(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】眼内レンズを保管バイアル内に保持し、かつ眼内レンズをインジェクタアセンブリ内で動作可能に提供するシャトルアセンブリを有する眼内レンズインジェクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20230614BHJP
【FI】
A61F2/16
(21)【出願番号】P 2020536931
(86)(22)【出願日】2018-09-18
(86)【国際出願番号】 US2018051504
(87)【国際公開番号】W WO2019060294
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-13
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008847
【氏名又は名称】ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレ,モイゼス エー
(72)【発明者】
【氏名】アヤガリ,マドゥ エス
(72)【発明者】
【氏名】ムクハラ,スシャント ピー
(72)【発明者】
【氏名】バクシ,サンジーヴ
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0074107(US,A1)
【文献】国際公開第2015/112146(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部を有するIOLを保持するためのシャトルであって、
動作可能に結合し、結合した保管形態と結合した装填形態との間で構成可能である第1のシャトルプレートおよび別個の第2のシャトルプレートを備え、前記第1のシャトルプレートおよび前記第2のシャトルプレートが、前記結合した保管形態および前記結合した装填形態のそれぞれにおいて、長手方向軸線に沿って延びるIOLチャンバを規定しており、前記IOLチャンバが、軸線方向で近位ポートおよび遠位ポートにより画定されており、前記近位ポートおよび前記遠位ポートがそれぞれ、前記結合した保管形態および前記結合した装填形態のそれぞれにおいて、前記長手方向軸線を横切る主要寸法を有し、前記主要寸法が、前記光学部の直径よりも小さ
く、
前記第1のシャトルプレートおよび前記第2のシャトルプレートの少なくとも一方が、撓み境界を中心として撓んで、前記動作可能に結合した第1および第2のシャトルプレートが、前記結合した保管形態から前記結合した装填形態に移行され、
前記第1のシャトルプレートは、第1の保管対向面と第1の装填対向面を備える一方、前記第2のシャトルプレートは、第2の保管対向面と第1の装填対向面を備え、
前記IOLチャンバは、前記第1及び第2の保管対向面と前記第1及び第2の装填対向面の間に配置され、
前記撓み境界は、前記第1及び第2の保管対向面と前記IOLチャンバの間に配置され、
前記第1の保管対向面は、前記結合した保管形態と前記結合した装填形態において、第2の装填対向面と係合し、
前記第1の装填対向面は、前記結合した保管形態において、前記第2の装填対向面から離間する一方、前記第1の装填対向面は、前記結合した装填形態において、前記第2の装填対向面に係合する、シャトル。
【請求項2】
前記IOLチャンバが、前記第1および前記第2のシャトルプレートが前記結合した保管形態にあるときの保管形態と、前記第1および前記第2のシャトルプレートが前記結合した装填形態にあるときの装填形態と、を有する、請求項1記載のシャトル。
【請求項3】
前記IOLチャンバの前記保管形態が、前記IOLの前記光学部を基準形態から変形させない、
請求項2記載のシャトル。
【請求項4】
前記IOLチャンバの前記装填形態が、前記IOLの前記光学部を基準形態から変形させて好都合に湾曲させる、
請求項2記載のシャトル。
【請求項5】
前記IOLチャンバが、前記シャトルの前記結合した保管形態および前記結合した装填形態のそれぞれにおいてIOLを捕捉する、請求項1記載のシャトル。
【請求項6】
前記動作可能に結合した第1のシャトルプレートと前記第2のシャトルプレートとが、非破壊的な分離を妨げる、請求項1記載のシャトル。
【請求項7】
前記IOLチャンバが、長手方向軸線と同軸である、請求項1記載のシャトル。
【請求項8】
前記第1および前記第2のシャトルプレートのそれぞれに支持部用傾斜路をさらに備え、各支持部用傾斜路が、前記IOLの前記光学部に重なる位置に支持部を変位させるようなサイズである、請求項1記載のシャトル。
【請求項9】
光学部を有するIOLを保持するためのIOLシャトルアセンブリであって、
(a)第1のシャトルプレートと、
(b)前記第1のシャトルプレートに動作可能に係合するように構成された別個の第2のシャトルプレートと、を備え、動作可能に係合した前記第1および前記第2のシャトルプレートが、係合した保管形態と係合した装填形態との間で配置されるように構成されており、
前記動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートが、(i)長手方向軸線に沿って延びるシャトル内部空間であって、IOLの光学部を保持するようなサイズであるIOLチャンバを有するシャトル内部空間と、(ii)保管セットの対向面と、(iii)装填セットの対向面と、(iv)前記保管セットの対向面と前記装填セットの対向面との中間にある撓み境界と、を有するシャトルを規定しており、
前記第1のシャトルプレートは、第1の保管対向面と第1の装填対向面を備える一方、前記第2のシャトルプレートは、第2の保管対向面と第2の装填対向面を備え、前記保管セットの対向面は、前記第1の保管対向面と前記第2の保管対向面を含み、前記装填セットの対向面は、前記第1の装填対向面と前記第2の装填対向面を含み、
前記IOLチャンバは、前記第1及び第2の保管対向面と前記第1及び第2の装填対向面の間に配置され、
前記撓み境界は、前記第1及び第2の保管対向面と前記IOLチャンバの間に配置され、
前記動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートが、前記係合した保管形態および前記係合した装填形態のそれぞれにおいて前記保管セットの対向面を当接させており、前記装填セットの対向面が、前記動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートの前記係合した保管形態における離間状態から、前記動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートの前記係合した装填形態における当接状態へと撓む、IOLシャトルアセンブリ。
【請求項10】
前記撓み境界が線状である、
請求項9記載のIOLシャトルアセンブリ。
【請求項11】
前記第1のシャトルプレートが第1の支持部用傾斜路を含み、前記第2のシャトルプレートが第2の支持部用傾斜路を含む、
請求項9記載のIOLシャトルアセンブリ。
【請求項12】
バイアルをさらに備
え、前記バイアルは、前記シャトルを前記バイアル内で方向付けるための方向付けおよび位置決め面と、前記シャトルを保管形態で配置するためのくさび面を備えた、請求項9記載のIOLシャトルアセンブリ。
【請求項13】
前記IOLチャンバが、(i)前記保管形態における前記IOLの前記光学部のための保管寸法、および(ii)前記装填形態における前記IOLの前記光学部のための装填寸法を規定しており、前記装填寸法が、前記保管寸法よりも小さい、
請求項9記載のIOLシャトルアセンブリ。
【請求項14】
前記IOLチャンバが、軸線方向で近位ポートおよび長手方向で離間した遠位ポートによって画定されていて、アクセスポートを含む、
請求項9記載のIOLシャトルアセンブリ。
【請求項15】
前記IOLチャンバおよび前記撓み境界が、前記長手方向軸線を横切る方向に沿って、前記保管セットの対向面と前記装填セットの対向面との中間にある、
請求項9記載のIOLシャトルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼内レンズ(intraocular lens;IOL)を保管し、患者に提供することに関し、詳細には、シャトル、バイアルおよびインジェクタを有するキットに関し、より詳細には、係合したIOL保持保管形態と係合したIOL保持装填形態との間で移行可能なシャトルに関し、バイアルは、シャトルと相互作用して、IOLを基準状態で保持する保管形態でシャトルを配置し、インジェクタは、シャトルと相互作用して、シャトルに保持されたIOLの少なくとも一部分を好都合に偏向または変形させる装填形態でシャトルを配置する。
【背景技術】
【0002】
眼内レンズ(本明細書ではIOLまたは単にレンズとも呼ぶ)は、眼の天然水晶体レンズが罹患しているか、そうでなければ損傷しているときに、天然レンズの代わりに使用される人工レンズである。状況によっては、移植されたIOLとともに天然レンズが眼内に残る場合がある。IOLは、眼の後房または前房のいずれかに配置され得る。
【0003】
IOLは、様々な構造および材料で提供される。そのようなIOLを眼に移植するための様々な器具および方法が知られている。典型的には、角膜に切開を行い、切開部を通して眼にIOLを挿入する。一技法では、外科医は外科用鉗子を使用してIOLを摘み、切開部を通して眼に挿入する。この技法は今日もなお実践されているが、IOLを眼に挿入するときに外科医により一層のコントロールのしやすさを与え、小さな切開部を通したIOLの挿入を許容するなどの利点をもたらし得るIOLインジェクタを使用する外科医がますます増えている。小さなサイズ(例えば、約3mm未満)の切開部は、大きな切開部(例えば、約3.2~5+mm)よりも好ましく、これは、小さな切開部が、術後の治癒期間の短縮、および誘発される乱視などの合併症の抑制と関連するためである。
【0004】
小さな切開部を通してIOLを嵌めるために、IOLは典型的に、眼に入れる前に折られかつ/または圧縮され、眼内で当初の折られていない/圧縮されていない形状をとる。IOLは非常に小さく繊細な製品であるため、インジェクタに装填するときと、眼に挿入するときとの両方で、その取り扱いに細心の注意を要する。
【0005】
IOLをIOLインジェクタの先端から損傷していない状態でかつ予測可能な向きで眼内に放つことが重要である。IOLが損傷していたり、インジェクタから誤った向きで放たれたりすると、外科医は、IOLを取り除いたり、さらに眼内で操作したりしなければならず、眼の周辺組織に外傷をもたらす可能性がある。IOLの適正な送達を実現するために、IOLが損傷する機会を最小限にして、IOLをインジェクタに均一に装填することが望まれる。
【0006】
IOLの装填および患者への提供に関連する問題に対処しようとする様々なIOLインジェクタおよびその他のデバイスが提案されているが、術者によるIOLの取り扱いの必要性をなくし、それにより、患者に提供する前にIOLが損傷する可能性を減らす、シャトル、バイアルおよびインジェクタのアセンブリが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、光学部を有するIOLを保持するためのシャトルであって、動作可能に結合し、結合した保管形態と結合した装填形態との間で構成可能である第1のシャトルプレートおよび別個の第2のシャトルプレートを備え、第1のシャトルプレートおよび第2のシャトルプレートが、結合した保管形態および結合した装填形態のそれぞれにおいて、長手方向軸線に沿って延びるIOLチャンバを規定しており、IOLチャンバが、軸線方向で近位ポートおよび遠位ポートにより画定されており、近位ポートおよび遠位ポートがそれぞれ、結合した保管形態および結合した装填形態のそれぞれにおいて、長手方向軸線を横切る主要寸法を有し、主要寸法が、光学部の直径よりも小さい、シャトルを提供する。
【0008】
本開示は、光学部を有するIOLを保持するためのIOLシャトルアセンブリであって、第1のシャトルプレートと、第1のシャトルプレートに動作可能に係合するように構成された別個の第2のシャトルプレートと、を備え、動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートが、係合した保管形態と係合した装填形態との間で配置されるように構成されており、動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートが、(i)長手方向軸線に沿って延びるシャトル内部空間であって、IOLの光学部を保持するようなサイズであるIOLチャンバを有するシャトル内部空間と、(ii)保管セットの対向面と、(iii)装填セットの対向面と、(iv)保管セットの対向面と装填セットの対向面との中間にある撓み境界と、を有するシャトルを規定しており、動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートが、係合した保管形態および係合した装填形態のそれぞれにおいて保管セットの対向面を接触させており、装填セットの対向面が、動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートの係合した保管形態における離間状態から、動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートの係合した装填形態における当接状態へと撓む、シャトルをさらに提供する。
【0009】
光学部を有するIOLをシャトル内に配置する方法であって、IOLを、固定具に位置決めされている間に、係合した第1のシャトルプレートおよび第2のシャトルプレートによって規定されたIOLチャンバ内に捕捉するステップであって、係合した第1のシャトルプレートおよび第2のシャトルプレートが、シャトルを規定している、ステップと、IOLチャンバにおけるポートを通してIOLから固定具を引き抜いて、係合した第1のシャトルプレートおよび第2のシャトルプレートによって規定されたIOLチャンバ内にIOLを保持するステップと、を含む方法も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】シャトル、バイアル、蓋およびIOLの分解図であり、シャトルはIOLを保持し、バイアルおよび蓋はシャトルを保持する。
【
図2】組立形態または保管形態における、
図1に示した構成要素の斜視図である。
【
図3a】保管形態における、
図1に示したシャトルの斜視図である。
【
図3b】装填形態における、
図1に示したシャトルの斜視図である。
【
図4】係合面を示すバイアルの一部分の拡大斜視図である。
【
図5】バイアルに保持されたときの保管形態におけるシャトルおよびIOLの断面図である。
【
図6】バイアルに保持されたときの保管形態におけるシャトルおよびIOLの斜視断面図である。
【
図7】バイアルに保持されたときの保管形態におけるシャトルおよびIOLの断面の平面図である。
【
図8】インジェクタと動作可能に係合したシャトルの斜視図である。
【
図9】インジェクタのプランジャアセンブリの斜視図である。
【
図10】インジェクタと動作可能に係合したシャトルの斜視図である。
【
図11】インジェクタに保持されたときの装填形態におけるシャトルおよびIOLの断面図である。
【
図12】インジェクタに保持されたときの装填形態におけるシャトルおよびIOLの斜視断面図である。
【
図13】装填形態におけるシャトル内のIOLの分解斜視図である。
【
図14】インジェクタに保持されたときの装填形態におけるIOLおよびシャトルの一部分の斜視断面図である。
【
図15】インジェクタに保持されたときの装填形態におけるIOLおよびシャトルの一部分の拡大斜視断面図である。
【
図16】プランジャアセンブリが前進した状態のインジェクタに保持されたときの装填形態におけるIOLおよびシャトルの一部分の拡大斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
概して、本開示は、シャトル100、バイアル200およびインジェクタ300を有するキットを提供し、シャトルは、IOL10を保持および保管し、バイアルは、シャトルを保持し、インジェクタは、長手方向軸線に沿って患者の眼にIOLを挿入する。
【0012】
本明細書で使用する場合、IOL10は、眼の天然水晶体レンズが白内障を有するか、そうでなければ罹患しているときに、天然レンズの代わりに使用される人工レンズである。IOL10は、眼の屈折異常を矯正するために眼に移植されることもあり、この場合、天然レンズは、移植されたIOLと共に眼内に残る場合がある。IOL10は、眼の後房または前房のいずれかに配置され得る。IOL10は、様々な構造および材料で提供される。IOL10のいくつかの一般的なスタイルとしては、いわゆる開ループ型支持部であって、光学部、および光学部16に取り付けられ、そこから延びる2つの支持部12,14を有する3ピース型と、(例えば、単一の材料片から光学部と支持部とを一緒に機械加工することによって)光学部と支持部とが一体に形成される1ピース型と、が含まれる開ループ型支持部が挙げられ、閉ループ型支持部のIOLも挙げられる。IOLの更なるスタイルは、プレート支持部型と呼ばれ、支持部は、光学部の両側から延びる平らなプレートとして構成される。IOL10は、PMMA、シリコーン、ヒドロゲルおよびシリコーンヒドロゲルなどであるが、これらに限定されない様々な材料または材料の組み合わせから作製され得る。
【0013】
本明細書に示され説明されるIOL10の構造が、議論を目的とするものにすぎず、IOLの特定の構造によって本発明を限定するものではないことも理解される。本システムは、任意の構造および型式のIOL10(例えば、プレート付きIOL、開ループ型または閉ループ型支持部付きIOL、前房IOL、後房IOL、収容型IOL(単一レンズ型および二重レンズ型を含む)など)に容易に適合され得る。IOL10は、(重力以外の)外力を受けていない基準状態を有する。つまり、基準状態は、変形力が除去されている際にIOLがとる構成である。
【0014】
バイアル
図1を参照すると、バイアル200は、シャトル100を保持するようなサイズであり、シャトルは、IOL10を保持する。バイアル200は、バイアルを周囲環境から封止するための蓋202を含むことができる。バイアル200は、ある量の滅菌溶液または滅菌用溶液(図示せず)とともに、シャトル100およびIOL10を保持するようなサイズである。典型的に、滅菌溶液は、封止されたバイアル200にシャトル100およびIOL10とともに保たれて、意図された使用までIOLを滅菌された液体環境に維持する。
【0015】
図2に見られるように、シャトル100は、意図せぬ分離を妨げるようにバイアル200に結合され、蓋202は、シャトルおよびIOLが内側にある状態でバイアルを封止する。
図4~
図6を参照すると、バイアル200は、(i)シャトルをバイアル内で方向付けるための方向付けおよび位置決め面210、(ii)IOLをシャトル内で位置決めするための位置決め面220、および(iii)シャトルを保管形態で配置するためのくさび面230を含む。これらの面を、バイアル200の別個の離間した面とすることができ、または複数の機能を実行する共通の面に併合できることが理解される。
【0016】
方向付け面210は、シャトル100の面、典型的にはシャトルの外面との摩擦嵌めのための細長いリブとして構成される。方向付け面210は、バイアル200内での所定の関係でシャトル100を方向付けて拘束するように機能する。さらに、方向付け面210は、シャトル100との摩擦嵌め係合をもたらして、バイアル200に対してシャトルを保持するのを支援するようなサイズとすることができる。
【0017】
位置決め面220は、シャトルとバイアル200との動作可能な係合に際して、シャトル100の一部分内に配置されるように構成される。位置決め面220は、シャトル100内でのIOL10の動きを束縛または制限する。
図2、
図6および
図7に見られるように、位置決め面220は、シャトルとバイアル200との動作可能な係合に際して、シャトル100内に突出して、シャトル内でのIOL10の動きを制限または束縛する。
【0018】
バイアル200のくさび面230は、シャトルとバイアルとの動作可能な係合に際して、係合または結合した保管形態などの保管形態にシャトル100を追いやるか、または強制的にもたらすように構成される。
【0019】
蓋202は、当該技術分野で知られている、溶液をバイアル内に保つ様々な機構のいずれかによってバイアル200を封止する。
【0020】
バイアル200の面は、蓋とともに、意図された保管および輸送の間にシャトルの意図せぬ変位を妨げ、かつバイアル内でのシャトルによるIOL10の圧縮または変形を規制するように、シャトル100をバイアルに対して係合および保持するように構成される。
【0021】
したがって、バイアル200は、シャトル100に係合し、シャトルを保管形態で配置し、シャトルを保管形態で保持するように構成され、IOLの光学部16は、応力を受けていない基準状態に維持される。
【0022】
シャトル
シャトル100は、第1のシャトルプレート120および第2のシャトルプレート160を含み、第1および第2のシャトルプレートは、動作可能に係合し、(i)IOL10を受容するようなサイズのIOLチャンバ104を有するシャトル内部空間102、(ii)保管セットの対向面122,162、(iii)装填セットの対向面124,164、および(iv)保管セットの対向面と装填セットの対向面との中間にある撓み境界126,166を規定し、動作可能に係合した第1および第2のシャトルプレートの部分が、(a)保管セットの対向面が当接し、かつ装填セットの対向面が離間する、係合または結合した保管形態などの保管形態と、(b)保管セットの対向面および装填セットの対向面の両方が当接する、係合または結合した装填形態などの装填形態との間で、撓み境界を中心として撓むようになっている。保管形態および装填形態という用語はそれぞれ、係合または結合した保管形態および係合または結合した装填形態を包含することを意図している。
【0023】
係合したシャトルプレート120,160が異なる配置または相対位置の間で撓みまたは移行し、異なる配置または相対位置をとるとの説明に関連して使用する場合、形態という用語は、以下で示すように、シャトルプレートが係合している間に互いに対して撓まされたときの、シャトルプレートの異なる配置または相対位置を包含することを意図している。さらに、当接するという用語は、隣になる、隣接する、共通の境界を有する、または接触していることを意味する。
【0024】
図11に見られるように、各シャトルプレート120,160は、シャトル内部空間102およびIOLチャンバ104の一部分を規定する凹部130,170と、
図14に示す遠位ポート106および近位ポート108と、を含む。シャトル内部空間102は、長手方向軸線に沿って延びる。したがって、
図11を参照すると、各シャトルプレート120,160は、対応する保管対向面122,162、装填対向面124,164、および撓み境界126,166を含む。
【0025】
図15および
図16を参照すると、IOLチャンバ104の一部分を規定する各凹部130,170は、支持部用傾斜路132,172を含み、それにより、シャトルプレート120,160の動作可能な係合に際して、支持部用傾斜路をIOLチャンバ内に配置する。支持部用傾斜路132,172は、IOLチャンバ104内の傾斜面を規定し、支持部用傾斜路は、長手方向軸線に沿って、かつそれに対して傾斜する。一実施形態では、各支持部用傾斜路132,172の傾斜は、傾斜路の終端を、シャトル100内で遠ざけられた(refrained)IOL10の光学部16の隣接部分と実質的に同一平面上またはそれよりも上方に位置決めする。傾斜は、インジェクタ300によってIOLチャンバ104からIOL10を推し進めるときに、各支持部12,14の少なくとも一部分を光学部16に重ねるのに十分である。したがって、各支持部用傾斜路132,172は、IOL10がシャトル内部空間102内で長手方向軸線に沿って並進する際に、対応する支持部12,14に接触するように位置決めされる。以下で示すように、インジェクタに応答したIOL10の移動は、対応する支持部用傾斜路132,172に支持部を接触させる支持部12,14の変形または移動を含むことができ、また、IOL10の更なる移動に際して、支持部は、IOLの光学部16と重なる位置へと傾斜路を上昇する。
【0026】
図11および
図13に見られるように、各シャトルプレート120,160の保管対向面122,162および装填対向面124,164は、長手方向に沿ったシャトルプレートの長さで延びる。しかし、各シャトルプレート120,160の保管対向面122,162および装填対向面124,164を、シャトルプレートの半分の長さまで、また第1のシャトルプレートと第2のシャトルプレートとの間の接触点まで、効果的に減じることができることが理解される。
【0027】
シャトルプレート120,160の一実施形態において、シャトル100の第1の形態または保管形態では、保管セットの対向面122,162は平行であり、装填セットの対向面124,164は非平行である。シャトルプレート120,160の本実施形態において、シャトル100の第2の形態または装填形態では、保管セットの対向面122,162は平行なままであり、装填セットの対向面124,164は、平行な向きに撓まされる。
【0028】
撓み境界126,166は、シャトルプレート120,160を撓ませるかまたはヒンジ式に動かすための、特に、保管セットの対向面122,162に対して装填セットの対向面124,164を枢動させるための、境界である。撓み境界126,166は、接触点、接触線、または接触する二次元領域とすることができる。
図11を参照すると、撓み境界126,166は、各シャトルプレート120,140の保管対向面122,162と装填対向面124,164との中間にある、長手方向軸線を横切る方向に沿った面によって規定される。
【0029】
撓み境界126,166は、シャトルプレート120,160の部分(詳細には、装填セットの対向面124,164)を、軸線を中心として撓ませることを可能にし、軸線は、長手方向軸線と概ね平行である。さらに、シャトルプレート120,160を撓ませることは、揺動する動きまたは揺動する関係を含むことができ、動きが、弓状、平面状、凹状または凸状であり得る他方の面に対する弓状または凹状の面の動きであることが理解される。したがって、撓み関係は、撓みの線または軸線ではなく、撓み境界126,166の領域に沿った動きを含むことができる。
【0030】
したがって、撓み境界126,166または撓み面は、長手方向軸線を横切る方向に沿って、保管セットの対向面122,162と装填セットの対向面124,164との中間にある。したがって、IOLチャンバ104は、長手方向軸線を横切る方向に沿って、保管セットの対向面122,162と装填セットの対向面124,164との中間にある。
【0031】
各シャトルプレート120,160は、基準の弛緩位置と撓まされた位置との間で移動可能な保持タブ128,168も含む。保持タブ128,168は、インジェクタ300に係合してロックするように構成され、一形態では、インジェクタからのシャトル100の非破壊的な分離を妨げる。逆に、シャトル100とバイアル200との係合は、バイアルからのシャトルの選択的な係合解除を許容するように構成される。各シャトルプレート120,160は、2つの保持タブ128,168を有するように示されているが、各シャトルプレートが、1つまたは3つ以上の保持タブを含み得ることが検討される。各シャトルプレート120,160が、長手方向に離間した2つの保持タブ128,168を含むことが良好であることが分かっている。
【0032】
第1および第2のシャトルプレート120,160は、
図3aおよび
図3bに示すように、IOL10をシャトル100内に装填する際に使用されるアクセスポート150も規定する。アクセスポート150は、シャトル内部空間102の長手方向軸線を横切ることができ、IOLチャンバ104にアクセスまたは開口する。アクセスポート150は、意図された動作条件でIOLがアクセスポートを通過するのを実質的に妨げるように、IOL10または少なくともIOLの光学部16よりも小さな主要寸法または直径を有する。アクセスポート150は、遠位ポート106および近位ポート108から独立して示されているが、以下で示す固定具の構造に応じて、遠位ポートおよび近位ポートの一方がアクセスポートとして機能できることが理解される。
【0033】
シャトルプレート120,160は、シャトルプレートの装填セットの対向面124,164を保管形態と装填形態との間で撓ませるなどの相対的な移行を可能にしながら、シャトルプレートを相互接続するための相互接続構造をさらに含む。
図3bおよび
図11を参照すると、相互接続構造の一実施形態では、各シャトルプレート120,160は、受容穴134,174および嵌合ポスト136,176を含み、第1のシャトルプレート120の受容穴は、第2のシャトルプレート160の嵌合ポストを受容し、第2のシャトルプレートの受容穴は、第1のシャトルプレートの嵌合ポストを受容する。本実施形態は、隣接するギャップ179によって規定される可撓性の捕捉タブ178を有する176などの嵌合ポストの1つをさらに提供することができ、嵌合ポストの長さおよび受容穴でのシャトルプレートの厚さは、捕捉タブが圧縮状態に撓まされて穴を完全に通過した後に弛緩状態に拡張できるように構成され、捕捉タブは、シャトルプレートの外面から離間し、それにより、係合または結合したシャトルプレートの相対的な移動を可能にする。代替的には、捕捉タブは、受容側のシャトルプレートの外面に隣接または接触して位置決めされるようなサイズであり、それにより、シャトル100の保管形態および装填形態の両方で、保管セットの対向面122,162を当接させて位置決めした状態に保持する。捕捉タブ178のサイズおよび受容穴134の通過に必要な圧縮量を決定することで、係合または結合したシャトルプレート120,160の非破壊的な分離を可能にする、受容穴を通過する捕捉タブの戻りが妨げられる。つまり、係合または結合したシャトルプレート120,160の非破壊的な分離は、捕捉タブ178および受容穴134、ならびに受容穴の通過に必要な圧縮量を設定することによって妨げられる。代替的には、シャトルプレート120,160を、非破壊的な分離を許容するように構成することができる。
【0034】
136および174などの残りの嵌合ポストおよび受容穴は、シャトルプレート120,160の相対的な係合のためのガイドとして機能するように構成される。つまり、残りの嵌合ポストおよび受容穴は、係合したシャトルプレート120,160が、長手方向軸線と平行な撓み境界126,166の周りでのみ撓むことを可能にする。残りのポストと受容穴との係合は、(i)係合したシャトルプレートが第1の嵌合ポストと第1の受容穴との係合部を中心として回転するのを防ぎ、かつ(ii)シャトルプレート120,160の部分が撓み境界126,166を中心として撓むことを許容する。
【0035】
図3bおよび
図11を参照すると、シャトルプレート120,160は、各嵌合ポスト136,176とそれぞれの受容穴134,174とを位置合わせし、シャトルプレートを押し付け合い、それにより、残りのプレートの対応する受容穴に捕捉タブを有する嵌合ポストを通過させるのに十分に小さな断面になるまで、捕捉タブを有する嵌合ポストを圧縮し、こうして、捕捉タブが、対応するシャトルプレートを通過し、拡張してシャトルプレートを結合または係合することによって係合または結合されるように、動作可能に相互接続される。捕捉タブ178が、タブを受容しているシャトルプレートの外面から離間した形態では、シャトルプレート120,160は、係合または結合した状態にありながら、揺動することができる。捕捉タブ178が受容側のシャトルプレートの外面に接触した形態では、保管セットの対向面122,162は、
図3aおよび
図5に示すように、シャトル100の各形態において当接関係で保持される。136および174などの残りの嵌合ポストおよび対応する受容穴は、撓み境界を中心としたシャトルプレート120,160の相対的な移動をガイドする。シャトルプレート120,160の係合または結合は、そうでなければ別個である、動作可能なシャトル100を形成するための構成要素の接続または相互接続を含む。
【0036】
第1および第2のシャトルプレート120,160は、別個の独立した要素である。つまり、シャトルプレート120,160は、それらが係合してシャトル100を形成する前に、接合または接続されていない。独立したシャトルプレートが相互接続されてシャトル100を形成する前には、シャトルプレート120,160の一体的な接続は存在しない。シャトルプレート120,160が独立していることは、シャトルプレートが、シャトル100の組立または形成の一部としてのみ、結合または係合などして相互接続される別個の要素であることを意味する。第1および第2のシャトルプレート120,160は、独立して形成されており、別個のシャトルプレートの結合または係合に際してのみIOLチャンバ104を形成することが検討される。したがって、別個という用語は、一体に接続または接合されていない別々の独立した構成要素を意味する。
【0037】
シャトルプレート120,160の動作可能な係合または結合に際して、得られたシャトル100は、IOL10を保持するためのIOLチャンバ104を有するシャトル内部空間102を規定し、IOLチャンバは、長手方向軸線に沿って近位ポート108および遠位ポート106により画定されている。これにより、支持部用傾斜路132,172は、IOLチャンバ104内に位置決めされる。IOL10を保持することにより、IOLチャンバ104は、IOLを捕捉する容器を形成し、IOLは、基準状態からの変形を伴わずには、また選択的な実施形態では、IOLの光学部16の変形を伴わずには、いかなる方向にもチャンバを通過することができない。選択的な実施形態では、IOLチャンバ104は、第1および第2のシャトルプレート120,160によって完全に規定される。
【0038】
遠位ポート106および近位ポート108は、インジェクタ300の一部分を通過するようなサイズである。一実施形態では、遠位ポート106および近位ポート108は、連続した周縁を規定し、各ポートの周縁は、対応する平面に位置する。しかし、図に見られるように、遠位ポート106および近位ポート108それぞれの周縁は、長手方向軸線の寸法に沿って延びることができる。つまり、遠位ポート106および近位ポート108それぞれの周縁は、単一の平面に位置するのではなく、長手方向軸線に沿った距離で延びる。装填形態では、シャトル内部空間の少なくとも底部が、実質的に連続した面を規定する。つまり、底部には、シャトル内部空間に沿ってのシャトル内部空間からのIOL10の移動に悪影響を与える、シャトルプレート間の隙間または間隔がない。IOL10がシャトル内部空間の底部に沿って好都合に湾曲しているため、内部空間の上部分が近位端で連続している必要がない。IOL10を提供形態に変形させる際には、シャトル内部空間102の上部の遠位端が、IOLが遠位ポートを通過するときにIOLとの好ましくない係合を妨げるのに十分な連続した面であることが有利である。
【0039】
遠位ポート106および近位ポート108は、長手方向軸線を横切る主要寸法を有する。
図5、
図6および
図11に見られるように、遠位ポート106および近位ポート108は、非円形、楕円形または卵形の断面を有することができる。そのような実施形態では、主要寸法は、ポートの周縁により画定されている、長手方向軸線を横切る最大の寸法である。
【0040】
上で示したように、シャトルプレート120,160の相互接続は、シャトルプレートが相互接続、結合または係合形態にとどまる一方で、シャトルプレートの装填セットの対向面124,164の相対的な撓みまたは枢動を許容する。具体的に、係合した第1および第2のシャトルプレート120,160により、装填セットの対向面124,164は、(i)保管セットの対向面122,162が当接し、かつ装填セットの対向面124,164が離間する、保管形態と、(ii)保管セットの対向面が当接したままであるが、装填対向面が撓み境界を中心として枢動して当接する、装填形態との間で、撓み境界を中心として撓ませることができる。
【0041】
IOLチャンバ104は、シャトル100の保管形態とシャトルの装填形態との両方で存在し、規定され、機能することができ、シャトルが保管形態と装填形態との間で構成されるときに、IOL10を保持するための寸法を変化させる。具体的に、IOLチャンバ104は、(i)保管形態におけるIOL10の光学部16のための、長手方向軸線を横切る保管寸法、および(ii)装填形態におけるIOLの光学部のための、長手方向軸線を横切る装填寸法を規定し、装填寸法は、保管寸法よりも小さい。一実施形態では、保管寸法は、少なくともIOL10の光学部16を基準状態に保持するのに十分である。装填寸法およびIOLチャンバ104を規定する面は、シャトル100を装填形態で配置した際に、IOL10の光学部16が、実質的に所定の形状に好都合に変形または湾曲するように選択される。
【0042】
インジェクタ
代表的なインジェクタ300が、
図8に示されている。インジェクタ300は、近位端から遠位端まで長手方向軸線に沿って延びる、
図15および
図16に見られる内部空間312を有するインジェクタ本体310を含む。内部空間312は、様々な断面プロファイルのいずれかを有することができ、円形または卵形が典型的である。インジェクタ本体310の近位端は、好ましくは、インジェクタを平坦面に置くための、図示するエッジによって構成される指保持フランジを含んでもよい。インジェクタ本体310の全体的な構造が、本明細書に示され説明される構造とは異なってもよいことが理解される。インジェクタ300の構成要素は、任意の適切な材料(例えば、ポリプロピレン)で作製されてよく、完全にまたは部分的に不透明であってもよいし、インジェクタデバイス内のかつIOL送達シーケンス中のIOLを良好に可視化するために、透明または半透明であってもよいことがさらに理解される。
【0043】
一実施形態では、インジェクタ本体310はさらに、シャトル100から患者の眼へのIOL10の経路を規定するように内部空間の延長部を規定するインジェクタ先端320と協働する。インジェクタ先端320は、眼への挿入または提供のためのサイズの終端を規定し、それに応じてIOL10がインジェクタ先端内で変形する。しかし、インジェクタ本体310が、IOL10をシャトルから患者の眼に向けるための内部空間の一部分を規定する一体型のインジェクタ先端またはノズルを含み得ることが理解される。
【0044】
図10、
図11、
図12および
図14~
図16を参照すると、インジェクタ本体310はさらに、内部空間312に開口するシャトルベイ330を含む。シャトルベイ330は、インジェクタ300との動作可能な係合のためにシャトル100を受容するかまたは受け入れる。シャトルベイ330は、シャトル100に係合するための係合面332を含む。係合面332は、所定の位置でシャトル100に接触して、シャトルをインジェクタ300内に正確かつ再現可能に保持するための位置合わせ面を含むことができる。
【0045】
シャトルベイ330は、係合したシャトルプレート120,160の装填セットの対向面124,164を保管形態から装填形態に撓ませるまたは枢動させるカム面334も含む。
図11~
図13に見られるように、装填形態での配置に際して、保管セットの対向面122,162は、保管形態の場合と実質的に同じままであり、装填セットの対向面124,164は、撓まされて当接する。
【0046】
インジェクタ300は、使用者により与えられた作動力を利用して、IOL10をシャトル100から眼内に移動させるものとして示されている。
【0047】
図8~
図10、
図15および
図16を参照すると、インジェクタ300は、プランジャシャフト342を有するプランジャ340と、プランジャをシャトル内部空間102に沿って前進させるときに、IOL10に、具体的には光学部16に光学部の周縁で係合するように構成されたプランジャ先端344と、を含む。プランジャ先端の他の設計を必要に応じて本システムで使用してもよいことが理解される。一実施形態では、プランジャシャフト342は、内部空間でのプランジャシャフト(ひいてはプランジャ先端)の予期せぬ回転を防ぐために、内部空間312内で回転に関して固定される。プランジャシャフト342は、近位側のシャフト長さおよび内部空間の非円形断面を形成することにより、または内部空間の内壁およびプランジャシャフトに回転固定要素(例えば、内部空間の内壁に設けられた長手方向に延びる溝内に滑り嵌めされる、プランジャに設けられた長手方向フランジ)を含むことにより、回転に関して固定されてもよい。
【0048】
動作
IOL10の製造後、IOLは、固定具に解放可能に保持される。固定具は、IOL10を損傷させずに保持し、繰り返し位置決めできる様々な構造のいずれかとすることができる。一実施形態では、固定具は、細長いシャフトの端部に固定されたマウントであり、マウントおよび細長いシャフトの一部分は、シャトル100のアクセスポート150を通過することができる。マウントされたIOLの向きは、IOLの光軸がシャトル内部空間102と垂直または平行になるようにIOL10を向けるなどであるが、これに限定されない様々な向きのいずれかとすることができる。
【0049】
IOL10が固定具に保持されると、第1のシャトルプレート120と第2のシャトルプレート160は、保持されたIOLの周りにIOLチャンバ104を形成するように、保持されたIOLの周りで一緒にされ、係合または結合されるなどして相互接続され、固定具の一部分が、アクセスポート150内に配置される。シャトルプレート120,160が、上で示したように係合され、それにより、IOLチャンバ104にIOL10を捕捉すると、IOLは、固定具から解放され、IOLをシャトル100内に保持したまま、固定具は、アクセスポート150を通して引き抜かれる。
【0050】
一形態では、IOL10は、シャトル100のIOLチャンバ104内で方向付けられるとき、1つの支持部12が遠位ポート106に隣接するか、またはそれに向けられ、それにより、前縁の支持部を規定し、残りの支持部14が、近位ポート108に隣接するか、またはそれに向けられ、それにより、後縁の支持部を規定するように、IOLチャンバ104内で方向付けられる。
【0051】
シャトル100がバイアル200またはインジェクタ300のいずれにも拘束されていないときに、IOLチャンバ104は、IOL10を捕捉し、意図された動作パラメータの下でIOLが進出してしまうことを妨げる。シャトルプレート120,160の係合した保管形態および係合した装填形態のそれぞれでは、シャトル100からのIOL10の通過が、IOLのサイズ(または少なくともIOLの光学部16のサイズ)に対する遠位および近位ポート106,108ならびにアクセスポート150のサイズによって阻害される。
【0052】
次いで、保持されたIOL10を支持するシャトル100は、バイアル200と係合される。シャトル100とバイアル200との係合に際して、バイアルの方向付け面210は、シャトルの選択された露出面に接触して、シャトルをバイアル内で方向付ける。
【0053】
バイアル200の位置決め面220は、
図5~
図7に見られるように、シャトル100内でIOL10を位置決めするために、IOLチャンバ104内に突出する。したがって、IOL10は、IOLチャンバを規定する係合したシャトルプレート120,160の面に対して付加的な面によってIOLチャンバ104内で少なくとも部分的に位置決めされる。
【0054】
バイアル200のくさび面230は、シャトルプレート120,160に接触して、シャトル100を保管形態で配置する。つまり、くさび面230は、両方のシャトルプレートの面150に接触し、IOLチャンバ104がIOL10を曲げたり折ったりしないように、装填セットの対向面124,164が離間することを付与するか、または確実にする。したがって、保管セットの対向面122,162は、当接位置にとどまり、装填対向面124,164は、離間位置または分離位置にとどまる。
図5~
図7に見られるように、次いで、IOLチャンバ104は、IOLの光学部16のいかなる材料変形または応力も伴わずに、また選択された実施形態では、光学部および支持部12,14のいかなる材料変形または応力も伴わずに、光学部が基準状態であるように、IOL10を保持する。
【0055】
IOL10(または少なくともIOLの光学部16)よりも小さな寸法を有する遠位ポート106および近位ポート108は、ポートを通じたIOLチャンバ104からのIOLの通過を妨げる。同様に、アクセスポート150は、意図された動作パラメータの下でIOL10の通過を妨げるような寸法を有する。IOL10に作用するプランジャなどの移送外力がない場合、IOLチャンバ104は、シャトル(係合した第1および第2のシャトルプレート120,160)の係合した保管形態と、シャトル(係合した第1および第2のシャトルプレート)の係合した装填形態との両方でIOLをチャンバ内に保持する。
【0056】
したがって、シャトル100がバイアル200に係合するとき、保管セットの対向面122,162は当接し、装填セットの対向面124,164は離間する。バイアル200の方向付け面210は、シャトル100の外面に接触して、シャトルをバイアル内に配置して保持する。バイアル200のくさび面230は、シャトル100の面150に接触して、装填セットの対向面124,164を基準の離間関係に維持して、シャトルを保管形態で配置し、バイアル200の位置決め面220は、IOLチャンバ104内に突出し、IOL10の移動を制限するか、またはその周縁に接触し、IOLをIOLチャンバ内に位置決めする。
【0057】
装填されたシャトル100は、バイアル200に保持され、ある容量の滅菌溶液によって滅菌および包装される。IOL10は、応力を受けていない基準状態にあるので、保管期間の唯一の制限は、滅菌状態/包装の期間である。
【0058】
IOL10を患者に提供するために、蓋202がバイアル200から取り外され、それにより、バイアルに保持されているシャトル100を露出させる。シャトル100は、バイアル200から係合解除される。
【0059】
次いで、シャトル100は、シャトルの保持タブ128,168をインジェクタの係合面332と係合させることにより、インジェクタ300と係合される。係合面332またはカム面334は、インジェクタ300の位置合わせ面として機能し、シャトル100の対応する面と接触して、シャトル100をインジェクタ内に動作可能に位置決めすることができる。カム面334は、シャトル100を装填形態で配置するように構成され、装填セットの対向面124,164は、撓み境界を中心として撓まされるかまたは枢動させられ、保管セットの対向面122,162および装填セットの対向面124,164の両方は、
図11および
図15に見られるように当接する。
【0060】
装填形態では、IOLチャンバ104は、IOL10の光学部16のための減少した寸法を規定し、それにより、
図11~
図16に見られるように、IOLに所定の曲がりまたは湾曲を付与する。以下で示すように、IOL10の所定の曲がりまたは湾曲は、IOLがプランジャ先端344と接触するまで、IOLがシャトル内部空間102に沿って患者の眼の方に前進しないことを確実にし、これにより、プランジャ先端が後縁の支持部14に接触し、対応する支持部用傾斜路と協働して、支持部を光学部16に折り重ねることを可能にする。
【0061】
IOL10をインジェクタ300から投入するために、プランジャ340を作動させて、プランジャ先端344がシャトル内部空間102およびIOLチャンバ104に進入するようにする。IOL10の光学部16の所定の曲がりは、シャトル内部空間102に沿ったIOLの移動を遅らせる。したがって、プランジャ先端344が最初にIOL10に、具体的には後縁の支持部14に接触すると、後縁の支持部は、対応する支持部用傾斜路に接触し始め、光学部16に折り重ねられる。プランジャ先端344による継続的な接触および光学部16の湾曲による抵抗は、後縁の支持部14を支持部用傾斜路に押し上げ、後縁の支持部を光学部に折り重ね、プランジャ先端と光学部の周縁とが接触するようにする。プランジャ先端がシャトル内部空間102に沿って前進するときに、プランジャ先端344とIOL10とが接触し続けると、前縁の支持部12は、対応する支持部用傾斜路に上がって、光学部16の上方に配置される。
【0062】
プランジャ340が長手方向軸線およびシャトル内部空間102に沿ってIOL10を移動させ続けるときに、IOL10の光学部16は、保管形態から装填形態へのシャトル100の移行によって付与される方向に変形し続け、または曲がり続け、前縁および後縁の支持部12,14はそれぞれ、それぞれの支持部用傾斜路132,172に沿って上がって、各支持部の大部分を光学部に重なる位置に配置する。
【0063】
プランジャ340は、シャトル内部空間102に沿ってIOL10を移動させ続け、シャトル100を通過してインジェクタ先端320にまで進み、それにより、眼に提供するための挿入形態までIOLをさらに変形させることができる。
【0064】
したがって、本シャトル100は、IOL10の解放可能な係合または保持を提供し、シャトルは、第1のシャトルプレート120などの第1の構成要素、および第2のシャトルプレート160などの独立した第2の構成要素を含み、第1の構成要素および第2の構成要素は、第1のセットの対向面および第2のセットの対向面を規定し、動作可能に係合して、長手方向軸線に沿って延びるシャトル内部空間102を規定するように構成され、シャトル内部空間は、長手方向軸線上で近位ポート108および遠位ポート106により画定されているIOLチャンバ104を有し、第1の構成要素と第2の構成要素の動作可能な係合は、第1のセットの対向面と第2のセットの対向面とを同時に接触させるように、係合したシャトルプレートの一部分を撓み境界を中心として選択的に撓ませるまたは枢動させることにより、(i)IOLチャンバの第1の形態および(ii)IOLチャンバの第2の形態をもたらす。
【0065】
第1のシャトルプレート120および第2のシャトルプレート160が第1の形態にあるときに、IOL10の光学部16の中心線を長手方向軸線に沿って位置決めできることが検討される。つまり、IOLチャンバ104内に保持されたIOL10の光学部16の中点が、内部空間の長手方向軸線上に位置する。しかし、IOLチャンバ104の特定の構造に基づいて、光学部16の中点を、長手方向軸線を含む水平面の上方または下方にすることが理解される。
【0066】
このように、本発明の概念およびいくつかの例示的な実施形態を説明してきたが、当業者にとっては、本発明を様々な方法で実施してもよいこと、また、変更および改良を容易に思い付くことは明らかであろう。したがって、実施形態は、限定することを意図するものではなく、例としてのみ提示するものである。本発明は、以下の請求項およびそれらの均等物によって要求される場合にのみ限定される。