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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ウッドキャンドル
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20230615BHJP
   F21S 13/12 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
C10L5/44
F21S13/12 120
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022031050
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000124410
【氏名又は名称】河合製巧株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坪内 敦
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特許第6971429(JP,B1)
【文献】実公第015877(大正14年)(JP,Y1T)
【文献】実公昭09-014425(JP,Y1)
【文献】特許第6999146(JP,B1)
【文献】実開昭63-024250(JP,U)
【文献】特開平10-102077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/44
F21S 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在する柱状の木材により形成されたキャンドル本体を備え、
前記キャンドル本体は、
上端面と、
下端面と、
前記上端面と前記下端面との間に位置する外周面と、
前記キャンドル本体の軸線方向に沿って延在し、前記上端面に開口する上部開口を有する縦穴と、
前記外周面に開口する側部開口を有し、前記縦穴に連通するとともに互いに同一の大きさ及び同一の形状を有する複数の横孔と、を有しており、
前記キャンドル本体の外径は、20mm以上であり、且つ80mm以下であり、
前記横孔は、前記軸線方向において等間隔にて3つ以上設けられており、
前記キャンドル本体の下部には、把持部が設けられており、
前記把持部には、前記縦穴及び前記横孔が設けられていない、
ウッドキャンドル。
【請求項2】
前記横孔は、前記キャンドル本体の周方向において等間隔にて複数設けられている、
請求項1に記載のウッドキャンドル。
【請求項3】
前記横孔は、前記キャンドル本体の径方向において前記縦穴に近づくほど前記上端面に近づくように傾斜して延びている、
請求項1または請求項2に記載のウッドキャンドル。
【請求項4】
前記横孔に差し込まれることで前記横孔を閉塞する栓を更に備えている、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のウッドキャンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウッドキャンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃焼材が開示されている。この燃焼材は、角柱状の木材本体を備えている。木材本体は、上面、下面、前面、後面、及び一対の側面を有している。木材本体は、上下方向に延在する一対の縦切込みを有している。一対の縦切込みは、平面視十字状である。一方の縦切込みは、前面及び後面の幅方向の中心を通っている。他方の縦切込みは、各側面の幅方向の中心を通っている。一方の縦切込みの下端には、前面と後面とを貫通する空気孔が設けられている。他方の縦切り込みの下端には、側面同士を貫通する空気孔が設けられている。各空気孔は、縦切込みの幅よりも大きい直径を有している。木材本体には、上面に開口するとともに補助着火材を収納する収納部が設けられている。こうした燃焼材によれば、着火しやすく確実な燃焼ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3032807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の燃焼材の場合、燃焼状態を制御することが難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのウッドキャンドルは、上下方向に延在する柱状の木材により形成されたキャンドル本体を備え、前記キャンドル本体は、上端面と、下端面と、前記上端面と前記下端面との間に位置する外周面と、前記キャンドル本体の軸線方向に沿って延在し、前記上端面に開口する上部開口を有する縦穴と、前記外周面に開口する側部開口を有し、前記縦穴に連通するとともに互いに同一の大きさ及び同一の形状を有する複数の横孔と、を有しており、前記横孔は、前記軸線方向において等間隔にて3つ以上設けられている。
【0006】
キャンドル本体の上端面に対してバーナーなどを用いて着火されると、キャンドル本体が上から下に向かって燃焼するようになる。ここで、上記構成によれば、外気が横孔を通じて縦穴に供給されることで、キャンドル本体は、縦穴を中心に燃焼するようになる。そして、縦穴の内部が輻射熱によって高温に維持されることで、強風でも火が消えることなく燃焼し続けるようになる。
【0007】
また、上記構成によれば、3つ以上の横孔がキャンドル本体の軸線方向において等間隔にて設けられているため、キャンドル本体の軸線方向において互いに隣り合う横孔同士の部分の燃焼時間が略均一となる。このことにより、キャンドル本体を上から下に向かって略均一な速さで燃焼させることができる。
【0008】
また、上記構成によれば、複数の横孔のうちの任意の横孔に栓を差し込むことにより、当該横孔を通じた外気の流入が遮断されるようになる。これにより、キャンドル本体の燃焼を抑制できるので、キャンドル本体の燃焼状態を容易に制御できる。
【0009】
したがって、照明としての高い機能を備えるウッドキャンドルを実現できる。
上記ウッドキャンドルにおいて、前記横孔は、前記キャンドル本体の周方向において等間隔にて複数設けられていることが好ましい。
【0010】
同構成によれば、複数の横孔を通じて外気がバランス良く縦穴に供給される。これにより、キャンドル本体の燃焼のしやすさが周方向においてばらつくことを抑制できる。
上記ウッドキャンドルにおいて、前記キャンドル本体は、円柱状をなしており、前記キャンドル本体の外径は、20mm以上であり、且つ80mm以下であることが好ましい。
【0011】
同構成によれば、キャンドル本体を容易に把持することができる。したがって、ウッドキャンドルを松明として持ち運ぶことができる。
上記ウッドキャンドルにおいて、前記キャンドル本体の下部には、把持可能な長さを有する把持部が設けられており、前記把持部には、前記縦穴及び前記横孔が設けられていないことが好ましい。
【0012】
同構成によれば、キャンドル本体の下部に設けられた把持部には横孔が設けられていないため、把持部が握りやすくなる。また、把持部に縦穴及び横孔が設けられていないことでキャンドル本体の上部に比べて把持部の燃焼が抑制される。これにより、ウッドキャンドルの携帯性が向上する。
【0013】
上記ウッドキャンドルにおいて、前記横孔は、前記キャンドル本体の径方向において前記縦穴に近づくほど前記上端面に近づくように傾斜して延びていることが好ましい。
同構成によれば、側部開口を通じて横孔に雨水が入り込みにくくなる。これにより、雨水によってキャンドル本体の火が消えることを抑制できる。
【0014】
上記ウッドキャンドルにおいて、前記横孔に差し込まれることで前記横孔を閉塞する栓を更に備えていることが好ましい。
同構成によれば、専用の栓を用いることで、キャンドル本体の燃焼状態を一層容易に制御できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃焼状態を容易に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、一実施形態に係るウッドキャンドルの斜視図である。
図2図2は、図1のウッドキャンドルの側面図である。
図3図3は、図2の3-3線に沿った断面図である。
図4図4は、図2の4-4線に沿った断面図である。
図5図5は、図2の5-5線に沿った断面図である。
図6図6は、図1のウッドキャンドルの使用状態を示す側面図である。
図7図7は、変形例に係るウッドキャンドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図6を参照して、一実施形態について説明する。
図1に示すように、ウッドキャンドルは、キャンドル本体10と栓20とを備えている。
【0018】
<キャンドル本体10>
図1及び図2に示すように、キャンドル本体10は、上下方向に延在する柱状の木材により形成されている。
【0019】
キャンドル本体10は、例えば円柱状である。
キャンドル本体10の外径は、例えば20mm以上であり、且つ80mm以下である。キャンドル本体10の外径は、30mm以上であり、且つ40mm以下であることが好ましい。
【0020】
キャンドル本体10の長さは、例えば100mm以上であり、且つ500mm以下である。キャンドル本体10の長さは、200mm以上であり、且つ400mm以下であることが好ましい。本実施形態のキャンドル本体10の長さは、250mmである。
【0021】
キャンドル本体10を形成する木材としては、広葉樹材であることが好ましい。広葉樹材としては、ホワイトアッシュ、オーク、タモ、ゴムノキ、ブナなどが好ましい。また、木材の含水率は、15%以下であることが好ましい。木材に対して強制乾燥処理が施されることで木材の含水率が調整されていることが好ましい。
【0022】
キャンドル本体10は、上端面11と、下端面12と、上端面11と下端面12との間に位置する外周面13とを有している。
図1図5に示すように、キャンドル本体10は、1つの縦穴14と、複数の横孔15とを有している。
【0023】
図1及び図3に示すように、縦穴14は、キャンドル本体10の軸線方向(上下方向)に沿って延在し、上端面11に開口する上部開口14aを有している。縦穴14は、例えばキャンドル本体10の中心に位置する円孔である。
【0024】
上端面11からの縦穴14の長さは、例えば100mm~400mmである。本実施形態の縦穴14の長さは、200mmである。
縦穴14は、例えば円孔である。縦穴14の内径は、例えば5mm~15mmである。本実施形態の縦穴14の内径は、13mmである。
【0025】
横孔15は、外周面13に開口する側部開口15aを有し、縦穴14に連通している。
複数の横孔15は、互いに同一の大きさ及び同一の形状を有している。
横孔15は、キャンドル本体10の軸線方向において等間隔にて3つ以上設けられている。
【0026】
横孔15は、キャンドル本体10の周方向において等間隔にて複数設けられている。
図4及び図5に示すように、横孔15は、例えばキャンドル本体10の周方向において90度間隔にて4つ設けられている。
【0027】
横孔15は、キャンドル本体10の径方向に沿って延在している。横孔15は、例えば円孔である。横孔15の内径は、例えば5mm~15mmである。本実施形態の横孔15の内径は、10mmである。
【0028】
本実施形態では、キャンドル本体10の軸線方向において上から奇数番目に位置する横孔15と上から偶数番目に位置する横孔15とで、周方向における位置が45度ずれている。
【0029】
図1及び図2に示すように、キャンドル本体10の下部には、把持部16が設けられている。把持部16には、縦穴14及び横孔15が設けられていない。把持部16の長さは、例えば50mm~200mmである。本実施形態の把持部16の長さは、50mmである。
【0030】
<栓20>
図1及び図2に示すように、栓20は、横孔15に差し込まれることで横孔15を閉塞するように構成されている。
【0031】
本実施形態の栓20は、断面円形状である。本実施形態の栓20は、円錐台状である。
栓20は、例えば木材である。栓20は、キャンドル本体10と同様な広葉樹材により形成されていることが好ましい。
【0032】
次に、本実施形態の作用について説明する。
キャンドル本体10の上端面11に対してバーナーなどを用いて着火されると、図6に示すように、キャンドル本体10が上から下に向かって燃焼するようになる。ここで、外気が横孔15を通じて縦穴14に供給されることで、キャンドル本体10は、縦穴14を中心に燃焼するようになる。そして、縦穴14の内部が輻射熱によって高温に維持されることで、強風でも火が消えることなく燃焼し続けるようになる。
【0033】
また、3つ以上の横孔15がキャンドル本体10の軸線方向において等間隔にて設けられているため、キャンドル本体10の軸線方向において互いに隣り合う横孔15同士の部分の燃焼時間が略均一となる。このことにより、キャンドル本体10を上から下に向かって略均一な速さで燃焼させることができる。
【0034】
また、複数の横孔15のうちの任意の横孔15に栓20を差し込むことにより、当該横孔15を通じた外気の流入が遮断されるようになる。これにより、キャンドル本体10の燃焼を抑制できる。
【0035】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)キャンドル本体10は、縦穴14と、複数の横孔15とを有している。横孔15は、軸線方向において等間隔にて3つ以上設けられている。
【0036】
こうした構成によれば、上記作用を奏するため、キャンドル本体10の燃焼状態を容易に制御できる。
(2)横孔15は、キャンドル本体10の周方向において等間隔にて複数設けられている、
こうした構成によれば、複数の横孔15を通じて外気がバランス良く縦穴14に供給される。これにより、キャンドル本体10の燃焼のしやすさが周方向においてばらつくことを抑制できる。
【0037】
(3)キャンドル本体10が、円柱状をなしている。キャンドル本体10の外径が、20mm以上であり、且つ80mm以下である。
こうした構成によれば、キャンドル本体10を容易に把持することができる。したがって、ウッドキャンドルを松明として持ち運ぶことができる。
【0038】
(4)キャンドル本体10の下部には、把持部16が設けられている。把持部16には、縦穴14及び横孔15が設けられていない。
こうした構成によれば、キャンドル本体10の下部に設けられた把持部16には横孔15が設けられていないため、把持部16が握りやすくなる。また、把持部16に縦穴14及び横孔15が設けられていないことでキャンドル本体10の上部に比べて把持部16の燃焼が抑制される。これにより、ウッドキャンドルの携帯性が向上する。
【0039】
(5)ウッドキャンドルは、横孔15に差し込まれることで横孔15を閉塞する栓20を更に備えている。
こうした構成によれば、専用の栓20を用いることで、キャンドル本体10の燃焼状態を一層容易に制御できる。
【0040】
(6)キャンドル本体10を形成する木材は、含水率が15%以下の広葉樹材である。このため、キャンドル本体10が上から下に向かって徐々に安定して燃焼するようになる。
【0041】
(7)住宅や家具に用いられる広葉樹材の端材によってキャンドル本体10を形成することが可能となる。このため、木材資源の有効利用を図ることができる。
<変形例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・縦穴14は、キャンドル本体10を軸線方向において貫通するものであってもよい。
・ウッドキャンドルは、専用の栓20を備えていないものであってもよい。
図7に示すように、横孔15は、キャンドル本体10の径方向において縦穴14に近づくほど、すなわちキャンドル本体10の内周側ほど上端面11に近づくように傾斜して延びているものであってもよい。この場合、側部開口15aを通じて横孔15に雨水が入り込みにくくなる。これにより、雨水によってキャンドル本体10の火が消えることを抑制できる。
【0043】
・把持部16を省略することもできる。すなわち、キャンドル本体10の下部に横孔15が設けられていてもよい。
・キャンドル本体10の外径は、20mm未満であってもよい。また、キャンドル本体10の外径は、80mmよりも大きくてもよい。
【0044】
・キャンドル本体10は、円柱状に限定されず、四角形柱状や六角形柱状などの多角形柱状であってもよい。
・横孔15は、キャンドル本体10の周方向において不等間隔にて設けられるものであってもよい。
【0045】
・横孔15は、周方向において1つだけ設けられるものであってもよい。
・キャンドル本体10は、広葉樹材に限定されず、針葉樹材によって形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…キャンドル本体
11…上端面
12…下端面
13…外周面
14…縦穴
14a…上部開口
15…横孔
15a…側部開口
16…把持部
20…栓
【要約】
【課題】燃焼状態を容易に制御できるウッドキャンドルを提供すること。
【解決手段】ウッドキャンドルは、上下方向に延在する柱状の木材により形成されたキャンドル本体10を備えている。キャンドル本体10は、上端面11と、下端面12と、上端面11と下端面12との間に位置する外周面13と、キャンドル本体10の軸線方向に沿って延在し、上端面11に開口する上部開口14aを有する縦穴14と、外周面13に開口する側部開口15aを有し、縦穴14に連通するとともに互いに同一の大きさ及び同一の形状を有する複数の横孔15とを有している。横孔15は、軸線方向において等間隔にて3つ以上設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7