(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】仮想現実視覚検査システム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/032 20060101AFI20230614BHJP
A61B 3/09 20060101ALI20230614BHJP
A61B 3/103 20060101ALI20230614BHJP
A61B 3/028 20060101ALI20230614BHJP
A61B 3/08 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61B3/032
A61B3/09
A61B3/103
A61B3/028 300
A61B3/08
(21)【出願番号】P 2021540295
(86)(22)【出願日】2019-01-13
(86)【国際出願番号】 IL2019050050
(87)【国際公開番号】W WO2020144670
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】521195755
【氏名又は名称】ビジョニクス-ルノー テクノロジー (イスラエル)
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【氏名又は名称】末松 亮太
(74)【代理人】
【識別番号】100195408
【氏名又は名称】武藤 陽子
(72)【発明者】
【氏名】アビトボル,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ラブナー,アーサー
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/144168(WO,A2)
【文献】米国特許第09844323(US,B2)
【文献】特開2008-055021(JP,A)
【文献】米国特許第09462939(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の少なくとも1つの眼と光学的にアライメントされた少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと、
仮想運動を実施する少なくとも1つの仮想現実オブジェクトを前記対象者に対して表示
することで、前記対象者に仮想現実環境を提供するための、前記少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと光学的にアライメントされた少なくとも1つの仮想現実表示デバイスであって、
前記対象者により視認可能な前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの前記仮想運動が、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による調節を誘起するために、および緩和するために機能
し、
前記仮想運動は、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの運動の追跡を長引かせるための仮想運動を備えることで、前記対象者が前記仮想現実環境に十分に没入した状態になり、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による調節を完全に緩和するために、前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトが前記対象者に対して物理的に近いという、前記対象者における知識の心理学的な影響に起因した、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による自動的な調節応答を克服させる、少なくとも1つの仮想現実表示デバイスと、
を備える、仮想現実表示システム。
【請求項2】
対象者の少なくとも1つの眼と光学的にアライメントされた少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと、
仮想運動を実施する少なくとも1つの仮想現実オブジェクトを前記対象者に対して表示
することで、前記対象者に仮想現実環境を提供するための、前記少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと光学的にアライメントされた少なくとも1つの仮想現実表示デバイスであって、前記対象者により視認可能な前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの前記仮想運動が、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による調節を誘起するために、および緩和するために機能
し、
前記仮想運動は、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの運動の追跡を長引かせるための仮想運動を備えることで、前記対象者が前記仮想現実環境に十分に没入した状態になり、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による調節を完全に緩和するために、前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトが前記対象者に対して物理的に近いという、前記対象者における知識の心理学的な影響に起因した、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による自動的な調節応答を克服させる、少なくとも1つの仮想現実表示デバイスと、
前記対象者による前記調節の緩和後に前記対象者に視覚検査を実施することにおける使用のための視覚検査サブシステムと、
を備える、視覚検査システム。
【請求項3】
前記仮想現実表示デバイスが、少なくとも1つの軸に沿って物理的に可動であり、前記少なくとも1つの軸に沿った前記仮想現実表示デバイスの物理的運動が、前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの前記仮想運動を補完する、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの前記仮想運動が、後退運動と、前進運動と、前記仮想現実オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、前記仮想現実表示デバイスにおける別の仮想現実オブジェクトに対する前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、前記対象者により知覚可能な前記仮想現実オブジェクトの不鮮明化と、前記対象者により知覚可能な前記仮想現実オブジェクトの明確さを改善することとのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記仮想現実表示デバイスから出る光をコリメートするための、前記仮想現実表示デバイスと前記光学アライメントサブシステムとを中継する光コリメート要素を更に備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムが、両眼システムを備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記視覚検査サブシステムが、客観的検査サブシステムと主観的検査サブシステムとのうちの少なくとも1つを備える、
請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記視覚検査が、プリズム測定、視野外縁測定、三次元視覚検査、色覚検査、コントラスト感度検査、動体視力検査、夜間視力検査、単眼調節幅検査、CA/CおよびAC/A比検査、斜視検査、および瞳孔反応検査のうちの少なくとも1つを含む、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記視覚検査サブシステムが、組み合わされたフォロプターおよび自動屈折デバイスを備える、
請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記視覚検査サブシステムが、視力検査サブシステムを備え、前記仮想現実オブジェクトが、前記仮想現実表示デバイスに表示された仮想現実視力検査対象物を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記仮想現実視力検査対象物が、スネレン視力表を含む、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記対象者の前記少なくとも1つの眼による調節を完全に緩和するための前記運動の追跡を長引かせるための仮想運動は、前記視覚検査での誤差を防ぎ、または低減し、前記誤差は、前記運動の追跡を長引かせるための仮想運動がなければ、前記対象者による調節に起因して存在することになる誤差である、
請求項7から11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
対象者に視覚検査を実施する方法であって、
少なくとも1つの仮想現実表示デバイスを対象者の少なくとも1つの眼と光学的にアライメントするステップと、
前記仮想現実表示デバイスにおいて少なくとも1つの仮想現実オブジェクトを前記対象者に対して表示する
ことで、前記対象者に仮想現実環境を提供するステップと、
前記対象者により視認可能な前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動を生成し、以て前記対象者の前記少なくとも1つの眼による調節を誘起
し、および緩和
し、前記仮想運動は、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの運動の追跡を長引かせるための仮想運動を備えることで、前記対象者が前記仮想現実環境に十分に没入した状態になり、前記対象者の前記少なくとも1つの眼による調節を完全に緩和するために、前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトが前記対象者に対して物理的に近いという前記対象者における知識の心理学的な影響に起因した前記対象者の前記少なくとも1つの眼による自動的な調節応答を克服させる、ステップと、
前記対象者による前記調節の緩和後に前記対象者に少なくとも1つの視覚検査を実施するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの視覚検査が、客観的視覚検査と主観的視覚検査とのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1
3に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの視覚検査が、プリズム測定、視野外縁測定、三次元視覚検査、色覚検査、コントラスト感度検査、動体視力検査、夜間視力検査、単眼調節幅検査、CA/CおよびAC/A比検査、斜視検査、および、瞳孔反応検査のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1
4に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの視覚検査が、主観的フォロプター検査とオブジェクト波面分析検査との組み合わせを含む、
請求項1
3から1
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの視覚検査が、視力検査を含み、前記仮想現実オブジェクトが、前記仮想現実表示デバイスに表示された仮想現実視力検査対象物を含む、
請求項1
6に記載の方法。
【請求項18】
前記仮想現実視力検査対象物が、スネレン視力表を含む、
請求項1
7に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの運動軸に沿って前記仮想現実表示デバイスを物理的に動かすステップを更に含み、前記少なくとも1つの運動軸に沿った前記仮想現実表示デバイスの物理的運動が、前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの前記仮想運動を補完する、
請求項1
3から1
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの前記仮想運動が、後退運動と、前進運動と、前記仮想現実オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、前記仮想現実表示デバイスにおける別の仮想現実オブジェクトに対する前記少なくとも1つの仮想現実オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、前記対象者により知覚可能な前記仮想現実オブジェクトの不鮮明化と、前記対象者により知覚可能な前記仮想現実オブジェクトの明確さを改善することとのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1
3から1
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記仮想現実表示デバイスから出る光を、前記光が前記対象者の前記眼に到達する前にコリメートするステップを更に含む、
請求項1
3から
20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記対象者の前記少なくとも1つの眼による調節を完全に緩和するための前記運動の追跡を長引かせるための仮想運動は、前記視覚検査での誤差を防ぎ、または低減し、前記誤差は、前記運動の追跡を長引かせるための仮想運動がなければ、前記対象者による調節に起因して存在することになる誤差である、
請求項13から20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
ここで、ともにOBJECTIVE PHOROPTER SYSTEM(客観的フォロプターシステム)という名称の2013年4月4日出願の米国特許第9462939号明細書、および、2018年5月17日出願の米国特許出願第15/982259号明細書を参照し、これらの出願および特許の開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、視覚検査システムに関し、より詳細には、仮想現実表示を使用した視覚検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
仮想現実表示を使用した様々なタイプの視覚検査システムが本発明の属する技術分野において知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、対象者の眼の調節を誘起すること、および緩和することに有用な仮想現実表示を使用した改善された視覚検査システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の好ましい実施形態により、対象者の少なくとも1つの眼と光学的にアライメントされた少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと、仮想運動を実施する少なくとも1つの仮想現実オブジェクトを対象者に対して表示するための少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと光学的にアライメントされた少なくとも1つの仮想現実表示デバイスとを含む仮想現実表示システムが提供され、対象者により視認可能な少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動が、対象者の少なくとも1つの眼による調節を誘起するために、および緩和するために機能する。
【0006】
本発明の別の好ましい実施形態により、対象者の少なくとも1つの眼と光学的にアライメントされた少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと、仮想運動を実施する少なくとも1つの仮想現実オブジェクトを対象者に対して表示するための少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと光学的にアライメントされた少なくとも1つの仮想現実表示デバイスであって、対象者により視認可能な少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動が、対象者の少なくとも1つの眼による調節を誘起するために、および緩和するために機能する、少なくとも1つの仮想現実表示デバイスと、対象者による調節の緩和後に対象者に視覚検査を実施することにおける使用のための視覚検査サブシステムとを含む視覚検査システムが更に提供される。
【0007】
好ましくは、仮想現実表示デバイスは、少なくとも1つの軸に沿って物理的に可動であり、少なくとも1つの軸に沿った仮想現実表示デバイスの物理的運動が、少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動を補完する。
【0008】
好ましくは、少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動が、後退運動と、前進運動と、仮想現実オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、仮想現実表示デバイスにおける別の仮想現実オブジェクトに対する少なくとも1つの仮想現実オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、対象者により知覚可能な仮想現実オブジェクトの不鮮明化と、対象者により知覚可能な仮想現実オブジェクトの明確さを改善することとのうちの少なくとも1つを含む。
【0009】
好ましくは、システムは、仮想現実表示デバイスから出る光をコリメートするための、仮想現実表示デバイスと光学アライメントサブシステムとを中継する光コリメート要素を更に含む。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によると、システムは両眼システムを含む。
本発明の別の好ましい実施形態によると、視覚検査サブシステムは、客観的検査サブシステムと主観的検査サブシステムとのうちの少なくとも1つを含む。
好ましくは、視覚検査は、プリズム測定、視野外縁測定、三次元視覚検査、色覚検査、コントラスト感度検査、動体視力検査、夜間視力検査、単眼調節幅検査、CA/CおよびAC/A比検査、斜視検査、および瞳孔反応検査のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
好ましくは、視覚検査サブシステムは、組み合わされたフォロプターおよび自動屈折デバイスを含む。
好ましくは、視覚検査サブシステムは視力検査サブシステムを含み、仮想現実オブジェクトは仮想現実表示デバイスに表示された仮想現実視力検査対象物を含む。
好ましくは、仮想現実視力検査対象物は、スネレン視力表を含む。
【0012】
本発明の更に別の好ましい実施形態により、対象者に視覚検査を実施する方法であって、少なくとも1つの仮想現実表示デバイスを対象者の少なくとも1つの眼と光学的にアライメントすることと、仮想現実表示デバイスにおいて少なくとも1つの仮想現実オブジェクトを対象者に対して表示することと、対象者により視認可能な少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動を生成することと、以て、対象者の少なくとも1つの眼による調節を誘起すること、および緩和することと、対象者による調節の緩和後に対象者に少なくとも1つの視覚検査を実施することとを含む、方法が更に提供される。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの視覚検査が、客観的視覚検査と主観的視覚検査とのうちの少なくとも1つを含む。
好ましくは、少なくとも1つの視覚検査が、プリズム測定、視野外縁測定、三次元視覚検査、色覚検査、コントラスト感度検査、動体視力検査、夜間視力検査、単眼調節幅検査、CA/CおよびAC/A比検査、斜視検査、および瞳孔反応検査のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
好ましくは、少なくとも1つの視覚検査が、主観的フォロプター検査とオブジェクト波面分析検査との組み合わせを含む。
好ましくは、少なくとも1つの視覚検査が視力検査を含み、仮想現実オブジェクトが仮想現実表示デバイスに表示された仮想現実視力検査対象物を含む。
好ましくは、仮想現実視力検査対象物は、スネレン視力表を含む。
【0015】
好ましくは、本方法は、少なくとも1つの運動軸に沿って仮想現実表示デバイスを物理的に動かすことを更に含み、少なくとも1つの軸に沿った仮想現実表示デバイスの物理的運動が、少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動を補完する。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動が、後退運動と、前進運動と、仮想現実オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、仮想現実表示デバイスにおける別の仮想現実オブジェクトに対する少なくとも1つの仮想現実オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、対象者により知覚可能な仮想現実オブジェクトの不鮮明化と、対象者により知覚可能な仮想現実オブジェクトの明確さを改善することとのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
好ましくは、本方法は、仮想現実表示デバイスから出る光を、光が対象者の眼に到達する前にコリメートすることを更に含む。
【0018】
本発明は、図面と併せて読まれる以下の詳細な説明に基づいて、より完全に理解され、および認識される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】仮想現実表示システムの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者の眼の調節を誘起するための、および緩和するための、対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図1B】仮想現実表示システムの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者の眼の調節を誘起するための、および緩和するための、対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図1C】仮想現実表示システムの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者の眼の調節を誘起するための、および緩和するための、対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図1D】仮想現実表示システムの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者の眼の調節を誘起するための、および緩和するための、対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図1E】仮想現実表示システムの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者の眼の調節を誘起するための、および緩和するための、対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2A】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2B】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2C】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2D】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2E】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2F】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2G】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2H】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2I】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図2J】仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図であり、それぞれが、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するために、および緩和するために対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す。
【
図3A】
図3Aは、
図1A~
図2Jに示されるタイプのうちの任意のものの仮想現実表示システムにおいて有用な更なる仮想現実表示スクリーンの簡略化された概略図である。
【
図3B】
図3Bは、
図1A~
図2Jに示されるタイプのうちの任意のものの仮想現実表示システムにおいて有用な更なる仮想現実表示スクリーンの簡略化された概略図である。
【
図4A】本発明の更に異なる別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、光学検査デバイスの第1の状態および第2の状態のそれぞれにおける、仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略的な部分ブロック図の例の図である。
【
図4B】本発明の更に異なる別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、視覚検査デバイスの第1の状態および第2の状態のそれぞれにおける、仮想現実表示システムを含む視覚検査デバイスの簡略化された概略的な部分ブロック図の例の図である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、仮想現実表示を使用した視覚検査の実施時におけるステップを示す簡略化されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者の眼の調節を誘起するための、および緩和するための対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す仮想現実表示システムの簡略化された概略図である
図1A~
図1Eを参照する。
【0021】
図1A~
図1Eに示されているように、視認者の少なくとも1つの眼104と光学的にアライメントされた、本例において光学アライメントサブシステム102として具現化された少なくとも1つの光学アライメントサブシステムと、本例において仮想現実表示スクリーン106として例示的に具現化された少なくとも1つの仮想現実表示デバイスとを含む仮想現実表示システム100が提供される。仮想現実表示スクリーン106は、好ましくは光学アライメントサブシステム102と光学的にアライメントされ、したがって視認者の眼104と相応に光学的にアライメントされる。光学アライメントサブシステム102は、眼104に入る光線108を適切に屈折させるための光学特性をもつ透過性ボディを包含するがこれらに限定されない表示スクリーン106との眼104の光学アライメントを円滑化するための1つまたは複数の任意の光学コンポーネントであり得る。例示として、光学アライメントサブシステム102は、フォロプターホイールの標準的な集合、可変焦点液体レンズ、または可変焦点液晶デバイスを含み得る。本発明の特に好ましい実施形態において、光学アライメントサブシステム102は、
図2A~2Jを参照しながら以下で詳細に説明されるフォロプターデバイスのフォロプターレンズの1つまたは複数のホイールを含む。
【0022】
システム100は、更に好ましくは、本例においてコリメートレンズ110として例示的に具現化された光コリメート構造物を含む。コリメートレンズ110は、好ましくは、表示スクリーン106と光学アライメントサブシステム102とを中継するように位置しており、好ましくは、表示スクリーン106から出る入来光をコリメートするように機能し、次に、コリメートされた入来光は、好ましくは光学アライメントサブシステム102に向かって、および光学アライメントサブシステム102を通って眼104に伝播する。
【0023】
仮想現実表示スクリーン106は、好ましくは、本例では蝶112として具現化されて示される少なくとも1つの仮想現実オブジェクトを視認者の眼104に表示するように適応されている。仮想現実表示スクリーン106が
図1A~
図1Eにおいて側面図により示され、仮想現実表示スクリーン106の拡大正面図が仮想現実表示スクリーン106の上方に示されていることが理解される。
【0024】
図1Aは、仮想現実表示スクリーン106が眼104および光学アライメントサブシステム102と軸方向にアライメントされた、および、コリメートレンズ110の焦点距離におおむね等しい距離だけコリメートレンズ110から軸方向に離れた、システム100の初期状態を示す。眼104は、好ましくは、光学アライメントサブシステム102とコリメートレンズ110とを介して、表示スクリーン106に表示された蝶112を見る。
【0025】
視認者の一方の眼、すなわち眼104に仮想現実オブジェクトを表示する1つの表示スクリーン106を備えるシステム100が
図1A~
図1Eに示されているが、これは表現の簡潔さおよび明確さを目的としたものに過ぎないことが理解される。システム100は、好ましくは、必須というわけではないが、2つの個々のスクリーンを含む両眼システムとして形成されており、各々が表示スクリーン106に似ているタイプのものであり、各スクリーンが視認者の一方の眼とアライメントされている。例えば蝶112といった、同様の、または同一の仮想現実オブジェクトが、視認者の2つの眼が2つの仮想現実オブジェクトを1つのオブジェクトとして知覚するような個々のスクリーンにおける位置において、好ましくは両方のスクリーンに同時に表示される。
【0026】
図1Bは、システム100の後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図1Aに示されているシステム100の初期状態の後のものである。
図1Bにおけるものと比較したときの
図1Aにおけるスクリーン106の見た目の検討から理解されるように、蝶112は、
図1Bにおけるスクリーン106における新しい位置に動くように、
図1Aから
図1Bへの進行に伴って仮想運動を実施している。本例において、例示として、蝶112が
図1Aと比べて
図1Bにおいて拡大されていること、および、視認者の鼻に向かって鼻方向に動いたことが視認され、このことは、この場合において、スクリーン106の中心に向かう方向への動きとして示される。鼻への動きの方向は、104が視認者の左目であるか右目であるかに応じて、示される方向と逆方向になる場合もあることが理解される。視認者の眼104により見られる蝶112のこのような仮想運動は、蝶112が視認者に近づく印象を生成するように機能し、したがって、蝶112を見る眼104による調節を誘起する。
図1Bから理解されるように、眼104のレンズ120は、眼104に近くなる蝶112の眼104による知覚の結果として調節の誘起に起因して、より厚く、およびより短くなることが示されている。
【0027】
視認者に近づく蝶112の眼104による知覚は、好ましくは、スクリーン106がコリメートレンズ110の焦点距離よりコリメートレンズ110の近くに位置するような、矢印122により示される方向に沿ったコリメートレンズ110に向かうスクリーン106の軸方向の動きにより向上させられる。スクリーン106のこのような動きは、好ましくは、視認者に近づくときの蝶112の知覚を向上させるように機能する。更に、眼104に向かうスクリーン106のこのような動きは、眼104により知覚される蝶112の不鮮明さをもたらす傾向を示し、したがって、眼104による調節を更に促進する。
【0028】
本発明の特定の実施形態において、眼104による調節を更に促進するために、コリメートレンズ110に向かうスクリーン106の軸方向の動きに、任意選択的に鼻方向へのスクリーン106の傾倒が付随し得る。このような傾倒は、
図4Aおよび
図4Bを参照しながら以下で示される、および説明されるように、スクリーン106および/または光学アライメントサブシステム102に結合された傾倒モーターにより実施され得る。
【0029】
したがって、スクリーン106における蝶112の仮想運動は、好ましくは、眼104に向かう蝶112の見た目の運動を増強し、ひいては眼104による調節をより効果的に誘起するために、スクリーン106の物理的運動により補完されることが理解される。しかし、代替的に、スクリーン106の物理的運動が省略されてもよく、眼104に近づく蝶112の知覚がスクリーン106における蝶112の仮想運動により単独で誘起されてもよいことが理解される。
【0030】
図1Cは、システム100の更なる後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは、
図1Bに示されているシステム100の状態の後のものである。
図1Cにおけるものと比較したときの
図1Bにおけるスクリーン106の見た目の検討から理解されるように、蝶112は、
図1Cにおけるスクリーン106における新しい位置に動くように、
図1Bから
図1Cへの進行に伴ってまた更なる仮想運動を実施している。本例において、例示として、蝶112は、
図1Bと比べて
図1Cにおいて更に拡大されていること、スクリーン106の中心に向かって鼻方向に更に動いたことが視認される。視認者の眼104により視認可能な蝶112のこのような仮想運動は、蝶112が視認者に更に近づく印象を生成するように機能し、したがって、蝶112を見る眼104による調節を更に誘起する。
図1Cから理解されるように、レンズ120は、眼104により近くなる蝶112の眼104による知覚の結果として調節の更なる誘起に起因して、更に厚く、および更に短くなる。
【0031】
図1Dは、システム100の更なる後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図1Cに示されているシステム100の状態の後のものである。
図1Cにおけるものと比較したときの
図1Dにおけるスクリーン106の見た目の検討から理解されるように、蝶112は、
図1Dにおけるスクリーン106における新しい位置をとるように、
図1Cから
図1Dへの進行に伴ってまた更なる仮想運動を実施している。本例において、例示として、蝶112は、
図1Cと比べて
図1Dに示されているようにサイズを小さくされていること、および、視認者の鼻から離れるように側頭方向に動いたことが視認され、この動きは、この場合においてスクリーン106の中心から離れる動きとして示される。側頭への動きの方向は、104が視認者の左目であるか右目であるかに応じて示される方向と逆方向になる場合もあることが理解される。視認者の眼104により視認可能な蝶112のこのような仮想運動は、蝶112がこの段階において視認者から後退する印象を生成するように機能し、したがって、蝶112を見る眼104のレンズ120による調節の緩和を開始させる。
図1Dから理解されるように、レンズ120は、眼104から更に離れた状態になる蝶112の眼104による知覚の結果として調節の緩和に起因して、より薄く、およびより長くなる。
【0032】
視認者からより遠い状態になる蝶112の眼104による知覚は、好ましくは、スクリーン106がコリメートレンズ110の焦点距離を軸方向に越えて位置するような、矢印124により示される方向に沿ったコリメートレンズ110から離れるスクリーン106の軸方向の動きにより向上させられる。スクリーン106のこのような動きは、好ましくは、視認者から後退する蝶112の知覚を向上させるように機能し、したがって、眼104による調節の緩和を促進する。蝶112は、典型的には、コリメートレンズ110の焦点距離を越えた点におけるスクリーン106の位置、および、眼104が調節により不鮮明さを補償することができないことに起因して、
図1Dに示される構成では眼104により不鮮明に知覚される。
【0033】
したがって、スクリーン106における蝶112の仮想運動は、眼104から離れる蝶112の見た目の運動を増強し、ひいては眼104による調節をより効果的に緩和するために、スクリーン106の物理的運動により補完されることが理解される。しかし、代替的に、スクリーン106の物理的運動が省略されてもよく、眼104から後退する蝶112の知覚が、スクリーン106における蝶112の仮想運動により単独で誘起されてもよいことが理解される。
【0034】
図1Eは、システム100の更なる後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図1Dに示されているシステム100の状態の後のものである。
図1Dにおけるものと比較したときの
図1Eにおけるスクリーン106の見た目の検討から理解されるように、蝶112は、
図1Dにおけるスクリーン106における新しい位置をとるように、
図1Dから
図1Eへの進行に伴ってまた更なる仮想運動を実施している。本例において、例示として、蝶112は、
図1Dと比べて
図1Eにおいてサイズを小さくされていること、および、この場合においてスクリーン106の中心から離れるように示される側頭方向に更に動いたことが視認される。視認者の眼104により視認可能な蝶112のこのような仮想運動は、蝶112が視認者から更に後退する印象を生成するように機能し、したがって、蝶112を見る眼104のレンズ120による調節の緩和を更に促進する。
【0035】
好ましくは、
図1Dと
図1Eとの間でスクリーン106の位置の変化を伴わないことが理解される。スクリーン106、ひいてはスクリーン106に表示された蝶112は、好ましくは、
図1Dと
図1Eとの両方においてコリメートレンズ110の焦点距離を越えた点に位置し、結果として、
図1Dと
図1Eとの両方においてレンズ120が非調節状態にあると想定され得る。しかし、
図1Eにおける蝶112の継続した運動は、好ましくは、視認者の眼104による蝶112の追跡を長引かせるように機能し、結果として、視認者はスクリーン106により提供される仮想環境に没入した状態になり、したがって、離れたオブジェクトとして蝶112を心から感じ、および知覚し、したがって、調節を完全に緩和する。例えば蝶112といった仮想現実オブジェクトが本当に離れているのではなく単にそのように表示されているだけであると視認者が認識したままである場合には、視認者によるこの認識は眼104による調節の程度に影響を与え、調節の完全な緩和を妨げ得るので、スクリーン106により提供される仮想環境におけるこのような没入感は重要である。
図1Eから理解されるように、蝶112の更なる運動は、調節の更なる緩和に起因し、ひいては眼104からまた更に離れた状態になる蝶112の眼104による知覚の結果として、レンズ120が
図1Dに示されるものと比べてより薄い、およびより長い形状をとり続けることをもたらす。
【0036】
眼104による調節を誘起するための、この場合においてスクリーン106の中心に向かう方向として示される鼻方向における
図1Aから
図1Cにおける蝶112の漸進的な動きの方向は、好ましくは、視認者による蝶112の運動の知覚を反転するための、
図1C~
図1Eにおける蝶112の漸進的な動きの側頭方向と反対であることが理解される。しかし、鼻方向および側頭方向に対応して示される特定の動きの方向が例示に過ぎず、代替的に、眼104が視認者の左目であるか右目であるかに応じて、
図1A~
図1Cと
図1C~
図1Eとの間で反転されてもよいことが理解される。
【0037】
スクリーン106を視認する視認者の眼104による調節を誘起し、その後に緩和するためのスクリーン106における蝶112の仮想運動は、単に表現を簡単にするために
図1A~
図1Eでは離散的なステップで示されること、および、実際には、視認者に向かって、または視認者から離れるように飛ぶ蝶112の印象を生成するために、蝶112の仮想運動の進行は、好ましくは、必須というわけではないが、連続的であることが更に理解される。
【0038】
蝶112の仮想運動は、眼104による調節を誘起した後に緩和するように、
図1Aから
図1Eの進行に伴って順序付けられるが、蝶112の仮想運動のシーケンス、および、スクリーン106の対応する任意選択的な物理的運動は、代替的に、システム100の機能に応じて、眼104による調節を意図的に緩和した後に誘起するように反転されてもよいことが更に理解される。
【0039】
眼104が好ましくは結果的に蝶112の仮想運動の開始前に表示スクリーン106と光学的にアライメントされるので、システム100における光学アライメントサブシステム102の包含は、特に有益であることが理解される。これは、視認者の眼が仮想現実表示と光学的にアライメントされるとは限らない従来の仮想現実表示システムとは対照的である。更に、システム100は、典型的には遠くてより幅の広いFOVをもつ従来の仮想現実表示システムと比べると、光学アライメントサブシステム102を通して仮想現実スクリーン106の比較的狭い視野(FOV)を提供し得るので、スクリーンドア効果がシステム100において有益に小さくされ、邪魔なピクセル化効果を伴わずに、視認者が仮想現実表示スクリーン106における例えば蝶112といった仮想現実画像を明確に知覚することを可能にする。しかし、本発明の特定の実施形態において、光学アライメントシステム102が以下で説明されるように、例えば視野検査のために仮想現実スクリーン106のより幅の広いFOVを提供することが有益であり得ることが理解される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態により提供される、視認者の眼による調節の対応する誘起および緩和をもたらす、仮想現実オブジェクトの仮想運動の結果による、仮想現実オブジェクトの視認者による近いおよび遠い距離の知覚の誘起された変化は、正確な検査結果を確実なものとするために、検査される対象者の眼による調節が制御されなければならない光学的検査の実施において特に有用であり得る。
【0041】
本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する例示的な光学検査システム内における仮想現実表示システムの包含が、以下で
図2A~
図2Jを参照して説明される。
【0042】
ここで、本発明の別の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する、対象者に対する光学検査の実施中に調節を誘起するための、および緩和するための、対象者に対して表示される一連の仮想現実表示スクリーンを示す仮想現実表示システムを含む光学検査デバイスの簡略化された概略図である
図2A~
図2Jを参照する。
【0043】
図2Aから理解されるように、対象者の眼204を検査するための視覚検査システム200が提供される。視覚検査システム200は、好ましくは、本例においてコリメートレンズ210にカップリングされた仮想現実表示スクリーン206として例示的に具現化された少なくとも1つの仮想現実表示デバイスと光学的にアライメントされた視覚検査サブシステム205を含む。仮想現実表示スクリーン206が
図2A~
図2Jにおいて側面図により示され、仮想現実表示スクリーン206の拡大正面図が
図2B~
図2Jにおける仮想現実表示スクリーン206の上方に示されることが理解される。
【0044】
図2A~
図2Jに示されている本発明の特に好ましい実施形態によると、視覚検査サブシステム205は、好ましくは、全体が参照により本明細書に組み込まれる本発明と同じ譲受人に譲渡された米国特許第9,462,939号において説明されているタイプの組み合わされたフォロプター/波面分析検査システム205として具現化される。しかし、視覚検査サブシステム205は、代替的に、視力検査システムおよび他のタイプの視覚測定およびスクリーニングシステムを包含する、視覚検査サブシステム205との仮想現実表示デバイスの統合により利益を受ける他のタイプの視覚検査サブシステムとして具現化されてもよいことが理解される。
【0045】
組み合わされたフォロプター/波面分析検査システム205は、好ましくは、眼204に現れる収差を把握するために組み合わされた主観的フォロプターおよび客観的屈折測定を実施するように機能する。本発明の1つの好ましい実施形態において、組み合わされたフォロプター/波面分析検査システム205は、好ましくは、眼204を照射するために、本例においてレーザー220として例示的に具現化されたコリメートされた光源を備える。レーザー220からの光は、好ましくは、米国特許第9,462,939号において説明されているような特別に形作られた準くさび型ビームスプリッター222により眼204に向けられる。後に眼204により反射された光は、好ましくは、眼204の様々な光学的構造物を通って伝播し、ビームスプリッター222に戻り、ビームスプリッター222を通って、反射光はフォロプター224のレンズホイールに向かって伝播する。次に、光は、好ましくはフォーカスレンズ230のペア間に位置するピンホールビームアパチャー228に向かって、好ましくは更なるビームスプリッター226により、眼204の真っ直ぐな見通し線から離れるように向けられ得る。ピンホールビームアパチャー228を通り集束した光は、好ましくは、シャックハルトマンセンサー232に向けられる。シャックハルトマンセンサー232は、好ましくは、小型レンズアレイ234およびディテクター236を含む。小型レンズアレイ234は、好ましくは、ディテクター236上に入来光を集束させるように機能し、眼204の屈折マップの検出および抽出を可能にし、屈折マップは、好ましくはシャックハルトマンセンサー232に接続されたコンピューティングデバイス238により表示され、記憶され、または別様に取り扱われ得る。
【0046】
表示スクリーン206は、好ましくは、更なるビームスプリッター226およびコリメートレンズ210を通る眼204の真っ直ぐな見通し線上に位置する。コリメートレンズ210およびフォロプター224と組み合わされた更なるビームスプリッター226は、好ましくは、表示スクリーン206を対象者の眼204と光学的にアライメントするための光学アライメントサブシステムの好ましい実施形態のコンポーネントを形成することが理解される。好ましくは、システム200は、縦方向および水平方向において眼204に対して検査システム205をアライメントするための、および要求される焦点位置に検査システム205を移動させるための一連のモーターを含み、したがって、表示スクリーン206が眼204と光学的にアライメントされることを確実なものとする。
【0047】
表示スクリーン206は、好ましくは、仮想運動を実施する少なくとも1つの仮想現実オブジェクトを眼204に表示するために、眼204と光学的にアライメントされ、眼204により視認可能な少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動は、
図2B~
図2Iを参照しながら以下で詳細に説明されるように、好ましくはシャックハルトマンセンサー232による客観的屈折測定の実施前に、および、フォロプター224を使用した主観的視覚検査の実施前に、眼204による調節を誘起するために、および緩和するために機能する。
【0048】
表示スクリーン206は、好ましくは、フォロプター224によるフォロプター測定の主観的態様における使用のための仮想対象物を眼204に表示するように更に機能し、仮想対象物は、好ましくは、
図2Jを参照して以下で詳細に説明されるように、ビームスプリッター226とコリメートレンズ210とを通して直接視認可能である。
【0049】
本明細書において例示され、および説明されているシャックハルトマンおよびフォロプター光学システムの特定の構成が例示に過ぎないこと、更に視覚検査サブシステム205が本発明の属する技術分野において知られている任意の適切な客観的および/または主観的屈折検査サブシステムとして具現化されてもよいことが理解される。
【0050】
眼204とのスクリーン206の光学アライメントは特に有益であり、視認者の眼が仮想現実表示と光学的にアライメントされるとは限らない従来の仮想現実表示システムとは対照的であることが更に理解される。更に、典型的には遠くてより幅の広いFOVをもつ従来の仮想現実表示システムと比べて、システム200はフォロプター224、ビームスプリッター226、およびコリメートレンズ210を通して仮想現実スクリーン206の比較的狭い視野(FOV)を提供するので、スクリーンドア効果がシステム200において有益に小さくされ、視認者が邪魔なピクセル化効果を伴わずに仮想現実表示スクリーン206における仮想現実画像を明確に知覚することを可能にする。しかし、本発明の特定の実施形態において、以下で説明されるように、例えば視野検査のために仮想現実スクリーン206のより幅の広いFOVを提供するために検査システム205およびコリメートレンズ210を構成することが有益であり得ることが理解される。
【0051】
ここで
図2Bを参照すると、例えば蝶240といった第1の仮想現実オブジェクトが表示スクリーン206の最前部に示され、例えばバルーン242といった第2の仮想現実オブジェクトが表示スクリーン206の背景に不鮮明に示されるシステム200の初期状態が示されている。本例において、近いオブジェクトである蝶240の眼204による知覚を向上させるために、表示スクリーン206が好ましくはコリメートレンズ210の焦点距離よりコリメートレンズ210の近くに位置するものとして示されており、表示スクリーン206の動きが矢印244により示されている。
図2Bに示されるレンズ246の厚くおよび短くされた状態により表されるように、眼204のレンズ246による調節が、好ましくは、近いオブジェクトとしての蝶240の知覚に起因して誘起される。見た目での遠いバルーン242の不鮮明さは、見た目として近く、およびより明確に表示された蝶240に対する眼204の焦点合わせを改善するように機能する。
図2Bに示されているシステム200の状態は、システム200による眼204の客観的または主観的検査の実施前におけるシステム200の状態に対応していることが理解される。
【0052】
図2Cは、システム200の後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図2Bに示されているシステム200の初期状態の後のものである。
図2Bにおけるものと比較したときの
図2Cにおけるスクリーン206の見た目の検討から理解されるように、蝶240およびバルーン242は、好ましくは、
図2Cにおけるスクリーン206におけるそれぞれの新しい位置に動くように、
図2Bから
図2Cへの進行に伴って仮想運動を実施している。本例において、例示として、蝶240は、
図2Bと比べて
図2Cにおいてサイズを小さくされていること、この場合においてスクリーン206の中心から離れる方向として示される側頭方向に動いたことが視認される。好ましくは、必須というわけではないが、バルーン242が好ましくは眼204による焦点合わせのオブジェクトになるように、蝶240の仮想運動と同時にバルーン242が拡大されていること、および、
図2Bと比べて
図2Cにおいて、本例においてスクリーン206の最前部および中心に向かう動きに対応するものとして示される鼻方向に動いたことが視認される。バルーン242に対する眼204による焦点合わせを促進するために、蝶240が好ましくは不鮮明に示されるのに対し、バルーン242は好ましくはスクリーン206に明確に表示される。スクリーン206は、好ましくは、レンズ210の焦点位置に位置し、スクリーン206の動きは矢印252により示される。
【0053】
図2Dは、システム200の後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図2Cに示されているシステム200の状態の後のものである。
図2Cにおけるものと比較したときの
図2Dにおけるスクリーン206の見た目の検討から理解されるように、バルーン242は、好ましくは、
図2Dにおけるスクリーン206における新しい位置に動くように
図2Cから
図2Dへの進行に伴って仮想運動を実施している。本例において、例示として、蝶240はもはや表示されず、バルーン242が
図2Cと比べて
図2Dにおいてサイズを小さくされていること、および、本例においてスクリーン206の中心から離れる方向として示される側頭方向に動いたことが視認される。対象者の眼204により視認可能なバルーン242のこのような仮想運動は、バルーン242がこの段階において対象者から後退するという印象を生成するように機能し、したがって、バルーン242の見た目の仮想運動を追跡する眼204のレンズ246による調節の緩和を促進する。
図2Dから理解されるように、レンズ246は、眼204から更に離れた状態になるバルーン242の眼204による知覚の結果として調節の緩和に起因して、より薄く、およびより長くなる。
【0054】
視認者からより遠い状態になるバルーン242の眼204による知覚は、好ましくは、スクリーン206がコリメートレンズ210の焦点距離を軸方向に越えて位置するような、矢印254により示される方向に沿ったコリメートレンズ210から離れるスクリーン206の軸方向の動きにより向上させられる。スクリーン206のこのような動きは、好ましくは、対象者から後退するバルーン242の知覚を向上させるように機能し、したがって眼204による調節の緩和を促進する。
【0055】
したがって、スクリーン206におけるバルーン242の仮想運動は、眼204から離れるバルーン242の見た目の運動を増強し、ひいては眼204による調節をより効果的に緩和するために、スクリーン206の物理的運動により補完されることが理解される。しかし、代替的に、スクリーン206の物理的運動が省略されてもよく、眼204から後退するバルーン242の知覚がスクリーン206におけるバルーン242の仮想運動により単独で誘起されてもよいことが理解される。
【0056】
図2Eは、システム200の後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図2Dに示されているシステム200の状態の後のものである。
図2Dにおけるものと比較したときの
図2Eにおけるスクリーン206の見た目の検討から理解されるように、バルーン242は、好ましくは、
図2Eにおけるスクリーン206における新しい位置に動くように、
図2Dから
図2Eへの進行に伴って仮想運動を実施している。本例において、例示として、バルーン242は、
図2Eにおけるスクリーン206において非静的であること、および、例示として第1の位置260から第2の位置262および第3の位置264に動くことが視認される。バルーン242の運動は、好ましくは、対象者の眼204によるバルーン242の追跡を長引かせるように機能し、結果として、対象者はスクリーン206により提供される仮想環境に没入した状態になり、したがって、離れた物体としてバルーン242を心から感じ、および知覚し、相応に調節を緩和する。例えばバルーン242といった仮想現実オブジェクトが本当に離れているのではなく、単にそのように表示されているだけであると対象者が認識したままである場合、対象者によるこの認識が対象者の眼204による調節の程度に影響を与え、調節の完全な緩和を妨げ、したがって、後続の客観的および/または主観的視覚検査結果に干渉するので、スクリーン206により提供される仮想環境におけるこのような没入は重要である。
【0057】
図2Fは、システム200の後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図2Eに示されているシステム200の状態の後のものである。
図2Eにおけるものと比較したときの
図2Fにおけるスクリーン206の見た目の検討から理解されるように、バルーン242は、好ましくは、
図2Eに示されているような移動中ではなく
図2Fでは静的である。バルーン242が
図2Fにおいて静的になった後、好ましくは客観的波面分析検査が適用され、光のビーム270が好ましくはレーザー220からビームスプリッター222を介して眼204に向けられ、光の反射されたビーム272がフォロプター224、更なるビームスプリッター226、およびピンホール228、およびレンズペア230を通してシャックハルトマンセンサー232に向けられる。このような客観的波面分析検査は自動屈折とも呼ばれ得、眼204の屈折特性の客観的測定を提供する。上述のスクリーン206における蝶240およびバルーン242の仮想運動を通して実現された眼204による調節の誘起された緩和は、自動屈折測定における誤差を防ぐ、または低減するように機能し、本例のようにしない場合、この誤差は、自動屈折検査の実施中に眼204による調節に起因して存在することになることが理解される。このような自動屈折の結果は、好ましくは、オープンフィールド自動屈折器の使用により取得された屈折測定結果と正確さにおいて同様である。
【0058】
図2Fに示されているように、自動屈折の実施の後に、眼の屈折特性が好ましくはおおまかに把握され、フォロプター224のレンズが好ましくはコンピュータ238により自動的に相応に設定される。眼204は、この段階において、フォロプター224を使用した主観的視力検査の実施のために準備されなければならない。主観的視力検査はスクリーン206における仮想現実検査対象物の視認を伴うので、仮想現実検査環境にいることの対象者による認識が対象者による調節応答をもたらさないこと、ひいては主観的検査結果に干渉しないことを確実なものとするために、眼204による調節は好ましくは主観的検査の実施前に意図的に誘起された後に緩和されることが理解される。
【0059】
眼204は
図2Fの客観的屈折測定の実施前に意図的に緩和された非調節状態にあるので、眼204の調節状態は変化せずに留まると想定され得、フォロプター224を伴う主観的視力検査がその直後に実施されることが理解される。しかし、フォロプター224による検査の最高の正確さを確実なものとするために、眼204による調節は好ましくは
図2G~
図2Iを参照しながら以下で説明されるように、主観的視覚検査の実施前に意図的に再度誘起され、および緩和される。
【0060】
図2Gは、システム200の後続の状態を示し、この後続の状態は好ましくは
図2Fに示されているシステム200の状態の後のものである。
図2Fにおけるものと比較したときの
図2Gにおけるスクリーン206の見た目の検討から理解されるように、蝶240は
図2Gにおいて拡大された形態により示されること、および本例においてスクリーン206の中心に向かう方向として示される鼻方向に動いたことが視認される。対象者の眼204により視認可能な蝶240のこのような仮想運動は、蝶240が対象者に近づく印象を生成するように機能し、したがって蝶240を見る眼204による調節を誘起する。
図2Gから理解されるように、眼204のレンズ246が、眼204に近くなる蝶240の眼204による知覚の結果として調節の誘起に起因して、より厚く、およびより短くなることが示されている。
【0061】
対象者に近づく蝶240の眼204による知覚は、好ましくは、スクリーン206がコリメートレンズ210の焦点距離よりコリメートレンズ210の近くに位置するような、矢印280により示される方向に沿ったコリメートレンズ210に向かうスクリーン206の軸方向の動きにより向上させられる。スクリーン206のこのような動きは好ましくは対象者に近づく蝶240の知覚を向上させるように機能し、したがって眼204による調節を更に促進する。したがって、スクリーン206における蝶240の仮想運動は、眼204に向かう蝶240の見た目の運動を増強し、ひいては眼204による調節をより効果的に誘起するために、スクリーン206の物理的運動により補完されることが理解される。しかし、代替的に、スクリーン206の物理的運動は省略されてもよく、眼204に近づく蝶240の知覚がスクリーン206における蝶240の仮想運動により単独で誘起されてもよいことが理解される。
【0062】
図2Hは、システム200の更なる後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図2Gに示されているシステム200の状態の後のものである。
図2Gにおけるものと比較したときの
図2Hにおけるスクリーン206の見た目の検討から理解されるように、蝶240は、
図2Hにおけるスクリーン206における新しい位置をとるように、
図2Gから
図2Hへの進行に伴ってまた更なる仮想運動を実施している。本例において、例示として、蝶240は、
図2Gと比べて
図2Hにおいてサイズを小さくされていること、および、本例においてスクリーン206の中心から離れる方向に対応するものとして示される側頭方向に動いたことが視認される。対象者の眼204により視認可能な蝶240のこのような仮想運動は、蝶240がこの段階で対象者から後退する印象を生成するように機能し、したがって、蝶240を見る眼204のレンズ246による調節の緩和を開始する。
図2Hから理解されるように、レンズ246は、眼204から更に離れた状態になる蝶240の眼204による知覚の結果として調節の緩和に起因して、より薄く、およびより長くなる。
【0063】
視認者からより遠い状態になる蝶240の眼204による知覚は、好ましくは、スクリーン206がコリメートレンズ210の焦点距離を軸方向に越えて位置するような、矢印290により示される方向に沿ったコリメートレンズ210から離れるスクリーン206の軸方向の動きにより向上させられる。スクリーン206のこのような動きは、好ましくは、対象者から後退する蝶240の知覚を向上させるように機能し、したがって眼204による調節の緩和を促進する。蝶240は、典型的には、コリメートレンズ210の焦点距離を越えた点におけるスクリーン206の位置に起因して、
図2Hに示される構成において眼204により不鮮明に知覚される。
【0064】
したがって、スクリーン206における蝶240の仮想運動は、眼204から離れる蝶240の見た目の運動を増強し、ひいては眼204による調節をより効果的に緩和するために、スクリーン206の物理的運動により補完されることが理解される。しかし、代替的に、スクリーン206の物理的運動は省略されてもよく、眼204から後退する蝶240の知覚はスクリーン206における蝶240の仮想運動により単独で誘起されてもよいことが理解される。
【0065】
図2Gにおける調節の誘起の後の調節の解放を更に促進するために、
図2Hに示されるタイプの表示スクリーン206の眼204への表示前に、雲霧化効果を生成するために、および眼204による調節の緩和を更に促進するために、フォロプター224のレンズ構成が例えば、+1Dの正の光屈折パワーを追加することによりリセットされ得る。
【0066】
図2Iは、システム200の更なる後続の状態を示し、この後続の状態は、好ましくは
図2Hに示されているシステム200の状態の後のものである。
図2Hにおけるものと比較したときの
図2Iにおけるスクリーン206の見た目の検討から理解されるように、蝶240は、
図2Iにおけるスクリーン206における新しい位置をとるように、
図2Hから
図2Iへの進行に伴ってまた更なる仮想運動を実施している。本例において、例示として、蝶240は、
図2Hと比べて
図2Iにおいてサイズを更に小さくされていること、および本例においてスクリーン206の中心から離れるように示される側頭方向に更に動いたことが視認される。対象者の眼204により視認可能な蝶240のこのような仮想運動は、蝶240が対象者から更に後退する印象を生成するように機能し、したがって蝶240を見る眼204のレンズ246による調節の緩和を更に促進する。
【0067】
スクリーン206における蝶240の仮想運動は、スクリーン206を視認する対象者の眼204による調節を誘起し、その後に緩和するために、単に表現を簡単にするために
図2G~
図2Iにおいて離散的なステップにより示されること、および、実際には、蝶240の仮想運動の進行は、好ましくは、必須というわけではないが、連続的であり、
図2G~
図2Iに示されているものに対して更なる、または代替的な表示スクリーンの表示を伴い得ることが理解される。
【0068】
蝶240が例えば6mといった眼204により知覚される所定の距離に奥まった点において、眼204は、好ましくは、完全に緩和した非調節状態にあり、スネレン視力表294または他の同等な視覚対象物が、好ましくは、
図2Jに示されているようにスクリーン206において眼204に対して移動される。スクリーン206は、好ましくは、レンズ210の焦点に位置し、この位置に向かう方向におけるスクリーン206の動きは矢印296により示され、スネレン視力表294が、好ましくは、ビームスプリッター226とコリメートレンズ210とを通る眼204の真っ直ぐな見通し線上に表示される。次に、対象者が仮想現実スネレン視力表294を見ながら、標準的な主観的視力検査が対象者の眼204に対してフォロプター224のオペレーターにより実施され得る。上述のように調節の解放を補助するために雲霧化がフォロプター224のレンズ構成に対して以前に適用されている場合、追加された光屈折パワーは、好ましくは、視力検査中に検査結果から引かれることが理解される。
【0069】
したがって、システム200により適用された主観的視力検査は、好ましくは、従来の場合のような本当に離れている視覚対象物ではなく、例えばスネレン視力表294といった仮想現実視覚対象物を使用して実施されることが理解される。典型的には、検査を受けている対象者から6mの距離だけ離されるこのような従来の本当に離れている視覚対象物は、限られた物理的空間を使用する多くの検査環境において実用的でない。本発明では、視覚対象物が例えばわずか350mmの距離において対象者に対して非常に近くに物理的に位置し得るが、スクリーン206に表示された仮想現実シーンに没入した対象者により、遠く離れているものとして知覚される非常に小型の仮想現実検査システムが提供される。更に、表示スクリーン206と眼204との間の物理的距離は、その間の光路に沿った光路屈曲鏡の使用により、より一層短くされ得る。
【0070】
仮想現実対象物が実際に近い物理的な近さにあるという視認者による認識は、仮想現実対象物の見た目にかかわらず、仮想現実オブジェクトが視認者に対して物理的に近い知識情報の心理学的な影響に起因して、視認者による調節応答をもたらす傾向を示す。本発明において、見た目として離れた仮想現実対象物を視認する対象者によるこの自動的な調節応答は、有益には、客観的視覚検査および主観的視覚検査の一方または両方の実施前の、対象者の眼による調節の意図的な誘起および緩和により解決される。本発明の好ましい実施形態における仮想現実表示スクリーンにおける仮想現実オブジェクトの仮想現実運動により生成される調節のこのような意図的な誘起および緩和が存在しない場合には、仮想現実表示スクリーンを視認する視認者の調節応答が客観的視覚検査と主観的視覚検査との両方に誤差をもたらすことになることが理解される。
【0071】
図2A~
図2Iに表示された一連のスクリーンは1つの眼204に関連して示されているが、これは、単に説明の簡潔さを目的としており、このようなスクリーンは、視認者を仮想現実環境に没入させるために、好ましくは個々のそれぞれのスクリーンにおいて、好ましくは視認者の両眼に表示されることが理解される。例えば
図2A~
図2Iに示されるものといった、同様の、または特に好ましくは同一の仮想現実オブジェクトは、好ましくは、2つのスクリーンにおける仮想現実オブジェクトを1つの知覚されるオブジェクトに融合するように対象者の2つの眼が連携するような個々のスクリーンにおける位置において、対象者の各眼とそれぞれアライメントされた2つの個々の表示スクリーンにおいて対象者に対して表示される。
【0072】
両眼表示は、
図4Aおよび
図4Bを参照しながら以下で更に詳細に説明されるように、両眼表示システムを使用して実行され得る。しかし、主観的視力検査の実施中、
図2Jを参照して説明されるように、主観的検査は、好ましくは、視認者の1つのそれぞれの眼のみに1つのスクリーン206を表示することにより、単眼の手法により視認者の各眼に対してそれぞれ個別に実施され、その後、両眼の主観的検査も実施され得る。
【0073】
図2A~
図2Jに示される蝶240およびバルーン242を包含する仮想現実オブジェクトの特定の見た目および運動のタイプが例示に過ぎないこと、および、本発明の実施形態が仮想運動を実施する任意のタイプの2Dまたは3D仮想現実オブジェクトの表示を含んでもよく、対象者により視認可能なこの仮想運動が対象者の少なくとも1つの眼による調節を誘起するために、および緩和するために機能することが更に理解される。特に、本発明の好ましい実施形態は、視認者に近づく、および/または視認者から後退する仮想現実オブジェクトの視認者による知覚をもたらす少なくとも1つの仮想現実オブジェクトの仮想運動の仮想現実表示デバイスにおける表示、および、視認者を仮想現実表示デバイスにより提示された仮想現実環境に没入させるように機能するタイプの運動を含む。
【0074】
例示として、
図3Aに示されているように、スネレン視力表294は、人300に関連してスクリーン206に表示され得、視力表294の距離の知覚は視力表294に対する人300の見た目のサイズの変化により変えられる。更に、スネレン視力表294における読み取られる文字を指す人300の包含は、好ましくは、スクリーン206に表示された検査環境をより自然に見えるようにすることにより、対象者をスクリーン206により生成された仮想検査環境に更に没入させるように機能する。
【0075】
更に例示として、
図3Bに示されているように、対象者の非常に近くにおける蝶240の知覚を更に促進するために、例えば蝶240といった1つの仮想現実オブジェクトが、例えば手320といった別の仮想現実オブジェクトに関連して示され得る。仮想現実オブジェクトの一方または両方の相対的なサイズ、位置、および明確さの変化が、好ましくは、知覚、ひいては視認者による調節の変化をもたらす。追加的に、または代替的に、例えば表示スクリーン206といった仮想現実表示スクリーンの輻輳角は、近視野および遠視野の視認に関連した輻輳に調和するように変えられ得る。輻輳角を変えることを目的とした光学アライメントシステムの傾倒は、システム200に関連して示されていないが、このような傾倒は、近くの視認の対象者による知覚を向上させるために鼻方向に実施されてもよいことが理解される。
【0076】
図2A~
図2Jに示されている本発明の好ましい実施形態は、客観的および主観的屈折および視力検査を実施するために有用であるが、本発明は、示されるタイプの視力検査デバイス内の実施態様に限定されないことが理解される。本発明の仮想現実表示システム他の可能な用途は、調節性輻輳/調節(AC/A)比および輻輳性調節/輻輳(CA/C)比の測定、色覚検査、コントラスト感度検査、夜間視力検査、単眼調節幅検査、瞳孔反応検査、斜視スクリーニング、3D視覚検査、および動体視力検査を包含する。
【0077】
AC/A比の測定では、眼が調節の変化に応じて輻輳する角度の比が測定される。本発明の仮想現実表示システムを使用したこのような検査の実施時において、仮想現実表示スクリーンおよび/または仮想現実表示スクリーンに表示された仮想現実オブジェクトが遠い焦点位置から近い焦点位置に動かされるときに、鼻方向および/または側頭方向における眼の動きが測定され得る。眼球位置は、調節過程中の眼の瞳孔の動きを測定するために、カメラにより監視され得る。
【0078】
CA/C比の測定では、輻輳性調節は、コリメートレンズの焦点においてスクリーンを固定位置に維持しながら、仮想現実スクリーンに表示された仮想現実対象物を鼻方向に動かすことにより測定され得る。次に、両眼の屈折が、客観的屈折測定システムにより、例えばシャックハルトマンセンサー232により測定され得る。固定の遠い位置における表示スクリーンの維持は、仮想現実対象物に焦点を絞る眼から発生する近調節性刺激調節と鼻方向における対象物の動きに起因した輻輳性調節との間の分離を可能にする。輻輳性調節は、シャックハルトマンセンサー232により測定され得、CA/C比が相応に計算される。
【0079】
色覚検査の実施時には、本発明の属する技術分野においてもよく知られている適切に色付けされた画像、例えば一連のIshihara PIC検査プレートが、対象者の各眼とそれぞれアライメントされた2つの仮想現実表示スクリーンにおいて対象者に対して表示され得、以て、対象者の色覚が評価される。
【0080】
コントラスト感度検査の実施時には、適切なコントラスト感度視力表、例えばペリーロブソン文字コントラスト感度視力表が、対象者の各眼とそれぞれアライメントされた2つの仮想現実表示スクリーンにおいて対象者に対して表示され得、判読可能な文字および判読不能な文字のコントラストが記録される。
【0081】
夜間視力検査の実施時には、
図2A~
図2Jを参照して既に説明されているような視力検査が、眼の瞳孔が広げられるように低ライティング状態のもとで実施され得、例えばシャックハルトマンセンサー232といった波面センサーが、瞳孔エリア全体から入手可能なデータを分析し得る。個々の分析は、昼間視力と夜間視力との両方を計算するために異なる瞳孔エリアに対して実行され得る。客観的分析は、例えばフォロプター224を使用することにより、主観的検査により検証されてもよい。
【0082】
本発明のシステムを使用した単眼調節幅検査の実施時には、仮想現実対象物の形態による刺激が対象者に対して表示され得、刺激として測定される対象者の各眼の屈折が無限遠から眼に向かって動かされる。表示スクリーンに表示された仮想現実対象物が対象者の眼に対して光学的な無限遠にあるように、表示スクリーンは好ましくは最初にコリメートレンズの焦点に位置しており、次に、例えばシャックハルトマンセンサー232を使用することにより眼の屈折が測定される。次に、表示スクリーンは、好ましくは眼に向かう方向に漸増的に動かされ、各スクリーン位置に対して眼の屈折が測定される。このような移動および測定は、好ましくは、波面測定の更なる変化が記録されなくなり最大調節に達したことを示すまで継続される。この検査は、好ましくは各眼に対して個別に単眼の手法により実行される。
【0083】
本発明のシステムを使用した瞳孔反応検査の実施時には、表示スクリーンの照明が変えられ得、カメラが対応する瞳孔サイズを測定するために使用される。スクリーンの照明レベルが漸増的に上げられ、または下げられ得、各照明レベルにおける瞳孔の時間応答が記録される。この検査は好ましくは対象者の各眼に対して別々に実行され、瞳孔測定が照射された瞳孔と他方の瞳孔との両方に対して各照明レベルにおいて行われることを可能にする。
【0084】
本発明のシステムを使用した斜視スクリーニングの実施時には、対象物に正しく凝視する対象者の眼の能力を評価するために、表示スクリーンにおける仮想現実オブジェクトの位置、およびカメラにより監視される対応する瞳孔凝視方向が変えられ得る。好ましくは、各眼は最初に、現時点では検査されていない第1の眼に対して無表示スクリーンを表示し、第2の眼に対して第2のスクリーンに仮想現実オブジェクトを表示することにより別々に検査され、第2の眼の凝視の方向がカメラにより測定される。次に、検査状態は逆になり、第1のスクリーンにおける仮想現実対象物を観測する第1の眼の凝視の方向が検査され、無表示スクリーンが第2の眼に表示される。両眼は、眼が画像を提示されている状態と無表示スクリーンを提示されている状態との間の遷移期間中に容易に観測され得、遷移期間観測は、典型的には、従来の斜視カバー検査プロトコルでは実現することがより困難である。
【0085】
本発明のシステムを使用した3D視覚検査の実施時には、視認者の各眼とそれぞれアライメントされた2つの表示スクリーンに異なる画像が表示され得る。特定の視認角度に対して、視認者の両眼視覚能力に応じて、眼によりいずれも視認される画像の一部が三次元に見え、二次元に見える画像の残りの部分から突出する。視認者は、三次元であると知覚された画像の一部について試験者に報告し得、これにより、視認者の三次元視覚能力が評価され得る。
【0086】
本発明のシステムを使用した動体視力検査の実施時には、例えば検査視力表といった視覚対象物の位置は、視力に対する検査中に、一定の、または変化する周波数および速度を伴って一方または両方の表示スクリーンにおいて動かされ得る。このような検査は、回転性めまい、非回転性めまい、および不均衡を包含する前庭障害を検出するために使用され得る。
【0087】
本発明の1つの好ましい実施形態において、システム200は、上述のような対象者の眼の調節の意図的な誘起および解放の後にプリズム測定を実施することにおける使用のために動作し得る。例えば蝶240、バルーン242、またはスネレン視力表294といった仮想現実オブジェクトは、斜位および斜視を包含するプリズム収差について検査される対象者に対して表示され得る。仮想現実オブジェクトは、対象者の眼204に対して表示スクリーン206における種々の位置に位置し得、この種々の位置は好ましくは、対象者の非逸脱見通し線の中心からの画像の種々の偏向角に対応する。したがって、対象者により視認可能なスクリーンの中心に対する様々な位置における表示スクリーンにおける仮想現実オブジェクトの再配置は、対象者が種々の偏向角において仮想現実オブジェクトを視認することをもたらし、対象者のプリズム収差の存在および程度に対する検査を可能にする。異なる偏向角に対応した異なる位置における表示スクリーンにおける仮想現実オブジェクトの表示は、光ビームを偏向させるための、ひいてはユーザーにより見られるオブジェクトの見た目の位置を偏向させるためのプリズムレンズの使用を不要とすることが理解される。したがって、フォロプター224は、プリズム収差の検査および矯正のためのプリズムレンズを含む必要がなく、したがって、フォロプター224の構造、およびシステム200によるプリズム検査の実施を簡略化する。
【0088】
本発明の別の好ましい実施形態において、システム200は、上述のような対象者の眼の調節の意図的な誘起および解放の後に対象者の視野を検査するために、視野外縁デバイスとしての使用のために動作し得る。視野外縁デバイスとしてのシステム200の動作中、例えば蝶240およびバルーン242といった仮想現実オブジェクトが、スクリーン206における種々の位置において対象者に対して表示され得、対象者は仮想現実オブジェクトを視認したときに応答するように要求される。次に、対象者が反応した仮想現実オブジェクトの位置の範囲に基づいて、対象者の視野角が評価され得る。このような視野測定は、例えば緑内障といった対象者の視野の進行性の狭まりをもたらす状態の検出および監視のために特に有用であり得る。
【0089】
システム100および200は1つの眼104または204に関連した単眼システムとして示されるが、本発明の好ましい実施形態のシステムは、対象者の両眼を連続的に、または同時に検査するために両眼システムとして構築されてもよく、および機能してもよいことが理解される。本発明の好ましい実施形態に従って構成され、および機能する、両眼システムの第1の状態および第2の状態のそれぞれにおける、両眼システムの簡略化された例が、
図4Aおよび
図4Bに示される。
【0090】
図4Aおよび
図4Bに示されているように、対象者の第1の眼404および第2の眼405の両眼検査および/または単眼検査のための光学検査デバイス400が提供される。第1の眼404は、好ましくは、本例において第1の仮想現実表示スクリーン406として例示的に具現化された第1の仮想現実表示デバイスと光学的にアライメントされる。第2の眼405は、好ましくは、本例において第2の仮想現実表示スクリーン407として例示的に具現化された第2の仮想現実表示デバイスと光学的にアライメントされる。第1の表示スクリーン406から出射する光は、好ましくは、本例において第1のコリメートレンズ410として具現化された第1のコリメート要素によりコリメートされる。第2の表示スクリーン407から出射する光は、好ましくは、本例において第2のコリメートレンズ411として具現化された第2のコリメート要素によりコリメートされる。第1の眼404は、好ましくは第1の光学アライメントサブシステム412とアライメントされ、第2の眼405は、好ましくは第2の光学アライメントサブシステム413とアライメントされる。
【0091】
本発明の好ましい実施形態によると、第1の光学アライメントサブシステム412および第2の光学アライメントサブシステム413は、それぞれ、第1の眼404および第2の眼405と第1の表示スクリーン406および第2の表示スクリーン407との間においてそれぞれ光を光学的にアライメントする、および方向付けするための、例えばサブシステム205といった個々の別々の第1の光学検査サブシステムおよび第2の光学検査サブシステムの要素、および、特に、例えばフォロプターデバイス224といったその第1のフォロプターデバイスおよび第2のフォロプターデバイスの要素を備え得る。
【0092】
表示スクリーン406および407は、好ましくはステージ420に搭載されており、軸方向に眼404および405に向かう、または眼404および405から離れる方向におけるこのステージ420の直線運動は、好ましくは直線アクチュエータ430により制御される。表示スクリーン406および407は、コンピューティングデバイス434に接続された、例えばHDMI(登録商標)インターフェース432といった送信インターフェースに結合され得る。コンピューティングデバイス434は、好ましくは直線アクチュエータ430の運動を制御するために直線アクチュエータ430に更に接続されている。コンピューティングデバイス434は、好ましくは電源440により給電される。
【0093】
デバイス400は、本例において好ましくは第1の光学アライメントシステム412に結合された第1の傾倒モーター450、および好ましくは第2の光学アライメントシステム413に結合された第2の傾倒モーター452として例示的に具現化された少なくとも1つの傾倒モーターを任意選択的に含み得る。システム400の第1の状態を示す
図4Aに示されているように、光学アライメント要素412および413、コリメートレンズ410および411、および、スクリーン406および407を含む、第1の眼404および第2の眼405の各々に対応した要素は、多くの光学検査工程に適した相互に並列な構成により構成され得る。この場合において、傾倒モーター450および452は動作せず、光学アライメント要素412および413、および、スクリーン406および407が軸方向にアライメントされている。
【0094】
システム400の第2の状態を示す
図4Bに示されているように、特定の検査または調節誘起状態では、眼404および405の各々に対応した光学要素を傾倒させることが有益であり得る。この場合において、傾倒モーター450および452は、眼404および405によりそれぞれ視認されるスクリーン406および407の輻輳角を変えるために、眼404および405の各々に対応した光学要素を傾倒させるように動作し得、以て、輻輳をより良くエミュレートする。このような傾倒された構成は、調節状態における試験のために、または、スクリーン406および407が眼404および405の非常に近くに動かされる場合に使用され得る。
図4Bに示されている傾倒角度は例示に過ぎないこと、および、システムアーキテクチャおよび所望のスクリーン輻輳に応じて、より大きい、またはより小さい傾倒角度が使用されてもよいことが理解される。
【0095】
上述のように、光学検査サブシステム205を含むシステム200は、好ましくはシステム400のアーキテクチャに従って構築され得、システムは、対象者を仮想現実環境に没入させるためにスクリーン406とスクリーン407との両方が有効化された状態で、最初に両眼の手法により動作させられ得、その後に、スクリーン406および407の連続した有効化により単眼視力検査が実施される。両眼の手法によるシステム400の動作中、眼404および405が好ましくは2つの仮想現実オブジェクトを1つの知覚される2Dまたは3Dオブジェクトに融合するように連携する個々のスクリーン406および407における位置において、同様の、または同一の仮想現実オブジェクトがスクリーン406とスクリーン407との両方に好ましくは同時に表示される。
【0096】
ここで、本発明の好ましい実施形態に従って構成された、および機能する仮想現実表示を使用した視覚検査の実施時におけるステップを示す簡略化されたフローチャートである
図5を参照する。
【0097】
図5に示されているように、検査工程500は第1のステップ502から始まり得、第1のステップ502では、デバイス106、206、406、または407などの仮想現実表示デバイスが検査を受けている対象者の少なくとも1つの眼と光学的にアライメントされる。第2のステップ504に示されているように、好ましくは、対象者の眼との表示デバイスのアライメントの後に、少なくとも1つの仮想現実オブジェクトが表示デバイスにおいて対象者に対して表示される。次に、第3のステップ506に示されているように、仮想現実オブジェクトを視認する対象者の眼による調節を誘起する、および緩和するために、仮想現実オブジェクトの仮想運動が生成される。このような仮想運動は、後退運動と、前進運動と、仮想現実表示デバイスに表示された仮想オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、仮想現実表示デバイスに表示された別の仮想現実オブジェクトに対する仮想オブジェクトのサイズおよび位置のうちの少なくとも1つの変化と、対象者により知覚可能な仮想現実オブジェクトの不鮮明化と、対象者により知覚可能な仮想現実オブジェクトの明確さを改善することと、仮想現実表示デバイスの輻輳角を変えることとのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0098】
第4のステップ508に示されているように、対象者による調節の誘起および緩和の後に、対象者に視覚検査が実施され得る。第4のステップ508において実施される視覚検査は、客観的視覚検査、主観的視覚検査、またはその両方であり得る。第3のステップ506において実現される、対象者による調節の緩和の後の対象者に対する視覚検査の実施は、試験中に対象者による調節応答によりもたらされる視覚検査における誤差を最小化し、またはなくすことが理解される。
【0099】
工程500における第1のステップ502~第4のステップ508は、非常に概略的な手法により記載されており、関与する特定の用途に応じて、更なるまたは代替的なステップにより補完され得ることが理解される。更に、ステップが列記された順序で実施されるとは限らないことが理解される。例示として、第1のステップ502の前に第2のステップ504が実施されてもよく、または、第1のステップ502が第2のステップ504と同時に実施されてもよい。更に例示として、第1のステップ502~第3のステップ506が第4のステップ508における客観的視覚検査の実施前に実行されてもよく、この客観的検査の後、次に、主観的視覚検査の実施前に第1のステップ502~第3のステップ506が繰り返されてもよい。
【0100】
本発明が以下で特に請求項に記載されたものにより限定されないことが当業者により更に理解される。むしろ、本発明の範囲は、上述の特徴の様々な組み合わせおよび部分的組み合わせ、ならびに、図面を参照しながら上述の説明を読んだ当業者により考えられる、および従来技術に含まれないそれらの変更例および変形例を包含する。