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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/00 20210101AFI20230615BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
G03B15/00 T
G01N21/84 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023059681
(22)【出願日】2023-04-02
【審査請求日】2023-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715007004
【氏名又は名称】マシンビジョンライティング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】増村茂樹
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-286968(JP,A)
【文献】特開2021-196256(JP,A)
【文献】特開2016-180621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/00
G02B 21/00 - 21/36
G02B 7/02 - 7/16
G01N 21/84 - 21/958
G01B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象から発せられる光を撮像する撮像レンズであって、該撮像レンズが該撮像対象の各点から放射される光を捕捉する立体角範囲である観察立体角の大きさが、該観察立体角の平面半角、乃至は平面全角の大きさとして、角度の単位で表示されていることを特徴とする撮像レンズ。
【請求項2】
撮像対象から発せられる光を撮像する撮像レンズであって、該撮像レンズが該撮像対象の各点から放射される光を捕捉する立体角範囲である観察立体角の大きさを可変にすることのできる可変絞りを備え、該可変絞りによって設定される該観察立体角の大きさが、該観察立体角の平面半角、乃至は平面全角の大きさとして、角度の単位の目盛で表示され、該観察立体角の大きさが、角度の単位で設定可能なことを特徴とする撮像レンズ。
【請求項3】
撮像対象から発せられる光を撮像する撮像レンズであって、該撮像レンズの倍率と該撮像レンズと該撮像対象との距離の少なくともいずれか一方が可変であり、該撮像レンズが該撮像対象の各点から放射される光を捕捉する立体角範囲である観察立体角の大きさが、該撮像レンズの倍率と該撮像対象との距離の少なくともいずれか一方によって変化する係数と、該観察立体角の基準となる大きさによって計算できるように、該観察立体角の基準となる大きさが、該観察立体角の平面半角、乃至は平面全角の大きさとして、角度の単位で表示されていることを特徴とする撮像レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像対象に光を照射し、その撮像対象から返される光によって、若しくは、該撮像対象が光源等の自ら光を放射する場合はその放射光によって、その撮像対象の画像を撮像するために用いられる撮像レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像レンズの一例としては、特許文献1に示されるような検査用照明装置及び検査システムにおいて用いられる撮像装置において、前記撮像対象からの光を撮像するときに用いられるものがある。
【0003】
前記撮像レンズにおいては、前記撮像対象の各点に対する観察立体角が形成され、撮像対象の各点から放射される光のうち、それぞれの点において形成される前記観察立体角内に放射された光が、像側のそれぞれの点に結像され、その像側のそれぞれぞれの点に結像された光エネルギーの大小によって、明暗画像が得られるものである。
【0004】
このとき、たとえば特許文献1に示されるような検査用照明装置及び検査システムでは、前記撮像対象の各点に対する観察立体角に対して、各点の明暗に所望の変化が得られるように、照射立体角の形状又は大きさや傾きが設定可能な検査用照明装置が用いられる。
【0005】
しかしながら、前記撮像対象において反射又は透過または散乱する光、若しくは前記撮像対象から放射される光を撮像する撮像装置において用いられている前記撮像レンズが前記撮像対象の各点において形成する観察立体角の形状や大きさや傾き等が明示的にわからなければ、前記撮像対象の各点における観察立体角の形状又は大きさや傾きに基づいて、前記検査対象の各点における照射立体角の形状又は大きさや傾きを設定、若しくは前記照射立体角と前記観察立体角の形状又は大きさや傾きの相対関係、若しくは前記撮像対象からの放射立体角を設定することが難しくなる。
【0006】
より具体的には、前記撮像レンズの光学仕様として、物体側NA(開口数)が明示されている場合があるが、物体側NAは前記撮像対象の各点から放射される光が屈折率nの媒質を介して、前記撮像レンズの物体側から幾何的に見た開口径によって捕捉されるときに、その開口径の1/2を、前記撮像対象の各点から前記開口径の最大径に至る距離で除した値に屈折率nを乗じた値として明示され、このとき、前記撮像対象の各点から前記撮像レンズの物体側から見た開口径に対して張る平面全角が2θであるとすると、前記物体側NAの値はnにθの正弦値を乗じた値、n・Sinθで示され、前記撮像レンズ、若しくは前記撮像レンズの仕様書等に明示されている。
【0007】
一方、前記撮像対象の各点に対する照射立体角は、その平面半角、若しくは平面全角で設定されるが、これは前記撮像対象の各点から返される物体光が、正反射光や正透過光に対応する直接光の場合は、その直接光の立体角の大きさが照射光の立体角と等しく、なおかつその傾きは、前記照射立体角が前記撮像対象の各点における法線に対してなす角度と等しく、前記照射立体角とは対称な方向であり、その明るさが、前記撮像対象の反射率、若しくは透過率で決まり、前記物体光が均等拡散光に対応する散乱光の場合は、前記撮像対象の各点における散乱率、及び法線と照射立体角のなす角度の余弦値で決まることから、前記撮像対象の表面形状、すなわち前記撮像対象の各点近傍の面の傾き角が、前記撮像対象の各点から放射される直接光の立体角の傾きに幾何的に反映されており、また、前記物体光が光源による放射光である場合は、その放射光の放射立体角が直接光の立体角となり、その放射光の強度分布、若しくは放射立体角の形状や傾きが、物体光の明るさやその放射立体角の傾きとして定量的に反映される。
【0008】
前記撮像レンズは、前記撮像対象の各点に対して形成する観察立体角によって、その撮像対象の各点から放射される物体光の光エネルギーを捕捉し、その点の連続によって明暗画像を生成しているので、前記撮像対象の各点に対して照射される光の照射立体角との相対関係が前記撮像対象の各点の明るさに定量的に反映されている。しかし、前述のように前記撮像レンズの物体側NA(開口数)は、前記観察立体角の大きさに関係してはいるが、その正弦値から、実際の観察立体角の大きさを計算しなければならず、その立体角の平面半角、乃至は平面全角で設定される照射立体角の大きさとの比較、ひいては撮像対象の各点近傍の面の傾き角度と関連付けて、前記観察立体角によって捕捉される光エネルギー量を制御、乃至はその変化の様態から、最適な撮像条件を調整・設定するには、その尺度に乖離があって難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5866573号
【文献】特許第5866586号
【文献】特許第6451821号
【文献】特許第6799272号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述したような課題を鑑みてなされたものであり、
特許文献1~5に示されているように、所望の明暗の撮像画像を得るために、照射立体角と観察立体角の相対関係を最適化する際に、少なくとも、前記撮像レンズが撮像対象の各点に対して形成する観察立体角の大きさの尺度を、前記照射立体角の大きさの尺度、若しくは撮像対象から放射される光の放射立体角の大きさの尺度に合わせて明示することにより、照射系と撮像系の最適化設計、乃至は実使用時の最適化設定をより効率的に行うことができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記撮像レンズが前記撮像対象の各点に形成する観察立体角の大きさを、その平面半角、乃至は平面全角として角度の単位で、撮像レンズの適当な箇所に明示するか、前記撮像レンズの仕様書等に明示する。
【0012】
より具体的には、前記撮像レンズが、
前記撮像対象の各点に形成する観察立体角の大きさが固定の場合は、その平面半角、乃至は平面全角の値を撮像レンズの適当な箇所、若しくは該レンズに備え付けの仕様書等に明示し、前記観察立体角が可変の場合は、目盛り等を付して、その平面半角、乃至は平面全角の値を撮像レンズの適当な箇所、若しくは該レンズに備え付けの仕様書等に明示し、倍率や、前記撮像対象との距離によって、前記観察立体角が変化する場合は、その倍率や、前記撮像対象との距離によって変化する係数、及び、その平面半角、乃至は平面全角の値を撮像レンズの適当な箇所、若しくは該レンズに備え付けの仕様書等に明示し、その係数と基準となる平面半角、乃至は平面全角とによって、実際に形成されている観察立体角の平面半角、乃至は平面全角が簡便に計算できるようにする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の撮像レンズによれば、
該撮像レンズが撮像対象の各点に対して形成する観察立体角の大きさと傾きが簡単に同定でき、たとえば前記撮像対象から正反射光や正透過光に相当する直接光が返される場合、その直接光の立体角は照射光の照射立体角と同一で、その傾きは照射光の光軸と正反射方向、若しくは正透過方向となるので、前記撮像レンズによって撮像する前記撮像対象の各点から返される前記直接光の立体角の傾き角は、前記撮像対象の各点のその近傍の面に対する法線に依存して定量的に傾くことから、前記撮像対象の各点の明るさは、前記撮像対象の各点に対する観察立体角と前記直接光との立体角との包含関係によって決まり、前記撮像対象の各点の明るさから前記撮像対象の各点近傍の面の傾きを定量的に同定することが可能となる。
【0014】
また、前記撮像対象から均等拡散光に相当する散乱光が返される場合、その散乱光の明るさは、前記撮像対象の各点のその近傍の面に対する法線と照射立体角のなす角度に依存して定量的に変化することから、前記撮像対象の各点の明るさは、前記撮像対象の各点に対する観察立体角と前記散乱光との包含関係によって決まり、前記撮像対象の各点の明るさから前記撮像対象の各点近傍の面の傾きを定量的に同定することが可能となる。
【0015】
また、更に、前記撮像対象から放射光が返される場合、その放射光の明るさは、前記撮像対象の各点の放射立体角の形状や傾き、及び放射強度によって決まることから前記撮像対象の各点の明るさは、前記撮像対象の各点に対する観察立体角と前記奉仕立体角との包含関係、及び放射強度によって決まり、放射強度が既知であれば、前記撮像対象の各点の明るさから前記撮像対象の各点放射立体角の変化を定量的に同定することが可能となる。
【0016】
ここで、前記撮像レンズが前記撮像対象の各点に対して形成する観察立体角の傾きは、そのレンズの結像に関わる光軸設計によって決まり、たとえば物体側テレセントリックレンズだと、前記撮像対象のお各点に形成される観察立体角の傾きは、その物体側テレセントリックレンズの主光軸が前記撮像対象に対してどのような角度に設定されているかによって同定され、レンズが物体側テレセントリックではないとすると、そのレンズから撮像対象までの距離と、前記撮像対象の各点が、そのレンズの主光軸からどれだけ離れているかで同定することができる。
【0017】
このように、前記撮像対象から前記直接光が返される場合の撮像画像は明視野画像となり、その明暗プロファイルは、一般的に照射光が前記撮像対象の各点に形成する照射立体角、若しくは前記撮像対象から放射される光の放射立体角と、前記レンズが前記撮像対象の各点に形成する観察立体角との相対関係は、結果的に各点から返される前記直接光の立体角と前記観察立体角との包含関係を決め、その各点の明るさの連続的な変化によって決まっている。
【0018】
そこで、たとえば、特許文献1から4に示されるような検査用照明によって、前記撮像対象の各点に対する照射立体角を、その傾きにおいても大きさや形状においても同一し、前記撮像レンズが前記撮像対象の各点に対して形成する観察立体角も、その傾きにおいても大きさや形状においても同一とすれば、その撮像レンズによって撮像される画像の明暗プロファイルは、前記撮像対象の各点近傍の傾き、ひいては前記撮像対象の表面形状を定量的に反映することになる。
【0019】
また、たとえば、特許文献1から4に示されるような検査用照明によって、前記撮像対象の各点に対する照射立体角を、その傾きにおいても大きさや形状においても、前記撮像レンズが前記撮像対象の各点に対して形成する観察立体角との相対関係を同一とすれば、同様に、その撮像レンズによって撮像される画像の明暗プロファイルは、前記撮像対象の各点近傍の傾き、ひいては前記撮像対象の表面形状を定量的に反映することになる。
【0020】
また、従来型の照明を使用した場合でも、前記撮像対象の各点に対する照射立体角を同定することができるので、前記撮像レンズが前記撮像対象の各点に対して形成する観察立体角の平面半角、若しくは平面全角、及び傾きが明示されていれば、前記撮像対象の各点に対する照射立体角をどのようにするか、すなわち照明系を、前記撮像対象との幾何的な関係をもとに、容易にしかも直感的に設計することが可能となる。
【0021】
また、前記撮像対象の放射光を捕捉する場合は、その放射強度が同定できれば、前記撮像レンズが前記撮像対象の各点に対して形成する観察立体角の平面半角、若しくは平面全角、及び傾きが明示されていれば、前記撮像対象の各点から放射される放射立体角をどのように調整制御するか、尺度の変換等をしなくとも両者の立体角の平面角度の値を直接用いて、容易に設計することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る撮像レンズが形成する観察立体角と、照明光学系が形成する照射立体角との関係を示す模式的斜視図。
図2】本発明の一実施形態に係る撮像レンズが形成する観察立体角と照明光学系が形成する照射立体角、及び撮像対象表面の傾きとの関係を示す模式的斜視図。
図3】本発明の一実施形態に係る撮像レンズが形成する観察立体角、及びその平面半角と、照明光学系が形成する照射立体角、及びその平面半角、及び撮像対象表面の傾き角度との関係を示す模式的斜視図。
図4】従来型照明と特許文献1~4に示される照明光学系による照射立体角の斜視図。
図5】本発明の一実施形態として、可変絞りのある撮像レンズの観察立体角の目盛り表示例。
図6図5に示した撮像レンズにより、画像を撮像する手順を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一例としては、図1に示すように、光が照射された撮像対象Wから発せられる物体光を撮像レンズSで捕捉し、撮像対象Wの画像を取得する際に、物体光が正反射光や正透過光に相当する直接光成分と均等拡散光に相当する散乱光成分とからなり、撮像対象Wの各点Pから発せられる物体光は、撮像レンズSが各点Pに対して形成する観察立体角OSによって捕捉され、撮像画像の点Pに相当する点の明るさを決定しており、その点の連続が、撮像対象Wの撮像画像となり、撮像対象Wの各点Pから発せられる物体光の直接光成分は、反射光の場合、点Pの法線に対して照射光の照射立体ISの対象方向に照射立体角ISと同じ立体角RS1で、透過光の場合は点Pに対して点対象の方向に、照射立体角が点Pの法線となす角θから屈折率分の傾き角度を減じた角度で放射され、図1では、照射光に対して正反射法方向に撮像レンズを設定した例を示しているが、撮像レンズSを用いて観察される点Pの明るさは、直接光の立体角RS1と前記観察立体角OSとの包含関係によって、その重なった部分に含まれる光エネルギーによって決まるため、図1のように照射立体角と観察立体角が正反射方向に設定されていれば、観察立体角OSが直接光の立体角RS1より小さければ観察立体角OSに含まれる光エネルギーで、その逆であれば直接光の立体角RS1に含まれる光エネルギーによって決まり、若し、点P近傍の面が傾いて、直接光の立体角がRS2のように大きく傾くと、観察立体角OSに含まれる直接光成分の光エネルギーはなくなり、散乱光成分のみで決まる明るさとなる。
【0024】
また、撮像対象Wの各点Pから発せられる物体光の散乱光成分は、各点における放射照度によってその各点から放射される単位立体角当たりの明るさが均等に決まるので、各点Pから放射される光エネルギーは撮像レンズSによって各点に形成される観察立体角で捕捉されて、点Pの明るさはその観察立体角の大きさで決まる。
【0025】
この時に、撮像レンズSによって撮像対象Wの各点Pに対して形成される観察立体角OSの正反射方向にその観察立体角OSと同じ形状で同じ大きさの立体角EOSを有効照射立体角とよび、この有効照射立体角との相対関係で、撮像対象Wに対する照射光の照射立体角をどの方向にどの程度の大きさで形成するか、すなわち照射光をどの方向範囲から照射すると、その照射する光エネルギーが観察立体角によってどのように捕捉され、その点Pの明るさに関与するかを定量的に制御することができ、ひいてはその点の連続的な明暗プロファイルによって決定される撮像画像の明暗プロファイルを制御することができる。
【0026】
ここで、図1において、撮像対象Wの点P近傍の面がΦだけ傾くと、直接光成分の立体角は、RS2のようにRS1から2Φ分傾いて、観察立体角OSとの包含関係が変化する。
【0027】
図2は、撮像対象Wの点Pに着目して、点P近傍の面が傾いた場合に、照射光路L1と反射光路L2がどのように変化するかを、そのそれぞれの立体角との相対関係において示したもので、反射光路L2がΦdだけ傾いたことが点Pの明るさの変化に定量的に反映されていれば、点P近傍の面がΦdの1/2だけ傾いていることを同定できる。
【0028】
図3は、点P近傍の面が傾いた場合に、照射立体角ISを反映した直接光の立体角RS2の平面半角θdと観察立体角OSの平面半角θo、及び直接光の立体角RS2の光軸が観察立体角OSの光軸となす角Φdによって、観察立体角OSと直接光の立体角RS2との包含関係を同定することができるので、すなわち、観察立体角OSと直接光の立体角RS2との包含関係によって決まる点Pの明るさによって、直接光の立体角RS2の平面半角θdと観察立体角OSの平面半角θoが既知であればΦdを同定することができ、ここで、直接光の立体角RS2の平面半角θdは照射立体角ISの平面半角θiに等しいので、元々の照射立体角ISと観察立体角OSとの相対関係が既知であれば、撮像対象Wの各点P近傍の面の傾き角を同定することが可能となる。
【0029】
図5の(a)は、本発明の1実施例で、撮像レンズSの観察立体角OSを可変にすることのできる可変絞りを備えたレンズに、その可変絞りによって撮像レンズSが撮像対象Wの各点に形成する観察立体角OSの平面半角を目盛りとして明示したものである。
【0030】
本発明において、図5の(a)に示した可変絞りは、図5の(b)に示したように、観察立体角を自動で調節設定する制御手段OSCとその制御のための外部インタフェースを備え、手動に限らず自動で設定、若しくは外部からの指定により任意に制御することのできるものを含み、自動で、若しくは外部から制御信号を与えて観察立体角の大きさや形状を設定できる機構を備えている場合も、その制御を撮像レンズSの形成する観察立体角の平面半角、乃至は平面全角、若しくは観察立体角の大きさを直接的に明示、若しくは指定して制御する撮像レンズでもよい。
【0031】
また、本発明において、撮像レンズSが、倍率や撮像対象Wとの距離を可変にできるレンズである場合は、その設定値によって、撮像対象Wの各点に対して形成する観察立体角OSが一意に決まるので、例えばその設定値によって一定の係数を掛ける形で、観察立体角OSの大きさに変換できることから、この変換係数とその基準となる観察立体角の大きさの双方を明示したものでもよく、外部から観察立体角OSを自動で制御する場合においても同様である。
【0032】
以下、図6を用いて、本発明による撮像レンズを使用して、所望の画像を撮像する手順について説明する。
【0033】
まず、照明工程(図6、ステップS1)を行う。照明工程では、少なくとも前記撮像対象Wで所望の明暗変化を、前記撮像対象Wの各点から放射される物体光の明暗変化として反映させることができるように、前記撮像対象Wの各点に対する照射立体角ISを調整設定し、所望の物体光を放射させる。ただし、撮像対象Wが光源である場合は、光源の各点から発せられる放射立体角を調整設定するが、調整できない場合は少なくとも該光源を点灯させ、光源の各点から光を放射させる。
【0034】
次に、観察工程(図6、ステップS2)を行う。観察工程では、照明工程(図6、ステップS1)で発生させた前記撮像対象Wの各点から物体光に対して、前記撮像レンズによって各点から放射される物体光の所望の変化を適格に捕捉できるように、前記撮像対象Wの各点に対する観察立体角OSの大きさや形状を調節設定し、ここで、若し所望の画像が得られないなら照明工程(図6、ステップS1)に戻る。
【0035】
次に、撮像工程(図6、ステップS3)を行う。撮像工程では、前記撮像レンズSが撮像対象Wの各点に形成する観察立体角OSによって得られる撮像対象Wの明暗画像を取得する。
【0036】
次に、表示工程(図6、ステップS4)を行う。表示工程では、前記撮像レンズSによって得られる撮像対象Wの明暗画像を表示、若しくは記録し、確認の用に供する。
【符号の説明】
【0037】
1 :面光源
11 :光射出面
S :撮像レンズ
L1 :照射光路
L2 :反射・透過光路
W :撮像対象
P :撮像対象上の或る点
P′ :撮像対象上の別の点
IS :照射立体角
IS′ :別の照射立体角
OS :観察立体角
EOS :有効照射立体角
RS1 :反射光の立体角
RS2 :反射光の立体角
ОSC :観察立体角の設定装置
EXC :観察立体角制御インタフェース
S1 :反射光の立体角
S2 :反射光の立体角
S3 :反射光の立体角
S4 :反射光の立体角
【要約】
【課題】撮像対象を撮像する際に、その撮像対象の各点に対して、照射光の形成する照射立体角と撮像レンズの形成する観察立体角との相対関係は撮像条件を精密に最適化する際には必須のパラメーターであり、観察立体角と照射立体角の大きさを表す尺度を同じにして、撮像条件の最適化設定過程を効率化する。
【解決手段】撮像レンズが撮像対象の各点に形成する観察立体角の大きさを、その平面半角、乃至は平面全角を知ることができるように、その値、若しくは、倍率や、撮像レンズと撮像対象との距離によって観察立体角が変化する場合は、その変化する係数と基準となる観察立体角の平面半角、乃至は平面全角の値を、角度の尺度で撮像レンズの適当な箇所に明示するか、前記撮像レンズの仕様書等に明示することとし、実際に形成されている観察立体角の平面半角、乃至は平面全角が簡便に計算できるようにする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6