(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】医療用管状体搬送装置
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20230614BHJP
A61F 2/95 20130101ALI20230614BHJP
【FI】
A61M25/06 550
A61F2/95
(21)【出願番号】P 2020538168
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2019017306
(87)【国際公開番号】W WO2020039653
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2018157665
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 想生
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0255655(US,A1)
【文献】特開2012-045043(JP,A)
【文献】特開2012-115425(JP,A)
【文献】国際公開第2011/036852(WO,A1)
【文献】特表2003-517901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用管状体を体内に搬送する装置であって、
前記医療用管状体が内腔に配置される外側チューブと、
前記外側チューブの内腔に配置される内挿部材と、
前記医療用管状体より近位側にガイドワイヤ挿通部材とを有し、
前記ガイドワイヤ挿通部材の遠位端は、前記医療用管状体の近位端よりも近位側に位置しており、
前記ガイドワイヤ挿通部材には、ガイドワイヤが内腔に挿通される貫通路が形成されており、
前記内挿部材の一部は、前記ガイドワイヤ挿通部材に固定されており、
前記ガイドワイヤ挿通部材と前記内挿部材とが固定されている固定領域より近位側における前記内挿部材は、外方に保護部材が配置されており、
前記ガイドワイヤ挿通部材の軸方向に対する垂直な断面の断面積は、下記式(1)を満足することを特徴とする医療用管状体搬送装置。
断面積Sa>断面積Sb ・・・(1)
[式(1)において、断面積Saは、前記ガイドワイヤ挿通部材の最遠位位置と、該ガイドワイヤ挿通部材と前記内挿部材とが固定されている固定領域の最近位位置との軸方向の中央位置での前記ガイドワイヤ挿通部材の断面積を示す。
式(1)において、断面積Sbは、前記ガイドワイヤ挿通部材の前記固定領域の最近位位置における前記ガイドワイヤ挿通部材の断面積を示す。]
【請求項2】
前記貫通路の重心を通る軸線を軸線a、
前記ガイドワイヤ挿通部材の最遠位位置と、該ガイドワイヤ挿通部材における前記固定領域の最近位位置との軸方向の中央位置での前記ガイドワイヤ挿通部材の軸方向に対する垂直な断面における重心を通る軸線を軸線b、
前記内挿部材の重心を通る軸線を軸線cとし、
前記軸線aと前記軸線bとの距離abよりも前記軸線aと前記軸線cとの距離acの方が大きい請求項1に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項3】
前記ガイドワイヤ挿通部材の近位側端部は、テーパー形状である請求項1または2に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項4】
前記保護部材の最遠位位置と、前記ガイドワイヤ挿通部材の最近位位置との距離は、30mm以下である請求項1~3のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項5】
前記医療用管状体搬送装置は、前記外側チューブがガイドワイヤポートを有するラピッドエクスチェンジ型であり、
前記ガイドワイヤポートは、前記外側チューブの近位端より遠位側に配置されている請求項1~4のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項6】
前記貫通路内には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブが配置されており、
該ガイドワイヤ用チューブは、前記貫通路の近位側開口より近位側、および前記貫通路の遠位側開口より遠位側に延伸している請求項1~5のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項7】
前記外側チューブの内腔には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通される内側チューブが配置されており、
前記内側チューブの遠位端と前記貫通路の近位側開口が固定されている請求項1~5のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項8】
前記外側チューブの内腔には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブが配置されており、
該ガイドワイヤ用チューブの近位端と前記貫通路の遠位側開口が固定されている請求項1~5、7のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項9】
前記外側チューブの内腔には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通される内挿チューブが配置されており、
前記内挿チューブの近位端が、前記ガイドワイヤポートに固定されている請求項5に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項10】
前記内挿チューブの一部が、前記貫通路の内腔に配置されている請求項9に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項11】
前記貫通路内には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブが配置されている請求項9または10に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項12】
前記外側チューブの内腔には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブが配置されており、
該ガイドワイヤ用チューブの近位端と前記貫通路の遠位側開口が固定されている請求項9または10に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項13】
前記内挿チューブの一部は、前記ガイドワイヤ用チューブの内腔に配置されている請求項11に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項14】
前記ガイドワイヤ用チューブの近位端は、前記貫通路の近位側開口位置より近位側である請求項11または13に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項15】
前記ガイドワイヤ用チューブの近位側端部は、テーパー形状である請求項11、13、14のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項16】
前記ガイドワイヤ挿通部材は、着色されている請求項1~15のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項17】
前記医療用管状体は、自己拡張型ステントである請求項1~16のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用管状体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、体内の病変部に医療用管状体を搬送して配置する最小侵襲治療技術が開発されている。この技術では、体内管腔を通して病変部に医療用管状体を搬送して配置する搬送装置が用いられている。上記搬送装置は、外側チューブを備えており、この外側チューブの内腔に医療用管状体を保持させた状態で、体内管腔を通して病変部に医療用管状体を搬送する。搬送した後は、外側チューブの内腔から医療用管状体を解放することによって病変部に医療用管状体を配置できる。
【0003】
上記医療用管状体としては、例えば、ステント、ステントグラフト、閉塞具、注入カテーテル、プロテーゼ弁等が用いられる。これらのうちステントは、一般に、血管または他の生体内管腔が狭窄または閉塞することによって生じる様々な疾患を治療する医療用管状体である。
【0004】
上記医療用管状体を搬送する装置には、体内の管腔に沿って抵抗なく進入可能なように、手元の操作が遠位側に伝わりやすい追随性、操作性の良さが求められ、使用時に変形、キンク、破壊が起こりにくいことが求められる。こうした医療用管状体を搬送する装置が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1には、アウターシャフト、及び、インナーシャフトが含まれ、上記アウターシャフトは、デュアルルーメンを有し、上記インナーシャフトは、ガイドワイヤ用誘導チューブ及びプッシャワイヤを並列させて有し、上記ガイドワイヤ用誘導チューブ及び上記プッシャワイヤは、上記アウターシャフトの上記デュアルルーメンに、スライド可能に分けて挿入されているとともに、上記ガイドワイヤ用誘導チューブの長手方向の中間に、上記プッシャワイヤが接合されているステントデリバリーカテーテルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の医療用管状体搬送装置の実施形態の一例を
図1に示す。
図1は、従来の医療用管状体搬送装置の断面模式図であり、医療用管状体11が内腔に配置される外側チューブ12と、該外側チューブ12の内腔に配置される内挿部材13と、前記医療用管状体11より近位側にガイドワイヤ挿通部材14とを有し、前記内挿部材13の一部は、前記ガイドワイヤ挿通部材14に固定されている。内挿部材13は、医療用管状体搬送装置の近位端(術者の手元)まで延伸しており、術者の手元の操作を、内挿部材13を介して遠位側へ伝えることができる。また、外側チューブ12を近位側へ引くことによって、医療用管状体11がガイドワイヤ挿通部材14によって外側チューブ12の内腔から体内管腔へ押し出され、解放される。詳説すると、外側チューブ12を近位側へ引くと、医療用管状体11は外側チューブ12の動きに追随して近位側へ移動し、ガイドワイヤ挿通部材14と内挿部材13を圧縮する。この圧縮の応力に対してガイドワイヤ挿通部材14と内挿部材13に生じた反力が医療用管状体11の摩擦抵抗を上回ったときに、医療用管状体11が外側チューブ12の外方へと放出される。しかし、医療用管状体11の摩擦抵抗が過度に大きい場合や、ガイドワイヤ挿通部材14および内挿部材13が柔軟すぎる場合、さらにこれらの部材が長軸方向の応力伝達を阻害する構造である場合などの状況においては、外側チューブ12を近位側へ引く荷重が増大することが知られている。
【0007】
また、
図1に示すように、ガイドワイヤ挿通部材14には、ガイドワイヤが内腔に挿通される貫通路15が形成されており、該貫通路15より遠位側には、該貫通路15に固定されたガイドワイヤ用チューブ16が配置されている。ガイドワイヤ用チューブ16の遠位端は、先端チップ17の内腔まで延伸している。こうした医療用管状体搬送装置は、体内管腔に挿入されるが、体内管腔は複雑に屈曲しているため、医療用管状体搬送装置も体内管腔に追随して曲げられる。しかし、ガイドワイヤ挿通部材14の近位側で局所的な応力集中が生じると、過度に曲げられ、キンクしやすかった。また、キンクした状態で上記外側チューブ12を近位側へ引くと、医療用管状体11を体内管腔へ押し出すことができないことがあった。医療用管状体搬送装置をキンクしにくくするには、例えば、外側チューブ12の強度を高めることが考えられるが、強度を高めると、体内管腔における曲がりくねった湾曲部もしくは分岐した分岐部を通過するときにこれらに合せて変形しにくくなる。そのため体内管腔等との間で接触抵抗が増加し、医療用管状体搬送装置を体内管腔へ挿入しにくくなり、操作性が低下すると考えられる。
【0008】
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、操作性を低下させることなく、キンクしにくい医療用管状体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 医療用管状体を体内に搬送する装置であって、前記医療用管状体が内腔に配置される外側チューブと、前記外側チューブの内腔に配置される内挿部材と、前記医療用管状体より近位側にガイドワイヤ挿通部材とを有し、前記ガイドワイヤ挿通部材には、ガイドワイヤが内腔に挿通される貫通路が形成されており、前記内挿部材の一部は、前記ガイドワイヤ挿通部材に固定されており、前記ガイドワイヤ挿通部材の軸方向に対する垂直な断面の断面積は、下記式(1)を満足することを特徴とする医療用管状体搬送装置。
断面積Sa>断面積Sb ・・・(1)
[式(1)において、断面積Saは、前記ガイドワイヤ挿通部材の最遠位位置と、該ガイドワイヤ挿通部材と前記内挿部材とが固定されている固定領域の最近位位置との軸方向の中央位置での前記ガイドワイヤ挿通部材の断面積を示す。式(1)において、断面積Sbは、前記ガイドワイヤ挿通部材の前記固定領域の最近位位置における前記ガイドワイヤ挿通部材の断面積を示す。]
[2] 前記貫通路の重心を通る軸線を軸線a、前記ガイドワイヤ挿通部材の最遠位位置と、該ガイドワイヤ挿通部材における前記固定領域の最近位位置との軸方向の中央位置での前記ガイドワイヤ挿通部材の軸方向に対する垂直な断面における重心を通る軸線を軸線b、前記内挿部材の重心を通る軸線を軸線cとし、前記軸線aと前記軸線bとの距離abよりも前記軸線aと前記軸線cとの距離acの方が大きい[1]に記載の医療用管状体搬送装置。
[3] 前記ガイドワイヤ挿通部材の近位側端部は、テーパー形状である[1]または[2]に記載の医療用管状体搬送装置。
[4] 前記固定領域より近位側における前記内挿部材は、外方に保護部材が配置されている[1]~[3]のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
[5] 前記保護部材の最遠位位置と、前記ガイドワイヤ挿通部材の最近位位置との距離は、30mm以下である[4]に記載の医療用管状体搬送装置。
[6] 前記医療用管状体搬送装置は、前記外側チューブがガイドワイヤポートを有するラピッドエクスチェンジ型であり、前記ガイドワイヤポートは、前記外側チューブの近位端より遠位側に配置されている[1]~[5]のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
[7] 前記貫通路内には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブが配置されており、該ガイドワイヤ用チューブは、前記貫通路の近位側開口より近位側、および前記貫通路の遠位側開口より遠位側に延伸している[1]~[6]のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
[8] 前記外側チューブの内腔には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通される内側チューブが配置されており、前記内側チューブの遠位端と前記貫通路の近位側開口が固定されている[1]~[6]のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
[9] 前記外側チューブの内腔には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブが配置されており、該ガイドワイヤ用チューブの近位端と前記貫通路の遠位側開口が固定されている[1]~[6]、[8]のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
[10] 前記外側チューブの内腔には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通される内挿チューブが配置されており、前記内挿チューブの近位端が、前記ガイドワイヤポートに固定されている[6]に記載の医療用管状体搬送装置。
[11] 前記内挿チューブの一部が、前記貫通路の内腔に配置されている[10]に記載の医療用管状体搬送装置。
[12] 前記貫通路内には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブが配置されている[10]または[11]に記載の医療用管状体搬送装置。
[13] 前記外側チューブの内腔には、前記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブが配置されており、該ガイドワイヤ用チューブの近位端と前記貫通路の遠位側開口が固定されている[10]または[11]に記載の医療用管状体搬送装置。
[14] 前記内挿チューブの一部は、前記ガイドワイヤ用チューブの内腔に配置されている[12]に記載の医療用管状体搬送装置。
[15] 前記ガイドワイヤ用チューブの近位端は、前記貫通路の近位側開口位置より近位側である[12]または[14]に記載の医療用管状体搬送装置。
[16] 前記ガイドワイヤ用チューブの近位側端部は、テーパー形状である[12]、[14]、[15]のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
[17] 前記ガイドワイヤ挿通部材は、着色されている[1]~[16]のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
[18] 前記医療用管状体は、自己拡張型ステントである[1]~[17]のいずれかに記載の医療用管状体搬送装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガイドワイヤ挿通部材の軸方向に対する垂直な断面の断面積が、所定の関係を満足するようにガイドワイヤ挿通部材を形成しているため、操作性を低下させることなく、過度に曲げられてもキンクしにくい医療用管状体搬送装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、従来の医療用管状体搬送装置の実施形態の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、ガイドワイヤ挿通部材に形成された貫通路と、ガイドワイヤ挿通部材に固定された内挿部材との位置関係を示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の他の一例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の他の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の他の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の他の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の他の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る医療用管状体搬送装置は、前記医療用管状体が内腔に配置される外側チューブと、前記外側チューブの内腔に配置される内挿部材と、前記医療用管状体より近位側にガイドワイヤ挿通部材とを有し、前記ガイドワイヤ挿通部材には、ガイドワイヤが内腔に挿通される貫通路が形成されており、前記内挿部材の一部は、前記ガイドワイヤ挿通部材に固定されており、前記ガイドワイヤ挿通部材の軸方向に対する垂直な断面の断面積は、下記式(1)を満足する点に特徴を有する。
断面積Sa>断面積Sb ・・・(1)
【0013】
上記式(1)において、断面積Saは、前記ガイドワイヤ挿通部材の最遠位位置と、該ガイドワイヤ挿通部材と前記内挿部材とが固定されている固定領域の最近位位置との軸方向の中央位置での前記ガイドワイヤ挿通部材の断面積を示す。また、上記式(1)において、断面積Sbは、前記ガイドワイヤ挿通部材の前記固定領域の最近位位置における前記ガイドワイヤ挿通部材の断面積を示す。
【0014】
ガイドワイヤ挿通部材の軸方向に対する垂直な断面の断面積が、上記式(1)の関係を満足するようにガイドワイヤ挿通部材を形成すれば、ガイドワイヤ挿通部材の近位側で断面積が小さくなっているため、医療用管状体搬送装置を体内屈曲に通しても局所的な応力集中を回避しやすくなる。即ち、医療用管状体搬送装置の長軸方向の剛性が緩やかに変化するため、医療用管状体搬送装置はキンクしにくくなる。また、ガイドワイヤ挿通部材は、内挿部材との固定領域の最近位位置で断面積が小さくなっているため、医療用管状体を展開するときに医療用管状体からガイドワイヤ挿通部材に掛る応力を内挿部材に集約できる。そのため医療用管状体を展開するために外側チューブを近位側に引くときに無駄な荷重を生じさせにくくなり、外側チューブの破断や、力んだ操作による医療用管状体の目的部位からのずれなどのリスクを低減し、より安全な治療を実現できる。
【0015】
以下、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の一例について、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明は図示例に限定される訳ではなく、前記および後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0016】
図2は、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の一例を示す断面模式図である。なお、
図2には、医療用管状体搬送装置の遠位側のみを図示した。
【0017】
上記医療用管状体搬送装置は、医療用管状体21が内腔に配置される外側チューブ22と、該外側チューブ22の内腔に配置される内挿部材23と、前記医療用管状体21より近位側にガイドワイヤ挿通部材24とを有している。
【0018】
上記ガイドワイヤ挿通部材24には、ガイドワイヤが内腔に挿通される貫通路25が形成されており、上記内挿部材23の一部は、該ガイドワイヤ挿通部材24に固定されている。上記ガイドワイヤ挿通部材24に上記内挿部材23を固定する方法は特に限定されないが、例えば、ガイドワイヤ挿通部材24に圧入させて(挟持させて)固定する方法や、ガイドワイヤ挿通部材24に予め形成しておいたルーメンに内挿部材23を挿入し、ルーメンと内挿部材23とを接着剤等で固定する方法が挙げられる。
【0019】
そして、上記ガイドワイヤ挿通部材24の軸方向に対する垂直な断面の断面積は、下記式(1)を満足する。
断面積Sa>断面積Sb ・・・(1)
【0020】
上記式(1)において、断面積Saは、上記ガイドワイヤ挿通部材24の最遠位位置24aと、該ガイドワイヤ挿通部材24と上記内挿部材23とが固定されている固定領域24bの最近位位置24cとの軸方向の中央位置24dでの該ガイドワイヤ挿通部材24の断面積を示す。上記断面積Saは、上記中央位置24dにおけるガイドワイヤ挿通部材24の外形に基づいて算出される面積であり、貫通路25の面積を除外せずに算出すればよい。
【0021】
また、上記式(1)において、断面積Sbは、上記ガイドワイヤ挿通部材24の上記固定領域24bの最近位位置24cにおける該ガイドワイヤ挿通部材24の断面積を示す。上記断面積Sbは、上記最近位位置24cにおけるガイドワイヤ挿通部材24の外形に基づいて算出される面積である。
【0022】
ガイドワイヤ挿通部材の軸方向に対する垂直な断面の断面積が、上記式(1)の関係を満足するようにガイドワイヤ挿通部材を形成すれば、ガイドワイヤ挿通部材の近位側で断面積が小さくなっているため、医療用管状体搬送装置を体内屈曲に通したときに局所的な応力集中を回避しやすくなる。即ち、医療用管状体搬送装置の長軸方向の剛性が緩やかに変化するため、医療用管状体搬送装置はキンクしにくくなる。また、ガイドワイヤ挿通部材は、内挿部材との固定領域の最近位位置で断面積が小さくなっているため、医療用管状体を展開するときに医療用管状体からガイドワイヤ挿通部材に掛る応力を内挿部材に集約できる。そのため医療用管状体を展開するために外側チューブを近位側に引くときに無駄な荷重を生じさせにくくなり、外側チューブの破断や、力んだ操作による医療用管状体の目的部位からのずれなどのリスクを低減し、より安全な治療を実現できる。
【0023】
上記外側チューブ22の内腔には、上記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブ26を配置し、該ガイドワイヤ用チューブ26の近位端は、例えば、
図2に示すように、上記貫通路25の遠位側開口25bに固定されていればよい。上記貫通路25とガイドワイヤ用チューブ26が連通することによって、ガイドワイヤを内腔に挿通できるため、挿通させたガイドワイヤに沿って医療用管状体搬送装置を体内管腔へ容易に挿入できる。上記貫通路25の遠位側開口25bと上記ガイドワイヤ用チューブ26は、例えば、熱融着等によって固定すればよい。
図2では、上記ガイドワイヤ用チューブ26の遠位端は、先端チップ28の内腔まで延伸している。
【0024】
本発明は、上記ガイドワイヤ用チューブ26の近位端を、上記貫通路25の遠位側開口25bに固定する構成に限定されず、後述するように、上記貫通路25内に、上記ガイドワイヤ用チューブ26を配置する構成とし、該ガイドワイヤ用チューブ26を、上記貫通路25の近位側開口より近位側、および上記貫通路25の遠位側開口25bより遠位側に延伸させてもよい。
【0025】
また、上記ガイドワイヤ挿通部材24の遠位端に、上記医療用管状体21を押し出しやすくするための押出部材を配置してもよい。
【0026】
上記ガイドワイヤ挿通部材24は、
図3に示すように、上記貫通路25の重心を通る軸線を軸線a、該ガイドワイヤ挿通部材24の最遠位位置24aと、該ガイドワイヤ挿通部材24における上記固定領域24bの最近位位置24cとの軸方向の中央位置24dでの該ガイドワイヤ挿通部材24の軸方向に対する垂直な断面における重心を通る軸線を軸線b、上記内挿部材23の重心を通る軸線を軸線cとしたとき、上記軸線aと上記軸線bとの距離abよりも前記軸線aと前記軸線cとの距離acの方が大きいことが好ましい。軸線a~cが、上記関係を満足することによって、医療用管状体を展開するときに医療用管状体からガイドワイヤ挿通部材に掛る応力を内挿部材に集約できる。そのため医療用管状体を展開するために外側チューブを近位側に引くときに無駄な荷重を生じさせにくくなり、外側チューブの破断や、力んだ操作による医療用管状体の目的部位からのずれなどのリスクを低減し、より安全な治療を実現できる。
【0027】
上記ガイドワイヤ挿通部材24の近位側端部の形状は、上記固定領域24bの最近位位置24cにおけるガイドワイヤ挿通部材24の断面積Sbが、上記式(1)の関係を満足するものであれば特に限定されないが、例えば、テーパー形状、凹凸形状、階段形状、波形形状などが挙げられ、テーパー形状がより好ましい。
【0028】
上記ガイドワイヤ挿通部材24は、着色されていることが好ましい。ガイドワイヤ挿通部材24を着色することによって、内視鏡下で視認しやすくなり、ガイドワイヤ挿通部材24の位置を確認しやすくなる。着色したガイドワイヤ挿通部材24は、ビジュアルマーカーと呼ばれることがある。ガイドワイヤ挿通部材24に着色する色は、内視鏡下で視認しやすい色であれば特に限定されないが、例えば、胃腸内の粘膜や血液に対して比較的目立つ色が好ましく、黄色が特に好ましい。
【0029】
上記固定領域24bより近位側における上記内挿部材23は、
図2に示すように、外方に保護部材27が配置されていてもよい。保護部材27を配置することによって、内挿部材23の損傷を抑制できる。また、保護部材27を配置することによって内挿部材23の長軸方向における支持力(プッシャビリティ)を向上できるため、医療用管状体を展開するときにかかる応力を支える力を高めることができる。従って医療用管状体を容易に展開できる。
【0030】
上記保護部材27の最遠位位置27aと、上記ガイドワイヤ挿通部材24の最近位位置24eとの距離xは、30mm以下が好ましい。上記距離xを30mm以下とすることによって、医療用管状体搬送装置の長軸方向の剛性が連続的になるため、屈曲に対する耐性が向上し、キンクしにくくなる。上記距離xは、できるだけ短い方が望ましい。上記距離xは、20mm以下がより好ましく、更に好ましくは10mm以下、特に好ましくは5mm以下である。上記距離xを5mm以下とすることによって保護部材27で内挿部材23の支持力(プッシャビリティ)を向上させ、医療用管状体の展開時にガイドワイヤ挿通部材から掛かる応力を内挿部材23と一体的に支えることができる。
【0031】
上記保護部材27の遠位端部の形状は特に限定されないが、例えば、
図4に示すように、ガイドワイヤ挿通部材24の近位端部の形状と相補的な形状とすることが好ましい。
図4において、上記図面と同一箇所には同じ符号を付して、重複説明を避ける。
【0032】
相補的な形状とは、保護部材27の遠位端部とガイドワイヤ挿通部材24の近位端部を接触させたときに、面で接触する形状を意味する。相補的な形状とすることによって、内挿部材23の露出部分を減少させることができ、保護部材27で内挿部材23の支持力(プッシャビリティ)を向上させ、医療用管状体の展開時にガイドワイヤ挿通部材から掛かる応力を内挿部材23と一体的に支えることができる。また、相補的な形状とすることによって、ガイドワイヤ挿通部材24との接触面積が増加するため、応力の伝達効率を高めることができる。保護部材27の遠位端部はテーパー形状で、ガイドワイヤ挿通部材24の近位端部もテーパー形状であることが好ましい。
【0033】
上記保護部材27の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、フッ素樹脂(例えば、PTFE、PFA等)、ポリアミド、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂材料が挙げられる。
【0034】
上記医療用管状体搬送装置は、上記外側チューブ22がガイドワイヤポートを有するラピッドエクスチェンジ型であることが好ましく、該ガイドワイヤポートは、該外側チューブ22の近位端より遠位側に配置されていることが好ましい。
【0035】
上記医療用管状体搬送装置は、
図5に示すように、上記外側チューブ22の内腔に、ガイドワイヤが内腔に挿通される内側チューブ41が配置されており、該内側チューブ41の遠位端と上記貫通路25の近位側開口25aが固定されていてもよい。なお、
図5において、31はガイドワイヤポートの位置を示している。また、上記図面と同一箇所には同じ符号を付して、重複説明を避ける。
【0036】
上記内側チューブ41の遠位端と上記貫通路25の近位側開口25aとを固定する方法としては、例えば、上記ガイドワイヤ挿通部材24と上記内側チューブ41とを準備し、熱溶着や接着等によって固定する方法が挙げられる。
【0037】
なお、
図5では、医療用管状体搬送装置の実施形態として、ラピッドエクスチェンジ型を示したが、オーバーザワイヤー型であってもよい。
【0038】
上記
図5に示した医療用管状体搬送装置では、上記外側チューブ22の内腔に、上記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブ26が配置されており、該ガイドワイヤ用チューブ26の近位端と上記貫通路25の遠位側開口25bが固定されている。上記貫通路25の遠位側開口25bと上記ガイドワイヤ用チューブ26は、例えば、熱融着等によって固定すればよい。
【0039】
上記医療用管状体搬送装置は、
図6に示すように、上記貫通路25内に、ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブ26が配置されており、該ガイドワイヤ用チューブ26は、上記貫通路25の近位側開口25aより近位側、および上記貫通路25の遠位側開口25bより遠位側に延伸していてもよい。なお、
図6において、上記図面と同一箇所には同じ符号を付して、重複説明を避ける。
【0040】
図6では、医療用管状体搬送装置の実施形態として、ラピッドエクスチェンジ型を示したが、オーバーザワイヤー型であってもよい。
【0041】
上記医療用管状体搬送装置は、
図7に示すように、上記外側チューブ22の内腔に、ガイドワイヤが内腔に挿通される内挿チューブ51が配置されており、該内挿チューブ51の近位端がガイドワイヤポート31に固定されていてもよい。なお、
図7において、上記図面と同一箇所には同じ符号を付して、重複説明を避ける。
【0042】
上記内挿チューブ51の近位端部には、
図7に示すように、外側チューブ22との間に、充填部材30を介在させて内挿チューブ51の近位端部と外側チューブ22とを密着させ、固定することが好ましい。
【0043】
上記内挿チューブ51を固定する方法としては、例えば、外側チューブ22の一部を肉厚にして充填部材30を形成し、内挿チューブ51の近位端部との隙間をなくす方法や、内挿チューブ51の近位端部と外側チューブ22との間に、樹脂等で構成される充填部材30を介在させ、接着剤で固定する方法や、充填部材30として接着剤を用い、内挿チューブ51の近位端部と外側チューブ22とを接着する方法などが挙げられる。また、充填部材30を用いずに、外側チューブ22の内壁と内挿チューブ51の外壁が密着するように固定してもよい。密着による固定には、例えば、熱溶融や圧着などが挙げられる。
【0044】
図7に示した医療用管状体搬送装置の実施形態では、ラピッドエクスチェンジ型であることが好ましい。
【0045】
また、上記内挿チューブ51の一部は、
図7に示すように、上記貫通路25の内腔に配置されていてもよい。このように構成することによって、外側チューブ22を近位側に引いて医療用管状体を放出、展開させるときに、ガイドワイヤが常に内挿チューブ51または貫通路25の内腔に配置されるため、ガイドワイヤが、例えば、内挿部材23等に絡みついて操作できなくなったり、医療用管状体の放出を阻害することを防止できる。
【0046】
上記
図7に示した医療用管状体搬送装置では、上記外側チューブ22の内腔に、上記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブ26が配置されており、該ガイドワイヤ用チューブ26の近位端と上記貫通路25の遠位側開口25bが固定されている。上記貫通路25の遠位側開口25bと上記ガイドワイヤ用チューブ26は、例えば、熱融着等によって固定すればよい。
【0047】
また、上記内挿チューブ51を、
図7に示すように、上記貫通路25の内腔を通して該貫通路25の遠位側へ延伸させ、上記貫通路25の遠位側開口25bに固定されたガイドワイヤ用チューブ26の内腔に配置してもよい。このように構成することによって、外側チューブを近位側に引いて医療用管状体を放出、展開させるときに、ガイドワイヤが常に内挿チューブ51、貫通路25、またはガイドワイヤ用チューブ26の内腔に配置されるため、ガイドワイヤが、例えば、内挿部材23等に絡みついて操作できなくなったり、医療用管状体の放出を阻害することを防止できる。
【0048】
上記医療用管状体搬送装置は、
図8に示すように、上記貫通路25内に、上記ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブ26が配置されていてもよい。なお、
図8において、上記図面と同一箇所には同じ符号を付して、重複説明を避ける。
【0049】
また、上記内挿チューブ51の一部は、
図8に示すように、上記ガイドワイヤ用チューブ26の内腔に配置されていてもよい。このように構成することによって、外側チューブ22を近位側に引いて医療用管状体を放出、展開させるときに、ガイドワイヤが常に内挿チューブ51またはガイドワイヤ用チューブ26の内腔に配置されるため、ガイドワイヤが、例えば、内挿部材23等に絡みついて操作できなくなったり、医療用管状体の放出を阻害することを防止できる。
【0050】
また、上記ガイドワイヤ用チューブ26の近位端は、
図8に示すように、上記貫通路25の近位側開口25a位置より近位側であってもよい。このように構成することによって、上記内挿チューブ51をガイドワイヤ用チューブ26の内腔に配置しやすくなる。
【0051】
上記ガイドワイヤ用チューブ26の近位側端部の形状は、例えば、テーパー形状、凹凸形状、階段形状、波形形状などが挙げられ、テーパー形状がより好ましい。
【0052】
図9に、本発明に係る医療用管状体搬送装置の実施形態の他の一例を示す。
図9において、上記図面と同一箇所には同じ符号を付して、重複説明を避ける。
【0053】
図9に示した医療用管状体搬送装置では、保護部材27の遠位端部の形状とガイドワイヤ挿通部材24の近位端部の形状とを相補的な形状としている。
【0054】
また、貫通路25内に、ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤ用チューブ26が配置されており、該ガイドワイヤ用チューブ26の遠位側は、先端チップ28まで延伸し、ガイドワイヤ用チューブ26の近位側は、貫通路25の近位側開口25aの位置まで延伸している。ガイドワイヤ用チューブ26の近位端部の形状は、ガイドワイヤ挿通部材24の近位端部の形状と一致している。ガイドワイヤ用チューブ26の近位端部の形状と、ガイドワイヤ挿通部材24の近位端部の形状と一致させることによって、ガイドワイヤ用チューブ26の内腔に内挿チューブ51を挿入しやすくなる。尚、形状が一致するとは、ガイドワイヤ用チューブ26の近位端のチューブ開口部を近位側から長軸方向に見たとき、ガイドワイヤ用チューブ26の近位端開口部がガイドワイヤ挿通部材24の近位端開口と同一面上にあることを指す。即ち、ガイドワイヤ挿通部材24の近位端面と、ガイドワイヤ用チューブ26の近位端面が、同一面であることを意味する。
【0055】
ガイドワイヤ用チューブ26の近位端部の形状と、ガイドワイヤ挿通部材24の近位端部の形状と一致させるには、例えば、ガイドワイヤ挿通部材24にガイドワイヤ用チューブ26を挿通させた状態で、ガイドワイヤ挿通部材24とガイドワイヤ用チューブ26の両方をまとめて切断すればよい。
【0056】
また、外側チューブ22の内腔に、ガイドワイヤが内腔に挿通される内挿チューブ51が配置されており、該内挿チューブ51の近位端は、ガイドワイヤポート31に固定されており、該内挿チューブ51は、貫通路25内に配置された上記ガイドワイヤ用チューブ26の内腔を通り、先端チップ28まで延伸している。
【0057】
上記
図9では、上記内挿チューブ51と上記外側チューブ22との間に、充填部材30を介在させている。上記充填部材30の近位端部の形状は、上記内挿チューブ51の近位端部の形状と一致している。充填部材30の近位端部の形状と、内挿チューブ51の近位端部の形状と一致させることによって、内挿チューブ51の内腔にガイドワイヤを挿入しやすくなる。
【0058】
図9に示すように、ガイドワイヤ用チューブ26の外表面に係止具29を設けてもよい。該係止具29は、医療用管状体21の内表面に係合しており、外側チューブ22を近位側に引くと医療用管状体21は係止具29によって後退を抑制され、外側チューブ22の外方へと展開される。
【0059】
上記係止具29を設ける位置は、医療用管状体21の後退を抑制できれば特に限定されないが、例えば、医療用管状体21の長軸方向長さにおける中央位置より近位側が好ましい。
【0060】
また、係止具29を用いずに、ガイドワイヤ挿通部材24の遠位端で医療用管状体21の近位端を支えてもよい。
【0061】
上記医療用管状体としては、例えば、ステント、ステントグラフト、閉塞具、注入カテーテル、プロテーゼ弁等を用いることができる。
【0062】
中でもステントを用いることが好ましい。上記ステントとしては、例えば、1本の線状の金属または高分子材料で形成されたコイル状のステント、金属チューブをレーザーによって切り抜いて加工したステント、金属シートをレーザーで切り抜いた後に円筒形状に巻いてレーザー溶接したステント、線状の部材をレーザーによって溶接して組み立てたステント、または、複数の線状金属を織って作ったステントが挙げられる。上記ステントは、ステントをマウントしたバルーンによって拡張させるバルーン拡張型ステントと、ステントの拡張を抑制する外部部材を取り除くことによって自ら拡張させる自己拡張型ステントに分類される。本発明では、自己拡張型ステントを用いることが好ましい。
【0063】
本願は、2018年8月24日に出願された日本国特許出願第2018-157665号に基づく優先権の利益を主張するものである。上記日本国特許出願第2018-157665号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【符号の説明】
【0064】
11 医療用管状体
12 外側チューブ
13 内挿部材
14 ガイドワイヤ挿通部材
15 貫通路
16 ガイドワイヤ用チューブ
17 先端チップ
21 医療用管状体
22 外側チューブ
23 内挿部材
24 ガイドワイヤ挿通部材
24a ガイドワイヤ挿通部材24の最遠位位置
24b ガイドワイヤ挿通部材24と内挿部材23とが固定されている固定領域
24c ガイドワイヤ挿通部材24と内挿部材23とが固定されている固定領域24bの最近位位置
24d ガイドワイヤ挿通部材24の最遠位位置24aと、ガイドワイヤ挿通部材24と内挿部材23とが固定されている固定領域24bの最近位位置24cとの軸方向の中央位置
25 貫通路
25a 貫通路25の近位側開口
25b 貫通路25の遠位側開口
26 ガイドワイヤ用チューブ
27 保護部材
28 先端チップ
29 係止具
30 充填部材
31 ガイドワイヤポート
41 内側チューブ
51 内挿チューブ