(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230614BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G03F7/20 502
H01L21/68 N
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2019170834
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】宮本 周治
(72)【発明者】
【氏名】浅井 正也
(72)【発明者】
【氏名】春本 将彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕二
(72)【発明者】
【氏名】中山 知佐世
(72)【発明者】
【氏名】本野 智大
(72)【発明者】
【氏名】有澤 洋
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-280647(JP,A)
【文献】特開2008-187102(JP,A)
【文献】特開平10-303099(JP,A)
【文献】特開2018-200420(JP,A)
【文献】国際公開第2004/012259(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理を行う基板処理装置であって、
基板を収容可能な処理空間を形成するとともに下部開口を有する処理室と、
前記処理室の上方に設けられ、前記処理空間に露光光を出射可能な光出射部と、
貫通孔が形成されるとともに前記処理室の下方に配置され、閉塞位置で前記下部開口を閉塞可能でかつ前記閉塞位置の下方の開放位置で前記下部開口を開放可能な閉塞部材と、
前記貫通孔を通して上下方向に延びる外面を有しかつ前記閉塞部材が前記開放位置にあるときに前記閉塞部材よりも上方で基板の下面を支持可能な第1の上端部を有する第1の基板支持部と、
前記閉塞位置と前記開放位置との間で前記閉塞部材を上下方向に移動させる昇降駆動部と、
前記第1の基板支持部の前記外面を取り囲みかつ前記閉塞部材に接するように配置されたシール部材と、
前記第1の基板支持部の前記外面から外方に突出しかつ前記外面を取り囲むように設けられ、前記閉塞部材が前記閉塞位置にあるときに、前記シール部材に密着することにより前記第1の基板支持部と前記閉塞部材の前記貫通孔との間を密封する突出部と
、
前記閉塞部材が前記閉塞位置にあるときに、基板の上面が前記光出射部に一定距離まで近接する状態で、前記処理空間内で基板の下面を支持可能な第2の上端部を有し、前記閉塞部材に設けられる第2の基板支持部とを備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1および第2の基板支持部は、前記昇降駆動部が前記閉塞部材を前記開放位置から前記閉塞位置に上昇させることにより前記下部開口を閉塞したときに前記第1の基板支持部の前記第1の上端部で支持されていた基板が前記第2の基板支持部の前記第2の上端部で支持され、前記昇降駆動部が前記閉塞部材を前記閉塞位置から前記開放位置に下降させることにより前記下部開口を開放したときに前記第2の基板支持部の前記第2の上端部で支持されていた基板が前記第1の基板支持部の前記第1の上端部で支持されるように設けられる、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第2の基板支持部の前記第2の上端部は、前記閉塞部材が前記開放位置にあるときに前記第1の基板支持部の前記第1の上端部よりも下方に位置し、前記閉塞部材が前記閉塞位置にあるときに前記第1の基板支持部の前記第1の上端部よりも上方に位置する、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記閉塞部材は、上面および下面を有する平板部と、前記平板部の下面から下方に延びる内周面および底面を有する収容管とを含み、
前記貫通孔は、前記収容管の前記底面に形成されかつ第1の内径を有する下部孔と、前記平板部に形成されかつ前記第1の内径よりも大きい第2の内径を有する上部孔と、前記第1の内径よりも大きい第3の内径を有する前記収容管の内部空間とにより構成され、
前記シール部材は、前記収容管の前記内部空間に収容されるように前記収容管の前記底面に配置され、
前記突出部および前記第1の基板支持部の前記第1の上端部は、前記閉塞部材が前記閉塞位置にあるときに前記収容管の前記内部空間に収容される、請求項2または3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1の基板支持部は、前記閉塞部材が前記閉塞位置にあるときに処理位置で基板を支持し、前記閉塞部材が前記開放位置にあるときに前記処理位置の下方の受け渡し位置で基板を支持するように上下方向に移動可能に構成される、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記昇降駆動部は、前記閉塞部材のストロークが前記第1の基板支持部のストロークよりも大きくなるように前記閉塞部材および前記第1の基板支持部を上下方向に移動させる、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記昇降駆動部として、前記閉塞部材を上下方向に移動させる第1の昇降駆動部と、前記第1の基板支持部を上下方向に移動させる第2の昇降駆動部と備える、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記貫通孔は、第1の内径を有する下部孔と、前記第1の内径よりも大きい第2の内径を有する上部孔とを有し、
前記シール部材は、前記下部孔と前記上部孔との段差面上に配置される、請求項5~7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記上部孔は、前記シール部材を収容するとともに、前記突出部の少なくとも一部を収容可能に構成される、請求項8記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記突出部による前記第1の基板支持部と前記閉塞部材の前記貫通孔との間の密封時に前記第1の基板支持部を下方に押圧する押圧部材をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記処理室は、上部開口をさらに有し、
前記
光出射部は、前記上部開口を塞ぐように前記処理室の上方に設けられ
る、請求項1~10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記処理空間に不活性ガスを供給する給気部と、
前記処理空間内の雰囲気を前記処理空間の外部へ排出する排気部とをさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記シール部材は、Oリングまたはパッキンを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉された処理室内で基板処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置において、密閉された処理室内で基板処理が行われることがある。例えば、特許文献1には、基板上の誘導自己組織化材料を含む膜に真空紫外線を用いて露光処理を行う露光装置が記載されている。その露光装置は、処理室、投光部および閉塞部を備える。処理室は、上部開口および内部空間を有する。投光部は処理室の上部開口を塞ぐように処理室の上方に配置されている。処理室の側面には、処理室の内部と外部との間で基板を搬送するための搬送開口が形成されている。閉塞部は、シャッタにより搬送開口を開閉可能に構成されている。
【0003】
基板の露光処理時には、まず搬送開口が開放され、その搬送開口を通して処理室の内部に基板が搬入される。次に、処理室の内部に基板が配置された状態で、搬送開口が閉塞され、その処理室の内部空間が密閉される。また、基板に照射される真空紫外線が酸素により減衰することを低減するために、処理室内の雰囲気が不活性ガスで置換される。処理室内の酸素濃度が予め定められた濃度まで低減されると、処理室の上部開口を通して基板に真空紫外線が照射される。これにより、基板上の膜が改質される。その後、搬送開口が再度開放され、露光後の基板が処理室の外部に搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された露光装置において、処理室の気密性が低い場合には、処理室内の雰囲気の置換に要する時間が長くなることにより、基板処理の効率が低下する。そのため、処理室が高い気密性で密閉されることが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、処理室を高い気密性で密閉することが可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る基板処理装置は、基板に処理を行う基板処理装置であって、基板を収容可能な処理空間を形成するとともに下部開口を有する処理室と、処理室の上方に設けられ、処理空間に露光光を出射可能な光出射部と、貫通孔が形成されるとともに処理室の下方に配置され、閉塞位置で下部開口を閉塞可能でかつ閉塞位置の下方の開放位置で下部開口を開放可能な閉塞部材と、貫通孔を通して上下方向に延びる外面を有しかつ閉塞部材が開放位置にあるときに閉塞部材よりも上方で基板の下面を支持可能な第1の上端部を有する第1の基板支持部と、閉塞位置と開放位置との間で閉塞部材を上下方向に移動させる昇降駆動部と、第1の基板支持部の外面を取り囲みかつ閉塞部材に接するように配置されたシール部材と、第1の基板支持部の外面から外方に突出しかつ外面を取り囲むように設けられ、閉塞部材が閉塞位置にあるときに、シール部材に密着することにより第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間を密封する突出部と、閉塞部材が閉塞位置にあるときに、基板の上面が光出射部に一定距離まで近接する状態で、処理空間内で基板の下面を支持可能な第2の上端部を有し、閉塞部材に設けられる第2の基板支持部とを備える。
【0008】
この基板処理装置においては、基板を収容可能な処理空間を形成する処理室の下方に閉塞部材が配置される。第1の基板支持部の外面が閉塞部材の貫通孔を通して上下方向に延びる。第1の基板支持部の外面を取り囲みかつ閉塞部材に接するようにシール部材が配置される。第1の基板支持部の外面から外方に突出しかつ外面を取り囲むように突出部が設けられる。昇降駆動部により、閉塞部材が閉塞位置とその下方の開放位置との間で上下方向に移動される。
【0009】
この構成によれば、閉塞部材が開放位置に移動されることにより、処理室の下部開口が開放される。この場合、基板処理装置の外部から第1の基板支持部の第1の上端部に基板を渡すとともに、第1の基板支持部の第1の上端部から基板処理装置の外部に基板を渡すことが可能になる。
【0010】
一方、閉塞部材が閉塞位置に移動されることにより、処理空間に基板を収容した処理室の下部開口が閉塞される。そのため、処理空間内で基板の処理を行うことが可能になる。また、突出部とシール部材とが密着することにより、第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間が密封される。これにより、閉塞部材が貫通孔を有する場合でも、処理室の気密性が低下することが防止される。その結果、処理室を高い気密性で密閉することができる。
【0011】
(2)第1および第2の基板支持部は、昇降駆動部が閉塞部材を開放位置から閉塞位置に上昇させることにより下部開口を閉塞したときに第1の基板支持部の第1の上端部で支持されていた基板が第2の基板支持部の第2の上端部で支持され、昇降駆動部が閉塞部材を閉塞位置から開放位置に下降させることにより下部開口を開放したときに第2の基板支持部の第2の上端部で支持されていた基板が第1の基板支持部の第1の上端部で支持されるように設けられてもよい。
【0012】
この場合、閉塞部材が開放位置から閉塞位置に上昇されることにより、基板が第1の基板支持部から第2の基板支持部に渡され、第2の基板支持部により処理空間内で基板が支持される。そのため、簡単な制御で基板を処理空間に収容しつつ処理室を高い気密性で密閉することができる。また、閉塞部材が閉塞位置から開放位置に下降されることにより、基板が第2の基板支持部から第1の基板支持部に渡される。そのため、簡単な制御で基板を処理空間から取り出し、基板処理装置の外部に搬出することができる。
【0013】
(3)第2の基板支持部の第2の上端部は、閉塞部材が開放位置にあるときに第1の基板支持部の第1の上端部よりも下方に位置し、閉塞部材が閉塞位置にあるときに第1の基板支持部の第1の上端部よりも上方に位置してもよい。この場合、簡単な構成で閉塞部材が開放位置から閉塞位置に上昇される際に、基板を第1の基板支持部から第2の基板支持部に渡すことができる。また、簡単な構成で閉塞部材が閉塞位置から開放位置に下降される際に、基板を第2の基板支持部から第1の基板支持部に渡すことができる。
【0014】
(4)閉塞部材は、上面および下面を有する平板部と、平板部の下面から下方に延びる内周面および底面を有する収容管とを含み、貫通孔は、収容管の底面に形成されかつ第1の内径を有する下部孔と、平板部に形成されかつ第1の内径よりも大きい第2の内径を有する上部孔と、第1の内径よりも大きい第3の内径を有する収容管の内部空間とにより構成され、シール部材は、収容管の内部空間に収容されるように収容管の底面に配置され、突出部および第1の基板支持部の第1の上端部は、閉塞部材が閉塞位置にあるときに収容管の内部空間に収容されてもよい。
【0015】
この場合、閉塞部材の全体が上下方向に厚くなることを防止しつつ、第1の基板支持部の第1の上端部を収容管の内部空間に収容することが可能である。そのため、閉塞部材が閉塞位置にあるときには、第1の基板支持部が閉塞部材から上下方向に突出しない。これにより、処理空間を小型化することができる。
【0016】
(5)第1の基板支持部は、閉塞部材が閉塞位置にあるときに処理位置で基板を支持し、閉塞部材が開放位置にあるときに処理位置の下方の受け渡し位置で基板を支持するように上下方向に移動可能に構成されてもよい。この場合、第1の基板支持部により処理空間内で基板が支持された状態で、処理室を高い気密性で密閉することができる。
【0017】
(6)昇降駆動部は、閉塞部材のストロークが第1の基板支持部のストロークよりも大きくなるように閉塞部材および第1の基板支持部を上下方向に移動させてもよい。この場合、閉塞部材が閉塞位置にありかつ第1の基板支持部が処理位置にあるときに、突出部とシール部材とを容易に密着させることができる。これにより、第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間を容易に密封することができる。
【0018】
(7)基板処理装置は、昇降駆動部として、閉塞部材を上下方向に移動させる第1の昇降駆動部と、第1の基板支持部を上下方向に移動させる第2の昇降駆動部と備えてもよい。この場合でも、閉塞部材が閉塞位置にありかつ第1の基板支持部が処理位置にあるときに、突出部とシール部材とを容易に密着させることができる。これにより、第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間を容易に密封することができる。
【0019】
(8)貫通孔は、第1の内径を有する下部孔と、第1の内径よりも大きい第2の内径を有する上部孔とを有し、シール部材は、下部孔と上部孔との段差面上に配置されてもよい。この場合、シール部材の少なくとも一部が貫通孔内に配置されるので、閉塞部材からのシール部材の上下方向の突出量が小さくなる。これにより、処理空間を小型化することができる。
【0020】
(9)上部孔は、シール部材を収容するとともに、突出部の少なくとも一部を収容可能に構成されてもよい。この場合、シール部材が閉塞部材から上下方向に突出しない。これにより、処理空間をより小型化することができる。
【0021】
(10)基板処理装置は、突出部による第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間の密封時に第1の基板支持部を下方に押圧する押圧部材をさらに備えてもよい。この場合、閉塞部材の貫通孔がより強固に密封される。これにより、処理室の気密性をより向上させることができる。
【0022】
(11)処理室は、上部開口をさらに有し、光出射部は、上部開口を塞ぐように処理室の上方に設けられてもよい。この構成によれば、処理室が上部開口を有する場合でも、上部開口が光出射部により塞がれるので、処理室の気密性が低下することが防止される。そのため、密閉された処理室内の処理空間において、高い精度で基板に露光処理を行うことができる。
【0023】
(12)基板処理装置は、処理空間に不活性ガスを供給する給気部と、処理空間内の雰囲気を処理空間の外部へ排出する排気部とをさらに備えてもよい。この場合、処理室が高い気密性で密閉されているので、処理空間内の雰囲気を高い効率で不活性ガスに置換することができる。また、処理空間内の酸素濃度が低減された環境下で基板に処理を行うことができる。
【0024】
(13)シール部材は、Oリングまたはパッキンを含んでもよい。この場合、基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間を容易に密封することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、処理室を高い気密性で密閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【
図2】
図1の基板処理装置のうち一部の構成要素の動作を説明するための斜視図である。
【
図3】
図1の下蓋部材および基板支持部の構成を示す断面図である。
【
図4】
図1の下蓋部材および基板支持部の構成を示す断面図である。
【
図5】
図1の下蓋部材および基板支持部の構成を示す断面図である。
【
図6】
図1の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図7】
図1の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図8】
図1の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図9】
図1の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図10】
図1の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図11】
図1の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図13】
図12の制御部により実行される露光処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図12の制御部により実行される露光処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図1の基板処理装置を備える基板処理システムの一例を示す模式的ブロック図である。
【
図16】本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【
図19】
図16の下蓋部材および基板支持部の構成を示す断面図である。
【
図20】
図16の下蓋部材および基板支持部の構成を示す断面図である。
【
図21】
図16の下蓋部材および基板支持部の構成を示す断面図である。
【
図22】
図16の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図23】
図16の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図24】
図16の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図25】
図16の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図26】
図16の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図27】
図16の基板処理装置の基本動作を説明するための模式的側面図である。
【
図28】第2の実施の形態における露光処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
【
図29】他の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。なお、以下に説明する基板は、少なくとも一部が円形状を有する基板であり、例えばノッチまたはオリエンテーションフラットが形成された円形基板である。
【0028】
また、基板の主面には、真空紫外線により改質される膜が形成される。さらに、以下に説明する基板処理装置においては、基板の主面が上方に向けられかつ基板の裏面(主面とは反対側の面)が下方に向けられた状態で、その基板の主面に上方から約120nm以上約230nm以下の波長を有する紫外線(以下、真空紫外線と呼ぶ。)が照射される。したがって、以下の説明において、基板の上面は基板の主面であり、基板の下面は基板の裏面である。
【0029】
[1]第1の実施の形態
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す模式的断面図である。
図2は、
図1の基板処理装置100のうち一部の構成要素の動作を説明するための斜視図である。
図1に示すように、基板処理装置100は、露光装置であり、光出射部10、処理室20、下蓋部材30、基板支持部40、給気部50、排気部60、昇降駆動部70および制御部80を含む。
【0030】
基板処理装置100においては、基板Wに処理を行うための処理空間20Sが処理室20により形成される。具体的には、処理室20は円筒形状を有し、処理室20の内周面により取り囲まれる空間が処理空間20Sとして用いられる。また、処理室20は、円環状の平坦な上端面23および下端面24を有する。上端面23の内側には上部開口21が形成され、下端面24の内側には下部開口22が形成されている。
【0031】
処理室20の上部開口21を塞ぐように処理室20の上方に光出射部10が設けられる。光出射部10は、ハウジング11、透光板13、面状の光源部14および電源装置15を含む。ハウジング11は、底壁部11a、角筒形状の周壁部11bおよび天井部11cを有する。底壁部11a、周壁部11bおよび天井部11cにより内部空間10Sが形成される。なお、
図2では、光出射部10のうちハウジング11のみが一点鎖線で示される。
【0032】
ハウジング11の底壁部11aには、下部開口12が形成されている。下部開口12は、例えば円形状を有する。下部開口12の内径は、処理室20の内径よりもやや小さい。透光板13は、下部開口12を閉塞するように底壁部11aに取り付けられる。本実施の形態では、透光板13は石英ガラス板である。透光板13の材料として、真空紫外線を透過する他の材料が用いられてもよい。
【0033】
光源部14および電源装置15は、ハウジング11の内部空間10Sに収容される。光源部14は、真空紫外線を出射する複数の棒形状の光源素子LEが所定間隔で水平に配列された構成を有する。各光源素子LEは、例えばキセノンエキシマランプであってもよいし、他のエキシマランプまたは重水素ランプ等であってもよい。電源装置15は、光源部14に電力を供給する。
【0034】
底壁部11aの下面には、透光板13の下面が出射面13Sとして処理空間20Sに向くように、処理室20の上端面23が接続されている。このような構成により、光源部14から発生される真空紫外線は、出射面13Sを通して処理空間20S内に出射される。
【0035】
下蓋部材30は、処理室20の下方で上下方向に移動可能に設けられている。また、下蓋部材30は、上下方向の移動により下部開口22を閉塞可能および開放可能に構成されている。以下、下蓋部材30が下部開口22を閉塞する位置を閉塞位置と呼び、下蓋部材30が下部開口22を開放する位置を開放位置と呼ぶ。開放位置は閉塞位置の下方にある。下蓋部材30が開放位置にあるときには、基板処理装置100の内部と外部との間で水平面内の全方向に基板Wを搬入および搬出することが可能である。
【0036】
下蓋部材30は、複数(本例では3つ)の支持部材33を含む。各支持部材33は、例えばセラミックにより形成された球状のプロキシミティボールであり、上端部33aにより処理対象の基板Wの下面を支持可能に構成される。また、下蓋部材30の中央部には、複数(本例では3つ)の貫通孔34が形成されている。下蓋部材30の詳細については後述する。
【0037】
基板支持部40は、複数の貫通孔34にそれぞれ対応する複数の支持ピン41および連結部材42を含む。各支持ピン41は、上下方向に延びる外面41aと、曲面状の上端部41bとを有する。複数の支持ピン41の上端部41b上に処理対象の基板Wの下面が支持される。連結部材42は、複数の支持ピン41の下端部を連結する。複数の支持ピン41と複数の支持部材33との間で基板Wの受け渡しを行うことが可能である。基板支持部40の詳細については後述する。
【0038】
下蓋部材30が閉塞位置にある状態で複数の支持部材33により支持される基板Wは、処理空間20S内に位置する。また、基板Wの上面は、光出射部10の出射面13Sに近接する状態で対向する。そのため、高い効率で基板Wに露光処理を行うことが可能になる。一方、複数の支持ピン41により支持される基板Wは、処理空間20Sの下方に位置する。これにより、基板処理装置100の外部と複数の支持ピン41との間での基板Wを受け渡しを行うことができる。昇降駆動部70は、例えばエアシリンダまたはステッピングモータを含み、
図2に太い点線の矢印で示すように、開放位置と閉塞位置との間で下蓋部材30を上下方向に移動させる。
【0039】
給気部50は、配管51、不活性ガス供給源(図示せず)およびバルブ(図示せず)等を含む。また、排気部60は、配管61、バルブ(図示せず)および排気設備(図示せず)等を含む。処理室20の内部には、処理室20の外部と処理空間20Sとを連通する給気流路25および排気流路26が形成されている。処理室20においては、給気流路25および排気流路26は、処理空間20Sを挟んで互いに対向するように形成される。
【0040】
給気流路25および排気流路26の各々は、処理室20の外周面から内周面にかけて形成された貫通孔により構成される。給気流路25には、給気部50から延びる配管51が接続されている。排気流路26には、排気部60から延びる配管61が接続されている。給気部50は、図示しない不活性ガス供給源から配管51および給気流路25を通して処理空間20Sに不活性ガスを供給する。本実施の形態では、不活性ガスとして窒素ガスが用いられる。排気部60は、処理室20の処理空間20Sの雰囲気を排気流路26および配管61を通して処理室20の外部に排出する。
【0041】
配管61には、酸素濃度計29が設けられる。酸素濃度計29は、配管61を流れる気体の酸素濃度を処理空間20S内の酸素濃度として計測し、計測された酸素濃度を所定周期で制御部80に与える。酸素濃度計29は、例えばガルバニ電池式酸素センサまたはジルコニア式酸素センサである。
【0042】
制御部80は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリにより構成される。制御部80のメモリには、各種制御プログラムが記憶されている。制御部80のCPUがメモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、
図1に一点鎖線の矢印で示すように、基板処理装置100内の各構成要素の動作が制御される。
【0043】
(2)下蓋部材および基板支持部の構成
図3~
図5は、
図1の下蓋部材30および基板支持部40の構成を示す断面図である。
図3~
図5に示すように、下蓋部材30は、平板部31および複数の収容管32を含む。平板部31は、
図1の光出射部10の出射面13Sに対向する平坦な上面31aと、その反対の下面31bとを有する。複数の支持部材33は、平板部31の上面31に設けられる。複数の収容管32は、複数の貫通孔34にそれぞれ対応する。各収容管32は、平板部31の下面31bから一定距離下方に延びる内周面32aと、底面32bとを有する。
【0044】
各貫通孔34は、下部孔34aと、上部孔34bと、収容管32の内部空間34cとにより構成される。下部孔34aは、対応する収容管32の底面32bを貫通する。上部孔34bは、対応する内部空間34cと連なるように平板部31を貫通する。上部孔34bおよび内部空間34cの内径は、下部孔34aの内径よりも大きく、後述する突出部41Aの直径よりもやや大きい。上部孔34bの内径と内部空間34cの内径とは同じでもよいし、異なってもよい。各収容管32の底面32b上には、対応する内部空間34cに収容されるようにシール部材38が設けられる。各シール部材38は、例えばOリングからなる。各シール部材38は、パッキン等の他の部材からなってもよい。
【0045】
また、平板部31の上面31aには、シール部材39(
図1)が取り付けられている。シール部材39は、例えばOリングからなる。シール部材39は、パッキン等の他の部材からなってもよい。下蓋部材30が閉塞位置にある状態においては、シール部材39が
図1の処理室20の下端面24に密着する。
【0046】
基板支持部40は、上記の複数の支持ピン41および連結部材42に加えて、連結部材44および複数(本例では2つ)の弾性部材46を含む。連結部材42は、例えば円板形状を有し、下蓋部材30の下方の図示しない固定部に固定される。連結部材42は、矩形状等の他の形状を有してもよい。連結部材42には、複数の支持ピン41にそれぞれ対応する複数の貫通孔43が形成される。
【0047】
連結部材44は、例えば円板形状を有し、連結部材42の下方に配置される。連結部材44は、矩形状等の他の形状を有してもよい。連結部材44には、連結部材42の複数の貫通孔43にそれぞれ対応する複数の貫通孔45が形成される。連結部材42の各貫通孔43と、連結部材44の対応する貫通孔45とは上下方向に重なる。
【0048】
連結部材42と連結部材44との間には、複数の弾性部材46が設けられる。本例では、弾性部材46はばね部材であるが、実施の形態はこれに限定されない。弾性部材46は、ゴム部材等の他の弾性体であってもよい。連結部材42と連結部材44とは、複数の弾性部材46により上下方向に互いに離間するように付勢される。
【0049】
各支持ピン41には、外面41aから外方に突出しかつ外面41aを取り囲むように突出部41A,41B,41Cが設けられる。突出部41A,41B,41Cは、この順で上方から下方に並ぶ。突出部41Aは、支持ピン41の上端部41bに取り付け可能な取付部材に形成されていてもよく、当該取付部材は例えばセラミックまたは樹脂により形成されてもよい。あるいは、突出部41A~41Cの各々は、支持ピン41に嵌め込み可能なナット部材であってもよい。
【0050】
各支持ピン41の外面41aは、下蓋部材30の対応する貫通孔34、連結部材42の対応する貫通孔43および連結部材44の対応する貫通孔45に挿入される。ここで、下蓋部材30は、各支持ピン41に設けられた突出部41A,41B間に位置する。したがって、各突出部41Aは、下蓋部材30の対応する収容管32の内部空間34cに設けられたシール部材38の上方に位置する。
【0051】
また、連結部材42,44は、各支持ピン41に設けられた突出部41B,41C間に位置する。この場合、連結部材42と連結部材44とは上下方向に互いに離間するように付勢されているので、連結部材42の上面は複数の突出部41Bの下面と接触し、連結部材44の下面は複数の突出部41Cの上面と接触する。これにより、連結部材42,44が複数の突出部41B,41Cにより狭持される。
【0052】
図3に示すように、下蓋部材30が開放位置にある場合、複数の支持ピン41の上端部41bは、下蓋部材30に設けられた複数の支持部材33の上端部33aよりも上方に位置する。それにより、複数の支持ピン41の上端部41b上に処理対象の基板Wを載置することが可能になる。
【0053】
図4に示すように、下蓋部材30が所定の高さまで上昇すると、各支持ピン41の上端部41bおよび各支持ピン41に設けられた突出部41Aは、下蓋部材30の対応する収容管32の内部空間34cに収容される。この場合、複数の支持ピン41の上端部41bは、下蓋部材30に設けられた複数の支持部材33の上端部33aよりも下方に位置する。それにより、複数の支持ピン41上に支持された基板Wは、複数の支持部材33に渡される。
【0054】
下蓋部材30が閉塞位置に到達すると、
図1のシール部材39が処理室20の下端面24に密着する。また、
図5に示すように、各収容管32の内部空間34cにおいて、対応するシール部材38が、支持ピン41に設けられた突出部41Aに密着し、貫通孔34をシールするように押し潰される。これにより、
図1の処理室20が密閉される。また、複数の突出部41Aが複数のシール部材38によりそれぞれ上方に押圧されるので、複数の支持ピン41が上昇する。
【0055】
この構成によれば、複数の支持ピン41の上昇に伴って、連結部材44が複数の突出部41Cに押圧されることにより、連結部材44が上昇する。そのため、複数の弾性部材46が押し縮められることにより、各突出部41Cは、連結部材44を介して複数の弾性部材46により下方に反力を受ける。この場合、各支持ピン41は下方に押圧されるので、対応するシール部材38はより強固に突出部41Aに押し潰される。これにより、下蓋部材30の各貫通孔34がより強固に密封される。その結果、処理室20の気密性がより向上する。
【0056】
(3)基板処理装置の基本動作
上記のように、基板処理装置100においては、基板Wに例えば172nmの波長を有する真空紫外線が照射されることにより基板処理が行われる。ここで、基板Wに向かう真空紫外線の経路上に多量の酸素が存在すると、酸素分子が真空紫外線を吸収して酸素原子に分離するとともに、分離した酸素原子が他の酸素分子と再結合することによりオゾンが発生する。この場合、基板Wに到達する真空紫外線が減衰する。真空紫外線の減衰は、約230nmよりも長い波長の紫外線の減衰に比べて大きい。そこで、基板処理装置100においては、酸素濃度が低く維持された処理空間20S内で基板Wに真空紫外線が照射される。以下、露光処理時における基板処理装置100の基本動作について説明する。
【0057】
図6~
図11は、
図1の基板処理装置100の基本動作を説明するための模式的側面図である。基板処理装置100に電源が投入される前の初期状態において、下蓋部材30は閉塞位置pa2にあるとする。基板処理装置100の電源がオン状態になると、
図6に白抜きの矢印a1で示すように、下蓋部材30が開放位置pa1に移動する。
【0058】
次に、複数の支持ピン41の上端部41bが処理室20よりも下方に位置する状態で、基板処理装置100の外部から基板処理装置100の内部に基板Wが搬入される。この場合、
図7に白抜きの矢印a2で示すように、図示しない搬送装置により搬送される基板Wが、基板処理装置100の側方から処理室20と複数の支持ピン41との間の空間に挿入され、複数の支持ピン41上に載置される。この状態で、基板Wの上面は、処理空間20Sを挟んで光出射部10の出射面13Sに対向する。上記の搬送装置は、例えば後述する
図15の搬送装置220である。
【0059】
次に、
図8に白抜きの矢印a3で示すように、下蓋部材30が閉塞位置pa2に移動する。これにより、基板Wが処理空間20S内に収容された状態で、処理室20の下部開口22が下蓋部材30により閉塞される。また、処理空間20S内で、基板Wが複数の支持部材33により支持される。さらに、下蓋部材30の各貫通孔34が対応するシール部材38および対応する支持ピン41に設けられた突出部41Aにより密封される。それにより、処理室20が密閉される。
【0060】
この状態で、
図8に太い一点鎖線の矢印で示すように、
図1の給気部50から給気流路25を通して処理空間20S内に不活性ガスが供給される。また、処理空間20S内の雰囲気が排気流路26を通して
図1の排気部60により基板処理装置100の外部に排出される。それにより、処理空間20S内の雰囲気が漸次不活性ガスに置換され、処理空間20S内の酸素濃度が低下する。
【0061】
その後、処理空間20S内の酸素濃度が予め定められた濃度(以下、目標酸素濃度と呼ぶ。)まで低下すると、
図9に太い実線の矢印で示すように、光出射部10の光源部14から出射面13Sを通して基板Wの上面に真空紫外線が照射される。ここで、目標酸素濃度は、例えば露光処理後で処理室20の下部開口22が開放される際に、処理室20の近傍におけるオゾンの濃度が予め許容された濃度(0.1ppm)以下となるように設定され、例えば1%である。処理空間20S内の酸素濃度が目標酸素濃度まで低下したか否かは、例えば
図1の酸素濃度計29から出力される信号に基づいて判定することができる。なお、基板Wに真空紫外線が照射される間、不活性ガスによる処理空間20S内の雰囲気の置換動作は継続して行われてもよいし、停止されてもよい。
【0062】
基板Wに照射される真空紫外線の露光量(基板W上の単位面積当たりに照射される真空紫外線のエネルギー)が予め定められた設定露光量に到達すると、基板Wの上面に対する真空紫外線の照射が停止される。このようにして基板Wの上面が露光されることにより、基板Wに形成された膜が所定の露光条件に従って改質される。
【0063】
ここで、目標酸素濃度の環境下で基板Wに照射される真空紫外線の照度(基板W上の単位面積当たりに照射される真空紫外線の仕事率)は既知であるとする。この場合、基板Wに照射される真空紫外線の露光量は、真空紫外線の照度と真空紫外線の照射時間とに基づいて定まる。本実施の形態では、基板Wに照射される真空紫外線の露光量が予め定められた設定露光量に到達したか否かは、真空紫外線の照射が開始されてから設定露光量に対応する時間(露光時間)が経過したか否かに基づいて判定される。
【0064】
基板Wの上面に対する真空紫外線の照射が停止された後、
図10に白抜きの矢印a4で示すように、下蓋部材30が開放位置pa1に移動する。これにより、処理室20の下部開口22が開放され、基板Wが複数の支持ピン41上に支持された状態で処理空間20Sの下方に取り出される。
【0065】
最後に、
図11に白抜きの矢印a5で示すように、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、図示しない搬送装置により受け取られ、基板処理装置100の側方に搬出される。上記の搬送装置は、例えば後述する
図15の搬送装置220である。
【0066】
(4)露光処理
図12は、
図1の制御部80の構成を示す図である。
図13および
図14は、
図12の制御部80により実行される露光処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、制御部80は、機能部として、搬入出部81、密閉部82、置換部83、濃度判定部84および露光部85を含む。制御部80のCPUがメモリに記憶された露光プログラムを実行することにより、制御部80の機能部が実現される。制御部80の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。以下、
図12の制御部80ならびに
図13および
図14のフローチャートを用いて露光処理を説明する。
【0067】
まず、搬入出部81は、昇降駆動部70を制御することにより、下蓋部材30を開放位置pa1に移動させる(ステップS1)。この場合、複数の支持ピン41上に基板Wを搬入することが可能になる。
【0068】
次に、搬入出部81は、基板Wが複数の支持ピン41上に搬入されたか否かを判定する(ステップS2)。この判定は、例えば基板処理装置100内に支持ピン41上の基板Wの有無を検出するセンサ(例えば光電センサ等)を設け、そのセンサからの出力に基づいて行われてもよい。あるいは、基板処理装置100の外部の制御装置(例えば、後述する
図15の制御装置210)からの指令信号に基づいて行われてもよい。基板Wが搬入されない場合、搬入出部81は、基板Wが搬入されるまで待機する。
【0069】
基板Wが搬入された場合、密閉部82は、昇降駆動部70を制御することにより、下蓋部材30を閉塞位置pa2に移動させる(ステップS3)。この場合、複数の支持ピン41上から複数の支持部材33上に基板Wが渡され、複数の支持部材33上の基板Wと光出射部10とが近接する状態で処理室20が密閉される。
【0070】
次に、置換部83は、排気部60により処理室20の処理空間20S内の雰囲気を排出する(ステップS4)。また、置換部83は、給気部50により処理室20の処理空間20S内に不活性ガスを供給する(ステップS5)。これにより、処理空間20S内の雰囲気が不活性ガスに置換される。ステップS4,S5の処理は、いずれが先に開始されてもよいし、同時に開始されてもよい。
【0071】
次に、濃度判定部84は、酸素濃度計29により計測される酸素濃度に基づいて、処理空間20Sの酸素濃度が目標酸素濃度まで低下したか否かを判定する(ステップS6)。処理空間20Sの酸素濃度が目標酸素濃度まで低下しない場合、制御部80は、処理空間20Sの酸素濃度が目標酸素濃度に到達するまで待機する。
【0072】
処理空間20Sの酸素濃度が目標酸素濃度まで低下した場合、露光部85は、光出射部10により処理空間20S内の基板Wに向けて真空紫外線を出射する(ステップS7)。これにより、真空紫外線が基板Wに照射され、基板Wに形成された膜が改質する。
【0073】
次に、露光部85は、真空紫外線の出射を開始した時点から上記の露光時間が経過したか否かを判定する(ステップS8)。露光時間が経過していない場合、露光部85は、露光時間が経過するまで待機する。露光時間が経過した場合、露光部85は、光出射部10による真空紫外線の出射を停止する(ステップS9)。
【0074】
次に、置換部83は、排気部60により処理空間20S内の雰囲気の排出を停止する(ステップS10)。また、置換部83は、給気部50により処理空間20S内への不活性ガスの供給を停止する(ステップS11)。ステップS10,S11の処理は、いずれが先に開始されてもよいし、同時に開始されてもよい。
【0075】
次に、搬入出部81は、昇降駆動部70を制御することにより、下蓋部材30を開放位置pa1に移動させる(ステップS12)。この場合、複数の支持部材33上から複数の支持ピン41上に基板Wが渡され、複数の支持ピン41上から基板Wを搬出することが可能になる。
【0076】
その後、搬入出部81は、基板Wが複数の支持ピン41上から搬出されたか否かを判定する(ステップS13)。この判定は、ステップS2の処理と同様に、例えば基板処理装置100内に基板支持部40上の基板Wの有無を検出するセンサ(例えば光電センサ等)を設け、そのセンサからの出力に基づいて行われてもよい。あるいは、基板処理装置100の外部の制御装置(例えば、後述する
図15の制御装置210)からの指令信号に基づいて行われてもよい。基板Wが搬出されない場合、制御部80は、基板Wが搬出されるまで待機する。基板Wが搬出された場合、搬入出部81は上記のステップS2の処理に戻る。
【0077】
(5)基板処理システム
図15は、
図1の基板処理装置100を備える基板処理システムの一例を示す模式的ブロック図である。
図15に示すように、基板処理システム200は、基板処理装置100に加えて、制御装置210、搬送装置220、熱処理装置230、塗布装置240および現像装置250を備える。
【0078】
制御装置210は、例えばCPUおよびメモリ、またはマイクロコンピュータを含み、基板処理装置100、搬送装置220、熱処理装置230、塗布装置240および現像装置250の動作を制御する。搬送装置220は、基板処理システム200による基板Wの処理時に、基板Wを基板処理装置100、熱処理装置230、塗布装置240および現像装置250の間で搬送する。
【0079】
熱処理装置230は、塗布装置240による塗布処理および現像装置250による現像処理の前後に基板Wの熱処理を行う。塗布装置240は、所定の処理液を基板Wの上面に塗布することにより、真空紫外線により改質される膜を基板Wの上面に形成する。具体的には、本例の塗布装置240は、基板Wの上面に誘導自己組織化材料を含む処理液を塗布する。この場合、誘導自己組織化材料に生じるミクロ相分離により基板Wの上面上に2種類の重合体のパターンが形成される。
【0080】
基板処理装置100は、塗布装置240により膜が形成された基板Wの上面に真空紫外線を照射する。それにより、基板W上に形成された2種類の重合体のパターン間の結合が切断される。現像装置250は、露光後の2種類の重合体のパターンのうち一方の重合体を除去するための溶剤を、現像液として基板Wに供給する。それにより、基板W上に他方の重合体からなるパターンが残留する。
【0081】
なお、塗布装置240は、真空紫外線により改質される膜として、誘導自己組織化材料を含む膜に代えてSOC(Spin-On-Carbon)膜が形成されるように、所定の処理液を基板Wの上面に塗布してもよい。この場合、SOC膜が形成された基板Wを真空紫外線を用いて露光することにより、SOC膜を改質することができる。
【0082】
塗布装置240においてSOC膜が形成される場合には、塗布装置240において露光処理後のSOC膜上にさらにレジスト膜が形成されてもよい。この場合、レジスト膜が形成された基板Wが基板処理システム200の外部に設けられる基板処理装置により露光された後、現像装置250がその露光後の基板Wに現像処理を行ってもよい。
【0083】
上記の基板処理装置100によれば、単純かつコンパクトな構成で基板Wの清浄度を低下させることなく露光処理の効率を向上させることが可能である。したがって、
図15の基板処理システム200によれば、基板Wの処理精度が向上するとともに、基板Wの製造コストを低減することが可能になる。
【0084】
(6)効果
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、基板Wを収容可能な処理空間20Sを形成する処理室20の下方に下蓋部材30が配置される。各支持ピン41の外面41aが下蓋部材30の対応する貫通孔34を通して上下方向に延びる。各支持ピン41の外面41aを取り囲みかつ下蓋部材30に接するようにシール部材38が配置される。各支持ピン41の外面41aから外方に突出しかつ外面41aを取り囲むように突出部41Aが設けられる。
【0085】
昇降駆動部70により、下蓋部材30が閉塞位置pa2とその下方の開放位置pa1との間で上下方向に移動される。下蓋部材30が開放位置pa1に移動されることにより、処理室20の下部開口22が開放される。この場合、基板処理装置100の外部から複数の支持ピン41の上端部41bに基板Wを渡すとともに、複数の支持ピン41の上端部41bから基板処理装置100の外部に基板Wを渡すことが可能になる。
【0086】
一方、下蓋部材30が閉塞位置pa2に移動されることにより、処理空間20Sに基板Wを収容した処理室20の下部開口22が閉塞される。そのため、処理空間20S内で基板Wの処理を行うことが可能になる。また、各突出部41Aと対応するシール部材38とが密着することにより、各支持ピン41と下蓋部材30の貫通孔34との間が密封される。これにより、下蓋部材30が貫通孔34を有する場合でも、処理室20の気密性が低下することが防止される。その結果、処理室20を高い気密性で密閉することができる。
【0087】
また、各支持部材33の上端部33aは、下蓋部材30が開放位置pa1にあるときに各支持ピン41の上端部41bよりも下方に位置し、下蓋部材30が閉塞位置pa2にあるときに各支持ピン41の上端部41bよりも上方に位置する。この場合、下蓋部材30が開放位置pa1から閉塞位置pa2に上昇されることにより、基板Wが複数の支持ピン41から複数の支持部材33に渡され、複数の支持部材33により処理空間20S内で基板Wが支持される。そのため、簡単な制御で基板Wを処理空間20Sに収容しつつ処理室20を高い気密性で密閉することができる。
【0088】
同様に、下蓋部材30が閉塞位置pa2から開放位置pa1に下降されることにより、基板Wが複数の支持部材33から複数の支持ピン41に渡される。そのため、簡単な制御で基板Wを処理空間20Sから取り出し、基板処理装置100の外部に搬出することができる。
【0089】
さらに、各シール部材38は、対応する収容管32の内部空間34cに収容されるように当該収容管32の底面32bに配置される。各突出部41Aおよび対応する支持ピン41の上端部41bは、下蓋部材30が閉塞位置pa2にあるときに当該収容管32の内部空間34cに収容される。この場合、下蓋部材30の全体が上下方向に厚くなることを防止しつつ、各支持ピン41の上端部41bを対応する収容管32の内部空間34cに収容することが可能である。そのため、下蓋部材30が閉塞位置pa2にあるときには、支持ピン41が下蓋部材30から上下方向に突出しない。これにより、処理空間20Sを小型化することができる。
【0090】
また、本実施の形態においては、基板Wの処理として真空紫外線を用いた露光処理が行われる。ここで、処理空間20S内の雰囲気は不活性ガスに置換され、処理空間20S内の酸素濃度が低下される。処理室20は高い気密性で密閉されているので、処理空間20S内の雰囲気を高い効率で不活性ガスに置換することができる。これにより、光出射部10から基板Wへの真空紫外線の減衰が防止される。さらに、複数の支持部材33の上端部33aにより支持された基板Wの上面は、処理室20の上方に設けられた光出射部10に近接する状態で対向する。これらの結果、露光処理の効率を向上させることができる。また、上記のように、処理空間20Sが上下方向に小型化されるので、処理空間20S内の雰囲気を不活性ガスに効率よく置換することができる。
【0091】
[2]第2の実施の形態
(1)基板処理装置の構成
第1の実施の形態に係る基板処理装置100においては、下蓋部材30は複数の支持部材33を含むが、実施の形態はこれに限定されない。下蓋部材30が複数の支持部材33を含まなくてもよい。
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置100の構成を示す模式的断面図である。
図16の基板処理装置100が
図1の基板処理装置100と異なる点を説明する。
【0092】
図16に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置100においては、下蓋部材30は複数の支持部材33(
図1)および複数の収容管32(
図1)を含まない。一方、複数の支持ピン41は、下蓋部材30の複数の貫通孔34にそれぞれ挿入された状態で、下蓋部材30の下方の図示しない固定部に対して上下方向に移動可能に設けられる。
【0093】
以下、基板Wに真空紫外線を照射する際に配置されるべき複数の支持ピン41の上下方向の位置を処理位置と呼ぶ。また、複数の支持ピン41と基板処理装置100の外部との間での基板Wの受け渡しの際に配置されるべき複数の支持ピン41の上下方向の位置を受け渡し位置と呼ぶ。受け渡し位置は、処理位置の下方にある。なお、複数の支持ピン41の位置とは、複数の支持ピン41の上端部41bの位置を意味する。
【0094】
複数の支持ピン41が処理位置にある状態で支持される基板Wは、処理空間20S内に位置する。また、基板Wの上面は、光出射部10の出射面13Sに近接する状態で対向する。そのため、高い効率で基板Wに露光処理を行うことが可能になる。一方、複数の支持ピン41が受け渡し位置にある状態で支持される基板Wは、処理空間20Sの下方に位置する。これにより、基板処理装置100と複数の支持ピン41との間での基板Wを受け渡しを行うことができる。
【0095】
昇降駆動部70は、例えばエアシリンダを含む。昇降駆動部70は、開放位置と閉塞位置との間で下蓋部材30を上下方向に移動させるとともに、受け渡し位置と処理位置との間で複数の支持ピン41を上下方向に移動させる。
図17および
図18は、
図16の昇降駆動部70の構成を示す模式図である。
図17は、下蓋部材30が開放位置pa1にあり、かつ複数の支持ピン41が受け渡し位置pb1にあるときの昇降駆動部70を示す。
図18は、下蓋部材30が閉塞位置pa2にあり、かつ複数の支持ピン41が処理位置pb2にあるときの昇降駆動部70を示す。
【0096】
図17および
図18に示すように、昇降駆動部70は、カム部材71およびエアシリンダ72を含む。カム部材71は、一方向に延びるように設けられる。カム部材71の一端部71aは、下蓋部材30の下方の図示しない固定部に固定される。カム部材71の他端部71bには、下蓋部材30の基端部が接続される。カム部材71の中央部71cには、連結部材42の基端部が接続される。
【0097】
エアシリンダ72は、上下方向に進退可能な駆動軸72aを有し、カム部材71の他端部71bの近傍に取り付けられる。
図17に示すように、駆動軸72aが下方に退避したときの駆動軸72aの先端の位置を退避位置pc1と呼ぶ。
図18に示すように、駆動軸72aが上方に突出したときの駆動軸72aの先端の位置を突出位置pc2と呼ぶ。
【0098】
エアシリンダ72の駆動軸72aの先端が退避位置pc1と、その上方の突出位置pc2との間で上下方向に進退することにより、カム部材71が一端部71aを中心に回動する。これにより、カム部材71の他端部71bに取り付けられた下蓋部材30は、図示しないガイドレールに沿って開放位置pa1と閉塞位置pa2との間で上下方向に移動する。また、カム部材71の中央部71cに取り付けられた連結部材42は、図示しないガイドレールに沿って上下方向に移動する。これにより、複数の支持ピン41が受け渡し位置pb1と処理位置pb2との間で上下方向に移動する。
【0099】
すなわち、エアシリンダ72の駆動軸72aの先端(以下、単に駆動軸72aと呼ぶ。)が退避位置pc1に移動したときに、下蓋部材30が開放位置pa1に移動し、複数の支持ピン41が受け渡し位置pb1に移動する。エアシリンダ72の駆動軸72aが突出位置pc2に移動したときに、下蓋部材30が閉塞位置pa2に移動し、複数の支持ピン41が処理位置pb2に移動する。
【0100】
上記の構成においては、エアシリンダ72の駆動軸72aの移動量当たりの下蓋部材30の移動量(ストローク)は、連結部材42の移動量(ストローク)よりも大きい。この場合、エアシリンダ72の駆動軸72aが退避位置pc1から突出位置pc2に移動するにつれて、下蓋部材30と連結部材42との上下方向の距離が大きくなる。
【0101】
(2)下蓋部材および基板支持部の構成
図19~
図21は、
図16の下蓋部材30および基板支持部40の構成を示す断面図である。
図19~
図21に示すように、各貫通孔34は、下部孔34aと、下部孔34aの上部に配置された上部孔34bとを有し、平板部31を貫通するように形成される。本実施の形態における下部孔34aおよび上部孔34bの寸法は、第1の実施の形態における下部孔34aおよび上部孔34bとそれぞれ同様である。各上部孔34b内には、シール部材38が設けられる。
【0102】
図17のエアシリンダ72の駆動軸72aが退避位置pc1からから上昇すると、
図19に示すように、複数の突出部41Bが連結部材42に押圧されることにより、複数の支持ピン41が上昇する。また、複数の支持ピン41の上昇に伴って、連結部材44が複数の突出部41Cに押圧されることにより、連結部材44が上昇する。
【0103】
上記のように、下蓋部材30および連結部材42が上昇するにつれて、下蓋部材30と連結部材42との上下方向の距離が大きくなることにより、下蓋部材30と複数の支持ピン41の上端部41bとの上下方向の距離が小さくなる。下蓋部材30および連結部材42が所定の高さまで上昇すると、
図20に示すように、各支持ピン41に設けられた突出部41Aは、下蓋部材30の対応する上部孔34b内に収容され、対応するシール部材38と接触する。
【0104】
その後、下蓋部材30および連結部材42が上昇するにつれて、複数の突出部41Aが複数のシール部材38にそれぞれ押圧されることにより、複数の支持ピン41が上昇する。複数の突出部41Bは、次第に連結部材42と離間し、連結部材42には押圧されなくなる。また、連結部材42,44間の上下方向の距離が次第に小さくなる。そのため、複数の弾性部材46が押し縮められる。
【0105】
下蓋部材30が閉塞位置pa2に到達し、複数の支持ピン41が処理位置pb2に到達すると、
図16のシール部材39が処理室20の下端面24に密着する。また、
図21に示すように、各上部孔34b内において、対応するシール部材38が、支持ピン41に設けられた突出部41Aに密着し、貫通孔34をシールするように押し潰される。この状態においても、各支持ピン41の上端部41bは下蓋部材30の平板部31の上面31aよりも上方に突出する。これにより、複数の支持ピン41上の基板Wと光出射部10とが近接する状態で処理室20を密閉することができる。
【0106】
また、第1の実施の形態と同様に、各突出部41Cは、連結部材44を介して複数の弾性部材46により下方に反力を受ける。この場合、各支持ピン41は下方に押圧されるので、対応するシール部材38はより強固に突出部41Aに押し潰される。これにより、下蓋部材30の各貫通孔34がより強固に密封される。その結果、処理室20の気密性がより向上する。
【0107】
(3)基板処理装置の基本動作
図22~
図27は、
図16の基板処理装置100の基本動作を説明するための模式的側面図である。基板処理装置100に電源が投入される前の初期状態において、エアシリンダ72の駆動軸72aは突出位置pc2にあるとする。この場合、下蓋部材30は閉塞位置pa2にあり、複数の支持ピン41は処理位置pb2にある。基板処理装置100の電源がオン状態になると、エアシリンダ72の駆動軸72aが退避位置pc1に移動することにより、
図22に白抜きの矢印a11,a12で示すように、下蓋部材30が開放位置pa1に移動するとともに複数の支持ピン41が受け渡し位置pb1に移動する。
【0108】
次に、複数の支持ピン41の上端部41bが処理室20よりも下方に位置する状態で、基板処理装置100の外部から基板処理装置100の内部に基板Wが搬入される。この場合、
図23に白抜きの矢印a13で示すように、
図15の搬送装置220等により搬送される基板Wが、基板処理装置100の側方から処理室20と複数の支持ピン41との間の空間に挿入され、複数の支持ピン41上に載置される。この状態で、基板Wの上面は、処理空間20Sを挟んで光出射部10の出射面13Sに対向する。
【0109】
次に、エアシリンダ72の駆動軸72aが突出位置pc2に移動することにより、
図24に白抜きの矢印a14,a15で示すように、下蓋部材30が閉塞位置pa2に移動するとともに複数の支持ピン41が処理位置pb2に移動する。これにより、基板Wが処理空間20S内に収容された状態で、処理室20の下部開口22が下蓋部材30により閉塞される。また、下蓋部材30の各貫通孔34が対応するシール部材38および対応する支持ピン41に設けられた突出部41Aにより密封される。それにより、処理室20が密閉される。
【0110】
この状態で、
図24に太い一点鎖線の矢印で示すように、
図16の給気部50から給気流路25を通して処理空間20S内に不活性ガスが供給される。また、処理空間20S内の雰囲気が排気流路26を通して
図16の排気部60により基板処理装置100の外部に排出される。それにより、処理空間20S内の雰囲気が漸次不活性ガスに置換され、処理空間20S内の酸素濃度が低下する。
【0111】
その後、処理空間20S内の酸素濃度が目標酸素濃度まで低下すると、
図25に太い実線の矢印で示すように、光出射部10の光源部14から出射面13Sを通して基板Wの上面に真空紫外線が照射される。第1の実施の形態と同様に、基板Wに真空紫外線が照射される間、不活性ガスによる処理空間20S内の雰囲気の置換動作は継続して行われてもよいし、停止されてもよい。
【0112】
基板Wに照射される真空紫外線の露光量が設定露光量に到達すると、基板Wの上面に対する真空紫外線の照射が停止される。このようにして基板Wの上面が露光されることにより、基板Wに形成された膜が所定の露光条件に従って改質される。
【0113】
基板Wの上面に対する真空紫外線の照射が停止された後、エアシリンダ72の駆動軸72aが退避位置pc1に移動することにより、
図26に白抜きの矢印a16,a17で示すように、下蓋部材30が開放位置pa1に移動するとともに複数の支持ピン41が受け渡し位置pb1に移動する。これにより、処理室20の下部開口22が開放され、基板Wが処理空間20Sの下方に取り出される。最後に、
図27に白抜きの矢印a18で示すように、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、
図15の搬送装置220等により受け取られ、基板処理装置100の側方に搬出される。
【0114】
(4)露光処理
図28は、第2の実施の形態における露光処理のアルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図28に示すように、本実施の形態における露光処理は、ステップS1,S3,S12に代えてステップS1A,S3A,S12Aが実行される点を除き、第1の実施の形態における
図13および
図14の露光処理と基本的に同様である。
【0115】
ステップS1Aにおいては、
図12の搬入出部81は、エアシリンダ72の駆動軸72aを退避位置pc1に移動させる(ステップS1A)。この場合、下蓋部材30が開放位置pa1に移動するとともに、複数の支持ピン41が受け渡し位置pb1に移動する。これにより、複数の支持ピン41上に基板Wを搬入することが可能になる。
【0116】
ステップS3Aにおいては、
図12の密閉部82は、エアシリンダ72の駆動軸72aを突出位置pc2に移動させる(ステップS3A)。この場合、下蓋部材30が閉塞位置pa2に移動するとともに、複数の支持ピン41が処理位置pb2に移動する。これにより、処理室20が密閉される。また、複数の支持ピン41上の基板Wと光出射部10とが近接する。
【0117】
ステップS12Aにおいては、
図12の搬入出部81は、エアシリンダ72の駆動軸72aを退避位置pc1に移動させる(ステップS12A)。この場合、下蓋部材30が開放位置pa1に移動するとともに、複数の支持ピン41が受け渡し位置pb1に移動する。これにより、複数の支持ピン41上から基板Wを搬出することが可能になる。
【0118】
(5)効果
本実施の形態に係る基板処理装置100においては、昇降駆動部70により、下蓋部材30が閉塞位置pa2とその下方の開放位置pa1との間で上下方向に移動され、複数の支持ピン41が処理位置pb2とその下方の受け渡し位置pb1との間で上下方向に移動される。下蓋部材30が開放位置pa1に移動されることにより、処理室20の下部開口22が開放される。また、各支持ピン41が受け渡し位置pb1に移動されることにより、基板処理装置100の外部から複数の支持ピン41の上端部41bに基板Wを渡すとともに、複数の支持ピン41の上端部41bから基板処理装置100の外部に基板Wを渡すことが可能になる。
【0119】
一方、下蓋部材30が閉塞位置pa2に移動されることにより、処理室20の下部開口22が閉塞される。また、複数の支持ピン41が処理位置pb2に移動されることにより、下蓋部材30よりも上方で複数の支持ピン41の上端部41bにより基板Wの下面が支持される。そのため、処理空間20S内で基板Wの処理を行うことが可能になる。また、各突出部41Aと対応するシール部材38とが密着することにより、各支持ピン41と下蓋部材30の貫通孔34との間が密封される。これにより、下蓋部材30が貫通孔34を有する場合でも、処理室20の気密性が低下することが防止される。その結果、処理室20を高い気密性で密閉することができる。
【0120】
また、複数の支持ピン41の上端部41bにより支持された基板Wの上面は、処理位置pb2において処理室20の上方に設けられた光出射部10に近接する状態で対向する。そのため、露光処理の効率を向上させることができる。
【0121】
さらに、各貫通孔34の上部孔34bには、対応するシール部材38および対応する突出部41Aを収容可能である。そのため、各シール部材38は下蓋部材30から上下方向に突出しない。また、各支持ピン41が処理位置pb2にあるときには、対応する突出部41Aも処理位置pb2において下蓋部材30から上下方向に突出しない。この場合、処理空間20Sが上下方向に小型化される。これにより、処理空間20S内の雰囲気を不活性ガスに効率よく置換することができる。
【0122】
[3]他の実施の形態
(1)第1の実施の形態において、下蓋部材30は複数の収容管32を含むが、実施の形態はこれに限定されない。平板部31の上下方向の厚みが十分に大きく、各支持ピン41の上端部41bおよび各支持ピン41に設けられた突出部41Aが対応する貫通孔34内に収容可能である場合には、下蓋部材30は複数の収容管32を含まなくてもよい。
【0123】
また、各支持ピン41は、下蓋部材30が開放位置pa1にあるとき(基板Wの受け渡し時)には、処理空間20Sの下方に位置する。一方、各支持ピン41は、下蓋部材30が閉塞位置pa2にあるとき(基板Wの処理時)には、対応するシール部材38に押圧されることにより上昇する。そこで、各支持ピン41は、下蓋部材30が閉塞位置pa2に移動したときに、上端部41bが平板部31の上面31aよりも上方に突出するように構成されてもよい。この場合、下蓋部材30は複数の収容管32を含まなくてもよく、複数の支持部材33を含まなくてもよい。
【0124】
(2)第2の実施の形態において、基板処理装置100は下蓋部材30と複数の支持ピン41とを移動させる昇降駆動部70を備えるが、実施の形態はこれに限定されない。以下、他の実施の形態に係る基板処理装置100について、
図16の基板処理装置100と異なる点を説明する。
図29は、他の実施の形態に係る基板処理装置100の構成を示す模式的断面図である。
【0125】
図29に示すように、基板処理装置100は、昇降駆動部70に代えて、昇降駆動部70A,70Bを備える。昇降駆動部70A,70Bの各々は、昇降駆動部70と同様にエアシリンダを含んでもよいし、ステッピングモータ等の他のアクチュエータを含んでもよい。昇降駆動部70Aは、開放位置pa1と閉塞位置pa2との間で下蓋部材30を上下方向に移動させる。昇降駆動部70Bは、受け渡し位置pb1と処理位置pb2との間で複数の支持ピン41を上下方向に移動させる。下蓋部材30のストロークが連結部材42のストロークよりも大きくなるように下蓋部材30および連結部材42が移動されてもよい。
【0126】
このように、本実施の形態においては、下蓋部材30と複数の複数の支持ピン41とが異なる昇降駆動部により移動される。この場合、処理室20を容易に密閉することができる。また、下蓋部材30が閉塞位置pa2に到達するタイミングと、複数の支持ピン41が処理位置pb2に到達するタイミングとを容易に異ならせることができる。そこで、複数の支持ピン41が処理位置pb2に到達した時点の後に下蓋部材30が閉塞位置pa2に到達するように下蓋部材30および複数の支持ピン41の移動が制御されてもよい。
【0127】
上記の制御によれば、複数の支持ピン41が処理位置pb2に到達した時点から下蓋部材30が閉塞位置pa2に到達するまでの期間、基板Wの下面と下蓋部材30の平板部31の上面31aとの間の空間が大きく維持される。この期間に給気部50および排気部60が動作することにより、基板Wの下方の空間の雰囲気の置換が促進される。これにより、処理空間20S内の雰囲気を不活性ガスに効率よく置換することができる。
【0128】
(3)上記実施の形態において、下蓋部材30による下部開口22の閉塞時に各突出部41Aの全体が下蓋部材30の対応する貫通孔34に収容されるが、実施の形態はこれに限定されない。下蓋部材30による下部開口22の閉塞時に、各突出部41Aの下部のみが下蓋部材30の対応する貫通孔34に収容されてもよい。この場合でも、処理空間20Sを上下方向に小型化することができる。そのため、処理空間20S内の雰囲気を不活性ガスに効率よく置換することができる。
【0129】
(4)上記実施の形態において、シール部材38の全体が貫通孔34内に配置されるが、実施の形態はこれに限定されない。シール部材38は、貫通孔34の下部孔34aと上部孔34bとの段差面上に配置されればよい。したがって、シール部材38の下部のみが貫通孔34内に配置されてもよい。この場合でも、処理空間20Sを上下方向に小型化することができる。そのため、処理空間20S内の雰囲気を不活性ガスに効率よく置換することができる。
【0130】
一方、処理空間20Sが上下方向にわずかに大型化してもよい場合には、シール部材38が貫通孔34内に配置されず、下蓋部材30の平板部31の上面31a上に配置されてもよい。この場合、各貫通孔34の上部孔34bの内径はシール部材38の外径よりも小さければよく、下部孔34aの内径と等しくてもよい。
【0131】
(5)上記実施の形態において、基板支持部40は支持ピン41を下方に押圧する弾性部材46を含むが、実施の形態はこれに限定されない。基板支持部40は、弾性部材46に代えて、支持ピン41を下方に押圧するアクチュエータを含んでもよい。また、貫通孔34がシール部材38により十分にシール可能である場合には、基板支持部40は弾性部材46を含まなくてもよい。
【0132】
(6)上記実施の形態において、基板処理装置100は真空紫外線により基板Wに露光処理を行う露光装置であるが、実施の形態はこれに限定されない。基板処理装置100は、他の基板処理を行う装置であってもよい。例えば、基板処理装置100は、酸素濃度が低減された環境下で基板Wに熱処理を行う熱処理装置であってもよい。この場合、基板処理装置100は、光出射部10に代えて、処理室20の上部開口21を閉塞する上蓋部材と、熱処理部とを含む。
【0133】
また、基板処理装置100は真空紫外線とは異なる露光光により基板Wに露光処理を行ってもよい。この場合、密閉された処理室20内の処理空間20Sにおいて、高い精度で基板に露光処理を行うことができる。当該露光処理のように、基板処理において処理空間20S内の酸素濃度を低減させる必要がない場合には、基板処理装置100は給気部50および排気部60を含まなくてもよい。また、処理室20に給気流路25および排気流路26が形成されなくてもよい。
【0134】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
上記実施の形態においては、基板Wが基板の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例であり、処理空間20Sが処理空間の例であり、下部開口22が下部開口の例である。処理室20が処理室の例であり、貫通孔34が貫通孔の例であり、開放位置pa1が開放位置の例であり、閉塞位置pa2が閉塞位置の例であり、下蓋部材30が閉塞部材の例である。
【0135】
外面41aが外面の例であり、上端部41b,33aがそれぞれ第1および第2の上端部の例であり、受け渡し位置pb1が受け渡し位置の例であり、処理位置pb2が処理位置の例であり、支持ピン41および支持部材33がそれぞれ第1および第2の基板支持部の例である。昇降駆動部70が昇降駆動部の例であり、シール部材38がシール部材の例であり、突出部41Aが突出部の例であり、上面31aが上面の例であり、下面31bが下面の例であり、平板部31が平板部の例である。
【0136】
内周面32aが内周面の例であり、底面32bが底面の例であり、収容管32が収容管の例であり、下部孔34aが下部孔の例であり、上部孔34bが上部孔の例であり、内部空間34cが内部空間の例であり、弾性部材46が押圧部材の例である。昇降駆動部70A,70Bがそれぞれ第1および第2の昇降駆動部の例であり、上部開口21が上部開口の例であり、光出射部10が光出射部の例であり、給気部50が給気部の例であり、排気部60が排気部の例である。
[5]参考形態
(1)本参考形態に係る基板処理装置は、基板に処理を行う基板処理装置であって、基板を収容可能な処理空間を形成するとともに下部開口を有する処理室と、貫通孔が形成されるとともに処理室の下方に配置され、閉塞位置で下部開口を閉塞可能でかつ閉塞位置の下方の開放位置で下部開口を開放可能な閉塞部材と、貫通孔を通して上下方向に延びる外面を有しかつ閉塞部材が開放位置にあるときに閉塞部材よりも上方で基板の下面を支持可能な第1の上端部を有する第1の基板支持部と、閉塞位置と開放位置との間で閉塞部材を上下方向に移動させる昇降駆動部と、第1の基板支持部の外面を取り囲みかつ閉塞部材に接するように配置されたシール部材と、第1の基板支持部の外面から外方に突出しかつ外面を取り囲むように設けられ、閉塞部材が閉塞位置にあるときに、シール部材に密着することにより第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間を密封する突出部とを備える。
この基板処理装置においては、基板を収容可能な処理空間を形成する処理室の下方に閉塞部材が配置される。第1の基板支持部の外面が閉塞部材の貫通孔を通して上下方向に延びる。第1の基板支持部の外面を取り囲みかつ閉塞部材に接するようにシール部材が配置される。第1の基板支持部の外面から外方に突出しかつ外面を取り囲むように突出部が設けられる。昇降駆動部により、閉塞部材が閉塞位置とその下方の開放位置との間で上下方向に移動される。
この構成によれば、閉塞部材が開放位置に移動されることにより、処理室の下部開口が開放される。この場合、基板処理装置の外部から第1の基板支持部の第1の上端部に基板を渡すとともに、第1の基板支持部の第1の上端部から基板処理装置の外部に基板を渡すことが可能になる。
一方、閉塞部材が閉塞位置に移動されることにより、処理空間に基板を収容した処理室の下部開口が閉塞される。そのため、処理空間内で基板の処理を行うことが可能になる。また、突出部とシール部材とが密着することにより、第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間が密封される。これにより、閉塞部材が貫通孔を有する場合でも、処理室の気密性が低下することが防止される。その結果、処理室を高い気密性で密閉することができる。
(2)基板処理装置は、閉塞部材が閉塞位置にあるときに処理空間内で基板の下面を支持可能な第2の上端部を有し、閉塞部材に設けられる第2の基板支持部をさらに備え、第1および第2の基板支持部は、昇降駆動部が閉塞部材を開放位置から閉塞位置に上昇させることにより下部開口を閉塞したときに第1の基板支持部の第1の上端部で支持されていた基板が第2の基板支持部の第2の上端部で支持され、昇降駆動部が閉塞部材を閉塞位置から開放位置に下降させることにより下部開口を開放したときに第2の基板支持部の第2の上端部で支持されていた基板が第1の基板支持部の第1の上端部で支持されるように設けられてもよい。
この場合、閉塞部材が開放位置から閉塞位置に上昇されることにより、基板が第1の基板支持部から第2の基板支持部に渡され、第2の基板支持部により処理空間内で基板が支持される。そのため、簡単な制御で基板を処理空間に収容しつつ処理室を高い気密性で密閉することができる。また、閉塞部材が閉塞位置から開放位置に下降されることにより、基板が第2の基板支持部から第1の基板支持部に渡される。そのため、簡単な制御で基板を処理空間から取り出し、基板処理装置の外部に搬出することができる。
(3)第2の基板支持部の第2の上端部は、閉塞部材が開放位置にあるときに第1の基板支持部の第1の上端部よりも下方に位置し、閉塞部材が閉塞位置にあるときに第1の基板支持部の第1の上端部よりも上方に位置してもよい。この場合、簡単な構成で閉塞部材が開放位置から閉塞位置に上昇される際に、基板を第1の基板支持部から第2の基板支持部に渡すことができる。また、簡単な構成で閉塞部材が閉塞位置から開放位置に下降される際に、基板を第2の基板支持部から第1の基板支持部に渡すことができる。
(4)閉塞部材は、上面および下面を有する平板部と、平板部の下面から下方に延びる内周面および底面を有する収容管とを含み、貫通孔は、収容管の底面に形成されかつ第1の内径を有する下部孔と、平板部に形成されかつ第1の内径よりも大きい第2の内径を有する上部孔と、第1の内径よりも大きい第3の内径を有する収容管の内部空間とにより構成され、シール部材は、収容管の内部空間に収容されるように収容管の底面に配置され、突出部および第1の基板支持部の第1の上端部は、閉塞部材が閉塞位置にあるときに収容管の内部空間に収容されてもよい。
この場合、閉塞部材の全体が上下方向に厚くなることを防止しつつ、第1の基板支持部の第1の上端部を収容管の内部空間に収容することが可能である。そのため、閉塞部材が閉塞位置にあるときには、第1の基板支持部が閉塞部材から上下方向に突出しない。これにより、処理空間を小型化することができる。
(5)第1の基板支持部は、閉塞部材が閉塞位置にあるときに処理位置で基板を支持し、閉塞部材が開放位置にあるときに処理位置の下方の受け渡し位置で基板を支持するように上下方向に移動可能に構成されてもよい。この場合、第1の基板支持部により処理空間内で基板が支持された状態で、処理室を高い気密性で密閉することができる。
(6)昇降駆動部は、閉塞部材のストロークが第1の基板支持部のストロークよりも大きくなるように閉塞部材および第1の基板支持部を上下方向に移動させてもよい。この場合、閉塞部材が閉塞位置にありかつ第1の基板支持部が処理位置にあるときに、突出部とシール部材とを容易に密着させることができる。これにより、第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間を容易に密封することができる。
(7)基板処理装置は、昇降駆動部として、閉塞部材を上下方向に移動させる第1の昇降駆動部と、第1の基板支持部を上下方向に移動させる第2の昇降駆動部と備えてもよい。この場合でも、閉塞部材が閉塞位置にありかつ第1の基板支持部が処理位置にあるときに、突出部とシール部材とを容易に密着させることができる。これにより、第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間を容易に密封することができる。
(8)貫通孔は、第1の内径を有する下部孔と、第1の内径よりも大きい第2の内径を有する上部孔とを有し、シール部材は、下部孔と上部孔との段差面上に配置されてもよい。この場合、シール部材の少なくとも一部が貫通孔内に配置されるので、閉塞部材からのシール部材の上下方向の突出量が小さくなる。これにより、処理空間を小型化することができる。
(9)上部孔は、シール部材を収容するとともに、突出部の少なくとも一部を収容可能に構成されてもよい。この場合、シール部材が閉塞部材から上下方向に突出しない。これにより、処理空間をより小型化することができる。
(10)基板処理装置は、突出部による第1の基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間の密封時に第1の基板支持部を下方に押圧する押圧部材をさらに備えてもよい。この場合、閉塞部材の貫通孔がより強固に密封される。これにより、処理室の気密性をより向上させることができる。
(11)処理室は、上部開口をさらに有し、基板処理装置は、上部開口を塞ぐように処理室の上方に設けられかつ処理空間に露光光を出射可能な光出射部をさらに備えてもよい。この構成によれば、処理室が上部開口を有する場合でも、上部開口が光出射部により塞がれるので、処理室の気密性が低下することが防止される。そのため、密閉された処理室内の処理空間において、高い精度で基板に露光処理を行うことができる。
(12)基板処理装置は、処理空間に不活性ガスを供給する給気部と、処理空間内の雰囲気を処理空間の外部へ排出する排気部とをさらに備えてもよい。この場合、処理室が高い気密性で密閉されているので、処理空間内の雰囲気を高い効率で不活性ガスに置換することができる。また、処理空間内の酸素濃度が低減された環境下で基板に処理を行うことができる。
(13)シール部材は、Oリングまたはパッキンを含んでもよい。この場合、基板支持部と閉塞部材の貫通孔との間を容易に密封することができる。
【符号の説明】
【0137】
10…光出射部,10S…内部空間,11…ハウジング,12,22…下部開口,11a…底壁部,11b…周壁部,11c…天井部,13…透光板,13S…出射面,14…光源部,15…電源装置,20…処理室,20S…処理空間,21…上部開口,23…上端面,24…下端面,25…給気流路,26…排気流路,29…酸素濃度計,30…下蓋部材,31…平板部,31a…上面,31b…下面,32…収容管,32a…内周面,32b…底面,33…支持部材,33a,41b…上端部,34,43,45…貫通孔,34a…下部孔,34b…上部孔,34c…内部空間,38,39…シール部材,40…基板支持部,41…支持ピン,41A~41C…突出部,41a…外面,42,44…連結部材,46…弾性部材,50…給気部,51,61…配管,60…排気部,70,70A,70B…昇降駆動部,71…カム部材,71a…一端部,71b…他端部,72…エアシリンダ,72a…駆動軸,80…制御部,100…基板処理装置,200…基板処理システム,210…制御装置,220…搬送装置,230…熱処理装置,240…塗布装置,250…現像装置,LE…光源素子,pa1…開放位置,pa2…閉塞位置,pb1…受け渡し位置,pb2…処理位置,pc1…退避位置,pc2…突出位置,W…基板