(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】穀物粉の焼成物
(51)【国際特許分類】
A21D 2/36 20060101AFI20230615BHJP
A21D 6/00 20060101ALI20230615BHJP
A21D 13/00 20170101ALI20230615BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20230615BHJP
【FI】
A21D2/36
A21D6/00
A21D13/00
A23L35/00
(21)【出願番号】P 2016230150
(22)【出願日】2016-11-28
【審査請求日】2019-11-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】516357317
【氏名又は名称】工藤 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【氏名又は名称】谷水 浩一
(72)【発明者】
【氏名】工藤 雅一
【合議体】
【審判長】加藤 友也
【審判官】大島 祥吾
【審判官】平塚 政宏
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101467613(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102210469(CN,A)
【文献】特開2001-327243(JP,A)
【文献】特開2005-245409(JP,A)
【文献】ミリオンレシピ,野菜ジュースを使ったピザ風お好み焼き,2013年11月15日,[online],[検索日:2020年9月10日],<URL:https://million-store.com/recipe/?p=1048>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物粉、生の可食性緑色植物の搾汁液、及び海鮮物を含有する焼成物用生地であって、
前記穀物粉100質量部に対して、
前記生の可食性緑色植物の搾汁液を1
0~50質量部含有し、
前記生の可食性緑色植物は、ケール
又はほうれん
草であ
り、
前記焼成物用生地は、たこ焼き用、お好み焼き用、又はチヂミ用であり、
前記焼成物用生地は、青緑色である、
ことを特徴とする
、焼成物
用生地。
【請求項2】
前記海鮮物が蛸であることを特徴とする、請求項1に記載
の焼成物
用生地。
【請求項3】
請求項1または2に記載
の焼成物
用生地を焼成してなることを特徴とする、
青緑色のたこ焼き、青緑色のお好み焼き、又は青緑色のチヂミ。
【請求項4】
穀物粉、生の可食性緑色植物の搾汁液、及び海鮮物を含有する焼成物用生地の製造方法であって、
前記穀物粉100質量部および
前記生の可食性緑色植物の搾汁液を1
0~50質量部を混合して混合物を調製する混合工程、を備え、
前記生の可食性緑色植物は、ケール
又はほうれん
草であ
り、
前記焼成物用生地は、たこ焼き用、お好み焼き用、又はチヂミ用であり、
前記焼成物用生地は、青緑色である、
ことを特徴とする
、焼成物
用生地の製造方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の前記混合物に
前記海鮮物を添加して加熱する加熱工程を備えたことを特徴とする、
青緑色のたこ焼き、青緑色のお好み焼き、又は青緑色のチヂミの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色に着色した穀物粉の焼成物に関する。更に詳しくは、本発明は、可食性緑色植物の搾汁液を含有する穀物粉の焼成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、たこ焼きやお好み焼き等の穀物粉の焼成物は、穀物に由来する炭水化物を多量に含有し、糖質が多いことから太りやすい食べ物といったイメージがあった。そのため、近年の健康ブームでは、健康を強く意識する消費者からたこ焼きやお好み焼き等は敬遠される傾向にあった。
【0003】
そこで、もずく、野菜、魚介類等をまぜたたこ焼きを作ったり(特許文献1)、大麦若葉の搾汁液を乾燥して得られた乾燥粉末を添加してパン、ビスケット、クッキー等を作ったり(特許文献2、3)、クロロフィルを含む色素物質粉末をパン類、麺類等に配合したり(特許文献4)するなど様々な穀物粉の焼成物が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-155953号公報
【文献】特開平8-308534号公報
【文献】特開平11-75791号公報
【文献】特開平8-302226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでに、穀物粉の焼成物の栄養バランスを改善するために、栄養価の高い具材を加えるものなどの工夫はあったが、焼成物の見た目が悪く、風味と味も良くないといった不具合が生じていた。とくに、植物色素の乾燥粉末を使用した場合、焼成物の表面が白っぽくなるなど彩度が低下して見た目の食欲が欠けたり、葉っぱの生臭い風味が残ったりして美味しくないといった問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、発明者は、鋭意研究した結果、可食性緑色植物の搾汁液を使用することで、葉の臭みを低減し、表面が鮮やかな青緑色になるとともに、味と風味もよい穀物粉の焼成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0007】
〔1〕穀物粉100質量部に対して、可食性緑色植物の搾汁液を1~50質量部含有することを特徴とする、穀物粉含有生地。
〔2〕前記搾汁液は、生の可食性緑色植物から搾汁した搾汁液であることを特徴とする、前記〔1〕に記載の穀物粉含有生地。
〔3〕前記可食性緑色植物は、ケール、大麦若葉、ほうれん草、ニラ、青ネギ、大葉、パセリ、茶葉から選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、前記〔1〕又は〔2〕に記載の穀物粉含有生地。
〔4〕前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の穀物粉含有生地を焼成してなることを特徴とする、穀物粉含有焼成物。
〔5〕海鮮物を含有することを特徴とする、前記〔4〕に記載の穀物粉含有焼成物。
〔6〕前記海鮮物が蛸であることを特徴とする、前記〔5〕に記載の穀物粉含有焼成物。
〔7〕形状が略球形状であることを特徴とする、前記〔4〕~〔6〕のいずれか1項に記載の穀物粉含有焼成物。
〔8〕穀物粉100質量部および可食性緑色植物の搾汁液を1~50質量部を混合して混合物を調製する混合工程、を備えたことを特徴とする、穀物粉含有生地の製造方法。
〔9〕
前記〔8〕に記載の前記混合物を加熱する加熱工程、を備えたことを特徴とする、穀物粉含有焼成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の可食性緑色植物の搾汁液を含有した穀物粉の焼成物は、植物色素の乾燥粉末を含有した穀物粉の焼成物に比べて、見た目、味、風味が格段に良く、美味しく食べながら、栄養をバランスよく摂取することができるという効果がある。また、本発明の穀物粉の焼成物は、たこ焼きなどの焼成物も健康的な食べ物であるというイメージに変える効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ケール搾汁液含有たこ焼き生地で作ったたこ焼きの写真である。
【
図2】
図2は、青汁粉末含有たこ焼き生地で作ったたこ焼きの写真である。
【
図3】
図3は、ほうれん草搾汁液含有たこ焼き生地で作ったたこ焼きの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[穀物粉含有生地]
本発明の穀物粉含有生地は、穀物粉100質量部に対して、可食性緑色植物の搾汁液を1~50質量部含有することを特徴とする。
本発明の穀物粉含有生地によれば、植物色素の乾燥粉末を含有した場合と比べて、鮮やかな青緑色を呈する穀物粉の焼成物を得ることができる。また、葉の臭みが低減され、味、風味に優れた穀物粉の焼成物を得ることができる。
上述の効果について検討するに、可食性緑色植物を乾燥粉末に加工すると、植物色素が凝集するため、生地への分散性が低下することが原因と推察される。分散性の低下により、色の濃淡が生じて表面が白っぽくなったり、葉の青臭さを強く感じたりする等の問題を生じると思われる。
【0011】
本発明において穀物粉とは、小麦、大麦、ライ麦、燕麦、米、トウモロコシ、ソバ、大豆、小豆、緑豆、ヒエ、粟、きびなどの穀物を粉砕して得られる粉のことである。本発明の穀物粉には上記穀物粉を加工したもの、上記穀物粉の一部又は全量を澱粉に置き換えたり、食用の添加剤を含有したりしたものも含まれる。鮮やかな青緑色を発色するという観点から、穀物粉としては、小麦粉が好ましい。
【0012】
本発明の可食性緑色植物は、緑色の食用可能な植物のことである。具体的には、緑色の葉または茎(以下、葉茎という)を有する栽培食用植物、緑色の葉茎を持つ食用可能な野草類や薬用植物、通常は葉茎を食用としない緑色の葉茎をもつ果菜類、根菜類、穀類、果実などの植物、緑色の食用可能な藻類などである。本発明の可食性緑色植物には、麦類の緑葉、ホウレン草、レタス、キャベツ、白菜、水菜、キュウリ、ニガウリ、ピーマン、ニンジン緑葉、大根緑葉、パセリ、セロリ、アシタバ、コンフリー葉、アルアルファ、クローバー、緑茶、抹茶等の茶葉、ケール等の牧草の緑葉、クマザサの葉、柿の葉、松の葉、スピルリナ、クロレラ、ワカメ、青ノリ等が含まれる。これらの植物はそれぞれ単独で使用することができ、あるいは2種類以上組み合わせて用いてもよい。
【0013】
本発明の可食性緑色植物としては、緑色を強く着色することができるという観点から、ケール、大麦若葉、ほうれん草、ニラ、青ネギ、大葉、パセリ、茶葉から選択される1種以上または2種以上の混合物が好ましく、ケール、ほうれん草、ニラ、青ネギ、パセリ、茶葉から選択される1種以上または2種以上の混合物がより好ましい。更に、可食性緑色植物由来の風味が弱く、焼成物の風味に与える影響が小さいという観点からみれば、ケール、ほうれん草が特に好ましい。また、栄養強化の観点では、ケールが優れている。
【0014】
本発明の搾汁液は、可食性緑色植物から搾り取った液であり、例えば、ミキサー、ジューサー等の通常の機械的破砕手段によって粉砕した粉砕物や熱湯に浸したときに抽出される水溶物などが挙げられる。本発明の搾汁液には、粉砕物を遠心分離や濾過等によって残渣を取り除いたものや水溶物を濃縮したりしたものも含まれる。また、本発明の搾汁液には、葉の臭みが抑制され、色も鮮やかになるという機能がある。
【0015】
本発明の可食性緑色植物の搾汁液には、生の可食性緑色植物から搾汁した搾汁液も含まれる。ここで、「生の可食性緑色植物」とは、加熱処理を行っていない可食性緑色植物の意味である。生の可食性緑色植物を使用することで、茹で等の加熱調理による色素の抜けがなく、緑色を強く着色することができる。
【0016】
本発明における可食性緑色植物の搾汁液の配合量は、穀物粉100質量部に対して1~50質量部であることが好ましく、10~20質量部であることがより好ましい。可食性緑色植物の搾汁液の配合量が穀物粉100質量部に対して50質量部を超えると、焼成物も黒緑色になってしまって、葉の臭みも増してしまうため好ましくはない。
【0017】
本発明の穀物粉含有生地には、穀物粉および可食性緑色植物の搾汁液の他、通常食品に用いられる材料を添加してもよい。例えば、水、食用油、牛乳、卵、酒、みりん、塩、胡椒、砂糖、醤油、酢、みそ、だし汁、うまみ成分、調味料等が挙げられる。
【0018】
本発明の穀物粉含有生地は、水を配合することが好ましい。水を配合することにより、穀物粉含有生地を焼成した際に、焦げや褐変が抑制されるため、鮮やかな青緑色の穀物粉含有焼成物を得ることができる。水の配合量としては、穀物粉100質量部に対して、好ましくは10~500質量部であり、より好ましくは50~400質量部であり、特に好ましくは100~300質量部である。
【0019】
[穀物粉含有焼成物]
本発明の穀物粉含有焼成物は、本発明の穀物粉含有生地を焼成してなるものであり、例えば、たこ焼き、お好み焼き、チヂミ、焼き菓子、パンなどが挙げられる。鮮やかな青緑色が映えるという観点から、たこ焼きが好ましい。
【0020】
本発明の穀物粉含有焼成物は、通常使用される食品素材を適宜添加することができる。例えば、たこ焼きやお好み焼きの場合には、海鮮物、揚げ玉、紅ショウガ、キャベツ、ニラ等の野菜等が挙げられる。焼き菓子やパンの場合には、バター、チョコチップ、レーズン、アーモンド等のナッツ類等が挙げられる。生臭さを低減するという本発明の効果をより発揮するという観点から、海鮮物を添加することが好ましい。
【0021】
本発明の海鮮物は、海の食材のことである。本発明の海鮮物には、蛸、イカ、エビ、アサリ、マグロ、サーモンなどが含まれる。これらを単独で使用することもできるし、2種類以上を組み合わせてもよい。本発明の海鮮物としては、蛸が好ましい。
【0022】
海鮮物は、下茹で等の加熱調理をしたものを利用することもできる。生臭さを低減するという本発明の効果をより発揮するという観点から、加熱調理した海鮮物を添加することが好ましい。
【0023】
また、海鮮物の形態については、特に制限されず、例えば、ぶつ切り、ミンチ等の形態として添加してもよい。青緑色をより発色するという観点から、ぶつ切りの海鮮物を添加することが好ましい。
【0024】
本来、海鮮物には特有の生臭さがあり、加熱した後でも残ることがある。しかし、本発明の穀物粉の焼成物では意外なことに具材として投入した海鮮物の生臭さが消えていた。このことは、可食性緑色植物の搾汁液に含まれる消化酵素等が生臭さのもとになる成分を抑制しているものと推測される。
【0025】
本発明の穀物粉含有焼成物の形状は、どのような形状でもよく、例えば、略球形状、円盤状、矩形板状等が挙げられる。食べやすさ等の観点から、略球形状が好ましい。
【0026】
[製造方法]
本発明の穀物粉含有生地の製造方法は、穀物粉、卵、水、可食性緑色植物の搾汁液等を混合して、液状または半液状成分の混合物を調製する混合工程を含有するものである。場合によって、蛸やエビ等の海鮮物のぶつ切りや、紅ショウガ、揚げ玉、だし汁やうまみ成分などを加える工程を含めたり、混合物を調整した後に冷蔵庫でねかせる工程を含めたりすることもできる。本発明の穀物粉含有生地には、可食性緑色植物の搾汁液が、穀物粉100質量部に対して1~50質量部、より好ましくは10~20質量部加えられており、搾汁液はこの範囲で適宜変化させてよい。
【0027】
本発明の穀物粉含有焼成物の製造方法は、本発明の穀物粉含有生地を加熱する加熱工程を備え、穀物粉含有生地を焼き上げる方法である。加熱工程時に、蛸やエビ等の海鮮物のぶつ切りや、紅ショウガ、揚げ玉等を添加する添加工程を備えてもよい。加熱温度と加熱時間は、焼成物の仕上がりを調節するのに適宜変化させてよい。
【実施例】
【0028】
本発明の詳細を実施例で説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0029】
(1)材料
A:たこ焼き生地
たこ焼きミックス((株)オーバン製)1kgに卵5個をといた液体、水2リットルを加えて、だまができないように注意しながら混ぜた。
B:ケール搾汁液含有たこ焼き生地(以下、「生地B」という。)
Aのたこ焼き生地に流水で解凍した冷凍ケールジュース((株)ベルファーム)を200ml加えて混ぜた。当該冷凍ケールジュースは、ケールを搾って、繊維等の不溶成分を除いた100%搾汁液である(水等の添加なし)。
C:青汁粉末含有たこ焼き生地(以下、「生地C」という。)
Aのたこ焼き生地に大麦若葉青汁粉末(市販)を18g加えて混ぜた。
D:ほうれん草搾汁液含有たこ焼き生地(以下、「生地D」という。)
Aのたこ焼き生地にほうれん草の搾汁液を200g加えて混ぜた。ほうれん草の搾汁液は、生ほうれん草をミキサーで粉砕したものである(水分添加なし)。
E:その他
1cm角にカットした蛸、揚げ玉(適量)、オリーブオイル(適量)。
【0030】
(2) 製造
はじめに、たこ焼き用の鉄板を十分に熱し、オリーブオイルを適量垂らし(火力は強火)、オリーブオイルが温まった後、生地Bを流し入れ、そこに蛸と、揚げ玉を適量入れ(火力は強火)、2分ほどしたら、生地を返していく(火力は強火)。次に、焦げ付かないように、時々生地を転がしながら、形を整えていき(火力は強火)、6分半ほどで焼成してたこ焼きを作った。その後、生地Bを、生地C、生地Dに代えて、上記と同じ手順でたこ焼きを作った。
【0031】
このようにして得られたたこ焼きの外観は、
図1、2、3に示すとおりである。
図1に示すとおり、生地Bを使用したたこ焼きの焼き上がった表面は滑らかで、均一に鮮やかな青緑色をしており、食欲をそそるものであった。一方で、
図2に示すとおり、生地Cを使用したたこ焼きの焼き上がった表面は凸凹しており、焦げがところどころ存在し、食欲をそそるものではなかった。また、表面がやや白っぽくなり、彩度の低い緑色となった。生地Dを使用したたこ焼き(
図3)は、生地Bとほぼ同じで、焼き上がった表面滑らかで、均一に鮮やかな青緑色をしており、食欲をそそるものであった。
【0032】
(3)官能テスト
生地Bを使用したたこ焼き、生地Cを使用したたこ焼き、生地Dを使用したたこ焼きの官能テストを行った。被験者6名に3つのたこ焼きを与え、1~5点で美味しさを評価し、平均点を計算した。1点(葉の青臭さを強く感じ、海鮮の生臭さも引き立っている。)、2点(葉の青臭さを感じ、海鮮の生臭さも感じる。)、3点(葉の青臭さをやや感じ、海鮮の生臭さもやや感じる。)、4点(葉の青臭さや海鮮の生臭さをほとんど感じない。)、5点(葉の青臭さや海鮮の生臭さを感じない。)。
【0033】
官能テストを行った結果は表1に示すとおりであった。生地Bを使用したたこ焼きは、臭みがなく、青汁独特の苦みもなく食べやすいものであった。また、生地がしっとりしており、美味しく食べられるものであった。生地Dを使用したたこ焼きも生地Bとほぼ同じであった。一方で、生地Cを使用したたこ焼きは、苦味はないが、青汁独特の生臭さが鼻から抜けるため食べにくいものであった。また、生地の表面が焦げ付くため、風味にかけるものであった。
【0034】
【0035】
以上説明したとおり、生搾りケールジュースを含有したたこ焼きのほうが、青汁粉末を含有したたこ焼きに比べて、見た目、味、風味が格段に良かった。そして、ケールジュースは搾りたてをすぐに冷凍して保存しているので劣化することなく、高い栄養価を保持しているため、たこ焼きに加えることで、本来ならばたこ焼きには含まれていない栄養素を十分に補うことができる。したがって、本発明のたこ焼きは、美味しく食べながら、栄養をバランスよく摂取することができるという、従来のたこ焼きの概念を大きく変えるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、たこ焼き、お好み焼き、チヂミ等の海鮮物を含有する穀物粉含有焼成物の着色に好適に利用することができる。本発明によれば、可食性緑色植物由来の臭みを低減しつつ、さらには海鮮物由来の生臭さも低減することができるため、風味に優れた穀物粉含有焼成物を提供することができる。また、本発明によれば、焼成の際の焦げや褐変等が抑制されるため、鮮やかな青緑色を発色させることができる。
【0037】
さらに本発明は、焼き菓子、パンなどの穀物粉含有焼成物の着色に利用することも可能である。