(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】距離オフセット測定のためのセンサーデバイス
(51)【国際特許分類】
G01C 9/06 20060101AFI20230614BHJP
G01C 9/00 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
G01C9/06 A
G01C9/00 Z
(21)【出願番号】P 2020542450
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(86)【国際出願番号】 US2019016800
(87)【国際公開番号】W WO2019157024
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599130449
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・パロット
(72)【発明者】
【氏名】サヘジャド・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ファドゥル・アブデルラティフ
(72)【発明者】
【氏名】パブロ・キャラスコ・ザニーニ
(72)【発明者】
【氏名】アイマン・アメール
(72)【発明者】
【氏名】アリ・オータ
(72)【発明者】
【氏名】アブドゥッラー・アラブ
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-130487(JP,A)
【文献】特開2000-261629(JP,A)
【文献】特開2010-192683(JP,A)
【文献】特開平02-154463(JP,A)
【文献】特開平05-036958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 9/06
G01C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸に沿った
基準距離値とのオフセットを測定するための感知デバイスであって、
複数のスロットを有する前部表面を含むハウジングと、
前記長手方向軸に沿って
間隔を置いて直線的に整列した光学センサーの2つ以上のアレイであって、前記2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つが、前記2つ以上のアレイのうちの他のアレイに対して前記長手方向軸に沿ってオフセットされて
おり、これにより、前記間隔は、前記2つ以上のアレイの別のアレイの光学センサーによって前記長手方向軸においてカバーされており、前記2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つが、前記感知デバイスの前記長手方向軸に沿って測定されると、前記2つ以上のアレイの他のアレイとは異なる終端位置を有する、2つ以上のアレイと、
前記光学センサーの前記2つ以上のアレイに結合され、かつレーザー基準ビームが前記光学センサーの前記2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つによって検出される前記長手方向軸に沿った位置オフセットを決定するように構成されたマイクロコントローラと、
を備え、
前記2つ以上のアレイの前記光学センサーの各々が、前記複数のスロットうちの1つの真下の前記ハウジング内に位置決めされ、かつ前記光学センサーによって受け取られた
前記レーザー基準ビームの放射線の入射角を低減するように、それらが位置決めされた下の前記スロットとサイズが
同じである、感知デバイス。
【請求項2】
前記複数のスロットのうちの少なくともいくつかが、中心に向かって傾斜して前記光学センサーによって受け取られる放射の入射角をさらに低減させる、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項3】
前記ハウジング内に位置決めされ、レーザー基準ビームの波長以外の波長が前記光学センサーに到達するのを妨げるように前記2つ以上のアレイの前記光学センサーを少なくとも部分的に覆う少なくとも1つのフィルター要素をさらに備える、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項4】
前記長手方向軸に垂直な横断軸に対して直線的に配設された追加の光学センサーのアレイをさらに含み、
前記マイクロコントローラが、前記追加の光学センサーのアレイに結合され、かつレーザー基準ビームが前記追加の光学センサーのアレイによって検出される前記横断軸に沿った位置オフセットを決定するように構成されている、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項5】
前記光学センサーの2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つが、前記複数のスロットの下で、前記2つ以上のアレイのうちの他のアレイとは異なる深さに位置決めされている、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項6】
前記光学センサーの2つ以上のアレイが、レーザー基準ビームの波長に感度のあるフォトダイオードを含む、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項7】
重力ベクトルに対する前記感知デバイスの傾きを測定するように適合された加速度計をさらに備える、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項8】
前記光学センサーの2つ以上のアレイが、
前記長手方向軸に沿って直線的に整列された光学センサーの第1のアレイと、
前記第1のアレイに対して隣接して前記長手方向軸に沿ってオフセットされた、前記長手方向軸に沿って直線的に整列された光学センサーの第2のアレイと、
前記長手方向軸に沿って直線的に整列して配設された光学センサーの第3のアレイであって、前記第1のアレイと反対側で前記第2のアレイに対して隣接して前記長手方向軸に沿ってオフセットされて位置決めされている、第3のアレイと、
を含む、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項9】
長手方向軸に沿った
基準距離値とのオフセットを測定するための感知デバイスであって、
前部表面を有するハウジングと、
光学センサーをそれぞれが含む2つ以上のアレイであって、前記2つ以上のアレイは前記長手方向軸に沿って
間隔を置いて前記ハウジング内に直線的に整列されおり、前記2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つが、前記2つ以上のアレイのうちの他のアレイに対して前記長手方向軸に沿ってオフセットされて
おり、これにより、前記間隔は、前記2つ以上のアレイの別のアレイの光学センサーによって前記長手方向軸においてカバーされており、前記2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つが、前記感知デバイスの前記長手方向軸に沿って測定されると、前記2つ以上のアレイのうちの他のアレイとは異なる終端位置を有する、光学センサーの2つ以上のアレイと、
前記光学センサーの2つ以上のアレイに結合され、かつレーザー基準ビームが、前記光学センサーの2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つによって検出される前記長手方向軸に沿った位置オフセットを決定するように構成されたマイクロコントローラと、
を備え、
前記2つ以上のアレイの前記光学センサーの各々が、複数のスロットうちの1つの真下の前記ハウジング内に位置決めされ、かつそれらが位置決めされた下の前記スロットとサイズが
同じであり、
前記2つ以上のアレイのうちの1つが、前記ハウジングの前記前部表面の下で、他のアレイとは異なる深さに位置決めされている、感知デバイス。
【請求項10】
前記2つ以上のアレイの前記光学センサーの各々が、前記2つ以上のアレイの前記光学センサーによって受け取られる
前記レーザー基準ビームの放射の入射角を低減するように、前記複数のスロットのうちの1つの下の前記ハウジング内に位置決めされている、請求項
9に記載の感知デバイス。
【請求項11】
前記長手方向軸に垂直な横断軸に対して直線的に配設された追加の光学センサーのアレイをさらに備え、
前記マイクロコントローラが、前記追加の光学センサーのアレイに結合され、かつレーザー基準ビームが前記追加の光学センサーのアレイによって検出される前記横断軸に沿った位置オフセットを決定するように構成されている、請求項
9に記載の感知デバイス。
【請求項12】
前記2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つが、前記複数のスロットの下で、前記2つ以上のアレイのうちの他のアレイとは異なる深さに位置決めされている、請求項
10に記載の感知デバイス。
【請求項13】
前記光学センサーの前記2つ以上のアレイが、前記レーザー基準ビームの波長に感度のあるフォトダイオードを含む、請求項
9に記載の感知デバイス。
【請求項14】
重力ベクトルに対する前記感知デバイスの傾きを測定するように適合された加速度計をさらに備える、請求項
9に記載の感知デバイス。
【請求項15】
前記2つ以上のアレイうちの少なくとも1つが、単一の連続的な光学センサーを含む、請求項
9に記載の感知デバイス。
【請求項16】
前記光学センサーの前記2つ以上のアレイが、
前記長手方向軸に沿って直線的に整列された光学センサーの第1のアレイと、
前記第1のアレイに対して隣接して前記長手方向軸に沿ってオフセットされた、前記長手方向軸に沿って直線的に整列された光学センサーの第2のアレイと、
前記長手方向軸に沿って直線的に整列して配設された光学センサーの第3のアレイであって、前記第1のアレイと反対側で前記第2のアレイに対して隣接して前記長手方向軸に沿ってオフセットされて位置決めされている、第3のアレイと、
を含む、請求項
9に記載の感知デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月10日に出願された米国仮特許出願第16/100,458号および2018年2月6日に出願された米国仮特許出願第62/626,954号に基づいており、参照として組み込まれ、これらの出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、変形を含む物体の構造変化の測定に関し、特に、貯蔵タンクの較正のためのオフセットを測定するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
石油およびガス産業では、それらの燃料容量を正確に決定できるようにするために、貯蔵タンクが定期的に較正される。一部の貯蔵タンクは非常に大きく、2,000,000バレル以上を貯蔵できるため、これは重要なタスクである。そのようなタンクの比較的小さなパーセンテージの容積誤差は、オイルバレル容積の点でかなりの誤差につながる可能性がある。
【0004】
タンク容量を決定する従来の方法は、タンクを流体で満たし、次いで、容量に達した後、流体が排出されるときに流体を計量することである。この方法は時間とコストの両方がかかり、容量測定が行われている間はタンクを使用することができない。最近、光学感知に基づく測定技術が適用され、従来のフィルアンドドレイン法の限界を克服している。参照により全体が本明細書に組み込まれる、共同所有および譲渡された米国特許第9,188,472号(‘472特許)は、燃料タンク較正に特に適合された光学測定システムおよび方法を説明している。しかしながら、この以前の特許は、このようなセンサーを開発するために代わりに当業者に依存して、このタスクを効率的に達成するセンサー構成に関する詳細を開示していない。この開示は、以前のシステムに必要とされる最も単純なセンサーシステムの概念に対する大幅な改善を表している。
図1は、‘472特許によるタンク較正システムの概略側面図である。システム100は、貯蔵タンクと、貯蔵タンクの周囲を上下に移動するように遠隔制御可能なトロリーまたはドローンなどのロボットデバイス104と、貯蔵タンクの中心から既知の距離に位置決めされたレーザー基準デバイス106と、ロボットデバイスに結合された光学センサー108と、を含む。貯蔵タンク上の基準点は、「基準円周」を有し、それに関して、貯蔵タンクの表面の偏差が決定される。
【0005】
動作中、レーザー基準デバイス106は、タンクの壁に平行に配向されているのではなく、垂直基準レーザーライン110(ビームは水平方向に線形幅を有する)を放射する。ロボットデバイス104がタンクの周囲を上下に移動するとき、レーザー基準デバイス106からの光は、ロボットデバイスに結合された光学センサー108によって継続的に検出される。タンクの表面上の突起、くぼみ、および不均一は、光学センサー108がレーザー基準デバイス106によって放出されたレーザー放射を捕捉および検出する位置をオフセットする。測定されたオフセットを使用して、基準円周からの表面の変形の大きさを計算することができる。
【0006】
計算は、光学センサー108がレーザーを検出する位置の正確な読み取りに依存するので、この方法は、かなりの程度まで、光学センサーの設計に依存する。タンク較正技術は急速に進歩したが、光学センサーはまだこの手順に最適化されていない。
【0007】
したがって、長手方向軸(例えば、垂直線)に対するオフセットを正確に測定するように特に適合された光学センサーが必要である。
【0008】
本明細書でなされた開示が提示するのは、これらおよび他の考察に関するものである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施形態は、長手方向軸に沿ったオフセットを測定するための感知デバイスを提供する。感知デバイスは、複数のスロットを有する前部表面を含むハウジングと、長手方向軸に沿って整列された光学センサーの2つ以上のアレイであって、アレイの少なくとも1つは、他のアレイに対して長手方向軸に沿ってオフセットされている、2つ以上のアレイと、光学センサーの2つ以上のアレイに結合され、かつ光が光学センサーのアレイのうちの少なくとも1つによって検出される長手方向軸に沿った位置オフセットを決定するように構成されたマイクロコントローラと、を備える。いくつかの実施形態では、2つ以上のアレイの光学センサーの各々は、2つ以上のアレイの光学センサーによって受け取られる放射の入射角を低減するように、複数のスロットのうちの1つの下のハウジング内に位置決めされている。
【0010】
特定の実施形態では、複数のスロットのうちの少なくともいくつかは、中心に向かって傾斜して光学センサーによって受け取られる放射の入射角をさらに低減させる。光学センサーの2つ以上のアレイが、一緒に、前記長手方向軸に沿った距離の全長に沿ったすべての位置を覆っていることが好ましい。
【0011】
特定の実施形態では、ハウジング内に位置決めされ、レーザー基準ビームの波長以外の波長が光学センサーに到達するのを妨げるように2つ以上のアレイの光学センサーを少なくとも部分的に覆う少なくとも1つのフィルター要素をさらに備える。
【0012】
特定の実施形態では、感知デバイスは、長手方向軸に垂直な横断軸に対して直線的に配設された追加の光学センサーのアレイを含み、マイクロコントローラは、追加の光学センサーのアレイに結合され、かつ光が追加の光学センサーのアレイによって検出される横断軸に沿った位置オフセットを決定するように構成されている
【0013】
2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つは、複数のスロットの下で、2つ以上のアレイのうちの他のアレイとは異なる深さに位置決めされている。光学センサーの2つ以上のアレイが、レーザー基準ビームの波長に感度のあるフォトダイオードを含む。特定の実施形態では、感知デバイスは、重力ベクトルに対するデバイスの傾きを測定するように適合された加速度計をさらに備える。特定の実施形態では、第1、第2、および第3のアレイのうちの少なくとも1つが、単一の連続的な光学センサーを含む。
【0014】
一実施形態では、2つ以上のセンサーは、第1、第2および第3の光学アレイを含み、第2の光学アレイは、第1および第3の光学アレイに対して直線的にオフセットされる。
【0015】
本発明のさらなる実施形態は、長手方向軸に沿ったオフセットを測定するための感知デバイスを提供する。感知デバイスは、前部表面を有するハウジングと、長手方向軸に沿って直線的に整列されて配設された光学センサーの2つ以上のアレイであって、2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つは、他のアレイに対して長手方向軸に沿ってオフセットされている、2つ以上のアレイと、光学センサーの2つ以上のアレイに結合され、かつ光が光学センサーの2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つによって検出される長手方向軸に沿った位置オフセットを決定するように構成されたマイクロコントローラと、を備える。
【0016】
特定の実施形態では、2つ以上のアレイの光学センサーの各々は、2つ以上のアレイの光学センサーによって受け取られる放射の入射角を低減するように、複数のスロットのうちの1つの下のハウジング内に位置決めされている。複数のスロットのうちの少なくともいくつかは、中心に向かって傾斜して光学センサーによって受け取られる放射の入射角をさらに低減させる。2つ以上のアレイが、一緒に、長手方向軸に沿った距離の全長に沿ったすべての位置を覆っていることが好ましい。
【0017】
本発明の感知デバイスのいくつかの実施形態は、長手方向軸に垂直な横断軸に対して直線的に配設された追加の光学センサーのアレイを含み、マイクロコントローラは、追加の光学センサーのアレイに結合され、かつ光が追加の光学センサーのアレイによって検出される横断軸に沿った位置オフセットを決定するように構成されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、2つ以上のアレイのうちの少なくとも1つは、複数のスロットの下で、アレイのうちの他のアレイとは異なる深さに位置決めされている。光学センサーの2つ以上のアレイが、レーザー基準ビームの波長に感度のあるフォトダイオードを含む。配向決定を支援するために、感知デバイスは、重力ベクトルに対するデバイスの傾きを測定するように適合された加速度計をさらに備えることができる。さらなる実装形態では、2つ以上のアレイうちの少なくとも1つが、単一の連続的な光学センサーを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、2つ以上のセンサーは、長手方向軸に沿って直線的に配設された第1、第2および第3の光学アレイを含み、第2の光学アレイは、第1および第3の光学アレイに対して直線的にオフセットされる。
【0020】
これらおよび他の態様、特徴、および利点は、本発明の特定の実施形態の以下の説明ならびに添付の図面および特許請求の範囲から理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来技術で開示されているタンク較正システムの概略側面図である。
【
図2】本発明の実施形態による、長手方向軸に沿ったオフセットを測定するための感知デバイスの実施形態の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態による感知デバイスの別の実施形態の平面図である。
【
図4】本発明による感知デバイスの実施形態の長手方向断面図である。
【
図5】本発明による感知デバイスの別の実施形態の長手方向断面図である。
【
図6】本発明の実施形態による、長手方向軸および横断軸の両方に沿ったオフセットを測定するための感知デバイスの実施形態の平面図である。
【
図7】本発明による感知デバイスの実施形態を示す工学図であり、構造の周りをナビゲートするためのロボットデバイスに結合されて示されている。
【
図8】本発明の実施形態による長手方向軸に沿ったオフセットを測定するためのシステムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態は、互いに隣接し、長手方向軸に沿って互いに対してオフセットされた光学センサーの線形アレイを含む感知デバイスを提供する。特定の実施形態では、光学センサーは、複数の線形フォトダイオードアレイまたは同様の高解像度光学センサーを備える。隣接する線形アレイ間のオフセットにより、線形アレイ内で個別に発生するギャップは、長手方向軸に沿って異なるレベルに位置決めされる。したがって、感知デバイスの全長内のすべての長手方向の位置で光を捕捉するように位置決めされた(すなわち、すべてのギャップが覆われている)光学センサーがある。感知デバイスは、表面に対して一定の距離に位置決めされ、その表面に沿って移動し、他の測定に対する表面のオフセットおよび/またはレーザーおよび感知デバイスの機械的オフセットのプロキシ測定を提供することができる。
【0023】
図2は、本発明の実施形態による長手方向軸(L)に沿ったオフセットを測定するための感知デバイスの平面図である。感知デバイス200は、光学センサー202、204、206の線形アレイが埋め込まれている概して長方形のハウジング201を含む。3つの線形アレイが示されているが、感知デバイスに含めることができる線形アレイの数はこの数に限定されず、一般に2つ以上の線形アレイを含むことができる。線形アレイ202は、ハウジングの左端に向かって位置決めされ、線形アレイ204は、右側の線形アレイ204に隣接して位置決めされ、線形アレイ206は、ハウジングの右縁部に向かって右側の線形アレイ204に隣接して位置決めされる。図示の実施形態では、線形アレイ202、204、206の各々は、長手方向軸に沿って直列に配設された3つの別個の光学センサー要素を含む。したがって、線形アレイは、互いに平行に配設される。線形アレイ202には、デバイスの第1の端部に向かって第1の長手方向位置を開始する光学センサー要素212と、長手方向軸に沿ってギャップ距離215だけ光学センサー要素から分離された光学センサー要素214と、センサー要素214からギャップにより分離された、感知デバイスの反対側の端部に向かって位置決めされた別の光学センサー要素216と、を含む。
図3は、本発明による感知デバイス300の代替実施形態を示す。この実施形態は、光学要素302、304、306の3つの線形アレイも含む。しかしながら、各線形アレイ302、304、306は、
図2に示される3つの別個の要素などの別個の要素ではなく、それぞれ単一の連続的な光学要素312、322、332を含む。小さい光学要素はより容易に入手可能であり、より安価であるが、より長く、連続的な光学要素は、ギャップを有さない。
【0024】
線形アレイ204はまた、3つの光学センサー要素222、224、226を含む。しかしながら、センサー要素222、224、226の長手方向の位置は、線形アレイ202のセンサー要素212、214、および216に対して長手方向にオフセットされている。より具体的には、光学センサー要素222は、センサー要素212に対して(図示されているようにより高い)ハウジングの縁部に向かってオフセット距離(D)に位置決めされ、センサー要素224は、センサー要素214よりも高い同じオフセット距離(D)に位置決めされ、センサー要素226は、センサー要素216よりも同じオフセット距離だけ離れて位置決めされる。
図1では、線形アレイ202のセンサー要素212と214との間のギャップ215の長手方向の長さが線形アレイ204の光学センサー224によって覆われていることが明確に認められる。図示の方法でアレイをオフセットすることにより、光学センサー要素間のギャップは、デバイスの他のセンサー要素によって覆われることができる。連続センサーを使用する場合(ギャップなし)、単一の線形アレイまたは2つの垂直な線形アレイを使用することが可能である。しかしながら、単一のアレイ(1つまたは両方の軸方向)に依存すると、利用可能なデータの量が減少する(例えば、傾きおよび回転のデータ)。
【0025】
線形アレイ206は、センサー要素212、214、216と同じ位置に長手方向に位置決めされる光学センサー要素232、234、236を含む。この構成では、線形アレイ206も線形アレイ204に対してオフセットされ、したがって、すべての隣接する線形アレイが互いに対して長手方向にオフセットされる。当技術分野で知られているように、高解像度フォトダイオードを使用して、任意またはすべての光学センサー要素を実装することができる。光学センサーは、好ましくは、その波長に優先的に応答するために、較正システムで使用されるレーザーの波長に感度があるように選択される。複数の線形アレイは冗長性を提供し、また、アレイ間の横断方向のオフセットにより(ロボットデバイスを介して)異なる読み取り値を招くタンクの周りの感知デバイスの回転が検出されるとき、回転情報も提供する。
【0026】
図7を簡単に参照すると、
図2に示される実施形態による感知デバイス200を取り付けることができる1つの方法が、構造的(例えば、タンク)較正のためのオフセット測定を行うために使用することができるロボット車両280に取り付けられているものとして示されている。ロボット車両が構造物の表面を転がると、感知デバイスの光学センサー要素は、特定の画素でレーザー基準線を検出し、これは、次に構造の基準円周からのオフセットに変換することができる。複数の画素が照射されている場合、平均化アルゴリズムを使用してビームの中心を決定することができる。これには、照射のギャップの修正を含めることができる。読み取り値は、較正によって特定のオフセットにマッピングすることもできる。
【0027】
入光の入射角を最小化する1つ以上の光学センサー要素をウェル内に位置決めすることができる。言い換えると、感知デバイスのハウジング表面は、開口部(スロット)を含むことができ、光学センサー要素は、デバイスの表面の下のスロットの下に位置決めすることができる。デバイスの表面の下にセンサー要素をセットすることにより、入射角が最小限に抑えられ、検出された放射の大部分が感知デバイスの表面に垂直に入射し、レーザー基準デバイスから来ることが保証される。特定の実施形態では、迷走放射線を検出する可能性をさらに低減するために、スロットを中心に向かって傾斜させて、レーザー放射線を検出することを可能にしながら、より狭いままにすることができる。この傾斜は、センサー要素に当たるレーザーの様々な入射角を考慮に入れることができる。例えば、スロットの両側で傾斜を非対称にして、スロットサイズと入射角を効率的に最小化しながら、レーザーがすべての場所のセンサー要素に到達できるようにする。
【0028】
図4は、感知デバイス200の断面図であり、ハウジングの表面下のそれぞれのスロット242、244、246内に、さもなければ整合して設置された光学センサー要素212、214、216を含む線形アレイ202を示す。それぞれのフィルター要素252、254、256は、センサー要素212、214、216の上方に位置決めされ、さもなければそれぞれのセンサー要素に付き当たるであろう波長にそれぞれのフィルターを提供する。フィルター要素252、254、256は、レーザーに一致する波長の狭い帯域のみを通過させるバンドギャップフィルター、または反射光および散乱光の検出を低減する偏光フィルターなどの単一目的のフィルターとすることができる。より好ましくは、フィルター要素は、機能を複数の構成要素と組み合わせることができる。光学センサー要素はまた、好ましくは、レーザーの波長に特に感度があるように選択される。特定の実施形態では、光がアレイに当たっている場所の重心を正確に見つけるために、光学センサー要素は、各画素読み取り値のアナログ測定値を出力する。他の実施形態では、センサー要素は、各画素のデジタル(オン/オフ)信号を出力することができ、それでも重心の決定が可能になるが、精度は低下する。付加的に、重心の読み取り値または各画素の読み取り値をデジタル通信することができる。
【0029】
図5に示される感知デバイス400の別の実施形態では、光学要素の線形アレイの深さは不均一である。この最終断面図では、線形アレイ402がスロット412の下の深さD1に位置決めされ、線形アレイ404がスロット414の下でD1よりも大きい深さD2に位置決めされ、線形アレイ406がスロット416の下の深さD1に位置決めされていることが分かる。線形アレイ間の高さの差は、従来の機械的スペーサまたは当技術分野で知られている他の固定具を使用して確立することができる。線形アレイの不均一な深さは、感知デバイスとレーザー基準デバイスとの間の潜在的な不整合に関する情報を提供することができる。
【0030】
本発明による感知デバイスの他の実施形態は、光学感知要素の垂直および水平アレイの両方を含む。そのような実施形態の平面図である
図6では、感知デバイス500は、長手方向軸に対するオフセットを検出するように構成された3つの垂直アレイ:光学センサー要素502、504および506を含む第1の垂直アレイ、光学センサー要素512、514、516を含む第2(中央)の垂直アレイ光学センサー要素522、524および526を含む第3の垂直アレイを含む。示されるように、センサー要素512、514および516を含む中央の垂直アレイは、他の垂直アレイに対してオフセットされている。しかしながら、垂直アレイは、隣接するアレイがあらゆるギャップを覆うように(すなわち、感知デバイス全体にギャップがないように)配設される。さらに、横断軸に対するオフセットを検出するように構成された水平アレイがある。第1の水平アレイは、光学センサー要素532、534および536を含み、第2の水平アレイは、光学センサー要素542、544および546を含む。水平アレイは、垂直オフセットに加えて水平オフセットの検出を可能にする。別の実施形態では、異なる別個の垂直および水平センサー要素の代わりに、光学感知要素の二次元アレイを使用することができる。
【0031】
レーザー基準デバイス106(
図1)は、光学センサー要素の垂直および水平線形アレイの両方を含む感知デバイスの実施形態を利用するように適合させることができる。例えば、レーザー基準デバイスは、線形のビームをキャストするのではなく、(好適な開口を介して)十字の形でビームをキャストですることができ、または、代替的に2つのレーザービームを一緒に放射して、T字または十字を形成することができる。センサー要素のアレイが密集している特定の実装形態では、レーザーは、すべてのまたはいくつかのアレイによって同時に検出できる大きな直径のビームを導き、正確な重心を決定することができる。この場合のビームは、中心をより正確に決定するのに役立つ可変強度の放射状パターンを有することができる。
【0032】
図8は、本発明によるオフセットを測定するためのシステムの概略図である。センサーの線形アレイ(202、204、206など)が光入力を検出し、アナログ検出信号を出力する。アナログ信号は、センサーモジュール内のセンサーと同じ場所に位置するADC変換構成要素によってデジタル信号に変換でき、または、ワイヤー接続を介してアナログ形式でマイクロコントローラ820に直接通信することができる。マイクロコントローラ820は、センサー202、204、206の線形アレイの読み取りを駆動することができる。マイクロコントローラ820は、マイクロプロセッサまたはデジタル信号プロセッサなどの1つ以上のプロセッサを使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ820は、1つ以上の通信ポートを介して受信されたアナログ信号をさらなる処理のためにデジタル信号に変換するための1つ以上のADC構成要素を含むことができる。810は、マイクロコントローラ構成要素の一部にすることもできる。図示の実施形態では、マイクロコントローラ820は、感知デバイス内の線形アレイ202、204、206およびADC810と一緒に位置する。しかしながら、他の実施形態では、ADC810は、既知のプロトコルに基づく有線または無線接続によってマイクロコントローラ820に通信可能に結合される。マイクロコントローラ820は、複数のトランシーバ824a、824b、824c、824dに通信可能に結合され、それを介して、マイクロコントローラは、ロボット車両を制御し、エンドユーザーと通信する他のマイクロコントローラにセンサーデータを送信することがきる。特定の実施形態では、感知デバイスは、感知デバイスに関する追加の配向データをマイクロコントローラ820に提供する加速度計または慣性測定ユニット830を含む。
【0033】
動作中、マイクロコントローラ820は、線形アレイから光検出データを受け取り、そこで実行されるコードを使用して、このデータから、レーザー基準デバイスによって放出されたレーザービームが感知デバイスに当たっている位置を決定する。レーザー基準デバイスの位置は既知であるため、この情報から感知デバイスの位置のオフセットを導出することができる。好ましい実装では、マイクロコントローラは、複数の測定を利用して、レーザービームの位置を固定する。この手順により、感知デバイスの2つの位置間の非常に正確な相対測定が提供される。加速度計から受信したデータをマイクロコントローラ820で使用して、ロボット車両を介して感知デバイスが通過する表面の直角方向に対する動きや傾きを修正することができるが、マイクロコントローラ820のプロセッサ(複数可)の実行コードを使用する。同様に、複数の線形アレイ全体の読み取り値をマイクロコントローラ820で比較して、タンク壁などの湾曲表面の周りの傾きまたは水平ドリフトを決定し、位置またはデータ自体の修正を可能にすることができる。線形アレイと加速度計間のデータ融合を使用して、センサー要素の位置と配向をより正確に推定することができる。いくつかの実施形態では、読み取りは、絶対アナログ読み取りではなく、デジタル読み取り(パルス処理)に基づくことができる。
【0034】
既知の距離にある較正済みのデバイスを使用して、レーザービームが感知デバイスに当たるときにレーザービームの幅を測定することにより、基地局に対する感知デバイスの整合を確認することができる。それがあるべき値よりも大きい場合、それは、感知デバイスの表面に直角な平面と光が放射されている方向との間に角度の不整合があることを意味する。これは、基地局の整合のエラーから、または地面に対して角度がついている(すなわち、重力ベクトルに直角な)感知デバイスの表面を介して発生する可能性がある。感知デバイスが載置されているロボット車両の配向を安定させて、構造表面に対する感知デバイスの回転によって最も細い線を確実に維持することができ、それにより感知デバイスによる潜在的な不整合を乗り越えることができる。他の実施形態では、感知デバイスは、ロボットデバイス上の回転アームまたはシャフト上に位置決めすることができ、それにより、ロボットデバイスに対するセンサーの配向を、作動によって変更することができる。このようにして、感知デバイスは、重力ベクトルによって定義される垂直線に対して2自由度(ロール、ピッチ)で回転することができる。上記のように、整合補正は、搭載された加速度計830によって支援され得る。代替的に、エラーが基地局の不整合に起因する場合、基地局はこの情報を利用してそれ自体を整合しようとすることができ、おそらく複数のセンサーを使用して、使用可能な入力の精度と信頼性に比例するエラーを最小化する整合設定を選択する。情報は、それぞれの搭載トランシーバによる感知デバイスと基地局の間の通信であり得る。
【0035】
さらなる実施形態では、2つ以上の平行なレーザービームが、1つ以上のレーザー基準デバイスから放出される。そのような実施形態では、オフセット測定値は、センサーアセンブリのギャップをあまり気にすることなく、マイクロコントローラ820を使用して得ることができる。基地局に対する2つ以上の基準デバイスの整合は、各レーザー間の広がりを一定に保つことで確認することができる。付加的に、平行レーザー線間の距離を使用して、センサーアセンブリの傾きを決定することができ、加速度計のデータと連携している可能性がある。付加的に、感知デバイスを搭載するロボット車両は、基地局と感知デバイスとの間の距離または地面または他の基準までの距離を測定する距離測定センサー(例えば、ライダー、超音波など)を有することができる。
【0036】
本明細書に開示されたいずれの構造および機能の詳細も、システムおよび方法を限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、当業者に、方法を実装するための1つ以上のやり方を教示するための典型的な実施形態および/または構成として提供されていることを理解されたい。
【0037】
図面中の類似の数字が、いくつかの図を通して類似の要素を表し、図に関連して説明され、示された構成要素および/またはステップのすべてが、すべての実施形態または構成に必要とされるわけではないことをさらに理解されたい。
【0038】
本明細書に使用されている専門用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書において使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別のことを示している場合を除き、複数形も含むものと意図する。「comprises(備える)」および/または「comprising(備える)」という用語は、本明細書で使用する際、述べた特徴、整数、ステップ、作業、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、作業、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに理解されるであろう。
【0039】
配向の用語は、本明細書では、単に慣例および参照の目的で使用され、限定するものとして解釈されるべきではない。しかしながら、これらの用語は、見る人を基準にして使用される可能性があることを認識されたい。したがって、限定が暗に意味されることもなく、推察されるべきでもない。
【0040】
また、本明細書に使用されている表現および専門用語は、説明目的のものであり、限定するものとみなされるべきではない。本明細書における「including(含む)」、「comprising(備える)」、または「having(有する)」、「containing(含む)」、「involving(伴う)」、およびそれらの変形の使用は、それ以降に挙げられた項目、およびその等価物、ならびに追加項目を包含することを目的としている。
【0041】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行い、その要素を等価物で置き換えることができることを当業者は理解するであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の機器、状況、または材料を本発明の教示に適合させるための多くの修正が当業者には理解されよう。したがって、本発明は、本発明を実施するために想到される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されることがなく、本発明は、添付の特許請求の範囲に収まるすべての実施形態を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0042】
100 システム
104 ロボットデバイス
106 レーザー基準デバイス
108 光学センサー
110 垂直基準レーザーライン
200 感知デバイス
201 ハウジング
202 線形アレイ
202 光学センサー
204 光学センサー
206 光学センサー
212 光学センサー要素
214 光学センサー要素
215 ギャップ
216 光学センサー要素
222 光学センサー要素
224 光学センサー要素
226 光学センサー要素
232 光学センサー要素
234 光学センサー要素
236 光学センサー要素
242 スロット
244 スロット
246 スロット
252 フィルター要素
254 フィルター要素
256 フィルター要素
280 ロボット車両