IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特許7295671隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法
<>
  • 特許-隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法 図1
  • 特許-隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法 図2
  • 特許-隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法 図3
  • 特許-隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法 図4
  • 特許-隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法 図5
  • 特許-隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法 図6
  • 特許-隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】隔壁仕切り設計、座席構成、及びこれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20230614BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B64D11/06
B60N3/00 A
B60N3/00 Z
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019056456
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2019214355
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】15/938,065
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, エリック イー.
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0267350(US,A1)
【文献】国際公開第2017/167946(WO,A1)
【文献】特開平11-278156(JP,A)
【文献】特表2015-527240(JP,A)
【文献】特表2011-511739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/00
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機(10)の客室(20)のための乗客座席構成(26)であって、
前記客室の前方セクション(30)における第1の列の座席(32)と、
前記客室の後方セクション(40)における、前記第1の列の座席の背後に配置された第2の列の座席(42)と、
前記第1の列の座席と前記第2の列の座席との間に配置された隔壁仕切り(50)と
を備え、前記隔壁仕切りが、
前記第1の列の座席と前記第2の列の座席との間で上方に延びる上方セクション(52)と、
前記上方セクションの下方に配置された下方セクション(60)であって、前記上方セクションから前方に、且つ前記第1の列の座席の下方に延び、前記第1の列の座席の下方にコンパートメント(62)を形成する、下方セクション(60)と
を備え、前記下方セクションが、
前記コンパートメントの前方に配置され、前記コンパートメントの前方を閉ざしている、前方コンパートメント壁(64)と、
前記コンパートメントの第1の側面に配置され、前記コンパートメントの前記第1の側面を閉ざしている、第1のコンパートメント側壁(68)と、
前記コンパートメントの上方に配置され、前記コンパートメントの上方を閉ざしている、上方コンパートメント壁(66)であって、前記上方セクションから前記前方コンパートメント壁へと延びて、前記上方セクションを前記前方コンパートメント壁に接続する、上方コンパートメント壁(66)と、
前記第2の列の座席から前記コンパートメントにアクセスをもたらす後方開口部(72)と
を備え
前記第1の列の座席が、第1の前方座席(33)を含む複数の座席を備え、
前記上方コンパートメント壁及び前記前方コンパートメント壁の両方が、前記第1の前方座席より幅が広い、乗客座席構成(26)。
【請求項2】
前記上方セクションが直立している、請求項1に記載の乗客座席構成。
【請求項3】
前記上方セクションが、前記客室の天井(22)に取り付けられている、請求項1又は2に記載の乗客座席構成。
【請求項4】
前記前方コンパートメント壁が中実であり、
前記第1のコンパートメント側壁が網状である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の乗客座席構成。
【請求項5】
前記下方セクションが、前記コンパートメントの第2の側面に配置され且つ前記コンパートメントの前記第2の側面を閉ざしている第2のコンパートメント側壁(68b)をさらに備え、前記第2の側面が、前記第1の側面の反対側である、請求項1から4のいずれか一項に記載の乗客座席構成。
【請求項6】
前記下方セクションが、前記客室の床(24)に取り付けられたベースコンパートメント壁(70)をさらに備え、
前記ベースコンパートメント壁が、前記前方コンパートメント壁から水平に且つ後方に延び、
前記ベースコンパートメント壁が、前記コンパートメントの下方に配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の乗客座席構成。
【請求項7】
前記上方セクションには、前記第2の列の座席に面し且つ前記第2の列の座席に有用であるアメニティ(80)が備え付けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の乗客座席構成。
【請求項8】
前記上方セクションには、前記第2の列の座席における座席の数と等しい数の同様のアメニティが備え付けられ、
前記アメニティが、トレイテーブル(82)、ビデオモニタ(84)、及び収納ポケット(86)のうちの1つ又は複数を含む、請求項に記載の乗客座席構成。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の乗客座席構成を備えた航空機(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、乗客席のクラスを分ける隔壁に関し、より具体的には、尾翼の方に位置付けされた座席の列のための開放された収納コンパートメントを設ける隔壁仕切り設計に関する。
【背景技術】
【0002】
旅客機の客室は、典型的に、様々な理由により、様々なセクション(「クラスセクション」)に分けられる。例えば、客室は、前方の端にプレミアムクラス席を有し、プレミアムクラス席の背後にエコノミークラス席を有し得る。クラスは、通常、床から天井に伸びる隔壁、及び通路部分におけるカーテンによって、クラスセクション間の境界において分けられる。プレミアムクラス席は、通常、座席がより大きくて、より快適であり、シートの贅沢さの程度にふさわしく、座席の配置がさほど密集していない。エコノミークラス席は、通常、座席がより小さく、座席の配置がより密集している。例えば、エコノミークラスの列が3つの座席を有している一方で、同じ長さの列において、プレミアムクラス席は、2席しか含まない場合がある。
【0003】
通常利用されるほとんどの仕切りでは、仕切りがあることによって、エコノミークラスの座席の最前列の乗客は、荷物や身の回り品を収納したり、足を延ばしたりするために、前方の列の座席、すなわち、プレミアム席の最後列の下方の空間の利用が妨げられる。座席下の収納が不足することにより、頭上収納棚に設けられる収納空間に対する需要がさらに高まるが、これは不適切であり得る。したがって、代替的な隔壁仕切り設計が必要とされており、特に、座席のクラス間の分離を維持しながらも、空間をより効率良く使用することを可能にするような設計が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、隔壁仕切りを対象としており、乗客座席構成及び方法に関する。隔壁仕切りは、上方部分及び下方部分を含み、下方部分は、さらなる収納及び/又は足元スペースをもたらすコンパートメントを有する。
【0005】
1つ又は複数の態様では、本開示は、航空機、並びに/又は第1の列の座席、第2の列の座席、及び隔壁仕切りを備えた航空機客室のための乗客座席構成を提供する。第1の列の座席は、客室の前方セクションにある。第2の列の座席は、客室の後方セクションにおいて、第1の列の座席の背後に配置されている。隔壁仕切りは、第1の列の座席と第2の列の座席との間に配置されている。隔壁仕切りは、上方セクション及び下方セクションを備えている。上方セクションは、第1の列の座席と第2の列の座席との間で上方に延びる。下方セクションは、上方セクションの下方に配置されている。下方セクションは、上方セクションから前方に、且つ第1の列の座席の下方に延びている。下方セクションは、第1の列の座席の下方にコンパートメントを形成する。下方セクションは、前方コンパートメント壁、第1のコンパートメント側壁、上方コンパートメント壁、及び後方開口部を備えている。前方コンパートメント壁は、コンパートメントの前方に配置され、コンパートメントの前方を閉ざしている。第1のコンパートメント側壁は、コンパートメントの第1の側面に配置され、コンパートメントの第1の側面を閉ざしている。上方コンパートメント壁は、コンパートメントの上方に配置され、コンパートメントの上方を閉ざしている。上方コンパートメント壁は、上方セクションから前方コンパートメント壁へと延びて、上方セクションを前方コンパートメント壁に接続する。後方開口部は、第2の列の座席からコンパートメントにアクセスをもたらす。
【0006】
幾つかの態様では、下方セクションは、コンパートメントの第2の側面に配置され且つコンパートメントの第2の側面を閉ざしている第2のコンパートメント側壁をさらに備えている。幾つかの態様では、下方セクションは、客室の床に取り付けられたベースコンパートメント壁をさらに備え、ベースコンパートメント壁は、前方コンパートメント壁から水平に且つ後方に延びる。
【0007】
1つ又は複数の他の態様では、本開示は、第1の列の座席と、第1の列の座席の背後に配置された第2の列の座席とを有する客室のための隔壁仕切りを提供する。隔壁仕切りは、上方セクション及び下方セクションを備えている。上方セクションは、上方に延びる。下方セクションは、上方セクションの下方に配置されている。下方セクションは、上方セクションから前方に延びている。下方セクションは、コンパートメント、前方コンパートメント壁、第1のコンパートメント側壁、上方コンパートメント壁、及び後方開口部を備えている。前方コンパートメント壁は、コンパートメントの前方に配置され、コンパートメントの前方を閉ざしている。第1のコンパートメント側壁は、コンパートメントの第1の側面に配置され、コンパートメントの第1の側面を閉ざしている。上方コンパートメント壁は、コンパートメントの上方に配置され、コンパートメントの上方を閉ざしている。上方コンパートメント壁は、上方セクションから前方コンパートメント壁へと延びて、上方セクションを前方コンパートメント壁に接続する。コンパートメントは、後方開口部において後方に開いている。下方セクションは、隔壁仕切りが第1の列の座席と第2の列の座席との間に配置されているとき、第1の列の座席の下方で延びるように構成されている。
【0008】
隔壁仕切りの幾つかの態様では、下方セクションは、コンパートメントの第2の側面に配置され且つコンパートメントの第2の側面を閉ざしている第2のコンパートメント側壁をさらに備えている。隔壁仕切りの幾つかの態様では、下方セクションは、客室の床に取り付けられるように構成されたベースコンパートメント壁をさらに備え、ベースコンパートメント壁は、前方コンパートメント壁から水平に且つ後方に延びる。
【0009】
1つ又は複数の他の態様では、本開示は、第1の列の座席と、第1の列の座席の背後に配置された第2の列の座席とを有する客室においてさらなる収納を設ける方法を提供する。この方法は、隔壁仕切りを設けることを含む。隔壁仕切りは、上方セクション及び下方セクションを備えている。上方セクションは、上方に延びる。下方セクションは、上方セクションの下方に配置されている。下方セクションは、上方セクションから前方に延びている。下方セクションは、コンパートメント、前方コンパートメント壁、第1のコンパートメント側壁、上方コンパートメント壁、及び後方開口部を備えている。前方コンパートメント壁は、コンパートメントの前方に配置され、コンパートメントの前方を閉ざしている。第1のコンパートメント側壁は、コンパートメントの第1の側面に配置され、コンパートメントの第1の側面を閉ざしている。上方コンパートメント壁は、コンパートメントの上方に配置され、コンパートメントの上方を閉ざしている。上方コンパートメント壁は、上方セクションから前方コンパートメント壁へと延びて、上方セクションを前方コンパートメント壁に接続する。コンパートメントは、後方開口部において後方に開いている。下方セクションは、隔壁仕切りが第1の列の座席と第2の列の座席との間に配置されているとき、第1の列の座席の下方で延びるように構成されている。当該方法は、1)上方セクションが、第1の列の座席と第2の列の座席との間で上方に延び、2)下方セクションが、上方セクションから前方に、且つ第1の列の座席の下方に延び、3)後方開口部が、第2の列の座席からコンパートメントにアクセスをもたらすように、第1の列の座席と第2の列の座席との間で隔壁仕切りを固定することをさらに含む。幾つかの態様では、隔壁仕切りを固定することは、隔壁仕切りを、旅客機の客室の床及び/又は客室の天井に取り付けることを含む。幾つかの態様では、当該方法は、本明細書に記載された隔壁仕切りをアップグレード品及び/又は交換品として設置することができるように、固定する前に、既存の隔壁仕切りを取り外すことを含む。
【0010】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な態様において単独で実現することができ、又は、さらに別の態様において組み合わせることができるが、これらの詳細は、以下の説明及び添付図面を参照することによって確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
このように本開示の変形例を一般用語で説明した上で、ここから添付の図面を参照することになるが、これらの図面は必ずしも寸法通りに描かれていない。
【0012】
図1】本開示の態様を組み込む例示的な航空機の斜視図を示す。
図2図1の航空機の部分断面図であり、客室の前方セクションの座席の最後列、隔壁仕切り、及び客室の後方セクションの座席の最前列を示す。
図3】本開示の態様に係る、[上方部が直立している]隔壁仕切りの斜視図を示す。
図4図3の隔壁仕切りの側面図を示す。
図5図3の隔壁仕切りの正面図を示す。
図6】本開示の態様に係る、[上方部が後方に湾曲している]別の隔壁仕切りの側面図を示す。
図7】本開示の態様に関するフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の態様は、隔壁仕切りを対象としており、関連する乗客座席構成及び方法に関する。隔壁仕切りは、上方部分及び下方部分を含み、下方部分は、さらなる収納及び/又は足元スペースをもたらすコンパートメントを有する。隔壁仕切りは、航空機における使用が意図されており、旅客機において特定の有用性が見いだされる。
【0014】
図1は、例示的な航空機10の斜視図を示し、図2は、図1の線A-Aに沿った部分断面図を示す。図から分かるように、航空機10は、天井22、床24、座席、及び1つ又は複数の隔壁仕切り52を有する少なくとも1つの客室20を含む。座席と隔壁仕切り52の位置が、乗客座席構成26を画定する。幾つかの態様では、航空機10は、1つの客室20を含み、幾つかの態様では、航空機10は、2つ以上の客室20を含む。客室20は、前方セクション30及び後方セクション40などの少なくとも2つのセクションを含む乗客座席構成26を有する。幾つかの態様では、前方セクション30及び後方セクション40は、様々なレベルのサービス及び/又はアメニティを有し得る。例えば、前方セクション30は、プレミアムクラスセクションであってもよく、後方セクション40は、エコノミークラスセクションであってもよい。幾つかの態様では、前方セクション30及び後方セクション40は、同じレベルのサービス及び/又はアメニティを有する。第1の列の座席32は、客室20の前方セクション30に配置される。第1の列の座席32は、前方セクション30における座席の一番後ろの列、又は最後の列に対応する。幾つかの態様では、第1の列の座席32は、第1の前方座席33及び第2の前方座席(図示せず)を含む、複数の座席を備えている。第2の列の座席42は、客室20の後方セクション40において、第1の列の座席32の背後に配置されている。第2の列の座席42は、後方セクション40における座席の一番前の列に対応する。幾つかの態様では、第2の列の座席42は、第1の後方座席43、第2の後方座席(図示せず)、及び第3の後方座席(図示せず)を含む、複数の座席を備えている。第1の列の座席32及び第2の列の座席42は、対応する(耐荷)支持構造体36、46を有する。これらの支持構造体は、座席を客室20の床に接続し、座席とそれにかかる荷重(例えば、その座席における乗客の重量)とを支持する。隔壁仕切り50は、第1の列の座席32と第2の列の座席42との間に配置され、客室20の前方セクション30と後方セクション40との間の境界を定める。
【0015】
図3から図6を参照すると、隔壁仕切り50は、上方セクション52及び下方セクション60を備えている。上方セクション52は、第1の列の座席32と第2の列の座席42との間で上方に延びる。幾つかの態様では、上方セクション52は、(側面から見ると)直立しており(図3から5を参照)、幾つかの態様では、上方セクション52は、第1の列の座席32にリクライニングする空間をより容易に与えるために、(側面から見ると)後方に角度付けられるか、且つ/又は湾曲している(図6参照)か、且つ/又はさもなければ凹んでいる。幾つかの態様では、客室20の湾曲した断形状に適合且つ/又は適応するように、上方セクション52の上方端部及び外周側端部は曲線状である。幾つかの態様では、上方端部及び外周側端部は、直線状であるか、又は、直線状及び曲線状である。上方セクション52の外周側端部は、有利には、関連付けられた通路に対して所望の見切り線を設けるように、直線状及び/又は曲線状である。幾つかの態様では、上方セクション52は、頭上収納棚(overhead storage bin)の高さを越えるように構成され、且つ/又はその高さを実際に越える。幾つかの態様では、上方セクション52は、頭上収納棚の高さを越えないように構成され、且つ/又はその高さを実際に越えない。
【0016】
下方セクション60は、上方セクション52の下方に配置されている。下方セクション60は、上方セクション52から前方に延びている。このような前方への延長は、隔壁仕切り50が定位置に取り付けられたときに、下方セクション60の一部が第1の列の座席32の下方に延びるためにある。下方セクション60は、コンパートメント62を形成する。コンパートメント62は、設置される際には、第1の列の座席32の下方に配置される。下方セクション60は、前方コンパートメント壁64、第1のコンパートメント側壁68、上方コンパートメント壁66、及び後方開口部72を備えている。前方コンパートメント壁64は、コンパートメント62の前方に配置され、コンパートメント62の前方を閉ざしている。第1のコンパートメント側壁68は、コンパートメント62の第1の側面に配置され、コンパートメント62の第1の側面を閉ざしている。図3から図6では、コンパートメント62の第1の側面は、客室20の内側に向けて(例えば、中央通路に向けて)配置される。幾つかの態様では、下方セクション60は、コンパートメント62の第2の側面に配置され且つコンパートメント62の第2の側面を閉ざしている第2のコンパートメント側壁68bをさらに含む。第2の側面は、第1の側面の反対側にあり、図3から図6では、第2の側面は、客室20の外側に向かう(例えば、窓側に向かう)。任意選択であることを示すために、図3では第2のコンパートメント側壁68bが破線で示される。したがって、幾つかの態様では、第2のコンパートメント側壁68bがない。上方コンパートメント壁66は、コンパートメントの上方に配置され、コンパートメント62の上方を閉ざしている。上方コンパートメント壁66は、上方セクション52から前方コンパートメント壁64へと延びて、上方セクション52を前方コンパートメント壁64に接続する。幾つかの態様では、上方コンパートメント壁66は、水平に配置され、且つ/又は概して平坦である。幾つかの態様では、上方コンパートメント壁66及び前方コンパートメント壁64の両方が、それぞれの幅WU及びWFを有し、これらの幅は、第1の前方座席33より広く、有利には、第2の列の座席42の組み合わされた幅と同じである。後方開口部72は、第2の列の座席42からコンパートメント62にアクセスをもたらし、同様に幾つかの態様では、有利には、第2の列の座席42の組み合わされた幅と同じである、第1の前方座席の幅より広い幅Woを有する。
【0017】
前方コンパートメント壁64、第1のコンパートメント側壁68、及び第2のコンパートメント側壁68bは、中実であり、且つ/又はメッシュで形成され、且つ/又は網状に形成され、且つ/又はこれらの任意の組み合わせである。したがって、幾つかの態様では、前方コンパートメント壁64は、中実であり、第1のコンパートメント側壁68は、網状である。幾つかの態様では、前方コンパートメント壁64及び第1のコンパートメント側壁68の両方が中実である。幾つかの態様では、前方コンパートメント壁64は、コンパートメント62の前方境界のほぼ全幅に沿って連続的に延びる。幾つかの態様では、第1のコンパートメント側壁68は、コンパートメント62の第1の側方境界のほぼ全幅に沿って連続的に延びる。
【0018】
幾つかの態様では、下方セクション60は、コンパートメント62の下方に配置されたベースコンパートメント壁70をさらに含む。ベースコンパートメント壁70は、有利には、適切な留め具等により、客室20の床に取り付けられている。ベースコンパートメント壁70は、前方コンパートメント壁64から水平に且つ後方に延びる。幾つかの態様では、後方開口部72が上方コンパートメント壁66とベースコンパートメント壁70との間で画定されるように、ベースコンパートメント壁70は、(側面から見て)上方コンパートメント壁66と似たような長さLBを有する。幾つかの態様では、後方開口部72が上方コンパートメント壁66とベースコンパートメント壁70の理論的な後方突出部との間で画定されるように、ベースコンパートメント壁70は、例えば、上方コンパートメント壁66より短い様々な長さを有する。
【0019】
幾つかの態様では、前方コンパートメント壁64及び/又は上方コンパートメント壁66及び/又はベースコンパートメント壁70は、第1の列の座席32の支持構造体36に適合するための、1つ又は複数の適切なノッチ又は凹み領域を含む。幾つかの態様では、これらのノッチ又は凹み領域は、コンパートメント62を全体的に又は部分的に2つ以上のサブコンパートメント領域(図示せず)に細分化する。
【0020】
幾つかの態様では、上方セクション52には、第2の列の座席42に面し且つ第2の列の座席に有用であるアメニティ80が備え付けられる。幾つかの態様では、アメニティ80は、1つ若しくは複数のトレイテーブル82、及び/又は1つ若しくは複数のビデオモニタ84、及び/又は1つ若しくは複数の収納ポケット86のうちの1つ若しくは複数を含む。幾つかの態様では、上方セクション52には、第2の列の座席42における座席の数と等しい数の同様のアメニティ80が備え付けられる。幾つかの態様では、同様のアメニティ80の数は、第2の列の座席42における座席の数より多いか、又は少ない。幾つかの態様では、隔壁仕切り50は、客室20の通路を視覚的に閉ざすために選択的に位置付けすることができるカーテン又はその他の可動分割器を支持する。
【0021】
幾つかの態様では、隔壁仕切り50の上方セクション52は、客室20の天井22に取り付けられる。例えば、上方セクション52は、上方セクション52を天井22に取り付けるために、留め具を受け入れる取り付けフランジ54を含み得る。幾つかの態様では、隔壁仕切り50は、客室20の天井22及び床24の両方に取り付けられ、それらの間で延びる。
【0022】
隔壁仕切り50は、コンパートメント62を提供する。コンパートメント62は、典型的に、第2の列の座席42に座っている1名以上の乗客が所有する荷物やその他の身の回り品の収納に使用されることが意図されている。さらに、コンパートメント62は、このような乗客の足を置くために使用されてもよい。これらの機能のうちの1つ又はその両方が、隔壁仕切り50によって達成される。幾つかの態様では、隔壁仕切り50は、第1の列の座席32のための支持構造体36の一部を形成することはなく、客室20の前方セクション30と後方セクション40との間の境界を維持する。さらに、幾つかの態様では、隔壁仕切り50の一部が第1の列の座席32の最も前方の部分よりもさらに前方に延びることはなく、隔壁仕切り50は、前方セクション30の乗客の使用が意図されている空間の中に延びることはない。
【0023】
隔壁仕切り50は、客室20内にさらなる収納を設ける方法200を容易にする。この方法200は、上述のように、下方セクション60にコンパートメント62を有する隔壁仕切り50を設けること(ステップ210)を含む。方法200は、1)上方セクション52が、第1の列の座席32と第2の列の座席42との間で上方に延び、2)下方セクション60が、上方セクション52から前方に、且つ第1の列の座席32の下方に延び、3)後方開口部72が、第2の列の座席42からコンパートメント62にアクセスをもたらすように、第1の列の座席32と第2の列の座席42との間で隔壁仕切り50を固定すること(ステップ220)をさらに含む。幾つかの態様では、隔壁仕切り50を固定することは、隔壁仕切り50を、客室20の床24及び/又は客室20の天井22に取り付けることを含む。
【0024】
隔壁仕切り50、及び/若しくは関連付けられる乗客座席構成26、及び/若しくは方法200は、航空機10の最初の製造時点で、又は、航空機10の修理及び/若しくは保守の間に使用することができることに留意されたい。例えば、従来の隔壁仕切りを有する既存の航空機は、方法200の後に運航に供されてもよい。方法200は、既存の従来の隔壁仕切りを航空機10から取り外すこと(ステップ190)と、上述のように、下方セクション60にコンパートメント62を有する隔壁仕切り50を設けること(ステップ210)と、上述のように、次いで、隔壁仕切り50を、第1の列の座席32と第2の列の座席42との間に、及び任意選択的に、取り外された(古い)隔壁仕切りと同じ位置に固定すること(ステップ220)とを含む。幾つかの態様では、設けること(ステップ210)は、取り外すこと(ステップ190)の前に行われ、他の態様では、設けること(ステップ210)は、取り外すこと(ステップ190)の後に、又はそれと同時に行われることに留意されたい。このような整備作業により、本明細書に記載された隔壁仕切り50をアップグレード品及び/又は交換品として設けることで、客室20にさらなる収納を設けることを達成することになる。
【0025】
隔壁仕切り50は、金属、ポリマー材料、複合材料、又はこれらの組み合わせなどの任意の適切な材料から形成されてもよい。さらに、乗客に対向する隔壁仕切りの面は、望ましい美的外観を呈するために、全体的に又は部分的に適切な塗料、グラフィック、及び/又はファブリックで覆われてもよい。
【0026】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
【0027】
条項1
航空機の客室のための乗客座席構成であって、
前記客室の前方セクションにおける第1の列の座席と、
前記客室の後方セクションにおける、前記第1の列の座席の背後に配置された第2の列の座席と、
前記第1の列の座席と前記第2の列の座席との間に配置された隔壁仕切りと
を備え、前記隔壁仕切りが、
前記第1の列の座席と前記第2の列の座席との間で上方に延びる上方セクションと、
前記上方セクションの下方に配置された下方セクションであって、前記上方セクションから前方に、且つ前記第1の列の座席の下方に延び、前記第1の列の座席の下方にコンパートメントを形成する、下方セクションと
を備え、前記下方セクションが、
前記コンパートメントの前方に配置され、前記コンパートメントの前方を閉ざしている、前方コンパートメント壁と、
前記コンパートメントの第1の側面に配置され、前記コンパートメントの前記第1の側面を閉ざしている、第1のコンパートメント側壁と、
前記コンパートメントの上方に配置され、前記コンパートメントの上方を閉ざしている、上方コンパートメント壁であって、前記上方セクションから前記前方コンパートメント壁へと延びて、前記上方セクションを前記前方コンパートメント壁に接続する、上方コンパートメント壁と、
前記第2の列の座席から前記コンパートメントにアクセスをもたらす後方開口部と
を備えている、乗客座席構成。
【0028】
条項2
前記上方セクションが直立している、条項1に記載の乗客座席構成。
【0029】
条項3
前記上方セクションが、前記客室の天井に取り付けられている、条項1に記載の乗客座席構成。
【0030】
条項4
前記前方コンパートメント壁が中実であり、
前記第1のコンパートメント側壁が網状である、
条項1に記載の乗客座席構成。
【0031】
条項5
前記下方セクションが、前記コンパートメントの第2の側面に配置され且つ前記コンパートメントの前記第2の側面を閉ざしている第2のコンパートメント側壁をさらに備え、前記第2の側面が、前記第1の側面の反対側である、条項1に記載の乗客座席構成。
【0032】
条項6
前記第1の列の座席が、第1の前方座席を含む複数の座席を備え、
前記上方コンパートメント壁及び前記前方コンパートメント壁の両方が、前記第1の前方座席より幅が広い、条項1に記載の乗客座席構成。
【0033】
条項7
前記下方セクションが、前記客室の床に取り付けられたベースコンパートメント壁をさらに備え、
前記ベースコンパートメント壁が、前記前方コンパートメント壁から水平に且つ後方に延び、
前記ベースコンパートメント壁が、前記コンパートメントの下方に配置されている、条項1に記載の乗客座席構成。
【0034】
条項8
前記上方セクションには、前記第2の列の座席に面し且つ前記第2の列の座席に有用であるアメニティが備え付けられている、条項1に記載の乗客座席構成。
【0035】
条項9
前記上方セクションには、前記第2の列の座席における座席の数と等しい数の同様のアメニティが備え付けられ、
前記アメニティが、トレイテーブル、ビデオモニタ、及び収納ポケットのうちの1つ又は複数を含む、条項8に記載の乗客座席構成。
【0036】
条項10
条項1に記載の乗客座席構成を備えた航空機。
【0037】
条項11
航空機の客室のための隔壁仕切りであって、前記客室が、第1の列の座席と、前記第1の列の座席の背後に配置された第2の列の座席とを有し、前記隔壁仕切りが、
上方に延びる上方セクションと、
前記上方セクションの下方に配置され、前記上方セクションから前方に延びる下方セクションとを備え、前記下方セクションが、
前方に延びるコンパートメントと、
前記コンパートメントの前方に配置され、前記コンパートメントの前方を閉ざしている、前方コンパートメント壁と、
前記コンパートメントの第1の側面に配置され、前記コンパートメントの前記第1の側面を閉ざしている、第1のコンパートメント側壁と、
前記コンパートメントの上方に配置され、前記コンパートメントの上方を閉ざしている、上方コンパートメント壁であって、前記上方セクションから前記前方コンパートメント壁へと延びて、前記上方セクションを前記前方コンパートメント壁に接続する、上方コンパートメント壁と
を備え、
前記コンパートメントが、後方開口部において後方に開いており、
前記隔壁仕切りが、前記第1の列の座席と前記第2の列の座席との間に配置されているとき、前記下方セクションが、前記第1の列の座席の下方で延びるように構成されている、隔壁仕切り。
【0038】
条項12
前記上方セクションが直立している、条項11に記載の隔壁仕切り。
【0039】
条項13
前記上方セクションが後方に湾曲している、条項11に記載の隔壁仕切り。
【0040】
条項14
前記第1のコンパートメント側壁が、中実である、条項11に記載の隔壁仕切り。
【0041】
条項15
前記第1のコンパートメント側壁が、網状である、条項11に記載の隔壁仕切り。
【0042】
条項16
前記下方セクションが、前記コンパートメントの第2の側面に配置され且つ前記コンパートメントの前記第2の側面を閉ざしている第2のコンパートメント側壁をさらに備え、前記第2の側面が、前記第1の側面の反対側である、条項11に記載の隔壁仕切り。
【0043】
条項17
前記上方セクションが、前記客室の天井に取り付けられるように構成されている、条項11に記載の隔壁仕切り。
【0044】
条項18
前記下方セクションが、前記客室の床に取り付けられるように構成されたベースコンパートメント壁をさらに備え、
前記ベースコンパートメント壁が、前記前方コンパートメント壁から水平に且つ後方に延び、
前記ベースコンパートメント壁が、前記コンパートメントの下方に配置されている、条項11に記載の隔壁仕切り。
【0045】
条項19
前記上方セクションには、前記第2の列の座席に面し且つ前記第2の列の座席に有用であるアメニティが備え付けられている、条項11に記載の隔壁仕切り。
【0046】
条項20
前記上方セクションには、前記第2の列の座席における座席の数と等しい数の同様のアメニティが備え付けられ、
前記アメニティが、トレイテーブル、ビデオモニタ、及び収納ポケットのうちの1つ又は複数を含む、条項19に記載の隔壁仕切り。
【0047】
本開示は、当然ながら、本開示の本質的な特徴から逸脱しない限り、本明細書に具体的に提示された方法とは他の方法で実施することが可能である。本実施形態は、あらゆる点で、例示的且つ非限定的であるとみなすべきであり、特許請求の範囲の意味及び均等性の範囲内に入るすべての変更は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7