(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】電力変換装置及び電力変換システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230615BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20230615BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230615BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J7/35 J
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 160
(21)【出願番号】P 2019077847
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 俊武
(72)【発明者】
【氏名】中林 久志
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-033892(JP,A)
【文献】特開2012-242135(JP,A)
【文献】特開2003-309935(JP,A)
【文献】特開2015-033234(JP,A)
【文献】特開2008-054473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池及び外部電力源の間の電源ラインを構成する、前記蓄電池側に位置する第1電路及び前記外部電力源側に位置する第2電路と、
一方に前記第1電路が接続され他方に前記第2電路
の一端が接続され、双方の電路間の導通/遮断状態を切替動作するリレーと、
前記第1電路に電気的に接続された第3電路を介して動作電源の供給を受けるとともに、前記リレーの動作を制御する制御部と、
前記第3電路に設けられ、前記制御部の制御を受けて、前記第3電路の導通/遮断状態を切り替える切替部と、
前記第2電路の他端に接続され、前記切替部により前記第3電路が遮断されているときに、前記外部電力源から受けた電力を起動電力として前記第2電路に出力する双方向型のDC/DCコンバータと、
前記第2電路と、前記第3電路のうちの前記切替部と前記制御部との間を接続する第5電路との間を接続する第4電路とを備える
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
蓄電池及び外部電力源の間の電源ラインを構成する、前記蓄電池側に位置する第1電路及び前記外部電力源側に位置する第2電路と、
一方に前記第1電路が接続され他方に前記第2電路の一端が接続され、双方の電路間の導通/遮断状態を切替動作するリレーと、
前記第1電路に電気的に接続された第3電路を介して動作電源の供給を受けるとともに、前記リレーの動作を制御する制御部と、
前記第3電路に設けられ、前記制御部の制御を受けて、前記第3電路の導通/遮断状態を切り替える切替部と、
前記第2電路の他端に接続され、前記切替部により前記第3電路が遮断されているときに、前記外部電力源から供給される電力を受けて、前記第2電路及び前記第3電路とは異なる第4電路を介して前記制御部に電力供給する双方向型のDC/DCコンバータと、
前記外部電力源と前記DC/DCコンバータの間に介挿されるパワーコンディショナとを備える
ことを特徴とする電力変換システム。
【請求項3】
請求項
1に記載の電力変換装置において、
前記第4電路は、前記起動電力の電圧値とされた出力と前記制御部の電源とを接続する電路である
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電力変換装置において、
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記切替部をオフ制御する前に、前記記憶部に復帰処理に用いる復帰情報を保存し、前記切替部のオフ制御後に前記第3電路を介して前記起動電力を受けた場合に、前記記憶部から前記復帰情報を読み出して復帰処理を実行する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記制御部は、前記切替部をオフ制御する前に、外部に当該オフ制御を実行することを示すシャットダウン信号を出力する
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電力変換装置において、
前記制御部は、前記蓄電池の電圧が所定の第1電圧未満になったときに前記リレーを遮断させ、前記蓄電池の電圧が前記第1電圧よりも低い所定の第2電圧未満になったときに前記切替部をオフ制御する
ことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電手段等の分散型電源と蓄電池とを有するハイブリッド型の電源システムの導入が進んでいる。この電源システムでは、例えば、日照量の多い昼間等に太陽光発電手段の発電電力を蓄電池に充電し、夜間等において充電電力を負荷に供給することが行われている。
【0003】
このような電源システムにおいて、蓄電池の過放電を防止する技術が知られている。例えば、特許文献1では、蓄電池が過放電となる直前の状態を検知する過放電検知部と、過放電となる直前の状態であることが検知された場合に蓄電池を電源システムから切り離すための電池切離スイッチを設ける技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ハイブリッド型の電源システムにおいて、蓄電池とパワーコンディショナとの間に電力変換装置を設け、その動作電力を蓄電池から受けるように構成した場合において、蓄電池の充放電が停止されたときに、待機電力モード(省電力モード)に移行することが行われている。しかしながら、待機電力モードでも所定電力が消費され続けるので、蓄電池が過放電になる恐れがある。一方で、特許文献1のように、過放電を防ぐために、蓄電池が過放電となる前に、蓄電池を切り離すこと(例えば、蓄電池からの電路に設けられたブレーカーを遮断させること)もできるが、自立復帰ができないという問題がある。
【0006】
上記問題に鑑み、本発明は、蓄電池の放電を停止させる放電終止点から蓄電池が過放電になるまでの時間を延長することができるように構成された電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電力変換装置は、蓄電池及び外部電力源の間の電源ラインを構成する、前記蓄電池側に位置する第1電路及び前記外部電力源側に位置する第2電路と、 一方に前記第1電路が接続され他方に前記第2電路が接続され、双方の電路間の導通/遮断状態を切替動作するリレーと、前記第1電路に電気的に接続された第3電路を介して動作電源の供給を受けるとともに、前記リレーの動作を制御する制御部と、前記第3電路に設けられ、前記制御部の制御を受けて、前記第3電路の導通/遮断状態を切り替える切替部と、前記切替部により前記第3電路が遮断されているときに、前記外部電力源から供給される電力を起動電力として前記制御部に電力供給する第4電路とを備えていることを特徴とする。
【0008】
上記態様によると、リレーよりも蓄電池側に位置する第1電路に接続された第3電路を介して制御部に電源が供給されるので、リレーが遮断状態の場合も、制御部に蓄電池から電源供給される。これにより、制御部がリレーを遮断した場合でも、蓄電池からの電源により制御部がその後の動作(例えば、リレーを遮断したことを外部に連絡する等)を続けることができるようになっている。
【0009】
一方で、上記の必要な事後動作が終了した後に、蓄電池と制御部とを接続したままにしておくと、蓄電池の充放電が行われていない場合のように制御部が動作する必要がない場合においても、制御部には待機電流(スリープ電流)が流れるという課題がある。
【0010】
そこで、本態様では、第3電路に切替部を設けて、蓄電池から制御部への電流供給を遮断状態にできるように構成されている。これにより、制御部に流れる待機電流を実質的になくすことができる。
【0011】
さらに、本態様では、外部電力源から供給される電力を起動電力として制御部に電力供給する第4電路を設けているので、切替部が遮断状態になっている場合でも、外部電力源から第4電路に電力が供給されれば、制御部を復帰させることができる。すなわち、本態様では、外部電力源を起電力として制御部へ投入する回路構成が与えられているので、当該制御部の電源を自ら遮断させる機能を組み込ませることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電力変換装置は、外部電力源を起電力として制御部へ投入する回路構成が与えられているので、当該制御部の電源を自ら遮断させる機能を組み込ませることが可能となる。これにより、この電力変換装置の動作は、かかる自己遮断機能を有効に機能させることで、蓄電池が過放電に至るまでの時間を遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】分散型電源システムの全体構成を示すブロック図
【
図2】分散型電源システムの動作を示すフローチャート
【
図3】分散型電源システムの動作を示すタイミングチャート
【
図4】比較例に係る分散型電源システムの全体構成を示すブロック図
【
図5】比較例に係る分散型電源システムの動作を示すタイミングチャート
【
図6】分散型電源システムの他の全体構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0015】
図1は実施形態に係る分散型電源システムの構成例を示した図である。
【0016】
-分散型電源システムの構成-
分散型電源システム1は、複数の分散型電源2と、複数の分散型電源2を系統82に連系させるパワーコンディショナ4とを備えている。複数の分散型電源2には、例えば、発電手段と、蓄電池22とが含まれている。ここでの蓄電池22は、蓄電ができるように構成されているものを広く包含する意味で用いており、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、燃料電池等が例示される。
図1では、発電手段として、太陽光発電手段21を例示しているが、発電手段として、風力発電等の他の発電手段が接続されていてもよい。
【0017】
分散型電源システム1では、パワーコンディショナ4を介して、太陽光発電手段21で発電された電力を負荷81に供給したり、系統82に逆潮流したりすることができるように構成されている。また、分散型電源システム1では、太陽光発電手段21で発電された電力や、系統82から供給された電力を蓄電池22に充電することができるとともに、蓄電池22から放電された放電電力を負荷81に供給することができるように構成されている。
【0018】
太陽光発電手段21とパワーコンディショナ4との間には、太陽光発電手段21の発電電力を受けてDC/DC変換し、パワーコンディショナ4に出力するDC/DCコンバータ5が設けられている。なお、DC/DCコンバータ5には、従来から知られている構成を適用することができるので、ここではその具体的構成の説明を省略する。
【0019】
蓄電池22とパワーコンディショナ4との間には、電力変換装置3が設けられている。本開示の技術は、電力変換装置3の構成及び動作に特徴があり、以下において具体的に説明する。
【0020】
-電力変換装置の構成-
電力変換装置3は、蓄電池22が接続された第1入出力端子P1に第1電路N1を介して接続されたリレー32と、リレー32の後段に第2電路N2を介して接続された第1DC/DCコンバータ33(DC/DCコンバータに相当)と、制御部34とを備えている。第1DC/DCコンバータ33の出力は、第2入出力端子P2を介してパワーコンディショナ4に出力される。さらに、電力変換装置3は、第1電路N1から分岐された第3電路N3に設けられたスイッチ35(切替部に相当)及び第2DC/DCコンバータ36を備えている。また、第1電路N1には、ブレーカー31が設けられている。
【0021】
なお、第1DC/DCコンバータ33及び第2DC/DCコンバータ36には、従来から知られている構成を適用することができるので、ここではその具体的構成の説明を省略する。また、本開示において、「接続」とは、電気的に接続されていることを意味するものとする。すなわち、「接続」とは、直接接続されているものに加えて、受動素子等を介して間接的に接続されているものを含むものとする。
【0022】
ブレーカー31は、制御部34からの第1制御信号CS1に基づいて第1電路N1を遮断する機能を有する。また、ブレーカー31には、操作レバーが設けられており、人手によって第1電路N1の導通/遮断を切り替える操作ができるようになっている。
【0023】
図1の例では、第3電路N3が、第1電路N1のうちの、ブレーカー31とリレー32の間の電路から分岐されている例を示している。換言すると、ブレーカー31は、第1電路N1に直接接続され、その後段に、他の構成要素(例えば、リレー32、第1DC/DCコンバータ33、スイッチ35、第2DC/DCコンバータ36等)が接続されている。このような構成にすることで、ブレーカー31は、蓄電池22から電力変換装置3の各構成要素への放電を人手により物理的かつ完全に遮断できるようになっている。
【0024】
リレー32は、制御部34からの第2制御信号CS2に基づいて第1電路N1と第2電路N2との間の導通/遮断を切り替える機能を有する。
【0025】
スイッチ35は、前述のとおり、第3電路N3に設けられており、制御部34の制御を受けて、蓄電池22から制御部34への動作電源の供給をオンオフ制御する。具体的に、スイッチ35は、一方の端子が第3電路N3を介して第1電路N1に、他方の端子が第3電路N3を介して第2DC/DCコンバータ36の入力に接続されている。また、スイッチ35の制御端子には、制御部34から出力され、第3電路N3の導通/遮断を制御する第3制御信号CS3がアイソレーション部37を介して与えられている。そして、第2DC/DCコンバータ36の出力(例えば、5Vの出力)が、制御部34の電源に接続されている。これにより、蓄電池22から制御部34に動作電源が供給され、その動作電源の供給/停止が制御部34の制御に基づいて実行されるようになっている。換言すると、制御部34は、自らに供給される動作電源の供給をオンオフ制御できるように構成されている。なお、作業者が電力変換装置3の起動操作をするためのスタートスイッチ38が、スイッチ35と並列に設けられていてもよい。また、電力変換装置3には、メンテナンス時における起動電源の供給や、作業者が保有する端末装置(図示省略)とのデータ通信をするためのケーブルを接続するコネクタ39を設けるようにしてもよい。
【0026】
なお、スイッチ35の構成は、特に限定されるものではなく、従来から知られているものを適用することができる。また、スイッチ35に代えて、蓄電池22から制御部34への動作電源供給のオンオフを切り替える他の切替手段を用いてもかまわない。以下の説明では、第3電路N3のうち、スイッチ35と制御部34の電源とを接続する電路を第5電路N5と呼ぶものとする。すなわち、第5電路N5には、第2DC/DCコンバータ36が設けられている。
【0027】
電力変換装置3は、スイッチ35がオフ制御されているときに、外部(例えば、パワーコンディショナ4)から受けた起動電力を制御部34に供給するための第4電路N4をさらに備えている。スイッチ35がオフ制御されているときには、第3電路N3が途中で遮断されている。そこで、
図1の構成において、第4電路N4は、前述の第2電路N2と第5電路N5(第2DC/DCコンバータ36の入力)との間に接続されている。これにより、スイッチ35及び/またはリレー32がオフ制御されている場合でも、外部(例えば、パワーコンディショナ4)から受けた起動電力を制御部34に供給することができる。
【0028】
制御部34は、例えば、マイクロコンピュータで実現することができ、例えば、内蔵のメモリ34aに格納されたプログラムに基づいて電力変換装置3の全体動作を制御する機能を有する。具体的に、制御部34は、例えば、リレー32及び第1DC/DCコンバータ33を制御することで、蓄電池22の充放電を制御する機能を有する。また、制御部34は、自らの動作電源を遮断して電力消費をほぼゼロにすることができるシャットダウン機能、シャットダウン後に外部の起動電力を受けた場合に復帰する自立復帰機能とを備えている。
【0029】
-電力変換装置の動作-
以下において、
図2を参照しつつ、電力変換装置の動作について、シャットダウン機能及び自立復帰機能を中心に具体的に説明する。
【0030】
まず、ステップS1において、ブレーカー31がオンされた状態(導通状態)で、スタートスイッチ38が押されると、蓄電池22から、第1,第3及び第5電路N1,N3,N5を介して制御部34に起動電力が供給される。
【0031】
制御部34は、起動電源の供給を受けて初期設定を行う(ステップS2)。具体的に、制御部34は、メモリ34aに格納されたプログラムの命令にしたがって、電池の状態(例えば、充電量)をチェックする。そして、制御部34は、電池の状態に問題がなければ、スイッチ35をオン制御し、蓄電池22からの制御部34への動作電源の供給を開始させる。また、制御部34は、リレー32をオン制御し、蓄電池22と第1DC/DCコンバータ33との間を導通状態にする。
【0032】
初期設定の終了後に、パワーコンディショナ4の制御部(図示省略、以下、PCS制御部という)から放電指示を受けると(ステップS3)、制御部34は、蓄電池22に放電するのに十分な残量があるかどうかを確認する(ステップS4)。
【0033】
制御部34は、蓄電池22の残量が十分でない場合(ステップS4でNO)、PSC制御部に対して放電ができないことを示す放電不可信号(図示省略)を出力する。一方で、制御部34は、蓄電池22の残量が十分ある場合(ステップS4でYES)、第1DC/DCコンバータ33を制御して、蓄電池22からパワーコンディショナ4への放電を開始させる(ステップS6)。
【0034】
蓄電池22の放電は、前述のPSC制御部からの放電指示に基づく放電が終了するか、もしくは、蓄電池22の残量が所定の第1規定値V1以上の間(ステップS7でNO)、継続される。なお、具体的な図示は省略しているが、制御部34は、蓄電池22の残量を確認できるように構成されており、蓄電池22が放電している間も継続してその残量を監視している。なお、具体的な図示を省略しているが、ステップS7において、蓄電池22の電圧(残量)が所定の第1規定値V1以上の状態で、パワーコンディショナ4の放電指示に基づく放電が終了した場合、フローは
図3の「A」で示した位置に戻り、蓄電池22の待機状態になる。
【0035】
図3は、蓄電池22の放電状態、リレー32及びブレーカー31のオン/オフの状態、並びに、制御部34への電源供給の状態を図示しており、上記ステップS7での状態が、時刻t10に対応している。
【0036】
一方で、ステップS7において、蓄電池22の電池電圧が第1規定値V1未満になると(ステップS7でYES)、制御部34は、第1DC/DCコンバータ33を制御して、蓄電池22からの放電を停止させる(ステップS8)。この段階では、制御部34は、リレー32は、オフ制御せずに、パワーコンディショナ4を介して蓄電池22が充電されるのを待機する充電待機状態となる。この充電待機状態は、蓄電池22の電池電圧が第2規定値V2以上の間(ステップS9でNO)、継続される。このとき、スイッチ35は、オン状態が維持され、制御部34には蓄電池22からの電源供給が継続される。
図3では、時刻t11~t12の間が本段落に対応している。
【0037】
ここで、第1規定値V1は、蓄電池の放電を停止させる電圧であり、放電終止点と呼ばれる場合がある。第1規定値V1は、任意に設定することができる値であり、特に限定されない。例えば、第1規定値V1は、蓄電池22が過放電になる電圧に対して、所定のマージン(例えば、過放電電圧に対して5~10%のマージン)を有する値に設定される。なお、具体的な図示は省略しているが、充電待機状態のときに、蓄電池22が充電され、蓄電池22の電圧が回復した場合、フローは
図3の「A」で示した位置に戻り、蓄電池22の待機状態になる。
【0038】
一方で、ステップS9において、蓄電池22の電池電圧が所定の第2規定値V2未満になると(ステップS9でYES)、制御部34は、リレー32をオフ制御(解列)し、第1電路N1と第2電路N2との間の接続を遮断する(ステップS10)。さらに、制御部34は、自らの動作電源を停止させるシャットダウン処理を実行する(ステップS11)。
図3では、ステップS10の状態が、時刻t12に対応している。また、時刻t12から時刻t13の間に、ステップS11のシャットダウン処理が行われている。
【0039】
ここで、第2規定値V2は、第1規定値V1よりも小さい値である。また、第2規定値V2は、任意に設定することができる値であり、特に限定されない。例えば、第2規定値V2は、蓄電池22が過放電になる電圧に対して所定のマージンを与えて設定され、且つ、第1規定値よりも適宜低い値に設定される。
【0040】
ステップS11において、制御部34は、シャットダウン処理として、後述する復帰処理ができるように、復帰処理に必要なデータ等のバックアップを行ったり、パワーコンディショナに電源をオフすることを通知する(
図2ではシャットダウン通知と記載)。そして、制御部34は、シャットダウン処理が終わると、スイッチ35をオフ制御して自らへの動作電源の供給を遮断する。これにより、制御部34の動作が停止し、制御部34での電力消費が略ゼロになる。
【0041】
なお、スイッチ35がオフされた状態、すなわち、制御部34への動作電源が遮断されたままの状態では、充電準備ができた際に蓄電池22への充電動作を行うことができない。そこで、本実施形態では、前述のとおり、パワーコンディショナ4から受けた起動電力を制御部34に供給するための第4電路N4が設けられ、復帰処理ができるようになっている。
【0042】
以下、電力変換装置3の復帰処理について具体的に説明する。
【0043】
ステップS12(
図3では、時刻t14参照)において、パワーコンディショナ4から制御部34に起動電源が供給されると、制御部34は復帰処理を実行する。具体的に、制御部34は、復帰処理として、例えば、シャットダウン処理のときにメモリ34aに記憶した情報を読み出し、蓄電池22の状態を確認して蓄電池22に異常がなければリレー32をオン制御する。なお、制御部34は、復帰処理の完了後(
図3の時刻t15参照)に、パワーコンディショナ4に復帰したことを通知するようにしてもよい(
図2では「復帰通知」と記載)。
【0044】
そして、制御部34による復帰処理が終了すると、フローは
図3のステップS3の前の位置に戻り、蓄電池22の待機状態になる。そして、例えば、パワーコンディショナ4から蓄電池22の充電用電力が供給されると、蓄電池22への充電処理を実行する(
図3の時刻t16参照)。
【0045】
-比較例-
図4には、比較例に係る分散型電源システムの全体構成を示し、
図5には、
図4の分散型電源システムの動作例を示している。理解を容易にするために、
図4において、
図1に対応する構成要素には、
図1と同様の符号を付している。
【0046】
図4の比較例では、スイッチ35及び第4電路N4が設けていない。すなわち、
図4では、
図1の第1電路N1から第3電路N3が分岐し、その第3電路N3が、第2DC/DCコンバータ36を介して制御部34の電源に接続されている。
【0047】
この場合、
図5に示すように、(1)時刻t21において、蓄電池22の電池電圧が第1規定値V1未満になって蓄電池の放電を停止させ、(2)時刻t22において、蓄電池22の放電が進んで第2規定値V2未満になった場合に、制御部34がリレー32を解列した後でも、次の蓄電池22への充電動作に備えて、蓄電池22から制御部34への電源供給を継続させる必要がある。そうすると、制御部34によって蓄電池22から動作電源の供給を受ける必要があり、本実施形態の構成と比較して、放電終止点から蓄電池が過放電になるまでの時間が短くなる。ここで、制御部34がリレー32を解列した後に、制御部34がスリープモードに移行することも考えられる。しかしながら、スリープモードにおいても、スリープモードを維持するための電流が流れ続けるので、本実施形態の構成と比較して、放電終止点から蓄電池が過放電になるまでの時間が短くなる。そして、蓄電池22が過放電状態になると、蓄電池22の故障等を防ぐために、ブレーカー31を落とす必要がある(
図5の時刻t23参照)。そうすると、作業者がブレーカー31を手動で復帰させる必要があり(
図5の時刻t24参照)、非常に手間がかかるが、本実施形態の構成ではそのようなことがない。
【0048】
(変形例)
以上のように、本開示の技術の例示として、実施形態について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されるものではなく、以下のような構成としてもよい。
【0049】
例えば、分散型電源システム1は、
図1の構成に代えて、
図6のような構成にしてもよい。
図6の構成では、第4電路N4の接続が、
図1の構成と異なっている。具体的に、
図6の電力変換装置3では、第4電路N4が、第1DC/DCコンバータ33に含まれる電圧変換部(図示省略)の出力と制御部34の電源とを接続する電路である点が、
図1と異なっている。そして、
図6の構成では、制御部34がシャットダウンした後に、外部から起動電力を受けた場合、第1DC/DCコンバータ33を介して、直接、制御部34に起動電力が供給される。それ以外の点は、
図1の構成及び動作と同様であり、ここではその詳細説明を省略する。
【0050】
また、上記実施形態では、第1電路N1にブレーカー31が設けられているものとしたが、ブレーカー31を設けなくてもよく、同様の効果が得られる。ただし、第1入出力端子P1から第2入出力端子P2の間の経路にブレーカー31を設けることで、異常等の発生時に、より確実に電路を遮断することができるという利点がある。
【0051】
また、上記実施形態において、
図2のフローを実行中に、制御部34が、蓄電池22の故障等の非復帰型の異常を検出した場合、制御部34は、必要なデータ等のバックアップを行ったり、パワーコンディショナ4に非復帰型の異常が発生したことを通知し、ブレーカー31を解列させるようにしてもよい。
【0052】
以上をまとめると、本実施形態の電力変換装置3は、リレー32の蓄電池22に接続された第1電路N1及び第1電路N1に接続された第3電路N3を介して制御部34に動作電源を供給するように構成され、第3電路N3には、制御部の制御を受けて導通/遮断状態が切り替わるスイッチ35が設けられている。例えば、蓄電池22の電圧が、所定の第1規定値V1(例えば、放電終止点)になったときに、制御部34が自らに供給される動作電源を遮断し、電力変換装置の消費電力を略ゼロの状態にすることができる。
【0053】
さらに、本実施形態の電力変換装置3では、スイッチ35により第3電路N3が遮断されているときに、パワーコンディショナ4から供給される電力を起動電力として制御部34に電力供給する第4電路N4を備えている。換言すると、シャットダウン処理によって、第3電路N3が遮断されていても、制御部34を復帰状態にすることができる自立復帰機能を備えている。これにより、例えば、シャットダウン処理を行った後に、パワーコンディショナ4からの充電準備が整った場合に、制御部34を自立復帰させて、系統や太陽光発電手段21等からの供給電力を、パワーコンディショナ4を介して蓄電池22に充電することができる。
【0054】
このように、本実施形態では、パワーコンディショナ4からの起動電力を制御部34に投入する回路構成が与えられているので、制御部34の電源を自ら遮断させる機能を組み込ませることが可能となる。これにより、この電力変換装置の動作は、かかる自己遮断機能を有効に機能させることで、制御部34での電力消費をほぼゼロにすることができ、その結果、蓄電池が過放電に至るまでの時間を遅らせることができる。
【0055】
なお、第4電路N4は、
図1に示すように、一端が第2電路N2に接続され、他端がスイッチ35と制御部34との間を繋ぐ第5電路N5に接続された構成でもよいし、
図6に示すように、第1DC/DCコンバータ33の電圧変換部(図示省略)の出力を制御部34の電源に接続するような構成でもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、制御部34が、スイッチ35をオフ制御する前に、パワーコンディショナ4に電源をオフ制御することを通知する信号(シャットダウン信号)を出力するようにしている。
【0057】
これにより、パワーコンディショナ4が、制御部34がオフされることについての誤認識を防止でき、確実な遮断動作及び復帰動作を実現できる。
【0058】
さらに、制御部34は、スイッチ35をオフ制御する前に、記憶制御部34に復帰処理に用いる復帰情報を保存し、スイッチ35のオフ制御後に第3電路N3を介して起動電力を受けた場合に、記憶制御部34から復帰情報を読み出して復帰処理を実行するように構成されている。
【0059】
これにより、スイッチ35をオフ制御して、制御部34への電源供給を遮断させ、その後に、第4電路N4を介した電源供給をした場合でも、スムーズに復帰動作を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によると、蓄電池の放電を停止させる放電終止点から蓄電池が過放電になるまでの時間を延長することができ、かつ、放電終止点経過後に充電準備が整った場合には、自立復帰ができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0061】
22 蓄電池
32 リレー
33 第1DC/DCコンバータ(DC/DCコンバータ)
34 制御部
35 スイッチ(切替部)
N1 第1電路
N2 第2電路
N3 第3電路
N4 第4電路
P1 第1入出力端子