実施形態の上面図の概略図であり、前記リザーバは、アンカリングインフラストラクチャからオフセットされている。
【0053】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されていることがあり、その点に関して、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0054】
定義
本開示は、限定的に読まれることを意図するものではない。例えば、本出願で使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰する意味の関係で広く読まれるべきである。
【0055】
不正確さの用語に関して、「約」及び「ほぼ」という用語は、互換的に、記載された測定値を含み、また、記載された測定値に合理的に近い測定値を含む測定値を指すために、使用されうる。記載された測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるように、合理的に少量だけ記載された測定値から逸脱している。このような逸脱は、例えば、測定誤差、又は、他の構成要素に関連する測定値の違い、特定の実装シナリオ、人又は機械による対象の不正確な調整及び/又は操作を考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われる小さな調整に起因する可能性がある。当業者がそのような合理的に小さな差異の値を容易に確認できないと判断された場合には、「約」及び「ほぼ」という用語は、記載された値の±10%を意味すると理解することができる。
【0056】
「処理リザーバ」という用語は、水産養殖又は魚の養殖の関係で本明細書にて使用されるときに、水生環境処理のための化合物をデリバリーするための供給源である。養殖は、消費のための食料源を生産することを目的として、淡水又は海水のいずれかで魚を品種改良することを含む。「処理リザーバ」という用語は、本明細書では「水生環境処理のための化合物をデリバリーするための処理リザーバ」又は単に「リザーバ」と呼ばれることがある。
【0057】
「支持構造」という用語は、水産養殖の関係で本明細書にて使用されるときに、通路、手すり、バードネット、供給ライン、封じ込めペン及び他の既知の水産養殖インフラストラクチャを含む。
【0058】
「封じ込めペン」という用語は、本明細書で使用されるときに、支持構造、係留、ならびに、これらに取り付けられ、水生生物が閉じ込められるエンクロージャを画定するためのネット又はケージ、を表すことが意図される。封じ込めペンには、カメラシステム、給餌灯、およびレーザユニットをさらに含めてもよい。
【0059】
「封じ込めサイト」という用語は、本明細書で使用されるときに、封じ込めサイト内の水生生物又は水生動物の処理のために少なくとも1つの封じ込めペン及び少なくとも1つの処理リザーバが配置される領域を画定する自然又は人工の障壁を表すことが意図される。
【0060】
「汽水」という用語は、本明細書で使用されるときに、淡水よりも塩分が多いが、海水よりも塩分が少ない水である。
【0061】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現されうることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を例示するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0062】
本明細書に開示される様々な本発明の概念は、水生環境処理機能を含むシステム、リザーバ及び関連する方法に関する。様々な例において、システム、リザーバ及び方法は、所望の水生環境の効果的な処理のための構成に関する。様々な特徴及び利点が説明されているが、追加又は代替の特徴及び利点は考えられ、本開示のレビューにより明らかになるであろう。
【0063】
図1は、水生環境50内にアレイで複数の封じ込めペン115を含む、封じ込めサイト110のための水生システム100の斜視図である。封じ込めサイト110は、水生環境において、封じ込めペンアレイ90を画定するための複数の封じ込めペン115の相対位置を維持するためにアンカリングシステム105で固定されうる。水性システム100はまた、1つ以上の処理リザーバ250、260、270、280及び/又は370を含み、これらは、本明細書に記載されている様々な構成のいずれかをとることができる。一般に、処理リザーバは、処理化合物と、所望の放出プロファイルに従って処理化合物を放出するように構成されたデリバリー装置(例えば、図3A~3Dに示されるようなデリバリー装置225)とを含む。例えば、少なくとも1つの処理リザーバは、封じ込めペン115に取り付けられた又はその周囲に配置された水平配向リザーバ250、アンカーシステム105に取り付けられた水平配向リザーバ155、封じ込めペン115に隣接して取り付けられた又は配置された垂直配向リザーバ260、封じ込めサイト110又は封じ込めペン115内に少なくとも部分的に配置された又はその近くに配置された点源リザーバ270、封じ込めサイト110又は封じ込めペン115を少なくとも部分的に取り囲んでいるブイリザーバ280又は一連のブイリザーバ285などの周囲リザーバ280、封じ込めサイト110又は封じ込めペン115内に少なくとも部分的に配置された又はその近くに配置されたデリバリーブラダ容器370、又は、図2~10を参照して記載される上述のいずれかの組み合わせとして構成されうる。上述の構成のいずれかの処理リザーバのデリバリー装置は、デリバリー装置上の1つ以上の所望の位置にある1つ以上のポート190、又は、それぞれのリザーバから処理化合物をデリバリーするためのデリバリー装置内に配置されたデリバリーブラダを含むことができる。構成の任意の組み合わせは、単一のリザーバに対して、又は所望に応じてリザーバごとに考えられる。
【0064】
図2Aは、水生環境50内に1種以上の水生生物又は水生動物を収容するためのネット220に結合された支持構造215を含む封じ込めペン115Aを示す。ネット220は、図2Aに示される筒形などの様々な形状に構成することができる。あるいは、ネット220は、図2Bに示されているように、丸みを帯びた又は錐形部分222を含むことができる。
【0065】
図2A及び図2Bにそれぞれ示される封じ込めペン115A及び115Bに加えて、封じ込めペン115のために任意の適切な形状を使用することができる。四面体、正四角錐、六角錐、正六面体、立方体、直方体、三角柱、八面体、五角柱、六角柱、十二面体、球体、楕円形、イコサヘドロン、円錐、円柱、リボン、その他の幾何学的又は非幾何学的構造などの形状も考えられる。しかし、水生環境50は、より大きな液体(例えば、水、塩水又は汽水)の中に存在する可能性がある封じ込めペン115Aの中及び周囲で流れることができる。支持構造215は、水生環境50内で浮くことができるケージ又はフレームから形成されうる。幾つかの実施形態において、支持構造215は剛性である。限定するわけではないが、ペン、ケージ、フレーム又はネット製又は鋼及び/又はプラスチック又は水生環境及び水産養殖のための当該技術分野で知られているとおりの他の適切な材料などを含む、既存の水産養殖ネットペンに適した任意の支持構造を使用することができる。ネット220は、水産養殖用ネットペンに有用な任意の既知のネットであることができる。封じ込めペン115Aは、水生動物(例えば、魚)又は水生生物のためのエンクロージャを画定し、ネット220が少なくとも水生環境50の表面、又は水生環境50の表面から十分な高さまで延在しており、その結果、そこに含まれる水生動物又は他の水生生物が容易に抜け出せない限り、上部で開放されていてよい。封じ込めペンは、閉じて高エネルギー位置に沈めること、又は嵐を通して沈めることもできる。この場合、水生生物はすべての面でケージ又はネットに封じ込められる。
【0066】
幾つかの実施形態において、処理リザーバは、標準的な水産養殖インフラストラクチャに取り付けられている(すなわち、固定されている)。そのような実施形態において、本開示の処理リザーバは、現在の水産養殖システムに容易に統合することができる。例えば、幾つかの実施形態において、封じ込めペン115Aは、処理リザーバを、例えば、水産養殖ビデオカメラ及び/又はセンサシステム、又は、ブイ又はその接続チェーン、又は専用ブイ及び/又はその接続チェーンなどのその関連インフラストラクチャに取り付けることによって、封じ込めペン115A内に配置された処理リザーバを含むことができる。幾つかの実施形態において、封じ込めペン内に維持される魚との干渉を最小限に抑えることが望ましく、したがって、処理リザーバは、封じ込めペン内の既存の水産養殖インフラストラクチャに取り付けられ、追加の保持手段(例えば、ブイ及び/又は接続チェーン)の必要性を回避する。他の実施形態において、処理リザーバは、封じ込めペン115Aの外部に(例えば、隣接して)配置される。封じ込めペン115Aの外部に配置されるときに、処理リザーバは、処理リザーバから放出される処理化合物がその所望の効果を有するように配置される。幾つかの実施形態において、処理リザーバは、例えば、マーカーブイ及び/又はその連携されている接続チェーン、グリッド又は係留ブイ及び/又はそれに連携されている接続チェーン、グリッド又は係留索(すなわち、アンカーシステム105)又は専用ブイ及び/又はその接続チェーンに処理リザーバを取り付けることによって、封じ込めペン115Aの外部に配置される。
【0067】
図2Bに示される封じ込めペン115Bは、支持構造215を含み、さらに、封じ込めペン115Aの特徴に加えて、錐形部分222、及び、前記支持構造及び錐形部分222に結合されたメッシュ又はネット220を含み、水生動物又は水生生物を収容するためのエンクロージャを画定する。水生動物又は水生生物の1つの例は魚であり、議論を容易にするために、「魚」は本開示全体を通して使用され、水生動物又は水生生物のいずれをも示すことが意図される。封じ込めペン115B、又は本明細書で交換可能に使用される単に「ペン」は、より先細りの又は錐形の底部ネット構造222を含む様々なペン特徴の例として提供される。とりわけ、ペンの形状及びサイズのこのような差異は当業者に容易に理解される。
【0068】
図3A~3Eは、様々な構成の処理リザーバの図を示している。例えば、図3Aは、図1の水平配向されたリザーバ250と同様の、水平構成を有する処理リザーバ250の図である。例えば、処理リザーバ250は、その中に1つ以上のポート190を有する連続的又はセグメント化された周方向管状構造として構成されたデリバリー装置225を含むことができる。示されるように、処理リザーバ250は、中に処理化合物(示されていない)を有するデリバリー装置225を含む。処理リザーバ250のデリバリー装置225は、所望の放出プロファイルに従って処理化合物を放出するように構成されている。例えば、処理リザーバ250は、図3Aに概略的に示されるように、デリバリー装置225に連携されている少なくとも1つのポート190を含むことができる。ポート190は、デリバリー装置225に沿ってどこにでも配置することができ、デリバリー装置自体の単一部分、又はそれに取り付けられた別個の構成要素であることができる。ポート190は、図4A~4Fに関連してより詳細に議論される。処理リザーバ250は、デリバリー装置225が、図3Aに示されるような封じ込めペン115に隣接して配置され、その結果、処理化合物を中に有するデリバリー装置225を封じ込めペン115に載置することなく、近接して配置されるように構成されうる。あるいは、デリバリー装置225は、封じ込めペン115(図示せず)に取り付けられるか、又はその中に配置されうる。
【0069】
図3Bは、垂直構成で少なくとも1つのポート190を有する処理リザーバ260の図である。例えば、処理リザーバ260は、連続の又はセグメント化された垂直管状構造として構成されたデリバリー装置225、又は、図3Aに関して上記で参照されたものと同様の1つ以上のポート190を有し、中に処理化合物(図示せず)を備えた容器を含むことができる。処理リザーバ260のデリバリー装置225は、所望の放出プロファイルに従って処理化合物を放出するように構成されている。ポート190は、デリバリー装置225に沿ってどこにでも配置することができ、デリバリー装置自体の単一部分、又はそれに取り付けられた別個の構成要素であることができる。様々な例において、デリバリー装置225は処理化合物を保持することができるハウジング又は容器を含み、処理化合物が含まれるハウジングの内部に取り付けられそしてそれにアクセスするポートを備えている。デリバリー装置225は、処理化合物をデリバリーするための1つ以上の連携されているポートを備えたチューブ、パイプ、バレル、ボックス又は他の形状の容器であることができる。処理リザーバ260は、デリバリー装置225が、図3Bに示されるように、封じ込めペン115に隣接して配置されるように構成されることができ、又は、封じ込めペン115に取り付けられるか又はその中に配置されうる(図示せず)。
【0070】
図3Cは、少なくとも1つのポート190を有するブイ構成を有する処理リザーバ270を示している。ブイ構成は、処理リザーバ270が所定の位置に保持されるような浮きを備えた点源である。処理リザーバ270は、デリバリー装置225及び処理化合物(図示せず)を含む。処理リザーバ270のデリバリー装置225は、所望の放出プロファイルに従って処理化合物を放出するように構成されている。デリバリー装置225は、少なくとも1つのポート190を有する容器230を含むことができる。ポート190は、デリバリー装置225の容器本体235内に配置され得るか、又はデリバリー装置225の上部240又は下部245(図示せず)に配置され得る。処理リザーバ270は、水生環境にデリバリーするために処理化合物を収容するのに適した任意のサイズ又は形状であることができる。
【0071】
図3Dは、外部封じ込め容器372、封じ込め容器372内に配置されたデリバリーブラダ374(点状の塗りつぶし)、エンドキャップ376及び取り付けデバイス378を有するデリバリーブラダ容器370を示す。図3Eは、外部封じ込め容器372、デリバリーブラダ374、エンドキャップ376及び取り付けデバイス378を有するデリバリーブラダ容器370の分解図を示す。本明細書で使用されるときに、「デリバリーブラダ容器」は、一種の処理リザーバであり、「デリバリーブラダ」は一種のデリバリー装置である。図3D及び3Eを参照して、外部封じ込め容器372は複数の開口部380を含む。複数の開口部380の開口部は、例えば、円形、楕円形、正方形、矩形、不規則形状又はそれらの組み合わせなどの任意の形状であることができる。複数の開口部380の開口部の数及びサイズは、水生環境の液体が、大きな破片(例えば、流木)が外部封じ込め容器372に入るのを防ぎ、そして動物(例えば、鳥、アザラシ、サメ、魚など)が封じ込め容器372内に配置されたデリバリーブラダ374に接触することを防ぎながら、最小の抵抗で外部封じ込め容器372に出入りできるように選択される。幾つかの実施形態において、図3Eの外部封じ込め容器372に示されるように、封じ込め容器372の端部は、ねじ部セクション382を含む。ねじ部セクション382は、エンドキャップ376の各々の内面上でねじ部セクションと相互作用し、エンドキャップ376を外部封じ込め容器372に固定するように構成されている。エンドキャップ376を封じ込め容器372に固定するための他の手段も考えられ、例えば、溶接、圧縮継手、エポキシ接着剤を含む接着剤、カップリング、摩擦嵌合又はスナップフィット構成要素などが挙げられる。図示のように、取り付けデバイス378はエンドキャップ376のそれぞれにループを形成する。しかしながら、取り付けデバイス378は、エンドキャップ376、外部封じ込め容器372又はエンドキャップ376と外部封じ込め容器372の両方の上又は中に配置することができる。取り付けデバイス378は、デリバリーブラダ容器370を所定の位置に固定するための接触点を提供し、例えば、ループ、フック、アイフック又は穴などの任意の適切な形態をとることができる。ロープ、チェーン、シャックル、カラビナなどを、取り付けデバイス378を介してデリバリーブラダ容器370に取り付けて、デリバリーブラダ容器370を所望の位置に固定することができる。例えば、デリバリーブラダ容器370は、水産養殖ビデオカメラ及び/又はセンサシステム、又は、それに連携されているインフラストラクチャ、例えば、マーカーブイ及び/又はその連携されている接続チェーン、グリッド又は係留ブイ及び/又はそれに連携されている接続チェーン、グリッド又は係留索(すなわち、アンカリングシステム105)又は専用ブイ及び/又はその接続チェーンに付着されるか又は取り付けられることができる。
【0072】
デリバリーブラダ容器370は、図3D及び図3Eに示されるように、筒形であることができ、又は、例えば、球形、立方体、錐形又は直角柱であることができる。外部封じ込め容器372及びエンドキャップ376は、例えば、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル)及びステンレス鋼から作製することができる。外部封じ込め容器372の材料は、例えば、塩水、潮汐力、波、UV光曝露など、デリバリーブラダ容器370が遭遇する可能性のある環境要因に耐え、そして、鳥、アザラシ、サメ、魚などの動物による攻撃又は検査などの他の要因に耐えるのに十分な強度を提供するように選択されうる。
【0073】
幾つかの実施形態において、一方又は両方のエンドキャップ376は、外部封じ込め容器372の一部を形成するか、又はさもなければ恒久的に統合される。例えば、幾つかの実施形態において、デリバリーブラダ容器は、連続した(すなわち、取り外し可能でない)面を有する直角柱である。そのような実施形態において、外部封じ込め容器の内部へのアクセスは、ハッチ又は他の同様の固定可能な開口部によって達成されうる。これにより、デリバリーブラダ374を外部封じ込め容器372内に配置することが可能になる。別の例において、図3D及び3Eを参照すると、一方のエンドキャップ376は、外部封じ込め容器372に恒久的に取り付けられ、反対側のエンドキャップ376は、外部封じ込め容器372から取り外し可能であるように構成されている。
【0074】
デリバリーブラダ374は、放出媒体から作製され、処理化合物70(図示せず)で満たされるように構成されている。デリバリーブラダ374は、所望の放出プロファイルに従って処理化合物70を放出するように構成されている。放出媒体、処理化合物及び放出プロファイルに関するさらなる詳細は、本明細書の他の場所に提供されている。幾つかの実施形態において、デリバリーブラダは、放出媒体から形成されたチューブである。チューブの各端部を閉じて固定(すなわち、密封)することができ、それによってブラダを形成し、デリバリーブラダ374内に処理化合物を保持する。チューブは、ブラダの長さの大部分にわたって一定の直径を有する筒形であることができ、又は、ブラダの中央に向かって直径が大きくなることができる(例えば、フットボール型ブラダ)。他の実施形態において、デリバリーブラダ374は注射可能なブラダであり、デリバリーブラダ374は開口部のない連続バッグである。そのような実施形態において、注射可能なブラダは、例えば注射器を使用して処理化合物で満たされ、注射器はデリバリーブラダ374の放出媒体を通過し、処理化合物はデリバリーブラダ374内に堆積される。
【0075】
図3Fは、処理リザーバ270及び/又は水生環境50に処理化合物70を放出するためのデリバリーブラダ容器370を有し、さらに、餌付け化合物75の形態で処理化合物を放出するための1つ以上の餌リザーバ275を含む封じ込めサイト110の図である。封じ込めサイト110は、入口又は湾又は他の水域(天然又は人工)に配置することができ、隣接する水生環境50(例えば、外洋)への開口部80を含むことができる。封じ込めペン115のアレイ90は、アレイ90内及び/又はその周囲に配置された点源リザーバ270及び/又はデリバリーブラダ容器370によって処理されうる。点源リザーバ270は、デリバリー装置225及びその中に処理化合物70を含むことができ、一方、デリバリーブラダ容器370は、デリバリーブラダ374及びその中に処理化合物70を含むことができる。
【0076】
点源リザーバ270及びデリバリーブラダ容器370が図3Fに示されているが、水平又は垂直に配向された処理リザーバ(例えば、それぞれ250、260)は、追加的又は代替的に、図3Dの封じ込めサイト110で利用されうる。餌リザーバ275は、デリバリー装置225(ブイ型デリバリー装置など)と、具体的には餌付け化合物である処理化合物75とを含む。餌リザーバ275は、封じ込めペン115のアレイ90から離れた距離に配置されることができ、その結果、餌リザーバ275からの餌付け化合物75の放出は、アレイ90から離れるように望ましくない生物(例えば、捕食者、寄生生物など)を誘惑又は誘導し、したがって、封じ込めペン115内に位置する魚を保護するための代替又は追加の方法を提供する。
【0077】
上述のように、デリバリー装置225(例えば、図3A~3C)は、完全に又は部分的に取り囲まれたチューブ(例えば、図3A~3B)又は容器(例えば、図3C)として構成されうる。幾つかの実施形態において、ポートは、デリバリー装置225の唯一の開口部であることができ、その結果、デリバリー装置225が処理化合物で満たされると、デリバリー装置225は、封じ込めペン115の周囲及び/又はその中に処理化合物を放出させるために利用される。幾つかの実施形態において、デリバリー装置225の容器部分(例えば、チューブ、本体、上部又は下部)は、プラスチック、金属、又は水産養殖環境に適合性のある他の既知の材料から作られてよい。
【0078】
図3Cに戻って参照すると、デリバリー装置225は、ポート190を有するものとして示される容器230などの容器として形成されうる。容器230は、ポート190を介して放出可能な処理化合物を貯蔵し又は含む。ポート190は、放出媒体(図示せず)を含み、これについては、以下で詳しく記載する。形状に加えて、デリバリー装置225のポート190の少なくとも一部を形成する放出媒体の透過性及び/又は多孔性特性は、所望のデリバリー、放出又は処理プロファイルを達成するために、必要に応じて変化させることができる。
【0079】
デリバリー装置225の1つ以上の部分(例えば、ポート190)又はデリバリーブラダ容器370のデリバリーブラダ374の1つ以上の部分は、処理化合物(例えば、水溶液、水性スラリー、油又はエマルジョン)をデリバリー装置225又はデリバリーブラダ374に流入及び/又はそこから流出することを可能にするために、多孔性、半多孔性、透過性又は半透過性特性を有することができる。幾つかの実施形態において、デリバリー装置225のポート190に含まれ又はデリバリーブラダ374を構成する多孔性、半多孔性、透過性又は半透過性の材料は、フルオロポリマー、ポリエチレン、発泡ポリエチレン、ミクロポーラスポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリウレタン(PU)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ePTFE、ニトロセルロース、ポリエーテルスルホン、金属マトリックス複合材、フリット、セラミックマトリックス及びそれらの組み合わせから選ばれる少なくとも1つの放出媒体である。
【0080】
放出媒体は、多孔質材料、半多孔質材料、透過性材料、半透過性材料又はそれらの組み合わせであることができ、これは、処理リザーバ又はデリバリーブラダ内から、処理リザーバ又はデリバリーブラダに対して外部に配置されている水生環境に向かって流れる第一の方向への流れを可能にする。所望ならば、放出媒体は、場合により、反対方向、言い換えれば、水生環境から処理リザーバの内部に向かって流れる第二の方向への流れを可能にすることができる。
【0081】
放出媒体は、いずれかの方向への流れ又は部分的な流れを優先的に可能にするように選択されることができ、特定の生物又は不純物がポートを通って流れる又はデリバリーブラダに流れ込むのを防止する又は可能にするように選択されることができる。様々な例において、ポート又はデリバリーブラダは、処理化合物がポート又はデリバリーブラダから制御された様式で放出され(例えば、放出の所望の時間及び/又は放出速度に従って)、水生環境に流入するように構成されている。少なくとも最初は、水生環境は、処理リザーバ内に含まれる水溶液、水性スラリー、油又はエマルジョンの濃度よりも低い処理化合物の濃度を有する。幾つかの実施形態において、水生環境は塩水であるが、様々な水生環境(例えば、淡水、塩水又は汽水)が考えられる。
【0082】
ポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)の発泡又はミクロポーラスポリエチレン膜を含む、発泡ポリエチレン及びミクロポーラスポリエチレン膜が、放出媒体にとって特に有利な材料でありうるが、放出媒体は、限定するわけではないが、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などの様々な材料から形成されうる。
【0083】
幾つかの例において、放出媒体は、温度依存性の処理化合物放出プロファイルを達成するために、放出媒体上の1つ以上の層又はコーティングとして熱可塑性ポリマーを含む。一般に、熱可塑性ポリマーは特定の温度を超えると軟化し、次いで、冷却すると再硬化する。使用できる適切な熱可塑性ポリマーの幾つかの例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリベンズイミダゾールアクリル、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(エテン-コ-テトラフルオロエテン)(ETFE)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、ポリウレタン(PUR及びPU)、ニトロセルロース(NC)のうちの少なくとも1つが挙げられ、これには、不活性硝酸セルロースと酢酸セルロースポリマーの混合物、ポリエーテルスルホン及びそれらの組み合わせを含むことができる。デリバリー装置225のポート190又はデリバリーブラダ374の少なくとも一部で使用されるポリエステルの例は、テレフタル酸(PTA)、ジメチルエステルジメチルテレフタレート(DMT)、モノエチレングリコール(MEG)及びそれらの組み合わせから選ばれる少なくとも1つの放出媒体を含むことができる。
【0084】
適切な材料の様々な例が提供されているが、少なくとも幾つかの実施形態において、放出媒体は、放出媒体上の1つ以上の層又はコーティングとしてフルオロポリマーを含む。適切なフルオロポリマーの例としては、ポリ(エテン-コ-テトラフルオロエテン)(ETFE)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)及びそれらの組み合わせが挙げられる。フルオロポリマーは、ペルフルオロシクロアルケン(PFCA)、エチレン(エタン)(E)、フッ化ビニル(フルオロエチレン)(VF1)、フッ化ビニリデン(1,1-ジフルオロエチレン)(VDF又はVF2)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、プロピレン(P)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)及びそれらの組み合わせから選ばれるモノマーから作られる。
【0085】
非限定的な例において、放出媒体は、発泡ポリエチレン又はミクロポーラスポリエチレンである。別の非限定的な例において、放出媒体は、延伸フルオロポリマー及び/又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などのミクロポーラスフルオロポリマーである。放出媒体は、チューブ、繊維、メッシュ、膜、シート及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、様々な形態をとることができる。放出媒体は、二次元構造、三次元構造又はそれらの組み合わせであることができる。
【0086】
デリバリー装置225又はデリバリーブラダ374の1つ以上の部分は、処理化合物の流れが、デリバリー装置225又はデリバリーブラダ374から、デリバリー装置225又はデリバリーブラダ374の外部の領域への方向に優先的に通過するように構成されうる。例えば、処理化合物は、容器230から放出可能であり(図3Cに示されるように)、ポート190を通って放出媒体(図示せず)を通って、処理リザーバ270の外部の水生環境に流れることができる。同様に、処理化合物は、デリバリーブラダ374から、デリバリーブラダ374と外部封じ込め容器372との間の空間に放出可能である。複数の開口部380を介して外部封じ込め容器に比較的に自由に出入りする水生環境からの水は、放出された処理化合物を希釈し、デリバリーブラダ容器370からそれを運ぶ。
【0087】
デリバリー装置225の適切なポート190は、所望に応じて、拡散ポート、ベントポート又は他のタイプのポートとして構成されうる。ポート(290、390、490)の様々なサイズ及び構成の非限定的な例は図4A~4Eに示されている。ポートは、所望の放出プロファイルに従ってポートを介した処理化合物の放出を制御するために、ポートに操作可能に連携された放出媒体(本明細書に記載されるものなど)を含む。
【0088】
図4Aは、幾つかの実施形態による、ハウジング395、放出媒体330及びシール345を有するポート290の内面291を示す。放出媒体330は、デリバリー装置のポートを介して水生環境への処理化合物のデリバリーを可能にするための少なくとも1つの材料層を含む。放出媒体330は、膜、フィルム、膜及び/又はフィルムの2つ以上の層を有する複合体、又はそれらの組み合わせであることができる。放出媒体330は、幾つかの実施形態におけるハウジングの領域とほぼ同じ領域を含むことができる。さらに、放出媒体330は、1つ以上の材料層を含むことができ、材料層は同じであっても又は異なっていてもよい。ポート290は、ハウジング395の周囲に沿って配置された少なくとも1つの放出ベント365をさらに含む。放出ベント365の位置及び数は、所望の放出プロファイルを達成するために変更されうる。図4Aに示されるポート290は、ポート290をデリバリー装置225に取り付けるためのねじ山385を含むが、他の機械的取り付け方法は考えられ、例えば、溶接、ディスペンスされたガスケット、スナップフィット又は摩擦フィット構成要素、ならびにポート290をデリバリー装置225に接続するための接着剤、グルー、樹脂などを使用する化学的取り付け方法が考えられる。図4Bは、図4Aのポート290の内面291の反対側の外面292を示している。この図では、ハウジング395は、ハウジング395の周囲にわたって等間隔に配置された放出ベント365の配置で示されている。
【0089】
図4Cは、幾つかの実施形態による、ハウジング395、放出媒体330及びシール345を有する別のポート390の内面391を示す。図4Dは、図4Cのポート390の内面391の反対側の外面392を示している。図4Dに示される実施形態において、ポート390の放出ベント365は、外面392上でハウジング395の周囲にわたって配置されている。
【0090】
図4Eは、ハウジング395、放出媒体330及びシール345を有するさらに別のポート490の内面491を示す。ポート490などのより小さなポートはまた、1つ以上の放出ベント365を有することができる。図4Fは、図4Eのポート490の内面491の反対側の外面492を示している。図4E~4Fにおいて、ポート490の放出ベント365は、ハウジング395の中央に配置されている。図4Fに示される実施形態において、ポート490の放出ベントは、その上に、場合により、保護表面カバー492を有する。
【0091】
処理化合物70は、情報化学化合物(semiochemical compound)、抗寄生生物化合物、マスキング化合物、餌付け化合物(baiting compound)及びそれらの組み合わせから選ばれる少なくとも1つである。処理化合物は、淡水、塩水又は汽水で希釈できる。情報化学化合物、抗寄生生物化合物、マスキング化合物、餌付け化合物及びそれらの組み合わせを含む化合物は処理化合物として有用であることができる。幾つかの実施形態において、情報化学化合物は、2-アミノアセトフェノン(2-AA)、4-メチルキナゾリン、抑止剤、マスキング化合物、チオスルホネート、チオスルフィネート、アリシン、アリルスルフィド及びそれらの組み合わせから選ばれる非宿主由来の情報化学物質であることができる。幾つかの実施形態において、餌付け化合物は、限定するわけではないが、イソホロン(isopherone)又はα-イソホロン(α-isopherone)、1-オクテン-3-オール、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、カテリシジン-2(すなわち、サケ調整水に見られる化合物)、トラウト調整水化合物及びそれらの組み合わせを含む、宿主由来の情報化学物質から選ばれることができる。考えられる他の化合物としては、限定するわけではないが、ホルムアルデヒド、有機ホスフェート、トリクロルフォン、マラチオン、ジクロルボス、ホルマリン、アザメチホス、除虫菊、カルバリル、ジフルベンズロン、デルタメトリン、過酸化水素及びそれらの組み合わせから選ばれる抗寄生生物化合物が挙げられる。
【0092】
選ばれた寄生生物もしくは捕食者又はそれらの群を標的とするために、適切な処理化合物を選択することができる。例えば、寄生生物、レオフテイルス属(Lepeophtheirus spp.)及びカリガス属(すなわち、ウオジラミ)には、適切な抑止剤/忌避化合物には、ニンニクに由来する化合物、グルコシノレート(例えば、マスタード)、2-AA(2-アミノアセトフェノン)及び4-メチルキナゾリン、ならびに、ローズマリー、ラベンダー、ヤチヤナギ、クローブ、ナツメグ、シナモン、バジル、月桂樹の葉、タイム、カラマス、カナダ野生ショウガ、タラゴンなどに由来する化合物、及び上記のいずれかの組み合わせを含むことができる。標的寄生生物がウオジラミである幾つかの実施形態において、処理化合物は、2-アミノアセトフェノン(2-AA)、4-メチルキナゾリン、チオスルホネート、チオスルフィネート、アリシン、アリルスルフィド、イソホロン(isopherone)、α-イソホロン(α-isopherone)、1-オクテン-3-オール、6-メチル-5-ヘプテン-2-オン、カテリシジン-2、ホルムアルデヒド、有機ホスフェート、トリクロルフォン、マラチオン、ジクロルボス、ホルマリン、アザメチホス、除虫菊、カルバリル、ジフルベンズロン、デルタメトリン、過酸化水素、ニンニク、グルコシノレート(例、マスタード)、ローズマリー、ラベンダー、ヤチヤナギ、クローブ、ナツメグ、シナモン、バジル、月桂樹の葉、タイム、カラマス、カナダ野生ショウガ、タラゴンから選ばれる少なくとも1つの化合物又は化合物誘導体及びそれらの組み合わせである。
【0093】
ウオジラミはサケの水産養殖において一般的な問題であるが、他の種を含む水産養殖で使用するため、又はウオジラミ以外の寄生生物を標的とするために、適切な処理化合物を同様に選択し、記載された処理リザーバ、システム及び方法に組み込むことができる。例えば、サケの水産養殖に加えて、本明細書に記載の処理リザーバ、システム及び方法は、とりわけ、ナマズ、ティラピア、コイ、タラ、マス、海藻、エビ、二枚貝、カキ、ムール貝及びホタテガイの水産養殖に使用することができる。標的寄生生物としては、限定するわけではないが、原生生物、例えば、アミルウージニウム症渦鞭毛藻(Amyloodinium ocellatum)、イクチオボド症原虫(Ichthyobodo necator)、トリパノソーマ属(Trypanosoma spp.)、トリパノプラスマ属(Trypanoplasma spp.)、パラメーバ属(Paramoeba [= Neoparamoeba] perurans)、アカントアメーバ属(Acanthamoeba)、ネグレリア属(Naegleria)、プロタカントアメーバ属(Protacanthamoeba)、ロゴストマ属(Rhogostoma)、バネラ属(Vannella)、ベルムアメーバ属(Vermamoeba)、トリコジナ属(Trichodina spp.)、ウロネマ属(Uronema spp.)、エピスチリス属(Epistylis spp.)、白点病原虫(Ichthyophthirius multifiliis)、クリプトカルヨンイリタンス(Cryptocaryon irritans)、ペルキンサスマリヌス(Perkinsus marinus)、ボナミアオストレアエ(Bonamia ostreae)、ボナミアエキシチオサ(Bonamia exitiosa)、マルエイリア属(Marteilia spp.)及びアグレガータ属(Aggregata spp.)、ミキソゾラン(myxozoans)、例えば、テトラカプスロイデスブリオサルモナエ(Tetracapsuloides bryosalmonae)、ミクソボルス属(Myxobolus cerebralis)、サイ亜目(Ceratonova [= Ceratomyxa] shasta)、クドア属(Kudoa spp.)、パルビカプスラ属(Parvicapsula spp.)、エンテロミキシム属(Enteromyxum spp.)、スファエロスポラスパリス(Sphaerospora [= Polysporoplasma] sparis)、スファエロスポラスパリダルム(Sphaerospora [= Leptotheca] sparidarum)、カラシウスアウラツス(Carassius auratus)、クロロミクスム属(Chloromyxum spp.)、腸テロハネルス症原虫(Thelohanellus hovorkai)及びヘネグヤ属(Henneguya spp.)、単生目(monogeneans)、例えば、ベネデニアセリオラエ(Benedenia seriolae)、シクリドグルス属(Cichlidogyrus spp.)、ダクチログルス属(Dactylogyrus spp.)、ジプレクタヌムアエクアンス(Diplectanum aequans)、ジプロゾーム属(Diplozoon spp.)、ギロダクチルス属(Gyrodactylus spp.)、ラメロジスクス属(Lamellodiscus spp.)、マイクロコチル属(Microcotyle spp.)、ネオベネデニアメレニ(Neobenedenia melleni)、スパリコチルクリソフリイ(Sparicotyle chrysophrii)及びゼウキサプタセリオラエ(Zeuxapta seriolae)、二生類、例えば、プロソリンクスエピネフェリ(Prosorhynchus epinepheli)、プロソリンクスパシフィクス(Prosorhynchus pacificus)、ヘリコメトラファスシアタ(Helicometra fasciata)、エリレプツルスハマテ(Erilepturus hamate)、トランスベルソトレマパチアレンセ(Transversotrema patialense)、ジジモシスチス属(Didymocystis spp.)、ウニツブロテスチスサルダエ(Unitubulotestis sardae)、サルダサルダ(Sarda sarda)、ジジモシリンドラスシンプレクス(Didymocylindrus simplex)、カツオ(Katsuwonus pelamis)、ガラクトソムム属(Galactosomum spp.)、ステファノストムムテヌエ(Stephanostomum tenue)、カルジコラ属(Cardicola spp.)、ヨーロッパヘダイ(Sparus aurata)、ツナス属(Thunnus spp.)、パラデオンタクリクス属(Paradeontacylix spp.)、セリオラズメリリ(Seriola dumerili)、プセタリウム属(Psettarium spp.)、ボルボホルスダムニフィクス(Bolbophorus damnificus)、チャネルキャットフィッシュ(Ictalurus punctatus)、ジプロストムムスパタセウム(Diplostomum spathaceum)、チロデルフィス属(Tylodelphys spp.)、ポススホジプロストムムクチクラ(Posthhodiplostomum cuticula)、クリプトコチルリングア(Cryptocotyle lingua)、セントロセスツスホルモサヌス(Centrocestus formosanus)、クリノストムム属(Clinostomum spp.)、プロクトエセス属(Proctoeces spp.)、ヒマストラ属(Himashtla spp.)、ステファノストムム属(Stephanostomum spp.)及びミクロファルス属(Microphallus spp.)、条虫類、例えば、ジフロボツリウム属(Diphyllobothrium spp.)、ユーボツリウム属(Eubothrium spp.)、ギルキニアスクアリ(Gilquinia squali)、モノボツリウムワゲネリ(Monobothrium wageneri)、チンカチンカ(Tinca tinca)、トリアエノホルスクラスス(Triaenophorus crassus)、スチゾコチルアケイログナチ(Schyzocotyle [=Bothriocephalus] acheilognathi)、ヘパトキシロントリチウリド(Hepatoxylon trichiurid)、タナスチヌス(Thunnus thynnus)、チロセファルム属(Tylocephalum spp.)、プロテオセファルス属(Proteocephalus spp.)、カウイア属(Khawia spp.)、及び、節足動物、例えば、アルグルスフォリアセウス(Arugulus foliaceus)、エルガシルスシエボルジン(Ergasilus sieboldin)、レヌアエアシプリナセア(Lernaea cyprinacea)、サルミンコラサルモネウス(Salmincola salmoneus)、レペオフテイルスサルモニス(Lepeophtheirus salmonis)、カリグスエロンガツス(Caligus elongatus)、カリグスロゲルクレセイイ(Caligus rogercresseyi)、Lサルモニス(L. salmonis)、レルナエオセラブランチアリス(Lernaeocera branchialis)、ガズスモルフア(Gadus morhua)、レルナントロプスクロエリ(Lernanthropus kroyeri)、レルナントロプスクロエリ(Lernanthropus kroyeri)、ジセントラルクスラブラクス(Dicentrarchus labrax)、ジエルガシルスカサハラ(Diergasilus kasahara)、エルガシルスロブス(Ergasilus lobus)、エルガシルスリザエ(Ergasilus lizae)、アリトロプスチプス(Alitropus typus)、セラトトアグアジカウジイ(Ceratothoa gaudichaudii)、セラトトアオエストロイデス(Ceratothoa oestroides)、C.パラレラ(C. parallela)、シロラナフルビアチリス(Cirolana fluviatilis)、エメタアウドウイニ(Emetha audouini)、ネロシラオルビグニ(Nerocila orbignyi)、ナタトラナボレアリス(Natatolana borealis)、モジオリコラグラシリカウヅス(Modiolicola gracilicaudus)、ミオコラオストレアエ(Myicola ostreae)、ミチリコラインテスチナリス(Mytilicola intestinalis)、ミチリコラオリエンタリス(Mytilicola orientalis)、オストリンコラコエ(Ostrincola koe)、ペクテノフィルスオルナツス(Pectenophilus ornatus)、エドチアドエロジュラドイ(Edotia doellojuradoi)、ネピノテレスノバエゼランジアエ(Nepinnotheres novaezelandiae)及びオルビオネボンニエリ(Orbione bonnieri)が挙げられる。特定の実施形態において、本明細書に記載の処理リザーバ、システム及び方法は、統合された多栄養水産養殖を含む多栄養水産養殖で使用することができる。そのような実施形態において、処理化合物は、互いに近接して養殖又は他の方法で成長している1つ以上の種の1つ以上の寄生生物を標的とするように選択されうる。
【0094】
幾つかの実施形態において、処理化合物は、水溶液又はスラリーに含まれるか、又はさもなければ取り込まれる。水溶液又はスラリー中の処理化合物の濃度は、放出媒体を通した又は放出媒体を横切った処理化合物の効率的な拡散を可能にするように選ばれることができる。他の実施形態において、処理化合物は油であるか、又はエマルジョン中に含まれている。
【0095】
本明細書に開示される処理リザーバを使用して、水産養殖ペン又はサイト又はその近くに処理化合物をデリバリーすることにより、影響を受けた魚の従来の寄生生物処理の必要性を遅延又は防止し、及び/又は、処理間の時間を増加させることができる。処理化合物の一定の制御された放出は、例えば、水産養殖サイトのペンにより通過する他の魚(例えば、野生の魚)へのウオジラミの伝播、又は他の魚からのウオジラミの伝播を低下させることができる。処理化合物は、宿主からのウオジラミなどの寄生生物を混乱させ及び/又は撃退することができる。感染性コペポディッド期のウオジラミは、宿主に付着するまでの生存期間が約3~10日と短いため、宿主の付着及び接合の成功に起因する養殖ペンでのウオジラミの個体数増加を防止又は低減することで制御できる。これにより、従来の抗寄生生物治療における全体的な削減、処理効果の改善、及び/又は、既存の処理方法の効果の維持が可能になる。本明細書で提供される処理化合物の制御放出は、取り扱い及びストレスの低減を通じて魚の死亡率を低下させ、ストレスに起因する疾患の発生を最小限に抑え、単位時間あたり体重増加を増加させることができる。というのは、排除されうるすべての処理飢餓日数は、収穫までのより大きな体重増加及び/又はより速い成長をもたらすからである。
【0096】
放出速度は、約0g/m2/日~約1,000,000g/m2/日、約10g/m2/日~約500,000g/m2/日、約10g/m2/日~約100,000g/m2/日、約10g/m2/日~約50,000g/m2/日、約10g/m2/日~約10,000g/m2/日、約50g/m2/日~約1000g/m2/日、約60g/m2/日~約900g/m2/日、約70g/m2/日~約800g/m2/日、約80g/m2/日~約700g/m2/日、約90g/m2/日~約600g/m2/日、又は約100g/m2/日~約500g/m2/日の範囲であることができる。さらに、放出速度は、約10g/m2/日~約100g/m2/日、約100g/m2/日~約200g/m2/日、約200g/m2/日~約300g/m2/日、約300g/m2/日~約400g/m2/日、約400g/m2/日~約500g/m2/日、約500g/m2/日~約600g/m2/日、約600g/m2/日~約700g/m2/日、約700g/m2/日~約800g/m2/日、約800g/m2/日~約900g/m2/日、又は約900g/m2/日~約1000g/m2/日の範囲であることができる。約0g/m2/日~約1,000,000g/m2/日までの任意の範囲が考えられることが理解されたい。
【0097】
放出媒体は、多孔性、半多孔性、透過性又は半透過性材料から選ばれる少なくとも1つであることができる。放出速度は、選択した放出媒体に固有であることができる。他の例としては、所望の放出プロファイルを達成するために、例えば、ミクロポーラス又は発泡ポリエチレン膜などの多孔質膜を有し、その上に第二のポリエチレン又はポリウレタンなどのコーティングを有する複合材など、材料の複数の層が使用される放出媒体が挙げられ。さらに、放出媒体の厚さ及び多孔性はまた、所望の放出プロファイルを達成するために放出速度を変更するように調整されうる。有効放出プロファイルは、ある期間にわたって放出される水生環境における処理化合物の有効濃度に対応しうる。例えば、放出媒体としてのポリエチレン膜に連携する処理リザーバ又はデリバリーブラダ容器は、約30日、約120日、約300日、約365日、約550日、約730日の時間、有効放出速度での制御された放出を提供することができ、幾つかの実施形態において、その時間は、約30日~約750日又は約120日~約550日である。
【0098】
好ましい放出プロファイルは、例えば、用途及び環境要因に依存し、例えば、放出媒体の透過速度、放出容器内(例えば、放出ブラダ内)の処理化合物の体積、及び、放出容器のサイズ及び形状によって制御することができることが認識されるであろう。特定の用途において、より高い濃度を達成するために、より短い時間でより大きい体積の処理化合物を放出することが望ましいことがあり、一方、他の用途において、より長い期間にわたって安定した(及びより小さい)体積の処理化合物を放出し、長期間にわたって処理化合物の持続的な濃度を達成することが望ましいことがある。短期間にわたる低濃度及び長期間にわたる高濃度も達成することができる。局所的な流れのダイナミクス(例えば、潮汐、潮流など)などの環境要因も、特定の状況での望ましい放出プロファイルに影響を及ぼし、それらが処理化合物の局所濃度にどのように影響を及ぼすかを考慮しなければならない。当業者は、例えば、標的寄生生物のライフサイクル、標的寄生生物に対する標的化合物の有効濃度などによって影響を受ける可能性がある、所与の用途にとって望ましい放出プロファイルを特定することができる。放出プロファイルは、例えば、適切な透過速度を有する放出媒体を選択し、放出媒体の表面積(例えば、放出ブラダの体積及び/又は形状)をサイズ決めし、そして処理化合物の体積を制御することによって制御されうる。
【0099】
図5Aは、幾つかの実施形態による放出媒体430の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真である。図5Aに示される放出媒体430は、厚さt0を有するePTFE膜455である。図5Bは、第一の厚さt1を有する多孔質材料555及び第二の厚さt2を有する半透過性コーティング材料565を含む複合体としての放出媒体530の走査型電子顕微鏡(SEM)顕微鏡写真である。図5Bの放出媒体530の例において、多孔質材料555は、約35μmの厚さを有するePTFE膜であり、半透過性コーティング材料565は、約12μmの厚さを有するポリウレタン(PU)コーティングである。多孔質材料は、5μm未満、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約75μm、約100μm、約150μm又は約200μmの厚さを有することができ、幾つかの実施形態において、多孔質材料は、約5μm~約200μmの厚さを有する。半透過性材料は、5μm未満、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約75μm、約100μm、約150μm又は約200μmの厚さを有することができ、幾つかの実施形態において、半透過性材料は、約5μm~約200μmの厚さを有する。
【0100】
所望の放出プロファイルを提供するために、適切な放出媒体を選択することができる。選択された材料、コーティング、細孔サイズ、疎水性、疎油性及び放出媒体の全体としての表面積を含む要因は放出プロファイルに影響を与えることが認識されるであろう。放出プロファイルはまた、所望の処理化合物に依存し、例えば、処理化合物の表面張力及び粘度によって影響を受ける可能性がある。これらの要因の1つ以上を変更するか又は他の方法で影響を与えると、放出媒体の放出プロファイルに影響を与えるであろう。例えば、選択された材料に応じて、処理化合物は、固体透析膜を通って、放出膜に存在する細孔を通って拡散するか、又は放出膜を濡らしてから反対側に放出することができる。放出媒体のこれらの内因性要因に加えて、潮汐、潮流などの外因性要因は、放出媒体の放出プロファイルにさらに影響を及ぼすであろう。当業者は、本開示の恩恵を受けて、適切な表面積を有する放出媒体を選択して、所望の放出プロファイルを有するデリバリー装置225又はデリバリーブラダ374を製造することができるであろう。
【0101】
図6は、所望の水生領域615(例えば、封じ込めペン115(例えば、図1のペン115)の内部の領域に隣接する領域及び/又はそれを含む領域など)に処理を提供する点源リザーバを示す図である。水生領域615は、水生生物に適した領域を表し、その中に水、塩水又は汽水などの水生環境50を含む周囲P615を有する。周囲P615は、封じ込めサイト110(図示せず)を画定する、より広い領域内にあることができる。水生環境を処理する処理リザーバはまた、図3Fのような処理リザーバ270によって示されるように、封じ込めサイト内及びその周辺に有価な処理化合物をデリバリーする水流をもって、封じ込めペンの外側に配置されうる。上記の処理リザーバと同様に(例えば、図3A~3Eに示されるような処理リザーバ250、260、270及びデリバリーブラダ容器370)、処理リザーバ620は、デリバリー装置625及びその中に処理化合物を含む。処理リザーバ620は、水性領域615と流体的に連携されており、流れ矢印635の方向に、リザーバ620から領域615中の水性環境50に流れる処理化合物70の制御放出のために構成されて、水生領域615中の水生寄生生物の存在を低減する。幾つかの実施形態において、デリバリー装置625は、放出媒体を有するポート、又は、上記のような放出媒体を含むデリバリーブラダを含む。様々な実施形態において、制御放出を容易にする放出媒体は、ePTFEなどのフルオロポリマー、及び/又は、ポリエチレン又はポリウレタンなどの半透過性材料であるが、様々な放出媒体が考えられる。様々な実施形態において、図6に示されるようなリザーバ/水生領域配置は、図3Fに示されるような封じ込めペンのアレイの周囲及び内部に配置された点源リザーバを含むように広げられることができる。
【0102】
図7は、所望の水生領域715(例えば、封じ込めペン115(例えば、図1のペン115)の内部の領域に隣接する領域及び/又はそれを含む領域など)に処理を提供する周囲リザーバを示す上面図である。処理リザーバ720は周囲P720を有する。周囲P720は、封じ込めサイト110(図示せず)を画定する、より広い領域内にあることができる。図7に示される例において、処理リザーバ720は、周囲P715を有する水性領域715を取り囲む。上記の処理リザーバ(例えば、図3A~3Cに示されるような処理リザーバ250、260及び270又は図6の処理リザーバ620)と同様に、処理リザーバ720は、デリバリー装置725及びその中に処理化合物70を含む。処理リザーバ720は、水性領域715と流体的に連携されており、処理リザーバ720から領域715の水生環境50に流れる処理化合物70の制御放出のために構成されて、領域715において水生寄生生物の存在を低減する。幾つかの実施形態において、デリバリー装置725は、上記のような放出媒体を有するポートを含む。幾つかの実施形態において、デリバリー装置725は、デリバリー装置及び処理化合物のように放出媒体と操作可能に連携される。処理リザーバ720に含まれる処理化合物70は溶液であることができ、水、塩水又は汽水などの液体中で希釈可能である。処理化合物70は、図7の流れ矢印735の方向に流れ、処理リザーバ720から領域715への処理化合物の流れを示す。様々な実施形態において、図7に示されるようなリザーバ/水性領域配置は、アレイを取り囲む少なくとも1つの周囲リザーバを有する封じ込めペンのアレイに広げられることができる。
【0103】
図8は、少なくとも1つの実施形態による、水平配向されたリザーバ820として構成された処理リザーバシステム800の斜視図である。水平配向された処理リザーバ820は、水生環境50に水生生物を収容するのに適した1つ以上の封じ込めペン815に近接して及び/又はその周りに構成されうる。図8の例において、封じ込めサイト110(図示せず)は、水平配向された処理リザーバ820及び封じ込めペン815よりも大きい領域を含む。幾つかの実施形態において、処理リザーバ820は、デリバリー装置825及びその中に含まれる処理化合物70と操作可能に連携されている。デリバリー装置825は、1つ以上のポート890をさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、デリバリー装置及び/又は1つ以上のポート890は、上記のようなデリバリー装置及び/又はポートに適した放出媒体から選ばれる材料から形成されている。処理化合物70は、放出媒体、又はポート890又は、図4A~4Fに示されるようなポート290、390及び490内に配置され及び/又はそこから拡散可能である。デリバリー装置825は図8中に示されるようなチューブ又はチュービングを含むことができ、及び/又は、非透過性チューブに固定又は取り付けられた一連の拡散ポート890を含むことができる。チュービングが図8に示されているが、デリバリー装置は任意の適切な構成であることができる。幾つかの実施形態において、デリバリー装置及び/又はポート材料の形態は、膜、ラミネート、複合材、シート、チューブ、繊維、コーティング及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから選ばれる。
【0104】
図9は、少なくとも1つの実施形態による、垂直配向されたリザーバ920として構成された処理リザーバシステム900の斜視図である。垂直配向された処理リザーバ920は、水生環境50に水生生物を収容するのに適した1つ以上の封じ込めペン915に近接して及び/又はその周りに構成されうる。図9の例において、封じ込めサイト110(図示せず)は、垂直配向された処理リザーバ920及び封じ込めペン915よりも大きい領域を含む。実施形態において、処理リザーバ920は、デリバリー装置925及びその中に含まれる処理化合物70と操作可能に連携されている。デリバリー装置925は、1つ以上のポート990をさらに含むことができる。幾つかの実施形態において、デリバリー装置及び/又は1つ以上のポート990は、上記のようなデリバリー装置及び/又はポートに適した放出媒体から選ばれる材料から形成される。処理化合物70は、デリバリー装置925又はいずれかのポート990の放出媒体内に配置され、及び/又はそれを介して拡散可能であり、その放出媒体は、上記のもののいずれかから選ばれる。デリバリー装置925は、図9に示されるようなチューブ又はチュービングを含むことができ、及び/又は、デリバリー装置925の非透過性チューブに固定又は取り付けられた一連の拡散ポート990を含むことができる。チュービングは図9に示されているが、デリバリー装置は、上記のような任意の適切な構成であることができる。
【0105】
図10は、少なくとも1つの実施形態による、別の垂直配向されたリザーバシステム1000の上面図であり、垂直配向された処理リザーバ1020は、水産養殖アンカリングインフラストラクチャに取り付けられ及び/又はオフセットされている。水生環境(例えば、湖又は海などの開放水域)に適した封じ込めサイト110内にあることができる垂直配向された処理リザーバ1020は、幾つかの方法でアンカーを介して固定されうる。処理リザーバ1020は、養殖場支持構造1005に直接取り付けられることができる。あるいは、処理リザーバ1025は、封じ込めペン1015に対して内部又は外部のいずれかで、封じ込めペン1015に直接取り付けられることができる。別の例において、処理リザーバ1030は、捕食者ケージ1040又は他の水産養殖構造に取り付けられることができる。垂直配向された処理リザーバ1020、1025、及び/又は1030は、水生環境50内に水生生物を収容するのに適した1つ以上の封じ込めペン1015の近く及び/又は周囲に構成されうる。処理化合物70は、図1~9に示される又はさもなければ上記に記載のデリバリー装置のいずれかと同様でありうるデリバリー装置内に配置され、又はそれを介して拡散されうる。
【0106】
図11A及び11B-システムの配置及び個別の取り付け
【0107】
図1~11に関連して記載されたものを含む、以前に記載された実施形態のいずれかの特徴は、必要に応じて、互いに組み合わせるか、又は置き換えることができる。図1~11のような実施形態のいずれかにおいて、少なくとも1つの処理リザーバは、本明細書に記載されるような処理リザーバの組み合わせを含むことができる。図1~11のような実施形態のいずれかにおいて、少なくとも1つの処理リザーバは、所望の放出プロファイルに従って処理化合物を制御可能に放出するための放出媒体を含むポートに操作可能に連携されているデリバリー装置を含むことができる。
【0108】
図1~11のような実施形態のいずれかにおいて、処理リザーバは、環境内の時間、環境の温度、環境の塩分又はそれらの組み合わせに基づいて選ばれる処理化合物の放出速度を示すように構成されうる。


表1に記載されている膜は、以下に提供される実験例で使用された。
【表1】
【0109】
延伸ポリテトラフルオロエチレン膜(ePTFE)のNo.1、3及び4は、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の一般教示に従って調製された。ePTFE膜のNo.1は、親水性PVAコーティングをさらに含む。PVAコーティングをePTFEに適用する方法は当該技術分野で知られている(例えば、BesshoらのJP2001000844 A2を参照されたい)。ePTFE膜のNo.4は、ポリウレタンコーティングをさらに含む(Goreらの米国特許第4,194,041号明細書を参照されたい)。ミクロポーラスポリエチレン膜No.2はゲル処理されたポリエチレン膜である。
【実施例
【0110】
実験例1
2mlのオートサンプラーバイアルを処理化合物である情報化学物質のニンニク油で満たした。バイアルをシリコーン/PTFEセプタムスクリュートップで覆った。スクリュートップをバイアルに固定する前に、セプタムを取り外し、表2のようにサンプル1~3に従って膜又は複合フィルムに交換した。サンプル1は多孔質ePTFEの膜(表1の膜No. 3)であった。サンプル2は、図5に示したものと同様の半透過性PUコーティングを備えた多孔質ePTFE膜を含む複合フィルム(表1の膜No.4)であり、多孔質ePTFEがバイアルの内容物に露出されていた。サンプル3は、半透過性PU層及び多孔質PTFE膜層であり、半透過性PU層がバイアルの内容物に露出されていた。
【0111】
バイアルを、400mlのH2Oで満たされた500mlガラス瓶内に配置した。次に、バイアルと該バイアルを取り巻く水を含む瓶を、150rpmで動作するオービタルシェーカテーブル上に置いた。最初に、24時間、及び48時間で水サンプルを採取し、UV分光光度計である米国カリフォルニア州サンタクララのAgilent Cary 60 UV-Vis分光光度計を使用して、水中のニンニク油の濃度を測定した。濃度対時間を、各サンプル1~3についてプロットした。放出速度は表2に示されているデータに基づいて計算した。
【表2】
【0112】
実験例2
側面に0.25インチ(6.35mm)の穴が開けられた10mlのねじ込み式プラスチック容器に、ミクロポーラスのゲル処理ポリエチレン(PE)(表1の膜No.2)、親水性コーティングを備えた多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(表1の膜No.1)、ePTFE(表1の膜No.3)、又は、半透過性PUコーティングを備えたePTFE膜(表1の膜No.4)のブラダを装着し、そしてニンニク油又は2-アミノアセトフェノン(2-AA)のいずれかで充填した。ブラダを容器内に維持し、容器をスクリュートップで密封した。アセンブリを約1.5Lの脱イオン水を含む2Lガラス瓶に入れ、150rpmのシェーカーテーブル上に置いた。様々な時点で水サンプルを回収し、ニンニク油又は2-AAのいずれかの濃度をUV分光法で測定した。透過速度を各膜について計算し、表3に示している。
【0113】
実験例3
【0114】
プラスチックバイアルをニンニク油又は2-AAのいずれかで満たし、メチルセルロース(MEC)(ポールコーポレーション、GN-6メトリセル0.45ミクロン25mm)又はポリエーテルスルホン(PES)(ポールコーポレーション、Supor0.1ミクロン25mmPESディスク)の多孔質膜から形成されたベントを備えた蓋で密封した。バイアルを400mlの脱イオン水で満たされたガラス瓶に入れ、150rpmのシェーカーテーブル上に置いた。さまざまな時点で水サンプルを回収し、ニンニク油又は2-AAのいずれかの濃度をUV分光法で測定した。透過速度を各膜について計算し、表3に示している。
【表3】
【0115】
本出願の発明は、一般的に及び特定の実施形態の両方に関して上記に記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、本発明の変更及び変形を網羅することが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10