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特許7295987積層造形装置、及び積層造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-13
(45)【発行日】2023-06-21
(54)【発明の名称】積層造形装置、及び積層造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/153 20170101AFI20230614BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230614BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230614BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20230614BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20230614BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20230614BHJP
   B22F 12/20 20210101ALI20230614BHJP
   B22F 12/30 20210101ALI20230614BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20230614BHJP
【FI】
B29C64/153
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/393
B33Y50/02
B29C64/295
B22F12/20
B22F12/30
B22F10/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022044050
(22)【出願日】2022-03-18
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】村中 勝隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 善考
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-066906(JP,A)
【文献】特開2008-307895(JP,A)
【文献】特開2021-115625(JP,A)
【文献】国際公開第2020/188881(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/151712(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/106179(WO,A1)
【文献】特開2018-162488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
B22F 10/00-12/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形装置であって、
造形テーブルと、照射装置と、温度調整装置と、冷媒循環装置と、制御手段とを備え、
前記造形テーブル上には、材料粉体の供給により材料層が形成され、
前記照射装置は、前記材料層にレーザ光又は電子ビームを照射して固化層を形成し、
前記温度調整装置は、前記造形テーブルを設定温度まで加熱する加熱器と、前記造形テーブルを冷却する第1冷却器とを備え、
前記冷媒循環装置は、冷媒を温度調整して前記第1冷却器との間で循環させ、運転モードとして低負荷モードと高負荷モードとを備え、
前記制御手段は、高負荷継続時間設定部とモード切替部とを備え、前記設定温度に基づき、前記冷媒循環装置の冷却能力を操作することにより前記冷媒循環装置から供給される前記冷媒の温度である供給冷媒温度を制御するように構成され、
前記高負荷継続時間設定部は、前記高負荷モードによる前記冷媒循環装置の1回の運転あたりの継続時間である高負荷継続時間を設定し、
前記モード切替部は、前記設定温度及び前記高負荷継続時間に基づき前記運転モードの切替を行い、
前記冷媒循環装置は、前記高負荷モードにおいて、前記低負荷モードよりも高い冷却能力で前記冷媒の温度調整を行う、積層造形装置。
【請求項2】
請求項に記載の積層造形装置であって、
前記冷媒循環装置と前記第1冷却器とは、前記冷媒を前記第1冷却器に供給するための冷媒供給路により接続されており、
前記冷媒供給路には、冷媒供給弁が設けられ、
前記制御手段は、冷媒供給制御部を備え、
前記冷媒供給制御部は、前記冷媒供給弁を開閉することにより前記第1冷却器への前記冷媒の供給を制御するように構成され、
前記モード切替部は、前記冷媒供給弁が閉じられた状態で前記冷媒循環装置を前記低負荷モードから前記高負荷モードへの切替を行うように構成され、
前記冷媒供給制御部は、前記高負荷モードへの前記切替が行われてから所定の待機時間の経過後に前記冷媒供給弁を開いて前記第1冷却器への前記冷媒の供給を開始するように構成される、積層造形装置。
【請求項3】
請求項1~請求項の何れか1つに記載の積層造形装置であって、
前記照射装置は、前記レーザ光を出力するレーザ発振器を備え、
前記積層造形装置は、前記レーザ発振器を冷却する第2冷却器を備え、
前記冷媒循環装置は、前記冷媒を前記第2冷却器との間で循環させる、積層造形装置。
【請求項4】
請求項に記載の積層造形装置であって、
前記第2冷却器に供給される前記冷媒の温度を監視する温度監視装置を備える、積層造形装置。
【請求項5】
請求項1~請求項の何れか1つに記載の積層造形装置であって、
前記制御手段は、前記設定温度及び前記造形テーブルの容積に基づき、前記供給冷媒温度を制御するように構成される、積層造形装置。
【請求項6】
請求項1~請求項の何れか1つに記載の積層造形装置であって、
前記制御手段は、前記設定温度及び前記造形テーブル上の造形物の高さに基づき、前記供給冷媒温度を制御するように構成される、積層造形装置。
【請求項7】
請求項1~請求項の何れか1つに記載の積層造形装置であって、
前記冷媒循環装置は、チラーである、積層造形装置。
【請求項8】
積層造形物の製造方法であって、
材料層形成工程と、加熱工程と、固化工程と、冷媒温度調整工程と、冷却工程とを備え、
前記材料層形成工程では、造形テーブル上に材料粉体を供給して材料層を形成し、
前記加熱工程では、前記造形テーブルを所定の設定温度まで加熱し、
前記固化工程では、前記材料層にレーザ光又は電子ビームを照射することにより固化層を形成し、
前記冷媒温度調整工程では、前記設定温度に基づき、冷媒循環装置の冷却能力を操作することにより前記冷媒循環装置から供給される冷媒の温度である供給冷媒温度を調整し、
前記冷却工程では、前記造形テーブルを冷却する冷却器と前記冷媒循環装置との間で前記冷媒を循環させ、
前記冷媒循環装置は、運転モードとして低負荷モードと高負荷モードとを備え、前記高負荷モードにおいて、前記低負荷モードよりも高い冷却能力で前記冷媒の温度調整を行い、
前記運転モードの切替は、前記設定温度及び高負荷継続時間に基づき行われ、
前記高負荷継続時間は、前記高負荷モードによる前記冷媒循環装置の1回の運転あたりの継続時間である、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層造形装置、及び積層造形物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三次元造形物の積層造形においては、種々の方式が知られている。例えば、不活性ガスが充満されたチャンバ内において、造形テーブル上の造形領域内に金属の材料粉体を供給して材料層を形成する。そして、材料層の所定位置に照射装置を用いてレーザ光又は電子ビームを照射することで材料層を焼結又は溶融させて固化層を形成する。このような材料層及び固化層の形成を繰り返すことによって、固化層を積層して所望の三次元造形物を製造する。
【0003】
材料層は、レーザ光又は電子ビームの照射に際し所定の温度に予熱されていることが好ましい。材料層が敷設される造形テーブルは、加熱器により昇温可能に構成されており、所望の予熱温度と同等の設定温度に昇温された造形テーブルから熱を伝達することで材料層を予熱する。造形テーブルの昇温時の設定温度は、一般的には約120℃であるが、耐熱鋼等を材料として用いる場合には、材料に好適な予熱温度に応じて140~200℃程度の比較的高い設定温度に昇温される。特許文献1には、材料層を高温に加熱可能な造形テーブルが開示されている。
【0004】
レーザ光又は電子ビームの照射後、照射箇所は急激に温度低下し、固化層が形成される。また、造形物の造形完了後、又は造形の途中で、造形精度の向上等を目的として固化層の冷却が行われる場合がある。例えば、造形テーブルを冷却器により冷却し、これにより造形テーブル上の固化層を所定の温度に冷却する。特許文献2には、造形途中で固化層を所定の温度まで冷却して意図的にマルテンサイト変態を起こすことで、固化層の応力緩和を行う積層造形法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6340452号公報
【文献】特許第6295001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような造形テーブルの冷却は、例えば、チラー等の冷媒循環装置を導入し、温度調整した冷媒を造形テーブルの冷却器との間で循環させることで行われる。造形テーブルの昇温時の一般的な設定温度に見合う冷却能力を有する冷媒循環装置を導入すると、設定温度が比較的高い場合に冷却能力が不足し、造形テーブルの冷却時間が長くなり、造形テーブルを所望の冷却温度まで冷却することが困難となる可能性がある。一方、造形テーブルの設定温度が比較的高い造形に対応可能とするためにより高い冷却能力を有する冷媒循環装置を導入する、又は冷媒循環装置を増設すると、設備の導入費用が増大する他、冷媒循環装置全体が大型化してしまう。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、造形テーブルを冷却するための冷媒を循環させる冷媒循環装置を備える積層造形装置であって、造形テーブルの昇温時の設定温度が比較的高い場合であっても効率的な冷却を可能としつつ、冷媒循環装置の導入費用の増大及び大型化を回避可能な積層造形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、積層造形装置であって、造形テーブルと、照射装置と、温度調整装置と、冷媒循環装置と、制御手段とを備え、前記造形テーブル上には、材料粉体の供給により材料層が形成され、前記照射装置は、前記材料層にレーザ光又は電子ビームを照射して固化層を形成し、前記温度調整装置は、前記造形テーブルを設定温度まで加熱する加熱器と、前記造形テーブルを冷却する第1冷却器とを備え、前記冷媒循環装置は、冷媒を温度調整して第1冷却器との間で循環させ、前記制御手段は、前記設定温度に基づき、前記冷媒循環装置から供給される前記冷媒の温度である供給冷媒温度を制御するように構成される、積層造形装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る積層造形装置においては、制御装置が、造形テーブルの昇温時の設定温度に基づき、冷媒循環装置から供給される冷媒の温度である供給冷媒温度を制御するように構成されている。このような構成においては、一般的な設定温度に見合う冷却能力を有する冷媒循環装置を導入した場合であっても、設定温度が比較的高い造形においては冷媒をより低い温度に調整したうえで冷却器に供給することで、冷媒循環装置を増設することなく、造形テーブルを効率的に冷却することが可能となる。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記制御手段は、前記設定温度に基づき前記冷媒循環装置の冷却能力を操作することにより前記供給冷媒温度を制御するように構成される。
好ましくは、前記冷媒循環装置は、運転モードとして低負荷モードと高負荷モードとを備え、前記制御手段は、高負荷継続時間設定部とモード切替部とを備え、前記高負荷継続時間設定部は、前記高負荷モードによる前記冷媒循環装置の1回の運転あたりの継続時間である高負荷継続時間を設定し、前記モード切替部は、前記設定温度及び前記高負荷継続時間に基づき前記運転モードの切替を行い、前記冷媒循環装置は、前記高負荷モードにおいて、前記低負荷モードよりも高い冷却能力で前記冷媒の温度調整を行う。
好ましくは、前記冷媒循環装置と第1冷却器とは、前記冷媒を第1冷却器に供給するための冷媒供給路により接続されており、前記冷媒供給路には、冷媒供給弁が設けられ、前記制御手段は、冷媒供給制御部を備え、前記冷媒供給制御部は、前記冷媒供給弁を開閉することにより第1冷却器への前記冷媒の供給を制御するように構成され、前記モード切替部は、前記冷媒供給弁が閉じられた状態で前記冷媒循環装置を前記低負荷モードから前記高負荷モードへの切替を行うように構成され、前記冷媒供給制御部は、前記高負荷モードへの前記切替が行われてから所定の待機時間の経過後に前記冷媒供給弁を開いて第1冷却器への前記冷媒の供給を開始するように構成される。
好ましくは、前記照射装置は、前記レーザ光を出力するレーザ発振器を備え、前記積層造形装置は、前記レーザ発振器を冷却する第2冷却器を備え、前記冷媒循環装置は、前記冷媒を前記第2冷却器との間で循環させる。
好ましくは、第2冷却器に供給される前記冷媒の温度を監視する温度監視装置を備える。
好ましくは、前記制御手段は、前記設定温度及び前記造形テーブルの容積に基づき、前記供給冷媒温度を制御するように構成される。
好ましくは、前記制御手段は、前記設定温度及び前記造形テーブル上の造形物の高さに基づき、前記供給冷媒温度を制御するように構成される。
好ましくは、前記冷媒循環装置は、チラーである。
【0011】
本発明の別の観点によれば、積層造形物の製造方法であって、材料層形成工程と、加熱工程と、固化工程と、冷媒温度調整工程と、冷却工程とを備え、前記材料層形成工程では、造形テーブル上に材料粉体を供給して材料層を形成し、前記加熱工程では、前記造形テーブルを所定の設定温度まで加熱し、前記固化工程では、前記材料層にレーザ光又は電子ビームを照射することにより固化層を形成し、前記冷媒温度調整工程では、前記設定温度に基づき、冷媒循環装置から供給される冷媒の温度である供給冷媒温度を調整し、前記冷却工程では、前記造形テーブルを冷却する冷却器と前記冷媒循環装置との間で前記冷媒を循環させる、製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る積層造形装置100の概略構成図である。
図2】材料層形成装置3の斜視図である。
図3】材料層形成装置3のリコータヘッド32の上方からの斜視図である。
図4】材料層形成装置3のリコータヘッド32の下方からの斜視図である。
図5】温度調整装置42を備える造形テーブル4の分解斜視図である。
図6】照射装置5の概略構成図である。
図7】冷媒循環装置6を含む冷媒循環系統の概略構成図である。
図8】制御手段8の構成を示すブロック図である。
図9】加熱器43による加熱の停止、電磁弁73a1の開放、及び運転モードの切替のタイミングの一例を示す図である。
図10】積層造形装置100を用いた積層造形の手順を示すフロー図である。
図11】積層造形装置100を用いた積層造形物の製造方法を示す図である。
図12】積層造形装置100を用いた積層造形物の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0014】
1.積層造形装置100
図1は、本発明の実施形態に係る積層造形装置100の概略構成図である。積層造形装置100は、チャンバ1、材料層形成装置3、造形テーブル4、及び照射装置5を備え、制御手段8により制御される。チャンバ1内に配置される造形テーブル4上に設けられた造形領域Rにおいて、材料層91及び固化層92の形成を繰り返すことで、所望の積層造形物が形成される。
【0015】
1.1.チャンバ1
チャンバ1は、積層造形物が形成される領域である造形領域Rを覆う。チャンバ1は、不活性ガス給排装置2に接続されている。
【0016】
不活性ガス給排装置2は、不活性ガス供給装置21、ヒュームコレクタ22、及びダクトボックス23,24を備える。チャンバ1の内部は、不活性ガス供給装置21から供給される所定濃度の不活性ガスで充満されている。本明細書において不活性ガスとは、材料層91や固化層92と実質的に反応しないガスであり、材料の種類に応じて選択され、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスを使用可能である。不活性ガス供給装置21は、例えば、ガスボンベである。
【0017】
図1に示すように、固化層92の形成時に発生するヒュームを含んだ不活性ガスは、チャンバ1の排出口1bから排出され、ダクトボックス23を経由してヒュームコレクタ22に送られる。そして、ヒュームコレクタ22においてヒュームが除去された不活性ガスは、ダクトボックス24を経由してチャンバ1の供給口1cから供給され再利用される。ヒュームコレクタ22として、例えば、乾式電気集塵機、又はフィルタを備える濾過式集塵機を用いることが可能である。
【0018】
また、本実施形態においては、チャンバ1からの不活性ガスの排出口1bとダクトボックス23とを接続するダクトの中途に、吸引ファン(不図示)、及びファン用冷却器(不図示)が設けられている。吸引ファンにより、チャンバ1内の不活性ガスが強制的に排出される。ファン用冷却器は、冷媒循環装置6から供給された冷媒を流通可能に構成された管状部材であり、不活性ガス給排装置2の稼働時に吸引ファン及びその周辺部品を冷却して動作不良や破損を防止する。
【0019】
チャンバ1の上面には、レーザ光Lの透過窓となるウィンドウ1aが設けられる。ウィンドウ1aは、レーザ光Lを透過可能な材料で形成される。具体的に、ウィンドウ1aの材料は、レーザ光Lの種類に応じて、石英ガラスもしくはホウケイ酸ガラス又はゲルマニウム、シリコン、ジンクセレンもしくは臭化カリウムの結晶等から選択される。例えば、レーザ光Lがファイバレーザ又はYAGレーザの場合、ウィンドウ1aは石英ガラスで構成可能である。
【0020】
また、チャンバ1の上面には、ウィンドウ1aを覆うように汚染防止装置17が設けられる。汚染防止装置17は、円筒状の筐体17aと、筐体17a内に配置された円筒状の拡散部材17cとを備える。筐体17aと拡散部材17cの間に不活性ガス供給空間17dが設けられる。また、筐体17aの底面には、拡散部材17cの内側に開口部17bが設けられる。拡散部材17cには多数の細孔が設けられており、不活性ガス供給装置21から不活性ガス供給空間17dに供給された清浄な不活性ガスは当該細孔を通じて清浄室17eに充満され、開口部17bから汚染防止装置17の下方に向かって噴出される。このような構成により、ヒュームのウィンドウ1aへの付着を防止し、レーザ光Lの照射経路からヒュームを排除することができる。
【0021】
1.2.材料層形成装置3
材料層形成装置3は、チャンバ1の内部に設けられる。図2に示すように、材料層形成装置3は、ベース31と、ベース31上に配置されるリコータヘッド32とを備える。リコータヘッド32は、モータ等の駆動機構を内蔵するリコータヘッド駆動装置33によって水平1軸方向に往復移動可能に構成される。
【0022】
図3及び図4に示すように、リコータヘッド32は、材料収容部32aと、材料供給口32bと、材料排出口32cとを備える。材料供給口32bは、材料収容部32aの上面に設けられ、材料供給ユニット(不図示)から材料収容部32aに供給される材料粉体の受け口となる。材料排出口32cは、材料収容部32aの底面に設けられ、材料収容部32a内の材料粉体を排出する。材料排出口32cは、材料収容部32aの長手方向に延びるスリット形状を有する。リコータヘッド32の両側面には、平板状のブレード32fb,32rbが設けられる。ブレード32fb,32rbは、材料排出口32cから排出される材料粉体を平坦化して、材料層91を形成する。
【0023】
1.3.造形テーブル4
図1に示すように、造形テーブル4はチャンバ1内に配置され、造形テーブル4上に位置する造形領域Rに三次元造形物が形成される。造形テーブル4は、造形テーブル駆動装置41によって駆動され鉛直方向に移動可能である。図2に示すように、造形テーブル4の上方にはフレーム34が設けられ、フレーム34の内側に造形領域Rが設けられる。造形時には造形領域R内にベースプレート90が配置され、ベースプレート90の上面に材料粉体が供給されて材料層91が形成される。
【0024】
積層造形装置100は、材料層91及び固化層92の温度調整を行うための温度調整装置42を備える。図5に示すように、温度調整装置42は、造形テーブル4を所定の設定温度T1まで加熱する加熱器43と、造形テーブル4を所定の冷却温度T2まで冷却する第1冷却器44とを備え、加熱器43及び第1冷却器44により造形テーブル4を加熱又は冷却することで、造形テーブル4上の材料層91及び固化層92の温度調整を行う。
【0025】
本実施形態の温度調整装置42は、造形テーブル4の内部に設けられる。具体的には、本実施形態の造形テーブル4は、天板4a及び3つの支持板4b,4c,4dを備え、天板4aとその下に配置された支持板4bとの間には天板4aを加熱可能な加熱器43が配置され、支持板4bの下側の2枚の支持板4c,4dの間には天板4aを冷却可能な第1冷却器44が配置されている。
【0026】
加熱器43は、例えば、発熱体を有する電気ヒータ、又は内部に高温の熱媒を流通可能に構成された管状部材である。また、本実施形態の第1冷却器44は、冷媒循環装置6から供給された冷媒を流通可能に構成された管状部材である。加熱器43及び第1冷却器44が温度調整装置42を構成し、温度調整装置42により造形テーブル4の最上面の天板4aを加熱又は冷却可能である。材料層91及び固化層92は、天板4aとの間の直接的な伝熱、或いは天板4a上に配置されたベースプレート90及び加熱又は冷却対象の材料層91又は固化層92よりも下側に形成された層を介した間接的な伝熱により、温度調整される。
【0027】
なお、温度調整装置42の構成は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。本実施形態においては、図5に示すように、第1冷却器44の管状部材を支持板4c,4dの間に挟むように配置しているが、例えば、支持板4c,4dの一方又は両方の内部に冷媒を流通させるための管路を形成し、当該管路により第1冷却器44を構成してもよい。天板4a及び3つの支持板4b,4c,4dが一体の構造をなし、当該構造体の中に加熱器43及び第1冷却器44を構成してもよい。また、造形テーブル駆動装置41の熱変位を防止するため、温度調整装置42と造形テーブル駆動装置41との間に一定の温度に保たれた恒温部を設けてもよい。
【0028】
また、本実施形態の積層造形装置100には、造形テーブル4からフレーム34及びリコータヘッド駆動装置33への熱伝達を防止するための熱絶縁ブロック(不図示)、及び熱絶縁ブロック用冷却器(不図示)が設けられる。これにより、造形テーブル4の加熱に伴うフレーム34の熱変形やリコータヘッド駆動装置33の動作不良を防止することが可能となる。熱絶縁ブロック用冷却器は、冷媒循環装置6から供給された冷媒を流通可能に構成された管状部材であり、熱絶縁ブロックを冷却する。
【0029】
1.4.照射装置5
照射装置5は、図1に示すように、材料層91にレーザ光L又は電子ビームを照射して固化層92を形成する。本実施形態の照射装置5は、チャンバ1の上方に設けられ、造形領域R内に形成される材料層91の照射領域にレーザ光Lを照射して、材料粉体を溶融又は焼結して固化させ、固化層92を形成する。図6に示すように、照射装置5は、レーザ発振器51と、コリメータ52と、フォーカス制御ユニット53と、走査装置54とを備える。
【0030】
レーザ発振器51は、光源となるレーザ素子を内蔵し、レーザ光Lを出力する。レーザ光Lは、材料粉体を焼結又は溶融可能であればよく、例えば、ファイバレーザ、COレーザ、YAGレーザである。本実施形態においては、レーザ光Lとして、ファイバレーザが用いられる。
【0031】
本実施形態の積層造形装置100は、レーザ発振器51を冷却する第2冷却器55を備える。第2冷却器55は、具体的には、照射装置5の内部に設けられ、冷媒循環装置6から供給された冷媒を流通可能に構成された管状部材である。第2冷却器55によりレーザ発振器51を冷却することにより、レーザ素子からの発熱によるレーザ発振器51の動作不良や破損を防止することができる。
【0032】
また、本実施形態の積層造形装置100は、第2冷却器55に供給される冷媒の温度を監視する温度監視装置56を備える。第2冷却器55に供給される冷媒の温度が所定の許容範囲から外れ、レーザ発振器51の冷却不良が起こると、造形に異常をきたす可能性がある。温度監視装置56は、冷媒の温度が許容範囲から外れた場合に異常を検知し、制御手段8に対して警報信号を出力する。温度監視装置56は、例えば、温度センサである。本実施形態においては、第2冷却器55の冷媒入口付近に温度監視装置56が設けられ、冷媒の温度が16℃以上35℃以下の範囲から外れた場合に、制御手段8に対して警報信号が出力される。
【0033】
コリメータ52は、コリメータレンズ(不図示)を備え、レーザ発振器51から出力されたレーザ光Lを平行光に変換する。フォーカス制御ユニット53は、焦点制御レンズ(不図示)と、焦点制御レンズを光軸方向に沿って前後に移動させるモータ(不図示)とを備え、コリメータ52により平行光に変換されたレーザ光Lの焦点位置を調整することで、材料層91の表面におけるレーザ光Lのビーム径を調整する。
【0034】
走査装置54は、レーザ光Lを材料層91の上面に走査する。本実施形態の走査装置54は、ガルバノスキャナであり、第1ガルバノミラー54a及び第2ガルバノミラー54bと、第1ガルバノミラー54a及び第2ガルバノミラー54bを所望の角度に各々回転させる第1アクチュエータ及び第2アクチュエータ(不図示)とを備える。フォーカス制御ユニット53を通過したレーザ光Lは、第1ガルバノミラー54a及び第2ガルバノミラー54bにより造形領域R内の材料層91の上面に2次元走査される。具体的には、レーザ光Lは、第1ガルバノミラー54aに反射されて造形領域Rにおける水平1軸方向であるX軸方向に、第2ガルバノミラー54bに反射されて造形領域Rにおける他の水平1軸方向であってX軸方向に直交するY軸方向に走査される。第1ガルバノミラー54a及び第2ガルバノミラー54bにより反射されたレーザ光Lは、ウィンドウ1aを透過して造形領域R内の材料層91に照射され、これにより、固化層92が形成される。
【0035】
本実施形態の走査装置54の内部には、上記構成部品を冷却するための走査装置用冷却器57が設けられる。走査装置用冷却器57は、冷媒循環装置6から供給された冷媒を流通可能に構成された管状部材であり、レーザ光Lの走査に伴い昇温する走査装置54の構成部品を冷却して動作不良や破損を防止する。
【0036】
なお、照射装置5は、上述の形態に限定されない。例えば、フォーカス制御ユニット53に代えてfθレンズが設けられてもよい。また、照射装置5は、レーザ光Lのかわりに電子ビームを照射して材料層91を固化させるよう構成されてもよい。具体的には、照射装置5を、電子を放出するカソード電極と、電子を収束して加速するアノード電極と、磁場を形成して電子ビームの方向を一方向に収束するソレノイドと、被照射体である材料層91と電気的に接続されカソード電極との間に電圧を印加するコレクタ電極とを含むよう構成してもよい。
【0037】
2.冷媒循環装置6
本実施形態の積層造形装置100は、冷媒循環装置6を備える。図7は、冷媒循環装置6を含む冷媒循環系統の概略構成図である。冷媒循環装置6は、冷媒を温度調整して第1冷却器44との間で循環させる。
【0038】
本実施形態の冷媒循環装置6は、冷媒としての冷却水を温度調整して循環させるチラーであり、冷却水タンク61及び熱交換器62を備え、冷媒循環制御部63により制御される。また、本実施形態の冷媒循環装置6は、第1冷却器44に加え、第2冷却器55、走査装置用冷却器57、ファン用冷却器、及び熱絶縁ブロック用冷却器との間で冷却水を循環させる。本実施形態で列挙した冷却水を循環させる対象は、例として提示したものであり、対象を限定することを意図したものではない。また、冷媒循環装置6として、チラーの代わりにクーリングタワー等の装置を用いてもよい。
【0039】
冷却水タンク61の内部に貯留された冷却水は、熱交換器62により冷却されることで温度調整され、循環路70を循環する。循環路70は、主供給路71、主返送路72、及び冷却水の供給先である冷却器(第1冷却器44、第2冷却器55、走査装置用冷却器57、ファン用冷却器、及び熱絶縁ブロック用冷却器)毎に設けられた分岐供給路73a,74a,......及び分岐返送路73b,74b,......を備える。
【0040】
主供給路71は、冷媒循環装置6から各冷却器へ冷却水を供給するための管路であり、冷却水タンク61の冷却水出口61aと各分岐供給路73a,74a,......の上流側とを接続する。主供給路71にはポンプ71aが設けられており、熱交換器62により温度調整された冷却水は、ポンプ71aにより冷却水タンク61から主供給路71へと吐出される。また、主供給路71には、冷却水タンク61から供給される冷却水の温度を検出するために、冷却水出口61a付近に出口温度センサ71bが設けられている。出口温度センサ71bは、制御手段8に対して検出信号を出力する。
【0041】
主返送路72は、各冷却器を通過した冷却水を冷媒循環装置6へ返送するための管路であり、冷却水タンク61の冷却水入口61bと各分岐返送路73b,74b,......の下流側とを接続する。主返送路72には、冷却水タンク61に返送される冷却水の温度を検出するために、冷却水入口61b付近に入口温度センサ72aが設けられている。入口温度センサ72aは、制御手段8に対して検出信号を出力する。
【0042】
本実施形態において、主供給路71の下流側は複数の分岐供給路73a,74a,......に分岐しており、また複数の分岐返送路73b,74b,......が主返送路72の上流側において合流している。分岐供給路73a,74a,......及び分岐返送路73b,74b,......の構成について、第1冷却器44用に設けられた第1分岐供給路73a及び第1分岐返送路73b、及び第2冷却器55用に設けられた第2分岐供給路74a及び第2分岐返送路74bを例として詳細に説明する。
【0043】
第1分岐供給路73aは、主供給路71の下流側と温度調整装置42の第1冷却器44とを接続する。主供給路71及び第1分岐供給路73aにより、冷媒としての冷却水を第1冷却器44に供給するための冷媒供給路が構成される。第1分岐供給路73aには冷媒供給弁としての電磁弁73a1が設けられており、電磁弁73a1を開くことで第1冷却器44に冷却水を供給し、電磁弁73a1を閉じることで第1冷却器44への冷却水の供給を停止することができる。第1分岐返送路73bは、第1冷却器44と主返送路72の上流側とを接続する。第1分岐返送路73bには、逆止弁73b1が設けられている。第1冷却器44を通過した冷却水は、第1分岐返送路73b及び主返送路72を経由して冷媒循環装置6へ返送される。
【0044】
第2分岐供給路74aは、主供給路71の下流側とレーザ発振器51の第2冷却器55とを接続する。第2分岐返送路74bは、第2冷却器55と主返送路72の上流側とを接続する。第2分岐返送路74bには、逆止弁74b1が設けられている。第2冷却器55を通過した冷却水は、第2分岐返送路74b及び主返送路72を経由して冷媒循環装置6へ返送される。
【0045】
また、本実施形態の冷媒循環装置6は、運転モードとして低負荷モードと高負荷モードとを備える。冷媒循環装置6は、低負荷モードにおいて比較的低い冷却能力で冷却水の温度調整を行い、高負荷モードにおいて低負荷モードよりも高い冷却能力で冷却水の温度調整を行う。各運転モードについては、詳細を後述する。
【0046】
3.制御手段8
次に、積層造形装置100を制御するための制御手段8について、本発明に関連する構成に限定して説明する。図8は、制御手段8の構成を示すブロック図である。本実施形態の制御手段8は、CAD装置81、CAM装置82、数値制御部83、及び積層造形装置100の各構成要素の制御部86,87,88,63を備える。
【0047】
制御手段8の各構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよく、ハードウェアによって実現してもよい。ソフトウェアによって実現する場合、CPUがコンピュータプログラムを実行することによって各種機能を実現することができる。プログラムは、内蔵の記憶部に格納してもよく、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納してもよい。また、外部の記憶部に格納されたプログラムを読み出し、いわゆるクラウドコンピューティングにより実現してもよい。ハードウェアによって実現する場合、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)等の種々の回路によって実現することができる。本実施形態においては、様々な情報やこれを包含する概念を取り扱うが、これらは、0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表すことができ、上述のソフトウェア又はハードウェアの態様によって通信や演算が実行され得るものである。
【0048】
CAD装置81は、積層造形物の形状及び寸法を示す三次元形状データ(CADデータ)を作成するためのものである。CAM装置82は、CADデータに基づき、積層造形装置100の構成要素の動作手順データ(CAMデータ)を作成するためのものである。CAMデータには、例えば、材料層91を構成する材料粉体に適した予熱温度や、各材料層91におけるレーザ光Lの照射位置や照射条件のデータが含まれる。CAMデータは、数値制御部83に出力される。また、CAMデータは、フラッシュメモリ等の非一時的な記録媒体に出力して当該記憶媒体を介して数値制御部83に取り込まれる、又はCAM用コンピュータと数値制御部83とをネットワークを介し接続して、数値制御部83に出力されること等も可能である。
【0049】
数値制御部83は、積層造形装置100の構成要素に対する動作指令を作成する。数値制御部83は、記憶部84及び演算部85を備える。演算部85は、記憶部84に記憶されているCAMデータに基づいて生成される数値制御プログラムを用いた処理を行い、積層造形装置100の構成要素の制御部86,87,88,63に対して動作指令を信号又は動作指令値のデータの形式で出力する。記憶部84は、CAMデータ、数値制御プログラム等を記憶する。
【0050】
照射制御部86は、動作指令に基づいて照射装置5の動作を制御する。具体的には、照射制御部86は、レーザ発振器51、フォーカス制御ユニット53、及び走査装置54を制御し、これにより、レーザ光Lが所定のレーザパワー、ビーム系、照射タイミング、及び照射位置において材料層91に対して照射される。さらに、照射制御部86は、照射装置5の実際の動作情報を数値制御部83へとフィードバックする。なお、本実施形態においては、第2冷却器55の温度監視装置56が警報信号を出力すると、警報信号を受け取った数値制御部83の演算部85は、照射制御部86に対して照射を停止するための動作指令を出力する。これにより造形が中断され、レーザ発振器51の冷却不良に伴う造形異常を未然に防ぐことが可能となる。
【0051】
加熱制御部87は、動作指令に基づいて温度調整装置42の加熱器43の動作を制御する。具体的には、加熱器43が電気ヒータの場合、加熱制御部87は、電気ヒータの出力を制御する。或いは、加熱器43が熱媒を流通可能な管状部材である場合、加熱制御部87は、加熱器43への熱媒の供給を制御する。このように加熱器43を制御することにより、造形テーブル4を、材料層91の予熱温度に応じた設定温度T1まで加熱することができる。さらに、加熱制御部87は、加熱器43の実際の動作情報を数値制御部83へとフィードバックする。本実施形態においては、造形テーブル4の実際の温度T3を検出するための温度センサ(不図示)が設けられており、加熱制御部87は、実際の温度T3の情報を数値制御部83へとフィードバックする。
【0052】
冷媒供給制御部88は、動作指令に基づいて温度調整装置42の第1冷却器44の動作を制御する。具体的には、冷媒供給制御部88は、第1分岐供給路73aに設けられた電磁弁73a1を開閉することにより、第1冷却器44への冷却水の供給を制御する。さらに、冷媒供給制御部88は、電磁弁73a1の実際の動作情報を数値制御部83へとフィードバックする。
【0053】
ここで、加熱器43による造形テーブル4の加熱と第1冷却器44による造形テーブル4の冷却とが同時に行われないように、加熱制御部87及び冷媒供給制御部88による制御が行われることが好ましい。つまり、加熱器43が造形テーブル4を加熱している状態においては、電磁弁73a1を閉じて第1冷却器44への冷却水の供給を停止し、加熱器43による造形テーブル4の加熱の停止と同時又は停止後に、電磁弁73a1を開いて第1冷却器44への冷却水の供給を行う。また、造形テーブル4の冷却完了後、電磁弁73a1を閉じて第1冷却器44への冷却水の供給を停止するのと同時又は停止後に、加熱器43による造形テーブル4の加熱を再開する。これにより、造形テーブル4の加熱及び冷却を効率的に行うことが可能となる。
【0054】
冷媒循環制御部63は、動作指令に基づいて冷媒循環装置6の動作を制御し、設定温度T1に基づき、冷媒循環装置6から供給される冷媒の温度である供給冷媒温度Trを制御するように構成される。本実施形態の冷媒循環制御部63は、設定温度T1に基づき冷媒循環装置6の冷却能力を操作することにより、供給冷媒温度Trを制御するように構成される。本実施形態の冷媒循環制御部63は、図8に示すように、入力部64と、指令部65と、冷却能力制御部66とを備える。
【0055】
入力部64は、冷媒循環装置6の運転条件の決定に必要な情報を作業者が入力するためのものであり、例えば、タッチパネル、キーボード、又はマウスにより構成される。入力情報には、例えば、低負荷モードにおける運転条件、高負荷モードにおける運転条件が含まれる。入力情報は、指令部65へ送られる。
【0056】
指令部65は、数値制御部83から送られる動作指令、及び入力部64から送られる入力情報に基づき、冷媒循環装置6の具体的な運転条件を決定する。本実施形態の指令部65は、モード切替部65aと、高負荷継続時間設定部65bとを備える。
【0057】
モード切替部65aは、造形テーブル4の設定温度T1及び後述する高負荷継続時間t1に基づき運転モードの切り替えを行い、具体的には、冷却能力制御部66に対して運転モードの情報を出力する。
【0058】
高負荷継続時間設定部65bは、高負荷モードによる冷媒循環装置6の1回の運転あたりの継続時間である高負荷継続時間t1を設定する。本実施形態においては、高負荷モードにおける運転条件として、作業者が入力部64に高負荷継続時間t1を入力し、入力された高負荷継続時間t1をそのまま用いることができる。高負荷継続時間t1は、造形テーブル4の設定温度T1及び冷却温度T2、第2冷却器55に供給される冷却水の温度の許容範囲等を考慮して設定される。設定された高負荷継続時間t1は、冷却能力制御部66に対して出力される。なお、高負荷継続時間t1の設定は、上記の例に限定されず、例えば、造形条件に応じて最適な高負荷継続時間t1を記録したデータベース、又は造形条件から高負荷継続時間t1を求めるための関数を予め作成し、高負荷継続時間設定部65bが当該データベース又は関数を用いて高負荷継続時間t1を設定する構成としてもよい。
【0059】
冷却能力制御部66は、指令部65から送られる運転条件に基づき、熱交換器62における冷却水の冷却能力を操作する。
【0060】
本実施形態では、低負荷モードにおいて、冷媒循環装置6への戻り水温(主返送路72を通過する冷却水の温度)が制御される。具体的には、出口温度センサ71bから送られる検出信号に基づき、低負荷モードにおける運転条件として入力部64に入力された目標冷媒温度との差に応じて、冷却能力制御部66が熱交換器62における冷却水の冷却能力を操作するフィードバック制御が行われる。目標冷媒温度は、造形テーブル4の冷却温度T2や、第2冷却器55に供給される冷却水の温度の許容範囲等に応じて設定される。このような低負荷モードは、造形テーブル4の設定温度T1が一般的な値である約120℃かそれよりも低い温度である場合や、造形テーブル4の設定温度T1が比較的高い場合(例えば、140℃以上)で第1冷却器44に冷却水が供給されていない状態において、好適な運転モードである。なお、低負荷モードにおけるフィードバック制御は、入口温度センサ72aから送られる検出信号に基づき実行してもよい。
【0061】
一方、造形テーブル4の設定温度T1が比較的高い場合、冷媒循環装置6を低負荷モードにより運転した状態で第1冷却器44への冷却水の供給を行うと、第1冷却器44から返送される冷却水により冷却水タンク61内の温度が上昇し、冷却水が十分に冷却されないまま再び各冷却器へと供給される可能性がある。その結果、第1冷却器44により造形テーブル4を所望の冷却温度T2まで冷却するために長時間を要したり、第2冷却器55に供給される冷却水の温度が許容範囲を外れ造形が停止する可能性がある。
【0062】
高負荷モードにおいては、上記のような事態を回避するために、冷媒循環装置6から供給される冷却水の温度(供給冷媒温度Tr)がフィードフォワード制御される。具体的には、電磁弁73a1を開いて第1冷却器44への冷却水の供給を開始する前に、電磁弁73a1が閉じられた状態において、モード切替部65aが、冷媒循環装置6を低負荷モードから高負荷モードへ切り替える。高負荷モードにおいては、低負荷モードよりも高い冷却能力で冷却水の温度を下げるよう、冷却能力制御部66が熱交換器62を制御する。
【0063】
本実施形態においては、高負荷モードにおける運転条件として、高負荷モードにおける冷却能力の設定値を、作業者が入力部64に入力する。当該設定値は、造形テーブル4の設定温度T1及び冷却温度T2、第2冷却器55に供給される冷却水の温度の許容範囲等を考慮して設定される。設定値は指令部65を介して冷却能力制御部66へと送られ、冷却能力制御部66は、当該設定値に基づき熱交換器62における冷却水の冷却能力を操作する。一例として、高負荷モードにおける冷却能力は99%の出力に設定される。
【0064】
図9は、加熱器43による加熱の停止、電磁弁73a1の開放、及び運転モードの切替のタイミングの一例を示す図である。本例においては、加熱器43による造形テーブルの加熱が停止(OFF)されるのと同時に、冷媒循環装置6の運転モードが低負荷モードから高負荷モードに切り替えられる。高負荷モードへの切替後、所定の待機時間t2が経過した後、冷媒供給制御部88は電磁弁73a1を開いて第1冷却器44への冷却水の供給を開始する。待機時間t2は高負荷継続時間t1以下に設定される。従って、冷媒循環装置6が高負荷モードで運転されている状態、或いは高負荷モードから低負荷モードへの切替と同時に、第1冷却器44への冷却水の供給が開始される。本例においては、待機時間t2が高負荷継続時間t1よりも小さく設定されており、高負荷モードによる運転の途中で、第1冷却器44への冷却水の供給が開始される。
【0065】
このように、本実施形態においては、造形テーブル4の設定温度T1が比較的高い場合には、第1冷却器44における循環による冷却水の温度上昇を見越して、第1冷却器44への冷却水の供給開始前に高負荷モードへの切替を行って供給される冷却水を比較的低い温度に調整する。そして、高負荷モードへの切替から所定の待機時間t2の経過後に、第1冷却器44への冷却水の供給を開始する。これにより、約120℃程度の造形テーブル4の一般的な設定温度T1に見合う冷却能力を有する冷媒循環装置6を導入した場合であっても、冷媒循環装置6を増設することなく、設定温度T1が比較的高い造形において造形テーブル4の冷却を効率的に行うことができる。また、第2冷却器55に供給される冷却水の温度を許容範囲内に維持し、異常の発生を回避することが可能となる。
【0066】
図9に示すように、高負荷モードへの切替後、高負荷継続時間t1が経過した時点で、モード切替部65aは、高負荷モードから低負荷モードへの切替を行う。このような構成により、冷媒循環装置6の高負荷モードによる運転を最小限に留め、冷媒循環装置6におけるエネルギー消費を抑制することができる。
【0067】
なお、高負荷継続時間t1は、待機時間t2よりも長く設定されることが好ましい。一例として、待機時間t2が150秒の場合、高負荷継続時間t1は180秒に設定される。高負荷継続時間t1を待機時間t2と等しく設定した場合(すなわち、第1冷却器44への冷却水の供給の開始と同時に高負荷モードから低負荷モードへの切替を行う場合)、低負荷モードへ切り替えられた時点で出口温度センサ71bにおける検出温度が目標冷媒温度よりもかなり低いため、フィードバック制御により冷却水の冷却能力が切替直後に急激に低下した後、第1冷却器44からの冷却水の返送に伴い冷却能力が上昇する。このような冷却能力の急激な変化は、冷媒循環装置6におけるエネルギー効率の観点から好ましくない。高負荷継続時間t1を待機時間t2よりも長く設定し、第1冷却器44からの冷却水の返送により出口温度センサ71bにおける検出温度と目標冷媒温度との差が小さくなった時点で低負荷モードへの切替を行うことにより、このような冷却能力の急激な変化を回避することができる。
【0068】
4.積層造形物の製造方法
次に、本実施形態に係る積層造形装置100を用いた積層造形物の造形方法について説明する。図10は、積層造形装置100を用いた積層造形の手順を示すフロー図である。本実施形態の造形方法は、材料層形成工程と、加熱工程と、固化工程と、冷媒温度調整工程と、冷却工程とを備える。
【0069】
造形の開始に際し、作業者は、制御手段8の入力部64に対して、冷媒循環装置6の運転条件の決定に必要な情報を入力する(ステップS1)。そして、入力部64が入力情報を取り込む。指令部65は、入力情報、及び数値制御部83からの動作指令に基づき、冷媒循環装置6の具体的な運転条件を決定する。冷却能力制御部66は、指令部65から送られる運転条件に基づき、低負荷モードにより冷媒循環装置6の運転を開始する(ステップS2)。なお、この時点において、第1分岐供給路73aに設けられた電磁弁73a1は、冷媒供給制御部88により制御され閉じられており、第1冷却器44への冷却水の供給は行われていない。
【0070】
第1冷却器44への冷却水の供給が行われていない状態で、造形テーブル4の加熱工程が開始される(ステップS3)。具体的には、加熱制御部87により加熱器43を制御して、造形テーブル4を所定の設定温度T1まで加熱する。ベースプレート90が載置された造形テーブル4は、下降して適切な位置に調整される(ステップS4)。
【0071】
次に、1回目の材料層形成工程が実行される。具体的には、図11において造形領域Rの左側で待機しているリコータヘッド32を水平1軸方向に造形領域Rの左側から右側に移動させることにより、図12に示すように造形テーブル4上に材料粉体を供給して1層目の材料層91を形成する(ステップS5)。材料層91は、造形テーブル4からの伝熱により、設定温度T1と同等の温度に予熱される。
【0072】
次に、1回目の固化工程が実行される。具体的には、図12に示すように、予熱された材料層91にレーザ光Lを照射することによって、1層目の固化層92を形成する(ステップS6)。
【0073】
続いて、2回目の材料層形成工程が行われる。1層目の固化層92を形成後、造形テーブル4の高さを材料層91の1層分下げる。この状態で、図12において造形領域Rの右側から左側にリコータヘッド32を移動させることにより、1層目の固化層92を覆うように2層目の材料層91が形成される。そして、2回目の固化工程が行われる。上記と同様の方法で、2層目の材料層91の所定の照射領域にレーザ光Lを照射することによって2層目の材料層91を固化させ、2層目の固化層92を得る。所定数の固化層92の造形が完了するまで、材料層形成工程及び固化工程が繰り返し実行される。隣接する固化層92は、互いに強く固着される。
【0074】
所定数の固化層92の造形が完了した時点で、加熱工程が終了される(ステップS7)。具体的には、加熱制御部87により加熱器43を制御して、加熱を停止する。
【0075】
冷媒温度調整工程では、造形テーブル4の設定温度T1に基づき、冷媒循環装置6から供給される冷却水の温度を調整する。具体的には、設定温度T1が所定の値Th以上である場合、数値制御部83は、冷媒循環制御部63に対して、冷媒循環装置6の運転モードを切り替えるための動作指令を出力する。本実施形態においては、Th=140℃に設定される。冷媒循環制御部63の指令部65が動作指令を受け取ると、モード切替部65aは、冷媒循環装置6を低負荷モードから高負荷モードへ切り替える(ステップS8)。高負荷モードにおいては、冷媒能力制御部66が熱交換器62を制御して、低負荷モードよりも高い冷却能力で冷却水の冷却が行われる。



【0076】
高負荷モードへの切替後、所定の待機時間t2が経過した時点で、造形テーブル4の冷却工程が開始される(ステップS9)。具体的には、冷媒供給制御部88により電磁弁73a1を開き、冷媒循環装置6と第1冷却器44との間で冷却水を循環させる。第1冷却器44へ冷却水を供給することで、造形テーブル4を所定の冷却温度T2まで冷却する。
【0077】
高負荷モードは、所定の高負荷継続時間t1が経過するまで、継続される(ステップS10)。高負荷継続時間t1が経過した時点で、モード切替部65aは、冷媒循環装置6を高負荷モードから低負荷モードへ切り替える(ステップS11)。
【0078】
一方、設定温度T1が所定の値Th未満である場合、冷媒循環装置6が低負荷モードで運転された状態で、造形テーブル4の冷却工程が開始される(ステップS12)。具体的には、造形テーブル4の加熱工程の終了以降に、冷媒供給制御部88により電磁弁73a1を開き、冷媒循環装置6と第1冷却器44との間で冷却水を循環させ、造形テーブル4を所定の冷却温度T2まで冷却する。
【0079】
造形テーブル4の冷却工程が終了後(ステップS13)、造形が完了するまで、上記の工程が繰り返し実行される。また、造形中又は造形後に、固化層92に対して必要に応じて機械加工装置95による切削加工等を行ってもよい。機械加工装置95は、例えば、チャンバ1内に設けられ、切削等の機械加工を行うための工具(例えば、エンドミル)を加工ヘッドに取り付けて構成され、加工ヘッドを水平方向及び鉛直方向に適宜移動させて機械加工を行う。積層造形の完了後は、未固化の材料粉体及び切削屑を排出することによって、積層造形物を得ることができる。
【0080】
5.他の実施形態
本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0081】
<変形例1>
上記実施形態では、冷媒循環装置6が、低負荷モードと高負荷モードの2つの運転モードを備え、高負荷モードにおける高負荷継続時間t1、待機時間t2、及び冷却能力の設定値等の運転条件をそれぞれ1つの固定値としたが、運転モードの構成はこれに限定されるものではない。3つ以上の運転モードを備えるようにしても良く、一例として、冷媒循環装置6を、低負荷モードと、複数の高負荷モードとを備えるように構成してもよい。
【0082】
具体的には、冷媒循環装置6は、高負荷モードとして第1高負荷モード及び第2高負荷モードとを備えてもよく、第2高負荷モードにおける待機時間及び高負荷継続時間が、第1高負荷モードにおける待機時間及び高負荷継続時間に対して各々より長くなるように、運転条件を設定してもよい。或いは、第2高負荷モードにおける冷媒循環装置6の冷却能力が、第1高負荷モードにおける冷媒循環装置6の冷却能力よりも高くなるように、運転条件を設定してもよい。このように、運転条件の異なる高負荷モードを複数設けることにより、造形テーブル4の設定温度T1に応じて、造形テーブル4をより効率的に冷却することが可能となる。
【0083】
<変形例2~変形例4>
上記実施形態においては、制御手段8が造形テーブル4の設定温度T1に基づき供給冷媒温度Trを制御する構成とした。供給冷媒温度Trの制御は、制御手段8の構成はこれに限定されるものではなく、他の構成としてもよい。
【0084】
変形例2として、制御手段8を、造形テーブル4の設定温度T1及び造形テーブル4の容積Vに基づき供給冷媒温度Trを制御するように構成してもよい。この場合、例えば、設定温度T1が所定の値Th以上であり、且つ造形テーブル4の容積Vが所定の値Vh以上である場合に、冷媒循環装置6の運転モードを低負荷モードから高負荷モードに切り替えるように制御手段8を構成してもよい。或いは、変形例1の構成と組み合わせて、設定温度T1が所定の値Th以上であり、且つ造形テーブル4の容積Vが所定の値Vh未満である場合には低負荷モードから第1高負荷モードに切り替え、設定温度T1が所定の値Th以上であり、且つ造形テーブル4の容積Vが所定の値Vh以上である場合には、低負荷モードから第2高負荷モードに切り替えるように、制御手段8を構成してもよい。このように、造形テーブル4の設定温度T1に加え容積Vを勘案することにより、造形テーブル4の容積Vが大きい場合に、高負荷モードにおけるフィードフォワード制御によってより低い温度に調整された冷媒を、第1冷却器44に供給することが可能となる。
【0085】
変形例3として、制御手段8を、造形テーブル4の設定温度T1及び実際の温度T3に基づき、供給冷媒温度Trを制御するように構成してもよい。この場合、例えば、造形テーブル4に温度を検出するための温度センサからの検出信号に基づき、設定温度T1が所定の値Th(例えば、140℃)以上であり、且つ実際の温度T3が所定の値Ta(例えば、135℃)以上である場合に、冷媒循環装置6の運転モードを低負荷モードから高負荷モードに切り替えるように制御手段8を構成してもよい。温度調整装置42の構造によっては、加熱制御部87に対する動作指令における造形テーブル4の設定温度T1と、造形テーブル4の実際の温度T3に差が生じる場合がある。造形テーブル4の設定温度T1及び実際の温度T3を勘案することにより、より正確な制御を行うことが可能となる。
【0086】
変形例4として、制御手段8を、造形テーブル4の設定温度T1及び造形物の高さに基づき供給冷媒温度Trを制御するように構成してもよい。この場合、例えば、設定温度T1が所定の値Th以上であり、且つ造形物の高さが所定の値以上である場合に、冷媒循環装置6の運転モードを低負荷モードから高負荷モードに切り替えるように制御手段8を構成してもよい。或いは、変形例1の構成と組み合わせて、設定温度T1が所定の値Th以上であり、且つ造形物の高さが所定の値未満である場合には低負荷モードから第1高負荷モードに切り替え、設定温度T1が所定の値Th以上であり、且つ造形物の高さが所定の値以上である場合には、低負荷モードから第2高負荷モードに切り替えるように、制御手段8を構成してもよい。このように、造形テーブル4の設定温度T1に加え造形物の高さ(造形物の容積)を勘案することにより、造形物の高さが高い場合に、高負荷モードにおけるフィードフォワード制御によってより低い温度に調整された冷媒を、第1冷却器44に供給することが可能となる。
【0087】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
1 :チャンバ
1a :ウィンドウ
1b :排出口
1c :供給口
2 :不活性ガス給排装置
3 :材料層形成装置
4 :造形テーブル
4a :天板
4b :支持板
4c :支持板
4d :支持板
5 :照射装置
6 :冷媒循環装置
8 :制御手段
17 :汚染防止装置
17a :筐体
17b :開口部
17c :拡散部材
17d :不活性ガス供給空間
17e :清浄室
21 :不活性ガス供給装置
22 :ヒュームコレクタ
23 :ダクトボックス
24 :ダクトボックス
31 :ベース
32 :リコータヘッド
32a :材料収容部
32b :材料供給口
32c :材料排出口
32fb :ブレード
32rb :ブレード
33 :リコータヘッド駆動装置
34 :フレーム
41 :造形テーブル駆動装置
42 :温度調整装置
43 :加熱器
44 :第1冷却器
51 :レーザ発振器
52 :コリメータ
53 :フォーカス制御ユニット
54 :走査装置
54a :第1ガルバノミラー
54b :第2ガルバノミラー
55 :第2冷却器
56 :温度監視装置
57 :走査装置用冷却器
61 :冷却水タンク
61a :冷却水出口
61b :冷却水入口
62 :熱交換器
63 :冷媒循環制御部
64 :入力部
65 :指令部
65a :モード切替部
65b :高負荷継続時間設定部
66 :冷却能力制御部
70 :循環路
71 :主供給路
71a :ポンプ
71b :出口温度センサ
72 :主返送路
72a :入口温度センサ
73a :第1分岐供給路
73a1 :電磁弁
73b :第1分岐返送路
73b1 :逆止弁
74a :第2分岐供給路
74b :第2分岐返送路
74b1 :逆止弁
81 :CAD装置
82 :CAM装置
83 :数値制御部
84 :記憶部
85 :演算部
86 :照射制御部
87 :加熱制御部
88 :冷媒供給制御部
90 :ベースプレート
91 :材料層
92 :固化層
95 :機械加工装置
100 :積層造形装置
L :レーザ光
R :造形領域
【要約】
【課題】造形テーブルの昇温時の設定温度が比較的高い場合であっても効率的な冷却を可能としつつ、冷媒循環装置の導入費用の増大及び大型化を回避可能な積層造形装置を提供する。
【解決手段】
本発明によれば、積層造形装置であって、造形テーブルと、照射装置と、温度調整装置と、冷媒循環装置と、制御手段とを備え、前記造形テーブル上には、材料粉体の供給により材料層が形成され、前記照射装置は、前記材料層にレーザ光又は電子ビームを照射して固化層を形成し、前記温度調整装置は、前記造形テーブルを設定温度まで加熱する加熱器と、前記造形テーブルを冷却する第1冷却器とを備え、前記冷媒循環装置は、冷媒を温度調整して第1冷却器との間で循環させ、前記制御手段は、前記設定温度に基づき、前記冷媒循環装置から供給される前記冷媒の温度である供給冷媒温度を制御するように構成される、積層造形装置が提供される。
【選択図】図1
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