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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】シール装置及び焼結機
(51)【国際特許分類】
   F27B 21/08 20060101AFI20230615BHJP
   C22B 1/20 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
F27B21/08 E
C22B1/20 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018235720
(22)【出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2020098056
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100132506
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 哲文
(72)【発明者】
【氏名】森下 茂
(72)【発明者】
【氏名】梅本 紘成
(72)【発明者】
【氏名】中村 太蔵
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-132594(JP,U)
【文献】実公昭50-018965(JP,Y1)
【文献】実開昭58-024699(JP,U)
【文献】実開昭57-089199(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102927819(CN,A)
【文献】実開昭51-082704(JP,U)
【文献】実開昭58-042149(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 7/06
F27B 21/00-21/14
C22B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材と離間した状態で前記第1部材に対して相対的に移動する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材の間に配置されるシール部材であって、前記第1部材に固定され、前記第2部材に摺動可能に接するシール部材とを備え、
前記第1部材、前記第2部材及び前記シール部材は、圧力の異なる2つの空間を仕切る構成であり、
前記第1部材と前記第2部材は、前記第2部材の前記シール部材との摺動面に平行な方向に相対移動し、
前記シール部材は、湾曲した板を含み、前記第1部材から延びて前記第2部材に達し、さらに前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れて、前記2つの空間のうち圧力の高い空間に向かって延び、前記湾曲した板の延びる方向における前記シール部材の先端が、前記圧力の高い空間に位置し、
前記シール部材は、湾曲した板を含む第1シール部材と、湾曲した板を含む第2シール部材を含み、
前記第1シール部材は、前記第1部材から延びて前記第2部材に達し、さらに前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れて、前記2つの空間のうち圧力の高い空間に向かって延び、前記湾曲した板の延びる方向における前記第1シール部材の先端が、前記圧力の高い方の空間に位置し、
前記第2シール部材は、前記第1部材から延びて前記第2部材に達し、さらに前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れて、前記2つの空間のうち圧力の低い空間に向かって延び、前記湾曲した板の延びる方向における前記第2シール部材の先端が、前記圧力の低い空間に位置する、シール装置。
【請求項2】
前記シール部材の前記第1シール部材及び前記第2シール部材は、複数の湾曲した板が重ねられて構成され、前記複数の板のうち1つの板の湾曲した面が前記第2部材に接する、請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記シール部材の前記第1シール部材及び前記第2シール部材のそれぞれにおいて、前記第2部材に接する部分は、他の部分に比べて厚みが大きい、請求項1又は2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記第1部材は、開口を有する容器であり、
前記第2部材は、前記開口を通って前記容器の外と内の間を移動可能であり、
前記第1シール部材は、前記開口の縁から延びて、前記開口を通る前記第2部材に達し、前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れ、前記容器の内と外のうち、圧力の高い方へ向かって延び、前記湾曲した板の延びる方向における前記第1シール部材の先端が、前記容器の内と外のうち圧力の高い方に位置し、
前記第2シール部材は、前記開口の縁から延びて、前記開口を通る前記第2部材に達し、前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れ、前記容器の内と外のうち、圧力の低い方へ向かって延び、前記湾曲した板の延びる方向における前記第2シール部材の先端が、前記容器の内と外のうち圧力の高い方に位置する、請求項1~3のいずれか1項に記載のシール装置。
【請求項5】
第1部材と、
前記第1部材と離間した状態で前記第1部材に対して相対的に移動する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材の間に配置されるシール部材であって、前記第1部材に固定され、前記第2部材に摺動可能に接するシール部材とを備え、
前記第1部材、前記第2部材及び前記シール部材は、圧力の異なる2つの空間を仕切る構成であり、
前記第1部材と前記第2部材は、前記第2部材の前記シール部材との摺動面に平行な方向に相対移動し、
前記シール部材は、湾曲した板を含み、前記第1部材から延びて前記第2部材に達し、さらに前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れて、前記2つの空間のうち圧力の高い空間に向かって延び、前記湾曲した板の延びる方向における前記シール部材の先端が、前記圧力の高い空間に位置し、
前記第2部材は、前記2つの空間のうち圧力の低い一方の空間を囲む箱における上面の開口の端から外方に延びる板状部材であり、
前記第1部材は、前記開口を塞ぐ位置を移動する台車の下面を構成する部材であり、
前記板状部材は、前記開口の前記台車の移動方向の両端のうち少なくとも一方の端から外方に延びて形成され、
前記シール部材は、前記第1部材が前記第2部材の上を移動する時に、前記板状部材に接する、シール装置。
【請求項6】
前記シール部材の先端は、前記第1部材の下面よりも上に位置する、請求項5に記載のシール装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のシール装置と、無端軌道上を移動する複数のパレット台車を有する焼結機であって、
前記パレット台車の各々は、
幅方向に延び、前記パレット台車のパレット移動方向に並んで配置される複数の桁梁と、
前記複数の桁梁の両端を支持し、パレット移動方向に延びる一対のサイドフレームと、
前記複数の桁梁の上部に架けわたされ、幅方向に並ぶ複数のグレートバーと、
前記一対のサイドフレームのそれぞれの下面に上下可動に取り付けられた一対のシールバーと、を有し、
焼結用の原料を積載したパレット台車が移動する領域において、前記パレット台車の下方に、パレット移動方向に並べられた複数の風箱で構成される風箱群と、
前記一対のシールバーの下面と接する位置に配置され、パレット移動方向に延びて形成される一対のウェアーバーと、
前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポートと、
前記風箱群のパレット移動方向の両端のうち少なくとも一方の端からパレット移動方向の外方で、前記パレット台車の下方且つ前記一対のウェアーバーの間に配置され、可撓性を有するデッドプレートと、を備え、
前記第1部材は、前記桁梁であり、前記第2部材は、前記デッドプレートであり、前記箱は前記風箱である、焼結機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに離間した状態で相対的に移動する2つの部材の間をシールするシール装置、及び、そのようなシール装置を備える焼結機に関する。
【背景技術】
【0002】
相対的に移動する2つの部材の間をシールするシール装置として、様々なものが提案されている。例えば、特開2009-68721号公報には、焼結鉱冷却機において、エアチャンバと、エアチャンバの上を移動する冷却トラフとの間を、湾曲した可撓性弾性板状体でシールするシール装置が開示されている。
【0003】
特開2002-372377号公報には、焼結機の焼結原料充填層と、その上に設けられた加圧送風装置との間をシールするシール部が開示されている。シール部は、断面U字状の弾性ゴム体を平面視リング状に形成したシール部本体と、シール部本体の円弧状周面に敷き詰めた耐摩耗性のチップを有する。
【0004】
特開平11-281261号公報には、焼結機の給排側に設置されるエアシール装置が開示されている。このエアシール装置は、焼結原料を載せるパレットの下のシールプレートと、シールプレートに連結してこれをパレットに追従させる板ばねと、板ばねの追従量を調整する調整ロッドとを備える。
【0005】
特開2015-197228号公報には、回転式焼結鉱冷却装置の水封式シール装置が開示されている。水封式シール装置は、可動側仕切り板と固定側仕切り板を設けた水封ボックスを有する。可動側仕切り板と固定側仕切り板の間は、ステンレス製ワイヤープレートシールによりシールされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-68721号公報
【文献】特開2002-372377号公報
【文献】特開平11-281261号公報
【文献】特開2015-197228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
互いに離間した状態で相対的に移動する2つの部材の間をシールするシール装置においては、2つの部材の隙間の距離が2つの部材の相対移動に伴って変動することが多い。シール装置は、この距離の変動に追随することが求められる。
【0008】
本発明は、互いに離間した状態で相対的に移動する2つの部材の隙間の距離の変動に対する追随性を高めたシール装置及び焼結機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態におけるシール装置は、第1部材と、前記第1部材と離間した状態で前記第1部材に対して相対的に移動する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の間に配置されるシール部材であって、前記第1部材に固定され、前記第2部材に摺動可能に接するシール部材とを備える。前記第1部材、前記第2部材及び前記シール部材は、圧力の異なる2つの空間を仕切る構成である。前記第1部材と前記第2部材は、前記第2部材の前記シール部材との摺動面に平行な方向に相対移動する。前記シール部材は、前記第1部材から延びて前記第2部材に達し、さらに前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れて、前記2つの空間のうち圧力の高い空間に向かって延びる。前記シール部材の先端が、前記圧力の高い空間に位置する。
【発明の効果】
【0010】
本願開示によれば、互いに離間した状態で相対的に移動する2つの部材の隙間の距離の変動に対する追随性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態のシール装置の構成を示す側面図である。
図2図2は、図1に示すシール装置の斜視図である。
図3図3は、シール部材の変形例を示す側面図である。
図4図4は、シール部材の他の変形例を示す側面図である。
図5図5は、シール部材の他の変形例を示す側面図である。
図6図6は、シール部材の他の変形例を示す側面図である。
図7図7は、シール部材の他の変形例を示す側面図である。
図8図8は、焼結機の構成例を示す図である。
図9図9は、図8に示す焼結機の排鉱側の端部付近の斜視図である。
図10図10は、デッドプレートの上を通るパレット台車を幅方向から見た側面図である。
図11図11は、図10におけるXI-XI線の断面図である。
図12図12は、パレット台車の桁梁の部分の断面図である。
図13図13は、熱処理炉の構成例を示す断面図である。
図14図14は、図13に示す開口を含む部分を矢印Aの方向から見た側面図である。
図15図15は、容器内の圧力が容器の外の圧力より高い場合の例を示す断面図である。
図16図16は、連続焼成窯の構成例を示す断面図である。
図17図17は、図16に示す開口を含む部分を矢印Aの方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明者らは、相対的に移動する2つの部材の間をシールするシール装置において、2つの部材の隙間の距離の変動への追随性を高めることを検討した。検討の中で、シール装置は、圧力の異なる2つの空間を仕切る構成が多いことに着目した。そして、この圧力の差を考慮して追随性を向上させるようなシール装置の構成を検討した。その結果、下記の実施形態の構成に想到した。
【0013】
(構成1)
本発明の実施形態におけるシール装置は、第1部材と、前記第1部材と離間した状態で前記第1部材に対して相対的に移動する第2部材と、前記第1部材と前記第2部材の間に配置されるシール部材であって、前記第1部材に固定され、前記第2部材に摺動可能に接するシール部材とを備える。前記第1部材、前記第2部材及び前記シール部材は、圧力の異なる2つの空間を仕切る構成である。前記第1部材と前記第2部材は、前記第2部材の前記シール部材との摺動面に平行な方向に相対移動する。前記シール部材は、前記第1部材から延びて前記第2部材に達し、さらに前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れて、前記2つの空間のうち圧力の高い空間に向かって延びる。前記シール部材の先端が、前記圧力の高い空間に位置する。
【0014】
上記構成1において、2つの空間の間にあるシール部材は、2つの空間の圧力の差によって、圧力の高い空間から圧力の低い空間へ向かって押される。シール部材が押されると、シール部材の湾曲した部分が、第2部材に対して押し付けられる。第1部材と第2部材の間の距離が変動した場合、シール部材の湾曲部が第2部材に押し付けられているため、シール部材は、第2部材に追随しやすい。そのため、2つの部材の隙間の距離の変動に対する追随性を高めることができる。なお、第1部材と第2部材の移動方向は、第2部材のシール部材との摺動面に対して、厳密に平行な方向に限られず、平行と見なせる程度に、ずれている場合も含む。また、第2部材のシール部材との摺動面は、平面であっても曲面であってもよい。
【0015】
(構成2)
上記構成1において、前記シール部材は、複数の湾曲した板が重ねられて構成され、前記複数の板のうち1つの板の湾曲した面が前記第2部材に接する構成としてもよい。これにより、シール部材の耐摩耗性を高めることができる。
【0016】
(構成3)
上記構成1又は2において、前記シール部材の前記第2部材に接する部分は、他の部分に比べて厚みが大きくてもよい。これにより、シール部材の第2部材に接する部分の耐摩耗性を高めることができる。シール部材の厚みは、シール部材の延在方向に垂直な方向の寸法とする。ここで、シール部材の延在方向は、第1部材から第2部材へ延び、さらに第2部材から離れて空間に向かって延びる方向である。
【0017】
(構成4)
上記構成1~3のいずれかにおいて、前記シール部材は、第1シール部材と第2シール部材を含んでもよい。前記第1シール部材は、前記第1部材から延びて前記第2部材に達し、さらに前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れて、前記2つの空間のうち圧力の高い空間に向かって延び、前記第1シール部材の先端が、前記圧力の高い方の空間に位置する。前記2シール部材は、前記第1部材から延びて前記第2部材に達し、さらに前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れて、前記2つの空間のうち圧力の低い空間に向かって延び、前記第2シール部材の先端が、前記圧力の低い空間に位置する。
【0018】
このように、第1シール部材と第2シール部材を含むことにより、シール部材のシール性が高くなる。また、第1部材、第2部材及びシール部材によって仕切られる2つの空間の圧力の高低が逆になっても、圧力差による追随性の向上効果が得られる。
【0019】
(構成5)
上記構成1~4のいずれか1項において、前記第1部材は、開口を有する容器であり、前記第2部材は、前記開口を通って前記容器の外と内の間を移動可能であってもよい。前記シール材は、前記開口の縁から延びて、前記開口を通る前記第2部材に達し、前記第2部材に接する部分から湾曲して前記第2部材から離れ、前記容器の内と外のうち、圧力の高い方へ向かって延びるよう形成されてもよい。この場合、前記シール部材の先端が、前記容器の内と外のうち圧力の高い方に位置する。
【0020】
これにより、容器の開口と、開口を通る第2部材との間の隙間をシール部材でシールすることができる。また、開口を通る第2部材に対するシール部材の追随性を高めることができる。
【0021】
第1部材の一例である開口を有する容器は、特定のものに限定されない。このような容器の例としては、例えば、熱処理炉、塗装用下地処理ケレンフード、又は、塗装フード等が挙げられる。
【0022】
(構成6)
上記構成1~4のいずれかにおいて、前記第2部材は、前記2つの空間のうち圧力の低い空間を囲む箱における上面を構成する板状部材であって、開口を有する板状部材であってもよい。前記第1部材は、前記箱の開口を塞ぐ位置を移動する台車の下面を構成する部材であってもよい。前記板状部材は、前記開口の前記台車の移動方向の両端から外方に延びて形成されてもよい。前記シール部材は、前記第1部材が前記第2部材の上を移動する時に、前記板状部材に接するよう構成されてもよい。
【0023】
これにより、台車の下面と板状部材との間をシール部材でシールすることができる。また、板状部材に対するシール部材の追随性を高めることができる。
【0024】
前記シール部材は、第1シール部材と第2シール部材を含んでもよい。前記第1シール部材は、前記第1部材から延びて前記台車の進む方向に向かって湾曲し、前記第2シール部材は、前記第1部材から延びて前記台車の進む方向と反対方向に向かって湾曲してもよい。これにより、台車が箱の上に進入する際及び箱の上から退出する際の両方において、圧力差によるシール部材の追随性がよくなる。
【0025】
(構成7)
上記構成6において、前記シール部材の先端は、前記第1部材の下面よりも上に位置するよう構成されてもよい。これにより、第1部材が、第2部材の上を通る時に、第2部材にシール部材が突っかかりにくくなる。
【0026】
(構成8)
上記構成6又は7のシール装置を備える焼結機も、本発明の実施形態に含まれる。前記焼結機は、無端軌道上を移動する複数のパレット台車を有する。前記パレット台車の各々は、幅方向に延び、搬送方向に並んで配置される複数の桁梁と、前記複数の桁梁の両端を支持し、移動方向に延びる一対のサイドフレームと、前記複数の桁梁の上部に架けわたされ、幅方向に並ぶ複数のグレートバーと、前記一対のサイドフレームのそれぞれの下面に上下可動に取り付けられた一対のシールバーと、を有する。前記焼結機は、焼結用の原料を積載したパレット台車が移動する領域において、前記パレット台車の下方に、移動方向に並べられた複数の風箱で構成される風箱群と、前記一対のシールバーの下面と接する位置に配置され、移動方向に延びて形成される一対のウェアーバーと、前記パレット台車の下方において、前記一対のウェアーバーをそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポートと、前記風箱群の移動方向の両端のうち少なくとも一方の端から移動方向の外方で、前記パレット台車の下方且つ前記一対のウェアーバーの間に配置され、可撓性を有するデッドプレートと、を備える。前記第1部材は、前記桁梁であり、前記第2部材は、前記デッドプレートであり、前記箱は前記風箱とすることができる。
【0027】
上記構成8によれば、焼結機において、パレット台車の桁梁とデッドプレートの間をシールするシール部材のデッドプレートに対する追随性を高めることができる。
【0028】
上記構成8において、前記シール部材は、前記桁梁の下部に取り付けられ、前記桁梁の下面より下に延びて形成されてもよい。このシール部材により、桁梁の下面とデッドプレートの上面の間のシール性をより高めることができる。
【0029】
上記構成8において、前記桁梁は、前記桁梁の下面より上で搬送方向又は搬送方向と反対方向に突出する突起を有してもよい。前記突起には、前記突起から前記桁梁の下面より下に延びて形成されるシール部材が取り付けられてもよい。
【0030】
上記構成8において、前記突起は、幅方向に連続的に延びて形成されることが好ましい。前記シール部材は、前記突起の下で、前記突起よりも搬送方向又は搬送方向と反対方向において突出しないように設けられてもよい。この突起によって、シール部材が、焼結排ガスの流れから保護される。
【0031】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0032】
(実施形態1)
図1は、本実施形態のシール装置の構成を示す側面図である。図2は、図1に示すシール装置の斜視図である。シール装置は、第1部材1と、第2部材2と、シール部材3を備える。第2部材2は、第1部材1と離間した状態で第1部材1に対して相対的に移動する。例えば、第1部材1が固定され、第2部材が動く構成でもよいし、第2部材2が固定され第1部材1が動く構成でもよい。或いは、第1部材1及び第2部材2の両方が動く構成でもよい。
【0033】
シール部材3は、第1部材に固定され1、第2部材2に接する。シール部材3と第2部材2はスライド可能に接する。第2部材2は、シール部材3と摺動する摺動面を有する。第2部材2の摺動面は、平面であっても曲面であってもよい。本例では、第2部材2は、第1部材1に対して、摺動面に平行な方向に相対移動する。
【0034】
第1部材1、第2部材2及びシール部材3は、圧力の異なる2つの空間を仕切る構成である。すなわち、圧力の異なる2つの空間H、Lの間に、第1部材1、第2部材2及びシール部材3が位置することになる。
【0035】
シール部材3は、第1部材1から延びて第2部材2に達し、さらに第2部材2に接する部分3aから湾曲して第2部材2から離れて、2つの空間のうち圧力の高い空間Hに向かって延びる。シール部材3の第2部材2と摺動する部分は、湾曲している。シール部材3の先端3bが、圧力の高い空間Hに位置する。シール部材3の先端3bは、自由端であり、他の部材に固定されない。すなわち、シール部材3の一方の端は、第1部材1に固定され、他方の端すなわち先端3bは、固定されずに、圧力の高い空間Hに位置する。この構成により、2つの空間H、Lの圧力差により、シール部材3の湾曲部が第2部材2に押し付けられる(矢印F)。そのため、シール部材3の第2部材2に対する追随性がよくなる。
【0036】
例えば、図1に示す破線Tの位置まで第2部材2が移動した後に、元の位置まで戻った場合、シール部材3は、弾性変形することにより、第2部材2に接した状態を保つことができる。すなわち、第1部材1と第2部材2の距離に応じて、シール部材3が弾性変形する。シール部材3の第2部材2と摺動する部分が湾曲しているため、変形による曲げ応力が局部に集中しにくい。そのため、シール部材3が永久変形することによる追従機能低下が起こりにくい。
【0037】
図2に示すように、シール部材3は、断面がJ型になるよう湾曲した板(シート)である。シール部材3の湾曲の内側の面が、圧力の高い空間Hに向く。シール部材3の湾曲面が、スライド可能に第2部材2に接する。シール部材3において、第2部材2と接する部分3bと第1部材1との間は、圧力の高い空間Hから低い空間Lへ向かって凸となる形状である。すなわち、圧力の高い空間Hの気体に押される方向に凸となるシール部材3の面が、第1部材1に接する。また、シール部材3の先端3bは、第2部材2から離れている。このように、シール部材3の凸の面が圧力差により第2部材2に押しつけられる構成なので、密閉性が向上する。さらに、第2部材2の摺動面の段差や凹凸にシール部材3が突っかかりにくくなる。
【0038】
シール部材3の第2部材2への接する部分3aは、直線状に延びている。本例では、シール部材3が第2部材2に接する部分3aの延びる方向に垂直な方向が、第2部材2の第1部材1に対する相対移動の方向となっている。このように、シール部材3の第2部材2に接する部分3aから湾曲する方向を、第2部材2の第1部材1に対する相対移動の方向又はその反対方向と略同じ方向することができる。これにより、追随性をより高めることができる。なお、第2部材2の第1部材1に対する相対移動の方向は、これに限定されず、シール部材3の湾曲方向に垂直な方向であってもよい。
【0039】
図1に示す例では、シール部材3は、第1部材1の突起に、締結部材4によって取り付けられる。シール部材3の第1部材1への取り付け位置及び取り付け構造は、これに限定されない。また、シール部材3は、金属又は樹脂の1枚又は2枚以上の板で形成されてもよい。或いは、シール部材3は、ワイヤーブラシを板状に並べたもの、又は、ワイヤーブラシの中に薄板を挟んで板状にしたものであってもよい。また、シール部材3の第2部材2と接する部分の表面には、溶射等を施してもよい。これにより、シール部材3の耐摩耗性を向上させることができる。
【0040】
図3は、シール部材3の変形例を示す側面図である。図3に示す例では、シール部材3は、複数の湾曲した板が重ねられて構成される。この例では、シール部材3の全体にわたって複数の板が重ね合わされている。シール部材3の複数の板のうち1つが第2部材に接する。例えば、第2部材2と接する板を耐摩耗性の高い材料としてもよい。なお、シール部材3を構成する板の材料は、特に限定されないが、ステンレス鋼等の金属、又は樹脂としてもよい。シール部材3を構成する複数の板の材料は異なっていてもよい。
【0041】
図4は、シール部材3の他の変形例を示す側面図である。図4に示す例では、シール部材3は、複数の湾曲した板が重ねられて構成される。シール部材3の一部において、複数の板が重ね合わされている。この例では、シール部材3が第2部材2に接する部分が、複数の板の重ね合わせで構成されている。これにより、シール部材3の第2部材2に接する部分は、他の部分に比べて厚みが大きくなる。
【0042】
図5は、シール部材の他の変形例を示す側面図である。図5に示す例では、シール部材3は、第1部材1に固定された板3Cと、板3Cに取り付けられた剛体3Dを有する。板3Cの一方端は、第1部材1に固定され、他方端には、剛体3Dが取り付けられる。他方端は、圧力の高い空間Hに位置する。板3Cは、弾性変形可能である。板3Cは、第1部材1から圧力の高い空間Hの方へ向かって湾曲して延びる湾曲部と、湾曲部からさらに延びる剛体3Dが取り付けられる部分とを有する。剛体3Dは、板3Cの下面に取り付けられる。剛体3Dは、板3Cの取付面と反対側に湾曲した面を有する。剛体3Dの湾曲した面が、第2部材2に接する。これにより、シール部材3は、第2部材2に接する部分3aから湾曲して第2部材2から離れて、圧力の高い空間Hに向かって延びる構成となる。また、シール部材3の先端3bは、圧力の高い空間Hに位置する。
【0043】
図5に示す例では、板3Cの弾性変形と剛体3Dの湾曲面により追随性を高め、さらに、剛体3Dによって、耐摩耗性を高めることができる。板3C及び剛体3Dの材料は、特に限定されないが、例えば、金属とすることできる。この場合、板3C及び剛体3Dを溶接により結合することができる。或いは、剛体3Dを、樹脂で形成し、接着剤又は締結部材により、板3Cに取り付けてもよい。
【0044】
図6は、シール部材の他の変形例を示す側面図である。図6に示す例では、シール部材3は、第1シール部材31と第2シール部材32を含む。第1シール部材31は、第1部材1から延びて第2部材2に達し、さらに第2部材2に接する部分31aから湾曲して第2部材2から離れて、圧力の高い空間Hに向かって延びる。第1シール部材31の先端31bは、圧力の高い方の空間Hに位置する。第2シール部材32は、第1部材1から延びて第2部材2に達し、さらに第2部材2に接する部分32aから湾曲して第2部材2から離れて、圧力の低い空間Lに向かって延びる。第2シール部材32の先端32bは、圧力の低い空間Lに位置する。図6に示す例では、シール部材3では、互いに反対向きに曲がった2枚の板が重ねて配置される。なお、3枚以上の板が重ねて配置されてもよい。
【0045】
図6に示す例では、第1部材1、第2部材及びシール部材3によって仕切られる2つの空間の圧力の高低が逆になった場合、第2シール部材32の湾曲部が、圧力差によって第2部材2に押し付けられる(矢印F2)。そのため、2つの空間の圧力の高低が逆になった場合でも、追随性がよくなる。なお、図6に示す第1シール部材31及び第2シール部材32の少なくとも一方は、上記の図3~5に示す構成のいずれかとしてもよい。
【0046】
図7は、第1シール部材31及び第2シール部材32の変形例を示す側面図である。図7に示す例では、第1部材1から、第2部材との接する部分3aまでは、第1シール部材31と第2シール部材32が共通している。第2部材との接する部分3aから、第1シール部材31と第2シール部材32が分岐している。このように、第1部材1から第2部材2までの間で、第1シール部材31及び第2シール部材32が分岐する構成であってもよい。
【0047】
例えば、第1部材1から分岐までの板と、分岐から先の第1シール部材31及び第2シール部材32を形成する板とを溶接により連結することで、図7に示すシール部材3を作製することができる。或いは、樹脂を押し出し成形することにより、図7に示すシール部材3を作製することができる。
【0048】
図7に示す例では、シール部材3は、摺動面を構成する湾曲した板材を、湾曲の中央付近で支持する構成である。これの構成により、シール部材3により区切られる2つの空間の圧力の高低が、どちらになっても、圧力差による追随性を発揮することができる。
【0049】
また、図7に示す例では、第1部材1から分岐までの板が湾曲している。このように、これにより、第1部材1から分岐までの板の変形により、シール部材3の第2部材2への追随性をより高めることができる。特に、第2部材2の摺動面に垂直な方向における第1部材1と第2部材2の距離の変動に対する追随性がよくなる。
【0050】
(焼結機)
次に、シール装置を含む焼結機の例を説明する。図8は、本実施形態における焼結機100の構成例を示す図である。焼結機100は、無端軌道Kに互いに隣接して配置される複数のパレット台車10を備える。無端軌道Kは、上の段Kuと下の段Kdを含む。無端軌道Kの上の段Kuでは、上流である給鉱側KSから下流である排鉱側HSに向かって、矢印Y1で示す方向に焼結用の原料を積載したパレット台車10が移動する。この上の段の移動方向を、y軸とする。x軸は、幅方向とし、z軸は、上下方向とする。
【0051】
本明細書においては、パレット台車において、焼結用の原料が積まれる方向が上であり、その反対方向が下である。パレット移動方向は、パレット台車が軌道上を移動するときのパレット台車の進行方向である。幅方向は、パレット移動方向及び上下方向に直交する方向とする。
【0052】
無端軌道Kの上の段Kuの上方には、上流から順に、床敷鉱ホッパ31、給鉱ホッパ32、及び点火炉33が配置される。床敷鉱ホッパ31は、比較的粗い粉鉱石をパレット台車10に投入する。床敷鉱ホッパ31から投入された鉄鉱石は、パレット台車10の原料収容部の底(床)となる火格子を覆う。給鉱ホッパ32は、比較的細かい粉鉱石をパレット台車10に投入する。投入される粉鉱石にはコークスが混ぜられている。点火炉33は、パレット台車10に収納された焼結鉱原料の表面に点火する。点火により、パレット台車10の焼結原料の上層部から燃焼が開始する。パレット台車10が、上の段Kuの下流の端に達するまでに、燃焼は、パレット台車10の焼結原料の最下層まで達する。上の段Kuの下流の端において、パレット台車10は反転して、排鉱する。
【0053】
無端軌道Kの上の段Kuのパレット台車10の下方には、複数の風箱21が配置される。複数の風箱21により風箱群(a group of wind boxes)が構成される。複数の風箱21は、パレット台車10の移動方向に並んで配置される。すなわち、複数の風箱21は、焼結用の原料を積載したパレット台車が移動する領域に設けられる。複数の風箱21内の空間は、互いにつながっており、大気から遮断されている。複数の風箱21の各々には、管25、26が接続される。風箱21内の空間は、管25、26を通じて、誘引排風機27につながっている。
【0054】
複数の風箱21で構成される風箱群のパレット移動方向における上流の端及び下流の端には、デッドプレート17が配置される。デッドプレート17は、箱の上面を構成する。デッドプレート17は、複数の風箱21で構成される風箱群のパレット移動方向の端から外方に延びる板状部材である。デッドプレート17は、は、風箱群のパレット移動方向の端部の上面を形成する板である。デッドプレート17の幅方向における寸法は、風箱群のパレット移動方向の端における開口の幅方向の寸法と同じか又はより長い。すなわち、デッドプレート17は、風箱群の内部空間のパレット移動方向の端における幅方向の両端の間を覆うように、幅方向に延びて形成される。風箱群の両端に設けられた一対のデッドプレート17の間の開口が、風箱21の開口となる。デッドプレート17は、デッドプレート17の上を通るパレット台車10の下面と接触する。すなわち、デッドプレート17の上を通るパレット台車10は、下面をデッドプレート17に接触させた状態で、移動する。これにより、風箱群のパレット移動方向の端部がシールされる。デッドプレート17のパレット移動方向の寸法は、例えば、パレット台車10のパレット移動方向の寸法より大きくすることができる。
【0055】
図9は、図8に示す焼結機100の複数の風箱21で構成される風箱群の排鉱側HKの端部付近の斜視図である。図9に示すように、無端軌道の上の段には、パレット台車10の下方において、パレット移動方向に沿って延びる一対のウェアーバー13が配置される。一対のウェアーバー13は、幅方向に離間している。一対のウェアーバー13の間の幅方向の長さは、風箱21の上部の開口の幅方向の寸法と略同じである。ウェアーバー13は、パレット台車10の下面に取り付けられたシールバー(後述)と接する位置に配置される。
【0056】
ウェアーバー13は、ウェアーバーサポート12によって、支持される。ウェアーバーサポート12は、ウェアーバー13を載せる台板と、台板を支持する上下方向に延びる支持部と、支持部の下部を支持する底部とを含む。ウェアーバーサポート12の支持部は、移動方向に延び、風箱群の密閉空間の側壁の一部となる。
【0057】
デッドプレート17は、一対のウェアーバー13の間に位置する。本例では、デッドプレート17の幅方向の両端と、一対のウェアーバー13との相対位置は、固定されている。デッドプレート17はウェアーバー13に支持されてもよいし、ウェアーバーサポート12に支持されていてもよい。デッドプレート17の幅方向の両端は、一対のウェアーバー13に接している。デッドプレート17は、可撓性を有する。そのため、デッドプレート17の両端の間の部分は、上下方向に変位するよう弾性変形が可能である。
【0058】
一例として、デッドプレート17の上面の高さは、ウェアーバー13の上面の高さと略同じとすることができる。デッドプレート17のパレット移動方向の上流の端には、複数の案内板18が設けられる。複数の案内板18は、幅方向に並んで配置される。それぞれの案内板18は、デッドプレート17の端からパレット移動方向と反対方向に向かって突出する。案内板18は、デッドプレート17からパレット移動方向と反対方向に向かって斜め下に延びる。デッドプレート17上に進入するパレット台車10の下面は、案内板18の斜面に沿ってデッドプレート17の上に案内される。パレット台車10の下面がデッドプレート17の上面より低い場合、パレット台車10の下面は、進入時に、案内板18に当接してパレット移動方向に進み、デッドプレート17の上に導かれる。なお、案内板18は、省略してもよい。
【0059】
図10は、デッドプレート17の上を通るパレット台車10を幅方向から見た側面図である。パレット台車10は、パレットフレーム20と、パレットフレーム20の上に取り付けられた側板61を有する。パレットフレーム20は、パレット台車10のパレット移動方向に複数並んで配置される複数の桁梁20a、20b、20cを有する。パレット移動方向に並ぶ2つの桁梁20aの上にグレートバー8が、架けわたされる。
【0060】
1台のパレット台車10における複数の桁梁20a、20b、20cのうち、パレット移動方向の両端の桁梁20a、20c以外の桁梁20bに、シール部材3が設けられる。シール部材3は、桁梁20bがデッドプレート17の上を通る時に、デッドプレート17の上面にスライド可能に接する。桁梁20bは、上記の第1部材1に相当する。デッドプレート17は、上記の第2部材2に相当する。シール部材3の構成の詳細については後述する。
【0061】
図10に示すように、複数の桁梁20a、20b、20cのうち、パレット移動方向の最も前の桁梁20aには、シール部材を設けないようにすることができる。これにより、パレット台車10が、デッドプレート17の上に進入する際に、最も前の桁梁20aがデッドプレート17に突っ掛かりにくくなる。また、複数の桁梁20a、20b、20cのうち、パレット移動方向の最も後ろの桁梁20aに、シール部材を設けないようにすることができる。これにより、パレット台車10の前後を反転させ、進行方向を逆にして用いた場合に、同様の効果が得られる。
【0062】
図11は、図10におけるXI-XI線の断面図である。パレット台車10において、一対の側板61は、パレットフレーム20の幅方向の両端部に配置される。一対の側板61は、パレットフレーム20の上面に取り付けられる。一対の側板61は、パレットフレーム20から上方に延びる。一対の側板61の間のパレットフレーム20に複数のグレートバー8が配置される。パレットフレーム20は、桁梁20aの両端を支持する一対のサイドフレーム20bを有する。桁梁20bは、一対のサイドフレーム20bの間で幅方向に延びて形成される。複数のグレートバー8は、桁梁20aの上に配置される。複数のグレートバー8は、火格子を構成する。パレットフレーム20の幅方向の両端部には、一対の車輪7が回転可能に取り付けられる。一対の車輪7の車軸7aは、幅方向に延びる。焼結用の原料は、火格子上に積載される。すなわち、複数のグレートバー8の火格子と一対の側板1で囲まれる空間に焼結用の原料が収納される。
【0063】
車輪7は、パレット移動方向に延びるレール11の上を転がる。レール11の内側には、パレット移動方向に延びる一対のウェアーバー13と、一対のウェアーバー13をそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポート12が配置される。ウェアーバー13及びウェアーバーサポート12は、パレット台車10の下方に配置される。パレットフレーム20の下面には、2つの凹部20Fが形成される。凹部20Fは、パレット移動方向に延びる。2つの凹部20Fは、幅方向に離間している。2つの凹部20Fのそれぞれに、パレット移動方向に延びる一対のシールバー40が挿入される。一対のシールバー40の各々は、パレットフレーム20に対して上下方向の可動な状態で取り付けられる。パレット台車10が原料を積載して移動する時には、シールバー40の下面がウェアーバー13の上面に接した状態で、シールバー40がウェアーバー13に対してパレット移動方向に相対移動する。すなわち、シールバー40はウェアーバー13に対して摺動する。
【0064】
パレット台車10の下方には、複数の風箱21が配置される。複数の風箱21は、パレット移動方向すなわちy方向に並んで配置される。パレット台車のグレートバー8の下方であって、一対のシールバー40、一対のウェアーバー13、及び一対のウェアーバーサポート12の間の空間は、風箱21内の空間と繋がっている。風箱21内のガスは、誘引排風機27によって吸引される。風箱21内の空間は、管25、26を通じて誘引排風機27に繋がっている。風箱21内には負圧が生じる。すなわち、グレートバー8と、一対のシールバー40、一対のウェアーバー13、一対のウェアーバーサポート12で囲まれる空間は負圧となる。これにより、原料中のガスはグレートバー8の火格子を通って風箱21に吸引され、原料の上方の大気が原料の中に取り込まれる。
【0065】
図10に示すように、焼結機100は、デッドプレートの幅方向の中央部を下方から押し上げる押し上げ装置41を備える。押し上げ装置41は、重錘45と、重錘45の重力を、デッドプレート17の下面に伝えるリンク42を備える。リンク42は、幅方向に延びる軸44を中心として回転可能に支持される。リンク42の一方端には押圧部材43が幅方向の軸を中心として回転可能に取り付けられる。リンク42の他方端には、重錘45がつり下げられる。押圧部材43は、デッドプレート17の幅方向の両端の間の中央部の下面に接する。この構成により、重錘45の重力が、押圧部材43に伝わり、押圧部材43が、デッドプレート17の幅方向の中央部の下面を下から押す。2台の押し上げ装置41が、パレット移動方向に並んで配置される。これにより、デッドプレート17のパレット移動方向に離間した2箇所が、押し上げ装置41によって下から押し上げられる。
【0066】
なお、押し上げ装置41の構成は、図4に示す構成に限られない。例えば、押し上げ装置41は、スプリングの弾性力によって、デッドプレート17を押し上げる構成であってもよい。この場合、押し上げ装置41は、スプリングと、スプリングの弾性力を、デッドプレート17を下から押す力として伝える伝達部材とを備えることができる。
【0067】
図10に示す例では、案内板18は、デッドプレート17のパレット移動方向の両端、すなわち、パレット移動方向の上流の端と、下流の端の両方に設けられる。上流の端の案内版18uは、デッドプレート17のパレット移動方向の上流の端から、パレット移動方向の反対方向へ向かって、斜め下方向に延びる。下流の端の案内板18dは、デッドプレート17のパレット移動方向の下流の端から、パレット移動方向へ向かって、斜め下方向に延びる。このように、デッドプレート17のパレット移動方向の両端に案内板18を設けることで、焼結機の修理等のためにパレット移動方向とは逆方向にパレット台車を走行させる場合でも、パレット台車がデッドプレート17に突っ掛かりにくくできる。
【0068】
図10に示す例では、デッドプレート17の下面に、下方に向かって延びる板材15が設けられる。板材15は、デッドプレート17に密着して固定される。図11に示すように、短冊状の複数の板材15が、幅方向に並んで配置される。これにより、デッドプレートの幅方向の撓みを妨げない。
【0069】
再び、図10を参照し、板材15の下部は、風箱21の端面部材22に摺動可能に接触している。端面部材22は、風箱群のパレット移動方向の端部に設けられる。端面部材22は、風箱群のパレット移動方向の端面を形成する。端面部材22は、上下方向及び幅方向に延びる板状部材である。端面部材22の下端は、風箱21に密着して固定される。端面部材22の幅方向の両端は、ウェアーバーサポート12に密着して固定される。板材15は、端面部材22の外側の面すなわち大気側の面に接する。デッドプレート17から板材15の表面を通り、端面部材22に至るまでの領域を覆うシート部材16が設けられる。シート部材16は、風箱21の外側すなわち大気側に設けられる。シート部材16は、端面部材22の幅方向全体にわたって設けられる。シート部材16は、板材15と端面部材22の摺動面とその周囲を含む領域を外側から覆う。シート部材16は、例えば、粘性のあるペースト状の物質を塗りこんだ布状部材としてもよい。板材15、端面部材22及びシート部材16は、風箱群のパレット移動方向の端面において、風箱21とデッドプレート17の間を空気が通らないよう遮断する。
【0070】
本実施形態では、デッドプレート17の両端が、ウェア-バーに対して固定されている。これに対して、デッドプレート17をウェア-バーに対して上下可動に構成することもできる。
【0071】
図12は、デッドプレート17の上を通るパレット台車10の桁梁20bの部分の断面図である。図12は、幅方向に垂直な面の断面図である。図12に示す例では、デッドプレート17は、母材17aとライナー17bを含む。このように、デッドプレート17は、複数の層で形成することができる。なお、デッドプレートは、例えば、母材とライナー以外に他の層を含む複数の層で形成されてもよいし、1つの層で形成されてもよい。
【0072】
図12に示すように、桁梁20bに、桁梁20bの下面20gより下に延びて形成されるシール部材3が、取り付けられる。シール部材3は、第1シール部材31及び第2シール部材32(以下、特に区別しない場合は、シール部材31、32と称する)を含む。
【0073】
図12に示す例では、桁梁20bは、下部にフランジ20hを有する。桁梁20bのフランジ20hのパレット移動方向の長さは、桁梁20bのフランジ20hに隣接する部分よりも広くなっている。フランジ20hは、パレット移動方向に突出する突起20iと、パレット移動方向と反対方向に突出する突起20jが形成されている。突起20i、20jは、桁梁2aの下面2eより上に形成される。突起20i、20jは、フランジ20fのパレット移動方向の端面に設けられる。
【0074】
シール部材31、32は、突起20i、20jの下の面に取り付けられる。シール部材31、32は、突起20i、20jの下の面から内側へ延びて下方に折れ曲がり、桁梁20bの下面20gより下まで延びて形成される。シール部材31、32の一端部は、突起20i、20jに取り付けられ、他端部は、自由端となっている。シール部材31、32は板状のシートとすることができる。シール部材31、32は、湾曲した状態で、桁梁20bに取り付けられる。また、突起20i、20j及びシール部材31、32は、桁梁20bの幅方向の全域にわたって形成されてもよい。
【0075】
パレット台車10がデッドプレート17の上を通る時、シール部材31、32は、デッドプレート17に接する。シール部材31、32は、デッドプレート17と桁梁2aとの間の隙間を塞ぐ。これにより、漏風がより抑えられる。
【0076】
シール部材31、32は、可撓性を有する。すなわち、そのため、シール部材31、32は、弾性変形可能である。例えば、シール部材31、32は、デッドプレート17に下から押されて、シール部材31、32全体が、桁梁20bの下面20gより上に引っ込んだ状態になるような弾性変形も可能である。これにより、デッドプレート17と桁梁20bの下面20gとの距離T1が略0mmになった場合に、シール部材31、32が、桁梁20bの下面20gより上に引っ込み、距離T1が0mmでない時には、下面20gから下方へ延びてデッドプレート17に接することができる。
【0077】
第1シール部材31と、第2シール部材32は、桁梁20b(第1部材)からデッドプレート17(第2部材)に向かって延びてさらに湾曲する。この湾曲する方向が、第1シール部材31と、第2シール部材32とでは、互いに逆方向になっている。第1シール部材31は、桁梁20bから下方に延び、パレット移動方向と反対方向に湾曲する。第2シール部材32は、桁梁20bから下方に延び、パレット移動方向に湾曲する。このように、互いに反対方向に湾曲する2つのシール部材31、32を、1台のパレット台車の桁梁2bに設けることができる。これにより、パレット台車10が、給鉱側のデッドプレート17の上を通る場合と、排鉱側のデッドプレート17の上を通る場合のいずれの場合も、風箱21と大気の圧力差により、第1シール部材31又は第2シール部材32の湾曲部がデッドプレート17へ押し付けられる。すなわち、いずれも場合も、圧力差によりシール部材のデッドプレートへの追随性を高めることができる。
【0078】
給鉱側のデッドプレート17は、パレット台車10が風箱群の上部の軌道へ入る場所のデッドプレートである。この場合、第1シール部材31が、デッドプレート17に接する部分から湾曲して、圧力の高い空間Hに向かって延びる構成となる、排鉱側のデッドプレート17は、パレット台車10が風箱群の上部の軌道から出る場所のデッドプレート17である。この場合、第2シール部材32が、デッドプレート17に接する部分から湾曲して、圧力の高い空間Hに向かって延びる構成となる。
【0079】
図12に示す例では、1つの桁梁20bに2つのシール部材が設けられる。これに対して、1つの桁梁20bに、1つのシール部材が設けられてもよい。例えば、パレット移動方向に突出する突起20iにシール部材を設け、パレット移動方向の反対側に突出する突起20jにはシール部材を設けない又はそのような突起20j自体を設けない構成であってもよい。逆に、パレット移動方向と反対方向に突出する突起20jにシール部材を設け、パレット移動方向に突出する突起20iにはシール部材を設けない又はそのような突起20i自体を設けない構成であってもよい。また、シール部材3の構成は、図12に示す例に限られない。シール部材3の構成として、例えば、上記図1図7のいずれかの構成を採用することができる。
【0080】
図12に示す例では、シール部材31、32は、焼結排ガスの流れる方向に対して、突起20i、20jの影に位置するように設けられる。これにより、シール部材31、32に、焼結排ガスに含まれるダストが衝突しにくくなる。
【0081】
本実施形態では、無端軌道を移動する複数のパレット台車10のそれぞれにシール部材3が設けられる。これにより、デッドプレート17にシール部材を設ける場合に比べて、シール部材の摩耗の速度が遅くなる。すなわち、シール部材3の寿命が長くなる。
【0082】
(熱処理炉)
次に、シール装置を含む熱処理炉の例を説明する。図13は、熱処理炉の構成例を示す断面図である。図14は、図13に示す開口71Aを含む部分を、矢印Aの方向から見た側面図である。図13に示す例では、熱処理炉71Aは、被熱処理材である板材72を通すための開口71Aを有する。開口71Aは、板材を炉に入れるための開口71Aと、炉から出すための開口71Aを含む。熱処理炉71Aの炉内は、バーナー72により加熱される。熱処理炉71Aの炉内のガスは、排気口73から排気される。排気口には、例えば、炉内のガスを誘引する誘引ファン(図示せず)に接続されてもよい。炉内の圧力は、炉外の圧力(大気圧)より低くなる。
【0083】
熱処理炉71の開口71Aには、シール部材3が設けられる。シール部材3は、開口71Aの縁から延び、開口71Aを通る板材72に達し、板材72に接する部分から湾曲して板材72から離れ、炉の外、すなわち圧力の高い方へ向かって延びる。シール部材3の先端は、炉外に位置する。シール部材3は、熱処理炉71の、入り口及び出口のシールとなる。
【0084】
シール部材3は、開口71Aの対向する2辺の縁(図13の例では上縁及び下縁)の両方に設けられる。一方の縁(例えば、上縁)のシール部材3は、一方の縁から他方の縁へ向かって延びて湾曲しさらに圧力の高い空間(例えば、炉の外)へ延びる。他方の縁(例えば、下縁)のシール部材3は、他方の縁から一方の縁へ向かって延びて湾曲しさらに圧力の高い空間(例えば、炉の外)へ延びる。一方の縁のシール部材3の湾曲部と、他方の縁のシール部材3の湾曲部との間に、開口71Aを通る板材72が挿入される。
【0085】
シール部材3の構成としては、例えば、上記図1図7のいずれかの構成を採用することができる。なお、シール部材3の板材72と摺動する湾曲面には、フェルトなどの緩衝材を貼っても良い。これにより、シール部材3が板材72とこすれることによる板材72の傷の生成を防ぐことができる。
【0086】
被熱処理材である板材72は、例えば、鋼板であってもよい。鋼板を加熱、焼鈍する場合、例えば、600℃付近まで加熱し、冷却することがある。炉内は僅かな負圧にしてある。そのため、燃焼排ガスや高温雰囲気ガスが、板材72の出入り口である開口71Aから大気側に漏れ出ないように運転される。開口71Aに隙間があると、酸素含有冷風が入り込む。その結果、炉内が冷えたり、鋼板が酸化したりする場合がある。そこで、開口71Aのシールを強化し漏風の侵入を防ぐことが好ましい。様々な板圧を持つ鋼板が、被熱処理材となり得る。しかし、開口71Aの寸法は、板材72のサイズが変わる度に変えることはできない。そのため、従来は、板材72のサイズに応じて、シール材の位置を調整する必要があった。
【0087】
上記構成のシール部材3を用いることによって、板材72の板厚が変化しても、その許容範囲内であれば、シール部材の位置調整をせずにすむ。すなわち、シール部材の調整をしなくても、様々なサイズの鋼板の熱処理作業に入ることができる。
【0088】
(ケレン、塗装設備)
図13及び図14に示す構成は、熱処理炉以外にも適用することができる。例えば、サンドブラスト等の板材の表面に粒子を吹き付けて研磨するするケレン装置も、図13及び図14と同様の構成とすることができる。この場合、ケレン装置は、例えば、図13に構成において、熱処理炉71を、フード71に、バーナー72を、砂等の研磨材を噴射するノズル72に置き換えた構成となる。
【0089】
鋼板の表面のさびを落とす作業として、サンドブラストによるさび落としが一般的である。サンドブラストでは、砂を大量に空気輸送してノズルを介して噴射し、鋼板表面に衝突させる。ブラストのサンド(砂)や粉塵が飛散するのを防ぐため、フードで箱状に密閉した中でサンドブラストは行われる。板材72を通すフード71の入り口と出口、すなわちフード71の開口71Aから砂や粉塵が噴出するのを防止することが好ましい。そのため、フード71内は、サンドの輸送空気量より多い量を排気し、フード内を負圧にしている。しかし、サンドは、粒子のため、侵入空気に逆らって、開口71Aの隙間から外に飛び出てしまう場合がある。これを防止するため、シール材を取り付けることが望まれる。
【0090】
本実施形態によれば、フード71の開口71Aのシール部材として、板厚変化に追従可能で耐摩耗性も高い物理的なシール部材を提供できる。例えば、フード71の開口71Aへの板材72の差し込み時も、サンドが開口71Aから噴出するのが防止できる。そのため、連続してサンドブラスト作業を継続しながら、開口71Aに板材72を通すことができる。また、一方の縁のシール部材3と他方の縁のシール部材3の間に板材71が挿入されていない状態では、これら2つのシール部材3の湾曲部が互いに接するようシール部材3の自由長を設定しておくことができる。これにより、板材72が完全にフード71内に入った状態の時等、板材72が、開口72Aを通らない時に、開口71Aを閉鎖することができる。
【0091】
サンドブラスト等により鋼板を下地処理した後、すぐに塗装工程に入る。塗装の場合、塗料をエアー等にて微細な液滴にして鋼板表面に吹き付けて塗膜を形成せしめる。この塗装のための塗装装置も、図13及び図14と同様の構成とすることができる。この場合、塗装装置は、例えば、図13に構成において、熱処理炉71を、フード71に、バーナー72を、塗料を噴射するノズル72に置き換えた構成となる。この場合も、サンドブラストと同様に、シール部材3により、空気に浮遊する微細な塗料の液滴が、開口71Aから噴出するのを防ぐことができる。すなわち、板材72を開口71Aに通す際に、塗料粉塵の吹き出しもなく、環境汚染を防ぎながら、塗装作業を継続できる。
【0092】
図13に示す例は、容器内の圧力が容器の外の圧力より低い場合の例である。図15は、容器内の圧力が容器の外の圧力より高い場合の例を示す断面図である。図15に示す例では、シール部材3は、開口71Aの縁から延び、開口71Aを通る板材72に達し、板材72に接する部分から湾曲して板材72から離れ、容器71の内部、すなわち圧力の高い空間へ向かって延びる。シール部材3の先端は、圧力の高い空間に位置する。
【0093】
(連続式焼成窯)
次に、シール装置を含む連続式焼成窯の例を説明する。図16は、焼成窯の構成例を示す断面図である。図17は、図16に示す開口71Aを含む部分を、矢印Aの方向から見た側面図である。焼成窯71は、焼成対象物を通す開口71Aと、窯内を加熱するバーナー72と、窯内のガスを排出する排気口73を有する。また、焼成対象物を載せて移動させるコンベアである耐熱チェーン84が、開口71Aを通って窯の外から内にかけて配置される。耐熱チェーン84は、例えば、セラミックチェーンである。窯内は、負圧で運転される。
【0094】
焼成窯71の開口71Aには、シール部材3が設けられる。シール部材3は、開口71Aの縁から延び、開口71Aを通る焼成対象物82又は耐熱チェーン83に達し、焼成対象物82又は耐熱チェーン83に接する部分から湾曲して焼成対象物82又は耐熱チェーン83から離れ、窯の外、すなわち圧力の高い空間へ向かって延びる。シール部材3の先端は、圧力の高い空間に位置する。シール部材3は、焼成窯71の、入り口及び出口のシールとなる。
【0095】
シール部材3は、開口71Aの対向する2辺の縁(図17の例では上縁及び下縁)の両方と、さらに別の対向する2辺の縁(図17の例では、左縁と右縁)の両方に設けられる。対向する2辺のうち一方の縁のシール部材3は、一方の縁から他方の縁へ向かって延びて湾曲しさらに圧力の高い空間へ延びる。他方の縁のシール部材3は、他方の縁から一方の縁へ向かって延びて湾曲しさらに圧力の高い空間(例えば、炉の外)へ延びる。一方の縁のシール部材3の湾曲部と、他方の縁のシール部材3の湾曲部との間に、開口71Aを通る焼成対象物82及び耐熱チェーン83が挿入される。シール部材3の構成としては、例えば、上記図1図7のいずれかの構成を採用することができる。
【0096】
焼成物は、例えば、成形煉瓦等であってもよい。成形煉瓦を焼成する連続焼成窯においては、焼成前の成形煉瓦を耐熱チェーン上に載せ、数十メートルの細長い高温の焼成窯に連続して搬入し、搬出する。この際、焼成窯の煉瓦の入り口、及び、出口における外気のシールが十分であればあるほど、窯内の高温の領域が長くなる。従来、焼成窯の煉瓦の出入り口から窯内に漏風が入っていた。漏風により大気が窯内に侵入するため、数メートルにわたって窯内温度が低いゾーンが形成されていた。
【0097】
本実施形態のシール部材3によれば、開口71Aを通る焼成対象物と耐熱チェーンを含めた搬送物の周囲にシール板材3を当て、摺動させることができる。これにより、窯内の温度低下を少なくできる。その結果、燃料の使用量を削減できる。
【0098】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1:第1部材
2:第2部材
3:シール部材
31:第1シール部材
32:第2シール部材
図1
図2
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