(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】荷物支持装置
(51)【国際特許分類】
B60R 7/08 20060101AFI20230614BHJP
B60N 3/02 20060101ALI20230614BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B60R7/08 Z
B60N3/02 A
B60N3/00 Z
(21)【出願番号】P 2019235972
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(72)【発明者】
【氏名】山口 宏
(72)【発明者】
【氏名】木野内 豊久
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 靖隆
(72)【発明者】
【氏名】古城 昭彦
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178334(JP,A)
【文献】特開2006-298049(JP,A)
【文献】特開平07-277085(JP,A)
【文献】登録実用新案第3225916(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0156837(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/08
B60N 3/02
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に固定されるアシストグリップに固定される固定具と、
前記固定具によって車両の前後方向に延びるように固定される棒状体と、
前記棒状体に固定される荷物支持部材と、
を有し、
前記固定具は、一方の固定具と、他方の固定具と、前記一方および他方の固定具間の距離を調整可能な締付手段と、を有し、
前記一方の固定具は、一方の位置に前記アシストグリップとの当接部が形成されると共に、他方の位置に離間した2つの位置で前記棒状体と当接する一対の棒状体当接部が形成され、
前記他方の固定具は、一方の位置に前記アシストグリップとの当接部が形成されると共に、他方の位置に前記棒状体と当接する棒状体当接部が形成され、
前記締付手段は、前記一方の固定具と他方の固定具の夫々の一方の位置におけるアシストグリップ当接面よりも端部側の位置に配置され、前記締付手段の締付操作によって、前記アシストグリップに前記固定具が固定されるのと同時に、前記棒状体が前記固定具に固定されるように構成され、
前記締付手段の締付操作時において、
前記他方の固定具の他方の位置に形成される棒状体当接部は、前記一方の固定具の一対の棒状体当接部の間に配置されるように構成されることを特徴とする荷物支持装置。
【請求項2】
前記締付手段の締付操作時において、
前記一方の固定具は、前記アシストグリップとの当接部がアシストグリップの一方の位置と当接するように構成され、
前記他方の固定具は、前記アシストグリップとの当接部がアシストグリップの他方の位置と当接し、
更に前記他方の固定具は、前記棒状体当接部の当接面が前記一方の固定具の棒状体当接部の当接面と対向する向きで、前記棒状体に当接するように構成されることを特徴とする請求項1記載の荷物支持装置。
【請求項3】
前記棒状体の外周部が断面真円形状に形成され、
前記一方の固定具と、前記他方の固定具の、少なくとも何れかの固定具の棒状体当接部は、前記棒状体の外周面を覆う様に形成されることを特徴とする請求項1または2記載の荷物支持装置。
【請求項4】
前記アシストグリップが、車内に固定される前後一対の固定基部と、前後の中間位置に配置される把持部と、前記固定基部と把持部間に形成された前後一対の湾曲部と、を有し、
前記一方の固定具は、一方の位置に前記アシストグリップの少なくとも一対の湾曲部に夫々当接する湾曲部当接面が形成され、
前記他方の固定具は、一方の位置に前記アシストグリップの把持部と当接する把持部当接面が形成されることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項記載の荷物支持装置。
【請求項5】
前記荷物支持部材には、少なくとも1つの、車両の天井部と当接する揺止部材が配置されることを特徴とする請求項1~請求項4の何れか1項記載の荷物支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に長尺物積載具等を支持できる車内用の荷物支持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
図7に示すように、車両の内壁に形成されたアシストグリップを取り外し、アシストグリップ取付ネジ孔に取付ステー103を取付ネジ104によって取り付け、この取付ステー103に取付フック105によって所望長さ、例えば50cmのシステムバー106を車輛の前後方向に沿ってスライド自在に取り付け、このシステムバー106に、例えばつり竿ホルダーの支持用のホルダーや網棚を、上記システムバー106に沿って摺動自在に取り付け得るようにする車内用荷物支持装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1では、システムバー106をアシストグリップの取付穴を利用して取付けるため、元々車両に設置されているアシストグリップを外さなければならず、手間がかかり、専用の工具も必要となっていた。
【0004】
また、特許文献2には、
図8に示すように、車内の両側壁に取り付けられたアシストグリップ201の把持部分201aに夫々固定具202を固定し、この各固定具202に荷物支持用の横バー203をリンク状の連結具204を介して取り付ける車内用荷物支持装置が開示されている。
【0005】
しかしながら、前記特許文献2では、アシストグリップ201の把持部分201aに直接、荷物支持装置の固定具を固定する構造であるため、車内に長尺物を積載するために、前部座席の側方に固定されたアシストグリップに、前側の荷物支持用の横バーを装着し、後部座席の側方に固定されたアシトグリップに、後側の荷物支持用の横バーを装着するため、取り付け作業量が多くなる欠点があった。
【0006】
また、前記特許文献2のアシストグリップへの固定構造を利用して、前記の特許文献1のシステムバーを装着した場合、固定具がアシストグリップの把持部分の中央部分のみを固定しているため、車が揺れた際に、アシストグリップに対して固定具が撓みやすく、更にアシストグリップとの間に滑りが生じ易くなるため、荷物支持装置に積載した長尺物の端部が上下に激しく揺れ、不快な音の発生や、長尺物および長尺物に随する装着部品の破損に繋がる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-109595号公報
【文献】特開平11-078705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の荷物支持装置は、従来技術の欠点を解消し、簡単な作業で車内に荷物支持装置をしっかり固定でき、車が揺れた際にも、荷物支持装置に積載した長尺物の端部の上下方向の揺れを制御し、不快な音の発生や、長尺物および長尺物に随する装着部品の破損を防止する構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、この発明の荷物支持装置は、車両内に固定されるアシストグリップに固定される固定具と、前記固定具によって車両の前後方向に延びるように固定される棒状体と、前記棒状体に固定される荷物支持部材と、を有し、前記固定具は、一方の固定具と、他方の固定具と、前記一方および他方の固定具間の距離を調整可能な締付手段と、を有し、前記一方の固定具は、一方の位置に前記アシストグリップとの当接部が形成されると共に、他方の位置に離間した2つの位置で前記棒状体と当接する一対の棒状体当接部が形成され、前記他方の固定具は、一方の位置に前記アシストグリップとの当接部が形成されると共に、他方の位置に前記棒状体と当接する棒状体当接部が形成され、前記締付手段は、前記一方の固定具と他方の固定具の夫々の一方の位置におけるアシストグリップ当接面よりも端部側の位置に配置され、前記締付手段の締付操作によって、前記アシストグリップに前記固定具が固定されるのと同時に、前記棒状体が前記固定具に固定されるように構成され、前記締付手段の締付操作時において、前記他方の固定具の他方の位置に形成される棒状体当接部は、前記一方の固定具の一対の棒状体当接部の間に配置されるように構成される。
【0010】
更に、前記締付手段の締付操作時において、前記一方の固定具は、前記アシストグリップとの当接部がアシストグリップの一方の位置と当接するように構成され、前記他方の固定具は、前記アシストグリップとの当接部がアシストグリップの他方の位置と当接し、更に前記他方の固定具は、前記棒状体当接部の当接面が前記一方の固定具の棒状体当接部の当接面と対向する向きで、前記棒状体に当接するように構成されることを特徴とする。
【0011】
更に、前記棒状体の外周部が断面真円形状に形成され、前記一方の固定具と、前記他方の固定具の、少なくとも何れかの固定具の棒状体当接部は、前記棒状体の外周面を覆う様に形成されることを特徴とする。
【0012】
更に、前記アシストグリップが、車内に固定される前後一対の固定基部と、前後の中間位置に配置される把持部と、前記固定基部と把持部間に形成された前後一対の湾曲部と、を有し、前記一方の固定具は、一方の位置に前記アシストグリップの少なくとも一対の湾曲部に夫々当接する湾曲部当接面が形成され、前記他方の固定具は、一方の位置に前記アシストグリップの把持部と当接する把持部当接面が形成されることを特徴とする。
【0013】
更に、前記荷物支持部材には、少なくとも1つの、車両の天井部と当接する揺止部材が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の荷物支持装置は、締付手段の1回の操作で、固定具がアシストグリップと棒状体を同時に固定でき、更に車が揺れた際にも、荷物支持装置に積載した長尺物の端部の上下方向の揺れを制御し、不快な音の発生や、長尺物および長尺物に随する装着部品の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施例における車内取り付け例の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施例における荷物支持装置の取り付け例を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施例における荷物支持装置の取り付け例を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施例における荷物支持装置の取り付け後を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施例における荷物支持装置と車両屋根内部との関係を示す断面図である。
【
図6】本発明の第2実施例における荷物支持装置の取り付け例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
以下、
図1から
図5を参照して本発明の第1実施例を説明する。
【0017】
本発明の荷物支持装置11は、
図1に示すように、車両内に固定されるアシストグリップ12に着脱自在に固定される固定具13と、前記固定具13によって車両の前後方向に延びるように取付位置可変に固定される棒状体14と、前記棒状体14に固定される荷物支持部材15と、を有し、前記固定具13は、一方の固定具23と、他方の固定具24と、前記一方および他方の固定具間の距離を調整可能な締付手段16と、を有する。
【0018】
前記一方の固定具23は、一方の位置に前記アシストグリップ当接部31が形成されると共に、他方の位置に離間した2つの位置で前記棒状体14と当接する一対の棒状体当接部32が形成され、前記他方の固定具24は、一方の位置に前記アシストグリップ当接部31が形成されると共に、他方の位置に前記棒状体14と当接する棒状体当接部32が形成される。
【0019】
前記締付手段16の締付操作時において、前記一方の固定具23は、前記アシストグリップ12との当接部が乗員の使用時における前記アシストグリップ12の一方の位置(本実施例においては下面および外側面)と当接するように構成され、前記他方の固定具24は、前記アシストグリップ12との当接部が乗員の使用時における前記アシストグリップ12の他方の位置(本実施においては上面および内側面)と当接し、更に前記他方の固定具24は、前記棒状体当接部32の当接面が前記一方の固定具の棒状体当接部32の当接面(棒状体の略上方位置と当接)と対向する向きで、前記棒状体14(略下方位置)に当接するように構成される。
【0020】
更に、前記アシストグリップ12が、車内に固定される前後一対の固定基部25と、前後の中間位置に配置される把持部26と、前記固定基部25と把持部26間に形成された前後一対の湾曲部27と、を有し、前記一方の固定具23は、一方の位置に前記アシストグリップ12の少なくとも一対の湾曲部27に夫々当接する湾曲部当接面36が形成され、前記他方の固定具24は、一方の位置に前記アシストグリップ12の把持部26と当接する把持部当接面37が形成されることにより、前記一方の固定具23はアシストグリップ12の前後方向に対して、長い距離で当接するため、アシストグリップ12に対する固定具の撓みや、滑りを軽減し、荷物支持装置11に積載した長尺物の端部の上下方向の揺れを抑えることができる。
尚、車両アシストグリップ12については、その種類は問わない。車両への固定基部、把持部があれば良い。
【0021】
更に、前記締付手段16は、前記一方の固定具23と他方の固定具24の夫々の一方の位置におけるアシストグリップ当接面31よりも端部側の位置に、夫々形成されたボルト挿通部33、前記夫々のボルト挿通部33間の距離を調整する手段(ボルトとナット)の締付操作によって、前記アシストグリップ12に前記固定具が固定されるのと同時に、前記棒状体14が前記固定具13に固定されるように構成される。尚、本発明の締付手段16は本実施例に限定されず、バックルや可倒レバー等の既存の技術を併用し、若しくは単独で用いても良い。(不図示)
【0022】
更に、前記締付手段16の締付操作時において、
図2に示すように、前記他方の固定具24の他方の位置に形成される棒状体当接部32は、前記一方の固定具23の一対の棒状体当接部32の間に配置されるように構成されることによって、前記一方の固定具23と、前記他方の固定具24の干渉を防止することが出来る。
【0023】
尚、本発明の前記荷物支持部材15は、既存の荷物支持部材15を自由に前記棒状体14に固定して使用することができ、前記棒状体14を左右両方のアシストグリップ12に夫々固定し、左右両方の棒状体14に前記荷物支持部材15の左右の端部を夫々固定した場合には、前記荷物支持部材15の上部に、少なくとも1つの車両の天井部と当接する揺止部材17を配置(実施例では前記棒状体14を固定するアシストグリップ12よりも、前側と後側に夫々配置)することによって、車両の揺れによる前記荷物支持部材15の揺れを吸収し、荷物支持装置11に積載した長尺物の端部の上下方向の揺れを抑えることができる。
【実施例2】
【0024】
以下、
図6を参照して本発明の第2実施例を説明する。
【0025】
本実施形態に係る荷物支持装置の殆どは、上述した実施例1に係る荷物支持装置と同様である。相違点としては、固定具13の棒状体当接部32が、棒状体14の外周面全てを覆うように形成されることが異なることである。
【0026】
前記棒状体14の外周部が断面真円形状に形成され、前記一方の固定具23Aと、前記他方の固定具24Aの、少なくとも何れかの固定具13の棒状体当接部32は、前記棒状体14の外周面全てを覆う様に形成される。
その他の構成、効果は第1実施例の形態に係る荷物支持装置と同様である。
【符号の説明】
【0027】
11:荷物支持装置、12:アシストグリップ、13:固定具、14:棒状体、15:荷物支持部材、16:締付手段、17:揺止部材、23:一方の固定具、24:他方の固定具、25:固定基部、26:把持部、27:湾曲部、31:アシストグリップ当接部、32:棒状体当接部、33:ボルト挿通部、36:湾曲部当接面、37:把持部当接面、103:取付ステー、104:取付ネジ、105:取付フック、106:システムバー、201:アシストグリップ、201a:把持部分、202:固定具、203:横バー、204:連結具