IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ゼンリンデータコムの特許一覧

特許7296074携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム
<>
  • 特許-携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム 図1
  • 特許-携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム 図2
  • 特許-携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム 図3
  • 特許-携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム 図4
  • 特許-携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム 図5
  • 特許-携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム 図6
  • 特許-携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム 図7
  • 特許-携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】携帯端末、測位間隔調整システム、測位間隔調整方法及び測位間隔調整プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/133 20060101AFI20230615BHJP
   G01S 19/34 20100101ALI20230615BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230615BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20230615BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20230615BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
G08G1/133
G01S19/34
G08G1/09 F
G01C21/26 A
G09B29/00 A
G09B29/10 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019124291
(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公開番号】P2021009643
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】河合 真諭
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-63587(JP,A)
【文献】特開2008-122092(JP,A)
【文献】特開2005-156308(JP,A)
【文献】特開2005-348367(JP,A)
【文献】特開2011-171920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G01C 21/00 - 21/36
G09B 29/00 - 29/14
G01S 19/00 - 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機の現在位置を測位する現在位置測位手段と、
自機の移動速度を取得する速度取得手段と、
前記速度取得手段で取得された移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された前記測位間隔ごとに、前記現在位置測位手段で測位を行うように制御する制御手段と、
自機の進行方向に存在する、現在位置を測位すべきエリアとして設定された測位エリアの位置を取得する取得手段と、
直前の現在位置の測位位置が、前記測位エリア内か否かを判別する判別手段と、
前記判別手段で、直前の現在位置の前記測位位置が、前記測位エリア内ではないと判別された場合に、前記設定手段で設定された前記測位間隔で、次に現在位置を測位する次測位位置を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定された前記次測位位置が、最初に到達すべき前記測位エリアを越えてしまう場合に、前記次測位位置が前記測位エリア内になるように前記測位間隔を調整する調整手段と
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末であって、
前記現在位置測位手段での測位時間間隔を特定する時間情報を提供する提供手段と、
前記現在位置測位手段で測位された現在位置を測位情報として時系列順に記憶手段に記録する記録処理手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記測位情報に基づいて、自機の前記進行方向を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯端末であって、
駆動電力を供給するバッテリーの残量を取得する残量取得手段を備え、
前記設定手段は、前記残量取得手段で取得されたバッテリー残量と、前記速度取得手段で取得された移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯端末であって、
前記調整手段は、前記取得手段で取得された前記測位エリア内に、仮想的な測位位置を設定し、設定した前記仮想的な測位位置において、現在位置の測位ができるように測位間隔を調整する
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項5】
携帯端末とサーバ装置とがネットワークを通じて接続されて構成される現在位置の測位間隔調整システムであって、
前記携帯端末は、
自機の現在位置を測位する現在位置測位手段と、
前記現在位置測位手段で測位された前記現在位置を前記サーバ装置に送信する現在位置送信手段と、
前記サーバ装置から送信されて来る測位間隔調整指示を受信する調整指示受信手段と、
前記受信手段で受信された前記測位間隔調整指示に基づいて、測位間隔を調整し、当該測位間隔ごとに前記現在位置測位手段で測位を行うように制御する制御手段と
を備え、
前記サーバ装置は、
前記携帯端末から送信されて来る前記現在位置を受信する現在位置受信手段と、
前記携帯端末の移動速度を取得する速度取得手段と、
前記速度取得手段で取得された移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する設定手段と、
前記携帯端末の進行方向に存在する、現在位置を測位すべきエリアとして設定された測位エリアの位置を取得する取得手段と、
直前の現在位置の測位位置が、前記測位エリア内か否かを判別する判別手段と、
前記判別手段で、直前の現在位置の前記測位位置が、前記測位エリア内ではないと判別された場合に、前記設定手段で設定された前記測位間隔で、次に現在位置を測位する次測位位置を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定された前記次測位位置が、最初に到達すべき前記測位エリアを越えてしまう場合に、前記次測位位置が前記測位エリア内になるように前記測位間隔を調整する測位間隔調整指示を形成する調整手段と、
前記調整手段で形成された前記測位間隔調整指示を前記携帯端末に送信する調整指示送信手段と
を備えることを特徴とする測位間隔調整システム。
【請求項6】
自機の現在位置を測位する現在位置測位手段と、前記現在位置測位手段での測位時間間隔を特定する時間情報を提供する提供手段とを備えた携帯端末で用いられる現在位置の測位間隔調整方法であって、
速度取得手段が、自機の移動速度を取得する速度取得工程と、
設定手段が、前記速度取得工程で取得した移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する設定工程と、
制御手段が、前記設定工程で設定した前記測位間隔ごとに、前記現在位置測位手段で測位を行うように制御する制御工程と、
取得手段が、自機の進行方向に存在する、現在位置を測位すべきエリアとして設定された測位エリアの位置を取得する取得工程と、
判別手段により、直前の現在位置の測位位置が、前記測位エリア内か否かを判別する判別工程と、
前記判別工程において、直前の現在位置の前記測位位置が、前記測位エリア内ではないと判別された場合に、特定手段が、前記設定工程で設定した前記測位間隔で、次に現在位置を測位する次測位位置を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定した前記次測位位置が、最初に到達すべき前記測位エリアを越えてしまう場合に、調整手段が、前記次測位位置が前記測位エリア内になるように前記測位間隔を調整する調整工程と
を有することを特徴とする現在位置の測位間隔調整方法。
【請求項7】
自機の現在位置を測位する現在位置測位手段と、前記現在位置測位手段での測位時間間隔を特定する時間情報を提供する提供手段とを備えた携帯端末に搭載されているコンピュータで実行される現在位置の測位間隔調整プログラムであって、
自機の移動速度を取得する速度取得ステップと、
前記速度取得ステップで取得した移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する設定ステップと、
前記設定ステップで設定した前記測位間隔ごとに、前記現在位置測位手段で測位を行うように制御する制御ステップと、
自機の進行方向に存在する、現在位置を測位すべきエリアとして設定された測位エリアの位置を取得する取得ステップと、
直前の現在位置の測位位置が、前記測位エリア内か否かを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて、直前の現在位置の前記測位位置が、前記測位エリア内ではないと判別された場合に、前記設定ステップで設定した前記測位間隔で、次に現在位置を測位する次測位位置を特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定した前記次測位位置が、最初に到達すべき前記測位エリアを越えてしまう場合に、前記測位エリア内になるように前記測位間隔を調整する調整ステップと
を実行することを特徴とする現在位置の測位間隔調整プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、GPS(Global Positioning System)などの現在位置測位機能を備え、現在位置の測位間隔の調整を可能にする携帯端末、システム、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末やタブレットPC(Personal Computer)などと呼ばれる携帯型の情報端末装置(以下、携帯端末と記載する)が普及してきている。近年においては、これらの携帯端末を用いて例えば自動車用のナビゲーションサービス(経路案内サービス)の提供を受けることができるようになってきている。携帯端末を用いたナビゲーションサービスは、経路探索はインターネット上のサーバ装置で行い、必要な地図データや道路ネットワークデータの提供もサーバ装置から提供を受けて、経路案内は携帯端末を通じてユーザに対して行うものである。
【0003】
携帯端末は、これに搭載されているバッテリーからの電力により動作するが、当該バッテリーの容量も限られているため、消費電力を削減する必要がある。このため、後に記す特許文献1には、移動速度に応じて、現在位置を測位する時間間隔を調整することができる測位時間間隔調整装置に関する発明が開示されている。特許文献1には、移動端末装置の移動速度が高いほど、移動端末装置の位置を測位すべき時間間隔を長い時間間隔に設定することが開示されている。これにより、頻繁な現在位置の測位処理を抑制し、消費電力の削減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-171920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末を用いて高速道路上でナビゲーションサービスの提供を受ける場合には、当該携帯端末が持ち込まれた自動車が、高速道路を走行しているということを正確に判別する必要がある。高速道路を走行しているにもかかわらず、一般道を走行していると誤判別された場合には、間違った経路案内が行われてしまう。高速道路を走行している場合には、目的地に応じた高速道路の出口の案内、サービスエリアやパーキングエリアの案内など、高速道路でのみ提供すべき案内を適切に行えなければならない。
【0006】
このため、高速道路については、インターチェンジなどの測位ポイントを設定すると共に、この測位ポイントの周辺にジオフェンス領域(測位エリア)を設定し、これらの情報を、例えば地図データが備えるようになっている。高速道路において携帯端末は、設定されたジオフェンス領域内で現在位置を測位し、測位した現在位置と当該ジオフェンス領域に設定された測位ポイントとに基づいて、自車位置が高速道路上にあるか否かを特定している。
【0007】
しかしながら、上述したように、携帯端末の消費電力の削減のために、現在位置の測位間隔を長くしている場合には、設定されたジオフェンス領域内において、現在位置を測位できなくなる場合がある。この場合には、携帯端末が持ち込まれた自車位置が、高速道路上にあるか否かを正確に判別できないために、適切な経路案内を行うことができなくなる可能性がある。しかし、現在位置の測位間隔を短くしたのでは、消費電力が増大し、長時間の経路案内を実現できない。
【0008】
以上のことに鑑みこの発明は、現在位置の測位機能を備えた携帯端末において、当該測位機能を高速道路上において利用する場合に、消費電力の削減を実現しつつ、高速道路上に位置しているか否かの判別を適切に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の携帯端末は、
自機の現在位置を測位する現在位置測位手段と、
自機の移動速度を取得する速度取得手段と、
前記速度取得手段で取得された移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する設定手段と、
前記設定手段で設定された前記測位間隔ごとに、前記現在位置測位手段で測位を行うように制御する制御手段と、
自機の進行方向に存在する、現在位置を測位すべきエリアとして設定された測位エリアの位置を取得する取得手段と、
直前の現在位置の測位位置が、前記測位エリア内か否かを判別する判別手段と、
前記判別手段で、直前の現在位置の前記測位位置が、前記測位エリア内ではないと判別された場合に、前記設定手段で設定された前記測位間隔で、次に現在位置を測位する次測位位置を特定する特定手段と、
前記特定手段で特定された前記次測位位置が、最初に到達すべき前記測位エリアを越えてしまう場合に、前記次測位位置が前記測位エリア内になるように前記測位間隔を調整する調整手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、現在位置の測位機能を備えた携帯端末において、当該測位機能を高速道路上において利用する場合に、消費電力の削減を実現しつつ、高速道路上に位置しているか否かの判別を適切に行うことができる。これにより、高速道路上においてのみ提供すべきサービスを適切に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態の携帯端末の構成例を説明するためのブロック図である。
図2】測位間隔テーブルの例を説明するための図である。
図3】現在位置テーブルの例を説明するための図である。
図4】現在位置の測位間隔の調整処理について説明するための図
図5】現在位置の測位間隔の調整処理の具体例について説明するための図
図6】現在位置の測位間隔を調整するための測位設定変更処理の実行タイミングを説明するための図である。
図7】現在位置の測位間隔を調整するための測位設定変更処理を説明するためのフローチャートである。
図8図7に続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[携帯端末の構成例]
図1は、この実施の形態の携帯端末1の構成例を説明するためのブロック図である。図1に示す携帯端末1は、この発明の携帯端末の一実施の形態が適用されたものであり、スマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末やタブレットPCなどと呼ばれるものである。すなわち、携帯端末1は、通信機能を備え、使用者(ユーザ)によって持ち運ばれて使用されるものである。また、携帯端末1は、GPS機能を備えており、自動車に持ち込まれた場合には、所定のサーバ装置と協働することにより、自動車用のナビゲーションサービスの利用ができる。
【0013】
なお、所定のサーバ装置は、通信機能を備えたコンピュータ装置であり、地図データベースや道路ネットワークデータベースなどを備え、ルート探索機能を有するものである。当該サーバ装置は、携帯端末1からの出発地、目的地、経由地などを含む経路探索要求を受け付けて、経路探索を行い、探索結果やルート案内に必要になる地図情報やネットワーク情報の提供ができるものである。また、当該サーバ装置は、携帯端末1が備える機能の一部を担うこともできるものである。
【0014】
そして、高速道路上においてナビゲーションサービスを利用する場合に、携帯端末1の消費電力を削減し、より長時間の利用を可能にするために、GPSによる現在位置の測位間隔を長くする。しかし、現在位置の測位間隔を長くした場合には、測位タイミングがずれるために、設定された測位ポイントを含む予め決められたジオフェンス領域(測位エリア)内で現在位置の測位ができなくなる場合があると考えられる。このような場合、真に高速道路上を走行しているのか否かの判別ができなくなるが、この実施の形態の携帯端末1は、そのような弊害を発生させることがないようにしている。
【0015】
以下、この実施の形態の携帯端末1の構成例について説明する。図1において、無線通信アンテナ101A及び無線通信部101は、ネットワークを通じての通信機能を実現する。この場合のネットワークは、主にインターネットであるが、携帯端末1からインターネットまでを接続する携帯電話網などを含む。制御部102は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどがバスを通じて接続されて構成されたいわゆるマイクロプロセッサである。制御部102は、種々のプログラムを実行して携帯端末1の各部を制御する。
【0016】
記憶装置103は、比較的に容量の大きな半導体メモリとそのデバイスドライバとを備え、データの書き込み、読み出し、書き換え、削除などを行う。具体的に、記憶装置103には、図1に示すように、ナビゲーションサービスの利用時において、所定のサーバ装置から提供される地図データ、道路ネットワークデータ、経路探索結果などのデータが書き込まれて保持される。当該地図データは、ナビゲーションサービスの利用時であって、高速道路の走行時において、高速道路上を走行しているか否かを判別するための基準となる測位ポイントの位置を示す情報を含む。また、当該地図データは、当該測位ポイントを含むジオフェンス領域(測位エリア)の位置を示す情報をも含むものである。
【0017】
ジオフェンス領域は、仮想的な地理的境界線で囲まれたエリアを意味し、例えば、測位ポイントを中心にして半径500mの円によって囲まれたエリアのように設定される。もちろん、緯度、経度で特定される4点を順次に接続して形成した四角形の内側のエリアのように設定される場合もある。このため、地図データが保持するジオフェンス領域の位置を示す情報は、位置及び大きさ(面積)も把握できるものである。
【0018】
また、記憶装置103には、現在位置の測位間隔を設定するため測位間隔テーブルや測位された現在位置を保持する現在位置テーブルも形成される。また、記憶装置103は、種々の処理の途中結果を保持する作業領域としても用いられる。図2は、記憶装置103に形成される、測位間隔テーブルの例を説明するための図である。測位間隔テーブルは、移動速度に応じた速度モードとバッテリー残量とによって、測位間隔を特定し設定するためのデータである。速度モードは、「高速モード(60km/h以上)」と「低速モード(30km/h以下)」とで区別する。また、どちらとも判定がつかない場合、すなわち、移動速度Sが30km/hより速く、60km/hより遅い場合(30km/h<S<60km/hである場合)も「低速」であると判別するものとする。なお、km/hは、キロメートル毎時、即ち時速の単位である。
【0019】
そして、バッテリーに給電中と、バッテリー残量xが、50%より多く、100%以下(50%<x≦100%)の場合と、30%より多く、50%以下(0%<x≦50%)の場合と、0%以上で30%以下(0%≦x≦30%)の場合とで区別する。なお、図2(A)は、現在位置の測位間隔の制御が時間制御である携帯端末に適用される測位間隔テーブルであり、図2(B)は、現在位置の測位間隔の制御が距離制御である携帯端末に適用される測位間隔テーブルである。
【0020】
従って、図2(A)に示した測位間隔テーブルの場合には、携帯端末1が「高速モード」で移動している場合の測位間隔は、次のようになる。給電中の場合は30秒に1回、バッテリー残量xが、50%<x≦100%の場合は1分に1回、30%<x≦50%の場合は2分に1回、0%≦x≦30%の場合は測位しないとなる。また、携帯端末1が「低速モード」で移動している場合の測位間隔は、次のようになる。給電中の場合と、バッテリー残量xが、50%<x≦100%の場合と、30%<x≦50%の場合とにおいては5分に1回、0%≦x≦30%の場合は測位しないとなる。
【0021】
また、図2(B)に示した測位間隔テーブルの場合には、携帯端末1が「高速モード」、「低速モード」のいずれで移動している場合でも、測位間隔は、次のようになる。給電中の場合は500mに1回、バッテリー残量xが、50%<x≦100%の場合は1000mに1回、30%<x≦50%の場合は2000mに1回、0%≦x≦30%の場合は測位しないとなる。これらの図2に示した測位間隔テーブルにより、移動速度が「高速モード」か「低速モード」か。また、バッテリーが給電中(充電中)か、バッテリー残量がいくらかにより、測位間隔を特定して設定できる。
【0022】
なお、この実施の形態では、記憶装置103に図2(A)に示す測位間隔テーブルと、図2(B)に示す測位間隔テーブルの2つを備えるものとして説明したが、これに限るものではない。携帯端末1が、現在位置の測位間隔の制御が時間制御である場合には図2(A)に示したテーブルだけを、現在位置の測位間隔の制御が距離制御である場合には、図2(B)に示したテーブルだけを備えるようにすればよい。以下においては、説明を簡単にするため、携帯端末1は、現在位置の測位間隔の制御を時間制御で行うものとして説明する。従って、携帯端末1は、図2(A)に示した測位間隔テーブルに基づいて、測位間隔を定めるものである。
【0023】
図3は、記憶装置103に形成される現在位置テーブルについて説明するための図である。図3に示すように、現在位置テーブルは、測位日時と、緯度と、経度とからなり、緯度、経度で示される現在位置は、いつ測位されたものであるかが把握できるようになっている。現在位置テーブルには、測位されるごとに測位情報が追加記録される、最新の測位情報から少なくても過去数十分間分の測位情報が蓄積され、古い測位情報は消去される。
【0024】
図3に示す現在位置テーブルの測位情報より、2点間の距離と当該2点間を移動するのにかかった移動時間を把握することができ、2点間の距離を、移動するのにかかった移動時間で割り算することにより、当該2点間の移動速度を求めることができる。当該求めた移動速度は、その時点、即ち到達点における携帯端末1が持ち込まれた自動車の移動速度と見做すことができる。
【0025】
操作部104は、電源のオン/オフボタンや幾つかのファンクションボタンなど、複数のいわゆるハードウェアキーを備え、使用者からの指示入力を受け付ける。時計回路105は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供するものであり、現在位置の測位日時も時計回路105から取得できる。
【0026】
充電端子106A、106Bは、外部からの電源の供給を受け付ける。充電端子106A、106Bを通じて受け付けた電力は、充電回路107に供給され、ここで昇圧されるなどの必要な処理が行われて充電用の電力が形成され、これがバッテリー108に供給される。これにより、バッテリー108を充電できる。バッテリー108は、携帯端末1の各部に駆動電力を供給する。残量取得部109は、バッテリー108の例えば電圧レベル値などに基づいて、バッテリー残量を取得し、これを制御部102に通知する。これにより、制御部102は、バッテリー残量が何パーセントなのかを把握できる。
【0027】
GPSアンテナ110A及びGPS部110は、自機の現在位置を測位する機能を実現する。携帯端末1は、ユーザインターフェースとして、タッチパネル113を備える。タッチパネル113は、LCD(Liquid Crystal Display)などの薄型の表示部(表示装置)111の表示画面の全面に対応するようにタッチセンサ112を設けて構成されたものであり、表示機能と指示入力受付機能とを実現する。
【0028】
音声出力処理部114は、例えば、記憶装置103に用意されている種々のデジタル音声データの供給を受けて、これをアナログ音声信号に変換して、スピーカ115に供給する。スピーカ115は、音声出力処理部114からのアナログ音声信号に応じた音声を放音する。これにより、案内メッセージ、注意メッセージ、警告メッセージなどの種々の音声メッセージやアラーム音などをスピーカ115から放音できる。
【0029】
ルート案内処理部121は、ナビゲーションサービスの利用時において、自機からの出発地と目的地との指示を含むルート探索要求に応じて、所定のサーバ装置から提供され、記憶装置103に格納され地図データや経路探索結果を用いてルート案内処理を行う。具体的に、ルート案内処理部は、表示部111に案内するエリアの地図を表示し、当該地図上に探索された経路と、GPS部110を通じて取得する自機の現在位置とを表示し、スピーカ115から放音する音声案内メッセージをも用いてルート案内を行う。
【0030】
速度算出部122は、ナビゲーションサービスの利用時において、図3を用いて説明した現在位置テーブルの蓄積データを用いて自機が持ち込まれている自動車の移動速度を算出する。移動速度の算出は、少なくとも2点の測位情報があればよいが、3点、4点、5点というように複数点の測位情報を用い、各区間の移動速度の平均値として、携帯端末1が持ち込まれた自動車の移動速度を算出してもよい。
【0031】
測位間隔設定部123は、速度算出部122により算出された移動速度と、残量取得部109により取得されたバッテリー残量とに基づいて、記憶装置103に保持されている測位間隔テーブル(図2(A))を参照し、測位間隔を特定して、自機に設定する。この設定は、制御部102の例えばRAM(図示せず)に対して設定される。これに基づき制御部102が機能して、設定された測位間隔ごとに、GPS部110を制御し自機の現在位置を測位するように機能する。
【0032】
進行方向判定部124は、現在位置テーブルの測位情報に基づいて、自機が持ち込まれた自動車の進行方向(移動方向)を判定する。すなわち、現在位置テーブルの最新の連続する2点の測位情報を利用すれば、測位時刻と測位位置に応じて、どこからどの方向に移動しているのかを判定することができる。簡単には、現在位置テーブルの最新の連続する2点の測位位置を地図上にプロットし、測位時刻を考慮すれば、測位時刻の早い地点から測位時刻の遅い地点に向かう方向が進行方向であると判定できる。
【0033】
ジオフェンス取得部125は、現在位置テーブルの最新の測位位置と、進行方向判定部により判定された進行方向に基づいて、記憶装置103に格納されている地図データを参照し、予め設定されているジオフェンス領域(測位エリア)の位置を取得する。ジオフェンス領域(測位エリア)は、高速道路上のインターチェンジなどの所定の測位ポイントを基準にして多数設定されているが、最初に到達すべきジオフェンス領域(測位エリア)の位置が特定できればよい。
【0034】
次測位位置特定部126は、直前の測位位置を基準にして、進行方向判定部124で判定された進行方向においての、測位間隔設定部123により設定された測位間隔に応じた次測位位置を特定する。次測位位置特定部126は、特定した次測位位置が、ジオフェンス取得部125により取得された最初に到達すべきジオフェンス領域(測位エリア)を越えるか否かを判別し、判別結果を測位間隔調整部127に通知する。
【0035】
次測位位置特定部126からの判定結果が、次測位位置が最初に到達すべきジオフェンス領域(測位エリア)を越えてしまい、当該測位エリアで現在位置の測位が実行できないというものであったとする。この場合に、測位間隔調整部127は、測位間隔設定部123により設定された測位間隔を調整し、次測位位置が最初に到達すべきジオフェンス領域(測位エリア)内に位置するように測位間隔を調整する。
【0036】
[現在位置の測位間隔の調整処理]
図4は、現在位置の測位間隔の調整処理について説明するための図である。上述したように、残量取得部109、速度算出部122、測位間隔設定部123が機能して、図2(A)の測位間隔テーブルに基づき、測位間隔を2分に設定したとする。この場合、携帯端末1が持ち込まれた自動車の移動速度は60km/hであり、バッテリー残量は30%より大きく、50%以下であったとする。従って、60km/hで2分間移動した場合の距離は、2kmであるので、図4(A)に示すように、位置P1で現在位置を測位すると、その2km先の位置P2で現在位置を測位し、更にその2km先の位置P3で現在位置を測位することになる。
【0037】
しかし、図4(A)に示すように、位置P2と位置P3との間に、当該高速道路上の1kmに及ぶ区間にジオフェンス領域(測位エリア)が設定されていたとする。このジオフェンス領域の位置は、ジオフェンス取得部125の機能により、記憶装置103の地図データから取得できる。また、位置P2の次測位位置である位置P3は、次測位位置特定部126の機能により特定できる。図4(A)に示した例の場合には、位置P2を基準とした場合の次測位位置P3は、ジオフェンス領域を超えてしまうので、当該ジオフェンス領域内での現在位置の測位が不可能になる。
【0038】
そこで、測位間隔調整部127が機能して、図4(B)に示すように、位置P2の次の測位位置(次測位位置)を、ジオフェンス領域内の位置Pxにするように、測位間隔を調整する。図4(B)に示す例においては、設定された測位間隔である2分ごと(距離でいえば2kmごと)の測位間隔を、元の測位間隔の半分の1分(1km)に調整する。これにより、位置P2を基準して次測位位置は、ジオフェンス領域内の位置Pxとすることができる。
【0039】
図5は、現在位置の測位間隔の調整処理の具体例について説明するための図である。すなわち、図5は、ジオフェンス領域近傍の状態を示している。図5において、位置P2は、直近の現在位置の測位位置である。ここでも、設定された測位間隔は、時間制御で2分であるものとする。従って、図5の(1)式が示すように、位置P2の次の測位位置(次測位位置)P3は、位置P2での携帯端末1が持ち込まれた自動車の速さ(移動速度)と設定された測位間隔とを掛け算すれば、位置P2の2km先の位置であると特定できる。
【0040】
しかし、これでは設定されているジオフェンス領域内で現在位置の測位ができない。そこで、測位間隔調整部127は、図5において、開始位置JSと終了位置JEとでその位置が特定されるジオフェンス領域内の任意の位置を仮想的に現在位置の測位位置として設定する。図5においては、位置Pxが仮想的に設定した測位位置であり、ジオフェンス領域の位置JS、JEに基づいて、位置Pxの緯度、経度も特定できる。位置P2の緯度、経度は実際に測位されており、位置Pxの緯度、経度も特定できているので、測位間隔調整部127は、位置P2から位置Pxまでの距離を特定する。図5に示した例において、位置P2から位置Pxまでの距離が1kmであることが特定できたとする。
【0041】
測位間隔調整部127では、図5の(2)式に示すように、位置P2から仮想的に設定した位置Pxまでの距離が1kmであると特定できる。そこで、測位間隔調整部127は、この距離1kmを、携帯端末1が持ち込まれた自動車の位置P2における移動速度、この例では60km/hで割り算する。これにより、位置P2から1分後の到達位置が、位置Pxであると特定できる。このため、測位間隔調整部127は、測位間隔設定部123により設定された測位間隔を、2分から1分に短縮するように調整する。
【0042】
これにより、現在位置の測位間隔を長く設定している場合であっても、現在位置の測位を、測位ポイントを含むジオフェンス領域内(測位エリア内)で確実に行うことができる。従って、携帯端末1が持ち込まれた自動車が、高速道路上に位置しているか否かの判別を適切に行うことができ、ナビゲーションサービスなど、高速道路上において情報を提供する種々のサービスを適切に行うことができる。
【0043】
なお、仮想的に設定する位置Pxは、対象となっているジオフェンス領域内であれば、任意の位置に設定することができる。例えば、高速道路の状況(渋滞や交通規制の状況など)や携帯端末1が持ち込まれた自動車の移動速度などの種々の条件により、適宜の位置とすることができる。これにより、高速道路の状況や移動速度から次のジオフェンス領域に到達するのに時間がかかる場合には、当該ジオフェンス領域の入口の近傍に位置Pxを設定したり、次のジオフェンス領域に到達するのにあまり時間がかからない場合には、当該ジオフェンス領域の出口近傍に位置Pxを設定したりすることなどが可能である。
【0044】
[測位設定変更処理の実行タイミング(呼び出しトリガ)]
図6は、現在位置の測位間隔を調整するための測位設定変更処理の実行タイミングを説明するための図である。図6に示すように、測位設定変更処理は、ナビゲーションサービスを利用している場合に、他のアプリケーションを実行し、これが終了してナビゲーションサービスに復帰しした後(ステップS1)に実行される。また、先に設定された測位間隔で現在位置の測位が実行された後(ステップS2)に実行される。また、充電端子に対する電源の接続/切り離しが行われた後や測位設定変更処理以外でバッテリー残量の検知が行われた後(ステップS3)に実行される。これにより、適切なタイミングで測位設定変更処理(ステップS4)が呼び出だされて実行できるようにしている。
【0045】
[測位設定変更処理の詳細]
図7図8は、現在位置の測位間隔を調整するための測位設定変更処理を説明するためのフローチャートである。図7図8のフローチャートに示す測位設定変更処理は、図6を用いて説明したように、ステップS1、S2、S3の所定の処理の後に、制御部102において呼び出されて実行される。まず、制御部102は、残量取得部109を制御して、バッテリー108のバッテリー残量を取得する(ステップS101)。制御部102は、ステップS101で取得したバッテリー残量が、0%以上で30%以下か否かを判別する(ステップS102)。
【0046】
ステップS102の判別処理において、ステップS101で取得したバッテリー残量が、0%以上で30%以下であると判別したとする。この場合、制御部102は、測位間隔設定部123を制御し、記憶装置103の測位間隔テーブル(図2(A))の情報に基づいて、制御部102のRAMに「測位しない」ことを示す情報を設定し(ステップS103)、この図7図8に示す処理を終了する。ステップS102の判別処理において、ステップS101で取得したバッテリー残量が、0%以上で30%以下ではないと判別したとする。この場合、制御部102は、速度算出部122を制御し、記憶装置103に形成されている現在位置テーブル(図3)を参照し、自機が持ち込まれた自動車の移動速度を算出し、速度モードを判定する(ステップS104)。
【0047】
ステップS104の判別処理において、算出した移動速度が、60km/h以上であると判別した時には、走行モードは「高速」であると特定する(ステップS105)。ステップS104の判別処理において、算出した移動速度が、30km/h以下であると判別した時には、走行モードは「低速」であると特定する(ステップS106)。ステップS104の判別処理において、走行モードの判定が不可の場合、即ち、算出した移動速度が、30km/hよりも早く60km/hよりも遅いと判別した時には、走行モードは「低速」であると特定する(ステップS107)。
【0048】
この後、制御部102は、測位間隔設定部123を制御し、特定した走行モード(高速か低速か)と取得したバッテリー残量に基づいて、記憶装置103の測位間隔テーブルを参照し、測位間隔を特定する(ステップS108)。なお、充電端子106A、106Bに電源が接続されており、バッテリー108に対して給電中の場合にも、測位間隔テーブルに基づいて、測位間隔が特定される。このため、充電端子106A、106Bに電源が接続されているか否かについても、制御部102は、判別可能になっている。
【0049】
次に、制御部102は、記憶装置103の地図データを参照し、直近の現在位置の測位位置は、測位ポイントを含むジオフェンス領域内か否かを判別する(ステップS109)。すなわち、上述したように測位ポイントはインターチェンジやジャンクションなどの高速道路上に位置しているか否かを判別するためのある程度距離的に離れた位置に存在するポイント(所定の目標位置)である。このため、直近の現在位置の測位位置が、測位ポイントを含むジオフェンス領域内であった場合、すぐ近くに別の測位ポイントを含む別のジオフェンス領域が存在している場合はほとんど存在しないと考えられる。
【0050】
そこで、ステップS109の判別処理において、直近の現在位置の測位位置は、測位ポイントを含むジオフェンス領域内であると判別したときには、図8のステップS114の処理に進む。すなわち、ステップS108で特定した測位間隔を用いるように、制御部102のRAMに設定(変更)し(ステップS114)、以後の処理においては、当該測位間隔ごとに現在位置の測位を行うようにして、この図7図8に示す処理を終了する。
【0051】
また、ステップS109の判別処理において、直近の現在位置の測位位置は、測位ポイントを含むジオフェンス領域内ではないと判別したときには、図8のステップS110の処理に進む。直近の現在位置の測位位置が、測位ポイントを含むジオフェンス領域内ではない場合、すぐ近くに測位ポイントを含む次のジオフェンス領域が存在する可能性がある。そこで、制御部102は、進行方向判定部124を制御して、記憶装置103に記憶されている現在位置テーブル(図3)を参照し、自機が持ち込まれた自動車の進行方向(移動方向)を判定するようにし、判定できたか否かを判別する(ステップS110)。
【0052】
進行方向が判定できない場合には、まだ2点以上の現在位置が測位されていない場合が考えられ、この場合には、すぐ近くに測位ポイントを含む次のジオフェンス領域が存在している場合は少ないと考えられる。そこで、ステップS110の判別処理において、進行方向が判定できないと判別したときには、ステップS114の処理に進む。この場合、ステップS108で特定した測位間隔を用いるように、制御部102のRAMに設定し(ステップS114)、以後の処理においては、当該測位間隔ごとに現在位置の測位を行うようにして、この図7図8に示す処理を終了する。
【0053】
なお、ステップS110において、例えば、2点以上の現在位置が測位されておらず、進行方向が判定できない場合であっても、最後に測位できた現在位置と目的地とから進行方向を特定するようにしてもよい。すなわち、少なくとも1回は現在位置の測位ができており、ナビゲーション機能の利用のために目的地が設定されていれば、現在走行中の高速道路も地図情報より分かるので、携帯端末1が持ち込まれた自動車の進行方向も特定できる。このように、ステップS110においての進行方向の判別は、種々の方法により行うことが可能である。
【0054】
ステップS110の判別処理において、進行方向が判定できたと判別したとする。この場合、制御部102は、ジオフェンス取得部125を制御して、記憶装置103の地図データを参照し、進行方向、即ち移動先の方向に測位ポイントを含む最初に設定されているジオフェンス領域の位置を取得する(ステップS111)。
【0055】
次に、制御部102は、次測位位置特定部126を制御し、次測位位置を特定すると共に、特定した次測位位置は、次のジオフェンス領域を越えているか否かを判別する(ステップS112)。すなわち、ステップS112では、次測位位置特定部126を制御し、設定済みの測位間隔を用い、ステップS110で判定した進行方向における次測位位置を特定する。次に、次測位位置特定部126は、特定した当該次測位位置は、ステップS111でその位置を取得したジオフェンス領域を超えているか否かを判別する。
【0056】
ステップS112の判別処理において、次測位位置はジオフェンス領域を越えていなと判別したときには、測位間隔を調整する必要はない。このため、制御部102は、ステップS114の処理に進む。この場合、ステップS108で特定した測位間隔を用いるように、制御部102のRAMに設定し(ステップS114)、以後の処理においては、当該測位間隔ごとに現在位置の測位を行うようにして、この図7図8に示す処理を終了する。
【0057】
ステップS112の判別処理において、次測位位置はジオフェンス領域を越えていると判別したとする。この場合、制御部102は、測位間隔調整部127を制御して、当該ジオフェンス領域内で現在位置の測位ができるように、測位間隔を調整して特定する(ステップS113)。この後、ステップS113で調整して特定した測位間隔を用いるように、制御部102のRAMに設定し(ステップS114)、以後の処理においては、当該測位間隔ごとに現在位置の測位を行うようにして、この図7図8に示す処理を終了する。
【0058】
このようにして、携帯端末1においては、現在位置の測位間隔を適切に調整することができる。なお、ジオフェンス領域内で現在位置の測位が行えるように、測位間隔を調整しても、次に図7図8の処理が実行されることにより、移動速度(速度モード)とバッテリー残量とに応じて、現在位置の測位間隔が設定される。これにより、測位間隔を短くしても、ずっと短い測位間隔のままとなることはない。
【0059】
[実施の形態の効果]
以上説明したように、この実施の形態の携帯端末1では、図7図8に示す処理を行うことにより、現在位置の測位間隔を移動速度に応じて長くするようにし、消費電力を削減し、バッテリー108からの駆動電力の供給を長く行うようにできる。同時に、現在位置の測位を、測位ポイントを含むジオフェンス領域内(測位エリア内)で確実に行うようにすることができ、携帯端末1の現在位置が高速道路上にあるか否かの判別を適切に行うことができる。
【0060】
[実施の形態の携帯端末1の構成のまとめ]
上述した実施の形態で説明した携帯端末1の構成をまとめると、以下のように(1)~(10)の構成を備えたものとなる。すなわち、携帯端末1は、(1)自機の現在位置を測位する現在位置測位手段を備える。(2)前記現在位置測位手段での測位時間間隔を特定する時間情報を提供する提供手段を備える。(3)前記現在位置測位手段で測位された現在位置と前記提供手段からの時間情報とを対応付けた測位情報を時系列順に記憶手段に記録する記録処理手段を備える。(4)前記記憶手段に記憶されている前記測位情報に基づいて、自機の移動速度を算出する算出手段を備える。(5)前記算出手段で算出された移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する設定手段を備える。
【0061】
更に、携帯端末1は、(6)前記設定手段で設定された前記測位間隔ごとに、前記現在位置測位手段で測位を行うように制御する制御手段を備える。(7)前記記憶手段に記憶されている前記測位情報に基づいて、自機の進行方向を判定する判定手段を備える。(8)前記判定手段で判定された進行方向に存在する現在位置を測位すべきエリアとして設定された測位エリアの位置を取得する取得手段を備える。(9)前記設定手段で設定された前記測位間隔で、次に現在位置を測位する次測位位置を特定する特定手段を備える。(10)前記特定手段で特定された前記次測位位置が、前記取得手段で取得され前記測位エリアの位置を越える場合に、次に現在位置を測位する位置が、前記測位エリア内になるように前記測位間隔を調整する調整手段を備える。
【0062】
この場合に、現在位置測位手段、提供手段、記憶手段、の各機能は、携帯端末1のGPS部110、時計回路105、記憶装置103が実現している。また、記録処理手段と制御手段の機能は、携帯端末1の制御部102が実現している。また、算出手段、設定手段、判定手段、取得手段、特定手段、調整手段の各機能は、携帯端末1の速度算出部122、測位間隔設定部123、進行方向判定部124、ジオフェンス取得部125、次測位位置特定部126、測位間隔調整部127が実現している。
【0063】
なお、測位間隔が例えば、1分毎、2分毎のように決まっていれば、現在位置の測位時刻から測位間隔を特定しなくてもよい。また、携帯端末1の移動速度は、測位された複数の現在位置とその現在位置間の移動に掛かった時間とから算出しなくてもよい場合もある。例えば、携帯端末1に搭載された加速度センサ等により移動速度が計測可能であったり、また、携帯端末1に搭載された加速度センサなどからの情報により算出可能であったりする場合には、これを用いてもよい。また、携帯端末1が持ち込まれた自動車の進行方向についても、測位された複数の現在位置から判定するのではなく、上述したように、少なくとも1つ現在位置の測位結果と、設定された目的地に基づいて判定することもできる。また、携帯端末1に搭載されたセンサからの情報により、進行方向(移動方向)が分かる場合には、これを用いてもよい。
【0064】
これにより、携帯端末1は、以下の(A)~(G)を備えるものとして構成することができる。すなわち、携帯端末1は、(A)自機の現在位置を測位する現在位置測位手段を備える。(B)自機の移動速度を取得する速度取得手段を備える。(C)前記速度取得手段で取得された移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する設定手段を備える。(D)前記設定手段で設定された前記測位間隔ごとに、前記現在位置測位手段で測位を行うように制御する制御手段を備える。(E)自機の進行方向に存在する、現在位置を測位すべきエリアとして設定された測位エリアの位置を取得する取得手段を備える。(F)前記設定手段で設定された前記測位間隔で、次に現在位置を測位する次測位位置を特定する特定手段を備える。(G)前記特定手段で特定された前記次測位位置が、前記測位エリア内になるように前記測位間隔を調整する調整手段を備える。
【0065】
[測位間隔調整システムの構成]
上述したように、実施の形態の携帯端末1は、所定のサーバ装置と協働することによって、ナビゲーションサービス(道案内サービス)の利用ができるものである。このため、携帯端末1が、所定のサーバ装置と協働することによって、測位間隔調整システムを構成することができる。すなわち、携帯端末1と所定のサーバ装置とがネットワークを通じて接続されて構成される現在位置の測位間隔調整システムを構成できる。
【0066】
この場合、携帯端末は、自機の現在位置を測位する現在位置測位手段(GPS部100及びGPSアンテナ110A)を備える。また、前記現在位置測位手段で測位された前記現在位置を前記サーバ装置に送信する現在位置送信手段(無線通信部101及び無線通信アンテナ101A)を備える。また、前記サーバ装置から送信されて来る測位間隔調整指示を受信する調整指示受信手段(無線通信アンテナ101A及び無線通信部101)を備える。また、前記受信手段で受信された前記測位間隔調整指示に基づいて、測位間隔を調整し、当該測位間隔ごとに前記現在位置測位手段で測位を行うように制御する制御手段(制御部102)を備える。
【0067】
一方、所定のサーバ装置は、前記携帯端末から送信されて来る前記現在位置を受信する現在位置受信手段を備える。また、前記携帯端末の移動速度を取得する速度取得手段を備える。また、前記速度取得手段で取得された移動速度に応じて、現在位置の測位間隔を設定する設定手段を備える。また、前記携帯端末の進行方向に存在する、現在位置を測位すべきエリアとして設定された測位エリアの位置を取得する取得手段を備える。また、前記設定手段で設定された前記測位間隔で、次に現在位置を測位する次測位位置を特定する特定手段を備える。また、前記特定手段で特定された前記次測位位置が、前記測位エリア内になるように前記測位間隔を調整する測位間隔調整指示を形成する調整手段を備える。また、前記調整手段で形成された前記測位間隔調整指示を前記携帯端末に送信する調整指示送信手段を備える。
【0068】
上述したように、所定のサーバ装置は、携帯端末1との間でネットワークを介して通信を行うための通信部を備えており、当該通信部が、現在位置受信手段、調整指示送信手段の機能を実現する。また、速度取得手段、設定手段、取得手段、特定手段、調整手段のそれぞれは、携帯端末1の速度算出部122、測位間隔設定部123、ジオフェンス取得部125、次測位位置特定部126、測位間隔調整部127に対応するものである。
【0069】
なお、携帯端末1が持ち込まれた自動車の移動速度の算出は、携帯端末1から現在位置とその測位時刻との供給を受けて、これらに基づき算出してもよいし、現在位置の受信間隔に応じて、移動時間を予測して、これを用いるようにしてもよい。もちろん、携帯端末1から測位間隔を示す情報の提供を受けて、これを用いて算出するようにしてもよい。また、携帯端末1が自機の移動速度を検出できるものである場合には、携帯端末1からの移動速度を用いるようにしてもよい。
【0070】
このように、上述した実施の形態では、携帯端末1が備えていた各部の機能を、サーバ装置に設けるようにすることによって、現在位置の測位間隔調整システムを構成できる。この場合には、携帯端末1の負荷を軽減することができる。また、所定のサーバ装置には、進行方向判定部124を設けた構成とすることもできる。なお、所定のサーバ装置は、ナビゲーションサービスを提供するものに必要な機能を設けるようにすればよい。もちろん。現在位置の測位間隔調整システムを構成するために専用のサーバ装置を設けるようにしてもよい。
【0071】
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、走行モードとバッテリー残量とによって、測位間隔テーブルを参照し、現在位置の測位間隔を特定して設定するようにしたが、これに限るものではない。例えば、走行モードのみに基づいて、現在位置の測位間隔を特定するようにしてもよいし、移動速度を算出し、この移動速度に基づいて、現在位置の測位間隔を特定するようにしてもよい。簡単には、移動速度のレベルを複数設定し、算出した移動速度の属するレベルに基づいて、現在位置の測位間隔を特定することができる。
【0072】
また、上述した実施の形態の携帯端末1では、現在位置測位手段としてGPSを用いるようにしたがこれに限るものではない。例えば、携帯電話網の複数の基地局からの電波を受信して自機の現在位置が測位可能であれば、現在位置測位手段として当該機能を用いるようにしてもよい。従って、現在位置測位手段の機能は、GPSやその他の種々の測位手段を用いることができる。
【0073】
また、測位間隔テーブルは、図2に示したものに限らず、種々のものを用いることができる。例えば、携帯端末1を持ち込む自動車の種別に応じた測位間隔テーブルを用いるようにしてもよい。
【0074】
また、高速モードと低速モードとを分ける基準も、60km/hと30km/hとに限るものではなく、混雑度などの道路状況や場所などに応じて、変更するようにしてもよい。例えば、渋滞時には、高速モードと判定できる速度を低くしたり、平均移動速度が高い地域の高速道路では、高速モードと判定できる速度を高くしたりできる。
【0075】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーションサービスの利用時において、現在位置の測位をする場合として説明したが、これに限るものではない。例えば、高速道路に関する道路状況やイベント情報などを提供するサービスを行う場合にも、この発明を適用できる。すなわち、高速道路を走行中においてのみ情報を提供するなどのサービスを行う場合にこの発明を適用できる。
【0076】
[その他]
上述した実施の形態の説明からも分かるように、図7図8のフローチャートに示した処理を行う方法が、この発明の現在位置の測位間隔調整方法の一実施の形態が適用されたものである。また、図7図8のフローチャートに示した処理を行う方法が、この発明の現在位置の測位間隔調整プログラムの一実施の形態が適用されたものである。
【0077】
従って、実施の形態の携帯端末1の速度算出部122、測位間隔設定部123、進行方向判定部124、ジオフェンス取得部125、次測位位置特定部126、測位間隔調整部127の各機能は、制御部102で実行されるプログラムによって実現できる。すなわち、実施の形態の携帯端末1の速度算出部122、測位間隔設定部123、進行方向判定部124、ジオフェンス取得部125、次測位位置特定部126、測位間隔調整部127の各機能は、制御部102の機能として実現することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…携帯端末、101A…無線通信アンテナ、101…無線通信部、102…制御部、103…記憶装置、104…操作部、105…時計回路、106A、106B…充電端子、107…充電回路、108…バッテリー、109…残量取得部、110A…GPSアンテナ、110…GPS部、111…表示部、112…タッチセンサ、113…タッチパネル、114…音声出力処理部、115…スピーカ、121…ルート案内処理部、122…速度算出部、123…測位間隔設定部、124…進行方向判定部、125…ジオフェンス取得部、126…次測位位置特定部、127…測位間隔調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8