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特許7295914一体型コア本体を有する三相磁気アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】一体型コア本体を有する三相磁気アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/12 20060101AFI20230614BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
H01F30/12 A
H01F30/12 C
H01F30/12 N
H01F27/24 E
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021153995
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2022052756
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】17/029,294
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521227078
【氏名又は名称】アステック インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】シング,ユクマン
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0061560(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0323720(US,A1)
【文献】特公昭50-009213(JP,B1)
【文献】実開昭64-052219(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108648902(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 30/12
H01F 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相磁気アセンブリであって、
複数の巻線と、
各々が前記複数の巻線の中心軸の方向に延在し、前記複数の巻線に電流が流れるときに複数のコア脚部内に磁束が生じるようにその周りに前記複数の巻線が巻かれた、複数のコア脚部を有する一体型コア本体と
を備え、
前記複数の巻線は、第1、第2、および第3相インダクタならびに、第1、第2、および第3相変圧器とを備え、前記第1相インダクタおよび前記第2相変圧器の前記コア脚部が第1中心軸を共有し、前記第2相インダクタおよび前記第3相変圧器の前記コア脚部が第2中心軸を共有し、前記第3相インダクタおよび前記第1相変圧器の前記コア脚部が第3中心軸を共有するように、前記一体型コア本体の周りに配置され
前記第1相インダクタは、前記第1中心軸に巻かれ、前記第2相変圧器によって前記第1中心軸を通じて生成される第2磁束と反対方向にある前記第1中心軸を通じて第1磁束を生成し、
前記第2相インダクタは、前記第2中心軸に巻かれ、前記第3相変圧器によって前記第2中心軸を通じて生成される第2磁束と反対方向にある前記第2中心軸を通じて第1磁束を生成し、
前記第3相インダクタは、前記第3中心軸に巻かれ、前記第1相変圧器によって前記第3中心軸を通じて生成される第2磁束と反対方向にある前記第3中心軸を通じて第1磁束を生成する、三相磁気アセンブリ。
【請求項2】
前記複数の巻線のうちの第1の巻線は、前記第1相インダクタと前記第1相変圧器の一次コイルとを備え、
前記複数の巻線のうちの第2の巻線は、前記第2相インダクタと前記第2相変圧器の一次コイルとを備え、
前記複数の巻線のうちの第3の巻線は、前記第3相インダクタと前記第3相変圧器の一次コイルとを備える
請求項1に記載の三相磁気アセンブリ。
【請求項3】
前記コア脚部の各々は空隙を含む、請求項1に記載の三相磁気アセンブリ。
【請求項4】
インダクタ内の前記コア脚部の第1および第2の端部の間で磁束を誘導するように構成されたインダクタ戻り脚部と、
変圧器内の前記コア脚部の第1および第2の端部の間で磁束を誘導するように構成された変圧器戻り脚部と
をさらに備える、請求項1に記載の三相磁気アセンブリ。
【請求項5】
前記インダクタ内の電流は正弦状であり、前記3つのインダクタの各々からの磁束は、前記インダクタ戻り脚部内で互いに相殺する、請求項4に記載の三相磁気アセンブリ。
【請求項6】
前記変圧器内の電流は三角形であり、前記3つの変圧器の各々からの磁束は、前記変圧器戻り脚部内で互いに部分的に相殺する、請求項4に記載の三相磁気アセンブリ。
【請求項7】
三相磁気アセンブリであって、
複数の巻線と、
各々が第1および第2の端部を有し、各々が前記複数の巻線の中心軸の方向に延在し、前記複数の巻線に電流が流れるときに複数のコア脚部内に磁束が生じるようにその周りに前記複数の巻線が巻かれた複数のコア脚部を有する、一体型コア本体であって、前記複数の巻線は第1、第2、および第3相インダクタ、ならびに第1、第2、および第3相変圧器を備え、これらは、前記第1相インダクタおよび前記第2相変圧器の前記コア脚部が第1中心軸を共有し、前記第2相インダクタおよび前記第3相変圧器の前記コア脚部が第2中心軸を共有し、前記第3相インダクタおよび前記第1相変圧器の前記コア脚部が第3中心軸を共有するように、前記一体型コア本体の周りに配置されている、一体型コア本体と、
前記インダクタ内のコア脚部の前記第1および第2の端部の間で磁束を誘導するように構成されたインダクタ戻り脚部と、
前記変圧器内のコア脚部の前記第1および第2の端部の間で磁束を誘導するように構成された変圧器戻り脚部と
を備え
前記第1相インダクタは、前記第1中心軸に巻かれ、前記第2相変圧器によって前記第1中心軸を通じて生成される第2磁束と反対方向にある前記第1中心軸を通じて第1磁束を生成し、
前記第2相インダクタは、前記第2中心軸に巻かれ、前記第3相変圧器によって前記第2中心軸を通じて生成される第2磁束と反対方向にある前記第2中心軸を通じて第1磁束を生成し、
前記第3相インダクタは、前記第3中心軸に巻かれ、前記第1相変圧器によって前記第3中心軸を通じて生成される第2磁束と反対方向にある前記第3中心軸を通じて第1磁束を生成する、三相磁気アセンブリ。
【請求項8】
前記複数の巻線のうちの第1の巻線は、前記第1相インダクタと前記第1相変圧器の一次コイルとを備え、
前記複数の巻線のうちの第2の巻線は、前記第2相インダクタと前記第2相変圧器の一次コイルとを備え、
前記複数の巻線のうちの第3の巻線は、前記第3相インダクタと前記第3相変圧器の一次コイルとを備える
請求項に記載の三相磁気アセンブリ。
【請求項9】
前記コア脚部の各々は空隙を備える、請求項に記載の三相磁気アセンブリ。
【請求項10】
前記インダクタ内の電流は正弦状であり、前記3つのインダクタの各々からの磁束は、前記インダクタ戻り脚部内で互いに相殺する、請求項に記載の三相磁気アセンブリ。
【請求項11】
前記変圧器内の電流は三角形であり、前記3つの変圧器の各々からの磁束は、前記変圧器戻り脚部内で互いに部分的に相殺する、請求項に記載の三相磁気アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、電子部品に関し、具体的には、三相電力システム用のインダクタおよび変圧器部品に関する。
【背景技術】
【0002】
三相LLC電力変換器は、電気通信システム、電気自動車用の高速充電器、ならびに高電力密度および高効率を必要とする他の用途を含む様々なシステムで、一般的に使用されている。
【0003】
これらの三相LLC電力変換器は、典型的に、三相の各々についてインダクタ/変圧器のペアを含む。これらの部品は大電流に耐えなければならないので、これらは一般に、電力変換器内の最大の部品の1つであり、これらの部品内のコア損失に起因してエネルギーも放散する。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、三相磁気アセンブリが提供される。三相磁気アセンブリは、複数の巻線と、各々が複数の巻線の中心軸の方向に延在し、複数の巻線に電流が流れるときに複数のコア脚部内に磁束が生じるように複数の巻線が巻回される複数のコア脚部を有する一体型コア本体とを含む。
【0005】
複数の巻線は、第1、第2、および第3相インダクタと、第1、第2、および第3相変圧器とを備え、これらは、第1相インダクタおよび第2相変圧器のコア脚部が中心軸を共有し、第2相インダクタおよび第3相変圧器のコア脚部が中心軸を共有し、第3相インダクタおよび第1相変圧器のコア脚部が中心軸を共有するように、一体型コア本体の周りに配置される。
【0006】
別の実施形態では、三相磁気アセンブリ用の一体型コア本体が提供される。一体型コア本体は、各々が第1、第2、および第3相インダクタ、ならびに第1、第2、および第3相変圧器の中心軸の方向に延在し、各々が第1および第2の端部を有し、各々が第1、第2、および第3相インダクタならびに第1、第2、および第3相変圧器のうちの1つに磁束を誘導する磁気コアを提供するように構成されている、複数のコア脚部を含む。
【0007】
一体型コア本体はまた、インダクタ内のコア脚部の第1および第2の端部の間で磁束を誘導するように構成されたインダクタ戻り脚部と、変圧器内のコア脚部の第1および第2の端部の間で磁束を誘導するように構成された変圧器戻り脚部とを含む。
【0008】
さらなる実施形態では、三相磁気アセンブリが提供される。三相磁気アセンブリは、複数の巻線と、一体型コア本体と、インダクタ戻り脚部と、変圧器戻り脚部とを含む。
【0009】
一体型コア本体は、各々が第1および第2の端部を有し、各々が複数の巻線の中心軸の方向に延在し、複数の巻線に電流が流れるときに複数のコア脚部内に磁束が生じるようにその周りに複数の巻線が巻かれた複数のコア脚部を有し、複数の巻線は、第1、第2、および第3相インダクタ、ならびに第1、第2、および第3相変圧器を備え、第1相インダクタおよび第2相変圧器のコア脚部が中心軸を共有し、第2相インダクタおよび第3相変圧器のコア脚部が中心軸を共有し、第3相インダクタおよび第1相変圧器のコア脚部が中心軸を共有するように、一体型コア本体の周りに配置される。
【0010】
インダクタ戻り脚部は、インダクタ内のコア脚部の第1および第2の端部の間で磁束を誘導するように構成されており、変圧器戻り脚部は、変圧器内のコア脚部の第1および第2の端部の間で磁束を誘導するように構成されている。
【0011】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。これらの図面に関連していくつかの実装形態が説明されるが、本開示は本明細書に開示される実装形態に限定されるものではない。むしろ、全ての代替、修正、および同等物を網羅することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】三相磁気アセンブリ用の一体型コア本体を示す図である。
図1B】三相磁気アセンブリ用の一体型コア本体を示す図である。
図1C】三相磁気アセンブリ用の一体型コア本体を示す図である。
図2A】三相磁気アセンブリを示す図である。
図2B】三相磁気アセンブリを示す図である。
図3A】三相磁気アセンブリを示す図である。
図3B】三相磁気アセンブリ内の例示的な巻線を示す図である。
図4】三相磁気アセンブリを組み込んだ例示的な電力変換器回路を示す図である。
図5A】三相磁気アセンブリを組み込んだ例示的な電源回路内のインダクタ磁束と変圧器磁束との間の関係を示す図である。
図5B】三相磁気アセンブリを組み込んだ例示的な電源回路内のインダクタおよび変圧器の各々の中の磁束間の相関係を示す相図である。
図6】三相磁気アセンブリを示す図である。
図7】三相磁気アセンブリを組み込んだ例示的な電源回路内の変圧器および共通戻り脚部の各々の中の磁束を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、三相電力システムで使用するための一体型コア本体を含む三相磁気アセンブリを構築するための異なる方法を示す。
【0014】
図1A図1B、および図1Cは、三相磁気アセンブリ用の一体型コア本体100を示す。これらの例示的な実施形態では、一体型コア本体100は、複数の巻線によって形成された3つのインダクタおよび3つの変圧器を支持するように構成されている。一体型コア本体100は、コア本体100によって支持されるインダクタおよび変圧器の様々なパラメータに影響を及ぼす空隙110を含む。一体型コア本体100は、インダクタ戻り脚部120および変圧器戻り脚部130も含む。
【0015】
インダクタ戻り脚部120は、3つのインダクタからの磁束の戻り経路を提供する。変圧器戻り脚部130は、3つの変圧器からの磁束の戻り経路を提供する。
【0016】
例示的な実施形態では、一体型コア本体100は、複数のコア脚部を有する(ここでは3つが示されている)。各コア脚部は第1および第2の端部を有し、その各々は複数の巻線の中心軸の方向に延在し、複数の巻線に電流が流れるときに複数のコア脚部内に磁束が生じるように、その周りに複数の巻線が巻回される。
【0017】
図1Cは、図1Aおよび図1Bからの一体型コア本体100の下部を示す。この例示的な実施形態では、脚部112、114、および116は、脚部112、114、および116の各々の周りの巻線からなる3つの変圧器のための支持を提供し、そのための磁気コアとして機能する。変圧器戻り脚部118の一部もまた示されている。同様のモジュールは、3つのインダクタのための支持を提供し、そのための磁気コアとして機能するために使用され、製造中にこのモジュールの上に配置される。
【0018】
図2Aおよび図2Bは、三相磁気アセンブリ200を示す。この例示的な実施形態では、一体型コア本体210には、3つの変圧器212、214、および216、ならびに3つのインダクタ202、204、および206が装着されている。図2Bは、インダクタ戻り脚部222および変圧器戻り脚部220も示す。
【0019】
図3Aは、三相磁気アセンブリ300を示す。この例示的な実施形態では、一体型コア本体310には、3つの変圧器312、314、および316、ならびに3つのインダクタ302、304、および306が装着されている。ここでは、一次巻線出口331~336は、磁気アセンブリ300の上部に立ち上がるワイヤとして示されており、二次巻線出口321~326は、磁気アセンブリ300の底部に流れる導体として示されている。
【0020】
この例示的な実施形態では、一次巻線出口331、333、および335は一次巻線の極性を示すドットポイントであり、二次巻線出口321、323、および325は二次巻線の極性を示すドットポイントである。
【0021】
図3Bは、三相磁気アセンブリ内の例示的な巻線を示す。この例示的な実施形態では、一体型コア本体310の周りにインダクタ350および対応する(同じ相の)変圧器340の内側/一次コアを構築するために、単一の巻線が使用される。インダクタ350および変圧器340は異なるコア脚部上で互いにオフセットされていることに留意されたい。これは、一体型コア本体310内の磁束を低減するために行われ、図4および図5を参照して以下でより詳細に論じられる。
【0022】
図4は、三相磁気アセンブリ470を組み込んだ例示的な電力変換器回路を示す。この例示的な実施形態は、三相磁気アセンブリ470を組み込んだ三相ハーフブリッジLLC回路の一部を示す。三相磁気アセンブリ470は、フルブリッジ構成、他のハーフブリッジ構成などのような多くの他の回路でも使用され得るため、これは本発明の単なる一使用例である。
【0023】
電力変換器回路のこの例示的な部分は、入力Vi+450およびVi-452、入力コンデンサCin424、ならびに入力段N-FET431~436を含む。電力変換器はまた、インダクタL1 401、L2 402、およびL3 403ならびに変圧器T1 411、T2 412、およびT3 413を組み込んだ三相磁気アセンブリ470も含む。出力段は、N-FET437~448、出力コンデンサCo425、ならびに出力Vo+460およびVo-462を含む。例示的な電力変換器回路はまた、コンデンサC1 421、C2 422、およびC3 423も含む。この例示的な回路はN-FETを使用するが、別の例示的な回路は、P-FET、もしくはSiC FETまたはGaN FETなどのワイドバンドギャップ部品を使用してもよい。
【0024】
この例示的な回路では、インダクタL1 401は第1相インダクタであり、変圧器T1 411は第1相変圧器である。インダクタL2 402は第2相インダクタであり、変圧器T2 412は第2相変圧器である。インダクタL3 403は第3相インダクタであり、変圧器T3 413は第3相変圧器である。典型的な設計では、これらの位相は、互いに120度の位相である。
【0025】
インダクタおよび変圧器は大電流をサポートするので、各々が、コア内の磁束からのある程度のコア損失に寄与する。このコア損失を最小限に抑えるために、3つのインダクタおよび3つの変圧器は全て一緒に三相磁気アセンブリ470に組み込まれる。図1B図1C、および図2Bに示されるように、3つのインダクタに共通のインダクタ戻り脚部が提供され、3つの変圧器に共通の変圧器戻り脚部が提供される。単一の戻り脚部内の3つの位相からの磁束は、位相が120度分離されているため、互いに相殺するように作用し、こうして三相磁気アセンブリ470内のコア損失を低減する。
【0026】
例示的な実施形態では、3つのインダクタの各々からの磁束は正弦状であり、3つのインダクタからの合成磁束がそれ自体を相殺して実質的にゼロにするように、120度オフセットされる。各変圧器巻線の磁束は三角形であり、3つの変圧器相からの合成磁束が互いに相殺するように作用し、変圧器戻り脚部内の磁束を各々個別の変圧器脚部の磁束の1/3に低減するように、120度オフセットされる。この相殺は、図7に示されており、以下で詳細に論じられる。
【0027】
図5Aは、三相磁気アセンブリを組み込んだ例示的な電源回路内のインダクタ磁束と変圧器磁束との間の関係500を示す。図4に示されるような例示的な実施形態では、インダクタ510内の磁束は正弦波形状を有し、変圧器512内の磁束は三角形状を有する。変圧器の磁化電流は、ここで示されるように、対応するインダクタ内の磁化電流よりも遅い。2つの電流は、φ514の位相オフセットだけオフセットされる。
【0028】
この関係は、3つの位相の各々に該当する。各位相は120度または2π/3だけオフセットされるので、インダクタの各々および変圧器の各々の磁束について相図を構築することができる。図5Bは、このような相図を示す。
【0029】
図5Bは、三相磁気アセンブリを組み込んだ例示的な電源回路内のインダクタおよび変圧器の各々の中の磁束間の相関係を示す相図520である。この例では、第1相インダクタL1磁束531が0位相オフセットでの基準として示されており、残りのインダクタおよび変圧器からの残りの磁束成分の各々は、この位相ベクトルに対して示されている。第1相変圧器T1磁束541は、第1相インダクタL1磁束531からπ/2-φだけオフセットされている。第2相インダクタL2磁束532、第2相変圧器T2磁束542、第3相インダクタL3磁束533、および第3相変圧器T3磁束543もまた、相図520に示されている。
【0030】
第1相インダクタL1および第2相変圧器T2の磁束は、位相から180度またはπ近くずれていることに留意されたい。これは、第2相インダクタL2および第3相変圧器T3、ならびに第3相インダクタL3および第1相変圧器T1にも該当する。様々なインダクタと変圧器との間のこの相関関係のため、対向するペアのデバイスが中心軸を共有するコア脚部を有する場合、このペアの磁束は、2つのデバイス間のコアの部分内で本質的に相殺され、コア損失を大幅に低下させる。
【0031】
デバイスのこのペアリングは、図6に示されており、以下で詳細に論じられる。このペアリングを実現するために、図3Bに示されるような巻線構成が使用される。
【0032】
図6は、三相磁気アセンブリ600を示す。この例示的な実施形態では、一体型コア本体310は、インダクタ302、304、および306を磁気アセンブリ600のインダクタ部分610に組み込んでいる。一体型コア本体310はまた、変圧器312、314、および316も磁気アセンブリ600の変圧器部分に組み込んでいる。
【0033】
ここで、第1相インダクタL1 302は、第2相変圧器T2 314と垂直に整列され、コア脚部を共有する。第2相インダクタL2 304は、第3相変圧器T3 316と垂直に整列され、コア脚部を共有する。第3相インダクタL3 306は、第1相変圧器T1 312と垂直に整列され、コア脚部を共有する。このアセンブリは、図5Bに関連して上記で論じられたペアリングを実現し、様々な部品の磁束が、インダクタ部分610と変圧器部分620との間の一体型コア本体310の部分において互いに大きく相殺することを可能にする。
【0034】
インダクタ302、304、および306内の電流は、変圧器312、314、および316内の電流とは逆方向であり、それぞれの磁束がインダクタ部分610と変圧器部分620との間の一体型コア本体310の部分において互いに相殺することを可能にすることに、留意されたい。
【0035】
図7は、三相磁気アセンブリを組み込んだ例示的な電源回路内の変圧器および共通戻り脚部の各々の中の磁束を示す。図4に関連して上記で論じられたように、各変圧器は、互いに120度オフセットされた三角波形を有する磁束を有する。ここで、第1相変圧器T1内の磁束がグラフ710に示され、第2相変圧器T2内の磁束がグラフ720に示され、第3相変圧器T3内の磁束がグラフ730に示されている。
【0036】
これら3つの磁束が共通戻り脚部内で結合されるとき、合成磁束の振幅は、個別の変圧器の3倍の周波数を有する各々個別の変圧器の振幅の1/3である。3つの変圧器からの磁束を単一の変圧器戻り脚部に結合することにより、磁束の振幅は2/3減少し、アセンブリ内のコア損失を直接低減する。
【0037】
含まれる説明および図面は、最良の形態を作成および使用する方法を当業者に教示するための特定の実施形態を示す。発明の原理を教示する目的のため、いくつかの従来の態様は、簡素化または省略されている。当業者は、本発明の範囲に含まれる実施形態からの変形例を理解するだろう。当業者はまた、上記で記載された特徴が、複数の実施形態を形成するために様々な方法で組み合わされ得ることを、理解するだろう。結果として、本発明は、上記で記載された特定の実施形態に限定されるものではなく、請求項およびそれらの同等物によってのみ限定される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7