(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】新しいプラズマ空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
B03C 3/40 20060101AFI20230614BHJP
B03C 3/02 20060101ALI20230614BHJP
B03C 3/155 20060101ALI20230614BHJP
B03C 3/41 20060101ALI20230614BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20230614BHJP
A61L 9/22 20060101ALI20230614BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20230614BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20230614BHJP
F24F 8/192 20210101ALI20230614BHJP
【FI】
B03C3/40 A
B03C3/02 B
B03C3/155 A
B03C3/41 B
B03C3/41 J
A61L9/015
A61L9/22
B01D39/20 B
B01D39/20 D
H05H1/24
F24F8/192
(21)【出願番号】P 2021522035
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2019079246
(87)【国際公開番号】W WO2020084138
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-05-24
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521165275
【氏名又は名称】エアインスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ド リナージュ ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ルネル ステファン
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-519819(JP,A)
【文献】特表平07-501013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0171094(US,A1)
【文献】特開平03-106021(JP,A)
【文献】特開平08-112549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 3/00-11/00
B01D 39/00-41/04
H05H 1/00- 1/54
A61L 9/00- 9/22
F24F 8/192
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)少なくとも1つの電源と、
ii)前記電源に接続された少なくとも1つのイオナイザ(10)と、
iii)前記イオナイザ(10)の下流にある少なくとも1つのフィルタ(40)と、
iv)少なくとも1つの触媒(50)であって、前記イオナイザ(10)と、前記イオナイザの下流の前記少なくとも1つのフィルタ(40)との下流にあり、オゾンの分解を可能にする、前記少なくとも1つの触媒(50)と、
v)前記イオナイザ(10)から前記触媒(50)への空気が確実に流れるようにする少なくとも1つの空気過圧手段(1)と、
を備える、プラズマ空気浄化装置であって、
前記イオナイザ(10)が、
a)実質的に針状の分極電極(12、22)と、
b)前記分極電極(12、22)の反対側に配置された接地電極(13、23)であって、
・前記分極電極(12、22)を実質的に中心とするシリンダ(14,24)と、
・前記分極電極(12、22)に実質的に平坦で垂直な多孔質フィルム(15.25)と、
を備える、接地電極(13、23)と、
を備える、少なくとも1つのコロナ効果プラズマセル(11、21)の形態をとることと、
前記シリンダ(14、24)が薄型であり、前記分極電極(12、22)が前記シリンダ(14、24)に入らず、前記シリンダ(14)の直径の値は、その高さの値の少なくとも2倍に対応することと、
前記多孔質フィルム(15、25)は、前記分極電極(12、22)に対して、前記シリンダ(14、24)の反対側に配置されていることと、
を特徴とする、プラズマ空気浄化装置。
【請求項2】
前記イオナイザ(10)が、第一の分極電極(12)および第一の接地電極(13)と、第二の分極電極(22)および第二の接地電極(23)を有する少なくとも1つのコロナ効果デュアルプラズマ素子(11,21)を備え、前記第一の分極電極(12)および前記第二の分極電極(22)は、同じ支持体(16、26)のいずれかの側に配置され、前記第一の接地電極(13)および前記第二の接地電極(23)は、この同じ支持体(16、26)のいずれかの側で、前記第一の分極電極(12)および前記第二の分極電極(13)の近傍にそれぞれ配置されることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項3】
前記第一の分極電極(12)および前記第二の分極電極(22)が、同じ第一の電位(8)に接続され、前記第一の接地電極(13)および前記第二の接地電極(23)が、前記第一の電位(8)とは異なる同じ第二の電位(9)に接続されていることを特徴とする、請求項2に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項4】
前記第一の分極電極(12)および前記第二の分極電極(22)が、実質的に針状であり、前記第一の分極電極(12)、前記第二の分極電極(22)および前記第一の電位(8)に接続された導電性支持体によって支持されることを特徴とする、請求項3に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項5】
前記第一の分極電極(12)および前記第二の分極電極(22)が軸方向に整列し、単一の同一部品を形成することを特徴とする、請求項4に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項6】
前記導電性支持体が、前記第一の
分極電極(12)、前記第二の
分極電極(22)、および前記第一の電位(8)に接続された少なくとも1つの導電性トラック(31)を備える、プリント回路(36)を備えることを特徴とする、請求項5に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項7】
前記2つの分極電極(12、22)のそれぞれが、前記少なくとも1つの導電性トラック(31)に穿孔された金属化ビア(33)に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項8】
前記プリント回路(36)が
、開口部(38)を備えることを特徴とする、請求項
6または
7のいずれか一項に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの触媒(50)が、活性炭、ゼオライト、および酸化マンガン(MnO2)から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項10】
前記イオナイザの下流に配置された前記少なくとも1つのフィルタ(40)が
、前記イオナイザ(10)の出口での大量のオゾンの量の存在に起因する強酸化性雰囲気に耐えることのできる
材料からできていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項11】
前記プリント回路(36)が、前記少なくとも1つの導電性トラック(31)の周囲に形成された狭いストリップを除いて全体的に、開口部(38)を備えることを特徴とする、請求項8に記載のプラズマ空気浄化装置。
【請求項12】
前記イオナイザの下流に配置された前記少なくとも1つのフィルタ(40)が、鉱物材料からできていることを特徴とする、請求項10に記載のプラズマ空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は、2018年10月25日に出願された仏国特許出願第18/71306号の優先権を主張し、同出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コロナ放電によるプラズマ放出の分野、より具体的にはプラズマ空気浄化装置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
コロナ効果プラズマ装置を使用して、コロナ放電によってプラズマとイオン流を生成することが知られている。そのような装置によって、有利には、プラズマを生成して、イオナイザを通過する流体をイオン化することが可能になる。このようなイオン化は、例えば、空気などの流体の処理の分野で、複数の補完的な機能がある。
【0004】
第一の機能によれば、イオン化は、イオン堆積によって、流体に含まれる粒子を帯電させることができる。このように帯電した粒子は、有利なことに、イオナイザの下流に配置できる静電フィルタによって保持することができる。別の機能によれば、イオン化は、流体中で輸送され得るウイルスなどの病原性生物に対して中和作用を有する。さらに別の機能によれば、イオン化は、有利なことに、装置の下流に配置することができる活性炭フィルタなどの機械的フィルタの除染に有用な酸化化学種を生成する。
【0005】
コロナ効果プラズマ装置を製造し、分極電極と、分極電極の反対側に配置された接地電極を備えたイオナイザを用いて、これら2つの電極間に数千ボルトのオーダーの大きな電位差を印加することが知られている。これにより、プラズマとコロナ放電が発生し、イオン放電が発生する。流体のイオン化効果は、流体の循環を作り出し、流体をプラズマに強制的に通過させることによって達成される。そのようなプラズマを得るために、コロナ効果に従って、2つの構成が知られている。点・平面構成として知られる第一の構成によれば、曲率半径が小さい分極電極が実質的に平坦な接地電極に垂直に配置される。もう一つの別の構成、いわゆるワイヤ・シリンダ構成によれば、分極されたワイヤ電極が、円筒形の接地電極内に軸方向に配置される。
【0006】
特許文献1は、針状の分極電極と、分極電極に垂直に配置された実質的に平坦な金属メッシュとその全長にわたって分極電極を取り囲むシリンダとを含む接地電極を使用することによって、これらの2つの構成を組み合わせることが提案している。このイオナイザを、分極電極とシリンダの一致する軸に平行な方向に流体が横断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コロナ効果プラズマ装置では、イオン化効率、占有体積の削減、空気浄化の効率、さらには消費される電気エネルギーの観点から、常に改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プラズマ空気浄化装置を目的とし、この装置は、
i)少なくとも1つの電源と、
ii)前記電源に接続された少なくとも1つのイオナイザと、
iii)前記イオナイザの下流にある少なくとも1つのフィルタと、
iv)少なくとも1つの触媒であって、前記イオナイザと、前記イオナイザの下流の前記少なくとも1つのフィルタとの下流にあり、オゾンの分解を可能にする、前記少なくとも1つの触媒と、
v)前記イオナイザから前記触媒への空気が確実に流れるようにする少なくとも1つの空気過圧手段と、を備え、
前記イオナイザが、
a)実質的に針状の分極電極と、
b)前記分極電極の反対側に配置された接地電極であって、
・前記分極電極を実質的に中心とするシリンダと、
・前記分極電極に実質的に平坦で垂直な多孔質フィルムと、
を備える、接地電極と、
を備える、少なくとも1つのコロナ効果プラズマセルの形態をとることと、
前記シリンダが薄型であり、前記分極電極が前記シリンダに入らず、前記シリンダの直径の値は、その高さの値の少なくとも2倍に対応し、好ましくは、少なくとも3倍、さらには5倍、特に、少なくとも10倍に対応し、
前記多孔質フィルム(15,25)は、前記分極電極(12、22)に対して、前記シリンダ(14,24)の反対側に配置されていること
を特徴とする。
【0010】
米国特許第5,474,600号および欧州特許出願第2343090号は、それぞれ、イオナイザを含む空気浄化および濾過装置を記載している。さて、これらの2つの特許文献のどちらにおいても、企図されたイオナイザの構造は、分極電極が針状であり、接地電極が多孔質フィルムで薄型シリンダの形状をとる電極対を含まず、分極電極は、接地電極のシリンダの中に入らない。
【0011】
本発明による装置において、本発明による装置の電源は、プラズマを生成するのに十分な電圧をイオナイザに供給できるように選択される。
【0012】
イオナイザに関しては、その多孔質フィルムは、分極電極に対して、シリンダの反対側に配置される。多孔質フィルムは、好ましくは、金属材料で作られ、サイズが0.1mm~500mm、好ましくは5mm~50mmの範囲であり、厚さが0.5~50mm、好ましくは1~5mmの範囲の細孔を有する。現在、この多孔質フィルムは、金属メッシュの形をしており、そのメッシュは、さまざまな形状(正方形、菱形など)を有し得る。理想的には、問題の金属メッシュは、エキスパンドメタルのシートである。
【0013】
好ましい実施形態によれば、イオナイザは、少なくとも1つのコロナ効果デュアルプラズマ素子を備え、前記コロナ効果デュアルプラズマ素子は、
・第一の分極電極および第一の接地電極と、
・第二の分極電極および第二の接地電極と、
を備え、前記第一の分極電極および前記第二の分極電極は、同じ支持体のいずれかの側に配置され、前記第一の接地電極および前記第二の接地電極は、この同じ支持体のいずれかの側で、前記第一の分極電極および前記第二の分極電極の近傍にそれぞれ配置される。
【0014】
有利なことに、前記第一の分極電極および前記第二の分極電極は、同じ第一の電位に接続され、前記第一の接地電極および前記第二の接地電極は、第一の電位とは異なる同じ第二の電位に接続されている。好ましくは、第一の電位は負であり、第二の電位は接地されている。また、1つまたは複数の分極電極が負電位に接続されている場合、これらは、放電電極と呼ばれることに留意されたい。
【0015】
さらに有利なことに、前記第一の分極電極および前記第二の分極電極は、実質的に針状であり、前記第一の分極電極、前記第二の分極電極および前記第一の電位に接続された導電性支持体によって支持され、前記導電性支持体は、好ましくは実質的に平坦で、第一の分極電極、第二の分極電極、および第一の電位に接続されている。
【0016】
理想的には、前記第一の分極電極および前記第二の分極電極が軸方向に整列し、好ましくは、単一の同一部品を形成する。
【0017】
有利なことに、前記導電性支持体は、前記第一の分極電極、前記第二の分極電極、および前記第一の電位に接続された少なくとも1つの導電性トラックを備える、プリント回路を備える。好ましくは、前記2つの分極電極のそれぞれが、前記少なくとも1つの導電性トラックに穿孔された金属化ビアに配置される。このプリント回路は、好ましくは完全に、前記少なくとも1つの導電性トラックの周囲に形成された狭いストリップを除いて、開口部を備える。
【0018】
非熱プラズマ空気処理システムによる強力な酸化剤を構成するオゾンの発生は、プラズマ処理後の残留汚染物質の除去を大幅に改善するという点で非常に興味深い。現在、これらの処理システムを離れる大気中のこのオゾンの存在は、気道に重大なストレスを発生させ、したがって、問題となっている。そのため、これらの有毒な副産物、特に、出口でのオゾン濃度が100ppm(v)(つまり、0.2g/m3)を超え得るオゾンを除去するために、後処理を実行することが不可欠である。これを行うために、活性炭、ゼオライト、または酸化マンガン(MnO2)から選択され、室温でオゾンと窒素酸化物の非常に迅速な分解を可能にする触媒が組み込まれている。この場合、ハニカム基板の形態の触媒で、例えば、酸化マンガンでコーティングされたアルミニウム製のものを使用することが好ましい。通常、このようなハニカム基板は、オゾンを中和するのに十分な効果を発揮するために、少なくとも10mmの厚さである必要がある。
【0019】
イオナイザの下流(ただし触媒の上流)に配置された前記少なくとも1つのフィルタに関して、これは、イオナイザの出口に大量のオゾンが存在することに起因する強酸化性雰囲気に耐えることのできる材料でできている必要がある。
【0020】
好ましくは、フィルタは、ガラスまたはセラミックなどの鉱物材料でできており、特に好ましい方法では、フィルタはガラス繊維に基づいている。効果的であるためには、前記少なくとも1つのフィルタは、特にガラス繊維において、少なくとも10mmの少なくとも厚さを有さなければならない。
【0021】
さて、その濾過機能に加えて、フィルタによって、また、有利なことに、イオナイザと触媒との間の酸化空間を規定することが可能になる。この空間では、イオナイザから出る粒子は、オゾンとの反応により、ほぼ完全に分解されるまでトラップされる。
【0022】
これを行うために、前記少なくとも1つのフィルタは、100mm以下、好ましくは200mm以下、特に好ましくは300mm以下の高さを有する。
【0023】
典型的には、フィルタは、典型的にはガラス繊維の鉱物材料の連続する層、少なくとも2つの層、好ましくは少なくとも3つまたは4つの層、そして特に好まくは少なくとも5つまたは6つの層の重ね合わせを含み得る。
【0024】
これらの層のそれぞれは、少なくとも10mm、好ましくは少なくとも20mm、そして最も好ましくは少なくとも30mmの厚さを有する。ここで、これらの層のそれぞれは、厚さが50mm未満になる。
【0025】
問題の層は、濾過/保持面積を増加させるために、線形またはV字形のプロファイルを有し得る。
【0026】
空気を加圧して、イオナイザを通り、次にフィルタを通って触媒に向かって空気が確実に流れるための手段に関しては、タービンのファンの形をとることができる。好ましくは、空気を加圧するこの手段は、タービンである。
【0027】
本発明の他の特徴、詳細および利点は、以下の図面と関連して、以下に例示として与えられる詳細な説明からより明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による空気浄化装置の好ましい実施形態を概略図で示す。
【
図2】2つのセルを有するデュアル素子を備えるイオナイザを断面図で示す。
【
図4】このようなイオナイザ用の分極電極をサポートするプリント回路を上面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1に示される第一の態様によれば、本発明は、
図1に示されるようなイオナイザ(10)を備える空気浄化装置に関する。そのような装置は、ファン(1)の形をとる装置内の空気を加圧する手段(1)を備え、ファン(1)は、装置内で空気が、最初にイオナイザ(10)の中を、次にガラス繊維の連続層(41、42、43)を含むフィルタ(40)の中を、最後に触媒(50)の中を流れることを確実にし、出口の排水からオゾンを除去できるようにする。イオナイザは、極性電極(12、22)、接地電極(13、23)を有する2つの結合された反転したセルを備える。第一の分極電極12および第二の分極電極22は、同じ第一の電位8に接続され、第一の接地電極13および第二の接地電極23は、第一の電位8とは異なる同じ第二の電位9に接続される。これらの電位は、電源の端子から得られる。
【0030】
第一および第二の電位8、9の符号は、どのようなものでも構わない。しかしながら、コロナ効果によって得られるイオン化は、分極電極が負の電位に接続されている場合(以下、放電電極と呼ばれる)、より効果的であることが知られている。また、好ましくは、第一の電位8は負であり、第二の電位9は接地されている。
【0031】
このイオナイザ10の好ましい構造は、
図2および
図3に詳細に示されている。この好ましい構造では、イオナイザは、対称的に(逆構成で)組み立てられた2つのセル11、21を有する。また、イオナイザ10は、第一のコロナ効果プラズマセル11および第二のコロナ効果プラズマセル21を有する。第一のセル11は、第一の分極電極12と、第一の分極電極12の反対側に配置された第一の接地電極13とを備える。第二のセル21は、第二の分極電極22と、第二の分極電極22の反対側に配置された第二の接地電極23とを備える。
【0032】
各分極電極12、22は、実質的に針状であり、その分極電極12、22の反対側に配置された接地電極13、23を有する。各接地電極13、23は、その分極電極12、222を実質的に中心とするシリンダ14、24と、それぞれの分極電極12、22に実質的に平坦で垂直な多孔質フィルム15、25とを備える。各分極電極12、21は、流体の流れの通過を可能にするために、有利に穿孔された支持体16、26に、典型的には固定されている。各分極電極12、22と各接地電極13、23との間の距離は、少なくとも1つのスペーサ17、27によって維持される。
【0033】
セル11、21は、シリンダ14、24が薄型になるように成形されるという点で改善されている。これは、シリンダ14,24の高さがその直径と比較して無視できることを意味する。典型的には、シリンダの直径は、20~100mmの間、好ましくは25~75mmの間、例えば30~60mmの間、そして、特に好ましくは35~55mmの間である。シリンダの厚さはと言えば、10mm未満、好ましくは1~5mmである。さらに、各分極電極12、22は、そのシリンダ14、24の中を貫通しないように、十分に短い形状になっている。
【0034】
イオナイザ10によってイオン化される流体の流れは、
図2および
図3に対して実質的に垂直である。
【0035】
このようなイオナイザ構造には、多くの明白な利点があることが分かってきた。したがって、セル11,21を2倍にすると、得られる効率も寿命も大幅に向上する。実際、コロナセルの有害な影響は、その分極電極12、22が誘電体結晶を沈殿させ、それが前記分極電極12、22を徐々に分離し、セル11、21の効率を低下させることである。1つではなく2つのセルを使用するということで、イオナイザ反応器10の平均余命を大幅に改善することが可能になった。第二のセル21の配向と反対の配向を有する第一のセル11は、それらの電離効果が互いに組み合わされて補完し、こうして、全体的な電離効果を増大させる。反対の配向は、さらに有利なことに、2つのセル11、21に同じ分極を適用することが可能になる。配向および分極の組み合わされたこれらの2つの特性は、有利なことに、第一の分極電極12を第一の支持体16に固定し、第二の分極電極22を第二の支持体26に固定することが可能になる。有利なことに、これらの2つの支持体16、26は、単一の共通支持体36であり得る。分極電極12、22は、それぞれ、支持体36の1つの面によってそれぞれ支持されている。これは、有利なことに、第一の分極電極12および第二の分極電極22の極性が同じ(好ましくは負)であり、共通のコネクタおよび共通の電位源を使用して、これらの2つの分極電極12、22を分極することが可能になる。したがって、この構造は、特に経済的で有利である。それゆえ、有利な実施形態によれば、共通支持体36は、導電性であり得、第一の分極電極12、第二の分極電極22、および第一の電位8に接続され得る。
【0036】
別の有利な実施形態によれば、共通支持体36は、第一の分極電極12、第二の分極電極22、および第一の電位8に接続された少なくとも1つの導電性トラック31を備えるプリント回路36を含む。
【0037】
コロナ効果プラズマデバイスの分極には、分極電極と接地電極の間に大きな電位差が必要であり、その電位差は数千ボルトのオーダーである。また、第一の電位8が非常に高く、オペレータが負傷する可能性がある。本発明による構成は、有利なことに、この第一の電位8をイオナイザ10の中央に閉じ込めることを確実にする。こうして、高い第一の電位8は、オペレータの手が触れないところにある。
【0038】
支持体16、26はプリント回路36であり、第一の電位8は、別の特性に従って、前記プリント回路36に有利に配置された導電性トラック31によって支持体内に分配され、実質的に針状の分極電極12、22は、プリント回路36に貫通されたビア33によって支持体16、26上に有利に組み立てられる。これによって、有利なことに、溶接による分極電極12、22の固定が可能になる。有利なことに、ビア33は、金属化され、導電性トラック31に穿孔される。穿孔は、それが電気的接続を提供するようなものである。したがって、接続されるようにビア33に分極電極12、22を固定することにより、分極電極12、22と第一の電位8との間の接続が確実になる。これにより、分極電極12、22の固定および接続の簡単な実施形態が可能になる。
【0039】
流体の流れを横切って配置されているプリント回路36は、この流体の流れが通過できるようにするために有利なことに穿孔されている。一実施形態によれば、この目的のために少なくとも1つの開口部38が作られる。流体の通過を最大化するために、前記少なくとも1つの開口部38は、前記少なくとも1つの導電性トラック31の周りに形成された少なくとも1つの狭いストリップを除いて、プリント回路36の表面全体を覆い得る。
【0040】
本発明による装置で使用可能なイオナイザ用のプリント回路36の実施形態は、正方形グリッド配置に適合されたプリント回路36を表す
図4に示されている。このプリント回路36は、アレイ、例えば、導電性トラック31の長方形アレイを備える。これらのトラックは、有利なことに、プリント回路36の絶縁厚さに埋め込まれる。これらのトラックは、第一の電位8に電気的に接続される。実質的に正方形のグリッド配置では、ビア33が穿孔され、その中に分極電極12、22、32が設置される。プリント回路36は、流体が通過する断面を最大化するために、最大面積を占める開口部38から切り取られる。この最大表面積は、トラック31の周りの狭いストリップを節約することによって、制限されるだけである。穴39は、有利なことに絶縁材料で作られたスペーサ17、27、37を固定できるようにするために、空間的に分散されるように、有利なことに電気的接続なしで配置される。