(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】アレイ基板、表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230614BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20230614BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 365
G09F9/30 338
H10K59/12
H01L29/78 612C
(21)【出願番号】P 2019560372
(86)(22)【出願日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 CN2019081587
(87)【国際公開番号】W WO2019223434
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】201820777664.2
(32)【優先日】2018-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲パン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼ 勇
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 学光
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/086111(WO,A1)
【文献】特開2015-049948(JP,A)
【文献】特開2008-047515(JP,A)
【文献】特開2016-105170(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板であって、
積層された複数の導電層と、隣接する2層の導電層の間に設置され且つ第1ビアホールが設置されている層間絶縁層と、を含む回路領域と、
前記回路領域以外の領域に設置される境界領域と、を含み、
前記回路領域に近接する側の前記境界領域のプリセット範囲には、前記回路領域における第1ビアホールの均一性を向上するための第2ビアホールが設置され、
前記第2ビアホール及び前記第1ビアホールは、同一層の層間絶縁層に設置され
、
前記回路領域は、隣接して設置される第1回路領域及び第2回路領域を含み、前記境界領域は、前記第1回路領域と前記第2回路領域との間のギャップ領域であり、
前記第1回路領域に近接する側の前記ギャップ領域のプリセット範囲と前記第2回路領域に近接する側の前記ギャップ領域のプリセット範囲には、それぞれ前記第2ビアホールが設置されている
ことを特徴とするアレイ基板。
【請求項2】
前記回路領域における第1ビアホールの密度は、前記境界領域における第2ビアホールの密度と同一である
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記回路領域における第1ビアホールの形状と前記境界領域における第2ビアホールの形状は、同一であり、或いは異なる
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記境界領域における第2ビアホールの形状は、円形、ストリップ状及び矩形のうちのいずれか1つ又は複数である
請求項1又は3に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記回路領域における第1ビアホールの分布は、前記境界領域における第2ビアホールの分布と同一である
請求項2に記載のアレイ基板。
【請求項6】
前記回路領域は、表示回路領域、駆動回路領域及び静電気放電回路領域のうちのいずれか1つ又は複数を含む
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項7】
前記境界領域は、リード線領域、ファンアウト領域及びバインディング領域のうちのいずれか1つ又は2つを
さらに含む
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項8】
前記回路領域は、複数の画素又はサブ画素を含み、
前記プリセット範囲の幅は、前記画素又はサブ画素の第1辺の幅より大きい
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項9】
前記複数の導電層は、ソース/ドレイン金属層及びゲート金属層を含み、
前記層間絶縁層は、前記ソース/ドレイン金属層及び/又は前記ゲート金属層の上に設置される
請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項10】
請求項1から請求項
9のいずれか1項に記載のアレイ基板を含む表示パネル。
【請求項11】
前記表示パネルは、OLED表示パネルである
請求項
10に記載の表示パネル。
【請求項12】
請求項
10又は
11に記載の表示パネルを含む表示装置。
【請求項13】
アレイ基板の製造方法であって、
前記アレイ基板は、回路領域と、前記回路領域以外の領域に設置されている境界領域と、を含み、前記回路領域は、積層された複数の導電層と、隣接する2層の導電層の間に設置される層間絶縁層とを含み、
前記回路領域は、隣接して設置される第1回路領域及び第2回路領域を含み、前記境界領域は、前記第1回路領域と前記第2回路領域との間のギャップ領域であり、
前記アレイ基板の製造方法は、
前記層間絶縁層に第1ビアホールを設置するステップと、
前記回路領域に近接する側の前記境界領域のプリセット範囲に、前記回路領域における第1ビアホールの均一性を向上するための第2ビアホールを設置するステップと、含み、
前記第2ビアホール及び前記第1ビアホールは、同一層の層間絶縁層に設置され
、
前記第1回路領域に近接する側の前記ギャップ領域のプリセット範囲と前記第2回路領域に近接する側の前記ギャップ領域のプリセット範囲には、それぞれ前記第2ビアホールが設置されている
ことを特徴とするアレイ基板の製造方法。
【請求項14】
前記回路領域における第1ビアホールの密度は、前記境界領域における第2ビアホールの密度と同一である
請求項
13に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項15】
前記回路領域における第1ビアホールの形状と前記境界領域における第2ビアホールの形状は、同一であり、或いは異なる
請求項
13に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項16】
前記境界領域における第2ビアホールの形状は、円形、ストリップ状及び矩形のうちのいずれか1つ又は複数である
請求項
13又は
15に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項17】
前記回路領域における第1ビアホールの分布は、前記境界領域における第2ビアホールの分布と同一である
請求項
14に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項18】
前記回路領域は、表示回路領域、駆動回路領域及び静電気放電回路領域のうちのいずれか1つ又は複数を含む
請求項
13に記載のアレイ基板の製造方法。
【請求項19】
前記境界領域は、リード線領域、ファンアウト領域及びバインディング領域のうちのいずれか1つ又は2つを
さらに含む
請求項
13に記載のアレイ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年5月23日に出願した出願番号が201820777664.2であって、発明名称が「アレイ基板、表示パネル及び表示装置」である中国特許出願に基づいて優先権を主張し、当該中国特許出願の内容の全てを本願に援用する。
【0002】
本願は、表示技術分野に関し、特に、アレイ基板、表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
表示パネルの軽薄、低エネルギー消費、携帯の便利性への進展することに伴い、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode、OLED)を代表とする新世代の表示技術がますます広い範囲で注目されている。OLEDは、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)の表示技術に比べて、軽薄、低エネルギー消費、低い駆動電圧、より優れた視野角及びコントラスト、より速い応答速度などの利点を有する。
【0004】
上述した背景技術にて公開されている上記情報は、本発明の背景に対する理解を深めるためのものに過ぎないため、当業者に知られている従来技術を構成しない情報を含むことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の他の特性及びメリットは、以下の詳細な説明によって明瞭になり、或いは、部分的に本発明の実施によって得られる。
【0006】
本発明の第1態様によれば、アレイ基板を提供する。前記アレイ基板は、積層された複数の導電層と隣接する2層の導電層の間に設置され且つ第1ビアホールが設置されている層間絶縁層とを含む回路領域と、前記回路領域以外の領域に設置される境界領域と、を含み、前記回路領域に近接する側の前記境界領域のプリセット範囲には、前記回路領域における第1ビアホールの均一性を向上するための第2ビアホールが設置され、前記第2ビアホール及び前記第1ビアホールは、同一層の層間絶縁層に設置されている。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域における第1ビアホールの密度は、前記境界領域における第2ビアホールの密度と同一である。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域における第1ビアホールの形状と前記境界領域における第2ビアホールの形状は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、前記境界領域における第2ビアホールの形状は、円形、ストリップ状、矩形或いは不規則な形状のうちのいずれか1つ又は複数を含む。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域における第1ビアホールの分布は、前記境界領域における第2ビアホールの分布と同一である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域は、表示回路領域、駆動回路領域及び静電気放電回路領域のうちのいずれか1つ又は複数を含む。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、前記境界領域は、リード線領域、ファンアウト領域及びバインディング領域のうちのいずれか1つ又は2つを含む。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域は、隣接して設置された第1回路領域及び第2回路領域を含み、前記境界領域は、前記第1回路領域と前記第2回路領域との間のギャップ領域である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域は、複数の画素または複数のサブ画素を含み、前記プリセット範囲の幅は、前記画素または前記サブ画素の第1辺の幅より大きい。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記複数の導電層は、ソース/ドレイン金属層とゲート金属層と、を含み、前記層間絶縁層は、前記ソース/ドレイン金属層及び/又は前記ゲート金属層の上に設置されている。
【0016】
本発明の第2態様によれば、上記のいずれかの実施例に記載のアレイ基板を含む表示パネルを提供する。
【0017】
本発明の第3態様によれば、上記のいずれかの実施例に記載の表示パネルを含む表示装置を提供する。
【0018】
本発明の第4態様によれば、アレイ基板の製造方法を提供する。前記アレイ基板は、回路領域と、前記回路領域以外の領域に設置されている境界領域と、を含み、前記回路領域は、積層された複数の導電層と、隣接する2層の導電層の間に設置された層間絶縁層と、を含む。前記製造方法は、前記層間絶縁層に第1ビアホールを設置するステップと、前記回路領域に近接する側の前記境界領域におけるプリセット範囲に、前記回路領域における第1ビアホールの均一性を向上するための第2ビアホールを設置するステップと、を含み、前記第2ビアホール及び前記第1ビアホールは、同一層の層間絶縁層に設置される。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域における第1ビアホールの密度は、前記境界領域における第2ビアホールの密度と同一である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域における第1ビアホールの形状と前記境界領域における第2ビアホールの形状は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記境界領域における第2ビアホールの形状は、円形、ストリップ状及び矩形のうちのいずれか1つ又は複数である。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域における第1ビアホールの分布は、前記境界領域における第2ビアホールの分布と同一である。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、前記回路領域は、表示回路領域、駆動回路領域及び静電気放電回路領域のうちのいずれか1つ又は複数を含む。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、前記境界領域は、リード線領域、ファンアウト領域及びバインディング領域のうちのいずれか1つ又は2つを含む。
【0025】
なお、上述した一般的な記載及び後述する詳細な説明は、単なる例示的で解釈的なものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下の図面は、明細書に組み入れて本明細書の一部分を構成し、本発明に該当する実施例を例示し、そして、明細書とともに本発明の原理を解釈するためのものである。
【0027】
【
図1】関連技術におけるアレイ基板を模式的に示す模式図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態に係るアレイ基板を模式的に示す模式図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態に係る他のアレイ基板を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら例示的な実施形態をより全面的に説明する。ただし、例示的な実施形態は、多種の形態で実施することができるが、ここに説明する実施形態に限定されるものではない。逆に、これらの実施形態を提供することによって、本発明を全面で完全に、そして、例示的な実施形態の思想を全面的に当業者に伝達する。なお、図面は、本発明の模式的な図示に過ぎず、必ずしも縮尺通りに描かれてはいない。図面において、同一の符号が同一又は類似する部分を表しているので、重複の説明を省略する。
【0029】
なお、説明する特徴、構成又は特性は、任意の適切な方式で一つ又は複数の実施例に組み合わせることができる。以下の説明において、本発明の実施例を充分に理解するために、多くの詳細を提供する。しかしながら、当業者が理解すべきことは、特定の細部のうちの一つ又は複数がなくても、本発明に係る技術案を実現でき、或いは、他の方法、要素、材料、装置、ステップなどを採用することができる。他の場合には、本発明の各形態をあいまいすることを避けるように、周知の構成、方法、装置、実施、材料又は動作を詳しく表現や説明しない。
【0030】
図面に示したいくつかのブロック図は、機能的な実体であり、必ずしも物理的に又は論理的に独立する実体に対応する必要はない。これらの機能的な実体は、ソフトウェア形式で実現されたり、1つ又は複数のハードウェアモジュール或いは集積回路で実現されたり、異なるネットワーク及び/又はプロセッサ装置及び/又はマイクロコントローラ装置で実現される。
【0031】
以下の例示的な実施例において説明する実施形態は、本発明と一致する全ての実施形態を代表するものではない。即ち、これらは、特許請求の範囲に記載の本発明のある側面に一致する装置及び方法の一例に過ぎない。
【0032】
図1は、関連技術におけるアレイ基板を模式的に示す模式図である。
【0033】
図1に示すように、これは、関連技術におけるOLDEのアレイ基板100のILD(InterLayer Dielectric、層間絶縁層又は層間媒体層)ビアホール(即ち、
図1における第1ビアホール131)の分布の模式図である。ここで、アレイ基板100は、回路領域と、前記回路領域以外の領域に設置されている境界領域と、を含むことができる。
【0034】
例えば、前記回路領域は、表示回路領域111、駆動回路領域112(例えば、Gate driver on Array、ゲート駆動回路領域、以下、単にGOA領域と称する。)及び静電気放電(Electro-Static discharge、静電気放電、以下、単にESDと称する)回路領域(図示せず)などのいずれか1つ又は複数を含むことができる。
【0035】
例えば、前記境界領域は、リード線領域121、ファンアウト領域122、バインディング領域123、表示回路領域111と駆動回路領域112との間のギャップ領域124などのいずれか1つ又は複数を含むことができる。ここで、表示回路領域111、駆動回路領域112及び静電気放電回路領域には、第1ビアホール131が設置される。ここで、ILDビアホールを一例として説明するが、本発明ではこれに限定されない。
【0036】
関連技術において、一般的に、ILD第1ビアホール131は、表示回路領域111、GOA領域112、ESD領域などの領域に形成されている。通常、これらの領域の間にギャップが存在している。これらのギャップ領域及び/又はリード線領域121及び/又はファンアウト領域122及び/又はバインディング領域123にも、ILD層が形成されている。ILD第1ビアホール131の形成は、PR(Photoresist、フォトレジスト)塗布、露光、現像及びドライエッチングなどの一連のプロセスが必要となる。プロセス誤差の影響により、前記回路領域以外(例えば、回路領域のギャップ領域に近接する境界)の領域に位置するILD第1ビアホール131のサイズが前記回路領域の内部よりも大きい場合がある。即ち、オーバーエッチングの現象が生じるので、究極的に表示パネルの表示不良に起こすことがある。
【0037】
まず、本発明の実施形態は、アレイ基板を提供する。上記アレイ基板は、積層された複数の導電層及び隣接する2層の導電層の間に設置され且つ第1ビアホールが設置されている層間絶縁層ILDを備える回路領域と、前記回路領域以外の領域に設置されている境界領域と、を含むことができる。前記回路領域に近接する側の前記境界領域のプリセット範囲に、前記回路領域における第1ビアホールの均一性を向上するための第2ビアホールを設置することができる。ここで、前記第2ビアホール及び前記第1ビアホールは、同一層の層間絶縁層ILDに設置されることができる。
【0038】
本発明の実施形態に係るアレイ基板によれば、アレイ基板の回路領域の境界以外の所定の範囲、即ち前記回路領域に近接する側の境界領域のプリセット範囲に、例えばILD第2ビアホールのような第2ビアホールを設置することによって、マスク(MASK)を追加することなく、回路領域境界以外のILD第2ビアホール及び回路領域の内部のILD第1ビアホールの均一性を実現することができるので、回路領域の境界においてILDビアホールがオーバーエッチングされることによる表示不良の問題を解決することができる。これにより、プロセスにおけるアレイ基板の歩留まりを向上させ、表示パネルの表示効果を改善することができるので、アレイ基板の生産コストを低減することができる。
【0039】
例示的な実施例において、前記第1ビアホール及び前記第2ビアホールは、前記層間絶縁層に設置されたビアホール、即ちILDビアホールであってもよい。
【0040】
なお、以下の実施例において、いずれも前記第1ビアホール及び前記第2ビアホールの両方がILDビアホールである場合を一例として説明するが、本発明ではこれに限定されない。同じプロセス、例えばPR塗布、露光、現像及びドライエッチングなどの一連のプロセスにより形成されるその他のビアホールは、いずれも本発明の技術案に適用されることができる。
【0041】
例示的な実施例において、前記回路領域は、表示回路領域、駆動回路領域、静電気放電回路領域などのいずれか1つ又は複数を含むことができる。
【0042】
例示的な実施例において、前記境界領域は、リード線領域、ファンアウト領域、バインディング領域などのいずれか1つ又は2つを含むことができる。
【0043】
例示的な実施例において、前記回路領域は、隣接して設置されている第1回路領域及び第2回路領域を含む。前記境界領域は、前記第1回路領域と前記第2回路領域との間のギャップ領域である。
【0044】
例えば、前記第1回路領域が表示回路領域であり、前記第2回路領域が駆動回路領域であり、前記境界領域が前記表示回路領域と前記駆動回路領域との間のギャップ領域であってもよいが、本発明ではこれに限定されない。
【0045】
図2は、本発明の例示的な実施形態に係るアレイ基板を模式的に示す模式図である。
【0046】
図2に示すように、表示回路領域111のILD層の上には、複数の第1ビアホール131が設置され、表示回路領域111に近接する側の表示回路領域111以外のリード線領域121におけるILD層の上には、第2ビアホール132が設置されてもよい。
【0047】
本発明の実施例において、以下のプロセスによって、前記第1ビアホール131及び/又は第2ビアホール132を形成することができる。アレイ基板にILD層を積層させた後、フォトレジスト(PR)を塗布し、その後、紫外線をマスクを通過してPRに照射することができる。露光処理後、現像液により露光された部分のPRを除去し、PRパターンを形成する。さらに、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching、RIE)を行ってILDビアホールのパターンを形成する。
【0048】
例えば、エッチングガスとして、HF、CF4などを使用することができる。
【0049】
ここで、現像液は、例えば水で希釈されたテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(Tetramethylammonium Hydroxide、 TMAOH)のような強アルカリ溶液である。
【0050】
例示的な実施例において、前記複数の導電層は、ソース/ドレイン金属層と、ゲート金属層と、を含むことができる。ここで、前記層間絶縁層は、前記ソース/ドレイン金属層(SD金属層)及び/又は前記ゲート金属層(Gate金属層)に設置されることができる。
【0051】
例えば、前記層間絶縁層は、第1絶縁層と、第2絶縁層と、を含むことができる。ここで、前記ソース/ドレイン金属層は、基板の上に設置され、前記第1絶縁層は、前記ソース/ドレイン金属層の上に設置され、前記ゲート金属層は、前記第1絶縁層の上に設置され、前記第2絶縁層は、前記ゲート金属層の上に設置されてもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
本発明の実施形態に係るアレイ基板によれば、表示回路領域111の内部には、第1ビアホール131が形成されているとともに、表示回路領域111の境界以外のリード線領域121には、第2ビアホール132が形成されている。リード線領域121におけるリード線が位置する層は、SD金属層又はGate金属層であり、ILDの形成時に既に形成されたので、リード線に影響を与えない。リード線領域121に例えばILD第2ビアホールのような第2ビアホール132を形成することで、回路領域111の内部におけるILD第1ビアホールのような第1ビアホール131以外の一致性を確保できるので、表示回路領域111の内部におけるILD第1ビアホールの均一性が維持されることができる。
【0053】
例示的な実施例において、前記回路領域における第1ビアホールの密度と前記境界領域における第2ビアホールの密度は、同一である。なお、ここでの前記回路領域における第1ビアホールの密度と前記境界領域における第2ビアホールの密度が同一であることは、回路領域の境界以外の所定の範囲内における第2ビアホールの密度と回路領域内における対応する第1ビアホールの密度が略同一であることを意味する。
【0054】
ここで、第1ビアホールの密度は、回路領域の内部における第1ビアホールの面積の和と前記回路領域の総面積との比として、例えば、表示回路領域の内部における第1ビアホールの面積の和と前記表示回路領域の総面積との比として定義されることができる。第2ビアホールの密度は、対応する境界領域の内部における第2ビアホールの面積の和と第2ビアホールが位置するプリセット範囲の面積の比として、例えば、前記リード線領域の内部における第2ビアホールの面積の和と第2ビアホールが設置されている前記リード線領域のプリセット範囲の面積との比として定義されることができる。
【0055】
例示的な実施例において、前記回路領域の第1ビアホールの形状は、前記境界領域の第2ビアホールの形状と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0056】
図2に示す実施例において、表示回路領域111における第1ビアホール131とリード線領域121における第2ビアホール132の形状は、同一であり、いずれも円形であるが、本発明ではこれに限定されない。他の実施例において、リード線領域121における第2ビアホール132は、表示回路領域111における第1ビアホール131の形状と一致しなくてもよい。
【0057】
例えば、前記境界領域における第2ビアホールの形状は、ストリップ状、矩形、或いは不規則な形状などのいずれか1つ又は複数であってもよい。
【0058】
例示的な実施例において、前記境界領域における第2ビアホールの形状がストリップ状である場合、前記ストリップ状は、直線であってもよいし、曲線であってもよく、溝に類似するものであってもよい。
【0059】
例示的な実施例において、前記回路領域における第1ビアホールの分布は、前記境界領域における第2ビアホールの分布と同一である。
【0060】
図2に示す実施例において、表示回路領域111における第1ビアホール131及びリード線領域121における第2ビアホール132の形状、分布及びビアホールの密度を均一に保持することによって、アレイ基板の回路領域の内部におけるILDビアホールの均一性をさらに改善することができ、これにより良好な表示効果を達成することができる。
【0061】
例示的な実施例において、前記回路領域は、複数の画素又は複数のサブ画素を含むことができる。ここで、前記プリセット範囲の幅は、前記画素又はサブ画素の第1辺(例えば、前記画素又はサブ画素の短辺である。)の幅よりも大きくなるように設定されることができる。
【0062】
例えば、
図2に示す実施例において、リード線領域121における第2ビアホール132のプリセット範囲の幅wは、前記画素又はサブ画素の短辺の幅よりも大きくなるように設定されることができる。
【0063】
ここで、第2ビアホールを設置するためのプリセット範囲の幅の範囲は、ビアホールを形成するための露光、現像及びドライエッチングの精度、均一性、現像液の粘着性に関係されるが、回路領域の面積及び辺の長さとは直接に関係されない。ダミー(dummy)ビアホール(即ち、上記の第2ビアホール)が存在すれば、正常に機能するビアホール(即ち、上記の第1ビアホール)に有益な効果をもたらすことができる。
【0064】
図3は、本発明の例示的な実施形態に係る他のアレイ基板を模式的に示す模式図である。
【0065】
図3に示すように、表示回路領域111には、複数の第1ビアホール131が設置されることができる。表示回路領域111に近接する側の表示回路領域111以外のファンアウト領域122のプリセット範囲内にも、第2ビアホール132を設置することができる。ここで、第2ビアホール132が設置されているプリセット範囲の幅は、wである。即ち、
図2に示した上記の実施例と同様の理由に基づいて、ILDビアホールも、ファンアウト領域122に形成されることができる。
【0066】
同様に、他の実施例において、上記の効果を達成するため、駆動回路領域、ESD領域などのILD第1ビアホールのような第1ビアホールを設置する必要がある領域の境界以外には、所定の数のILD第2ビアホールのような第2ビアホールを設置することができる。
【0067】
例示的な本実施形態は、さらに、上記のいずれかの実施例に記載されたアレイ基板を含む表示パネルを提供する。
【0068】
例示的な実施例において、前記表示パネルは、OLED表示パネルであることができる。OLED表示パネルのアレイ構造が複雑であるので、対応するプロセスもより複雑になり、そして、ILDビアホールの密度は、同じPPI(Pixels Per Inch、1インチあたりのピクセル数)のLCD表示パネルよりも遥かに大きくなる。
【0069】
しかし、本発明は、これに限定されなく、例えば、LCD表示パネル又は同じプロセスにより形成された任意の他の表示パネルであってもよい。
【0070】
上記表示パネル及び上記のアレイ基板は、同一の技術的な特徴及び動作原理を有し、上記の内容を既に詳細に説明したので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0071】
例示的な本実施形態は、さらに、上記のいずれかの実施例に記載された表示パネルを含む表示装置を提供する。
【0072】
当業者は、明細書に対する理解及び明細書に記載された発明に対する実施を介して、本発明の他の実施形態を容易に獲得することができる。本願は、本発明に対する任意の変形、用途、又は適応的な変化を含み、このような変形、用途、又は適応的な変化は、本発明の一般的な原理に従い、本発明で開示されていない当該技術分野の公知知識又は通常の技術手段を含む。明細書及び実施例は、単に例示的なものであって、本発明の本当の範囲と主旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0073】
以上、本発明に係る例示的な実施形態を具体的に説明した。なお、本発明は、本明細書で説明された詳細な構造、配置方式又は実現方法に限定されるものではない。逆に、本発明は、添付した特許請求の精神及び範囲内に含まれる様々な修正や等価配置を含む。
【符号の説明】
【0074】
100 アレイ基板
111 表示回路領域
112 駆動回路領域
121 リード線領域
122 ファンアウト領域
123 バインディング領域
124 ギャップ領域
131 第1ビアホール
132 第2ビアホール