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  • 特許-構成要素の高さの偏差を決定する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】構成要素の高さの偏差を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20230614BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
B41F33/00 234
H05K3/34 505D
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021202520
(22)【出願日】2021-12-14
(65)【公開番号】P2022094957
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】2019749.7
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514153171
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・エスエムティー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トム・ファルコン
(72)【発明者】
【氏名】サイモン・スチュアート・ペイプ
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-061607(JP,A)
【文献】特開2020-186932(JP,A)
【文献】特開2002-019071(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0205569(US,A1)
【文献】特開2018-069467(JP,A)
【文献】国際公開第2018/051495(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0015457(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工具ピンをテーブル上に受け入れるための工具テーブル及び構成要素高さ検知システムを備え、半製品上に印刷媒体を印刷するための印刷機であって、前記構成要素高さ検知システムは、
高さセンサに対して、前記工具ピンに対応する少なくとも3つの構成要素の場所の相対的な高さを測定し、測定した相対的な高さ情報を出力するように動作可能な高さセンサと、
前記高さセンサからの測定した前記相対的な高さ情報を受け取り、受け取った前記相対的な高さ情報から、前記少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する前記少なくとも3つの構成要素の場所の各々の高さを決定し、決定された前記相対的な高さ情報を予め規定された公差レベルと比較して、任意の構成要素の場所の高さの偏差を識別するための制御手段と、
を備える、印刷機
【請求項2】
前記制御手段が、測定し受け取った前記相対的な高さ情報を仮想面にマッピングするように動作可能である、請求項1に記載の印刷機
【請求項3】
前記高さセンサが、ほぼ直線の検知軸を有し、前記構成要素の場所を見下ろすように取り付けられるセンサを備えている、請求項1または2に記載の印刷機
【請求項4】
前記センサが、水平に離れた位置の間で動くことができるように動作可能に取り付けられ、構成要素の場所が前記水平に離れた位置の直ぐ下である、請求項3に記載の印刷機。
【請求項5】
複数の工具ピンをテーブル上に受け入れるための工具テーブルを備え、半製品上に印刷媒体を印刷するための印刷機内の構成要素の場所の高さの偏差を決定する方法であって、
(i)高さセンサに対して工具ピンに対応する少なくとも3つの構成要素の場所の相対的な高さを測定するための高さセンサを使用するステップと、
(ii)測定した前記相対的な高さから、前記少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する前記少なくとも3つの構成要素の場所の各々の高さを決定するステップと、
(iii)ステップ(ii)で決定された前記少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する前記少なくとも3つの構成要素の場所の各々の前記高さを、予め規定された公差レベルと比較することによって、任意の構成要素の場所の高さの偏差を識別するステップと、
を含む方法。
【請求項6】
ステップ(ii)が、測定した前記相対的な高さを仮想面にマッピングするステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(iii)が、測定した前記相対的な高さを予め規定された公差帯と比較し、任意の構成要素の場所の高さの偏差を識別するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(iii)が、測定した前記相対的な高さを予め規定された公差帯と比較し、任意の構成要素の場所の高さの偏差を識別し、前記公差帯が前記仮想面に対して規定される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記構成要素の場所が、工具ピンマガジンの空間的に分離された領域に位置することで、高さの偏差が存在するということが、前記工具ピンマガジンが不正確に置かれていることを示す、請求項に記載の方法。
【請求項10】
半製品上に印刷媒体を印刷するために、複数の工具ピンをテーブル上に受け入れるための工具テーブルを備えた印刷機内に工具ピンを配置するための工具ピン配置方法であって、
(i)高さセンサに対して、工具ピンに対応する少なくとも3つの構成要素の場所の相対的な高さを測定するための高さセンサを使用するステップと、
(ii)測定した前記相対的な高さから、前記少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する前記少なくとも3つの構成要素の場所の各々の高さを決定するステップと、ステップと、
(iii)ステップ(ii)で決定された前記少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する前記少なくとも3つの構成要素の場所の各々の前記高さを分析することによって、任意の構成要素の場所の高さの偏差を識別するステップと、
(iV)工具テーブル上の第1の場所に位置する工具ピンが、高さの偏差を有すると決定される場合、前記工具ピンを、前記第1の場所から、空間的に分離された第2の場所に動かすステップと、
(v)前記第1の場所を誤差のある場所としてフラグを付けるステップと、前記第1の場所がもはや誤差のある場所でないと判定されるまで、前記第1の場所での工具ピンの配置を防止するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
グラフィカルユーザインターフェース上に前記誤差のある場所を強調表示するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(iv)における高さの偏差の決定が、工具テーブル清掃動作を実施させる、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成要素の高さを検知するシステム、印刷機、機械内の構成要素の場所の高さの偏差を決定する方法、および工具ピン配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのプリント回路板組立体(PCBA)は、表面実装技術(SMT)として一般的に知られている方法を使用して製造される。SMTプロセスは、回路板などといった、予め製造された「生の」半製品上への半田ペーストの付着で始まる。最も一般的に使用される半田ペースト付着方法は、ステンシル印刷である。ステンシル印刷プロセス期間に、金属ステンシルに対して角度をもった、真っ直ぐなエッジのスキージブレードが、ステンシルの表面にわたって半田ペーストを押圧する。ステンシルは、プリント回路板(PCB)に半田付けされる構成要素の場所に対応して配置される開口部を含む。スキージをステンシルと接触したままにするため、スキージブレードの長さ50mmごとに約10Nの力の下向きの力がスキージに印可される。スキージブレード角度、ステンシル上のスキージの横方向の力、スキージ上への下への力の組合せが、半製品上へ開口部を通して半田ペーストを押圧し、それによって半田ペーストを「ステンシル印刷する」。接着剤または導電性インクなどといった、他の形の印刷媒体を印刷するために、同様の技法を使用することができる。本発明は、すべてのそのような印刷媒体の印刷に等しく適用可能である一方で、以下の議論の便宜のために、半田ペーストの印刷だけに言及することになる。
【0003】
ステンシル印刷プロセス期間の、半田付着が不均一になり再現性が悪くなることを防ぐため、半製品の下側に平坦な支持部を設けることが必要である。この支持部は、最も一般的に、工具ピンの配列または専用工具板の形をとることができ、そのいずれかを、プリンタ内に配置される工具テーブルの平坦な水平上面上に取り付けることができる。工具ピンは、印刷される様々な異なる形状、サイズ、およびタイプの半製品に適合させるため、必要に応じて、工具テーブル上に自動的に置くこと、取り除くこと、または再配置することができる。そのような自動ピン配置システムは、たとえば、工具テーブルの上方のガントリー上に取り付けられるピン選出工具を採用することができる。簡単で例示的なピン配置システムが、図1で上方から概略的に示される。工具テーブル1は、水平面に延びる、すなわち、示されるようにX-Y平面に平行な、平坦な平面を備える。マガジン2が工具テーブル1の近傍に設けられる。マガジン2は、複数の小間3を含み、各小間3は、それぞれの工具ピン4を受け入れるためのものである。全部で8個の工具ピン4が図1に示されており、これらのピンのうちの2個4A、4Bがマガジン2中のそれぞれの小間3の中に配置され、残りのピン4C~4Hが工具テーブル1上に置かれる。当技術分野で一般的によく知られているように、使用の際には、ピン4は、マガジン2の中に格納して、顧客が選ぶこと、または、印刷する半製品のデータ(ガーバーデータ)に基づいて自動的に導出することができる配置プランに従って、ガントリー(図示せず)上の選出工具(図示せず)によって工具テーブル1上に配置することができる。
【0004】
何らかのごみまたは半田ペースト混入物を既に含む工具テーブルの区域上にピンが配置される場合に、そのようなシステムの1つの生じ得る故障モードが発生する可能性があり、この場合、ピンの頂部が他のピンより高くなる可能性がある。したがって、印刷動作期間に、この比較的高いピンが、半製品およびステンシルを意図されるまたは最適な印刷面より上に局所的に持ち上げる。そのため、スキージに印可される下への力の大部分は、多数のピンによって支持される全印刷区域にわたって均等に広がる代わりに、ステンシル/半製品/ピンの非常に狭い区域に支えられることになる。このことによって、半製品、ステンシル、またはスキージが損傷する可能性があり、印刷の均一性が劣化することになる可能性がある。図1では、工具テーブル1上に、3つのごみの区域5A、5B、および5Cが示される。
【0005】
そのような故障モードに対しての軽減をするため、また、必要なレベルの自動化を維持するため、各ピンの高さを迅速で正確に検査するのは、有利となる。工具テーブル上の各ピンの水平またはX-Y位置が自動化システムで知られているために、可能性がある方法は、配置ヘッドと同じガントリー上に取り付けられ、ピンの上面の高さを、そのピンに直ぐ隣接する工具テーブルの高さと比較する距離センサを使用することとなる。これによって、あらゆるピンについて絶対的な高さ測定値が与えられ、そのために、すべてのピンの高さの均一性を理論的に確認することができる。残念ながら、この手法には問題がある。というのは、測定する工具テーブルの区域にごみまたは混入物が存在する可能性があり、工具テーブルの高さ、したがってピンの高さの不正確な測定値を与えることになるためである。図1では、たとえば、ピン4E、4F、および4Gは、すべてがごみの区域5Aに隣接し、したがって、これらのピンの高さは、正確には測定可能でない可能性がある。ピン4Hは、一方で、ごみの区域5Bの上に配置され、そのためこのピンが最高の高さを有することになると予期される。しかし、この最高の高さは、隣接するごみの区域5Cが存在することに起因して、検出可能でない可能性がある。他の可能性がある測定誤差の発生源としては、工具テーブル1の平坦性からの偏差、およびセンサがガントリーといっしょに進行するときのセンサの高さの変動が挙げられる。
【0006】
上で記載されるように、機械内の工具ピンの高さを測定するのに特定の問題がある一方で、機械の他の部分は、同様の理由で監視するのにやはり問題がある。特に、印刷機には、半田ペーストなどといった印刷材料が機械の多くの異なる部品を汚しやすく、機械内の正確な高さ測定を難しくするという一般的な問題がある。
【0007】
本発明では、限定しないが、印刷機などといった機械内の構成要素の高さを適切に補正する、監視のための改善した方法を提供することが求められる。本発明には、工具ピンに対する特定の応用例があり、したがって、工具ピンの高さを測定すること、および必要な場合には、不正確に配置されたピンの位置を補正すること、より少ない印刷欠陥および印刷装置に対する損傷の危険を少なくさせることができる。しかし、本発明は、他の構成要素を監視することにも等しく適用可能であって、具体的な例が下で提供される。
【0008】
本発明によれば、この目標は、これらの構成要素の絶対的な高さを測定するのではなく、むしろ相対的な構成要素の高さを測定することによって達成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、
高さセンサに対して少なくとも3つの構成要素の場所の相対的な高さを測定し、測定した高さ情報を出力するように動作可能な高さセンサと、
高さセンサからの測定した相対的な高さ情報を受け取り、受け取った相対的な高さ情報から、少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する少なくとも3つの構成要素の場所の各々の高さを決定するための制御手段と、
を備える、印刷機のための構成要素高さ検知システムが提供される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様の構成要素高さ検知システムを備える印刷機が提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、
(i)高さセンサに対する、少なくとも3つの構成要素の場所の相対的な高さを測定するための高さセンサを使用するステップと、
(ii)測定した相対的な高さ情報から、少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する少なくとも3つの構成要素の場所の各々の高さを決定するステップと、
(iii)ステップ(ii)で決定された少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する少なくとも3つの構成要素の場所の各々の高さを分析することによって、任意の構成要素の場所の高さの偏差を識別するステップと、
を含む、機械内の構成要素の場所の高さの偏差を決定する方法が提供される。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、
(iV)工具テーブル上の第1の場所に位置する工具ピンが、高さの偏差を有すると決定される場合、工具ピンを、第1の場所から、空間的に分離された第2の場所に動かすステップ
を含む、第3の態様の高さの偏差を決定する方法を含む、工具ピン配置方法が提供される。
【0013】
本発明の他の具体的な態様および特徴は、添付の請求項中に記載される。
【0014】
本発明は、ここで、添付の図面(原寸に比例しない)を参照して記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】知られている工具ピン配置システムを上から概略的に示す図である。
図2】本発明の実施形態に従った工具ピン配置システムを概略的に示す側面図である。
図3A】適合工具ピン配列についての2次元仮想面を概略的に示す図である。
図3B】不適合工具ピン配列についての2次元仮想面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、本発明の実施形態に従った工具ピン配置システムの側面図を概略的に示す。本装置は、図1に図示されたものと全体的に同様である。工具テーブル1は、その上に配置される複数の工具ピン14A、14Bとともに示される。工具テーブル1の上面が有利に平坦で平である一方で、例示するために、図2では非常に平でないものとして示されていることを理解されたい。ほぼ直線の検知軸を有する高さセンサ10が、工具テーブル1の上方のガントリー11に取り付けられ、したがって、工具テーブル1およびその上に配置される任意のピン14A、14Bを「見下ろす」ように動作可能であり、そのことによって、センサ10とその直下の面との間の垂直(すなわち、示されようにZ軸に平行な)距離を示す信号を出力する。センサ10は、たとえば、超音波センサ、レーザセンサ、またはよく知られている代替物を備えることができる。センサ10は、示されているような水平のX軸に平行にガントリー11に対して動くことができる一方で、ガントリー11自体は、水平のY軸に平行に工具テーブル1に対して動くことができる。この方法では、X/Y軸に平行な、ガントリー11および/またはセンサ10の好適な運動によって、センサ10は、直下の点までの距離を測定するため、工具テーブル1の任意の水平に離れた位置の上に位置決めすることができる。ガントリー11およびセンサ10の動作は、当技術分野で一般的に知られているような、好適なハードコーディングまたはソフトコーディングされた制御プログラムを走らせる、コンピュータ、プロセッサ、または同様のものなどといった制御手段12によって実現される。
【0017】
図2に示されるピン配置では、複数、ここでは6個のピン14Aが、工具テーブル1上に正しく配置されて示される。しかし、第7のピン14Bは、不正確に配置されて示される。というのは、ピン14Bは、ごみ15の頂部に立っており、したがって、最適な印刷性能のためにそれがあるべき高さより高くに延びている。センサ10が、センサ10自体とピン14Bとの間の距離を決定するために使用できる一方で、センサ10の垂直位置は、ガントリー11の公差に起因してそれ自体が誤差の影響を受けるために、その下の物体の高さを正確に決定するために、工具テーブル1などといった知られている高さの点との距離も測定する必要がある。しかし、図1を参照して前に記載したように、工具テーブル1上にごみが置かれる可能性、または工具テーブル1が平坦から偏差する可能性に起因して、このことを確信を持って行うのは可能でない。
【0018】
本発明によれば、この問題は、高さセンサに対する、ピン14A、14Bなどの少なくとも3つの構成要素の場所の相対的な高さを測定し、制御手段12に測定した相対的な高さ情報を出力するセンサ10を使用することによって克服される。この測定は、すべての工具ピンの測定前に全工具ピンを配置することが可能であるが、各工具ピンの配置の直ぐ後に実施することができる。制御手段12は、次いで、受け取った相対的な高さ情報から、少なくとも3つの構成要素の場所以外の場所に対する少なくとも3つの構成要素の場所の各々の高さを決定することができる。相対的なピンの高さだけを使用することによって、(上から見たときに、工具テーブルの平坦性に相違をもたらす、ごみの存在、工具テーブル自体の平坦性の偏差、または任意の他の効果から影響される)工具テーブルの平坦性のレベルおよびセンサ10の絶対的な高さにおける偏差は、両方が、工具ピンの高さの偏差の決定から「フィルタ除去」され、そのため、工具テーブル1の高さを直接測定する必要がない。したがって、図2に示される例では、センサ10は、工具ピンのすべての配置の後、または代わりに、各工具ピンの配置の後に、各工具ピン14A、14Bの高さを測定するために動かされることになる。一度、高さの全部が測定されたら、それらを比較して、正しくない配置が示唆される異常値を決定することができる。少なくとも3つの構成要素の高さを測定するのが必要であることは、当業者には理解されよう。というのは、これは、異常値を識別するのを可能にする最小の数であるためである。単に2つの高さが測定され、これらが著しく異なる場合、どの高さが誤差を示したのか、この情報単独では確証することが可能でないことになる。好ましくは図2に図示されるように、制御手段が、受け取った測定した相対的な高さ情報を仮想面16にマッピングするように動作可能である。有利には、仮想面16は、たとえば、知られているきれいな工具テーブル1上での、1回だけのセットアップまたは校正手順によって作成することができる。
【0019】
制御手段12は、次いで、測定した相対的高さを、許容される公差の量を反映した予め規定された公差レベル17と比較することができ、したがって、測定した構成要素の高さは「準拠する」、すなわち、特定の用途の容認できる限度内であるとみなされる。実際には、公差レベル17は、たとえば、工具テーブルの平坦性とピンの高さの変動との、組み合わせて重みづけした公差に基づいてよい。
【0020】
図2の実施形態では、公差レベル17は、仮想面16に従うように設定される。すなわち、その結果、工具テーブル1の任意の点において、公差レベル17が、その同じ点における仮想面16の上で一定の高さとなる。ピン14Aはすべてが公差レベル17より下の決められた高さを有し、したがって、容認できる限界内の「適合ピン」であると考えられる。しかし、検出されたピン14Bの高さは、公差レベル17より上にあり、容認できない高さの偏差を示しており、したがって、「不適合ピン」であると考えられる。
【0021】
他の実施形態(図示せず)では、公差レベル17は、局在化することができ、任意の特定の水平位置のレベルは、その水平位置の予め選択した水平半径内の、工具ピンの検出された高さだけの平均から計算した。
【0022】
好ましい方法を要約すると、以下のステップが実施される。
(i)少なくとも3つの工具ピンが工具テーブル上に配置される。
(ii)配置された工具ピンの相対的な高さが測定される。
(iii)それらの測定した相対的高さから仮想面が作成される。
(iv)仮想面に基づいて公差レベルが作成される。
(v)配置された工具ピンの相対的な高さが測定され、公差レベルと比較される。
【0023】
この特定の実施形態は、以降では「実施形態A」と呼ぶが、工具ピンの高さにおける容認できない偏差を、全部の印刷プロセス期間の任意のときに決定することができ、「対照」測定を行う必要がない。
【0024】
仮想面の構築および使用が図3A図3Bに図示される。これらは、コンピュータシミュレーションから取られた、9個の工具ピンの直線的配列の高さを測定することによって構築される2次元仮想面を図式で示す。図3Aおよび図3Bでは、工具ピンは、50mm離れて配置され、中心の工具ピンは、位置X=0と一致すると考えられる。使用される装置では、工具テーブルおよびセンサガントリーのうちの少なくとも1つに弓そりがある。わかるように、この非平坦性はフィルタ除去されるために、どの構成要素がそっているかは問題でない。図3Aでは、あらゆる工具ピンは、83.0mmの高さを有する。Table 1(表1)は、この試験的状況についての関連するパラメータを記載する。
【0025】
【表1】
【0026】
図3Aは、Xに対するセンサ値(Y軸)のグラフであり、プロットした実線21が測定した高さのプロットである。プロットした点線22は、測定した高さから導かれる「最も適合する」2次方程式(ここでは、y=1E-06x+8E-08x+83.004)である仮想面を示す。適合度は、R=0.967であり、そのため、測定した高さが仮想面に良好に追従することがわかる。点線23は、仮想面22に追従するがその0.01mm上方となるように選ばれた公差レベルを示す。測定した高さのプロット21が公差レベル23より上へと交差しないことがわかり、そのため、ここで、配置した工具ピンのすべてが適合であると考えられる。
【0027】
図3Bは、ここで工具ピンのうちの1つが+40μmの高さ誤差を有すること以外では、図3Aと同様である。関連するパラメータがTable 2(表2)に記載される。
【0028】
【表2】
【0029】
結果として、仮想面22の最も適合する曲線の式が変化する(ここでは、y=9E-07x-3E-05x+83.011)。また、適合度は、R=0.5744であり、これは、著しく減少している。x=-100にある工具ピンが仮想面22から目立って偏差しているのがわかる。x=-100の位置での測定したピンの高さは、公差レベル23より上へと交差し、そのために、このピンは、不適合として識別されることになる。
【0030】
代替実施形態では、上のステップ(i)は、少なくとも3つの工具ピンがきれいな工具テーブル上に配置される間に実施され(そのために、「対照」測定として働き)、ステップ(v)で、配置される工具ピンの相対的な高さが測定されて、ステップ(i)のピン配置の後の「ライブ」配置プロセス期間に公差レベルと比較される。そのライブ配置プロセスでは工具テーブルがきれいである必要がない。この特定の実施形態は、以降では「実施形態B」と呼ぶが、ごみが引き起こす、配置した工具ピンの高さの相違のより正確な識別をもたらすことができるが、さらなる時間がかかる。しかし、対照測定には、工具テーブル上のごみによってもたらされる偏差がないが、たとえば、工具テーブル自体の非平坦性、その運動の範囲にわたるガントリー/センサ高さの偏差、工具ピンの底部に付いたごみなどによってもたらされる偏差を対照測定が依然として受けることが当業者には理解されよう。
【0031】
さらなる実施形態では、上の実施形態AおよびBを組み合わせることができ、その結果、工具テーブル1がきれいなとき、たとえば印刷動作の開始時点または工具テーブル1の清掃動作の後に実施形態Bが実施され、一方、実施形態Aは、印刷動作期間に1回または複数回実施される。
【0032】
図2では、仮想面16の上方である単一の公差レベル17だけが示されるが、仮想面を包含する公差帯を形成する、仮想面16の下の第2の公差レベルを規定することも同じく可能であり、その結果、この公差帯より高いまたは低い構成要素の高さが不適合として識別される。たとえば、工具ピンが1片のごみ上に部分的に配置されそのため垂直方向に対していくらか傾いた方向に向けられる場合、工具ピンの高さが予期されるより低く、したがって不適合である場合がある。
【0033】
上の実施形態のすべてで、不適合な工具ピンを識別し、訂正行為を行うことが可能である。たとえば、制御手段12による不適合なピンの検出によって、工具テーブル1上に配置された半製品を損傷させることを回避するため、工具テーブル1から不適合なピン14Bを取り除くようにピン選出工具に命令するように制御手段12をトリガすることができる。取り除いたピンは、異なる場所に移動することができ、うまくいけばその場所の上にごみを有さない。もちろん、これは、ピンの高さ測定および公差レベル17との比較を繰り返すことによって検証することができる。代わりにまたは代替として、清掃ルーチンをトリガすることができる。たとえば、清掃ルーチンでは、識別した不適合なピンが拭かれてそこに付着した何らかのごみを取り除く。工具テーブル1の表面は、不適合ピンの場所の近傍をやはり清掃することができる。たとえば、清掃動作を実施することが不可能な場合、不適合ピンの場所は、「排除ゾーン」として識別することができ、その結果、清掃動作の実施、またはさらなる調査のいずれかを通してその場所が清掃されたと判断されるまで、そのピンをそこに配置しないことができる。ある場所が「排除ゾーン」としてマーキングされると、これは、制御手段12によって制御されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)内で強調表示されて、操作者が見ることができる。そのゾーンは、その場所がきれいであると決定されたら、GUIから除去されることになる。
【0034】
マガジン中に格納される工具ピンの高さは、たとえば、ピン配置動作の開始前に、同様の方法を使用して等しく測定することができる。いずれかの工具ピンが高さの偏差を有することが検出される場合、このことは、何らかのごみがマガジンのそれぞれの小間に入ったこと、また、清掃動作を実施するべきであることを示す可能性がある。
【0035】
上述の実施形態は、不適合とするように工具ピンの高さを検出するのに効果的である。しかし、本発明の方法は、多種多様な異なる使用事例に拡張することができる。
【0036】
たとえば、工具ピンなどといった個別の構成要素の高さを検出する代わりに、比較的大きい構成要素の異なる部分の高さを検出することが等しく可能である。具体的な例として、工具ピンをマガジンへと配置する、またはピンをマガジンから取り外す前にマガジンが正しく設置されているかを検査するために、工具ピンマガジン自体の部分の高さを測定することが可能である。
【0037】
他のタイプの工具を、やはり同様の方法で分析することができる。たとえば、本発明の方法を使用して、たとえば専用工具ブロック、個片化した基板のための個別工具タワー、またはそのような工具タワー上に配置される任意の基板の平坦性、共平面性、および偏差を測定および監視することが可能である。移動することが可能な工具タワーでは、工具タワーが正しく動き、復帰するのを確実にするために、その可動部分を検査することができる。偏差をユーザに報告することができ、作成したデータに基づいて、保守または寿命末期の予測を行うことができる。
【0038】
本発明の方法は、さらにまた、工具システム以外の印刷機のための、多種多様な異なる使用事例に拡張することができる。たとえば現在採用されているいわゆるホイルレスクランプを含む、半製品用のクランプの、たとえば高さおよび/または共平面性を測定および検査することができる。これらの測定値を使用して、異なる半製品の厚さを補償するために、工具テーブルの高さを自動的に調整することができる。拡張として、この方法を使用して半製品自体の高さを測定すること、および任意選択で、異なる半製品の厚さを直接補償することを可能にするため、判定したクランプの高さと比較することができる。
【0039】
重要なことには、同じセンサおよび制御手段を、上述の実施形態の一部または全部で使用することができる。
【0040】
上述の実施形態は、単に例示であって、当業者には、本発明の範囲内の他の可能性および代替物が明らかであろう。
【符号の説明】
【0041】
1 工具テーブル
2 マガジン
3 小間
4 工具ピン
5A ごみ
5B ごみ
5C ごみ
10 センサ
11 ガントリー
12 制御手段
14A 適合ピン
14B 不適合ピン
15 ごみ
16 仮想面
17 公差レベル
21 測定した高さのプロット
22 仮想面
23 公差レベル
図1
図2
図3A
図3B