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特許7295806ミオパチーの治療における20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】ミオパチーの治療における20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/575 20060101AFI20230614BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230614BHJP
   A61K 36/286 20060101ALI20230614BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230614BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61K31/575
A61K31/573
A61K36/286
A61P21/00
A61P43/00 107
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019558498
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018060975
(87)【国際公開番号】W WO2018197708
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-08
(31)【優先権主張番号】1753775
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1758071
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513285907
【氏名又は名称】ビオフィティス
(73)【特許権者】
【識別番号】507416908
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ディルダ,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ラフォン,ルネ
(72)【発明者】
【氏名】ラティル,マチルド
(72)【発明者】
【氏名】セロヴァ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】アグブルト,オニク
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイエ,スタニスラス
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/177469(WO,A1)
【文献】Biophytis Press release,Biophytis presents preliminary clinical data of SARA-PK, and new preclinical data of Sarconeos for treating sarcopenia. Four Posters presented at 9th SCWD International Conference Berlin, December 10-11th 2016,2016年
【文献】Invest Securities BIOPHYTIS,2015年09月24日
【文献】Hum Genet,2012年,Vol.131,p.1-31
【文献】in vivo,2016年,Vol.30 ,p.869-878
【文献】Phytother Res.,27(1),2013年01月,p.107-111
【文献】Chemistry of Natural Compounds,Vol.39,No.5,2003年,p.479-481
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジストロフィン遺伝子突然変異を含む遺伝子改変に起因するミオパチーの治療における使用のための組成物であって、有効成分として、次式(I)の20-ヒドロキシエクジソン
【化1】
およびその誘導体、から選択される少なくとも1つを含み、前記誘導体が、
・次の一般式(II)の化合物:
【化2】
(式中、
は、基 a1 SR a2 ;基
【化3】
;(2-ヒドロキシエチルスルファニル)メチル基;基 a1 A(ここで、 a1 直鎖C -C アルキレン基を表し、R a2 直鎖C-Cアルキル基を表し、Aは、モルホリノ基、ピロリジニル基及びピペリジル基よりなる群から選択される複素環式基を表し、前記複素環式基は、前記複素環式基を構成する窒素原子又は炭素原子を介して前記 a1 に結合し、前記複素環式基上の少なくとも1個の水素原子はOH又はヒドロキシエチルにより置換されていてよい。);およびCHBr基から選択される。)
から選択される、前記組成物。
【請求項2】
遺伝性ミオパチーによって引き起こされる筋機能障害に起因する病態の治療のための、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記筋機能は横紋のある骨格筋または心筋の機能である、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記筋機能の障害は心筋肥大である、請求項3に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記筋機能は、線維症の進行性の発症により少なくとも部分的に損なわれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
遺伝子改変に起因する前記ミオパチーは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)および/またはベッカー型筋ジストロフィー(BMD)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
筋細胞のミトコンドリア呼吸を増加させる、請求項1~6のいずれか一項の使用のための組成物。
【請求項8】
筋線維当たりの血管数を増加させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
筋芽細胞の筋管への分化を増加させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記誘導体が次式(III)の化合物:
【化4】
から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記組成物が前記20-ヒドロキシエクジソンを含む植物抽出物または植物の一部からの抽出物を含み、前記植物は、前記植物の乾燥重量で少なくとも0.5%の式(I)の20-ヒドロキシエクジソンを含有する植物から選択され、前記抽出物は、少なくとも95%の式(I)の20-ヒドロキシエクジソンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記抽出物は、前記抽出物の安全性、利用可能性または薬学的適用の有効性に影響を与える可能性がある夾雑物を、前記抽出物の乾燥重量で0~0.05%含む、請求項11に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記植物は、ステマカンサ・カルタモイデス、シアノチス・アラクノイデアおよびシアノチス・ヴァガから選択される、請求項11又は12に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記抽出物は、少なくとも95%の式(I)の20-ヒドロキシエクジソンを含むステマカンサ・カルタモイデス根抽出物である、請求項11~13のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記誘導体が、
・No.1:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(2-モルホリノアセチル)-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン、
・No.2:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-17-[2-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)アセチル]-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.3:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-17-[2-(4-ヒドロキシ-1-ピペリジル)アセチル]-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.4:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-17-[2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジル]アセチル]-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.5:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-17-[2-(3-ジメチルアミノプロピル(メチル)アミノ)アセチル]-2,3,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.6: 2-[2-オキソ-2-[(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-6-オキソ-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]エチル]エチルスルファニルアセテート;
・No.7:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-17-(2-エチルスルファニルアセチル)-2,3,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.8:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-17-[2-(2-ヒドロキシエチルスルファニル)アセチル]-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペ3ンタ[a]フェナントレン-6-オン
から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミオパチー、特に遺伝的起源の筋ジストロフィーの治療のための精製天然20-ヒドロキシエクジソン(20E)または合成誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ミオパチーは、筋肉に直接影響を及ぼす疾患である。これには、症状および筋肉の関与の機構に応じて種々の型がある。遺伝性ミオパチーおよび後天性ミオパチーの2つの分類がある。
【0003】
遺伝性ミオパチーは、以下に細分される:
・進行性筋ジストロフィー(デュシェンヌ型およびベッカー型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィーならびに顔面肩甲上腕型ジストロフィー)、または先天性筋ジストロフィー、
・糖原病およびリピドーシスなどの代謝性ミオパチー、ならびにミトコンドリアミオパチー、
・スタイナートミオパチー(Steinert myopathy)などの筋強直性ジストロフィー(MD1)、
・セントラルコア、ネマリン、マルチミニコア先天性ミオパチーまたは中心核および筋細管ミオパチー。
【0004】
後天性ミオパチーには以下が含まれる:
・中毒性ミオパチー、
・炎症性ミオパチー、
・内分泌性ミオパチー。
【0005】
ミオパチーは、進行性または一定の筋力低下として現れる。ミオパチーは、一般的に、筋肉量の損失(萎縮)を特徴とする。疾患進行中に、筋肉組織は線維組織に次第に置き換えられる(線維症)。
【0006】
特に、影響を受けた筋肉の種類によって異なる、30を超える筋ジストロフィー型がある。これらは、程度の差はあれ早期に発症し、体の種々の部位の骨格筋に影響を与える。場合によっては、呼吸器系および心筋の進行性損傷により患者の平均寿命は低下する。
【0007】
数十種の異なる遺伝子が筋ジストロフィーに関与している。ほとんどの場合、これらは 、筋細胞の膜に存在するかまたはそれと結合するタンパク質の合成に関与する、構造維持および筋機能に不可欠の遺伝子である。例として、
・ジストロフィンは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)およびベッカー型筋ジストロフィー(BMD)に関与し、
・カルパイン、ジスフェリンおよびサルコグリカンは、肢帯型筋ジストロフィーに関与し、
・メロシン、α-ジストログリカンまたはセレノタンパク質Nは、先天性筋ジストロフィー(CMD)の症例に関与している。
【0008】
DMDは、筋ジストロフィーの最も多い型である。DMDは、男児3,500人に1人が罹患しており、X染色体に位置するジストロフィン遺伝子に影響を及ぼす突然変異の結果である。重症度の低い型であるBMDもまた、ジストロフィン遺伝子に関係し、男児18,000人に1人が罹患している。DMDは、筋肉構造全体に影響を及ぼす深刻な遺伝的病態である。この疾患では、筋線維の脆弱性はそれらの破壊につながり、筋肉組織の壊死を誘導する。再生機構に過度の負担がかかると、変性が優勢になり、筋力低下および労作不耐性を誘導する(Barnabei et al.2011)。その後、筋線維は結合組織に取って代わられる(線維症)。3歳を超えると、筋力低下は次第に子どもの下肢に達する。この疾患は、続いて、背中、上肢の筋肉、最終的には呼吸筋で発症する。
【0009】
現在、DMDおよびBMDのための治癒的処置はないが、整形外科および呼吸器系の緩和的処置は生活の質および生命にかかわるリスクを改善する。患者の処置は、現在、筋肉の能力の最適化ならびに心臓および呼吸器系の合併症の予防および治療に基づいている。コルチコステロイドの使用は、平均して2年歩行期間を延長する一助となる。しかしながら、一部の子どもはこの処置に応答せず、この処置が悪影響、特に著しい骨の脆弱化をさらに引き起こす。部分的な心臓保護は、変換酵素阻害薬とβ遮断薬の組合せによって得られる。
【0010】
新しい処置が臨床開発中である。エキソンスキッピングは、通常のタンパク質より短いがそれでも機能を果たせる種類のジストロフィンを細胞が生産するように強制することからなる。同じタイプのさらなるアプローチは、ジストロフィン合成を早期に中断する突然変異を優先することからなる。しかしながら、このタイプの療法は、疾患を引き起こす突然変異の正確な性質に応じて、少数の患者にしか向けられていない。最後に、遺伝子療法は、患者に短い種類のジストロフィン(ミニ-ジストロフィンまたはマイクロ-ジストロフィン)を合成する可能性を提供するが、体内に対して外来と考えられるこれらのタンパク質に対する免疫応答の主要な問題に直面している。
【0011】
付属肢筋力の不可逆的低下および労作不耐性の発現に加えて、この疾患の主な合併症の1つが線維症の発症であり、この線維症は、特に心臓に影響を及ぼし、心不全(拡張性肥大を伴う)に至る。この損傷は、患者の生命にかかわる。従って、線維症の発症は不可逆的発生であり、筋機能を保存するためにはこの発生を妨げるべきである。この意味で、治療的アプローチは以下に焦点を当てる必要がある:
・労作耐性の維持
・筋力の維持
・および線維症の発症の予防。
【0012】
フィトエクジステロイドは、ポリヒドロキシル化ステロールの主要なファミリーである。これらの分子は、様々な植物種(シダ、裸子植物、被子植物)によって生産され、これらの植物の害虫防御に関与している。
【0013】
仏国特許第3021318号明細書(特許文献1)には、フィトエクジステロイド、より詳しくは20-ヒドロキシエクジソン(20E)は、数多くの薬理学的研究の対象であったことが開示されている。これらの研究では、この分子の抗糖尿病特性および同化特性(anabolising properties)が強調された。筋肉におけるタンパク質合成に対する刺激効果は、in vivoではラットで観察され(Syrov et al.,2000;Toth et al.,2008;Lawrence et al.,2012)、in vitroではC2C12マウス筋管において観察されている(Gorelick-Feldman et al.,2008)。これは、翻訳レベルでの効果からなり、リボゾームタンパク質p70S6Kのリン酸化を必要とし、タンパク質合成を刺激するためにIGF-1によっても使用される経路である、プロテインキナーゼAkt/PkBを必要とするカスケードに従う。
【0014】
動物モデルにおける上記効果のいくつかは、さらに少ない臨床研究で観察された。従って、20-ヒドロキシエクジソンは、若い運動選手で筋肉量を増加させる(Simakin et al.,1988)。
【0015】
最後に、特許文献1には、サルコペニアおよびサルコペニア肥満の治療および予防のための、20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体の使用が記載されている(Lafont et al.2017)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】仏国特許第3021318
【発明の概要】
【0017】
本発明者らは、20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体がミオパチーに罹患している哺乳動物のin-toto身体能力ならびにin-situ筋力を大幅に向上させることを発見した。in-toto身体能力およびin situ筋力はそれぞれ、最大移動距離の測定および前脛骨筋の最大絶対等尺性筋力によって決定される。これらの効果は、ミオパチー、特に筋ジストロフィーに罹患している哺乳動物の可動性を向上させることが可能である。
【0018】
本発明は、遺伝子改変に起因するミオパチーの治療において使用されることが意図される20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体に関する。
【0019】
本明細書において、以下、用語20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体とは、20-ヒドロキシエクジソン、その誘導体、20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体を豊富に含む植物抽出物、ならびに活性薬剤として、20-ヒドロキシエクジソン、その誘導体および/または20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体を豊富に含む植物抽出物を含有する組成物を示す。
【0020】
20-ヒドロキシエクジソンの誘導体は半合成によって得られる。
【0021】
20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体は、有利には、製薬等級に精製される。
【0022】
より詳しくは、本発明は、遺伝性ミオパチーによって引き起こされる筋機能障害に起因する病態の治療において使用されることが意図される20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体に関する。
【0023】
上記筋機能は、横紋のある骨格筋または心筋の機能である。
【0024】
より詳しくは、上記筋機能障害は心筋肥大である。
【0025】
さらに詳しくは、本発明は、前記筋機能が線維症の進行性の発症により少なくとも部分的に損なわれる任意のミオパチーの治療において使用されることが意図される20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体に関する。
【0026】
本発明は、遺伝子改変に起因するミオパチーの治療において使用されることが意図される20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体に関する。
【0027】
遺伝子改変とは、突然変異、ヌクレオチド挿入またはヌクレオチド欠失と理解される。
【0028】
本発明は、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)および/またはベッカー型筋ジストロフィー(BMD)の治療において使用されることが意図される20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体に関する。
【0029】
本発明によれば、20-ヒドロキシエクジソンおよびその誘導体は、ジストロフィン遺伝子突然変異に起因する任意のミオパチーの治療において使用されることが意図される。
【0030】
1つの特徴によれば、20-ヒドロキシエクジソンは式(I)の化合物である:
【0031】
【化1】
【0032】
有利には、式(I)の化合物は製薬等級に精製される。
【0033】
具体的には、上記20-ヒドロキシエクジソンは、植物の抽出物または植物の一部からの抽出物であり、上記植物は、上記植物の乾燥重量で少なくとも0.5%の式(I)の20-ヒドロキシエクジソンを含有する植物から選択され、上記抽出物は、少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の式(I)の20-ヒドロキシエクジソンを含む。
【0034】
製薬等級への精製について言及する。
【0035】
上記抽出物は、以下、BIO101と呼ぶ。上記抽出物は、注目すべきことに、上記抽出物の安全性、利用可能性または薬学的適用の有効性に影響を与える可能性がある、微量化合物などの夾雑物を、上記抽出物の乾燥重量で0~0.05%含む。
【0036】
本発明のある特徴によれば、上記夾雑物は、ルブロステロン、ジヒドロルブロステロンまたはポストステロンなどの19個または21個の炭素原子を有する化合物である。
【0037】
BIO101が生産される植物は、有利には、ステマカンサ・カルタモイデス(Stemmacantha carthamoides)(ルージァ・カルタモイデス(Leuzea carthamoides)とも呼ばれる)、シアノチス・アラクノイデア(Cyanotis arachnoidea)およびシアノチス・ヴァガ(Cyanotis vaga)から選択される。
【0038】
本発明は、とりわけ、少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の式(I)の20-ヒドロキシエクジソンを含むステマカンサ・カルタモイデス根抽出物の使用に向けられる。
【0039】
この抽出物では、20-ヒドロキシエクジソンは製薬等級に精製される。
【0040】
より詳しくは、この抽出物は、3~15mg/kg*日の割合で投与される。
【0041】
特に、この抽出物は、成人患者の場合、1回または複数回用量で200~1000mg/日の割合で、小児の場合、1回または複数回用量で70~350mg/日の用量で投与される。
【0042】
さらに、本発明は、活性薬剤としてBIO101を含む組成物に関する。
【0043】
その組成物は、好ましくは、200~1000mgの活性薬剤(BIO101)を含有する。
【0044】
さらなる特徴によれば、20-ヒドロキシエクジソンの誘導体は、一般式(II)の化合物:
【0045】
【化2】
【0046】
[式中、
V-Uは、炭素-炭素単結合であり、Yは、ヒドロキシル基もしくは水素であり、またはV-Uは、C=Cエチレン結合であり;
Xは、酸素であり、
Qは、カルボニル基であり;
1は、基(C1-C6)W(C1-C6);基(C1-C6)W(C1-C6)W(C1-C6);基(C1-C6)W(C1-C6)CO2(C1-C6);基(C1-C6)A、Aは、タイプOH、OMe、(C1-C6)、N(C1-C6)、CO2(C1-C6)の基により置換されていてよい複素環を表す;CH2Br基から選択され;
Wは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子、好ましくはO、さらに選好的にはSである]
である。
【0047】
より詳しくは、式(II)中:
Yは、ヒドロキシル基であり;
1は、基(C1-C6)W(C1-C6);基(C1-C6)W(C1-C6)W(C1-C6);基(C1-C6)W(C1-C6)CO2(C1-C6);基(C1-C6)A、Aは、タイプOH、OMe、(C1-C6)、N(C1-C6)、CO2(C1-C6)の基により置換されていてよい複素環を表す、から選択され;
Wは、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子、好ましくはO、さらに選好的にはSである。
【0048】
具体的には、式(II)の化合物は、
・No.1:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-17-(2-モルホリノアセチル)-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン、
・No.2:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-17-[2-(3-ヒドロキシピロリジン-1-イル)アセチル]-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.3:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-17-[2-(4-ヒドロキシ-1-ピペリジル)アセチル]-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.4:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-17-[2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペリジル]アセチル]-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.5:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-17-[2-(3-ジメチルアミノプロピル(メチル)アミノ)アセチル]-2,3,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.6: 2-[2-オキソ-2-[(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-6-オキソ-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル]エチル]エチルスルファニルアセテート;
・No.7:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-17-(2-エチルスルファニルアセチル)-2,3,14-トリヒドロキシ-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン;
・No.8:(2S,3R,5R,10R,13R,14S,17S)-2,3,14-トリヒドロキシ-17-[2-(2-ヒドロキシエチルスルファニル)アセチル]-10,13-ジメチル-2,3,4,5,9,11,12,15,16,17-デカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-6-オン
から選択される。
【0049】
特に、フィトエクジステロイドは、式(III)の化合物である。
【0050】
【化3】
【0051】
この化合物は以下BIO103と呼ぶ。
【0052】
本発明のさらなる利点、目的および特定の特徴は、添付の図面を参照して、本発明によるデバイスの少なくとも1つの特定の実施形態の以下の限定されない説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1A図1Aは、C57BL10遺伝子プールからのマウス群の労作耐性の代表的な図である:健常(C57)および未処置のmdx(ジストロフィン遺伝子での突然変異)。
図1B図1Bは、マウス群の労作耐性の代表的な図である:2ヶ月の処置後の未処置のmdx、BIO101で処置されたmdxおよびBIO103で処置されたmdx。
図2A図2Aは、C57BL10遺伝子プールからのマウス群の前脛骨筋の最大絶対等尺性筋力の代表的な図である:健常(C57)および未処置のmdx。
図2B図2Bは、マウス群の前脛骨筋の最大絶対等尺性筋力の代表的な図である:2ヶ月の処置後の未処置のmdx、BIO101で処置されたmdxおよびBIO103で処置されたmdx。
図3A図3Aは、C57BL10遺伝子プールからの様々なマウス群の心臓からの線維症マーカーCTGF(結合組織増殖因子)およびCol1a1(コラーゲン1)の遺伝子発現(mRNA)の代表的な図である:2ヶ月の処置後の健常(C57)、未処置のmdx、BIO101で処置されたmdxおよびBIO103で処置されたmdx。
図3B図3Bは、C57BL10遺伝子プールからの様々なマウス群の心臓からの線維症マーカーCTGF(結合組織増殖因子)およびCol1a1(コラーゲン1)の遺伝子発現(mRNA)の代表的な図である:2ヶ月の処置後の健常(C57)、未処置のmdx、BIO101で処置されたmdxおよびBIO103で処置されたmdx。
図3C図3Cは、C57BL10遺伝子プールからの様々なマウス群の心臓からの肥大マーカーmyh7(βミオシン重鎖)およびBMP4(骨形成因子4)の遺伝子発現(mRNA)の代表的な図である:2ヶ月の処置後の健常(C57)、未処置のmdx、BIO101で処置されたmdxおよびBIO103で処置されたmdx。
図3D図3Dは、C57BL10遺伝子プールからの様々なマウス群の心臓からの肥大マーカーmyh7(βミオシン重鎖)およびBMP4(骨形成因子4)の遺伝子発現(mRNA)の代表的な図である:2ヶ月の処置後の健常(C57)、未処置のmdx、BIO101で処置されたmdxおよびBIO103で処置されたmdx。
図4A図4Aは、ヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色された、健常C57BL10遺伝子プールマウス(C57)の前脛骨筋の組織学的切片の代表的な画像である。
図4B図4Bは、ヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色された、未処置のmdx C57BL10遺伝子プールマウス(mdx)の前脛骨筋の組織学的切片の代表的な画像である。
図4C図4Cは、ヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色された、BIO101で処置されたmdx C57BL10遺伝子プールマウス(mdx+BIO101)の前脛骨筋の組織学的切片の代表的な画像である。
図4D図4Dは、ヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色された、BIO103で処置されたmdx C57BL10遺伝子プールマウス(mdx+BIO103)の前脛骨筋の組織学的切片の代表的な画像である。
図5A図5Aは、C57BL10遺伝子プールからの健常(C57)および未処置のmdx(mdx)マウス群それぞれの、シリウスレッド(SR)で染色された、前脛骨筋の代表的な組織学的切片である。
図5B図5Bは、C57BL10遺伝子プールからの健常(C57)および未処置のmdx(mdx)マウス群それぞれの、シリウスレッド(SR)で染色された、前脛骨筋の代表的な組織学的切片である。
図5C図5Cは、C57BL10遺伝子プールからの健常(C57)および未処置のmdx(mdx)マウス群の線維化領域の定量の代表的な図である。
図5D図5Dは、BIO101で処置されたmdxマウス(mdx BIO101)およびBIO103で処置されたmdxマウス(mdx BIO103)の群の、シリウスレッド(SR)で染色された、前脛骨筋の代表的な組織学的切片である。
図5E図5Eは、BIO101で処置されたmdxマウス(mdx BIO101)およびBIO103で処置されたmdxマウス(mdx BIO103)の群の、シリウスレッド(SR)で染色された、前脛骨筋の代表的な組織学的切片である。
図5F図5Fは、BIO101で処置されたmdxマウス(mdx BIO101)およびBIO103で処置されたmdxマウス(mdx BIO103)の群の、線維化領域の定量の代表的な図である。
図6A図6Aは、C57BL10遺伝子プールのマウス群の腓腹筋の線維症マーカーコラーゲン1(Col1a1)の、ウエスタンブロットによって検出されたタンパク質発現を示す:健常(C57)、未処置のmdx(mdx)。
図6B図6Bは、C57BL10遺伝子プールのマウス群の腓腹筋の同じ線維症マーカーの、ウエスタンブロットによって検出されたタンパク質発現を示す:2ヶ月の処置後の未処置のmdx(mdx)、BIO101で処置されたmdxおよびBIO103で処置されたmdx。
図7A図7Aは、筋芽細胞の筋管への融合指数の代表的な図である。使用したヒト筋芽細胞は、DMDに罹患している患者から得た。分化筋芽細胞は、BIO101またはビヒクルで3日間処置した。
図7B図7Bは、筋管当たりの核の数の代表的な図である。使用したヒト筋芽細胞は、DMDに罹患している患者から得た。分化筋芽細胞は、BIO101またはビヒクルで3日間処置した。
図7C図7Cは、筋管の直径の代表的な図である。使用したヒト筋芽細胞は、DMDに罹患している患者から得た。分化筋芽細胞は、BIO101またはビヒクルで3日間処置した。
図8A図8Aは、DMDに罹患している患者からのヒト筋芽細胞におけるAKTおよびERK1/2タンパク質のリン酸化形態の、ウエスタンブロットによって検出されたタンパク質発現を示す。分化筋芽細胞は、BIO101で10分~24時間の期間処置した。
図8B図8Bは、DMDに罹患している患者からのヒト筋芽細胞におけるAKTおよびERK1/2タンパク質のリン酸化形態の、ウエスタンブロットによって検出されたタンパク質発現を示す。分化筋芽細胞は、BIO101で10分~24時間の期間処置した。
図9A図9Aはそれぞれ、DMDに罹患している患者から得られたヒト筋芽細胞の基礎および最大の呼吸を示す。分化筋芽細胞は、ビヒクルまたは異なる用量のBIO101で3日間処置した。細胞呼吸は、酸素消費速度を測定することにより決定される。
図9B図9Bはそれぞれ、DMDに罹患している患者から得られたヒト筋芽細胞の基礎および最大の呼吸を示す。分化筋芽細胞は、ビヒクルまたは異なる用量のBIO101で3日間処置した。細胞呼吸は、酸素消費速度を測定することにより決定される。
図10A図10Aは、健常(C57)および未処置のmdx C57BL10遺伝子マウス群の各筋線維を取り囲む血管の定量の代表的な図である。
図10B図10Bは、ビヒクルで処置されたmdxマウス(mdx)、BIO101(mdx BIO101)で処置されたmdxマウスおよびBIO103で処置されたmdxマウス(mdx BIO103)の群の各筋線維を取り囲む血管の定量の代表的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
この説明は、限定されるものではない。
【0055】
1.BIO101精製方法
BIO101は、以下の工程に従って、およそ90%純粋の20-ヒドロキシエクジソンの調製物から調製される:
a)およそ90%純粋の20-ヒドロキシエクジソンのメタノールへの熱溶解、濾過および部分濃縮、
b)3容量のアセトンの添加、
c)撹拌しながら0~5℃の温度へ冷却、
d)得られた沈殿物の濾過、
e)アセトンおよび水での連続したすすぎ、および
f)乾燥。
【0056】
この精製は、産業規模で実施可能なこの分子に好適な再結晶方法を必要とする。
【0057】
工程a)の濾過は、0.2μm(マイクロメートル)粒子フィルターによって実施される。
【0058】
工程a)の部分濃縮は、有利には、MeOHの存在下、50℃のオーダーの温度で、真空蒸留によって行われる。
【0059】
乾燥工程f)は、50℃のオーダーの温度で、真空で行われる。
【0060】
2.BIO103合成方法
BIO103は、20-ヒドロキシエクジソンからの半合成によって得られ、続いて、以下の調製方法に従って製薬等級への精製を行う:
【0061】
【化4】
【0062】
3段階でのBIO103合成図:
1)ポストステロンを得るための炭素C20とC22との間の20-ヒドロキシエクジソンの側鎖の酸化的開裂(当業者に公知のプロトコール)、
2)C21位への臭素原子の導入、
3)臭素化誘導体とエタン-チオールとの反応。
【0063】
3.BIO101およびBIO103の生物活性
市販の調製物中に存在する20Eの同化効果(anabolising effects)は若い動物ですでに実証されているが、線維症の進行性の発症が筋機能障害の一因となるミオパチーに罹患している哺乳動物の状況での20Eの効果は知られていない。ジストロフィン遺伝子に突然変異を呈する、C57BL10遺伝子プールからのmdxマウスを用いたデュシェンヌ型ミオパチーの動物モードを使用した(Bulfield et al.1984;Sicinski et al.1989)。
【0064】
Charles Riversで生産された、12週齢のC57BL10遺伝子プール(図において「C57」と示した野生マウス)およびC57BL10 mdx(デュシェンヌ型筋ジストロフィーのマウスモデル、図において「mdx」と示した)雄マウスを使用した。2群のmdxを、BIO101(マウスの数 n=9)またはBIO103(マウスの数 n=9)のいずれかに50mg/kg*日の用量で慢性的に経口曝露させた。C57マウス群(マウスの数 n=5)およびmdxマウス群(マウスの数 n=15)はビヒクルを受けた、すなわち、処置を受けなかった。全ての群の動物を、2ヶ月の処置後に運動耐用能について試験した(労作耐性試験)。労作耐性試験は、最大移動距離を測定することからなる(in-toto活動;図1Aおよび1B)。さらに、2ヶ月の処置後に前脛骨筋の最大絶対等尺性筋力を測定した(in-situ活動;図2Aおよび2B)。
【0065】
2ヶ月の経口処置は、週5日間の強制給餌と週2日の飲水からなる。
【0066】
労作耐性試験(in-toto機能研究:図1Aおよび1B)
労作耐性試験は、強制的モーター駆動トレッドミル運動である。これは、in-toto骨格機能を評価するための非侵襲的方法である。これは当技術分野での至適規準法である(Ferry et al.1992,1993;Hadj-Said et al.2012)。
【0067】
動物の順化期間は、最大走行距離を測定するセッションの前の少なくとも48時間である。試験中、マウスは、試験実施者によってその強度および持続時間が制御された運動を可能にする電動化トレッドミル上の走行帯に配置される。トレッドミルは先端が水平グリッドになっており、動物がそのグリッドと1秒を超えて接触している場合、電気ショック(0.4mA)が与えられる。
【0068】
走行セッションは2分のウォームアップ期間から始まり、その間に速度は0から20cm/秒まで増加させる。続いて、走行速度は、マウスの最大能力の限界まで10分ごとに5cm/秒ずつ増加させる。10秒未満で5回のショックを受けた場合、試験を停止する。移動距離が記録される。
【0069】
予想どおり、ジストロフィン遺伝子に突然変異を提示する動物(mdx)の走行は、健常動物(C57)よりも有意に少ない(-80.4%、p<0.001、マン・ホイットニー検定)ことが観察される(図1A)。2ヶ月の毎日の曝露の後(図1B)、BIO101またはBIO103を受けたmdx動物の走行は、ビヒクルを受けたmdx動物よりも有意に多い。BIO101およびBIO103は、未処置のmdx動物(ビヒクル)の移動距離と比較して、それぞれ+136%および+67%だけ移動距離を有意に改善する(それぞれ、p<0.001およびp<0.05、対応のないt検定)。重要なことには、本発明者らは本明細書において、BIO101またはBIO103でmdx動物を処置することにより、ジストロフィン遺伝子突然変異を有する動物(mdx)で観察される著しい機能損失が部分的に補償されることを実証している。ミオパチーに罹患している動物の全体的な身体能力(The overall physical performances physiques)(in-toto活動)はBIO101(2.4倍)およびBIO103(1.7倍)によりかなり大幅に改善される。
【0070】
この研究は、BIO101またはBIO103での処置が、動物ミオパチーモデルにおける労作耐性の大幅な改善を特徴とする機能改善をもたらすことを実証している(図1Aおよび1B)。
【0071】
前脛骨筋の最大絶対等尺性筋力(in-situ機能研究:図2
前脛骨筋のin-situ収縮性の評価は、プロトコールの最後に、すなわち、2ヶ月の処置後に実施される。
【0072】
犠牲当日、前脛骨筋(TA)のin-situ筋力の測定前に、ペントバルビタール(55mg/kg、0.1mL/10g体重)の腹腔内注射によりマウスに麻酔をかける。足の上部の皮膚を切開し、その遠位端で切断した腱を露出させる。TAの遠位の腱をサーボモーターレバー(305B Dual-Mode Lever、Aurora Scientific)に取り付ける。大腿部の側面の皮膚を切開し、2つの筋肉群間の坐骨神経を露出させる。坐骨神経を双極電極で刺激する(10Vの超最大矩形波パルス、0.1m秒)。筋力を、電気刺激(周波数75~150Hz、持続時間500m秒)に応答した収縮中に測定する。ラジアントランプを使用して、マウスの温度を37℃に保つ。最大絶対等尺性強縮筋力を測定する。
【0073】
予想どおり、mdx動物の最大絶対等尺性収縮は、健常C57動物よりも有意に低い(p<0.05、対応のないt検定)ことが観察される(図2A)。2ヶ月の処置の後、BIO101(+15.3%、p<0.05、対応のないt検定)およびBIO103(+22.5%、p<0.001、対応のないt検定)で50mg/kg*日の用量で処置されたmdx動物では、ビヒクルを受けたmdx動物と比較して、前脛骨筋の最大絶対等尺性筋力の有意な増加が観察される(図2B)。
【0074】
この研究は、BIO101またはBIO103での処置が、動物ミオパチーモデルにおける前脛骨筋の最大絶対等尺性筋力の大幅な増加を特徴とする機能改善をもたらすことを実証している(図2Aおよび2B)。
【0075】
心筋線維症および心臓肥大(分子研究:図3A、3B、3C、3D)
線維症および心臓肥大のマーカーの評価は、プロトコールの最後に、すなわち、2ヶ月の処置後に実施される。犠牲当日、マウスを断頭により安楽死させ、心臓を摘出し、直ちに液体窒素で凍結する。TRIzol(登録商標)溶解試薬(Life technologies)および組織ホモジナイザー(Bio-Gen PRO200)により全RNAを抽出する。抽出物RNAを分光光度法により定量し、その品質をExperion RNA StdSens Analysis Kit(Bio-Rad)により検証・確認する。次に、RevertAid First Strand cDNA Synthesis Kit(Thermo Fisher Scientific)によりcDNAを合成する。最後に、384ウェルプレートでSYBR(登録商標)Green(Roche)、DNAインターカレート剤およびLightCycler(登録商標)480 Real Time PCR(Roche)装置を使用して、半定量的PCR分析を実施した。測定した分子マーカーは以下のとおりである:
・CTGFおよびコラーゲンI:結合組織増殖因子(CTGF)は、治癒およびDMDを含む多くの病理学的線維化プロセスと関連している(Brigstock 2010;Song Y.2017)。CTGFの遺伝子発現の増加は、mdxマウスにおける心臓線維症と関連している(Au 2011)。CTGFは、心臓線維芽細胞でのコラーゲン合成(コラーゲンI)を刺激し、心筋線維症の一因となる(Wang 2010)、
・myh7:βミオシン重鎖(myh7)のmRNA発現の増加は心臓肥大と関連している。この胚型アイソフォームは、心不全の発症に応答して、成人の心筋で発現される(Yin et al.2014)。さらに、myh7発現の増加は、特に、DMD(Murphy et al.2016)および不整脈惹起性心筋症で実証されており、これらは両方とも心筋細胞喪失と心筋線維症の発症を特徴としている(Gercek 2017)。
・BMP4:骨形成タンパク質4(BMP4)は、筋性分化の重要なリプレッサーである。これは、DMDにおける筋肉再生プロセスを妨害する(Shi 2011)。
【0076】
DMDにおける心臓線維症の発症に関連する分子マーカーの分析により、mdx動物でのCTGFおよびコラーゲンI(Col1a1)の遺伝子発現が、健常動物と比較して有意に増加することが確認される(それぞれ、p<0.001およびp<0.05、対応のないt検定、図3A)。BIO101での50mg/kg*日の用量での2ヶ月の処置は、BIO101で処置されたmdx動物でのCTGFの遺伝子発現を、ビヒクルを受けた対照mdx動物と比較して妨げている(p=0,0506、対応のないt検定)(図3B)。BIO103で同じ用量でmdx動物を処置することにより、Col1a1の遺伝子発現は、対照mdx動物と比較して妨げられる傾向がある(図3B)。
【0077】
myh7の遺伝子発現は、野生C57動物と比較してmdx動物において有意に増加している(p<0.05、対応のないt検定)(図3C)。BIO101およびBIO103で50mg/kg*日の用量でmdx動物を処置することにより、ビヒクルを受けたmdx動物と比較してmyh7の発現は有意に低下する(p<0.01、対応のないt検定)(図3D)。さらに、BIO101は、BMP4の遺伝子発現を、ビヒクルを受けた対照mdx動物と比較して低下させる(p=0.0529、対応のないt検定)(図3D)。
【0078】
骨格筋線維症(組織学的研究:図4および5)
組織学的研究による筋線維症の評価は、前脛骨筋(TAと略す)で実施される。組織学的切片(7μm)を作出し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)またはシリウスレッド(SR)のいずれかで染色する。
【0079】
HEで染色された前脛骨筋切片の解剖病理学的研究により、筋線維の関与の程度を評価することが可能になる。C57動物(図4A)、mdx動物(図4B)、BIO101で処置されたmdx動物(図4C)およびBIO103で処置されたmdx動物(図4D)から得られた、HEで染色された前脛骨筋切片の代表的な画像を示す。スケールバーは200μmに相当する。C57マウスのTA筋では筋肉病変は見られない(図4A)。未処置のmdxマウスのTA筋は、多種多様な病変プロフィールを示している:数多くの壊死線維を伴う中等度の赤血球大小不同症。一部の筋肉は、それらに関する限り、大部分の筋細胞の萎縮を伴う顕著~重度の多巣性赤血球大小不同症、ならびに関連する線維症(図4B)および単核細胞浸潤物(本質的にはマクロファージ)を伴う大きな慢性炎症性病巣を示す。Δ記号は、線維症が関連する炎症性病巣を示す。最後に、一部の筋肉は、大きな急性壊死プラークを示す。BIO101で処置されたマウスの筋肉は、2種類の病変プロフィールのみを示す:赤血球大小不同症、壊死または炎症がほとんどない軽症の病変プロフィール(37.5%、8つのTA筋のうち3つ)と、赤血球大小不同症、散在性壊死線維および様々な炎症を伴う顕著な病変プロフィール(62.5%、8つのTA筋のうち5つ)(図4C)。興味深いことに、BIO103で処置されたマウスの筋肉は、軽症の病変プロフィールを有する筋肉病変がより少ない。実際には、BIO103で処置された筋肉の67%(9つのTA筋のうち6つ)は、このカテゴリーに分類することができる。組織学的には、筋細胞の大部分は、中心核(壊死-再生現象の指標)、最小限から軽微までの大きさの変化(赤血球大小不同症)、いくつかの稀な極めて委縮した壊死筋細胞(壊死の初期段階;黒色矢印、図4D)、および筋内膜のいくつかの稀な炎症細胞を示す。BIO103で処置された他の筋肉は、赤血球大小不同症、散在性壊死線維を伴うやや壊死傾向を有する顕著な病変プロフィール(TA筋の11%、9つのTA筋のうち1つ)、および急性壊死、すなわち、重大な赤血球大小不同症を伴うが壊死線維を伴わない萎縮の傾向にある顕著な病変プロフィール(11%、9つのTA筋のうち1つ)を示す。最後に、TA筋のうちの1つは、再生しない大きな急性壊死プラークを伴う重度の病変プロフィールを示す(11%、9つのTA筋のうち1つ)。
【0080】
SRで染色された前脛骨筋切片の解剖病理学的分析により、線維化面積を定量することが可能になる。SR染色により、組織学的切片上の線維化領域を可視化することが可能になる(Rittie 2017)。C57動物(図5A)、mdx動物(図5B)、BIO101で処置されたmdx動物(図5D)およびBIO103で処置されたmdx C57動物(図5E)から得られた、SRで染色された前脛骨筋切片の代表的な画像を示す。スケールバーは200μmを表す。mdx群での線維症に相当する面積パーセンテージは、C57群と比較して有意に増加している(p<0.001、マン・ホイットニー検定)(図5C)。黒色矢印は、重大な筋線維症を示す領域を示す。mdx動物をBIO103で処置することにより、線維症の発症は、ビヒクルを受けた対照mdx群と比較して、明らかに妨げられる傾向がある(p=0.0709、対応のないt検定)(図5F)。
【0081】
骨格筋線維症(生化学的研究:図6
前脛骨筋で行われた観察と一緒に、腓腹筋で筋線維症のマーカーの評価を実施する。筋肉は、RIPA溶解バッファー中4℃で16時間穏やかに撹拌して解離する。タンパク質をアッセイし、SDS PAGEゲルで分離した後、PVDF膜に転写する。コラーゲンIを、ウエスタンブロットにより検出し、化学発光により検出し、次いで、GAPDH検出を基準にして正規化した後にデンシトメトリーで定量する。予想どおり、mdxマウスの腓腹筋でのコラーゲンIのタンパク質発現は、健常マウスの筋肉(C57)と比較して有意に増加している(p<0.01;対応のないt検定)。コラーゲンIのタンパク質発現は27倍増加している(図6A)。mdxマウスをBIO103で処置することにより、コラーゲンIのタンパク質発現が未処置のmdxマウス(ビヒクル)と比較して有意に低下することを観察することが可能になる(p<0.01; 対応のないt検定)(図6B)。
【0082】
BIO101およびBIO103の生物活性に関するさらなる実験結果は、本明細書の以下のセクション5に示されている。
【0083】
4.BIO101のin vitro生物活性
筋管への筋芽細胞の分化
Sterrenburg et al.は、DMD細胞における無益な筋肉再生が、筋芽細胞分化障害および筋管維持不全によって起こることを実証した(Turk et al.,2006)。DMD筋管の増殖減少、融合障害および維持不全の組合せが、無益な筋肉再生をもたらし、DMD患者の重度の表現型の一因となりうる。
【0084】
筋管分化を評価するために様々なパラメーターが測定されている。ヒトDMD骨格筋細胞(KM571DMD10FL Cl1)を3日間分化させた後、10μMのBIO101の存在または不在下でインキュベートした。融合指数および筋管当たりの核の数を、関連のある感度の高い筋管分化指標として確認した。
【0085】
図7Aに示す融合指数は、細胞全体に対する分化した細胞核の割合を表す。
【0086】
筋管当たりの核の数を図7Bに示し、300の筋管を計数した。
【0087】
筋管の直径を図7Cに示し、条件ごとに150の筋管を測定した。
【0088】
BIO101の存在下で筋管へのヒトDMD筋芽細胞の分化の増強が観察される(図7A、7Bおよび7C)。融合指数の+7%(p<0.001)の有意な上昇が観察される。
【0089】
これと同時に、筋管当たりの核の数の34%増加(p<0.01)および筋管の直径の21%増加(p<0.001)が起こる。
【0090】
図7A、7Bおよび7Cの結果は、3回の独立した実験中に測定された平均データ±標準誤差(SEM)を示す。マン・ホイットニー検定を使用した統計分析では、10μM(マイクロモル)の濃度のBIO101で処置された細胞と、未処置の対照細胞(図7では「CTL」と表記)とで有意差を示している、p<0.01(**); p<0.001(***)。
【0091】
シグナル伝達経路
PI3K/AKT/mTOR シグナル伝達経路は、細胞成長、増殖、運動性、生存、アポトーシス、自己貪食および血管新生において重要な役割を果たす(Hay et al.,2004)。
【0092】
ERK1およびERK2を含むMAPキナーゼ(マイトジェン活性化プロテインキナーゼから省略)は、筋肉再生、再構築および収縮などの様々な機能に関与する。mdxマウスでは、筋細胞でのPI3K/AktおよびMAPK経路の活性化が有益な効果に特に関連することが実証されている(Roffe et al.,2010)(Turgeman et al.,2008;Huebner et al.,2008)。
【0093】
ヒトDMD骨格筋細胞(KM571DMD10FL Cl1)を5日間分化させた後、所望により、10μMのBIO101とともに10分~24時間の期間にわたってインキュベートした。
【0094】
AKT(図8A)およびERK1/2(図8B)のリン酸化に対するBIO101の効果を記載した少なくとも6回の独立したウエスタンブロット実験の結果のデンシトメトリー分析を示す、*p<0.05 対未処置の対照。
【0095】
BIO101がp-AKTおよびp-ERK1/2の大幅な増加を誘導することが観察される。
【0096】
示された結果を読み取ると、BIO101はヒトDMD筋細胞においてAKTおよびMAPKシグナル伝達経路の重大な早期活性化を誘導することが観察される。
【0097】
細胞呼吸
DMD筋線維において基礎ミトコンドリア呼吸の減少が存在することが知られている(Schuh et al.2015)。
【0098】
興味深いことに、DMD患者の筋管では、DMD患者の筋芽細胞の分化の点からのBIO101の有益な特性(図7)と同時に、エネルギー代謝に対するプラスの効果が起こる。
【0099】
ヒトDMD骨格筋細胞(KM571DMD10FL Cl1)を4日間分化させた後、BIO101(1または5μM)の存在下または不在下で2日間インキュベートした。OCRとしても知られる、細胞のミトコンドリア呼吸を反映する酸素消費速度は、Seahorse XF Analyzer(登録商標、Agilent)使用して測定した。
【0100】
基礎呼吸は直接測定するが、最大呼吸はオリゴマイシン、続いて、FCCPを添加した後に測定する(図9Aおよび図9B)。結果は、未処置の細胞のOCRを参照し、平均±標準誤差(SEM)の形で示している。
【0101】
BIO101での2日間の処置後、DMD患者の細胞は未処置の細胞と比較して基礎呼吸および最大呼吸が大幅に増加したようである。
【0102】
より具体的には、BIO101で1μMの用量で処置された細胞で20%増加した基礎呼吸(p<0.01)が観察される。BIO101で5μMの用量で処置された細胞で21%増加した基礎呼吸(p<0.001)が観察される。BIO101で1μMの用量で処置された細胞で51%増加した最大呼吸(p<0.05)が観察される。BIO101で5μMの用量で処置された細胞で22%増加した最大呼吸(p=0.13)が観察される。
【0103】
示されている結果は、少なくとも4回の独立した実験から得られたものである。
【0104】
マン・ホイットニー統計検定により、1および5μMのBIO101で処置された細胞と未処置の細胞との間での有意差の実証が可能になった、p<0.05(*)、<0.01(**)、0.001(***)。
【0105】
BIO101は、DMD患者の筋細胞でのエネルギー代謝の増強に寄与する。
【0106】
5.BIO101およびBIO103のin vivo生物活性
横紋のある骨格筋は体の最も血管が多い組織の1つであり、内皮細胞は筋肉再生プロセスに不可欠である。ジストロフィンは血管の平滑筋細胞のレベルで存在し、その不在は血管化障害を引き起こす可能性がある。実際には、DMD筋肉では、壊死線維が非常に多くの場合クラスター化されていること、およびこの現象はこの線維クラスターへの一般的な毛細血管の血流の減少によるものであり、虚血性線維壊死が誘導されることが実証されている(Rando、2001)。
【0107】
血流に加えて、つい最近の研究によりmdxマウスでは血管密度が減少していることが実証された(Loufrani et al.,2004;Matsakas et al.,2013)。また、さらなる研究により、mdxマウスモデルでは血管新生に障害があることも実証された(Palladino et al.,2013)。これらの研究は、DMDではその質、その量の点からであろうと血管新生の点からであろうと血管化不足があること、および筋肉組織が虚血状態に置かれていることを示す理論的根拠があることを示している。
【0108】
骨格筋血管化
定量的血管化研究は、健常C57マウスの前脛骨筋(TAと略す)の切片で実施され、同様に、ビヒクルで処置されたmdxマウスおよび BIO101またはBIO103で処置されたmdxマウスでも実施された。
【0109】
二重免疫蛍光標識、つまり、筋線維の基底膜を確認する機能を有する抗ラミニン標識と、血管を確認する機能を有する抗CD31標識とを実施する。筋線維当たりの血管数を定量する。
【0110】
予想どおり、ジストロフィン遺伝子に突然変異を示す動物(mdx)は筋線維当たりの血管数の減少を示すことが観察される。観察された減少は、健常動物(C57)と比較して27.2%である(p<0.01)(図10A)。
【0111】
mdx動物は、ビヒクルまたはBIO101(50mg/kg*日)またはBIO103(50mg/kg*日)のいずれかを、経口的に毎日受けた。2ヶ月の毎日の曝露の後の筋線維数の定量の結果を図10Bに示す。
【0112】
BIO101またはBIO103を受けたmdx動物がビヒクルを受けたmdx動物よりも多数の血管化を示すことが観察される。BIO101は筋線維当たりの血管数を14.1%の増加により改善させる(p=0.13、対応のないt検定)傾向があることが観察される。より顕著には、BIO103は、筋肉の血管化を未処置のmdx動物(ビヒクル)と比較して有意に増加させる28.2%(p=0.006、対応のないt検定)。
【0113】
BIO101、特にBIO103での処置により筋線維当たりの血管数は増加する。
【0114】
これらの結果は、in vitroおよびin vivoでの様々な筋肉パラメーターに対するBIO101およびBIO103の有効性を実証する。実際には、DMDに罹患している患者の筋細胞をBIO101またはBIO103で処置することにより、それらが細胞の分化、およびエネルギー代謝(ミトコンドリア呼吸)を増強することおよびそれらがin vivoでの筋肉血管化を増加させることが可能であり、そのことが適切な筋機能にとって重要であることが実証される。
【0115】
結論
従って、ミオパチーに罹患している哺乳類における筋機能、ならびに心筋および骨格筋の線維症の発症に対するBIO101およびBIO103の特性から考えて、BIO101およびBIO103の使用が、筋機能、特に筋力および労作耐性を保存し、その結果として、前記筋機能の悪化をもたらすミオパチーの進行、より詳しくは、線維症の発症を遅らせるために、単独でまたは遺伝的変化の影響を修正することを目的とした処置と一緒に提案されうる。これらのミオパチーには、遺伝性ミオパチー、特にデュシェンヌ型筋ジストロフィーが含まれる。
【0116】
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