(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】サッカーシューズの練習用パーツ
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20230614BHJP
A43B 5/02 20060101ALI20230614BHJP
A63B 71/12 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A63B69/00 509
A43B5/02
A63B71/12 C
(21)【出願番号】P 2019104856
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-04-15
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】519201710
【氏名又は名称】高嶋 善秀
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 善秀
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-073481(JP,A)
【文献】特表2010-512954(JP,A)
【文献】特表2018-507051(JP,A)
【文献】特表2004-520113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
A63B 71/00-71/16
A43B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項7】
請求項1に記載の凸部は、サッカーボールの中心に狙いを定めることをサポートするため、凸部の上端部が0.5cm~1.5cm突起する形態となっている請求項1に記載のサッカーシューズの練習用パーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッカーのインステップキックを練習するため、反発力を高めた凸部を足の甲のスイートスポット部分に設けたサッカーシューズの練習用パーツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
サッカーのキックは、インサイドキック(足の内側で蹴る)、インステップキック(足の甲で蹴る)インフロントキック(足の親指付近で蹴る)アウトサイドキック(足の小指付近で蹴る)の4種類に大別される。この内、インステップキック(足の甲で蹴る)は、一番強いボールを蹴れるが、難易度が高いキックである。インステップキックが難しい理由は、ボールをキックする際、蹴り足と軸足の「地面からの高さ」関係を調整する必要があるからで、他のキックは、蹴り足と軸足がほぼ同じ「地面からの高さ」で蹴ることができるので容易なのである。
【0003】
選手は、インステップキックを習得するために適した練習用具がないため、時間をかけてキック練習を繰り返す。そして、時に目測を誤り地面をキックし(ダフリ)、痛い思いをしながら「地面からの高さ関係」を調整する感覚を掴み、スイートスポットを体得しているが、一部の選手は、キックミスが続くことから練習途中で挫折してインステップキックを習得できないという問題がある。
【0004】
インステップキックをミスする主な原因は、知識面ではスイートスポットの理解不足、心理面ではボールを蹴る際の恐怖心(誤って地面をキックしてしまう恐怖)、技術面ではスイートスポットで蹴っていない、等が挙げられる。
【先行技術文献】
【0005】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1(特開平7-289302号公報)には、サッカー練習用シューズによりキックの習得を容易にする技術が開示されている。この発明品では、靴の外側表面を、キックの種類に応じて色別にペイント等することで、キック練習が効果的に行えると考えられたものである。
しかし、特許文献1記載のシューズは、例えばインステップキックを理解するため足の甲の部分を緑色にペイントし、蹴るべき「面」を示しているが、スイートスポットを「点」ではなく「面」として捉えており、正しい理解につながっていない。また、「地面からの高さ関係」をサポートする機能が無いため、スイートスポットの習得や恐怖心の抑制にもつながらないことから本件の課題を解決できない。
しかも特許文献1記載のシューズは、パーツではなくシューズ本体であるので、製品として高価となり、汎用性が低いという問題もある。
【0008】
特許文献2(特開平2008-73481号公報)には、シューズのベロの部分にプロテクターを入れることによりサッカーのシュート力をアップする技術が開示されている。この発明品は、足の甲の保護を十分にすることで強力なシュートを蹴れると考えられたものである。
しかし、特許文献2記載のシューズのパーツでは、ボールを蹴った際に足の甲を保護し、痛みを軽減するだけで、「地面からの高さ関係」をサポートする機能が無いため、スイートスポットの習得や恐怖心の抑制にもつながらないことから本件の課題を解決できない。
【0009】
本発明は、上記問題に対処すべくなされたもので、その解決しようとする課題は、初心者でも容易にインステップキックを疑似体験しつつ、スイートスポットを理解し、ボールを蹴る際の恐怖心を抑制し、容易にボールの中心をスイートスポットで蹴ることができる、簡易で汎用性が高く、安価な練習用パーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するため、選手の知識・心理・技術面から研究を重ね、特にボールを蹴った際の「スイートスポットで蹴った快感」と「地面を蹴ってしまう恐怖心」等に注目し、本発明に到達した。
【0011】
本発明は、サッカーのインステップキックを練習するため、サッカーシューズの甲の部分に簡易に固着できる基板部とサッカーボールを正確に強くキックするため反発力を高めた凸部をその基板部表面側に有するサッカーシューズの練習用パーツを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、反発力を高めた凸部を足の甲のスイートスポット部分に設けた練習用パーツをシューズに固着することで、従来技術では解決できなかった、スイートスポットを正確に理解し、初心者でも容易に強いボールを蹴ることが可能となる。
【0013】
また、凸部はサッカーボールを蹴る際、ボールの中心に狙いを定める照準器としても機能するため、ボールの中心を蹴ることをサポートし、「地面からの高さ関係」を調整する感覚を養うことができる。更に本発明品の使用者は、シューズに固着した凸部がボールの中心をミートすることに集中するため、従来技術では解決できなかった、「地面を蹴ってしまう恐怖心」を抑制する効果がある。
【0014】
また、本発明品は、既存サッカーシューズに簡易に付け外しができ、メーカーやサイズ、右足・左足にかかわらず使用できる汎用性があり、かつシンプルな構造であるため、安価に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】本発明品の凸部2の形状のバリエーションを示す。(円錐台)
【
図6】本発明品の凸部2の形状のバリエーションを示す。(半楕円)
【
図7】本発明品の凸部2の形状のバリエーションを示す。(六角錐台)
【
図8】本発明品のシューズへの装着途中の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、本発明の一実施形態に係る正面図を示す。図示のように、サッカーシューズの練習用パーツ。は、例えば縦7cm~10cm、横6cm~8cmの基板部1と、凸部2で構成され、基板部の上部周辺には取付用孔3と取付用予備孔4(小さいサイズ用)を、また下端には差込部5を設けている。
【0017】
図2に、本発明の一実施形態に係る底面図を示す。図示のように基板部1は、下層部6と上層部7の二重構造で接着剤8にて接着され、凸部2の軸端が上層部7を貫通し0.5cm~1.5cm突起する形態となっている。
【0018】
図3に、本発明の一実施形態に係る凸部2の周辺を拡大したA―A線断面図を示す。基板部1の下層部6は、ゴム系や人工皮革
を含む軟質系素材で形成されており、ボールを蹴った際の衝撃を緩和し、足を保護する。また、凸部2の軸底部の鍔9と下層部6が接着剤8によって固定され、かつ上層部7と軸底部の鍔9の部分を挟み込むことで、凸部2の抜け落ち防止に寄与しており、これらは本発明品の練習用具としての安全性を担保している。
【0019】
図5、
図6、
図7において、凸部2の上端部の形状のバリエーションを示すが、好ましい上端部の形状は、ボールへ与えるダメージ等を考慮し、
図6の半楕円形のものである。
【0019】
図1において図示する基板部1には、上部周辺に取付用孔3、取付用予備孔4が設けてあり、
図8、
図9において示すように既存シューズの靴紐10を孔3に通し、更に基板部先端の差込部5をシューズ先端部の靴紐の下に差し込むことで、簡易にシューズに付け外しできる。また、既存のサッカーシューズに対しメーカーやサイズ、左右どちらの足にも固着できる汎用性を実現している。
【0020】
図9は本発明品の使用状態図を示す。
図9において、基板部1はサッカーシューズの甲の部分に取付用孔3と既存サッカーシューズの靴紐10と差込部5で固着された状況を示す。
【0021】
図10は本発明品の使用例を示す。使用者は、あらかじめボールの中心部である蹴るべきポイントをマーキング11しておくことが望ましい。使用者は、凸部2と前記のマーキングポイント11がミートすることに意識を集中することで、キックの正確性が増し、誤って地面を蹴ってしまう恐怖心も抑制できる。
【符号の説明】
【0022】
1 基板部
2 凸部
3 取付用孔
4 取付用予備孔(小さいサイズ用)
5 差込部
6 基板部下層
7 基板部上層
8 接着剤
9 凸部の鍔
10 靴紐
11 マーキングポイント(ボールの中心)