(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】オフィス
(51)【国際特許分類】
E04H 1/06 20060101AFI20230614BHJP
A47B 5/04 20060101ALI20230614BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20230614BHJP
A47B 17/04 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
E04H1/06
A47B5/04
A47B13/00 Z
A47B17/04
(21)【出願番号】P 2019215662
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】506159699
【氏名又は名称】株式会社ジンズホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長坂 常
(72)【発明者】
【氏名】井上 一鷹
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-131573(JP,A)
【文献】特開2001-349070(JP,A)
【文献】特開2001-340141(JP,A)
【文献】特開平08-260732(JP,A)
【文献】特開平02-272171(JP,A)
【文献】特開2015-229080(JP,A)
【文献】実開昭54-179901(JP,U)
【文献】実開昭48-080806(JP,U)
【文献】実開平03-039426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/06
E04H 1/12
A47B 5/04
A47B 13/00
A47B 17/00
A47B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の内部に設けられ、少なくとも壁で仕切られ、机が設けられている第1スペースと、
前記部屋の内部に設けられ、少なくとも壁で仕切られ、机が設けられている第2スペースと、を備え、
前記第2スペースの床は、前記第1スペースの床より高く、
前記第2スペースに設けられている前記机を使用した場合の正面には壁又は扉が設けられていない、
オフィス。
【請求項2】
前記第2スペースに設けられている前記机は、天板が跳ね上げ可能である、
請求項1に記載のオフィス。
【請求項3】
前記第2スペースには、前記天板が跳ね上げられた状態であるか、前記天板が下ろされた状態であるか識別するセンサと、前記センサにより識別した状態を出力する出力部とが設けられている、
請求項2に記載のオフィス。
【請求項4】
前記出力部は、ランプであり、前記第2スペースの上部に設けられている、
請求項3に記載のオフィス。
【請求項5】
前記第1スペースに設けられている前記机を使用した場合の正面には開閉自在な覆いが設けられている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のオフィス。
【請求項6】
前記第1スペースに設けられている前記机を使用した場合の正面方向と、前記第2スペースに設けられている前記机を使用した場合の正面方向とが同一方向である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のオフィス。
【請求項7】
前記第2スペースは、壁際に位置する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のオフィス。
【請求項8】
前記第1スペース及び前記第2スペースには、前記第1スペース及び前記第2スペースに設けられた机を使用する際に着席する椅子がそれぞれ設けられている、
請求項1から7のいずれか一項に記載のオフィス。
【請求項9】
前記第1スペースに設けられている前記机を使用した場合の正面には、通路が設けられている、
請求項1から8のいずれか一項に記載のオフィス。
【請求項10】
前記通路から前記第2スペースまでの距離と、前記第2スペースの床の高さとの比は、所定値以下であり、前記所定値は、前記第1スペースの前記通路側の壁の高さに基づいて定められる、
請求項9に記載のオフィス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスのレイアウトは、業務の内容や人員数を勘案して設計されている。例えば下記特許文献1には、人員の業務の特性情報に基づいてワークスタイルを判定し、ワークスタイルに関する基本装備に関する情報及び業務の特性情報をもとに、基本装備の内容を業務特性に合わせて詳細化して、オフィスに必要となる装備を決定するオフィススペック決定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、労働制度を抜本的に改める「働き方改革」が進められており、個人の労働生産性を高めることが目標とされている。労働生産性(付加価値労働生産性)は、労働者により創出される付加価値を労働者数及び労働時間で除算することで定義される量であり、より短い時間、より少ない人数、より高付加価値の業務を行うことで、労働生産性を高めることができる。
【0005】
労働生産性を高めるための様々な提案がなされているが、オフィスワークにおける集中力に着目した例は少なかった。より集中して業務に取り組むことができれば、集中力が散漫な場合に比べてより短時間で業務を終わらせることができ、ミスの少ない成果物が得られて付加価値向上につながると考えられる。
【0006】
オフィスワークでは、新しいアイディアを検討する場合等の発散型の思考を要するときと、少数の検討事項に取り組む収束型の思考を要するときとがあると考えられる。しかしながら、従来のオフィスは、例えば特許文献1に記載のように、業務の特性に応じて空間設計されることが多く、発散型の思考及び収束型の思考を集中して行うことができるかどうかについては考慮されることが少なかった。
【0007】
そこで、本発明は、発散型の思考及び収束型の思考を集中して行うことができるオフィスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るオフィスは、部屋の内部に設けられ、少なくとも壁で仕切られ、机が設けられている第1スペースと、部屋の内部に設けられ、少なくとも壁で仕切られ、机が設けられている第2スペースと、を備え、第2スペースの床は、第1スペースの床より高く、第2スペースに設けられている机を使用した場合の正面には壁又は扉が設けられていない。
【0009】
この態様によれば、壁で仕切られた第1スペースにおいて収束型の思考を集中して行うことができ、第1スペースよりも高い位置にあり、広い視界が確保できる第2スペースにおいて、開放的な気分で発散型の思考を集中して行うことができる。
【0010】
上記態様において、第2スペースに設けられている机は、天板が跳ね上げ可能であってもよい。
【0011】
この態様によれば、壁又は扉が設けられていない第2スペースの入口側を向いて利用することができ、広い視界が確保できる。
【0012】
上記態様において、第2スペースには、天板が跳ね上げられた状態であるか、天板が下ろされた状態であるか識別するセンサと、センサにより識別した状態を出力する出力部とが設けられていてもよい。
【0013】
この態様によれば、第2スペースが使用されているか否かを出力部によって確認することができ、スペースが覗かれることが防止され、プライバシーを保つことができる。
【0014】
上記態様において、出力部は、ランプであり、第2スペースの上部に設けられていてもよい。
【0015】
この態様によれば、ランプの点灯によって第2スペースが使用されていることを示すことができる。
【0016】
上記態様において、第1スペースに設けられている机を使用した場合の正面には開閉自在な覆いが設けられていてもよい。
【0017】
この態様によれば、第1スペースを利用する場合の視界を調整することができ、開放感とプライバシー保護のバランスを取ることができる。
【0018】
上記態様において、第1スペースに設けられている机を使用した場合の正面方向と、第2スペースに設けられている机を使用した場合の正面方向とが同一方向であってもよい。
【0019】
この態様によれば、他の利用者と目が合うことが少なくなり、作業に集中することができる。
【0020】
上記態様において、第2スペースは、壁際に位置してもよい。
【0021】
この態様によれば、第2スペース前方の空間を広く取ることができ、より開放的な空間とすることができる。
【0022】
上記態様において、第1スペース及び第2スペースには、第1スペース及び第2スペースに設けられた机を使用する際に着席する椅子がそれぞれ設けられていてもよい。
【0023】
この態様によれば、着席して作業することができ、比較的長い時間の作業が行いやすくなる。
【0024】
上記態様において、第1スペースに設けられている机を使用した場合の正面には、通路が設けられていてもよい。
【0025】
この態様によれば、第1スペースを利用する人の正面に人が通るようにすることで、プライバシーを保ちつつ、開放感を与えることができる。
【0026】
上記態様において、通路から第2スペースまでの距離と、第2スペースの床の高さとの比は、所定値以下であり、前記所定値は、第1スペースの通路側の壁の高さに基づいて定められてもよい。
【0027】
この態様によれば、第2スペースを利用する利用者が、通路を歩行する人と目が合うことが少なくなり、作業に集中することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、発散型の思考及び収束型の思考を集中して行うことができるオフィスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係るオフィスの上面図である。
【
図3】本実施形態に係るオフィスの利用者及び通行人の視線を説明する図である。
【
図4】本実施形態に係るオフィスの第2スペースを示す図である。
【
図5】本実施形態に係るオフィスの第1スペースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係るオフィス100の上面図である。また、
図2は、本実施形態に係るオフィス100の側面図である。オフィス100は、部屋の内部に設けられ、少なくとも壁で仕切られ、第1椅子C1及び第1机D1が設けられている第1スペースS1と、部屋の内部に設けられ、少なくとも壁で仕切られ、第2椅子C2及び第2机D2が設けられている第2スペースS2と、を備える。また、オフィス100は、部屋の内部に設けられ、少なくとも壁で仕切られ、第3椅子C3及び第3机D3が設けられている第3スペースS3を備える。なお、第1スペースS1、第2スペースS2及び第3スペースS3には、少なくとも机が設けられていればよく、椅子は必ずしも設けられていなくてもよい。第1スペースS1、第2スペースS2及び第3スペースS3に椅子を設けることで、着席して作業することができ、比較的長い時間の作業が行いやすくなる。
【0032】
第2スペースS2の床は、第1スペースS1の床より高い。本例では、第2スペースS2の床は、第1スペースS1の床よりH2だけ高い。そのため、第2スペースS2の前方には階段が設けられている。
【0033】
また、第3スペースS3の床は、第1スペースS1の床より高い。本例では、第3スペースS3の床は、第1スペースS1の床よりH3だけ高い。ここで、H2>H3である。
【0034】
第2スペースS2に設けられている第2机D2を使用した場合の正面には壁又は扉が設けられていない。
図1では、第2スペースS2に設けられている第2椅子C2に着席して、第2机D2を使用した場合の正面方向d2を図示している。第2スペースS2は、第2椅子C2に着席した場合の背面及び両側面が壁で囲まれ、正面には壁又は扉が設けられていない。
【0035】
本実施形態に係るオフィス100によれば、壁で仕切られた第1スペースS1において収束型の思考を集中して行うことができ、第1スペースS1よりも高い位置にあり、広い視界が確保できる第2スペースS2において、開放的な気分で発散型の思考を集中して行うことができる。
【0036】
第1スペースS1に設けられている第1机D1を使用した場合の正面には、通路Pが設けられている。
図1では、第1スペースS1に設けられている第1椅子C1に着席して、第1机D1を使用した場合の正面方向d1を図示している。このように、第1スペースS1を利用する人の正面を人が通るようにすることで、プライバシーを保ちつつ、開放感を与えることができる。また、第1スペースS1が通路P側に位置することで、オフィス100で作業する他の利用者が視界に入らず、収束型の思考を集中して行うことができる。なお、本例は、オフィス100が大型複合施設内の一角に設けられた例であり、通路Pは、オフィス100が設けられた部屋の外の外部通路EPである。第1スペースS1と外部通路EPとの間にガラスの仕切りが設けられているが、仕切りは設けられなくてもよい。また、通路Pはオフィス100の設けられた部屋の中の内部通路IPであってもよい。
【0037】
第2スペースS2は、壁W際に位置する。壁Wは、オフィス100を構成する建造物の壁であり、オフィス100の容積を定めている。第2スペースS2をオフィス100の壁
W際に配置することで、第2スペースS2前方の空間を広く取ることができ、より開放的な空間とすることができる。
【0038】
本実施形態に係るオフィス100では、第1スペースS1に設けられている第1椅子C1に着席して、第1机D1を使用した場合の正面方向d1と、第2スペースS2に設けられている第2椅子C2に着席して、第2机D2を使用した場合の正面方向d2とが同一方向である。また、第1スペースS1に設けられている第1椅子C1に着席して、第1机D1を使用した場合の正面方向d1と、第2スペースS2に設けられている第2椅子C2に着席して、第2机D2を使用した場合の正面方向d2と、第3スペースS3に設けられている第3椅子C3に着席して、第3机D3を使用した場合の正面方向d3と、が同一方向である。
図1では、第3スペースS3に設けられている第3椅子C3に着席して、第3机D3を使用した場合の正面方向d3を図示している。このような構造とすることで、他の利用者と目が合うことが少なくなり、作業に集中することができる。
【0039】
本実施形態に係るオフィス100は、複数の第1スペースS1と、複数の第2スペースS2と、複数の第3スペースS3とを備える。複数の第1スペースS1の正面方向d1と、複数の第2スペースS2の正面方向d2と、複数の第3スペースS3の正面d3とは、同一方向である。複数の第1スペースS1は、側面を共有するように直線上に並んで通路P側に配置されており、複数の第2スペースS2は、側面を共有するように直線上に並んで壁W側に配置されており、複数の第3スペースS3は、側面を共有するように直線上に並んで第1スペースS1及び第2スペースS2の間に配置されている。なお、複数の第1スペースS1及び複数の第2スペースS2の間には、複数の第3スペースS3だけでなく、二列以上のスペースを設けてもよい。また、オフィス100の形状に合わせて、複数の第1スペースS1の一部を、正面方向が他と異なる配置としたり、複数の第2スペースS2の一部を、正面方向が他と異なる配置としたり、複数の第3スペースS3の一部を、正面方向が他と異なる配置としたりしてもよい。
【0040】
外部通路EPから第2スペースS2までの距離L2と、第2スペースS2の床の高さH2との比H2/L2は、所定値以下である。ここで、所定値は、第2スペースS2に設けられている第2机D2を使用する人が、第3スペースS3の内部を覗いたり、第1スペースS1の内部を覗いたりすることができないように定められる。ここで、第2スペースS2を利用する利用者の身長や第2椅子C2に着席する利用者の座高は様々であるが、例えば、男女の平均身長又は座高に基づいて比H2/L2を定めてよい。また、通路Pから第2スペースS2までの距離L2は、例えば、通路Pの第1スペースS1側の端から、第2スペースS2の入口側の端までの距離と定めてよい。これにより、第2スペースS2の利用者の視界を広く確保しつつ、第1スペースS1の利用者及び第3スペースS3の利用者のプライバシーが保たれ、作業に集中することができる。
【0041】
第1スペースS1から第3スペースS3までの距離L3と、第3スペースS3の床の高さH3との比H3/L3は、所定値以下である。ここで、所定値は、第3スペースS3に入った人が、第1スペースS1の内部を覗くことができないように定められる。ここで、第3スペースS3を利用する人の身長又は座高は様々であるが、例えば、男女の平均身長又は座高に基づいて比H3/L3を定めてよい。また、第1スペースS1から第3スペースS3までの距離L3は、例えば、第1スペースS1に設けられている第1机D1から、第3スペースS3に設けられている第3机D3までの距離と定めてよい。これにより、第1スペースS1の利用者のプライバシーが保たれ、作業に集中することができる。
【0042】
図3は、本実施形態に係るオフィス100の利用者及び通行人の視線を説明する図である。同図では、内部通路IPを歩く第1ユーザU1と、第2スペースS2に着席している第2ユーザU2と、外部通路EPを歩く通行人WRとを示している。
【0043】
第1スペースS1の壁の高さh1は、内部通路IPを歩く第1ユーザU1の視線が、第1スペースS1の壁で遮られる程度の高さに設計される。第1ユーザU1は、後述する第1ランプLt1を確認することで、第1スペースS1が使用されているか否かを確認することができる。このような構成により、内部通路IPを歩く第1ユーザU1によって第1スペースS1が覗かれることが防止され、プライバシーを保つことができる。
【0044】
通行人WRの視線は、第1スペースS1の壁によって遮られ、第2スペースS2の上部に設けられた第2ランプLt2が視認され、第2スペースS2を利用する第2ユーザU2とは目が合わない。外部通路EPから第2スペースS2までの距離L2と、第2スペースS2の床の高さH2との比H2/L2は、所定値以下であり、その所定値は、第1スペースS1の通路側の壁の高さh1に基づいて定められる。第1スペースS1の通路側の壁の高さh1が比較的高い場合、第2スペースS2の床の高さH2との比H2/L2は、比較的大きくしてよい。一方、第1スペースS1の通路側の壁の高さh1が比較的低い場合、第2スペースS2の床の高さH2との比H2/L2は、比較的小さくなるようにする。このような構成によって、第2スペースS2を利用する第2ユーザU2と通行人WRの目が合うことが少なくなり、作業に集中することができるようになる。
【0045】
図4は、本実施形態に係るオフィス100の第2スペースS2を示す図である。第2スペースS2は、第2椅子C2、第2机D2、第2センサSS2及び第2ライトLt2を有する。
【0046】
第2スペースS2に設けられている第2机D2は、天板TBが跳ね上げ可能である。
図4では、第2机D2の天板TBが跳ね上げられる(回動する)方向を矢印で示している。第2スペースS2の利用者は、第2机D2の天板TBを跳ね上げて第2スペースS2に入り、第2椅子C2に着席し、第2机D2の天板TBを下ろして作業を行う。このような構成とすることで、壁又は扉が設けられていない第2スペースS2の入口側を向いて利用することができ、広い視界が確保できる。
【0047】
第2スペースS2には、第2机D2の天板TBが跳ね上げられた状態であるか、天板TBが下ろされた状態であるか識別する第2センサSS2と、第2センサSS2により識別した状態を出力する出力部とが設けられている。ここで、第2センサSS2は、例えば下ろされた天板TBと壁面w2との接近を検知する近接センサや、図示しない天板TBの回動部分のヒンジ部に設けられたスイッチセンサ等で構成されてよい。また、出力部は、第2ランプLt2であり、第2スペースS2の上部に設けられている。このようにすることで、通路P(外部通路EP)を歩く通行人WRから見て第2スペースS2が使用されているか否かを出力部によって確認することができ、スペースが覗かれることが防止され、プライバシーを保つことができる。また、第2スペースS2を利用しようとする通行人WRは、オフィス100に入る前に第2スペースS2の混雑具合や空席の位置を知ることができる。
【0048】
また、第2ランプLt2の点灯によって第2スペースS2が使用されていることを示すことができる。これにより、第2スペースS2が使用されているか否かを確認するために第2スペースS2を覗く必要がなくなり、第2スペースS2の利用者と他の利用者の目が合う頻度を減らすことができ、作業に集中することができるようになる。なお、出力部は、ランプに限られず、第2センサSS2により識別した状態をサーバコンピュータに出力するものであってもよい。その場合、サーバコンピュータで集約された情報を、利用者が用いる携帯端末に表示させたり、オフィス100の受付に設けられたコンピュータに表示させたりしてもよい。
【0049】
図5は、本実施形態に係るオフィス100の第1スペースS1を示す図である。第1スペースS1は、第1椅子C1、第1机D1、第1扉dr1、第1センサSS1、第1ライトLt1及び第1覆いB1を有する。なお、
図5では、第1椅子C1に着席した場合の正面方向に設けられている壁板を図示せず、第1スペースS1の内部が視認できるようにしている。実際には、第1スペースS1は、第1扉dr1が設けられる面以外の3面が壁で囲まれている。
【0050】
第1スペースS1に設けられている第1椅子C1に着席した場合の正面の壁の一部は、上下に開閉自在な第1覆いB1で構成される。この他に第1覆いB1は、可動式の目隠しルーバーやシャッター、布製のカーテン又はプラスチック製のブラインド等で構成されてもよく、閉じた場合に第1スペースS1の利用者の視界を制限する壁の役割を果たすものであればよい。第1覆いB1を全部又は一部下ろすことで、通路Pが見えないようにすることができ、反対に、第1覆いB1を上げることで、通路Pが見えるようにすることができる。第1覆いB1によって、第1スペースS1を利用する場合の視界を調整することができ、開放感とプライバシー保護のバランスを取ることができる。
【0051】
第1スペースS1の利用者は、第1扉dr1を開けて内部に入り、第1扉dr1を閉めて第1椅子C1に着席する。第1スペースS1には、第1扉dr1が開いている状態であるか、閉まった状態であるか識別する第1センサSS1と、第1センサSS1により識別した状態を出力する出力部とが設けられている。ここで、第1センサSS1は、例えば閉じた第1扉dr1と入口周辺部G1との接近を検知する近接センサや、図示しない第1扉dr1の回動部分のヒンジ部に設けられたスイッチセンサ等で構成されてよい。また、出力部は、第1ランプLt1であり、第1スペースS1の上部に設けられている。このようにすることで、第1スペースS1が使用されているか否かを出力部によって確認することができ、内部通路IPを歩く第1ユーザU1によってスペースが覗かれることが防止され、プライバシーを保つことができる。
【0052】
また、第1ランプLt1の点灯によって第1スペースS1が使用されていることを示すことができる。これにより、第1スペースS1が使用されているか否かを確認するために第1スペースS1を覗く必要がなくなり、第1スペースS1の利用者と他の利用者の目が合う頻度を減らすことができ、作業に集中することができるようになる。なお、出力部は、ランプに限られず、第1センサSS1により識別した状態をサーバコンピュータに出力するものであってもよい。その場合、サーバコンピュータで集約された情報を、利用者が用いる携帯端末に表示させたり、オフィス100の受付に設けられたコンピュータに表示させたりしてもよい。
【0053】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0054】
B1…第1覆い、C1…第1椅子、C2…第2椅子、C3…第3椅子、D1…第1机、D2…第2机、D3…第3机、dr1…第1扉、EP…外部通路、G1…入口周辺部、IP…内部通路、Lt1…第1ライト、Lt2…第2ライト、P…通路、S1…第1スペース、S2…第2スペース、S3…第3スペース、SS…センサ、TB…天板、U1…第1ユーザ、U2…第2ユーザ、W,w2…壁、WR…通行人、100…オフィス