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7295370情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20230614BHJP
   H04W 88/18 20090101ALI20230614BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20230614BHJP
   H04W 48/06 20090101ALI20230614BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W88/18
H04W24/02
H04W48/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018131787
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020010263
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-04-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省、「IoT共通基盤技術の確立・実証 II効率的かつ安定的なIoTデバイス接続・エリアネットワーク運用管理技術の確立」研究開発委託契約に基づく開発項目「エリアネットワーク運用管理技術に関する研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】矢野 愛
(72)【発明者】
【氏名】角田 潤
(72)【発明者】
【氏名】松倉 隆一
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-042458(JP,A)
【文献】特開2017-123124(JP,A)
【文献】特開2013-030871(JP,A)
【文献】特開2012-129805(JP,A)
【文献】特開2005-217548(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098205(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサノードと通信して、該センサノードで取得されたセンサ取得データを受信する情報処理装置であって、
前記センサノードとの間の通信の状態を示す通信性能データに基づいて、前記通信性能データが所定範囲に含まれるかを判断する判断部と、
前記通信性能データが前記所定範囲に含まれない場合に、前記通信性能データが前記所定範囲に含まれるように、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更する変更部と、
変更された前記取得間隔又は変更された前記種類を前記センサノードに通知する通信部と、
前記変更部が、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更した場合に、変更内容と、変更したことによる前記通信性能データの変化とを記録する記録部と、
を備え
前記変更部は、前記記録部が記録した情報に基づいて、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記通信性能データは、電波強度、リンク品質、パケットエラー率、ビットエラー率、応答時間、再送回数の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記センサ取得データの種類は、前記センサノードにおける、CPU使用率、メモリ使用率、HDD使用率、バッテリ残量、センサノード内温度、内部処理時間の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
センサノードと通信して、該センサノードで取得されたセンサ取得データを受信する情報処理装置のコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、
前記センサノードとの間の通信の状態を示す通信性能データに基づいて、前記通信性能データが所定範囲に含まれるかを判断し、
前記通信性能データが前記所定範囲に含まれない場合に、前記通信性能データが前記所定範囲に含まれるように、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更し、
変更された前記取得間隔又は変更された前記種類を前記センサノードに通知
前記変更する処理において、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更した場合に、変更内容と、変更したことによる前記通信性能データの変化とを記録する、処理を前記コンピュータに実行させ
前記変更する処理は、前記記録する処理で記録した情報に基づいて、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更する処理である、情報処理プログラム。
【請求項5】
センサノードと通信して、該センサノードで取得されたセンサ取得データを受信する情報処理装置のコンピュータが、
前記センサノードとの間の通信の状態を示す通信性能データに基づいて、前記通信性能データが所定範囲に含まれるかを判断し、
前記通信性能データが前記所定範囲に含まれない場合に、前記通信性能データが前記所定範囲に含まれるように、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更し、
変更された前記取得間隔又は変更された前記種類を前記センサノードに通知
前記変更する処理において、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更した場合に、変更内容と、変更したことによる前記通信性能データの変化とを記録する、処理を前記コンピュータが実行し、
前記変更する処理は、前記記録する処理で記録した情報に基づいて、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更する処理である、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、IoT(Internet of Things)の拡大に伴い、情報処理装置に対して、多種多様なデバイスが多種多様な通信方式で接続されるようになっている。このような状況においては、接続されるデバイスの種別、通信方式、周辺の無線状況、利用アプリ等により、発生する障害(例えば、デバイスのハードウェア障害やソフトウェア障害、通信障害)は様々となる。このため、時々刻々と変化するIoT環境においては、デバイスのハードウェア性能、ソフトウェア性能、通信性能等を監視し、障害判定を実行することが重要である。
【0003】
この場合、障害判定を高精度に実行するために高頻度で各種性能データを収集すると、ハードウェアや通信の負荷が大きくなる。一方、ハードウェアや通信の負荷にならない程度の頻度で各種性能データを収集すると、障害判定に不十分となるおそれがある。
【0004】
従来、通信量の履歴に基づいて、データ収集に伴うネットワーク負荷を平準化しつつ送信期限内のデータ収集を実現する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照)。また、ルータノードにおいて、CPUや通信装置の処理性能に応じた速度(制限転送レート)を予め設定し、制限転送レートに基づいて測定間隔や送信間隔を設定する技術が知られている(例えば、特許文献2等参照)。
【0005】
なお、基地局から移動局への送信をスケジューリングする技術として、特許文献3等に記載の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2015/107574号
【文献】特開2008-42458号公報
【文献】特開2009-153129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
住宅やオフィス等の一般の環境では、外乱(外からの電波侵入や遮蔽、干渉など)などの影響を受けて、デバイスのハードウェア性能、ソフトウェア性能、通信性能等が時々刻々と変化する。しかしながら、上述した特許文献1、2等の技術では、時々刻々と変化するデバイスのハードウェア性能、ソフトウェア性能、通信性能等を考慮して、障害判定に十分な各種性能データを収集することができない。
【0008】
1つの側面では、本発明は、性能データを取得する方式や取得する性能データの種類を適切に変更することが可能な情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様では、情報処理装置は、センサノードと通信して、該センサノードで取得されたセンサ取得データを受信する情報処理装置であって、前記センサノードとの間の通信の状態を示す通信性能データに基づいて、前記通信性能データが所定範囲に含まれるかを判断する判断部と、前記通信性能データが前記所定範囲に含まれない場合に、前記通信性能データが前記所定範囲に含まれるように、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更する変更部と、変更された前記取得間隔又は変更された前記種類を前記センサノードに通知する通信部と、前記変更部が、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更した場合に、変更内容と、変更したことによる前記通信性能データの変化とを記録する記録部と、を備え、前記変更部は、前記記録部が記録した情報に基づいて、前記センサノードにおける前記センサ取得データの取得間隔又は前記情報処理装置が受信する前記センサ取得データの種類を変更する
【発明の効果】
【0010】
性能データを取得する方式や取得する性能データの種類を適切に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの構成を概略的に示す図である。
図2図2(a)は、ゲートウェイのハードウェア構成を示す図であり、図2(b)は、サーバのハードウェア構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るセンサノード、ゲートウェイ及びサーバの機能ブロック図である。
図4】設計情報DB34のデータ構造の一例を示す図である。
図5】性能値DBのデータ構造の一例を示す図である。
図6】ギャップ有無判定部の処理を示すフローチャートである。
図7】取得方式DBのデータ構造の一例を示す図である。
図8】各種性能値が設計範囲に対してギャップを有する場合の、データ取得方式決定部の処理をまとめた表である。
図9】第1の実施形態に係るデータ取得方式決定部の処理を示すフローチャートである。
図10】第2の実施形態に係るデータ取得方式決定部の処理を示すフローチャートである。
図11】第3の実施形態に係るセンサノード、ゲートウェイ及びサーバの機能ブロック図である。
図12】第3の実施形態の履歴DBのデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪第1の実施形態≫
以下、情報処理システムの第1の実施形態について、図1図9に基づいて詳細に説明する。
【0013】
図1には、第1の実施形態に係る情報処理システム100の構成が概略的に示されている。情報処理システム100は、インターネットなどのネットワーク80に接続された情報処理装置としてのゲートウェイ10及びサーバ60と、ハブ120を介してゲートウェイ10に有線接続された設計ツール110、センサノード70及びアクセスポイント130と、アクセスポイント130及びハブ120経由でゲートウェイ10と無線通信可能なセンサノード70と、を備える。
【0014】
センサノード70は、センサと、データ処理機能や通信機能を実装した装置である。例えば、センサノード70は、製造工場内に設置され、温度、湿度、振動などを計測し、計測値をゲートウェイ10に対して有線通信にて送信したり、アクセスポイント130経由でゲートウェイ10に対して無線通信にて送信する。また、センサノード70は、センサノード70自体の性能(ハードウェア性能、ソフトウェア性能、通信性能)を示す性能データ(性能値)を計測する。なお、性能値の種別(ハードウェア性能、ソフトウェア性能、通信性能)を、以下においては、カテゴリとも呼ぶものとする。
【0015】
図3には、センサノード70とゲートウェイ10の機能ブロック図が示されている。図3に示すように、センサノード70は、1又は複数のセンサ72と、制御部74と、を備える。
【0016】
センサ72は、温度や湿度などを計測するセンサや、振動を計測するセンサなどを含む。
【0017】
制御部74は、CPU(Central Processing Unit)がプログラムを実行することにより、性能値計測部75、センサ計測部76、通信部77の機能を有する。性能値計測部75は、通信部77を介してゲートウェイ10(性能値取得部12)から通知されたサンプリング間隔と取得コマンドに基づいて、センサノード70のハードウェアやソフトウェアの性能を示す性能データの値(性能値)を計測する。なお、ハードウェアやソフトウェアの性能を示す性能データ、すなわちカテゴリが「ハードウェア性能」や「ソフトウェア性能」である性能データには、例えば、CPU使用率、メモリ使用率、HDD(Hard Disk Drive)使用率、バッテリ残量、センサノード内温度、内部処理時間などが含まれる。なお、カテゴリが「ハードウェア性能」や「ソフトウェア性能」である性能データを、以下においては、「端末性能情報」とも呼ぶものとする。
【0018】
また、性能値計測部75は、ゲートウェイ10(性能値取得部12)から通信性能を示す性能データの値(性能値)を取得するためのコマンド(サンプリングコマンド)を受信したときに、通信性能を示す性能値を計測する。なお、通信性能を示す性能データ、すなわちカテゴリが「通信性能」である性能データには、電波強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、リンク品質(LQ:Link Quality)、パケットエラー率(PER:Packet Error Rate)、ビットエラー率(BER:Bit Error Rate)、応答時間、再送回数、チャネル利用率、アクティブノード数などが含まれる。なお、カテゴリが「通信性能」である性能データを、以下においては、「通信性能情報」とも呼ぶものとする。
【0019】
センサ計測部76は、ゲートウェイ10(センサ計測値取得部13)から通知されたサンプリング間隔と取得コマンドで、センサ72による計測値(センサ計測値)を取得する。
【0020】
性能値計測部75及びセンサ計測部76は、性能値取得部12やセンサ計測値取得部13から通知されたデータ送信間隔ごとに、未送信のデータをまとめて通信部77を介して送信する。なお、性能値計測部75及びセンサ計測部76は、性能値取得部12やセンサ計測値取得部13からデータ要求コマンドを受信したときに、未送信のデータをまとめて、通信部77を介してゲートウェイ10に向けて送信することとしてもよい。
【0021】
設計ツール110は、センサノード70やアクセスポイント130としてどのような機器を用い、どのような場所に設置するか等を設計する際に用いられる情報処理装置である。設計ツール110は、設計時におけるセンサノード70やアクセスポイント130の性能情報をハブ120経由でゲートウェイ10に対して定期的に又は不定期に送信する。
【0022】
ゲートウェイ10は、例えば、製造工場内などに設置される装置である。ゲートウェイ10は、センサノード70において計測された性能値やセンサ計測値を受信し、受信した値に基づいて、センサノードを用いた性能値の取得方式(以下、「データ取得方式」と呼ぶ)を決定する。また、ゲートウェイ10は、データ取得方式を変更したという情報をネットワーク80を介してサーバ60に通知する。
【0023】
図2(a)には、ゲートウェイ10のハードウェア構成が示されている。図2(a)に示すように、ゲートウェイ10は、CPU90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、記憶部(ここではHDD)96、通信部97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。ゲートウェイ10の構成各部は、バス98に接続されている。ゲートウェイ10では、ROM92あるいはHDD96に格納されているプログラム(情報処理プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラム(情報処理プログラムを含む)をCPU90が実行することにより、図3に示す各部の機能が実現される。なお、図3の各部の詳細については、後述する。
【0024】
サーバ60は、ゲートウェイ10から情報を受信すると、受信した情報に基づく処理を実行する装置である。図2(b)には、サーバ60のハードウェア構成が示されている。サーバ60は、図2(b)に示すように、CPU190、ROM192、RAM194、記憶部(HDD)196、通信部197、表示部193、入力部195、及び可搬型記憶媒体191の読み取りが可能な可搬型記憶媒体用ドライブ199等を備えている。サーバ60の構成各部は、バス198に接続されている。表示部193は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部195は、キーボード、マウス、タッチパネル等を含む。サーバ60では、CPU190がプログラムを実行することにより、障害判定部62、障害対応部64としての機能が実現されている。なお、障害判定部62及び障害対応部64の各部の詳細については後述する。
【0025】
次に、ゲートウェイ10の機能について、図3に基づいて詳細に説明する。図3に示すように、ゲートウェイ10は、CPU90がプログラムを実行することで、通信部11、設計情報取得部15、取得部としての性能値取得部12、センサ計測値取得部13、判断部としてのギャップ有無判定部14、変更部としてのデータ取得方式決定部16、通知部17として機能する。なお、図3において図示されている、性能値DB30、計測値DB32、設計情報DB34、取得方式DB36は、HDD96等に格納されている。
【0026】
設計情報取得部15は、設計ツール110から定期的に又は不定期に送信されてくる設計情報を受信して、設計情報を設計情報DB34に格納する。ここで、設計情報DB34は、図4に示すようなデータ構造を有する。図4に示すように、設計情報DB34は、「デバイスID」、「親デバイスID」、「設置位置(X座標、Y座標)」、「受信信号強度(RSSI)」等のフィールドを有する。
【0027】
「デバイスID」のフィールドには、センサノード70やアクセスポイント130の識別情報が格納される。「親デバイスID」のフィールドには、センサノード70やアクセスポイント130が接続されているデバイスの識別情報が格納される。「設置位置(X座標、Y座標)」のフィールドには、設計ツール110が設計した各デバイスの設置位置(X座標、Y座標)が格納される。「受信信号強度」のフィールドには、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)の設計値の上限及び下限、すなわち設計範囲が格納される。なお、設計情報DB34には、RSSI以外の設計範囲の情報も格納されている。RSSI以外の設計範囲としては、例えば、通信性能情報である、リンク品質(LQ)、パケットエラー率(PER)、ビットエラー率(BER)、応答時間、再送回数、チャネル利用率、アクティブノード数や、端末性能情報である、CPU使用率、メモリ使用率、HDD使用率、バッテリ残量、センサノード内温度、内部処理時間などが含まれる。
【0028】
性能値取得部12は、後述するデータ取得方式決定部16から通知されるデータの取得方式(サンプリング間隔、取得タイミング、データ送信間隔、取得性能値)を受信する。また、性能値取得部12は、端末性能情報を取得する場合に、通信部11を介して、センサノード70にサンプリング間隔(性能値の計測間隔)と、取得タイミング(何秒を起点にサンプリングスタートするか)と、データ送信間隔(性能値の送信間隔)と、取得性能値(どの種類の性能値を取得するか)を通知する。そして、性能値取得部12は、センサノード70から送信されてきた各種性能値を取得し、性能値DB30に格納する。また、性能値取得部12は、通信性能情報を取得する場合には、センサノード70やネットワークに対して、サンプリング間隔、取得タイミングで、指定されたコマンドを通知し、センサノード70やネットワークから送信されてきた各種性能値を取得し、性能値DB30に格納する。また、性能値取得部12は、性能値DB30を更新した場合には、ギャップ有無判定部14に対して性能値DB30の更新を通知する。
【0029】
なお、性能値取得部12は、データ取得方式決定部16から通知されたデータ送信間隔で、性能値をセンサノード70に要求する場合には、データ送信間隔はセンサノード70に通知しないこととする。また、性能値取得部12は、性能値に変化があるときだけセンサノード70から性能値を受信する場合にも、データ送信間隔をセンサノード70に通知しないこととする。
【0030】
図5には、性能値DB30のデータ構造が示されている。図5に示すように、性能値DB30は、「デバイスID」、「タイムスタンプ」、「RSSI」、「LQ」、「応答時間」、「再送回数」、「バッテリ残量」などのフィールドを有する。「デバイスID」のフィールドには、性能値の取得先であるデバイス(センサノード70やアクセスポイント130)の識別情報が格納される。「タイムスタンプ」のフィールドには、性能値の取得日時が格納される。「RSSI」、「LQ」…のフィールドには、各性能値のデータが格納される。
【0031】
図3に戻り、センサ計測値取得部13は、データ取得方式決定部16から通知された取得コマンド、サンプリング間隔、データ送信間隔をセンサノード70(センサ計測部76)に通知し、センサノード70から、センサ72が計測したデータ(センサ計測値)を受信する。また、センサ計測値取得部13は、受信したセンサ計測値を計測値DB32に格納する。計測値D32には、性能値DB30と同様、「デバイスID」及び「タイムスタンプ」のフィールドが存在するとともに、各種センサ計測値を格納するフィールド(「温度」、「湿度」、「振動」…等のフィールド)が存在するものとする。
【0032】
なお、センサ計測値取得部13が、データ取得方式決定部16から通知されたデータ送信間隔でセンサ計測値の送信をセンサノード70に要求する場合には、センサ計測値取得部13はセンサノード70にデータ送信間隔を通知しないものとする。また、センサ計測値に変化があるときだけセンサノード70がセンサ計測値取得部13に対してセンサ計測値を送信する場合には、センサ計測値取得部13は、センサノード70にデータ送信間隔を通知しないものとする。
【0033】
ギャップ有無判定部14は、性能値取得部12から性能値DB30の更新通知を受信すると、性能値DB30から直近の性能値を取得する。また、ギャップ有無判定部14は、設計情報DB34から、取得した性能値に対応する設計情報を読み出し、設計範囲から逸脱していないか、すなわち設計範囲に対してギャップが無いかを判定する。ギャップ有無判定部14は、設計範囲から逸脱している(ギャップが有る)と判定した場合に、デバイスID、性能値名、性能値、設計範囲を、データ取得方式決定部16に通知する。ここで「設計範囲から逸脱する」とは、例えば、性能値の取得失敗があった場合や、性能値が設計範囲から外れた場合、性能値が閾値を超えた場合などを含む。なお、ギャップ有無判定部14は、性能値DB30から直近の性能値を複数取得し、取得した複数の性能値の平均値や分散値等の特徴量に基づいて、設計範囲から逸脱しているかを判断してもよい。
【0034】
(ギャップ有無判定部14の処理)
ここで、ギャップ有無判定部14の具体的な処理について、図6のフローチャートに沿って説明する。
【0035】
図6の処理では、まず、ステップS22において、ギャップ有無判定部14が、性能値DB30が更新されるまで待機する。すなわち、ギャップ有無判定部14は、性能値取得部12から性能値DB30の更新通知を受信すると、ステップS24に移行する。
【0036】
ステップS24に移行すると、ギャップ有無判定部14は、性能値DB30から最新の性能値を取り出す。
【0037】
次いで、ステップS26では、ギャップ有無判定部14が、デバイスID及び性能値に対応する設計範囲が設計情報DB34に存在しているか否かを判断する。このステップS26の判断が否定された場合には、ステップS22に戻るが、肯定された場合には、ステップS28に移行する。
【0038】
ステップS28に移行すると、ギャップ有無判定部14は、デバイスID及び性能範囲に対応する設計範囲を設計情報DB34から取得する。
【0039】
次いで、ステップS30では、ギャップ有無判定部14が、最新の性能値が設計範囲から逸脱しているか否かを判断する。例えば、ギャップ有無判定部14が取得した最新性能値が、図5のデバイスID=「ED01001」のデバイスにおいて時刻=「2016/1/1 00:00:00.400」に取得されたRSSI=「-65」(太線枠で示す性能値)であったとする。このとき、デバイスID=「ED01001」のRSSIの設計範囲は、図4に示すように-61~-55であるため、ギャップ有無判定部14は設計範囲から逸脱していると判断する。この場合、ステップS30の判断は肯定され、ステップS32に移行する。一方、ステップS30の判断が否定された場合には、ステップS22に戻る。
【0040】
ステップS30の判断が肯定され、ステップS32に移行すると、ギャップ有無判定部14は、データ取得方式決定部16にデバイスID、性能値、設計範囲を通知する。その後は、ステップS22に戻る。
【0041】
以降、ステップS22~S32の処理・判断が繰り返し実行され、性能値が設計範囲から逸脱している度に、ギャップ有無判定部14からデータ取得方式決定部16に対して通知が行われるようになっている。
【0042】
図3に戻り、データ取得方式決定部16は、ギャップ有無判定部14から、性能値が設計範囲から逸脱している旨の通知(ギャップ有の通知)を受信した場合に、取得方式DB36からギャップ有のデバイスの取得方式に関する情報を取得し、取得した取得方式を変更する処理を実行する。
【0043】
ここで、取得方式DB36には、図7に示すように、デバイスIDごとに、サンプリング間隔、取得タイミング、データ送信間隔、取得性能値等が関連付けて記憶されている。なお、図7の取得性能値の欄において、「C」はCPU負荷、「M」はメモリ使用率、「H」はHDD使用率を意味する。また、「RS」はRSSI、「L」はLQ、「RT」は応答時間を意味する。
【0044】
図8は、各種性能値が設計範囲に対してギャップを有する場合の、データ取得方式決定部16の処理をまとめた表である。以下、図8について説明する。
【0045】
(端末性能値について)
データ取得方式決定部16は、例えば、端末性能値が設計範囲に対して悪い方にギャップがある場合には、図8に示すような順で取得方式を変更する。
【0046】
(1) サンプリング間隔を徐々に長くする(ただし、悪化や障害の判定に最低限必要な間隔を限度(リミット)とする)。
(2) (1)の変更ではギャップが解消されない場合、取得する性能値の種類を徐々に減らす(ただし、悪化や障害の判定に最低限必要な数を限度とする)。
(3) (2)でもギャップが解消されない場合、デバイス内部のログ情報を別途取得し解析する。
【0047】
一方、端末性能値が設計範囲に対して良い方にギャップがある場合又はギャップがない場合には、データ取得方式決定部16は、図8に示すように取得方式を変更しないこととする。
【0048】
(通信性能値について)
データ取得方式決定部16は、通信性能値が設計範囲に対して悪い方にギャップがある場合には、図8に示すような順で取得方式を変更する。
【0049】
(1) 送信間隔を徐々に長くする(ただし、悪化や障害の判定に最低限必要な間隔を限度とする)。
(2) (1)の変更ではギャップが解消されない場合、取得する性能データを徐々に減らす(ただし、悪化や障害の判定に最低限必要な数を限度とする)。
(3) (2)でもギャップが解消されない場合、無線のチャネル内の通信パケット情報を別途取得し解析する。
(4) (3)でもギャップが解消されない場合、同一ネットワーク内のギャップ無しデバイス又は良い方にギャップが有るデバイスの通信性能値の取得タイミングをずらす。
(5) (4)でもギャップが解消されない場合、同一ネットワーク内のギャップ無しデバイス又は良い方にギャップが有るデバイスの送信間隔を徐々に長くする。
(6) (5)でもギャップが解消されない場合、同一ネットワーク内のギャップ無しデバイス又は良い方にギャップが有るデバイスの、取得性能値を徐々に減らす。
【0050】
一方、通信性能値が設計範囲に対して良い方にギャップがある場合又はギャップがない場合には、データ取得方式決定部16は、図8に示すように取得方式を変更しないこととする。
【0051】
なお、「徐々に長くする」や「徐々に減らす」は、一定値ごとに変化させることとしてもよいし、例えばリミット値と現在値との中間値(平均値)まで変化させることとしてもよい。
【0052】
(データ取得方式決定部16の処理について)
ここで、データ取得方式決定部16の具体的な処理について、図9のフローチャートに沿って説明する。
【0053】
図9の処理では、まず、ステップS40において、データ取得方式決定部16が、ギャップ有無判定部14から通知を受信するまで待機する。すなわち、設計範囲に対してギャップがある性能値に関する通知(デバイスID、性能値、設計範囲)を受信すると、データ取得方式決定部16は、ステップS42に移行する。
【0054】
ステップS42に移行すると、データ取得方式決定部16は、通知に対応するデバイスの収集方式を取得方式DB36から取得する。次いで、ステップS44では、データ取得方式決定部16が、通知された性能値が端末性能情報であるか否かを判断する。性能値の種類が端末性能情報であった場合には、ステップS46に移行するが、性能値の種類が通信性能情報であった場合には、ステップS60に移行する。
【0055】
ステップS46に移行した場合、データ取得方式決定部16は、性能値が設計範囲に対して悪い方にギャップがあるか否かを判断する。このステップS46の判断が否定された場合(良い方にギャップがある場合)には、ステップS40に戻るが、肯定された場合(悪い方にギャップがある場合)には、ステップS48に移行する。
【0056】
ステップS48に移行すると、データ取得方式決定部16は、サンプリング間隔のリミットに達しているか否かを判断する。このステップS48の判断が否定された場合には、ステップS50に移行し、サンプリング間隔を長く調整する。その後は、ステップS40に戻る。なお、サンプリング間隔を長く調整しても悪い方にギャップがある場合には、再度ステップS50の処理が実行される。すなわち、本実施形態では、ギャップが解消されるまで又はサンプリング間隔のリミットに達するまで、サンプリング間隔を徐々に長く調整しているといえる。
【0057】
一方、ステップS48の判断が肯定されると、データ取得方式決定部16は、ステップS52に移行する。ステップS52に移行すると、データ取得方式決定部16は、取得性能値数(種類数)が最小(悪化や障害の判定に最低限必要な数)か否かを判断する。このステップS52の判断が否定された場合には、ステップS54に移行し、データ取得方式決定部16は、取得性能値の種類を減らす。その後は、ステップS40に戻る。なお、取得性能値を減らしても悪い方にギャップがある場合には、再度ステップS54の処理が実行される。すなわち、本実施形態では、ギャップが解消されるまで又は取得性能値の数が最低限必要な数に達するまで、取得性能値の数を徐々に少なく調整しているといえる。
【0058】
これに対し、ステップS52の判断が肯定された場合には、ステップS56に移行する。ステップS56に移行すると、データ取得方式決定部16は、センサノード70内部のログ情報を取得する。これにより、データ取得方式決定部16はログ情報を解析することができるため解析結果に応じた対策を講じることが可能となる。その後は、ステップS40に戻る。
【0059】
ところで、ステップS44の判断が否定された場合、すなわち、性能値が通信性能情報であった場合には、ステップS60に移行し、データ取得方式決定部16は、性能値が設計範囲に対して悪い方にギャップがあるか否かを判断する。このステップS60の判断が否定された場合には、ステップS40に戻るが、肯定された場合には、ステップS62に移行する。
【0060】
ステップS62に移行すると、データ取得方式決定部16が、送信間隔のリミットか否かを判断する。このステップS62の判断が否定されると、ステップS64に移行し、データ取得方式決定部16は、送信間隔を長く調整する。その後は、ステップS40に戻る。なお、送信間隔を長く調整しても悪い方にギャップがある場合には、再度ステップS64の処理が実行される。すなわち、本実施形態では、ギャップが解消されるまで又は送信間隔のリミットに達するまで、送信間隔を徐々に長く調整しているといえる。
【0061】
一方、ステップS62の判断が肯定され、ステップS66に移行すると、データ取得方式決定部16が、取得性能値数が最小か否かを判断する。ここでの判断が否定されると、ステップS68に移行し、データ取得方式決定部16が、取得性能値を減らす。その後は、ステップS40に戻る。なお、取得性能値を減らしても悪い方にギャップがある場合には、再度ステップS68の処理が実行される。すなわち、本実施形態では、ギャップが解消されるまで又は取得性能値の数が最低限必要な数に達するまで、取得性能値の数を徐々に少なく調整しているといえる。
【0062】
これに対し、ステップS66の判断が肯定された場合には、ステップS70に移行し、データ取得方式決定部16が、同一ネットワーク内の通信パケット情報を取得する。これにより、データ取得方式決定部16は通信パケット情報を解析することができるため解析結果に応じた対策を講じることが可能となる。
【0063】
次いで、ステップS72では、データ取得方式決定部16が、ステップS70の結果、改善が無かったか否かを判断する。このステップS72の判断が否定された場合(改善があった場合)には、ステップS40に戻るが、肯定された場合には、ステップS74に移行する。
【0064】
ステップS74に移行すると、データ取得方式決定部16は、同一ネットワーク内の他のデバイスを調整する。具体的には、データ取得方式決定部16は、まず、同一ネットワーク内のギャップ無しのデバイス又は良い方にギャップが有るデバイスの通信性能値を取得するタイミングをずらす。また、通信性能値の取得タイミングをずらすだけではギャップが解消されない場合には、データ取得方式決定部16は、同一ネットワーク内のギャップ無しのデバイス又は良い方にギャップが有るデバイスの送信間隔を徐々に長くする。また、これでもギャップが解消されない場合には、同一ネットワーク内のギャップ無しのデバイス又は良い方にギャップが有るデバイスの取得性能値を徐々に減らす。このような処理を行った後は、ステップS40に戻る。
【0065】
図3に戻り、通知部17は、データ取得方式決定部16の処理の結果、サーバ60に対して通知する必要がある情報をサーバ60に通知する。例えば、通知部17は、サンプリング間隔が変わった場合、障害判定アルゴリズムに影響を与える可能性が高いため、変更後のサンプリング間隔をサーバ60の障害判定部62に通知してもよい。ここで、サーバ60の障害判定部62は、性能値DB30の性能値に基づいて異常が発生したことを検知する。また、障害判定部62は、異常が発生したセンサノード70において計測された直近データ(タイムスタンプが異常判定の時刻から近いデータ)を性能値DB30から1個以上(X個)取得して分析し、障害内容を特定する。障害判定部62は、通知部17から変更後のサンプリング間隔を受け取った場合には、当該サンプリング間隔を考慮して、性能値を分析する。
【0066】
また、通知部17は、ギャップ解消ができなかった場合、根本的な障害対処が必要な場合が多いため、その旨をサーバ60の障害対応部64に通知してもよい。ここで、サーバ60の障害対応部64は、障害判定部62が特定した障害を解消するための処理を行うが、通知部17からギャップが解消できなかった旨の通知を受けた場合には、ギャップを解消するための処理も行うこととする。
【0067】
また、通知部17は、取得方式を変更した場合に、管理者が保有する端末や運用アプリにその旨通知してもよい。また、通知部17は、取得方式を変更した場合、もしくはギャップ解消ができなかった場合に、再設計を促すため、設計ツール110に対してその旨を通知してもよい。
【0068】
以上、詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、性能値取得部12は、センサノード70との間の通信に関する性能値(通信性能情報)及びセンサノード70に関する性能値(端末性能情報)を取得し、ギャップ有無判定部14は、設計時の性能範囲(設計範囲)を格納する設計情報DB34を参照して、取得した性能値が設計範囲に含まれるかを判断する(S30)。そして、データ取得方式決定部16は、取得した性能値が設計範囲から逸脱している場合に、取得した性能値が設計範囲に含まれるように、性能値の取得方式を段階的に変更する(S48~S56、S62~S74)。このように、性能値の設計範囲に対するギャップの有無に基づいて、ギャップが解消するように性能値の取得方式を段階的に変更することで、時々刻々と変化するIoT環境において、デバイスや通信に対してあまり負荷をかけずに、性能悪化や障害の検知・判定を高精度に行うのに十分な性能値を取得できるようになる。
【0069】
ここで、IoTシステムを導入設置する場合、電波が十分に届き、データ通信がサービス要件を満たすか事前検証したうえで、設計通りに各デバイスを設置する方法が従来から知られている。このような方法として、(1)無線設計支援シミュレーションや、(2)無線電波可視化/サイトサーベイが知られている。(1)無線設計支援シミュレーションは、壁、ドア、大きな什器や装置、人の動線等の情報が入ったフロアマップ図をもとに、無線中継器やデバイスの最適な配置位置や数を判定する方法である。また、(2)無線電波可視化/サイトサーベイは、設置現場に人が無線電波可視化/サイトサーベイツールを持ち込み、各所の電波強度等の電波品質を測定し、無線中継器やデバイスの最適な配置位置や数を判定する方法である。(1)の場合、周囲を飛び交う無線電波などの外乱を考慮できないため、設計通りの無線通信性能が出ないおそれがある。また、(2)の場合、現場の周囲を飛び交う無線も合わせて可視化できるものの、電波状況は時々刻々と変化するため、1回ツールを動作させただけでは日常の無線状況を捉えることはできない。これに対し、本第1の実施形態では、性能値の設計範囲に対するギャップを常時判定し、判定結果に基づいて性能値の取得方式を逐一変更するので、時々刻々と変化するIoT環境に対応して、適切な性能値の取得方式を決定することができる。
【0070】
また、本第1の実施形態では、データ取得方式決定部16は、予め定められた順序(図8参照)に従って取得方式を変更する。これにより、簡易に、デバイスや通信にあまり負荷をかけずに十分な性能値を取得することが可能な取得方式に変更することが可能である。
【0071】
なお、上記第1の実施形態では、データ取得方式決定部16が、図8に示す順序に従って取得方式を変更する場合について説明したが、これに限らず、図8の順序を一部変更してもよい。
【0072】
《第2実施形態》
以下、第2の実施形態について、図10に基づいて説明する。上述した第1の実施形態では、性能値が設計範囲に対して良い方にギャップを有する場合(S46、S60が否定された場合)には、データ取得方式決定部16は取得方式の変更は行わないこととしたが、本第2の実施形態では、良い方にギャップを有する場合にも取得方式の変更を行うこととしている。
【0073】
本第2の実施形態では、図10のフローチャートに沿った処理を実行する。図10の処理では、ステップS46の判断が否定された場合(良い方にギャップがある場合)に、データ取得方式決定部16は、ステップS47A~S47Cを実行する。また、ステップS60の判断が否定された場合(良い方にギャップがある場合)に、データ取得方式決定部16は、ステップS61A~S61Cを実行する。
【0074】
(ステップS47A~S47Cの処理)
ステップS46の判断が否定された場合、ステップS47Aに移行し、データ取得方式決定部16は、サンプリング間隔のリミット(それ以上サンプリング間隔を短くできない状態)に達しているか否かを判断する。このステップS47Aの判断が否定された場合には、ステップS47Bに移行し、サンプリング間隔を短く調整する。その後は、ステップS40に戻る。なお、サンプリング間隔を短く調整しても良い方にギャップがある場合には、再度ステップS47Bの処理が実行される。すなわち、本実施形態では、ギャップが無くなるまで又はサンプリング間隔のリミットに達するまで、サンプリング間隔を徐々に短く調整しているといえる。なお、サンプリング間隔を調整する際には、一定値ずつ調整してもよいし、例えばリミット値と現在値との中間値(平均値)まで変化させることとしてもよい。
【0075】
一方、ステップS47Aの判断が肯定された場合には、データ取得方式決定部16は、ステップS47Cに移行する。ステップS47Cでは、データ取得方式決定部16は、取得性能値を増やす。なお、このステップS47Cにおいても、前述したステップS52、S54のように、取得可能な性能値の種類数の最大限まで、取得性能値を徐々に増やすことができる。ステップS47Cの後は、データ取得方式決定部16は、ステップS40に戻る。
【0076】
(ステップS61A~A61Cの処理)
ステップS60の判断が否定された場合、ステップS61Aに移行し、データ取得方式決定部16は、送信間隔のリミット(それ以上送信間隔を短くできない状態)に達しているか否かを判断する。このステップS61Aの判断が否定された場合には、ステップS61Bに移行し、送信間隔を短く調整する。なお、送信間隔を調整する際には、一定値ずつ調整してもよいし、例えばリミット値と現在値との中間値(平均値)まで変化させることとしてもよい。一方、ステップS61Aの判断が肯定された場合には、データ取得方式決定部16は、ステップS61Cに移行する。ステップS61Cでは、データ取得方式決定部16は、ステップS47Cと同様、取得性能値を増やす。
【0077】
その他の処理については、第1の実施形態の処理(図9の処理)と同様となっている。
【0078】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、データ取得方式決定部16は、取得した性能値が設計範囲よりも良い性能を示す値であった場合にも、性能値の取得方式を変更することとしている。これにより、必要以上に詳細な性能値を取得しないようにすることができるので、性能値取得の効率化を図ることが可能である。
【0079】
なお、上記第2の実施形態では、データ取得方式決定部16が、図10に示す順序に従って取得方式を変更する場合について説明したが、これに限らず、図10の順序を一部変更して、取得方式を変更することとしてもよい。
【0080】
《第3の実施形態》
以下、第3の実施形態について、図11図12に基づいて説明する。本第3の実施形態では、図11に示すように、ゲートウェイ10が、ギャップ有無判定部14とデータ取得方式決定部16が更新可能な履歴DB38を備えている点に特徴を有している。
【0081】
図12には、履歴DB38のデータ構造が示されている。履歴DB38には、どのデバイスのどの性能値に設計範囲に対してギャップがあった場合に、どのように取得方式を変更することでギャップや性能値がどのように変化したかの情報が格納される。なお、図12の履歴DB38に格納されている情報は、CPU負荷が「70」であり、悪い方にギャップがあったため、サンプリング間隔を500msから750msに変更した結果、CPU負荷が「47」になり、ギャップがなくなったという情報である。
【0082】
なお、図12のうち、下線を付して示している情報は、ギャップ有無判定部14が登録する情報であり、それ以外の情報は、データ取得方式決定部16が登録する情報である。すなわち、本第3の実施形態では、ギャップ有無判定部14と、データ取得方式決定部16とにより、取得方式の変更内容と、変更による性能値の変化とを記録する記録部としての機能が実現されている。
【0083】
本第3の実施形態では、図9図10の処理を実行する際に、データ取得方式決定部16は、履歴DB38を参照して、取得方式を変更する。例えば、履歴DB38に情報が蓄積されると、ある種類のデバイスについては、どの取得方式をどの程度変更すればギャップが「悪」から「無」になるのかを推定できるようになるため、データ取得方式決定部16は、その情報に基づいて取得方式を変更するようにすればよい。また、履歴DB38から、ある取得方式を変更してもギャップ解消に効果がないことがわかる場合には、その変更方式の変更を省略するようにしてもよい。
【0084】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、データ取得方式決定部16は、取得方式を変更した場合に、変更内容と、変更したことによる性能値の変化とを履歴DB38に記録する。そして、データ取得方式決定部16は、履歴DB38に基づいて取得方式を変更する。これにより、過去の履歴を参考にして、効果の高い方法で取得方式を変更することが可能となる。
【0085】
なお、上記各実施形態では、サーバ60が障害判定部62及び障害対応部64を有する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、障害判定部62と障害対応部64の少なくとも一方を、ゲートウェイ10が有していてもよい。
【0086】
なお、上記各実施形態では、ゲートウェイ10が有する各機能をサーバ60が有していてもよい。また、ゲートウェイ10が有する機能の一部(例えばギャップ有無判定部14、設計情報取得部15、データ取得方式決定部16)をサーバ60が有していてもよい。
【0087】
なお、上記各実施形態では、センサノード70が製造工場内に設置される場合について説明したが、これに限らず、センサノード70は、その他の様々な場所に設置されることとしてもよい。
【0088】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0089】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0090】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0091】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0092】
なお、以上の第1~第3の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) センサノードと通信して該センサノードで計測された計測値を取得する情報処理装置であって、
前記センサノードとの間の通信に関する性能データ及び/又は前記センサノードに関する性能データを取得する取得部と、
設計時の前記性能データを格納する記憶部を参照して、取得した前記性能データが設計時の前記性能データに基づく所定範囲に含まれるかを判断する判断部と、
取得した前記性能データが前記所定範囲に含まれない場合に、取得した前記性能データが前記所定範囲に含まれるように、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を段階的に変更する変更部と、を備える情報処理装置。
(付記2) 前記変更部は、予め定められた順序に従って、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を段階的に変更することを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
(付記3) 前記変更部は、取得した前記性能データが前記所定範囲よりも悪い性能を示す値であった場合に、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を段階的に変更することを特徴とする付記1又は2に記載の情報処理装置。
(付記4) 前記変更部は、取得した前記性能データが前記所定範囲よりも良い性能を示す値であった場合にも、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を段階的に変更することを特徴とする付記3に記載の情報処理装置。
(付記5) 前記変更部が、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を変更した場合に、変更内容と、変更したことによる前記性能データの変化とを記録する記録部を更に備え、
前記変更部は、前記記録部が記録した情報に基づいて、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を変更する、ことを特徴とする付記1~4のいずれかに記載の情報処理装置。
(付記6) センサノードと通信して該センサノードで計測された計測値を取得する情報処理装置のコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであって、
前記センサノードとの間の通信に関する性能データ及び/又は前記センサノードに関する性能データを取得し、
設計時の前記性能データを格納する記憶部を参照して、取得した前記性能データが設計時の前記性能データに基づく所定範囲に含まれるかを判断し、
取得した前記性能データが前記所定範囲に含まれない場合に、取得した前記性能データが前記所定範囲に含まれるように、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を段階的に変更する、
処理を前記コンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
(付記7) 前記変更する処理は、予め定められた順序に従って、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を段階的に変更することを特徴とする付記6に記載の情報処理プログラム。
(付記8) 前記変更する処理は、取得した前記性能データが前記所定範囲よりも悪い性能を示す値であった場合に実行されることを特徴とする付記6又は7に記載の情報処理プログラム。
(付記9) 前記変更する処理は、取得した前記性能データが前記所定範囲よりも良い性能を示す値であった場合にも実行されることを特徴とする付記8に記載の情報処理プログラム。
(付記10) 前記変更する処理において、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を変更した場合に、変更内容と、変更したことによる前記性能データの変化とを記録する処理を前記コンピュータに更に実行させ、
前記変更する処理では、前記記録する処理で記録した情報に基づいて、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を変更する、ことを特徴とする付記6~9のいずれかに記載の情報処理プログラム。
(付記11) センサノードと通信して該センサノードで計測された計測値を取得する情報処理装置のコンピュータが、
前記センサノードとの間の通信に関する性能データ及び/又は前記センサノードに関する性能データを取得し、
設計時の前記性能データを格納する記憶部を参照して、取得した前記性能データが設計時の前記性能データに基づく所定範囲に含まれるかを判断し、
取得した前記性能データが前記所定範囲に含まれない場合に、取得した前記性能データが前記所定範囲に含まれるように、前記性能データを取得する方式及び/又は取得する前記性能データの種類を段階的に変更する、
処理を実行することを特徴とする情報処理方法。
【符号の説明】
【0093】
10 ゲートウェイ(情報処理装置)
12 性能値取得部(取得部)
14 ギャップ有無判定部(判断部、記録部の一部)
16 データ取得方式決定部(変更部、記録部の一部)
70 センサノード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12