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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】医療画像診断のためのX線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20230614BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61B6/14 310
A61B6/03 331
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021163924
(22)【出願日】2021-10-05
(62)【分割の表示】P 2020027146の分割
【原出願日】2015-06-26
(65)【公開番号】P2022000252
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】20145617
(32)【優先日】2014-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】509353665
【氏名又は名称】パロデックス グループ オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】エサ スーロネン
(72)【発明者】
【氏名】サミ バルティアイネン
(72)【発明者】
【氏名】アリ アンティカイネン
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-138865(JP,A)
【文献】米国特許第06466641(US,B1)
【文献】米国特許第9643118(US,B2)
【文献】米国特許第11058379(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療画像診断用のX線撮影装置(200)であって、
柱(240)と、
第1X線源(224)及びX線撮影検出器装置(226)を備える回転部(220)と、
前記回転部(220)を支持するための上側シェルフ(250)と、
パノラマ及び/又はコンピュータ断層撮影位置に撮影対象の患者(201)を配置するための下側シェルフ(242)と、
取り付けられた第2X線源(265)を有する第1アーム(261)と、を備え、
前記第1X線源(224)及び前記検出器装置(226)は、前記回転部(220)の回転軸線(222)周りの少なくとも回転移動(R)によって画像を提供するように構成されており、
前記上側シェルフ(250)は、前記回転部(220)が直線移動(L)によって該上側シェルフ(250)に対して移動することを可能にするように構成され、前記上側シェルフ(250)は、前記上側シェルフ(250)の前記柱(240)の周りでの回動移動(P)を可能にするためのピボットジョイント(252)で前記柱(240)に取り付けられるように構成され、
前記回転部(220)は、前記第2X線源(265)及び前記検出器装置(226)によってワンショットセファロ画像を提供するために前記回転移動、前記直線移動及び前記回動移動(R,L,P)のうちの少なくとも一つによって位置決めされるように構成され、前記検出器装置(226)は、ワンショットセファロ撮影において使用されるように構成された検出器を備えるように、前記ワンショットセファロ撮影の位置に撮影対象の患者(201)を配置するためのセファロヘッド(262)を有する第2アーム(260)を更に備える、X線撮影装置。
【請求項2】
前記回転部(220)は、パノラマ及び/又はコンピュータ断層撮影のために前記下側シェルフ(242)の上方に位置決めされるように構成された、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記回転部(220)は、パノラマ及び/又はコンピュータ断層撮影のために前記回転移動、前記直線移動及び回動移動(R,L,P)のうちの少なくとも一つによって位置決めされる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1X線源(224)及び前記検出器装置(226)は共に、パノラマ画像及びコンピュータ断層撮影画像の少なくとも一方を提供するように構成された、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2アーム(260)に取り付けられたセファロヘッド(262)は、前記ワンショットセファロ撮影のために撮影対象の患者(201)を支持するためのセファロ用患者支持体(268,269)を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記回転部(220)は、前記ワンショットセファロ撮影のために少なくとも前記回転移動(P)によって前記セファロヘッド(262)の上方に位置決めされる、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記回転部(220)は、前記ワンショットセファロ撮影において前記第2X線源(265)及び前記検出器装置(226)とともに使用するためにX線ビームを平行にするように構成されたセファロコリメータ(266)を更に備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記セファロコリメータ(266)が前記回転部(220)の側面に取り付けられている、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記回転部(220)は、前記検出器装置(226)を回転させる検出器モータと、前記ワンショットセファロ撮影において前記第2X線源(265)及び前記検出器装置(226)とともに使用されるセファロコリメータ(266)の高さを調整するコリメータモータとを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載のX線撮影装置(200)のための医療用撮影方法であって、
前記ワンショットセファロ撮影のために、前記検出器装置(226)を備える前記回転部(220)を、前記回転移動、前記直線移動及び前記回動移動(R,L,P)のうちの少なくとも一つによって位置決めする段階と、
前記ワンショットセファロ画像を提供するために、前記第2X線源(265)と、前記検出器装置(226)に属する前記検出器とを使用する段階とを含む、医療用撮影方法。
【請求項11】
コンピュータにおいて実行されるときに請求項10に記載の医療用撮影方法の少なくとも段階をコンピュータによって実行させる命令を含む、コンピュータプログラム(289)。
【請求項12】
格納された請求項11に記載のコンピュータプログラム(289)を含む、有形不揮発性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、概ね医療画像診断のためのX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1a~1bは、典型的にパノラマ撮影、セファロ撮影(頭部規格撮影)及び円錐ビームコンピュータ断層撮影(CBCT)モードのために患者の高さに装置100の高さを適合させるための上下移動Zを含む柱140を有する現代のデジタル式パノラマ/セファロ/CBCT撮影兼用装置100を表す。
【0003】
装置100の上側シェルフ150は、例えば固定のジョイントを用いて柱140に取り付けられる。上側シェルフ150は回転部120を支持する。
【0004】
回転部120、いわゆるガントリーは、典型的には、一方の端にX線源124を組み込みかつ他方の端にX線撮影検出器装置126を組み込むC字形を有する。回転部120は、回転軸線122の周りを典型的には最高400°まで回転Rする。
【0005】
X線源124は3つの撮影モード全てに共通であり、X線照射野限定器128がX線源124の前面に取り付けられる。
【0006】
検出器装置126は1台又は2台の検出器から構成できる。1台検出器装置126は、パノラマ撮影も可能にする1台の頭部撮影検出器、1台のパノラマ/CBCT/セファロ撮影兼用検出器、又はセファロ撮影(頭部規格撮影)に使用できるように構成された1台のワンショット検出器を備えることができる。2台検出器の場合、検出器装置126は、パノラマ撮影も可能にする1台の頭部撮影検出器とCBCT検出器とを備えることができる。検出器を相互に取り付けるため及びX線ビーム内に配置される検出器を変更するためにはいくつかの方法がある。
【0007】
撮影中に、照射野限定器128は、X線ビームが選択された撮影モード、選択された画像サイズ及び関係する検出器のサイズのニーズに応じて、X線ビームのサイズ及び形状を制御する。
【0008】
回転軸線122は、上側シェルフ150に対して回転部120を固定し、典型的には、撮影中に上側シェルフ150に対する回転軸線従って回転部120の回転中心を上側シェルフ150に平行のY移動に沿って調節できるように、少なくとも1つの直線移動部に取り付けられる。更に、回転軸線122を直線移動X、Yによって画定された平面内に位置決めできるように、第1の直線移動に直交する第2の直線X移動が可能である。
【0009】
更に、回転部120に対する回転軸線122の固定点を移動する第3のN移動も可能である。X線ビームNAに沿った回転軸線122の移動を使用して、パノラマ及びCBCT撮影モード内で倍率を変更できる。X線ビームNPに直交して回転軸線を移動することによって、CBCT撮影においてオフセット走査と対称形走査との間で変更でき、視野(FOV)に影響を与えることができる。
【0010】
頭部撮影アーム160を使用して、セファロヘッド162を装置100に取り付ける。前記ヘッドは、典型的には、一方の端に専用X線撮影検出器164を及び他方の端に二次コリメータ166を有する。これらの2つの主要部品164、166の間には、セファロ用患者位置決め支持部品168、169が吊り下がる。支持部品は、イヤーロッド168及び鼻(ナジオン)支持体169から成る。患者の頭部は、イヤーロッド168によって外耳道の外側部から及び対応する支持体169を用いて鼻から支持される。
【0011】
セファロX線検出器164は、検出器164をX線ビームに対して直交して移動させるCd移動でヘッド162に取り付けられる。又は、検出器164が充分に大きい場合、ワンショット法によるセファロ撮影(頭部規格撮影)を実施できる。
【0012】
セファロ二次コリメータ166も、Cd移動に平行でありX線ビームに直交するCs移動でヘッド162に取り付けられる。
【0013】
支持部品168、169は、支持部品が2つの主要撮影位置即ち側面投影及び前後(PA)投影位置へ回転できるように、ヘッド162に取り付けられる。側面投影は、基本的に頭蓋の側面図でありPA投影は前後図である。
【0014】
パノラマ及びCBCT撮影のために、患者は、典型的には、下側シェルフ142によって及びおそらくこめかみ支持体によっても支持される。支持点は、典型的には、患者の顎先端及び額又はこめかみである。
【0015】
パノラマ撮影において、装置100は、走査時に回転R及び直線X、Y又はX及びYの両方の移動を用いてパノラマ画像を得る。更に、使用されるセンサ技術次第で、画像は、検出器の時間差積分(TDI)又はフルフレーム読出しモードを用いてクロックアウト(clock out)される。パノラマ(シャープ)レイヤは、パノラマ検出器の移動速度によってまたTDIの場合読出し速度によって規定される。フルフレーム検出器を使用する場合、レイヤの最終形状は、走査後コンピュータで計算される。回転角度は、典型的には約270度である。
【0016】
装置100において、CBCT撮影は、典型的には、回転移動R及びフルフレームモードでのCBCTの読出しを使用して実現される。従って、注目画像領域(ROI)の投影X線画像は、典型的には、ROIの中心と回転移動Rの中心が一致するように生成される。有効回転角度(開口)は、典型的には装置100次第で約180~360度である。
【0017】
セファロ撮影において、患者は、装置100の画像計測ヘッド162に配置された患者位置決め構造体168、169で支持される。X線ビームは、回転Rと直線Y移動の組合せで患者の頭部を走査するように配置される。ビームは、その後二次コリメータ166によって平行にされ、最終的に頭部撮影検出器164によって捕捉される。コリメータ及び検出器は両方とも、ビームと同期的に移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の1つの目的は、既知のパノラマ/セファロ/コンピュータ断層撮影(CT)兼用装置の欠点を排除して、より安価でよりコンパクトな医療画像診断用X線撮影装置を提供することである。
【0019】
本発明の1つの目的は、添付の特許請求の範囲の独立請求項に記載されたX線撮影装置、X線撮影装置を制御する方法、コンピュータプログラム及び有形不揮発性コンピュータ可読媒体を提供することによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0020】
1つの医療画像診断用のX線撮影装置は、柱と、第1X線源及びX線撮影検出器装置を備える回転部と、回転部を支持するための上側シェルフと、取り付けられた第2X線源を有するアームと、を備える。第1X線源及び検出器装置は、回転部の回転軸線周りの少なくとも回転移動によって画像を提供するように構成されている。上側シェルフは、回転部が直線移動によって上側シェルフに対して移動することを可能にするとともに上側シェルフの柱の周りでの回動移動を可能にするためのピボットジョイントで柱に取り付けられるように構成されている。回転部は、第2X線源及び検出器装置によってワンショットセファロ画像を提供するために回転移動、直線移動及び回動移動のうちの少なくとも一つによって位置決めされるように構成され、検出器装置は、ワンショットセファロ撮影において使用されるように構成された検出器を備える。
【0021】
用語の「医療画像診断」は、例えば、歯科、口腔外、口腔内、顎顔面又は耳、鼻及び喉画像診断を意味する。
【0022】
上記X線撮影装置のための1つの医療用撮影方法は、ワンショットセファロ撮影のために、検出器装置を備える回転部を、回転移動、直線移動及び回動移動のうちの少なくとも一つによって位置決めする段階を含む。上記X線撮影装置のための1つの医療用撮影方法は、ワンショットセファロ画像を提供するために、第2X線源と、検出器装置に属する検出器とを使用する段階を更に含む。
【0023】
1つのコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムが上記X線撮影装置に従ってもよいコンピュータにおいて実行されるときに上記医療用撮影方法の少なくとも段階をコンピュータによって実行させる命令を含む。
【0024】
1つの形不揮発性コンピュータ可読媒体は、上記コンピュータプログラムによる格納されたコンピュータプログラムを含む。
【0025】
本発明の更なる実施形態は従属請求項において規定される。
【0026】
従属請求項において言及する特徴は、特に指示しない限り、自由に相互に組合せ可能である。
【0027】
特許請求項において又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられる場合を除いて、下記の定義が適用されるものとする。
【0028】
動詞「備える(comprise)」は、本明細書において、言及されない特徴の存在を排除も要求もしない開放制限として使用される。動詞の含む(include)及び持つ(have/has)は、備える(comprise)として定義される。
【0029】
本明細書において使用する場合、「1つ(a、an)」及び「少なくとも1つ(at least one)」は、1つ又はそれ以上として定義され、「複数(plurality)」は2つ又はそれ以上として定義される。本明細書において使用する場合、「別の(another)」は、少なくとも第2又はそれ以上のものとして定義される。
【0030】
「又は(or)」は、文脈上明白に他の意味を持つ場合を除いて、「及び/又は」を含む意味で通常は使用される。
【0031】
本発明の実施形態については、下記の添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1a】既存のデジタル式パノラマ/セファロ/CT兼用装置の正面図である。
図1b】既存のデジタル式パノラマ/セファロ/CT兼用装置の平面図である。
図2a】医療画像診断用のX線撮影装置、並びにその主要部及び移動を表す図である。
図2b】撮影中のパノラマ/CT撮影位置にあるX線撮影装置及び患者を表す図である。
図2c】撮影中のセファロ撮影位置にあるX線撮影装置及び患者を表す図である。
図2d】セファロ撮影に使用されるセファロ撮影コリメータを表す図である。
図2e】X線撮影装置の機能要素を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図2aは、医療画像診断において、例えば口腔外歯科画像診断において使用できる、X線撮影装置200の主要部を表す図である。
【0034】
装置200は、回転部(ガントリー)220を備え、回転部は、第1X線源224を備えるX線装置を備える。X線撮影検出器装置(ヘッド)226は、回転部220に取り付けられる。検出器装置226の位置は調節可能であり、それは例えば回転可能又は直線移動可能である。X線源224及び/又は検出器装置226は、少なくとも回転部220の回転軸線222の周りでの回転移動Rによって、例えばパノラマ、CT又はセファロ画像を提供する。回転部220のR運動は、回転軸線222の周りで例えば最高400度の回転である。
【0035】
回転部220は、回転手段(図示せず)によって回転部220を回転させるように構成される回転モーターを備える。又は、回転モーターは、装置200の上側シェルフ250内に配置され得る。
【0036】
回転部220は、例えばC字形を有し、X線源224は、回転部の一方の端に在る。X線源224は、2つの撮影モード即ちパノラマ撮影及びCT撮影、例えばCBCT撮影(この場合X線ビームは円錐形ビームである)に共通である。別のCT撮影法において、X線ビームは、ピラミッド形ビーム、半月形円錐ビーム又はその他の形状のビームが可能である。
【0037】
更に、X線源装置は、X線源224用の照射野限定器228と、前記照射野限定器228を調節するように構成された照射野限定モーターとを備える。撮影中に、照射野限定器228は、選択された撮影プロトコル、選択された画像サイズ及び関係する検出器のサイズのニーズに応じて、X線ビームのサイズ及び形状を制御する。
【0038】
回転部220の他方の端に検出器装置226があり、検出器装置は、例えば1台又は2台のX線検出器(図示せず)を備えることができる。1台検出器装置226は、1台のパノラマ検出器、パノラマ撮影も可能にする1台の頭部撮影検出器、1台のパノラマ/CT兼用検出器、1台のパノラマ/CT/セファロ兼用検出器、又はパノラマ/CT撮影及びワンショットセファロ撮影(頭部規格撮影)において使用されるように構成された1台の検出器を備えることができる。1台検出器装置226は、1台検出器装置226の検出器が、使用されるX線源224、265に好適に直交して位置決めされ得るように、回転部220に対して検出器装置を回転させることによって、及び/又はパノラマ/CT撮影において検出器とX線源224との間の距離を調節するために回転部220に対して検出器装置を直線移動することによって、調節可能であり得る。
【0039】
2台検出器の場合、検出器装置226は、1台のパノラマ検出器と1台のCT検出器、又はパノラマ撮影も可能にする1台の頭部撮影検出器とCT検出器を備えることができる。2台検出器装置226において、検出器は、例えばパノラマ撮影において連続的に配置される。この場合、パノラマ検出器又は頭部撮影検出器は、撮影モードのための倍率を整えるための前方検出器として配置され、CT検出器は後方検出器として配置される。検出器の交換は、CT撮影において後方検出器を、又はセファロ撮影(頭部規格撮影)において前方検出器を使用する必要があるとき、前方検出器が、移動手段、例えばレール及びレールに沿って移動して回転するように構成された回転体によってわきに退いて、前方検出器が例えば後方検出器の隣へ滑動するように配置される。又は、前方検出器は、セファロ撮影において後方検出器に対して別の位置へ移動され得る。セファロ撮影における前方検出器の場所は、交換移動及び使用されるX線源265に対するR移動及びL移動によって前方検出器がどのように動かされるかによって決まる。頭部撮影検出器は、使用されるX線源265に対して好適には直交して位置決めされ得る。前方検出器は、前方検出器が前方位置に戻る必要があるとき、同様に滑動によって復帰する。
【0040】
回転部220は、検出器装置226がパノラマ撮影及びCT撮影のために別個の検出器を備える場合、移動手段によって少なくとも1台の検出器を移動するように構成された検出器モーターを備えることができる。
【0041】
更に、装置200は、装置200及び回転部220の高さZを適合させるための柱240を備える。柱240は、パノラマ、セファロ又はCT撮影モードのために回転部220の高さを患者201の高さに適合させるために上下移動Zを与えるために、例えば高さモーターと前記高さモーターによって駆動されるように構成された入れ子式手段又は釣り合い重り手段とを備える高さ適合化手段(図示せず)を備える。高さ適合化手段は、例えば入れ子式移動又は釣り合い重り移動としてZ移動を実現できる。
【0042】
下側シェルフ242は柱240に取り付けられ、回転部220は、パノラマ及びCT撮影中に下側シェルフ242の上方に位置決めされるように構成される。下側シェルフ242は、パノラマ及び/又はCT撮影のために患者201を位置決めするため及び撮影中例えば患者201の顎の先端から患者201を支持するために使用される。
【0043】
または、装置200が座位の患者201用の位置決めシステム(図示せず)を備える場合、例えば、椅子、下側シェルフ242及び柱240の少なくとも1つの高さをZ方向に適合させることによって、Z移動が実施される。
【0044】
下側シェルフ242は、パノラマ/CT撮影位置において例えば患者201の額及び/又はこめかみを支持する頭部支持体(図示せず)を備えることもできる。
【0045】
装置200は、回転部220を支持する前記上側シェルフ250を備える。上側シェルフ250は、例えばピボットジョイント252によって例えば柱240の上端部に取り付けられる。ピボットジョイント252は、回転部220が例えば下側シェルフ242の上方に在るように、下側シェルフ242に対する上側シェルフ250の柱240周りの回動Pを可能にする。
【0046】
上側シェルフ250は回動手段(図示せず)を備え、前記回動手段は、例えば、ピボットジョイント252によって柱240の周りで上側シェルフ250を回動させるように構成された回動モーターを備える。
【0047】
上側シェルフ250は、例えば回転部220の回転手段を支持するとともに回転部220が回転軸線222の周りで回転できるように構成されたリニアコンベアのような直線移動手段(図示せず)と、上側シェルフ250において前記リニアコンベアを案内するように構成された少なくとも1つのレール及び/又は軌道と、少なくとも1つの前記レール及び上側シェルフ250に沿ってリニアコンベアを駆動するように構成されたリニアモーターとを備える。直線移動手段は、回転部220及び回転手段が直線移動Lによって上側シェルフ250に対して移動することを可能にする。上側シェルフ250の直線移動手段は、上側シェルフ250の平面におけるL移動が直直線移動であるように設けられることができる。例えば、直線移動は上側シェルフ250に平行であるか、又は平行方向に対して特定の角度を成す。又は、上側シェルフ250の平面におけるL移動は、例えば湾曲経路を持つ非直直線移動である。
【0048】
回転手段は、回転部220を上側シェルフ250に取り付ける。回転手段は、軸線222、従って上側シェルフ250に対する回転中心をL移動に沿って調節できるように、少なくとも1つのL移動方向に移動できる。従って、軸線222は、撮影中に上側シェルフ250のP移動及び回転部220のL移動によって形成される平面内に位置決めされ得る。
【0049】
撮影中の回転部220のL移動及びP移動は、装置200における撮影モード及び撮影手段の数を増大する。これは、例えば照射中における装置200の運動の増大した数を利用できるとき、パノラマ及びCT撮影における回転部220の仮想回転軸線(中心)の使用などである。
【0050】
仮想回転軸線は、例えばパノラマ撮影モードにおいて定倍率の使用を可能にする。
【0051】
機械的回転軸線(中心)222は、P移動によって下側シェルフ242及び患者201の中心線243から偏る。図2bにおいて表される偏差Dは、走査(照射)プロセス開始時において最大である。回転装置220が仮想回転軸線の周りでR、L及びP移動によって回転し始めるとき、回転軸線222は中心線243へ移動して、偏差Dは走査の中央において最小、即ち存在しない。次に、偏差Dは、回転装置220が走査を続けるとき反対方向に増大し始め、走査の終了時に再びその最大値に達する。偏差Dのこの移動は、倍率が走査全体を通じて同じ、即ち一定のままであることを可能にする。
【0052】
更に、仮想回転軸線は、CT撮影モードにおいて、対称形走査ジオメトリとオフセット走査ジオメトリとの間での柔軟な選択を可能にする。
【0053】
対称形走査プロセスにおいて、仮想回転軸線は、X線ビームの中心線に位置決めされる。走査時に、回転軸線222及び回転装置220は、R、L及びP移動によって仮想回転軸線の周りで例えば約180度移動し、それは視野(FOV)の中央にある。
【0054】
対称形走査プロセスより大きい視野(FOV)を与えるオフセット走査プロセスにおいて、仮想回転軸線は、X線ビームの一方の端に位置決めされる。走査中に、回転軸線222及び回転装置220は、R、L及びP移動によって例えば仮想回転軸線の周りで約180度移動する。その後、仮想回転軸線は、X線ビームの他方の端に位置決めされ、回転軸線222及び回転装置220は、R、L及びP移動によって仮想回転軸線及び視野(FOV)の周りで反対方向に例えば約180度移動して、充分な量の画像データを収集する。代りに、仮想回転軸線が走査中同じ位置に留まって、回転軸線222及び回転装置220が、R、L及びP移動によって仮想回転軸線の周りで一方向に例えば約360度移動してもよい。
【0055】
更に、より軽量でより薄い上側シェルフ250を設計することができ、その場合、装置200は、上側シェルフ250を広げる直線X移動及び回転部220を広げるNP移動を使用する代わりにP移動を使用するとき、より小さな設置面積を有する。
【0056】
回転部220の一方の端のX線源224は、典型的には、他方の端の検出器装置226より重量が大きい。その結果、回転部220の重心の移動は、直線移動手段を備える回転部220のジョイント構成体(図示せず)に対する荷重の変化を生じる可能性があるので、回転部220は、撮影中にぐらついて画像品質を低下させることがある。
【0057】
このような問題を排除するために、上側シェルフ250は制御配列体(図示せず)を備え、前記制御配列体は、軸線222が実質的に回転部220の重心を通過するように、上側シェルフ250に対する回転部220のR移動を可能にし、回転部220の重心は、撮影中に回転部220のジョイント構成体の中立軸に留まる。回転部220の仮想回転軸線は、走査時にR、L及びP移動を同期化することによって得られる。
【0058】
制御配列体は、ジョイント構成体へ与えられるトルクを取り除き、ぐらつきによって生じる偽信号を取り除くことによって画像品質を向上させる。
【0059】
更に、制御配列体は、回転部220及びそのジョイント構成体のより軽量でより安価でよりほっそりした構造を生み出すことを可能にする。
【0060】
更に、装置200は、柱240の一方の側において特定の第1長さを有する第1頭部撮影アーム260を備える。アーム260は、柱240からの第1長さに合致する特定の第1距離でセファロヘッド(装置)262を装置200に取り付ける。
【0061】
伝統的セファロ装置よりかなり単純な構造を有するセファロヘッド(支持体)262は、セファロ用患者支持手段268、269、例えば撮影対象の患者201を支持するための2つのイヤーロッド268及び鼻支持体269を備える。患者201の頭部は、イヤーロッド268によって外耳道の外側部分から及び鼻支持体269を用いて鼻から支持される。イヤーロッド268及び鼻支持体269は、例えば2つの主要撮影位置、即ち側面及びPA投影位置へ回転できるように、セファロヘッド262に取り付けられ得る。側面投影は、基本的に側面図であり、PA投影は患者201の頭蓋の後ろから前への図である。
【0062】
イヤーロッド268は、ダウン位置とアップ位置とを有する傾斜可能又は回転可能イヤーロッドであることが可能であり、前記ダウン位置ではイヤーロッド268が患者201を支持し、前記アップ位置では、患者をセファロ撮影位置に配置することが可能であるか又は患者がセファロ撮影位置から離れることができる。傾斜されたか又は回転されてアップ位置にあるイヤーロッド268は患者201に明白な通路を与える。
【0063】
更に、装置200は、柱240の他方の側に、特定の第2長さを有する第2頭部撮影アーム261を備える。アーム261は、セファロ撮影(頭部規格撮影)に使用される第2X線源265を、柱240から第2長さに合致する第2距離で装置200に取り付ける。X線源265は、セファロ撮影のための照射野限定器267を備え、照射野限定器267はX線源265に取り付けられる。X線源265は、走査移動Sを実施するように構成された回転手段263によって回転軸線264の周りで回転するように構成され得る。X線源265の軸線264は、それが焦点を通過するようにX線源の焦点と同一線上にある。アーム261又はX線源265は、軸線264の周りでX線源265を回転させるように構成される回転モーターを備え、軸線264はX線源265の焦点と一致する。
【0064】
アーム260、261は、柱240に取り付けられた別個のアームであるか、又は単一アーム260、261の一方の端にセファロヘッド262を備えかつ他方の端に照射野限定器267を持つX線源265を備える1本のアーム260、261を使用することが可能である。
【0065】
図2dは、回転部220に取り付けられた検出器装置226の頭部撮影検出器、兼用検出器又はワンショット検出器がセファロ撮影にどのように使用されるかを表す。
【0066】
更に、図2dは、回転部220が、セファロ撮影に使用されるセファロ(二次)コリメータ266を備えることができることを表す。セファロコリメータ266は、例えば回転部220の側面に取り付けられる。
【0067】
更に、回転部220は、セファロ撮影のために検出器装置226を回転するように構成された検出器モーターと、セファロコリメータ266の位置(高さ)をZ方向に調節するように構成されたコリメータモーターとを備えることができる。代りに、照射野限定モーター又はコリメータモーターが照射野限定器228及びセファロコリメータ266の両方を調節するように構成されることが可能である。
【0068】
回転部220は、検出器装置226及びセファロコリメータ266がセファロ撮影のために位置決めされるように、例えばP、R及びL移動によってセファロヘッド262の上方で駆動される。
【0069】
X線源265は、それが例えば回転部220における検出器装置226及びセファロコリメータ266と一緒にS移動によって軸線264の周りで回転するとき、位置決めされた患者201からのセファロ画像を提供するように構成されることができ、また検出器装置226及びセファロコリメータ266は、例えば回転部220のP、R及びL移動の少なくとも1つによって移動するように構成される。代りに、X線ビームの走査移動、例えば直線S移動が、X線源265の照射野限定器267を移動することによって実施され得る。
【0070】
ワンショット検出器が使用される場合、検出器装置226及びセファロコリメータ266は、P、R及びL移動の少なくとも1つによって位置決めされるが、画像は、これらの移動及びS移動無しで取得できる。
【0071】
従って、走査移動が例えばP、R、L及びS移動で実施されるとき、検出器装置164用の専用ホルダまたはCs移動、及びセファロコリメータ166のCd移動の必要性はない。
【0072】
アーム260、261は、イヤーロッド268及び鼻支持体269を持つセファロヘッド262のX線源265に対する高さが固定されるように配置され得る。
【0073】
但し、患者201の解剖学的構造は変化するので、固定された高さは問題を生じる可能性がある。即ち、患者201の肩に比較して外耳道口が位置する垂直距離は、患者201によって著しく異なる。従って、脊椎上部しか示さない得られたセファロ画像では患者の位置は低すぎ、患者201の肩が検出器装置226に触れる画像では患者201の位置は高く、これは、特に走査において問題である。更に、好ましいセファロ画像ジオメトリは、焦点及びイヤーロッド268の先端が同じ(水平)軸線にあることを必要とする。
【0074】
この問題を排除するために、アーム260、262を互に対する固定された高さに維持する一方で、可変長イヤーロッド268が使用され得る。
【0075】
その代わりに又はこれに加えて、上記の問題を排除するために、装置200は、一方の端においてセファロヘッド262を支持しかつ他方の端においてX線源265を支持するアーム260、261の高さを柱240に対して別個に調節するように構成されるセファロ高さ調節手段(図示せず)を備えることができる。
【0076】
操作者が上下Zc移動によってアーム260、261の高さを調節したとき、焦点は、イヤーロッド268の先端を自動的に追跡するので、ジオメトリ(イヤーロッド先端と焦点間の線)はそのまま残る。更に、患者201の両側の検出器装置226及びセファロコリメータ266は、柱240からその高さを得るので、イヤーロッド268及び患者201に対して調節前とは異なる高さにある。
【0077】
セファロ高さ調節手段は、操作者(使用者)がジオメトリを損なうことなく患者201の高さを調節できるようにすることによって、患者201の所与の解剖学的構造に照射エリアを適合させる道を与える。
【0078】
装置200の移動は単純である、というのも、伝統的なX移動、及びセファロヘッド262における検出器装置226及び二次コリメータ266のCd及びCs移動が、代りにP移動を使用することによって置き換えられるからである。移動は、上側シェルフ250のL移動及びP移動を使用して実施される。
【0079】
更に、装置200の構造は、P移動を使用する場合、より単純かつ安価になる。なぜなら、セファロ撮影は、1台の「非取外し式」検出器装置226のみを使用することによって任意選択的に実現できるので、撮影モードをパノラマ/CTモードからセファロモードに変更するときに、回転部220のホルダから検出器装置226を取り外してセファロヘッド262のホルダへ検出器装置を引き離す必要がないと、検出器装置226の破損が回避されるからである。パノラマ撮影及びセファロ撮影の両方に同じ検出器を使用することが可能であるように、検出器装置226におけるパノラマ撮影用の検出器は、パノラマ撮影位置からセファロ撮影位置へ回転できる。
【0080】
更に、装置200の構造は、例えばパノラマ/CTモードからセファロモードへの変更、即ち、検出器装置226を一方のホルダから他方のホルダへ変更することなくパノラマ/CT撮影位置からセファロ位置への回転部220の移動、が自動化されるとき、単純なワークフローを与え、ワークフロー時の手作業及びワークフローに必要な時間を減少する。
【0081】
また、装置200は、柱240の周りを回動する上側シェルフ250と、パノラマ及び/又はCT撮影のために上述のL及びP移動によって位置決めされるように構成される回転部220とを備えるが、セファロヘッド262は、頭部撮影検出器、二次コリメータ及び患者位置決め支持部品を備える既知のセファロヘッドと同様である。
【0082】
セファロ撮影は、回転部220のX線源224及びセファロヘッド262の二次コリメータ及び頭部撮影検出器によって与えられる。X線源224は、R及びL移動によって患者201の頭部を走査するように配置される。X線ビームは二次コリメータによって平行にされて、頭部撮影検出器によって捕捉され、前記検出器は、X線ビームと同期化される。
【0083】
図2bは、パノラマ/CT撮影中の患者201の位置を表す。
【0084】
患者201は、パノラマ/CT撮影位置において、装置200の下側シェルフ242及びおそらく頭部支持体によって支持される。この時、回転部220は下側シェルフ242の上方に在る。
【0085】
上側シェルフ250並びに回転部220がパノラマ/CT撮影位置とは異なる位置、即ちセファロ撮影位置又は例えばパノラマ/CT撮影位置とセファロ撮影位置との間の中間位置、にある場合、上側シェルフ250は、上記の位置からP移動によってパノラマ/CT撮影位置へ移動され、その後回転部220がパノラマ/CT撮影に備えるようにR及びL移動によって更に調節される。
【0086】
更に、回転部220は、患者位置決め位置を持つことができ、この位置において、X線源224又は検出器装置226は、回転部220が下側シェルフ242又はセファロヘッド262の上方に在るときパノラマ/CT及び/又はセファロ撮影位置への患者の位置決めを妨害しない。患者位置決め位置は、そのような位置、即ち、そこでは、患者201の頭部をX線源224と検出器装置226との間で移動することによって患者201をパノラマ/CT撮影位置及び/又はセファロ撮影位置へ配置すること又は患者201を外すことが可能な位置へ回転部220を回転するようにR移動することによって得られる。代りに、P移動によって患者位置決め位置を実現でき、その場合、患者201が位置決めされるとき、回転部220全体がパノラマ/CT撮影位置及び/又はセファロ撮影位置から離される。
【0087】
位置決めされたX線源224及び検出器装置226は、回転軸線222、即ち回転部220の回転中心がP及びL移動の少なくとも1つによって位置決めされたときパノラマ画像を提供するように構成される。
【0088】
使用されるセンサ技術次第で、検出器のTDI又はフルフレーム読出しモードを用いて画像をクロックアウトできる。TDIモードにおいて、画像は、1回に1カラム読み出され、フルフレームモードにおいては、画像は、1回に画像フレーム全体が読み出される。パノラマ(シャープ)レイヤは、移動速度と、TDIの場合にはパノラマ検出器の読出し速度によって規定される。フルフレーム検出器を使用する場合、レイヤの最終形状は走査後にコンピュータで計算される。回転角度は、典型的には約270度である。
【0089】
CT撮影中に、患者201は、パノラマ/CT撮影位置において装置200の下側シェルフ242及びおそらく頭部支持体にも支持される。X線源224及び検出器装置226は、検出器装置226が回転装置に取り付けられて、回転部220の回転中心がROIに一致できるように位置決めされたとき、CT画像を提供するように構成される。
【0090】
位置決めされたX線源224及び検出器装置226は、検出器装置226が回転装置220に取り付けられて、回転軸線222がCT撮影中にR、L又はP移動の少なくとも1つによって位置決めされたとき、CT画像例えばCBCT画像を提供するように構成される。
【0091】
対称的撮影ジオメトリが使用される場合、CT撮影は、R移動のみを使用し且つフルフレームモードでCT検出器を読み出すことによって実施され得る。代りに、CT撮影は、回転部220の仮想回転軸線がROIと一致するように仮想回転軸線を位置決めするために、P、R及びL移動を使用することによって(上側シェルフ250において制御配列体が使用されるとき)実施され得る。従って、ROIの投影X線画像は、ROIの中心及びR移動が一致するように生成される。有効回転角度(開口)は、装置200次第で例えば約180度~360度の範囲である。
【0092】
オフセット撮影が使用される場合、CT撮影は、R、L及びP移動を使用して画像を走査することによって実施され得る。これらのR、L及びP移動を同期的に駆動することによって、有効回転中心をビームのわきにそらして、オフセットジオメトリを生成できる。
【0093】
オフセット走査は、第1「ソリッド」オフセットジオメトリ及びCT検出器の完全360度回転によって得られる。
【0094】
代りに、オフセット走査は、第2オフセットジオメトリによって提供されることができ、この場合、患者は、第1撮影方向において検出器を約180度回転することによって基本的に最大の第1撮影オフセットを走査することによって撮影される。その後、検出器を回転中心の他方の側へ移動して、第2撮影方向において検出器を約180度回転することによって基本的に最大の第2撮影オフセットが得られる。代りに、検出器をスタート位置へ回転し、回転中心の他方の側へ移動した後、第1方向に約180度回転することによって基本的に最大の第2撮影オフセットを走査する。
【0095】
代りに、オフセット走査は、第3オフセットジオメトリによって提供されることができ、この場合、患者201は、第1撮影オフセットによって(X線ビームエリアの縁は、回転中心に触れる)、及び検出器の360度回転によって撮影される。次に、検出器及びX線源224を、X線ビームエリアが回転中心から離れて、以前の撮影エリアに衝突するか又は僅かに重なるように平行に移動する。次に、第2撮影オフセットを完了するために検出器を360度回転させる。
【0096】
装置200は、いくつかの従来のシステムによる撮影及び患者位置決めにおいて必要とされるR、L、X及びN移動ではなくR、L及びP移動によってCT撮影ジオメトリにおける同様の汎用性を与える。
【0097】
図2cは、セファロ撮影中における患者201の位置決めを表す。
【0098】
回転部220が、セファロヘッド262に配置された患者支持手段268、269の上方に在るセファロ撮影位置において、患者201は、患者支持手段268、269で支持される。
【0099】
上側シェルフ250並びに回転部220が、セファロ撮影位置とは異なる位置、例えばパノラマ/CT撮影位置又はパノラマ/CT撮影位置とセファロ撮影位置との間の中間位置にある場合、上側シェルフ250は、P移動によって前記位置からセファロ位置へ移動され、その後回転部220は、回転部220がセファロ撮影に備えるようにR及びL移動によって更に調節される。
【0100】
位置決めされたX線源265は、X線源265に取り付けられた照射野限定器267によって及びS移動によって、支持された患者201を走査するようにされる。検出器装置226及び回転部220は、セファロ撮影中にR、L及びP移動によってX線源265と同期的に移動するように構成される。
【0101】
X線源265からのX線ビームは、軸線264の周りのS移動によってX線源265及び照射野限定器267を回転させることによって患者201の頭部を走査するように配置される。代りに、S移動は、例えば照射野限定器267を直線移動させることによって実施され得る。S移動は、セファロ撮影に使用される検出器装置226の検出器が水平に位置決めされる場合、水平S移動ではなく垂直走査移動として与えられることも可能である。代りに、セファロ撮影は、ワンショットセファロ画像のために充分に大きい検出器(いわゆるワンショット検出器)が使用される場合には、S移動無しに実施され得る。
【0102】
ビームは、その後セファロコリメータ266によって更に平行にされ、検出器装置226における、同期的に移動する頭部撮影検出器又は兼用検出器によって最終的に捕捉される。
【0103】
装置200は、セファロコリメータ266及び検出器装置226の検出器のために付加的な移動手段を必要としないので、セファロ撮影中の移動を単純化する。
【0104】
図2eは、装置200の機能要素の図である。
【0105】
装置200は、装置200及びその上記の移動及び撮影プロセスを制御するように構成される制御装置(制御パネル)270を備える。制御装置270は例えば柱240に取り付けられる。
【0106】
制御装置270は、使用者及び/又はソフトウェア起動の命令を実施するため及びデータを処理するための少なくとも1つのプロセッサ(部)272と、例えば命令、ソフトウェア及びデータファイル等のデータを記憶して保管するための少なくとも1つのメモリ(部)280とを備える。
【0107】
更に、制御装置270はデータ転送部274を備えており、前記データ転送部274は、装置200の部品を移動させるように構成された、例えば回動、リニア、高さ、回転、検出器、照射野限定及びコリメータモーター、ドライバ又はその他の手段(モーター、装置)275へ制御コマンドを送り、及び/又は装置200の部品の機能を検出するように構成された測定装置またはその他の検出装置276からデータを受け取るためのものである。
【0108】
更に、データ転送部274は、X線源224、265の少なくとも1つ、検出器装置266、及び患者201の正確な位置決めを指示することによってパノラマ撮影位置及び/又はCT撮影位置における患者201の位置決めを容易にするように構成された位置決め手段277、例えば少なくとも1台のレーザー、カメラ又はその他の指示手段の少なくとも1つへ制御コマンドを送るようにも構成される。データ転送部274は、少なくとも1つのX線源224、265、検出器装置226及び位置決め手段277の少なくとも1つから情報を受け取るようにも構成される。
【0109】
更に、制御装置270は、例えば、制御コマンドを入力するため及び情報及び/又は命令を受け取るための少なくとも1つのファンクションキー、タッチスクリーン及び有線又は無線リモートコントローラの少なくとも1つを備えるユーザー―インターフェイス部278を備える。
【0110】
少なくとも1つのメモリ280は、少なくとも、データ転送部を制御するためのデータ転送アプリケーション284、ユーザーインターフェイス部を制御するためのユーザーインターフェイスアプリケーション288、及び装置200、例えば少なくとも移動装置275、検出装置286、少なくとも1つのX線源224、265、検出器装置226及び位置決め手段277の機能を制御するためのコンピュータプログラム(コード)289を備える。更に、コンピュータプログラム289は、例えば撮影パラメータ、撮影サイズ及び撮影モードを制御できる。
【0111】
少なくとも1つのメモリ280及びコンピュータプログラム289は、少なくとも1つのプロセッサ272と共に、装置200が少なくとも図2a~2bに関して説明した作用を与えるように構成される。
【0112】
コンピュータプログラム289は、コンピュータ(制御装置270)で使用するために具現化されたコンピュータプログラムコード289を持つ有形不揮発性コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品である。
【0113】
本発明について、上述の実施形態に関連して説明し、本発明のいくつかの利点を立証した。本発明はこれらの実施形態のみに限定されず、本発明の思想及び請求項の範囲内の可能な全ての実施形態を含むことは明白である。
本明細書に開示される発明は以下を含む。
(1)医療画像診断用のX線撮影装置(200)であって、
柱(240)と、
第1X線源(224)及びX線撮影検出器装置(226)を備える回転部(220)と、
前記回転部を支持するための上側シェルフ(250)と、を備え、
前記第1X線源及び前記検出器装置は、前記回転部の回転軸線(222)まわりの少なくとも回転移動(R)によって画像を提供するように構成されており、
前記上側シェルフは、前記回転部が直線移動(L)によって該上側シェルフに対して移動することを可能にし、
前記上側シェルフは、ピボットジョイント(252)で前記柱に取り付けられており、
前記ピボットジョイントは、前記上側シェルフの前記柱まわりでの回動(P)を可能にするものであり、
前記回転部が、該装置の第2X線源(265)及び前記検出器装置とともにセファロ画像を提供する2次コリメータ(266)を備えることを特徴とする、X線撮影装置。
(2)撮影対象の患者(201)を支持するためのセファロ用患者支持体(268,269)を有するセファロヘッド(262)が取り付けられた第1アーム(260)と、前記第2X線源(265)が取り付けられた第2アーム(261)とを更に備える、上記(1)に記載の装置。
(3)前記2次コリメータが前記回転部の側面に取り付けられている、上記(1)又は(2)に記載の装置。
(4)前記回転部は、前記検出器装置を回転させる検出器モータと、前記2次コリメータの位置を調整するコリメータモータとを備える、上記(1)~(3)のいずれか一つに記載の装置。
(5)前記第1X線源と前記検出器装置が、パノラマ画像及びコンピュータ断層撮影画像の少なくとも一方を提供する、上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の装置。
(6)上記(1)~(5)のいずれか一つに記載のX線撮影装置(200)を使って医療用の撮影を行う方法であって、
セファロ画像を提供するために、前記装置の第2X線源(265)とX線撮影検出器(226)と共に前記装置の回転部(220)の2次コリメータを使う段階を含む、方法。
(7)コンピュータにおいて実行されるとき上記(6)に記載の方法を実施するように構成されたコンピュータプログラム(289)。
(8)上記(7)の前記コンピュータプログラム(289)を含む、有形不揮発性コンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0114】
200 X線撮影装置
220 回転部
224 第1X線源
226 検出器装置
240 柱
242 下側シェルフ
250 上側シェルフ
252 ピボットジョイント
262 セファロヘッド
265 第2X線源
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e