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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】ゴルフスイング練習機
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
A63B69/36 501B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019077268
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020174735
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】398022279
【氏名又は名称】株式会社アルペン
(74)【代理人】
【識別番号】100129698
【弁理士】
【氏名又は名称】武川 隆宣
(72)【発明者】
【氏名】浦 功二
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-015025(JP,A)
【文献】韓国登録特許第0832098(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0261070(US,A1)
【文献】特開2016-112395(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0291090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの先端部に固定される連結部と、
前記連結部から延び出る突出部と、
前記突出部に沿ってスライド移動可能な状態で当該突出部に外装された錘体と、
前記錘体を前記連結部側へ引き寄せて吸着し保持する磁石と、
前記突出部の先端部に形成され、前記錘体が前記突出部から抜け出すことを防止する抜け止め部と、
を備えたヘッド部を有し、スイング速度が所定の値を超えた際に、前記磁石による前記錘体の吸着が解除されるように作動し、前記錘体が移動して前記抜け止め部との間で衝突音が発生するように構成されたゴルフスイング練習機であって、
前記突出部に対して回転可能に環装されたダイヤル部材と、
ダイヤル部材の内周面と螺合するとともに、前記錘体の磁石側端面と当接する環状部材と、
前記錘体の磁石側端面を吸着するための磁石を保持する磁石保持部材と、
を備え、
当該磁石保持部材は、前記環状部材に形成された凹所内又は透孔内に配置されており、かつ、前記錘体の移動方向における前記磁石保持部材の位置は常時固定されており、
前記ダイヤル部材を回転した場合には、前記錘体の移動方向における前記環状部材の位置を可変にすることで、前記磁石と前記錘体との距離を変更できるようにしたことを特徴とするゴルフスイング練習機。
【請求項2】
シャフトの先端部に固定される連結部と、
前記連結部から延び出る突出部と、
前記突出部に沿ってスライド移動可能な状態で当該突出部に外装された錘体と、
前記錘体を前記連結部側へ引き寄せて吸着し保持する磁石と、
前記突出部の先端部に形成され、前記錘体が前記突出部から抜け出すことを防止する抜け止め部と、
を備えたヘッド部を有し、スイング速度が所定の値を超えた際に、前記磁石による前記錘体の吸着が解除されるように作動し、前記錘体が移動して前記抜け止め部との間で衝突音が発生するように構成されたゴルフスイング練習機であって、
前記突出部に対して回転可能に環装されたダイヤル部材と、
当該ダイヤル部材の内周面と螺合するとともに、前記錘体の磁石側端面と当接する環状部材と、
前記ダイヤル部材の回転に応じて当該ダイヤル部材の連結部側端部の内面に形成された環状ギヤの凹凸と順次係合する位置決め部を有する位置決め部材と、
前記錘体の磁石側端面を吸着するための磁石を保持する磁石保持部材と、
を備え、
前記錘体の移動方向における前記磁石保持部材の位置を常時固定し、かつ、前記ダイヤル部材を回転した場合には前記錘体の移動方向における前記環状部材の位置を可変にすることで、前記磁石と前記錘体との距離を変更できるようにしたことを特徴とするゴルフスイング練習機。
【請求項3】
前記錘体の移動方向における前記磁石保持部材の位置の常時固定は、前記突出部に形成された拡径部が当該磁石保持部材の錘体側端面に圧接することで得られ、
前記ダイヤル部材を回転した場合において、前記錘体の移動方向における前記環状部材の位置変更は、前記環状部材が前記錘体の移動方向においてのみ摺動可能となるように前記磁石保持部材と互いに係合する状態にて配置されており、前記ダイヤル部材と共に前記環状部材が回転しないようになっていることで得られるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項4】
前記磁石保持部材は、合成樹脂製であって、前記磁石の端面と前記錘体の磁石側端面との衝突による衝撃を軽減することができるものであることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項5】
前記磁石保持部材は、前記環状部材に形成された非円筒状の凹所に前記錘体側から嵌め込まれており、かつ、前記連結部側へは抜け出さないように当該環状部材によって係止されているものであることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項6】
前記位置決め部材は、合成樹脂製であって、環状に形成されており、外周部に前記位置決め部を支持する板バネ部を有し、前記ダイヤル部材の内側にて回転不能に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフスイング練習機。
【請求項7】
前記ダイヤル部材は、装置が作動するスイング速度の値を示す目盛が記載されたシールが外周面に貼り付けられているものである請求項1~6の何れか一項に記載のゴルフスイング練習機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフのスイング練習の際にヘッドスピードが一定の値を超える瞬間を認識できるとともに、装置が作動するヘッドスピード(又はスイングスピード)の値を変更して簡単に所定の値に設定できるゴルフスイング練習機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドが振られる速度が一定の値を超えると、磁石による錘の吸着が解除され、当該錘がヘッド(装置)の内部空間の反グリップ側に衝突することで衝突音が発生し、ヘッドスピードが一定の値を超えたことを確認することができるゴルフスイング練習機が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
上記特許文献1及び特許文献2のスイング練習機においては、装置が作動するヘッドスピードの値をスイング練習者が自分の運動能力や練習状況に合わせて適宜変更できるものとなっているが、装置が作動するヘッドスピードを微調整する際における操作の状態を明確化できるものとはなっていない。
【0003】
さらに、上記特許文献1~3のスイング練習機においては、錘がヘッド(装置)の内部空間に納められているため、錘による衝突音が小さく、ヘッドスピードが一定の値を超えた瞬間を認識しにくいという問題がある。
そこで、本件出願人は、既に特許文献4(特願2016-145052)において、上記の課題を解決し、錘を外部に露出するように装着することで、錘の衝突音を大きくすることができ、かつ、錘を大きくすることで衝突の際の衝撃を大きくすることができ、正しいスイングによってヘッドスピードが一定の値を超えているか否かを認識しやすいゴルフスイング練習機を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5662948号公報
【文献】実用新案登録第3078785号公報
【文献】特許第5497200号公報
【文献】特開2018-15025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなゴルフスイング練習機において、錘を吸着する磁石としては、磁力が強いネオジム磁石を使用することが望まれるが、ネオジム磁石は衝撃によって割れるおそれがあるという問題や、大型のものは価格が高くなるという問題がある。
そこで、小型のネオジム磁石によっても錘を吸引でき、かつ、錘によってネオジム磁石に直接大きな衝撃を与えない構造を有するゴルフスイング練習機を実現したいという課題がある。
さらに、強度及び耐久性に優れ、組付作業が容易な構造でありながら、装置が作動するヘッドスピードの値を変更して簡単に所定の値に設定できるゴルフスイング練習機を提供したいという課題がある。
また、装置が作動するヘッドスピードを微調整する際における操作の状態を明確化するために、操作音を発する構造を備えたゴルフスイング練習機を実現するには、部品点数が増大し、部品の故障が発生しやすいという問題や、組付作業に手間がかかるといった問題がある。
【0006】
さらに、スイングスピードを調整するダイヤルの位置とその目盛の位置を合わせることは難しいという問題がある。
そこで、コンパクトな構造で、強度及び耐久性に優れ、組付作業が容易であって、かつ、ダイヤルの位置とその目盛の位置を正しく容易に合わせることができる構造を有するゴルフスイング練習機を実現したいという課題がある。
【0007】
本発明の目的は、装置が作動するヘッドスピードの値を簡単に変更して所定の値に設定することができ、錘を外部に露出するように装着することで錘による衝突音(作動音)を大きくすることができるとともに、小型の磁石を用いるコンパクトな構造で、強度及び耐久性に優れ、組付作業が容易なゴルフスイング練習機を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、装置が作動するヘッドスピードの値を微調整する際における操作の状態を明確化することができ、操作フィーリングに優れたゴルフスイング練習機を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、ダイヤルの位置とその目盛の位置を正しく容易に合わせることができる構造を有するゴルフスイング練習機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、「シャフトの先端部に固定される連結部と、前記連結部から延び出る突出部と、前記突出部に沿ってスライド移動可能な状態で当該突出部に外装された錘体と、前記錘体を前記連結部側へ引き寄せて吸着し保持する磁石と、前記突出部の先端部に形成され、前記錘体が前記突出部から抜け出すことを防止する抜け止め部と、を備えたヘッド部を有し、スイング速度が所定の値を超えた際に、前記磁石による前記錘体の吸着が解除されるように作動し、前記錘体が移動して前記抜け止め部との間で衝突音が発生するように構成されたゴルフスイング練習機であって、前記突出部に対して回転可能に環装されたダイヤル部材と、ダイヤル部材の内周面と螺合するとともに、前記錘体の磁石側端面と当接する環状部材と、前記錘体の磁石側端面を吸着するための磁石を保持する磁石保持部材と、を備え、当該磁石保持部材は、前記環状部材に形成された凹所内又は透孔内に配置されており、かつ、前記錘体の移動方向における前記磁石保持部材の位置は常時固定されており、前記ダイヤル部材を回転した場合には、前記錘体の移動方向における前記環状部材の位置を可変にすることで、前記磁石と前記錘体との距離を変更できるようにしたゴルフスイング練習機」を最も主要な特徴とするものである。
【0009】
(2)また、本発明は、「前記ダイヤル部材の回転に応じて当該ダイヤル部材の連結部側端部の内面に形成された環状ギヤの凹凸と順次係合する位置決め部を有する位置決め部材を備えたゴルフスイング練習機」を主要な特徴とするものである。
(3)本発明のゴルフスイング練習機において、前記前記錘体の移動方向における前記磁石保持部材の位置の常時固定は、前記突出部に形成された拡径部が当該磁石保持部材の錘体側端面に圧接することで得られ、前記ダイヤル部材を回転した場合において、前記錘体の移動方向における前記環状部材の位置変更は、前記環状部材が前記錘体の移動方向においてのみ摺動可能となるように前記磁石保持部材と互いに係合する状態にて配置されており、前記ダイヤル部材と共に前記環状部材が回転しないようになっていることで得られるものであってもよい。
(4)本発明のゴルフスイング練習機において、前記磁石保持部材は、合成樹脂製であって、前記磁石の端面と前記錘体の磁石側端面との衝突による衝撃を軽減することができるものであるとよい。
【0010】
(5)本発明のゴルフスイング練習機において、前記磁石保持部材は、前記環状部材に形成された非円筒状の凹所に前記錘体側から嵌め込まれており、かつ、前記連結部側へは抜け出さないように当該環状部材によって係止されているものであってもよい。
(6)本発明のゴルフスイング練習機において、前記位置決め部材は、合成樹脂製であって、環状に形成されており、外周部に前記位置決め部を支持する板バネ部を有し、前記ダイヤル部材の内側にて回転不能に固定されているものであってもよい。
(7)本発明のゴルフスイング練習機において、前記ダイヤル部材は、装置が作動するスイング速度の値を示す目盛が記載されたシールが外周面に貼り付けられているものであるとよい。
【発明の効果】
【0011】
(1)上記のように構成した本発明のゴルフスイング練習機においては、ダイヤル部材を回転操作することで、環状部材を移動させて錘体の位置を簡単かつ確実に変更できるため、スイングの際において、前記磁石による前記錘体の吸着が解除されて装置が作動するヘッド部のスピード(スイング速度)を適宜変更してスイング練習を行うことができる。
特に、前記錘体の磁石側端面を吸着するための磁石を保持する磁石保持部材が、前記環状部材に形成された凹所内又は透孔内に配置されていることで、磁石に錘体が直接衝突することを防ぐことができ、装置の耐久性を高めることができるばかりか、磁石と錘体との間に僅かな隙間のみを設けることができ、磁石による錘体の吸着・吸引力を無駄なく活用することができる。
従って、小型で割れ易い磁石を用いることができるとともに、装置をコンパクトな構成とすることが可能となる。
【0012】
(2)本発明のゴルフスイング練習機において、前記ダイヤル部材の回転に応じて当該ダイヤル部材の連結部側端部の内面に形成された環状ギヤの凹凸と順次係合する位置決め部を有する位置決め部材を備えている場合においては、装置が作動するヘッドスピードの値を所定の値に容易に設定できるばかりか、装置が作動するヘッドスピードの値を微調整する際における操作の状態を明確化することができ、操作フィーリングに優れたゴルフスイング練習機を提供することができる。
【0013】
(3)本発明のゴルフスイング練習機において、前記突出部に形成された拡径部が磁石保持部材の錘体側端面に圧接することで前記磁石保持部材の位置の常時固定が得られ、前記ダイヤル部材を回転した場合において、前記錘体の移動方向における前記環状部材の位置変更が、前記環状部材が前記錘体の移動方向においてのみ摺動可能となるように前記磁石保持部材と互いに係合する状態にて配置されており、前記ダイヤル部材と共に前記環状部材が回転しないようになっていることで得られる場合には、簡潔で耐久性に優れた構造にて装置が作動するヘッドスピードの値を変更することができる。
【0014】
(4)また、本発明のゴルフスイング練習機において、前記磁石保持部材を合成樹脂製であって、前記磁石の端面と前記錘体の磁石側端面との衝突による衝撃を軽減することができるものを採用することで、磁石の損傷を防ぎ、装置の耐久性を高めることができる。
(5)本発明のゴルフスイング練習機において、前記磁石保持部材が、前記環状部材に形成された非円筒状の凹所に前記錘体側から嵌め込まれており、かつ、前記連結部側へは抜け出さないように当該環状部材によって係止されているものとすることで、装置の組付作業が容易となり、かつ、ダイヤル部材が回転操作された際において環状部材がダイヤル部材と共に回転してしまうことを簡潔な構成で防止することができる。
【0015】
(6)本発明のゴルフスイング練習機において、前記位置決め部材が合成樹脂製であって、環状に形成されており、外周部に前記位置決め部を支持する板バネ部を有し、前記ダイヤル部材の内側にて回転不能に固定されているものである場合には、部品点数を増大させることなく、環状ギヤの凹凸と順次係合する位置決め部を実現することができる。
(7)本発明のゴルフスイング練習機において、装置が作動するスイング速度の値を示す目盛が記載されたシールが、前記ダイヤル部材の外周面に貼り付けられている場合には、ダイヤルの位置とその目盛の位置を正しく容易に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明を具体化した一実施形態のゴルフスイング練習機の先端部付近を示し、(A)はヘッド部の縦断面図、(B)はヘッド部の磁石保持部材及び環状部材を省略した部分縦断面図、(C)はヘッド部の部分縦断面図である。
図2図2は本発明のゴルフスイング練習機の全体と拡大したヘッド部を示す正面図である。
図3図3は本発明のゴルフスイング練習機のヘッド部を構成する部品の分解斜視図である。
図4図4は本発明のゴルフスイング練習機の連結部を示し、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は位置決め部材を組み付けた様子を示す平面図である。
図5図5は本発明のゴルフスイング練習機のダイヤル部材及びラベルを示し、(A)はダイヤル部材の正面図、(B)はダイヤル部材の斜視図、(C)はダイヤル部材の平面図、(D)はダイヤル部材の底面図、(E)は目盛が記載されたシールの正面図である。
図6図6は本発明のゴルフスイング練習機の位置決め部材を示し、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は平面図、(D)は底面図、(E)は斜視図である。
図7図7は本発明のゴルフスイング練習機の環状部材を示し、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は平面図、(D)は底面図、(E)は斜視図、(F)は磁石保持部材を組み付けた様子を示す平面図である。
図8図8は本発明のゴルフスイング練習機の磁石保持部材を示し、(A)は正面図、(B)は左側面図、(C)は平面図、(D)は底面図、(E)は斜視図、(F)は磁石を組み付けた様子を示す正面図、(G)は磁石を組み付けた様子を示す左側面図、(H)は磁石を組み付けた様子を示す平面図、(I)は磁石を組み付けた様子を示す底面図である。
図9図9は本発明のゴルフスイング練習機の錘体と磁石(及び環状部材)の位置関係を示す図であって、(A)は作動するヘッドスピードを低く設定した状態を示す部分断面図、(B)は作動するヘッドスピードを高く設定した状態を示す部分断面図、(C)及び(D)は錘体に磁石が吸着した状態を示す部分断面図である。
図10図10は本発明のゴルフスイング練習機のヘッド部を示し、(A)は装置が作動するヘッドスピードを低く設定した状態を示す正面図、(B)は装置が作動するヘッドスピードを低く設定した状態を示す部分縦断面図である。
図11図11は本発明のゴルフスイング練習機のヘッド部を示し、(A)は平面図、(B)は装置が作動して錘体が抜け止め部に衝突した瞬間の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のゴルフスイング練習機は、「シャフトの先端部に固定される連結部と、前記連結部から延び出る突出部と、前記突出部に沿ってスライド移動可能な状態で当該突出部に外装された錘体と、前記錘体を前記連結部側へ引き寄せて吸着し保持する磁石と、前記突出部の先端部に形成され、前記錘体が前記突出部から抜け出すことを防止する抜け止め部と、を備えたヘッド部を有し、スイング速度が所定の値を超えた際に、前記磁石による前記錘体の吸着が解除されるように作動し、前記錘体が移動して前記抜け止め部との間で衝突音が発生するように構成されたゴルフスイング練習機であって、前記突出部に対して回転可能に環装されたダイヤル部材と、ダイヤル部材の内周面と螺合するとともに、前記錘体の磁石側端面と当接する環状部材と、前記錘体の磁石側端面を吸着するための磁石を保持する磁石保持部材と、を備え、当該磁石保持部材は、前記環状部材に形成された凹所内又は透孔内に配置されており、かつ、前記錘体の移動方向における前記磁石保持部材の位置は常時固定されており、前記ダイヤル部材を回転した場合には、前記錘体の移動方向における前記環状部材の位置を可変にすることで、前記磁石と前記錘体との距離を変更できるようにしたゴルフスイング練習機」及び「前記ダイヤル部材の回転に応じて当該ダイヤル部材の連結部側端部の内面に形成された環状ギヤの凹凸と順次係合する位置決め部を有する位置決め部材を備えたゴルフスイング練習機」であって、以下において説明する実施形態などにより好適に具体化することができる。
【0018】
以下、本発明を具体化したゴルフスイング練習機の一実施形態について説明する。
図1及び図2などに示すように、本発明の一実施形態のゴルフスイング練習機10は、カーボン繊維強化プラスチック製のゴルフクラブ用シャフトSと、当該シャフトSの基端部に装着固定されたゴム製のグリップGと、前記シャフトSの先端部に固定されたヘッド部Hとから構成されている。
【0019】
本実施形態のゴルフスイング練習機10において、前記ヘッド部Hは、シャフトSの先端部に固定された連結部1と、前記連結部1から延び出る突出部2と、前記突出部2に沿ってスライド移動可能な状態で当該突出部2に外装された略円筒状の金属製錘体3と、前記錘体3を前記シャフトS側へ引き寄せて吸着し保持する6個の磁石4と、前記突出部2の先端部に形成され、前記錘体3が前記突出部2から抜け出すことを防止する抜け止め部5と、前記錘体3の外周面を部分的に覆うように略円筒状に形成され、前記突出部2に対して回転可能に環装された合成樹脂製のダイヤル部材6などを備えている。
【0020】
ここで、前記突出部2は、(1)前記連結部1の錘体側に平坦な円形状に形成された錘体側端面1aの中央部から垂直に突出形成された雄ネジ部2aと、(2)小径部21、中径部22及び大径部を備え、前記雄ネジ部2aに螺合される雌ネジ部材2bとから構成されている。
よって、当該雌ネジ部材2bの前記連結部側の小径部21に前記雄ネジ部2aと螺合する雌ネジ21aが形成されており、当該雌ネジ部材2bの大径部が前記抜け止め部5を構成している。
上記の構成とすることで、後述するように、本実施形態のゴルフスイング練習機10は複数の構成部品を順序良く簡単に組み付けることが可能となっている。
【0021】
そして、本実施形態のゴルフスイング練習機10は、スイング速度が所定の値を超えた際に、前記磁石4による前記錘体3の吸着が解除され、前記雌ネジ部材2bの小径部21及び中径部22に沿って前記錘体3がスライド移動し、当該錘体3が前記抜け止め部5と衝突することで「カチッ」というような衝突音(作動音)を発生するようになっている。
なお、前記抜け止め部5は、前記錘体3の外径よりも外径が大きい円環状に形成されており、その外面を覆って保護するように有底円筒状の弾性体5aが嵌め込まれている。
【0022】
本実施形態のゴルフスイング練習機10において、前記連結部1、突出部2(2a,2b)及び抜け止め部5は、磁石4が吸着しない非磁性体である金属から製造されており、前記錘体3は、磁石4が吸着する金属、例えば、ステンレスから製造されている。
例えば、前記連結部1は、形が複雑であまり強度を要しないため、亜鉛合金から製造されている。
かかる構成を採用することで、前記ヘッド部Hの十分な強度及び好適な重量バランスを得ることができ、耐久性と安定した動作などを得ることができる。
【0023】
本実施形態のゴルフスイング練習機10において、前記錘体3は、その内周面を構成する貫通孔3aの前記連結部側端部に当該貫通孔3aを縮径するように形成されたフランジ部3bを有している。このフランジ部3bが形成された錘体3の連結部側端面が磁石側端面であり、前記磁石4によって吸着又は吸引される部分となる。
さらに、前記錘体3は、前記貫通孔3aに前記突出部2が挿通されることで、突出部2の外側において部分的に(特に抜け止め部5に近い部分が)外部に露出するように装着され保持されている。
また、前記錘体3を前記連結部1側へ付勢するコイルバネ7が、当該錘体3の内周面(前記フランジ部3bを除く貫通孔3aの部分)と前記雌ネジ部材2bの小径部21の外面との間に形成されている空間内に収納されるように配置されている。
従って、本実施形態のゴルフスイング練習機10においては、磁石4から離れた錘体3を速やかに連結部1側(磁石側)へ戻すことができる
【0024】
本実施形態のゴルフスイング練習機10において、前記連結部1は、スイング練習の際のアドレス時において前記突出部2が水平方向を向くように屈曲形成されており、シャフトSの先端部において、錘体3は、シャフトSの延長線上から外れる方向にスライド移動可能に外装されている。
従って、本実施形態のゴルフスイング練習機10においては、実際のゴルフクラブと同様にヘッド部Hの返り(回転)を感じることができるとともに、比較的重量のある錘体3を用いて大きな作動音を得ることができる。。
【0025】
次に、前記突出部2に挿通される透孔を備えた環状の下記部材(ア)(イ)(ウ)から構成され、ダイヤル部材6の内側に収納されて、装置が作動するヘッドスピードの値を微調整するための構造、及び、ダイヤル部材6の位置を少しずつ刻みながら変更して装置が作動するヘッドスピードの値を決定するとともにダイヤル部材6の操作状態を「カチ、カチ」という操作音によって明確化するための構造について説明する。
なお、説明の便宜上、図4図8に示すように、前記連結部側を下方とし、前記抜け止め部側を上方とする。
上記構造を実現するため、本実施形態のゴルフスイング練習機10においては、ダイヤル部材6の内側に、(ア)ダイヤル部材6の内周面に形成された螺旋状の溝6aと螺合する外周面を有するとともに、前記錘体3の磁石側端面と当接する環状部材30と、(イ)前記錘体3の磁石側端面を吸着するための磁石4を保持する磁石保持部材40と、(ウ)前記ダイヤル部材6の回転に応じて当該ダイヤル部材6の連結部側端部の内面に形成された環状ギヤ6bの凹凸(凹部及び凸部)と順次係合する位置決め部61を有する位置決め部材60と、を備えている。
【0026】
前記位置決め部材60は、強度に優れ弾性を有するPOM(ポリアセタール)などの合成樹脂にて扁平な略円環状に形成されており、その外周面に互いに120度離間した位置にて、周方向に沿った板バネ部62が設けられており、当該板バネ部62の先端部に前記位置決め部61が外方へ山形に膨出するように形成されている。
そして、3つの板バネ部62が同時に内方へ曲げられることにより、ダイヤル部材6が何れの方向に回転操作されても、3つの位置決め部61が前記環状ギヤ6bの凸部を同時に乗り越えて凹部と順次「カチ、カチ」と係合し、ダイヤルの操作状態を確認し易く、優れた操作フィーリングを得られるとともに、その設定した値の位置を維持することができる。
上記のように、複数個の板バネ部62を採用することで、使用者が「カチ、カチ」という操作音を確実に認識させることができる。
また、前記位置決め部材60の錘体側端部には、その外周に沿ったフランジ63が形成されており、ダイヤル部材6の環状ギヤ6bの側面に当接することで、位置決め部材60が連結部側(下方)へ抜け出さないようになっている。
従って、環状ギヤ6bと位置決め部61の係合状態を簡単かつ確実に常時安定して得ることができ、ダイヤル部材6によって設定される装置が作動するヘッドスピードの値を正しく維持し、かつ、同一の値に簡単に再設定できるようになっている。
さらには、組み付け作業時おいても各部品の取扱いが容易となる。
【0027】
さらに、前記位置決め部材60は、その中央部の内径を3箇所縮径するように形成された小突起64を有している。
一方、前記連結部1は、前記雄ネジ部2aの基部に沿うように錘体側端面1aから互いに120度離間して3箇所膨出形成された突起11を有している。
そして、前記小突起64が前記突起11の間に形成された空間の下部に嵌まり込むことで、前記位置決め部材60が前記連結部1の錘体側端面1aに回動不能の状態にて密着配置されるようになっている。
従って、ダイヤル部材6を前記連結部1に対して相対回動させる操作が可能となる。
【0028】
前記環状部材30は、ダイヤル部材6の内側において、錘体3が連結部側(下方)に移動できる位置を制限し、かつ、錘体3が連結部側に移動できる位置(範囲)を変更するためのものである。
即ち、この環状部材30の錘体側端面(上端面)は、スイング時において装置が作動し錘体3が磁石4による吸引を脱した時を除き、常に錘体3の連結部側端面(下端面)に当接し、錘体3と磁石4が直接接触したり衝突することを防ぐようになっている。
前記環状部材30は、全体がリング状に形成されており、その外周面に形成された螺旋状の突条31が前記ダイヤル部材6の螺旋状の溝6aと螺合することで、ダイヤル部材6を回転した場合において、前記錘体3の移動方向(上下方向)における当該環状部材30の位置変更が可能となる。
さらに、前記環状部材30は、薄いリング状であっても強度に優れ耐衝撃性を有するPC(ポリカーボネート)などの合成樹脂製であって、内径が3箇所部分的に2段階縮径されることで形成された非円筒状の凹所32を有している
即ち、この環状部材30は、中央部の透孔が非円形であって、かつ、連結部側に部分的に底33を有する凹所32を有している。
【0029】
前記磁石保持部材40は、強度に優れ耐衝撃性を有するPOMなどの合成樹脂にて略円環状に形成されており、前記環状部材30の凹所32内に相対回動不能で、かつ、前記錘体3の移動方向においてのみ摺動可能となるように上方から係合して配置されている。
即ち、前記磁石保持部材40は、前記環状部材30に形成された非円筒状の凹所32に前記錘体側から嵌め込まれている。
さらに、前記磁石保持部材40は、前記凹所32の底33に当接することで前記連結部側へは抜け出さないように当該環状部材30によって係止される。
上記のように前記磁石保持部材40が、前記環状部材30の凹所32の底33に当接した状態において、当該磁石保持部材40の錘体側端面が凹所内に沈み込む深さは、図9(A)に示す距離tLであり、一例としての実施形態においては、約2mm程度となる。
【0030】
前記磁石保持部材40は、複数個の小型磁石4を定位置に固定して保護するとともに、磁石4が錘体3と吸着した状態から当該磁石4を引き離すことができるようにするためのものであって、断面凸形の2段円柱状の磁石4の小径部を下方から嵌め込むことができる磁石保持穴41が6箇所形成されている。
前記磁石保持穴41は、磁石4の錘体側端面(上端面)が磁石保持部材40の錘体側端面と略面一となるサイズにて形成されている。
ここで、各磁石4の上端面が磁石保持部材40の上端面より上方へ突出しないようにすることで、磁石4に錘体3が直接衝突することを防止して割れ易いネオジム製の磁石4であってもその破損を防ぐことができる。
また、磁石4が樹脂製の磁石保持部材40などにて覆われているため、磁力に弱い他の財物に悪影響を与えることを防ぐことができる。
【0031】
さらに、前記磁石保持部材40の中央部に形成されている透孔の内径は、前記雌ネジ部材2bの小径部21の外径よりも小さく、かつ、前記雄ネジ部2aの外径よりも大きく設定されている。
従って、前記雄ネジ部2aが雌ネジ部材2bの雌ネジ21aに螺合されると、磁石保持部材40の上端面は小径部21の連結部側端面(下端面)と当接し、連結部側に押し留められる。
即ち、前記錘体3の移動方向(上下方向)における前記磁石保持部材40の位置の常時固定は、「前記突出部2に形成された拡径部」として機能する小径部21が当該磁石保持部材40の錘体側端面に圧接することで得られることになる。
なお、前記磁石保持部材40の連結部側端面には、中央部の透孔に沿って脚42が互いに120度離間して3箇所突出形成されており、前記連結部1の突起11の間に形成された空間の上部に嵌まり込むことで、前記磁石保持部材40が確実に回動不能となるようにされている。
【0032】
上記のように、前記錘体3の移動方向における前記磁石保持部材40の位置を常時固定し、かつ、前記ダイヤル部材6を回転した場合には前記錘体3の移動方向における前記環状部材30の位置を可変にすることで、図9(A)、図9(B)に示すように、前記磁石4と前記錘体3との距離tL、距離tHを変更できるようになる。
【0033】
ここで、装置が作動するヘッドスピードを最も低く設定したい場合には、ダイヤル部材6を回転操作して前記磁石4と前記錘体3とを離し、最も長い距離tLを作動前において得られるようにする(図10参照)。
この設定状態において、環状部材30の底33の上面が磁石保持部材40の底面に当接するため、ダイヤル部材6をさらに回転させることは不能となる。
【0034】
逆に、装置が作動するヘッドスピードを最も高く設定したい場合には、ダイヤル部材6を逆方向に回転操作して前記磁石4と前記錘体3とを接近させ、最も短い距離tHを作動前において得られるようにする。
この設定状態において、環状部材30の連結部側端面(下端面)が位置決め部材60の錘体側端面(上端面)に当接するため、ダイヤル部材6をさらに回転させることは不能となる。
また、この設定状態であっても、磁石4の上端面が錘体3と直接衝突することは無いため、磁石4の損傷を防ぐことができる。
この距離tLと距離tHの差は、一例として2mm弱程度となる。
【0035】
次に、上記にて説明したゴルフスイング練習機10を製造する方法について説明する。
前記シャフトSとヘッド部Hとの固定は、連結部1に形成されたシャフト挿入穴1bにシャフトSの先端部を入れて接着固定するなどの従来技術にて容易に可能である。
なお、このシャフト挿入穴1bの延長線上に対応する連結部1の上面には、三角形の指標1cが設けられている(図11(A)参照)。
また、抜け止め部5に対する弾性体5aの固定も接着剤を用いる従来技術にて容易に可能である。
そして、本発明のゴルフスイング練習機10のヘッド部Hを構成する各部品の組み付け作業は、以下の手順にて可能である。
【0036】
まず、ダイヤル部材6の下端部に位置決め部材60を上方から入れ、環状ギヤ6bの凹部と位置決め部61を係合させる。
次いで、前記環状部材30の突条31を前記ダイヤル部材6の螺旋状の溝6aと螺合させることで、当該環状部材30をダイヤル部材6の上部から下部に移動させ、位置決め部材60の上側に当該環状部材30が接するようにして配置する。
さらに、磁石保持穴41に磁石4を嵌め入れた磁石保持部材40をダイヤル部材6の内部に配置する作業を行うのであるが、この作業は、図3に示すように、錘体3の磁石側端面(フランジ部3bの下端面:図3においては上側の面)に磁石保持部材40を載せ、磁石4を錘体3の磁石側端面に吸着させるようにして各磁石保持穴41に磁石4を嵌め入れると良い。この状態は、図9(D)に示すような状態である。
【0037】
上記図9(D)に示すような状態となった錘体3と磁石4と保持部材40とをダイヤル部材6の内部に上側から入れ、さらに前記環状部材30の凹所32に磁石保持部材40を嵌め入れる。
上記のように組み付けた各部品を連結部1に対して組み付ける。この場合、位置決め部材60の小突起64を連結部1に形成された突起11の間に入れるようにする。
次に、コイルバネ7を錘体3の内側に入れ、さらに雌ネジ部材2bの小径部21及び中径部22を錘体3の内側に入れ、雌ネジ21aを連結部1の雄ネジ部2aと螺合する。
この雄ネジ部2aと雌ネジ21aの螺合に際しては、接着剤(アクリル樹脂系又はエポキシ樹脂系など)を用いて強固に固定することで、使用者による分解や錘体3が抜け飛ぶことを防ぐことができる。
【0038】
上記のように、位置決め部材60の上側に当該環状部材30が接するようにして配置された状態は、錘体3と磁石4が最も接近する状態であるため、ダイヤル部材6によって設定されている装置が作動するヘッドスピードは、設計上最も高い状態となる。
従って、このダイヤル位置が装置が作動する最も速いヘッドスピードの値に対応しているため、この状態における前記指標1cの位置に合わせて対応する目盛を付したシール8をダイヤル部材6の外周面に貼り付ける。
このような手順を採用することで、装置が作動するヘッドスピードの値と目盛の値を簡単に合致させることができる。
なお、ダイヤル部材6の上部外周は若干拡径されており、当該拡径部分に上下方向を向いた複数個の線状突起6cが形成され、ダイヤル部材6の回転操作を行い易くしている。
【0039】
上記のように構成されたゴルフスイング練習機10においては、前記錘体3の移動方向における前記磁石保持部材40の位置が常時固定されており、ダイヤル部材6を回転操作することで、前記錘体3の移動方向における前記環状部材30の位置を変更することができ、前記磁石4と前記錘体3との距離を簡単に変更できる。
従って、装置が作動するヘッドスピードの値を簡単に変更することができ、かつ、位置決め部材60を用いているため、任意の値への再設定も簡単かつ確実に行うことができる。
さらに、磁石4と錘体3との間の空間には介在する部材が無いため、両者の距離を近接させることができるため、小型の磁石4を使用でき、コンパクト化と低コストを実現できるばかりか、環状部材30によって磁石4に錘体3が直接衝突することを防ぐことができるため、耐久性に優れたゴルフスイング練習機を提供することができる。
【0040】
また、上記のように錘体3を外部に露出するように装着したゴルフスイング練習機10においては、錘体3と抜け止め部5との衝突音を大きくすることができ、かつ、錘体3を大きくすることで衝突の際の衝撃や衝突音を大きくすることもでき、ヘッドスピードが一定の値を超えるインパクトの瞬間を認識しやすいものとすることができる。
【0041】
上記のようにコイルバネ7を有するゴルフスイング練習機10においては、スイング時において磁石4による錘体3の吸着が解除されても、スイング後すぐに錘体3を連結部側へ戻すことができる。
ここで、一般的な成人男性のゴルファーがゴルフスイング練習機10をスイングした場合のヘッドスピードが35m/s程度である場合、ダイヤル部材6によって調整できる範囲の中央と対応する目盛を35m/s程度とし、当該ヘッドスピードにて装置が作動するように、錘体3の重量、磁石4の磁力、磁石4の個数、コイルバネ7の強さ、錘体3と磁石4の距離などを設定するとよい。
【0042】
なお、本実施形態のゴルフスイング練習機10において、前記シャフトSの長さと、前記ヘッド部Hの重量は、実際のウッドゴルフクラブ又はアイアンゴルフクラブによって得られるスイングバランスと同程度となるように設定することができる。
また、錘体3がスライド移動できる距離は、5~20mmの範囲内であることが好ましく、この錘体3がスライド移動できる距離は、錘体3がスライド移動する方向に沿った当該錘体3の長さ、当該錘体3の重量、前記突出部2の長さ、シャフトSの延長線と突出部2が為す角度などを変更することによって適宜調節可能である。
上記のとおりの構成を採用することで、本実施形態のゴルフスイング練習機10においては、重心の移動量が小さく、実際のゴルフクラブをスイングするのと同じような感覚でスイング練習を行うことができる。
【0043】
さらに、本発明のゴルフスイング練習機は、上記実施形態に限定されるものではなく、シャフトやグリップの種類を変更したり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構造、材質、形状、寸法、角度、設置位置、数、重量などが異なるゴルフスイング練習機において具体化して実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、スイング練習の際に装置が作動するヘッドスピードの値を簡単に変更し、再設定でき、操作性及び耐久性などに優れたゴルフスイング練習機として、産業上好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 ゴルフスイング練習機
1 連結部
1a 錘体側端面
1b シャフト挿入穴
1c 指標
11 突起
2 突出部(雄ネジ部2a+雌ネジ部材2b)
2a 雄ネジ部
2b 雌ネジ部材
21 小径部(拡径部)
21a 雌ネジ
22 中径部
3 錘体
3a 貫通孔
3b フランジ部
4 磁石(ネオジム磁石など)
5 抜け止め部
5a 弾性体
6 ダイヤル部材
6a 螺旋状の溝
6b 環状ギヤ
6c 線状突起
7 コイルバネ
8 シール
30 環状部材
31 突条
32 非円筒状の凹所
33 底
40 磁石保持部材
41 磁石保持穴
42 脚
60 位置決め部材
61 位置決め部
62 板バネ部
63 フランジ
64 小突起
G グリップ
H ヘッド部
S シャフト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11