(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/894 20060101AFI20230614BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230614BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230614BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61K8/894
A61K8/891
A61K8/06
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019559189
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 JP2018045783
(87)【国際公開番号】W WO2019117226
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2017240765
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】大村 孝之
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-158714(JP,A)
【文献】国際公開第2016/178380(WO,A1)
【文献】特開2015-124203(JP,A)
【文献】特開2005-314327(JP,A)
【文献】特開2017-160126(JP,A)
【文献】特表2008-522982(JP,A)
【文献】特開2014-172872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.5~10質量%の
シリコーン鎖がポリエーテルで架橋された構造を有する吸油性シリコーンエラストマー、
(b)3~15質量%の吸油性シリコーン粉末、
(c)液状油分、及び
(d)
30質量%以下の水を含有し、
球状ポリウレタン樹脂粉末を含まず、
前記(c)液状油分が、揮発性シリコーン油及び揮発性炭化水素油を含む揮発性液状油分を含有し、前記(c)液状油分全量に占める当該揮発性液状油分の割合が50質量%以上であり、
シャーベット状の外観を呈することを特徴とする、油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
(a)シリコーンエラストマーの配合量と(b)シリコーン粉末の配合量の比率((a):(b))が10:1~1:10の範囲内である、
請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(e)冷感成分を更に含有する
、請求項1または2に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャーベット状の外観を呈する油中水型乳化化粧料に関する。さらに詳しくは、外観はシャーベット状でありながら肌に塗布するとサラサラした感触のパウダーに変化する新規で独特な使用感を有する油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
「シャーベット」は、一般的には、果汁や砂糖水を撹拌しながら凍らせた氷菓子を意味する。シャーベットは氷塊からなり、スプーン等でサクッと粉砕して口に入れることにより冷たく爽やかな口当たりを楽しむことができる。従って、シャーベットを想起させる外観(シャーベット状の外観)を有する化粧料は、使用者が実際にシャーベットに触れたときやシャーベットを口にしたときの感覚を呼び起こすことによって、視覚的に清涼感を与えることができる。
【0003】
特許文献1に記載されているエアゾール組成物は、エアゾール容器から噴射した際に、噴射剤の揮発に伴う蒸発潜熱により氷結してシャーベット状となる。即ち、この組成物は、実際に氷結してシャーベット状となるため、視覚のみならず触覚からも清涼感を与えるものである。
【0004】
特許文献2には、ポリアクリル酸ナトリウムと、セルロースガム等の水溶性増粘剤を含む組成物で、シャーベットと類似の化粧料剤形を製造することができたと記載されている。しかしながら、特許文献2は、シャーベットに類似した外観に基づく視覚的効果等については言及しておらず、組成物の柔らかい物性とピーリング効果が評価されているのみである。また、特許文献2において実際に調製されているのは水を多量に含有する水中油型乳化化粧料(パック剤)であり、油中水型乳化化粧料は記載されていない。
【0005】
特許文献3には、使用時にシャーベット様の感触を有する固形状の油中水型乳化化粧料が記載されている。しかし、当該化粧料の外観はシャーベット状ではなく、使用時にサクッとしたシャーベットのような感触を生じるのみである。また、特許文献3の化粧料にはメントール等の清涼剤が配合されているので清涼感は得られるが、固形油を必須成分としているため肌に塗布した際の感触が重く、サラサラとしたパウダー感は得られないと推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-5715号公報
【文献】特表2013-544280号公報
【文献】特開2000-351712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、油中水型乳化物でありながら、視覚的に清涼感を与えるシャーベット状の外観を呈するのみならず、肌に塗布した際にサラサラとしたパウダー感を与えることのできる新規な油中水型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、吸油性シリコーンエラストマーと吸油性シリコーン粉末とを組み合わせて配合し油中水型乳化化粧料において、当該シリコーンエラストマー及び/又はシリコーン粉末に液状油分を吸収させることにより、シャーベット状の外観を呈し、なおかつ使用時にはサラサラとした粉末のような感触を与える新規な化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(a)0.5~10質量%の吸油性シリコーンエラストマー、
(b)3~15質量%の吸油性シリコーン粉末、
(c)液状油分、及び
(d)水を含有し、シャーベット状の外観を呈することを特徴とする、油中水型乳化化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の油中水型乳化化粧料は、エモリエント効果を有する油分を含有し得る油中水型乳化化粧料でありながら、視覚的に清涼感を与えるシャーベット状の外観を呈し、なおかつ肌に塗布した際には、サラサラとしたパウダー感を与える新規かつ独特な使用感触を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の油中水型乳化化粧料(以下、単に「本発明の化粧料」ともいう)は、(a)吸油性シリコーンエラストマー、(b)吸油性シリコーン粉末、(c)前記成分(a)及び/又は(b)に吸収される液状油分、及び(d)水を含有する。
【0012】
(a)吸油性シリコーンエラストマー
本発明の化粧料における「吸油性シリコーンエラストマー(成分a)」は、架橋した不定形のシリコーンエラストマーである。より具体的には、シリコーン主鎖がアルキレン鎖又はポリオキシアルキレン鎖等で架橋された三次元構造を有するシリコーンエラストマーである。
【0013】
吸油性シリコーンエラストマーのシリコーン鎖(主鎖)は、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等からなるポリシロキサン骨格を有し、アルキル変性、ポリエーテル変性等の修飾がされていてもよい。架橋部分は、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリブチレングリコール(PBG)等のポリオキシアルキレン(ポリエーテル)鎖であるのが好ましい。
【0014】
本発明の化粧料における吸油性シリコーンエラストマーは、油分に分散させたペーストの形態で配合してもよい。分散させる油分としては、特に限定されないが、例えば、シクロペンタシロキサン等の環状シリコーン油、ジメチコン、メチルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等の直鎖状又は分岐鎖状のシリコーン油、ミネラルオイル、イソドデカン、スクワラン等の炭化水素油が挙げられる。
【0015】
吸油性シリコーンエラストマーを含むペースト形態で入手可能な市販品としては、例えば、EL-7040(PEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー;カプリリルメチコン)、EL-8050 ID(PEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー;イソドデカン)、EL-8051 IN(PEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー;ネオペンタン酸イソデシル)、EL-8052 IH(PEG-12ジメチコン/PPG-20クロスポリマー;イソヘキサデカン)、9040(ジメチコンクロスポリマー;シクロペンタシロキサン)、9045(ジメチコンクロスポリマー;シクロペンタシロキサン)、9240(ジメチコンクロスポリマー;ジメチコン(2cs))、及び9041(ジメチコンクロスポリマー;ジメチコン(5cs))[以上、東レ・ダウコーニング社製]、KSG-042Z(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコンクロスポリマー;イソドデカン)、KSG-045Z(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコンクロスポリマー;シクロペンタシロキサン)、KSG-320Z(PEG-15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコンクロスポリマー;イソドデカン)、KSG-350Z(PEG-15/ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコンクロスポリマー;シクロペンタシロキサン)、KSG-15(ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー;シクロペンタシロキサン)、KSG-16(ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー;ジメチコン)、KSG-18A(ジメチコン/フェニルビニルジメチコンクロスポリマー;ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン)、KSG-210(ジメチコン/PEG-10/15クロスポリマー;ジメチコン)、KSG-310(PEG-15/ラウリルジメチコンクロスポリマー;ミネラルオイル)、KSG-710(ジメチコン/ポリグリセリン-3クロスポリマー;ジメチコン)、及びKSG-830(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン-3)クロスポリマー;トリオクタノイン)[以上、信越化学工業社製]等が挙げられるが、これらに限定されない。上記の括弧内は、(エラストマー名称;媒体)を意味する。
【0016】
本発明の化粧料における(a)吸油性シリコーンエラストマーの配合量は、その実分で、化粧料全量に対して0.5~10質量%であり、好ましくは0.6~8質量%、より好ましくは0.7~6質量%である。配合量が1質量%未満であるとサラサラした使用感とならず、10質量%を超えて配合するとシャーベット状の外観にならない場合がある。
【0017】
(b)吸油性シリコーン粉末
本発明の化粧料における「吸油性シリコーン粉末(成分b)」は、ポリシロキサン主鎖を架橋した三次元構造を持つシリコーンエラストマーからなる粉末である。成分bは、球状等の確定した形状を有する粉末であって、不定形のシリコーンエラストマー(成分a)とは区別される。
本発明の吸油性シリコーン粉末としては、主鎖及び架橋部分がともにシリコーン鎖からなるシリコーンエラストマー粉末が好ましく用いられる。また、シリコーン粉末を媒体中に分散した形態のものを使用することもできる。吸油性シリコーン粉末の市販品としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製のトレフィルシリーズ(トレフィルE-505C、トレフィルE-506C、トレフィルE-506S、トレフィルE-505W等)を挙げることができる。
【0018】
本発明の吸油性シリコーン粉末の形状は、特に制限されるものではないが、球状、真球状、楕円状の粉末が好ましく用いられる。吸油性シリコーン粉体の平均粒子径は、特に限定されないが、0.1~100μm、好ましくは1~50μmであるのが好ましい。また、吸油性シリコーン粉末は、例えば、JIS A硬度(ゴム硬度)が20~100、好ましくは30~80の弾性を有する球状粉末とするのが好ましい。
【0019】
本発明の化粧料における(b)吸油性シリコーン粉末の配合量は、化粧料全量に対して3~15質量%であり、好ましくは4~12質量%、より好ましくは5~10質量%である。配合量が3質量%未満であるとシャーベット状の外観にならず、15質量%を超えて配合するとサラサラした使用感が得られない場合がある。
【0020】
本発明の化粧料に配合される吸油性シリコーンエラストマー(成分a)及び吸油性シリコーン粉末(成分b)における「吸油性」は、例えば、JIS K-5101(吸油量)に準じて測定される吸油量により定義することができる。
【0021】
例えば、シリコーン油(低~中粘度のジメチコン;例えば「SH200C-5CS」、東レ・ダウコーニング社製)を用い、JIS K-5101に準じて、試料(シリコーンエラストマー又はシリコーン粉末)1gを精密にガラス板上に秤りとり、シリコーン油を少量ずつ試料の中心に添加し、その都度ヘラで均一になるように練り合わせる。そして全体がペースト状になり、流動化する直前を終点とし、それまでに添加したシリコーン油の量を吸油量とする。吸油量の単位は、試料100g当たりの吸油量として次式により算出する。
【0022】
【0023】
本発明においては、粘度5cStのジメチコンを用いた測定から上記の式に従って計算した吸油量が200g/100g以上である試料を「吸油性」と定義する。
【0024】
本発明の化粧料では、(a)シリコーンエラストマーの配合量と(b)シリコーン粉末の配合量の配合量比率((a):(b))を10:1~1:10の範囲内とするのが好ましく、より好ましくは2:1~1:8、さらに好ましくは1:1~1:7の範囲内である。
【0025】
(c)液状油分
本発明の化粧料に配合される液状油分(成分c)は、常温(25℃)で液状の油分であり、化粧品に用いられる炭化水素油、エステル油、シリコーン油、液体油脂等から選択することができる。
本発明における液状油分は、前記成分a(吸油性シリコーンエラストマー)又は成分b(吸油性シリコーン粉末)のいずれか一方又は両方に吸収される液状油分を少なくとも1種含んでいる。「吸収される液状油分」とは、当該液状油分に対する前記成分a又は成分bの「吸油量」(上記式で定義される値)が、100g/100g以上、好ましくは200g/100g以上である液状油分を意味する。
本発明で好ましく用いられる液状油分の具体例を挙げると以下の通りである。
【0026】
炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン、イソヘキサデカン、イソドデカン等が例示される。
【0027】
エステル油としては、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、エチルヘキサン酸セチル、ホホバ油、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、トリイソステアリン、ジイソステアリン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、パルミチン酸イソプロピル、マカダミアナッツ脂肪酸フィトステリル、テトラ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ジピバリン酸トリプロピレングリコール、セバシン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソデシル等が例示できる。
【0028】
シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーンなどが例示される。
【0029】
液体油脂としては、アマニ油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ナタネ油、大豆油、落花生油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が挙げられる。
【0030】
また本発明における液状油分には、常温で液状の紫外線吸収剤も包含される。紫外線吸収剤としては、オクチルメトキシンナメート、オクトクリレン、ポリシリコーン-15、ビスレゾルシニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、オキシベンゾン-3等が例示される。
【0031】
本発明の化粧料では、複数の液状油分を組み合わせて配合してもよく、少なくとも1種の揮発性液状油分を配合するのが好ましい。揮発性液状油分は、イソドデカン等の揮発性炭化水素油、及び、低粘度(5sc以下)の鎖状シリコーン油、環状シリコーン油等の揮発性シリコーン油から選択できる。中でも、揮発性シリコーン油を配合するのが特に好ましい。
【0032】
本発明の化粧料における液状油分(成分c)の配合量は、特に限定されないが、化粧料全量に対して5~50質量%が好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
また、液状油分全量に占める揮発性液状油分の割合を50質量%以上とするのが好ましい。
【0033】
(d)水
本発明の化粧料における水(成分d)は、油中水型乳化化粧料の内相を構成する成分である。
本発明の化粧料における水(成分d)の配合量は、特に限定されないが、化粧料全量に対して40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。配合量の下限値は、例えば、5質量%以上、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。
【0034】
本発明の化粧料は、前記必須成分(a)~(d)を組み合わせることによりシャーベット状の外観を呈する油中水型乳化化粧料である。本発明の化粧料においては、その硬度(25℃でレオメーター(11.3φ、3mm針入)を用いて測定した硬度)を3~40とするのが好ましい。さらに、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)との比(G”/G’=tanδ)が1となる点が歪み1~10%の範囲にある粘弾性を有するように調製するのが好ましい。前記のような硬度及び粘弾性とすることにより、外観のみならず触感もシャーベットに類似するものとなる。
【0035】
本発明の化粧料は、シャーベット状の外観から視覚的に清涼感を与えることができる。さらに、本発明の化粧料に(e)冷感成分を配合すれば、使用時にサラサラしたパウダー感を伴う清涼感を実感することが可能となる。
本発明で用いられる(e)冷感成分(清涼剤)は、化粧料に通常配合され得る冷感成分であれば特に限定されず、例えば、クロダモール(ヘプタン酸ステアリル/カプリル酸ステアリル)、メントール、バニルブチルエーテル(VBE)、カンファー、ミント等が例示される。
【0036】
本発明の化粧料は、化粧料等に通常配合される他の任意成分を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。他の任意成分としては、限定されないが、保湿剤(1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類を含む)、低級アルコール(エタノール、プロパノール等)、増粘剤、粉末((b)吸油性シリコーン粉末を除く)、天然又は合成の高分子、糖又は糖アルコール、酸化防止剤、緩衝剤、各種抽出液、安定化剤、防腐剤、色素、香料等が挙げられる。
【0037】
本発明の化粧料は、油中水型乳化化粧料の常法に従って製造することができる。但し、(a)吸油性シリコーンエラストマー、(b)吸油性シリコーン粉末、および(c)液状油分(成分a又は成分bに吸収されるもの)を予め混合して混合物とし、別途調製した油中水型乳化物(クリーム基剤)に前記混合物を添加して任意に撹拌することによって調製するのが好ましい。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、配合量は全量に対する質量%を表す。
【0039】
下記の表1に示す組成で、油中水型乳化化粧料(クリーム基剤)を調製した。
【表1】
【0040】
下記の表2に示す原料を混合撹拌して混合物とした。表1及び表2に記載した配合量の値は、表1のクリーム基剤と表2の混合物とを合わせた化粧料全量に対する質量%である。
【表2】
【0041】
表1のクリーム基剤に表2の混合物を添加して得られた化粧料(実施例1~19)は、全てシャーベット状の外観を有しており、塗布した際にはサラサラしたパウダー感を与えた。また、配合した冷感剤により塗布した皮膚に冷たい触感を与えた。
表3及び4には、各化粧料の硬度(11.3φ)の値を記載した。全ての実施例で硬度が3から40の範囲内にあり、触覚からもシャーベットを想起させるものであった。
【0042】
【0043】
【0044】
次に、前記表1のクリーム基剤の量及びシリコーンエラストマーの量を変えて以下の化粧料を調製した(表5)。
【0045】
【0046】
実施例A、B及びCの化粧料は、いずれもシャーベット状の外観を有しており、塗布した際にはサラサラしたパウダー感を与えた。一方、吸油性シリコーンエラストマーを配合しない比較例Dは、外観はシャーベットに類似していたが、ボソボソと崩れてしまい、サラサラしたパウダー感は得られなかった。吸油性シリコーン粉末を配合しない比較例Eは、シャーベット状の外観とならなかった。