(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】オフセット値補償方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/04 20140101AFI20230613BHJP
B23P 23/04 20060101ALI20230613BHJP
B21D 28/24 20060101ALI20230613BHJP
【FI】
B23K26/04
B23P23/04
B21D28/24 Z
(21)【出願番号】P 2021558738
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2020059036
(87)【国際公開番号】W WO2020201245
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102019108388.5
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン エス・エー プルス コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen SE + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, 71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン オッケンフース
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト マティアス
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011088673(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0136626(US,A1)
【文献】特表2000-511827(JP,A)
【文献】特開2006-272539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
B23P 5/00 - 17/06、
23/00 - 25/00
B21D 28/00 - 28/36
G05B 19/402
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状工作物(14)、特に金属シートを加工するためのスタンピング-レーザ複合機(1)におけるスタンピング装置(17)のスタンピング座標とレーザ装置(8)のレーザ座標との間のオフセット値を認識し、補償する方法において:
a.前記スタンピング装置(17)によって、又は前記レーザ装置(8)によって、構造(19)を前記板状加工物(14)に導入するステップと、
b.導入された前記構造(19、25、26)の測定可変値を前記レーザ装置(8)によって、又は前記スタンピング装置(17)によって特定するステップと、
c.前記測定可変値を予想される可変値と比較するステップであって、前記予想可変値からの前記測定可変値の偏差はオフセット値に対応するようなステップと、
d.前記オフセット値を前記レーザ座標系における前記レーザ装置(8)の前記座標と、又は前記スタンピング座標系における前記スタンピング装置(17)の前記座標と釣り合わせて、前記スタンピング座標と前記レーザ座標との間の前記オフセット値を補償するステップと、
を含
み、
ステップa.において、穿孔(19)は前記工作物(14)に前記スタンピング装置(17)又は前記レーザ装置(8)によって導入され、ステップb.において、前記穿孔を明瞭に説明する点、特に前記穿孔の中心点(m)が前記レーザ装置(8)によって、又は前記スタンピング装置(17)によって特定され、ステップc.において、前記特定された中心点(m)の位置が前記中心点の予想位置(m
*
)に対応するか否かを特定するプロセスがあり、前記特定された位置の前記予想位置からの偏差はオフセット値に対応し、ステップd.において、前記特定された中心点(m)の前記予想中心点(m
*
)からの偏差が特定された場合、前記オフセット値を前記レーザ座標系の前記レーザ装置(8)の前記座標と、又は前記スタンピング座標系の前記スタンピング装置(17)の前記座標と釣り合わせることによって前記オフセット値の補償が行われて、前記スタンピング座標と前記レーザ座標との間の前記オフセット値が補償される、
方法。
【請求項2】
前記中心点(m)は、検出光ビームの発出及びそれに基づく透過、発出、又は反射光の検出によって特定される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記穿孔(19)は円形に具現化され、前記中心点は、前記レーザ装置(8)又は前記スタンピング装置(17)に関する前記工作物(14)の十字形変位によって特定され、前記検出光ビームは前記レーザ装置(8)によって、又は前記スタンピング装置(17)によって発出される、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
板状工作物(14)、特に金属シートを加工するためのスタンピング-レーザ複合機(1)におけるスタンピング装置(17)のスタンピング座標とレーザ装置(8)のレーザ座標との間のオフセット値を認識し、補償する方法において:
a.前記スタンピング装置(17)によって、又は前記レーザ装置(8)によって、構造(19)を前記板状加工物(14)に導入するステップと、
b.導入された前記構造(19、25、26)の測定可変値を前記レーザ装置(8)によって、又は前記スタンピング装置(17)によって特定するステップと、
c.前記測定可変値を予想される可変値と比較するステップであって、前記予想可変値からの前記測定可変値の偏差はオフセット値に対応するようなステップと、
d.前記オフセット値を前記レーザ座標系における前記レーザ装置(8)の前記座標と、又は前記スタンピング座標系における前記スタンピング装置(17)の前記座標と釣り合わせて、前記スタンピング座標と前記レーザ座標との間の前記オフセット値を補償するステップと、
を含み、
ステップa.~d.が前記工作物(14)の複数の工作物部分において実行され、前記オフセット値は各工作物部分について特定され、前記オフセット値は、各工作物部分において前記レーザ座標系における前記レーザ装置(8)の前記座標と、又は前記スタンピング座標系における前記スタンピング装置(17)の前記座標と釣り合わせられて、前記それぞれの工作物部分における前記スタンピング座標と前記レーザ座標との間の前記オフセット値が補償される
方法。
【請求項5】
板状工作物(14)、特に金属シートを加工するためのスタンピング-レーザ複合機(1)におけるスタンピング装置(17)のスタンピング座標とレーザ装置(8)のレーザ座標との間のオフセット値を認識し、補償する方法において:
a.前記スタンピング装置(17)及び前記レーザ装置(8)によって、それぞれの構造(25、26)を前記板状加工物(14)に導入するステップと、
b.導入された前記構造(25、26)の測定可変値を前記スタンピング装置(17)によって、又は前記レーザ装置(8)によって特定するステップと、
c.前記測定可変値を予想される可変値と比較するステップであって、前記予想可変値からの前記測定可変値の偏差はオフセット値に対応するようなステップと、
d.前記オフセット値を前記レーザ座標系における前記レーザ装置(8)の前記座標と、又は前記スタンピング座標系における前記スタンピング装置(17)の前記座標と釣り合わせて、前記スタンピング座標と前記レーザ座標との間の前記オフセット値を補償するステップと、
を含
み、
ステップa.において、それぞれの穿孔(25、26)は前記工作物(14)に前記スタンピング装置(17)及び前記レーザ装置(8)によって導入され、ステップb.において、それぞれのケースで、前記穿孔を明瞭に説明する点、特にそれぞれの前記穿孔(25、26)のそれぞれの中心点(m1、m2)が前記レーザ装置(8)によって、又は前記スタンピング装置(17)によって特定され、ステップc.において、前記特定された中心点(m1、m2)の相互に関する位置が前記中心点(m1、m2)の相互に関する予想位置に対応するか否かを特定するプロセスがあり、前記中心点(m1、m2)の相互に関する前記特定された位置の偏差はオフセット値に対応し、ステップd.において、前記特定された中心点(m1、m2)の相互に関する前記特定された位置の前記中心点(m1、m2)の相互に関する前記予想位置からの偏差が特定された場合、前記オフセット値を前記レーザ座標系における前記レーザ装置(8)の前記座標と、又は前記スタンピング座標系における前記スタンピング装置(17)の前記座標と釣り合わせることによって前記オフセット値の補償が行われて、前記スタンピング座標と前記レーザ座標との間の前記オフセット値が補償される、
方法。
【請求項6】
前記それぞれの中心点(m1、m2)は検出光ビームの発出及び、それに基づく透過、発出、又は反射光の検出によって特定される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記穿孔(25、26)は円形に具現化され、前記それぞれの中心点(m1、m2)は、前記レーザ装置(8)又は前記スタンピング装置(17)に関する前記工作物(14)の十字形変位によって特定され、前記検出光ビームは前記レーザ装置(8)によって、又は前記スタンピング装置(17)によって発出される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
板状工作物(14)、特に金属シートを加工するためのスタンピング-レーザ複合機(1)におけるスタンピング装置(17)のスタンピング座標とレーザ装置(8)のレーザ座標との間のオフセット値を認識し、補償する方法において:
a.前記スタンピング装置(17)及び前記レーザ装置(8)によって、それぞれの構造(25、26)を前記板状加工物(14)に導入するステップと、
b.導入された前記構造(25、26)の測定可変値を前記スタンピング装置(17)によって、又は前記レーザ装置(8)によって特定するステップと、
c.前記測定可変値を予想される可変値と比較するステップであって、前記予想可変値からの前記測定可変値の偏差はオフセット値に対応するようなステップと、
d.前記オフセット値を前記レーザ座標系における前記レーザ装置(8)の前記座標と、又は前記スタンピング座標系における前記スタンピング装置(17)の前記座標と釣り合わせて、前記スタンピング座標と前記レーザ座標との間の前記オフセット値を補償するステップと、
を含み、
ステップa.~d.が前記工作物(14)の複数の工作物部分において実行され、前記オフセット値は各工作物部分について特定され、前記オフセット値は、各工作物部分において前記レーザ座標系における前記レーザ装置(8)の前記座標と、又は前記スタンピング座標系における前記スタンピング装置(17)の前記座標と釣り合わせられて、前記それぞれの工作物部分における前記スタンピング座標と前記レーザ座標との間の前記オフセット値が補償される
方法。
【請求項9】
特に板状の工作物(14)、特に金属シートを加工するための加工機械の座標系のオフセット値を認識し、補償する方法において:
a.前記工作物(14)の長さ及び/又は幅を測定するステップと、
b.前記加工機械によって前記工作物(14)を加工し、加工が進行した後に、前記工作物(14)の長さ及び/又は幅を前記加工機械によって再び特定するステップと、
c.前記特定された長さ及び/又は幅の予想される長さ及び/又は幅からの偏差を特定するステップであって、前記特定された長さ及び/又は幅の前記予想される長さ及び/又は幅からの偏差がオフセット値に対応するようなステップと、
d.前記オフセット値を前記加工機械の前記座標系における座標と釣り合わせて、前記オフセット値を補償するステップと、
を含
み、
ステップb.で部分的長さ(l
2
)及び/又は部分的幅のみが特定され、ステップc.で前記特定された部分的長さ(l
2
)及び/又は部分的幅の予想される部分的長さ(l
2
*
)及び/又は部分的幅からの偏差が特定される
方法。
【請求項10】
特に板状の工作物(14)、特に金属シートを加工するための加工機械の座標系のオフセット値を認識し、補償する方法において:
a.前記工作物(14)の長さ及び/又は幅を測定するステップと、
b.前記加工機械によって前記工作物(14)を加工し、加工が進行した後に、前記工作物(14)の長さ及び/又は幅を前記加工機械によって再び特定するステップと、
c.前記特定された長さ及び/又は幅の予想される長さ及び/又は幅からの偏差を特定するステップであって、前記特定された長さ及び/又は幅の前記予想される長さ及び/又は幅からの偏差がオフセット値に対応するようなステップと、
d.前記オフセット値を前記加工機械の前記座標系における座標と釣り合わせて、前記オフセット値を補償するステップと、
を含み、
前記加工機械はスタンピング又はレーザ加工機械として具現化される
、方法。
【請求項11】
特に板状の工作物(14)、特に金属シートを加工するための加工機械の座標系のオフセット値を認識し、補償する方法において:
a.前記工作物(14)の長さ及び/又は幅を測定するステップと、
b.前記加工機械によって前記工作物(14)を加工し、加工が進行した後に、前記工作物(14)の長さ及び/又は幅を前記加工機械によって再び特定するステップと、
c.前記特定された長さ及び/又は幅の予想される長さ及び/又は幅からの偏差を特定するステップであって、前記特定された長さ及び/又は幅の前記予想される長さ及び/又は幅からの偏差がオフセット値に対応するようなステップと、
d.前記オフセット値を前記加工機械の前記座標系における座標と釣り合わせて、前記オフセット値を補償するステップと、
を含み、
前記加工機械はスタンピング-レーザ複合機として具現化され、レーザ座標系におけるレーザ装置(8)の座標及び/又はスタンピング座標系におけるスタンピング装置(17)の座標が前記特定されたオフセット値と釣り合わされて、前記オフセット値が補償される
、方法。
【請求項12】
請求項1~
8の何れか1項に記載の方法を実行するように具現化され、構成された制御装置(3)。
【請求項13】
請求項
12に記載の制御装置を含むスタンピング-レーザ複合機(1)。
【請求項14】
請求項
9~
11の何れか1項に記載の方法を実行するように具現化され、構成された制御装置(3)。
【請求項15】
請求項
14に記載の制御装置を含む加工機械、特にスタンピング-レーザ複合機(1)、レーザ装置、又はスタンピング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタンピング-レーザ複合機におけるスタンピング装置のスタンピング座標とレーザ装置のレーザ座標との間のオフセット値を認識し、補償する方法に関する。本発明はまた、関連する制御装置及び関連するスタンピング-レーザ複合機にも関する。本発明はさらに、工作物を加工するための加工機械の座標系のオフセット値を認識し、補償するための関連する方法、関連する制御装置、及び関連する加工機械にも関する。
【背景技術】
【0002】
スタンピング-レーザ複合機は、近年、特に板状工作物、特に金属シートを効率的に加工するうえで好結果を収めることが判明している。この場合、スタンピング-レーザ機は、スタンピング加工の利点とレーザ加工の利点を組み合わせることができる。これに関して、例えば、標準的な輪郭及び/又は整形、例えばタブやねじ山をスタンピング装置のスタンピングヘッドによって加工できる。他方で、例えば高品質の外側輪郭及び/又はフィルグリを施した内側輪郭をレーザ装置のレーザビームによりカットできる。スタンピング-レーザ機は、特にシート金属加工に使用される。この場合にスタンピング加工へのレーザ加工の正確な割当を確実にするために、スタンピング-レーザ複合機においては、スタンピング-レーザオフセットを機械のオペレータが手作業で特定し、その後、機械のオペレータが手作業での調整によってそれを補償する。これは比較的複雑で、エラーが生じやすい。
【0003】
この場合、スタンピング-レーザ機のスタンピング-レーザオフセットは、機械によって異なる可能性があり、また、使用時間に応じて様々な理由により変化する可能性がある。これは、機械の要素の寸法公差、機械装置の熱膨張、衝突、様々な切削ヘッドの寸法公差、経年劣化、及び加工時間を経た被加工工作物の熱膨張の可能性により、特にレーザ放射からの入熱による。
【0004】
特に板状の工作物を加工するための他の加工機械においても、加工機械の座標系のオフセットは、例えば加工時間を経た被加工工作物の熱膨張により、特に加工中の入熱により、又は加工中の機械的変形により生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第2010 028 179 A1号明細書
【文献】欧州特許第2 878 393 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は加工機械内のオフセット値の単純で信頼性の高い特定及び補償を可能にすることを実現するという目的に基づく。
【0007】
特に、本発明はスタンピング-レーザ機においてスタンピング-レーザオフセット値の、より単純でより信頼性の高い特定及び補償を可能にすることを確実にするという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、まず、特許請求項1の特徴を有する方法によって達成される。
【0009】
したがって、提案されるものは、板状工作物、特に金属シートを加工するためのスタンピング-レーザ複合機におけるスタンピング装置のスタンピング座標とレーザ装置のレーザ座標との間のオフセット値を認識し、補償する方法であり、この方法は:
a.スタンピング装置によって、又はレーザ装置によって、構造を板状加工物中に導入するステップと、
b.導入された構造の測定可変値をレーザ装置によって、又はスタンピング装置によって特定するステップと、
c.測定可変値を予想される可変値と比較するステップであって、測定可変値の予想可変値からの偏差はオフセット値に対応するようなステップと、
d.オフセット値をレーザ座標系におけるレーザ装置の座標と、又はスタンピング座標系におけるスタンピング装置の座標と釣り合わせて、スタンピング座標とレーザ座標との間のオフセット値を補償するステップと、
を含む。
【0010】
スタンピング-レーザ複合機はそれゆえ、スタンピング装置とレーザ装置を含む。本発明によれば、構造はスタンピング装置によって、又はレーザ装置によって工作物中に導入される。構造はそれゆえ、スタンピング又はレーザ処理の何れかによって導入される。
【0011】
測定可変値は次に、それぞれのもう一方の装置によって、すなわちレーザ装置によって、又はスタンピング装置によって特定される。前記測定可変値はすると、予想可変値と比較される。実際に測定された可変値、すなわち測定可変値が予想可変値から逸脱する場合、この偏差はレーザ座標系におけるレーザ座標とスタンピング座標系におけるスタンピング座標との間のオフセット値に対応する。
【0012】
この場合、レーザ座標系内及びスタンピング座標系内の座標は、既知のオフセット値によってすでに相互に関して補償されているかもしれない。したがって、この方法により特定されるオフセット値は、現在の設定済みオフセット値のエラーと呼ぶこともでき、レーザ座標系内のレーザ装置の座標又はスタンピング座標系内のスタンピング装置の座標はすると、前記エラーによって補償できる。換言すれば、特定されたオフセット値はレーザ及びスタンピング座標間の既知の設定済みオフセットがレーザ及びスタンピング座標間の実際のオフセットから逸脱する偏差を表す。
【0013】
この場合、スタンピング座標系内のスタンピング座標は、工作物上の、構造がスタンピング装置によって工作物内に打ち抜き加工される予定のプログラムされた位置(座標系内のX及びY位置)である。レーザ座標は、工作物上の、構造が工作物内にレーザ装置を用いたレーザ処理によって、特に切削によって導入される予定の相応にプログラムされた位置(座標系内のX及びY位置)である。
【0014】
スタンピング装置とレーザ装置との間又は、それに対応して工作物上のスタンピング加工と工作物上のレーザ加工との間にオフセット値がない場合、スタンピング座標系とレーザ座標系は同じ原点を有するか、又は、特に原点が既知の正しいオフセット値だけ相互に関して正確な範囲まで変位される。
【0015】
すでに説明したように、オフセット値はスタンピングレーザ機のスタンピング装置とレーザ装置との間に通常存在する。それに対応して、スタンピング加工とレーザ加工との間にオフセット値が通常存在する。この場合、前記オフセット値は、機械ごとに異なる可能性があり、特に使用期間に応じて変化する可能性がある。これは、例えば機械の要素の製作公差によって、機械装置の熱膨張によって、衝突によって、様々な切削ヘッドの製作公差によって、経年劣化によって、又はその加工中の工作物の熱膨張によっても引き起こされるかもしれない。本発明によれば、前記オフセット値は自動的に特定し、(再)補正できるようになっている。この場合、レーザ座標内の、構造が工作物の中にレーザによって導入される予定の、当初プログラムされた位置はオフセット値により補正される。代替的に、スタンピング座標内の、構造が工作物内にスタンピング装置によって導入される予定の当初プログラムされた位置もまた、オフセット値により補正できる。全体として、オフセット値の手作業による特定及び補正と比較して、オフセット値を格段により素早く、より簡単に特定し、補正することができ、エラーもより生じにくい。さらに、より迅速な特定プロセスによって、オフセット値の特定及び場合によって行われる補正は、比較的頻繁に実行でき、そうする中で関連する方法でのスタンピング-レーザ機の加工の効率に不利な影響を与えない。
【0016】
本発明の1つの有利な発展型は、ステップa.において、スタンピング装置又はレーザ装置によって工作物中に穿孔が導入され、ステップb.において穿孔を明瞭に説明する点、特に穿孔の中心点がレーザ装置によって、又はスタンピング装置によってそれぞれ特定され、ステップc.において、特定された中心点の位置が中心点の予想位置に対応するか否かを特定するプロセスがあり、特定された位置の予想位置からの偏差がオフセット値に対応し、ステップd.において、実際の中心点の予想中心点からの偏差が特定された場合、オフセット値の補償は、オフセット値をレーザ座標系内のレーザ装置の座標又はスタンピング座標系内のスタンピング装置の座標と釣り合わせてスタンピング座標とレーザ座標との間のオフセット値を補償することによって実行されるようにする。
【0017】
この場合、構造はそれゆえ、穿孔として具現化される。測定可変数はそれに対応して、穿孔の中心点である。この場合、特に、穿孔がスタンピング装置によって打ち抜き加工され、その後、穿孔の実際の中心点がレーザ装置によって特定されることが想定される。しかしながら、反対の場合もまた想定できる。
【0018】
すると、中心点の実際の位置が予測され、プログラムされた位置に対応するか否かを特定することができる。この場合、偏差はオフセット値に対応し、レーザ座標系におけるレーザ装置の座標はすると、前記オフセット値により補償できる。
【0019】
本発明の別の有利な構成は、中心点が検出光ビームの発出及びそれに基づく発出又は反射光それぞれの検出によって特定されるようにする。
【0020】
これは、オフセット値を特定し、補正するための特に簡単な方法を構成する。中心点はしたがって、光学測定方法によって特定される。この場合、検出光ビームは特に工作物へと放出されるレーザ光ビームとすることができる。それに基づいて、工作物の発出加工光、すなわち入射レーザ放射による高温の工作物からの光の発出を検出することが可能となる。追加的又は代替的に、反射レーザ放射を特定することも可能である。検出光ビームがこの場合に工作物自体に入射するかぎり、工作物の発出又は反射光によって比較的強い検出光信を検出することが可能である。それに対して、穿孔に到達すると検出された信号の強度が弱まるが、これは、検出光ビームが穿孔を通って放出されるからである。反対の伝搬方向、すなわち穿孔から始まり、工作物に向かう移動方向においては、反対の状況が優勢となる。当初は、まったく信号が検出されないか、又は非常に小さい信号しか検出されない。しかしながら、工作物に検出光ビームが到達した途端に、顕著な信号が検出される。このようにして、穿孔の中心点は特に簡単に特定できる。この場合に中心点がレーザ装置によって特定されると、本来は工作物の加工に使用されるレーザビームがこの場合に対応する検出光ビームを生成できる。このような検出装置はこれまでに、例えば特許文献1から知られており、その開示内容の全体を本願に援用する。
【0021】
代替的に、検出ビームが発出され、それが工作物の下の反射板により反射されることが想定される。工作物が前記ビームを遮る瞬間に、工作物の縁辺に到達したことになる。
【0022】
このような反射光バリア構成の場合、レーザ光はこのように、ビームが工作物の材料に衝突しない間は穿孔領域内で反射板を介して反射して戻される。それに対して、ビームが工作物に到達した途端に、ビームが遮られ、工作物の縁辺が認識されたことになる。
【0023】
最後に、工作物の下のフォトダイオードを利用して、透過したレーザ光を検出することも想定される。レーザビームが工作物内の穿孔を通って光っている間に、工作物の下のフォトダイオードがレーザ放射を測定する。レーザビームが工作物の縁辺に接触して遮られると、金属シートの下のフォトダイオードにより測定される信号も低下する。
【0024】
中心点がスタンピング装置によって特定される場合、スタンピングヘッド上に提供される反射光バリア又はスタンピングヘッド上の穴あけ破断モニタリングセンサをそれぞれこの目的のために使用できる。反射光バリアによって、又は穴あけ破断モニタリングセンサによって、それ以外に、打ち抜き構造が実質的に工作物から取り外されたか否かを特定することができる。反射光バリア又は穴あけ破断モニタリングセンサは特に、レーザビームを生成することもでき、反射又は発出検出光放射を検出して、中心点を特定できる。このような装置はすでに例えば特許文献2から知られており、その開示内容の全体も同様に同時に本願に援用する。この場合も、工作物の加工光、工作物の下の反射板から反射された光、又は工作物の下のフォトダイオードの信号の何れかを使って中心点を特定できる。
【0025】
この点で有利なのは、特に穿孔が円形に具現化される場合である。この場合、中心点はレーザ装置又はスタンピング装置に関する工作物の十字形の変位によって特定できる。さらに、検出光ビームは、レーザ装置によって、又はスタンピング装置によって発出できる。このようにして、中心点は特に簡単な方法で特定できる。この場合に工作物をレーザ装置又はスタンピング装置に関して変位させるために、工作物又はレーザ装置若しくはスタンピング装置の何れかのみを移動させることが可能である。しかしながら、工作物とレーザ装置又はスタンピング装置の両方を、例えば90度ずれた2つの軸に沿って移動させることによって、相対的変位を提供することも想定される。一部のスタンピング-レーザ機は冗長な軸を有し、それによってレーザヘッドが小さい領域内で(非常に動的に)変位可能となり、それによってレーザ装置を工作物に関して変位させることができる。
【0026】
この方法は、次のように実行することも想定される:まず、穿孔が工作物に打ち抜き加工される。次に工作物がレーザ装置に関して変位され、それによって検出レーザビームが導入された穿孔を通じて放射する。検出レーザビームはすると、第一の直線に沿って、穿孔の縁辺に到達するまで工作物に関して変位される。その後、レーザビームは再び前記第一の直線に沿って反対方向に、反対側の縁辺に到達するまで変位させることができる。その後、レーザビームは90度ずらして第二の直線に沿って縁辺に再び到達するまで変位させ、最後に第二の直線に沿って反対方向にそれに関して反対側の縁辺に到達するまで変位させることができる。その結果、全体として十字形の変位が行われ、このようにして穿孔の中心点を特定できる。
【0027】
代替的に、変位はスタンピング-レーザ機の主軸に関して対角線の方向に1回のみ行い、そのようにして実際の中心点を特定することができる。
【0028】
本発明によるステップa.~d.が工作物の複数の工作物部分において実行されれば特に好ましく、オフセット値は各工作物部分において特定され、オフセット値は各工作物部分内でレーザ座標系におけるレーザ装置の座標と釣り合わされて、それぞれの工作物部分におけるスタンピング座標とレーザ座標との間のオフセット値が補償される。工作物はこのようにして少なくとも2つの工作物部分に、ただし特に多数の工作物部分に細分できる。この場合、工作物部分は特に規則的に配置し、同じ大きさとすることができる。スタンピング-レーザオフセット値は工作物全体を通じて変化することが想定される。各工作物部分においてオフセット値を特定することにより、工作物のはるかにより正確な加工を行うことが可能となり、これは対応する工作物部分の対応する局所的オフセット値がその工作物部分の対応する加工中に記憶され、保存され、補正されることによる。
【0029】
さらに、オフセット値が特定された工作物部分間の領域で、それぞれ特定されたオフセット値間の補間を行い、それゆえ、特に加工対象の各領域において、特に正確なオフセット補償を達成し、しかもこの方法においては比較的高い経済レベルを達成することが可能であろう。
【0030】
さらに、板状工作物、特に金属シートを加工するためのスタンピング-レーザ複合機におけるスタンピング装置のスタンピング座標とレーザ装置のレーザ座標との間のオフセット値を認識し、補償する方法が提案され、この方法は:
a.それぞれの構造を板状工作物中にスタンピング装置によって、及びレーザ装置によって導入するステップと、
b.導入された構造の測定可変値をスタンピング装置によって、又はレーザ装置によって特定するステップと、
c.測定可変値を予想可変値と比較するステップであって、測定可変値の予想可変値からの偏差がオフセット値に対応するようなステップと、
d.オフセット値をレーザ座標系内の座標と釣り合わせて、スタンピング座標とレーザ座標との間のオフセット値を補償するステップと
を含む。
【0031】
この提案によれば、したがって、スタンピング装置とレーザ装置の両方を使って構造が板状工作物内に導入される。構造の測定可変値はすると、スタンピング装置によって、又は特にレーザ装置によって特定できる。これに基づき、実際の測定可変値を予想測定可変値と比較でき、偏差はオフセット値に対応し、オフセット値をレーザ座標における座標と釣り合わせて、オフセット値を補償することができる。これは、オフセット値の特定が比較的迅速且つ簡単に実行できることも意味している。これは、この場合、それぞれの構造がスタンピング装置とレーザ装置によって導入され、それによってこのように導入されるスタンピング加工をレーザ加工と比較できることによって実現される。オフセット値の特定はここで、この場合は特にスタンピング装置によって行うことができる。
【0032】
さらに、ステップa.においてそれぞれの穿孔が工作物にスタンピング装置によって、及びレーザ装置によって導入されれば特に好ましく、この場合、ステップb.ではそれぞれのケースで、穿孔を明瞭に説明する中心点、特にそれぞれの穿孔のそれそれの中心点がレーザ装置によって、又はスタンピング装置によって特定され、ステップc.では特定された中心点の相互に関する位置が中心点の相互に関する予想位置に対応するか否かを特定するプロセスがあり、中心点の相互に関する特定された位置の偏差はオフセット値に対応し、ステップd.において、特定された中心点の相互に関する実際の位置の、中心点の相互に関する予想位置からの偏差が特定された場合、オフセット値の補償が、オフセット値をレーザ座標系におけるレーザ装置の座標と釣り合わせて、スタンピング座標とレーザ座標との間のオフセット値を補償することによって行われる。したがって、まず、2つの穿孔を工作物中に導入できる。すると、中心点を特定でき、中心点の相互に関する実際の位置を中心点の相互に関する予想位置と比較できる。この場合、偏差は、レーザ座標系又はスタンピング座標系における座標が最終的に補正できるオフセット値に対応する。
【0033】
有利な点として、それぞれの中心点は検出光ビームの発出と、それに基づく発出又は反射光の検出によって特定される。これは、オフセット値を特定し、補正するための特に簡単な方法を構成する。それぞれの中心点はしたがって、光学的測定方法によって特定される。この場合、検出光ビームは特に、工作物へと放射されるレーザ光ビームとすることができる。それに基づき、工作物の発出加工光、すなわち入射レーザ放射による高温の工作物からの光の発出を検出することが可能となる。追加的又は代替的に、反射レーザ放射を特定することも可能である。この場合に検出光ビームが工作物自体に入射するかぎり、工作物の発出又は反射光により比較的強い検出光信号を検出することができる。これに対して、穿孔に到達した途端に、検出信号の強度は弱まるが、これは検出光ビームが穿孔を通って放射されるからである。反対の伝搬方向、すなわち穿孔から始まり、工作物に向かう移動方向では、それに対応する反対の状況が優勢となる。当初は信号が全く検出されないか、非常に小さい信号しか検出されない。しかしながら、工作物に検出光ビームが到達した途端に、顕著な信号が検出される。
【0034】
このように、穿孔の中心点は特に簡単に特定できる。この場合に中心点がレーザ装置により特定される場合、本来は工作物の加工に使用されるレーザビームはこの場合に対応する検出光ビームを生成できる。このような検出装置は例えば特許文献1からすでに知られており、その開示内容の全体を本願に援用する。
【0035】
代替的に、検出ビームが発出され、それが工作物の下の反射板により反射されることが想定される。工作物が前記ビームを遮る瞬間に、工作物の縁辺に到達したことになる。
【0036】
このような反射光バリア構成の場合、レーザ光はこのように、ビームが工作物の材料に衝突しない間は穿孔領域内で反射板を介して反射して戻される。それに対して、ビームが工作物に到達した途端に、ビームが遮られ、工作物の縁辺が認識されたことになる。
【0037】
最後に、工作物の下のフォトダイオードを利用して、透過したレーザ光を検出することも想定される。レーザビームが工作物内の穿孔を通って光っている間に、工作物の下のフォトダイオードがレーザ放射を測定する。レーザビームが工作物の縁辺に接触して遮られると、金属シートの下のフォトダイオードにより測定される信号も低下する。
【0038】
中心点がスタンピング装置によって特定される場合、スタンピングヘッド上に提供される反射光バリア又はスタンピングヘッド上の穴あけ破断モニタリングセンサをこの目的のために使用できる。反射光バリアによって、又は穴あけ破断モニタリングセンサによってそれぞれ、打ち抜き構造が実質的に工作物から取り外されたか否かをさもなければ特定することができる。反射光バリア又は穴あけ破断モニタリングセンサは特に、レーザビームを生成することもでき、反射又は発出検出光放射をそれぞれ検出して、中心点を特定できる。このような装置はすでに例えば特許文献2から知られており、その開示内容の全体も同様に同時に本願に援用する。この場合も、工作物の加工光、工作物の下の反射板から反射された光、又は工作物の下のフォトダイオードの信号の何れも縁辺の特定に使用できる。
【0039】
好ましくは、穿孔は円形に具現化される。この場合、それぞれの中心点はレーザ装置又はスタンピング装置に関する工作物の十字形の変位によって特定できる。さらに、検出光ビームは、レーザ装置によって、又はスタンピング装置によって発出できる。
【0040】
このようにして、それぞれの中心点は特に簡単な方法で特定できる。この場合に工作物をレーザ装置又はスタンピング装置に関して変位させるために、工作物又はレーザ装置若しくはスタンピング装置の何れかのみを移動させることが可能である。しかしながら、工作物とレーザ装置又はスタンピング装置の両方を、例えば90度ずれた2つの軸に沿って移動させることによって、相対的変位を提供することも想定される。一部のスタンピング-レーザ機は冗長な軸を有し、レーザヘッドが小さい領域内で(非常に動的に)変位可能となり、それによってレーザ装置を工作物に関して変位させることもできると想定される。
【0041】
代替的に、変位はスタンピング-レーザ機の主軸に関して対角線の方向に1回のみ行い、そのようにして実際の中心点を特定することができる。
【0042】
本発明の特に好ましい発展型は、本発明によるステップa.~d.が工作物の複数の工作物部分において実行されることから得られ、オフセット値は各工作物部分について特定され、オフセット値は各工作物部分において特定され、オフセット値は各工作物部分内でレーザ座標系におけるレーザ装置の座標と釣り合わされて、それぞれの工作物部分におけるスタンピング座標とレーザ座標との間のオフセット値が補償される。工作物はこのようにして少なくとも2つの工作物部分に、ただし特に多数の工作物部分に細分できる。この場合、工作物部分は特に規則的に配置し、同じ大きさとすることができる。スタンピング-レーザオフセット値は工作物全体を通じて変化することが想定される。各工作物部分においてオフセット値を特定することにより、工作物のはるかにより正確な加工を行うことが可能となり、これは対応する工作物部分の対応する局所的オフセット値がその工作物部分の対応する加工中に記憶され、保存され、補正されることによる。
【0043】
さらに、オフセット値が特定された工作物部分間の領域で、それぞれ特定されたオフセット値間の補間を行い、それゆえ、特に加工対象の各領域において、特に正確なオフセット補償を達成し、しかもこの方法においては比較的高い経済レベルを達成することが可能であろう。
【0044】
本発明の基礎となる目的は、本発明による上述の方法を実行するように具現化され、構成された制御装置によっても達成される。
【0045】
最後に、本発明の基礎となる目的は、本発明による上述の制御装置を含むスタンピング-レーザ複合機によっても達成される。
【0046】
さらに、板状工作物、特に金属シートを加工するための加工機械における座標系のオフセット値を認識し、補償する方法が提案され、この方法は:
a.構造を工作物(14)内に加工機械によって導入し、加工機械の座標系における導入された構造の位置を加工機械によって特定するステップと、
b.工作物を加工機械によって加工し、加工が進行した後、加工機械の座標系における導入された構造の位置を加工機械によって再度特定するステップと、
c.特定された位置を予想位置と比較するステップであって、特定された位置の予想位置からの偏差はオフセット値に対応するようなステップと、
d.オフセット値を加工機械の座標系における座標と釣り合わせて、オフセット値を補償するステップと、
を含む。
【0047】
この場合、オフセット値は加工機械による工作物の加工プロセス中の加工機械の座標系における導入された構造の位置の変化に対応する。この場合、位置の変化は特に、加工プロセス中の熱膨張又は加工プロセス中の機械的変形によるかもしれない。
【0048】
それゆえ、位置変化の補償には、すでに導入された加工と共に、例えば、工作物のその後の加工中の導入された熱及び/又は機械的変形の結果としての工作物の性質の変化を考慮することが含まれる。この方法によるオフセット測定及び補償の後の加工の座標はそれゆえ、オフセット値により補正される。全体として、すでに導入された加工と今後導入されるさらなる加工との間のオフセット値を補償することができる。
【0049】
構造は、特に穿孔として具現化できる。さらに、穿孔の中心点の実際の位置は穿孔の中心点の予想位置と比較できる。中心点はここでも、他の提案に関して前述したものと同様にして特定できる:したがって、中心点は検出光ビームの発出及びそれに基づく工作物の発出又は反射光の検出によって特定できる。
【0050】
これは、オフセット値を特定し、補正するための特に簡単な方法を構成する。中心点はしたがって、光学的測定方法によって特定される。この場合、検出光ビームは特に、加工機械により発出され、工作物へと放射されるレーザ光ビームとすることができる。それに基づき、工作物の発出加工光、すなわち入射レーザ放射による高温の工作物からの光の発出を検出することが可能となる。追加的又は代替的に、反射レーザ放射を特定することも可能である。この場合に検出光ビームが工作物自体に入射するかぎり、工作物の発出又は反射光により比較的強い検出光信号をそれぞれ検出することができる。これに対して、穿孔に到達した途端に、検出信号の強度は弱まるが、これは検出光ビームが穿孔を通って放射されるからである。反対の伝搬方向、すなわち穿孔から始まり、工作物に向かう移動方向では、それに対応する反対の状況が優勢となる。当初は信号が全く検出されないか、非常に小さい信号しか検出されない。しかしながら、工作物に検出光ビームが到達した途端に、顕著な信号が検出される。このようにして、穿孔の中心点は特に簡単に特定できる。この場合に中心点がレーザ装置により特定される場合、本来は工作物の加工に使用されるレーザビームはこの場合に対応する検出光ビームを生成できる。このような検出装置は例えば特許文献1からすでに知られており、その開示内容の全体を本願に援用する。
【0051】
代替的に、検出ビームが発出され、それが工作物の下の反射板により反射されることが想定される。工作物が前記ビームを遮る瞬間に、工作物の縁辺に到達したことになる。
【0052】
このような反射光バリア構成の場合、レーザ光はこのように、ビームが工作物の材料に衝突しない間は穿孔領域内で反射板を介して反射して戻される。それに対して、ビームが工作物に到達した途端に、ビームが遮られ、工作物の縁辺が認識されたことになる。
【0053】
最後に、工作物の下のフォトダイオードを利用して、透過したレーザ光を検出することも想定される。レーザビームが工作物内の穿孔を通って光っている間に、工作物の下のフォトダイオードがレーザ放射を測定する。レーザビームが工作物の縁辺に接触して遮られると、金属シートの下のフォトダイオードにより測定される信号も低下する。
【0054】
この点で有利なのは、特に穿孔が円形に具現化される場合である。この場合、中心点は加工機械に関する工作物の十字形の変位によって特定できる。さらに、検出光ビームは加工機械によって発出できる。このようにして、中心点は特に簡単な方法で特定できる。この場合に工作物を加工機械に関して変位させるために、工作物又は加工機械の何れかのみを移動させることが可能である。しかしながら、工作物と加工機械の両方を、例えば90度ずれた2つの軸に沿って移動させることによって、相対的変位を提供することも想定される。
【0055】
この方法は、次のように実行することも想定される:加工が進行した後、工作物を加工機械に関して変位させることができ、それによって検出レーザビームは導入された穿孔を通って放射される。検出レーザビームはすると、第一の直線に沿って穿孔の縁辺に到達するまで工作物に関して変位される。その後、レーザビームは再び前記第一の直線に沿って反対方向に、反対側の縁辺に到達するまで変位させることができる。その後、レーザビームは90°ずらして第二の直線に沿って再び縁辺に到達するまで変位させ、その後、最後に第二の直線に沿って反対方向に、それに関して反対側の縁辺に到達するまで変位させることができる。その結果、全体として十字形の変位が行われ、穿孔の中心点をこのようにして特定できる。
【0056】
代替的に、変位は加工機械の主軸に関して対角線の方向に1回のみ行い、そのようにして実際の中心点を特定することができる。
【0057】
加工機械をスタンピング又はレーザ加工機械として具現化することが想定される。スタンピング機械の場合、特に工作物の加工時間にわたり機械的変形が起こるかもしれず、前記機械的変形の結果、本発明により補正されるオフセット値が生じる。
【0058】
レーザ機械の場合、特に工作物の加工時間にわたり、導入される熱による熱膨張が起こるかもしれず、前記熱膨張の結果、本発明により補正されるオフセット値が生じる。
【0059】
有利な点として、加工機械はスタンピング-レーザ複合機として具現化され、レーザ座標系におけるレーザ装置の座標及び/又はスタンピング座標系におけるスタンピング装置の座標が特定されたオフセット値と釣り合わされて、オフセット値が補償される。したがって、特に例えば熱膨張又は機械的変形による工作物の性質の変化によるオフセット値を補償できる。
【0060】
これには以下の背景がある:工作物、例えば金属シートの場合、まずスタンピング加工が通常通りに実行される。次に、レーザ加工が通常通りに実行される。例えば、スタンピング加工を含む個々の部品は、レーザによって連続的に切り抜かれる。レーザ加工中に工作物に導入される熱によって工作物の熱膨張が起こる場合がある。加工時間にわたり、その結果として工作物が熱膨張し、それゆえ、工作物に導入された構造の実際の位置が予想位置から偏位するオフセット値が生じる。その後のレーザ加工のためのレーザ座標系におけるレーザ座標は、前記オフセット値により補正できる。特にさらにまた別のスタンピング加工が工作物に導入される場合でも、スタンピング座標系におけるスタンピング座標もこのオフセット値により補償されるということも想定される。
【0061】
本発明の1つの特に好ましい発展型は、本発明によるステップa.~d.が工作物の複数の工作物部分において実行されることから得られ、オフセット値は各工作物部分について特定され、オフセット値は各工作物部分における工作機械の座標と釣り合わされて、それぞれの工作物部分においてオフセット値が補償される。工作物はそれゆえ、少なくとも2つの工作物部分、ただし特に多数の工作物部分に細分できる。この場合、工作物部分は特に規則的に配置され、同じ大きさとすることができる。オフセット値は工作物全体にわたり変化することが想定される。各工作物部分でオフセット値を特定することによって、工作物のはるかにより正確な加工を行うことができ、これは対応する工作物部分における対応する局所的なオフセット値が工作物部分の対応する加工中に記憶、保存、及び補正されることによる。
【0062】
さらに、特に板状の工作物、特に金属シートを加工するための加工機械の座標系のオフセット値を認識し、補償する方法が提案され、この方法は:
a.工作物の長さ及び/又は幅を測定するステップと、
b.加工機械によって工作物を加工し、加工が進行した後に、工作物の長さ及び/幅を加工機械によって再び特定するステップと、
c.特定された長さ及び/又は幅の予想される長さ及び/又は幅からの偏差を特定するステップであって、特定された長さ及び/又は幅の予想される長さ及び/又は幅からの偏差がオフセット値に対応するようなステップと、
d.オフセット値を加工機械の座標系における座標と釣り合わせてオフセット値を補償するステップと、
を含む。
【0063】
それゆえ、まず、工作物の長さ(X軸)及び/又は幅(Y軸)を測定できる。
【0064】
加工が進行した後、長さ及び/又は幅を新たに測定することができる。この場合、第一の測定は特に工作物の加工の開始前に行うことができる。工作物の加工は、初期測定の後に開始できる。特定の加工が進行した後、工作物の長さと幅を、特に切り欠きを測定することによって再び測定でき、実際に測定された長さの予想長さからの偏差はオフセット値に対応し、これは加工機械の座標系における座標においてそれに対応して補償することができる。この場合、X方向への長さの偏差はX方向へのオフセット値に対応し、Y方向への幅の偏差はY方向へのオフセット値に対応する。
【0065】
それゆえ、オフセット値の補正後に、工作物のその後の加工を補正されたオフセット値で実行でき、それによって工作物の膨張が発生しても、加工時間にわたり十分に高い精度の加工を実現することができる。
【0066】
この場合、ここでも長さ及び/又は幅の特定は特に光学的方法によって実行できる。したがって、長さ及び/又は幅は光学的測定方法によって特定される。この場合、検出光ビームは特に、工作物へと放射されるレーザ光ビームとすることができる。それに基づいて、工作物の発出加工光、すなわち入射レーザ放射による高温の工作物からの光の発出を検出することが可能となる。追加的又は代替的に、反射レーザ放射を特定することも可能である。検出光ビームがこの場合に工作物自体に入射するかぎり、工作物の発出又は反射光によって比較的強い検出光信を検出することが可能である。それに対して、工作物に到達すると検出された信号の強度が弱まるが、これは、検出光ビームが工作物に入射しなくなるからである。このようにして、長さ及び/又は幅は特に簡単に特定できる。何れの対応する検出光ビームもこの場合、本来は工作物の加工に使用されるレーザビームによって生成できる。このような検出装置はこれまでに、例えば特許文献1から知られており、その開示内容の全体を本願に援用する。
【0067】
代替的に、検出ビームが発出され、それが工作物の下の反射板により反射されることが想定される。ビームが工作物に衝突する間は、信号がまったく検出されないか、弱い信号しか検出されない。
【0068】
しかしながら、このような反射光バリア構成の場合、レーザ光は、ビームが工作物の材料に衝突しなくなると反射板を介して反射して戻される。換言すれば、ビームが工作物の縁辺に到達し、反射板に衝突した途端に、信号は直ちにより強力となり、そのため、工作物の縁辺への到達と工作物の長さ及び/又は幅を検出できる。
【0069】
最後に、工作物の下のフォトダイオードを利用して、透過したレーザ光を検出することも想定される。レーザビームが工作物に衝突する間は、フォトダイオードによって信号が測定されない。レーザビームが工作物の縁辺を通過した途端に、ビームはフォトダイオードに衝突し、信号が検出される。
【0070】
ステップb.で部分的長さl2及び/又は部分的幅のみが特定され、ステップc.で特定された部分的長さl2及び/又は部分的幅の予想される部分的長さl2
*及び/又は部分的幅からの偏差が特定されることも想定される。前記部分的長さ及び/又は部分的幅の領域で依然としてその後の加工を実行する必要があるかもしれないことが想定される。それゆえ、これらの領域におけるオフセット値の特定と補償によって、特に正確なその後の加工を行うことができる。
【0071】
加工機械がスタンピング又はレーザ加工機械として具現化されることがさらに想定される。
【0072】
スタンピング機械の場合、工作物の加工時間にわたり特に機械的変形が起こるかもしれず、前記機械的変形によって、本発明により補正されるオフセット値が生じる。
【0073】
レーザ機械の場合、工作物の加工時間にわたり特に熱膨張が起こるかもしれず、前記熱膨張によって本発明により補正されるオフセット値が生じる。
【0074】
加工機械がスタンピング-レーザ複合機として具現化されることがさらに想定され、レーザ座標系におけるレーザ装置の座標及び/又はスタンピング座標系におけるスタンピング装置の座標が特定されたオフセット値と釣り合わされて、オフセット値が補償される。
【0075】
それゆえ、まず工作物の長さ(X軸方向)及び/又は幅(Y軸方向)を測定できる。
【0076】
加工が進行した後、長さ及び/又は幅を新たに測定することができる。この場合、最初の測定は特にスタンピング加工の前又は後に、ただし何れの場合も工作物のレーザ加工の前に行うことができる。その後、工作物のレーザ加工を実行できる。特定の加工が進行した後、長さ及び/又は幅を再び測定でき、実際に測定された長さ及び/又は幅の予想長さ及び/又は幅からの偏差は、レーザ座標系における座標においてそれに対応して補償できるオフセット値に対応する。この場合、X方向への長さの偏差はX方向へのオフセット値に対応し、Y方向への幅の偏差はY方向へのオフセット値に対応する。
【0077】
それゆえ、オフセット値の補正後に、工作物のその後の加工を補正されたオフセット値で実行でき、それによって工作物の熱膨張が起こったとしても、レーザ加工に関わる加工時間にわたり十分に高い精度の加工を実現することができる。
【0078】
まず、長さの当初測定の後にスタンピング加工の全部を工作物に導入することが想定される。その後、レーザ加工を実行できる。レーザ加工は、まず工作物の第一の部分において例えばX方向に実行できる。特定の加工が進行した後、例えばX方向への加工の2/3が実行された後、工作物の最後の3分の1の切り欠きの長さを測定することができる。ここで切り欠きの最後の3分の1の当初の長さに関する差が生じている場合、これは工作物の最後の3分の1の残りの加工について補正できるX方向のオフセット値に対応する。
【0079】
本発明が対処する問題はまた、上述の方法のうちの1つを実行するように具現化され、構成された制御装置によっても解決される。
【0080】
最後に、本発明が対処する問題はまた、本発明による上述の制御装置を含む加工機械、特にスタンピング-レーザ複合機、レーザ機械、又はスタンピング機械によっても解決される。
【0081】
本発明のさらなる詳細及び利点は、以下の説明から理解でき、それに基づいて図中に示される本発明の実施形態がより詳しく記述され、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】スタンピング-レーザ複合機の斜視図を示す。
【
図2】第一の実施形態によるスタンピング-レーザオフセット値を認識し、補償する方法の概略図を示す。
【
図3】第二の実施形態によるスタンピング-レーザオフセット値を認識し、補償する方法の概略図を示す。
【
図4】a~eは、第三の実施形態によるスタンピング-レーザオフセット値を認識し、補償する方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1はスタンピング-レーザ複合機1の1つの実施形態を概略的に示しており、これを用いて、例えば金属シートの形態の工作物14のスタンピング加工による打ち抜き加工とレーザ加工による加工、特に切削の両方を行うことができる。加工機械1の一部はCフレーム2である。Cフレーム2は鋼鉄製のねじり剛性を有する溶接構造からなる。しかしながら、Cフレーム2は異なる形態で具現化することもできる。加工機械1の機能を制御する制御装置3はCフレーム2の後端に提供される。
【0084】
加工機械1は、Cフレーム2の上側リムの前方内端に、スタンピング装置17を含み、これは上側ツール受容部4及び下側ツール受容部5をCフレーム2の下側リムの前方内端に有する。上側ツール受容部4は、スタンピングツール7のツール上部を受けることができ、下側ツール受容部5はスタンピングツール7のツール下部を受けることができる。
【0085】
上側ツール受容部4はプランジャ(図示せず)によって軸方向(Z方向)に移動可能であり、制御装置3の利用により、それが1回のフルストロークを実行することも、その軸方向のストローク経路内の何れの所望の位置で停止することもできるように制御される。さらに、上側ツール受容部4は任意選択により、軸方向の回転軸6の周囲で、制御装置3により制御された方法で回転可能である。
【0086】
下側ツール受容部5は、任意選択により、同じくその回転軸6の周囲で回転可能である。さらに、下側ツール受容部5は、その軸方向(Z方向)には移動できないが、任意選択によりいわゆるアクティブダイとして具現化することもできる。すると、それは同じくその軸方向に移動し、また、制御装置3により制御された方法で、その軸方向のストローク経路の何れの所望の位置でも停止することができる。
【0087】
上側ツール受容部4と下側ツール受容部5のほかに、加工機械1はまた、レーザ加工ヘッド16を有するレーザ加工装置8も含み、それを用いて、例えば工作物14を加工、特に切削できる。円形開口部10がワークテーブル9の、Cフレーム2の下側リムの内側に提供される。レーザ加工ヘッド16はX方向及びY方向に、また、適当な焦点位置を設定するために、Z方向にも移動ユニット(図示せず)によって移動可能である。円形開口10は実質的に、レーザ加工ヘッド16の加工領域11を定める。
【0088】
ワークテーブル9は、ツールマガジンを備える横断レール12を有する。特にシート状金属板の形態であり得る工作物14を確実に保持するためのクランプジョー13が横断レール12上に配置される。クランプジョー13は、横断レール12上の適当な場所に固定でき、シート状金属板14が確実に保持されながらも、シート状金属板14が加工対象部分では把持されないようにずらすことができる。複数の、ここでは2つのスタンピングツール7のための複数の、ここでは3つのツール受容部15がツールマガジン内に示されている。
【0089】
動作中、ワークテーブル9は、Y方向へのスタンピングのためにプログラムされた位置へと、工作物14を保持するために使用されるクランプジョー13が固定された横断レール12と共に移動させることができる。横断レール12はX方向のプログラムされた位置にも同様に移動させることができ、工作物14はワークテーブル9の範囲を超えてスライドする。すると、スタンピングストロークを上側ツール受容部4によって実行できる。その後、同じ原理で次のスタンピング位置への移動を行うことができる。工作物14は、同じ原理によってプログラムされる位置へと移動させて、レーザ加工機械8によるレーザ加工を実行できる。
【0090】
すると、工作物を加工するために、以下の手順が通常適用される:まず、スタンピング加工がスタンピング装置17によって工作物14のプログラムされた位置に導入される。この場合、スタンピング加工のための位置はスタンピング座標系における座標として記憶される。その後、レーザ加工をレーザ加工装置8によって行うことができる。この場合、スタンピング加工が行われた個々の部品は通常、レーザカットによって工作物14から切り取られる。この場合、レーザ加工も、レーザ座標系において記憶された工作物のプログラムされた位置において同様に実行される。
【0091】
スタンピング座標系とレーザ座標系との間にオフセット値がない場合、工作物14上のある点は両方の座標系内の同じ座標を有する。しかしながら、通常、オフセット値は2つの座標系間に発生する。この場合、前記オフセット値は機械ごとに異なるかもしれず、特にスタンピング-レーザ複合機1の使用期間にわたり変化するかもしれない。これは例えば、機械要素の製作公差、機械装置の熱膨張、衝突、各種の切削ヘッドの製作公差、経年劣化、及び加工中、特にレーザ加工中の工作物14の熱に起因する膨張による。このようにして発生するスタンピング-レーザオフセット値はオフセット値として記憶でき、レーザ座標系における座標がこのオフセット値と釣り合わせられ、それによってレーザ加工もまた工作物14の所望の位置で実際に実行される。
【0092】
スタンピング装置17のスタンピング座標とレーザ装置8のレーザ座標との間のオフセット値を自動で認識及び補償する方法の3つの実施形態を以下に示す。
【0093】
図2は、方法の第一の実施形態を示す。オフセット値を特定することに決定された場合、又はすでに記憶されたオフセット値が依然として正しくても、円形の穿孔19、すなわち穴が工作物14の所定の場所に打ち抜き加工される。その代替案として、すでにスタンピング加工として工作物14内に存在するこのような穴を使用できる。レーザ加工ヘッド16は次に工作物14内に作られた穴19の上で移動される。続いてレーザビーム18がレーザ装置8により生成される。レーザビーム18がレーザ放射を工作物14に向かうと、工作物14は高温となり、したがってこれは加工光24を発出する。前記加工光24は検出できる。それゆえ、レーザ放射18が工作物14に入射するか否かを特定することができる。具体的には、レーザビーム18が穴19へと放射されると、少なくとも事実上、いかなる加工光24も発生せず、加工光24の信号が弱まる。加工光24の強度を特定するための検出ユニットを備えるレーザ加工装置8はすでに特許文献1から知られており、この点でその開示内容の全体を本願に同じく援用する。レーザ加工装置8はしたがってこのような評価ユニットを含む。
【0094】
レーザビーム18はその後、まずX方向35に、具体的には検出された加工光の信号強度37が増大し、所定の閾値を超えるまで移動される。その後、これは反対方向に光の強度が増大するまで再び移動される。この場合、光は強度の増大は、穴19の縁辺20、21に到達したことを示す。レーザビーム18はその後、Y方向39に穴19の縁辺22に到達するまで移動され、最後に反対方向に、再び穴19の縁辺23に到達するまで移動される。全体として、穴19上の中心点mはこのように特定された縁辺20、21、22、23の座標から特定できる。
【0095】
このようにして特定された中心点mは、レーザ座標系において工作物14上の中心点mの実際の座標を有する。前記中心点mはすると、予想された中心点m
*の予想座標と比較される。前記予想中心点m
*は(正しい)オフセット値補償が行われない中心点の予想位置を表すレーザ座標系内の座標を有する。
図2に示されるケースでは、スタンピング座標とレーザ座標との間に、X方向へのオフセット値ΔX及びY方向へのオフセット値ΔYのオフセット値があり、これはまだ補正されていない。レーザ座標系内のプログラムされた座標は前記オフセット値によりX及びY方向に(再)補正され、それによってレーザビーム18によるレーザ加工は、正確に工作物14上の実際に所望の位置において実行される。
【0096】
図3は、スタンピング-レーザオフセット値を特定するための第二の実施形態を示す。この場合、まず、穴25がスタンピング装置17によって工作物14に打ち抜き加工される。それに加えて、穴26がレーザ加工装置8によって切り取られる。すると、2つの穴間のオフセット値をスタンピング装置17に配置された検出ユニット(図示せず)によって特定できる。このような検出ユニットはすでに例えば特許文献2から知られており、この点に関してその開示内容の全体を本特許出願の開示内容に同時に援用する。
【0097】
次に方法は以下のように進行する:スタンピング装置17の検出ユニットは、レーザビームを工作物14へと方向付ける手段と、工作物の発出加工光又は反射レーザ光を検出する手段を含む。それぞれの中心点の実際の位置は、
図2に関して前述したように、レーザビームの十字形の変位と信号強度の特定によって特定される。この場合、検出された放射の強度は、レーザビームが穴25又は穴26の領域内にある時には弱くなる。実際の中心点のスタンピング座標系における中心点の予想位置からの偏差が全体として特定される。
図3に示される実施形態において、この場合、特定はスタンピング装置17の検出ユニットによって実行される。その結果、穴25の中心点m1は実際にそれが予想された位置にある。しかしながら、穴26の中心点m2は予想されたものとは異なる座標にある。中心点は位置m
*の座標で予想されるであろう。それゆえ、X方向へのΔX及びY方向へのΔYのオフセット値があり、このオフセット値はまだ補正されていない。レーザ座標系における座標を前記オフセット値により(再)補正して、オフセット値を補償できる。
【0098】
図4aは、前述のようにクランプジョー13に配置された工作物14を示している。すると、X方向への工作物14の長さ27に沿って、レーザ加工装置8のレーザ放射18によって、X方向への工作物14の長さl
1が再び特定され、検出された加工光の反射放射の強度がいつ弱まるかが分析される。
【0099】
次のステップで、
図4bに示されるように、工作物14へと繰り返し導入される相互に隣り合わせの穴28、29の形態のスタンピング加工が工作物14に導入される。すると、工作物14のレーザ加工が
図4cに示されるように行われ、それぞれのケースで、28、29のペアの周囲でレーザカット30が行われ、それによって工作物部分31が工作物14から切り離される。特に金属シートとして具現化できる工作物14への入熱がこの加工の途中で発生する。その結果、工作物14は膨張する。その結果として、今度はスタンピング座標とレーザ座標との間に、まだ補正されていないオフセット値が生じ、このオフセット値は以下の方法により特定され、補正される:
【0100】
図4dに示されるように、工作物14の最後の区間はまだレーザ加工により加工されていない。レーザ切削機械8が、工作物14の最後の部分を、始点32から検出光信号が弱くなる縁辺33に到達するまで横断し、レーザビームが工作物14へと向けられる。過去の測定に基づいて、このために、始点32と工作物14の予想される終点33
*との間の距離l
2
*が予想された。しかしながら、熱膨張により、実際の終点は位置33にあり、それによって実際の長さl
2が測定される。これに関して、X方向に位置33と位置33
*との間の差がある。前記差はまだ補正されていないオフセット値ΔXを表す。レーザ座標系内の座標はすると、前記オフセット値ΔXにより(再)補正することができる。その結果、
図4eに示されるように、レーザカット30を、オフセット値ΔXにより(再)補正されたレーザ座標系内の座標で実行でき、それゆえ、その結果として切削プロセスの終了に向かっても工作物部分31の十分な製造精度が得られる。
【0101】
図4による実施形態は、他の加工機械でも使用できる。例えば、純粋なスタンピング機械又はレーザ機械におけるオフセット補償も想定可能であろう。このような加工機械において、工作物の加工時間にわたり、特にレーザ機械の場合の熱膨張及び/又は特にスタンピング機械の場合の機械的変形により、オフセット値(まだ補正されていない)が生じる可能性があり、
図4に示される手順によってこれを検出し、補償することができる。スタンピング機械の場合、レーザビーム源を含む検出ユニットをオフセット特定のために提供できる。
【0102】
全体として、本発明によれば、スタンピング-レーザ複合機1におけるスタンピング-レーザオフセット値の自動認識及び補償が実行できる。これによって、エラーの生じやすい複雑な手作業によるオフセット値の特定と補償が不要となる。しかしながら、言うまでもなく、手作業による測定と補正は、本発明による自動測定及び補正に関する冗長的手段として実行することもできる。
【0103】
図4による実施形態によれば、例えば純粋なスタンピング機械又はレーザ機械等、他の加工機械においても、工作物のその加工中の性質の、例えば熱又は変形による変化を補償することが可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 スタンピング-レーザ複合機
2 Cフレーム
4 上側ツール受容部
5 下側ツール受容部
6 回転軸
7 スタンピングツール
8 レーザ装置
9 ワークテーブル
10 開口
11 加工領域
12 横断レール
13 クランプジョー
14 工作物
15 ツール受容部
16 レーザ加工ヘッド
17 スタンピング装置
19 構造
25 穿孔
26 穿孔
m、m1、m2 穿孔の中心点
m* 穿孔の予想中心点