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特許7295963高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体、高級第2級アルコールアルコキシレート付加物および高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩並びにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体、高級第2級アルコールアルコキシレート付加物および高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/06 20060101AFI20230614BHJP
   C07C 43/13 20060101ALI20230614BHJP
   C07C 305/10 20060101ALI20230614BHJP
   C07C 303/06 20060101ALI20230614BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20230614BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20230614BHJP
   C09K 23/42 20220101ALI20230614BHJP
   C09K 23/02 20220101ALI20230614BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230614BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230614BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230614BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230614BHJP
【FI】
C07C41/06
C07C43/13 C
C07C305/10
C07C303/06
C11D1/72
C11D1/29
C09K23/42
C09K23/02
A61Q5/02
A61Q19/10
A61K8/46
C07B61/00 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021545550
(86)(22)【出願日】2020-09-08
(86)【国際出願番号】 JP2020033959
(87)【国際公開番号】W WO2021049492
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2019164036
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019199188
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 篤
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 享
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-509334(JP,A)
【文献】特開昭63-039993(JP,A)
【文献】特開昭57-192354(JP,A)
【文献】特開昭57-149263(JP,A)
【文献】特開平10-168014(JP,A)
【文献】特開平10-218819(JP,A)
【文献】特開平11-349507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C11D
C09K
A61Q
A61K
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素数8~30のオレフィンの二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを触媒の存在下で付加して第2級アルコールアルコキシレート前駆体を得る工程と、
該第2級アルコールアルコキシレート前駆体に溶媒を接触させて(ポリ)アルキレングリコールの含有量が第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して0.2質量%以下になるまで洗浄する工程と、
を有することを特徴とする第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法。
【請求項2】
前記溶媒が水を含む溶媒であることを特徴とする請求項に記載の第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法。
【請求項3】
請求項またはに記載の製造方法により得られる第2級アルコールアルコキシレート前駆体に、さらに触媒の存在下でアルキレンオキサイドを付加することを特徴とする第2級アルコールアルコキシレート付加物の製造方法。
【請求項4】
請求項もしくはに記載の製造方法により得られる第2級アルコールアルコキシレート前駆体および/または請求項に記載の製造方法により得られる第2級アルコールアルコキシレート付加物を硫酸化しさらに中和することを特徴とする第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体、高級第2級アルコールアルコキシレート付加物および高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高級第2級アルコールアルコキシレートは洗浄剤やインク等の界面活性剤、潤滑剤など多くの用途に使用されており、界面活性剤としては低い凝固点(流動点)を有し、また低粘度で浸透力が高いため洗浄力に優れ、潤滑剤としては熱安定性、低温流動性、潤滑性、相溶性、離形性などに優れるため各種用途に用いられている。
【0003】
効率的な高級第2級アルコールアルコキシレートの製造方法としてα-オレフィンを出発原料とし(ポリ)アルキレングリコールと反応させて高級第2級アルコールアルコキシレートを得て、さらにアルキレンオキシドを付加して高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を製造する方法(例えば、特許文献1)が開示されている。さらにα-オレフィンを酸触媒の存在下に二重結合を内部異性化させ、α-オレフィンの含有量が50重量%以下、内部オレフィンの含有量が50重量%以上の混合オレフィンとし、次いで該混合オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとを酸触媒の存在下に反応させることを特徴とする高級2級アルコールアルコキシレートの製造方法(特許文献2)が開示されている。
【0004】
また高級第2級アルコールアルコキシレートや高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を硫酸化して得られる高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、特許文献3)も洗浄力が優れるため台所用洗剤やシャンプー等の洗浄剤に好適に用いられている。
【0005】
しかしながら、近年、長鎖オレフィンを出発原料とする高級第2級アルコールアルコキシレートを得て、当該高級第2級アルコールアルコキシレートを前駆体とした高級第2級アルコールアルコキシレート付加物またはそれを含む洗剤組成物においては洗浄剤のさらなる高機能化が求められており、さらに、臭いの発生や長期に保存した際に白濁または分離物が認められることがあり改善の余地があった。
【0006】
また高級第2級アルコールアルコキシレートや高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を前駆体とした高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩においても臭いや皮膚刺激性について改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開10-168014号公報
【文献】特開11-302212号公報
【文献】特開10-251216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、界面活性剤として用いたときに、臭気がなく(または有意に低減され)、かつ白濁や分離物のない(または有意に低減された)高級第2級アルコールアルコキシレート付加物(またはそれを含む組成物)並びに臭気がなく(または有意に低減された)低皮膚刺激性を有する高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩を提供することにある。またその高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の前駆体となる、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体を提供することである。前記高級第2級アルコールポリアルコキシレート前駆体、その付加物および高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題の少なくとも一つを解決するための一実施形態は、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体であって、当該高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して(ポリ)アルキレングリコールの含有量が0.2質量%以下である高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体である。また、当該高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体のアルキレンオキサイド付加物である高級第2級アルコールアルコキシレート付加物である。また、前記高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体および/または前記高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の、硫酸化物である高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、界面活性剤として用いたときに、臭気がなく(または有意に低減され)、かつ白濁や分離物のない(または有意に低減された)高級第2級アルコールアルコキシレート付加物(またはそれを含む組成物)並びに臭気がなく(または有意に低減された)低皮膚刺激性を有する高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩を提供することができる。またその高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の前駆体となる、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体を提供することができる。前記高級第2級アルコールポリアルコキシレート前駆体、その付加物および高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)の条件で測定する。「質量」と「重量」、「質量部」と「重量部」、「%」と「質量%」と「重量%」、「質量ppm」と「重量ppm」は、それぞれ同じ意味として扱う。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルコールアルコキシレートの中に含まれる(ポリ)アルキレングリコールの量を特定量以下に制御した高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体を作製し、当該高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体にアルキレンオキサイドを付加した高級第2級アルコールアルコキシレート付加物、並びに前記前駆体または高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の硫酸化物である高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩を提供する。
【0013】
本発明の一実施形態は、長鎖オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールを反応させて得られる高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体であって、当該高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して(ポリ)アルキレングリコールの含有量が0.2質量%以下である高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体である。また本発明の一実施形態は、当該高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体のアルキレンオキサイド付加物である高級第2級アルコールアルコキシレート付加物である。さらに本発明の一実施形態は、前記高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体または高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の硫酸化物である高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩である。
【0014】
また本発明の一実施形態は、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法であって、長鎖オレフィン(好ましくは、炭素数8~30の)の二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを触媒の存在下で付加して高級第2級アルコールアルコキシレートを得る工程と、当該高級第2級アルコールアルコキシレート反応液または当該高級第2級アルコールアルコキシレートを蒸留して得られる液に溶媒を接触させて(ポリ)アルキレングリコールの含有量が高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して0.2質量%以下になるまで洗浄する工程と、を有する高級2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法である。
【0015】
さらに、本発明の一実施形態は、前記高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体に、触媒の存在下でアルキレンオキサイドを付加する高級2級アルコールアルコキシレート付加物の製造方法であり、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体または高級2級アルコールアルコキシレート付加物を硫酸化しさらに中和することを特徴とする高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩の製造方法でもある。
【0016】
<高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体>
本発明の一形態は、(ポリ)アルキレングリコールの含有量が、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体(好ましくは高級第2級アルコールエトキシレート前駆体)の全質量に対して0.2質量%以下である高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体である。
【0017】
このような構成を有する高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体は、臭気がなく(または有意に低減され)、かつ白濁や分離物のない(または有意に低減された)高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を製造するための原料として好適に用いることができる。本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体は、流動点が低く、浸透力も良好で、泡切れも良く、洗浄力や乳化力に優れる界面活性剤である高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を製造するための原料として好適に用いることができる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体は、炭素数8~30の長鎖オレフィンの二重結合に好ましくは触媒の存在下で(ポリ)アルキレングリコールを反応させることにより得られる。長鎖オレフィンの炭素数は、好ましくは10~20であり、より好ましくは14~18、特に好ましくは16~18である。本発明の一実施形態によれば、長鎖オレフィンの炭素数が8~30、9~26、10~24、11~22、12~20、14~19、15~18、あるいは、16~18である。
【0019】
長鎖オレフィンに反応させる(ポリ)アルキレングリコールとして例えばモノアルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールを用いた場合は、それぞれに対応する高級第2級アルコールモノアルコキシレート、高級第2級アルコールジアルコキシレート、高級第2級アルコールトリアルコキシレートまたは高級第2級アルコールポリアルコキシレートを主成分とする高級第2級アルコールアルコキシレートが得られる。
【0020】
得られた生成物は、主成分の他に未反応のまま残存するかまたは副生するモノアルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコールまたはポリアルキレングリコーを含む。その意味では、長鎖オレフィンと(ポリ)アルキレングリコールとの生成物(反応物)は、組成物(混合物)の形態でありうる。本発明の一実施形態によれば、当該生成物は、原料の(ポリ)アルキレングリコールの他に副生する高級第2級アルコール等を含みうる。
【0021】
本発明に係る高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体は、(ポリ)アルキレングリコールの含有量が少ない点に特徴がある。高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体中の(ポリ)アルキレングリコールの含有量(含有比率)(複数種含まれる場合はその合計量(本明細書中において同じ))は、具体的には0.2質量%以下であることが必須である。当該(ポリ)アルキレングリコールとしては、副反応で生成するモノアルキレングリコール、その多量体であるジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。本発明の一実施形態によれば、(ポリ)アルキレングリコールは、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、パラキシレングリコール、1,4-シクロヘキサンメタンジオールなどが挙げられる。本発明において高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体中の(ポリ)アルキレングリコールの含有量が0.2質量%を超えると、当該高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の付加物である高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を洗浄剤組成物として使用した際に白濁が生じ、その白濁がさらに多くなると洗浄剤組成物中に分離物が生じ、界面活性剤としての性能を十分に発揮することができない。さらに濁りの成分や分離物の成分は洗浄対象物に付着することがあり好ましくない。本発明の一実施形態によれば、除去したい対象である(ポリ)アルキレングリコールは、炭素数8~30の長鎖オレフィンに反応させる(ポリ)アルキレングリコール由来物でありうる。本発明の一実施形態によれば、当該(ポリ)アルキレングリコール由来物は、炭素数8~30の長鎖オレフィンに反応させる(ポリ)アルキレングリコールの未反応物または副反応生成物でありうる。
【0022】
本形態に係る高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体における(ポリ)アルキレングリコール(例えば、(ポリ)エチレングリコール)の含有量は、好ましくは0.1質量%以下であり、さらに好ましくは0.05質量%以下である。かかる含有量の下限値は特に制限されないが、例えば0.01質量%以上などである。本発明の一実施形態によれば、当該高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して(ポリ)アルキレングリコールの含有量の上限は、0.2質量%以下、0.15質量%以下、0.1質量%以下、0.08質量%以下、0.06質量%以下、0.05質量%以下、0.04質量%以下、あるいは、0.03質量%以下である。本発明の一実施形態によれば、当該高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して(ポリ)アルキレングリコールの含有量の下限は、0質量%(検出限界以下)、0.001質量%以上、0.005質量%以上、あるいは、0.01質量%以上等である。
【0023】
高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の主成分の含有量は、原料とする長鎖オレフィンとしてα-オレフィン(α位ともいう)または内部オレフィン(インナーオレフィンまたはインナー位とも言う)のどちらを用いるかによって異なるため特に制限されない。例えば、(ポリ)アルキレングリコールとしてモノエチレングリコールを用い、長鎖オレフィンとしてα-オレフィンを原料とする場合、生成物の主成分である高級第2級アルコールモノエトキシレートの含有量は、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体に対して通常は60質量%以上であり、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。内部オレフィン(一実施形態では異性体混合物)を原料とする場合、生成物の主成分である高級第2級アルコールモノエトキシレートの含有量は、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体に対して80質量%以上であり、好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等を用いる場合も主成分は同様の含有量である。なお、実施例1では生成物の主成分である高級第2級アルコールモノエトキシレートの含有量は98~99質量%程度であった。α-オレフィンと内部オレフィンの混合物を原料とする場合も、上記の含有量に制限されず、生成物の主成分である高級第2級アルコールモノエトキシレートの含有量は、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体に対して60質量%以上であり、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であったり、80質量%以上であり、好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であったりする。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体は主成分以外に副生する高級第2級アルコールアルコキシレート(以下、副成分とも言う)を含む。例えばエチレングリコール(特には、モノエチレングリコール)を反応原料に用いる場合、主成分は高級第2級アルコールモノエトキシレートであり、その他に副生分として高級第2級アルコール、高級第2級アルコールジエトキシレート等の化合物の少なくとも1種を含む場合がある。高級第2級アルコールジエトキシレートを主成分とする場合、副成分としては高級第2級アルコール、高級第2級アルコールモノエトキシレート、高級第2級アルコールテトラエトキシレートの少なくとも1種等を含む場合がある。高級第2級アルコールトリエトキシレートを主成分とする場合、副生物としては高級第2級アルコール、高級第2級アルコールモノエトキシレート、高級第2級アルコールジエトキシレートの少なくとも1種等を含む場合がある。
【0025】
本発明に係る高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体において、副成分の含有量は、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量から上記の主成分および(ポリ)アルキレングリコール(例えば、(ポリ)エチレングリコール)の含有量の合計を除いた量である。
【0026】
本発明に係る高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体において、主成分および副成分(未反応のオレフィンやその重合物など)の含有量は、ガスクロマトグラフィー(GC)による公知の方法で測定できる。
【0027】
使用機器;GC-2010(株式会社島津製作所製)
検出器;FID,350℃(株式会社島津製作所製)
キャリアーガス;N2(線速一定モード,30cm/s)
使用カラム;DB-1(内径:0.25mm, 長さ:60m,膜厚:0.25μm,アジレント・テクノロジー株式会社製)
カラム温度;50℃-20℃/min-300℃(20min)
気化室温度;300℃。
【0028】
(ポリ)アルキレングリコール(例えば、(ポリ)エチレングリコール類)の含有量(含有比率)も液体クロマトグラフィー(LC)による公知の分析方法で測定できる。液体クロマトグラフィーの測定条件として、本発明では、以下の条件を採用することができる。本実施例でもこの方法が採用され、例えば実施例1の精製第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)中には(ポリ)アルキレングリコールが0.02質量%含まれていることを確認した。実施例2の第2級ドデカノールエトキシレート付加物(2)中には(ポリ)アルキレングリコールが0.03質量%含まれていることを確認した。実施例9の第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩(1)の水溶液全質量中には(ポリ)アルキレングリコールが0.02質量%含まれていることを確認した。
【0029】
使用カラム;GF310HQ 150mm(shodex)、40℃
キャリアー;純水 1.0ml/min
標準物質;PEG標準品Mw500(GLサイエンス社製)
検出器;RI検出器(SHIMADZU社LC-20AD)。
【0030】
<高級第2級アルコールアルコキシレート付加物>
本発明の一形態である高級アルコールアルコキシレート付加物は、上記高級アルコールアルコキシレート前駆体を原料とし、アルキレンオキサイドを付加してなる高級第2級アルコールアルコキシレート付加物である。
【0031】
本発明に係る高級第2級アルコールアルコキシレート付加物(またはそれを含む組成物)は、界面活性剤として用いたときに、臭気がなく(または有意に低減され)、かつ白濁や分離物のない(または有意に低減されている)。本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルコールアルコキシレート付加物は、低流動点で取扱し易く、浸透力も良好で、洗浄力や乳化力に優れるため、界面活性剤として有用であり、そのまま、非イオン界面活性剤として使用できる。高級第2級アルコールアルコキシレート付加物中、(ポリ)アルキレングリコール(例えば、(ポリ)エチレングリコール)の含有量(複数種含まれる場合はその合計量(本明細書中において同じ))は0.3質量%以下であることが好ましい。(ポリ)アルキレングリコール(例えば、(ポリ)エチレングリコール)の含有量が0.3質量%を超える高級アルコールアルコキシレート付加物は、洗剤組成物に使用した際に白濁が生じ、(ポリ)アルキレングリコール含有量がさらに多くなると洗浄剤組成物中に分離物が生じ、洗浄剤としての性能を十分に発揮することができない虞がある。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、高級アルコールアルコキシレート付加物中、(ポリ)アルキレングリコールの含有量(含有比率)は、0.2質量%以下、0.15質量%以下、0.1質量%以下、0.08質量%以下、0.06質量%以下、0.05質量%以下、0.04質量%以下、あるいは、0.03質量%以下である。本発明の一実施形態によれば、高級アルコールアルコキシレート付加物中、(ポリ)アルキレングリコールの含有量(含有比率)は、0質量%(検出限界以下)、0.001質量%以上、0.005質量%以上、あるいは、0.01質量%以上等である。
【0033】
<高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩>
本発明の一形態は、前記高級第2級アルコールアルコキシレートおよび/または高級第2級アルコールポリアルコキシレート付加物を硫酸化しさらに中和して得られる高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩である。本発明の一形態は、(ポリ)アルキレングリコールの含有量(複数種含まれる場合はその合計量(本明細書中において同じ))が0.3質量%以下の高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩である。本発明の高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩は、そのまま、陰イオン界面活性剤として使用できる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩は、皮膚刺激性が低い。本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩は、洗浄力に優れる。
【0035】
本発明の高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩は、好ましくは、低粘度、取扱いし易い、表面張力が良好、泡切れが良い、洗浄力に優れる、乳化力に優れる、との少なくとも1つの特性を備えた界面活性剤である。本発明の高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩は、皮膚刺激性が低いため、液体洗剤やシャンプー等の用途に好適に用いることができる。
【0036】
本発明の一形態において、高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩中の、(ポリ)アルキレングリコールの含有量は、好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、0.08質量%以下、0.06質量%以下、あるいは、0.04質量%以下である。本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩中の、(ポリ)アルキレングリコールの含有量の下限は、0質量%(検出限界以下)、0.001質量%以上、0.005質量%以上、あるいは、0.01質量%以上等である。
【0037】
<高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法>
本発明の一形態である、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法は、長鎖オレフィン(例えば、炭素数8~30)の二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを触媒の存在下で付加して(粗)高級第2級アルコールアルコキシレートを得る工程と、当該(粗)高級第2級アルコールアルコキシレートに溶媒を接触させて(ポリ)アルキレングリコールの含有量が高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して0.2質量%以下になるまで洗浄する工程(洗浄工程とも称す)と、を有する製造方法である。
【0038】
よって、本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法であって、炭素数8~30の長鎖オレフィンの二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを触媒の存在下で付加して(粗)高級第2級アルコールアルコキシレートを得る工程と、当該(粗)高級第2級アルコールアルコキシレートに溶媒を接触させて、結果物(反応液)たる(ポリ)アルキレングリコールの含有量が高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して0.2質量%以下になるまで洗浄する工程と、を有することを特徴とする高級2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法が提供される。
【0039】
本発明に用いる長鎖オレフィンとしては、エチレン系不飽和結合を有する炭素数8~30の炭化水素が好ましく、より好ましくは、エチレン系不飽和結合を有する炭素数10~20の炭化水素の非環式直鎖炭化水素があげられる。また、既に上述した長鎖オレフィン(本明細書に記載の異性体混合物も含む)も好適である。具体的には、例えば、オクテン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、エイコセンなどである。これらは単独で用いてもよく2種以上の混合物でもよい。これら長鎖オレフィンは、その不飽和結合の位置がα位であるものでも、インナー位であるものでも、或いはα位およびインナー位の両方であるものでも、特に制限なく用いることができる。勿論、不飽和結合の位置を異にするこれらオレフィンの2種以上を併用することもできる。
【0040】
本発明の高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体において長鎖オレフィンの炭素数が8~30であれば、当該前駆体のアルキレンオキサイドの付加物である高級第2級アルコールアルコキシレート付加物は実使用に問題ない洗浄力を発揮することができる。長鎖オレフィンの炭素数は、洗浄力の観点から好ましくは10~20であり、より好ましくは14~18である。特に優れた洗浄力を付与したい場合は、長鎖オレフィンの炭素数は、特に好ましくは16~18である。本発明の一実施形態によれば、長鎖オレフィンの炭素数が8~30、炭素数が9~26、炭素数が10~24、炭素数が11~22、炭素数が12~20、炭素数が14~19、炭素数が15~18、あるいは、炭素数が16~18である。本発明の一実施形態によれば、当該炭素数が8未満では十分は洗浄力が得られない虞がある。本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体を製造する過程の蒸留工程における減圧蒸留の時間を短縮して生産性の効率を向上させる観点から前記炭素数が20以下である。
【0041】
一般にα-オレフィンに対してインナーオレフィンの方が熱力学的に安定である。そのため、原料としてα-オレフィンを用いた場合には、反応中にα-オレフィンは次第にインナーオレフィンへと異性化する。さらにインナーオレフィンの比率を高める場合は、α-オレフィンの二重結合構造を内部異性化する能力を有する触媒を用いてインナーオレフィンへと異性化してもよい。よって本発明の一実施形態によれば、長鎖オレフィン(例えは、炭素数8~30)が異性体混合物である。本発明の一実施形態によれば、製造に用いられる長鎖オレフィン(例えは、炭素数8~30)は、上記能力を有する触媒を用いて内部異性化をさせた生成物である。ここで、上記能力を有する、内部異性化させることができる触媒としては、例えば「有機合成化学協会誌」第30巻第10号(1972年)874頁の表1や「触媒講座8 工業触媒反応I」(講談社、触媒学会偏、1985年)98頁の表4.4に列挙されている触媒を挙げることができ、より具体的には酸触媒、塩基触媒、金属含有触媒が挙げられる。
【0042】
本形態で用いうる(ポリ)アルキレングリコールの具体例としては、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、パラキシレングリコール、1,4-シクロヘキサンメタンジオールなどが挙げられるが、反応性からみて、好ましくは、モノエチレングリコール、モノプロピレングリコールなどのモノアルキレングリコールである。これらは、単独で用いてもよく2種以上の混合物でもよい。
【0043】
上記長鎖オレフィンに対する上記(ポリ)アルキレングリコールのモル比は、特に限定されないが、好ましくは0.05~20、より好ましくは0.1~10であり、0.5~7、1~5、あるいは、1.5~4である。当該モル比が0.05未満の場合には、高級第2級アルコールアルコキシレート(前駆体)の収率が低下する虞がある。他方、20を越える場合には、反応器の容積が大きくなり、経済的でないなどの可能性があるため好ましくない。また、上記長鎖オレフィンの不飽和結合に、上記(ポリ)アルキレングリコールを付加させる反応条件としては、反応温度は、通常50~250℃、好ましくは100~200℃、あるいは、120~175℃である。反応圧力は、減圧、常圧または加圧のいずれでもよいが、常圧~20kg/cmの範囲が望ましい。上記反応温度が50℃未満の場合には、反応速度が遅くなりすぎる虞があり、他方、250℃を越える場合には、長鎖オレフィンの重合、(ポリ)アルキレングリコールの分解、縮重合等が起こり、選択率が低下するなどの可能性があるため好ましくない。
【0044】
長鎖オレフィンへの(ポリ)アルキレングリコールの付加は酸触媒の存在下で反応させるが、酸触媒は特に限定されず、特開平9-52856号公報、特開平10-167992号公報等に記載の公知の触媒を用いることができる。例えば、強酸性イオン交換樹脂、結晶性アルミノシリケート、ドデシルベンゼンスルホン酸などであるが、反応性からみて、好ましくは、結晶性アルミノシリケートであり、なかでも特に、BEA型ゼオライトが望ましい。本発明の一実施形態において、長鎖オレフィンへの(ポリ)アルキレングリコールの付加に用いる触媒として、内部異性化させることができる触媒と同様のものが使用できる。また、該触媒(例えば酸触媒)量としては、上記長鎖オレフィンに対し、1~50質量%、好ましくは2~30質量%、4~20質量%、あるいは、5~15質量%である。該触媒量が1質量%未満の場合には、十分な触媒能が得られず付加反応が促進できない虞があり、他方、50質量%を越える場合には、さらなる添加に見合うだけの効果が得られず不経済となるなど好ましくない。
【0045】
本発明の高級第2級アルコールアルコキシレートの製造において、長鎖オレフィンに(ポリ)アルキレングリコールを付加して得られる高級第2級アルコールアルコキシレートを含む反応液は、未反応または副反応で生成した(ポリ)アルキレングリコールを含むため、当該(ポリ)アルキレングリコールを溶媒により洗浄する洗浄工程を施す点に特徴を有する。
【0046】
長鎖オレフィンに上記(ポリ)アルキレングリコールを付加させる反応は脱水反応であるため水が生成することにより、副反応として(ポリ)アルキレングリコールの縮合反応が起こり、多量体が生成しうる。例えば、モノエチレングリコールを原料に用いる場合には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多量体が生じる。この様な多量体は、高級第2級アルコールアルコキシレートと(ポリ)アルキレングリコールの付加反応が進行すると、さらに重合が進み、分子量の大きいポリアルキレングリコールとなる。多量体は、その重合度によっては、目的とする高級第2級アルコールアルコキシレートと同等の沸点を有する化合物となることになり、蒸留での分離精製が困難になる。そのため、溶媒で洗浄し上記ポリエチレングリコール等の多量体を抽出・除去することが好ましい。
【0047】
洗浄工程において、洗浄の対象となる液の形態の一つは、長鎖オレフィンに(ポリ)アルキレングリコールを付加して得られる高級第2級アルコールアルコキシレートを含む反応液である。この場合、洗浄工程の後に蒸留工程を行うことが好ましい。洗浄の対象となる液のもう一つの形態は、洗浄工程の前に前記反応液を蒸留する蒸留工程を行うことにより得られる高級第2級アルコールアルコキシレートを含む蒸留液である。反応により得られる高級第2級アルコールアルコキシレート反応液には、上述の通り、高級第2アルコール等の副成分を含むが、洗浄工程の前または後に蒸留工程を施すことにより、副生分を効率よく除去することができる。
【0048】
ここで蒸留工程の条件は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。蒸留温度としては、例えば、蒸留塔の塔頂部の温度が、通常50~300℃であり、好ましくは70~300℃、さらに好ましくは70~250℃である。蒸留滞留時間は、通常、24時間以内であり、好ましくは12時間以内であり、さらに好ましくは6時間以内である。蒸留滞留時間は10分以上が好ましく、20分以上がより好ましく、30分以上がさらに好ましい。蒸留は、常圧下および減圧下のいずれでも良いが、好ましくは減圧下であり、好ましい減圧度は100mmHg以下、より好ましくは50mmHg以下である。好ましい減圧度は0.5mmHg以上、より好ましくは1mmHg以上である。蒸留工程において低沸点の原料や不純物を抜き出し、高級第2級アルコールアルコキシレートを精製することができる。また塔底部に残留するジエーテル化合物を回収し反応系に添加しても良い。
【0049】
洗浄工程の方法としては、特に限定されるものではないが、(好ましくは炭素数8~30の)長鎖オレフィンの二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを触媒の存在下で付加して得られた高級第2級アルコールアルコキシレート生成物に溶媒を接触させる方法が好適である。本発明の一実施形態によれば、長鎖オレフィン(好ましくは、炭素数8~30の)の二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを触媒の存在下で付加して得られた高級第2級アルコールアルコキシレートの反応液または当該高級第2級アルコールアルコキシレートを蒸留して得られた反応液に溶媒を接触させる方法が好適である。本発明の一実施形態において溶媒を接触させる方法として、例えば、反応液(反応溶液)に溶媒を加え、十分に撹拌して溶媒層に(ポリ)アルキレングリコール(類)を溶解した後に静置し、反応溶液と溶媒が分離したら溶媒層を除去する方法などが挙げられる。
【0050】
洗浄工程に用いる溶媒としては、洗浄する対象物である高級第2級アルコールアルコキシレート(特には、第2級アルコールアルコキシレートの反応液または蒸留精製液)などと極性が異なり、二層に分離するものであることが好ましい。また、前記反応液または蒸留精製液への溶解度が低く、かつ(ポリ)アルキレングリコール(多量体)の溶解度が高い溶媒が好ましい。より好ましくは、前記反応液または蒸留精製液との沸点差が大きく蒸留により分離できる溶媒が好ましい。例えば溶媒の沸点は、0℃~200℃、20℃~180℃、40℃~150℃である。具体的には、水、メタノール等の炭素数が1~3あるいは炭素数が1または2のアルコール、あるいはそのアルカリ溶液および/またはその塩の溶液であり、それらを混合して用いることもできる。特に好ましくは、水を含む溶媒である。本発明の一実施形態によれば、当該溶媒中、水を70質量%以上、80質量%以上、あるいは85質量%以上含む。本発明の一実施形態によれば、溶媒は、硫酸ナトリウムなどの中性の水溶液である。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム(水溶液)、水酸化カリウム(水溶液)、トリエタノールアミン(水溶液)などが好ましい。
【0051】
洗浄工程の条件としては、特に制限されない。洗浄する際の溶媒の温度は、20~120℃であることが好ましく、30℃以上、40℃以上、50℃以上であってもよく、より好ましくは60~100℃であり、60~90℃、60~80℃であってもよい。温度が高い方が、微量で存在しても乳化白濁の原因となる高付加(ポリ)アルキレングリコールを効率よく洗浄できるので好ましい。溶媒(洗浄溶媒)の温度が低すぎると(例えば、20℃未満)、本発明の所期の効果を奏しない場合がある。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、1回の洗浄の時間としては、1~120分、3~90分、5~60分、10~50分、15~40分、あるいは、20~35分である。洗浄時間が短すぎると本発明の所期の効果を奏しない場合がある。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、洗浄の回数としては、2回以上が好ましく、3回以上がより好ましい。洗浄の回数が少なすぎると、本発明の所期の効果を効率的に奏しない場合がある。本発明の一実施形態によれば、洗浄の回数としては、10回以下であり、あるいは、5回以下である。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、溶媒(洗浄溶媒)の量としては、高級アルコールアルコキシレート含有液(洗浄対象の液)に対し、5~100質量%、5~50質量%、あるいは10~25質量%である。
【0055】
洗浄工程で用いる装置は、特に制限されないが、ミキサーセトラーのような洗浄槽部分の攪拌装置で混合しセトラー部分で分離できるような装置を挙げることができる。また、ラインミキサーや向流洗浄塔等の装置を用いることができる。
【0056】
本発明の高級第2級アルコールアルコキシレートの製造においては、ジエチレングリコール等が酸触媒によりジオキサンになる副反応も生じることがあるため、当該ジオキサンも上記の蒸留工程または洗浄工程において除去することが好ましい。
【0057】
高級第2級アルコールアルコキシレートの製造において、上述の通り、蒸留工程と洗浄工程を組み合わせて行うのが特に好ましい。蒸留工程と洗浄工程の順序は特に制限されない。先に洗浄工程を行った後に蒸留工程を行ってもよい。つまり、本発明における「高級第2級アルコールアルコキシレートに溶媒を接触させて(ポリ)アルキレングリコールの含有量が高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の全質量に対して0.2質量%以下になるまで洗浄する工程」における、「高級第2級アルコールアルコキシレート」は、「炭素数8~30の長鎖オレフィンの二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを触媒の存在下で付加して蒸留工程を行って得られた高級第2級アルコールアルコキシレート」または「炭素数8~30の長鎖オレフィンの二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを触媒の存在下で付加して蒸留工程を経ずに得られた高級第2級アルコールアルコキシレート」でありうる。後者の場合は、後に蒸留工程を行うことが好ましい。
【0058】
<高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の製造方法>
本発明の一実施形態によれば、上記高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体に、さらに触媒の存在下でアルキレンオキサイドを付加する高級2級アルコールアルコキシレート付加物の製造方法が提供される。
【0059】
本発明の高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の製造方法は、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体にアルキレンオキサイドを付加できる方法であれば特に制限されない。本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の製造方法は、例えば、上記高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法で得られた高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体にアルキレンオキサイドを適当なモル比となるように添加し、アルカリ触媒、酸触媒、アルミナマグネシア等の固体酸触媒、複合金属シアン化物(DMC)触媒等の存在下で反応させる。上記アルキレンオキサイドは、1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。後者の場合には2種類以上のアルキレンオキサイドがランダムに付加してもよく、それぞれがブロックに付加してもよく、ランダム構造とブロック構造が組み合わされていても良い。
【0060】
上記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキサイド(酸化エチレン)、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどが挙げられる。高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体に対するアルキレンオキサイドのモル比は、特に限定されないが、好ましくは1~30、より好ましくは2~25、より好ましくは4~20であり、3~18、4~16、あるいは、5~12である。
【0061】
高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体にアルキレンオキサイドを付加させる反応条件としては、反応温度が、通常50~250℃、好ましくは100~200℃、110~180℃、あるいは、120~160℃である。本発明の一実施形態によれば、反応時間は、0.5~40時間、0.5~20時間、あるいは1~10時間である反応圧力は、常圧または加圧のいずれでもよいが、常圧~20kg/cm(10kg/cm以下、あるいは、5kg/cm以下)の範囲が望ましい。上記反応温度が50℃未満の場合には、反応速度が遅くなる虞があり、他方、250℃を越える場合には、分解および副生成物の増加が起こるなどの可能性があり好ましくない。
【0062】
上記アルカリ触媒としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属に属する元素の水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどが挙げられる。入手のし易さおよび反応性からみて、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどである。これらは、粉末でも、顆粒状でも、さらには水溶液として添加し、脱水を行ってもよい。該アルカリ触媒の使用量(水溶液の形態であれば固形分換算)としては、原料のアルコキシレート(高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体)に対し、0.01~2.0質量%、好ましくは0.02~0.5質量%がよい。
【0063】
<高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩の製造方法>
本発明の一実施形態によれば、上記製造方法により得られる高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体および/または上記の製造方法により得られる高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を硫酸化しさらに中和する高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩の製造方法が提供される。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、高級第2級アルキルエーテル硫酸エステルは上記高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体または高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を硫酸化しさらに中和することにより得ることができる。かかる硫酸化する方法としては特に限定されず、クロルスルホン酸または無水硫酸を用いて硫酸化する方法(例えば、特開平10-251216号公報)や不活性ガスにより希釈された硫酸化剤を用いて硫酸化反応させる方法(例えば、特開2000-128853号公報)などの公知の方法を用いることができる。
【0065】
硫酸化の際にクロルスルホン酸を用いる場合、高級第2級アルコールアルコキシレート中にクロルスルホン酸を、公知の方法、例えば、直接もしくは空気、例えば窒素などの不活性ガスなどを同伴させて滴下し、または特公平1-36823号公報に記載の方法によりラインミキサー付外部循環が備えられた硫酸化装置などを利用して混合することによって、バッチ式で硫酸化を行う。クロルスルホン酸の滴下時間は、0.5~3時間、あるいは、1~2時間であることが好ましい。反応温度は-20~30℃、特に0~20℃が適している。
【0066】
硫酸化の際に無水硫酸を用いる場合、公知の方法、例えば、特公昭51-17538号公報に記載の方法が好適であり、例えば、並流薄膜反応器を用い、上記高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体および/または上記高級第2級アルコールアルコキシレート付加物を薄膜状に流下し、窒素ガス等の不活性ガスにより希釈した無水硫酸ガスを並流させ気液接触させることにより、連続式で硫酸化を行うことが好適である。不活性ガスの速度は毎秒20~70mあるいは23~50mが好ましい。ガス中の無水硫酸濃度は1~10容量%あるいは2~6容量%であることが好ましい。高級第2級アルコールアルコキシレートに対する無水硫酸のモル比は0.95~1.2が望ましい。反応温度は-20~60℃、特に0~30℃(あるいは、10℃~20℃)が望ましい。
【0067】
硫酸化工程において、溶媒を用いることによって、さらに高収率で高品質の高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩を製造することも可能である。使用する溶媒の種類としては、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、塩化エチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,1,2-テトラクロロエタンなどの塩素系溶媒、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒などが挙げられる。溶媒濃度は反応溶液中の10~90質量%が望ましい。溶媒濃度が10質量%未満では溶媒使用の効果がえられない虞があり、90質量%を超えると反応効率が悪くなり収率の低下などを招く場合があるので好ましくない。
【0068】
上記硫酸化剤として三酸化硫黄(無水硫酸とも称する)を用いる場合、原料高級アルコールエトキシレートを不活性ガスにより希釈された三酸化硫黄を用い、硫酸化剤の濃度を全ガス中0.1~3容量%、好ましくは0.3~1.8容量%で、更に好ましくは0.4~1.2容量%の範囲で反応させる。そうすることで、収率が向上する。硫酸化剤としては三酸化硫黄が好適に用いられ、不活性ガスとしては、空気、窒素、炭酸ガス、亜硫酸ガスなどが用いられる。
【0069】
硫酸化反応は槽型や管型の反応器を用いることができる。回分式でも連続式でも行うことができる。また反応熱を除熱しながら行うことが好ましい。槽型反応器として例えば攪拌器を設けた反応器を2段に分けたものを使用し、連続的に硫酸化する方法などを用いることができる。管型反応器(例えば、円管状の反応管)としては、反応原料を管壁に薄膜状に流す装置が好適である。さらに三酸化硫黄をガスとして並流もしくは向流に供給し反応させる薄膜式反応器も使用できる。中でも好ましくは並流薄膜式反応器である。
【0070】
並流薄膜式反応器において反応帯域へ供給される全ガスの平均流速は線速度にして20~80m/sであり、特に好ましくは30~60m/sである。原料の高級アルコールエトキシレートの供給速度は、三酸化硫黄の供給速度と、高級アルコールエトキシレートと三酸化硫黄とのモル比により定まる。原料モル比は、高級アルコールエトキシレートに対し、三酸化硫黄0.8~1.2、好ましくは0.95~1.05である。反応温度は-20℃~80℃、より好ましくは0℃~60℃の範囲であり、3~40℃、5~25℃であってもよい。
【0071】
反応終了後、反応生成物は未反応三酸化硫黄を含む不活性ガスから分離する。分離は通常の方法で行えばよく、一般にサイクロン等を用いることができる。
【0072】
硫酸化後、得られた反応液を塩基性物質で中和し、溶媒を使用した場合その溶媒を除去して、目的の高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩を得ることができる。
【0073】
中和工程に適した塩基は、アルカリ金属水酸化物、より好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウム、アルカリ土類金属の酸化物および水酸化物、より好ましくは、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウム、アンモニア、アルカノールアミン、より好ましくは、モノ-、ジ-およびトリエタノールアミン、並びに1アルキル基について1~4の炭素原子を含む第一、第二および第三アルキルアミンである。
【0074】
<洗浄剤、乳化剤>
本発明の一実施形態によれば、上記高級第2級アルコールアルコキシレート付加物および上記高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩の少なくとも1種を含む洗浄剤が提供される。本発明の一実施形態によれば、上記高級第2級アルコールアルコキシレート付加物および上記高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩の少なくとも1種を含む乳化剤が提供される。
【0075】
本発明の一形態において、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体、高級第2級アルコールアルコキシレート付加物および高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1種は、臭気がなく(または有意に低減され)、かつ白濁や分離物がない(または有意に低減され)ている。あるいは臭気がない(または臭気が有意に低減されている)。あるいは低皮膚刺激性を有する。本発明の一形態において、高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体、高級第2級アルコールアルコキシレート付加物および高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩からなる群から選択される少なくとも1種は、低流動点で、取り扱いしやすく、浸透力も良好で、泡切れもよく、洗浄力、乳化力に優れ、白濁や分離物を生成せず、さらに皮膚刺激性が低い。
【0076】
上記のような好ましい特性の少なくとも一つを有するため洗浄剤、乳化剤として使用することが特に好ましい。
【0077】
(洗浄剤)
本発明の洗浄剤では、上記高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体、高級第2級アルコールアルコキシレート付加物および高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩を単独で用いてもよいが、従来より公知の洗浄剤用界面活性剤と併用してもよい(つまり組成物の形態)。このような界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、脂肪族アミドスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤、アルキルベタインなどの両性イオン界面活性剤などがあげられる。
【0078】
さらに、本発明の洗浄剤には、通常の洗浄剤に使用されている種々の添加剤を加えることができる。このような添加剤としては、例えば、アルカリ剤、ビルダー、香料、蛍光増白剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、酵素、防腐剤、染料、溶剤などが挙げられる。
【0079】
本発明の洗浄剤は、衣類、繊維製品、食器、容器、雑貨器具、食品、ビルメインテナンス製品、住居、家具、自動車、航空機、金属製品などの洗浄剤、シャンプー、ボディシャンプーなどとして有効に用いることができる。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、洗浄剤(組成物)中における高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の含有量(含有比率)は、1~70質量%、3~60質量%、あるいは、5~50質量%である。保管、輸送の面からは高濃度であることが好ましいが、洗浄に使用する際には適宜、水などの溶媒で希釈して使用する。
【0081】
(乳化剤)
本発明の乳化剤を用いることのできる油性物質については、特に制限はなく、鉱物油、動植物油、合成油などに使用することができる。鉱物油の例としては、例えば、スピンドル油、マシン油、流動パラフィン油などを挙げることができる。動植物油の例としては、牛脂、豚脂、魚油、鯨油、ナタネ油、ゴマ油、ヤシ油、大豆油、パーム油、ツバキ油、ヒマシ油などを挙げることができる。
【0082】
本発明の乳化剤は、農薬、金属加工油、塗料および乳化重合用乳化剤などに用いることができる。
【0083】
以上のとおり、本発明の高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法は、下記の特徴を有する。
【0084】
・極めてシンプルである。
【0085】
・長鎖オレフィンの二重結合に(ポリ)アルキレングリコールを付加してなる生成物を溶媒で洗浄することにより容易に(ポリ)アルキレングリコールを低減または除去することができ(ポリ)アルキレングリコールの含有量が特定量以下の高級第2級アルコールアルコキシレート前駆体を得ることができる。
【0086】
・(ポリ)アルキレングリコールの含有量が特定量以下の高級第2級アルコールアルコキシレート(精製して得られた高級第2級アルコールアルコキシレート)を前駆体にして製造された高級第2級アルコールアルコキシレート付加物または高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩を含む洗浄剤は、白濁や分離物が生成せず、またはし難い;流動点が低い;取扱いが容易;浸透力が良好;洗浄力に優れる;との少なくとも1つの特徴を有する。
【0087】
・さらに、本発明の高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩は低皮膚刺激性を有するという特徴を有する。
【実施例
【0088】
以下、実施例により、本発明を詳しく説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0089】
実施例1 高級第2級アルコールモノエトキシレート前駆体の合成
1-ドデセンに対してPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP811 BL-25)5質量%を加え、150℃、10時間液相で反応させることにより得られた、ドデセン異性体混合物(1-ドデセン:25mol%、インナードデセン:75mol%からなる)810g(4.82mol)、モノエチレングリコール(MEG)900g(14.52mol)、および触媒としてPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP 811 BL-25)100gを、撹拌翼および還流冷却器を備えた3000mlのガラス製反応器に仕込み、気相部を窒素で置換した後、常圧で窒素雰囲気に保持した。次いで、回転数を600rpmとして撹拌しながら、150℃まで昇温後、同温度で3時間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却し、上層のドデセン相を分離し、未反応のドデセンを留出した後、減圧度2mmHgで129~131℃(蒸留塔の塔頂部の温度。以下同様)の沸点範囲で第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)155gを得た。
【0090】
第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)中には、MEGおよびMEGの多量体が0.3質量%含有されていた。第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)155gをセパラブルフラスコに加え、70℃にて水25gで撹拌羽を用い100rpmで30分撹拌し洗浄した後、水層を分離する作業を3回繰り返しさらに脱水して精製第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)を得た。当該エトキシレート中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.02質量%であった。
【0091】
実施例2 第2級ドデカノールモノエトキシレート付加物の合成
実施例1で得られた精製第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)155g(0.67mol)および触媒として水酸化ナトリウムの49%水溶液0.55gをステンレス製オートクレーブに仕込み、13kPaで減圧しながら120℃で60分間窒素バブリングを行い、脱水した。窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて1.0kg/cmGとし、150℃に昇温後、エチレンオキサイド217g(4.93mol)を3時間でオートクレーブに導入した。導入後、さらに1時間、150℃に保持した後、室温まで冷却し、内部の圧力をパージした後(すなわち、窒素を放出し解圧し)、オキシエチレン基が平均8.4molの第2級ドデカノールエトキシレート付加物(1)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0092】
比較例1
実施例2において精製第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)155g(0.67mol)の代わりに実施例1の第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)155gを用いた以外は同様の方法により比較第2級ドデカノールエトキシレート付加物(1)を得た。(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.45質量%であった。
【0093】
実施例3 第2級テトラデカノールモノエトキシレート前駆体の合成
1-テトラデセンに対してPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP 811 BL-25)5質量%を加え、150℃13時間液相で反応させることにより得られた、テトラデセン異性体混合物(1-テトラデセン:6mol%、2-テトラデセン:15mol%、3-テトラデセン:18mol%、4-テトラデセン:20mol%、5-テトラデセン:17mol%、6,7-テトラデセン:24mol%、からなる)810g(4.13mol)、モノエチレングリコール(MEG)900g(14.52mol)、および触媒としてPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP 811 BL-25)100gを、撹拌翼および還流冷却器を備えた3000mlのガラス製反応器に仕込み、気相部を窒素で置換した後、常圧で窒素雰囲気に保持した。次いで、回転数を600rpmとして撹拌しながら、150℃まで昇温後、同温度で3時間反応させた。その後、反応液を室温まで冷却し、上層のテトラデセン相を分離した。このテトラデセン相には第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)が103g、MEGおよびMEGの多量体が0.4g含有されていた。このテトラデセン相840gをセパラブルフラスコに200gの水/MeOH=90/10溶液(質量比)で加え60℃にて撹拌羽を用い100rpmで30分撹拌した後、水層を分離する作業を3回繰り返した。その後、油層を蒸留した。未反応のテトラデセンを留出した後、減圧度5mmHgで170~174℃の沸点範囲で精製第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)102gを得た。当該エトキシレート中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0094】
実施例4 第2級テトラデカノールエトキシレート付加物の合成
実施例3で得られた精製第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)102g(0.40mol)および触媒として水酸化ナトリウム49%水溶液0.4gをステンレス製オートクレーブに仕込み、13kPaで減圧しながら120℃で60分間窒素バブリングを行い、脱水した。窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて1.0kg/cmGとし、150℃に昇温後、エチレンオキサイド150g(3.42mol)を3時間でオートクレーブに導入した。導入後、さらに1時間、150℃に保持した後、室温まで冷却し、内部の圧力をパージした後、オキシエチレン基が平均9.6molの第2級テトラデカノールエトキシレート付加物()を得た。第2級テトラデカノールエトキシレート付加物()中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.04質量%であった。
【0095】
比較例2
実施例4において精製第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)102g(0.67mol)の代わりに実施例3の第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)102gを用いた以外は同等の方法により比較第2級テトラデカノールエトキシレート付加物(1)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールは、0.58質量%であった。
【0096】
実施例5 第2級ドデカノールジエトキシレート前駆体の合成
実施例1において、モノエチレングリコール(MEG)900g(14.52mol)の代わりにジエチレングリコール(DEG)1550g(14.61mol)を用い、蒸留の条件を、減圧度5mmHgで170~175℃の沸点範囲で取得した以外は同様の方法により第2級ドデカノールジエトキシレート(1)184gを得た。第2級ドデカノールジエトキシレート(1)中には、DEGおよびDEGの多量体が0.4質量%含有されていた。第2級ドデカノールジエトキシレート(1)184gをセパラブルフラスコに加え、80℃にてNaOH 1質量%水溶液40gで撹拌羽を用い100rpmで30分撹拌し洗浄した後、水層を分離する作業を3回繰り返し、さらに脱水して精製第2級ドデカノールジエトキシレート(1)を得た。当該エトキシレート中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0097】
実施例6 第2級ドデカノールジエトキシレート付加物の合成
実施例5で得られた精製第2級ドデカノールジエトキシレート(1)184g(0.67mol)および触媒として水酸化ナトリウム49%水溶液0.4gをステンレス製オートクレーブに仕込み、13kPaで減圧しながら120℃で60分間窒素バブリングを行い、脱水した。窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて1.0kg/cmGとし、150℃に昇温後、エチレンオキサイド189g(4.30mol)を3時間でオートクレーブに導入した。導入後、さらに1時間、150℃に保持した後、室温まで冷却し、内部の圧力をパージした後、オキシエチレン基が平均8.4molの第2級ドデカノールエトキシレート付加物(2)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0098】
比較例3
実施例6において精製第2級ドデカノールジエトキシレート(1)184g(0.67mol)の代わりに実施例5の第2級ドデカノールジエトキシレート(1)184gを用いた以外は同等の方法により比較第2級ドデカノールエトキシレート付加物(2)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.53質量%であった。
【0099】
(高級第2級アルコールトリエトキシレートの合成)
実施例7 第2級ドデカノールトリエトキシレート前駆体の合成
実施例1において、モノエチレングリコール(MEG)900g(14.52mol)の代わりにトリエチレングリコール(TEG)2500g(16.67mol)を用い、蒸留の条件を、減圧度5mmHgで190~195℃の沸点範囲で取得した以外は同様の方法により第2級ドデカノールトリエトキシレート(1)240gを得た。
【0100】
第2級ドデカノールトリエトキシレート(1)中には、TEGおよびTEGの多量体が0.5質量%含有されていた。第2級ドデカノールトリエトキシレート(1)240gをセパラブルフラスコに加え、80℃にて硫酸ナトリウム1質量%水溶液50gで撹拌羽を用い100rpmで30分撹拌し洗浄した後水層を分離する作業を3回繰り返し、脱水して精製第2級ドデカノールトリエトキシレート(1)を得た。当該エトキシレート中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0101】
(高級第2級アルコールトリエトキシレート付加物の合成)
実施例8 第2級ドデカノールトリエトキシレート付加物の合成
実施例7で得られた精製第2級ドデカノールトリエトキシレート(1)240g(0.75mol)および触媒として水酸化ナトリウム49%水溶液0.6gをステンレス製オートクレーブに仕込み、13kPaで減圧しながら120℃で60分間窒素バブリングを行い、脱水した。窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて1.0kg/cmGとし、150℃に昇温後、酸化エチレン178g(4.05mol)を3時間でオートクレーブに導入した。導入後、さらに1時間、150℃に保持した後、室温まで冷却し、内部の圧力をパージした後、オキシエチレン基が平均8.4molの第2級ドデカノールエトキシレート付加物(3)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.06質量%であった。
【0102】
比較例4
実施例8において精製第2級ドデカノールトリエトキシレート(1)240g(0.75mol)の代わりに実施例7の第2級ドデカノールトリエトキシレート(1)240gを用いた以外は同等の方法により比較第2級ドデカノールエトキシレート付加物(3)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.53質量%であった。
【0103】
実施例9 第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩の合成
実施例1で得られた精製第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)155g(0.67mol)を内径5mm、長さ100cmの円管状の反応帯域を形成する反応管を用い、その上部の液溜を経て反応管上部に設けた堰より反応管の内壁に沿って、毎分16.2gの速度で薄膜状に流下させた。同時に反応管上部に設けたノズルより、窒素ガスで希釈した無水硫酸を流入させた。流入させた全窒素ガスの反応管における流速を毎秒30mとし、流入させた全混合ガス中の無水硫酸の濃度を4容量%とした。また、流下させた無水硫酸と流下させた精製第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)とのモル比を1.1とした。エトキシレートと無水硫酸の反応で発生した反応熱は、反応管の外側を流れる冷媒により除去し、15℃に保った。反応管を出た流体は、サイクロンにより窒素ガスと反応生成物に分離した。反応生成物は、直ちに水酸化ナトリウム水溶液により中和し、所望の第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩(1)の約25質量%水溶液を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.02質量%であった。
【0104】
実施例10 第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩の合成
実施例1で得られた精製第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)155g(0.67mol)および触媒として水酸化ナトリウム49%水溶液0.4gをステンレス製オートクレーブに仕込み、13kPaで減圧しながら120℃で60分間窒素バブリングを行い、脱水した。窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて1.0kg/cmGとし、150℃に昇温後、エチレンオキサイド62g(1.41mol)を3Hrsでオートクレーブに導入した。導入後、さらに1Hr、150℃に保持した後、室温まで冷却し、内部の圧力をパージした後、オキシエチレン基が平均3.1molの第2級ドデカノールエトキシレート付加物を得た。
【0105】
この第2級ドデカノールエトキシレート付加物217g(0.67mol)を500mlフラスコに仕込み、10℃に冷却した。この中にクロルスルホン酸86.3g(0.74mol)を約1時間かけて滴下した。滴下中、液温は10~15℃に維持した。クロルスルホン酸滴下後、反応液中に窒素ガスを流し、副生の塩化水素ガスを除去し、次いで、20℃以下に温度を維持しながら、反応液を水酸化ナトリウム溶液中に滴下して中和し、所望の第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩(2)の約25質量%水溶液を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0106】
比較例5
実施例9において精製第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)155g(0.67mol)の代わりに実施例1の第2級ドデカノールモノエトキシレート(1)102gを用いた以外は同等の方法により比較第2級ドデシルエーテル硫酸エステル塩(1)を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.58質量%であった。
【0107】
実施例11 保存安定性試験(濁り試験)
実施例2、4、6、8および比較例1~4で得られた高級第2級アルコールアルコキシレート付加物について、保存安定性の測定を行った。
【0108】
これらの測定結果を下記表1に示す。
【0109】
(測定法)
高級第2級アルコールアルコキシレート付加物の保存安定性は、25℃、0℃においてそれぞれ30g保存し、1ヶ月後の濁りの有無を目視で判定した。
【0110】
沈殿物あり 1
強い濁りあり 2
薄く濁っている 3
透明 4
【0111】
【表1】
【0112】
実施例12
実施例2、4、6、8および比較例1~4で得られた高級第2級アルコールアルコキシレート付加物と下記洗剤原料を混合して液体洗剤組成物を作成し、保存安定性(濁り)と官能試験(臭い)の測定を行った。結果を表2に示す。
【0113】
(1)保存安定性(濁り)の測定法
洗剤組成物を表2の通り作成し、25℃、0℃において保管し、3ヶ月後の分離や濁りの有無を目視で行い、以下の判定基準で判定した。
【0114】
分離 1
沈殿物あり 2
強い濁りあり 3
薄く濁っている 4
透明 5。
【0115】
(2)官能試験(臭い)の測定方法
洗剤組成物を表2の通り作成し、5人のテスターにより、臭いの有無を以下の判定基準で判定した。
【0116】
不快な臭い 1
やや不快な臭い 2
不快ではないが有臭 3
臭わない 4。
【0117】
【表2】
【0118】
*液体洗剤組成物の組成に関連する表中の数値の単位は全て質量%である。
【0119】
実施例13 皮膚刺激性の評価
実施例9および比較例5で得られた高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩について皮膚刺激性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0120】
男女各3名、合計6名のパネルを用い、左右の手の一方を試料濃度1質量%、液温35℃の洗剤溶液に、他方を水に1日当たり30分間浸漬する実験を2日間行い、洗剤溶液に浸した手(甲)と水に浸した手(乙)とを対比しながらその手荒れ状態を観察して下記の基準で評点を与え、パネルの評点合計を平均して試料の皮膚刺激性を評価した。結果を表3に示す。
【0121】
甲が乙より手荒れが著しく少ない -2
甲が乙より手荒れが若干少ない -1
甲が乙とは手荒れが同程度 0
甲が乙より手荒れが若干ひどい +1
甲が乙より手荒れが著しくひどい +2。
【0122】
【表3】
【0123】
実施例14 第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート前駆体の合成
1-ヘキサデセンに対してPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP811 BL-25)5質量%を加え、150℃、10時間液相で反応させることにより得られた、ドデセン異性体混合物(1ーヘキサデセン:25mol%、インナーヘキサデセン:75mol%からなる)1082g(4.82mol)、モノエチレングリコール(MEG)900g(14.52mol)、および触媒としてPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP 811 BL-25)100gを、撹拌翼および還流冷却器を備えた3000mlのガラス製反応器に仕込み、気相部を窒素で置換した後、常圧で窒素雰囲気に保持した。次いで、回転数を600rpmとして撹拌しながら、150℃まで昇温後、同温度で3時間反応させた後、反応液を室温まで冷却し、上層のヘキサデセン相を分離し、未反応のヘキサデセンを留出した後、減圧度1mmHgで134~138℃の沸点範囲で第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)132gを得た。
【0124】
第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)中には、MEGおよびMEGの多量体が0.3質量%含有されていた。第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)132gをセパラブルフラスコに加え、70℃にて水25gで撹拌羽を用い100rpmで30分撹拌し洗浄した後、水層を分離する作業を3回繰り返し、さらに脱水して精製第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)を得た。当該エトキシレート中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0125】
実施例15 第2級ヘキサデカノールエトキシレート付加物の合成
実施例14で得られた精製第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)120g(0.42mol)および触媒として水酸化ナトリウム49%水溶液0.25gをステンレス製オートクレーブに仕込み、13kPaで減圧しながら120℃で60分間窒素バブリングを行い、脱水した。窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて1.0kg/cmGとし、150℃に昇温後、エチレンオキサイド185g(4.2mol)を3時間でオートクレーブに導入した。導入後、さらに1時間、150℃に保持した後、室温まで冷却し、内部の圧力をパージした後、オキシエチレン基が平均11.0molの第2級ヘキサデカノールエトキシレート付加物(2)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0126】
比較例6
実施例15において精製第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)120g(0.42mol)の代わりに実施例14の第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)120gを用いた以外は同様の方法により比較第2級ヘキサデカノールエトキシレート付加物(1)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.41質量%であった。
【0127】
実施例16 第2級オクタデカノールモノエトキシレート前駆体の合成
1-オクタデセンに対してPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP811 BL-25)5質量%を加え、150℃、10時間液相で反応させることにより得られた、ドデセン異性体混合物(1-オクタデセン:25mol%、インナーヘキサデセン:75mol%からなる)1217g(4.82mol)、モノエチレングリコール(MEG)900g(14.52mol)、および触媒としてPQ社製BEA型ゼオライト(商品名:VALFOR CP 811 BL-25)100gを、撹拌翼および還流冷却器を備えた3000mlのガラス製反応器に仕込み、気相部を窒素で置換した後、常圧で窒素雰囲気に保持した。次いで、回転数を600rpmとして撹拌しながら、150℃まで昇温後、同温度で3時間反応させた後、反応液を室温まで冷却し、上層のオクタデセン相を分離し、未反応のオクタデセンを留出した後、減圧度1mmHgで165~169℃の沸点範囲で第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)143gを得た。
【0128】
第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)中には、MEGおよびMEGの多量体が0.3質量%含有されていた。第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)143gをセパラブルフラスコに加え、70℃にて水25gで撹拌羽を用い100rpmで30分撹拌し洗浄した後、水層を分離する作業を3回繰り返し、さらに脱水して精製第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)を得た。当該エトキシレート中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.04質量%であった。
【0129】
実施例17 第2級オクタデカノールエトキシレート付加物の合成
実施例16で得られた精製第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)126g(0.4mol)および触媒として水酸化ナトリウム49%水溶液0.25gをステンレス製オートクレーブに仕込み、13kPaで減圧しながら120℃で60分間窒素バブリングを行い、脱水した。窒素置換後、反応器内の圧力を窒素にて1.0kg/cmGとし、150℃に昇温後、エチレンオキサイド201g(4.6mol)を3時間でオートクレーブに導入した。導入後、さらに1時間、150℃に保持した後、室温まで冷却し、内部の圧力をパージした後、オキシエチレン基が平均12.4molの第2級オクタデカノールエトキシレート付加物(2)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.03質量%であった。
【0130】
比較例7
実施例17において精製第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)126g(0.4mol)の代わりに実施例16の第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)126gを用いた以外は同様の方法により比較第2級オクタデカノールエトキシレート付加物(1)を得た。当該付加物中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.40質量%であった。
【0131】
実施例18
実施例3で得られた精製第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)78g(0.3mol)を内径5mm、長さ100cmの円管状の反応帯域を形成する反応管を用い、その上部の液溜を経て反応管上部に設けた堰より反応管の内壁に沿って、毎分16.2gの速度で薄膜状に流下させた。同時に反応管上部に設けたノズルより、窒素ガスで希釈した無水硫酸を流入させた。流入させた全窒素ガスの反応管における流速を毎秒30mとし、流入させた全混合ガス中の無水硫酸の濃度を4容量%とした。また、流下させた無水硫酸と流下させた精製第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)とのモル比を1.1とした。エトキシレートと無水硫酸の反応で発生した反応熱は、反応管の外側を流れる冷媒により除去し、15℃に保った。反応管を出た流体は、サイクロンにより窒素ガスと反応生成物に分離した。反応生成物は、直ちに水酸化ナトリウム水溶液により中和し、所望の第2級テトラデシルエーテル硫酸エステル塩(1)の約25質量%水溶液を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.02質量%であった。
【0132】
比較例8
実施例18において精製第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)78gの代わりに実施例3の第2級テトラデカノールモノエトキシレート(1)78gを用いた以外は同等の方法により比較第2級テトラデシルエーテル硫酸エステル塩(1)の約25質量%水溶液を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.55質量%であった。
【0133】
実施例19
実施例14で得られた精製第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)86g(0.3mol)を内径5mm、長さ100cmの円管状の反応帯域を形成する反応管を用い、その上部の液溜を経て反応管上部に設けた堰より反応管の内壁に沿って、毎分16.2gの速度で薄膜状に流下させた。同時に反応管上部に設けたノズルより、窒素ガスで希釈した無水硫酸を流入させた。流入させた全窒素ガスの反応管における流速を毎秒30mとし、流入させた全混合ガス中の無水硫酸の濃度を4容量%とした。また、流下させた無水硫酸と流下させた精製第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)とのモル比を1.1とした。エトキシレートと無水硫酸の反応で発生した反応熱は、反応管の外側を流れる冷媒により除去し、15℃に保った。反応管を出た流体は、サイクロンにより窒素ガスと反応生成物に分離した。反応生成物は、直ちに水酸化ナトリウム水溶液により中和し、所望の第2級ヘキサデシルエーテル硫酸エステル塩(1)の約25質量%水溶液を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.02質量%であった。
【0134】
比較例9
実施例19において精製第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)86gの代わりに実施例14の第2級ヘキサデカノールモノエトキシレート(1)86gを用いた以外は同等の方法により比較第2級ヘキサデシルエーテル硫酸エステル塩(1)の約25質量%水溶液を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.52質量%であった。
【0135】
実施例20
実施例16で得られた精製第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)94g(0.3mol)を内径5mm、長さ100cmの円管状の反応帯域を形成する反応管を用い、その上部の液溜を経て反応管上部に設けた堰より反応管の内壁に沿って、毎分16.2gの速度で薄膜状に流下させた。同時に反応管上部に設けたノズルより、窒素ガスで希釈した無水硫酸を流入させた。流入させた全窒素ガスの反応管における流速を毎秒30mとし、流入させた全混合ガス中の無水硫酸の濃度を4容量%とした。また、流下させた無水硫酸と流下させた精製第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)とのモル比を1.1とした。エトキシレートと無水硫酸の反応で発生した反応熱は、反応管の外側を流れる冷媒により除去し、15℃に保った。反応管を出た流体は、サイクロンにより窒素ガスと反応生成物に分離した。反応生成物は、直ちに水酸化ナトリウム水溶液により中和し、所望の第2級オクタデシルエーテル硫酸エステル塩(1)の約25質量%水溶液を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.02質量%であった。
【0136】
比較例10
実施例20において精製第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)94gの代わりに実施例16の第2級オクタデカノールモノエトキシレート(1)94gを用いた以外は同等の方法により比較第2級オクタデシルエーテル硫酸エステル塩(1)の約25質量%水溶液を得た。当該硫酸エステル塩水溶液中の(ポリ)エチレングリコールの含有量は、0.58質量%であった。
【0137】
実施例21 保存安定性試験(濁り試験)
実施例15、17および比較例6、7で得られた高級第2級アルコールアルコキシレート付加物について、保存安定性の測定を行った。
【0138】
測定法は前記した同様の方法で行い、これらの測定結果を下記表4に示す。
【0139】
【表4】
【0140】
実施例22
実施例15、17および比較例6、7で得られた高級第2級アルコールアルコキシレート付加物と下記洗剤原料を混合して液体洗剤組成物を作成し、前記した同様の方法で保存安定性(濁り)と官能試験(臭い)の測定を行った。結果を表5に示す。
【0141】
【表5】
【0142】
*液体洗剤組成物の組成に関連する表中の数値の単位は全て質量%である。
【0143】
実施例23 洗浄力評価
実施例2、4、15、17および比較例1、2、6、7で得られた高級第2級アルコールエトキシレート付加物について、洗浄力の評価を行った。結果を表6に示す。
【0144】
(洗浄力の測定法)
木綿とポリエステルの混紡布に皮脂汚れを付着させた汚染布を5cm角に切断したものを5枚用意し、反射率を測定した。測定後、50gの白色の木綿布と共に500gの界面活性剤溶液に入れ、ターゴトメーター(大栄科学精器製作所社製、TM-4)を用い、120rpmで10分間洗浄を行った。洗浄後、汚染布と木綿布を取り出し、1000gの水を用い、120rpmで10分間のすすぎを行った。すすぎ後、一晩室温で乾燥させ、反射率を測定し、洗浄前後の色差の変化から洗浄率を算出した。反射率は分光色差計SA5500(日本電色工業株式会社社製)を用いて評価した。
【0145】
汚染布:wfk社製、WFK 20D
界面活性剤溶液濃度:0.01wt%
使用水:純水(25℃)
洗浄率(洗浄力)は以下の式を用いて算出した。
【0146】
【数1】
【0147】
上記数式中、Rは原布の反射率を、Rは人工汚染布の反射率を、Rは洗浄布の反射率をそれぞれ表す。
【0148】
【表6】
【0149】
実施例24 洗浄力評価
実施例9、18、19、20と比較例5、8、9、10で得られた高級第2級アルキルエーテル硫酸エステル塩について、洗浄力の評価を行った。結果を表7に示す。
【0150】
洗浄力の測定は、界面活性剤溶液濃度を0.03wt%にした以外は実施例23と同等の方法で行った。
【0151】
【表7】
【0152】
なお、本出願は、2019年 9月 9日に出願された日本国特許出願特願2019-164036号、2019年10月31日に出願された日本国特許出願特願2019-199188号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。