(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-12
(45)【発行日】2023-06-20
(54)【発明の名称】加工情報表示装置、レーザ加工制御装置、及び加工情報表示プログラム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20230613BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20230613BHJP
B23K 26/38 20140101ALI20230613BHJP
【FI】
B23K26/00 M
B23K26/00 B
B23K26/00 N
B23K26/08 Z
B23K26/38 Z
(21)【出願番号】P 2023521076
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2022047466
【審査請求日】2023-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽介
(72)【発明者】
【氏名】宮田 龍介
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-503868(JP,A)
【文献】特開2018-180780(JP,A)
【文献】特開平11-33752(JP,A)
【文献】国際公開第2022/181643(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工を行う際の加工経路及びビームプロファイルを含む加工情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記加工経路上の特定の加工位置を選択して入力する入力部と、
前記入力部から入力された前記加工位置に基づいて、当該加工位置における前記ビームプロファイルを決定する機能を有する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得する加工条件取得部と、
前記レーザ加工条件から前記加工位置における選択加工条件を抽出する選択加工条件抽出部と、
前記選択加工条件に基づいて、前記加工位置に対応する位置での前記ビームプロファイルを決定するプロファイル決定部と、
を含む加工情報表示装置。
【請求項2】
前記入力部は、前記表示部に表示された前記ビームプロファイルに対する変更情報を入力できる機能をさらに有し、
前記制御部は、
前記変更情報に基づいて、前記ビームプロファイルを変更するプロファイル変更部と、
変更された前記ビームプロファイルを反映した前記レーザ加工条件の修正を行うレーザ加工条件修正部と、
をさらに含む請求項1に記載の加工情報表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記レーザ加工条件修正部で修正された修正加工条件を出力する修正加工条件出力部
をさらに含む請求項2に記載の加工情報表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記入力部の機能を兼ねたタッチパネルとして構成される請求項1~3のいずれか1項に記載の加工情報表示装置。
【請求項5】
レーザ加工プログラムに基づいて、レーザ加工装置のレーザ加工の動作を制御する主制御装置と、前記レーザ加工を行う際の加工経路及びビームプロファイルを含む加工情報を表示する表示部を含む加工情報表示装置と、を備えたレーザ加工制御装置であって、
前記加工情報表示装置は、前記表示部に表示された前記加工経路上の特定の加工位置を選択して入力する入力部と、前記入力部から入力された前記加工位置に基づいて、当該加工位置における前記ビームプロファイルを決定する機能を有する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得する加工条件取得部と、前記レーザ加工条件から前記加工位置における選択加工条件を抽出する選択加工条件抽出部と、前記選択加工条件に基づいて、前記加工位置に対応する位置での前記ビームプロファイルを決定するプロファイル決定部と、を含む
レーザ加工制御装置。
【請求項6】
前記入力部は、前記表示部に表示された前記ビームプロファイルに対する変更情報を入力できる機能をさらに有し、
前記制御部は、
前記変更情報に基づいて、前記ビームプロファイルを変更するプロファイル変更部と、
変更された前記ビームプロファイルを反映した前記レーザ加工条件の修正を行うレーザ加工条件修正部と、
をさらに含む
請求項5に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記レーザ加工条件修正部で修正された修正加工条件を出力する修正加工条件出力部
をさらに含み、
前記主制御装置は、前記修正加工条件出力部からの前記修正加工条件に基づいて、前記レーザ加工プログラムを修正する機能をさらに有する
請求項6に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記入力部の機能を兼ねたタッチパネルとして構成される
請求項5~7のいずれか1項に記載のレーザ加工制御装置。
【請求項9】
レーザ加工を行う際の加工経路を含む加工情報を加工情報表示装置に表示するステップと、
前記加工情報表示装置に表示された前記加工経路上の特定の加工位置を選択して入力するステップと、
前記加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得するステップと、
前記レーザ加工条件から前記加工位置における選択加工条件を抽出するステップと、
前記選択加工条件に基づいて、前記加工位置に対応する位置でのビームプロファイルを決定するステップと、
を含む一連のステップを実行することにより、前記加工情報表示装置に前記加工情報とともに前記ビームプロファイルを表示させる加工情報表示プログラム。
【請求項10】
前記加工情報表示装置に表示された前記ビームプロファイルに対する変更情報を入力するステップと、
前記変更情報に基づいて、前記ビームプロファイルを変更するステップと、
変更された前記ビームプロファイルを反映した前記レーザ加工条件の修正を行うステップと、
をさらに含む
請求項9に記載の加工情報表示プログラム。
【請求項11】
修正された修正加工条件を出力するステップと、
前記修正加工条件に基づいて、前記レーザ加工を実行する加工プログラムを修正するステップと
をさらに含む
請求項10に記載の加工情報表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加工情報表示装置、レーザ加工制御装置、及び加工情報表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断機やレーザ溶接機等のレーザ加工装置は、レーザ発振器から出力されたレーザビームを伝送してワークに照射し、当該レーザビームとワークとを相対移動させることにより、所定の加工を行うことができる。特に、レーザ切断加工において良好な切断断面を得るあるいはレーザ溶接加工において安定した溶接ビードを得るためには、レーザビームの加工経路上での単位加工長(例えばビームスポット径)あたりの照射条件(例えばレーザ出力やエネルギ密度)を加工位置ごとに適宜調整することが望ましい。
【0003】
このようなレーザ加工において、ワークに対する加工経路が単なる直線で構成される場合には、一定の加工速度及び一定のレーザ出力の下で加工を行えば単位加工長あたりの照射条件を変更する必要がない。しかしながら、一連の加工プログラムでレーザビームによる切断加工やマーキング加工等が混在して実施されるような場合には、求められる加工に応じてレーザビームによる溶融深さや溶融幅が異なるため、加工経路上の照射条件を適宜調整・制御する必要が生じる。
【0004】
このように、加工経路上のレーザビームの照射条件を調整あるいは制御するにあたり、加工経路上での各種加工条件を一つの画面で表示する表示装置があると、加工経路上での各種加工条件を一見して把握できるため好ましい。このような表示装置の一例として、例えば特許文献1には、レーザ加工機における加工経路を表示する加工経路表示装置において、少なくとも一つの駆動軸の所定の制御周期毎の位置情報を取得する位置情報取得部と、当該位置情報とレーザ加工機の機械構成の情報とからレーザ加工ヘッドの座標値を算出するレーザ加工ヘッド座標算出部と、レーザ加工に関する加工データを取得する第一データ取得部及び第二データ取得部と、取得された加工データに応じて表示形式を設定する表示形式設定部と、レーザ加工ヘッドの座標値と設定された表示形式とに基づいて、加工経路を表示する表示部と、を具備するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来公知であった加工経路表示装置は、加工経路上の位置情報と加工中に取得される加工データとを対応付けて表示するものであるため、確かにオペレータにとって、レーザ加工の各種条件が適切であるかとの点や、あるいは加工の良否との対応との関係を把握しやすいという利点がある。しかしながら、このような加工経路表示装置は、あくまでも加工プログラムに従って実際に加工した結果に基づいて表示される画像データを作成するため、いわゆる「試し加工」を行う必要があり、オペレータにとって当該「試し加工」を行うための準備や施工の負荷が大きいという問題があった。
【0007】
また、従来の加工経路表示装置では、加工経路上での所定の加工条件を色分けやその濃淡で表すことにより、当該加工条件の大小等を表現可能としている。しかしながら、この手法では、あくまでも加工経路全体の加工条件の分布を表示するものであって、所定の加工位置でのレーザビームの照射状態(例えばビームプロファイル)を得ることができなかった。
【0008】
このような経緯から、試し加工等の実際の加工を行うことなく、所定の加工プログラムに基づくレーザ加工において、加工経路上の所定の加工位置でのビームプロファイルを予測して表示できる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の代表的な一態様による加工情報表示装置は、レーザ加工を行う際の加工経路を含む加工情報を表示する表示部と、表示された加工経路上の特定の加工位置を選択して入力する入力部と、入力された加工位置に基づいて当該加工位置におけるビームプロファイルを決定する機能を有する制御部と、を備え、制御部は、加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得する加工条件取得部と、取得したレーザ加工条件から上記加工位置における選択加工条件を抽出する選択加工条件抽出部と、選択加工条件に基づいて上記加工位置に対応する位置でのビームプロファイルを決定するプロファイル決定部と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態による加工情報表示装置の構成を示す概略図である。
【
図2】
図1で示した制御部の具体的な構成及び周辺機器との関係を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態によるレーザ加工の加工経路を表示部に表示した一例を示す模式図である。
【
図4A】切断加工を行う場合の表示画面の一例を示す模式図である。
【
図4B】切断加工を行う場合の表示画面の一例を示す模式図である。
【
図5A】マーキング加工を行う場合の表示画面の一例を示す模式図である。
【
図5B】マーキング加工を行う場合の表示画面の一例を示す模式図である。
【
図6】第2の実施形態による加工情報表示装置の構成を示す概略図である。
【
図7】
図6で示した制御部の具体的な構成及び周辺機器との関係を示すブロック図である。
【
図8A】ビームプロファイルを変更する動作を表示する表示画面の一例を示す模式図である。
【
図8B】ビームプロファイルを変更する動作を表示する表示画面の一例を示す模式図である。
【
図9】第2の実施形態による加工情報表示装置の変形例における制御部の具体的な構成及び周辺機器との関係を示すブロック図である。
【
図10】第3の実施形態による加工情報表示装置の構成を示す概略図である。
【
図11A】
図10で示した加工情報表示装置を具体的に操作した際の一例を示す概略図である。
【
図11B】
図10で示した加工情報表示装置を具体的に操作した際の一例を示す概略図である。
【
図12】第4の実施形態による加工情報表示装置を含むレーザ加工制御装置を備えたレーザ加工装置の一例を示す概略図である。
【
図13】
図12で示したレーザ加工制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の代表的な一例によるレーザ加工状態を表示する機能を備えた表示装置及びこれを含む加工制御装置の実施形態を図面と共に説明する。
【0012】
なお、本開示における「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。ここで、「XX」とは、任意の要素(例えば、任意の情報)を意味する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本開示の代表的な一例である第1の実施形態による加工情報表示装置の構成を示す概略図である。また、
図2は、
図1で示した制御部の具体的な構成及び周辺機器との関係を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、加工情報表示装置100は、その一例として、レーザ加工を行う際の加工経路を含む加工情報を表示する表示部110と、表示された加工経路上の特定の加工位置を選択して入力する入力部120と、入力された加工位置に基づいて当該加工位置におけるビームプロファイルを決定する機能を有する制御部130と、を備える。
【0015】
表示部110は、後述する制御部130の表示指令部132からの指令信号を受けて、レーザ加工を行うワーク上の加工経路や種々の加工条件(加工パラメータ)等を表示する手段として構成される。このような表示部110としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、あるいはプラズマディスプレイ等の様々な表示手段が適用できる。
【0016】
入力部120は、例えばその一例として
図1に示すように、表示部110の画面内で選択ポインタ(
図4Aの符号PT参照)を動かす十字キー122と、選択ポインタPTの位置を決定あるいは解除する決定ボタン124a及び解除ボタン124bを含むボタン部124と、を備える。このような入力部120としては、
図1に例示する十字キー122を含むコントローラ型のユニットやテンキーを含むキーボード、あるいはジョイスティック型のユニット等が適用できる。なお、入力部120と制御部130との接続は、互いに信号のやり取りを行うことができれば、有線あるいは無線のいずれの手法で行われてもよい。
【0017】
制御部130は、その一例として
図2に示すように、表示部110に対して表示指令を出力する表示指令部132と、加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得する加工条件取得部133と、取得したレーザ加工条件から入力部120で選択した加工位置における選択加工条件を抽出する選択加工条件抽出部134と、当該選択加工条件に基づいて上記加工位置に対応する位置でのビームプロファイルを決定するプロファイル決定部135と、を含む。
【0018】
表示指令部132は、その一例として、データベース等の外部記憶装置140から加工プログラムに含まれる加工経路及び加工条件の情報を読み取るとともに、プロファイル決定部135で決定されたビームプロファイルを受け取る。そして、表示指令部132は、加工経路及び加工条件とともに決定されたビームプロファイルを表示する表示指令を作成し、表示部110に出力する。
【0019】
加工条件取得部133は、外部記憶装置140から加工経路のデータ及び加工条件のデータを読み取り、両者のデータを対応づけて加工経路上の各位置あるいは区間ごとの加工条件を示す対応情報を作成する。そして、加工条件取得部は、作成した対応情報を選択加工条件抽出部134に送る。なお、「加工条件」は、その一例として、加工経路上での加工速度やレーザビームのパワー、焦点位置、ワークとの距離、あるいはレーザビームの波長やレンズ等の光学系のセッティング等の情報を含むものとする。
【0020】
選択加工条件抽出部134は、加工条件取得部133から上記した対応情報を受け取るとともに、入力部120からオペレータが選択及び入力した加工経路上の特定の加工位置の位置情報を受け取る。そして、選択加工条件抽出部134は、選択された加工位置の位置情報に基づいて、対応情報の中から加工位置に対応する加工条件を抽出して選択加工条件を決定し、当該選択加工条件をプロファイル決定部135に送る。
【0021】
プロファイル決定部135は、選択加工条件抽出部134から受け取った選択加工条件に基づいて、選択された加工位置でのレーザビームのビームプロファイルを決定する。このとき、ビームプロファイルは、その一例として、選択加工条件に含まれるパラメータを用いた所定の演算式により求める方法や、予めレーザビームの加工条件と代表的なビームプロファイルとを対応づけた条件テーブルを外部記憶装置140等に記憶しておき、当該条件テーブルを読みだして選定する方法等により決定される。そして、プロファイル決定部135は、決定したビームプロファイルを加工位置の位置情報とともに表示指令部132に送る。
【0022】
次に、
図3~
図5Bを用いて、第1の実施形態による加工情報表示装置の具体的な動作事例を説明する。
【0023】
図3は、第1の実施形態によるレーザ加工の加工経路を表示部に表示した一例を示す模式図である。また、
図4A及び
図4Bは、切断加工を行う場合の表示画面の一例を示す模式図である。さらに、
図5A及び
図5Bは、マーキング加工を行う場合の表示画面の一例を示す模式図である。
【0024】
図3に示すように、第1の実施形態による加工経路は、その一例として、ワークWに対して、加工開始点P1から途中の屈曲点P2~P4を経由して加工開始点P1に戻る切断加工CPを行うための第1加工経路R1と、ワークWの表面に所定の文字や記号を描く軌跡でマーキング加工MPを行うための第2加工経路R2と、を含む。
【0025】
まず第1加工経路R1に沿って切断加工CPを実施する際のビームプロファイルを調べたい場合、
図4Aに示すように、オペレータは表示部110に切断加工CPの加工経路R1を選択して表示させる。次に、オペレータは入力部120の十字キー122を操作して、表示部110の表示画面上に表示される選択ポインタPTを加工経路R1上の特定の加工位置SP1に動かす。
【0026】
この位置で、オペレータが入力部120の決定ボタン124aを押すことにより、オペレータがビームプロファイルの情報を得たい加工位置SP1が設定される。すると、入力部120からの加工位置SP1の位置情報が制御部130の選択加工条件抽出部134に送られ、当該加工位置SP1の位置情報に基づいて、加工位置SP1でのビームプロファイルがプロファイル決定部135により決定される。
【0027】
そして、
図4Bに示すように、表示部110の表示画面には、加工位置SP1を起点とするポップアップ画面PW1が、ビームプロファイルの画像BP1とともに追加的に表示される。ここで、
図4Bでは、ビームプロファイルの画像BP1として二次元のレーザパワー分布のものが例示されているが、三次元の立体的なレーザパワー分布のものを表示するように構成してもよい。
【0028】
このような操作により、切断加工CPを行う場合の特定の加工位置SP1におけるビームプロファイルを、試し加工等の実際の加工を行うことなく表示して、加工状態の予測を行うことが可能となる。なお、加工経路R1上の別の加工位置でのビームプロファイルの情報を見たい場合には、入力部120の解除ボタン124bを押して選択ポインタPTの選択を解除し、改めて十字キー122を操作して別の加工位置SP1を選択すればよい。
【0029】
一方、第2加工経路R2に沿ってマーキング加工MPを実施する際のビームプロファイルを調べたい場合、
図5Aに示すように、オペレータは表示部110にマーキング加工MPの加工経路R2を選択して表示させる。次に、オペレータは入力部120の十字キー122を操作して、表示部110の表示画面上に表示される選択ポインタPTを加工経路R2上の特定の加工位置SP2に動かす。
【0030】
この位置で、オペレータが入力部120の決定ボタン124aを押すことにより、オペレータがビームプロファイルの情報を得たい加工位置SP2が設定される。すると、入力部120からの加工位置SP1の位置情報が制御部130の選択加工条件抽出部134に送られ、当該加工位置SP2の位置情報に基づいて、加工位置SP2でのビームプロファイルがプロファイル決定部135により決定される。
【0031】
そして、
図5Bに示すように、表示部110の表示画面には、加工位置SP2を起点とするポップアップ画面PW2が、ビームプロファイルの画像BP2とともに追加的に表示される。ここで、マーキング加工では切断加工とは異なり、ワークWの表面近傍に細い溝加工を行うことで足りるため、
図5Bに示すマーキング加工におけるビームプロファイルは、
図5Aに示した切断加工におけるビームプロファイルに比べてレーザビームのピークパワーが小さく、かつ高出力の領域幅が狭くなるような分布となっている。
【0032】
このような操作により、マーキング加工MPを行う場合の特定の加工位置SP2におけるビームプロファイルについても、試し加工等の実際の加工を行うことなく表示して、加工状態の予測を行うことが可能となる。なお、
図5A及び
図5Bに示す表示例では、切断加工CP又はマーキング加工MPのいずれかの表示を選択して一方のビームプロファイルの予測結果のみを提示する場合を例示したが、切断加工CP及びマーキング加工MPの両方の加工に対応する複数の加工位置でのビームプロファイルを同時に提示するように構成してもよい。また、1つの加工における複数の加工位置でのビームプロファイルを同時に提示することも可能である。
【0033】
上記のような構成を備えることにより、第1の実施形態による加工情報表示装置は、入力部から入力された加工経路上の特定の加工位置における選択加工条件を抽出し、当該選択加工条件に基づいて上記加工位置に対応する位置でのビームプロファイルを決定して表示する機能を有することにより、試し加工等の実際の加工を行うことなく、所定の加工プログラムに基づくレーザ加工において、加工経路上の所定の加工位置でのビームプロファイルを予測して表示できる。
【0034】
<第2の実施形態>
図6は、第2の実施形態による加工情報表示装置の構成を示す概略図である。また、
図7は、
図6で示した制御部の具体的な構成及び周辺機器との関係を示すブロック図である。なお、第2の実施形態においては、
図1~
図5Bに示した概略図等において、第1の実施形態と同一あるいは共通の構成を採用し得るものについては、同一の符号を付してこれらの繰り返しの説明は省略する。
【0035】
第2の実施形態による加工情報表示装置200において、入力部220が、ボタン部124に代えて、第1の実施形態で示した決定ボタン124a及び解除ボタン124bの機能を含むキーパッド224を備える点で、第1の実施形態による加工情報表示装置100と構成が異なる。すなわち、第2の実施形態による加工情報表示装置200は、表示部110に表示されたビームプロファイルを変更するための変更情報を入力する機能を含む。
【0036】
第2の実施形態による加工情報表示装置200は、その一例として
図6に示すように、表示部110と、表示された加工経路上の特定の加工位置を選択するとともにオペレータが変更情報を入力する機能を有する入力部220と、入力された加工位置に基づいて当該加工位置におけるビームプロファイルを決定するとともに上記変更情報に基づいてビームプロファイルを変更する機能を有する制御部230と、を備える。
【0037】
入力部220は、例えば
図6に示すように、十字キー222と、文字や数字等のビームプロファイルを変更するための変更情報を入力するためのキーパッド224と、を備える。また、制御部230は、例えば
図7に示すように、表示指令部232と、加工条件取得部233と、選択加工条件抽出部234と、プロファイル決定部235と、入力部220で入力された変更情報に基づいてビームプロファイルを変更するプロファイル変更部236と、変更されたビームプロファイルを反映してレーザ加工条件を修正するレーザ加工条件修正部237と、を含む。なお、入力部220と制御部230との接続は、第1の実施形態の場合と同様に、互いに信号のやり取りを行うことができれば、有線あるいは無線のいずれの手法で行われてもよい。
【0038】
プロファイル決定部235は、第1の実施形態の場合と同様に、選択加工条件抽出部234から受け取った選択加工条件に基づいて、選択された加工位置でのレーザビームのビームプロファイルを決定する。そして、プロファイル決定部235は、決定したビームプロファイルを加工位置の位置情報とともに表示指令部232及びプロファイル変更部236に送る。
【0039】
プロファイル変更部236は、入力部220から送られてきたビームプロファイルの変更情報に基づいて、レーザビームのパワー分布を変更及び更新する。このとき、ビームプロファイルの変更は、パワー分布を数値又は手入力で直接入力するか、あるいは変更条件としてのパラメータを入力して当該パラメータに対応するパワー分布を外部記憶装置140に記憶した条件テーブルから読み取る等の手法で実行される。そして、プロファイル変更部236は、変更されたビームプロファイルを加工位置の位置情報とともに表示指令部232及びレーザ加工条件修正部237に送る。
【0040】
レーザ加工条件修正部237は、プロファイル変更部236から送られてきた変更後のビームプロファイルに基づいて、加工条件取得部233で取得したレーザ加工条件を変更して修正加工条件を作成する。このとき、レーザ加工条件の変更は、変更を行うために選択された加工位置に対応する位置のビームプロファイルのみを変更するか、あるいは当該選択された加工位置が含まれる任意の加工区間をさらに選択してその加工区間全体のビームプロファイルを変更するようにしてもよい。
【0041】
また、レーザ加工条件修正部237は、変更された修正加工条件を表示指令部232に送る。そして、表示指令部232は、送られてきた修正加工条件やビームプロファイルを反映させた加工情報を表示部110に表示させる表示指令を出力する。
【0042】
次に、
図8A及び
図8Bを用いて、第2の実施形態による加工情報表示装置の具体的な動作事例を説明する。
【0043】
図8A及び
図8Bは、ビームプロファイルを変更する動作を表示する表示画面の一例を示す模式図である。
【0044】
ビームプロファイルを変更する動作として、第1加工経路R1に沿って切断加工CPを実施する際のビームプロファイルを変更する場合、
図8Aに示すように、オペレータが表示部110に切断加工CPの加工経路R1を選択して表示させた後に、ビームプロファイルの情報を得たい加工位置SP1を選択入力する。すると、入力部220からの加工位置SP1の位置情報が制御部230の選択加工条件抽出部234に送られて、第1の実施形態の場合と同様に、加工位置SP1でのビームプロファイルがプロファイル決定部235により決定される。
【0045】
そして、表示指令部232からの表示指令を受けて、表示部110の表示画面には、加工位置SP1を起点とするポップアップ画面PW1が、ビームプロファイルの画像BP1とともに追加的に表示される。このとき、ポップアップ画面PW1には、ビームプロファイルの画像BP1に加えて位置情報やレーザビームのピークパワー値等を合わせて表示することができる。
【0046】
続いて、
図8Aの表示画面を見たオペレータが、入力部220を用いてビームプロファイルを変更するための変更情報を入力する。ここで、入力される変更情報は、パワー分布を十字キー222により手入力で直接動かすか、あるいはキーパッド224を用いてパラメータに数値等を直接入力する等して実行される。
【0047】
変更情報が入力されると、上記のとおりプロファイル変更部236でビームプロファイルが変更され、これに伴ってレーザ加工条件修正部237でレーザ加工条件が変更される。そして、これらの変更に関する情報を受けた表示指令部232からの表示指令を受けて、
図8Bに示すように、表示部110には、変更後のビームプロファイルの画像BP1aを含むポップアップ画面PW1が新たに表示される。
【0048】
このような操作により、加工経路R1上の特定の加工位置SP1におけるビームプロファイルを、試し加工等の実際の加工を行うことなく表示するとともに、オペレータが入力する変更情報に基づいて、ビームプロファイル及びレーザ加工条件を任意に変更することが可能となる。
【0049】
次に、
図9を用いて、第2の実施形態による加工情報表示装置の変形例を説明する。
【0050】
図9は、第2の実施形態による加工情報表示装置の変形例における制御部の具体的な構成及び周辺機器との関係を示すブロック図である。
【0051】
第2の実施形態の変形例では、制御部230は、例えば
図9に示すように、表示指令部232と、加工条件取得部233と、選択加工条件抽出部234と、プロファイル決定部235と、プロファイル変更部236と、レーザ加工条件修正部237と、レーザ加工条件修正部237で修正された修正加工条件を外部に出力する修正加工条件出力部238と、を含む。
【0052】
この変形例において、レーザ加工条件修正部237は、プロファイル変更部236から送られてきた変更後のビームプロファイルに基づいて、加工条件取得部233で取得したレーザ加工条件を変更して修正加工条件を作成する。そして、レーザ加工条件修正部237は、修正加工条件とともにビームプロファイルや位置情報のデータを表示指令部232及び修正加工条件出力部238に送る。
【0053】
続いて、
図8A及び
図8Bで説明した場合と同様に、表示指令部232は、送られてきた変更後のレーザ加工条件やビームプロファイルを反映させた加工情報を表示部110に表示させる表示指令を出力する。一方、修正加工条件出力部238は、修正加工条件や変更されたビームプロファイルの情報等を、例えばUSBメモリ等の可搬型記憶装置や、
図9に示すデータベース等の外部記憶装置140に出力して記憶させる。
【0054】
上記のような構成を備えることにより、第2の実施形態による加工情報表示装置は、第1の実施形態で説明した効果に加えて、表示部に表示されたビームプロファイルの予測結果に対して、オペレータが変更情報を入力することで任意にビームプロファイルを変更することが可能となる。また、選択した加工位置におけるビームプロファイルを変更することにより、これをレーザ加工条件に反映して修正加工条件を作成することも可能となる。
【0055】
さらに、修正加工条件を外部に出力する機能を追加することにより、修正加工条件をデータベースに上書き保存できるとともに、当該修正加工条件をレーザ加工装置の加工制御装置に移すことにより、レーザ加工装置の加工プログラムを修正することも可能となる。
【0056】
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態による加工情報表示装置の構成を示す概略図である。また、
図11A及び
図11Bは、
図10で示した加工情報表示装置を具体的に操作した際の一例を示す概略図である。なお、第3の実施形態においては、
図1~
図9に示した概略図等において、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一あるいは共通の構成を採用し得るものについては、同一の符号を付してこれらの繰り返しの説明は省略する。
【0057】
第3の実施形態による加工情報表示装置300は、表示部と入力部を兼ねたタッチパネル方式の表示ユニット310を備えた携帯端末350として構成されている点で、第1の実施形態による加工情報表示装置100と構成が異なる。すなわち、第3の実施形態による加工情報表示装置300は、別体で構成された入力部を省略した装置である。
【0058】
第3の実施形態による加工情報表示装置300を構成する携帯端末350は、その一例として
図10に示すように、表示ユニット310と、制御部(図示せず)と、を備える。なお、図示しない制御部については、上記した第1の実施形態あるいは第2の実施形態で説明した制御部と同一の構成を適用し得るため、ここでの説明は省略する。
【0059】
第3の実施形態による加工情報表示装置300の動作の具体例として切断加工CPを実行する場合を用いて例示すると、
図11A及び
図11Bに示すように、まずオペレータが表示ユニット310に切断加工CPの加工経路R1を選択して表示させる。次に、オペレータは入力部を兼ねた表示ユニット310の表示画面を手HD(あるいは指)で触れることにより、表示ユニット310からの選択開始を認識させる。
【0060】
続いて、オペレータが加工経路R1上の特定の加工位置においてタップ動作(画面を軽く叩く動作)を実行すると、オペレータがビームプロファイルの情報を得たい加工位置SP1が設定される。すると、表示ユニット310からの加工位置SP1の位置情報が制御部に送られ、当該加工位置SP1の位置情報に基づいて、第1の実施形態又は第2の実施形態の場合と同様に、加工位置SP1でのビームプロファイルが決定される。
【0061】
そして、
図11Bに示すように、表示ユニット310の表示画面には、加工位置SP1を起点とするポップアップ画面PW1が、ビームプロファイルの画像BP1とともに追加的に表示される。なお、ポップアップ画面PW1には、
図8A及び
図8Bで示した場合と同様に、ビームプロファイルの画像BP1に加えて位置情報やレーザビームのピークパワー値等を合わせて表示するように構成してもよい。
【0062】
なお、加工経路R1上の別の加工位置でのビームプロファイルの情報を見たい場合には、表示ユニット310の表示画面における加工経路R1上の別の位置をタップすることにより、別の加工位置SP1を選択することができる。また、第1の実施形態と同様に、表示ユニット310の表示画面に切断加工CP及びマーキング加工MPの両方の加工に対応する複数の加工位置でのビームプロファイルを同時に提示する、あるいは1つの加工における複数の加工位置でのビームプロファイルを同時に提示することも可能である。
【0063】
上記のような構成を備えることにより、第3の実施形態による加工情報表示装置は、第1の実施形態又は第2の実施形態で説明した効果に加えて、表示部と入力部との機能を統合した表示ユニットを備えた携帯端末として構成したため、全体の構成を簡略化した上でオペレータの取り扱いを容易にすることが可能となる。
【0064】
<第4の実施形態>
図12は、第4の実施形態による加工情報表示装置を含むレーザ加工制御装置を備えたレーザ加工装置の一例を示す概略図である。また、
図13は、
図12で示したレーザ加工制御装置の構成の一例を示すブロック図である。なお、第4の実施形態においては、
図1~
図11Bに示した概略図等において、第1の実施形態~第3の実施形態と同一あるいは共通の構成を採用し得るものについては、同一の符号を付してこれらの繰り返しの説明は省略する。
【0065】
第4の実施形態によるレーザ加工制御装置50が適用されたレーザ加工装置1は、その一例として
図12に示すように、加工レーザビームLBを発振するレーザ発振器10と、ワークWを保持する加工テーブル20と、ワークWに加工レーザビームLBを照射する加工ヘッド30と、当該加工ヘッド30を加工テーブル20に対して相対移動させる搬送機構40と、ワークWに対する所定のレーザ加工動作を制御するレーザ加工制御装置50と、を含む。また、レーザ加工制御装置50は、加工情報表示装置400をさらに備えている。
【0066】
レーザ発振器10は、加工されるワークWの材質に応じて吸収効率が高い波長のレーザ源が適用され、出力された加工レーザビームLBは、例えば光ファイバ等の伝送路12を介して加工ヘッド30に伝送される。また、加工テーブル20は、その一例として、ワークWを取り付けるチャック機構(図示せず)を備え、ワークWを把持固定するように構成されている。
【0067】
加工ヘッド30は、その一例として、一端(上端)側から加工レーザビームLBが導入され、内部に配置された集光レンズ(図示せず)により集光された後、他端(下端)側のノズル32からワークWの集光点FPに向けて出射される。なお、加工レーザビームLBをワークWの集光点FPに照射する加工ヘッド30の構成として、上記したものに代えて、内部に例えばガルバノミラー等の走査光学ユニット(図示せず)を内蔵し、当該走査光学ユニットで加工レーザビームLBの光軸をワークWに対して走査するものとしてもよい。
【0068】
搬送機構40は、その一例として、互いに直交するXYZの3軸方向に相対移動するリニア駆動体として構成され、その一端に加工ヘッド30が取り付けられる。なお、搬送機構40は、一端に加工ヘッド30を取り付けたロボットアームを備えた6軸又は7軸タイプの産業用ロボットとして構成されてもよい。
【0069】
レーザ加工制御装置50は、その一例として
図13に示すように、レーザ加工制御装置50の全体の動作を制御する主制御装置52と、レーザ加工を行うための各種パラメータの項目や数値等をオペレータが手入力するためのユーザインタフェース54と、レーザ加工を行うための加工プログラムやレーザ加工条件に対応した条件テーブル等が記録された外部記憶装置140と、加工情報表示装置400と、を含む。
【0070】
レーザ加工制御装置50の主制御装置52は、レーザ加工装置1の各構成要素に設けられた各種センサ等と接続されて検出信号を受信するとともに、加工プログラムに基づく制御指令信号を各構成要素に出力する。また、ユーザインタフェース54は、例えば文字列や数字等を入力するキーボードとして構成されており、第4の実施形態においては、加工情報表示装置400の入力部の機能を兼ねるものとして構成される。
【0071】
加工情報表示装置400は、その一例として、表示部410と、入力部として機能するユーザインタフェース54と、制御部430と、を備える。そして、第1の実施形態と同様に、制御部430は、表示指令部432と、加工条件取得部433と、選択加工条件抽出部434と、プロファイル決定部435と、を含む。
【0072】
上記のような構成を備えることにより、第4の実施形態によるレーザ加工制御装置は、ユーザインタフェースから入力された加工経路上の特定の加工位置における選択加工条件を抽出し、当該選択加工条件に基づいて上記加工位置に対応する位置でのビームプロファイルを決定して表示する機能を有する加工状態表示装置を備えるため、試し加工等の実際の加工を行う前に、加工経路上の所定の加工位置でのビームプロファイルを予測して表示できる。
【0073】
なお、
図13では、加工情報表示装置400として、第1の実施形態と同様の制御部430を備えたものを例示したが、例えば第2の実施形態の
図7や
図9で示したように、オペレータからの追加の変更情報の入力に基づいて、ビームプロファイルやレーザ加工条件を修正する機能を有する制御部の構成を適用してもよい。また、加工情報表示装置400を、第3の実施形態の
図10で示したような携帯端末として、レーザ加工制御装置50から着脱自在に構成してもよい。
【0074】
<第5の実施形態>
第1の実施形態~第4の実施形態では、本開示の代表的な構成として、加工情報表示装置及びこれを適用したレーザ加工制御装置について説明してきたが、本開示の別の具体例として、汎用の表示装置や表示部を備えたレーザ加工制御装置に本開示の技術思想に基づく制御動作を実行させる加工情報表示プログラムが例示できる。
【0075】
すなわち、第5の実施形態による加工情報表示プログラムは、表示部と入力部と制御部とを備えた汎用の表示装置に対して、レーザ加工を行う際の加工経路を含む加工情報を上記表示装置の表示部に表示するステップと、表示された加工経路上の特定の加工位置を選択して入力するステップと、加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得するステップと、取得したレーザ加工条件から上記加工位置における選択加工条件を抽出するステップと、抽出した選択加工条件に基づいて、上記加工位置に対応する位置でのビームプロファイルを決定するステップと、を含む一連のステップを実行することにより、表示部に加工情報とともにビームプロファイルを表示させるものとして、例えば表示装置の制御部に記憶される。
【0076】
なお、第5の実施形態による加工情報表示プログラムは、USBメモリや磁気ディスク等の各種記録媒体、あるいはデータベースやクラウドサーバ等の大規模記録装置等に記録しておき、必要に応じて、使用する表示装置やレーザ加工制御装置にソフトウェアとしてインストールする態様として使用することもできる。
【0077】
また、第5の実施形態による加工情報表示プログラムは、上記した一連のステップに加えて、表示されたビームプロファイルに対する変更情報を入力するステップと、当該変更情報に基づいて、ビームプロファイルを変更するステップと、変更されたビームプロファイルを反映したレーザ加工条件の修正を行うステップと、をさらに含むようにしてもよい。
【0078】
さらに、第5の実施形態による加工情報表示プログラムは、上記した一連のステップに加えて、修正された修正加工条件を出力するステップと、当該修正加工条件に基づいて、レーザ加工を実行する加工プログラムを修正するステップと、をさらに含むようにしてもよい。
【0079】
上記のような構成により、第5の実施形態による加工情報表示プログラムは、表示部と入力部と制御部を備えた汎用の表示装置やレーザ加工制御装置に制御プログラムとして記憶させることで、試し加工等の実際の加工を行うことなく、加工経路上の所定の加工位置でのビームプロファイルを予測して表示できる機能を付加することが可能となる。
【0080】
以上、本開示について詳述したが、本開示は上述した個々の実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、又は請求の範囲に記載された内容とその均等物から導き出される本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、置き換え、変更、部分的削除等が可能である。また、これらの実施形態は、組み合わせて実施することもできる。例えば、上述した実施形態において、各動作の順序や各処理の順序は、一例として示したものであり、これらに限定されるものではない。また、上述した実施形態の説明に数値又は数式が用いられている場合も同様である。
【0081】
上記の実施形態及び変形例に関して、さらに以下の付記を開示する。
【0082】
(付記1)
レーザ加工を行う際の加工経路及びビームプロファイルを含む加工情報を表示する表示部と、
前記表示部に表示された前記加工経路上の特定の加工位置を選択して入力する入力部と、
前記入力部から入力された前記加工位置に基づいて、当該加工位置における前記ビームプロファイルを決定する機能を有する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得する加工条件取得部と、
前記レーザ加工条件から前記加工位置における選択加工条件を抽出する選択加工条件抽出部と、
前記選択加工条件に基づいて、前記加工位置に対応する位置での前記ビームプロファイルを決定するプロファイル決定部と、
を含む加工情報表示装置。
(付記2)
前記入力部は、前記表示部に表示された前記ビームプロファイルに対する変更情報を入力できる機能をさらに有し、
前記制御部は、
前記変更情報に基づいて、前記ビームプロファイルを変更するプロファイル変更部と、
変更された前記ビームプロファイルを反映した前記レーザ加工条件の修正を行うレーザ加工条件修正部と、
をさらに含む上記付記1に記載の加工情報表示装置。
(付記3)
前記制御部は、前記レーザ加工条件修正部で修正された修正加工条件を出力する修正加工条件出力部
をさらに含む上記付記2に記載の加工情報表示装置。
(付記4)
前記表示部は、前記入力部の機能を兼ねたタッチパネルとして構成される上記付記1~3のいずれか1項に記載の加工情報表示装置。
(付記5)
レーザ加工プログラムに基づいて、レーザ加工装置のレーザ加工の動作を制御する主制御装置と、前記レーザ加工を行う際の加工経路及びビームプロファイルを含む加工情報を表示する表示部を含む加工情報表示装置と、を備えたレーザ加工制御装置であって、
前記加工情報表示装置は、前記表示部に表示された前記加工経路上の特定の加工位置を選択して入力する入力部と、前記入力部から入力された前記加工位置に基づいて、当該加工位置における前記ビームプロファイルを決定する機能を有する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得する加工条件取得部と、前記レーザ加工条件から前記加工位置における選択加工条件を抽出する選択加工条件抽出部と、前記選択加工条件に基づいて、前記加工位置に対応する位置での前記ビームプロファイルを決定するプロファイル決定部と、を含む
レーザ加工制御装置。
(付記6)
前記入力部は、前記表示部に表示された前記ビームプロファイルに対する変更情報を入力できる機能をさらに有し、
前記制御部は、
前記変更情報に基づいて、前記ビームプロファイルを変更するプロファイル変更部と、
変更された前記ビームプロファイルを反映した前記レーザ加工条件の修正を行うレーザ加工条件修正部と、
をさらに含む
上記付記5に記載のレーザ加工制御装置。
(付記7)
前記制御部は、前記レーザ加工条件修正部で修正された修正加工条件を出力する修正加工条件出力部
をさらに含み、
前記主制御装置は、前記修正加工条件出力部からの前記修正加工条件に基づいて、前記レーザ加工プログラムを修正する機能をさらに有する
上記付記6に記載のレーザ加工制御装置。
(付記8)
前記表示部は、前記入力部の機能を兼ねたタッチパネルとして構成される
上記付記5~7のいずれか1項に記載のレーザ加工制御装置。
(付記9)
レーザ加工を行う際の加工経路を含む加工情報を加工情報表示装置に表示するステップと、
前記加工情報表示装置に表示された前記加工経路上の特定の加工位置を選択して入力するステップと、
前記加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得するステップと、
前記レーザ加工条件から前記加工位置における選択加工条件を抽出するステップと、
前記選択加工条件に基づいて、前記加工位置に対応する位置でのビームプロファイルを決定するステップと、
を含む一連のステップを実行することにより、前記加工情報表示装置に前記加工情報とともに前記ビームプロファイルを表示させる加工情報表示プログラム。
(付記10)
前記加工情報表示装置に表示された前記ビームプロファイルに対する変更情報を入力するステップと、
前記変更情報に基づいて、前記ビームプロファイルを変更するステップと、
変更された前記ビームプロファイルを反映した前記レーザ加工条件の修正を行うステップと、
をさらに含む
上記付記9に記載の加工情報表示プログラム。
(付記11)
修正された修正加工条件を出力するステップと、
前記修正加工条件に基づいて、前記レーザ加工を実行する加工プログラムを修正するステップと
をさらに含む
上記付記10に記載の加工情報表示プログラム。
【符号の説明】
【0083】
1 レーザ加工装置
10 レーザ発振器
12 伝送路
20 加工テーブル
30 加工ヘッド
32 ノズル
40 搬送機構
50 レーザ加工制御装置
52 主制御装置
54 ユーザインタフェース
100 加工情報表示装置
110 表示部
120 入力部
122 十字キー
124 ボタン部
124a 決定ボタン
124b 解除ボタン
130 制御部
132 表示指令部
133 加工条件取得部
134 選択加工条件抽出部
135 プロファイル決定部
140 外部記憶装置
200 加工情報表示装置
220 入力部
222 十字キー
224 キーパッド
230 制御部
232 表示指令部
233 加工条件取得部
234 選択加工条件抽出部
235 プロファイル決定部
236 プロファイル変更部
237 レーザ加工条件修正部
238 修正加工条件出力部
300 加工情報表示装置
310 表示ユニット
350 携帯端末
400 加工情報表示装置
410 表示部
430 制御部
432 表示指令部
433 加工条件取得部
434 選択加工条件抽出部
435 プロファイル決定部
【要約】
本開示は、レーザ加工を行う際の加工経路及びビームプロファイルを含む加工情報を表示する表示部と、表示された加工経路上の特定の加工位置を選択して入力する入力部と、入力された加工位置に基づいて、当該加工位置におけるビームプロファイルを決定する機能を有する制御部と、を備える加工情報表示装置である。そして、上記制御部は、加工経路を加工するためのレーザ加工条件を取得する加工条件取得部と、レーザ加工条件から上記加工位置における選択加工条件を抽出する選択加工条件抽出部と、上記選択加工条件に基づいて、上記加工位置に対応する位置でのビームプロファイルを決定するプロファイル決定部と、を含む。