(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】創傷被覆材
(51)【国際特許分類】
A61F 13/02 20060101AFI20230614BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61F13/02 345
A61F13/00 301C
A61F13/00 301M
(21)【出願番号】P 2020506678
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2019010906
(87)【国際公開番号】W WO2019177156
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2018050041
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 智範
(72)【発明者】
【氏名】中野 繁一
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524417(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003377(WO,A1)
【文献】特開2016-172085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/00-13/14
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル不織布層/吸水層の積層構成を含む高吸水性パッドを有し、
前記吸水層が、高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維、及びポリエチレンバインダーからなり、
前記高吸水性パッドは、貫通する開口部を有することを特徴とする、
創傷被覆材。
【請求項2】
前記吸水層が、質量比にて、高吸水性繊維:ポリプロピレン繊維:ポリエチレンバインダー=30質量%超50質量%未満:40質量%以上55質量%未満:10質量%超30質量%未満(但し、高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維及びポリエチレンバインダーは合計100質量%)で構成されている、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項3】
前記高吸水性パッドが、坪量が200~400g/m
2、厚さが1.0~3.0mmである、請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項4】
前記高吸水性パッドは、貫通する開口部をパッド表面全体に亘って複数個有することを特徴とする、
請求項1に記載の創傷被覆材。
【請求項5】
前記開口部が、1個あたり10~500mm
2の大きさを有する、
請求項1又は請求項4に記載の創傷被覆材。
【請求項6】
前記開口部が、三角形、四角形、矩形、平行四辺形、菱形、円形、楕円形、三日月形、馬蹄形、円環状、並びにこれらを組み合わせた形状を有する、
請求項1又は請求項4に記載の創傷被覆材。
【請求項7】
前記開口部が、前記高吸水性パッドの上面の全面積:100%に対して、開口部合計で17%以上39%未満の面積を有する、
請求項1又は請求項4に記載の創傷被覆材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚の創傷部位を被覆して治癒環境を整えるために使用する創傷被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
創傷被覆材は、ドレッシング材(近代的な創傷被覆材)とガーゼなどの医療材料(古典的な創傷被覆材)に大別され、前者は一般に、外傷や手術等で生じた創傷や、熱傷、褥瘡等の治療に際し、当該部位を被覆し保護するとともに、創の湿潤環境を維持して創傷治癒に適する環境を整えるために使用する医療材料をさす(以下、本明細書における創傷被覆材はこの種の医療材料を指す)。
一般に、創傷被覆材は、透明なフィルム、粘着剤、不透明な不織布等のパッド及びウレタンフォームなどから構成され、例えば特許文献1には、透湿性のポリウレタン層と疎水性繊維と高吸水性繊維(Super Absorbent Fiber:SAF)からなる不織布層を積層してなる創傷性包帯が開示されている。
【0003】
これまでに提案されている創傷被覆材は、創傷部位の保護は勿論、主として創傷からの滲出液を吸収・保持し、創傷面を湿潤環境に保ち、創傷の治癒環境を整える観点から、その材料や構成が様々に選択されている。また治癒過程に応じて適切な種類の創傷被覆材を選択し取り替えることなどが求められるが、これまで提案・上市されている創傷被覆材は、透明性に乏しいものが多く、創傷材を貼付した状態では創傷面の経過を観察(視認)することが困難であることが多い。
特許文献2には、少なくとも1つのスリットを有する材料を備えるラチスを備える創傷被覆材が開示されている。同文献の創傷被覆材は、スリットの長手方向軸に対して垂直な力を適用することで、スリットが開口し、形成された開口部より創傷の視覚化を図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-175959号公報
【文献】特表2010-504835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで提案・上市されている従来の創傷被覆材は、創傷面の治り具合や、感染症等の徴候を観察・確認(視認)することが難しいものが少なくなく、被覆材交換の目安が判りづらいものとなっている。引用文献2に開示されるようにスリットを設けた態様にあっては、スリットを開口部とするべく創傷被覆材を伸張する必要があり、一目で創傷面を確認することができない。また創傷部位を常に確認できるよう、創傷被覆材に常時開口してなる穴を設けることを想定した場合、穴の部分に位置する創についての保護や滲出液の保持、さらには創傷治癒に適した湿潤環境の維持が難しく、またそもそも被覆材自体の強度や保形性に影響を及ぼす虞がある。
また従来の創傷被覆材であっても、創傷部位の長さ、創傷の深さ、また術式などにより、創傷部位からの滲出液が多量となった場合には、これらを吸収しきれずに創傷被覆材から漏れ出す虞があった。
このように、創傷部位の視認性を改善し、且つ、滲出液の吸収速度は早く且つ滲出液の適正な保持量を有する創傷被覆材に対する要求があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、創傷被覆材の一構成として、高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維、及びポリエチレンバインダーからなる吸水層とポリエステル不織布とを重ねた高吸水性パッドを採用し、この高吸水性パッドに貫通する開口部を形成することで、創傷部の良好な視認性と、滲出液の迅速な吸収速度および滲出液の適切な保持量とを両立できる創傷被覆材となることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、
1.ポリエステル不織布層/吸水層の積層構成を含む高吸水性パッドを有し、前記吸水層が、高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維、及びポリエチレンバインダーからなり、前記高吸水性パッドは、貫通する開口部を有することを特徴とする、創傷被覆材に関する。
【0008】
そして本発明によれば、さらに以下の実施態様が提供される。
2.前記吸水層が、質量比にて、高吸水性繊維:ポリプロピレン繊維:ポリエチレンバインダー=30質量%超50質量%未満:40質量%以上55質量%未満:10質量%超30質量%未満(但し、高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維及びポリエチレンバインダーは合計100質量%)で構成されている前記創傷被覆材。
3.前記高吸水性パッドが、坪量が200~400g/m2、厚さが1.0~3.0mmである、前記創傷被覆材。
【0009】
また本発明は、
4.不織布層/吸水層の積層構成を含む高吸水性パッドを備える創傷被覆材であって、
該高吸水性パッドは、貫通する開口部をパッド表面全体に亘って複数個有することを特徴とする、創傷被覆材に関する。
【0010】
さらに本発明によれば、さらに以下の実施態様が提供される。
5.前記開口部が、1個あたり10~500mm2の大きさを有する、前記創傷被覆材。6.前記開口部が、三角形、四角形、矩形、平行四辺形、菱形、円形、楕円形、三日月形、馬蹄形、円環状、並びにこれらを組み合わせた形状を有する、前記創傷被覆材。
7.前記開口部が、前記高吸水性パッドの上面の全面積:100%に対して、開口部合計で17%以上39%未満の面積を有する、前記創傷被覆材。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、創傷部の良好な視認性と、滲出液の迅速な吸収速度および適切な保持量とを両立できる創傷被覆材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の創傷被覆材における、好適な一態様の高吸水性パッドの断面図である。
【
図2】
図2は、本発明における、好適な一態様の創傷被覆材の断面図である。
【
図3】
図3は、本発明で使用する高吸水性パッドにおける開口部形状の一態様を示す模式図(正面図)である。
【
図4】
図4は、本発明で使用する高吸水性パッドにおける開口部形状の一態様を示す模式図(正面図)である。
【
図5】
図5は、本発明で使用する高吸水性パッドの一態様を示す模式図(正面図)である。
【
図6】
図6は、実施例(試験例2)で使用した高吸水性パッドの模式図(正面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の創傷被覆材は、ポリエステル不織布層/吸水層の積層構成を含む高吸水性パッドを有し、前記吸水層が、高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維、及びポリエチレンバインダーからなり、また前記高吸水性パッドは、貫通する開口部を形成してなることを特徴とする。
また本発明の創傷被覆材は、不織布層/吸水層の積層構成を含む高吸水性パッドを備えてなる創傷被覆材であって、該高吸水性パッドは、貫通する開口部をパッド表面全体に亘って複数個形成してなることを特徴とする。
以下、本発明の創傷被覆材の各構成について詳述する。
【0014】
〔高吸水性パッド〕
<ポリエステル不織布層>
上記高吸水性パッドを構成するポリエステル不織布層(以下、単に“不織布層”とも称する)は、創傷部位からの滲出液を吸収し、後述する吸水層に滲出液を透過させる役割を果たすとともに、吸水層で吸収しゲル化した滲出液を保持し、該滲出液の創傷部位への戻りを防止する役割を果たす。従って、本発明の創傷被覆材を適用する際において、前記高吸水性パッドにおけるポリエステル不織布層は、吸水層よりも創傷面に近い側に位置することとなる。
また、ポリエステル不織布層は、後述する開口部を形成する際の穴あけ加工や、高吸水性パッドの裁断時において、これらの加工性を損なわない保形性を付与する役割も果たす。
【0015】
前記ポリエステル不織布層は、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、エアレード法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法など、種々の加工法により製造された不織布を用いることができる。
また前記ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
中でもコストや生体適合性に加え、液体透過性、液体吸収性、滲出液のゲル化物の保持性(戻り防止性)、滲出液吸収時の高吸水性パッドの保形性及び強度、並びに、創傷被覆材製造時:加工時(穴あけ、裁断等)の操作性などの観点から、スパンボンド法によるポリエチレンテレフタレート不織布シートを該不織布層として用いることが好ましい。またスパンボンド法によるポリエチレンテレフタレート不織布シートの採用は、後述する表面層においてポリオレフィンからなるネットを採用した場合のラミネート強度を向上させることにもつながる。
【0016】
上記不織布層は、液体透過性、液体吸収性、並びに肌への追従性等を考慮し、その目付や厚さが適宜され得、例えば目付:10~30g/m2、厚さ0.05mm~0.3mmとすることができる。
【0017】
<吸水層>
前記吸水層は、高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維、及びポリエチレンバインダーからなる。
前記高吸水性繊維は、創傷部位からの滲出液と接することによりゲル化し、滲出液を保持する役割を担うものである。そのため、その配合割合を増加させると吸水量を増加させることができるものの、ゲル強度が低くなり、高吸水性パッドからの滲出液(ゲル)の漏れ出しにつながる虞がある。一方、その配合割合を減少させると、高吸水性パッドの保形性が良好となり、ゲル化された滲出液についてはその漏れ出しを防止できるものの、吸水量が減少し、結果として高吸水性パッドに吸収しきれなかった滲出液の漏れ出しにつながる虞がある。
また前記ポリプロピレン繊維は、吸水層の保形性を付与する役割を担い、さらに前記ポリエチレンバインダーは、高吸水性繊維とポリプロピレン繊維の繊維同士の接着性を向上し、吸水層の保形性を付与する役割も担うものである。そのため、これらの配合割合を増加させることにより、前記高吸水性繊維が形成する滲出液ゲルの強度を高くできる反面、吸水量の減少につながり得る。一方、これらの配合割合を低くすると、吸水量を増加させることはできるが、滲出液(ゲル)の保持能力に欠けたものとなり得、高吸水性パッドの保形性の悪化や滲出液(ゲル)の漏れ出しにつながる虞がある。
【0018】
このように、吸水層における吸水量と、滲出液のゲル強度として評価される保形性は、相反する性能であることから、これら性能を両立するべく、高吸水性繊維と、ポリプロピレン繊維及びポリエチレンバインダー(以下、疎水性材料)の配合割合を選定する必要がある。こうした観点から、吸水層における配合割合(質量比)を、例えば高吸水性繊維:疎水性材料(ポリプロピレン繊維及びポリエチレンバインダー)=30質量%超~50質量%未満:50質量%超~70質量%未満(高吸水性繊維と疎水性材料の合計は100質量%)とすることが好ましい。
中でも、高吸水性繊維:疎水性材料=31質量%~49質量%:51質量%~69質量%、特に好ましくは=33質量%~43質量%:57質量%~67質量%(高吸水性繊維と疎水性材料の合計は100質量%)とすることで、吸水量とゲル強度のバランスに優れる吸水層、ひいては高吸水性パッドを得ることができる。
また、前述したポリエチレンバインダーが有する繊維同士の接着性(保形性の付与)の観点から、上記疎水性材料を構成するポリプロピレン繊維とポリエチレンバインダーの質量割合は、例えばポリプロピレン繊維:ポリエチレンバインダー=5:1~1:3、好ましくは3:2~1:1、例えば3:1~1:1とすることが望ましい。
【0019】
以上を踏まえると、例えば高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維及びポリエチレンバインダーの配合割合(質量比)の一例として、高吸水性繊維:ポリプロピレン繊維:ポリエチレンバインダー=30質量%超50質量%未満:40質量%以上55質量%未満:10質量%超30質量%未満(但し高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維及びポリエチレンバインダーは合計100質量%である)であることが好ましい。
より好ましくは、高吸水性繊維:ポリプロピレン繊維:ポリエチレンバインダー=31質量%~49質量%:41質量%~50質量%:11質量%~19質量%、更に好ましくは同33質量%~40質量%:45質量%~50質量%:15質量%~17質量%(但し高吸水性繊維、ポリプロピレン繊維及びポリエチレンバインダーは合計100質量%である)である。
【0020】
《高吸水性繊維》
本発明に用いる高吸水性繊維としては、以下に示す高吸水性ポリマーの繊維が挙げられ、これら高吸水性ポリマーの繊維を2種以上用いた複合繊維として用いてもよい。
前記高吸水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸(塩)系、ポリスルホン酸(塩)系、無水マレイン酸(塩)系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系等の合成ポリマー、ポリアスパラギン酸(塩)系、ポリグルタミン酸(塩)系、ポリアルギン酸(塩)系、デンプン系、セルロース系等の天然物由来のポリマー、並びにこれらの架橋物、さらにこれらの複合物(共重合体等)などが挙げられる。中でも、液吸収性能に優れる観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系ポリマーを用いることが好適である。
【0021】
《ポリプロピレン繊維》
前記ポリプロピレン繊維は、吸水層の保形性を付与する役割を担うものである。
なおポリプロピレン繊維として、コアがポリプロピレンであり、シェルがポリエチレンで構成されているような芯-鞘型の複合繊維、すなわち、後述するポリエチレンバインダーでコーティングされた複合繊維の形態にて用いてもよい。
【0022】
《ポリエチレンバインダー》
前記ポリエチレンバインダーは、高吸水性繊維及びポリプロピレン繊維の繊維同士の接着性を向上し、吸水層の保形性を付与する役割を担うものである。
【0023】
《吸水層の製造》
前記吸水層の製造方法は特に限定されないが、例えば前記高吸水性繊維、前記ポリプロピレン繊維並びにポリエチレンバインダーを混合し、これらを適宜マット状に加工すればよい。
なお、吸水層の厚さを増やす、あるいは吸水層の密度を減らすことにより、吸水量は増加し、滲出液のゲル強度(保形性)は低下する。このように、吸水層の厚さや密度の調節により、吸水量や保形性は変化するものの、創傷被覆材としての吸水量や保形性は、高吸水性パッドを構成する前記ポリエステル不織布、並びに後述するその他の層(表面層、裏打ち層など)の種類や、厚さ、坪量、密度によって変化し得る。さらには、高吸水性パッドの製造時における各層の圧着強度(厚さ、坪量、密度)によっても変化し得る。
そのため、一例として、吸水層の厚さは、吸水層の製造時において1.5~3.0mm程度、坪量を190~300g/m2程度に設定し、その後の高吸水性パッドの製造における全体のパッド厚・パッド坪量において調整してもよい。
【0024】
高吸水性パッドの厚さは、1.0~3.0mm、坪量が200~400g/m2とすることができる。
また前記ポリエステル不織布層/吸水層の積層構成における厚さ及び坪量も同様に設定できるが、後述するその他の層を設ける場合を考慮して、例えば該積層構成の製造時において厚さを1.5~3.0mm程度、坪量を200~350g/m2程度に設定することができる。後述するその他の層(表面層、裏打ち層)を設ける際に、高吸水性パッド全体のパッド厚・パッド坪量を、その他の層の厚さや坪量、その他の層を設ける際の圧着力などを調整し、上記数値範囲内に調整することができる。
【0025】
<その他の層>
本発明の創傷被覆材に使用する高吸水性パッドは、前記ポリエステル不織布層/前記吸水層の積層構成に加えて、さらに複数の層を有していてもよい。
例えば、前記ポリエステル不織布層よりも創傷面に近い層として、創傷部位と直に接する表面層や、前記吸水層を裏打ちする裏打ち層を設けてもよい。この時、表面層は前記ポリエステル不織布層において吸水層が設けられた側とは反対の側に、また裏打ち層は前記吸水層においてポリエステル不織布層が設けられた側とは反対の側に、それぞれ積層され得る。
また、表面層とポリエステル不織布層との間、吸水層と裏打ち層との間に、第二、第三の吸水層やその他の層(例えば第二、第三の吸水層を裏打ちする、第二、第三の裏打ち層など)を設けてもよい。
【0026】
一例として、本発明の創傷被覆材に使用する高吸水性パッドにおける好適な態様を
図1に示す。
図1に示すように、高吸水性パッド1は、前述のポリエステル不織布層3/吸水層2の積層構成を有し、ポリエステル不織布層3の吸水層2が設けられた面とは反対の面に表面層5が、吸水層2のポリエステル不織布層3が設けられた面とは反対の面に裏打ち層4が、それぞれ設けられてなる。ここで
図1における上側(表面層5)が創傷部位と直に接する層となる。
なお
図1には示していないが、表面層5とポリエステル不織布層3の間、ポリエステル不織布層3と吸水層2の間、吸水層2と裏打ち層4の間には、それぞれ所望に応じて、ポリエチレンパウダーなどの熱融着性の樹脂を供給して、二層の接着性(熱融着性)を高めることができる。
また
図1には図示していないが、高吸水性パッド1には、該パッド1を貫通する開口部が形成されてなる(後述の
図2参照)。
以下、本発明の好適な態様である、
図1に示す表面層5/ポリエステル不織布層3/吸水層2/裏打ち層4の積層構成を有する高吸水性パッドを「高吸水性パッドA」と称する(なお「高吸水パッド」は「高吸水パッドA」を包含する態様である)。
【0027】
前記表面層としては、前記ポリエステル不織布層並びに吸水層の液吸収性が阻害されない素材であれば特にその材料などは限定されず、また液体の透過を容易にするべくポーラス構造(例えば不織布、ネット状、パンチング加工など)を有していてもよい。
例えば前記表面層として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるネットを用いることができる。吸水層の液吸収性や皮膚(創傷部位)への追従性等を考慮すると、坪量10~30g/m2程度のポリエチレンネットを用いることが好ましい。
ここでいう“表面”とは、本発明の創傷被覆材が使用される際に、最初に滲出液が入り込んでくる側の面として使用される面をいう。
【0028】
また裏打ち層としては、前記吸水層で吸収しゲル化した滲出液を保持し、吸水層からの滲出液の漏れ出しを防止する役割を果たすとともに、後述する開口部を形成する際の穴あけ加工や、高吸水性パッドの裁断時において、これらの加工性を損なわない保形性を付与する役割も果たす。
さらに裏打ち層を設けることで、創傷被覆材において高吸水性パッドを創傷部位に固定させる手段として後述する粘着フィルムを採用した場合、粘着フィルム(後述する粘着剤層)への投錨性を挙げることができる。加えて、吸水層でゲル化した滲出液と粘着フィルム(粘着剤層)との直接の接触を防止できるため、ゲル化した滲出液と粘着フィルムの接触によって起こり得る粘着フィルムからの高吸水性パッドの脱離を抑制できる。
なお裏打ち層の存在により、高吸水性パッドの透湿性の悪化が懸念されるものの、本発明にあっては高吸水性パッドに開口部を形成することによって所望の透湿性を確保することができる。
上記裏打ち層としては、上記の性能を有するものであれば特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルムやシートを使用し得る。吸水層の液吸収性や皮膚(創傷部位)への追従性等を考慮すると、例えば坪量10~50g/m2のポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
【0029】
<高吸水性パッドの製造>
本発明の創傷被覆材に用いる高吸水性パッド(例えば高吸水性パッドA)は、前記ポリエステル不織布層/吸水層の積層構成を含むものであれば特にその製造方法は限定されない。
例えば、前記吸水層を製造した後、該吸水層とポリエステル不織布層とを積層し、さらに、所望によりその他の層:ポリオレフィンネットなどの表面層、ポリオレフィンフィルムなどの裏打ち層を積層すればよい。
前記吸水層とポリエステル不織布層の間、また例えばポリエステル不織布層と表面層の間、吸水層と裏打ち層の間は、熱加圧ロールによる熱融着により接着(接合)され得る。またこれら各層の熱融着性が不足する場合には、各層の間に熱融着性の樹脂を供給して、二層の接着性(熱融着性)を高めてもよい。
なお、高吸水性パッドの面積は適宜決定することができ、創傷部位の面積等を考慮し、例えば10~300cm2の範囲とすることができる。
また高吸水性パッド自体の形状は特に限定されず、方形(正方形、長方形等)、四角形(台形、菱形等)、多角形、円形、楕円形、半円形、三角形、三日月形、並びにこれらを組み合わせた形状等、貼付箇所に合わせて種々の形状を選択できる。
また製造された高吸水性パッド、例えば前記の表面層5/ポリエステル不織布層3/吸水層2/裏打ち層4の積層構成を有する高吸水性パッドAの態様において、その坪量は200~400g/m2、好適には290~360g/m2、厚さとしては1.0~3.0mm、好適には1.2~2.0mmとすることができる。
【0030】
<高吸水性パッドの開口部>
本発明の創傷被覆材において、前記高吸水性パッドは、貫通する開口部が形成されてなることを特徴とする。
本発明において前記開口部は貫通された状態(常に開放された状態)で形成されてなり、例えばスリット状、すなわち、創傷被覆材を伸展することによって初めて開口部に拡張(開放)し、ただしそのまま(伸展せず)では閉鎖された状態にあるスリット状のものは含まれない。
このように、高吸水性パッドに貫通する開口部を形成してなることにより、創傷被覆材を剥がすことなく、該開口部から創傷部を視認でき、創傷面の治り具合や感染症の徴候を観察でき、創傷被覆材の交換時期や創傷の治療計画の遂行や見直しを判断できる。
また開口部を加工することにより、高吸水性パッドの柔軟性を向上でき、また開口部によってその周囲の表面積が増加することで、吸水速度を高めることにもつながる。
【0031】
前記開口部は、創傷部を十分に確認でき、創傷被覆材製造時において開口部の変形量が少なく、創傷被覆材の高吸水性パッドとして適切な機械的強度を保ち、また創傷被覆材として十分な吸水性を確保するとともに、滲出液を吸収した際にはその形状が保たれる強度、保形性を確保できるように、その大きさや形状が適宜選択され得る。
例えば、前記開口部は、1個あたり10~500mm2の大きさ、好ましくは50~400mm2の大きさを有する。高吸水性パッドの上面の全面積(100%)に対して、開口部合計で17%以上39%未満の面積、好ましくは20%~33%の面積(開孔率、開孔面積とも称する)とすることができる。前記開口部は、一の創傷被覆材に設けられる一の高吸水性パッドにおいて、複数箇所形成されていてよく、その場合、複数の開口部の合計面積が上記数値範囲にあればよい。
また前記開口部の形状としては、特に限定されず、三角形、四角形、矩形、平行四辺形、菱形、などの多角形状;円形、楕円形、長円形、半円形、三日月形、馬蹄形、円環状など弧を含む形状;並びにこれらを組み合わせた形状であってよい。例えば、上記した開口部の視認性の確保、開口部の変形量の少なさ、そして高吸水性パッドの強度を保つ観点から、高吸水性パッドの長手方向に対して、開口部の長手方向を傾斜させた形状としてもよい。
なお前記開口部は、一の創傷被覆材における所定の大きさに高吸水性パッドを裁断した後、該高吸水性パッドに貫通する開口部を形成する加工を施してもよく、あるいは、高吸水性パッドに貫通する開口部を形成する加工を施した後に、一の創傷被覆材における所定の大きさに高吸水性パッドを裁断してもよい。
【0032】
一例として、上記の開口部の形状の種々の態様を
図3及び
図4に示す。
図3の(I)~(IX)及び
図4の(X)~(XVIII)は、それぞれ貫通する開口部を形成してなる高吸水性パッドの模式図(正面図)を示し、各図中、斜線部が開口部を示す。なお各図に示された開口部の数や配置(上下左右の向き)はこれらに限定されるものではない。
例えば、
図3に示すように、(I)三角形、(II)四角形(菱形)、(III)六角形、(IV)矩形、(X)矩形(傾斜させたもの)、(XI)平行四辺形、(XII)円形、(XIII)楕円形、(IX)楕円形(傾斜させたもの)や、
図4に示すように、(X)長円形、(XI)長円形(傾斜させたもの)、(XII)半円形、(XIII)四半円形、(XIV)馬蹄形、(XV)L字形、などが挙げられ、また
図4の(XIII)及び(XVI)~(XVIII)に示すように、開口部を縦横に並べて形成することができる。
中でも好適な開口部の態様を
図5に示す。
図5は、高吸水性パッドの模式図(正面図)であり、矩形の高吸水性パッド1において、開口部Aは、該パッド1の長手方向の幅1aに対して、角度θ傾斜させた形状(平行四辺形)にて、複数箇所形成されている。
このように例えば高吸水性パッドの一方の軸方向に対して、開口部の軸方向を傾斜させた形状に形成することで、前述した高吸水性パッドに開口部を形成する加工を施した後に所定の大きさに高吸水性パッドを裁断する場合において、これら一連の加工の際にパッドの強度を維持しやすくなるという利点を有する。また傾斜させた開口部の形状は、パッドの剛軟度を高いものとするため、パッドの裁断や創傷被覆材の製造など、加工時においてパッドの変形が起こりにくいという利点を有する。さらに、開口部形成後にパッドを裁断加工する際、カス(粉)が出難いという利点もある。また創傷部位に対する高吸水性パッドの接触を均一なものとする、すなわち、創傷面と滲出液の吸収面(言わば高吸水性パッドの開口されていない部分)との接触を一様なものとすることができる。
さらに例えば
図5に示すように、矩形の高吸水性パッドの場合には、開口部の幅方向の縁(A1)を、高吸水性パッドの長手方向の幅(1a)と平行にすることで、要するに高吸水性パッドの縁と平行となるように開口部の縁を設けることで、創傷部位に創傷被覆材を適用する際、創傷部位に対する開口部の位置を把握しやくなり、適切な部位への適用の手助けとなる。
【0033】
〔創傷被覆材〕
本発明の創傷被覆材は、前述の貫通する開口部が形成された高吸水性パッドを有している限りにおいて、特にその構造は限定されることはない。
例えば前記高吸水性パッドの創傷部への固定手段(例えば支持体層と粘着剤層とを備える粘着フィルムなど)、適用直前まで高吸水性パッドの適用面(上記の表面層など)を保護(ゴミ等の付着を防止するし、適用時において剥離する剥離材(剥離シート、剥離紙)、また、創傷被覆材の取扱性を向上させるキャリアフィルム(バッキングフィルムともいう)や、キャリアフィルムの剥離の手助けとなる取口テープ等が設けられていてもよい。
なお、前記高吸水性パッド、また好適な態様において該高吸水性パッドの固定手段である粘着フィルムのみが、最終的に創傷部位及び創傷部位の周辺皮膚に適用(貼付)されることとなるが、本明細書においては、適用時には剥離される前記の剥離材やキャリアフィルム、取口テープをも含めて“創傷被覆材”と称する。
【0034】
以下、本発明の創傷被覆材の好適な一態様の例として、
図2にその断面図を示す。
図2に示すように、好適な態様の一例として、創傷被覆材10には、高吸水性パッド1(
図1参照)に加え、高吸水性パッド1の創傷部周辺の皮膚への固定手段としての粘着フィルム20が設けられる(高吸水性パッド1と粘着フィルム20が適用後における狭義での創傷被覆材となる)。高吸水性パッド1にはパッドの積層方向に対して貫通するように開口部Aが形成されている。前記粘着フィルム20は粘着剤層21と支持体層22から少なくとも構成されている。なお、高吸水性パッド1は、パッド1の裏打ち層4(図中、符号は表示せず)が、粘着フィルム20の粘着剤層21に貼着されてなる。また高吸水性パッド1の適用面(表面層5、図中、符号は表示せず)と粘着フィルム20の粘着剤層21を適用直前まで保護する剥離材30(30A、30B)、粘着フィルム20の高吸水性パッド1が設けられた側とは反対の面にキャリアフィルム40、そしてキャリアフィルム40上に取口テープ50が、それぞれ設けられてなる。本態様において、剥離材30は面積の大きい30Aとより面積の小さい30Bの2枚から構成されている。前記キャリアフィルム40及び取口テープ50にはハーフカットBが施されていることが好ましく、このハーフカットBでキャリアフィルム40及び取口テープ50を切断することにより、ハーフカットB近辺のキャリアフィルム40(及び取口テープ50)がプレリフトされた状態となりやすく、粘着フィルム20からのキャリアフィルム40(及び取口テープ50)の剥離が容易となる。
【0035】
<粘着フィルム>
粘着フィルムは支持体層とその表面に設けられた粘着剤層とを備える、少なくとも二層の積層構造を有する。
粘着フィルムは、前記高吸水性パッドを創傷部位に固定する役割を果たすものであり、好適な態様において、高吸水性パッドの裏打ち層と貼着し、また、適用前においては、後述する剥離材にも貼着してなる。
このため上記粘着フィルムは、好ましくは前記高吸水性パッドの面積よりも一回り大きい面積を有してなり、また後述する剥離材に貼着してなる大きさを有するものであることが好適である。例えば、前記粘着フィルムの面積に対する、前記高吸水性パッドの面積を25%以上50%未満に設定することができる。粘着フィルムの面積に対して高吸水性パッドの面積が小さすぎる(例えば20%未満)と、十分な吸水性が得られない虞があり、また、創傷部位周辺の皮膚に貼付される粘着フィルムの粘着剤層の面積が大きいために、皮膚刺激が発生する虞がある。また、粘着フィルムの面積に対して高吸水性パッドの面積が大きすぎる(例えば50%超)と、創傷部位周辺の皮膚に貼付される粘着フィルムの粘着剤層の面積が小さいために、創傷部位に固定するための十分な粘着力が得られず、剥がれにつながる虞がある。
なお前記高吸水性パッドに対する、該粘着フィルムの貼着位置は特に限定されず、例えば粘着フィルムの中央部において高吸水性パッドに貼着してもよいし、あるいは粘着フィルムの中央部から外側寄りの部分において高吸水性パッドに貼着してもよい。
【0036】
支持体層は適度な伸縮性、柔軟性、強度を備えるものであり、且つ、高吸水性パッドの開口部から創傷部を視認できる透明性を確保できるものであれば特に限定されないが、適度の透湿性を有し、また菌バリヤー性の性質を備えるものであることが特に好ましい。例えばポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル及びポリアクリル酸等のフィルム、フォーム等が挙げられる。中でも上述の観点からポリウレタン製のフィルムが好ましい。
前記支持体層を、ポリウレタンフィルムとする場合、ポリエステル又はポリエーテル系のポリウレタンを用いることが好ましく、また、水、治療液などその他液体が接触した際にも膨潤し難いフィルムであることが望ましい。こうした観点から、ポリエーテル系ポリウレタンフィルムを用いることが好ましい。
このポリウレタンフィルムの厚みとしては、通常、1~100μm、好ましくは8~50μm、より好ましくは10~40μmの範囲とすることができる。
前記ポリウレタンフィルムの厚みが1μm未満の場合には、製膜が困難にあることに加えて、支持体層としての強度が不充分となり、創傷被覆材の被着体(創傷部)への貼付・剥離時に支持体層が破損する(破れる)虞がある。またポリウレタンフィルムの厚みが大きすぎると、創傷被覆材全体の厚みを薄くしても、皮溝などの微細な凹凸のある皮膚表面に沿って密着しにくく、被着体への追従性が悪くなり、創傷被覆材の周辺部に剥がれるきっかけを形成しやすく、被着体からの剥離や、貼付中の違和感の増加、さらには、高吸水性パッドからの液漏れの虞につながり得る。
粘着フィルムの支持体層における透湿度は、例えば1,000g/m2・hr以上であり、2,000g/m2・24hr以上であることが好ましい。また、支持体層の透湿度の上限は、特に制限されないが、通常、約10,000g/m2・24hr以下、好ましくは約8,000g/m2・24hr以下である。このような透湿度を備えたウレタンフィルムの支持体は、ドレッシング材として有用であり、それ自体公知であり(特開平7-231910号公報など)、市販されている。
【0037】
粘着剤層は合成樹脂を含有する粘着剤から形成され、該粘着剤に含有される合成樹脂は、皮膚刺激性が低いものであれば特に制限はなく、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリ酢酸ビニル系、その他の合成樹脂を含有する粘着剤を使用することができる。これらの粘着剤の中でも、アクリル系樹脂からなるアクリル系粘着剤;ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン等のウレタン系粘着剤;オルガノポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン等のシリコーン系粘着剤;ポリイソブチレン、ブチルゴム、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)やSBRの水素添加物等のゴム系粘着剤;が好ましく用いられる。中でもウレタン系粘着剤が、粘着性及び皮膚刺激性の観点から、特に好ましい。
粘着剤層の厚みとしては、通常、5~180μm、好ましくは10~150μmの範囲で適宜選択できる。
【0038】
例えば支持体層としてウレタンフィルムを採用し、ここにポリウレタン粘着剤層を設けた粘着フィルムにおいて、その透湿度を例えば2,000~5,000g/m2・24hr、好ましくは、3,000~4,000g/m2・24hrなどとすることができる。
【0039】
<剥離材>
本発明の創傷被覆材は、さらに、剥離材を備えるものとすることができる。剥離材は、通常、前記高吸水性パッドにおける創傷部位と直に接する層(例えば表面層)の上に、並びに、高吸水性パッドの周囲に存在し得る前記粘着フィルムの粘着剤層の上に積層され、適用直前までこれらの層を保護しゴミ等の付着を防止する役割を果たし得る。
上記剥離材としては創傷被覆材や貼付材の技術分野において慣用のものを使用することができる。例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリプロピレン(無延伸、延伸等)、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙、パーチメント紙、クラフト紙等の紙や合成紙;前記プラスチックフィルム、紙又は合成紙、合成繊維等にシリコーン樹脂やフッ素樹脂等の剥離性能を有する剥離剤をコーティングした剥離加工紙;アルミ箔;これらフィルム・シートを種々積層したラミネート加工紙、及び該ラミネート加工紙に剥離剤をコーティングしたラミネート剥離加工紙などの、無色又は着色したシートを挙げることができる。なお剥離材は、包材から取り出しやすいように凹凸を設けることも可能である。
これら剥離材の厚さは特に限定されないが、通常10μm~1mm、例えば20μm~500μm、好ましくは40μm~200μmの範囲である。
剥離材の形状は方形、矩形、円形等とすることができ、所望により角を丸くした形状とすることができる。その大きさは、前記創傷被覆材における粘着フィルムの大きさと同形状か、やや大きめとすることができる。剥離材は1枚または分割されて複数枚から構成されてもよく、その切れ目は直線、波線、ミシン線状で構成されてもよく、剥離材同士の一部が重なる状態としてもよい。
【0040】
<キャリアフィルム>
前記粘着フィルムにおいて、支持体層の厚みが1μm~30μm程度とごく薄い場合は、支持体層上に形成された粘着剤層とは反対の面上に、剥離可能なキャリアフィルムを設けると、創傷被覆材としての取り扱い性が向上するので好ましい。
キャリアフィルムは、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンなどの各種熱可塑性樹脂からなる各種フィルムを用いることが好ましい。またキャリアフィルムとして、上記各種フィルムを紙にラミネートした状態のものを用いてもよい。中でも、創傷被覆材としての取扱性を好適なものとできる観点から、ポリプロピレンフィルムを用いることが好ましい。
キャリアフィルムは、創傷被覆材としての取扱性を向上させるという目的を実現するべく、その厚みを厚いものとするか、あるいはコシの強い材質からなるものとすることが望ましい。キャリアフィルムの厚さは通常10μm~500μm、好ましくは20μm~250μmである。キャリアフィルムの厚さが10μm未満であると粘着フィルムの支持体とキャリアフィルムとが十分に密着せず、また500μmを超えると、粘着フィルムの支持体との密着性は十分となり操作性は向上するが、キャリアフィルムの剛性が高まりすぎて、例えば使用時に剥離材を剥がし、高吸水性パッドを創傷部位に、並びに粘着フィルムの粘着剤層を創傷部位周辺の皮膚に貼付する際、創傷部位や周辺皮膚への追従性に欠け、貼付性が不十分なものとなる。
前記キャリアフィルムには、フィルムの縦方向、横方向、あるいは斜め方向において、ハーフカットを施してもよい。ハーフカットは、キャリアフィルムの全体を切離すのではなく、小さな連結部を残すように形成することができる。キャリアフィルムにハーフカットを施すことで、創傷被覆材の適用時にこのハーフカットを切断することで、粘着フィルムからのキャリアフィルムの剥離をより容易なものとすることができる。
【0041】
<取口テープ>
本発明の創傷被覆材において、前記キャリアフィルム上に、すなわち、キャリアフィルムの粘着フィルムが設けられた側とは反対の面に、取口テープを貼着してもよい。取口テープは、好適にはキャリアフィルムの一部の面に貼着され、さらに好適には、キャリアフィルムとともに上述のハーフカットが施されてなることが望ましい。
キャリアフィルム上に取口テープを貼着することで、貼着された部分は厚み(コシ)が増加し、そのため、取口テープとキャリアフィルムを貫通するようにハーフカットを施すことにより、創傷被覆材の適用時にこれらのハーフカットを切断することで、ハーフカット周辺のキャリアフィルム(及び取口テープ)の剥離をより容易なものとすることができる。また取口テープに剥離の目印となる記号や文字の印刷を施すこともできる。
取口テープは、テープ支持体と、その表面上に設けられたテープ粘着剤層とを備える、少なくとも二層の積層構造を有し、テープ支持体には上述の<粘着フィルム>の支持体層や<キャリアフィルム>に挙げた各種フィルムを、テープ粘着剤層には上述の<粘着フィルム>の粘着剤層に挙げた各種粘着剤を、それぞれ適宜用いることができる。
【0042】
本発明の創傷被覆材の適用方法の一例として、前述の
図2に示す創傷被覆材10の適用例を以下に示す。まず、剥離材30のうち、面積の大きな剥離材30Aを剥離し、高吸水性パッド1と粘着フィルム20の粘着剤層21の一部を露出させる。そして創傷部位(創面)に高吸水性パッド1を当て、残りの剥離材30Bを剥離し、粘着フィルム20の粘着剤層21を創傷部位周辺の皮膚に貼付し、高吸水性パッド1を創傷部位に固定させる。そして、キャリアフィルム40及び取口テープ50に設けられたハーフカットBを切断して、この切断箇所からキャリアフィルム40及び取口テープ50を、粘着フィルム20から剥がし、高吸水性パッド1と粘着フィルム20を創傷部位及びその周辺部位に密着させる。
【0043】
こうして適用された創傷被覆材は、高吸水性パッドにおいて創傷部位からの滲出液等を吸水し、且つ、滲出液をゲル化させて保持する(保水する)ことができる。また高吸水性パッドに貫通する開口部を形成することで、創傷部の状態を確認でき、また透湿性も確保できる。
このように本発明の創傷被覆材は、高吸水性パッドの開口部による視認性と高透湿性付与、また開口部以外における滲出液の吸水及び保持によって、創の湿潤環境を維持し、湿潤療法(モイストヒーリング)を実現することが期待できる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
〔実施例1乃至実施例7及び比較例1乃至比較例7〕
[高吸水性パッドの製造方法]
スパンボンド法によるポリエステル不織布層の上に熱融着性を高めるべくポリエチレンパウダーを付着させ、その上に、吸水層を構成する高吸水性繊維(SAF)、ポリプロピレン繊維(PP)並びにポリエチレンバインダー(PE)を表1の割合で混合した繊維を集積させ、オーブンでの熱融着にて、繊維同士を接着させ、吸水層の形成と同時に吸水層/ポリエステル不織布層の積層構成を形成した。
続いて吸水層の、ポリエステル不織布層が設けられた面とは反対面にホットメルト接着剤を塗布したポリオレフィンフィルム(裏打ち層)を貼り合せた。
そして、ポリエステル不織布層の上にポリエチレンネット(表面層)を熱融着させた後、平行四辺形の開口部を有するよう所定の大きさ(2種、下記参照)に打抜加工を施して、高吸水性パッド(高吸水性パッドA)を作製した。なお、後述の高吸水性パッドの性能評価のうち、吸水量、ゲル強度の評価には、開口部を設けないパッドを用いた。
表1に示すように、吸水層の構成並びに不織布層の構成を変更し、各層の構成別に、実施例1乃至7及び比較例1乃至比較例7の高吸水性パッドをそれぞれ製造した。なお表1には、裏打ち層及び表面層を設けた後の積層構成(すなわち高吸水性パッドA:ポリオレフィンフィルム(裏打ち層)/吸水層/不織布層/ポリエチレンネット(表面層))と、裏打ち層及び表面層を設ける前の積層構成(吸水層/不織布層)の、それぞれの坪量及びパッド総厚について、あわせて示す。
【0046】
[創傷被覆材の製造方法]
ポリウレタン系粘着剤100部と架橋剤(コロネートL、東ソー(株)〔旧:日本ポリウレタン工業(株)〕製)2部とを均一に混合したのち脱泡し、これを、剥離処理を施したポリエステルフィルム(剥離体、厚み50μm)上に乾燥膜厚25μmとなるようにナイフコーターを用いて塗布し、次いで120℃で3分間硬化乾燥させ、粘着剤層を形成した。
得られた粘着剤層の上に、支持体層である厚さ20μmのエーテル系ウレタン樹脂のフィルム基材(透湿度3,300g/m2・day)とキャリアフィルムである厚さ40μmポリプロピレンフィルムとの積層体を、その支持体層の面を向けて貼り合わせた。その後、熱風乾燥機中に50℃の雰囲気下で5日間保存し、粘着剤の架橋反応を完結させて、剥離体に貼着されてなるキャリアフィルムを備える粘着フィルムを作製した。
上記粘着フィルムの剥離体を除去し、所定の大きさに裁断した上記高吸水性パッド(各層の構成別に、実施例1乃至7及び比較例1乃至比較例7の高吸水性パッド)の裏打ち層であるポリオレフィンフィルム面を、該粘着フィルムの粘着剤層に貼り合わせ、粘着フィルムの粘着剤層及びその上に貼着された高吸水性パッドを覆うように剥離材(シリコーン処理ポリラミ上質紙、厚み110μm)を貼り合わせ、これを指定の大きさに打ち抜き、剥離材を備える創傷被覆材を作製した。
【0047】
<高吸水性パッド:形状(サイズ)別の製造例1及び製造例2>
実施例1乃至実施例7及び比較例1乃至比較例7のそれぞれについて、以下の大きさ及び開口部を備える2種の高吸水性パッド(1)及び(2)を製造した。
[製造例1:高吸水性パッド(1)]
・パッドサイズ:短手方向の幅(
図5:1b)30mm
長手方向の幅(
図5:1a)65mm
・パッド構成:上記実施例1~7、比較例1~7(表1参照)
・開口部形状:長さ(
図5:A1)5mm×高さ(
図5:A2)12mm
・開口部傾斜角度(
図5:θ):40°
・開口部の間隔(
図5:A3):6mm
・高吸水性パッドにおける開口部の面積割合:20%
[製造例2:高吸水性パッド(2)]
・パッドサイズ:短手方向の幅(
図5:1b)50mm
長手方向の幅(
図5:1a)100mm
・パッド構成:上記実施例1~7、比較例1~7(表1参照)
・開口部形状:長さ(
図5:A1)10mm×高さ(
図5:A2)30mm
・開口部傾斜角度(
図5:θ):40°
・開口部の間隔(
図5:A3):12mm
・高吸水性パッドにおける開口部の面積割合:27%
【0048】
<創傷被覆材:形状(サイズ)別の製造例3及び製造例4>
上記製造例1で得られた高吸水性パッド(1)[各層の構成別に、実施例1乃至7及び比較例1乃至比較例7の合計14種]、並びに、製造例2で得られた高吸水性パッド(2)[同14種]を用いて、以下の大きさを有する創傷被覆材(1)及び創傷被覆材(2)を製造した。なお何れの創傷被覆材においても、パッドが粘着フィルムの略中央に配置されるように設定した。
[製造例3:創傷被覆材(1)]
・使用したパッド:高吸水性パッド(1)
・創傷被覆材(粘着フィルム)サイズ:短手方向の幅 60mm
長手方向の幅 100mm
[製造例4:創傷被覆材(2)]
・使用したパッド:高吸水性パッド(2)
・創傷被覆材(粘着フィルム)サイズ:短手方向の幅 90mm
長手方向の幅 150mm
【0049】
[高吸水性パッドの性能評価]
以下の手順に従い、実施例1乃至実施例7及び比較例1乃至比較例7の高吸水性パッドの吸水量、パッドに吸水させた際のゲル強度、パッド加工時の紙粉の発生の有無、並びに穴開加工裁断適正について評価した。
なお、実施例では表面層であるポリエチレンネット並びに裏打ち層であるポリオレフィンフィルムを積層した高吸水性パッドにて評価を行なっているが、表面層及び裏打ち層は吸水量等の各種特性に影響を及ぼさないことを確認している。
【0050】
[1]吸水量の評価
<評価手順>
製造した各高吸水性パッドA(開口部なし、表面層及び裏打ち層を含む)を50mm×50mmに裁断し、ここに0.9質量%に調製した食塩水を吸水させ、2時間静置した。吸水前並びに吸水後2時間静置後のそれぞれにおいて、高吸水性パッドの質量を測定し、高吸水性パッドが吸水した食塩水量を単位面積あたりに換算し算出した。
また、市場製品(創傷被覆材、開口部あり)について、剥離材部分を剥がし、パッド部が上に向くように置いた後、前記食塩水をパッドに吸水させ、2時間静置した後、吸水していない余分な水分をふき取り、同様の手順にて単位面積あたりの吸水量を算出し(0.16g/cm2)、市場製品の開口部の面積が全体の約30%であることを考慮して、開口部なしとした場合の市場製品の吸水量を0.23g/cm2と見積もり、本値を目標値とした。そして本発明の高吸水性パッド(開口部なし)の単位面積あたりの吸水量が前記目標値を満足するかを判断基準とした。
それぞれ試験数nを3とし、平均値により評価した(表1には、最大値と最小値の差である範囲も併せて示す)。
<評価基準>
○:0.23g/cm2以上
×:0.23g/cm2未満
【0051】
[2]ゲル強度の評価
<評価手順>
製造した各高吸水性パッド(開口部なし、表面層であるポリエチレンネットを含む)を50mm×50mmに裁断し、ここに0.9質量%に調製した食塩水を吸水させ、2時間静置した。静置後、高吸水性パッド上に1,000g/50mmφの錘を置き、ゲルの染み出し面積を評価した。
<評価基準>
〇:ゲルの染み出し面積がパッドの面積に対して5%未満
×:ゲルの染み出し面積がパッドの面積に対して5%以上~10%未満
××:ゲルの染み出し面積がパッドの面積に対して10%以上
【0052】
[3]紙粉発生に関する評価
<評価手順>
上記サイズ別の製造例1で製造した高吸水性パッド(1)[各層の構成別に、実施例1乃至7及び比較例1乃至比較例7]について、開口部の打抜加工時及び粘着フィルムへのパッド植付加工時における紙粉の発生の有無を評価した。
<評価基準>
○:開口部打抜加工時及びパッド植付加工時に紙粉発生なし
×:開口部打抜加工時及びパッド植付加工時に紙粉発生あり
【0053】
[4]穴あけ加工裁断適正
<評価手順>
上記サイズ別の製造例1で製造した高吸水性パッド(1)[各層の構成別に、実施例1乃至7及び比較例1乃至比較例7]について、穴あけ(開口部)加工及び裁断加工の可否を寸法安定性により評価した。
穴あけ加工適性に関しては、各開口部の間隔(ピッチ)のズレ長さを測定した。
また裁断加工適性については、規定の寸法に裁断する際に寸法とのズレ長さを測定した。
<評価基準>
×:ピッチのズレ長さが1.0mm以上、及び、
裁断の寸法とのズレ長さが1.5mm以上
△:ピッチのズレ長さが0.5mm以上1.0mm未満、及び、
裁断の寸法とのズレ長さが1.1mm以上1.5mm未満
〇:ピッチのズレ長さが0.5mm未満、及び、
裁断の寸法とのズレ長さが1.1mm未満
【0054】
以上、得られた結果を表1に示す。
【0055】
【0056】
<試験例2:開孔率(開孔面積)の変化による吸水量及び視認性の評価>
開孔率(開孔面積)と吸水量及び視認性の関係について評価するべく、同一形状の開口部を複数個形成した高吸水性パッドにおいて、各開口部の間隔(ピッチ)を種々に変更することによって開孔率(開孔面積)を変化させ、吸水量、視認性、並びに穴あけ裁断適正についてそれぞれ評価した。
【0057】
評価に供した創傷被覆材における高吸水性パッドは、大きさ(パッドサイズ)、パッド構成、及び開口部形状(大きさ)を以下の通りにて一定とし、表2に示す各開口部の間隔(ピッチ)(
図6(
図5)におけるA3)のみを変更することで、一のパッドにおける開孔率及び開孔面積を変化させた。なお
図6に、表2に示す例A(
図6(a))、例E(
図6(b))、及び例J(
図6(c))で用いた高吸水性パッドの開孔パターンの模式図(正面図)を示す。
・パッドサイズ:短手方向の幅(
図5:1b)50mm
長手方向の幅(
図5:1a)100mm
・パッド構成:上記実施例1(高吸水性パッドA:表面層及び裏打ち層を含む)
・開口部形状:長さ(
図5:A1)10mm×高さ(
図5:A2)30mm
・開口部傾斜角度(
図5:θ):40°
・創傷被覆材サイズ(粘着フィルムサイズ):短手方向の幅 90mm
長手方向の幅 150mm、
・粘着フィルムの構成:ポリウレタンフィルム(厚さ)0.018mm
ポリウレタン系粘着剤(厚さ)0.025mm
【0058】
また吸水量、視認性及び穴あけ裁断適正は、以下の手順で評価した。
《吸水量》
<評価手順>
創傷被覆材の剥離材部分を剥がし、高吸水性パッドが上を向くように置いた後、0.9質量%に調製した食塩水を高吸水性パッドに吸水(開口部あり、表面層であるポリエチレンネット側より吸水)させ、2時間静置した。2時間後、吸水していない余分な水分をふき取り、吸水前並びに吸水後2時間静置後のそれぞれにおいて、創傷被覆材の質量を測定し、創傷被覆材の高吸水性パッドが吸水した食塩水量を単位面積あたりに換算し算出した。
同様の手順にて市場製品(開口部あり)の単位面積あたりの吸水量を算出し(0.16g/cm2)、これを目標値に設定した。
<評価基準>
×:0.16g/cm2未満
○:0.16g/cm2以上
【0059】
《視認性》
<評価手順>
視認性の評価方法は、本評価に使用したパッドサイズ:50mm幅に関して、創傷部位で観察したい範囲を中央の30mm幅に設定し、創傷部位(30mm幅)で観察したい範囲に対する開口している面積(視認可能な面積)の比率で評価した。
<評価基準>
×:視認可能な面積が創傷部位(30mm幅)で観察したい範囲に対して25%未満
△:視認可能な面積が創傷部位(30mm幅)で観察したい範囲に対して25%以上27%未満
〇:視認可能な面積が創傷部位(30mm幅)で観察したい範囲に対して27%以上
【0060】
《穴あけ加工裁断適正》
<評価手順>
穴あけ加工適性に関しては、各開口部の間隔(ピッチ)のズレ長さを測定した。
また裁断加工適性については、規定の寸法に裁断する際に寸法とのズレ長さを測定した<評価基準>
×:ピッチのズレ長さが1.0mm以上、及び、
裁断の寸法とのズレ長さが1.5mm以上
△:ピッチのズレ長さが0.5mm以上1.0mm未満、及び、
裁断の寸法とのズレ長さが1.1mm以上1.5mm未満
〇:ピッチのズレ長さが0.5mm未満、及び、
裁断の寸法とのズレ長さが1.1mm未満
【0061】
【符号の説明】
【0062】
1 高吸水性パッド
2 吸水層
3 ポリエステル不織布
4 裏打ち層
5 表面層
10 創傷被覆材
20 粘着フィルム
21 粘着剤層
22 支持体層
30(30A、30B) 剥離材
40 キャリアフィルム
50 取口テープ
A 開口部
B ハーフカット