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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20230614BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
E02F3/43 D
E02F9/22 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019173087
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050494
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】中野 寿身
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠介
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/086488(WO,A1)
【文献】特開昭59-048534(JP,A)
【文献】特開2018-080510(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104120745(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーム、アーム及びバケットを有する作業装置と、
前記作業装置を操作するための操作装置と、
前記バケットの爪先が所定の目標面に沿って移動するように前記作業装置を制御する掘削作業制御、及び、前記目標面に対する前記バケットの姿勢を保持しながら前記バケットが前記目標面に沿って移動するように前記作業装置を制御する均し作業制御を利用して前記作業装置を制御可能なコントローラとを備えた作業機械において、
前記コントローラは、
前記作業装置の姿勢データ、及び寸法データと前記目標面の位置データとに基づいて前記アームの先端から前記目標面までの距離であるアーム先端偏差を演算し、
演算した前記アーム先端偏差が所定の閾値dv1以下のとき、かつ、前記操作装置に対するバケット操作の入力が無いとき、かつ、前記操作装置に対するアーム操作の入力が有るときには、前記均し作業制御を実行し、
それ以外のときには、前記掘削作業制御を実行し、
前記所定の閾値dv1は、前記アームの先端から前記バケットの爪先までの距離である
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1の作業機械において、
前記コントローラは、
前記目標面に対して垂直な方向における前記バケットの寸法であって、前記目標面に対する前記バケットの姿勢の変化に応じて変化し得るバケット高さを前記均し作業制御の開始時点において演算し、
演算した前記バケット高さを前記アーム先端偏差から減じて得られるオフセット偏差と、前記作業装置の姿勢データ及び寸法データと、前記操作装置の操作量データとに基づいて前記均し作業制御における前記作業装置に関する目標速度を演算する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1の作業機械において、
前記均し作業制御時に保持される前記目標面に対する前記バケットの姿勢は、演算した前記アーム先端偏差が前記所定の閾値dv1以下のとき、かつ、前記操作装置に対するバケット操作の入力が無いときに、前記操作装置に対するアーム操作が入力されたときにおける前記バケットの姿勢である
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1の作業機械において、
前記コントローラによる前記均し作業制御の実行を許可する許可位置と前記均し作業制御の実行を禁止する禁止位置とのいずれかの位置に切り換えられるスイッチをさらに備え、
前記コントローラは、
前記スイッチが前記許可位置に切り換えられているとき、かつ、演算した前記アーム先端偏差が前記所定の閾値dv1以下のとき、かつ、前記操作装置に対するバケット操作の入力が無いとき、かつ、前記操作装置に対するアーム操作の入力が有るときには、前記均し作業制御を実行し、
それ以外のときには前記掘削作業制御を実行する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1の作業機械において、
前記コントローラは、前記アームに関する目標速度が所定の閾値va1より大きいか否かに基づいて、前記操作装置に対する前記アーム操作の入力の有無を判定する
ことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧ショベルなどの作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ブーム、アーム及びバケットを含むフロント作業装置を備えた油圧ショベル(作業機械)を用いて施工を行う際、設計図に規定された目標面(設計面)に沿ってバケットが移動するように、予め用意した目標面の三次元設計データを用いてオペレータ操作を補正してフロント作業装置を動作させ、半自動で掘削成形作業を行う制御システムが知られている。
【0003】
掘削成形作業には、(1)ブーム及びアームの各シリンダを、自動で協調動作させることによってバケット爪先を目標面に沿って移動させ、地形を削り取る「掘削作業」と、(2)バケット底面が目標面に対しておおよそ平行になる状態を保ちつつ、バケット底面を目標面に沿って移動させるように、バケット、ブーム及びアームの各シリンダを、自動で協調動作させ地形を成形する「均し作業」とが存在する。
【0004】
また、1回の掘削成形作業が完了した後には、目標面に沿ってバケットを移動させることなく、オペレータの操作に従って、次回の掘削成形作業の開始姿勢をとる「戻し作業」も存在する。
【0005】
例として、特許文献1をあげる。
【0006】
特許文献1に記載の作業機械(建設機械)では、バケットから目標面までの最短距離と、アーム操作と、バケット操作に基づいて、バケットの目標面に対する姿勢が一定となるように、アームとブームを自動で協調動作させ、バケット底面を目標面に沿って移動させる均し作業を行っている。
【0007】
具体的には、オペレータによってアーム操作が為された場合に、オペレータが均し作業を意図しているとみなして、バケットシリンダと、ブームシリンダと、アームシリンダとを自動で協調動作させ、バケット底面が目標面に対して平行な状態を自動的に保つバケット自動動作を行いつつ、バケットを目標面に沿って移動させ、均し作業を実行する。これによりオペレータはアーム操作のみによって簡単に均し作業を行うことが出来る。
【0008】
ただし、オペレータによってバケット操作が為されている場合、または、バケットから目標面までの最短距離が所定の閾値(D1)より大きい場合には、均し作業のためのバケット姿勢を自動保持するバケット自動動作は行わない。すなわち、オペレータが自らの操作でバケット姿勢を調整したい場合や、バケットを目標面から離して戻し作業を行う場合にはバケットが自動動作しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2017/086488号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の作業機械では、戻し作業完了時のバケットの姿勢によっては、その後の均し作業への移行に際して、作業効率あるいは操作性を損なう可能性がある。
【0011】
均し作業を行う場合、一般的にはバケットの姿勢は図12(a)に示すようにバケット底面が目標面に対して平行に近い姿勢となる。一方、戻し作業時にはバケットの姿勢にはあまり注意が払われない。そのため、戻し作業終了時には、例えば図12(b)に示すようにバケット回動軸とバケット爪先とを結ぶ線が目標面に対して垂直となる姿勢を取る場合がある。
【0012】
図12(b)のような姿勢で戻し作業を終えた場合、オペレータは図13(a)及び図13(b)に示すように、戻し作業後にバケット姿勢を調整し、バケット底面を目標面に対して平行に近づけてから均し作業に移る。この時、バケット姿勢が変わることで、バケットと目標面の最短距離の偏差として、d1thrが生じる。
【0013】
バケット自動動作が可能なバケットと目標面の最短距離の閾値D1をd1thrより小さくした場合(例えば、D1=0)、図13(b)の状態ではアーム操作を入力してもバケット自動動作は発動しない。そのため、均し作業に移る前にブーム下げ操作を行い、爪先を再度目標面に近づけることでバケットと目標面の最短距離をD1未満にする必要がある。つまり、バケット底面を目標面に平行にした後に行われる無駄なブーム下げ操作が作業効率を損なう。
【0014】
したがって、戻し作業後、均し作業に移る際の作業効率の低下を防ぐには、バケット自動動作が可能なバケットと目標面の最短距離の閾値D1をd1thrより大きく設定しておくことが考えられる。その場合、戻し作業後に図13(b)のようにバケット姿勢を調整しても、バケットと目標面の距離d1thrは閾値D1より小さいため、アーム操作を入力すればオペレータはそのまま均し作業に移ることが出来る。
【0015】
しかし、バケット自動動作が可能なバケットと目標面の最短距離の閾値D1を大きく設定すると、戻し作業中(例えばアームダンプ動作中)にバケットと目標面の最短距離が閾値D1未満になる可能性が高まる。アームダンプ動作中にバケットと目標面の最短距離が閾値D1未満になった場合、オペレータの意図に反してバケット自動動作が発動してしまいオペレータに違和感を与える可能性がある。
【0016】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、戻し作業から均し作業に移る際の作業効率と、戻し作業時の操作性とを共に損なうことなく、均し作業を行うことが出来る作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明は、ブーム、アーム及びバケットを有する作業装置と、前記作業装置を操作するための操作装置と、前記バケットの爪先が所定の目標面に沿って移動するように前記作業装置を制御する掘削作業制御、及び、前記目標面に対する前記バケットの姿勢を保持しながら前記バケットが前記目標面に沿って移動するように前記作業装置を制御する均し作業制御を利用して前記作業装置を制御可能なコントローラとを備えた作業機械において、前記コントローラは、前記作業装置の姿勢データ、及び寸法データと前記目標面の位置データとに基づいて前記アームの先端から前記目標面までの距離であるアーム先端偏差を演算し、演算した前記アーム先端偏差が所定の閾値dv1以下のとき、かつ、前記操作装置に対するバケット操作の入力が無いとき、かつ、前記操作装置に対するアーム操作の入力が有るときには、前記均し作業制御を実行し、それ以外のときには、前記掘削作業制御を実行し、前記所定の閾値dv1は、前記アームの先端から前記バケットの爪先までの距離であるものとする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、戻し作業から均し作業に移る際の作業効率と、戻し作業時の操作性とを共に損なうことなく、均し作業を行うことが出来る。なお、上記に記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1および第2の実施形態における作業機械を示す斜視図である。
図2図1に示す作業機械に搭載された油圧駆動装置を示す構成図である。
図3図1に示す作業機械に搭載された制御装置を示す構成図である。
図4図3に示す情報処理部の詳細構成を示すブロック図である。
図5図4に示す掘削作業目標速度演算部の詳細構成を示すブロック図である。
図6図4に示すオフセット偏差演算部の詳細構成を示すブロック図である。
図7図4に示す均し作業目標速度演算部の詳細構成を示すブロック図である。
図8図4に示す目標速度選択部の詳細構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第1の実施形態における制御の流れを示したフローチャートである。
図10】本発明の第2の実施形態における情報処理部の詳細構成を示すブロック図である。
図11】本発明の第2の実施形態における制御の流れを示したフローチャートである。
図12】作業機械の作業時の姿勢の例を示した図である。
図13】作業機械における戻し作業から均し作業への移行の際の様子を示した図である。
図14】本発明の第1の実施形態における戻し作業から均し作業への移行の際の様子を示した図である。
図15】作業機械の掘削作業時の動作の例を示した図である。
図16】作業機械の均し作業時の動作の例を示した図である。
図17】爪先偏差Dvt、アーム先端偏差Dva、バケット高さHbk及びオフセット偏差Dvoの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に関する実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る油圧ショベル(作業機械)を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る油圧ショベルは、車体本体である下部走行体9および上部旋回体10と、上部旋回体10の前方に揺動可能に取り付けられた多関節型の作業装置(フロント作業装置)15とを備えている。
【0021】
下部走行体9は、左右にクローラ式走行装置を有し、左右の走行油圧モータ3b、3a(左側3bのみ図示)により駆動される。
【0022】
上部旋回体10は、下部走行体9上に左右に旋回可能に搭載され、旋回油圧モータ4により旋回駆動される。上部旋回体10には、原動機としてのエンジン14と、エンジン14により駆動される油圧ポンプ装置2(第1油圧ポンプ2aと第2油圧ポンプ2b(図2参照))と、コントロールバルブ20と、油圧ショベルの各種制御を司るコントローラ500(図2,3等参照)が搭載されている。
【0023】
作業装置15は,揺動自在な複数のフロント部材であるブーム11,アーム12,バケット8を有する多関節構造を有する。ブーム11はブームシリンダ5の伸縮により上部旋回体10に対して揺動し,アーム12はアームシリンダ6の伸縮によりブーム11に対して揺動し,バケット8はバケットシリンダ7の伸縮によりアーム12に対して揺動する。
【0024】
コントローラ500において作業装置15の任意の点の位置を算出するために,油圧ショベルは,上部旋回体10とブーム11との連結部近傍に設けられ,ブーム11の水平面に対する角度(ブーム角度)を検出する第1姿勢センサ13aと,ブーム11とアーム12との連結部近傍に設けられ,アーム12の水平面に対する角度(アーム角度)を検出する第2姿勢センサ13bと,アーム12とバケット8とを連結するバケットリンク8aに設けられ,バケットリンク8aの水平面に対する角度(バケット角度)を検出する第3姿勢センサ13cと,水平面に対する上部旋回体10の傾斜角度(ロール角,ピッチ角)を検出する車体姿勢センサ13dとを備えている。なお,姿勢センサ13a-13dとしては例えばIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)が使用可能である。また,第1姿勢センサ13aから第3姿勢センサ13cは相対角度を検出するセンサであってもよい。
【0025】
これらの姿勢センサ13a~13dが検出した角度はそれぞれ、ブーム角度データ、アーム角度データ、バケット角度データ、車体角度データからなる姿勢データとして、後述するコントローラ500内の情報処理部100に入力されている。
【0026】
上部旋回体10には運転室が備えられている。運転室内には作業装置15(フロント部材11,12,8)、上部旋回体10及び下部走行体9を操作するための操作装置として、走行用右操作レバー装置1a,走行用左操作レバー装置1b,右操作レバー装置1c及び左操作レバー装置1d等が配置されている。走行用右操作レバー装置1aは右走行油圧モータ3aの動作指示を,走行用左操作レバー装置1bは左走行油圧モータ3bの動作指示を,右操作レバー装置1cはブームシリンダ5(ブーム11)とバケットシリンダ7(バケット8)の動作指示を,左操作レバー装置1dはアームシリンダ6(アーム12)と旋回油圧モータ4(上部旋回体10)の動作指示をするためのものである。本実施形態の操作装置1a-1dは電気レバーであり、オペレータにより入力される操作量に応じた操作信号(電気信号)を生成してコントローラ500に出力している。なお,操作装置1a-1dを油圧パイロット式とし,圧力センサで操作量を検出してコントローラ500に入力しても良い。
【0027】
コントロールバルブ20は、上述した旋回油圧モータ4,ブームシリンダ5,アームシリンダ6,バケットシリンダ7,及び左右の走行油圧モータ3b,3a等の油圧アクチュエータのそれぞれに油圧ポンプ装置2から供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御する複数の方向制御弁(例えば後述する図2の方向制御弁21,22,23)を含む弁装置である。コントロールバルブ20内の方向制御弁は,コントローラ500から出力される指令電流(制御弁駆動信号)に基づいて電磁比例弁(例えば後述する図2の電磁比例弁21a~23b)が生成する信号圧によって駆動され,油圧アクチュエータ3-7のそれぞれに供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御している。コントローラ500から出力される駆動信号は,操作レバー装置1a-1dから出力される操作信号(操作情報)を基に生成される。
【0028】
図2図1に示した油圧ショベルの油圧駆動装置の構成図である。なお、説明の簡略化のため、油圧アクチュエータとしてブームシリンダ5とアームシリンダ6、バケットシリンダ7のみを備えた構成として説明し、本発明の実施形態と直接的に関係しないドレン回路等の図示と説明は省略する。また、従来の油圧駆動装置と構成および動作が同様のロードチェック弁などの説明は省略する。
【0029】
図2の油圧駆動装置において、油圧ポンプ装置2は、第1油圧ポンプ2aと第2油圧ポンプ2bとを備えている。第1油圧ポンプ2aと第2油圧ポンプ2bは、エンジン14によって駆動され、それぞれ第1ポンプラインL1と第2ポンプラインL2に圧油を供給する。本実施形態では、第1油圧ポンプ2aおよび第2油圧ポンプ2bは固定容量型の油圧ポンプとして説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、可変容量型の油圧ポンプを用いて構成しても良い。
【0030】
コントロールバルブ20には、第1ポンプラインL1と第2ポンプラインL2からなる2系統のポンプラインが設けられている。第1ポンプラインL1には、ブームシリンダ5に供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御するブーム方向制御弁22と、バケットシリンダ7に供給される圧油の流れを制御するバケット方向制御弁21とが接続されている。これにより第1油圧ポンプ2aが吐出する圧油はブームシリンダ5とバケットシリンダ7に供給される。同様に、第2ポンプラインL2には、アームシリンダ6に供給される圧油の流れを制御するアーム方向制御弁23が接続されており、第2油圧ポンプ2bが吐出する圧油はアームシリンダ6に供給される。なお、ブーム方向制御弁22とバケット方向制御弁21はパラレル回路L1aによって、分流可能に構成されている
【0031】
また、第1ポンプラインL1と第2ポンプラインL2とには、それぞれ個別にリリーフ弁26、27が接続されている。それぞれのポンプラインL1,L2の圧力があらかじめ設定されたリリーフ圧に達した場合、それぞれのリリーフ弁26、27が開口して圧油をタンクへ逃がす。
【0032】
ブーム方向制御弁22は、電磁比例弁22a、22bによって生成される信号圧によって動作する。同様に、アーム方向制御弁23は電磁比例弁23a、23bの信号圧によって、バケット方向制御弁21は電磁比例弁21a、21bの信号圧によって動作する。
【0033】
これらの電磁比例弁21a~23bは、パイロット油圧源29から供給されるパイロット圧油(一次圧)をメインコントローラ500から出力される指令電流(制御弁駆動信号)に基づいて減圧しており、そのようにして生成した信号圧を各方向制御弁21~23に出力する。
【0034】
右操作レバー装置1cは、操作レバーの操作量と操作方向に応じた電圧信号を、ブーム操作量データおよびバケット操作量データとしてメインコントローラ500に出力する。同様に、左操作レバー1dは、操作レバーの操作量と操作方向に応じた電圧信号を、アーム操作量データとしてメインコントローラ500に出力する。
【0035】
メインコントローラ500は、操作レバー装置1c、1dから入力される各フロント部材11,12,8への操作量データと、均し作業制御設定スイッチ(均し作業制御設定装置)17から入力される設定データと、目標面設定装置18から入力される目標面の位置データ(目標面データ)と、角度検出器13a~13dから入力される油圧ショベルの姿勢データと、油圧ショベルの寸法に関するデータであって車体情報記憶装置19から入力される寸法データとに基づいて、各電磁比例弁21a~23bを制御する指令信号(指令電流)を演算し、演算した指令信号を各電磁比例弁21a~23bに出力する。
【0036】
(均し作業制御設定スイッチ17)
均し作業制御設定スイッチ17は油圧ショベルの運転室内に設置されており、オペレータ操作によって許可位置と禁止位置のいずれか一方の切り換え位置に変更される。均し作業制御設定スイッチ17が、メインコントローラ500による均し作業制御の実行を許可する許可位置に切り換えられている場合には、均し作業制御設定スイッチ17は設定データとして「真」を出力する。反対に、メインコントローラ500による均し作業制御の実行を禁止する禁止位置に切り換えられている場合には、均し作業制御設定スイッチ17は設定データとして「偽」を出力する。なお、本実施形態では、均し作業制御設定スイッチ17の切替位置によって設定データの内容を決定するが、コントローラ500内の他の演算によって設定データの内容を定めても良く、例えば、前記姿勢データに基づいて、目標面に対するバケット8の角度を演算し、その値が所定の範囲に収まる場合は設定データを真とし、収まらない場合は偽とするように構成しても良い。
【0037】
(目標面設定装置18)
目標面設定装置18は、作業対象となる目標面の設定や、設定された目標面の位置データ(目標面データ)の記憶に利用される装置であり、目標面データをメインコントローラ500に出力する。目標面データは目標面の3次元形状を規定するデータであり、本実施形態では目標面の位置情報や角度情報が含まれている。本実施形態においては、目標面の位置は上部旋回体10(油圧ショベル)との相対距離情報(すなわち油圧ショベル1に対する目標面の位置データ)、目標面の角度は重力方向に対する相対角度情報として定義されているものとするが、位置を地球上での位置座標、角度を車体との相対角度などとし、適当な変換を行ったデータを利用しても良い。
【0038】
なお、目標面設定装置18は、予め設定した目標面データの記憶機能を具備していれば良く、例えば半導体メモリ等の記憶装置にも代替可能である。そのため目標面データを例えばコントローラ500内の記憶装置や油圧ショベルに搭載された記憶装置に記憶した場合には省略可能である。
【0039】
(車体情報記憶装置19)
車体情報記憶装置19は、予め計測された油圧ショベルを構成する各部(例えば、下部走行体9、上部旋回体10、フロント作業装置15を構成する各フロント部材11,12,8)の寸法データの記憶に利用される装置であり、寸法データをメインコントローラ500に出力する。
【0040】
(メインコントローラ500)
メインコントローラ500は、油圧ショベルに関する各種制御を司るコントローラであるが、特に、バケット8の爪先が目標面に沿って移動するように各フロント部材11,12,8に関する目標速度(例えば、油圧シリンダ5,6,7の目標速度(目標アクチュエータ速度))を演算し、その目標速度に基づいて作業装置15を制御する掘削作業制御と、目標面に対するバケット8の姿勢(例えば目標面に対するバケット底面の角度がゼロに近い値)を保持しながらバケット8が目標面に沿って移動するように各フロント部材11,12,8に関する目標速度を演算し、その目標速度に基づいて作業装置15を制御する均し作業制御とを実行可能に構成されている点に特徴がある。
【0041】
図3図1に示す油圧ショベルに搭載されたメインコントローラ500の構成図である。メインコントローラ500は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)と,CPUによる処理を実行するための各種プログラムを格納するROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disc Drive)などの記憶装置と,CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるRAM(Random Access Memory)とを含むハードウェアを用いて構成されている。このように記憶装置に格納されたプログラムを実行することで,バケット8を目標面に沿って移動させる際の目標アクチュエータ速度を演算する情報処理部100と、演算した目標アクチュエータ速度に応じてコントロールバルブ20の駆動信号を生成する制御弁駆動部200として機能する。次に情報処理部100の詳細について説明する。
【0042】
(情報処理部100)
情報処理部100は、操作レバー装置1c,1dからの操作量データと、姿勢センサ13a―13dからの姿勢データと、均し作業制御設定スイッチ17からの設定データと、目標面設定装置18からの目標面データと、車体情報記憶装置19からの寸法データとに基づいて、各油圧シリンダ5,6,7の目標アクチュエータ速度を演算し、それらを制御弁駆動部200に出力する。制御弁駆動部200は、目標アクチュエータ速度に応じて、制御弁駆動信号を生成し、コントロールバルブ20を駆動する。
【0043】
情報処理部100の詳細について、図4を用いて説明する。情報処理部100は、爪先偏差演算部110と、掘削作業目標速度演算部120と、アーム先端偏差演算部140と、バケットモード判断部150と、オフセット偏差演算部160と、均し作業目標速度演算部170と、目標速度選択部180として機能する。情報処理部100は、目標速度選択部180で演算した目標アクチュエータ速度を制御弁駆動部200に出力する。以下、爪先偏差演算部110と、アーム先端偏差演算部140とについては演算内容を把握し易いため概要を述べるにとどめ、掘削作業目標速度演算部120と、バケットモード判断部150と、オフセット偏差演算部160と、均し作業目標速度演算部170と、目標速度選択部180とについては詳細を述べる。
【0044】
(爪先偏差演算部110)
爪先偏差演算部110は、姿勢データ及び寸法データから演算するバケット8の爪先の位置と、目標面データとから、バケット8の爪先と目標面との距離(爪先偏差Dvt)を演算し、その演算結果を爪先偏差データとして出力する。
【0045】
ここでは油圧ショベルに設定した座標系(車体座標系)として、油圧ショベル(上部旋回体10)の旋回中心軸において下部走行体9が地面と接する点を原点とし、車体の前後方向にX軸、車体の幅方向にY軸、車体の上下方向にZ軸を設定した座標系(車体座標系)を利用する。この場合、寸法データとして、上部旋回体10の旋回中心とブームピンのX軸方向の長さLsb、ブームピンからアームピンまでの長さLbm、アームピンからバケットピンまでの長さLam、バケットピンからバケット爪先までの長さLbkを予め記憶しておく。この場合、爪先偏差Dvtは、各フロント部材11,12,8の姿勢データ及び寸法データLsb,Lbm,Lam,Lbkに基づいて車体座標系におけるバケット爪先の座標を算出し、その座標と車体座標系における目標面の位置データとに基づいて演算できる。
【0046】
(アーム先端偏差演算部140)
アーム先端偏差演算部140は、アーム12の先端ピン(バケットピン)について、爪先偏差演算部110と同様の演算を行う。つまり、姿勢データ及び寸法データから演算するアーム12の先端ピンの中心(本稿では「アーム先端」や「バケット回動中心」と称することがある)の位置と、目標面データとから、アーム先端と目標面との距離(アーム先端偏差)Dva(図17参照)を演算し、その演算結果をアーム先端偏差データとして出力する。アーム先端偏差Dvaは、例えば、各フロント部材11,12の姿勢データ及び寸法データLsb,Lbm,Lamに基づいて車体座標系におけるアーム先端の座標を算出し、その座標と、車体座標系における目標面の位置データとに基づいて演算できる。
【0047】
(掘削作業目標速度演算部120)
掘削作業目標速度演算部120は、操作量データ、姿勢データ及び寸法データと、爪先偏差データとから、掘削作業制御時の油圧シリンダ5,6,7の目標速度(目標アクチュエータ速度)である掘削作業目標速度を演算し、出力する。
【0048】
掘削作業目標速度演算部120の詳細について、図5を用いて説明する。掘削作業目標速度演算部120は、掘削作業目標爪先速度演算部121と、爪先速度演算部122と、減算部123と、角速度逆演算部124と、シリンダ速度逆演算部125として機能し得る。
【0049】
掘削作業目標爪先速度演算部121は、爪先偏差データに基づいて爪先偏差Dvtの大きさに比例した掘削作業目標爪先速度Vt(=-k×Dvt)を演算して出力する。掘削作業目標爪先速度Vtは、掘削作業時のバケット爪先に生じる速度ベクトルのうち目標面に垂直な成分の目標速度であり、爪先偏差が0に近づくほど(爪先が目標面に近づくほど)小さくなるように演算される。
【0050】
爪先速度演算部122は、操作量データのうちアーム操作量データ及びバケット操作量データと、姿勢データと、寸法データとから、オペレータ操作に従ってバケット8およびアーム12が動作した際の、爪先(バケット爪先)の目標面に垂直な方向の速度として、アームバケット合成爪先速度を幾何学的な計算により演算する。
【0051】
減算部123は、掘削作業目標爪先速度Vtから、アームバケット合成爪先速度を差し引くことにより、ブーム目標爪先速度を求める。ブーム目標爪先速度は、バケット8およびアーム12をオペレータ操作に従って動作させた際に、爪先を掘削作業目標爪先速度Vtで動作させるのに必要なブームによる爪先速度である。
【0052】
角速度逆演算部124は、減算部123で演算されたブーム目標爪先速度と、姿勢データと、寸法データとに基づいて、幾何学的な計算により、ブーム11の目標角速度であるブーム目標角速度を演算する。
【0053】
シリンダ速度逆演算部は、角速度逆演算部124で演算されたブーム目標角速度と、姿勢データと、寸法データとから、幾何学的な計算により、ブーム目標角速度(ブーム11の目標角速度)をブームシリンダ5の目標速度に変換した掘削作業ブーム目標シリンダ速度を演算する。
【0054】
また、掘削作業目標速度演算部120に入力されたアーム操作量データ及びバケット操作量データは、それぞれ、アームシリンダ6の目標速度である掘削作業アーム目標シリンダ速度と、バケットシリンダ7の目標速度である掘削作業バケット目標シリンダ速度とに変換され、シリンダ速度逆演算部125で演算された掘削作業ブーム目標シリンダ速度とともに掘削作業目標速度として目標速度選択部180に出力される。
【0055】
なお、本実施形態においては、掘削作業目標爪先速度演算部121にて、掘削作業目標爪先速度Vtを爪先偏差データに応じて変化させたが、爪先偏差Dvtの大きさによって異なる複数の比例係数を設定したり、異なる関数を用いたりしても良い。また、本実施形態では、バケット8とアーム12についてはオペレータの操作に従って動作させ、爪先を目標面に沿って動作させるための調整をブーム11によって行っているが、バケット8やアーム12の動作についても爪先偏差Dvtに応じて補正を行い、バケット8あるいはアーム12、もしくはその両方と、ブーム11によって爪先を目標面に沿って動作させるための調整を行う構成としても良い。
【0056】
(バケットモード判断部150)
図4に戻り、バケットモード判断部150は、アーム先端偏差演算部140の出力するアーム先端偏差データと、均し作業制御設定スイッチ17の出力する設定データと、操作レバー装置1c,1dの出力する操作量データとに基づいて、後述する設定条件の成立の真偽を判断し、その判断結果をバケットモードフラグとして出力する。ここでいう設定条件とは、オペレータが均し作業制御の実行を希望しているとメインコントローラ500が判断するための条件であり、設定データが真(設定スイッチ17が均し作業制御の実行を許可する許可位置にある)であり、かつアーム先端偏差Dvaが所定の閾値dv1(後述)以下であり、かつ操作量データから判断されるバケット操作量の大きさが所定の閾値op1(後述)より小さく、かつ同アーム操作量の大きさが所定の閾値op2(後述)より大きいことである。この設定条件の全てが「充足された場合」には、目標面に対するバケット8の姿勢を保持するバケット自動動作を有効にすると判断し、バケットモードフラグを「真」として出力する。前記の、設定データ、アーム先端偏差Dva、バケット操作量、アーム操作量に係る条件のいずれかが「満たされない場合」は、バケット自動動作を無効にすると判断し、バケットモードフラグを「偽」として出力する。
【0057】
アーム先端偏差Dvaに係る所定の閾値dv1としては、アームの先端(バケットの回動中心)からバケット爪先までの距離(寸法Lbk)が一例として考えられる。また、バケット操作量に係る所定の閾値op1としては、バケット操作の有無(バケットシリンダ7の動作の有無)を判定可能なゼロに近い値が考えられる。バケット操作量が閾値op1より小さければバケット操作は無しと判断される。同様に、アーム操作量に係る所定の閾値op2としては、アーム操作の有無(アームシリンダ6の動作の有無)を判定可能なゼロに近い値が考えられる。アーム操作量が閾値op2より大きければアーム操作は有りと判断される。
【0058】
(オフセット偏差演算部160)
オフセット偏差演算部160は、寸法データと、姿勢データと、アーム先端偏差データと、バケットモードフラグとに基づいて、オフセット偏差Dvo(図17参照)の演算を行い、その演算結果を出力する。
【0059】
オフセット偏差演算部160の詳細について、図6を用いて説明する。オフセット偏差演算部160は、バケット高さ演算部161と、減算部162として機能する。バケットモードフラグが偽である場合、バケット高さ演算部161は、姿勢データから求める目標面に対するバケットの角度(姿勢)と、寸法データに含まれるバケット寸法とから、目標面に対して垂直な方向におけるバケット8の寸法であって、目標面に対するバケット8の姿勢に応じて変化し得る寸法であるバケット高さHbk(図17参照)をリアルタイムに演算する。バケットモードフラグが真である場合は、バケット高さ演算部161は、バケットモードフラグが偽から真と変化した時点におけるバケット高さHbkを減算部162に出力し続ける。バケット高さHbkは、バケット8上で目標面に最も近い点とバケット回動中心との目標面に対して垂直な方向における距離である、と言い換えられる。バケット8が図17のような姿勢の場合、バケット高さHbkは図示の高さとなる。
【0060】
さらに、オフセット偏差演算部160は、減算部162において、アーム先端偏差Dvaからバケット高さHbkを減じて得られるオフセット偏差Dvo(図17参照)を演算する。均し作業制御中のオフセット偏差Dvoは、バケット自動動作により姿勢が正確に保持された場合におけるバケット8上で目標面に最も近い点と目標面の仮想的な距離を示す。
【0061】
バケットモードフラグが偽である場合、オフセット偏差Dvoは爪先偏差Dvtと一致する。しかし、バケットモードフラグが真である場合のオフセット偏差Dvoは、目標面に対するバケットの姿勢(例えば目標面に対するバケット底面の角度)を、バケットモードフラグが偽から真に変化した時点の姿勢で一定に保ち続けた場合のバケット8と目標面との仮想的な距離である。そのため、図17に示すように、バケットモードフラグが偽から真へ変化した時点より後に、制御誤差などによって目標面に対するバケット8の角度が変化した場合(例えば、図17において実線で示すバケット8から破線で示すバケットのような姿勢となった場合)には、一般的には爪先偏差Dvtとオフセット偏差Dvoは一致しない。
【0062】
(均し作業目標速度演算部170)
均し作業目標速度演算部170は、オフセット偏差データと、姿勢データと、寸法データと、操作量データとに基づいて、均し作業制御における作業装置15に関する目標速度(均し作業目標速度)を演算して出力する。
【0063】
均し作業目標速度演算部170について、図7を用いて詳細を説明する。均し作業目標速度演算部170は、目標アーム先端速度演算部171と、アーム先端速度演算部172と、減算部173と、角速度逆演算部174と、シリンダ速度逆演算部175と、角速度演算部176と、バケット目標角速度演算部177として機能する。
【0064】
目標アーム先端速度演算部171は、掘削作業目標爪先速度演算部121は、オフセット偏差演算部160から入力されたオフセット偏差データ(オフセット偏差Dvo)に基づいてオフセット偏差Dvoの大きさに比例した均し作業目標アーム先端速度Va(=-k×Dvo)を演算して出力する。均し作業目標アーム先端速度Vaは、均し作業時のアーム先端に生じる速度ベクトルのうち目標面に垂直な成分の目標速度であり、オフセット偏差Dvoが0に近づくほど小さくなるよう(ゼロに近づくように)に演算される。なお比例係数kは掘削作業目標爪先速度Vtの演算に利用した数値と異ならせても良い。
【0065】
アーム先端速度演算部172は、操作量データのうちアーム操作量と、姿勢データと、寸法データとに基づいて、オペレータ操作に従ってアーム12が動作した際の、アーム先端の目標面に垂直な方向の速度として、アームによるアーム先端速度を幾何学的な計算により演算する。
【0066】
減算部173は、均し作業目標アーム先端速度Vaから、アームによるアーム先端速度を差し引くことにより、ブームによる目標アーム先端速度を求める。ブームによる目標アーム先端速度は、アーム12をオペレータ操作に従って動作させた際に、ブームによりアーム先端を均し作業目標アーム先端速度Vaで動作させるのに必要な速度である。
【0067】
角速度逆演算部174は、ブームによる目標アーム先端速度と、姿勢データと、寸法データとに基づいて、掘削作業目標速度演算部120の角速度逆演算部124と同様の演算により、ブーム11の目標角速度であるブーム目標角速度を演算する。
【0068】
角速度演算部176は、操作量データのうちアーム操作量データと、姿勢データと、寸法データとに応じて、アーム12の角速度であるアーム角速度を幾何学的計算により演算する。
【0069】
バケット目標角速度演算部177は、角速度演算部176から入力されるアーム角速度をw1とし、角速度逆演算部174から入力されるブーム目標角速度をw2として、-(w1+w2)なる演算(両者を加算して符号を判定させる演算)により、バケット8の目標角速度であるバケット目標角速度Wを演算する。演算プロセスから明らかなように、バケット目標角速度Wは、アーム12とブーム11の動作による作業装置15の姿勢の変化を相殺し、バケット8の目標面に対する姿勢を一定に保つような角速度である。
【0070】
シリンダ速度逆演算部175は、バケット目標角速度演算部177が演算したバケット目標角速度と、角速度逆演算部174が演算したブーム目標角速度と、姿勢データと、寸法データとに基づいて、バケットシリンダ7の目標速度である均し作業バケット目標シリンダ速度と、ブームシリンダ5の目標速度である均し作業ブーム目標シリンダ速度とを幾何学的な計算により演算する。
【0071】
上記の結果、均し作業目標速度演算部170は、アーム操作量から演算したアームシリンダ6の目標速度である均し作業アーム目標シリンダ速度と、シリンダ速度逆演算部175で演算した均し作業バケット目標シリンダ速度と、同じくシリンダ速度逆演算部175で演算した均し作業ブーム目標シリンダ速度とを併せて、均し作業目標速度として出力する。
【0072】
なお、本実施形態においては、目標アーム先端速度演算部171が演算する均し作業目標アーム先端速度Vaはオフセット偏差Dvoに応じて変化すると説明したが、オフセット偏差Dvoの大きさによって異なる比例係数を設定したり、異なる関数を用いたりしても良い。また、本実施形態では、アーム12はオペレータの操作に従って動作させ、バケット8を目標面に沿って動作させるための調整をブーム11によって行っているが、アーム12の動作についてもアーム先端偏差Dvaの大きさに基づいて補正を行い、アーム12とブーム11によって爪先を目標面に沿って動作させる調整を行う構成を採用しても良い。
【0073】
また、本実施形態における均し作業においては、オペレータによるバケット操作は無いものと想定しているため、均し作業目標速度演算部170の演算においてバケット操作量は演算に用いていない。
【0074】
(目標速度選択部180)
再び図4に戻り、目標速度選択部180は、均し作業目標速度と、掘削作業目標速度と、バケットモードフラグとに基づいて、作業装置15に関する3つの油圧シリンダ5,6,7の目標速度である目標アクチュエータ速度を演算して制御弁駆動部200に出力する。
【0075】
目標速度選択部180の詳細について図8を用いて説明する。目標速度選択部180は切替部181として機能する。切替部181は、バケットモードフラグが偽(false)の場合は、入力される均し作業目標速度および掘削作業目標速度のうち、掘削作業目標速度を目標アクチュエータ速度として選択して出力する。反対にバケットモードフラグが真(true)の場合は、入力される均し作業目標速度および掘削作業目標速度のうち、均し作業目標速度を目標アクチュエータ速度として選択して出力する。
【0076】
目標速度選択部180から出力された目標アクチュエータ速度は、情報処理部100の出力となり、制御弁駆動部200を介して、制御弁駆動信号としてコントロールバルブ20を駆動し、各アクチュエータ5,6,7を目標アクチュエータ速度で動作させる。
【0077】
図9は、上述の演算の流れを示したメインコントローラ500が実行する処理のフローチャートである。以下では、図3-8に示したメインコントローラ500内の各部を主語として各処理(手順S1-S11)を説明する場合があるが、各処理を実行するハードウェアはメインコントローラ500である。
【0078】
情報処理部100は、エンジンが作動中で、操作レバーによるアクチュエータ操作の許可と禁止を切り換えるロックレバーが許可位置にあるときに処理を開始し、操作レバー1c、1dの操作が検出された場合に手順S3に移行する(手順S1、S2)。
【0079】
手順S3では、アーム先端偏差演算部140が、姿勢センサ13a、13b、13c、13dから得られる姿勢データと、車体情報記憶装置19から得られる寸法データと、目標面設定装置18から得られる目標面データとに基づいて、アーム先端と目標面との偏差情報であるアーム先端偏差Dvaを演算する。
【0080】
手順S4では、爪先偏差演算部110が、姿勢データと、寸法データと、目標面データとに基づいて、バケット爪先と目標面との偏差情報である爪先偏差Dvtを演算する。
【0081】
手順S5では、掘削作業目標速度演算部120が、姿勢データと、寸法データと、爪先偏差Dvtと、操作量データとに基づいて、掘削作業目標速度を演算する。 既述のとおり、掘削作業目標速度は、バケットの爪先を目標面に沿って動作させる掘削作業制御時の各油圧シリンダ5,6,7の目標速度(目標アクチュエータ速度)である。
【0082】
手順S6では、バケットモード判断部150は、均し作業制御設定スイッチ17から入力される設定データが真か(つまり、均し作業制御設定スイッチ17は均し作業制御の実行を許可する許可位置か)、アーム先端偏差Dvaが所定の閾値dv1以下か、操作量データのうちバケット操作量が所定の閾値op1より小さいか(換言すると、操作レバー1cに対するオペレータのバケット操作の入力が無いか)、操作量データのうちアーム操作量が所定の値op2より大きいか(換言すると、操作レバー1dに対するオペレータのアーム操作の入力が有るか)、について判定する。これら3つの条件のうち、いずれかが偽で有った場合、バケットモード判断部150は、実施されている作業が掘削作業であると判断して、バケットモードフラグとして偽(false)を出力して手順S9bに処理を進める。一方、これら3つの条件のすべてが真であった場合は、実施されている作業が均し作業であると判断して、バケットモードフラグとして真(true)を出力して手順S7aに処理を進める。
【0083】
次に、手順S6で、バケットモード判断部150の出力が真(true)であり、手順S7aに進んだ場合について述べる。
【0084】
手順S7aでは、オフセット偏差演算部160において、寸法データと、姿勢データと、アーム先端偏差Dvaとに基づいて、オフセット偏差Dvoを演算する。オフセット偏差Dvoは、手順S6でバケットモード判断部150が出力するバケットモードフラグが偽から真に変化した時点(すなわち、均し作業制御の開始時点)におけるバケット高さHbkをアーム先端偏差Dvaから減じて演算される距離である。均し作業制御が実行されている間における目標面に対するバケット底面の姿勢(角度)は、バケット目標角速度演算部177の演算処理により、バケットモードフラグが偽から真に変化した時点での姿勢(角度)に保持される。すなわち、均し作業制御時に保持される目標面に対するバケット8の姿勢は、均し作業制御設定スイッチ17が許可位置にあるとき、かつ、アーム先端偏差Dvaが閾値dv1以下のとき、かつ、操作レバー1cに対するバケット操作の入力がないとき、かつ、操作レバー1dに対するアーム操作の入力がされたときにおけるバケット8の姿勢である。このときのバケット8は、図12(a)に示すように、目標面に対するバケット底面の角度がゼロ(換言すると、目標面とバケット底面が平行)になる姿勢またはそれに近い姿勢に保持することが好ましい。
【0085】
手順S8aでは、均し作業目標速度演算部170において、寸法データと、姿勢データと、オフセット偏差Dvoと、操作量データとに基づいて、均し作業目標速度を演算する。既述の通り、均し作業目標速度は、目標面に対するバケット8の姿勢をバケットモードフラグが偽から真となった時点の姿勢に保持しながら、バケット8が目標面に沿って移動するように各フロント部材11,12,8に関する目標速度であり、本実施形態では油圧シリンダ5,6,7の目標速度である。
【0086】
手順S9aでは、目標速度選択部180は、手順S8aで演算された均し作業目標速度を目標アクチュエータ速度として選択し、手順S10に進む。
【0087】
続いて、手順S6で、バケットモード判断部150の出力が偽(false)であり、手順S9bに進んだ場合について述べる。
【0088】
手順S9bでは、目標速度選択部180は、手順S5で演算された掘削作業目標速度を目標アクチュエータ速度として選択し、手順S10に進む。
【0089】
手順S10では、情報処理部100は、手順S9a又は手順S9bで選択された目標アクチュエータ速度を制御弁駆動部200に出力する。
【0090】
そして、手順S11において、制御弁駆動部200は、各アクチュエータ5,6,7が目標アクチュエータ速度で動作するような制御弁駆動信号をコントロールバルブ20に対して出力する。この制御弁駆動信号によりコントロールバルブ20が駆動されて各アクチュエータ5,6,7が目標アクチュエータ速度で動作し、掘削作業制御または均し作業性が作業装置15によって行われる。
【0091】
このように構成された本実施形態によれば、戻し作業時の操作性と、戻し作業から均し作業に移る際の作業効率とを共に損なうことなく、オペレータの操作に応じて、バケット8の目標面に対する姿勢が一定となるように、アーム12とブーム11に対してバケット8を自動で協調動作させ、均し作業を行うことが出来る。
【0092】
バケットモードフラグが継続して真(true)の場合(つまり、均し作業制御が実行されている場合)に、アーム操作によりアーム先端が目標面に近づいてアーム先端偏差Dvaが減少すると、オフセット偏差Dvoがゼロに向かって減少して目標アーム先端速度演算部171が演算する均し作業目標アーム先端速度Vaもゼロに近づく。そして、アーム先端偏差Dvaがバケット高さHbk(バケットモードフラグが偽から真に変化した時点でのバケット高さであり一定の値である)に一致した時点でオフセット偏差Dvoがゼロになり、バケット8上で目標面に最も近い点が目標面上に位置した状態を保持してバケット8が目標面に沿って移動する。すなわちこの作業装置15の動作により、実際の地形を目標面に近づける均し作業が行われる。
【0093】
(作用・効果)
以下、本実施形態の作用及び効果を具体的に説明する。以下では、図14(a)に示すように、アーム先端偏差Dvaの閾値dv1が、アームの先端(バケットの回動中心)からバケット爪先までの寸法(Lbk)に設定されているものとする。
【0094】
上記のように構成された油圧ショベルに搭乗したオペレータは、均し作業制御の実行を希望する場合、所望のタイミングで均し作業制御設定スイッチ17を禁止位置から許可位置に切り換える。これにより均し作業制御設定スイッチ17は設定データとして「真」をメインコントローラ500に出力し続ける。次にオペレータは、アーム操作とブーム操作により戻し作業を行ってバケット8を均し作業の開始位置まで移動させ、例えば図14(a)に示すようにバケット8を目標面に接触させた状態で戻し作業を終了する。次に、オペレータは、この状態から均し作業に移行するために操作レバー1cにバケット操作(図14(a)の場合にはバケットクラウド操作)を入力することで図14(b)のようにバケットの底面を目標面に略平行にする。このときアーム先端偏差Dvaは閾値dv1以下である。その状態でバケット操作を入力することなくアーム操作を入力すると図9における手順S6の条件が全て充足され、バケットモード判断部150の出力するバケットモードフラグが偽から真に変化する。このタイミングで、バケット高さ演算部161はバケット高さHbkを一定値に固定し、目標速度選択部180が目標アクチュエータ速度として均し作業目標速度を選択して、均し作業制御が開始される。均し作業目標速度に含まれるブーム目標シリンダ速度は、目標面に対するバケット8の姿勢を一定に保持するバケット目標角度(バケット目標角速度演算部177で演算される)に基づいて演算されているため、均し作業制御中のバケット8の姿勢は一定に保持される。
【0095】
均し作業制御の実行中(バケットモードフラグが継続して真のとき)、オペレータのアーム操作によりアーム先端が目標面に近づいてアーム先端偏差Dvaは徐々に減少していく。既述の通り、このときのバケット高さHbkはバケットモードフラグが偽から真に変化したタイミングの値(一定値)に保持されているので、オフセット偏差Dvoはアーム先端偏差DVaの減少に伴いゼロに向かって減少し、目標アーム先端速度演算部171の演算する均し作業目標アーム先端速度Vaもアーム先端偏差DVaの減少とともにゼロに近づく。そして、アーム先端偏差Dvaがバケット高さHbk(一定の値)に一致した時点でオフセット偏差Dvoがゼロになり、バケット8上で目標面に最も近い点(例えばバケット底面)が目標面上に位置した状態を保持してバケット8が目標面に沿って移動する。すなわちこの作業装置15の動作により、実際の地形を目標面に近づける均し作業が自動的に行われる。
【0096】
ところで前述のとおり、特許文献1では「爪先と目標面の偏差(距離)」が所定の閾値D1以下であることがバケット自動動作(均し作業制御)を開始する条件の1つとなっている。そのため、オペレータが戻し作業を行った後にバケット姿勢を図13(b)のように調整した状態(目標面から爪先が離れた状態)からそのまま均し作業制御に遷移可能にするためには、閾値D1を図13のd1thrより大きくしておく必要がある。そのように閾値D1を設定した場合、閾値D1がゼロまたはそれに極めて近い場合と比較して、戻し作業時にバケット爪先と目標面の距離が閾値D1以下となり易くなるため、アーム操作により戻し作業を行っている間に均し作業制御が発動してバケット8が自動動作してしまう可能性が高くなる。
【0097】
そこで、本実施形態においては「アーム先端と目標面の偏差(距離)Dva」が閾値dv1以下であることをバケット自動動作の開始条件の1つとした。例えば図14(a)に示したバケット8の姿勢を基準にして閾値dv1をアームの先端(バケットの回動中心)からバケット爪先までの寸法(Lbk)に設定した場合には、図14(b)のようにバケット姿勢を調整した後にアーム操作を入力すれば手順S6の条件が全て充足されて、速やかに均し作業制御を発動できる。すなわち戻し作業から均し作業への移行をスムーズにできる。また、図13(c)と図14(c)を比較すると、閾値dv1の大きさは、h2bkとd1thrの和より小さいので、本実施形態の場合は、特許文献1と比較してバケット8が自動動作する範囲を狭めることが出来る。つまり、バケット8が自動動作する範囲が狭い為、オペレータの意図に反してバケット8が自動動作することを防止でき、操作性を改善できる。
【0098】
特許文献1においても、閾値D1を例えばd1thr(図13参照)よりも小さくすれば、バケット8が自動動作する範囲を狭めることは可能であるが、戻し作業後にバケット姿勢を調整した後に爪先を目標面に再度近づける動作が必要となり、作業効率を損なう。
【0099】
なお、バケットモードフラグが偽となる条件下においては、上記のような問題は生じない。また、図16に示すように、均し作業においては、バケットの目標面に対する姿勢を一定に保つことから、アーム先端は目標面からバケット高さHbkオフセットした平面(図16中の一点鎖線)に沿って動作すれば良い。一方、図15に示すように、バケット8の目標面に対する姿勢を一定に保たない掘削作業においては、アーム先端は図15の一点鎖線で示したような曲面を通る。このような場合、アーム先端について制御を行い、爪先を目標面にそって動作させるのは困難である。このため、本実施形態では、バケットモードフラグが偽であり、均し作業ではなく掘削作業を実施する意図がオペレータにあるとみなせる場合には、爪先偏差Dvtに応じて、爪先を目標面に沿わせるように動作させる。
【0100】
(第2実施形態)
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態は図9の手順S6の条件に関する「アーム12の動作が有ること」をアーム操作ではなくアームシリンダ6の目標速度(アーム目標シリンダ速度)から判断するものである。以下、本実施形態の構成について説明するが、第1の実施形態と共通する部分については適宜省略する。
【0101】
第2の実施形態に係る油圧ショベルが備える情報処理部100について図10を用いて説明する。
【0102】
図10のバケットモード判断部150は、設定データが真であり、かつアーム先端偏差Dvaが所定の閾値dv1以下であり、かつ操作量データから判断されるバケット操作量の大きさが所定の閾値op1より小さく、かつ目標速度選択部180から入力されるアーム目標シリンダ速度(目標アクチュエータ速度)の大きさが所定の閾値va1より大きい場合に、目標面に対するバケット8の姿勢を保持するバケット自動動作を有効にすると判断し、バケットモードフラグを「真」として出力する。前記の、設定データ、アーム先端偏差Dva、バケット操作量、アーム目標シリンダ速度に係る条件のいずれかが満たされない場合は、バケット自動動作を無効にすると判断し、バケットモードフラグを偽として出力する。なお、アーム目標シリンダ速度は、バケットモードフラグの真偽に応じて決定される値である。そこで、本実施形態では循環参照を避けるために、コントローラ500が過去に演算した値(例えば1制御周期前の値)を用いている。
【0103】
上記以外の部分は第1実施形態と同様である。
【0104】
図11を用いて、第2実施形態の制御の流れについて説明する。手順S1~S5までの流れは第1実施形態と共通である。本実施形態の手順S6では、第1実施形態のアーム操作が有るかどうかの判定条件に代えて、目標速度選択部180から出力されるアーム目標シリンダ速度の大きさが所定の閾値va1より大きいかどうかの判定を行う。以降の動作も第1実施形態と共通であるので説明を省略する。
【0105】
このように構成された本実施形態の油圧ショベルによれば、第1実施形態の効果に加えて、掘削作業目標速度演算部120および均し作業目標速度演算部170、あるいはその他の追加の演算ブロックにおいて、アームシリンダ6がストロークエンドに達したことに伴うシリンダ動作の停止や、その他の付加的な機能に伴ってオペレータの操作に反してアームシリンダ6が動作しない場合に、バケット自動動作(均し作業制御)が発動してオペレータに違和感を与えること防止できる。
【0106】
なお、上記ではアーム目標シリンダ速度(アームシリンダ6の目標速度)の大きさが閾値Va1より大きい場合に操作レバー1に対するアーム操作の入力があると判断したが、その他のアーム12に関する目標速度として、アーム12の目標角速度の大きさが所定の閾値より大きい場合にアーム操作の入力があると判断しても良い。
【0107】
(その他)
上記の油圧ショベルは均し作業制御設定スイッチ17を備え、図9及び図11の手順S6で判断される条件に「設定データが真であること」を含めたが、均し作業制御設定スイッチ17の設置は必須ではないため、この条件は省略可能である。
【0108】
なお、本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば、本発明は、上記の各実施の形態で説明した全ての構成を備えるものに限定されず、その構成の一部を削除したものも含まれる。また、ある実施の形態に係る構成の一部を、他の実施の形態に係る構成に追加又は置換することが可能である。
【0109】
また、上記のコントローラ500に係る各構成や当該各構成の機能及び実行処理等は、それらの一部又は全部をハードウェア(例えば各機能を実行するロジックを集積回路で設計する等)で実現しても良い。また、コントローラ500に係る構成は、演算処理装置(例えばCPU)によって読み出し・実行されることでコントローラ500の構成に係る各機能が実現されるプログラム(ソフトウェア)としてもよい。当該プログラムに係る情報は、例えば、半導体メモリ(フラッシュメモリ、SSD等)、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ等)及び記録媒体(磁気ディスク、光ディスク等)等に記憶することができる。
【0110】
また、上記の各実施の形態の説明では、制御線や情報線は、当該実施の形態の説明に必要であると解されるものを示したが、必ずしも製品に係る全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
【符号の説明】
【0111】
1…油圧ショベル,1a…走行用右操作レバー,1b…走行用左操作レバー,1c…右操作レバー,1d…左操作レバー,2…油圧ポンプ装置,2a…第1油圧ポンプ,2b…第2油圧ポンプ,3a…右走行油圧モータ,3b…左走行油圧モータ,4…旋回油圧モータ,5…ブームシリンダ(油圧アクチュエータ),6…アームシリンダ(油圧アクチュエータ),7…バケットシリンダ(油圧アクチュエータ),8…バケット(フロント部材),9…下部走行体(車体),10…上部旋回体(車体),11…ブーム(フロント部材),12…アーム(フロント部材),13a…第1姿勢センサ(姿勢センサ),13b…第2姿勢センサ(姿勢センサ),13c…第3姿勢センサ(姿勢センサ),13d…車体姿勢センサ(姿勢センサ),14…エンジン,15…作業装置,17…均し作業制御設定スイッチ,18…目標面設定装置,19…車体情報記憶装置,20…コントロールバルブ,21…バケット方向制御弁,21a…バケットクラウド電磁弁,21b…バケットダンプ電磁弁,22…ブーム方向制御弁,22a…ブーム上げ電磁弁,22b…ブーム下げ電磁弁,23…アーム方向制御弁,23a…アームクラウド電磁弁,23b…アームダンプ電磁弁,26…ポンプ1ラインリリーフ弁,27…ポンプ2ラインリリーフ弁,100…情報処理部,110…爪先偏差演算部,120…目標爪先速度演算部,121…掘削作業目標爪先速度演算部,122…爪先速度演算部,123…減算部,124…角速度逆演算部,125…シリンダ速度逆演算部,140…アーム先端偏差演算部,150…バケットモード判断部,160…オフセット偏差演算部,161…バケット高さ演算部,162…減算部,170…均し作業目標速度演算部,171…目標アーム先端速度演算部,172…アーム先端速度演算部,173…減算部,174…角速度逆演算部,175…シリンダ速度逆演算部,176…角速度演算部,177…バケット目標角速度演算部,180…目標速度選択部,181…切替部,500…メインコントローラ
図1
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