(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】搬送システム、電源供給機構及び接続機構
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20230614BHJP
B65G 35/00 20060101ALI20230614BHJP
B61B 13/06 20060101ALI20230614BHJP
B65G 1/04 20060101ALN20230614BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
B65G35/00 B
B61B13/06 J
B65G1/04 531D
(21)【出願番号】P 2019048024
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】591212408
【氏名又は名称】中洲電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇野 強
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-032435(JP,A)
【文献】特開平02-054877(JP,A)
【文献】特開平10-258734(JP,A)
【文献】特開2011-105500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 35/00
B61B 13/06
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステーションに物品を搬送する搬送システムであって、
ステーションを通過するように物品の搬送
経路に沿って延びる搬送レールと、
前記搬送レールに沿って走行し、物品を搬送する1又は複数の搬送体と、
前記搬送体に設置され、搬送する物品に電源を提供する受電装置と、
前記ステーションに設置され、前記ステーションに停止した前記搬送体の受電装置に選択的に電力を供給可能である給電装置と、
前記搬送システムの動作を制御する制御部と、を備え、
前記受電装置は、
前記搬送体に連結された受電側基部と、
物品に電気的に接続されて物品に電源を提供するための電気接続部と、
前記電気接続部に電気的に接続された受電端子と、
前記受電側基部に対して軸方向に相対的に移動可能に支持され、前記受電端子を軸方向に沿った後退位置及び前進位置に変位可能に保持する保持体と、を備え、
前記給電装置は、
給電側基部と、
前記給電側基部に支持され、前記受電端子と電気的に結合可能な給電端子と、
前記保持体又は前記受電端子に形成された被係合部に係合可能な係合部を有し、前記係合部及び前記被係合部が係合した状態で軸方向に沿って移動することにより、前記保持体を牽引して前記受電端子を前記後退位置と前記前進位置との間で変位させる牽引体と、
前記給電側基部に固定され、前記牽引体を軸方向に走行可能に駆動する駆動レールと、を備え、
前記牽引体が前記受電端子を前記前進位置に牽引することによって、前記受電端子が前記給電端子に電気的に接触することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記牽引体は、前記受電端子が前記後退位置にあるときに前記被係合部に前記係合部を係合可能とする係合位置、前記受電端子が前記後退位置にある前記受電装置に対して前記給電装置を前記搬送経路に沿ってすれ違い可能とする退避位置、及び、前記受電端子を前記前進位置に牽引して前記給電端子に電気的に接触させる給電位置に変位可能であることを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記受電装置は、前記受電端子を前記後退位置に付勢するように前記保持体と前記受電側基部とを弾性的に連結するバネ部材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記受電端子は、差込プラグ及びコンセントの一方からなり、前記給電端子は、差込プラグ及びコンセントの他方からなり、前記受電端子が前記前進位置に変位したときに前記差込プラグが前記コンセントに差し込まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記コンセントに前記差込プラグが差し込まれる行程において、前記受電端子を前記給電端子に対して軸方向に直交する揺動方向に揺動させる揺動機構をさらに備える請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記受電端子は、前記保持体によって前記揺動方向に遊動可能に支持されるとともに、弾性部材によって非揺動位置に付勢され、前記
被係合部は前記受電端子に設けられ、
前記牽引体は、前記駆動レールを走行する牽引体本体と、前記牽引体本体に対して揺動方向に遊動可能に支持された揺動部材と、前記揺動部材を非揺動位置に付勢する付勢部材とをさらに備え、前記係合部は前記揺動部材に設けられ、
前記コンセントに前記差込プラグが差し込まれる行程において、前記揺動部材に作用して前記揺動部材を揺動させる作用部材が前記給電側基部に直接的又は間接的に固定され、
前記係合部が前記被係合部に係合した状態で、前記作用部材が前記揺動部材に作用することで、前記揺動部材及び前記受電端子が一体的に揺動することを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記揺動部材は、直線部位及び波状部位を有する外形部を有し、前記作用部材は、前記外形部に沿って相対移動するベアリングを有し、前記ベアリングが前記外形部の前記波状部位に沿って相対移動するときに前記揺動部材が揺動することを特徴とする請求項6に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記差込プラグが前記コンセントから離隔しているときに前記ベアリングが前記直線部位に沿って移動し、前記差込プラグが前記コンセントに部分的に差し込まれているときに前記ベアリングが前記波状部位に沿って移動することを特徴とする請求項7に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記駆動レールは、回転駆動される無端ベルトを備え、前記無端ベルトに前記牽引体が連結されることにより、前記牽引体が前記駆動レール上を走行することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の搬送システム。
【請求項10】
搬送体が搬送レールに沿って移動することで物品を1又は複数のステーションに搬送する搬送システムにおいて、前記ステーションに停止する前記搬送体に選択的に電源を供給するための電源供給機構であって、
前記搬送体に設置され、搬送する物品に電源を提供する受電装置と、
前記ステーションに設置され、前記ステーションに停止した前記搬送体の前記受電装置に選択的に電力を供給可能である給電装置と、を備え、
前記受電装置は、
前記搬送体に連結された受電側基部と、
物品に電気的に接続されて物品に電源を提供するための電気接続部と、
前記電気接続部に電気的に接続された受電端子と、
前記受電側基部に対して軸方向に相対的に移動可能に支持され、前記受電端子を軸方向に沿った後退位置及び前進位置に変位可能に保持する保持体と、を備え、
前記給電装置は、
給電側基部と、
前記給電側基部に支持され、前記受電端子と電気的に結合可能な給電端子と、
前記保持体又は前記受電端子に形成された被係合部に係合可能な係合部を有し、前記係合部及び前記被係合部が係合した状態で軸方向に沿って移動することにより、前記保持体を牽引して前記受電端子を前記後退位置と前記前進位置との間で変位させる牽引体と、
前記給電側基部に固定され、前記牽引体を軸方向に走行可能に駆動する駆動レールと、を備え、
前記牽引体が前記受電端子を前記前進位置に牽引することによって、前記受電端子が前記給電端子に電気的に接触することを特徴とする電源供給機構。
【請求項11】
受電端子及び給電端子を接続する接続機構であって、
前記受電端子は、差込プラグ及びコンセントの一方からなり、前記給電端子は、差込プラグ及びコンセントの他方からなり、
前記接続機構は、
前記受電端子を軸方向に沿った後退位置及び前進位置に変位可能に保持する保持体と、
前記保持体又は前記受電端子に形成された被係合部に係合可能な係合部を有し、前記係合部及び前記被係合部が係合した状態で軸方向に沿って移動することにより、前記保持体を牽引して前記受電端子を前記後退位置と前記前進位置との間で変位させ、前記受電端子が前記前進位置に変位したときに前記差込プラグが前記コンセントに差し込まれるように構成された牽引体と、
前記コンセントに前記差込プラグが差し込まれる行程において、前記受電端子を前記給電端子に対して軸方向に直交する揺動方向に揺動させる揺動機構と、を備えることを特徴とする接続機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のステーションの間で物品を搬送する搬送システム、各ステーションで物品に電源を供給可能とする電源供給機構、及び、該電源供給機構において給電装置と受電装置とを接続するための接続機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品(ワーク材)に対して複数の工程を施すために、一の工程を施す第1の工程実施場所から他の工程を施す第2の工程実施場所へと対象を搬送する種々の搬送システムが用いられている。
【0003】
特許文献1の搬送ラインシステムは、複数の主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)と、待避レール部材(5a、5b、5c)と、サブ基幹レール部材(6a、6b、6c)と、支持部材(3)と、ベルト部材(103)とを備える。支持部材(3)は、主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)、待避レール部材(5a、5b、5c)又はサブ基幹レール部材(6a、6b、6c)に沿って移動可能に配設され、且つ、ワーク材を含有するための容器体(2)を支持する。そして、ベルト部材(103)を電気的に駆動することによって、支持部材(3)が各レールに沿って移動する。また、複数の主基幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)は、所定のワーク材を搬送するために、一の工程実施場所と他の工程実施場所との間に配設されている。そして、待避レール部材(5a、5b、5c)は、複数の主幹レール部材(4a、4b、4c、4d、4e)のうちの一の主基幹レール部材と他の主基幹レール部材との間に位置する工程実施場所に配設されており、所定のワーク材を用いて工程を実施する場合に一及び他の主基幹レール部材と連続する位置から断絶する位置へと、移動部材によって移動可能であり、又は、一及び他の主基幹レール部材と断絶する位置から連続する位置へと移動部材によって移動可能である。さらに、サブ基幹レール部材(6a、6b、6c)は、工程実施場所に配設され、待避レール部材(5a、5b、5c)に連結部材(7)で連結されている。該待避レール部材(5a、5b、5c)が一及び他の主基幹レール部材と連続する位置から断絶する位置へと移動すると、これに連動して、別のワーク材が工程実施場所を素通りできるように一及び他の主基幹レール部材と断絶する位置から連続する位置へとサブ基幹レール部材(6a、6b、6c)が移動する。又は、待避レール部材(5a、5b、5c)が一及び他の主基幹レール部材と断絶する位置から連続する位置へと移動すると、これに連動して、一及び他の主基幹レール部材と連続する位置から断絶する位置へとサブ基幹レール部材(6a、6b、6c)が移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
搬送システムは、電気で動作する物品を所定のステーションに搬送し、ステーション内で搬送体上の物品に電源を供給して、物品の動作のデモンストレーション、検査、充電などを行うことにも応用され得る。しかし、特許文献1のような従来の搬送システムでは、ステーション(工程場所)で物品に電源を供給することが必要な場合、ステーションごとに別途外部電源を準備し、その都度、搬送体上の物品に外部電源の端子を手動で直接接続しなければならなかった。よって、従来の搬送システムで物品に手動で電源供給を行うことには、迅速性及び利便性の点で問題があった。特に、連続して流れる複数の搬送体の物品に対して任意のステーションで順番に選択的に電源を供給する場合、接続解除作業も加わり、その作業が極めて困難となる。さらに、この手動接続作業において、外部電源と物品との間にケーブルの配線が個別に必要となり、ケーブルが搬送システムの部品に絡まったりして事故を引き起こすことも考えられることから、安全上の問題も挙げられる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、迅速性、利便性及び安全性に配慮して、ステーションにおいて搬送体上の物品に電源を選択的に供給することが可能である搬送システムを提供することにある。さらに、本発明の目的は、各ステーションで物品に電源を供給可能とするための簡易な構造の電源供給機構、及び、該電源供給機構において給電装置と受電装置とを接続するための簡易な構造の接続機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態の搬送システムは、ステーションに物品を搬送する搬送システムであって、
ステーションを通過するように物品の搬送方向に沿って延びる搬送レールと、
前記搬送レールに沿って走行し、物品を搬送する1又は複数の搬送体と、
前記搬送体に設置され、搬送する物品に電源を提供する受電装置と、
前記ステーションに設置され、前記ステーションに停止した前記搬送体の受電装置に選択的に電力を供給可能である給電装置と、
前記搬送システムの動作を制御する制御部と、を備え、
前記受電装置は、
前記搬送体に連結された受電側基部と、
物品に電気的に接続されて物品に電源を提供するための電気接続部と、
前記電気接続部に電気的に接続された受電端子と、
前記受電側基部に対して軸方向に相対的に移動可能に支持され、前記受電端子を軸方向に沿った後退位置及び前進位置に変位可能に保持する保持体と、を備え、
前記給電装置は、
給電側基部と、
前記給電側基部に支持され、前記受電端子と電気的に結合可能な給電端子と、
前記保持体又は前記受電端子に形成された被係合部に係合可能な係合部を有し、前記係合部及び前記被係合部が係合した状態で軸方向に沿って移動することにより、前記保持体を牽引して前記受電端子を前記後退位置と前記前進位置との間で変位させる牽引体と、
前記給電側基部に固定され、前記牽引体を軸方向に走行可能に駆動する駆動レールと、を備え、
前記牽引体が前記受電端子を前記前進位置に牽引することによって、前記受電端子が前記給電端子に電気的に接触することを特徴とする。
【0008】
本発明の一形態の搬送システムによれば、ステーションに設けた給電装置、及び、搬送体に設けた受電装置の動作を制御することにより、給電端子及び受電端子を自動的に電気接続し、受電装置を介して物品に電源を供給することを可能とする。特には、物品を運ぶ搬送体がステーションに移動したとき、制御部は、電源供給の必要に応じて、給電装置の牽引体を選択的に駆動させ、受電端子を機械的に前進位置に牽引して給電端子に電気的に接続させる。その結果、搬送システムは、迅速且つ簡単に、ステーションに配された搬送体上の物品に対して選択的に電源を供給することができる。また、物品は、搬送体外部の外部電源でなく、搬送体に設置された受電装置に電気接続部を介して電気接続される。換言すると、本発明の搬送システムでは、電源供給のためにケーブルなどが搬送体の内外に亘って配線される必要がない。また、搬送体と搬送レールとの間に配線される必要もない。これにより、本発明の搬送システムは、配線起因の事故を防止し得る。したがって、本発明の搬送システムは、改善した迅速性、利便性及び安全性を伴って、ステーションにおいて搬送体上の物品に電源を選択的に供給することを可能とする。
【0009】
本発明のさらなる形態の搬送システムは、前記牽引体は、前記受電端子が前記後退位置にあるときに前記被係合部に前記係合部を係合可能とする係合位置、前記受電端子が前記後退位置にある前記受電装置に対して前記給電装置を前記搬送経路に沿ってすれ違い可能とする退避位置、及び、前記受電端子を前記前進位置に牽引して前記給電端子に電気的に接触させる給電位置に変位可能であることを特徴とする。すなわち、搬送体上の物品への電源供給が選択された場合、牽引体は係合位置から給電位置に変位するように駆動される。他方、搬送体上の物品への電源供給が選択されなかった場合、牽引体が退避位置に待機し、受電装置が給電装置に対して搬送経路に沿ってすれ違い可能であることから、搬送体の移動がステーション内の給電装置によって妨げられることがない。
【0010】
本発明のさらなる形態の搬送システムは、前記受電装置は、前記受電端子を前記後退位置に付勢するように前記保持体と前記受電側基部とを弾性的に連結するバネ部材をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
本発明のさらなる形態の搬送システムは、前記受電端子は、差込プラグ及びコンセントの一方からなり、前記給電端子は、差込プラグ及びコンセントの他方からなり、前記受電端子が前記前進位置に変位したときに前記差込プラグが前記コンセントに差し込まれることを特徴とする。
また、搬送システムは、前記コンセントに前記差込プラグが差し込まれる行程において、前記受電端子を前記給電端子に対して軸方向に直交する揺動方向に揺動させる揺動機構をさらに備えることを特徴としてもよい。
本搬送システムにおいて、牽引体の一定の軸方向に沿った機械的な直線動作によって、差込プラグ及びコンセントを抜き差ししようとすると、差込プラグの刃とコンセントの刃受けばねとの間の摩擦力が最大限に発揮され、差込プラグ及びコンセントを滑らかに抜き差しすることができないことが知見として得られている。そこで、コンセントに差込プラグが差し込まれる行程において、揺動機構が受電端子を給電端子に対して軸方向に直交する揺動方向に揺動させることによって、差込プラグをコンセントに対して滑らかに抜き差しすることが可能となった。
【0012】
本発明のさらなる形態の搬送システムは、前記受電端子は、前記保持体によって前記揺動方向に遊動可能に支持されるとともに、弾性部材によって非揺動位置に付勢され、前記非係合部は前記受電端子に設けられ、
前記牽引体は、前記駆動レールを走行する牽引体本体と、前記牽引体本体に対して揺動方向に遊動可能に支持された揺動部材と、前記揺動部材を非揺動位置に付勢する付勢部材とをさらに備え、前記係合部は前記揺動部材に設けられ、
前記コンセントに前記差込プラグが差し込まれる行程において、前記揺動部材に作用して前記揺動部材を揺動させる作用部材が前記給電側基部に直接的又は間接的に固定され、
前記係合部が前記被係合部に係合した状態で、前記作用部材が前記揺動部材に作用することで、前記揺動部材及び前記受電端子が一体的に揺動することを特徴とする。
また、搬送システムは、前記揺動部材は、直線部位及び波状部位を有する外形部を有し、前記作用部材は、前記外形部に沿って相対移動するベアリングを有し、前記ベアリングが前記外形部の前記波状部位に沿って相対移動するときに前記揺動部材が揺動することを特徴としてもよい。
さらに、搬送システムは、前記差込プラグが前記コンセントから離隔しているときに前記ベアリングが前記直線部位に沿って移動し、前記差込プラグが前記コンセントに部分的に差し込まれているときに前記ベアリングが前記波状部位に沿って移動することを特徴としてもよい。
すなわち、本発明の搬送システムは、機械的に簡易な構造の揺動機構を有する。
【0013】
本発明のさらなる形態の搬送システムは、前記駆動レールは、回転駆動される無端ベルトを備え、前記無端ベルトに前記牽引体が連結されることにより、前記牽引体が前記駆動レール上を走行することを特徴とする。。
【0014】
本発明の一形態の電源供給機構は、搬送体が搬送レールに沿って移動することで物品を1又は複数のステーションに搬送する搬送システムにおいて、前記ステーションに停止する前記搬送体に選択的に電源を供給するための電源供給機構であって、
前記搬送体に設置され、搬送する物品に電源を提供する受電装置と、
前記ステーションに設置され、前記ステーションに停止した前記搬送体の前記受電装置に選択的に電力を供給可能である給電装置と、を備え、
前記受電装置は、
前記搬送体に連結された受電側基部と、
物品に電気的に接続されて物品に電源を提供するための電気接続部と、
前記電気接続部に電気的に接続された受電端子と、
前記受電側基部に対して軸方向に相対的に移動可能に支持され、前記受電端子を軸方向に沿った後退位置及び前進位置に変位可能に保持する保持体と、を備え、
前記給電装置は、
給電側基部と、
前記給電側基部に支持され、前記受電端子と電気的に結合可能な給電端子と、
前記保持体又は前記受電端子に形成された被係合部に係合可能な係合部を有し、前記係合部及び前記被係合部が係合した状態で軸方向に沿って移動することにより、前記保持体を牽引して前記受電端子を前記後退位置と前記前進位置との間で変位させる牽引体と、
前記給電側基部に固定され、前記牽引体を軸方向に走行可能に駆動する駆動レールと、を備え、
前記牽引体が前記受電端子を前記前進位置に牽引することによって、前記受電端子が前記給電端子に電気的に接触することを特徴とする。
【0015】
本発明の一形態の接続機構は、受電端子及び給電端子を接続する接続機構であって、
前記受電端子は、差込プラグ及びコンセントの一方からなり、前記給電端子は、差込プラグ及びコンセントの他方からなり、
前記接続機構は、
前記受電端子を軸方向に沿った後退位置及び前進位置に変位可能に保持する保持体と、
前記保持体又は前記受電端子に形成された被係合部に係合可能な係合部を有し、前記係合部及び前記被係合部が係合した状態で軸方向に沿って移動することにより、前記保持体を牽引して前記受電端子を前記後退位置と前記前進位置との間で変位させ、前記受電端子が前記前進位置に変位したときに前記差込プラグが前記コンセントに差し込まれるように構成された牽引体と、
前記コンセントに前記差込プラグが差し込まれる行程において、前記受電端子を前記給電端子に対して軸方向に直交する揺動方向に揺動させる揺動機構と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の搬送システムは、ステーションにおいて搬送体上の物品への電源供給を自動化し、物品への選択的な電源供給をより効率的に行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態の搬送システムの一部を示す概略斜視図。
【
図2】
図1の搬送システムの搬送レール、搬送体及び受電装置からなる搬送アセンブリを示す概略斜視図
【
図6】
図3の搬送アセンブリの受電装置を示す部分拡大図。
【
図7】
図2の搬送アセンブリの搬送レール及び搬送体を示す概略断面図。
【
図8】
図1の搬送システムの給電装置を示す概略斜視図。
【
図12】
図8の給電装置の揺動部材の動作を示す部分拡大図。
【
図13】
図8の給電装置の駆動レールを示す概略断面図。
【
図14】本発明の一実施形態の搬送システムにおいて、搬送体がステーション外からステーション内に搬送経路に沿って移動する工程を示す模式図。
【
図15】本発明の一実施形態の搬送システムにおいて、ステーション内で係合位置に移動した給電装置に対して受電装置が搬送経路に沿って近接する工程を示す模式図。
【
図16】本発明の一実施形態の搬送システムにおいて、ステーション内で牽引体が係合位置に移動した給電装置に対して受電装置が搬送経路に沿って近接する工程を示す模式図。
【
図17】本発明の一実施形態の搬送システムにおいて、ステーション内で牽引体が給電位置に移動して、給電端子及び受電端子が電気的に接続された形態を示す模式図。
【
図18】本発明の一実施形態の搬送システムにおいて、受電端子を給電端子に接続する行程の第1行程を示す模式図。
【
図19】本発明の一実施形態の搬送システムにおいて、受電端子を給電端子に接続する行程の第2行程を示す模式図。
【
図20】本発明の一実施形態の搬送システムにおいて、受電端子を給電端子に接続する行程の第3行程を示す模式図。
【
図21】本発明の一実施形態の搬送システムにおいて、受電端子を給電端子に接続する行程の第4行程を示す模式図。
【
図22】本発明の一実施形態の搬送システムの全体構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。また、上下左右方向は、相互に入れ替えて解釈されてもよい。
【0019】
本実施形態の搬送システム10は、複数の搬送体12を搬送レール11に走行可能に支持し、搬送体12によって物品が複数のステーション13の間で任意に搬送され、各ステーション13において物品に対して任意に電源を供給可能に構成されている(
図22参照)。
図1は、本実施形態の搬送システム10の概略斜視図である。また、
図22は、本実施形態の搬送システム10の全体模式図である。
【0020】
図1及び
図22に示すとおり、搬送システム10は、複数のステーション13を連結するように物品の搬送方向に沿って延びる搬送レール11と、搬送レール11に沿って走行し、物品を搬送する1又は複数の搬送体12とを備える。なお、搬送体12及びステーション13の数は1つでもよい。本実施形態では、物品は、LEDライトなどの電気で動作する物品である。物品は、所定のステーション13において、物品の動作のデモンストレーションや検査などのために電源供給される。そして、搬送システム10には、ステーション13に停止する搬送体12に選択的に電源を供給するための電源供給機構100が備えられている。制御部(図示せず)が搬送システム10全体の動作を制御する。以下、図面を参照して各構成要素について説明する。
【0021】
搬送レール11、搬送体12及び受電装置110は、1つの搬送アセンブリとして連結され、制御部により互いに連動して動作する。
図2は、搬送レール11、搬送体12及び受電装置110からなる搬送アセンブリの斜視図である。
図3は、搬送アセンブリの正面図である。
図4は、搬送アセンブリの背面図である。
図5は、搬送アセンブリの側面図である。
【0022】
搬送レール11は、搬送経路に沿って延在し、複数のステーション13を通過するように延在している。搬送レール11は、頂壁及び側壁を有し、下方に開口した断面視コ字状のレール部材11aと、その内部に設けられたコンベヤ部11bとを備える。該コンベヤ部11bは、長手方向全体に亘って、搬送体12をレール部材11a上で走行させるように駆動する。コンベヤ部11bは、両側壁部間に回転可能に軸支された複数のプーリと、該複数のプーリに掛架された無端ベルトを備える。無端ベルトは、モータによって駆動軸を介して回転駆動される。この無端ベルト(又はモータ)の回転方向及び回転量は、制御部によって自動式に制御される。
【0023】
搬送体12は、レール部材11aを長手方向に沿って直線的に走行するように構成されている。
図7は、搬送レール11及び搬送体12の連結機構を示す断面図である。
図7に示すように、搬送体12は、ブロック状の本体12a、該本体12aの下側に形成された走行輪12b、及び、該走行輪12bよりも上方に延びる圧接部12cを有する。走行輪12bcは車輪又はベアリングからなり、レール部材11aのフランジを走行可能である。圧接部12cは、走行方向に延びるブレード、該ブレードが先端に連結されるとともに、本体12aを貫通して貫通方向に遊動可能なシャフト、及び、ブレードを下方に付勢するようにシャフトに外挿されたバネを備える。
【0024】
電源供給機構100は、搬送体12に設置され、搬送する物品に電源を提供する受電装置110と、ステーション13に設置され、ステーション13に停止した搬送体12の受電装置110に選択的に電力を供給可能である給電装置130と、を備える。
【0025】
次に、
図2乃至
図6を参照して、受電装置110の構成を説明する。
図6は、搬送アセンブリの受電装置110の部分拡大図である。
【0026】
受電装置110は、
図2に示すように、搬送体12に固定式に設置され、搬送体12とともに搬送レール11に沿って移動可能である。受電装置110は、ブラケット119を介して搬送体12の天板に結合されている。ブラケット119は、搬送体12の天板から搬送レール11の搬送経路の直交方向に延びている。そして、受電装置110は、搬送体12の搬送経路から側方(搬送経路の直交方向)にずれて、搬送経路上を走行する搬送体12に干渉しない位置に配置されている。また、受電装置110は、他の搬送体12や搬送レール11に独立している。
【0027】
図2乃至
図5に示すように、受電装置110は、ブラケット119を介して搬送体12に連結された受電側基部111と、物品に電気的に接続されて物品に電源を提供するための電気接続部112と、電気接続部112に電気的に接続された受電端子113と、受電側基部111に対して軸方向に相対的に移動可能に支持され、受電端子113を軸方向に沿った後退位置及び前進位置に変位可能に保持する保持体115と、を備える。
【0028】
受電側基部111は、垂直に延びる軸方向に沿って延在する縦長の板材として構成されている。受電側基部111は、軸方向に延びるスライド溝と、該スライド溝に架設された横プレートを有し、保持体115を軸方向にスライド式に収容する。そして、受電側基部111には、受電側基部111を通して配線された電気接続部112が(直接的又は間接的に)連結されている。電気接続部112は、搬送体12内部に保持された物品に電気的に接続可能である。例えば、電気接続部112は、物品に直接的に電気配線される電線や、着脱可能なコンセントやプラグなどの外部端子であってもよい。あるいは、電気接続部112は、非接触式の給電端子であってもよい。受電側基部111は、それ自体で搬送体12に固定され、受電端子113及び保持体115を軸方向に相対移動可能に保持する。
【0029】
受電端子113は、受電側基部111を通る配線を介して電気接続部112に電気的に接続されている。本実施形態では、受電端子113は、矩形状の筐体から軸方向下方に延びる刃を有する差込プラグである。受電端子113は、その刃が下方を向くように配置されている。受電端子113の筐体の両側方(搬送レール11の直交方向)には、ピン状の被係合部116が突出形成されている。なお、被係合部は、受電端子113でなく、保持体115に形成されてもよい。
【0030】
保持体115は、
図6(a)に示すように、受電側基部111と同様に軸方向に沿って延在する縦長の板材として構成されている。保持体115は、受電側基部111に対して軸方向に相対的に移動可能に支持されている。すなわち、保持体115は、鉛直方向に延びる移動軸を有する。保持体115の上側部位は、受電側基部111のスライド溝に収容可能に直線状に延びる細長い板材として形成され、その下側部位は、受電端子113を保持するように幅広の板材として形成されている。保持体115の下側部位の上端が、受電側基部111の上端に対してバネ部材114で連結されている。バネ部材114は、保持体115を原位置である最上位置に付勢して保持するように弾性的に作用する。
図6(b)に示すように、保持体115に対して下方向の力が付加されると、バネ部材114が伸長して保持体115が受電側基部111に対して相対移動する。すなわち、保持体115は、原位置において受電端子113を後退位置に保持し、下方に延び出たときに受電端子113を前進位置に保持する。
【0031】
また、保持体115は、下側部位において受電端子113を保持している。受電端子113は、受電側揺動リンク117を介して保持体115に連結され、保持体115に対して搬送経路(搬送レール11)に直交する揺動方向に遊動可能である。具体的には、
図6(c)に示すように、受電側揺動リンク117は、受電端子113の筐体外面から正面側に延びる揺動軸117aと、該揺動軸117aを遊挿する保持体115に穿設された弧状の揺動孔117bと、上端で揺動軸117aに結合された細長い揺動プレート117cと、揺動プレート117c及び受電端子113を回動可能に軸支する回動軸117dとを備える。そして、揺動プレート117cの下端が、保持体115の下端に対して弾性部材118によって連結されている。弾性部材118は、揺動プレート117cの下端を下方に付勢するように作用する。すなわち、弾性部材118によって、受電側揺動リンク117が原位置(受電端子113が傾いてない姿勢)に付勢されて維持される。そして、
図6(c)に示すように、受電端子113に対して揺動方向の力が加わると、弾性部材118が伸長するとともに受電端子113が傾動する。
【0032】
次いで、
図8乃至
図13を参照して、給電装置130の構成を説明する。
図8は、給電装置130の斜視図である。
図9は、給電装置130の正面図である。
図10は、給電装置130の背面図である。
図11は、給電装置130の側面図である。
図12は、給電装置130の部分拡大図である。
図13は、給電装置130の駆動レール141及び牽引体133を示す断面図である。
【0033】
給電装置130は、ステーション13に設置され、搬送体12とともにステーション13に移動した受電装置110を受容するように構成されている。
図1に示すように、給電装置130は、搬送レール11に直交する方向において、受電装置110と一致する位置に設置される。なお、給電装置130は、ステーション13に可動式に設置され、物品への給電が必要なときに受電装置110と一致する位置に移動するように制御されてもよい。
【0034】
給電装置130は、
図8に示すとおり、給電側基部131と、該給電側基部131に固定され、受電端子113と電気的に結合可能な給電端子132と、給電側基部131に軸方向に相対移動可能に支持され、保持体115を牽引するための牽引体133と、給電側基部131に固定され、牽引体133を軸方向に走行可能に駆動する駆動レール141とを備える。さらに、給電装置130には、牽引体133で保持体115を牽引する行程(より具体的には、コンセントに差込プラグが差し込まれる行程)において、受電端子113を給電端子132に対して軸方向に直交する揺動方向に揺動させる揺動機構が設けられている。
【0035】
給電側基部131は、ステーション13の所定位置に連結又は固定された軸方向に延在するベースからなる。給電側基部131は、給電端子132、駆動レール141、及び、牽引体133を可動式又は固定式に支持する。
【0036】
給電端子132は、給電側基部131に支持されているとともに、ステーション13内外に設けられた外部電源(図示せず)に電気的に接続されている。給電端子132は、溝状の刃受けと、内部に刃受けばねを有するコンセントからなる。給電端子132の刃受けは上方に開口している。そして、給電端子132のコンセントは、前進位置にある受電端子113の差込プラグを受容可能な位置に設置されている。また、
図11に示すように、給電端子132は、スライド板132aに固定されている。スライド板132aは、給電側基部131に対して、所定の移動範囲で軸方向下方に相対移動可能に支持されている。また、スライド板132aの下端は、給電側基部131にバネ132bによって連結される。スライド板132aは、バネ132bによって上方に付勢され、下方への力が付加されたら、バネ132bの伸長とともに下方にスライド移動する。
【0037】
牽引体133は、駆動レール141に沿って走行することにより、給電側基部131に対して軸方向に沿って移動し、保持体115を牽引して受電端子113を後退位置と前進位置との間で変位させるように構成されている。すなわち、牽引体133は、受電端子113が後退位置にあるときに受電端子113を把持又は係合可能とする係合位置(上方位置)、受電端子113が後退位置にある受電装置110に対して給電装置130を搬送経路に沿ってすれ違い可能とする退避位置(下方位置)、及び、受電端子113を前進位置に牽引して給電端子132に電気的に接触させる給電位置(下方位置)に変位可能である。そして、牽引体133は、駆動レール141に走行駆動される牽引体本体134と、牽引体本体134によって揺動方向へ遊動可能に保持された揺動部材135とを備える。
【0038】
揺動部材135は、矩形状のプレートからなり、揺動機構の一部を構成する。揺動部材135には、その正面側に突出する突出片138が設けられている。突出片138は、受電端子113を挟み込んで保持可能な幅で離間する一対の側板として形成されている。また、突出片138には、正面側(搬送レール11に沿う方向)に開口し、その開口からさらに上方に延びる切り欠きが形成されている。この切り欠きは、開口を介して当該切り欠き内部に一対のピン状の被係合部116を収容する。また、切り欠きには、開口内部の上端縁に被係合部116を軸方向に係止する係合部139が形成されている。すなわち、係合部139及び被係合部116は、軸方向において互いに係合可能に構成されている。
【0039】
また、揺動部材135は、その搬送レール11から離隔する側の外周において、特徴的な形状を有する外形部136を有する。
図12(a)に示すように、外形部136は、軸方向の上下端部で延在する直線部位136a及び略中央で延在する波状部位136bからなる。外形部136は、後述する作用部材142に摺接することによって、揺動方向の力を受けるように構成されている。
【0040】
さらに、揺動部材135は、給電側揺動リンク137を介して牽引体本体134に保持されている。給電側揺動リンク137は、牽引体本体134から延びる揺動軸137aと、該揺動軸137aを遊挿するように揺動部材135に穿設された弧状の揺動孔137bと、上端で揺動部材135に固着され、揺動部材135の下方に延在する揺動プレート137cと、揺動プレート137c、揺動部材135及び牽引体本体134を回動可能に軸支する回動軸137dとを備える。また、揺動プレート137cの下端には、振り子部材137eが形成されている。さらに、付勢部材137fが、揺動プレート137c上端と揺動軸137aとを連結する。付勢部材137fは、揺動軸137aと揺動プレート137c上端を近接させる方向に弾性作用し、揺動部材135を原位置(傾いていない姿勢)に付勢する。
図12(b),(c)に示すように、揺動部材135に揺動方向の力が付加されると、揺動軸137aが揺動孔137b内で移動するとともに、回動軸137dを中心に揺動部材135及び揺動プレート137cが折れ曲がるように変位する。振り子部材137eは、その遠心力によって、揺動部材135の弾性的な揺動を支援する。その結果、揺動部材135が牽引体本体134に対して左右方向に揺動する。
【0041】
駆動レール141は、給電側基部131にブラケットを介して固定され、牽引体133を軸方向に沿って駆動可能に構成されている。駆動レール141は、搬送レール11と同様の駆動機構を備える。また、駆動レール141は、軸方向に沿って所定長さで延在している。
図13に示すように、駆動レール141は、頂壁及び側壁を有し、下方に開口した断面視コ字状のレール体141aと、その内部に設けられ、プーリの回転によって回転駆動される無端ベルト141bとを備える。無端ベルト141bは、モータによって駆動軸を介して回転駆動される。この無端ベルト141b(又はモータ)の回転方向及び回転量は、制御部によって自動式に制御される。無端ベルト141bの外面に牽引体本体134の連結部134aが圧接することによって、無端ベルト141bの回転に従って牽引体133が軸方向の上下に移動することができる。また、駆動レール141には、複数の位置センサ141cが設けられている。このセンサ141cに基づいて、牽引体133を停止させる位置を決定することができる。具体的には、牽引体133は、センサ141cにより、前述した係合位置、退避位置及び給電位置で正確に停止するように制御される。なお、本実施形態では、退避位置及び給電位置が同じ位置に設定されたが、両者が異なる位置に設定されてもよい。
【0042】
作用部材142が、揺動機構の一部として、駆動レール141のレール体141aに固定され、揺動部材135の側方に延びている。作用部材141は、揺動部材135の外形部136に摺接する位置に配置された第1ベアリング142a、及び、揺動部材135の外形部136の反対側の外周縁に摺接する位置に配置された第2ベアリング142bを備えてなる。
図12(a)~(c)に示すように、牽引体133が駆動レール141に沿って軸方向に移動すると、第1ベアリング142aは、外形部136の凹凸を連続的に乗り越えるように外形部136上を相対移動する。より具体的には、
図12(a)に示すように、第1ベアリング142aが直線部位136a上を移動するとき、揺動部材135は原位置に維持される。
図12(b)に示すように、第1ベアリング142aが波状部位136bの山部に移動すると、作用部材142によって揺動部材135に揺動方向の力が付加されて、揺動部材135が軸方向に対して傾動する。
図12(c)に示すように、第1ベアリング142aが波状部位136bの山部から谷部に移行すると、付勢部材137fの弾性復帰力及び振り子部材137eの遠心力によって、
図12(b)の反対側に、揺動部材135が軸方向に対して傾動する。この作用部材142が外形部136の波状部位136bを通過するタイミングは、牽引体133が給電位置に到達する直前の行程(つまり、コンセントに差込プラグが差し込まれる行程)に合うように定められる。なお、第2ベアリング142bは、第1ベアリング142aの反対側から揺動部材135を支えて、揺動部材135の揺動動作を安定化するように作用する。
【0043】
続いて、
図14乃至
図17を参照して、搬送システム10の一連の動作を説明する。
【0044】
まず、
図14に示すように、搬送体12が搬送レール11上を走行し、ステーション13内に進入する。給電装置130の初期形態において、牽引体133が退避位置に配置され、牽引体133の突出片138によって給電端子132が下方に押し下げられている。そして、搬送体12をステーション13で停止させる必要がない場合、又は、搬送体12に給電する必要がない場合、給電装置130を動作させずに原位置に維持すること(つまり、牽引体133を退避位置に待機させること)により、受電装置110及び給電装置130を干渉させることなく、搬送体12にステーション13に選択的に通過させることができる。他方、搬送体12をステーション13で停止させ、搬送体12の物品に給電する必要がある場合、以下に説明する一連の工程によって、搬送体12の物品に電源を供給する。
【0045】
まず、
図14に示すように、搬送体12がステーション13内で給電装置130の真上に到達する前に、
図14の矢印に従って、牽引体133が上昇して係合位置に移動する。同時に、給電端子132がバネ132bにより上方に弾性復帰する。
図15に示すように、牽引体133が係合位置に停止し、突出片138の切り欠きの開口が受電端子113の被係合部116に対向配置される。次いで、
図15の矢印に従って、搬送体12が平行移動し、被係合部116が切り欠きの開口に進入する。そして、被係合部116が突出片138の切り欠き内で軸方向に係合部139に係合可能な位置で、搬送体12が停止する。このとき、受電端子113は、一対の突出片138に挟まれて把持される。次に、
図16に示す矢印に従って、牽引体133が軸方向下方に移動すると、係合部139及び被係合部116が軸方向に係合する。係合状態で牽引体133が軸方向下方に移動すると、保持体115とともに受電端子113が後退位置から前進位置へと引き下げられて、受電端子113(差込プラグ)が給電端子132(コンセント)へと導かれる。牽引体133が給電位置に到達すると、
図17に示すように、受電端子113及び給電端子132が電気的に接続され、外部電源に接続された給電装置130から受電装置110を介して、搬送体12内の物品に電源を供給することが可能となる。なお、上記工程を逆方向に実行することによって、受電端子113及び給電端子132の接続を解除し、受電装置110及び給電装置130を原位置(すなわち、互いにすれ違い可能な位置)に復帰させることができる。
【0046】
次に、
図18乃至
図21を参照して、本実施形態の搬送システム10に導入された揺動機構の動作を説明する。差込プラグ及びコンセントを機械的に直線移動させて抜き差ししようとすると、差込プラグの刃とコンセントの刃受けばねとの間の摩擦力が最大限に発揮され、差込プラグ及びコンセントを滑らかに抜き差しすることができないことが分かっている。そこで、本実施形態では、揺動機構を導入し、コンセントに差込プラグが差し込まれる行程において、揺動機構が受電端子を給電端子に対して軸方向に直交する揺動方向に揺動させることによって、差込プラグをコンセントに対して滑らかに抜き差しすることを可能とした。そして、保持体115、牽引体133及び揺動機構が、協働して、受電端子113を給電端子132に滑らかに接続するための接続機構を構成する。以下、揺動機構(接続機構)について具体的に説明する。
【0047】
図18(a),(b)に示すように、受電端子113及び給電端子132が離隔している形態において、受電端子113が一対の突出片138に挟まれて被係合部13及び係合部139が軸方向に係合している。つまり、受電端子113は揺動部材135とともに一体的に軸方向及び揺動方向に移動可能である。そして、この形態から、牽引体133が下方の給電位置に向けて移動を始めると、受電端子113が給電端子132に近接するように直線移動を開始する。作用部材142の第1ベアリング142aは、揺動部材135の外形部136の直線部位136aに沿って相対移動し、受電端子113及び揺動部材135が非揺動姿勢に保たれている。
【0048】
図19(a),(b)に示すように、受電端子113の差込プラグの刃先が給電端子132のコンセントの開口に入り込むのとほぼ同時に、ベアリング142aが外形部136の波状部位136bの下端に到達し、揺動部材135及び受電端子113が(軸方向に直交する)揺動方向に揺動を開始する。
【0049】
次に、
図20(a),(b)に示すように、揺動部材135及び受電端子113を揺動させつつ、牽引体133が下降すると、受電端子113(差込プラグの刃先)と給電端子132(刃受けばね)との間に抵抗が生じる。この抵抗が生じた半分結合した状態で、牽引体133がさらに下降すると、給電端子132が受電端子113に押圧されて下方に弾性的に変位する。給電端子132及び受電端子113が一体的に下降している間、受電端子113が給電端子132に対して揺動しているとともに、バネ132aによる付勢力が、受電端子113及び給電端子132を結合させるように作用している。すなわち、所定の弾性付勢力の作用の下で揺動力が付加されることにより、受電端子113及び給電端子132をより滑らかに結合させることが可能である。しかしながら、揺動機構から、給電端子132が下降する機構が省略されてもよい。
【0050】
そして、
図21(a),(b)に示すように、牽引体133及び給電端子132がともに最下位置(給電位置)に移動するときに、差込プラグがコンセントの奥まで差し込まれ、受電端子113及び給電端子132の機械的な結合が完了する。
【0051】
以上のように、搬送システム10を構成する搬送レール11、搬送体12、電源供給機構100について説明した。
図22(a)は、搬送システム10のシステム全体の模式図を例示している。すなわち、搬送システム10は、搬送レール11に沿って複数のステーション13を配置し、各ステーション13に電源供給機構100を設けたものである。
図22の搬送システム10では、複数の搬送体12の物品Wに対して選択的に電源を供給可能である。
図22(b)に示すように、各搬送体12が各ステーション13で停止したときに、必要に応じて選択した搬送体12のみに電源を供給することが可能である。
【0052】
以下、本発明の一実施形態の搬送システム10の作用効果について説明する。
【0053】
本実施形態の搬送システム10は、ステーション13に設けた給電装置130、及び、搬送体12に設けた受電装置110の動作を制御することにより、給電端子132及び受電端子113を自動的に電気接続し、受電装置110を介して物品に電源を供給することを可能とする。特には、物品を運ぶ搬送体12がステーション13に移動したとき、制御部は、電源供給の必要に応じて、給電装置130の牽引体133を選択的に駆動させ、受電端子110を機械的に前進位置に牽引して給電端子132に電気的に接続させる。その結果、搬送システム10は、迅速且つ簡単に、ステーション13に配された搬送体12上の物品に対して選択的に電源を供給することができる。また、物品は、搬送体外部の外部電源でなく、搬送体12に設置された受電装置110に電気接続部112を介して電気接続される。換言すると、本実施形態の搬送システム10では、電源供給のためにケーブルなどが搬送体12の内外に亘って配線される必要がない。これにより、本実施形態の搬送システム10は、配線起因の事故を防止し得る。したがって、本実施形態の搬送システム10は、改善した迅速性、利便性及び安全性を伴って、ステーション13において搬送体12上の物品に電源を選択的に供給することを可能とする。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲の下で、種々の実施形態や変形例を取り得る。
【0055】
(1)上記実施形態の搬送システムでは、搬送レールが直線状であるが、本発明はこれに限定されない。すなわち、搬送レールは、屈折又は湾曲したレールを組み合わせたものでもよく、また、搬送体を方向転換させるためのターンテーブルを備えてもよい。
【0056】
(2)上記実施形態の搬送システムの搬送レール及び/又は駆動レールでは、走行体(搬送体、牽引体)がコンベヤ部に圧接してレール部材を走行するが、本発明は当該実施形態に機構に限定されない。例えば、走行体は、コンベヤ部にボルトや接着剤等により一体的に固定されてもよい。また、コンベヤ部は、プーリとコンベヤベルトの形態に限定されず、走行体との連結関係を維持し、走行体を走路に沿って移動させることができれば、その手段は問わない。例えば、コンベヤ部に複数の駆動輪を採用し、各駆動輪の回転とともに走行体を送り出してもよい。さらに、走行輪及びレール部材の走行箇所をラック・アンド・ピニオンとして、歯車の歯の噛み合いにより、走行体を走行させてもよい。このように、ラック・アンド・ピニオンを採用すると、搬送路を傾斜又は垂直方向に敷設した際の走行体(又は搬送体)の走行に有利となる。
【0057】
(3)上記実施形態では、受電端子の移動軸が鉛直方向に定められたが、搬送体の移動などに干渉しない限り、その方向は任意に定められる。例えば、受電端子の移動軸が水平方向に定められ、搬送レールから離隔する方向に受電端子が移動して、給電端子に結合されてもよい。
【0058】
(4)上記実施形態では、受電端子が差込プラグであり、給電端子がコンセントであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、両者を入れ替えて、受電端子がコンセントであり、給電端子が差込プラグであってもよい。あるいは、受電端子及び給電端子には、機械的な結合でなく、ワイヤレス給電方式が採用されてもよい。この場合、上記実施形態から揺動機構が省略され得る。
【0059】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0060】
10 搬送システム
11 搬送レール
11a レール部材
11b コンベヤ部
12 搬送体
12a 本体
12b 走行輪
12c 圧接部
13 ステーション
100 電源供給機構
110 受電装置
111 受電側基部
112 電気接続部
113 受電端子(差込プラグ)
114 バネ部材
115 保持体
116 被係合部
117 受電側揺動リンク
117a 揺動軸
117b 揺動孔
117c 揺動プレート
117d 回動軸
118 弾性部材
119 ブラケット
130 給電装置
131 給電側基部
132 給電端子
132a スライド板
132b バネ
133 牽引体
134 牽引体本体
134a 連結部
135 揺動部材
136 外形部
136a 直線部位
136b 波状部位
137 給電側揺動リンク
137a 揺動軸
137b 揺動孔
137c 揺動プレート
137d 回動軸
137e 振り子部材
137f 付勢部材
138 突出片
139 係合部
141 駆動レール
141a レール体
141b 無端ベルト
141c 位置センサ
142 作用部材
142a 第1ベアリング
142b 第2ベアリング
W 物品