(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】ドアの防水構造
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20230614BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/22 F
(21)【出願番号】P 2019174963
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 主記
(72)【発明者】
【氏名】瑞慶山 智恵
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-172872(JP,A)
【文献】特開2001-329762(JP,A)
【文献】特開平10-88938(JP,A)
【文献】実開昭59-28187(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E06B 7/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1扉体と第2扉体からなる両開きドア装置の召合せ部の防水構造であって、
前記第1扉体の戸先側には、高さ方向に延びる溝部を備えた召合せ部材が設けられ、
前記溝部には、開口部閉鎖時に前記第2扉体の戸先側部位が密着する召合せ用水密部材が設けられ、前記召合せ用水密部材は前記召合せ部材の下端を越えて下方に延びており、
前記第1扉体の下方部位には、当該第1扉体の下方部位の第1面部及び戸先側見込面で形成される角部を覆うように下方水密部材が設けてあり、
前記下方水密部材は、前記召合せ部材の下端よりも上方に位置する部分を有しており、
前記召合せ部用水密部材の下方部位は、前記召合せ部材の下端よりも上方において、前記下方水密部材の前記部分に密着している、
両開きドア装置の召合せ部の防水構造。
【請求項2】
前記第1扉体の前記戸先側見込面と前記溝部の一方の見込面は同一垂直面内に位置しており、
前記下方水密部材の前記部分は、前記溝部の一方の見込面に沿って延びている、
請求項1に記載の両開きドア装置の召合せ部の防水構造。
【請求項3】
前記下方水密部材は、前記召合せ部材の下端よりも上方に位置する部分である上側部位と、前記召合せ部材の下端よりも下方に位置する下側部位と、を備えており、
前記召合せ部用水密部材の下方部位は、前記下方水密部材の前記上側部位及び前記下側部位に密着している、
請求項1、2いずれか1項に記載のドア装置の召合せ部の防水構造。
【請求項4】
前記召合せ用水密部材の前面の第1扉体側の端部には高さ方向に延びる突部が一体形成されており、
前記突部の下方部位が、前記下方水密部材に密着している、
請求項1~3いずれか1項に記載のドア装置の召合せ部の防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアの防水構造に係り、特に、両開きドアの召合せ部の下部の防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
気密性や水密性が要求されるドア装置では、ドア枠に四周状に気密部材ないし水密部材を設け、開口部閉鎖時に扉体の室内側の四周の周縁が気密性部材ないし水密部材を押圧することで、気密性ないし水密性を確保するようにしている。開口閉鎖時に2枚の扉体の戸先側部位同士が召合せ部を形成する両開きドアに水密性能が要求される場合には、特に、召合せ部の下部において僅かな隙間が生じると、かかる隙間からの漏水をきっかけに建物内部へ浸水が発生するおそれがある。したがって、水密性能が要求される両開きドアにおいて、いかに召合せ部の下部の漏水を防止するかが重要である。
【0003】
本出願人は、召合せ部用水密部材の下方部位と、当該召合せ部用水密部材が設けられた第1扉体(開口部閉鎖時に当該召合せ部用水密部材に密着する第2扉体ではない)の下方部位との水密性に着目することで、召合せ部の下部の防水性能を向上させることを考えた(特許文献1)。
【0004】
特許文献1は、実施に十分耐え得る防水性能を備えたものであるが、改善点があった。具体的には、召合せ部用水密部材の下方部位は、召合せ部材の下端を越えて下方に延びているが、下方水密部材は、第1扉体の下方部位の召合せ部材の下端よりも下側の部分に装着されているため、例えば、下方水密部材の取り付け精度が悪いと、召合せ部材の下端において、漏水するおそれがあった。
【文献】特開2018-172872
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、両開きドアの召合せ部の下部の防水性能を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
第1扉体と第2扉体からなる両開きドア装置の召合せ部の防水構造であって、
前記第1扉体の戸先側には、高さ方向に延びる溝部を備えた召合せ部材が設けられ、
前記溝部には、開口部閉鎖時に前記第2扉体の戸先側部位が密着する召合せ用水密部材が設けられ、前記召合せ用水密部材は前記召合せ部材の下端を越えて下方に延びており、
前記第1扉体の下方部位には、当該第1扉体の下方部位の第1面部及び戸先側見込面で形成される角部を覆うように下方水密部材が設けてあり、
前記下方水密部材は、前記召合せ部材の下端よりも上方に位置する部分を有しており、
前記召合せ部用水密部材の下方部位は、前記召合せ部材の下端よりも上方において、前記下方水密部材の前記部分に密着している、
両開きドア装置の召合せ部の防水構造、である。
【0007】
1つの態様では、前記第1扉体の前記戸先側見込面と前記溝部の一方の見込面は同一垂直面内に位置しており、
前記下方水密部材の前記部分は、前記溝部の一方の見込面に沿って延びている。
【0008】
1つの態様では、前記下方水密部材は、前記召合せ部材の下端よりも上方に位置する部分である上側部位と、前記召合せ部材の下端よりも下方に位置する下側部位と、を備えており、
前記召合せ部用水密部材の下方部位は、前記下方水密部材の前記上側部位及び前記下側部位に密着している。
【0009】
1つの態様では、前記召合せ用水密部材の前面の第1扉体側の端部には高さ方向に延びる突部が一体形成されており、
前記突部の下方部位が、前記下方水密部材に密着している。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、第1扉体の下方部位に、当該第1扉体の下方部位の第1面部及び戸先側見込面で形成される角部を覆うように下方水密部材を設け、前記下方水密部材は、前記召合せ部材の下端よりも上方に位置する部分を有しており、前記召合せ部用水密部材の下方部位が、前記召合せ部材の下端よりも上方において、前記下方水密部材の前記部分に密着することによって、召合せ部用水密部材の下方部位と下方水密部材の接触面を、召合せ部材の下端位置を含むように大きい接触領域とすることができ、下方水密部材の取付精度等に依存することなく、安定した水密性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る両開きドア装置(全閉状態)を屋外側から見た正面図である。
【
図2】
図1において、召合わせ部の下方の部分拡大図であり、右側の扉体(第2扉体)を取り除いた状態を示している。
【
図3】本実施形態に係る両開きドア装置(全閉状態)の左側の扉体(第2扉体)における縦断面図である。
【
図4】(A)は本実施形態に係る両開きドア装置(全閉状態)の横断面図である(通常時の閉鎖姿勢を示し、水圧は作用しておらず、グレモン錠も未使用である。(B)は
図4(A)の状態からグレモン錠を締めた状態を示す部分横断面図である。(C)は
図4(B)の状態から水圧が作用した状態を示す部分横断面図である。
【
図5】
図4(A)の召合わせ部の部分拡大図である。
【
図6】第1扉体の下端部位の水密構造を示す図であり、(A)は
図4(A)のA-A断面図(第2扉体省略)、(B)は
図4(C)のB-B断面図(第2扉体省略)であり、
図6(A)の屋外側から屋内側に向けて扉体が押圧された状態を示し、(C)は
図4(A)のC-C断面図である。
【
図8】召合わせ部を示す部分拡大横断面図(第3水密部材省略)であり、右側の扉体(第2扉体)が開放姿勢にあり、第2水密部材に第2扉体が当接していない状態を示す。
【
図9】第1扉体の下方部位に取り付けられた第3水密部材(下方水密部材)を示し(第2水密部材は省略されている)、(A)は第1扉体の下方部位の側面図、(B)は第1扉体の下方部位の平面図、(C)は装着する前の状態の第3水密部材を示す図である。
【
図10】召合せ部の下方部位の水密構造を示す図であり、(A)は側面図、(B)は
図10(A)における面Bに沿った断面図、(C)は、
図10(A)における面Cに沿った断面図、(D)は、
図10(B)、(C)における面Dに沿った断面図である。
【
図11】第3水密部材が取り付けられた第1扉体の下方部位の斜視図であり、第2水密部材は省略されている。
【
図12】第3水密部材が取り付けられた第1扉体の下方部位の斜視図(第3水密部材の第2部分は省略)であり、第2水密部材も現わされている。
【
図13】他の実施形態に係る第2水密部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[A]防水構造を備えた両開きドア装置の全体構成
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るドア装置(全閉状態)を屋外側から見た正面図である。
図3、
図4(A)は、それぞれ、本実施形態に係るドア装置(全閉状態)の縦断面図、横断面図である。
図3において、左側が屋外側、右側が屋内側であり、
図4において、下側が屋外側、上側が屋内側である。本実施形態に係る防水構造は、屋外側で発生した水が屋内側へ浸水することを防止するように設計されている。本明細書において、「屋外側」、「屋内側」は、ある要素が実際に屋外側、屋内側に位置する場合を規定するのみならず、ある要素の部位や部分を規定することにも用いられ、例えば、実際に屋内側に位置する要素において屋外側に近い部位を規定することに用いられる。
【0013】
図1に示すように、ドア装置は、いわゆる両開きドアであり、建物開口部を形成するドア枠1と、当該建物開口部を開閉する第1扉体2及び第2扉体3と、からなる。ドア枠1は、水平状に延びる上枠10と、垂直状に延びる第1縦枠11と、垂直状に延びる第2縦枠12と、水平状に延びる下枠13と、から四周枠状に形成されている。第1扉体2の戸尻側部位が第1縦枠11に回動可能に装着されており、第2扉体3の戸尻側部位が第2縦枠12に回動可能に装着されており、開口部全閉状態において、第1扉体2の戸先側部位と第2扉体3の戸先側部位が召合せ部を形成する。第1扉体2、第2扉体3は、閉鎖姿勢から屋外側に向かって回動させることで建物開口部を開放するようになっている。通常時には、第1扉体2を閉鎖姿勢として建物開口部の一方の幅方向半部が閉鎖されており、建物開口部の他方の幅方向半部を第2扉体3の開閉によって開放・閉鎖するようにしており、第2扉体3が親扉ないし主扉、第1扉体2が子扉ないし副扉として機能する。また、必要に応じて、第1扉体2、第2扉体3の両方を開放して建物開口部全幅を開放するようになっている。
【0014】
第1扉体2は、縦長方形状の屋外側面部20と、縦長方形状の屋内側面部21と、上面部22と、戸尻側端面23と、戸先側端面24と、下端部25とを備えている。第1扉体2の屋外側面部20の戸尻側は、丁番26によってドア枠1の第1縦枠11に回動可能に取り付けられている。第1扉体2の屋内側面部21の上方にはドアクローザ(図示せず)が設けてある。第1扉体2の屋外側面部20及び屋内側面部21の下方部位には第1扉体2の押圧手段としてのグレモンハンドル27が設けてある。
【0015】
第2扉体3は、縦長方形状の屋外側面部30と、縦長方形状の屋内側面部31と、上面部32と、戸尻側端面33と、戸先側端面34と、下端部35とを備えている。第2扉体3の屋外側面部30の戸尻側は、丁番36によってドア枠1の第2縦枠12に回動可能に取り付けられている。第2扉体3の屋内側面部31の上方にはドアクローザ(図示せず)が設けてある。第2扉体3の屋外側面部30及び屋内側面部31の下方部位には第2扉体3の押圧手段としてのグレモンハンドル37が設けてある。第2扉体3の屋外側面部30及び屋内側面部31の戸先側には、第2扉体3の開閉操作に用いられるハンドル38が装着されている。
【0016】
第1扉体2、第2扉体3は、共に内部にフレーム構造(骨組)を備えており、第1扉体2及び第2扉体3の表面は、金属製板材(鋼板)を所定形状に折り曲げて形成した複数枚の金属製表面材を上記フレーム構造に貼り付けることで形成される。フレーム構造を備えた扉体は当業者に良く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0017】
図3、
図4(A)に示すように、ドア枠1には、屋外側に向かって開口する凹状の溝部G1、G2、G3、G4が四周状に形成されており、四周状の溝部G1~G4には、四周状の溝部全長に亘って弾性を備えた第1水密部材4が装着されている。
【0018】
図4、
図5等に示すように、第1扉体2の屋内側面部21の戸先側部位には、召合せ部材5が突設されている。召合せ部材5には、屋外側に向かって開口する凹状の溝部G5(
図9(B)、
図11参照)が高さ方向に亘って形成されており、溝部G5には高さ方向に亘って第2水密部材(召合せ用水密部材)6が装着されている。
【0019】
第1扉体2及び第2扉体3によって建物開口部を閉鎖した状態で、第1扉体2の屋内側面部21の上側部位、下側部位、戸尻側部位、第2扉体3の屋内側面部31の上側部位、下側部位、戸尻側部位が第1水密部材4に接触することで、建物開口部の四周に位置して四周状の密閉構造が形成される(
図3、
図4(A)参照)。また、第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位が第2水密部材6に接触することで、召合せ部における高さ方向の密閉構造が形成される。さらに、この閉鎖状態において、グレモンハンドル27、37によって、第1扉体2、第2扉体3を屋内側に引き寄せることによって、第1扉体2の屋内側面部21の上側部位、下側部位、戸尻側部位が第1水密部材4に圧接され、第2扉体3の屋内側面部31の上側部位、下側部位、戸尻側部位が第1水密部材4に圧接されて、建物開口部の四周に位置して四周状の水密構造が形成される。また、第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位が第2水密部材6に圧接されることで、召合せ部における高さ方向の水密構造が形成される。
【0020】
本実施形態では、丁番26、36としていわゆる二軸丁番を採用しており、閉鎖状態にある第1扉体2、第2扉体3を全体として、屋内側に向かって押し込む(水圧や押圧手段による押圧)ことが可能となっており、通常の閉鎖姿勢にある第1扉体2、第2扉体3を押し込んで、第1扉体2及び第2扉体3の屋内側面部21、31の周囲(戸先側部位を除く)を第1水密部材4に密着させ、第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位を第2水密部材6に密着させることで、より密閉した状態で第1扉体2、第2扉体3を閉鎖できるようになっている。
図4(B)は通常の閉鎖姿勢からグレモンハンドル27、37を締めて第1扉体2、第2扉体3を押圧した状態を示し、
図4(C)は
図4(B)の閉鎖状態において、さらに水圧が作用した状態を示している。また、
図6(B)(
図4(C)に対応している)は、
図6(A)の状態から水圧が作用した状態を示している。
【0021】
[B]第1扉体、第2扉体の周囲の水密構造
閉鎖姿勢にある第1扉体2及び第2扉体3とドア枠1との水密構造について説明する。ドア枠1の上枠10は、開口幅方向に延びる長尺要素であり、屋外側に向かって開口し、開口幅方向に水平に延びる凹状の溝部G1が形成されている。溝部G1には、第1水密部材(上枠側水密部材)4が装着されており、全閉姿勢にある第1扉体2(上面部22が上枠10の屋外側下面100に近接対向している)の屋内側面部21の上方部位、第2扉体3(上面部32が上枠10の屋外側下面100に近接対向している)の屋内側面部31の上方部位は第1水密部材(上枠側水密部材)4に密着するようになっている。
【0022】
ドア枠1の下枠13は、開口幅方向に延びる長尺要素であり、屋外側に向かって開口し、開口幅方向に水平に延びる凹状の溝部G4が形成されている。溝部G4には、第1水密部材(下枠側水密部材)4が装着されており、全閉姿勢にある第1扉体2(下端部25が下枠13の屋外側上面130に近接対向している)の屋内側面部21の下端部、第2扉体3(下端部35が下枠13の屋外側上面130に近接対向している)の屋内側面部31の下端部は第1水密部材(下枠側水密部材)4に密着するようになっている。
【0023】
ドア枠1の第1縦枠11は、開口高方向に延びる長尺要素であり、屋外側に向かって開口し、開口高方向に垂直に延びる凹状の溝部G2が形成されている。溝部G2には、第1水密部材(縦枠側水密部材)4が装着されており、全閉姿勢にある第1扉体2の屋内側面部21の戸尻側端部は第1水密部材(縦枠側水密部材)4に密着するようになっている。
【0024】
ドア枠1の第2縦枠12は、開口高方向に延びる長尺要素であり、屋外側に向かって開口し、開口高方向に垂直に延びる凹状の溝部G3が形成されている。溝部G3には、第1水密部材(縦枠側水密部材)4が装着されており、全閉姿勢にある第2扉体3の屋内側面部31の戸尻側端部は第1水密部材(縦枠側水密部材)4に密着するようになっている。
【0025】
第1水密部材4は、溝部G1~G4の長さに沿って延びる長尺部材であり、上枠10に形成された溝部G1、第1縦枠11に形成された溝部G2、第2縦枠12に形成された溝部G3、下枠13に形成された溝部G4内の全長に亘って四周状に装着されている。典型的な実施形態では、第1水密部材4は、ゴムから形成された水密ゴムである。なお、第1水密部材4は、複数の短尺要素を互いに密着させて形成してもよい。
【0026】
本実施形態では、
図6に示すように、第1水密部材4は、溝部G1~G4に挿入される基部40と、中空状で概ね円筒状の膨出部41と、基部40から膨出部41の中空部に突成された中実の台座42と、を備えている。基部40、膨出部41、台座42は溝部G1~G4の長さに沿って延びる長尺状要素である。
【0027】
第1扉体2、第2扉体3が閉鎖姿勢にある時に、第1扉体2及び第2扉体3に屋内側への押圧力が作用しない状態では、第1扉体2の屋内側面部21及び第2扉体3の屋内側面部31の上側部位、下側部位、戸尻側部位が第1水密部材4の膨出部41に接触する一方、膨出部41の内面と台座42とは離間している(
図3、
図4(A)、
図6(A)参照)。この状態から、閉鎖姿勢の第1扉体2及び第2扉体3に屋内側への押圧力が作用した時には、屋内側へ変位する第1扉体2、第2扉体3に押圧されて潰れるように変形した膨出部41の内面が台座42に当接し、台座42によって内側から支持された膨出部41の外面に屋内側面部21及び屋内側面部31の上側部位、下側部位、戸尻側部位が密着する(
図6(B)参照)。
【0028】
[C]第1扉体と第2扉体の召合せ部の水密構造
[C-1]召合せ部の構成
先ず、第1扉体2と第2扉体3の召合せ部の構成について詳細に説明する。第1扉体2の戸先側端面24の屋外側部位には段部が形成されている。より具体的には、
図5に示すように、第1扉体2の戸先側部位は、屋内側面部21の戸先側端縁から屋外側に向かって見込方向に延びる戸先側端面24と、戸先側端面24の屋外側端縁から戸尻側に向かって見付方向に延びる戸先側見付面240と、戸先側見付面240の戸尻側端縁から屋外側面部20に向かって見込方向に延びる屋外側見込面241とからなり、戸先側見付面240と屋外側見込面241で段部が形成されている。
【0029】
第2扉体3の戸先側端面34の屋外側部位には戸先側端面34から見付方向に突出する突片340が形成されている。突片340は第2扉体3の屋外側面部30の戸先側を、戸先側端面34を越えて突出させるようにして形成されている。第1扉体2及び第2扉体3の閉鎖姿勢において、第1扉体2の戸先側端面24と第2扉体3の戸先側端面34が対向しており、第2扉体3の突片340が第1扉体2の戸先側見付面240に対向し、突片340の先端が第1扉体2の屋外側見込面241に対向している。なお、第1扉体2の戸先側端面24は段部を有しないものでもよく、この場合、第2扉体3の突片は、第1扉体の屋外側面部20の戸先側部位に対向するように延びるものでもよく、この場合、突片は第2扉体3の屋外側面部30に対して屋外側に偏倚して第1扉体2の戸尻側へ向かって延びる。
【0030】
第1扉体2の屋内側面部21の戸先側部位には、高さ方向に亘って延びる召合せ部材5が設けてある。召合せ部材5は、例えば、枠体や中実の凸部から形成される。召合せ部材5は、屋内側面部21に当接して取り付けられる屋外側見付面50を有しており、召合せ部材5には、屋外側見付面50の戸先側に位置して、第1扉体2の戸先側端面24から見付方向(戸尻側端面23から離間する方向)に持ち出し状に形成され、かつ、屋外側に向かって開口する溝部G5が高さ方向に亘って設けられている。溝部G5は、第2水密部材6を取り付けるためのポケットである。本実施形態では、召合せ部材5は、第2水密部材6が取り付けられる溝部G5を提供し、また、第1扉体2の閉鎖姿勢の固定手段としてのフランス落とし(フランス落としのロッドを参照番号8で示す)が取り付けられる。
【0031】
図8に示すように、召合せ部材5は、屋外側見付面50と、屋外側見付面50の戸尻側端部から屋内側に向かって見込方向に延びる戸尻側の第1見込面51と、戸尻側の第1見込面51の屋内側端部から戸先側に向かって見付方向に延びる屋内側見付面52と、屋内側見付面52の戸先側端部から屋外側に向かって見込方向に延びる中間見込面53と、中間見込面53の屋外側端部から戸先側に向かって見付方向に延びる中間見付面54と、中間見付面54の戸先側端部から屋外側に向かって見込方向に延びる戸先側の第2見込面55と、屋外側見付面50の戸先側端部から屋内側に向かって延びる第1側面56と、第1側面56に離間対向する第2側面57と、第1側面56の屋内側端部と第2側面57の屋内側端部とを結ぶ底面58と、を備えている。召合せ部材5の形状は、図示のものに限定されない。例えば、召合せ部材5がフランス落としを有しない場合には、召合せ部材5を屋外側見付面50と溝部G5(第1側面56、第2側面57、底面58)からシンプルに形成してもよい。
【0032】
召合せ部材5において、第1側面56、第2側面57、底面58から溝部G5が形成されている。召合せ部材5の第1側面56と第1扉体2の戸先側端面24は同一垂直面上に位置しており、面一となっている。第1側面56と第2側面57との間の距離、すなわち、溝部G5の溝幅は、全閉姿勢時における第1扉体2の戸先側端面24と第2扉体3の戸先側端面34の間の距離よりも大きい。戸先側の第2見込面55と第2側面57から突片59が形成されており、突片59の先端は、閉鎖姿勢にある第2扉体3の屋内側面部31に対して離間対向している。また、平面視において、突片59の先端は、下枠13の屋内側上面131の屋外側先端に一致している。また、第2側面57の見込寸法は、第1側面56の見込寸法よりも小さく、突片59の先端は、屋外側見付面50が通る垂直面までは達していない。
【0033】
[C-2]第2水密部材(召合せ用水密部材)
溝部G5には、全高に亘って第2水密部材6が装着されている。
図7に示すように、第2水密部材6は、屋外側に面する前面部60、後面61、第1側面62、第2側面63から断面視略方形状に形成され、高さ方向に延びる長尺部材である。典型的な実施形態では、第2水密部材6は、ゴムから形成された水密ゴムである。
【0034】
図7に示すように、前面部60は、後面61に平行状に高さ方向に延びる面部600を有し、面部600の第1扉体2の戸先側から遠い側(第2側面63側)には屋外側に突出する第1突部601が高さ方向に亘って突成されており、面部600の第1扉体2の戸先側に近い側(第1側面62側)には屋外側に突出する第2突部602が高さ方向に亘って突成されている。すなわち、第2水密部材6の前面部60は、面部600と、面部600の左右両側の第1突部601、第2突部602と、から形成されている。第2水密部材6には、前面部60側に偏倚した位置に高さ方向に亘って中空部64が形成されている。
【0035】
第2水密部材6の上方部位は、召合せ部材5の上端500から上方に突出しており、第2水密部材6の上面65は、上枠10の屋内側下面101の屋外側部位に接触している(
図3参照)。
図6、
図12等に示すように、第2水密部材6の下方部位は、召合せ部材5の下端501から下方に突出しており、第2水密部材6の下面は、後面61側の水平面66と、水平面66の前方から屋外側に向かって斜め下方に傾斜する傾斜面67と、から形成されている。
図6(A)に示すように、第1扉体2が閉鎖姿勢にある時に、第2水密部材6の下端の水平面66は、下枠13の屋内側上面131の屋外側部位に接触しており、傾斜面67は下枠13の屋内側上面131よりも下方に位置して、第1水密部材(下枠側水密部材)4の膨出部41に接触している。
【0036】
第2水密部材6は、第1扉体2の召合せ部材5の溝部G5に装着された状態において、後面61が底面58に当接し、第1側面62が第1側面56に当接し、第2側面63が第2側面57に当接する。前面部60は、第1扉体2の屋内側面部21よりも僅かに屋外側に突出している。第2水密部材6の第1側面62は、第1扉体2の戸先側端面24と面一となっている。第2水密部材6の上方部位は、召合せ部材5の上端500よりも上方に延びており、第2水密部材6の下方部位は、召合せ部材5の下端501よりも下方に延びている。なお、第2水密部材6は、複数の要素から形成してもよく、例えば、高さ方向に分割された複数の要素を互いに密着させて形成してもよい。
【0037】
本実施形態では、第2水密部材6を召合せ部材5の溝部G5に装着した状態において、前面部60の面部600の位置(
図8に示す垂直面P)は、通常の閉鎖状態(屋外側から屋内側に圧力が作用していない状態)において第2扉体3の屋内側面部31が当接可能な位置にある。また、第2水密部材6の前面部60の面部600は、第1扉体2の屋内側面部21が通る垂直面よりも僅かに屋外側に位置している。第2水密部材6の前面部60と第2側面63で形成される角部に突成された第1突部601は、垂直面Pよりも屋外側に位置している。第2水密部材6の面部600と第1側面62で形成される角部に突成された第2突部602(第1側面62の突出部位)は、第1扉体2の屋内側面部21と戸先側端面24で形成される角部近傍で戸先側端面24に高さ方向に亘って接触している。
【0038】
第2水密部材6が召合せ部材5の溝部G5に装着された状態において、第2水密部材6は、溝部G5内(突片59の先端よりも屋内側)に位置する屋内側部位と、溝部G5の屋外側(突片59の先端よりも屋外側)に位置する屋外側部位と、からなる。本実施形態では、屋内側部位の見込寸法は、屋外側部位の見込寸法よりも大きい。中空部64は、屋外側部位に形成されている。なお、中空部64が形成される位置は図示の態様に限定されるものではなく、例えば、中空部64が屋外側部位と屋内側部位に跨って形成されていてもよい。
【0039】
図4、
図5に示すように、第1扉体2と第2扉体3が全閉姿勢にある時(開口部閉鎖時)には、第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位が、第2水密部材6の前面部60の第2側面63側の部分、すなわち、第1突部601に高さ方向に亘って密着し、高さ方向に亘って線状の密着部を形成する。
【0040】
上述のように、本実施形態において、前面部60の面部600の位置は、通常の閉鎖状態において第2扉体3の屋内側面部31が当接可能な位置にある。したがって、第2扉体3が全閉姿勢となる時には、先ず、屋内側面部31の戸先側部位が第1突部601に当接し、第1突部601を押し込むように回動して閉鎖姿勢となる。
【0041】
第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位が第2水密部材6の前面部60の第1突部601に密着した状態において、第2水密部材6の前面部60の第2側面63側の部分は弾性的に押し込まれており、第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位は、第1突部601に加えて面部600の第2側面側の部分にも密着する。このように、開口部閉鎖時に、閉鎖姿勢にある第1扉体2の戸先側に位置して設けた第2水密部材6に第2扉体3の屋内側面部の戸先側部位が線状の密着部を含んだ状態で密着することで、召合せ部の高さ方向に亘って水密構造を提供する。
【0042】
本実施形態において、第2水密部材6の前面部60の面部600は、通常の閉鎖時において、第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位が当接する位置にある垂直面Pに位置しており、第2水密部材6の前面部60と第2側面63で形成される角部に突成された第1突部601は、この面部600よりも屋外側に位置しており、仮に全閉姿勢時の第2扉体3の戸先側の上方部位が第2水密部材6の前面部60から離れるように僅かに傾いたとしても、第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位の上方部位と第2水密部材6の前面部60の第1突部601との密着状態が維持される。
【0043】
第2扉体3の戸先側部位によって第2水密部材6が押圧される時に、第2水密部材6には中空部64が形成されているので、水密部材を中実で形成する場合に比べて、より小さい力で圧縮変形させることができ、第2水密部材6を形成する材料を比較的硬い材料から形成したとしても、第2扉体3の閉鎖に支障を来すことがない。また、本実施形態では、第2水密部材6の中空部64は、溝部(ポケット)G5の屋外側に位置する屋外側部位に形成されているので、溝部(ポケット)G5内の復元力を低下させることなく、第2扉体3の閉鎖力の低減を図り、召合せ部の水密性能を維持することを可能としている。
【0044】
また、本実施形態では、第2水密部材6の第1側面62の屋外側に突成した第2突部602が、第1扉体2の戸先側端面24の屋内側部位に密着することで、第2水密部材6の前面部60と第1側面62で形成される角部と第1扉体2の屋内側面部21と戸先側端面24で形成される角部との間からの漏水を防止しており、仮に漏水が生じたとしても、高さ方向に延びる召合せ部材5の屋外側見付面50と第1扉体2の屋外側面部21が、防水処理が施された状態で密着しており、また、高さ方向に延びる溝部(ポケット)G5と第2水密部材6が密着しているため、屋内側への浸水は防止される。
【0045】
[C-3]召合せ部の下方の水密構造
召合せ部の下方の水密構造について説明する。先ず、本実施形態における、第1扉体2の下端部25(第2扉体3の下端部35)、召合せ部材5の下端501、下枠13の屋外側下面130、下枠13の屋内側上面131(屋外側下面130よりも高い位置にある)、溝部G4に装着された第1水密部材4(下枠側水密部材)の高さ位置について説明する。
【0046】
図3、
図6に示すように、第1扉体2の下端部25(第2扉体3の下端部35)は、下枠13の屋外側下面130よりも高く、かつ、屋内側上面131よりも低い位置にある。召合せ部材5の下端501は、下枠13の屋内側上面131よりも高い位置にある。第1水密部材4(下枠側水密部材)は、下枠13の屋外側下面130と屋内側上面131の間の高さに亘って位置している。第1扉体2の下端部25(第2扉体3の下端部35)は、第1水密部材4(下枠側水密部材)の中間高さに位置している。召合せ部材5の下端501は第1扉体2の下端部25までは達しておらず、第1扉体2の下端部位は召合せ部材5の下端501よりも下方に位置している。
【0047】
第2水密部材6は、高さ方向において、召合せ部材5の上端500(すなわち、溝部G5の上端)よりも上方に位置する上端部位、溝部G5内に装着された部位、召合せ部材5の下端501(すなわち、溝部G5の下端)よりも下方に位置する下端部位からなる。開口部閉鎖時において、召合せ部材5の下端501(すなわち、溝部G5の下端)は、下枠13の屋内側上面131の上方に離間して位置しており、第2水密部材6は召合せ部材5の下端501よりも下方に延びている。第2水密部材6の下方部位において、召合せ部材5の下端501(すなわち、溝部G5の下端)よりも下方に位置する部位(下端部位)は、溝部G5に支持されない部位であり、下端部位の第1側面62、第2側面63、後面61の周りには溝部G5はない。
【0048】
開口部閉鎖時には、第2水密部材6の下端の水平面66が下枠13の屋内側上面131の屋外側先端部位に当接し、第2水密部材6の下端の傾斜面67が第1水密部材4(下枠側水密部材)に当接している。第2水密部材6の下端部位に屋内側に向かって力が作用した場合には、第2水密部材6の下端の傾斜面67が第1水密部材4の接触を維持した状態で、第2水密部材6の下端部位及び第1水密部材4(下枠側水密部材)が潰れるように変形し、第2水密部材6の下端部位の傾斜面67と第1水密部材4(下枠側水密部材)の密着状態が維持されたままで、第1水密部材4(下枠側水密部材)及び下枠13が受けるようになっている。
【0049】
召合せ部材5の下端501は第1扉体2の下端部25までは達しておらず、第1扉体2の屋内側面部21、戸先側端面24は、召合せ部材5の下端501よりも下方に位置する下方面部21A、24Aを備えている(
図9(A)参照)。第2水密部材6を召合せ部材5の溝部G5に装着した状態において、第2水密部材6の前面部60と第1側面62で形成される角部に突成された第2突部602は、第1扉体2の屋内側面部21と戸先側端面24で形成される角部ないしその近傍部位(本実施形態では、戸先側端面24の屋内側部位)に高さ方向に亘って接触しており、第2水密部材6の第2突部602の下端部位は、第1扉体2の下方部位の下方面部21Aと下方面部24Aで形成される角部ないし角部近傍部位に接触することになる。本実施形態は、第2水密部材6と第3水密部材が協働することで、第2水密部材6の前面部60と第1側面62で形成される角部(第2突部602)の下方部位と、第1扉体2の屋内側面部21と戸先側端面24で形成される角部ないし角部近傍部位の下方部位と、の間からの漏水を防止するものである。
【0050】
図9~
図12等に示すように、本実施形態では、第1扉体2の下方部位には、第1扉体2の屋内側面部21の下方部位と戸先側端面24の下方部位で形成される角部を覆うように第3水密部材(下方水密部材)7が設けてある。
図9に示すように、第3水密部材7は、第1扉体2の下方部位に装着された状態において、召合せ部材5の下端501よりも下方に位置する下側部位7Aと、召合せ部材5の下端501よりも上方に位置する部分である上側部位7Bと、からなる。
【0051】
第3水密部材7の下側部位7Aは、第1扉体2の屋内側面部21の下方面部21Aと戸先側端面24の下方面部24Aで形成される角部を覆うように下方面部21Aと下方面部24Aに亘って設けられ、下側部位7Aは、下方面部24Aに装着(接着等)される第1部分70と下方面部21Aに装着(接着等)される第2部分71とから断面視L形状で装着されている。
【0052】
第3水密部材7の上側部位7Bは、下側部位7Aの第1部分70と一体形成されており、第1部分70の直上に位置して第1扉体2の戸先側端面24の下方部位に装着(接着等)される第3部分72と、第3部分72と一体形成されており、召合せ部材5の溝部G5の第1側面56に装着(接着等)される第4部分73からなる。第1扉体2の戸先側端面24と溝部G5の第1側面56は同一垂直面内に位置しており、下方水密部材7の上側部位7Bの第4部分73は、溝部G5の第1側面56に沿って延びている。
【0053】
1つの実施態様では、第3水密部材7は、水密性能に優れたゴム部材から形成される。1つの実施態様では、第3水密部材7は、第1水密部材4、第2水密部材6よりも軟らかく、大きい圧縮率を備えている。1つの好ましい実施例では、第3水密部材7はEPDMゴム発泡体を主成分としたエプトシーラー(登録商標)から形成される。
【0054】
図9(C)は、装着前の展開された第3水密部材7を示し、例えば、横長方形状の材料の一端の上側の角部を切り欠くと共に、切り欠き部の下方の角部から他端に向かってスリットを形成し、他端側部位の下側が第1部分70、上側が第3部分72となり、一端側の下側部位が第2部分71となり、上側部位におけるスリットが形成された部分が第4部分73となっている。第3水密部材7は、展開された第3水密部材7の下側部位7Aの第2部分71を残りの部分に対して直角に折り曲げた状態で、第1扉体2の屋内側面部21の下方部位と戸先側端面24の下方部位で形成される角部を覆うように第1扉体2の下方部位に装着される。下方水密部材7の上側部位7B(第3部分72、第4部分73)及び下側部位7Aの第1部分70は見込方向に延びており、下側部位7Aの第2部分71は見付方向に延びている。第3水密部材7の上側部位7Bの第4部分73の下端は、溝部G5の第1側面56の下端501に一致している。図示の態様では、第3水密部材7は、下側部位7Aの下端を第1扉体2の下端部25に一致させて取り付けられているが、第3水密部材7の下端は第1扉体2の下端部25まで達していなくてもよい。
【0055】
第3水密部材7の形状は、図示の態様に限定されない。本実施形態では、第3水密部材7の下側部位7Aは断面視L形状で装着されているが、例えば、第1部分70あるいは第2部分71のみで、第1扉体2の屋内側面部21と戸先側端面24の角部の下方部位を覆うようにしてもよい。
【0056】
図10は召合せ部の下方部位の水密構造(第2水密部材6の下方部位と第3水密部材7との関係)を示す図であり、(A)は側面図、(B)は
図10(A)における面Bに沿った断面図、(C)は、
図10(A)における面Cに沿った断面図、(D)は、
図10(B)、(C)における面Dに沿った断面図である。
【0057】
第3水密部材7(第1部分70、第2部分71、第3部分72、第4部分73)は、第1扉体2の屋内側面部21の下方部位と戸先側端面24で形成される角部の下方部位において、召合せ部材(溝部G5)5の下端501を含むように下端501の上下に跨って装着されており、第3水密部材7の第4部分73は、溝部G5の第1側面56の下方部位(下端501の上側)に装着されている。召合せ部材5の溝部G5に装着された第2水密部材6の第1側面62は、溝部G5の第1側面56に密着しており(
図8参照)、第2水密部材6の下方部位の上側の部分(下方部位であって、召合せ部材5の下端501の上側の部分)は、第3水密部材7の第4部分73(上側部位7B)を圧縮して潰すようにして溝部G5内に装着されている(
図10(B)、
図12参照)。
【0058】
第2水密部材6の前面部60と第1側面62の角部(第2突部602)の下方部位の上側の部分(下方部位であって、召合せ部材5の下端501の上側の部分)は、第3水密部材7の上側部位7B(第3部分72と第4部分73の境界部位)に密着している(
図10(B)参照)。第2水密部材6の前面部60と第1側面62の角部(第2突部602)の下方部位の下側の部分(下方部位であって、召合せ部材5の下端501の下側の部分)は、第3水密部材7の下側部位7A(第1部分70と第2部分71)の角部に密着している(
図10(C)参照)。
【0059】
本実施形態では、第3水密部材7は、第1水密部材4、第2水密部材6よりも軟らかく、大きい圧縮率を備えている。第1扉体2が閉鎖姿勢にある時に、第1扉体2の屋内側面部21の下方面部21Aに設けた第3水密部材7の第2部分71が第1水密部材4(下枠側水密部材)に密着するが、この時、第3水密部材7の第2部分71が圧縮して薄肉に潰れることで、第1水密部材4(下枠側水密部材)に対して隙間なく密着するようになっている。また、第1扉体2の下方部位に設けた第3水密部材7(第1部分70と第2部分71で形成される角部及び第3部分72と第4部分73の境界部位)を、圧縮させた状態で、第2水密部材6の下方部位の前面部60と第1側面62で形成される角部(第2突部602)に食い込むように密着している。
【0060】
本実施形態において、第2水密部材6の下方部位と、第1扉体2の下方部位に設けた第3水密部材7(第1部分70、第2部分71、第3部分72、第4部分73)の接触面は、召合せ部材5(溝部G5)の下端501を含む領域に亘っており、特に、召合せ部材5の溝部G5の第1側面56と屋外側見付面50の角部の下端点Qにおいて、第2水密部材6の下方部位と第1扉体2の戸先側端面24の下方部位の間に隙間が形成されることがなく(
図10(B)~(D)参照)、召合せ部材5の下端点Qあるいは下端点Q近傍からの浸水を防止する。したがって、第3水密部材7の取付精度に依存せずに、安定した水密性能が得られる。
【0061】
上述のように、本実施形態では、丁番26、36としていわゆる二軸丁番を採用しており、閉鎖状態にある第1扉体2、第2扉体3を全体として、屋内側に向かって押し込む(水圧や押圧手段による押圧)ことが可能となっており、開口部閉鎖姿勢として、通常の閉鎖姿勢である第1閉鎖姿勢と、第1閉鎖姿勢にある第1扉体2、第2扉体3を屋内側に押し込んだ第2閉鎖姿勢とを取り得る。第2閉鎖姿勢では、第1扉体2及び第2扉体3の屋内側面部21、31の周囲(戸先側部位を除く)が第1水密部材4に圧接され、第2扉体3の屋内側面部31の戸先側部位が第2水密部材6に圧接されることで、より密閉した状態で第1扉体2、第2扉体3を閉鎖できるようになっている。
【0062】
この時、第1扉体2の下方部位の角部(屋内側面部21と戸先側端面24で形成される)は、弾性的に圧縮された第3水密部材7を介して、第2水密部材6の下方部位に密着しており、かつ、第2水密部材6の下方部位と、第1扉体2の下方部位に設けた第3水密部材7の接触面は、召合せ部材5(溝部G5)の下端501を含む領域に亘っており、特に、召合せ部材5の溝部G5の第1側面56と屋外側見付面50の角部の下端点Qにおいて、第2水密部材6の下方部位と第1扉体2の戸先側端面24の下方部位の間に隙間が形成されることがなく、召合せ部材5の下端点Qあるいは下端点Q近傍からの浸水を防止する。したがって、第1扉体2の戸先側部位と第2扉体3の戸先側部位との間の隙間から浸入した水の水圧によって第2水密部材6の前面部60が屋内側へ押されること等によって、第2水密部材6の下方部位が変位したとしても、第1扉体2の下方部位の角部と第2水密部材6の下方部位との密着状態(第3水密部材7を介した)が維持され、第3水密部材7の取付精度に依存せずに、安定した水密性能が得られる。
【0063】
[D]付記
[D-1]他の実施形態に係る第2水密部材(召合せ用水密部材)
図13に、第2水密部材(召合せ用水密部材)の他の実施形態を示す。
図13に示すように、第2水密部材6´は、屋外側に面する前面部60´、後面61´、第1側面62´、第2側面63´から断面視略方形状に形成され、高さ方向に延びる長尺部材である。典型的な実施形態では、第2水密部材6は、ゴムから形成された水密ゴムである。前面部60´は、第1側面62´から第2側面63´に向かって、屋外側に突出するように平面視傾斜状に延びる面部600´を有し、傾斜状の面部600´と第2側面63´で形成される鋭角の角部が第1突部601´となっており、第1側面62´から屋外側に突出するように第2突部602´が突成されている。第2水密部材6´には、前面部60´側に偏倚した位置に高さ方向に亘って中空部64´が形成されている。第1突部601´、第2突部602´、中空部64´の機能は第1突部601、第2突部602、中空部64と同じであり、既述の説明において、第1突部601、第2突部602、中空部64を第1突部601´、第2突部602´、中空部64´に置き換えて説明することができる。
【0064】
[D-2]片開き戸への適用
本実施形態に係る第2水密部材6を用いた水密構造は、通常の片開き戸にも適用できる。
ドア装置の戸先側部位の防水構造であって、
開口部閉鎖時には、扉体の戸先側部位が、戸先側水密部材の前面部に密着するようになっており、
前記前面部は、面部と、前記面部に対して屋外側へ突出し、高さ方向に延びる突部と、を備えており、
前記面部は、開口部閉鎖時に前記扉体の戸先側部位が当接する位置にあり、
開口部閉鎖時には、前記扉体の戸先側部位が、前記面部よりも先に前記突部に当接して高さ方向に延びる線状の密着部を形成する、
ドア装置の戸先側部位の防水構造。
上記記載において、扉体は第2扉体3に対応し、戸先側水密部材は第2水密部材6に対応し、前記戸先側水密部材はドア枠の戸先側縦枠の溝部(召合せ部材5の溝部G5)に設けられ、両開きドアについての既述の記載を援用して説明することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 ドア枠
2 第1扉体
21 屋内側面部(第1面部)
21A 下方面部
24 戸先側端面(戸先側見込面)
24A 下方面部
3 第2扉体
31 屋内側面部(第1面部)
34 戸先側端面
4 第1水密部材
5 召合せ部材
501 下端
56 第1側面
6 第2水密部材(召合せ用水密部材)
60 前面部
600 面部
601 第1突部
602 第2突部
64 中空部
7 第3水密部材(下方水密部材)
70 第1部分(下側部位7A)
71 第2部分(下側部位7A)
72 第3部分(上側部位7B)
73 第4部分(上側部位7B)
G1~G5 溝部