(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】製品受容性調査装置。
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20230615BHJP
【FI】
G06Q30/0201
(21)【出願番号】P 2021142797
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2022-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
(73)【特許権者】
【識別番号】593029570
【氏名又は名称】株式会社 丸松
(72)【発明者】
【氏名】塗木 淳夫
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-251501(JP,A)
【文献】特開2005-078488(JP,A)
【文献】特開2001-188796(JP,A)
【文献】特開平10-260995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085806(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0134434(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0060270(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順は
同じ組み合わせを含むランダムな組み合わせとし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して
複数の調査協力者による複数回の受容性調査に係る回答について統計的な値を算出することで商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が製品または製品の一部を直接五感で感じ使用した際の好みや感じ方を評価する製品受容性調査装置に関するものである。
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
【0002】
現状の製品開発は、製造者の直感や商品モニターに頼るものが主である。また、サンプルの素材の評価や写真などで消費者の好みをアンケート調査による評価も行われているが、それらの評価と実際の製品を扱った場合の評価のギャップが大きい場合も多々ある。これは、製品の色、素材、サイズ、使用感などの総合的な評価または特定の評価を実際の製品を直接触り使用することが極めて重要であるからである。調査員が直接製品を提示して回答を取得する方法は可能であるが、時間と労力がかかる。
【従来技術】
【0003】
先行特許文献1(特開2002-366728号公報)には、「利用者の価値観に基づいて商品・サービスが、それぞれの価値観を有する利用者によってどのように評価されているかをデータベースとして保持し、利用者の価値観に近い価値観を有する人が多く選択している商品・サービスを推奨できるようにした」旨記載され、「商品やサービスに関する情報の検索を行い、またリコメンデーション(推奨商品・サービスに関する情報の提案)を受けようとする利用者が、その者の価値観に十分配慮された検索を行い、また前記の価値観が十分に配慮されたリコメンデーションを受けることができる情報リコメンデーションシステムとこれを実現させるためにコンピュータに所用の処理を実行させるコンピュータプログラムを提供する」旨説明されている。
【0004】
しかしながら、この先行特許文献1(特開2002-366728号公報)の発明にでは、例えば、[請求項1]に「情報取得手段と、情報出力手段と、記憶部と、処理部とを備えた情報リコメンデーションシステムであって、前記記憶部は、複数の商品に関する情報が蓄積されている商品DBと、情報リコメンデーションシステム提供者が、当該商品DBに蓄積されている各商品に対して、あらかじめ、付与している複数の価値項目に関する情報が蓄積されている価値項目DBと、情報リコメンデーションシステム提供者が、当該商品DBに蓄積されている各商品に対して、あらかじめ、付与している前記複数の価値項目のそれぞれについて、情報リコメンデーションシステム利用者が重要視する程度が、当該商品DBに蓄積されている各商品ごとに蓄積されている商品別価値項目評価結果DBとを備えており、前記処理部は、情報取得手段によって情報リコメンデーションシステム利用者から取得した情報に含まれている、前記価値項目DBに蓄積されている複数の価値項目について、当該情報リコメンデーションシステム利用者がどの程度重要視しているかを表す第一の情報に基づいて、当該第一の情報に対応する商品に関する情報を、前記商品別価値項目評価結果DBと商品DBとを用いて抽出する処理を行い、当該抽出された前記第一の情報に対応する商品に関する情報が、前記情報出力手段を介して出力されることを特徴とする情報リコメンデーションシステム」と記載されている。これに対し本発明は「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を奏するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0005】
また、先行特許文献2(特開2006-039836号公報)には、「複数種類の収集データを入力する入力手段1と、入力された収集データに基いて複数の商品の評価を、複数の評価項目について行う評価手段2と、評価手段による評価結果を出力する出力手段3とを備えた商品評価装置であって、評価手段2は、入力された複数種類の収集データの内容に基いて、各商品の各評価項目を、複数のエリアに分類するポジショニング処理手段21と、各評価項目の収集データを、分類されたエリアに応じた重み付けを行いながら数値化した評価スコアを算出する評価スコア計算処理手段22と、算出された評価スコアに基いて、各エリアにおける評価項目毎に各商品の順位付けを行う比較処理手段23とを備える」旨記載され、「従来の商品評価装置では自商品が複数の商品の中でどのような商品コンセプト位置にあるかは判るが、次に開発する商品についてどのコンセプトを強調すれば良いかが判らなかったので、商品開発に生かすことが難しかった」旨説明されている。
【0006】
しかしながら、この先行特許文献2(特開2006-039836号公報)の[請求項]においては、「複数種類の収集データを入力する入力手段と、入力された収集データに基いて複数の商品の評価を、複数の評価項目について行う評価手段と、評価手段による評価結果を出力する出力手段とを備えた商品評価装置」と記載されており、該複数種類の収集データ、入力された収集データに基づいた評価・評価項目、評価手段による評価結果を出力する出力手段は、生産販売者が行うものであり、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異った作用効果を奏するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0007】
また、先行特許文献3(特開2007-148807号公報)には、「商品の流通前後で商品評価候補者および一般消費者にコンジョイント分析に基づく属性アンケート・嗜好およびプロファイルアンケートを行い、相関係数が閾値以上となる商品評価候補者と一般消費者の組み合わせに係る商品評価候補者を好適商品評価者として抽出し、当該組み合わせに係る好適商品評価者等をクラスターに分類し、同一クラスターに分類された好適商品評価者等の嗜好・プロファイルアンケート結果から共通因子を抽出し、共通因子を商品評価者選出要件として貯蔵する商品評価者選出要件抽出システム1を用いて商品の評価を行う」旨記載され、「商品の企画・開発段階において商品の属性の機密性を保持しつつ商品を評価し、一般消費者のニーズを定量的に把握することが可能であり、かつ、評価に要する労力・時間・コストを削減することが可能な商品評価者の選出要件抽出システムおよび方法を提供する」旨説明されている。
【0008】
しかしながら、この先行特許文献3(特開2007-148807号公報)の[請求範囲]には、「商品が市場に流通する前の時点で、所定のグループに属する複数の商品評価候補者に対して、コンジョイント分析に基づく前記商品の属性に係る属性アンケート、および、嗜好およびプロファイルに係る嗜好・プロファイルアンケートを行うことにより、各商品評価候補者の属性アンケート結果および嗜好・プロファイルアンケート結果を取得する第一アンケート結果取得手段と、・・・を具備する商品評価者の選出要件抽出システム。」と記載されている。従って、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を奏するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0009】
また、先行特許文献4(特開2008-305229号公報)には、「時系列データ記憶部14により、商品に関する実績購入数の時間的変化を示す時系列データを記憶し、需要成長曲線特定部23により、時系列データ記憶部14から時系列データを読み出し、当該時系列データを回帰分析処理することにより商品に関する需要成長曲線を特定し、予測値算出部24により、需要成長曲線に基づいて任意の時点における商品の需要予測値を算出し、需要成長曲線として、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、所定の基準時点からの時間長の負冪に比例する関数を用いる」旨記載され、「商品あるいは市場に関する需要について、中長期において十分な精度で予測可能とする」旨説明されている。
【0010】
しかしながら、この先行特許文献4(特開2008-305229号公報)は、「商品に関する実績購入数の時間的変化を示す時系列データを記憶し、需要成長曲線特定部により、時系列データ記憶部から時系列データを読み出し、当該時系列データを回帰分析処理することにより商品に関する需要成長曲線を特定し、予測値算出部により、需要成長曲線に基づいて任意の時点における商品の需要予測値を算出し、需要成長曲線として、商品の購入数の単位時間あたりの増加数が、所定の基準時点からの時間長の負冪に比例する関数を用いる」ものであって、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは異なり、「時系列データ記憶部14から時系列データを読み出し、当該時系列データを回帰分析処理することにより商品に関する需要成長曲線を特定し、予測値算出部24により、需要成長曲線に基づいて任意の時点における商品の需要予測値を算出する」等、商品あるいは市場に関する需要を予測するまでに相当の時間を要すると共に、内容を詳細にみても全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を奏するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0011】
また、先行特許文献5(特開2012-178130号公報)には、「デザイン制作の目標となる点を設定し、ユーザの評価との乖離度を確認でき、複数の観点から群化されたユーザ群の評価を参照しながら、目標となる点への具体的なアプローチ方法を確認する事によって、上記課題を解決できる」旨記載され、「デザインからユーザが受けた印象について、評価を収集し、目標に即したデザインへの修正を可能にする」ことが出来る旨説明されている。
【0012】
しかしながら、この先行特許文献5(特開2012-178130号公報)の[請求範囲]には、「デザインに対する質問への目標を設定する手段と、前記質問に対するユーザの評価を含む情報を選択又は入力する手段と、前記ユーザの利用環境を収集する手段と、前記情報入力する際の行動履歴を収集する手段と、ユーザを群として群化する手段と、前記入力された目標とユーザの評価の差異を算出する手段と、記憶されている情報から検索条件を満たす情報を検索する手段と、前記検索された情報に基づいて、評価結果を出力する手段と、を備えた事を特徴としたコンピュータ上で実行されるデザイン制作支援」をするものであって、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは異なり、ユーザへの質問及び質問に対するユーザの評価を含む情報を選択又は入力する手段等、評価結果を得るまでに相当の時間を要すると共に、内容を詳細にみても全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を有するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0013】
また、先行特許文献6(特開2012-252572号公報)には、「本発明は、ユーザの全体またはユーザの部分集合にから各ユーザの各コンテンツの利用状況を集計し、当該集計データから各ユーザの頻度ベクトルから正規化された内積を要素とする正規化類似行列Gを集計し、Gの固有値と固有値に対する固有ベクトルを算出し、Gの各固有値に対して固有値に対する固有ベクトルと非負ベクトル全体空間のなす角を算出し、Gの固有値の累積分布を図示し、Gの1を真に越える固有値の分布にベキ乗分布モデルを当て嵌め、ベキ関数の指数と当て嵌め誤差を算出し、Gの1を真に越える固有値に対応する固有ベクトルと非負ベクトル全体空間のなす角の累積補分布を算出する」旨記載され、「コンテンツ、情報、商品等がユーザの嗜好または興味の多様性に継続的に応えているか否かを評価する」旨説明されている。
【0014】
しかしながら、この先行特許文献6(特開2012-252572号公報)の[請求範囲]には、「各種情報、アプリケーションソフト、商品や、その共有、販売を提供するサービスまたはプラットフォームが、一般の消費者の継続的な利用によって成長するかまたは成長した規模を維持して行くのに十分な多様性を継続的に提供しているか否かについて評価するためのサービス規模成長性分析装置」と記載されている。従って、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を有するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0015】
また、先行特許文献7(特開2016-051985号公報)には、「ユーザ体感品質(QoE)に基づいて情報通信サービスの品質管理システムにおいて、前記QoEの閾値を、ユーザの場所、ユーザが利用するRAT(Radio access technology)、ユーザが利用するアプリケーションを含む、ユーザが置かれた状況ごとに示す閾値リストを保存し、前記情報通信サービスの前記ユーザのKPI(Key performance indicator)情報リストを保存し、情報通信サービスのユーザのKPI情報リストに基づいて情報通信サービスのKQI(Key quality indicator)を推定し、推定したKQIに基づいてQoEを推定し、閾値リストと推定したQoEとを比較することで、情報通信サービスを提供する設備が実現するサービス品質を定量化する」旨記載され、「推定されたQoE(Quality of experience)に基づいて、設備増強等の品質管理を実施する」旨説明されている。
【0016】
しかしながら、この先行特許文献7(特開2016-051985号公報)は、「推定されたQoE(Quality of experience)に基づいて、設備増強等の品質管理を実施する」ものであり、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を有するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0017】
また、先行特許文献8(特開2016-162357号公報)には、「感情分析装置は、商品名によりデータベース又はネットワーク上のサイトを検索して前記商品名を含む記事を収集し、収集した記事から前記商品名が示す商品についての評価項目を抽出する抽出手段と、ネットワーク上で公開される、前記商品名及び前記抽出した評価項目を含むメッセージを収集して、前記商品名が示す商品の前記抽出した評価項目についての感情分析を行う分析手段と、を備えている」旨記載され、「ネットワーク上で公開される、ユーザの商品に関するメッセージから評価項目ベースの感情分析を行える感情分析装置を提供する」旨説明されている。
【0018】
しかしながら、この先行特許文献8(特開2016-162357号公報)は、「ネットワーク上で公開される、ユーザの商品に関するメッセージから評価項目ベースの感情分析を行う」ものであり、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を有するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0019】
また、先行特許文献9(特開2017-033300号公報)には、「画像処理装置では、第1商材選択部が、ユーザの指示に応じて複数の商材の中から第1商材を選択し、第2商材選択部が、複数の商材の中から、第1商材とは異なる第2商材を選択する。商品作成部が、第2商材に対して画像群の少なくとも一部の第1画像を適用したリコメンド商品を作成し、表示制御部が、ユーザの指示に応じて画像群の少なくとも一部の第2画像をユーザの端末装置の表示部に表示している場合に、第2画像とともに、1回以上、リコメンド商品を表示部に表示する」旨記載され、「適切なタイミングで商品をユーザにリコメンドし、商品の販売を促進することができる画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体を提供する」旨説明されている。
【0020】
しかしながら、この先行特許文献9(特開2017-033300号公報)は、「適切なタイミングで商品をユーザにリコメンドし、商品の販売を促進することができる画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記録媒体」であり、顧客の好みを分析して、顧客ごとに適すると思われる情報を提供するサービスであって、あらかじめ登録された顧客の趣向に関する情報や、購買履歴などを参照して、それぞれの好みに合致すると思われる商品やサービスを表示しようとするものである。従って、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成である。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を有するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0021】
また、先行特許文献10(再表2017-138201号公報)には、「新規商品の各種設計を行う場合に、消費者の需要と製造者の供給が合致する設計を行うことができる商品設計支援装置及び商品設計支援方法を提供する。商品設計支援装置10は、商品データベース27と、デザイン特徴量取得部21と、商品データベースから第2のデザイン特徴量と類似する第1のデザイン特徴量を有する第1の商品を検索し、検索した第1の商品の販売実績に関する情報を取得する検索部23と、検索された第1の商品の第1のデザイン特徴量及び検索された第1の商品の販売実績に関する情報のうち少なくとも一方を含む商品属性情報を統計処理し、統計処理された商品属性情報を出力する出力部25と、を備える」旨記載され、「商品データベースには既に商品化された商品の商品画像から得られるデザイン特徴量と既に商品化された商品の販売実績とが関連付けられて登録されており、また、新規商品のデザイン特徴量と類似するデザイン特徴量を有する商品が検索され、その検索された商品の商品属性情報が統計処理されて出力されるので、出力された統計処理後の商品属性情報に基づいて、消費者の需要と製造者の供給が合致する新規商品の各種設計を支援することができる」旨説明されている。
【0022】
しかしながら、この先行特許文献10(再表2017-138201号公報)は、「商品データベースには既に商品化された商品の商品画像から得られるデザイン特徴量と既に商品化された商品の販売実績とが関連付けられて登録されており、また、新規商品のデザイン特徴量と類似するデザイン特徴量を有する商品が検索され、その検索された商品の商品属性情報が統計処理されて出力されるので、出力された統計処理後の商品属性情報に基づいて、消費者の需要と製造者の供給が合致する新規商品の各種設計を支援することができる」ものであって、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を有するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【0023】
また、先行特許文献11(再表2020-056878号公報)には、「異なる触感の複数の触感見本シート3Aを備えた触感見本システム1Aであり、触感見本シートは光透過性を有する。触感見本システム1Aでは、複数の触感見本シート3Aのそれぞれを、製品等を想定した対象物に重ね、触感見本シート3Aから透けて見える対象物の色味を確認しながら色味と触感とを複合的に評価することができる」旨記載され、「製品等を想定した対象物に適した触感を評価するために使用される触感見本システム及び触感評価方法を提供する」旨説明されている。
【0024】
しかしながら、この先行特許文献11(再表2020-056878号公報)は、「触感見本シートは光透過性を有するものであって、触感見本システム1Aでは、複数の触感見本シート3Aのそれぞれを、製品等を想定した対象物に重ね、触感見本シート3Aから透けて見える対象物の色味を確認しながら色味と触感とを複合的に評価する」ものであって、本発明の様に「制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライ
ブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置」とは全く別個の構成からなる。したがって、本発明とは全く異なった作用効果を有するものであり、この先行特許公報の内容を単に見て本発明を容易に想起することは到底出来ない。
【先行技術文献】
【0025】
【特許文献】
【文献】先行特許文献1 (特開2002-366728号公報) 先行特許文献2 (特開2006-039836号公報) 先行特許文献3 (特開2007-148807号公報) 先行特許文献4 (特開2008-305229号公報 先行特許文献5 (特開2012-178130号公報) 先行特許文献6 (特開2012-252572号公報 先行特許文献7 (特開2016-051985号公報) 先行特許文献8 (特開2016-162357号公報) 先行特許文献9 (特開2017-033300号公報) 先行特許文献10 (再表2017-138201号公報) 先行特許文献11 (再表2020-056878号公報)
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、試作品の開発目標設定、競合品との優劣をシステマティックに構築された装置によって定量的に効率よく評価し、製品受容性調査により、新商品開発において数種類の開発商品の中でどの商品が優位かの判断、数種類の新商品製造の際の在庫バランス設定、店舗で販売する商品の選定、店舗で販売する数種類の商品の在庫バランス設定、等の根拠とするとともに、心理物理学を本システムに融合することによって改良するレベル(人が気付くことのできる変化の閾値)を定量的に導き出すことができ、これによって、製品開発コストが大幅に削減することが求められている。
【課題を解決する手段】
【0027】
請求項1の発明は、制御部、駆動部及び記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部とからなり、制御部・駆動部・記録部は少なくともパソコン、マイコン、モータドライブ、モータから構成され、パソコンは受容性調査課題を実行するための制御信号をマイコンに送ると共に調査協力者からの回答を受信して記録を行うもので、マイコンはモータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信して回答用ボタンスイッチの情報を取得後、パソコンに情報を送信するものであって、入出力インターフェイス部は少なくとも製品提示用ターンテーブル、ボタンスイッチで構成され、製品提示用ターンテーブルは受容性調査用製品を配置するものであって、ターンテーブルは前記モータによって回転して前記パソコンのプログラムに従って製品を調査協力者へ提示する一方、調査協力者は、提示された調査用製品に対してボタンスイッチで回答を行うものであり、前記パソコンのプログラムは、複数種類の試作品を配置したターンテーブルをモータにより回転させて受容性調査用試作品を調査協力者の前で停止させ、前記調査協力者への試作品提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせを複数回行うようにし、前記ボタンスイッチにより受容性のある使用感の良い方を比較対比して選択した調査協力者の回答をパソコンに受信して商品受容性の計算をするようにした製品受容性調査装置を提供するものである。
【0028】
この発明においては、試作品の開発目標設定、競合品との優劣をシステマティックに構築された装置によって定量的に効率よく評価することができる。製品受容性調査により、新商品開発において数種類の開発商品の中でどの商品が優位かの判断、数種類の新商品製造の際の在庫バランス設定、店舗で販売する商品の選定、店舗で販売する数種類の商品の在庫バランス設定、等の根拠とすることができる。また、心理物理学を本システムに融合することによって改良するレベル(人が気付くことのできる変化の閾値)を定量的に導き出すことができる(製品開発・改良用調査)。これによって、製品開発コストが大幅に削減できる製品受容性調査装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、ハードウェア構成図である。
図1に示すように、制御部・駆動部・記録部と調査協力者への入出力インターフェイス部に分けられる。制御部・駆動部・記録部はPC、調査員用モニタ、マイコン、マイコン用電源、モータドライブ、モータドライブ用電源、モータから構成される。PCは課題を実行するための制御信号をマイコンに送り、調査協力者からの回答を受信し、記録を行う。調査員は、課題の進行やデータの状況をモニタで確認することができる。また、課題の実行のタイミングを音(スピーカより)によって調査協力者に知らせることができる。マイコンは、モータを駆動させるモータドライブに制御信号を送信し、回答用ボタンスイッチの情報を取得後、PCに情報を送信する。入出力インターフェイス部は、スピーカ、ターンテーブル、ボタンスイッチで構成される。製品提示用ターンテーブル(2つ)には、調査用の製品を置くことができる。最大24個の製品を置くことができ、仕切りが設けられており、提示製品以外は見ることはできない。提示可能な製品の最大サイズは、12仕切りの場合▲1▼外寸(mm)(W)幅×(D)奥行×(H)高さ=45×150×300、6仕切りの場合は▲2▼外寸(mm)(W)幅×(D)奥行×(H)高さ=80×150×300、4仕切りの場合は▲3▼外寸(mm)(W)幅×(D)奥行×(H)高さ=180×150×300となる。ターンテーブルは、モータによって回転し、プログラムに従って製品を提示することが可能である。調査協力者は、課題に従ってボタンスイッチで回答を行う。
【0030】
下記は、製品受容性調査装置のプログラム例である。 鉛筆の試作品に関する特定年齢層への受容性についての調査を行った。 調査グループは、3つのサブグループ(小学生低学年、20~40代、65歳以上)を対象として、試作品:丸形鉛筆、六角鉛筆、太さ2種類(大小)の4種類とした。 プログラム内容は、4種類の総当り戦を行い、勝点、勝率を算出する。2つのターンテーブルにそれぞれ4種類の試作品を配置する。ターンテーブルをモータによって回転させ、提示する試作品が調査協力者の前で停止する。調査協力者は直接、試作品を手にして使用し、2つのうち使用感の良い方を回答用ボタンスイッチで回答する。提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせが2回行われる。この場合、12回の比較課題を行うことになる。
【0031】
表1は、データ解析例(サブグループ:20~40代)の1名のデータ例である。商品A(丸型・小)が左のターンテーブルに現れ、商品B(丸型・大)が右のターンテーブルに現れ(
図1では左右各4個の製品が記載されているが、調査協力者には4個の内、各1ずつを比較して示す)、調査協力者が実際にA、Bを手にして使用し、使用感が良いほうがAの場合、Aのボタンスイッチを押して回答を行う。表1には、選ばれた方を記載する。左上のAから順に、勝点、勝率の説明を行う。勝点は、1回選ばれると2点となる。Aは、横列のB、C、Dと各1回比較が行なわれ、また、縦列のB、C、Dと各1回比較が行なわれるので、合計6回の比較が行なわれる。この6回のうち、Aは2回選ばれているので、2回×勝点2点=勝点4点獲得となる。勝率は、2回/6回=0.333となる。Bは、横列のA、C、Dと各1回の比較、縦列のA、C、Dと各1回の計6回の比較が行われる。この6回のうち、Bは、5回選ばれているので、5回×勝点2点=勝点10点獲得となる。勝率は、5回/6回=0.833となる。Cは、横列のA、B、Dと各1回の比較、縦列のA、B、Dと各1回の計6回の比較が行われる。この6回のうち、Cは、2回選ばれているので、2回×勝点2点=勝点4点獲得となる。勝率は、2回/6回=0.333となる。Dは、横列のA、B、Cと各1回の比較、縦列のA、B、Cと各1回の計6回の比較が行われる。この6回のうち、Dは、3回選ばれているので、3回×勝点2点=勝点6点獲得となる。勝率は、3回/6回=0.5となる。
【0032】
【0033】
表1の通り、サブグループ20~40代の調査協力者1名は、商品B(丸形・大)の勝点が10点、勝率0.833で最も高いので、商品B(丸形・大)を好んでいるということがわかる。
【0034】
このように、上記のサブグループ20~40代の調査協力者1名のように、20名の調査を集計し平均を示した結果が、グラフ1、グラフ2、グラフ3となる。
グラフ1は、4種類の製品の20名の調査結果の平均を示している。
グラフ2は、4種類の製品の形のみについて、20名の調査結果の平均を示している。
グラフ3は、4種類の製品の大きさのみについて、20名の調査結果の平均を示している。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
グラフ1は、4種類の製品の20名の調査結果の平均を示している。4種類の製品の勝点の平均値が最も高い製品は、丸形・大となる。そのため、4種類の製品を比較すると、丸形で大きい鉛筆が有意に好まれることがわかる。グラフ2は、4種類の製品の形のみについて、20名の調査結果の平均を示している。形のみの勝点の平均値が最も高い製品は、丸形となる。そのため、形を比較すると、丸形と六角では、丸形の鉛筆が有意に好まれることがわかる。グラフ3は、4種類の製品の大きさのみについて、20名の調査結果の平均を示している。大きさのみの勝点の平均値が最も高い製品は、大となる。そのため、大きさを比較すると、小と大では、大きい鉛筆が有意に好まれることがわかる。
【0039】
ここにおいて丸形で大きい鉛筆が有意に好まれることがわかる。丸形と六角では、丸形鉛筆が有意に好まれることがわかる。鉛筆の大きさは、大きい方が有意に好まれることがわかる(有意差水準 p<0.01)。 ここに記載される(有意差水準 p<0.01)とは、p値は、統計において、帰無仮説の元で検定統計量がその値となる確率のことで、p値が小さいほど、検定統計量がその値となることはあまり起こりえないことを意味する。一般的にp<0.01は有意差ありと判断される。統計解析の結果、p<0.01となり、丸形と六角では丸形鉛筆が、鉛筆の大きさでは大きい方が有意に好まれ、4つの製品において丸形で大きい鉛筆が有意に好まれることがわかる。
【0040】
下記は、製品開発・改良用調査装置のプログラム例である。 調査内容は、試作品携帯電話Aの重さの改良の意味ある変化分(弁別閾)の調査である。 調査グループは、一般の健常人を調査対象5名で、試作品として試作品携帯電話A(150g)、9種類の試作品の重さ(110、130、140、145、150、155、160、170、190)gで行った。プログラム内容は、心理物理学測定法の恒常法を用いる。2つのターンテーブルにそれぞれ9種類の試作品を配置する。ターンテーブルをモータによって回転させ、提示する試作品が調査協力者の前で停止する。調査協力者は直接、試作品を手にして使用し、2つのどちらか重たい方を回答用ボタンスイッチで回答する。左右どちらかのテーブルに試作品携帯電話A(150g)が提示される。提示順はランダムな組み合わせとし、同じ組み合わせが計10回行われる。この場合、90回の比較課題を行うことになる。人の知覚特性は、人によって大きく変わらないので少人数のグループで計測できる。
【0041】
グラフ4は、データ解析例(一般の健常人)5名のデータ例である。標準刺激であるA(150g)は必ず左右どちらかのテーブルに提示される。9種類の試作品を10回調査設定で行うので合計90回の調査となる。グラフ4は、一般の健常人5名のデータ例となっている。データの解析は、心理物理学測定法の恒常法を用いた。
【0042】
【0043】
一般の健常人5名のデータ例であるグラフ4の点の部分は、それぞれ、9種類試作品の重さ(110、130、140、145、150、155、160、170、190)gを表している。155g(150gの縦線の左の縦点線)の試作品の点の部分を見ると、重いと回答した割合は、約0.6(60%)以上となっていることがわかる。弁別閾0.25(25%)、0.75(75%)の部分は、標準刺激であるA(150g)から区別ができる重さとなる。左から3番目の点の140g、右から3番目の点の160gは、弁別値0.25(25%)、0.75(75%)に近い重さの試作品であることがわかる。計算を行うと弁別値0.75(75%)の確立で重いと回答される部分の試作品の重さは、約158gとなった。このことから、試作品携帯電話Aの重さの違いが判別可能(上下:75%-25%)な重さが、±10g前後であり、試作品携帯電話Aの重さ削減の目標は10g以上となる。また、重量10g未満の増加は、使用者が知覚しにくいということがわかる。10g未満の増減を知覚しにくく、10g以上の増減を知覚しやすいということは、10g未満の増減に気付く健常人が少ないということになる。そのため、携帯電話の重さ削減の目標は、10g以上減らすことを目標にすることが、健常人が軽量化に気付き、使用者の満足度が繋がるという結果となる。
【発明の効果】
【0044】
この発明においては、試作品の開発目標設定、競合品との優劣をシステマティックに構築された装置によって定量的に効率よく評価することができる。製品受容性調査により、新商品開発において数種類の開発商品の中でどの商品が優位かの判断、数種類の新商品製造の際の在庫バランス設定、店舗で販売する商品の選定、店舗で販売する数種類の商品の在庫バランス設定、等の根拠とすることができる。また、心理物理学を本システムに融合することによって改良するレベル(人が気付くことのできる変化の閾値)を定量的に導き出すことができる(製品開発・改良用調査)。これによって、製品開発コストが大幅に削減できる製品受容性調査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】 本発明の一実施例であるハードウェア構成図