(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブセンサが第1および第2の基板上に位置付けられた感知デバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20230614BHJP
G01N 27/414 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G01N27/12 B
G01N27/414 301U
(21)【出願番号】P 2020530465
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 US2018065086
(87)【国際公開番号】W WO2019125844
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509027021
【氏名又は名称】サーモ エレクトロン サイエンティフィック インストルメンツ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】サフロン ナサニエル エス
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー マシュー ウェイン
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0215002(US,A1)
【文献】特表2008-511008(JP,A)
【文献】特開2014-238004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0014356(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0011428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0226698(US,A1)
【文献】特表2009-505045(JP,A)
【文献】特開平09-043193(JP,A)
【文献】特表2003-517604(JP,A)
【文献】特開2006-322813(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0056367(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感知デバイスであって、
複数のセンサのアレイを備えた第1の基板であって、各センサは、前記第1の基板上に配置されたpドープカーボンナノチューブのコーティングと、前記第1の基板を貫通して延びる一対の基板貫通バイアス(TSV)と、前記第1の基板上に位置付けられた一対の接触パッドとを含み、前記一対の接触パッドの各々は、複数のドープカーボンナノチューブの端部が前記接触パッドに埋め込まれるように、複数のpドープカーボンナノチューブの各々の端部を完全に取り囲む金属で構築され、各センサからの前記接触パッドの少なくとも1つは、隣接するセンサの外向きの延伸部と入れ子になっている外向きの延伸部を含む、第1の基板と、
前記第1の基板に隣接して位置付けられた
プリント回路基板(PCB)であって、前記TSV
が前記接触パッドを介して前記pドープカーボンナノチューブを前記PCBに電気的に接続
する、プリント回路基板(PCB)と、を備える、感知デバイス。
【請求項2】
前記第1の基板が、シリコンまたはガラスで構築される、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項3】
前記
PCBが、前記第1の基板が隣接する、前記
PCBの側面とは反対の前記
PCBの側面にゲートを含む、請求項
1に記載の感知デバイス。
【請求項4】
はんだバンプが、前記TSVと前記
PCBとの間に提供されている、請求項
3に記載の感知デバイス。
【請求項5】
前記第1の基板と前記
PCBとの間の界面
に位置付けられた封止材をさらに備える、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項6】
前記封止材が、エポキシ、プラスチック、およびシリコーンのうちの1つである、請求項
5に記載の感知デバイス。
【請求項7】
前記金属は、Ti、TiN、Pd、Au、およびPtのうちの1つ
を含む、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項8】
前記第1の基板と
前記接触パッドを備えた前記pドープカーボンナノチューブのコーティングとの間に絶縁層をさらに備える、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項9】
前記絶縁層が、SiO
2およびSiNのうちの1つから形成される、請求項
8に記載の感知デバイス。
【請求項10】
各センサからの前記外向きの延伸部は、前記接触パッドから外向きに延伸する略L字型の延伸部を含む、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項11】
感知デバイスを形成する方法であって、
第1の基板に
一対の基板貫通バイアス(TSV)を形成するステップと、
pドープカーボンナノチューブのコーティングをそれぞれ含む前記第1の基板上の複数のセンサのアレイを堆積させるステップと、
前記第1の基板上に一対の接触パッドを形成するステップであって、
前記一対の接触パッドの各々は、複数のpドープカーボンナノチューブの端部が前記接触パッドに埋め込まれるように、複数のpドープカーボンナノチューブの各々の端部を完全に取り囲む金属で構築され、各センサからの前記接触パッドの少なくとも1つは、隣接するセンサの外向きの延伸部と入れ子になっている外向きの延伸部を含むステップと、
前記第1の基板を
プリント回路基板(PCB)に隣接して位置付けるステップと、
前記TSVと
前記PCBとの間に電気的接続を形成
するステップであって、前記TSVが前記接触パッドを介して前記pドープカーボンナノチューブを前記PCBに電気的に接続するステップと、を含む、感知デバイスを形成する方法。
【請求項12】
前記第1の基板と
前記PCBとの間の界面を封入するステップをさらに含
み、
前記封入するステップが、エポキシ、プラスチック、およびシリコーンのうちの1つで行われる、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の基板上に前記
複数のセンサ
のアレイを堆積させる前に、前記第1の基板上に絶縁層を位置付けるステップをさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記絶縁層が、SiO
2およびSiNのうちの1つから形成される、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の基板が隣接する前記
PCBの側面と反対の前記
PCBの側面にゲートを提供するステップをさらに含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の基板が、シリコンまたはガラスで構築される、請求項
11に記載の方法。
【請求項17】
前記TSVと前記
PCBとの間に電気的接続を形成する前記ステップが、
前記TSVと前記
PCBとの間に、はんだバンプを位置付けるステップと、
前記デバイスを加熱して、前記はんだバンプを溶融し、前記電気的接続を形成するステップと、を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項18】
前記金属は、Ti、TiN、Pd、Au、およびPtのうちの1つ
を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項19】
各センサからの前記外向きの延伸部は、前記接触パッドから外向きに延伸する略L字型の延伸部を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項20】
感知デバイスを形成する方法であって、
第1の基板に複数の
基板貫通バイアス(TSV)を形成するステップと、
前記第1の基板上に
pドープカーボンナノチューブのコーティングをそれぞれに含む複数のセンサのアレイを堆積させるステップと、
前記第1の基板上に
各センサの一対の接触パッドを形成するステップであって、
前記一対の接触パッドの各々は、複数のpドープカーボンナノチューブの端部が前記接触パッドに埋め込まれるように、複数のpドープカーボンナノチューブの各々の端部を完全に取り囲む金属で構築される、ステップと、
前記第1の基板をダイシングして、複数の第1の基板を形成するステップであって、前記複数の第1の基板の各々が、前記複数のセンサ、TSV、および接触パッドを含む、ステップと、
各第1の基板を
プリント回路基板(PCB)に隣接して位置付けるステップと、
前記TSVと前記
PCBとの間に電気的接続を形成
するステップであって、前記TSVが前記接触パッドを介して前記pドープカーボンナノチューブを前記PCBに電気的に接続するステップと、を含む、方法。
【請求項21】
前記第1の基板と前記
PCBとの間の界面を封入するステップをさらに
含み、
前記封入するステップが、エポキシ、プラスチック、およびシリコーンのうちの1つで行われる、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の基板上に前記
複数のセンサ
のアレイを堆積させる前に、前記第1の基板上に絶縁層を位置付けるステップをさらに含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項23】
前記絶縁層が、SiO
2およびSiNのうちの1つで形成される、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の基板のうちの1つが隣接する各
PCBの側面と反対の各
PCBの側面上にゲートを提供するステップをさらに含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の基板がシリコンまたはガラスで構築される、請求項
20に記載の方法。
【請求項26】
前記TSVと前記
PCBとの間に電気的接続を形成する前記ステップが、
前記TSVと前記
PCBとの間に、はんだバンプを位置付けるステップと、
前記デバイスを加熱して、前記はんだバンプを溶融し、前記電気的接続を形成するステップと、を含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項27】
前記金属は、Ti、TiN、Pd、Au、およびPtのうちの1つ
を含む、請求項
20に記載の方法。
【請求項28】
各センサからの前記接触パッドの少なくとも1つは、隣接するセンサの外向きの延伸部と入れ子になっている外向きの延伸部を含む、請求項
20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月19日に出願された米国仮特許出願第62/607,503号の利益を主張する。この出願の内容は、その全体が参照により組み込まれている。
【0002】
本発明の態様は、概して、第1の基板上に位置付けられ、かつ、第1の基板を介して延伸する基板貫通ビア(TSV)を介して、第2の基板に動作可能に接続されたセンサに、より具体的には、そのような基板上に位置付けられたカーボンナノチューブデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤボンディングは、基板の上側面上のセンサなどのデバイスに電気的に接触させるための従来の方法である。封入は通常、脆弱なワイヤボンディングへの機械的損傷を防ぐために使用される。自然環境に曝露される必要があるデバイス、具体的にはセンサの場合、封入は、ワイヤボンディングをカバーする必要があるが、センサ領域はカバーせずに残しておく必要があり、信頼性を持って、また射出成形、エポキシマイクロピペッティング、およびダムアンドアウトサイド充填法により、それを大きな容積で作るのは困難である。小さいセンササイズは、設計上の考慮事項に基づいて、またはウェハ当たりのセンサ数を増やすことによってコストを低減するためには、必要であり得る。小さなサイズのデバイスでは、曝露されたデバイス領域を有するワイヤボンディングおよび封入は、ほぼ不可能である。さらに、化学的センサ、電気化学的センサ、または生物学的センサなどのイオン液体緩衝液に浸されたセンサの場合、デバイスへのいかなる電気的接続も、緩衝液から絶縁される必要があり、そうでなければ、イオン伝導が発生し、感度が低減または無効になるだろう。
【0004】
本明細書で使用される基板貫通バイアス(TSV)という用語は、ワイヤボンディングの代替を指し、基板自体を介してのデバイスへの垂直接続を提供し、基板の底部ではんだ接続され、プリント回路基板などの別の電気的デバイスに接続される。
【0005】
従来の既知のプロセスに固有の問題の一部またはすべてを低減または克服するTSVと共に使用される、基板に取り付けられたセンサを提供することが望ましいであろう。特定の実施形態の以下の開示および詳細な説明を考慮すると、特定の目的および利点は、当業者、すなわち、この技術分野に精通しているかまたは経験している者には明らかとなるであろう。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様によれば、感知デバイスは、内部を通って延伸する複数のTSVを備える第1の基板と、第1の基板に隣接して位置付けられた第2の基板と、を含み、TSVは第2の基板に電気的に接続されている。少なくとも1つのカーボンナノチューブセンサが、第1の基板上に位置付けられる。複数の接触パッドの各々は、各接触パッドが、TSVのうちの1つに、かつカーボンナノチューブセンサのうちの1つに電気的に接続されるように、ならびにカーボンナノチューブセンサのうちの1つの端部が、接触パッドに埋め込まれているように、第1の基板上に、かつカーボンナノチューブセンサのうちの1つの上に位置付けられている。
【0007】
別の態様によれば、感知デバイスを形成する方法は、第1の基板に複数のTSVを形成するステップと、第1の基板上に少なくとも1つのカーボンナノチューブセンサを堆積させるステップと、各接触パッドが、TSVのうちの1つに、かつカーボンナノチューブセンサのうちの1つに電気的に接続されるように、ならびにカーボンナノチューブセンサのうちの1つの端部が、各接触パッドに埋め込まれているように、第1の基板上に、かつカーボンナノチューブセンサのうちの1つの上に、一対の接触パッドを形成するステップと、第1の基板を第2の端部に隣接して位置付けるステップと、TSVと第2の基板との間に電気的接続を形成するステップと、を含む。
【0008】
他の態様によれば、感知デバイスを形成する方法は、第1の基板に複数のTSVを形成するステップと、第1の基板上に複数のカーボンナノチューブセンサを堆積させるステップと、各接触パッドが、TSVのうちの1つに、かつカーボンナノチューブセンサのうちの1つに電気的に接続されるように、ならびにカーボンナノチューブセンサのうちの1つの端部が、各接触パッド内に埋め込まれているように、第1の基板上に、かつカーボンナノチューブセンサのうちの1つに、複数の対の接触パッドを形成するステップと、第1の基板をダイシングして、複数の第1の基板を形成するステップであって、複数の第1の基板の各々が、複数のカーボンナノチューブセンサ、TSV、および接触パッドを含むステップと、第2の基板に隣接して各第1の基板を位置付けるステップと、TSVと第2の基板との間に電気的な接続を形成するステップと、を含む。
【0009】
本明細書に開示される、これらおよびさらなる特徴および利点は、特定の実施形態の以下の詳細な開示、その図面、および特許請求の範囲からさらに理解されるであろう。
【0010】
本実施形態の前述および他の特徴および利点は、添付の図面と併せて例解的な実施形態の以下の発明を実施するための形態からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1および第2の基板上に取り付けられた感知デバイスの斜視図である。
【
図3】
図1の感知デバイスの第1の基板の、部分的には断面図である斜視図である。
【
図4】
図1の感知デバイスの代替的な実施形態の断面図である。
【
図5】代替的な実施形態によるセンサのアレイを有する基板の平面図である。
【0012】
上記で参照された図は、必ずしも縮尺どおりに描かれておらず、本発明の特定の実施形態の表現を提供するために理解されるべきであり、かつ本質的に単なる概念であり、関係する原理の例解である。図示されている感知デバイスのいくつかの特徴は、説明および理解を容易にするために、他の特徴に対して拡大または歪められている。同じ参照番号が、様々な代替的な実施形態に示される類似または同一の構成要素および特徴について図面で使用されている。本明細書に開示されるように、TSVと共に使用されるセンサは、構成および構成要素が、それらが使用される、意図された用途および自然環境によって、部分的に決定されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図2は、感知されるべき物質を含む自然環境に曝露されるセンサとして使用され得る代表的な感知デバイス10を例解する。感知デバイス10は、ガスセンサ、化学的センサ、電気化学的センサ、生物学的センサ、または任意の他の所望のタイプのセンサであり得る。そのようなセンサは、イオン液体緩衝液などの緩衝液中に配置することができ、緩衝液への曝露は、そのようなセンサの一部分を形成することが多い電気的構成要素にとって問題となり得る。具体的には、このような水溶液にセンサを配置すると、センサが動作するために必要な電気的な接続が損なわれる可能性がある。
【0014】
感知デバイス10は、センサ14が位置付けられ得る第1の基板12を含み得る。特定の実施形態では、第1の基板12は、シリコン、ガラス、または他の好適な材料で形成されたウェハ、スラブ、シート、またはダイであり得る。以下でより詳細に考察されるように、第1の基板12は、形成後に、より小さな断片またはダイスに切断される、より大きなウェハ、スラブ、またはシートの一部分として形成され得る。各ウェハ、スラブ、またはシートからより多くのダイを製造するために、そのような感知デバイスのサイズを低減し、それにより、コスト効率が高く、かつ自動化された製造プロセスで大量に製造することができる拡張性のある感知デバイスを提供することが望ましい。
【0015】
センサ14は、特定の実施形態において、カーボンナノチューブセンサ、例えば、官能化されたカーボンナノチューブ基板であり得る。そのようなカーボンナノチューブセンサは、標的分析物または複数の標的分析物が、官能化されたカーボンナノチューブ基板に接触するときに、コンダクタンスの変化を検出することができる。一態様によれば、カーボンナノチューブウェハは、導電性カーボンナノチューブ基板を生成するためにカーボンナノチューブでウェハをコーティングすることにより作製される。例示的な方法としては、スピンコート堆積プロセスまたは連続的な浮遊蒸発自己組織化(FESA)プロセスが挙げられる。当業者は、当業者に既知である他の好適な方法を用いて、導電性カーボンナノチューブ基板を作製することができることを理解することである。
【0016】
特定の実施形態では、そのようなカーボンナノチューブ基板は、半導体単層カーボンナノチューブ(s-SWCNT)を含む。このようなs-SWCNTは、高い表面積と、拡張可能な感度を生み出すために十分な半導体性の特性によって特徴付けられる。特定の実施形態では、カーボンナノチューブ基板は平面であり得る。カーボンナノチューブ基板は、半導体材料表面全体の電界電荷キャリアを監視する生物学的感知デバイス内に製作されたカーボンナノチューブ半導体表面であり得る。生体分子相互作用からの結合事象が発生し、カーボンナノチューブの表面に連結されているとき、ナノチューブ上のキャリア濃度が変化し、導電率が変化され得る。標的検体が官能化されたナノチューブ表面に結合すると、電流が改変および検出される。特定の実施形態では、結合相互作用が、相互作用を検出するために、Debyeスクリーニング長の範囲内で発生する。感度を高めるために、断片化された抗体などの小さな受容体を使用することができる。
【0017】
カーボンナノチューブは、当業者に既知の単層カーボンナノチューブであり、一般にカーボンナノチューブ基板の製造のために使用される。当技術分野で既知であるように、カーボンナノチューブ(CNT)は、ほぼ円筒形のナノ構造を持つ炭素の同素体である。一般に、カーボンナノチューブは、グラフェンと呼ばれる1原子厚のカーボンシートで形成された壁を備える、所定の長さの中空円筒構造によって特徴付けられる。一般に、グラフェンシートは、特定の離散的な(「キラル」)角度で巻かれるか、そうでなければ構成され、巻角と半径の組み合わせにより、ナノチューブの特性、例えば個々のナノチューブシェルが金属か半導体かが決まる。ナノチューブは、単層ナノチューブ(SWCNT)および多層ナノチューブ(MWCNT)に分類される。個々のナノチューブは、ファンデルワールス力、より具体的にはパイスタッキングによって一緒に保持された「ロープ」に自然に整列することができる。例示的な単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は、約1ナノメートルの直径を有するが、より広くてもよい。一態様によれば、SWCNTは、ゼロ~約2eVのバンドギャップを示すことができ、それらの導電率は、金属的または半導体性の挙動を示すことができる。単層カーボンナノチューブは、本明細書に記載の検出デバイスの例示的な基板を提供する。例示的な単層カーボンナノチューブおよびそれらの製造方法のより詳細な説明は、2018年10月10日に出願された、米国出願第16/155,955号、発明の名称「Carbon Nanotube-Based Device for Sensing Molecular Interaction」に記載されており、それらのすべての目的のために、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている。デバイスで使用される例示的なカーボンナノチューブはまた、米国特許第7,416,699号、米国特許第6,528,020号、および米国特許第7,166,325号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0018】
第1の基板12は、プリント回路基板(PCB)などの第2の基板18の第1の側面16上に、またはそれに隣接して位置付けられ得る。ゲート20は、第1の側面16の反対の基板18の第2の側面22上に位置付けられ得る。ゲート20は、特定の実施形態では、AuまたはPtメッキされ得る。
【0019】
以下でより詳細に記載されているように、センサ14と第2の基板18との間の電気的接続を提供するために、基板貫通バイアス(TSV)24が第1の基板12に形成され得る。特定の実施形態では、TSV24は、はんだバンプ26を介して第2の基板18に電気的に接続され得る。
【0020】
カーボンナノチューブの使用においては、カーボンナノチューブと、カーボンナノチューブが接続されている金属要素との間の接触抵抗が低いことが有利である。これは、カーボンナノチューブの抵抗での変化を検出することにより、カーボンナノチューブが動作するという事実による。カーボンナノチューブ自体の抵抗が、金属とカーボンナノチューブとの間の接触抵抗よりもはるかに低い場合、感知の結果としてのカーボンナノチューブの抵抗での変化は、センサ全体の抵抗が、大部分が接触抵抗であるために、ほとんどまたはまったくセンサ全体の抵抗を変化させない。したがって、金属とカーボンナノチューブとの間の接触抵抗を下げることにより、感知デバイスの官能性と感度を向上させることができる。
【0021】
したがって、接触抵抗を低く維持するために、センサ14は、金属接触パッド28を介してTSV24に電気的に接続され得る。特定の実施形態では、各センサ14は、2つの接触パッド28に電気的に接続され得、一方はソースとして機能し、他方はセンサ14のドレインとして機能する。
【0022】
水溶液環境で使用されるとき、半導体カーボンナノチューブは、水の吸収および/または酸素からの移動の変化から、正孔ドープまたはpドープになり得ることが理解されるべきである。金属接点をpドープ半導体カーボンナノチューブと組み合わせて使用するときに低抵抗を得るために、仕事関数の高い金属が使用される必要がある。そうでなければ、Shottkeyダイオードとしても既知である金属半導体ダイオードが接合部に形成され、それが接触抵抗を大幅に増加させる。CuおよびAgを含む、TSVに通常使用される典型的な市販材料は、カーボンナノチューブでの使用に必要な低抵抗接触には好適ではないことを理解されたい。したがって、接触パッド28を形成するために使用される好適な金属は、Ti、TiN、Pd、Au、およびPtを含む。
【0023】
接触パッド28は、第1の基板12上に堆積され得る。第1の基板12上の、所望の場所での、または所望のパターンでのそのような金属の堆積は、シャドーマスクリソグラフィまたはフォトリソグラフィなどの、当業者に既知であるリソグラフィ法と組み合わせて、金属堆積法を使用して達成され得る。
【0024】
例示的なリソグラフィ法は、2018年10月10日に出願された米国出願第16/155,955号、発明の名称「Carbon Nanotube-Based Device for Sensing Molecular Interaction」に記載され、それらのすべての目的のために、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0025】
接触パッド28とカーボンナノチューブセンサ14との間の接続において接触抵抗を低くするために、接触パッド28の金属は、カーボンナノチューブの端部が、接触パッドに埋め込まれるように、カーボンナノチューブセンサの端部を取り囲まなければならないことを理解されたい。そのような構成により、接触パッド28とカーボンナノチューブセンサ14との間の良好な電気的接触が得られる。
【0026】
カーボンナノチューブの端部を、接触パッドの金属に埋め込むために、第1の基板12上にナノチューブを堆積させた後、接触パッド28を形成するために使用される金属を堆積させることが有利である。そうすることにより、その金属はカーボンナノチューブの端部を完全に取り囲み、それにより、金属の堆積中に、接触パッド28の金属中にカーボンナノチューブの端部を完全に埋め込む。
【0027】
封止材29は、第1の基板12と第2の基板18との間の接合部、シーム、または界面に提供され得、この界面を密封し、物質が界面に入り、その中の構成要素を損なうのを防ぐ。例えば、封止材は、使用中に感知デバイス10が配置され得る水溶液の有害な構成要素から、感知デバイス10内の構成要素を保護することに役立つ。
【0028】
好適な封止材は、例えば、エポキシ、プラスチック、およびシリコーンが挙げられる。本開示の利益を考慮すると、他の好適な封止材は、当業者に容易に明らかになるであろう。封止材29は、例えば、射出成形、印刷、マイクロピペット分散によって、第1の基板12と第2の基板18との間の界面で、感知デバイス10上に配置され得る。他の実施形態では、第1の基板12および第2の基板18は、第1の基板12およびセンサ14の上部が、封止材と接触しないような深さまで、好適な封止材に一緒に浸漬され得る。本開示の利益を考慮すると、第1の基板12と第2の基板18との間の界面に封止材29を位置付ける他の好適な方法は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0029】
TSV24の実施形態は、
図3に見られ、第1の基板12の中を完全に延伸する貫通ホールまたは孔32内に位置付けられたビアまたは導電性プラグ30で形成され得る。特定の好ましい実施形態では、孔32は、直径が約5~約200μm、より好ましくは約10~約50μm、最も好ましくは約10~約25μmである。
【0030】
導電性プラグ30は、接触パッド28と第2の基板18との間に電気的接続を提供するように機能する。特定の実施形態では、導電性プラグ30は、金属で形成され得る。例示的な金属としては、Cu、AuメッキされたCu、Cu/Al、AuメッキされたCu/Al、Ag、およびAuメッキされたAgが挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、導電性プラグ30は、ドープされたポリシリコンで形成され得る。導電性プラグ30に対する好適な他の材料は、本開示の利益を考慮すると、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0031】
特定の好ましい実施形態では、導電性プラグ30の直径は、約5~約200μm、より好ましくは約10~約50μm、最も好ましくは約10~約25μmである。
【0032】
特定の実施形態では、絶縁ライナ34は、導電性プラグ30と第1の基板12との間で孔32内に位置付けられ得る。ライナ34は、複数のTSVが第1の基板12に位置付けられているときに、TSV24の導電性プラグ30を隣接するTSVから絶縁する働きをする。ライナ34は、例えば、SiO2またはSiNで形成され得る。本開示の利益を考慮すると、ライナ34に対する好適な他の材料は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0033】
特定の好ましい実施形態では、ライナ34は、約0.2~約2μmの厚さである。
【0034】
本明細書で使用される「約」という用語は、センサの製造および使用の分野における道理にかなった、商業エンジニアリング目標、コスト、製造公差、および機能の制約内で、特定の値に近い、またはほぼ特定の値であることを意味する。同様に、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、道理にかなった、商業的なエンジニアリング目標、コスト、製造公差、および機能の制約内でほとんど、またはほぼ同じであることを意味する。
【0035】
図4は、第1の基板12上に複数のセンサ14と、対応する接触パッド28およびTSV24と、を使用する実施形態の断面図である。特定の実施形態では、センサ14のアレイは、第1の基板12上に配置され得る。本明細書に例解されるように、隣接するセンサ14は、それらの間に位置付けられた接触パッド28を共有し得、これは、接触パッド28は、2つのセンサ14の共通のドレインとして働き得る。例解された実施形態では、絶縁層36は、第1の基板12の上側面または最上面と、接触パッド28およびセンサ14との間に位置付けられ得る。特定の実施形態では、絶縁層36は、例えば、SiO2またはSiNで形成され得る。本開示の利益を考慮すると、絶縁層36に対する好適な他の材料は、当業者には容易に明らかになるであろう。絶縁層36は、ライナ34の材料と同じまたは異なる材料で形成され得ることを理解されたい。
【0036】
特定の実施形態では、センサ14の複数のアレイおよび関連する構成要素は、第1の基板12などの単層ウェハ上に形成され得る。例えば、
図5に見られるように、4つの3×2アレイのセンサ14、ならびに関連する接触パッド28およびTSV24が、ウェハサイズの第1の基板12上に形成されている。アレイが形成された後、ウェハサイズの第1の基板12は、切断線38に沿って切断またはダイシングされ得、それにより、センサ14のアレイおよび関連する構成要素を各々含む、複数のダイまたは第1の基板12を形成する。
【0037】
任意の数のセンサおよび関連する構成要素が、単層ウェハ、スラブ、またはシート上に形成され得、また、その数はセンサ、接触パッド、TSVおよびウェハ、スラブまたはシート自体のサイズによってのみ制限されることを理解されたい。したがって、同じ基板上に複数のセンサを位置付けることにより、センサおよび関連する構成要素のサイズを低減することが推進されることが理解されるべきである。センサ、接触パッド、およびTSVの製造可能サイズが小さければ小さいほど、より多くの感知デバイスをダイ上に、つまり、ウェハ、スラブ、またはシート上に提供することが可能になり、感知デバイスの拡張性を向上させる。
【0038】
信号対雑音比によって決定されるので、電気的なノイズが、カーボンナノチューブセンサの検出および感度の限界を決定するであろうことを理解されたい。デバイスの面積を増加させること、およびデバイスの導電率を増加させることが、信号対雑音比を増加させる2つの方法である。接触パッドは、接触パッドの形状を変更して、センサの導電率を増加させることによって、有効なチャネルまたはセンサの導電率を増加させるために使用され得る。接触パッドの形状によってチャネルの導電率を増加させる例が、
図5に例解される。本明細書に見られるように、接触パッド28上に延伸部40を提供し、接触パッド28の表面積を増加させ、それによりセンサ14の導電率を増加させることにより、接触パッド28の表面積を増加させることができる。
【0039】
本明細書に例解されるように、延伸部40は、接触パッド28から第1の基板12の上で外に延伸する、実質的にL字型、または逆L字型の部材である。隣接する接触パッド28の延伸部40は、互いに入れ子になっていることが本明細書ではわかる。延伸部40は必ずしもL字型または逆L字型である必要はないことを理解されたい。
【0040】
例解された実施形態では、
図5に見られる接触パッド形状であるセンサ14の導電率は、延伸部40を欠く接触パッド28の導電率よりも約10倍高く、感度と検出限界が3倍以上良くなる。
【0041】
したがって、本明細書に記載されるような接触パッド28を使用することにより、接触抵抗を低減し、センサ14の導電率を増加させることができる、センサ14とTSV24との間の電気的接続が提供されることが理解され得る。これにより、信号対雑音比が増加し、検出機能が増加する。
【0042】
次に、カーボンナノチューブセンサを有するデバイスを形成する方法が記載される。
図3および
図4に見られるように、1つまたは複数のTSV24は、第1の基板12上に形成される。上述されるように、第1の基板12は、例えば、シリコンまたはガラスで形成され得る。TSV24は、第1の基板12を完全に貫通して延伸する貫通孔32を作製することによって形成される。
【0043】
次いで、絶縁ライナ34が、孔32内に位置付けられ得、次いで、導電性プラグ30が、絶縁ライナ34の内部に形成される。ライナ34は、複数のTSVが第1の基板12に位置付けられているときに、TSV24の導電性プラグ30を隣接するTSVから絶縁する働きをする。ライナ34は、例えば、SiO2またはSiNで形成され得るが、導電プラグ30は、Cu、AuメッキされたCu、Cu/Al、AuメッキされたCu/Al、Ag、およびAuメッキされたAgなどの金属、またはドープポリシリコンなどの金属で形成され得る。
【0044】
図4に見られるように、第1の基板12に1つまたは複数のTSV24を形成した後、絶縁層36を、第1の基板12の上部に位置付け得る。絶縁層36は、例えば、SiO2またはSiNで形成され得る。
【0045】
次いで、センサ14として、カーボンナノチューブが、上述されるように、第1の基板12上に堆積される。TSVの形成後に、第1の基板12上にカーボンナノチューブ14を堆積させることにより、TSVの形成によるカーボンナノチューブへのいかなる起こり得る損傷も有利に排除する。TSVが、カーボンナノチューブの堆積後に形成された場合、TSVを形成するために使用される高温および/またはプラズマ処理により、カーボンナノチューブが損傷される可能性があった。
【0046】
次いで、上で考察されるように、また
図1、
図2、および
図4に見られるように、第1の基板12およびセンサ14の上部に接触パッド28が形成される。上述されるように、また
図5に見られるように、接触パッド28上に延伸部40を提供し、接触パッド28の表面積を増加させ、それによりセンサ14の導電率を増加させることにより、接触パッド28の表面積は増加され得る。
【0047】
第1の基板12が複数のセンサ14および関連する接触パッド28およびTSV24で形成された場合、次いで、第1の基板12は、
図5に見られるように、第1の基板12の各々がセンサ14のアレイを含み得る、複数の第1の基板12にダイシングされ得る。この例解された実施形態では、複数の第1の基板12の各々は、1つの3×2アレイのセンサ14を含む。
【0048】
次いで、TSV24を、PCBであり得る第2の基板18に接続することにより、第1の基板12が第2の基板18に接続される。はんだバンプ26、はんだペースト、または他の導電性材料の形態であるはんだが、TSV24が第2の基板18と接触する位置で、第2の基板18に適用される。次いで、第1の基板12は、第2の基板18の第1の表面16上に着座され、感知デバイス10は、はんだバンプ26が流れ出す温度まで加熱され、それによりTSV24を、第2の基板18上の好適な接点に接続する。
【0049】
図2に例解されるように、次いで、封止材29が、第1の基板12と第2の基板18との間の界面で感知デバイス10上に位置付けられ得る。封止材29は、例えば、エポキシ、プラスチック、またはシリコーンで形成され得る。封止材29は、例えば、射出成形、印刷、マイクロピペット分散によって感知デバイス10上に堆積され得る。
【0050】
本開示から得られた知識を有する当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、これらおよび他の利点を達成するために開示された装置および方法に様々な変更を加えることができることを認識する。したがって、本明細書に記載の特徴は、修正、改変、変更、または置換が可能であることを理解されたい。例えば、同じ結果を達成するために、実質的に同じ方法で、実質的に同じ機能を実行するそれらの要素および/またはステップのすべての組み合わせが、本発明の範囲内にあることが明白に意図される。記載された一実施形態から別の実施形態への要素の置換もまた、完全に意図および企図されている。本明細書で例解および説明される特定の実施形態は、例解のみを目的としており、添付の特許請求の範囲に記載される本発明を限定するものではない。他の実施形態は、当業者には明らかであろう。前述の説明は、明確にするためだけに提供され、単に例示的なものであることを理解されたい。本発明の趣旨および範囲は、上記の例に限定されず、以下の特許請求の範囲に包含される。上記で引用したすべての出版物および特許出願は、あたかも各個々の出版物または特許出願が参照によりそのように組み込まれることが具体的かつ個別に示される場合と同程度に、あらゆる目的で参照により全体として組み込まれる。