(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】車両の駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20230614BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20230614BHJP
B60K 6/44 20071001ALI20230614BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20230614BHJP
B60K 1/02 20060101ALI20230614BHJP
B60K 11/02 20060101ALI20230614BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K6/40 ZHV
B60K6/44
B60K6/46
B60K1/02
B60K11/02
B60K11/04 H
(21)【出願番号】P 2021562521
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(86)【国際出願番号】 JP2020041651
(87)【国際公開番号】W WO2021111809
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2019220920
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020035970
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020035969
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 昇治
(72)【発明者】
【氏名】堀部 晋佑
(72)【発明者】
【氏名】山岸 雅治
(72)【発明者】
【氏名】鷹羽 千花
(72)【発明者】
【氏名】安藤 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】東谷 洸平
(72)【発明者】
【氏名】梅村 憲史
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-082339(JP,A)
【文献】特開2001-119961(JP,A)
【文献】国際公開第2007/091705(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60K 6/40
B60K 6/44
B60K 6/46
B60K 1/02
B60K 11/02
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルーム内に配設される内燃機関と、
前記内燃機関の駆動により発電する第1電動機及び前記車両の走行用バッテリから供給される電力により駆動する第2電動機を有し、前記内燃機関の車両左右方向一方に配設される電動ユニットと、
前記電動ユニットの上方に配設されるインバータと、
前記インバータと前記第1電動機の第1端子台とを電気的に接続する第1ハーネスと、
前記インバータと前記第2電動機の第2端子台とを電気的に接続する第2ハーネスと、
を備え、
前記第1電動機及び前記第2電動機は、車両前後方向に配設されるとともに、前記第1電動機及び前記第2電動機のうち前後方向前側に配設される一方の電動機に対して前後方向後側に配設される他方の電動機が上下方向上側にオフセットして配設され、
前記電動ユニットは、前記一方の電動機の上方かつ前端より後方の領域、及び前記他方の電動機の前方かつ上端より下方の領域で形成された所定の空間を有し、
前記第1端子台及び前記第2端子台は、前記所定の空間に位置される車両の駆動ユニット。
【請求項2】
前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、車両前後方向前方または後方に撓んでなる、請求項1に記載の車両の駆動ユニット。
【請求項3】
前記内燃機関と前記電動ユニットとの間に配設される変速機を備え、
前記第1ハーネスは、前記インバータから車両左右方向の前記内燃機関側に向かって延びつつ下方に延びて前記第1電動機の前記第1端子台に接続され、
前記第2ハーネスは、前記インバータから車両左右方向の前記内燃機関側に向かって延びつつ下方に延びて前記第2電動機の前記第2端子台に接続され、
前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、前記変速機と前記内燃機関との接合部より車両左右方向で視て前記電動ユニット側に位置する、請求項1または2に記載の車両の駆動ユニット。
【請求項4】
前記車両を制動させる制動装置と、
前記制動装置の作動に要する力を付加する制動力付加装置と、を備え、
前記制動力付加装置は、前記電動ユニットの車両前後方向後側及び上下方向上側に位置し、
前記インバータは、車両前後方向で視て後端の上下方向下部が、前記制動力付加装置の車両上下方向中央より上側及び前後方向前側に位置するよう前傾される、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の駆動ユニット。
【請求項5】
前記電動ユニットの前方に位置するラジエータを備え、
前記ラジエータは、
車両の前突により後方に移動する際、前記所定の空間の前方を覆う、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の駆動ユニット。
【請求項6】
前記ラジエータは、上端が前記インバータの前方に位置するとともに、下端が左右一対のサスクロスメンバの前端に固定される、請求項5に記載の車両の駆動ユニット。
【請求項7】
前記第2電動機は、前記第1電動機の前後方向後側に配設されるとともに、前記第1電動機に対して上下方向上側にオフセットして配設され、
前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、車両前後方向後方に撓んでなり、
前記第1ハーネスは、前記第1電動機の前記第1端子台から後方に向かって延設され、
前記第2ハーネスは、前記第2電動機の前記第2端子台から前方に向かって延設される、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両の駆動ユニット。
【請求項9】
前記インバータと車長方向に並んで車両後方側に配置され、液体を貯留する容器を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の駆動ユニットに係り、特にハーネスの保護性能を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、エンジンを発電用に用い、モータによる駆動力を利用して走行することが可能な所謂ハイブリット車両が広く普及しつつある。
このようなハイブリット車両のエンジンルーム内には、モータやエンジン、該エンジンが稼働することによって発生する駆動力を電気エネルギに変換するジェネレータ及び交流、直流の変換をするインバータ等、複数の装置が配設されている。
【0003】
このように、ハイブリット車両のエンジンルーム内は、従来のエンジンを駆動源としている車両のエンジンルームと比較してレイアウトが非常に複雑なため、各装置をどのように配置するか、どのような部品を用いるかが課題となっている。
このようなレイアウトの課題を解決するべく、モータの車両左右方向側面に設けられた端子台に高電圧ケーブルを接続することが考えられる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示される技術では、例えば車両の前突によりモータが車両後方に移動するような場合、エンジンルーム内に複雑に配設された各装置とモータの端子台とが接触し、端子台が破損する虞があるため、更なる改善の余地があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の衝突時にモータ及びインバータの端子台(第1端子台、第2端子台)が破損することを抑制することができる車両の駆動ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の車両の駆動ユニットは、車両のエンジンルーム内に配設される内燃機関と、前記内燃機関の駆動により発電する第1電動機及び前記車両の走行用バッテリから供給される電力により駆動する第2電動機を有し、前記内燃機関の車両左右方向一方に配設される電動ユニットと、前記電動ユニットの上方に配設されるインバータと、前記インバータと前記第1電動機の第1端子台とを電気的に接続する第1ハーネスと、前記インバータと前記第2電動機の第2端子台とを電気的に接続する第2ハーネスと、を備え、前記第1電動機及び前記第2電動機は、車両前後方向に配設されるとともに、前記第1電動機及び前記第2電動機のうち前後方向前側に配設される一方の電動機に対して前後方向後側に配設される他方の電動機が上下方向上側にオフセットして配設され、前記電動ユニットは、前記一方の電動機の上方かつ前端より後方の領域、及び前記他方の電動機の前方かつ上端より下方の領域で形成された所定の空間を有し、前記第1端子台及び前記第2端子台は、前記所定の空間に位置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両の駆動ユニットによれば、第1電動機の車両前後方向後側かつ上下方向上側に第2電動機を位置させるようにして所定の空間を形成し、該空間に第1端子台及び第2端子台を位置させるようにしたので、車両左右方向から視た電動ユニットの外縁より内側に第1端子台及び第2端子台を設けることができる。これにより、車両の衝突時にモータ及びインバータの第1端子台及び第2端子台が破損することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】トランスアクスル、減速機及びインバータを前方右上から視た斜視図である。
【
図6】トランスアクスル及び減速機を前方左上から視た斜視図である。
【
図7】トランスアクスル、減速機及びインバータの左側面図である。
【
図8】トランスアクスル及び減速機の前面図である。
【
図9】トランスアクスル及び減速機が後方に移動した際のトランスアクスル、減速機及びインバータを前方右上から視た斜視図である。
【
図10】車両が障害物に前突する前の各装置の配置を説明する説明図である。
【
図11】車両が障害物に前突する後の各装置の配置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
図1を参照すると、車両1の概略斜視図が示されている。
車両1
は、駆動輪3、バッテリパック(走行用バッテリ)5及び駆動ユニット7を備えた所謂ハイブリット車両である。この車両は、車体2の車両前後方向中央下側に配設されたバッテリパック5から電力を供給された駆動ユニット7が駆動力を発生させることで駆動輪3を駆動して走行することが可能に構成されている。
【0010】
また、車両1は、減速するとともに駆動ユニット7によって発電し、バッテリパック5に電力を供給して蓄電する、所謂回生ブレーキを行うことが可能に構成されている。またさらに、駆動ユニット7には後述するエンジン21が設けられており、車両1は、エンジン21を稼働させることで発電し、バッテリパック5に電力を供給して蓄電することが可能に構成されている。
【0011】
以下、各装置等について詳しく説明する。なお、説明の便宜上、車両前後方向前方及び後方を単に前方または後方といい、車両左右方向左方及び右方を単に左方または右方といい、車両上下方向上方及び下方を単に上方または下方ともいう。
図2及び
図3を参照すると、エンジンルーム10の上面図が示されており、
図4を参照すると、エンジンルーム10の前面図が示されている。
【0012】
エンジンルーム10は、アッパーバー11、アッパーサイド13、フロアパネル15等の車体2前側の骨格部材によって覆われるようにして形成された空間である。このエンジンルーム10には、駆動ユニット
7が配設されている。
駆動ユニット7は、エンジン(内燃機関)21、トランスアクスル(電動ユニット)23、減速機(変速機)24、ドライブシャフト25、インバータ27及び電動ブースタ(制動力付加装置)29を備えている。この駆動ユニット7のうち、エンジン21及びトランスアクスル23は、例えばエンジン21の上端右側に設けられた第1マウント7a、トランスアクスル23の上端左側に設けられた第2マウント7b及びエンジン21の下端後側に設けられた第3マウント7cを介して車体2に揺動可能に取り付けられている。エンジン21は、図示しない燃料タンクに貯留される燃料を燃焼して稼働する内燃機関である。このエンジン21は、稼働することでアウトプットシャフト21a(後述する
図5参照)を駆動させることが可能である。トランスアクスル23は、エンジン21の左側の接合面(接合部)23aに固定された電動ユニットであり、ジェネレータ(第1電動機)31及びモータ(第2電動機)33を有している。
【0013】
エンジン21の上方には、エアクリーナ20が配置される(
図3参照)。エアクリーナ20は、エンジン21に吸入される空気中のごみや埃を取り除くための装置であり、エンジン21の吸気通路22の途中に介装される。以下、エアクリーナ20よりも下流側(吸気通路22の出口側,エンジン側)の吸気通路22を下流吸気通路22aと呼び、エアクリーナ20よりも上流側(吸気通路22の入口側)の吸気通路22を上流吸気通路22bと呼ぶ。
【0014】
下流吸気通路22aは、エアクリーナ20の前面から下方に向かって延設される。一方、上流吸気通路22bは、エアクリーナ20の前面において下流吸気通路22aよりも車両左右方向左側から左斜め前方に向かって延設され、トランスアクスル23の上方を通過した後に車両右側へと屈曲する形状に形成される。
【0015】
図5を参照すると、トランスアクスル23、減速機24及びインバータ27を前方右上から視た斜視図が示されている。また、
図6を参照すると、トランスアクスル23及び減速機24を前方左上から視た斜視図が示されている。ジェネレータ31は、エンジン21が稼働することで駆動するアウトプットシャフト21aの駆動力を電気エネルギに変換する発電機である。モータ33は、バッテリパック5からインバータ27を介して電力が供給されることで駆動する電動モータである。また、モータ33は、車両1の走行による駆動輪3の回転を利用して、駆動輪3を減速させつつ発電することが可能である。このモータ33は、ジェネレータ31の後側かつ上側に位置している。
【0016】
減速機24は、エンジン21とジェネレータ31及びモータ33との間に位置するギアユニットである。この減速機24は、モータ33の回転速度を減速させるとともにトルクを上昇させてドライブシャフト25に駆動力を伝達させることが可能である。ドライブシャフト25は、一端が減速機24に、他端が駆動輪3に駆動力を伝達可能に接続するシャフト部材である。
【0017】
インバータ27は、直流電流を三相交流電流に変換することや三相交流電流を直流電流に変更すること及び電圧を変更することが可能な変換装置である。このインバータ27はパワードライブユニット(PDU)とも呼ばれ、インバータ回路と電子制御装置とを内蔵する。インバータ回路には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などのスイッチ素子が含まれる。また、電子制御装置は、スイッチ素子の作動状態(オンオフのタイミングや駆動周波数)を制御する機能を持つ。
【0018】
また、インバータ27は、例えば、前端がアッパーバー11に固定され、左端がアッパーサイド13に固定されている(
図2参照)。また、インバータ27は、前側が下方に向かって傾くように角度θ(例えば10度)傾いた姿勢で配設されている(後述する
図7参照)。
【0019】
具体的には、インバータ27の前端部には、平板状の前端支持部27aが設けられる。前端支持部27aは、その下面側がアッパーバー11の頂面に面接触した状態で、アッパーバー11に対して固定される。また、インバータ27の後端部には、ブラケット27bが設けられる(後述する
図7参照)。
【0020】
ブラケット27bは、インバータ27と図示しないサイドメンバ等のフレーム部材との間を縦方向に接続する形状に形成される。ブラケット27bの下端面はサイドメンバの頂面に固定され、ブラケット27bの上端面はインバータ27の底面に固定される。
【0021】
そして、インバータ27は、第1ハーネス41を介してジェネレータ31と電気的に接続され、第2ハーネス42を介してモータ33と電気的に接続され、第3ハーネス43を介してバッテリパック5と電気的に接続される。なお、インバータ27、ジェネレータ31、モータ33、第1ハーネス41、第2ハーネス42及び第3ハーネス43の接続構成及び第1ハーネス41、第2ハーネス42及び第3ハーネス43の形状等の詳細な説明は後述する。また、第1ハーネス41、第2ハーネス42及び第3ハーネス43は、総じてハーネス群40ともいう。
【0022】
これにより、駆動ユニット7は、バッテリパック5に蓄電されている電力をインバータ27によって三相交流電流に変換してモータ33に供給し駆動させることで、減速機24及びドライブシャフト25を介して駆動輪3を駆動して走行することができる。また、駆動ユニット7は、駆動輪3を減速させる際にトランスアクスル23によって発電することができ、エンジン21を稼働させることでジェネレータ31によって発電することができる。そして、駆動ユニット7は、ジェネレータ31及びモータ33により発電した電力をインバータ27にて直流電流に変換してバッテリパック5に蓄電することができる。
【0023】
ここで、バッテリパック5は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池であり、数百ボルトの高電圧直流電流を供給しうる二次電池である。このバッテリパック5は、車両1の下面(フロア下)や車両後部,車室内,荷室内などに配置され、インバータ27を介してモータとジェネレータ31とに電気的に接続される。
【0024】
また、バッテリパック5は、モータ33に電力を供給可能とされる。そして、バッテリパック5は、モータ33の回生電力やジェネレータ31の発電電力で充電可能であるとともに、車両外部からの給電を受けて充電すること(外部充電)も可能である。
【0025】
電動ブースタ29は、車両1の運転手がブレーキペダルを踏圧して各車輪(駆動輪3)に設けられる制動装置3aを作動させる際に必要な力を助力する電動の助力装置である。この電動ブースタ29の中心Cは、トランスアクスル23及びインバータ27の後方であって、インバータ27の後部下端Pより下方に位置する。
【0026】
図5によると、インバータ27には、段差部51、直流用回路53、交流端子台55及び直流端子台57が設けられている。また、インバータ27には、インバータ回路を冷却するための冷媒としてのEV冷却水が流通する冷媒配管71が接続される。
【0027】
段差部51は、インバータ27の上部右側における前後方向略中央より前側から左方に凹む段差である。
直流用回路53は、インバータ27の上部における段差部51より後側に内設される回路である。
交流端子台55は、インバータ27の上部右側の段差部51の左側面に配設される端子台である。この交流端子台55には、第1ハーネス41の一端41a及び第2ハーネス42の一端42aが交流端子台55から右方に延びるように接続される。
【0028】
直流端子台57は、インバータ27の上部右側における直流用回路53の右方に配設される端子台である。この直流端子台57には、第3ハーネス43の一端43a及び第4ハーネス44の一端44aが直流端子台57から右方に延びるように接続される。
図7を参照すると、トランスアクスル23、減速機24及びインバータ27の左側面図が示されている。また、
図8を参照すると、トランスアクスル23及び減速機24の前面図が示されている。ジェネレータ31の上端31aには第1端子台61が、モータ33の前端33aには第2端子台62が、それぞれ設けられている。第1端子台61は、第1ハーネス41の他端41bが電気的に接続される端子台であり、ジェネレータ31とインバータ27とで第1ハーネス41を介して通電可能に構成されている。第2端子台62は、第2ハーネス42の他端42bが電気的に接続される端子台であり、モータ33とインバータ27とで第2ハーネス42を介して通電可能に構成されている。
【0029】
上記したように、モータ33は、ジェネレータ31の後側かつ上側に位置している、換言すると、上下方向上側にオフセットして配設されている。このようなジェネレータ31とモータ33との位置関係により、トランスアクスル23には、ジェネレータ31の上端31aとモータ33の前端33aとで所定の空間Aが形成されている。すなわち、第1端子台61及び第2端子台62は、所定の空間Aに位置している。
【0030】
図1によると、バッテリパック5の前端には、第3ハーネス43の他端43bが電気的に接続される第3端子台63が配設されている。また、エンジン21の前側右端には、車両1の車室内の空気の温度を調整する空調装置9に用いられる電動エアコンプレッサ64が配設されており、第4ハーネス44の他端44bが電気的に接続されている。ここで、電動エアコンプレッサ64は、ジェネレータ31及びモータ33と比較して消費する電力が小さい。したがって、第4ハーネス44は、第1ハーネス41、第2ハーネス42及び第3ハーネス43と比較して細い配線である。
【0031】
図4によると、第1ハーネス41は、インバータ27の交流端子台55から右方向に延び、エンジン21の接合面23aより左側である左端21bより右側から下方及び左方に延びてジェネレータ31の第1端子台61に接続する。また、
図5によると、第1ハーネス41は、上下方向中央が後方に撓むようにして延びてなる。第2ハーネス42は、第1ハーネス41と同様に延び、換言すると、第1ハーネス41の後方を沿うようにして延びてモータ33の第2端子台62に接続している。
【0032】
図1によると、第3ハーネス43は、インバータ27の直流端子台57から右方に延び、エンジン21の後方を沿って下方に延び、その後、後方に延びてバッテリパック5の第3端子台63に接続している。また、第3ハーネス43は、フロアパネル15の車両前方側の表面に沿って配索される。このように、バッテリパック5に接続されている第3ハーネス43を第1ハーネス41及び第2ハーネス42よりも車両後方に配索することで、車両1の前突時における第3ハーネス43の変形や破損が抑制される。
【0033】
また、第4ハーネス44は、インバータ27の直流端子台57における第3ハーネス43の一端43aより前方から右方に延び、第1ハーネス41及び第2ハーネス42とインバータ27とによって形成された通路(空間)S(
図2~5)を延び、エンジン21の前側を沿って延びて電動エアコンプレッサ64に接続している。なお、各ハーネスは、上記姿勢を保つように形成してもよく、クリップ等を用いて上記姿勢を保つようにしてもよい。
【0034】
ここで、上流吸気通路22bは、ハーネス群40よりも車両前方側に配置される。上流吸気通路22bは、上面視でハーネス群40の右側からハーネス群40の前方に迫り出すように配置され、車両前方からの外力に対してハーネス群40を保護するように機能する。
【0035】
これにより、ハーネス群40の前方が上流吸気通路22bによって保護された状態となり、車両前突時の外力がハーネス群40に直接的に作用しにくくなる。したがって、外力によるハーネス群40の変形や溶融を抑制することができ、外力に対するハーネス群40の保護性を向上させることができる。
【0036】
図5、7によると、冷媒配管71は、インバータ27の前端部と後端部とにEV冷却水を流通可能に接続される。EV冷却水は、インバータ27の前端側から流入し、後端側から流出する。これにより、冷媒配管71は、ハーネス群40との干渉を防止しつつシンプルなレイアウトを実現することができる。また、冷媒配管71の長さを短縮することができ、EV冷却水の循環にかかる圧力損失を低減させることができる。したがって、インバータ27の冷却効率を高めることができる。また、例えば冷媒配管71がインバータ27の前端部のみに接続されるような構造と比較して、配管長を短縮することができ、効率的な配管配索を実現することができる。
【0037】
インバータ27の車両後方側には、EV冷却水を貯留するコンデンスタンク73(容器)が配置される。コンデンスタンク73は、EV冷却水から水中の気泡を分離するための装置である。インバータ27を冷却するEV冷却水の循環経路は、エンジン21を冷却するエンジン冷却水の循環経路とは別設される。
【0038】
このように、外力によって変形しうる容器状の部品をインバータ27の後方に配置しておくことで、コンデンスタンク73をクッションのように作用させることができ、フロアパネル15との接触によるインバータ27の破損を防止することができる。したがって、インバータ27の保護性を向上させることができる。また、インバータ27の後方にはハーネス群40が配索されないことから、エンジンルーム内の空きスペースを有効活用することができ、車両1の小型化,軽量化を図ることができる。
【0039】
インバータ27へ流入するEV冷却水は、図示しない冷却水タンクに貯留され、ポンプや図示しないEVラジエータを介してインバータ27へと導入される。また、インバータ27を通過したEV冷却水は、他のコンポーネント(例えばリアモータや車載充電装置など)を冷却した後に、冷却水タンクへと還流する。
【0040】
図9を参照すると、トランスアクスル23及び減速機24が後方に移動した際のトランスアクスル23、減速機24及びインバータ27を前方右上から視た斜視図が示されている。また、
図10及び
図11を参照すると、車両1が障害物100に前突する前後の各装置の配置を説明する説明図が示されている。以下、
図9~11に沿い、本発明に係る駆動ユニット7の作用及び効果を説明する。
【0041】
上記したように、インバータ27は、例えば、前端がアッパーバー11に固定され、左端がアッパーサイド13に固定されている。一方、エンジン21及びトランスアクスル23は、第1マウント7a、第2マウント7b及び第3マウント7cを介して車体2に揺動可能に取り付けられている。したがって、インバータ27は、トランスアクスル23が揺動する場合であっても連動せず、トランスアクスル23と相対的に異なる動きとなることがある。
【0042】
ここで、
図10によると、駆動ユニット7の前方には、リーンホースメント2aやラジエータ21cが配設されている。このラジエータ21cは、上端21dがインバータ27の前方に位置する。また、ラジエータ21cは、下端21eが車両1の骨格部材であるサスクロスメンバ17に固定されている。これにより、
図11のように車両1が障害物100に前突するような場合、駆動ユニット7より前方に位置するリーンホースメント2aやラジエータ21cによってエンジン21及びトランスアクスル23がインバータ27に対して相対的に後方に移動するような場合が考えられる。
【0043】
このように、エンジン21及びトランスアクスル23がインバータ27に対して相対的に後方に移動するような場合であっても、第1ハーネス41及び第2ハーネス42は、一端41a、42aから右方に延びてなるため、他端41b、42bが一端41a、42aを軸にして後方に回動するような動きとなり、第1ハーネス41及び第2ハーネス42が引張されることを抑制することができる。また、インバータ27に段差部51を形成し、段差部51に交流端子台55を配設したことで、第1ハーネス41及び第2ハーネス42を一端41a、42aから右方に延びるように形成しても、第1ハーネス41及び第2ハーネス42がエンジン21に干渉することを抑制することができる。
【0044】
また、燃料を燃焼させながら作動するエンジン21と比較して、トランスアクスル23の発熱量は小さく、トランスアクスル23の上方の空間はエンジン21の上方の空間よりも低温である。これを踏まえて、上記のハーネス群40はエンジン21の上方の空間内ではなく、エンジン21に隣接して配置されるトランスアクスル23の上方の空間内で配索される。したがって、エンジン21で発生する熱によるハーネス群40の変形や溶融を抑制することができ、熱に対するハーネス群40の保護性を向上させることができる。また、車両衝突時にバッテリパック5まわりの高電圧回路が露出しにくくなることから、救護作業性の安全性を向上させることができ、乗員保護性能を改善することができる。
【0045】
またさらに、ハーネス群40をインバータ27の車幅方向端面から引き出すレイアウトは、ハーネス群40をインバータ27の背面側(車両後方側)から引き出すレイアウトと比較して、エンジンルームのメンテナンスにかかる作業性を向上させることができる。具体的には、作業者が車両1の前方からエンジンルーム内をのぞき込んだときに、ハーネス群40が作業者から近い位置(手前)に配索された状態となる。これにより、例えばハーネス群40をインバータ27から取り外す際に手を奥まで伸ばす必要がなく、容易に作業をすることができる。また、ハーネス群40とインバータとの接続箇所を目視で直接的に確認することができ、ハーネス群40やインバータ27の状態を正確に把握することができる。
【0046】
また、第1ハーネス41及び第2ハーネス42は、上下方向中央が後方に撓むようにして延びてなるため、車両1が障害物100に前突してインバータ27がエンジン21及びトランスアクスル23から上方に離間するように移動する場合であっても、第1ハーネス41及び第2ハーネス42に引張力が働くことを抑制することができる。
第3ハーネス43及び第4ハーネス44は、直流電流を通電させるハーネスである。したがって、ジェネレータ31やモータ33によって発電された交流電流を直流に変換してから第3ハーネス43及び第4ハーネス44に供給する必要がある。ゆえに、インバータ27における直流端子台57の後側に直流用回路53を配設することで段差部51を形成し、インバータ27、各ハーネス等を総合的に鑑みて小型化することや、車両衝突時における第3ハーネス43の変形や破損を抑制することができ、車両保護性を向上させることができる。
【0047】
第4ハーネス44は、インバータ27の直流端子台57における第3ハーネス43の一端43aより前方から右方に延びている。換言すると、第4ハーネス44の一端44aは、第2ハーネス42の一端42aと第3ハーネス43の一端43aとの間に位置している。したがって、第2ハーネス42及び第3ハーネス43と比較して細い配線である第4ハーネス44の一端44aの前後を第2ハーネス42の一端42aと第3ハーネス43の一端43aとで挟むように配設することで、例えば車両1が走行する際に駆動輪が巻き上げる小石等の所謂チッピングにより第4ハーネス44は劣化することを抑制することができる。
【0048】
また、第4ハーネス44は、第1ハーネス41及び第2ハーネス42とインバータ27との間を延びている。したがって、上記したようにエンジン21及びトランスアクスル23がインバータ27に対して相対的に前後に移動するような場合であっても、第1ハーネス41及び第2ハーネス42の揺動によって第4ハーネス44が引張されることを抑制することができる。
【0049】
そして、インバータ27は、前側が下方に向かって傾くように角度θ傾いた前傾姿勢で配設され、後部下端Pが電動ブースタ29の中心Cより上方に位置している。したがって、車両1が障害物100に前突するような場合、インバータ27は、後方に移動するにつれて後部下端Pが上方に移動することができる。また、後部下端Pが上方に移動してインバータ27と電動ブースタ29とが接触するような場合であっても、後部下端Pが電動ブースタ29の中心Cより上方に位置するため、インバータ27と電動ブースタ29とが接触することによる互いの破損を軽減することができる。
【0050】
さらに、ジェネレータ31の第1端子台61及びモータ33の第2端子台62は、モータ33がジェネレータ31の後側かつ上側に位置することにより形成される所定の空間Aに位置している。これにより、第1端子台61及び第2端子台62は、車両1が障害物100に前突するような場合であっても、第1端子台61及び第2端子台62にインバータ27等が衝突することにより破損することを抑制することができる。また、駆動ユニット7より前方にラジエータ21cが位置することで、車両1が障害物100に前突する際に、所定の空間Aの前方をラジエータ21cによって覆い、飛散物等による第1端子台61及び第2端子台62並びに第1ハーネス41の他端41b及び第2ハーネス42の他端42bの破損を抑制することができる。
【0051】
そして、ラジエータ21cの下端21eがサスクロスメンバ17の前端に固定、すなわち支持されているため、車両1が障害物100に前突する際にラジエータ21cが後方に移動することを軽減してラジエータ21cとトランスアクスル23とが接触することを抑制することができ、仮にラジエータ21cとトランスアクスル23とが接触するような場合であっても、トランスアクスル23に加わる衝撃を軽減することができる。
【0052】
以上説明したように、本発明に係る車両1の駆動ユニット7では、車両1のエンジンルーム10内に配設されるエンジン21と、エンジン21の駆動により発電するジェネレータ31及び車両1のバッテリパック5から供給される電力により駆動するモータ33を有し、エンジン21の車両左右方向一方に配設されるトランスアクスル23と、トランスアクスル23の上方に配設されるインバータ27と、インバータ27とジェネレータ31の第1端子台61とを電気的に接続する第1ハーネス41と、インバータ27とモータ33の第2端子台62とを電気的に接続する第2ハーネス42と、を備えている。
【0053】
また、ジェネレータ31及びモータ33は、車両1前後方向に配設されるとともに、ジェネレータ31及びモータ33のうち前後方向前側に配設される一方の電動機であるジェネレータ31に対して前後方向後側に配設される他方の電動機であるモータ33が上下方向上側にオフセットして配設され、トランスアクスル23は、ジェネレータ31の上方かつ前端より後方の領域、及びモータ33の前方かつ上端より下方の領域で形成された所定の空間Aを有し、第1端子台61及び第2端子台62は、所定の空間Aに位置される。
【0054】
従って、ジェネレータ31の車両1前後方向後側かつ上下方向上側にモータ33を位置させるようにしてジェネレータ31に、ジェネレータ31の上方かつ前端より後方の領域、及びモータ33の前方かつ上端より下方の領域で所定の空間Aを形成し、該所定の空間Aに第1端子台61及び第2端子台62を位置させるようにしたので、車両1左右方向から視たトランスアクスル23の外縁より内側に第1端子台61及び第2端子台62を設けることができる。
【0055】
そして、第1ハーネス41及び第2ハーネス42は、車両前後方向後方に撓むように形成したので、トランスアクスル23とインバータ27とが相対的に移動するような場合に第1ハーネス41及び第2ハーネス42に加わる引張力をより低減することができる。
そして、エンジン21とトランスアクスル23との間に配設される減速機24を備え、第1ハーネス41は、インバータ27から車両左右方向のエンジン21側に向かって延びつつ下方に延びてジェネレータ31の第1端子台61に接続され、第2ハーネス42は、インバータ27から車両左右方向のエンジン21側に向かって延びつつ下方に延びてモータ33の第2端子台62に接続され、第1ハーネス41及び第2ハーネス42は、減速機24とエンジン21との接合面23aより車両左右方向で視てトランスアクスル23側に位置する。
【0056】
従って、減速機24とエンジン21との接合面23aより車両左右方向で視てトランスアクスル23側に第1ハーネス41及び第2ハーネス42を収めるようにしたので、車両1左右方向における第1ハーネス41及び第2ハーネス42の揺動範囲を狭めることができる。
そして、車両1を制動させる制動装置3aと、制動装置3aの作動に要する力を付加する電動ブースタ29と、を備え、電動ブースタ29は、トランスアクスル23の車両前後方向後側及び上下方向上側に位置し、インバータ27は、車両前後方向で視て後端の上下方向下部が、電動ブースタ29の車両上下方向中央より上側及び前後方向前側に位置するよう前傾されるので、車両1が前突した際にインバータ27と電動ブースタ29とが接触することを抑制することや、インバータ27と電動ブースタ29とが接触したとしても電動ブースタ29に加わる衝撃を軽減することができる。
【0057】
そして、トランスアクスル23の前方に位置するラジエータ21cを備え、ラジエータ21cは、例えば車両1の前突により後方に移動する際、所定の空間Aの前方を覆うようにしたので、所定の空間Aに位置する第1端子台61及び第2端子台62を飛散物等から保護することができる。
特に、ラジエータ21cは、上端21dがインバータ27の前方に位置するとともに、下端21eが左右一対のサスクロスメンバ17の前端に固定されるので、例えば車両1の前突によりラジエータ21cが後方に移動する際、ラジエータ21cの上端21dがインバータ27に支持され、下端21eが左右一対のサスクロスメンバ17に支持されるので、所定の空間Aにラジエータ21cが入り込むことを良好に抑制することができる。
【0058】
そして、モータ33は、ジェネレータ31の前後方向後側に配設されるとともに、ジェネレータ31に対して上下方向上側にオフセットして配設され、第1ハーネス41及び第2ハーネス42は、車両前後方向後方に撓んでなり、第1ハーネス41は、ジェネレータ31の第1端子台61から後方に向かって延設され、第2ハーネス42は、モータ33の第2端子台62から前方に向かって延設されるので、車両1の前突時に第1ハーネス41が周辺部品と挟まれることを抑制することができ、ジェネレータ31の後側に位置するモータ33の第2端子台62、換言すると、所定の空間A内の後側に位置する第2端子台62から延設される第2ハーネス42を前方に向かって延設されるので、所定の空間Aにおけるハーネス配索の前後方向のコンパクト化を図ることができる。
【0059】
以上で本発明に係る車両の駆動ユニットの説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態では、モータ33をジェネレータ31の後側かつ上側に位置させるようにしたが、ジェネレータ31とモータ33との位置を逆にする、換言すると、ジェネレータ31をモータ33の後側かつ上側に位置させるようにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、減速機24を用いるようにしたが、減速度合いを調整することが可能な変速機を用いるようにしてもよい。
また、本実施形態では、第1ハーネス41及び第2ハーネス42を車両前後方向後方に撓ませるようにしたが、前方に撓ませるようにしてもよく、各装置等の位置関係から適宜変更するようにしてもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、インバータ27の後方にコンデンスタンク73が配置された構造を例示したが、コンデンスタンク73の代わりにリザーバタンク(EV冷却水の体積変化を吸収するためのタンク)を配置してもよいし、ウォッシャータンク(ウィンドウォッシャー液が貯留されるタンク)を配置してもよい。少なくとも、液体を貯留する容器をインバータ27の後方に配置することで、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
【0062】
本発明の第1実施態様に係る車両の駆動ユニットは、車両のエンジンルーム内に配設される内燃機関と、前記内燃機関の駆動により発電する第1電動機及び前記車両の走行用バッテリから供給される電力により駆動する第2電動機を有し、前記内燃機関の車両左右方向一方に配設される電動ユニットと、前記電動ユニットの上方に配設されるインバータと、前記インバータと前記第1電動機の第1端子台とを電気的に接続する第1ハーネスと、前記インバータと前記第2電動機の第2端子台とを電気的に接続する第2ハーネスと、を備え、前記第1電動機及び前記第2電動機は、車両前後方向に配設されるとともに、前記第1電動機及び前記第2電動機のうち前後方向前側に配設される一方の電動機に対して前後方向後側に配設される他方の電動機が上下方向上側にオフセットして配設され、前記電動ユニットは、前記一方の電動機の上方かつ前端より後方の領域、及び前記他方の電動機の前方かつ上端より下方の領域で形成された所定の空間を有し、前記第1端子台及び前記第2端子台は、前記所定の空間に位置される。
【0063】
本発明の第1実施態様においては、電動ユニットに、一方の電動機の上方かつ前端より後方の領域、及び他方の電動機の前方かつ上端より下方の領域で所定の空間を形成し、該所定の空間に第1端子台及び第2端子台を位置させるようにすることで、車両左右方向から視た電動ユニットの外縁より内側に第1端子台及び第2端子台を設けることができる。
【0064】
本発明の第2実施態様に係る車両の駆動ユニットは、前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、車両前後方向前方または後方に撓んでなることが可能である。
【0065】
本発明の第2実施態様においては、第1ハーネス及び第2ハーネスが前方または後方に撓むようにすることで、電動ユニットとインバータとが相対的に移動するような場合に第1ハーネス及び第2ハーネスに加わる引張力をより低減することができる。
【0066】
本発明の第3実施態様に係る車両の駆動ユニットは、前記内燃機関と前記電動ユニットとの間に配設される変速機を備え、前記第1ハーネスは、前記インバータから車両左右方向の前記内燃機関側に向かって延びつつ下方に延びて前記第1電動機の前記第1端子台に接続され、前記第2ハーネスは、前記インバータから車両左右方向の前記内燃機関側に向かって延びつつ下方に延びて前記第2電動機の前記第2端子台に接続され、前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、前記変速機と前記内燃機関との接合部より車両左右方向で視て前記電動ユニット側に位置することが可能である。
【0067】
本発明の第3実施態様においては、変速機と内燃機関との接合部より車両左右方向で視て電動ユニット側に第1ハーネス及び第2ハーネスを収めるようにすることで、車両左右方向における第1ハーネス及び第2ハーネスの揺動範囲を狭めることができる。
【0068】
本発明の第4実施態様に係る車両の駆動ユニットは、前記車両を制動させる制動装置と、前記制動装置の作動に要する力を付加する制動力付加装置と、を備え、前記制動力付加装置は、前記電動ユニットの車両前後方向後側及び上下方向上側に位置し、前記インバータは、車両前後方向で視て後端の上下方向下部が、前記制動力付加装置の車両上下方向中央より上側及び前後方向前側に位置するよう前傾されることが可能である。
【0069】
本発明の第4実施態様においては、インバータの後端の下部が制動力付加装置の上下方向中央より上側及び前側に位置するよう、インバータを前傾させることで、車両が前突した際にインバータと制動力付加装置とが接触することを抑制することや、インバータと制動力付加装置とが接触したとしても制動力付加装置に加わる衝撃を軽減することができる。
【0070】
本発明の第5実施態様に係る車両の駆動ユニットは、前記電動ユニットの前方に位置するラジエータを備え、前記ラジエータは、車両の前突により後方に移動する際、前記所定の空間の前方を覆うことが可能である。
【0071】
本発明の第5実施態様においては、例えば車両の前突によりラジエータが後方に移動する際、所定の空間の前方を覆うようにすることで、所定の空間に位置する第1端子台及び第2端子台を飛散物等から保護することができる。
【0072】
本発明の第6実施態様に係る車両の駆動ユニットは、前記ラジエータは、上端が前記インバータの前方に位置するとともに、下端が左右一対のサスクロスメンバの前端に固定されることが可能である。
【0073】
本発明の第6実施態様においては、インバータの前方にラジエータの上端が位置し、下端が左右一対のサスクロスメンバの前端に固定されることで、例えば車両の前突によりラジエータが後方に移動する際、ラジエータの上端がインバータに支持され、下端が左右一対のサスクロスメンバに支持されるので、所定の空間にラジエータが入り込むことを良好に抑制することができる。
【0074】
本発明の第7実施態様に係る車両の駆動ユニットは、前記第2電動機は、前記第1電動機の前後方向後側に配設されるとともに、前記第1電動機に対して上下方向上側にオフセットして配設され、前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、車両前後方向後方に撓んでなり、前記第1ハーネスは、前記第1電動機の前記第1端子台から後方に向かって延設され、前記第2ハーネスは、前記第2電動機の前記第2端子台から前方に向かって延設されることが可能である。
【0075】
本発明の第7実施態様においては、第2電動機の前側に位置する第1電動機の第1端子台、換言すると、所定の空間内の前側に位置する第1端子台から延設される第1ハーネスを後方に向かって延設することで、例えば車両の前突時に第1ハーネスが周辺部品と挟まれることを抑制することができ、第1電動機の後側に位置する第2電動機の第2端子台、換言すると、所定の空間内の後側に位置する第2端子台から延設される第2ハーネスを前方に向かって延設することで、所定の空間におけるハーネス配索の前後方向のコンパクト化を図ることができる。
【0076】
本発明の第8実施態様に係る車両の駆動ユニットは、前記インバータの前端部及び後端部の各々に接続され、前記インバータを冷却する冷媒が流通する冷媒配管を備えることが可能である。
【0077】
本発明の第8実施態様においては、インバータを冷却する冷媒が流通する冷媒配管を、インバータの前端部及び後端部の各々に接続させることで、冷媒配管が第1ハーネスや第2ハーネスと干渉することを防止することができる。
【0078】
本発明の第9実施態様に係る車両の駆動ユニットは、前記インバータと車長方向に並んで車両後方側に配置され、液体を貯留する容器を備えることが可能である。
本発明の第9実施態様においては、液体を貯留する容器をインバータ27の後方に配置しておくことで、該容器をクッションのように作用させ、インバータの破損を防止することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 車両
3a 制動装置
5 バッテリパック(走行用バッテリ)
9 空調装置
10 エンジンルーム
17 サスクロスメンバ
21 エンジン(内燃機関)
21c ラジエータ
21d 上端
21e 下端
23 トランスアクスル(電動ユニット)
23a 接合面(接合部)
24 減速機(変速機)
27 インバータ
29 電動ブースタ(制動力付加装置)
31 ジェネレータ(第1電動機)
33 モータ(第2電動機)
41 第1ハーネス
42 第2ハーネス
61 第1端子台
62 第2端子台
64 電動エアコンプレッサ
71 冷媒配管
73 コンデンスタンク(容器)
A 所定の空間