(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】エラストマーから成形物を製造するための付加製造法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/106 20170101AFI20230613BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20230613BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20230613BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20230613BHJP
【FI】
B29C64/106
B29C64/40
B29C64/314
B29C64/209
(21)【出願番号】P 2021563423
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020060985
(87)【国際公開番号】W WO2020216710
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】102019110718.0
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521053101
【氏名又は名称】フロイデンベルク エスエー
【氏名又は名称原語表記】FREUDENBERG SE
【住所又は居所原語表記】Hohnerweg 2-4,69469 Weinheim, GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン カウル
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ブリッタ アンダース
(72)【発明者】
【氏名】イェンス フィービガー
(72)【発明者】
【氏名】デニス ビットナー
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/087293(WO,A2)
【文献】特表2017-533851(JP,A)
【文献】国際公開第2017/154335(WO,A1)
【文献】特開2019-019324(JP,A)
【文献】特表2018-532006(JP,A)
【文献】特表2019-525850(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0207863(US,A1)
【文献】国際公開第2018/153467(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107283819(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの層から成る非熱可塑性のエラストマー材料(1)製の成形物(100)を製造するための方法であって、
a) エラストマー材料(1)を処理ユニット(2)に供給するステップと、
b) 前記エラストマー材料(1)を前記処理ユニット(2)内で処理して、前記エラストマー材料(1)の材料流を発生させるステップと、
c) 前記エラストマー材料(1)を貯蔵ユニット(4)内に搬送して、該貯蔵ユニット(4)内で前記エラストマー材料(1)の予圧を形成するステップと、
d) 前記エラストマー材料(1)を成形ユニット(5)に搬送し、該成形ユニット(5)で前記エラストマー材料(1)を目的に合わせて送出して、形成すべき前記成形物(100)の少なくとも1つの層を形成するステップと、
e) 前記成形物(100)の前記少なくとも1つの層または前記成形物(100)全体を架橋ユニット(9)によって架橋するステップと
を含み、
前記エラストマー材料(1)は、前記ステップa)ないしd)の間に高粘性かつ架橋可能であり、前記エラストマー材料は、100~1000000Pa・sの範囲内の粘度を有
し、
ステップd)における前記成形ユニット(5)は、クロック制御式のノズル(6)として形成されており、
前記エラストマー材料(1)を数珠つなぎの形態で送出する、
方法。
【請求項2】
前記エラストマー材料(1)は固化することはなく、弾性または粘弾性であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記エラストマー材料(1)は、ACM、NBR、EPDMまたはHCRとして形成されている、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ステップb)において、前記エラストマー材料(1)の処理を1つ以上のスクリュー(3)および/または1つのピストンポンプおよび/または1つの歯車ポンプおよび/または1つのスタティックミキサを使用して行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ステップb)および/またはステップd)において、前記エラストマー材料(1)の温度の管理および調整を150℃未満
で行う、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記処理ユニット(2)および/または前記成形ユニット(5)は、前記エラストマー材料(1)を冷却かつ/または加熱するための温度調整装置(8)を有することを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記エラストマー材料(1)は、前記ノズル(6)の領域で10~5500 1/sの剪断速度を有する、請求項
1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ステップd)およびe)において、前記成形ユニット(5)もしくは前記架橋ユニット(9)と成形載置ユニット(7)との間の相対運動を行って、送出される前記エラストマー材料(1)を位置決めするかもしくは前記架橋ユニット(9)の作用領域を位置決めする、請求項1から
7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記ステップd)およびe)を交互に繰り返して、前記成形物(100)の個々の層を積層しかつ架橋する、請求項1から
8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
d’) 支持領域を形成するための支持材料を送出する付加的なステップを含み、
前記ステップd)およびd’)を、形成すべき前記成形物(100)のジオメトリに応じて交互に行う、
請求項1から
9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の特徴に記載の、成形物を製造するための製造法に関する。
【0002】
背景技術
エラストマー成形材料の押出し、計量および射出成形は、産業において、例えばシール要素およびダイヤフラムを製造するために標準的に利用される。押出し機内で処理されたエラストマーは、ノズルによって射出成形型内に送入される。その際には、1~5mmの平均的な通路直径を有する小型のノズルが使用される。このノズルの内部の圧力損失は、ノズルジオメトリおよび処理量ならびに材料粘度に大きく関連している。
【0003】
また、種々異なる材料を、いわゆる3D印刷で処理して、付加製造法で製品を製造することも一般的に知られており、ますます普及している。したがって、付加製造で熱可塑性の材料製の生成物を一層一層積層するための設備が知られている。このような設備は、例えば、独国特許出願公開第102009030099号明細書、欧州特許第1886793号明細書および欧州特許第278274281号明細書に記載されている。
【0004】
課題
本発明の課題は、非熱可塑性のエラストマー材料製の成形物を製造することができる、成形物を製造するための方法を提供することである。更なる課題は、この方法によって、特に微細な構造を有する成形物をも高精度に製造することができるようにすることである。
【0005】
技術的な解決手段
この課題は、請求項1の特徴を有する、成形物を製造するための製造法によって解決される。
【0006】
本発明によれば、付加製造法で非熱可塑性のエラストマー材料を処理し、その際に成形物を製造することが有利であると認識された。
【0007】
本発明に係る方法は、少なくとも1つの層から成る非熱可塑性のエラストマー材料製の三次元の成形物を製造するための付加製造法として用いられる。つまり、材料は、熱可塑性のエラストマーを除外したゴム状の材料である。方法は、以下の複数のステップを有している。
【0008】
a) エラストマー材料を分出しシート(つまり、エラストマー材料から成るマット)、ストリップ、パック(つまり、エラストマー材料から成るディスク)またはコードの形態の出発材料として処理ユニットに供給するステップ。
【0009】
b) エラストマー材料を処理ユニット内で処理して、エラストマー材料の材料流を発生させるステップ。このステップでは、エラストマー材料の規定の粘度を生じさせることも、熱的かつ材料的な均質化を行うこともできる。
【0010】
c) エラストマー材料を貯蔵ユニット内に搬送して、この貯蔵ユニット内でエラストマー材料の予圧を形成するステップ。このステップでは、予圧は、特に600bar未満の範囲内にあり、処理される材料に関連している。
【0011】
d) エラストマー材料を成形ユニットに搬送し、この成形ユニットでエラストマー材料を目的に合わせて送出して、形成すべき成形物の少なくとも1つの層を形成し、ひいては、成形物に一層一層賦形するステップ。このステップでは、エラストマー材料は、特に0.5~30g/hの範囲内の質量流量で搬送される。
【0012】
e) 成形物の少なくとも1つの層または成形物全体を架橋ユニットによって架橋するステップ。このステップでは、架橋は、熱的、光学的または化学的に行われてよい。
【0013】
方法ステップa)ないしe)は、特に機械、つまり、成形物を製造するための装置で実行されてよい。代替的には、成形物を製造するための装置は、成形物全体の架橋を行う場合、ステップe)を、離間させられて配置された別体の装置内で行うことができるように形成されていてよい。
【0014】
エラストマー材料は、規格ASTM D1418-17「Standard Practice for Rubber and Rubber Latices - Nomenclature」に準ずる非熱可塑性のエラストマー材料である。
【0015】
非熱可塑性のエラストマー材料の技術的に重要な特性は、配合によって初めて得られる。配合とは、規定の添加剤、例えば充填剤、劣化防止剤、可塑剤、処理助剤、化学架橋剤等の付加を意味している。添加剤の種類および量は、その都度要求される材料の特性分布に関連している。架橋プロセス、つまり、非熱可塑性のエラストマー材料の、いわゆる加硫の際には、不可逆的な化学的な架橋箇所が形成される。
【0016】
この有機高分子網状構造は高い弾性を有していて、可逆的に大きな変形を実施することができる。
【0017】
ステップc)において貯蔵ユニット内に搬送されるエラストマー材料は、もはや更なる物質が添加されない完全に混合された材料である。
【0018】
特に好適には、非熱可塑性のエラストマー材料は、化学的に架橋されたゴムから成る材料である。
【0019】
本発明に係る方法では、エラストマー材料は、ステップa)ないしd)の間に高粘性であり、つまり、液状でなく、架橋可能でもある。エラストマー材料は、100~1000000Pa・sの範囲内の粘度、つまり、剪断に対する抵抗を有している。これによって、例えば射出成形法で処理される熱可塑性樹脂に比べて著しく高い粘度が提供される。
【0020】
このような方法が非熱可塑性のエラストマー材料によって機能することは驚くべきことである。
【0021】
ノズルにより搬送される材料の圧力損失の算出は、とりわけ、専門書「Extrusionswerkzeuge fuer Kunststoffe und Kautschuke(Michaeli著、第2版、第2.1章および第3.1章)」に記載されている。
【0022】
圧力損失算出は、管を通る非圧縮性の粘性の流体の層流に関するハーゲン・ポアズイユの法則、つまり、
【数1】
Δp=管の始端と終端との間の圧力差[Pa]
r=管の内側半径[m]
l=管の長さ[m]
η=流れる液体の粘度[Pa・s]
に基づいている。
【0023】
小さな直径を有していて、標準エラストマー配合物を含みかつ従来の粘度を有するストランドを製造し、例えば計量するために、文献に基づく従来の計算法則によれば、0.5~30g/hの質量流量を得るためには、約700~10000barを大幅に上回る極めて高い圧力が必要となる。しかしながら、このように高い圧力を形成することは困難でしかなく、実用的でない。驚くべきことに、エラストマー材料を成形ユニットで成形して送出するためには、より低い圧力でも十分であることが判った。その理由は、成形ユニット、例えば微細なノズルによる搬送時のエラストマー材料の実際の圧力損失が、従来慣用の算出により見込まれ得る圧力損失よりも著しく低いことにある。
【0024】
方法の特に有利なひいては好適な改良形態では、使用されるエラストマー材料が固化することはなく、弾性または粘弾性である。つまり、エラストマー材料は、決して固相をとらず、その弾性または粘弾性の特性を維持している。
【0025】
エラストマー材料は、例えば、ポリアクリレートゴム(ACM)、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)またはミラブル型シリコーンゴム(高粘稠度ゴムHCR)であってよい。
【0026】
方法の可能な構成では、ステップb)において、エラストマー材料の処理が、1つ以上のスクリューおよび/または1つのピストンポンプおよび/または1つの歯車ポンプおよび/または1つのスタティックミキサを使用して行われる。
【0027】
ステップb)および/またはステップd)において、エラストマー材料の温度の管理および調整が、20℃超~150℃未満、特に90℃未満、HCRを処理する場合には35℃未満で行われると、特に有利であると判った。こうして、エラストマー材料の早期の架橋を阻止することができる。これによって、例えば射出成形法で処理される熱可塑性樹脂に比べて著しく低い温度が提供される。
【0028】
このためには、処理ユニットおよび/または成形ユニットが、エラストマー材料を冷却かつ/または加熱するための温度調整装置を有していてよい。
【0029】
可能な構成では、ステップd)における成形ユニットが、ノズル、特にクロック制御式のノズルとして形成されていてよい。代替的には、開放したノズルも可能である。クロック制御式のノズルは、クロック制御可能な閉鎖手段を有しており、これによって、ノズルを通したエラストマー材料の押出しと、その後のノズルの再度の閉鎖とが交互に行われる。ノズルが0.25mm未満の直径を有していると、特に有利であるように思われる。こうして、特に微細な構造を有する成形物を形成することができる。
【0030】
エラストマー材料が、ノズルの領域で10~5500 1/sの剪断速度を有していると、有利であると判った。この場合、生じる圧力損失は比較的僅かである。剪断速度はずり速度とも呼ばれる。
【0031】
方法のステップd)において、エラストマー材料を連鎖的(sequenziell.)な形態で送出することが特に有利であると判った。これは、エラストマー材料が連続的に送出されるのではなく、確定可能な規定の量のエラストマー材料が送出され、これに続いて、休止中にエラストマー材料が送出されないことを意図している。このことは、クロック制御式のノズルを使用することによって実現することができる。なお、連鎖的な形態とは、連続的な形態、例えばストランドと異なっている。
【0032】
方法の特に有利なひいては好適な改良形態では、エラストマー材料が数珠つなぎ(Perlenkette)の形態で送出される。数珠つなぎは、複数の珠の並置、つまり、1つのストランドにおいて珠状に変化する直径を特徴としている。この直径は、1~15%だけ変化してよい。1mm未満、特に0.3mm未満の平均的な直径を有する数珠つなぎが好適である。
【0033】
数珠つなぎのジオメトリおよび充填密度は、クロック制御式のノズルの閉鎖手段のクロック周波数によって調整しかつ適合させることができる。数珠つなぎによって、成形物の特に微細な構造を実現することができると判った。更なる利点は、成形物における角隅を、例えば、エラストマー材料がストランドの形態で送出される場合よりも簡単に形成することができるので明らかである。また、数珠つなぎの場合、ストランドに比べて、成形物におけるエラストマー材料のより緊密な充填密度を達成することができることも有利であるように思われる。
【0034】
本発明に係る方法では、ステップd)およびe)において、成形ユニットもしくは架橋ユニットと成形載置ユニット、つまり、製造すべき成形物用の支持体との間の相対運動が行われて、送出されるエラストマー材料が位置決めされてよいかもしくは架橋ユニットの作用領域が位置決めされてよい。こうして、送出されたエラストマー材料を目的に合わせて成形載置ユニット上に堆積させることができるかまたは成形載置ユニットにすでに位置しているエラストマー層上に堆積させることができる。多軸位置決めひいては所要の相対運動を可能にする精密位置決めシステムは当業者に知られている。
【0035】
本発明に係る方法の有利な変化形態では、ステップd)およびe)が交互に繰り返されて、成形物の個々の層が積層され、それぞれ次の層を被着する前に架橋される。
【0036】
本発明に係る方法の有利な変化形態では、付加的なステップにおいて、支持領域を形成するための支持材料の送出が行われる。この変化形態では、エラストマー材料を送出するステップと、支持材料を送出するステップとが、形成すべき成形物のジオメトリに応じて交互に行われる。この場合、支持材料は、引き続き送出されるエラストマー材料の層用の支持構造体を形成する。支持材料は、この支持材料をのちに簡単に再び除去することができるように選択される。支持材料は、例えば水溶性であってもよいし、エラストマー材料に作用しないアルカリ液中で可溶性であってもよい。したがって、有利には、複雑なジオメトリを有する成形物を形成することもできる。
【0037】
記載した本発明および本発明の記載した有利な改良形態は、技術的に有意である場合には、互いに組み合わせても本発明の有利な改良形態を成す。
【0038】
本発明の更なる利点および構造的かつ機能的な観点で有利な構成は、従属請求項ならびに添付の図面に関連した実施例の記載に示してある。
【0039】
実施例
試験では、以下のジオメトリ、材料および粘度において、記載した圧力損失が得られた。理論上の圧力損失は、記載した著しく高い値にある。
【0040】
【0041】
0.3mm未満の直径を有する極めて微細なノズル内に十分な材料がある場合の実際の一連の試験で測定された圧力損失(数百バール)は、算出された圧力損失(数千バール)に比べて著しく僅かであった。つまり、この一連の試験によって、エラストマー材料を成形ユニット、例えば細いノズルを通して押し出すことができ、したがって、付加製造法でエラストマー材料から成形物を製造することができることを確かめることができた。
【0042】
本発明を添付の図面に基づきさらに詳しく説明する。図面をより見やすくするために、適正な縮尺での図示は省略した。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】付加製造法で成形物を製造するための装置の概略図である。
【0044】
図面には、成形物100を製造するための装置10が示してある。この装置10では、付加製造法でエラストマー材料1から成形物100が製造される。このためには、エラストマー材料1が処理ユニット2に供給され、この処理ユニット2でスクリュー3によって処理される。
【0045】
こうして処理されたエラストマー材料1は貯蔵ユニット4に供給され、この貯蔵ユニット4を通ってエラストマー材料1は、ノズル6を備えた成形ユニット5に提供される。ノズル6の下方には、成形載置ユニット7が配置されていて、自由に可動である。この成形載置ユニット7には、ノズル6から進出したエラストマー材料1が堆積させられ、こうして、成形物100が形成される。ノズル6の近傍には、架橋ユニット9が配置されていて、エラストマー材料1から成る層を架橋するために働く。処理ユニット2および成形ユニット5には、処理ユニット2内のエラストマー材料1と成形ユニット5内のエラストマー材料1との温度を調整するために、それぞれ1つの温度調整装置8が割り当てられていてよい。
【0046】
代替的な実施形態(図示せず)では、ノズル6および場合によっては架橋ユニット9も成形載置ユニット7に対して相対的に運動させられる。
【0047】
成形物100全体を全体的に架橋したい場合には、架橋ユニット9が、別体でかつ装置10の別の構成要素に対して離間させられて配置されていてもよい。
【0048】
成形物100を製造するための装置10によって、本発明に係る方法を実施することができる。
【0049】
最初のステップでは、処理ユニット2へのエラストマー材料1の供給が行われる。処理ユニット2内では、エラストマー材料1の処理が実施され、エラストマー材料1の材料流が発生させられる。エラストマー材料1の処理は、スクリュー3を使用して行われる。このスクリュー3は、エラストマー材料1を貯蔵ユニット4内に搬送する。この貯蔵ユニット4内では、エラストマー材料1を成形ユニット5を通して送出するために十分である予圧が形成される。クロック制御式のノズル6として形成された成形ユニット5では、エラストマー材料1が目的に合わせて数珠つなぎの連鎖的な形態で送出される。こうして、成形載置ユニット7に、形成すべき成形物100の層が堆積させられる。処理ユニット2と成形ユニット5とは、エラストマー材料1を冷却かつ/または加熱するための温度調整装置8を有しており、これによって、エラストマー材料1の温度の管理および調整が、20℃超~150℃未満で行われる。こうして、エラストマー材料の早期の架橋を阻止することができる。
【0050】
次のステップでは、成形物100の少なくとも1つの層の架橋が架橋ユニット9によって行われる。エラストマー材料1の送出と層の架橋とが交互に繰り返されて、成形物100の個々の層が積層かつ架橋され、成形物100が完成する。
【0051】
送出されるエラストマー材料1を位置決めするために、双方向矢印によって示したように、成形ユニット5と成形載置ユニット7との間の相対運動が可能となる。
【0052】
また、架橋ユニット9の作用領域を位置決めするために、双方向矢印によって示したように、架橋ユニット9と成形載置ユニット7との間の相対運動も可能となる。
【0053】
方法の代替的な実施形態(図示せず)では、ノズル6および場合によっては架橋ユニット9も成形載置ユニット7に対して相対的に運動させられる。
【0054】
成形物100全体を全体的に架橋したい場合には、架橋ユニット9が、別体でかつ装置10の別の構成要素に対して離間させられて配置されていてもよい。この場合には、成形物を形成するための「エラストマー材料1を送出する」ステップと、「架橋する」ステップとの間で、架橋ユニット9への成形物100の搬送が行われる。
【符号の説明】
【0055】
1 エラストマー材料
2 処理ユニット
3 スクリュー
4 貯蔵ユニット
5 成形ユニット
6 ノズル
7 成形載置ユニット
8 温度調整装置
9 架橋ユニット
10 成形物を製造するための装置
100 成形物