(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】米飯成形装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230615BHJP
【FI】
A23L7/10 G
(21)【出願番号】P 2019083384
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】田尻 哲也
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-223166(JP,A)
【文献】特開2016-019492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に間欠的に回転する成形テーブル
の周方向に所定の間隔を空けて形成された複数の成形孔に米飯を投入して圧縮成形し、成形飯を連続的に生産する米飯成形装置であって、
複数の前記成形孔内に収容され、前記成形テーブルの間欠回転動作に追従して前記成形孔内で昇降しながら移動する成形下型と、
間欠回転する前記成形テーブルの所定位置で前記成形孔に米飯を投入する米飯投入手段と、
前記成形孔に投入された米飯を上方向から圧縮して所定の形状に成形する成形上型と、
それぞれの前記成形孔内の前記成形下型の有無を検出するセンサと、
前記センサにより前記成形下型が有ると検出された前記成形孔には前記米飯投入手段により米飯を投入する一方、前記センサにより前記成形下型が無いと検出された前記成形孔には米飯を投入せずに、前記成形テーブルの回転により前記成形孔内の米飯を所定の形状に成形する制御を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とする米飯成形装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記米飯投入手段による米飯の投入に先立って前記センサを介して全ての前記成形孔における前記成形下型の有無についての情報を取得し、その後、当該情報に基づいて、前記成形下型が有る前記成形孔にのみ前記米飯投入手段により米飯を投入しながら前記成形孔内の米飯を所定の形状に成形する制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯成形装置。
【請求項3】
前記センサは所定位置に1個設けられ、
前記制御手段は、前記成形テーブルを1回転させて前記センサにより前記成形孔内の前記成形下型の有無を個別に検出させて前記情報を取得する、
ことを特徴とする請求項2記載の米飯成形装置。
【請求項4】
前記センサは全ての前記成形孔にそれぞれ対応して複数個設けられ、
前記制御手段は、前記成形テーブルを停止させた状態で複数個の前記センサにより全ての前記成形孔内の前記成形下型の有無を一括して検出させて前記情報を取得する、
ことを特徴とする請求項2記載の米飯成形装置。
【請求項5】
前記センサは所定位置に1個設けられ、
前記制御手段は、前記成形テーブルが間欠回転する毎に前記センサにより前記成形孔内の前記成形下型の有無を検出し、前記成形下型が有る前記成形孔にのみ前記米飯投入手段により米飯を投入しながら前記成形孔内の米飯を所定の形状に成形する制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯成形装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記米飯投入手段により米飯が投入された前記成形孔に対してのみ前記成形上型を動作させる制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の米飯成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
米飯を様々な形状(シャリ玉やおにぎりなどの形状)に成形する米飯成形装置として、水平方向に間欠的に回転するターンテーブル(成形テーブル)を用いたものが知られている。
【0003】
この米飯成形装置では、ターンテーブルの周方向に対して所定の間隔を空けて複数の成形孔が形成されており、当該成形孔内には、ターンテーブルに追従して成形孔内で昇降しながら移動する成形下型が収容されている。そして、成形孔に米飯を投入して上方向から成形上型で圧縮することにより、米飯が所定の形状に成形されるようになっている。
【0004】
ここで、成形下型はターンテーブルに着脱可能に収容されており、ターンテーブルの全ての成形孔に成形下型を組み付けて運転することにより、当該成形孔の下に米飯が漏れることなく成形される。
【0005】
なお、このような米飯成形装置については、例えば特許文献1(特開平10-127238号公報)や特許文献2(特開2005-185133号公報)に開示されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-127238号公報
【文献】特開2005-185133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、何らかの理由により成形下型が収容されていない成形孔があった場合、そのままで装置の運転を行うと、当該成形孔に投入された米飯がターンテーブルの下に漏れてターンテーブルの動作抵抗となる。したがって、全ての成形孔に成形下型が収容されていない状態では、装置を動かすことができない。
【0008】
確かに、成形下型が収容されている成形孔だけに米飯を投入すればこのような問題は発生しないが、そのためには、運転開始にあたって、成形下型が組み込まれている成形孔を指定して米飯を投入するようなプログラムを設定しなければならず、煩雑になるのみならず、成形孔の指定ミスが発生するおそれがある。しかも、成形下型の組み付け忘れでは、そのようなプログラムを設定する作業自体が行われない。
【0009】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、ターンテーブルに形成された成形孔内の成形下型の有無にかかわらず米飯の成形を行うことが可能な米飯成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯成形装置は、水平方向に間欠的に回転する成形テーブルの周方向に所定の間隔を空けて形成された複数の成形孔に米飯を投入して圧縮成形し、成形飯を連続的に生産する米飯成形装置であって、複数の前記成形孔内に収容され、前記成形テーブルの間欠回転動作に追従して前記成形孔内で昇降しながら移動する成形下型と、間欠回転する前記成形テーブルの所定位置で前記成形孔に米飯を投入する米飯投入手段と、前記成形孔に投入された米飯を上方向から圧縮して所定の形状に成形する成形上型と、それぞれの前記成形孔内の前記成形下型の有無を検出するセンサと、前記センサにより前記成形下型が有ると検出された前記成形孔には前記米飯投入手段により米飯を投入する一方、前記センサにより前記成形下型が無いと検出された前記成形孔には米飯を投入せずに、前記成形テーブルの回転により前記成形孔内の米飯を所定の形状に成形する制御を実行する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の本発明の米飯成形装置は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記米飯投入手段による米飯の投入に先立って前記センサを介して全ての前記成形孔における前記成形下型の有無についての情報を取得し、その後、当該情報に基づいて、前記成形下型が有る前記成形孔にのみ前記米飯投入手段により米飯を投入しながら前記成形孔内の米飯を所定の形状に成形する制御を実行する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明の米飯成形装置は、請求項2記載の発明において、前記センサは所定位置に1個設けられ、前記制御手段は、前記成形テーブルを1回転させて前記センサにより前記成形孔内の前記成形下型の有無を個別に検出させて前記情報を取得する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明の米飯成形装置は、請求項2記載の発明において、前記センサは全ての前記成形孔にそれぞれ対応して複数個設けられ、前記制御手段は、前記成形テーブルを停止させた状態で複数個の前記センサにより全ての前記成形孔内の前記成形下型の有無を一括して検出させて前記情報を取得する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明の米飯成形装置は、請求項1記載の発明において、前記センサは所定位置に1個設けられ、前記制御手段は、前記成形テーブルが間欠回転する毎に前記センサにより前記成形孔内の前記成形下型の有無を検出し、前記成形下型が有る前記成形孔にのみ前記米飯投入手段により米飯を投入しながら前記成形孔内の米飯を所定の形状に成形する制御を実行する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の本発明の米飯成形装置は、請求項1~5のいずれか1項に記載の発明において、前記制御手段は、前記米飯投入手段により米飯が投入された前記成形孔に対してのみ前記成形上型を動作させる制御を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制御手段により、センサにより成形孔の成形下型の有無を検出し、成形下型が収容されている成形孔にのみ米飯を投入するようにしているので、成形テーブルに形成された成形孔内の成形下型の有無にかかわらず、米飯の成形を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態である米飯成形装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態である米飯成形装置を
図1とは異なる方向から示す斜視図である。
【
図3】
図1の米飯成形装置の米飯解し部および米飯計量分割部を抜き出して示す正面図である。
【
図4】
図1の米飯成形装置のターンテーブルを抜き出して示す斜視図である。
【
図5】
図1の米飯成形装置の成形上型と成形下型とを示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施の形態である米飯成形装置による米飯成形動作を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の他の実施の形態である米飯成形装置による米飯成形動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態である米飯成形装置を示す斜視図、
図2は本発明の一実施の形態である米飯成形装置を
図1とは異なる方向から示す斜視図、
図3は
図1の米飯成形装置の米飯解し部および米飯計量分割部を抜き出して示す正面図、
図4は
図1の米飯成形装置のターンテーブルを抜き出して示す斜視図、
図5は
図1の米飯成形装置の成形上型と成形下型とを示す斜視図、
図6は
図5の成形下型を詳しく示す斜視図である。
【0020】
図1~
図3に示すように、本実施の形態の米飯成形装置1は、例えば寿司シャリ玉等のような米飯を成形する装置であり、米飯解し部2と、その下方に設置された米飯計量分割部(米飯投入手段)3と、その下方に設置されたターンテーブル(成形テーブル)4とを備えている。
【0021】
米飯解し部2は、米飯を柔らかく解すための機構部であり、ホッパ2aと、その下部に設置された米飯供給筒2bと、その米飯供給筒2bの内部に回転自在の状態で設置された2つの解し部材2c,2dと、米飯供給筒2b内の奥側の内壁面に固定された複数の固定羽根2eとを備えている。
【0022】
ホッパ2aは、米飯成形装置1の最上部に設置されている。このホッパ2aには、上部から下部に向かって面積が小さくなるような略逆四角錐状の開口部2aaが形成されており、その開口部2aaの上部から米飯成形装置1内に米飯を入れることが可能になっている。
【0023】
なお、米飯成形装置1には、米飯を入れる際にホッパ2aの開口部2aaを開閉するための上蓋が取り付けられるが、
図1および
図2では、図示が省略されている。
【0024】
米飯供給筒2bは、ホッパ2aと米飯計量分割部3との間に設置されている。この米飯供給筒2bには、上部から下部に向かって面積が小さくなるような漏斗状の開口部2baが形成されている。この米飯供給筒2bの開口部2baの上部は、ホッパ2aの開口部2aaの下部と一致し、互いに連通した状態で接続されている。
【0025】
このような米飯供給筒2bの開口部2ba内は、ホッパ2aから送られた米飯を柔らかく解すための空間になっているとともに、その解された米飯を米飯計量分割部3に導くための空間になっている。
【0026】
この米飯供給筒2b内の下部において両側面には、米飯を検出するセンサ(図示せず)の発光側の窓部と受光側の窓部とが互いに対向するように設けられている。このセンサで米飯が検出されない場合(例えば米飯がセンサの発光部からの検出光を遮らない場合)は米飯の送りを停止し、センサで米飯が検出された場合(例えば米飯がセンサの発光部からの検出光を遮った場合)は米飯の送りを再開するようになっている。
【0027】
解し部材2c,2dは、その回転動作により米飯を撹拌し解すとともに、解した米飯を米飯計量分割部3に送り出す部材であり、回転軸2ca,2daと、その外周に突設された複数の解し羽根2cb,2dbとを備えている。
【0028】
解し部材2c,2dの各々の回転軸2ca,2daは、米飯供給筒2bの開口部2ba内において手前側と奥側との離れた位置において、米飯供給筒2bの両側面の間に掛け渡された状態で、時計回りに回転自在の状態で軸支されている。なお、ここでは、米飯供給筒2b内に2つの解し部材2c,2dを設置した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば1つだけでもよい。
【0029】
固定羽根2eは、米飯供給筒2b内において解し部材2dの回転軸2daよりも下方において、解し部材2dの各解し羽根2dbの間に位置するように離れた状態で、回転軸2daの軸方向に沿って複数配置されている。
【0030】
米飯計量分割部3は、米飯解し部2から搬送された米飯を予め決められた大きさ、形状および重さになるように計量分割する機構部であり、
図3に示すように、計量部3aと、その最下部の米飯の搬送出口部に設置された分割機構部3bとを備えている。
【0031】
計量部3aは、米飯供給筒2bの下部に設置されている。この計量部3aの上部の米飯の搬送入口部は、米飯供給筒2bの開口部2baの下部と一致し、連通した状態で接続されている。
【0032】
この計量部3aには、米飯の搬送空間を挟んで互いに対向するように配置された一対のローラ3aa,3ab,3acが米飯の搬送方向(下方)に沿って順に設置されている。ここでは、上方から下方に向かって、大径、中径および小径の3段の一対のローラ3aa,3ab,3acが配置されている場合が例示されているが、一対のローラの段数は、これに限定されるものではなく、例えば2段でも4段でもよい。
【0033】
各一対のローラ3aa,3ab,3acは、
図3の矢印で示すように互いの対向方向(内向き)に回転自在の状態で計量部3aの奥側の内壁面に軸支されているとともに、米飯の搬送方向に沿って各対の対向間隔(米飯の搬送空間)が狭くなるように配置されている。これにより、計量部3aに送られた米飯は、米粒の密度が一定に保たれたまま一対のローラ3aa,3ab,3acにより徐々に圧縮されながら下方に送られる。
【0034】
最上部の一対のローラ3aa,3aaの外周には、米飯を下方に掻き下ろすための複数の突起部Pfが周方向に沿って凹凸を形成するように予め決められた間隔毎に形成されている。また、中段の一対のローラ3abおよび下段の一対のローラ3acの各々の外周にも米飯を下方に掻き下ろすための複数の突起部Ps,Ptが周方向に沿って凹凸を形成するように予め決められた間隔毎に形成されている。さらに、中段の一対のローラ3abおよび下段の一対のローラ3acの外周は、上から見て略細長円弧状になるように形成されており、一対のローラ3ab,3acの対同士の外周を合わせると略扁平楕円形状の搬送空間が形成されるようになっている。
【0035】
分割機構部3bは、計量部3aの下部に取り付けられており、第1の分割刃3baおよび第2の分割刃3bbを備えている。これら第1の分割刃3baと第2の分割刃3bbとは、刃先が相互に嵌まり合う櫛歯形状となっており、水平方向に相互に接近離間移動して米飯の搬送出口部を開閉している。また、これら第1の分割刃3baおよび第2の分割刃3bbは、米飯の搬送出口部を閉鎖した位置において、刃先と反対側の端部を支点にして交互に下方にスイング動作するようになっており、粘り気が強く付着しやすい米飯でも、所定量だけ確実に且つ綺麗に分割できるようになっている。
【0036】
そして、計量部3aから送られた米飯は、予め設定された大きさ、形状および重さになるタイミングで分割機構部3bの第1の分割刃3baおよび第2の分割刃3bbの動作により分割されてターンテーブル4の成形孔MH内に投入される。
【0037】
ターンテーブル4は、例えば水平方向に設置された平面円形状のプレートにより形成されており、架台5に内蔵された駆動源(図示せず)によって反時計回りに間欠的に回転可能な状態で架台5上に軸支されている。
【0038】
図4に示すように、ターンテーブル4の外周近傍には、その外周方向に沿って予め決められた間隔毎にターンテーブル4の上下面を貫通する複数個の成形孔MHが形成されている。成形孔MHは、計量分割後の米飯が投入される孔であり、その平面形状は、例えば長円の形状に形成されている。ただし、成形孔MHの形状は、これに限定されるものではなく、例えば三角形状、円形状または楕円形状などでもよい。
【0039】
図1、
図2および
図5において、ターンテーブル4の外周には、計量分割後の米飯を製品形状(最終形状)に成形する成形装置(成形部)6が設置されている。成形装置6は、成形下型6Lと成形上型6Uとを備えている。
【0040】
成形下型6Lは、ターンテーブル4の各成形孔MH内に収容されている。また、
図6に示すように、成形下型6Lの下面側には、成形下型6Lがターンテーブル4の間欠回転動作に追従して滑らかに移動するように、回転ローラ6Laが回転自在の状態で設置されている。
【0041】
ここで、ターンテーブル4を軸支している架台5には、成形下型6Lを昇降させるための図示しないカム溝が設けられている。カム溝はターンテーブル4の回転中心を中心にして環状になった起伏を形成しており、成形孔MH内に収容された成形下型6Lをターンテーブル4の回転に伴って上下動させる。カム溝は、米飯計量分割部3による米飯の投入部位および成形上型6Uによる米飯の成形部位で低くなり、その後徐々に高くなって、米飯の投入部位に至る前で徐々にあるいは急峻に低くなっている。
【0042】
ターンテーブル4の成形孔MH内に収容された成形下型6Lは、回転ローラ6Laの回転によりカム溝を滑動することにより、ターンテーブル4の回転(間欠回転動作)に追従して成形孔MH内で上下しながら移動する。具体的には、米飯計量分割部3による米飯投入時および成形上型6Uによる米飯成型時には下降され、その後上昇されるようにして移動する。そして、米飯が投入される位置に到達する前に、再び下降され、以下、この動きが繰り返されることになる。
【0043】
一方、成形上型6Uは、
図1および
図2に示すように、ターンテーブル4の外周おいて計量部3aの搬送出口である米飯の投入部位よりも下流の上方に、支持部材6Sを介して支柱6Pに接合されて上下動可能な状態で支持されている。成形上型6Uの押圧面(下面)は、
図5に示すように、例えば、長手方向中央に向かって窪むような湾曲状に形成されている。
【0044】
成形時には、ターンテーブル4において計量分割後の米飯が収容された成形孔MHを成形上型6Uの押圧面(下面)の直下に位置させて成形下型6Lの上面と成形上型6Uの押圧面(下面)とを対向させた後、成形上型6Uを下降させることにより、成形孔MH内の米飯が成形上型6Uで押圧されて所定の形状に成形される。
【0045】
さて、ターンテーブル4を軸支している架台5には、米飯計量分割部3による米飯の投入部位に位置する成形孔MHの直下に、成形孔MH内の成形下型6Lを検出するセンサ7が設置されている(
図3参照)。このセンサ7は、例えば発光部と受光部とが一体になった回帰反射型の光学センサであり、センサ7から出て成形孔MHの直上に設置された反射板から戻ってくる検出光を成形下型6Lが遮ることで当該成形下型6Lの有無が検出されるようになっている。
【0046】
但し、センサ7の検出方式は回帰反射型に限定されるものではなく、回帰反射型以外の反射型センサ(拡散反射型センサなど)や、発光部と受光部とが互いに対向するように設けられた透過型センサなどでもよい。さらに、センサ7は、超音波を用いた検出方式の超音波センサでもよい。また、センサ7の設置位置は、架台5ではなくても、成形孔MH内の成形下型6Lの有無を検出できる位置であればよく、例えば成形孔MHの直上などでもよい。
【0047】
以上の構成を有する米飯成形装置1による米飯の成形動作は、装置内に設けられた制御部(制御手段)による制御下にて実行される。
【0048】
すなわち、開口部2aaを通じて米飯がホッパ2a内に充填されると、米飯は米飯供給筒2b内の2段の解し部材2c,2dの回転動作により解されながら米飯供給筒2b内の内壁面に沿って落下し、米飯計量分割部3の計量部3a内に送られる。
【0049】
続いて、計量部3a内に送られた米飯は、3段の一対のローラ3aa,3ab,3acの内向きの回転動作により圧縮されながら下方に送られ、予め設定された大きさ、形状および重さとなるタイミングで分割機構部3bの第1の分割刃3baおよび第2の分割刃3bbの動作により分割されてターンテーブル4の成形孔MH内に投入される。
【0050】
続いて、成形孔MHに投入された米飯は、ターンテーブル4の反時計回りの間欠回転により成形装置6の成形上型6Uの直下に送られる。すると、成形上型6Uが下降することにより、成形孔MH内の米飯は成形上型6Uで押圧され最終形状に成形される。
【0051】
ここで、本実施の形態の米飯成形装置1における制御部では、米飯計量分割部3からターンテーブル4の成形孔MH内に米飯が投入されるのに先立って、成形孔MH内に成形下型6Lが収容されているかという成形下型6Lの有無について、前述したセンサ7により全ての成形孔MHについて検出を行っている。そして、検出した情報を取得(メモリに格納)し、当該情報に基づいて、成形下型6Lが収容されている成形孔MHだけに米飯を投入しながら当該成形孔MH内の米飯を所定の形状に成形するようになっている。
【0052】
このような米飯成形装置1の動作について、
図7を用いて説明する。ここで、
図7は本発明の一実施の形態である米飯成形装置による米飯成形動作を示すフローチャートである。
【0053】
図7において、米飯をホッパ2a内に充填し(ステップS1)、成形個数などの成形条件の設定を行ってスタートボタンを押下すると(ステップS2)、ターンテーブル4が原点復帰して米飯計量分割部3からの米飯投入部位と成形孔MHとの位置合わせが行われる(ステップS3)。
【0054】
次に、ターンテーブル4が1回転して、センサ7により全ての成形孔MHについての成形下型6Lの有無が検出され(ステップS4)、検出した情報がメモリに格納される(ステップS5)。そして、メモリに格納した情報に基づいて、米飯の投入部位に位置している米飯投入対象の成形孔MHは成形下型6Lが有る成形孔MHかどうかが判断される(ステップS6)。
【0055】
ステップS6において、成形下型6Lが有る成形孔MHの場合には、米飯計量分割部3から当該成形孔MHへ米飯が投入される(ステップS7)。そして、ターンテーブル4が成形孔MHの1間隔分間欠回転し(ステップS8)、成形上型6Uが下降して成形孔MH内の米飯が当該成形上型6Uで押圧され、所定の形状に成形される(ステップS9)。続いて、設定個数の米飯を成形したかどうかが判断される(ステップS10)。
【0056】
ステップS10において、設定個数の米飯の成形が完了した場合には、成形動作が終了する。また、ステップS10において、設定個数の米飯の成形が完了していなければ、ステップS6に戻る。ここで、ステップS8において、ターンテーブル4が成形孔MHの1間隔分間欠回転しているので、ステップS6に戻ったときの米飯計量分割部3からの米飯投入部位には、米飯が投入された成形孔MHの一つ回転方向上流側の成形孔MHが位置することになる。以下、設定個数の米飯の成形が完了するまで、ステップS6~ステップS11(後述する)の動作を繰り返す。
【0057】
ステップS6において、米飯投入対象の成形孔MHが成形下型6Lが無い成形孔MHの場合には、当該成形孔MHに米飯を投入せずに、ターンテーブル4が成形孔MHの1間隔分間欠回転して(ステップS11)、ステップS6に戻る。ステップS6に戻ったときの米飯計量分割部3からの米飯投入部位には、成形下型6Lが無い成形孔の一つ回転方向上流側の成形孔MHが位置している。そこで、ステップS6において、当該成形孔MHについて、メモリに格納した情報に基づき、成形下型6Lが有る成形孔MHかどうかが判断される(ステップS6)。以下、設定個数の米飯の成形が完了するまで、ステップS6~ステップS11の動作を繰り返す。
【0058】
本実施の形態の米飯成形装置1において、制御部により以上説明した成形動作が行われるようになっているのは、次の理由による。
【0059】
すなわち、成形下型6Lを紛失や破損したり、あるいは成形下型6Lの組み付け忘れなどにより成形下型6Lが収容されていない成形孔MHがあるにもかかわらず米飯の成形動作を実行すると、成形下型6Lが収容されていない成形孔MHに投入された米飯がターンテーブル4の下に漏れてしまう。すると、ターンテーブル4の回転に伴って米飯が他の成形下型6Lにまとわりついて動作抵抗となり、運転不能な状態に陥ってしまうからである。
【0060】
そして、本実施の形態の米飯成形装置1では、制御部により、センサ7により成形孔MHの成形下型6Lの有無を検出し、成形下型6Lが収容されている成形孔MHにのみ米飯を投入するようにしているので、ターンテーブル4に形成された成形孔MH内の成形下型6Lの有無にかかわらず、運転不能な状態に陥ってしまうことなく、米飯の成形を行うことが可能になる。
【0061】
したがって、例えば成形下型6Lを紛失したり破損した場合であっても、補充部品(成形下型6L)の到着を待つことなく、装置を稼働させることができる。また、成形下型6Lの組み付け忘れたまま装置を稼働させても、運転不能になることがない。
【0062】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0063】
例えば、以上説明した米飯成形装置1では、センサ7が1個設けられており、ステップS4において、ターンテーブル4を1回転させて当該センサ7により成形孔MH内の成形下型6Lの有無を個別に検出して情報を取得している。これに対して、センサ7を全ての成形孔MHにそれぞれ対応して複数個設けておき、ターンテーブル4を停止させた状態でこれら複数個のセンサ7により全ての成形孔MH内の成形下型6Lの有無を一括して検出し情報を取得するようにしてもよい。
【0064】
また、制御部は、成形下型6Lが収容されていない成形孔MHがターンテーブル4の間欠回転により成形上型6Uの直下に送られたときは成形上型6Uが下降しないようにし、米飯計量分割部3により米飯が投入された成形孔MHに対してのみ成形上型6Uを動作させる制御を行うのが望ましい。このようにすれば、成形上型6Uの無駄な動作(米飯の投入されていない成形孔MHに対する成形動作)が排除される。
【0065】
さらに、以上説明した米飯成形装置1では、米飯計量分割部3からターンテーブル4の成形孔MH内に米飯が投入されるのに先立って成形孔MH内の成形下型6Lの有無を検出しておき、成形下型6Lが収容されている成形孔MHだけに米飯を投入するようになっている。しかしながら、ターンテーブル4が間欠回転する毎に成形孔MH内の成形下型6Lの有無を検出して、成形下型6Lが収容されている成形孔MHだけに米飯を投入するようにしてもよい。
【0066】
以下、このような米飯成形装置1の動作について、
図8を用いて説明する。ここで、
図8は本発明の他の実施の形態である米飯成形装置による米飯成形動作を示すフローチャートである。
【0067】
図8において、米飯をホッパ2a内に充填し(ステップS21)、成形個数などの成形条件の設定を行ってスタートボタンを押下すると(ステップS22)、ターンテーブル4が原点復帰して米飯計量分割部3からの米飯投入部位と成形孔MHとの位置合わせが行われる(ステップS23)。
【0068】
次に、センサ7により、米飯投入対象の成形孔MHについての成形下型6Lの有無が検出される(ステップS24)。そして、当該成形孔MHは成形下型6Lが有る成形孔MHかどうかが判断される(ステップS25)。
【0069】
ステップS25において、成形下型6Lが有る成形孔MHの場合には、米飯計量分割部3から当該成形孔MHへ米飯が投入される(ステップS26)。そして、ターンテーブル4が成形孔MHの1間隔分間欠回転し(ステップS27)、成形上型6Uが下降して成形孔MH内の米飯が当該成形上型6Uで押圧され、所定の形状に成形される(ステップS28)。続いて、設定個数の米飯を成形したかどうかが判断される(ステップS29)。
【0070】
ステップS29において、設定個数の米飯の成形が完了した場合には、成形動作が終了する。また、ステップS29において、設定個数の米飯の成形が完了していなければ、ステップS24に戻る。ここで、ステップS27において、ターンテーブル4が成形孔MHの1間隔分間欠回転しているので、ステップS24に戻ったときの米飯計量分割部3からの米飯投入部位には、米飯が投入された成形孔MHの一つ回転方向上流側の成形孔MHが位置することになる。以下、設定個数の米飯の成形が完了するまで、ステップS24~ステップS30(後述する)の動作を繰り返す。
【0071】
ステップS25において、米飯投入対象の成形孔MHが成形下型6Lが無い成形孔MHの場合には、当該成形孔MHに米飯を投入せずに、ターンテーブル4が成形孔MHの1間隔分間欠回転して(ステップS30)、ステップS24に戻る。ステップS24に戻ったときの米飯計量分割部3からの米飯投入部位には、成形下型6Lが無い成形孔の一つ回転方向上流側の成形孔MHが位置している。そこで、ステップS24において、当該成形孔MHについて、成形下型6Lの有無が検出される。以下、設定個数の米飯の成形が完了するまで、ステップS6~ステップS30の動作を繰り返す。
【0072】
このように、ターンテーブル4が間欠回転する毎に成形孔MH内の成形下型6Lの有無を検出して、成形下型6Lが収容されている成形孔MHだけに米飯を投入するようにしても、ターンテーブル4に形成された成形孔MH内の成形下型6Lの有無にかかわらず、運転不能な状態に陥ってしまうことなく、米飯の成形を行うことが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上の説明では、本発明を寿司シャリ玉等のような米飯の成形に用いる米飯成形装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、おむすびの成形に用いられる米飯成形装置など、他の米飯成形装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 米飯成形装置
2 米飯解し部
2a ホッパ
2b 米飯供給筒
2c,2d 解し部材
3 米飯計量分割部(米飯投入手段)
3a 計量部
3aa,3ab,3ac 一対のローラ
3b 分割機構部
3ba 第1の分割刃
3bb 第2の分割刃
4 ターンテーブル(成形テーブル)
5 架台
6 成形装置(成形部)
6L 成形下型
6U 成形上型
7 センサ
MH 成形孔