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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/325 20220101AFI20230614BHJP
   F24H 15/335 20220101ALI20230614BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20230614BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20230614BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20230614BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20230614BHJP
【FI】
F24H15/325
F24H15/335
F24H15/375
F24H15/219
F24H15/238
F24H4/02 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019127683
(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2021012003
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大平 晃寛
(72)【発明者】
【氏名】谷地田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】阿部 基
(72)【発明者】
【氏名】長澤 泰洋
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-068825(JP,A)
【文献】特開2016-008749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 4/02
F24H 15/00 ~ 15/493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯湯する貯湯タンクと、
前記貯湯タンク内の湯を加熱する加熱手段と、
前記貯湯タンク上部に接続された出湯管と、
前記貯湯タンク下部に接続された給水管と、
前記給水管から分岐して、前記出湯管と合流される給水バイパス管と
給湯運転要求時に前記出湯管の高温水と前記給水バイパス管の給水を混ぜ合わせて給湯先に給湯水を送出させる給湯管と、
前記温水を前記貯湯タンク下部から前記加熱手段に送る加熱往き管と、
前記加熱往き管途中に設けられた循環ポンプと、
前記加熱手段で加熱した温水を前記貯湯タンクの上部に送る加熱戻り管と、
前記加熱戻り管から分岐し、前記給水管と合流して前記温水を前記貯湯タンクの下部に送る加熱バイパス管と、
前記加熱戻り管から前記加熱バイパス管への分岐点に配置され、前記温水の流れを切り替える切替弁と、
前記切替弁の制御を行う切替制御手段と、前記循環ポンプの回転数を制御する回転数制御手段と、前記加熱手段で沸き上げた湯を貯湯タンクに貯湯していく沸き上げ運転を制御する沸き上げ運転制御手段とを有した制御装置とを備えた貯湯式給湯装置に於いて、
前記制御装置は、前記切替制御手段で前記切替弁を前記加熱バイパス管側を開いて、前記回転数制御手段で前記循環ポンプの回転数を所定の回転数未満で駆動して、沸き上げ運転を開始し、
その後、給湯運転が行われると、前記循環ポンプを所定の回転数未満で駆動している場合、前記切替制御手段は、前記切替弁を前記加熱バイパス管側を閉じて、前記貯湯タンク上部側を開くようにし、
給湯運転が行われないで、前記所定の回転数未満での駆動の終了条件を満たすと、前記切替制御手段は、前記切替弁を前記加熱バイパス管側を閉じて、前記貯湯タンク上部側を開くようにしたことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
前記回転数制御手段は、前記沸き上げ運転開始から所定時間までの間は、前記循環ポンプの回転数を所定の回転数未満とし、その後目標沸き上げ温度に沸き上げられるように前記循環ポンプの回転数を上げるようにし、
前記回転数制御手段は、前記沸き上げ運転開始してからの経過時間が所定時間未満の場合は前記循環ポンプの回転数が前記所定の回転数未満であるようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記回転数制御手段は、前記沸き上げ運転中に前記加熱戻り管途中に設けられた温度センサで検出した温度が所定温度未満の場合は前記循環ポンプの回転数が前記所定の回転数未満であるようにしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、加熱手段を有した貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の貯湯式給湯機では、貯湯タンクと加熱手段とを備え、貯湯タンク下部から加熱手段に送る加熱往き管と、加熱手段から貯湯タンクに送る加熱戻り管とで貯湯タンクと加熱手段とを連結して加熱循環回路を構成し、前記加熱循環回路中に設けた循環ポンプで貯湯タンクと加熱手段内の湯を循環させて、貯湯タンク内の水を加熱する沸き上げ運転で沸き上げた湯を貯湯タンクに貯湯していき、順次貯湯タンク内の高温水と給水とをミキシングしながら、設定温度の給湯を行い経済的な給湯を実現するものであった。
【0003】
また、加熱戻り管から分岐した加熱バイパス管は給水管に接続され、加熱バイパス管を通るバイパス循環経路が、給水管の給水経路と一部を共用している貯湯式給湯機があった(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、このようなヒートポンプ式の加熱手段は、加熱運転開始時に所望された目標沸き上げ温度まで湯を沸き上げることができないので、加熱運転開始時の初期段階は循環ポンプの回転数を落として加熱バイパス管を経由して貯湯タンク下部に湯を戻し、その後目標沸き上げ温度付近まで湯を沸き上げられるようになったら、加熱バイパス管を経由させずに貯湯タンク上部に湯を貯湯していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-139258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように、加熱バイパス管を通るバイパス循環経路が、給水管の給水経路と一部を共用している貯湯式給湯機において、加熱運転開始時の初期段階は循環ポンプの回転数を落とした低回転状態で加熱バイパス管を経由して貯湯タンク下部に湯を戻している場合に、この沸き上げ運転に影響が出る程度の給湯流量の大きい給湯運転が行われると、バイパス循環経路内の湯を循環させる循環圧が給湯運転による給水圧の影響により、沸き上げ運転の循環が停止してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、温水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク上部に接続された出湯管と、前記貯湯タンク下部に接続された給水管と、前記給水管から分岐して、前記出湯管と合流される給水バイパス管と給湯運転要求時に前記出湯管の高温水と前記給水バイパス管の給水を混ぜ合わせて給湯先に給湯水を送出させる給湯管と、前記温水を前記貯湯タンク下部から前記加熱手段に送る加熱往き管と、前記加熱往き管途中に設けられた循環ポンプと、前記加熱手段で加熱した温水を前記貯湯タンクの上部に送る加熱戻り管と、前記加熱戻り管から分岐し、前記給水管と合流して前記温水を前記貯湯タンクの下部に送る加熱バイパス管と、前記加熱戻り管から前記加熱バイパス管への分岐点に配置され、前記温水の流れを切り替える切替弁と、前記切替弁の制御を行う切替制御手段と、前記循環ポンプの回転数を制御する回転数制御手段と、前記加熱手段で沸き上げた湯を貯湯タンクに貯湯していく沸き上げ運転を制御する沸き上げ運転制御手段とを有した制御装置とを備えた貯湯式給湯装置に於いて、前記制御装置は、前記切替制御手段で前記切替弁を前記加熱バイパス管側を開いて、前記回転数制御手段で前記循環ポンプの回転数を所定の回転数未満で駆動して、沸き上げ運転を開始し、その後、給湯運転が行われると、前記循環ポンプを所定の回転数未満で駆動している場合、前記切替制御手段は、前記切替弁を前記加熱バイパス管側を閉じて、前記貯湯タンク上部側を開くようにし、給湯運転が行われないで、前記所定の回転数未満での駆動の終了条件を満たすと、前記切替制御手段は、前記切替弁を前記加熱バイパス管側を閉じて、前記貯湯タンク上部側を開くようにした。
【0009】
前記回転数制御手段は、前記沸き上げ運転開始から所定時間までの間は、前記循環ポンプの回転数を所定の回転数未満とし、その後目標沸き上げ温度に沸き上げられるように前記循環ポンプの回転数を上げるようにし、前記回転数制御手段は、前記沸き上げ運転開始してからの経過時間が所定時間未満の場合は前記循環ポンプの回転数が前記所定の回転数未満であるようにした。
【0010】
前記回転数制御手段は、前記沸き上げ運転中に前記加熱戻り管途中に設けられた温度センサで検出した温度が所定温度未満の場合は前記循環ポンプの回転数が前記所定の回転数未満であるようにした。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、沸き上げ運転開始時の低回転状態中に給湯運転が行われた場合に、沸き上げ運転の循環が止まってしまうということを、前記切替弁制御手段は前記切替弁を前記加熱バイパス管側の第1の状態から前記貯湯タンク上部側の第2の状態に切り替えることで、給湯による給水圧と、沸き上げ運転による前記循環ポンプの流れとの影響を軽減し、沸き上げ運転の循環が停止してしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の一実施形態を示す概略構成図。
図2】この発明の第1の実施形態を示すフローチャート。
図3】この発明の第2の実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次にこの発明の1実施形態のヒートポンプ式給湯機を図面に基づいて説明する。
1は貯湯タンクユニットで内方には、湯水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2の上部に接続された出湯管3と、貯湯タンク2の下部に接続された給水管4と、出湯管3からの高温水と給水管4から分岐された給湯バイパス管5からの低温水とをミキシングする給湯ミキシング弁6と、該給湯ミキシング弁6の下流に接続された給湯管7に設けられた給湯温度センサ8及び給湯流量を検出する給湯フローセンサ9とが備えられている。
【0014】
10はヒートポンプユニットで、圧縮機11と凝縮器としての水冷媒熱交換器12と電子式の膨張弁13と室外ファン14を有し空気と熱交換する蒸発器としての空気熱交換器15で構成されたヒートポンプ式の加熱手段16と、前記貯湯タンク2内の湯水を加熱往き管17及び加熱戻り管18から成る加熱循環回路19を介して加熱手段16に循環させる循環ポンプ20と、それらの駆動を制御するヒートポンプ制御部21とを備えており、加熱手段16には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。また、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能になっている。
【0015】
ここで、前記水冷媒熱交換器12は冷媒と被加熱水たる貯湯タンク2内の湯水とが対向して流れる対向流方式を採用しており、超臨界ヒートポンプサイクルでは熱交換時において冷媒は超臨界状態のまま凝縮されるため効率良く高温まで被加熱水を加熱することができ、被加熱水の水冷媒熱交換器12入口温度と冷媒の出口温度との温度差が一定になるように前記膨張弁13または圧縮機11を制御することで、被加熱水の水冷媒熱交換器12の入口温度が5~20℃程度の低い温度であるとCOP(エネルギー消費効率)がとても良い状態で被加熱水を加熱することが可能なものである。
【0016】
また、加熱戻り管18途中には切替弁22が備えられ、凍結防止時には切替弁22を貯湯タンク2下部の給水管4に接続した加熱バイパス管23側の連通するように切り替えることで、貯湯タンク2内下部を利用した短絡回路の循環として凍結を防止するものである。この切替弁22は前記加熱戻り管18から加熱バイパス管23への分岐点に配置されている。
【0017】
また、加熱手段16の加熱初期に十分に加熱されていない温水を循環させる場合、貯湯タンク2上部に湯水を戻さず、加熱バイパス管23を介したバイパス循環経路で貯湯タンク2下部に湯水を戻しており、その後十分に加熱された湯水を循環させる場合、切替弁22を貯湯タンク2上部側に切り替える。
【0018】
24はマイコン等から成る制御装置で、加熱制御部21を制御して加熱循環回路19による貯湯タンク2の沸き上げ運転や沸き増し運転等、給湯の温度制御、風呂の湯張りや追い焚き、保温等の運転制御を行う。
【0019】
また、制御装置24には、切替弁22の開度を制御する切替弁制御手段25を備えており、具体的に切替弁制御手段25は、切替弁22を加熱バイパス管23側にし、貯湯タンク2下部の給水管4に連通するように切り替える第1の状態と、切換弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態とに切り替えている。
【0020】
また、制御装置24には、前記循環ポンプの回転数を制御する回転数制御手段26と、後述する沸き上げ運転の制御を行う沸き上げ運転制御手段27とが備えられている。
【0021】
この沸き上げ運転の開始時、加熱手段16内の冷媒が十分に加熱されておらず、加熱往き管17から流入した貯湯タンク2下部の水を沸き上げ目標温度に沸き上げることはできないので、回転数制御手段26は、循環ポンプ20の回転数を所定の回転数未満(この所定の回転数未満は低回転状態のことを言い、後述する文章中では低回転状態と記す)にして、沸き上げ制御手段27は循環ポンプ20を駆動させて沸き上げ運転を行い、前記低回転状態の終了条件である沸き上げ運転開始からの経過時間が所定時間以上、もしくは、加熱戻り管18途中の出口温度センサ35や貯湯温度センサ36で所定温度以上になると、回転数制御手段26は、循環ポンプ20の回転数を所定沸上回転数にして、沸き上げ運転を行う。また、ここの所定の回転数とは、前記低回転状態時よりも高く前記所定沸上回転数よりも低いと共に、少なくとも給湯による給水圧の影響で沸き上げ運転の循環が停止しない回転数である。
【0022】
また、上記同様に、沸き上げ運転開始時、加熱手段16内の冷媒が十分に加熱されておらず、加熱往き管17から流入した貯湯タンク2下部の水を沸き上げ目標温度に沸き上げることはできないので、切替弁制御手段25は、切替弁22を第1の状態にしてから沸き上げを行なって沸き上げた湯を貯湯タンク2の下部に戻し、その後前記低回転状態の前記終了条件に達すると、切替弁22を第2の状態にして沸き上げ運転を行う。
【0023】
更にリモコン28には、給湯設定温度を設定する温度設定スイッチ29、風呂への湯張りを指示する湯張りスイッチ30、湯張り量を設定する31を有し、更にドットマトリクス型の蛍光表示管よりなる表示部32と、この表示部33を制御すると共に制御装置25との通信を行うマイコンで構成されたリモコン制御部33が備えられている。
【0024】
また、前記加熱循環回路19の水冷媒熱交換器12の入水側には入水温度センサ34が備えられ入水温度を検知するものであり、出口側には出口温度センサ35が備えられて、加熱後の湯水温度を検知するものであり、貯湯タンク2に備えられた該貯湯タンク2内の貯湯温度を検知する複数の貯湯温度センサ36のうち、最上部の貯湯温度センサ36と出口温度センサ35のどちらかが沸き上げ目標温度を継続して検知することで沸き上げ運転を終了させるものである。
【0025】
37は貯湯タンク2頂部に連通し、貯湯タンク2や加熱循環回路19内のエアが抜ける逃がし弁、38は給水管4に備えられた減圧弁である。
【0026】
また、39は湯張り管40を浴槽と連通させて、浴槽に湯を供給させる湯張り弁、41は風呂に供給される風呂温度を検出する風呂温度センサ、42は湯張り管40を通過した流量を検出する風呂フローセンサである
【0027】
次に、沸き上げ運転について説明する。
貯湯熱量の低下や深夜の時間帯の沸き上げ要求があると、切換弁制御手段25は切替弁22を加熱バイパス管23側に連通させる第1の状態にし、その後、貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にし、制御装置24は、貯湯タンク2と加熱手段16を繋ぐ配管の途中にある循環ポンプ20を駆動して、貯湯タンク2内下部から水をくみ上げ、加熱手段16で温めて貯湯タンク2上部に戻す動作を続ける事により徐々に貯湯タンク2内の水が高温水へと沸き上げる。
【0028】
次に、給湯動作ついて説明する。
給湯栓が開かれると給水管4から給水され、貯湯タンク2下部に流入すると共に給水バイパス管5を通り、貯湯タンク2上部から押し出された高温水と給水バイパス管5の給水が給湯ミキシング弁6で混ぜ合わされ、給湯設定温度と給湯温度センサ8で検出された温度が同じなるように調整された湯水が給湯栓から給湯される。
【0029】
また、湯張り動作について説明する。
リモコン28の湯張りスイッチ30が押されると制御装置24は湯張り弁39を開弁し、給水管4から給水を供給し、貯湯タンク2下部に流入すると共に給水バイパス管5を通り、貯湯タンク2上部から押し出された高温水と給水バイパス管5の給水が給湯ミキシング弁6で混ぜ合わされ、風呂設定温度と風呂温度センサ41で検出された温度が同じになるように調整された湯水が浴槽に流入されることで湯張りが開始される。そして、風呂フローセンサ42で流れた流量を検出して、流れた流量の合計積算値が湯張り設定量分流れたら制御装置24が湯張り弁39を閉状態にすることで湯張りを完了する。
【0030】
次に沸き上げ運転中に給湯運転が行われた場合の第1の実施形態の動作を図2のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
貯湯熱量の低下や深夜の時間帯の沸き上げ要求があり、沸き上げ運転制御手段27が沸き上げ運転開始すると(S1がYes)、切換弁制御手段25は切替弁22を加熱バイパス管23側に連通させる第1の状態にし(S2)、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を前記低回転状態(所定の回転数未満)にして(S3)、沸き上げ運転制御手段27は循環ポンプ20を駆動する。
【0031】
そして、この低回転状態中に給湯運転が行われず(S4がYes)、前記低回転状態の前記終了条件を満たした場合(S5がYes)、切換弁制御手段25は切替弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にし(S6)、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を所定沸上回転数にし(S7)、沸き上げ運転制御手段27は、沸き上げ運転を継続させる。
【0032】
その後、出口温度センサ35と最上部の貯湯温度センサ36のどちらかが沸き上げ目標温度を継続して検知することで(S8がYes)、沸き上げ運転を完了させる(S9)。
【0033】
また、この低回転状態中に給湯フローセンサ9または風呂フローセンサ42が給湯流量を検出して、給湯運転が行われたと判断した場合(S4がNo)、沸き上げ運転循環中の加熱バイパス管23から給水管4に合流する位置で、給湯運転による給水圧の影響を受けて、循環が停止してしまうので、切替弁制御手段25は低回転状態中に関わらず切替弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にし(S10)、加熱バイパス管23と給水管4とが合流する位置で、給水圧の影響を受けないようにする。
【0034】
その後、低回転状態の前記終了条件を満たした場合(S11がYes)、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を所定沸上回転数にし(S7)、沸き上げ運転制御手段27は、沸き上げ運転を継続させる。
【0035】
その後、出口温度センサ35と最上部の貯湯温度センサ36のどちらかが沸き上げ目標温度を継続して検知することで(S8がYes)、沸き上げ運転制御手段27は沸き上げ運転を完了させる(S9)。
【0036】
このように、沸き上げ運転開始時の前記低回転状態中(所定の回転数未満で回転中)に給湯運転が行われた場合に、沸き上げ運転の循環が止まってしまうということを、切替弁制御手段25は切替弁22を加熱バイパス管23側の第1の状態から貯湯タンク2上部側の第2の状態に切り替えることで、給湯による給水圧と、沸き上げ運転による循環ポンプ20の流れとの影響を軽減し、沸き上げ運転の循環が停止してしまうのを防止することができる。
【0037】
また、沸き上げ運転の循環が停止してしまうと、加熱手段16の加熱により湯が加熱され、その加熱された湯が滞留し続けると、出口温度センサ35が沸き上げ目標温度を検知することで貯湯タンクに十分な湯が貯湯されていないのに沸き上げ運転が完了してしまう問題や、沸き上げ運転による循環がされないのに加熱手段16を可動させ続けることによる無駄な電力の消費や、加熱手段16と循環ポンプ20の負荷による故障などの問題を解決することができる。
【0038】
また、沸き上げ運転開始時の前記低回転状態中(所定の回転数未満で回転中)に給湯運転が行われた場合に、切替制御手段25は切替弁22を加熱バイパス管23側の第1の状態から貯湯タンク2上部側の第2の状態に切り替えており、その後前記低回転状態中に給湯運転が終了しても切替弁22は第2の状態を維持することで、短時間で給湯運転の開始と終了を繰り返ししてしまう場合、貯湯タンク2内の温度成層が乱れてしまうのを防止することができる。
【0039】
また、第1の実施形態とは異なる方法の第2の実施形態の動作を図3のフローチャートに基づいて詳しく説明する。
貯湯熱量の低下や深夜の時間帯の沸き上げ要求があり、沸き上げ運転制御手段27が沸き上げ運転開始すると(S12がYes)、切換弁制御手段25は切替弁22を加熱バイパス管23側に連通させる第1の状態にし(S13)、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を前記低回転状態(所定の回転数未満)にして(S14)、沸き上げ運転制御手段27は循環ポンプ20を駆動する。
【0040】
そして、この低回転状態中に給湯運転が行われず(S15がYes)、前記低回転状態の前記終了条件を満たした場合(S16がYes)、切換弁制御手段25は切替弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にし(S17)、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を所定沸上回転数にし(S18)、沸き上げ運転制御手段27は、沸き上げ運転を継続させる。
【0041】
その後、出口温度センサ35と最上部の貯湯温度センサ36のどちらかが沸き上げ目標温度を継続して検知することで(S19がYes)、沸き上げ運転を完了させる(S20)。
【0042】
また、この低回転状態中に給湯フローセンサ9または風呂フローセンサ42が給湯流量を検出して、給湯運転が行われたと判断した場合(S15がNo)、沸き上げ運転循環中の加熱バイパス管23から給水管4に合流する位置で、給湯運転による給水圧の影響を受けて、循環が停止してしまうので、回転数制御手段26は低回転状態時よりも高く所定沸上回転数よりも低いと共に、少なくとも給湯による給水圧の影響で沸き上げ運転の循環が停止しない所定の回転数に循環ポンプ20を制御し(S21)、加熱バイパス管23と給水管4とが合流する位置で、給水圧の影響を受けても沸き上げ運転の循環が停止しない程度の回転数で循環ポンプ20を駆動させる。
【0043】
その後、低回転状態の終了条件の一つであった沸き上げ運転開始からの経過時間が所定時間以上経過して、終了条件を成立した場合(S22がYes)、切換弁制御手段25は切替弁22を貯湯タンク2の上部側に連通させる第2の状態にし(S17)、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を所定沸上回転数にし(S18)、沸き上げ運転制御手段27は、沸き上げ運転を継続させる。
【0044】
その後、出口温度センサ35と最上部の貯湯温度センサ36のどちらかが沸き上げ目標温度を継続して検知することで(S19がYes)、沸き上げ運転制御手段27は沸き上げ運転を完了させる(S20)。
【0045】
このように、沸き上げ運転開始時の前記低回転状態中(所定の回転数未満で回転中)に給湯運転が行われた場合に、沸き上げ運転の循環が止まってしまうことを、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を所定の回転数に上げて給水圧による影響を受けても沸き上げ運転の循環が停止していまわないようにすることで、給湯による給水圧と、沸き上げ運転による循環ポンプ20の流れとの影響を軽減し、沸き上げ運転の循環が停止してしまうのを防止することができる。
【0046】
また、沸き上げ運転の循環が停止してしまうと、加熱手段16の加熱により湯が加熱され、その加熱された湯が滞留し続けると、出口温度センサ35が沸き上げ目標温度を検知することで貯湯タンクに十分な湯が貯湯されていないのに沸き上げ運転が完了してしまう問題や、沸き上げ運転による循環がされないのに加熱手段16を可動させ続けることによる無駄な電力の消費や、加熱手段16と循環ポンプ20の負荷による故障などの問題を解決することができる。
【0047】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、実施形態では給湯運転とあるが、風呂の湯張り動作も給水管4から給水しているので、沸き上げ運転による循環に湯張り動作による給水圧が影響してしまうため本発明の要件を満たすものである。
【0048】
また、本発明の第1の実施形態では、沸き上げ運転時の循環ポンプ20の回転数が前記低回転状態(所定の回転数未満)である場合に、給湯運転が行われると、切替制御手段25が切換弁22を第1の状態から第2の状態に切り替えており、第2の状態に切り替えて以降、給湯運転が終了しても切換弁22を第1の状態に切り替えてはいないが、給湯運転が行われていない場合は、給水圧の影響を受けないため、切替弁22を第1の状態に切り替えても良い。
【0049】
また、本発明の第2の実施形態でも、沸き上げ運転時の循環ポンプ20の回転数が前記低回転状態(所定の回転数未満)である場合に、給湯運転が行われると、回転数制御手段26は循環ポンプ20の回転数を所定の回転数に上げており、所定の回転数に上げて以降、給湯運転が終了しても循環ポンプ20の回転数を前記低回転状態(所定の回転数未満)に落としていないが、給湯運転が行われていない場合は、給水圧の影響を受けないため、循環ポンプ20の回転数を前記低回転状態(所定の回転数未満)に戻しても良い。
【0050】
また、本発明では加熱手段16をヒートポンプ式のものを用いているが、加熱手段16を燃料電池に変えても良い。その他にもヒートポンプや燃料電池のように沸き上げ運転を行うときに加熱手段16を高温にするために時間を要し、循環ポンプ20の回転数を低回転状態にするものであれば良い。
【0051】
また、本発明では、低回転状態中に給湯運転があれば、第1の実施形態では切替弁制御25が切換弁22を制御し、第2の実施形態では回転数制御手段26が循環ポンプ20の回転数を制御しているが、この各制御を行うのは低回転状態中に給湯フローセンサ9または風呂フローセンサ42の検出値が沸き上げ運転の循環に影響が出る程度の給湯流量の大きい場合に各制御を実行し、給湯フローセンサ9または風呂フローセンサ42の検出値が沸き上げ運転の循環に影響が出ない程度の給湯流量の場合は各制御を実行しないようにしても良い。
【符号の説明】
【0052】
2 貯湯タンク
3 出湯管
4 給水管
5 給湯バイパス管
6 給湯ミキシング弁
7 給湯管
16 加熱手段
19 加熱循環回路
20 循環ポンプ
22 切替弁
23 加熱バイパス管
24 制御装置
25 切替弁制御手段
26 回転数制御手段
27 沸き上げ運転制御手段
図1
図2
図3