(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】二次電池及び組電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/553 20210101AFI20230615BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20230615BHJP
H01M 50/176 20210101ALI20230615BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20230615BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20230615BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20230615BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20230615BHJP
【FI】
H01M50/553
H01M50/15
H01M50/176
H01M50/516
H01M50/522
H01M50/562
H01M50/566
(21)【出願番号】P 2018244433
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】室屋 陽平
(72)【発明者】
【氏名】高林 洋志
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-085961(JP,A)
【文献】特開2016-192322(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130705(WO,A1)
【文献】特開2017-041299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/543 - 567
H01M 50/502 - 526
H01M 50/15
H01M 50/176
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された端子と、を備えた二次電池であって、
前記封口板は端子取り付け孔を有し、
前記端子は、第1面と前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有するフランジ部と、前記第1面に設けられた接続部を有し、
前記接続部は前記端子取り付け孔に挿入され、
前記端子は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる第1領域と、
前記第1領域と接合されて銅又は銅合金からなる第2領域を有し、
前記フランジ部において、前記第1面側に前記第2領域が配置され、前記第2面側に前記第1領域が配置され、
前記第1領域と前記第2領域の境界の少なくとも一部が前記第1面と前記第2面の間に配置され、
前記フランジ部において、前記フランジ部の厚み方向における前記第1領域の厚みが最も小さい部分の前記第1領域の厚みが0.3mm以上であり、
前記接続部において、前記境界は中央が前記第2面側に突出する凸状に形成されており、
前記フランジ部上にアルミニウム又はアルミニウム合金製の外部導電部材が配置され、
前記外部導電部材が前記フランジ部に溶接されて溶接部が形成され、
前記溶接部は、前記端子の径方向において、前記第1領域の厚みが最も小さい部分より中心側に形成され、
前記端子の径方向において、前記溶接部の内端は、前記第2領域における、前記凸状の境界における最も厚い部分より外側に位置する二次電池。
【請求項2】
前記接続部において前記端子取り付け孔内に配置される部分では、前記第1領域よりも前記第2領域が前記接続部の径方向の外側に位置し、
前記接続部において前記端子取り付け孔内に配置される部分において、前記接続部の径方向における前記第2領域の厚みが最も小さい部分の前記第2領域の厚みは0.1mm以上である請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記凸状に形成された前記境界において中央に形成される前記第2領域の厚みが最も大きい部分の前記第2領域の厚みは0.6mm以上である請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記外部導電部材にボルト部が形成された請求項1~3のいずれかに記載の二次電池。
【請求項5】
前記外部導電部材はバスバーである請求項1~3のいずれかに記載の二次電池。
【請求項6】
前記外部導電部材は薄肉部を有し、
前記薄肉部が前記フランジ部に溶接されて前記溶接部が形成された請求項1~5のいずれかに記載の二次電池。
【請求項7】
前記溶接部は複数列形成された請求項1~6のいずれかに記載の二次電池。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の二次電池を複数含む組電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池及び組電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の二次電池は、ハイブリッド電気自動車(PHEV、HEV)や電気自動車(EV)の駆動用電源等に利用されている。駆動用電源においては、複数の二次電池が直列ないし並列接続された組電池として利用される。組電池において隣接する二次電池同士はバスバーによって電気的に接続される。
【0003】
二次電池において、正極芯体及び正極集電体としてアルミニウム系金属が用いられ、負極芯体及び負極集電体として銅系金属が汎用的に用いられる。また、正極端子に溶接される正極外部導電部材の材料にはアルミニウム系金属が用いられ、負極端子に溶接される負極外部導電部材には銅系金属が用いられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、二次電池の端子と外部導電部材との接続部の信頼性に優れた二次電池及びそれを用いた組電池を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態の二次電池は、
正極板と負極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記正極板又は前記負極板に電気的に接続された端子と、を備えた二次電池であって、
前記封口板は端子取り付け孔を有し、
前記端子は、第1面と前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有するフランジ部と、前記第1面に設けられた接続部を有し、
前記接続部は前記端子取り付け孔に挿入され、
前記端子は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる第1領域と、銅又は銅合金からなる第2領域を有し、
前記フランジ部において、前記第1面側に前記第2領域が配置され、前記第2面側に前記第1領域が配置され、
前記第1領域と前記第2領域の境界の少なくとも一部が前記第1面と前記第2面の間に配置され、
前記フランジ部において、前記フランジ部の厚み方向における前記第1領域の厚みが最も小さい部分の前記第1領域の厚みが0.3mm以上であり、
前記フランジ部上にアルミニウム又はアルミニウム合金製の外部導電部材が配置され、
前記外部導電部材が前記フランジ部に溶接されて溶接部が形成されている。
【0007】
本発明の一形態の組電池は、前記二次電池を複数含む。本発明の一形態の組電池において前記二次電池は直列ないし並列に接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一形態によると、端子と外部導電部材の接続部の信頼性が高い二次電池及びそれを用いた組電池となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施形態に係る二次電池の正面図であり、外装体の側壁及び絶縁シートを取り除いた図である。
【
図3】封口板の長手方向に沿った正極端子近傍の断面図である。
【
図4】封口板の長手方向に沿った負極端子近傍の断面図である。
【
図5】
図4における負極端子と外部導電部材の溶接部近傍の拡大図である。
【
図6】封口板の短手方向に沿った負極端子近傍の断面図である。
【
図7】負極端子と外部導電部材の近傍の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明に係る実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は、以下の形態に限定されない。
【0011】
まず、
図1~
図4を用いて実施形態に係る角形の二次電池50の構成を説明する。二次電池50は、開口を有する角形の有底筒状の外装体1と、外装体1の開口を封口する封口板2を有する。外装体1と封口板2により電池ケース200が構成される。外装体1及び封口板2は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることがより好ましい。
【0012】
外装体1には、帯状の正極板と帯状の負極板が帯状のセパレータを介して巻回された偏平状の巻回電極体3と非水電解液が収容されている。巻回電極体3は、一方の端部に巻回された正極芯体露出部4を有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部5を有する。巻回電極体3と外装体1の間には樹脂製の絶縁シート20が配置されている。
【0013】
正極芯体露出部4には正極集電体6が接続され、正極集電体6と正極端子7が電気的に接続されている。正極集電体6と封口板2の間には内部側絶縁部材10が配置され、正極端子7と封口板2の間には外部側絶縁部材12が配置されている。電池ケース200外において、正極端子7に外部導電部材14が接続されている。外部導電部材14にはボルト部16が設けられている。外部導電部材14と封口板2の間には絶縁部材18が配置されている。
【0014】
負極芯体露出部5には負極集電体8が接続され、負極集電体8と負極端子9が電気的に接続されている。負極集電体8と封口板2の間には内部側絶縁部材11が配置され、負極端子9と封口板2の間には外部側絶縁部材13が配置されている。電池ケース200外において、負極端子9に外部導電部材15が接続されている。外部導電部材15にはボルト部17が設けられている。外部導電部材15と封口板2の間には絶縁部材19が配置されている。
【0015】
封口板2には、電池ケース200内の圧力が所定値以上となった時に破断し、電池ケース200内のガスを電池ケース200外に排出するガス排出弁21が設けられている。また、封口板2には、電解液注液孔が形成されている。この電解液注液孔は電池ケース200内に非水電解液を注液した後、封止部材23により封止される。
【0016】
次に、二次電池50の詳細構成について説明する
【0017】
[正極板]
正極板は、正極芯体としての金属箔の両面に正極活物質層が形成されたものであることが好ましい。正極芯体としては、アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。正極活物質はリチウムイオンの吸蔵と放出が可能なリチウム遷移金属酸化物であることが好ましい。正極活物質層は、正極活物質、炭素材料等の導電材、及びバインダーを含むことが好ましい。
【0018】
[負極板]
負極板は、負極芯体としての金属箔の両面に負極活物質層が形成されたものであることが好ましい。負極芯体としては、銅箔又は銅合金箔が好ましい。負極活物質は、黒鉛等の炭素材料、シリコン材料であることが好ましい。負極活物質層は、負極活物質、及びバインダーを含むことが好ましい。必要に応じて負極活物質層に導電材を含有させることもできる。
【0019】
[電極体]
幅方向における一方の端部に正極芯体露出部4を有する帯状の正極板と、幅方向における一方の端部に負極芯体露出部5を有する帯状の負極板を、帯状のセパレータを介して巻回することにより偏平状の巻回電極体3とすることができる。なお、電極体は、複数枚の正極板と複数枚の負極板を含む積層型電極体であってもよい。
【0020】
[非水電解質]
非水電解質としては、非水溶媒に電解質を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒及び電解質は公知のものを使用できる。なお、非水電解質は、固体状、ゲル状であってもよい。
【0021】
[正極側の導電経路]
図3は、封口板2の長手方向に沿った正極端子7近傍の断面図である。封口板2の正極端子取り付け孔2aの周囲において、内面側に樹脂製の内部側絶縁部材10及び正極集電体6を配置する。また、封口板2の正極端子取り付け孔2aの周囲において、外面側に樹脂製の外部側絶縁部材12を配置する。そして、正極端子7を、外部側絶縁部材12、封口板2の正極端子取り付け孔2a、内部側絶縁部材10の貫通孔及び正極集電体6の貫通孔に挿入し、正極端子7の先端を正極集電体6上にカシメる。これにより、正極集電体6及び正極端子7が封口板2に固定される。なお、正極端子7においてカシメされた部分を正極集電体6に溶接して溶接部60を形成することが好ましい。
【0022】
正極端子7には、外部導電部材14が溶接され溶接部61が形成される。外部導電部材14にはボルト部16が設けられている。ボルト部16は、外部導電部材14と、他の二次電池50の外部導電部材を電気的に接続するバスバーを固定するために用いられる。外部導電部材14と封口板2の間には樹脂製の絶縁部材18が配置される。
【0023】
正極集電体6、正極端子7、外部導電部材14はそれぞれ金属製であり、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。ボルト部16は金属製であることが好ましい。正極集電体6、正極端子7、外部導電部材14はそれぞれ封口板2と電気的に絶縁されている。
【0024】
[負極側の導電経路]
図4は、封口板2の長手方向に沿った負極端子9近傍の断面図である。封口板2の負極端子取り付け孔2bの周囲において、内面側に樹脂製の内部側絶縁部材11及び負極集電
体8を配置する。また、封口板2の負極端子取り付け孔2bの周囲において、外面側に樹脂製の外部側絶縁部材13を配置する。そして、負極端子9を、外部側絶縁部材13、封口板2の負極端子取り付け孔2b、内部側絶縁部材11の貫通孔及び負極集電体8の貫通孔に挿入し、負極端子9の先端を負極集電体8上にカシメる。これにより、負極集電体8及び負極端子9が封口板2に固定される。なお、負極端子9においてカシメされた部分を負極集電体8に溶接して溶接部62を形成することが好ましい。
【0025】
負極端子9には、外部導電部材15が溶接され溶接部63が形成される。外部導電部材15にはボルト部17が設けられている。ボルト部17は、外部導電部材15と、他の二次電池50の外部導電部材を電気的に接続するバスバーを固定するために用いられる。外部導電部材15と封口板2の間には樹脂製の絶縁部材19が配置される。
【0026】
負極集電体8は銅又は銅合金製であることが好ましい。外部導電部材15はアルミニウム又はアルミニウム製であることが好ましい。外部導電部材15をアルミニウム又はアルミニウム合金製とすることで二次電池50及びそれを用いた組電池を軽量化できる。また、アルミニウム又はアルミニウム合金製のバスバーを用いる場合、外部導電部材15とバスバーの接続を同種金属間の接続とすることができるため、外部導電部材15とバスバーの接続部の信頼性が向上する。
【0027】
図4及び
図5に示すように、負極端子9はフランジ部9aを有する。フランジ部9aは、第1面91と、第1面91と反対側に位置する第2面92と、第1面91と第2面92を繋ぐ側面93を有する。フランジ部9aの第1面91には接続部9bが設けられている。フランジ部9aの外径は、封口板2の負極端子取り付け孔2bの内径よりも大きい。フランジ部9aの外径は、接続部9bの外径よりも大きい。接続部9bは、封口板2に設けられた負極端子取り付け孔2bに挿入されている。接続部9bの先端部が負極集電体8上にカシメされている。接続部9bには凹部9cが設けられている。フランジ部9aの第2面92に突部9dが設けられている。なお、突部9dを設けなくてもよい。
【0028】
アルミニウム又はアルミニウム合金製の外部導電部材15は、フランジ部9a上に配置されている。外部導電部材15とフランジ部9aは溶接され、溶接部63が形成されている。外部導電部材15は薄肉部15bを有し、薄肉部15bがフランジ部9aに溶接されている。外部導電部材15は貫通孔15aを有する。負極端子9の突部9dは、貫通孔15a内に配置されている。薄肉部15bは、貫通孔15aの縁部近傍に形成されている。
【0029】
負極端子9は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる第1領域101と、銅又は銅合金からなる第2領域102を有する。第1領域101は第2面92側に位置し、第2領域102は第1面91側に位置している。第1領域101と第2領域102の境界103は、フランジ部9aの側面93からフランジ部9aの中央側に延びている。負極端子9の中央部(負極端子9の中心軸9xの近傍)においては、境界103は、フランジ部9aの第1面91よりも接続部9bの先端側(
図5においては下方側)に位置する。
【0030】
境界103は、フランジ部9aの側面93から負極端子9の中心軸9xに向けて第1領域101の厚みが徐々に小さくなる領域と、負極端子9の中心軸9xに向けて第1領域101の厚みが徐々に大きくなる領域が形成されるように配置されている。そして、接続部9bにおいて境界103は、中央部が第2面92側に突出する凸状に形成されている。凸状に形成されている部分は、湾曲した凸状となっている。
【0031】
フランジ部9aは、接続部9bの根元部分に、外周部の厚みよりも厚みの大きい肉厚部9eを有する。肉厚部9eは、第1面91から部分的に封口板2側に突出した状態となっている。肉厚部9eが形成されていることにより、負極端子9の導電性を向上させること
ができる。よって、より出力特性に優れた二次電池となる。また、負極端子9の発熱を抑制できるため、外部側絶縁部材13の劣化を抑制できる。
【0032】
アルミニウム又はアルミニウム合金からなる外部導電部材15は、負極端子9においてアルミニウム又はアルミニウム合金からなる第1領域101に接続されている。また、銅又は銅合金からなる負極集電体8は、負極端子9において銅又は銅合金製の第2領域102と接続されている。したがって、外部導電部材15と負極端子9が同種の金属間で接続され、負極集電体8と負極端子9が同種の金属間で接続されている。したがって、外部導電部材15と負極端子9の接続部、負極集電体8と負極端子9の接続部のそれぞれが強固であり信頼性の高いものとなる。
【0033】
ここで、外部導電部材15と負極端子9の第1領域101の間に形成された溶接部63が、負極端子9の第2領域102まで達した場合、アルミ系金属と銅系金属の間の異種金属間接合となるため、外部導電部材15と負極端子9の接合強度、及び第1領域101と第2領域102の接合強度が低下する虞がある。したがって、溶接部63は、負極端子9の第2領域102に達していないことが好ましい。
【0034】
外部導電部材15と負極端子9の第1領域101の接合強度を確保し、且つ、溶接部63が負極端子9の第2領域102に達しないようにするためには、フランジ部9aにおいて、第1領域101の厚みが最も小さい部分の第1領域101の厚みT1を0.3mm以上とすることが好ましい。これにより、負極端子9の第1領域101に形成される溶接部63の位置がずれた場合であっても、外部導電部材15と負極端子9の接合強度を確保し、且つ、溶接部63が負極端子9の第2領域102に達することを防止できる。
また、フランジ部9aにおいて、第1領域101の厚みが最も小さい部分よりも負極端子9の中心軸9xに近い領域に溶接部63が形成されるようにすることが好ましい。これにより、溶接部63が負極端子9の第2領域102に達することを効果的に防止できる。
なお、フランジ部9aにおいて、第1領域101の厚みが最も小さい部分の第1領域101の厚みT1を0.5mm以上とすることがより好ましい。
【0035】
外部導電部材15に貫通孔15aを設けることにより、外部導電部材15と負極端子9を溶接接続する際に、外部導電部材15と負極端子9のフランジ部9aの間に隙間が生じていないことを確認できるため、溶接部63を安定的に形成できる。よって、溶接部63が負極端子9の第2領域102に達しないように確実に制御できる。
また、外部導電部材15の薄肉部15bに溶接部63を形成することにより、溶接部63が負極端子9の第2領域102に達しないように確実に制御できる。なお、薄肉部15bの厚みは、突部9dの高さよりも小さいことが好ましい。
外部導電部材15の厚み(薄肉部15bの周囲の厚み)は、突部9dの高さより大きいことが好ましい。このような構成であると、溶接部63が他の部材等に接触し溶接部63が損傷することを防止できる。
【0036】
接続部9bにおいて、径方向(
図5においては左右方向)において最も第2領域102の厚みが小さい部分の第2領域102の厚みT2は、0.1mm以上であることが好ましい。これにより、接続部9bから第1領域101が露出することを確実に防止できる。なお、接続部9bから第1領域101が露出した場合、第1領域101が非水電解質により腐食する虞がある。
接続部9bにおいて、径方向において最も第2領域102の厚みが小さい部分の第2領域102の厚みT2は、0.5mm以下であることが好ましい。これにより、接続部9bにおける第1領域101が占める割合を大きくできるため溶接部63が第2領域102に達することを効果的に防止できる。
【0037】
負極端子9の接続部9bの中央部において、第2領域102の中心軸9xが延びる方向における厚みT3は、0.6mm以上であることが好ましい。これにより、負極端子9の導電性を向上させることができる。よって、より出力特性に優れた二次電池となる。また、負極端子9の発熱を抑制できるため、外部側絶縁部材13の劣化を抑制できる。
【0038】
図6は、封口板2の短手方向に沿った負極端子9近傍の断面図である。なお、
図6では、負極端子9と外部導電部材15のみを記載している。
【0039】
図7は負極端子9と外部導電部材15の近傍の平面図である。溶接部63は、負極端子9の中心軸9xから径方向において複数列形成されていることが好ましい。溶接部63が渦巻き状に形成することができる。封口板2の長手方向において、溶接部63が形成される位置は負極端子9の中心軸9xから封口板2の中央部側(ガス排出弁21側)にずれた位置に形成されていることが好ましい。これにより、より低抵抗な二次電池となる。
【0040】
なお、第2領域102の表面にニッケルからなるニッケル層を設けてもよい。
【0041】
フランジ部9aの側面に配置された境界103は外部側絶縁部材13に覆われていることが好ましい。このような構成によると、結露等により水分が負極端子9近傍に生じた場合、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる第1領域101と、銅又は銅合金からなる第2領域102とに跨って水滴ないし水膜が存在する状態となることを防止できる。よって、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる第1領域101の腐食を抑制できる。
【0042】
封口板2の短手方向におけるフランジ部9aの長さに対する肉厚部9eの長さの割合は、封口板2の長手方向におけるフランジ部9aの長さに対する肉厚部9eの長さの割合よりも大きいことが好ましい。
【0043】
[組電池]
図8は、二次電池50を複数個含む組電池500の平面図である。一つの二次電池50の外部導電部材14と他の二次電池50の外部導電部材15が、バスバー501により電気的に接続されている。外部導電部材14とバスバー501はボルト部16とナット502により締結接続されている。外部導電部材15とバスバー501はボルト部17とナット502により締結接続されている。なお、バスバー501は金属製あることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0044】
[他の組電池]
上述の実施形態に係る二次電池50及び組電池500においては、正極端子7に接続された外部導電部材14と、負極端子9に接続された外部導電部材15とを、バスバー501により接続する例を示した。一方の二次電池50の正極端子7と他方の二次電池50の負極端子9を、バスバーにより直接接続することができる。
【0045】
図9に示す組電池600では、正極端子7と負極端子9にそれぞれバスバー601が直接接続されている。バスバー601は貫通孔601aを有し、バスバー601は貫通孔601aの周囲に他の部分よりも厚みの小さい薄肉部601bを有する。バスバー601は、薄肉部601bにおいて、正極端子7と負極端子9にそれぞれ溶接され、溶接部602が形成されている。バスバー601と封口板2の間には樹脂製の絶縁部材603が配置されている。
【0046】
[その他]
負極端子9において第1領域101と第2領域102の間にニッケル層を配置してもよい。この場合、ニッケル層が境界103に存在することになる。
【符号の説明】
【0047】
50・・・二次電池
200・・・電池ケース
1・・・外装体
2・・・封口板
2a・・・正極端子取り付け孔
2b・・・負極端子取り付け孔
3・・・巻回電極体
4・・・正極芯体露出部
5・・・負極芯体露出部
6・・・正極集電体
7・・・正極端子
8・・・負極集電体
9・・・負極端子
9a・・・フランジ部
91・・・第1面
92・・・第2面
93・・・側面
9b・・・接続部
9c・・・凹部
9d・・・突部
101・・・第1領域
102・・・第2領域
103・・・境界
9e・・・肉厚部
9x・・・中心軸
10、11・・・内部側絶縁部材
12、13・・・外部側絶縁部材
14、15・・・外部導電部材
15a・・・貫通孔
15b・・・薄肉部
16、17・・・ボルト部
18、19・・・絶縁部材
20・・・絶縁シート
21・・・ガス排出弁
23・・・封止部材
60、61、62、63・・・溶接部
500・・・組電池
501・・・バスバー
502・・・ナット
600・・・組電池
601・・・バスバー
601a・・・貫通孔
601b・・・薄肉部
602・・・溶接部
603・・・絶縁部材