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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】把手
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
F25D23/02 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019173430
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050849
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】菊野 真二
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-055076(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第02859814(EP,A1)
【文献】特表2009-507205(JP,A)
【文献】実開昭63-046781(JP,U)
【文献】実開昭56-054779(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
E05B 1/00,1/04
A47B 95/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉(3)の前面に固定される裏部材(11)と、裏部材(11)に外嵌装着される表部材(12)とを備える把手であって、
前記裏部材(11)は、所定の隙間を介して前記扉(3)の前面に臨む背面壁(14)と、背面壁(14)の幅方向の両縁から前方へ突出する一対の裏側壁(16)とを備えており、
前記表部材(12)は、前記裏部材(11)の前記背面壁(14)と前後に対向する正面壁(27)と、正面壁(27)の幅方向の両縁から後方へ突出して前記裏側壁(16)の外面に密接する一対の表側壁(28)とを備えており、
前記表部材(12)の各前記表側壁(28)の後端面が、表側壁(28)の内面に連続する内傾斜面(44)と、表側壁(28)の外面に連続する外傾斜面(45)とで外突湾曲状に形成されており、
前記裏部材(11)の各前記裏側壁(16)の外面に、前記背面壁(14)の長辺に沿う突条(47)が突設されており、
前記突条(47)は、その突端(48)の前側に形成されて前記裏側壁(16)の外面に連続する前傾斜面(49)と、該突端(48)の後側に形成されて前記背面壁(14)の外面に面一状に連続する後傾斜面(50)とを備えており、
前記突条(47)の前記前傾斜面(49)が各前記表側壁(28)の前記内傾斜面(44)に正対するとともに、前記後傾斜面(50)が前記背面壁(14)の外面と前記外傾斜面(45)との間に位置して、握り操作されるグリップ部(101)の外面構成されており、
前記表部材(12)の前記正面壁(27)の内面に、規制リブ(53)が後向きに突設されており、
前記裏部材(11)の各前記裏側壁(16)の前端部に、前記規制リブ(53)の突端面に正対する受止壁(54)が形成されて、前記規制リブ(53)が該受止壁(54)で受け止められていることを特徴とする把手。
【請求項2】
前記突条(47)の前記突端(48)が丸められている請求項1に記載の把手
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却庫等の扉を開閉操作するための把手に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る把手の先行技術文献としては、例えば特許文献1を挙げることができる。特許文献1の把手は、扉の外面にビスで固定される裏部材(内側のハンドル部材)と、裏部材に対して着脱自在に外嵌装着される表部材(外側のハンドル部材)とを備える。表部材は、後方へ延びる左右一対の側壁を備えており、裏部材を三方から包み込んでいる。表部材の各側壁は、後端部が尖ったテーパー状に形成されており、その外面は裏部材の外面に略面一状に連続している。表部材と裏部材を組み合わせて得られるグリップ部の横断面は、ユーザーにとって握り心地の良い略楕円形状を呈する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-217780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表部材を裏部材に外嵌装着してなるこの種の把手においては、ユーザーがグリップ部を強く握ることにより、裏部材が表部材の内側へ沈み込むことがある。このように裏部材が沈み込むと、表部材の側壁の後端部が裏部材の外面よりも後方へ突出し、ユーザーの手に触れることにより、ユーザーが不快感を覚える場合がある。特許文献1の把手のように、側壁の後端部が尖っている場合は特に不快感を覚えやすい。当該後端部を丸めた表部材を採用すれば、この不快感は軽減されるが、今度は裏部材との接合部分に段差が生じ、グリップ部の握り心地や見栄えが低下するという別の不都合が生じてしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、グリップ部の握り心地と見栄えに優れた把手を提供することを目的とする。また本発明は、表部材に対する裏部材の沈み込みを防止し得る把手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る把手10は、扉3の前面に固定される裏部材11と、裏部材11に外嵌装着される表部材12とを備える。裏部材11は、所定の隙間を介して扉3の前面に臨む背面壁14と、背面壁14の幅方向の両縁から前方へ突出する一対の裏側壁16とを備える。表部材12は、裏部材11の背面壁14と前後に対向する正面壁27と、正面壁27の幅方向の両縁から後方へ突出して裏側壁16の外面に密接する一対の表側壁28とを備える。表部材12の各表側壁28の後端面が、表側壁28の内面に連続する内傾斜面44と、表側壁28の外面に連続する外傾斜面45とで外突湾曲状に形成されている。裏部材11の各裏側壁16の外面に、背面壁14の長辺に沿う突条47が突設されている。突条47は、その突端48の前側に形成されて裏側壁16の外面に連続する前傾斜面49と、該突端48の後側に形成されて背面壁14の外面に面一状に連続する後傾斜面50とを備える。各突条47の前傾斜面49が各表側壁28の内傾斜面44に正対するとともに、後傾斜面50が背面壁14の外面と外傾斜面45との間に位置して、握り操作されるグリップ部101の外面を構成することを特徴とする。
【0007】
表部材12の正面壁27の内面に、規制リブ53が後向きに突設されており、裏部材11の各裏側壁16の前端部に、規制リブ53の突端面に正対する受止壁54が形成されて、規制リブ53が受止壁54で受け止められている。
【0008】
突条47の突端48が丸められている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る把手10は、扉3の前面に固定される裏部材11と、裏部材11に外嵌装着される表部材12とを備える。表部材12は、裏部材11の背面壁14と前後に対向する正面壁27と、正面壁27の幅方向の両縁から後方へ突出する一対の表側壁28とを備えており、各表側壁28の後端面は内傾斜面44と外傾斜面45で外突湾曲状に形成されている。表側壁28に密接する裏部材11の各裏側壁16の外面には、前傾斜面49と後傾斜面50を備える突条47が突設されている。そして、各突条47の前傾斜面49が各表側壁28の内傾斜面44に正対するとともに、後傾斜面50が背面壁14の外面と外傾斜面45との間に位置してグリップ部101の外面を構成する。以上の構成によれば、表側壁28の後端面を丸めることで形成される裏部材11と表部材12の間の段差を突条47で埋めて、両部材11・12の接合部分を略面一状にすることができるので、グリップ部101の握り心地と見栄えに優れた把手10を得ることができる。
【0010】
表部材12の正面壁27の内面に規制リブ53を後向きに突設するとともに、裏部材11の各裏側壁16の前端部に受止壁54を形成して、規制リブ53を受止壁54で受け止めることができる。これにより、ユーザーがグリップ部101を強く握った場合でも、裏部材11が表部材12の内側へ沈み込むのを規制することができる。
【0011】
突条47の突端48が丸められていると、ユーザーの手が該突端48に触れた場合の手触りを良くして、グリップ部101の握り心地をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る把手のグリップ部の構造を示す、図3におけるA-A線断面図である。
図2】同把手が扉に固定された冷却庫の正面図である。
図3】同把手の正面図である。
図4】同把手の扉に対する固定構造を示す縦断側面図である。
図5】同把手の分解斜視図である。
図6】同把手の分解側面図である。
図7図3におけるB-B線断面図である。
図8図3におけるC-C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例) 本発明を冷却庫の扉の把手に適用した実施例を図1ないし図8に示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2ないし図4において冷却庫1は、前面に開口を有する縦長直方体状の断熱箱体2と、該開口を揺動開閉する上下一対の扉3とを備える。扉3は、外板4および内板と、その間に充填される断熱材5などで構成されて、断熱箱体2と同様に断熱性を有しており、断熱箱体2と扉3で囲まれる保冷室が冷凍温度あるいは冷蔵温度に保冷される。
【0014】
各扉3の前面の隅部(具体的には、上側の扉3の左下隅部と、下側の扉3の左上隅部)には、正面視で角丸長方形状の凹部6が形成されており、該凹部6を上下に跨ぐように、扉3を開閉操作するための縦長の把手10が固定されている。凹部6は把手10よりも左右幅広に形成されている。この凹部6を設けることにより、把手10を前方へ大きく突出させなくても、把手10と扉3の間の前後隙間が十分に確保されて、ユーザーが把手10を握りやすくなる。
【0015】
図4ないし図6において把手10は、扉3の前面に固定される裏部材11と、裏部材11を三方から包み込むように外嵌装着される表部材12とで構成されて、側面視で縦長C字状に形成されている。裏部材11は、所定の隙間を介して扉3の前面に臨む背面壁14と、背面壁14の上下縁に連続する上下一対の締結壁15と、背面壁14および締結壁15の左右縁に連続する左右一対の裏側壁16と、背面壁14および裏側壁16に囲まれる一群の補強壁17とを一体に備えるプラスチック成形品である。各裏側壁16は縦長C字板状に形成されて、背面壁14および締結壁15の左右縁から前方へ突出している。一群の補強壁17は、正面視でジグザグのトラス状に配置されて、背面壁14および左右の裏側壁16の内面どうしを繋いでおり、これにより背面壁14と裏側壁16の変形に対する強度が高められている。
【0016】
裏部材11の各締結壁15の中央には、ビス19用の挿通孔20が形成されている。扉3の外板4にも同目的の挿通孔21が形成されており、その内側ではナット22が断熱材5に埋設されている。ビス19が各締結壁15の前面側から両挿通孔20・21を介してナット22にねじ込まれて、各締結壁15が扉3に締結されており、これにより裏部材11が扉3に固定されている。また、各締結壁15における外板4との対向面には、挿通孔20を囲む水抜き溝23と、該対向面から突出する2個の断面円形のピン24とが形成されており、外板4における各挿通孔21の周囲には、ピン24を隙間無く受け入れる2個のピン穴25が形成されている。
【0017】
水抜き溝23は、把手10に水がかかって扉3との間に浸入した場合に、水がビス19まで到達すること、ひいては、水が外板4の挿通孔21を介して断熱材5の内部へ浸入することを防止する。ピン24とピン穴25の組は、把手10に対して扉3の前面に沿う方向の外力が作用した場合に、該外力の一部を受け止めることにより、ビス19に対してせん断方向の大きな外力が作用することを防止して、ビス19の破損ひいては把手10の脱落を防止する。なお、ピン24とピン穴25の個数は任意に選択し得る。
【0018】
図5および図6において表部材12は、裏部材11の背面壁14と前後に対向する正面壁27と、正面壁27の左右縁に連続する左右一対の表側壁28とを一体に備えるプラスチック成形品であって、裏部材11よりも一回り大きく形成されている。各表側壁28は縦長C字板状に形成されて、正面壁27の左右縁から後方へ突出している。各表側壁28の内面には、上下4個の係合突起30が内向きに突設されており、これと対になる上下4個の係合凹部31が、裏部材11の各裏側壁16の外面に凹設されている。これら係合突起30(30A~30H)と係合凹部31(31A~31H)の組が係合構造32(32A~32H)を構成する(図3参照)。正面壁27の内面の上下端部にも、それぞれ係合突起33が内向きに突設されており、これと対になる係合凹部34が、裏部材11の上側の締結壁15の上端面と、下側の締結壁15の下端面とに、それぞれ凹設されている。これら係合突起33(33A・33B)と係合凹部34(34A・34B)の組が係合構造35(35A・35B)を構成する(図3参照)。
【0019】
扉3に固定された裏部材11に対して、表部材12を前面側から被せて後方へ押し込むことにより、各係合突起30・33を係合凹部31・34に係合させて、表部材12を裏部材11に外嵌装着することができる。このとき、左右の係合突起30を係合凹部31へスムーズに案内するため、裏側壁16の前縁から各係合凹部31にかけて、同凹部31よりも十分に浅いガイド溝37が凹設されている。ガイド溝37は、前方すなわち裏側壁16の前縁へ向かって上下幅が徐々に拡がるテーパー状に形成されている。また、各係合突起30・33を係合凹部31・34へスムーズに落とし込んで確実に係合させるため、係合凹部31・34の前側の壁面は底面と垂直ではなく、開口縁の側が前方へやや傾斜した傾斜面になっている(図1図7図8参照)。表部材12を裏部材11に装着した状態では、表側壁28の内面と裏側壁16の外面とが互いに密接する。
【0020】
裏部材11と表部材12の左側の側壁16・28の係合構造32A~32Dは、右側の側壁16・28の係合構造32E~32Hに対して、半ピッチほど上方に位置をずらして配置されている。このように、左右の係合構造32A~32Hを正面視で千鳥状(図3参照)に配置すると、これらを左右対称に配置する場合に比べて、両側壁16・28の間の係合構造の個数を半減させて、表部材12の押し込みに要する力を軽減することができ、さらに表部材12の装着後は、側壁16・28どうしの係合状態を、その上下方向の全長にわたって良好に維持することができる。
【0021】
左右の係合構造32A~32Hのうち、左側の一番上の係合構造32Aが、裏部材11を固定する上側のビス19の最も近くに位置し、右側の一番下の係合構造32Hが、下側のビス19の最も近くに位置する。ビス19に近いこれらの係合構造32A・32Hは、他の係合構造32B~32Gに比べて高い係合強度に設定されている(その理由は後述する)。以下では、係合強度が相対的に高い係合構造32A・32Hのことを強係合構造といい、係合強度が相対的に低い係合構造32B~32Gのことを弱係合構造という。
【0022】
具体的には、図7に示す強係合構造32A・32Hの係合深さ(係合凹部31A・31Hの開口縁から係合突起30A・30Hの突端までの距離)D2が、図1に示す弱係合構造32B~32Gの係合深さ(係合凹部31B~31Gの開口縁から係合突起30B~30Gの突端までの距離)D1よりも大きく設定されている(D2>D1)。なお、弱係合構造32B~32Gの係合深さD1は全て同一とは限らず、例えば把手10の上下中央に近付くほど、係合深さD1が小さくなるように設定してもよい。
【0023】
表部材12の正面壁27の上端部の係合突起33Aと、裏部材11の上側の締結壁15の係合凹部34Aとで構成される上側の係合構造35Aは、上側のビス19の真上のやや右寄りに配置されている。これは、上側のビス19の左方に上述の強係合構造32Aが配置されているのに対し、右方には係合構造が配置されていないことに起因する。つまり、上側の係合構造35Aを右側に寄せて配置することで、上側のビス19の右方において、表部材12と裏部材11の連結強度の不足を防止することができる。正面壁27の下端部の係合突起33Bと、裏部材11の下側の締結壁15の係合凹部34Bとで構成される下側の係合構造35Bが、下側のビス19の真下のやや左寄りに配置されているのも、上述の強係合構造32Hの配置に起因する。
【0024】
これら上下の係合構造35A・35Bも、上述の強係合構造32A・32Hと同等の高い係合強度を有する(以下、係合構造35A・35Bのことも強係合構造という)。すなわち、図8に示す強係合構造35A・35Bの係合深さ(係合凹部34A・34Bの開口縁から係合突起33A・33Bの突端までの距離)D3は、図1に示す弱係合構造32B~32Gの係合深さD1よりも大きく設定されている(D3>D1)。以上のように本実施例では、把手10におけるビス19の近傍、すなわち扉3に対する固定部100に、係合深さD2・D3が相対的に大きい強係合構造32A・32H・35A・35Bが配置されており、該固定部100を除く把手10のグリップ部101には、係合深さD1が相対的に小さい弱係合構造32B~32Gが配置されている。
【0025】
把手10に大きな衝撃が加わった場合、グリップ部101では裏部材11と表部材12が同じ方向にしなるため、両部材11・12が互いに分離する方向に力が作用するおそれは小さい。一方、ビス19の周囲の固定部100では、裏部材11の締結壁15が扉3に確りと締結固定されているため、衝撃を受けた表部材12に対して、裏部材11から離れる向きの力が作用しやすい。換言すれば、グリップ部101に比べて表部材12が裏部材11から分離しやすい。この分離を防止するため、本実施例では把手10の固定部100に強係合構造32A・32H・35A・35Bを配置している。また、強係合構造32A・32H・35A・35Bを固定部100に限って配置することで(グリップ部101には弱係合構造32B~32Gを配置することで)、裏部材11に対して表部材12を押し込んで外嵌装着する際に、押し込みに要する力が過剰に大きくならないようにしている。
【0026】
図1に示すように、表部材12の各表側壁28の後端面は、表側壁28の内面に面一状に連続する内傾斜面44と、表側壁28の外面に面一状に連続する外傾斜面45とで外突湾曲状に形成されている。表部材12の横断面において外傾斜面45は内傾斜面44よりも十分に長く形成されている。一方、裏部材11の各裏側壁16の外面には、背面壁14の長辺に沿う左右一対の突条47が設けられている。各突条47は、裏側壁16の外面から左右方向外向きに突出しており、その横断面は頂角が丸められた略二等辺三角形状に形成されている。突条47の丸められた突端48の前後には、裏側壁16の外面に連続する前傾斜面49と、背面壁14の外面に面一状に連続する後傾斜面50とがそれぞれ形成されている。突条47の左右方向の突出寸法は、内傾斜面44の左右方向の幅寸法に略等しい。
【0027】
表部材12を裏部材11に装着した状態では、各突条47の前傾斜面49と各表側壁28の内傾斜面44とが互いに突き当たって正対するとともに、後傾斜面50が背面壁14の外面と外傾斜面45との間に位置して、ユーザーにより握り操作されるグリップ部101の外面を構成する。後傾斜面50と外傾斜面45の間が、裏部材11と表部材12の境界部となり、両面50・45はごく小さな略V字状の隙間(ノッチ)を介して略面一状に連続する。表部材12の正面壁27および表側壁28と、裏部材11の背面壁14および突条47とで構成されるグリップ部101の横断面は、前側の角よりも後側の角が大きく面取りされた角丸長方形状を呈する。本実施例に係る突条47によれば、表側壁28の後端面を丸めることで形成される裏部材11と表部材12の間の段差を該突条47で埋めて、両部材11・12の接合部分を略面一状にすることができるので、グリップ部101の握り心地と見栄えに優れた把手10を得ることができる。
【0028】
また、本実施例に係る把手10は、ユーザーがグリップ部101を強く握った場合でも、裏部材11が表部材12の内側へ沈み込むのを規制するための構造を備えている。当該構造は、表部材12の正面壁27の内面から後向きに突設された左右一対の縦長の規制リブ53と、裏部材11の各裏側壁16の前端部に形成されて、規制リブ53の突端面に正対する受止壁54とで構成される。一対の規制リブ53は、正面壁27の上下両端部を除く個所に平行に形成される。各規制リブ53が受止壁54に突き当たって受け止められることにより、表部材12に対する裏部材11の沈み込みが規制される。
【0029】
上記の実施例では、把手10の裏部材11に係合突起30を設け、これと対になる係合凹部31を表部材12に設けたが、これらの配置は逆であってもよく、各部材11・12に係合突起30と係合凹部31の両方を配置してもよい。本発明に係る把手は、縦向き以外に横向きや斜め向きに固定してもよい。本発明に係る把手の適用対象は、冷却庫の揺動扉に限られず、リーチインショーケースや自動製氷機などの揺動扉に加え、スライド扉や引き出し扉などに適用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
10 把手
11 裏部材
12 表部材
14 背面壁
16 裏側壁
27 正面壁
28 表側壁
44 内傾斜面
45 外傾斜面
47 突条
48 突端
49 前傾斜面
50 後傾斜面
53 規制リブ
54 受止壁
101 グリップ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8