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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】光サブアッセンブリ及び光モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02315 20210101AFI20230614BHJP
   G02F 1/01 20060101ALI20230614BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20230614BHJP
   H01S 5/02212 20210101ALI20230614BHJP
【FI】
H01S5/02315
G02F1/01 F
H01L31/02 B
H01S5/02212
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018235829
(22)【出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2020098837
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-108939(JP,A)
【文献】特開2004-335584(JP,A)
【文献】特開2015-088641(JP,A)
【文献】特開2013-004833(JP,A)
【文献】特開2011-197360(JP,A)
【文献】特開2011-134740(JP,A)
【文献】特開2011-108940(JP,A)
【文献】特開2011-108938(JP,A)
【文献】特開2011-108937(JP,A)
【文献】国際公開第2010/140473(WO,A1)
【文献】特開2007-286454(JP,A)
【文献】特開2006-253639(JP,A)
【文献】特開2005-045234(JP,A)
【文献】特開2005-033019(JP,A)
【文献】特開2003-332667(JP,A)
【文献】特開2003-037329(JP,A)
【文献】国際公開第2018/219318(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0159773(US,A1)
【文献】特許第7249745(JP,B2)
【文献】特許第7245620(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 31/00 - 31/20
H10K 30/00 - 39/38
G02F 1/00 - 1/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面の反対側に配置された第2の面と、前記第1の面から前記第2の面までを貫通する第1の貫通孔と、を含むアイレットと、
前記第1の貫通孔に挿入され、電気信号を伝送する第1のリード端子と、
前記第1の貫通孔と前記第1のリード端子との間に充填された誘電体と、
光信号と前記電気信号の少なくとも一方を他方に変換する光素子が搭載され、前記電気信号を前記光素子に伝送する第1の導体パターンを含む素子搭載基板と、
前記素子搭載基板が載置された金属ブロックと、
前記金属ブロックと前記アイレットとの間に配置された温調素子と、
前記電気信号を前記光素子に伝送する第2の導体パターンを含む中継基板と、
前記第1の面から前記第1の貫通孔の延伸方向に突出し、前記中継基板が載置される第3の面を含む台座と、
前記第3の面と前記中継基板との間に介在し、前記中継基板の裏面と前記台座とを導通させるスペーサと、を含み、
前記スペーサの一部が前記中継基板から露出し、前記金属ブロックと電気的に接続され、
前記スペーサの他の一部が前記中継基板から露出し、前記素子搭載基板の第1のグラウンドパターンと電気的に接続される、
光サブアッセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の光サブアッセンブリであって、
前記第1のグラウンドパターンは、前記アイレットと同電位であり
前記スペーサの一部を前記金属ブロックに接続する第1のボンディングワイヤと、
前記スペーサの他の一部を前記第1のグラウンドパターンに接続する第2のボンディングワイヤと、を更に含む、
光サブアッセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の光サブアッセンブリであって、
前記スペーサは、
前記中継基板が載置される第4の面と、
前記台座に載置される第5の面と、
前記第5の面と交差し、前記第1の面と対向する第6の面と、
前記第6の面と交差し、前記第5の面と対向する第7の面と、を有し、
前記第6の面、前記第7の面は、前記中継基板から露出し、
前記第1のボンディングワイヤは、前記第6の面と接続され、
前記第2のボンディングワイヤは、前記第7の面と接続された、
光サブアッセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載の光サブアッセンブリであって、
前記スペーサは、
前記第4の面と前記第7の面との間には段差を有し、
前記第7の面と前記第5の面との距離が、前記第4の面と前記第5の面との距離よりも大きい、
光サブアッセンブリ。
【請求項5】
請求項3に記載の光サブアッセンブリであって、
前記スペーサは、
前記第4の面と前記第7の面との間を隔てる溝を有する、
光サブアッセンブリ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光サブアッセンブリであって、
前記第1の貫通孔の直径が1mm以上である、
光サブアッセンブリ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の光サブアッセンブリであって、
前記温調素子はペルチェ素子であり、
前記第1の面に垂直な方向から見て、前記温調素子の少なくとも一部が、前記貫通孔の一部と重畳するよう配置された、
光サブアッセンブリ。
【請求項8】
請求項2に記載の光サブアッセンブリであって、
前記素子搭載基板が、前記第1のグラウンドパターンと前記金属ブロックとを電気的に接続する第1のキャスタレーションを有する、
光サブアッセンブリ。
【請求項9】
請求項2に記載の光サブアッセンブリであって、
前記第1の導体パターンと、前記第2の導体パターンと、を電気的に接続する第3のボンディングワイヤと、
前記中継基板に設けられた第2のグラウンドパターンと、前記金属ブロックと、を電気的に接続する第4のボンディングワイヤと、
を更に含み、
前記第3のボンディングワイヤは、前記第3の面に直交する方向から見て、前記第2のボンディングワイヤと、前記第4のボンディングワイヤと、の間に配置された、
光サブアッセンブリ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の光サブアッセンブリであって、
前記台座における前記第3の面に対向する裏面と、前記金属ブロックと、を接続する第5のボンディングワイヤを更に含む、
光サブアッセンブリ。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の光サブアッセンブリであって、
前記第3の面に直交する方向から見て、前記中継基板は、前記第1の面に平行な短辺において、グラウンド電位となる導体パターンを有していない、
光サブアッセンブリ。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかに記載の光サブアッセンブリであって、
前記第1の導体パターンと、前記第2の導体パターンと、を電気的に接続する第3のボンディングワイヤを更に含み、
前記第3のボンディングワイヤは、複数のボンディングワイヤを含む、
光サブアッセンブリ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかに記載の光サブアッセンブリと、
プリント基板と、
前記プリント基板と前記光サブアッセンブリとに電気的に接続されるフレキシブル基板と、を備えた、
光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光サブアッセンブリ及び光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネットや電話ネットワークの大部分が光通信網によって構築されている。光通信機器であるルータ/スイッチや伝送装置のインターフェースとして使用される光モジュールは、電気信号を光信号に変換する重要な役割を担っている。光モジュールは、一般的に、光素子を収容した光サブアッセンブリと、変調電気信号を含む信号を処理するIC等実装したプリント基板(以下、PCB)と、その間を電気的に接続するフレキシブルプリント基板(以下、FPC)を備えた形態をとる。
【0003】
近年では、光モジュールは高速化のみならず、低価格化への要求が著しく、低コストでかつ、高速光信号を送受信可能な光モジュールの需要が高まっている。例えば、上述のような要求を満たす光モジュールとして、例えば缶状のパッケージに内包される金属製ステムからFPC等に差し込むリード端子が突出した形態を有するTO-CANパッケージ型の光サブアッセンブリ等を用いることが知られている。金属製ステムは、略円盤形状のアイレットと、アイレットから突出するように設けられた台座と、を含んで構成されている。
【0004】
さらに、昨今ではCPRI (Common Public Radio Interface)と呼ばれる無線基地局の制御部と無線部の間を繋ぐためのインターフェース規格の分野においても光モジュールの需要が増大している。CPRIとは、無線基地局の無線制御部(Radio Equipment Control;REC)と,無線部(Radio Equipment;RE)を繋げるインターフェースの規格である。RECでは,デジタル領域のベースバンド信号処理や制御・管理などを行い、REでは、アナログ領域の無線信号の増幅、変復調、フィルタリングなどを行う。RECとRE間を長距離伝送が可能な光信号で接続すると、REを基地局から離れたアンテナ直近の屋外設置スペースに使用することが可能となる。しかし、屋外設置に対応するには、厳しい温度環境でも動作する必要がある。そのため、市場要求による低価格化に加え、I-Temp(Industrial temperature range)と呼ばれる-40~85℃の広い温度範囲で動作することが求められる。
【0005】
以上の要請から、広い温度範囲で動作可能でかつ広帯域なTO-CAN型TOSA(Transmitter Optical Subassembly)の技術的要求は高い。しかしながら、50Gbit/s級の高速動作が求められる昨今では、光源として適しているのは、電界吸収型(EA;Electro Absorption)変調器集積レーザー(以下、EML)があげられるが、EMLは光吸収特性の温度依存性が大きく、ペルチェ素子などの温調素子と併用する構成が求められる。
【0006】
下記特許文献1においては、ペルチェ温調素子と光素子をTO-CAN型TOSAモジュール内に内包させる構成が開示されている。また、下記特許文献1では、ペルチェ温調素子を内蔵するTO-CAN型TOSAモジュールにおいて、ボンディングワイヤによって、光素子が搭載されるサブマウントのグラウンドを強化することによって、高周波特性を改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2011-108939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成においては、光素子の実装スペースの確保と、特性インピーダンス整合と、の両立が困難となっていた。リード端子は台座上に配置された誘電体基板と直接接続されている。リード端子が挿入される貫通孔と、誘電体と、リード端子とで構成される同軸線路の特性インピーダンスを整合すべく、貫通孔の直径を大きくする場合、当該貫通孔を避けるよう形成された台座とリード端子との距離が大きくなってしまう。そのため、誘電体基板とリード端子とを直接接続させるためには、誘電体基板の厚みを大きくする必要がある。一方、誘電体基板における特性インピーダンスを整合させる上で、誘電体基板の厚みが大きくなる場合においては、誘電体基板に設ける導体パターンの線路幅を大きくする必要がある。導体パターンの線路幅が大きくなると、光素子の実装スペースが小さくなってしまう。そのため、光素子の実装スペースの確保と、特性インピーダンス整合と、の両立が困難となっていた。
【0009】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、温調素子を含む光サブアッセンブリにおいて、光素子の実装スペースの確保と、特性インピーダンス整合と、を両立することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示に係る光サブアッセンブリは、第1の面と、前記第1の面の反対側に配置された第2の面と、前記第1の面から前記第2の面までを貫通する第1の貫通孔と、を含むアイレットと、前記第1の貫通孔に挿入され、電気信号を伝送する第1のリード端子と、前記第1の貫通孔と前記第1のリード端子との間に充填された誘電体と、光信号と前記電気信号の少なくとも一方を他方に変換する光素子が搭載され、前記電気信号を前記光素子に伝送する第1の導体パターンを含む素子搭載基板と、前記素子搭載基板が載置された金属ブロックと、前記金属ブロックと前記アイレットとの間に配置された温調素子と、前記電気信号を前記光素子に伝送する第2の導体パターンを含む中継基板と、前記第1の面から前記第1の貫通孔の延伸方向に突出し、前記中継基板が載置される第3の面を含む台座と、前記第3の面と前記中継基板との間に介在し、前記中継基板の裏面と前記台座とを導通させるスペーサと、を含む。
【0011】
また、本開示に係る光モジュールは、上記光サブアッセンブリと、プリント基板と、前記プリント基板と前記光サブアッセンブリとに電気的に接続されるフレキシブル基板と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示の光サブアッセンブリ及びそれを備えた光モジュールによれば、光素子の実装スペースの確保と、特性インピーダンス整合と、を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は第1の実施形態に係る光モジュールの外観図である。
図2図2は第1の実施形態に係る光サブアッセンブリの内部構造を示す模式的な斜視図である。
図3図3は第1の実施形態に係る第1のボンディングワイヤを設ける場合と設けない場合の透過特性を3次元電磁界シミュレータHFSS(High Frequency Structure Simulator)を用いて計算したグラフである。
図4図4は第1の実施形態の他の実施例に係る光サブアッセンブリの内部構造を示す模式的な斜視図である。
図5図5は第1の実施形態に係るスペーサの構造を示す模式的な斜視図である。
図6図6は第1の実施形態の他の実施例に係る光サブアッセンブリの内部構造を示す模式的な斜視図である。
図7図7は第1の実施形態の他の実施例に係る光サブアッセンブリの内部構造を示す模式的な斜視図である。
図8図8は第1の実施形態の他の実施例に係る光サブアッセンブリの内部構造を示す模式的な斜視図である。
図9図9図7、8に示した実施例の反射特性、及び透過特性を3次元電磁界シミュレータHFSS(High Frequency Structure Simulator)を用いて計算したグラフである。
図10図10は第1の実施形態に係る光サブアッセンブリの断面構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の第1の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における光通信用途の光モジュール1の外観図である。PCB200に搭載される駆動IC(図示せず)から、PCB200に半田等によって接続されるFPC300を介し、光サブアッセンブリ100に変調電気信号や制御信号等が伝達される。光サブアッセンブリ100は、光素子を収容し、かつ出射光をもしくは入射光を送受するインターフェースを備えている。光サブアッセンブリ100は、アイレット120と、光レセプタクル2を含む。なお、図示しないが光サブアッセンブリ100、PCB200、そしてFPC300は、金属製などの筐体に内蔵されて、光モジュール1は構成されている。
【0016】
図10は、本実施形態における光サブアッセンブリ100の断面構造を示す模式図である。図10に示すように、本実施形態に係る光サブアッセンブリ100は、光レセプタクル2と光パッケージ3とを含んでいる。そして、光レセプタクル2は、光レセプタクル本体20と、スタブ22と、スリーブ24とを備えている。
【0017】
本実施形態に係る光レセプタクル本体20は、一体的に形成された樹脂部材を含んで構成されており、円柱状の外形を有する光パッケージ収容部20fと、光パッケージ収容部20fの外径より小さな外径を有する概略円柱形状の光ファイバ挿入部20dとを備えている。光パッケージ収容部20fと光ファイバ挿入部20dとは、それぞれの一端面同士が、連結されている。
【0018】
光パッケージ収容部20fには、その外形状と同軸に円型の凹部20aが形成されており、円筒形をなしている。
【0019】
光レセプタクル本体20には、光ファイバ挿入部20dの先端面から、この光ファイバ挿入部20dの外形状と同軸に延びて、光パッケージ収容部20fに形成された凹部20aの底面に至る貫通孔20bが形成されている。すなわち、光レセプタクル本体20には、凹部20aと、凹部20aから外部に貫通する貫通孔20bと、が形成されている。
【0020】
貫通孔20bの内壁面の先端に形成されているテーパ部20cは、その径が外側に向かって増加するテーパ形状である。そのため、光ファイバ50を備えたコネクタを貫通孔20bに挿入しやすいようになっている。
【0021】
光ファイバ挿入部20dには、その外周に沿ってフランジ20eが形成されている。
【0022】
スタブ22は、ジルコニアなどを含んで構成されている。そして、スタブ22は、光レセプタクル本体20の光ファイバ挿入部20dに形成されている貫通孔20bとほぼ同径の概略円柱形状であり、スタブ22と同軸の光ファイバ50を保持している。そして、スタブ22は光レセプタクル本体20の光ファイバ挿入部20dに圧入などにより挿入固定されている。スタブ22の右側端面は斜め研磨されている。このようにして、光ファイバ50から入力される光と、その反射光との干渉を防止している。
【0023】
光レセプタクル2のスタブ22の左側側面は、外部から貫通孔20bに挿入された光ファイバ50を備えたコネクタ(図示せず)と当接されて、コネクタが備える光ファイバ50と、スタブ22が保持する光ファイバ50との結合を行う。
【0024】
スリーブ24は、ジルコニアなどで構成された割スリーブを含んで構成されている。そして、スリーブ24の内径は、貫通孔20bとほぼ同径の円筒形状をしており、光レセプタクル本体20の内壁面に設けられた溝に埋め込まれている。このスリーブ24によって、光ファイバ挿入部20dに挿入される光ファイバ50の、貫通孔20b内における位置の調整ができるようになっている。
【0025】
光パッケージ3は、球体のレンズ30を備えている。また、光パッケージ3は、レンズ30と略同径の開口が底面に形成された金属製の有底円筒状の部材であるレンズ支持部32を備えている。レンズ支持部32の開口は、レンズ支持部32の底面の形状と同軸に形成されている。そして、レンズ30はレンズ支持部32の開口に嵌め込まれている。すなわち、レンズ支持部32はレンズ30を支持する。
【0026】
また、光パッケージ3は、上述したアイレット120、台座124と、を含むステムを備えている。
【0027】
光レセプタクル2の凹部20aとアイレット120の第1の面121との接合面を接着固定することで光サブアッセンブリ100は組み立てられる。このとき、アイレット120に溶接されたレンズ支持部32、このレンズ支持部32に嵌め込まれたレンズ30は、光レセプタクル2の凹部20aの中に入るように形成される。すなわち、レンズ30やレンズ支持部32は、光レセプタクル本体20の凹部20aに収容される。なお、光レセプタクル2と光パッケージ3とを接着する方法はこの限りではない。
【0028】
光サブアッセンブリ100の例としては、レーザダイオードやEMLなどの発光素子を内部に有し、電気信号を光信号に変換して送信する光送信モジュール(TOSA; Transmitter Optical Subassembly)や、内部にフォトダイオードに代表される受光素子を有し、受信した光信号を電気信号に変換する光受信モジュール(ROSA; Receiver Optical Subassembly)や、これらの両方の機能を内包した双方向モジュール(BOSA;Bidirectional Optical Subassembly)などがある。本願発明は、上記いずれの光サブアセンブリにも適用でき、本実施形態では光送信モジュールを例として説明する。
【0029】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る光サブアッセンブリ100の内部構造を示す模式的な斜視図である。光サブアッセンブリ100は、例えば、直径5.6mmの円盤形状をした、例えば金属からなる導電性のアイレット120を有する。アイレット120は、第1の面121と、第1の面121の反対側に配置された第2の面122と、を有する。また、アイレット120は、第1の面121から第2の面122までを貫通する第1の貫通孔123を有する。
【0030】
アイレット120の第1の貫通孔123には、電気信号を伝送(伝達)する第1のリード端子110が挿入されており、第1の貫通孔123と第1のリード端子110との間には、誘電体130が充填されている。誘電体130は例えばガラスなどである。このアイレット120、誘電体130、及び第1のリード端子110によって、同軸線路を形成している。以下、この同軸線路を「ガラス同軸部」という。
【0031】
また、光サブアッセンブリ100は、アイレット120の第1の面121から第1の貫通孔123の延伸方向に突出する、例えば金属からなる導電性の台座124を含む。アイレット120と台座124とは一体形成されており、両者によりステムを構成している。
【0032】
台座124は、中継基板150が載置される第3の面125を含む。本開示の光サブアッセンブリ100は光信号と電気信号の少なくとも一方を他方に変換する光素子160を備えており、中継基板150は、電気信号を当該光素子160に伝送する第2の導体パターン152を含む。また中継基板150は、誘電体基板上に第2の導体パターン152が形成された構成となっている。配線パターンを第1のリード端子110と第2の導体パターン152は、例えば金錫合金などからなる半田70によって直接接続されている。
【0033】
本実施形態において、変調電気信号を伝送する第1のリード端子110は、図2に示すように、小径部114と、小径部114の端部に設けられ、小径部114よりも大きな直径を有する大径部115と、を含む。大径部115の少なくとも一部は、第1の面121側において、第1の面121から露出している。そして、大径部115と、中継基板150に載置された第2の導体パターン152とが、半田付けされている。例えば、第1のリード端子110の大径部115と中継基板150は、金錫合金などからなる半田70によって接続されている。本実施形態における一構成例としては、小径部114の直径を0.28mmとし、大径部115の直径を0.4mmとしている。また、ガラス同軸部の特性インピーダンスを50オームに整合させるため、比誘電率εr=4.1の低誘電ガラスを使用し、ガラス部の直径は1.3mmとしている。このように、第1のリード端子110が大径部115を有する構成することにより、第1のリード端子110と中継基板150とが半田付けされた光モジュール1において、更なるインピーダンス整合を実現することができる。尚、第1のリード端子110と中継基板150との接続は、半田付けに限定されず、他のろう材による、ろう付け(ろう接)であっても構わない。
【0034】
なお、中継基板150の上面に形成された第2の導体パターン152が、この第1のリード端子110の大径部115と半田付けされる部分に幅広部であるスタブ153を有する構成とすることが望ましい。このような構成とすることにより、容量成分を増加させることができ、その結果、更なるインピーダンス整合を行うことが可能となる。また、第1のリード端子110と第2の導体パターン152との接続部において、中継基板150の搭載ばらつきが生じても、安定して半田接続ができ望ましい。
【0035】
図2に示すように、光素子160は素子搭載基板140に搭載される。なお、光素子160は、直接変調型レーザ、電界吸収型変調器集積型レーザ、及びレーザとマッハツェンダー変調器を組み合わせたもののいずれであってもよいが、本実施形態においては、光素子160として、電界吸収型変調器集積型レーザ(以下、EML)を使用する。
【0036】
本実施形態において、素子搭載基板140は、光素子160と近い熱膨張係数を持つ窒化アルミニウムなどのセラミックからなり、光素子160が、素子搭載基板140にダイボンディングされている。また、光素子160が搭載される素子搭載基板140の表面(搭載面)側には、光素子160に電気信号を伝送する伝送線路となる第1の導体パターン141が形成され、マイクロストリップ線路を構成している。第1の導体パターン141と第2の導体パターン152とは、第3のボンディングワイヤ183により接続されており、光素子160に伝送する電気信号が、第3のボンディングワイヤ183を介して中継基板150から素子搭載基板140へと伝送される。
【0037】
素子搭載基板140は、その裏面にもメタライズパターンを有しており、素子搭載基板140が載置される金属ブロック190と接続されている。また、金属ブロック190とアイレット120との間には温調素子192を配置している。本実施形態において、温調素子192としてペルチェ素子を用いている。
【0038】
なお、低速通信用途の光モジュールにおいては、ガラス同軸部の特性インピーダンスは、厳密に50オームに整合する必要は無く、例えば30オーム程度であってもよかった。例えば、リード端子径を0.25mm、誘電体130の直径を0.8mmとし、誘電体130として、比誘電率が6.7のガラスを用いることにより、ガラス同軸部を実現することができた。これは、低速用途においては、この特性インピーダンスであっても信号の伝送は可能であるため、小型化を優先していたためであった。しかし、例えば伝送レートが40Gbit/s以上の高速通信用途の光モジュールにおいては、広帯域でかつ特性インピーダンスが50オーム±10オームに整合したTO-CAN型パッケージが必要になる。
【0039】
しかし、第1のリード端子110を保持する誘電体130であるガラスの比誘電率は4~7であり、ガラス同軸部の特性インピーダンスを50オーム±10オームに整合させるためには、物理的なスペースを必要としてしまう。例えば、比誘電率が6.7のガラスで50オーム±10オームに整合した同軸線路を設けるためには、直径が1mm以上に及ぶ第1の貫通孔123が必要となる。そのため、光モジュール1は自ずと、その制約を受けサイズが決定される。
【0040】
本実施形態においては、第3の面125に直交する方向において、第3の面125は、素子搭載基板140が載置される金属ブロック190の載置面よりもアイレット120の中心から離れた位置に配置されている。上述した事情から、ガラス同軸部の特性インピーダンスを50オーム±10オームに整合させる場合、例えば30オームに整合させる場合と比較して、第1の貫通孔123の直径を大きくする必要がある。ここで、製造プロセス上、第1のリード端子110の延伸方向から見て、第1の貫通孔123と台座124とは重畳しないことが望ましい。即ち、第1のリード端子110の延伸方向から見て、第1の貫通孔123と台座124とを重畳させない構成とすることにより、台座124とアイレット120とを一体形成する場合において、第1の貫通孔123を形成しやすく望ましい。この第1の貫通孔123と台座124とを重畳させない構成を採用すると、大きな直径を有する第1の貫通孔123を避けるように台座124を設ける必要があるため、第1の貫通孔123を避けるように形成された台座124と第1のリード端子110との距離が大きくなってしまう。
【0041】
一方、誘電体基板である中継基板150と第1のリード端子110とを半田70で直接接続させるためには、中継基板150と第1のリード端子110とを近づけて配置する必要がある。しかしながら、中継基板150と第1のリード端子110とを近づけるべく、中継基板150の厚みを大きくしてしまうと、中継基板150に形成する第2の導体パターン152の線路幅を大きくする必要がある。これは、中継基板150は、台座124とともに、特性インピーダンスが50オーム±10オームとなるマイクロストリップ線路を成す必要があるためである。例えば、中継基板150を構成する材料として窒化アルミニウムを用いた場合、その比誘電率は8.7であるため、例えば、中継基板150の厚みを0.5mmとすると、第2の導体パターン152の線路幅は0.5mm幅とする必要があり、中継基板150自体を大きくすることが必要となる。中継基板150を大きくすると、素子搭載基板140を小さくせざるを得なくなり、光素子160の実装スペースが小さくなってしまう。
【0042】
この課題に対し、本実施形態においては、中継基板150と台座124の第3の面125との間に、スペーサ170を介在させ、このスペーサ170が、中継基板150の裏面と台座124とを導通させる構成としている。即ち、スペーサ170の上面にまで、台座124のグラウンド電位を持ち上げる構成としている。そのため、中継基板150の厚みを、例えば0.2mmのように薄くすることが可能となる。その結果として、第1のリード端子110と接続される誘電体基板である中継基板150上に形成する第2の導体パターン152の線路幅が大きくなることを抑制することができる。本実施形態においては、中継基板150に形成する第2の導体パターン152の線路幅を0.2mmとすることが可能となる。その結果として、中継基板150の大型化を抑制することができ、光素子160の実装スペースの確保と、特性インピーダンス整合との両立が可能となる。
【0043】
なお、図2に示すように、第1のリード端子110の延伸方向、あるいは第1の面121に直交する方向から見て、グラウンド導体を含むスペーサ170は、誘電体130と重畳する構成となっている。このスペーサ170としては、例えば窒化アルミニウムなどのセラミックで構成するとともに、このセラミック基板内に、複数の埋め込みビアホールを設けることによって、スペーサ170の表裏を導通させる構成としてもよい。あるいは厚み0.3mmから0.6mm程度の金属板によりスペーサ170を構成してもよい。本実施形態においては、スペーサ170が金属板により構成された例について説明する。スペーサ170に金属板を用いることにより、加工費を低減することができる。
【0044】
図2に示すように、スペーサ170の表面の一部は、中継基板150と重畳せず露出している。中継基板150から露出するスペーサ170の一部は、金属ブロック190と第1のボンディングワイヤ181により電気的に接続されている。また、中継基板150から露出するスペーサ170の他の一部は、素子搭載基板140に設けられた第1のグラウンドパターン146と第2のボンディングワイヤ182により電気的に接続されている。このように、中継基板150から露出するスペーサ170の一部が、金属ブロック190と第1のボンディングワイヤ181により電気的に接続される構成とすることにより、高周波特性の改善を図ることができる。
【0045】
図3は、第1のボンディングワイヤ181を設ける場合と設けない場合の透過特性(S21)を3次元電磁界シミュレータHFSS(High Frequency Structure Simulator)を用いて計算したグラフである。ここでは、ガラス同軸部の先端(アイレットの第2の面122側)から光素子160直前までの透過特性を示す。第1のボンディングワイヤ181を設けた構成例としては、図2に示した実施例を用いた。また、第1のボンディングワイヤ181を設けない構成例としては、図4に示すように、第3の面125に垂直な方向から見て、中継基板150Aの短辺と長辺のそれぞれにキャスタレーション147を設け、このキャスタレーション147に接続された第2のグラウンドパターン148、第3のグラウンドパターン149を設けた例を用いた。第2のグラウンドパターン148、第3のグラウンドパターン149は、それぞれ素子搭載基板140に設けられた第1のグラウンドパターン146に、ボンディングワイヤ185、186によって接続されている。図4において、信号配線である第3のボンディングワイヤ183の両側は、グラウンド配線であるボンディングワイヤ185、186で挟まれており、中継基板150Aと素子搭載基板140との間が、所謂GSG(Ground-signal-ground)タイプにて接続された例を示す。
【0046】
図3に示すように、第1のボンディングワイヤ181を有する図2に示した構成の方が、第1のボンディングワイヤ181を有さない図4に示した構成と比べて、特に20~35GHzでの透過特性を著しく改善することができていることがわかる。これは、スペーサ170と、金属ブロック190との間の接続がより強固になっているためであると考えられる。
【0047】
ただし、図4に示す構成であっても、上述した、中継基板150Aの大型化を抑制し、光素子160の実装スペースの確保と、特性インピーダンス整合と、を両立するという本願の改題を解決することができ、本願発明に含まれる構成であるということができる。
【0048】
なお、図2に示す構成は、上述した光素子160の実装スペースの確保と、特性インピーダンス整合との両立、及び高周波領域における透過特性の改善の他にも特筆すべき特徴を有する。
【0049】
まず、スペーサ170は、図5に示すようにL字形状を有しており、中継基板150が載置される第4の面174と、台座に載置される第5の面175とを有する。図5においては、第4の面174を上面、第5の面175を下面として表示している。また、スペーサ170は、第5の面175と交差し、図2に示したアイレット120の第1の面121と対向する第6の面176と、第6の面176と交差し、第5の面175と対向する第7の面177と、を有する。第6の面176は、アイレット120の第1の面121から最も離れた側面であり、第1のボンディングワイヤ181により金属ブロック190と接続される。また、第7の面177は、図5において第4の面174と共に上面として表示されており、図2に示したように、第2のボンディングワイヤ182により素子搭載基板140上の第1のグラウンドパターン146に接続される。なお、第7の面177は、第4の面174と共に上面として表示されているが、第4の面174は、その上面に中継基板150が載置されるのに対して、第7の面177の上面には、中継基板150が載置されない。
【0050】
そして、図2、5に示す例においては、スペーサ170が、第4の面174と第7の面177との間に段差を有し、第7の面177と第5の面175との距離が、第4の面174と第5の面175との距離よりも大きい構成としている。即ち、中継基板150が搭載される領域の厚みより、中継基板150が搭載されない領域の厚みが厚く、中継基板150が載置される側(図2においては上方)に突出する形状となっている。
【0051】
このように、スペーサ170をL字形状とし、アイレット120に最も近い側面178(図5参照)よりも、金属ブロック190と第1のボンディングワイヤ181により接続される第6の面176の面積を大きくすることにより、小型の光サブアッセンブリ100においても、第1のボンディングワイヤ181(図2参照)を設けやすい構成とすることができる。
【0052】
また、第7の面177において、第2のボンディングワイヤ182により第1のグラウンドパターン146と接続し、第7の面177に中継基板150が載置されない構成とすることにより、図4に示した構成と比較して、中継基板150を小型にすることができる。その結果として、製造工程における中継基板150の取り数を増やすことが可能となり、中継基板150のコスト削減を図ることが可能となる。
【0053】
即ち、図4に示した構成においては、ボンディングワイヤ185を介した第1のグラウンドパターン146とのグラウンド接続のために、中継基板150Aの短辺にキャスタレーション147を設けるとともに、このキャスタレーション147に接続された第3のグラウンドパターン149を設ける必要があったが、図2に示す例においては、スペーサ170の第7の面177が第2のボンディングワイヤ182を介して第1のグラウンドパターン146と接続される構成とするため、図4に示したようなキャスタレーション147と第3のグラウンドパターン149を設ける必要がなく、中継基板150の小型化、及びコスト削減を図ることが可能となる。
【0054】
更に、図3に示した結果からも明らかなように、図4に示す中継基板150の長辺に配置されたキャスタレーション147、第2のグラウンドパターン148、及びボンディングワイヤ186を設けずとも優れた高周波特性を実現することができているため、キャスタレーション147、第2のグラウンドパターン148、及びボンディングワイヤ186を形成する工程を設ける必要がなく、更なる中継基板150のコスト削減を図ることが可能となる。
【0055】
また、中継基板150が搭載される領域の厚みより、中継基板150が搭載されない領域の厚みが厚く、中継基板150が載置される側(図2においては上方)に突出する形状とすることにより、中継基板150をスペーサ170に実装する際に使用する半田が第7の面177に流れ込むことを抑制することができ、第2のボンディングワイヤ182とスペーサ170との間の接続信頼性を向上させることが可能となる。即ち、第7の面177の平坦性を担保することができるため、安定したワイヤボンディングを行うことが可能となり、歩留まりの改善も図ることが可能となる。
【0056】
なお、図2に示す構成においては、第1の面121に垂直な方向から見て、温調素子192であるペルチェ素子の少なくとも一部が、第1の貫通孔123の一部と重畳する構成としている。このような構成とすることにより、上述したように、高速通信用途に耐えるべく第1の貫通孔123の直径が例えば1mm以上に大径化するような構成においても、アイレット120における温調素子192の配置領域を確保することが可能となる。
【0057】
また、図2に示す構成においては、素子搭載基板140の端部には、第1のグラウンドパターン146と金属ブロック190とを電気的に接続する第1のキャスタレーション144を設けている。この第1のキャスタレーション144が、金属ブロック190と第1のグラウンドパターン146とのグラウンドを強固に接続している。
【0058】
なお、図2を用いて上述した通り、スペーサ170が、第4の面174と第7の面177との間に段差を有し、第7の面177と第5の面175との距離が、第4の面174と第5の面175との距離よりも大きい構成とすることにより、中継基板150をスペーサ170に実装する際に使用する半田が第7の面177に流れ込むことを抑制することができるが、この効果は他の実施例においても得ることができる。
【0059】
図6は、本実施形態に係る光サブアッセンブリ100の他の実施例を示す模式的な斜視図である。例えば、図6に示すように、スペーサ170が、中継基板150が載置される第4の面174と、中継基板150が載置されない第7の面177との間を隔てる溝171を有する形状となっている。その結果として、中継基板150をスペーサ170に実装する際に使用する半田が第7の面177に流れ込むことを抑制することができ、第2のボンディングワイヤ182とスペーサ170との間の接続信頼性を向上させることが可能となる。即ち、第7の面177の平坦性を担保することができるため、安定したワイヤボンディングを行うことが可能となり、歩留まりの改善も図ることが可能となる。
【0060】
ただし、図2に示したように、スペーサ170が、第4の面174と第7の面177との間に段差を有し、第7の面177と第5の面175との距離が、第4の面174と第5の面175との距離よりも大きい構成とする方が、図6に示した構成と比較して、第2のボンディングワイヤ182を短くすることができる。即ち、第7の面177が、第5の面175よりも、中継基板150が載置される側(図2においては上方)に突出する形状となっている分、第2のボンディングワイヤ182を短くすることができ、低インピーダンスを実現する上で望ましい。
【0061】
また、上述した通り、図2、5に示す構成であれば、アイレット120に最も近い側面178よりも、金属ブロック190と第1のボンディングワイヤ181により接続される第6の面176の面積が大きい構成となっているため、図6に示した構成と比較して、第1のボンディングワイヤ181を設けやすい構成とすることができる。ただし、図6に示した実施形態では、スペーサ170の形状の簡略化、及び全体体積の低減を図ることができるために、スペーサ170の形状がL字形状である図2、5に示した実施形態と比べて、コスト面に関して有利となる。
【0062】
なお、グラウンドを強化し、高周波特性の更なる向上を図るのであれば、図7、8に示す構成を採用することも有効である。
【0063】
図7は、本実施形態に係る光サブアッセンブリ100の他の実施例を示す斜視図であり、素子搭載基板140における素子搭載面側から見た斜視図である。図8は、本実施形態に係る光サブアッセンブリ100の他の実施例を示す斜視図であり、金属ブロック190における素子搭載基板140が載置されていない面側から見た斜視図である。
【0064】
図7に示す構成例においては、図2に示した構成例に加えて、中継基板150に設けられた第2のグラウンドパターン148と金属ブロック190とを電気的に接続する第4のボンディングワイヤ184を更に含む構成としている。また、第1の導体パターン141と、第2の導体パターン152とを電気的に接続する第3のボンディングワイヤ183が、第3の面125に直交する方向から見て、第2のボンディングワイヤ182と、第4のボンディングワイヤ184と、の間に配置された構成としている。更に、図8に示す構成例においては、図2に示した構成例に加えて、台座124における第3の面125に対向する裏面126と金属ブロック190とを接続する第5のボンディングワイヤ187を更に含む構成としている。
【0065】
このような構成とすることにより、より安定的に高周波信号を伝送することが可能となる。図9は、図7に示した構成、及び図8に示した構成の双方を採用した実施例の反射特性(S11、S22)、及び透過特性(S21)を3次元電磁界シミュレータHFSS(High Frequency Structure Simulator)を用いて計算したグラフである。図9で示すように、図7、8に示した構成を採用することにより、安定した高周波信号の伝送が可能になることがわかる。
【0066】
したがって、上記図9に示す結果から、安定した高周波信号の伝送を行う上では、スペーサ170と金属ブロック190とを第1のボンディングワイヤ181で接続するのみならず、第4のボンディングワイヤ184で接続すること、およびアイレット120から突出した台座124と金属ブロック190とを第5のボンディングワイヤ187で接続することにより、金属ブロック190のグラウンドが強化されることがわかる。また、第5のボンディングワイヤ187が複数のボンディングワイヤからなる構成とすることが望ましい。
【0067】
また、50Gbit/s級の信号を伝達させるためには、素子搭載基板140上の第1の導体パターン141と、中継基板150上の第2の導体パターン152と、を接続する第3のボンディングワイヤ183が、複数のボンディングワイヤからなる構成とすることが望ましい。
【0068】
さらに、第1の導体パターン141と、第2の導体パターン152とを電気的に接続する第3のボンディングワイヤ183が、第3の面125に直交する方向から見て、第2のボンディングワイヤ182と、第4のボンディングワイヤ184と、の間に配置された構成とすることにより、第3のボンディングワイヤ183に寄生するインダクタンスを緩和することができ望ましい。
【0069】
なお、図2、6、7に示したように、第3の面125に垂直な方向から見て、中継基板150は第1のリード端子110の延伸方向と平行な長辺と、アイレット120の第1の面121に平行な短辺と、を有する長方形状をしている。ここで、中継基板150が、第1の面121に平行な短辺において、グラウンド電位となる導体パターンを有していない構成とすることが望ましい。このような構成とすることにより、中継基板150の長辺方向の長さを短くすることができ、中継基板150の小型化、コスト削減を図ることが可能となる。
【0070】
なお、図7に示す構成においては、中継基板150の長辺においては、第2のグラウンドパターン148を設けているが、短辺に導体パターンを設けるよりも、長辺に導体パターンを設ける構成とする方が、中継基板150の小型化を図る上で望ましい。なぜなら、上述したとおり、中継基板150上に設けられた第2の導体パターン152は、スタブ153を有する構成としている。中継基板150がスタブ153を有する構成においては、このスタブ153によって短辺方向のサイズが決定されるため、長辺に導体パターンを設けても短辺方向のサイズは大きく変わらず、中継基板150のサイズにはあまり影響しないためである。
【0071】
なお、本実施形態において、素子搭載基板140には、薄膜抵抗が蒸着されており、光素子160の直列抵抗によって、25~75オームで終端される構成としてもよい。
【0072】
なお、本明細書中では、金属円盤を表すアイレットという文言を使用したが、アイレット120が円盤形状であることに本質的な意味はなく、多角柱などのその他の形状であってもかまわない。
【0073】
なお、光サブアッセンブリ100は、光素子160であるレーザダイオードへのバイアスや、後方出力をモニタするフォトダイオードへのバイアス、及びレーザ温度をモニタするためのサーミスタ端子を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 光モジュール、2 光レセプタクル、3 光パッケージ、20 光レセプタクル本体、20a 凹部、20b 貫通孔、20c テーパ部、20d 光ファイバ挿入部、20e フランジ、20f 光パッケージ収容部、22 スタブ、24 スリーブ、30 レンズ、32 レンズ支持部、50 光ファイバ、70 半田、100 光サブアッセンブリ、110 第1のリード端子、114 小径部、115 大径部、120 アイレット、121 第1の面、122 第2の面、123 第1の貫通孔、124 台座、125 第3の面、126 裏面、130 誘電体、140 素子搭載基板、141 第1の導体パターン、144 第1のキャスタレーション、146 第1のグラウンドパターン、147 キャスタレーション、148 第2のグラウンドパターン、149 第3のグラウンドパターン、150 中継基板、150A 中継基板、152 第2の導体パターン、153 スタブ、160 光素子、170 スペーサ、171 溝、174 第4の面、175 第5の面、176 第6の面、177 第7の面、178 側面、181 第1のボンディングワイヤ、182 第2のボンディングワイヤ、183 第3のボンディングワイヤ、184 第4のボンディングワイヤ、185 ボンディングワイヤ、186 ボンディングワイヤ、187 第5のボンディングワイヤ、190 金属ブロック、192 温調素子、200 PCB、300 FPC。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10