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特許7295947多孔質金属箔又はワイヤ、及びそれから製造したコンデンサアノード、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】多孔質金属箔又はワイヤ、及びそれから製造したコンデンサアノード、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/08 20060101AFI20230614BHJP
   C22C 27/02 20060101ALI20230614BHJP
   B22F 3/11 20060101ALI20230614BHJP
   B22F 3/10 20060101ALI20230614BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
C22C1/08 Z
C22C27/02 103
C22C1/08 F
B22F3/11 A
B22F3/10 F
B22F3/24 H
B22F3/24 102Z
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021523787
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 JP2019042680
(87)【国際公開番号】W WO2020090935
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】62/752,431
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512029272
【氏名又は名称】グローバルアドバンストメタルジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(72)【発明者】
【氏名】堀尾 勇幸
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-305780(JP,A)
【文献】特開2011-198873(JP,A)
【文献】特開2009-152273(JP,A)
【文献】特表2010-500771(JP,A)
【文献】特開昭61-121320(JP,A)
【文献】GS UPADHYAYA,Powder metallurgical processing and metal purity: A case for capacitor grade sintered tantalum,BULLETIN OF MATERIALS SCIENCE,2005年07月31日,28,第305-307頁
【文献】CHANDRASEKHANRAN RAMESH,Thermal oxidation of tantalum films at various oxidation states from 300 to 700℃,JOUNNAL OF APPLIED PHYSICS,米国,AMERICAN INSTITUTE OF PHYSICS,2005年12月12日,98,114908
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C1/04-1/059;1/08-1/10;33/02;47/00-49/14
B22F1/00-8/00;10/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある厚さ及び外面を有する多孔質金属箔又はワイヤであって、前記多孔質金属箔又はワイヤは、a)0.2mm以下の公称厚さ又は0.05mm~1.0mmの直径を有するタンタル箔、及びb)少なくとも前記外面に多孔性を備え、前記多孔性が、前記外面の少なくとも50ミクロン下のレベルにさらに存在し、前記多孔質金属箔又はワイヤが、少なくとも99.9%Taの純度レベルを有し、前記多孔質金属箔又はワイヤが、200ppm未満の炭素量を有する、多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項2】
前記公称厚さが、0.01mm~0.2mmである、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項3】
前記直径が、0.05mm~0.5mmである、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項4】
前記公称厚さが、0.02mm~0.18mmである、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項5】
前記公称厚さが、0.03mm~0.18mmである、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項6】
前記多孔質金属箔又はワイヤが、100ppm未満の炭素量を有する、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項7】
前記多孔質金属箔又はワイヤが、5ppm~100ppmの炭素量を有する、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項8】
前記外面が、細孔及び露出した微粒子状面を備え、前記微粒子状面が、5nm~500nmの平均一次粒子サイズを有する、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項9】
前記外面が、細孔及び露出した微粒子状面を備え、前記微粒子状面が、50nm~200nmの平均一次粒子サイズを有する、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項10】
前記金属箔が、10mm~50mmの長さ、5mm~25mmの幅、及び0.01mm~0.2mmの公称厚さを有する、請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の前記多孔質金属箔、及び前記多孔質金属箔上の誘電体酸化膜を備えたコンデンサアノード。
【請求項12】
前記多孔質金属箔が、焼結多孔質金属箔である、請求項11に記載のコンデンサアノード。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のコンデンサアノードを備えたコンデンサ。
【請求項14】
請求項1に記載の多孔質金属箔又はワイヤの形成方法であって、前記方法は、
a.金属箔又はワイヤを、前記金属箔又はワイヤ上に酸化層を形成する酸化処理にさらすこと、
b.工程a)の金属箔又はワイヤを、前記金属箔又はワイヤの少なくとも面上に多孔性を形成するための脱酸素化処理にさらすこと、
を含み、前記酸化処理が、少なくとも50ミクロンの厚さを有する前記酸化層を形成する、方法。
【請求項15】
前記工程b)が、前記工程a)の後に1回以上繰り返される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記工程a)が、1回以上繰り返され、工程b)が、1回以上繰り返される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化処理が、空気中、少なくとも500℃の温度で少なくとも5分間にわたる前記金属箔又はワイヤのか焼を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記酸化処理が、空気中、500℃~650℃の温度で5分間~10時間の時間にわたる前記金属箔又はワイヤのか焼を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
工程b)の後に前記金属箔又はワイヤを真空焼結することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記酸化処理が、化学酸化処理を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記脱酸素化処理が、工程a)の前記金属箔又はワイヤを、少なくとも500℃の温度で、少なくとも5分間にわたって、酸素ゲッター材にさらすことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記脱酸素化処理が、工程a)の前記金属箔又はワイヤを、700℃~1300℃の温度で、5分間~10時間の時間にわたって、酸素ゲッター材にさらすことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
工程b)の後に、前記金属箔又はワイヤを、酸浸出に、次いで水でのリンスに、次いで乾燥にさらすことをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
工程b)の後に、前記金属箔を焼結すること、次いで電解質中で前記金属箔を陽極酸化して、前記金属箔上に誘電体酸化膜を形成し、コンデンサアノードを形成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記コンデンサアノードが、10nA/uFV以下の漏れ電流を有する、請求項11又は12に記載のコンデンサアノード。
【請求項26】
前記コンデンサアノードが、0.1nA/uFV~1.0nA/uFVの漏れ電流を有する、請求項11又は12に記載のコンデンサアノード。
【請求項27】
前記酸化処理及び前記脱酸素化処理が、それらの間でアニーリングを行うことなくなされる、請求項1424の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、その全内容が参照により本明細書に援用される2018年10月30日に出願された先行米国特許仮出願第62/752431号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、金属箔及びワイヤ、並びにそれを含有するアノード及びコンデンサに関する。詳細には、本発明は、タンタル箔を含む多孔質金属箔又はワイヤに関する。
【0003】
本発明は、さらに、多孔質金属箔又はワイヤの製造方法、さらには多孔質金属箔を含むアノード及びコンデンサの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
タンタル粉末などのバルブ金属粉末は、多くのその用途の中でも、一般にコンデンサ電極の製造に用いられる。
【0005】
現在、例えば、タンタル粉末は、一般的に、機械的プロセス又は化学的プロセスの2つの方法のうちの一方を介して製造される。機械的プロセスは、タンタルの電子ビーム溶融によるインゴットの形成、インゴットの水素化、水素化物のミリング、並びに続いての脱水素化、粉砕、及び熱処理の工程を含む。このプロセスは、一般的に、高純度の粉末を生成する。
【0006】
タンタル粉末の製造のための他の一般的に用いられるプロセスは、化学的プロセスである。タンタル粉末製造のためのいくつかの化学的方法が、本技術分野において公知である。Vartanianに対して発行された米国特許第4067736号明細書及びReratに対して発行された米国特許第4149876号明細書は、フッ化タンタル酸カリウム(KTaF)のナトリウム還元を含む化学的製造プロセスに関する。典型的な技術のレビューは、Bergman et al.に対して発行された米国特許第4684399号明細書及びChangに対して発行された米国特許第5234491号明細書の背景技術のセクションにも記載されている。すべての特許及び刊行物は、その全内容が参照により本明細書に援用される。
【0007】
化学的方法によって製造されるタンタル粉末は、例えば、コンデンサでの使用に良く適しており、なぜなら、それらは一般的に、機械的方法によって製造される粉末よりも広い表面積を有するからである。化学的方法は、一般的に、還元剤によるタンタル化合物の化学還元を含む。典型的な還元剤としては、水素、並びにナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウムなどの活性金属が挙げられる。典型的なタンタル化合物としては、限定されないが、フッ化タンタル酸カリウム(KTaF)、フッ化タンタル酸ナトリウム(NaTaF)、五塩化タンタル(TaCl)、五フッ化タンタル(TaF)、及びこれらの混合物が挙げられる。最も広く用いられている化学的プロセスは、液体ナトリウムによるKTaFの還元である。
【0008】
タンタル粉末などのバルブ金属粉末の化学還元では、フッ化タンタル酸カリウムが回収され、溶融され、ナトリウム還元によって還元されて、タンタル金属粉末とされる。次に、乾燥されたタンタル粉末の回収、所望に応じて、タンタルの酸化を回避するための真空下での熱凝集、及び粉砕が行われてよい。コンデンサの製造において、バルブ金属材料の酸素濃度が重要となり得ることから、次にこの顆粒状粉末は、典型的には、バルブ金属よりも酸素に対する親和性が高いアルカリ土類金属(例:マグネシウム)などのゲッター材の存在下、高温(例:約1000℃以上まで)で脱酸素される。材料がさらに処理される前に、金属及び耐熱性酸化物の汚染物(例:マグネシウム及び酸化マグネシウム汚染物)を溶解するために、脱酸素後プロセスの標準大気条件下(例:およそ760mmHg)で行われる酸浸出が、例えば硫酸及び硝酸を含む無機酸溶液を用いて行われ得る。酸浸出された粉末は、洗浄及び乾燥され、続いて、従来の方法で圧縮、焼結、及び陽極酸化されて、コンデンサ用のアノードなどの焼結多孔質体が製造され得る。
【0009】
タンタル粉末開発の取り組みのほとんどは、コンデンサアノード産業界によって牽引されてきており、この産業界では、この特定の目的だけのために粉末が製造されてきた。
【0010】
技術が進歩し、電気デバイスが次第に小さくなっていくに従って、そのような小さい又は小型のデバイスに用いることができるアノードを提供することが求められている。今日の多くのアノードは、上記で示したように、タンタル粉末を用い、この粉末をプレスしてアノード形状とし、アノードを焼結して焼結体を形成し、続いてこの焼結体を電解質中で陽極酸化して、焼結体上に誘電体酸化膜を形成し、最終的にコンデンサアノードを形成することによって製造される。タンタル粉末を出発物質として用いるプレス及び焼結の方法では、非常に小さいアノードしか製造することができないために、問題が生じている。したがって、従来のプレス及び焼結の方法を用いることによっては、0.2mmよりも薄い許容されるアノードを得ることは極めて難しいと一般的には理解される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、この産業界では、厚さが0.2mmよりも薄いアノードを形成することができるように、一定して薄い厚さであり得る許容されるアノードを提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴は、薄いコンデンサアノードの形成に用いることができる多孔質金属箔又はワイヤを提供することである。
【0013】
本発明の別の特徴は、多孔質金属箔又はワイヤから製造されたアノード及びコンデンサを提供することである。
【0014】
本発明のさらなる特徴は、アノードの製造に用いることができる多孔質金属箔又はワイヤを形成するための方法を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる特徴及び利点は、一部は、以下の記述に示され、及び一部は、その記述から明らかとなり、又は本発明の実践によって認識され得る。本発明の目的及び他の利点は、その記述及び添付の請求項において特に指摘される要素及び組み合わせによって実現され、達成される。
【0016】
これらの及び他の利点を達成するために、及び本発明の目的に従って、本明細書で具体化され広く記載されるように、本発明は、一部、多孔質金属箔又はワイヤに関する。多孔質金属箔又はワイヤは、ある厚さ及び外面を有する。多孔質金属箔又は多孔質金属ワイヤは、0.2mm以下の公称厚さを有するタンタル箔を備える、若しくはそのタンタル箔を含む、若しくはそのタンタル箔である、又は約0.05mm~約1.0mmの直径を有する。多孔質金属箔又は多孔質金属ワイヤは、さらに、金属箔又は金属ワイヤの少なくとも外面上に多孔性を有する。
【0017】
本発明は、さらに、本発明の多孔質金属箔及び多孔質金属箔上に形成された誘電体酸化膜を含む、又はそれらから形成されるコンデンサアノードにも関する。
【0018】
本発明はまた、タンタルを含む若しくはタンタルである金属箔又はワイヤを、金属箔又はワイヤ上に酸化層を形成する酸化処理にさらすことを含む、本発明の多孔質箔又はワイヤの形成方法にも関する。続いて、この方法はさらに、この金属箔又はワイヤを、金属箔又はワイヤの少なくとも面上に多孔性が形成されるように、脱酸素化処理にさらすことを含む。
【0019】
上記の概略的記述及び以下の詳細な記述は何れも、単に例示及び説明のためのものであり、請求される本発明のさらなる説明を提供することを意図するものであることは理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明で形成された箔及びワイヤのSEM写真であり、多孔質構造が存在することを示している。特に、SEM写真に示されるように、微粒子状の露出面に似たエッチング面が示される。
図2図2は、本発明で用いることができるプロセスの1つの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、多孔質金属箔又は多孔質金属ワイヤに関する。さらに、本発明は、多孔質金属箔及び/又は多孔質金属ワイヤを含む、又はそれらから形成されるコンデンサアノードに関する。加えて、本発明は、本発明の多孔質金属箔又は多孔質金属ワイヤの形成方法に関する。本発明はさらに、本明細書で述べる他の態様にも関する。
【0022】
より詳細には、本発明の多孔質金属箔又は多孔質金属ワイヤは、ある厚さ及び外面(すなわち、外部面又は露出面)を有する。多孔質金属箔は、ある公称厚さを有するタンタル箔を含む、そのタンタル箔を備える、そのタンタル箔から本質的に成る、そのタンタル箔から成る、又はそのタンタル箔である。この厚さは、例えば、0.2mm以下であってよい。さらに、多孔質金属箔は、少なくとも外面上に多孔性を有する。
【0023】
金属箔の厚さ又はタンタル箔の厚さに関して、記載したように、この厚さは、0.2mm以下、又は他の厚さであってもよい。例えば、厚さは、0.01mm~0.2mm、又は0.02mm~0.2mm、又は0.012mm~0.2mm、又は0.025mm~0.15mm、又は0.05mm~0.1mm、又は0.04mm~0.1mm、又は0.015mm~0.09mm、及びこれらの範囲内又は範囲外の他の厚さであってよい。
【0024】
本発明の目的のために、金属箔は、本明細書で述べる厚さを有する金属リボン又は金属ストリップと見なされ得る。本発明の目的のために、タンタル箔は、本明細書で述べる厚さを有するタンタルリボン又はタンタルストリップと見なされ得る。タンタル箔など金属箔は、粉末冶金グレード又はインゴット誘導グレード(ingot derived grade)(例:電子ビーム(EB)グレード)であってよい。タンタル箔など金属箔(又は、出発タンタル箔などの出発金属箔)は、Global Advanced Metals USA、Alfa Aesar、及びH.C.Starckを含むいくつかの供給業者から市販されている。
【0025】
本発明の多孔質金属箔は、少なくとも99.9%Ta(重量基準)(ガスは除外)であってよい金属純度を有し得る。この純度は、例えば、少なくとも99.95%Ta、若しくは少なくとも99.99%Ta、又は例えば約99.9%Ta~99.995%Ta以上であってよい。
【0026】
オプションとして、多孔質金属箔は、100ppm未満、又は50ppm未満、又は25ppm未満を例とする200ppm未満の炭素含有量又は炭素量を有してよい。例えば、多孔質金属箔中の炭素量又は炭素含有量は、炭素(元素形態)に関して約5ppm~約199ppm、又は約10ppm~175ppm、又は約15ppm~150ppm、又は約25ppm~150ppmの炭素(元素形態)であってよい。
【0027】
多孔質金属箔は、これらの炭素含有量又は炭素量の範囲の何れか1つと組み合わせて、タンタルに関する上述の純度レベルを有してよい。
【0028】
本発明の多孔質金属箔は、さらに、本明細書で示される多孔性を有する。この多孔性は、少なくとも外面上に存在する。外面上の多孔性は、均一であっても又は不均一であってもよい。多孔性は、複数の細孔及び/又は窪みであると理解され得る。
【0029】
金属箔の多孔性は、外面又は外面上に存在してよいだけでなく、オプションとして、面の下(例:箔内又は箔の内部)にも存在してよい。この多孔性は、外面の下(例:多孔質金属箔の厚さ内)に存在する場合、厚さ全体を通っていてよく、又は厚さのある特定の領域若しくは部分を通っていてもよい。外面の下部の多孔性は、均一であっても又は不均一であってもよい。外面の下にある何れの多孔性の深さも、外面からの多孔性の位置に関して、一様であっても又は一様でなくてもよい。言い換えると、例えば、多孔性は、金属箔の一部の外面から5ミクロン(5マイクロメートル)の深さに存在してよいが、他の部分の同じ5ミクロン(5マイクロメートル)の深さには存在していなくてよい。
【0030】
本発明では、形成される多孔性によって、露出面は、一次粒子又は凝集粒子として見える固体金属の「島」を有する。露出面及び粒子状外観は、エッチングされた微粒子露出面と見なすことができる、又は微粒子若しくは凝集微粒子として見えるエッチングされた露出面と見なすことができる。これらのエッチングされた微粒子露出面は、一次粒子サイズのように定量又は測定することができるサイズを有することができる。
【0031】
したがって、金属箔又はワイヤは、約5nm~約500nm、例えば約5nm~約400nm、約5nm~約300nm、約5nm~約200nm、約10nm~約500nm、約20nm~約500nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約200nm、又はこれらの範囲内若しくは範囲外の他の範囲の微粒子(又は微粒子状)露出サイズ(図1に示されるような露出面での)を有することができる。本明細書で提供されるこれらの範囲の各々は、箔又はワイヤの露出面に存在する微粒子状面に対する平均粒子サイズであってよい。
【0032】
本発明では、少なくとも1つの露出面又は2つ以上の露出面、一般的には露出した2つの面(箔の上面及び下面であり、エッジ部ではない)での多孔性の形成から、その面又はすべての面の表面積が、本発明の多孔質金属箔又はワイヤを形成する本発明の方法に掛けられていない出発金属箔又はワイヤと比較して、面積として少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも125%、又は少なくとも150%増加される(露出表面積の約25%~150%の増加など)。表面積の増加は、総表面積を測定するBET(m/g)測定又は他の外部表面積測定であってよい。
【0033】
本発明の多孔質金属箔は、金属箔全体の体積に基づいて、多孔性が、約1体積%~約100体積%、約5体積%~約75体積%、約5体積%~約50体積%、約5体積%~約30体積%、約2体積%~約20体積%、及び同種の量などの100体積%以下、75体積%以下、50体積%以下、30体積%以下、20体積%以下の量で存在するように存在する多孔性を有してよい。記載したように、この体積パーセントで存在する何れの多孔質に関しても、多孔性は、多孔質金属箔に存在する場合、均一であっても、又は不均一であってもよい。
【0034】
一般的に、外面の多孔性は、存在する場合の外面の下部又は下にある何れの多孔性よりも多い量(例:細孔の数及び/又は多孔性の密度)で存在する。例えば、外面上の多孔性は、外面の下部の何れの領域と比較しても、同じ量であってよく、又は少なくとも10%多い多孔性の量であってもよい。例えば、この多孔性は、外面の下部にある又は金属箔の内部にある何れの領域と比較しても、外面に存在する細孔の数に関して、少なくとも20%多い、少なくとも50%多い、少なくとも75%多い、少なくとも100%多い、少なくとも150%多い、少なくとも200%多い状態であってよい。面から内部へ向かっての多孔性は、勾配状であってよく、この場合、多孔性の度合い及び/又は均一度が、外面から内部へ向かって減少する。
【0035】
別のオプションとして、外面の下又は金属箔の内部にある多孔性は、所望に応じて、外面よりも少なくとも5ミクロン(5マイクロメートル)下のレベルにあってよい。例えば、多孔性が存在するこのレベルは、外面の少なくとも10ミクロン(10マイクロメートル)下、外面の少なくとも25ミクロン(25マイクロメートル)下、外面の少なくとも50ミクロン(50マイクロメートル)下、若しくは外面の少なくとも100ミクロン(100マイクロメートル)下、又は他の深さの量のレベルであってよい。外面の下の何れの多孔性も、均一であっても、若しくは不均一であってもよく、及び/又はある特定の深さに一様に存在しても、若しくはある特定の深さに一様に存在していなくてもよい。例えば、まったくの例として、多孔性は、ある特定の深さの多孔質金属箔の1つの領域に存在してよいが、同じ深さの別の領域には存在してはならない。これは、不均一な多孔性が、特に面の下に存在する場合の1つの例となる。別の例では、ある特定の深さの1つの領域の多孔性の密度が、同じ深さの別の領域と比較して、同じであっても、又は異なっていてもよい。
【0036】
本発明の多孔質金属箔は、いかなる長さ、いかなる幅を有していてもよく、及び記載したように、一般的に0.2mm以下の公称厚さを有していてよい。例えば、金属箔の長さは、約10mm~約50mm、又はこの上限若しくは下限値の中若しくは外の他の長さであってよい。多孔質金属箔は、約5mm~約25mmの幅、又はこの上限若しくは下限値の中若しくは外の他の幅を有していてよい。
【0037】
ある直径及び外面を有する多孔質金属ワイヤは、多孔性を有するタンタルワイヤを備える、そのタンタルワイヤを含む、そのタンタルワイヤから本質的に成る、そのタンタルワイヤから成る、又はそのタンタルワイヤである。本発明のワイヤを製造するための出発タンタルワイヤなどのこの出発金属ワイヤは、本明細書で述べる金属箔と同じ供給業者から市販されている。多孔質金属ワイヤに関して、本発明の多孔質金属ワイヤは、多孔性に関して多孔質金属箔の場合に本明細書で述べたものと同じ特徴及び特色を有する。金属箔の場合の多孔性に関する特徴、特色、及び特性についての本明細書での考察は、この多孔質金属ワイヤの実施形態に同等に当てはまる。多孔質金属箔に関するタンタル及びその純度についての考察は、本明細書において、多孔質金属ワイヤの実施形態に同等に当てはまり、これらの各々は、繰り返しを避けるために、このワイヤの実施形態に援用される。
【0038】
本発明の多孔質金属ワイヤは、記載したように、外面を有し、約0.05mm~約1.0mmであってよい直径を有する。この直径は、約0.05mm~約0.75mm、又は約0.05mm~約0.5mm、又はこれらの範囲の何れか1つの範囲内若しくは範囲外の他の直径であってよい。多孔質金属ワイヤは、いかなる長さであってもよい。「直径」の用語は、一般的に、円形の断面形状を意味するが、断面形状が四角形又はそのような他の幾何学的形状である場合、直径の用語は、これらの他の形状も包含し、直径は、その場合、これらの他の形状に対する断面長さ及び/又は幅のパラメータを表すことは理解される。
【0039】
本発明の多孔質金属箔は、コンデンサアノードに利用することができる、又はコンデンサアノードに形成することができる。コンデンサアノードは、本発明の多孔質金属箔を備える、多孔質金属箔を含む、多孔質金属箔から本質的に成る、多孔質金属箔から成る、又は多孔質金属箔である。コンデンサアノードは、さらに、多孔質金属箔上に存在する又は形成される誘電体酸化膜又は層を含む。コンデンサアノードを形成する多孔質金属箔は、焼結多孔質金属箔であってよい。
【0040】
さらに、本発明は、本発明のコンデンサアノードを含むコンデンサに関する。
【0041】
本発明のコンデンサアノードは、本発明の多孔質金属ワイヤを含んでよく、これを、本発明のコンデンサアノード及び/又はコンデンサ用として用いることができる。
【0042】
本発明はさらに、本発明の多孔質金属箔及び/又は多孔質金属ワイヤの形成方法に関する。
【0043】
本発明の多孔質金属箔又は多孔質金属ワイヤの形成方法は、金属箔又はワイヤを、金属箔又はワイヤの少なくとも面上に酸化層を形成する酸化処理にさらすことを含んでよい、その酸化処理にさらすことを包含してもよい、その酸化処理にさらすことから本質的に成ってよい、又はその酸化処理にさらすことから成ってよい。この方法はさらに、金属箔又はワイヤを、酸化処理の後に、金属箔又はワイヤの少なくとも面上に多孔性が形成されるように、脱酸素化処理にさらす工程を含む。示されるように、多孔性は、少なくとも1つの外面上、いくつかの外面上、又はすべての外面上に形成されてよく、所望に応じて、上記で述べたように、面の下にある1又は複数の内部領域又は深さ部分を含んでよい。図2は、これらの工程の概略を示す。
【0044】
本発明の方法では、金属箔又はワイヤを酸化処理にさらす工程は、1回以上繰り返されてもよい。例えば、酸化処理工程は、1回、2回、3回、又は1~10回以上にわたって繰り返されてよい。各工程に対する条件は、繰り返される場合、他の酸化処理工程と同じであっても、又は異なっていてもよい。
【0045】
脱酸素化処理工程は、1回以上繰り返されてもよい。例えば、この工程は、少なくとも1回、又は少なくとも2回、又は少なくとも3回、又は1~10回以上にわたって繰り返されてよい。各脱酸素化処理工程に対する条件は(繰り返される場合)、先行する脱酸素化処理工程と同じであっても、又は異なっていてもよい。
【0046】
オプションとして、酸化処理工程及び脱酸素化処理工程は、各々、1回以上繰り返されてよい。
【0047】
酸化処理に関して、この工程は、金属箔又はワイヤの酸化を引き起こす温度の空気中での金属箔又はワイヤのか焼を含んでよい、そのか焼を包含してもよい、そのか焼から本質的に成ってよい、そのか焼から成ってよい、又はそのか焼であってよい。例えば、温度は、少なくとも500℃であってよい。酸化処理は、5分間~10時間以上など、少なくとも5分間以上であってよい。したがって、酸化処理の1つの例は、空気中、少なくとも500℃の温度で少なくとも5分間にわたる金属箔又はワイヤのか焼である。例えば、空気中でのか焼は、約500℃~約650℃の温度、約5分間~約10時間以上の時間であってよい。
【0048】
酸化処理は、化学酸化処理であってよい、化学酸化処理を含む、化学酸化処理を含む、化学酸化処理から本質的になる、又は化学酸化処理から成る。化学酸化処理の例は、HF酸などの酸を、例えば高温で(例:40℃~600℃の温度で)用いる処理である。化学酸化処理は、高温で(例:40℃~600℃の温度で)アルカリ性浴を用いる処理であってもよい。
【0049】
金属箔又はワイヤ上に酸化層を形成する酸化処理に関して、この酸化処理は、少なくとも1ミクロン(1マイクロメートル)の厚さ、又は少なくとも5ミクロン(5マイクロメートル)の厚さ、又は少なくとも10ミクロン(10マイクロメートル)の厚さ、又は少なくとも50ミクロン(50マイクロメートル)の厚さ、及び同種の厚さを有する酸化層を形成してよい。
【0050】
オプションとして、酸化処理は、箔又はワイヤの酸化を、金属箔又は金属ワイヤの全体積に関して50体積%以下、40体積%以下、30体積%以下、20体積%以下、10体積%以下に対して引き起こしてよい。
【0051】
脱酸素化処理に関して、この工程は、金属箔又はワイヤ(酸化処理に掛けられたもの)を高められた温度で酸素ゲッター材に接触させる工程を含んでよい、その工程を包含してもよい、その工程から本質的になってよい、その工程から成ってよい、又はその工程であってよい。例えば、この温度は、少なくとも500℃であってよい。金属箔又はワイヤを酸素ゲッター材に接触させる時間の長さは、少なくとも5分間であってよい。例えば、まったくの例として、脱酸素化処理は、金属箔又はワイヤを、少なくとも約500℃の温度で、約5分間~約10時間以上の時間にわたって、酸素ゲッター材に接触させる工程を含んでよい、又はその工程である。例えば、温度は、約600℃~1300℃、又は約700℃~1300℃、又は約700℃~約1200℃、又は約700℃~約1000℃であってよい。
【0052】
オプションとして、脱酸素化工程の後、金属箔又はワイヤは次に、所望に応じて、真空焼結などの焼結に掛けられてよい。焼結温度は、約1000℃~約1600℃であってよい。焼結のための時間の長さは、約5分間~約10時間であってよい。
【0053】
オプションとして、脱酸素化処理後の金属箔又はワイヤは、酸浸出(例:HNO3)に掛けられてよく、次にリンスされてよく、次に乾燥されてよい。
【0054】
オプションとして、酸化処理及び脱酸素化処理は、酸化処理と脱酸素化処理との間にいかなるアニーリングも行うことなく成されてよい。
【0055】
オプションとして、本発明のコンデンサアノードを形成するために、金属箔は、電解質中で陽極酸化されて、金属箔上に誘電体酸化膜又は層が形成されてよい。
【0056】
本発明のコンデンサアノードは、10nA/uFV以下の漏れ電流を有してよい。この漏れ電流は、例えば、5nA/uFV以下、又は1nA/uFV以下、約0.1nA/uFV~約10nA/uFV、又は約0.1nA/uFV~約5nA/uFV、又は約0.1nA/uFV~約1nA/uFVであってよい。
【0057】
本発明は、本発明の例示であることを意図する以下の例によってさらに明らかにされる。
【実施例
【0058】
例1
この例では、多孔質金属箔及びワイヤを、本発明に従って製造した。
【0059】
Global Advanced Metals,KKが製造した厚さ0.07mmの市販の出発タンタル箔を用いた。この箔を、各箔片が幅10mm、長さ50mmとなるような寸法に切断した。次に、このタンタル箔を、30%HNOで酸浸出し、脱イオン水でリンスし、その後乾燥させた。
【0060】
さらに、直径0.5mmの出発タンタルワイヤを、350mmの長さに切断し、バネ形状に巻き、その後アセトンでリンスし、乾燥させた。この出発コンデンサグレードタンタルワイヤは、Global Advanced Metals,USAが製造した。
【0061】
複数のタンタル箔片を実験で用い、及びある直径のワイヤの複数片を実験で用いた。タンタル箔の一部及びタンタルワイヤの一部を、溶融KOH浴中、およそ500℃で5分間の化学酸化に前もって掛け、脱イオン水でリンスし、乾燥した。この処理は、表中で「DGS」をして表記する。
【0062】
次に、すべてのサンプルをセラミックボウルに入れ、以下の処理のうちの1つに掛けた:
a)550℃で30分間
b)600℃で30分間
c)550℃で120分間
d)570℃で120分間、又は
e)空気中でのか焼をまったく行わない。
【0063】
さらに、続いてサンプルの一部を、オプションとして1400℃で20分間にわたって真空アニーリングした。
【0064】
その後、すべてのサンプルを、マグネシウムチップを用いることを含む脱酸素化処理に掛けた。詳細には、8グラムのマグネシウムチップを、長さ100mm、幅60mm、高さ25mmの寸法であるタンタルボックスの底に置き、タンタル箔及びタンタルワイヤのサンプルをマグネシウムチップの上に置き、蓋を閉め、合計でおよそ5時間にわたって750℃又は980℃の何れかに掛けた。この時間のうちの一部は、アルゴン雰囲気下を含んでいた。冷却後、真空ポンプ吸引及び空気導入のサイクルを繰り返すことによって、空気による不活性化を行った。
【0065】
その後、脱酸素化に掛けた材料を、HNO(60%濃度)を用いて酸浸出した。次に、この材料を脱イオン水でリンスし、乾燥した。この脱酸素化処理を、同じ条件を用いて2回繰り返した。
【0066】
アノード形成のために、長さ60mmである直径0.5mmのワイヤを、試料に溶接し、タンタル箔及びワイヤを、1200℃で20分間にわたる真空焼結に掛けた。
【0067】
アノード形成のために、0.1体積%のHPOを含む20ボルトでの形成を、60℃で120分間にわたって用い、目標Vfのための電流密度は、20μA/mmであった。その後、電気的特性を測定した。
【0068】
液体電解質中での電気的測定を、静電容量については、30体積%のHSO中、120Hz及び1.5ボルトのバイアス電圧により25℃で行い、DC漏れ電流については、10体積%のHPO中、14ボルトで3回の充電により25℃で行った。
【0069】
実験の結果を以下の表に示す。
【表1】
【表2】
【0070】
目視観察により、及び上記で示した電気特性を考慮すると、本発明の酸化及び脱酸素化処理を用いることによって、多孔質構造が、少なくとも箔及びワイヤの面上に直接形成された。これらの例では、厚さ0.1mm未満の薄いアノード材料が得られ、このアノードは、特に小型デバイスでの使用において、商業的実用性に対する充分な静電容量及びDC漏れ電流特性を有していた。
【0071】
本発明は、いかなる順番及び/又はいかなる組み合わせであってもよい以下の態様/実施形態/特徴を含む。
1.ある厚さ及び外面を有する多孔質金属箔又はワイヤであって、前記多孔質金属箔又はワイヤは、a)0.2mm以下の公称厚さ又は約0.05mm~約1.0mmの直径を有するタンタル箔、及びb)少なくとも前記外面に多孔性を備える、多孔質金属箔又はワイヤ。
2.前記公称厚さが、0.01mm~0.2mmである、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
3.前記直径が、0.05mm~0.5mmである、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
4.前記公称厚さが、0.02mm~0.18mmである、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
5.前記公称厚さが、0.03mm~0.18mmである、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
6.前記多孔質金属箔又はワイヤが、少なくとも99.9%Taの純度レベルを有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
7.前記多孔質金属箔又はワイヤが、少なくとも99.9%Taの純度レベル、及び200ppm未満の炭素量を有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
8.前記多孔質金属箔又はワイヤが、少なくとも99.9%Taの純度レベル、及び100ppm未満の炭素量を有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
9.前記多孔質金属箔又はワイヤが、少なくとも99.9%Taの純度レベル、及び約5ppm~約100ppmの炭素量を有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
10.エッチングされた微粒子露出面が、約5nm~約500nmの平均粒子サイズを有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
11.エッチングされた微粒子露出面が、約50nm~約200nmの平均粒子サイズを有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
12.前記多孔性が、前記外面の少なくとも5ミクロン下のレベルにさらに存在する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
13.前記多孔性が、前記外面の少なくとも10ミクロン下のレベルにさらに存在する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
14.前記多孔性が、前記外面の少なくとも50ミクロン下のレベルにさらに存在する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
15.前記金属箔が、10mm~50mmの長さ、5mm~25mmの幅、及び0.01mm~0.2mmの公称厚さを有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤ。
16.上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の前記多孔質金属箔、及び前記多孔質金属箔上の誘電体酸化膜を備えたコンデンサアノード。
17.前記多孔質金属箔が、焼結多孔質金属箔である、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載のコンデンサアノード。
18.上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載のコンデンサアノードを備えたコンデンサ。
19.上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の多孔質金属箔又はワイヤの形成方法であって、前記方法は、
a.金属箔又はワイヤを、前記金属箔又はワイヤ上に酸化層を形成する酸化処理にさらすこと、
b.工程a)の金属箔又はワイヤを、前記金属箔又はワイヤの少なくとも面上に多孔性を形成するための脱酸素化処理にさらすこと、
を含む、方法。
20.前記工程b)が、前記工程a)の後に1回以上繰り返される、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
21.前記工程a)が、1回以上繰り返され、工程b)が、1回以上繰り返される、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
22.前記酸化処理が、空気中、少なくとも500℃の温度で少なくとも5分間にわたる金属箔又はワイヤのか焼を含む、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
23.前記酸化処理が、空気中、約500℃~約650℃の温度で約5分間~約10時間の時間にわたる金属箔又はワイヤのか焼を含む、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
24.工程b)の後に前記金属箔又はワイヤを真空焼結することをさらに含む、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
25.前記酸化処理が、化学酸化処理を含む、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
26.前記脱酸素化処理が、工程a)の前記金属箔又はワイヤを、少なくとも500℃の温度で、少なくとも5分間にわたって、酸素ゲッター材にさらすことを含む、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
27.前記脱酸素化処理が、工程a)の前記金属箔又はワイヤを、約700℃~約1300℃の温度で、約5分間~約10時間の時間にわたって、酸素ゲッター材にさらすことを含む、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
28.工程b)の後に、前記金属箔又はワイヤを、酸浸出に、次いで水でのリンスに、次いで乾燥にさらすことをさらに含む、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
29.工程b)の後に、前記金属箔を焼結すること、次いで電解質中で金属箔を陽極酸化して、金属箔上に誘電体酸化膜を形成し、コンデンサアノードを形成することをさらに含む、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
30.前記酸化処理が、少なくとも5ミクロンの厚さを有する前記酸化層を形成する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
31.前記酸化処理が、少なくとも10ミクロンの厚さを有する前記酸化層を形成する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
32.前記酸化処理が、少なくとも50ミクロンの厚さを有する前記酸化層を形成する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
33.前記コンデンサアノードが、10nA/uFV以下の漏れ電流を有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載のコンデンサアノード。
34.前記コンデンサアノードが、0.1nA/uFV~1.0nA/uFVの漏れ電流を有する、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載のコンデンサアノード。
35.前記酸化処理及び前記脱酸素化処理が、それらの間でアニーリングを行うことなくなされる、上記の又は以下の何れかの実施形態/特徴/態様に記載の方法。
【0072】
本発明は、文章及び/若しくは段落に示される上記の及び/若しくは以下のこれらの様々な特徴又は実施形態の何れの組み合わせも含むことができる。本明細書で開示される特徴の何れの組み合わせも、本発明の一部であると見なされ、組み合わせ可能な特徴に関して限定することを意図するものではない。
【0073】
本出願者は、本開示中のすべての引用される参考文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値とのリストの何れかとして与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されているかどうかに関わらず、何れの上限値又は好ましい値と何れの下限値又は好ましい値との何れのペアから形成されてもよいすべての範囲を具体的に開示するものとして理解されたい。数値の範囲が本明細書において記載される場合、特に断りのない限り、その範囲は、その終点、並びにその範囲内のすべての整数及び分数を含むことを意図している。本発明の範囲は、範囲を定める場合に記載される具体的な値に限定されることを意図するものではない。
【0074】
本発明の他の実施形態は、当業者であれば、本明細書の考察及び本明細書で開示される本発明の実践から明らかであろう。本明細書及び例は、単なる例示として見なされ、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の請求項及びその均等物によって示されることを意図している。
図1
図2