(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】シート剥離装置およびシート剥離方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2019043916
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 政徳
【審査官】鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-056613(JP,A)
【文献】特開2010-272755(JP,A)
【文献】特開2013-074102(JP,A)
【文献】特開2019-009149(JP,A)
【文献】特開2017-216343(JP,A)
【文献】特開2019-9149(JP,A)
【文献】特開2012-33531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート支持手段に貼付された帯状の接着シート基材から所定形状の接着シートを切り抜き、前記シート支持手段に残った抜き跡付き接着シート基材を前記シート支持手段から剥離するシート剥離装置において、
前記抜き跡付き接着シート基材に張力を付与し、前記シート支持手段から前記抜き跡付き接着シート基材を剥離する張力付与手段と、
前記抜き跡付き接着シート基材を案内する案内手段とを備え、
前記抜き跡付き接着シート基材における帯状延出方向に直交する幅方向中央部の弛み部を弛み方向の反対方向へ付勢し、当該弛み部を解消して前記抜き跡付き接着シート基材を前記案内手段へ送る弛み解消手段をさらに備え
、
前記弛み解消手段は、前記張力付与手段により張力が付与された状態の前記抜き跡付き接着シート基材における前記弛み部を解消することを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
前記弛み解消手段は、前記弛み部に気体を吹き付ける気体吹付手段と、前記接着シート基材が当該気体吹付手段の気体吹付方向に弛むことを防止するシート受け手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート剥離装置。
【請求項3】
前記弛み解消手段は、前記弛み部を検知する弛み検知手段を備え、当該弛み検知手段によって前記弛み部が検知された際、当該弛み部を弛み方向の反対方向へ付勢することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート剥離装置。
【請求項4】
シート支持手段に貼付された帯状の接着シート基材から所定形状の接着シートを切り抜き、前記シート支持手段に残った抜き跡付き接着シート基材を前記シート支持手段から剥離するシート剥離方法において、
前記抜き跡付き接着シート基材に張力を付与し、前記シート支持手段から前記抜き跡付き接着シート基材を剥離する張力付与工程と、
前記抜き跡付き接着シート基材を案内手段で案内する案内工程とを実施し、
前記抜き跡付き接着シート基材における帯状延出方向に直交する幅方向中央部の弛み部を弛み方向の反対方向へ付勢し、当該弛み部を解消して前記抜き跡付き接着シート基材を前記案内手段へ送る弛み解消工程をさらに実施
し、
前記弛み解消工程では、前記張力付与工程で張力が付与された状態の前記抜き跡付き接着シート基材における前記弛み部を解消することを特徴とするシート剥離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート剥離装置およびシート剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート支持手段に貼付された帯状の接着シート基材から所定形状の接着シートを切り抜き、シート支持手段に残った抜き跡付き接着シート基材をシート支持手段から剥離するシート剥離装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来のシート剥離装置8(シート剥離装置)では、不要シートUS(抜き跡付き接着シート基材)の帯状延出方向に直交する幅方向両側に残された残存両端部に張力を付与し、支持手段4(シート支持手段)から抜き跡付き接着シート基材を剥離するので、その張力によって残存両端部が相互に接近し、
図1(H)に示すように、抜き跡付き接着シート基材の幅方向中央部に弛み部ABSが形成される。このような弛み部ABSが形成された状態で、抜き跡付き接着シート基材のシート支持手段からの剥離が繰り返されると、
図1(I)に示すように、弛み部ABSがピンチローラ83(案内手段)に当接する度に、残存両端部にさらなる張力が付与され、当該残存両端部の相互接近が顕著化して弛み部ABSが拡大する。その結果、
図1(J)に示すように、拡大した弛み部ABSによって、ウエハWFに貼付される接着シート基材部分(接着シートとして切り抜かれる部分)に皺が入り、所望の形状の接着シートを形成できなくなるという不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、抜き跡付き接着シート基材に弛み部が形成されたとしても、当該弛み部が拡大しないように抜き跡付き接着シート基材をシート支持手段から剥離することができるシート剥離装置およびシート剥離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弛み部を解消して抜き跡付き接着シート基材を案内手段へ送るので、抜き跡付き接着シート基材に弛み部が形成されたとしても、当該弛み部が拡大しないように抜き跡付き接着シート基材をシート支持手段から剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)~(C)は、本発明のシート剥離装置の説明図。(D)~(G)は、本発明のシート剥離装置の変形例の説明図。(H)~(J)は、従来のシート剥離装置の不具合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な
図1中手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な
図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。また、
図1(B)~(G)は、
図1(A)と同じ方向から観た図なので、方向を示す矢印は省略する。
【0010】
本発明のシート剥離装置EAが採用されたシート貼付装置EA1は、被着体WKを支持するとともに、当該被着体WKからはみ出した接着シート基材ABを支持するシート支持手段10と、接着シート基材ABを被着体WKおよびシート支持手段10に貼付するシート貼付手段20と、被着体WKに貼付された接着シート基材ABを切断して接着シートASを形成するシート切断手段30と、シート支持手段10に貼付された帯状の接着シート基材ABから所定形状の接着シートASを切り抜き、シート支持手段10に残った抜き跡付き接着シート基材ABHをシート支持手段10から剥離するシート剥離装置EAとを備えている。
【0011】
シート支持手段10は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能とされた被着体支持面11Aと、当該被着体支持面11Aの外周に環状の凹溝11Bを隔てて形成されたシート貼付面11Cとが形成された支持テーブル11を備えている。
【0012】
シート貼付手段20は、駆動機器としての回動モータ21Aの図示しない出力軸に支持され、帯状の剥離シートRLの一方の面に帯状の接着シート基材ABが仮着された原反RSを支持する支持ローラ21と、原反RSを案内する原反ガイドローラ22と、原反RSが掛け回され、接着シート基材ABに付与される張力を検知可能な張力検知手段としてのロードセル23Aの検知軸23Bに回転自在に支持された張力検知ローラ23と、剥離縁24Aで剥離シートRLを折り返し、当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段としての剥離板24と、被着体WKおよびシート貼付面11Cに接着シート基材ABを押圧して貼付する押圧手段25と、駆動機器としての回動モータ26Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ26Bとで剥離シートRLを挟み込む駆動ローラ26と、図示しない駆動機器の出力軸に支持され、シート剥離装置EAの自動運転が行われている間、ピンチローラ26Bとの間に存在する剥離シートRLに常に所定の張力を付与し、当該剥離シートRLを回収する回収手段としての回収ローラ27と、上記の各部材21~27を直接的または間接的に支持する貼付フレーム28Bをそのスライダ28Aで支持する駆動機器としてのリニアモータ28とを備えている。
押圧手段25は、駆動機器としてのリニアモータ25Aと、その第1スライダ25Bに支持された駆動機器としてのリニアモータ25Cと、そのスライダ25Dに回転自在に支持された押圧ローラ25Eとを備えている。
【0013】
シート切断手段30は、複数のアームによって構成され、その作業範囲内において、作業部である先端アーム31Aで支持したものを何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての所謂多関節ロボット31と、ブラケット32Aを介して先端アーム31Aに支持された切断部材としての切断刃32とを備えている。
【0014】
シート剥離装置EAは、抜き跡付き接着シート基材ABHに張力を付与し、シート支持手段10から抜き跡付き接着シート基材ABHを剥離する張力付与手段40と、抜き跡付き接着シート基材ABHを案内する案内手段としてのガイドローラ50と、抜き跡付き接着シート基材ABHにおける帯状延出方向に直交する幅方向(Y軸方向)中央部の弛み部ABS(
図1(C)参照)を弛み方向の反対方向へ付勢し、当該弛み部ABSを解消して抜き跡付き接着シート基材ABHをガイドローラ50へ送る弛み解消手段60とを備えている。
【0015】
張力付与手段40は、シート貼付手段20と共用されるリニアモータ25Aと、その第2スライダ25Fに支持され、ガイドローラ50を回転自在に支持する剥離フレーム41と、剥離フレーム41に支持された駆動機器としてのリニアモータ42と、そのスライダ42Aに回転自在に支持された剥離位置規制ローラ43と、剥離フレーム41に支持された駆動機器としての回動モータ44と、その図示しない出力軸に支持された張力付与ローラ45と、図示しない付勢手段によって張力付与ローラ45方向に付勢され、抜き跡付き接着シート基材ABHを回収する回収手段としての回収ローラ46とを備えている。
【0016】
弛み解消手段60は、弛み部ABSに気体ARを吹き付ける気体吹付手段61と、接着シート基材ABが当該気体吹付手段61の気体吹付方向に弛むことを防止するシート受け手段62と、カメラや投影機等の撮像手段や、光学センサや超音波センサ等の各種センサ等によって構成され、弛み部ABSを検知する弛み検知手段63とを備えている。
気体吹付手段61は、加圧ポンプやタービン等の図示しない加圧手段と、当該加圧手段から送られてきた気体ARを弛み部ABSに吹き付ける吹付ノズル61Aとを備えている。
シート受け手段62は、気体ARの吹き付けによって押し付けられた弛み部ABSを平坦とし、平坦となった抜き跡付き接着シート基材ABHが摺動可能な摺動面62Bを備えた板状部材62Aを備えている。
【0017】
以上のシート剥離装置EAが採用されたシート貼付装置EA1の動作を説明する。
先ず、
図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート貼付装置EA1に対し、当該シート貼付装置EA1の使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように原反RSをセットした後、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。すると、支持ローラ21に支持された接着シート基材ABが繰り出されないように、シート貼付手段20が回動モータ21Aをロック状態とした後、シート剥離装置EAが回動モータ44を駆動し、支持ローラ21と張力付与ローラ45との間に位置する接着シート基材AB部分が弛まない程度に張力を付与する。次いで、回収ローラ46から接着シート基材AB(抜き跡付き接着シート基材ABH)が繰り出されないように、シート剥離装置EAが回動モータ44をロック状態とする。
【0018】
その後、使用者または、多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない運搬手段が、
図1(A)に示すように、被着体WKを被着体支持面11A上に載置すると、シート支持手段10が図示しない減圧手段を駆動し、当該被着体支持面11Aでの被着体WKの吸着保持を開始する。次に、シート貼付手段20およびシート剥離装置EAがリニアモータ25C、42を駆動し、
図1(A)中二点鎖線で示すように、押圧ローラ25Eおよび剥離位置規制ローラ43を下降させ、当該押圧ローラ25Eおよび剥離位置規制ローラ43でシート貼付面11Cに接着シート基材ABを所定の押圧力で押圧する。そして、シート貼付手段20がリニアモータ25Aを駆動し、押圧ローラ25Eを右方へ移動させ、被着体WKの上面およびシート貼付面11Cに接着シート基材ABを所定の押圧力で押圧して貼付する。この際、シート貼付手段20がリニアモータ28を駆動し、ロードセル23Aの検知結果を基にして貼付フレーム28Bを左右方向に移動させ、押圧ローラ25Eと支持ローラ21との間に位置する貼付前の接着シート基材AB部分に所定の張力を付与する。
【0019】
次いで、
図1(A)中二点鎖線で示すように、押圧ローラ25Eが支持テーブル11の右方所定位置に到達すると、シート貼付手段20がリニアモータ25Aの駆動を停止する。その後、シート切断手段30が多関節ロボット31を駆動し、
図1(B)に示すように、切断刃32を接着シート基材ABに突き刺した後、当該切断刃32を被着体WKの外縁に沿って1周させ、切断刃32を初期位置に復帰させる。これにより、接着シート基材ABから被着体WKに貼付された所定形状の接着シートASが形成され、被着体WKに接着シートASが貼付された一体物UPが形成される。次に、シート支持手段10が図示しない減圧手段の駆動を停止し、被着体支持面11Aでの被着体WKの吸着保持を解除すると、使用者または、図示しない運搬手段が一体物UPを支持テーブル11から取り去り、当該一体物UPを次工程に搬送する。
【0020】
そして、シート剥離装置EAがリニアモータ25Aおよび回動モータ44を駆動し、
図1(A)中二点鎖線で示すように、剥離フレーム41を右方へ移動させ、シート貼付面11Cから抜き跡付き接着シート基材ABHを剥離する。次いで、
図1(C)に示すように、抜き跡付き接着シート基材ABHがシート貼付面11Cから剥離されると、シート剥離装置EAがリニアモータ25Aおよび回動モータ44の駆動を停止した後、シート貼付手段20およびシート剥離装置EAがリニアモータ25C、42を駆動し、同図中二点鎖線で示すように、押圧ローラ25Eおよび剥離位置規制ローラ43を上昇させる。その後、回収ローラ46から抜き跡付き接着シート基材ABHが繰り出されないように、シート剥離装置EAが回動モータ44をロック状態とした後、シート貼付手段20およびシート剥離装置EAがリニアモータ25Aを駆動し、押圧ローラ25Eおよび剥離フレーム41を初期位置に復帰させる。また、リニアモータ25Aの駆動開始と同時に、シート貼付手段20が回動モータ21A、26Aを駆動し、支持ローラ21から原反RSを繰り出して新たな接着シート基材ABを被着体支持面11Aおよびシート貼付面11Cに対向配置させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0021】
ここで、上記同様の動作によって、
図1(C)に示すように、弛み部ABSが形成されると、弛み検知手段63が当該弛み部ABSを検知する。すると、シート貼付面11Cから抜き跡付き接着シート基材ABHを剥離するためにシート剥離装置EAが剥離フレーム41を右方へ移動させる前に、図示しない加圧手段を駆動し、吹付ノズル61Aから気体ARを吹き付ける。これにより、抜き跡付き接着シート基材ABH部分が摺動面62Bに押し付けられ、弛み部ABSが解消した状態となる。次に、弛み部ABSが解消した状態のまま、シート剥離装置EAがリニアモータ25Aおよび回動モータ44を駆動し、剥離フレーム41を右方へ移動させ、弛み部ABSを解消させた状態の抜き跡付き接着シート基材ABHをガイドローラ50へ送り、シート貼付面11Cから当該抜き跡付き接着シート基材ABHを剥離する。そして、弛み部ABSがあった部分がガイドローラ50よりも回動モータ44寄りに送られると、シート剥離装置EAが図示しない加圧手段の駆動を停止し、吹付ノズル61Aからの気体ARの吹き付けを停止する。
【0022】
以上のような実施形態によれば、弛み部ABSを解消して抜き跡付き接着シート基材ABHをガイドローラ50へ送るので、抜き跡付き接着シート基材ABHに弛み部ABSが形成されたとしても、当該弛み部ABSが拡大しないように抜き跡付き接着シート基材ABHをシート支持手段10から剥離することができる。
【0023】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、案内手段は、抜き跡付き接着シート基材を案内するものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0024】
シート支持手段10は、被着体WKを支持しなくてもよいし、被着体支持面11Aが備わっていなくてもよいし、抜き跡付き接着シート基材ABHのみを支持するものでもよいし、凹溝11Bがなくてもよいし、本発明のシート剥離装置EAやシート貼付装置EA1に備わっていてもよいし備わっていなくてもよい。
【0025】
シート貼付手段20は、支持ローラ21や原反ガイドローラ22等の各ローラの代わりに板状部材やシャフト部材等で原反RSを支持したり案内したりしてもよいし、原反RSを巻回することなく例えばファンフォールド折りにして支持してもよいし、剥離シートRLを巻回することなく例えばファンフォールド折りにしたり、シュレッダ等で切り刻んだりして回収してもよいし、巻回したりファンフォールド折りにしたりすることなく単に集積して剥離シートRLを回収してもよいし、剥離シートRLを回収しなくてもよいし、剥離フレーム41を移動させずにまたは移動させつつ、リニアモータ28や貼付フレーム28B等を移動させ、新たな接着シート基材ABを被着体支持面11Aおよびシート貼付面11Cに対向配置させてもよいし、張力付与手段40と共有することのない駆動機器で押圧ローラ25Eを左右方向に移動させてもよいし、押圧ローラ25Eを移動させずにまたは移動させつつ、シート支持手段10を移動させ、被着体WKおよびシート貼付面11Cに接着シート基材ABを押圧して貼付してもよいし、押圧ローラ25Eを昇降させない構成としてもよいし、張力検知手段として圧力センサや光学センサ等を採用してもよいし、張力検知手段やリニアモータ28がなくてもよいし、本発明のシート剥離装置EAやシート貼付装置EA1に備わっていてもよいし備わっていなくてもよい。
【0026】
シート切断手段30は、切断部材として接着シート基材ABを切断可能なものであればどのようなものが採用されてもよく、例えば、切断刃32の延出方向(
図1(A)の状態におけるZ軸方向)に対し、峰が平行で刃先が傾斜した切断刃32が採用されてもよいし、切断刃32の延出方向に対し、刃先が平行で峰が傾斜した切断刃32が採用されてもよいし、切断刃32の延出方向に対し、刃先および峰の両方が傾斜した切断刃32が採用されてもよいし、本来峰となる側にも刃が存在する所謂両刃を備えた切断刃32が採用されてもよいし、丸刃や鋸刃等のその他の形状の切断刃32が採用されてもよいし、ニクロム線や金属線等の電熱線や、ワイヤやベルト等の線状刃物等が採用されてもよいし、ブラケット32Aに支持されていなくてもよい。
シート切断手段30は、切断刃32を移動させずにまたは移動させつつ、シート支持手段10を移動させて接着シート基材ABを切断してもよいし、
図1(B)に示すように、切断刃32における切先側が被着体WKから遠ざかる方向に当該切断刃32を傾斜させて接着シート基材ABを切断してもよいし、同切先側が被着体WKに接近する方向に当該切断刃32を傾斜させて接着シート基材ABを切断してもよいし、同切先側が被着体WKから遠ざかる方向にも接近する方向にも傾斜させることなく接着シートASを切断してもよいし、被着体WKの外縁と同形状となるように接着シート基材ABを切断してもよいし、被着体WKの外縁よりも被着体WKから離れた位置で接着シート基材ABを切断してもよいし、被着体WKの外縁の形状とは関係なく接着シート基材ABを切断してもよいし、接着シート基材ABのみを切断してもよいし、接着シート基材ABおよび被着体WKの両方を切断してもよいし、切断刃32を着脱可能または着脱不能な構成でもよいし、切断刃32の着脱を自動で行ったり、人手で行ったり、他の装置で行ったりしてもよいし、本発明のシート剥離装置EAやシート貼付装置EA1に備わっていてもよいし備わっていなくてもよい。
【0027】
張力付与手段40は、剥離フレーム41を移動させずにまたは移動させつつ、シート支持手段10を移動させ、当該シート支持手段10から抜き跡付き接着シート基材ABHを剥離してもよいし、剥離位置規制ローラ43を昇降させなくてもよいし、剥離位置規制ローラ43がなくてもよいし、張力付与ローラ45方向に付勢されることなく、抜き跡付き接着シート基材ABHを回収可能な回収手段が採用されてもよいし、抜き跡付き接着シート基材ABHを巻回することなく例えばファンフォールド折りにしたり、シュレッダ等で切り刻んだりして回収する回収手段が採用されてもよいし、巻回したりファンフォールド折りにしたりすることなく単に集積して抜き跡付き接着シート基材ABHを回収する回収手段が採用されてもよいし、回収手段が備わっていなくてもよいし、例えば、チャックシリンダ等の駆動機器で抜き跡付き接着シート基材ABHを把持し、抜き跡付き接着シート基材ABHを把持した当該駆動機器とシート支持手段10とを相対移動させ、当該シート支持手段10から抜き跡付き接着シート基材ABHを剥離してもよい。
【0028】
案内手段は、接着シート基材ABHが巻き掛けられるガイドローラ50のようなものに限らず、例えば、張力付与ローラ45のように、接着シート基材ABHが巻き掛けられることなく当該接着シート基材ABHを案内するものでもよいし、例えば、板状部材やシャフト部材等で構成されていてもよいし、抜き跡付き接着シート基材ABHにおけるシート貼付面11Cに接着している面側が当接するものでもよいし、シート貼付面11Cに接着していない面側が当接するものでもよいし、それら両方の面側が当接するものでもよいし、1つでもよいし複数でもよい。
【0029】
弛み解消手段60は、弛み検知手段63によって弛み部ABSが検知された際のみに、弛み部ABSを弛み方向の反対方向へ付勢してもよいし、弛み検知手段63によって弛み部ABSが検知されなくても、弛み部ABSを弛み方向の反対方向へ付勢してもよいし、気体吹付手段61と併用してまたは併用せずに、
図1(D)に示すように、従動ローラ64と、当該従動ローラ64およびガイドローラ50に掛け回された丸ベルトや平ベルト等の帯状部材64Aとで構成されてもよいし、
図1(E)に示すように、駆動ローラ65Aと、従動ローラ65Bと、それら駆動ローラ65Aおよび従動ローラ65Bに掛け回された丸ベルトや平ベルト等の帯状部材65Cと、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸引が可能な吸引部材65Dとで構成されてもよいし、吸引部材65Dのみで構成されてもよいし、図示しないサクションローラで構成されてもよい。
弛み解消手段60は、
図1(F)に示すように、ローラ部材62Cでシート受け手段62を構成し、気体ARの吹き付けによって円周面に押し付けられた弛み部ABSを平坦とし、平坦となった抜き跡付き接着シート基材ABHをガイドローラ50方向へ案内してもよいし、
図1(G)に示すように、駆動ローラ62Dと、従動ローラ62Eと、それら駆動ローラ62Dおよび従動ローラ62Eに掛け回された丸ベルトや平ベルト等の帯状部材62Fとでシート受け手段62を構成してもよいし、シート受け手段62が備わっていなくてもよいし、弛み検知手段63が備わっていなくてもよい。
【0030】
シート剥離装置EAは、シート貼付装置EA1以外に、例えば、接着シートASを積層するシート積層装置や接着シートASに印字や塗布を行う印刷装置等の他の装置に用いられてもよいし、シート貼付装置EA1や他の装置等に用いられることなく、単独で用いられてもよい。
接着シート基材ABは、剥離シートRLが仮着されていなくてもよい。
【0031】
本発明における接着シート基材AB、接着シートASおよび被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シート基材ABや接着シートASは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シート基材ABや接着シートASが採用された場合は、当該接着シート基材ABや接着シートASを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シート基材ABや接着シートASは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層との間に中間層を有するもの、基材の上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材を接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シート基材ABや接着シートASは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0032】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等の部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよいし、付勢手段が採用されている場合、ばね、ゴム、樹脂等で構成してもよい。
【符号の説明】
【0033】
EA…シート剥離装置
10…シート支持手段
40…張力付与手段
50…ガイドローラ(案内手段)
60…弛み解消手段
61…気体吹付手段
62…シート受け手段
63…弛み検知手段
AB…接着シート基材
ABH…抜き跡付き接着シート基材
ABS…弛み部
AS…接着シート