(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】光アイソレーター部材および光アイソレーター
(51)【国際特許分類】
G02B 27/28 20060101AFI20230615BHJP
【FI】
G02B27/28 A
(21)【出願番号】P 2019147704
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 悠生
(72)【発明者】
【氏名】今 亜耶乃
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/023450(WO,A1)
【文献】特開平11-242187(JP,A)
【文献】特開平05-157992(JP,A)
【文献】実開平05-008528(JP,U)
【文献】米国特許第06048103(US,A)
【文献】特開平07-151997(JP,A)
【文献】特開平08-106030(JP,A)
【文献】特開平06-265822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/28
G02B 6/27
G02B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の光アイソレーター部材と接合されて光アイソレーターの一部となる光アイソレーター部材であって、
第1面に配置されたレンズ面と、
前記第1面とは反対側の第2面において、前記レンズ面に対応する位置に配置された透過面と、
前記第2面に配置され、前記他の光アイソレーター部材の嵌合部と嵌合するための嵌合部とを有する、
光アイソレーター部材。
【請求項2】
前記第1面に配置され、前記レンズ面に対して光伝送体を位置決めするための位置決め部をさらに有する、
請求項1に記載の光アイソレーター部材。
【請求項3】
前記レンズ面、前記透過面、前記嵌合部および前記位置決め部は、一体化している、
請求項2に記載の光アイソレーター部材。
【請求項4】
前記第2面に配置され、前記透過面上に光学素子を固定するための固定部をさらに有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光アイソレーター部材。
【請求項5】
前記嵌合部を2以上有し、
前記2以上の嵌合部は、凹部である第1嵌合部と、凸部である第2嵌合部とを有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の光アイソレーター部材。
【請求項6】
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は、相補的な形状を有する、
請求項5に記載の光アイソレーター部材。
【請求項7】
前記2以上の嵌合部は、前記レンズ面と前記透過面を通る光の光軸に対して対称な位置に配置されている、
請求項6に記載の光アイソレーター部材。
【請求項8】
第1光アイソレーター部材と、
第2光アイソレーター部材と、
前記第1光アイソレーター部材と前記第2光アイソレーター部材との間に配置された光学素子とを有し、
前記第1光アイソレーター部材と前記第2光アイソレーター部材は、それぞれ請求項1~7のいずれか一項に記載の光アイソレーター部材であり、
前記第1光アイソレーター部材の前記嵌合部と、前記第2光アイソレーター部材の前記嵌合部とは、嵌合している、
光アイソレーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アイソレーター部材および光アイソレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバーや光導波路などの光伝送体を用いた光通信には、半導体レーザーなどのレーザー素子が用いられている。このようなレーザー素子は、レーザー共振器外部の光学面や加工面で反射された光が戻ってくると、レーザー発振が不安定になりやすく、光通信においては、信号ノイズとなることがある。そのため、反射戻り光がレーザー素子に戻らないようにするため、例えばファラデー回転子と偏光分離素子とを有する光アイソレーターが用いられている。
【0003】
図1は、特許文献1の光アイソレーター20を示す模式図である。
図1に示されるように、光アイソレーター20は、偏光保持光ファイバー1、コリメートレンズ3、およびコリメートレンズホルダ5を有する第一光ファイバーコリメーターと、偏光保持光ファイバー2、コリメートレンズ4およびコリメートレンズホルダ6を有する第二光ファイバーコリメーターと、それらの間に配置された回折格子型偏光子8、ファラデー回転子11(サファイア基板14/ガーネット膜13/サファイア基板14)および検光子10とを有する。また、光アイソレーター20は、第一光ファイバーコリメーターのコリメートレンズ1と回折格子型偏光子8との間に配置された遮蔽板7をさらに有する。
【0004】
このような光アイソレーター20を組み立てる際には、例えば偏光保持光ファイバー1(または2)とコリメートレンズ3(または4)との間において、光軸が一致するように正確に位置合わせすることが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の光アイソレーターは、構成部品の数が多いため、構成部品間で正確に位置合わせしながら組み立てることが難しかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、構成部品の数を少なくすることができ、かつ構成部品間で正確に位置合わせしながら組み立てることができる光アイソレーター部材およびそれを用いた光アイソレーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の光アイソレーター部材および光アイソレーターに関する。
【0009】
本発明の光アイソレーター部材は、他の光アイソレーター部材と接合されて光アイソレーターの一部となる光アイソレーター部材であって、第1面に配置されたレンズ面と、前記第1面とは反対側の第2面において、前記レンズ面に対応する位置に配置された透過面と、前記第2面に配置され、前記他の光アイソレーター部材の嵌合部と嵌合するための嵌合部とを有する。
【0010】
本発明の光アイソレーターは、第1光アイソレーター部材と、第2光アイソレーター部材と、前記第1光アイソレーター部材と前記第2光アイソレーター部材との間に配置された光学素子とを有し、前記第1光アイソレーター部材と前記第2光アイソレーター部材は、それぞれ本発明の光アイソレーター部材であり、前記第1光アイソレーター部材の前記嵌合部と、前記第2光アイソレーター部材の前記嵌合部とは、嵌合している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、構成部品の数を少なくすることができ、かつ構成部品間で正確に位置合わせしながら組み立てることができる光アイソレーター部材およびそれを用いた光アイソレーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、特許文献1の光アイソレーターの構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る光アイソレーターの構成を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4A~Dは、実施の形態1に係る光アイソレーター部材の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、光アイソレーター部材の固定部の変形例を示す右側面図である。
【
図6】
図6Aは、実施の形態1に係る光アイソレーターにおける光路を示す図であり、
図6Bは、
図6Aの光アイソレーターにおける偏光子と回転子を通る光の状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る光アイソレーターの構成を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9A~Dは、実施の形態2に係る光アイソレーター部材の構成を示す図である。
【
図10】
図10AおよびBは、光学素子の組み合わせの変形例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、光学素子の組み合わせの変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[実施の形態1]
(光アイソレーターの構成)
図2、3AおよびBは、本実施の形態に係る光アイソレーター100の構成を示す図である。
図2は、光アイソレーター100の構成を示す分解斜視図である。
図3Aは、光アイソレーター100の平面図であり、
図3Bは、光アイソレーター100の3B-3B線の断面図である。なお、これらの図では、光アイソレーター100の使用態様として、2つの光伝送体(光伝送体110Aと光伝送体110B)を、光アイソレーター100を介して接続する例を示している。
【0015】
図2、3AおよびBに示されるように、光アイソレーター100は、一方の光伝送体110Aと他方の光伝送体110Bとの間に配置されて使用される。
【0016】
光伝送体110AおよびBの種類は、特に限定されず、光ファイバー、光導波路などでありうる。本実施の形態では、光伝送体110AおよびBは、光ファイバーである。光伝送体110AおよびBは、シングルモード方式であってもよいし、マルチモード方式であってもよい。本実施の形態では、光伝送体110AおよびBは、シングルモード方式の光ファイバーである。なお、光ファイバーは、偏波ファイバーであってもよいし、無偏光ファイバーであってもよいが、本実施の形態では、無偏光ファイバーである。
【0017】
そして、光アイソレーター100は、第1光アイソレーター部材120Aと、第2光アイソレーター部材120Bと、それらの間に配置された偏光子130および回転子140(いずれも光学素子)とを有する。
【0018】
第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bは、光学素子と組み合わされることによって、アイソレーターとなるものである。第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bは、後述するように、第1光アイソレーター部材120Aの嵌合部127(または嵌合部128)と、第2光アイソレーター部材120Bの嵌合部128(または嵌合部127)とが嵌合することによって、接合されている。
【0019】
第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bは、同一の形状を有してもよいし、異なる形状を有してもよい。製造時に使用する金型の数を少なくすることができ、製造コストを低減できる観点などから、本実施の形態に示されるように、第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bは、同一の形状を有することが好ましい。
【0020】
第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bは、例えば光通信に用いられる波長の光に対して透光性を有する材料を用いて形成される。そのような材料の例には、ポリエーテルイミド(PEI)や環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。また、第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bは、例えば射出成形により製造される。
【0021】
第1光アイソレーター部材120Aおよび第2光アイソレーター部材120Bの構成について、後で詳細に説明する。
【0022】
光学素子は、光アイソレーターとして機能させうるものであればよく、1つであってもよいし、2以上を組み合わせたものであってもよい。本実施の形態では、光学素子は、偏光子130および回転子140である。
【0023】
偏光子130は、入射された光を直線偏光に変換する素子であり、例えば回折格子型偏光子でありうる。
【0024】
回転子140は、偏光子130を通過した光(直線偏光)を円偏光に変換する素子であり、例えばファラデー回転子や1/4波長板でありうる。ファラデー回転子は、ファラデー素子と、それに磁界を付与する磁界付与手段(例えば磁石)とを有する。ファラデー素子は、例えばBi置換希土類鉄ガーネットの単結晶膜でありうる。このようなファラデー回転子は、磁界が印加されることで、光の偏光方向を回転させる。
【0025】
(光アイソレーター部材の構成)
本実施の形態では、第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bとは、同一の形状を有するため、第1光アイソレーター部材120A(光アイソレータ部材120)について説明する。
【0026】
図4A~Dは、本実施の形態に係る光アイソレーター部材120(120A)の構成を示す図である。
図4Aは、光アイソレーター部材120(120A)の平面図であり、
図4Bは、右側面図であり、
図4Cは、
図4Bの光アイソレーター部材120(120A)の4C-4C線の断面図であり、
図4Dは、左側面図である。
図5は、光アイソレーター部材120(120A)の固定部126の変形例を示す右側面図である。
【0027】
図4A~Dに示されるように、光アイソレーター部材120(120A)は、レンズ面122と、透過面124と、位置決め部125と、固定部126と、2つの嵌合部127および128とを有する。
【0028】
レンズ面122は、光アイソレーター部材120(120A)の光伝送体110Aが接続される側の第1面(不図示)に配置されており、光伝送体110Aから出射される光を入射させる(または透過面124で入射した光を、光伝送体110Aに向けて出射させる)。レンズ面122は、コリメートレンズ面であることが好ましい。
【0029】
透過面124は、光アイソレーター部材120(120A)の光学素子が配置される側の第2面123、すなわち、第1面(不図示)とは反対側の第2面123において、レンズ面122に対応する位置に配置されている。レンズ面122に対応する位置とは、レンズ面122に入射した光を通過させる位置(または透過面124で入射した光を、レンズ面122から出射させうる位置)である。そして、透過面124は、レンズ面122で入射した光を透過させる(または光学素子を通過した光を入射させる)。
【0030】
位置決め部125は、光アイソレーター部材120(120A)の第1面121に配置されており、レンズ面122に対して光伝送体110Aを位置決めする。位置決め部125の形状は、レンズ面122に対して光伝送体110Aを位置決めできるものであればよく、特に限定されないが、例えば光伝送体110Aと嵌合するような筒状部材である。
【0031】
位置決め部125は、レンズ面122と、透過面124と、2つの嵌合部127および128とを有する光アイソレーター部材120(120A)の本体と別体であってもよいし、一体であってもよい。本実施の形態では、位置決め部125は、レンズ面122と、透過面124と、2つの嵌合部127および128とを有する光アイソレーター部材120の本体と一体となっている(すなわち、レンズ面122と、透過面124と、2つの嵌合部127および128と、位置決め部125とは、一体化している)。
【0032】
固定部126は、光アイソレーター部材120(120A)の第2面123に配置されており、透過面124上に光学素子を固定する。固定部126は、光学素子を固定できるものであればよく、特に限定されないが、例えば凹部や枠状部材などでありうる。本実施の形態では、固定部126は、凹部であり、凹部の底面が透過面124となる。
【0033】
凹部の形状は、特に制限されず、円柱状であってもよいし(
図4A参照)、角柱状であってもよい(
図5参照)。
【0034】
2つの嵌合部127および128は、光アイソレーター部材120(120A)の第2面123に配置され、他の光アイソレーター部材(本実施の形態では、第2光アイソレーター部材120B)と接合させる(他の光アイソレーター部材の嵌合部と嵌合させる)ための部材である。2つの嵌合部127および128は、両方が凸部であってもよいし、両方が凹部であってもよいし、一方が凸部、他方が凹部であってもよい。中でも、製造コストを低減できるなどの観点から、第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bとは同一の形状を有することが好ましく、一方の嵌合部127が凸部、他方の嵌合部128が凹部であることが好ましい。
【0035】
すなわち、本実施の形態では、嵌合部127(第1嵌合部)は、凸部であり、嵌合部128(第2嵌合部)は、凹部である。そして、嵌合部127(第1嵌合部)である凸部は、嵌合部128(第2嵌合部)である凹部と相補的な形状を有する。具体的には、第1光アイソレーター部材120Aの嵌合部127(凸部)と128(凹部)は、第2光アイソレーター部材120Bの嵌合部128(凹部)と127(凸部)とそれぞれ嵌合可能に構成されている。
【0036】
また、本実施の形態では、2つの嵌合部127および128は、レンズ面122と透過面124を通る光の光軸に対して対称な位置に配置されている。なお、「レンズ面122と透過面124を通る光の光軸」とは、レンズ面122と透過面124を通る光束の中心軸をいう。
【0037】
(作用)
本実施の形態に係る光アイソレーター100の作用について、
図6AおよびBを参照しながら説明する。
図6Aは、本実施の形態に係る光アイソレーター100における光路を示す図であり、
図6Bは、
図6Aの光アイソレーター100における偏光子130と回転子140を通る光の状態を示す説明図である。
【0038】
図6Aに示されるように、一方の光伝送体110Aから出射された光は、第1光アイソレーター部材120Aのレンズ面122に入射する。レンズ面122に入射した光は、コリメート光に変換されて、透過面124から出射される(
図6A参照)。
【0039】
透過面124から出射された光は、偏光子130に入射し、直線偏光に変えられる(
図6B参照)。偏光子130を通過した直線偏光は、回転子140に入射し、例えば右回りの円偏光に変えられる(
図6B参照)。回転子140で円偏光となった光は、第2光アイソレーター部材120Bの透過面124に入射し、レンズ面122から出射されて、他方の光伝送体110Bに入射する(
図6A参照)。
【0040】
一方で、他方の光伝送体110Bに入射し、レンズ面122から出射された光の一部は、その先の経路内で反射されることがある(
図6AおよびB参照)。そのような反射光は、逆回転方向の円偏光となって、往きの方向とは反対の方向に戻る(
図6B参照)。戻り光は、回転子140に入射すると、偏光子130を通過しない直線偏光に変えられる(
図6AおよびB参照)。したがって、偏光子130を通過しない直線偏光は、第1光アイソレーター部材120Aの透過面124を透過しない。
【0041】
それにより、光を一定の方向には通過させるが、その逆の方向には通過させないようにすることができるため、アイソレーターとして機能させることができる。
【0042】
(効果)
以上説明したように、本実施の形態では、第1光アイソレーター部材120Aの嵌合部127(または128)と、第2光アイソレーター部材120Bの嵌合部128(または127)とが嵌合することによって、接合されている。また、光伝送体110A(または110B)をレンズ面122に対して位置決めするための位置決め部125が、光アイソレーター部材120(120A)の本体と一体となっている。そのため、光アイソレーター100の構成部品の数を少なくして、容易に組み立て可能にするとともに、構成部品間で高精度に位置合わせすることができる。
【0043】
[実施の形態2]
(光アイソレーターの構成)
実施の形態2に係る光アイソレーター100は、レンズアレイ型であり、光送信の多チャンネル化に対応できる構成となっている点で、実施の形態1に係る光アイソレーター100と異なる。以下、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図7、8Aおよび8Bは、本実施の形態に係る光アイソレーター100の構成を示す図である。
図7は、光アイソレーター100の構成を示す分解斜視図である。
図8Aは、光アイソレーター100の正面図であり、
図8Bは、
図8Aの光アイソレーター100の8B-8B線の断面図である。なお、これらの図では、光アイソレーター100の使用態様として、2つの光伝送体の束(光伝送体の束180Aと光伝送体の束180B)を、光アイソレーター100を介して接続する例を示している。
【0045】
図7、8Aおよび8Bに示されるように、光アイソレーター100は、一方の光伝送体の束180Aと他方の光伝送体の束180Bとの間に配置されて使用される。
【0046】
光伝送体の束180A(または180B)は、複数の光伝送体110A(または110B)が、多芯一括型のコネクター110a(または110b)を介して光アイソレーター100にそれぞれ取り付けられる。本実施の形態では、光伝送体の束180A(または180B)は、12本の光伝送体110A(または110B)が、一定間隔で1列に配列されている。
【0047】
そして、光アイソレーター100は、第1光アイソレーター部材120Aと、第2光アイソレーター部材120Bと、それらの間に配置された偏光子130および回転子140(いずれも光学素子)とを有する。
【0048】
(光アイソレーター部材の構成)
本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様に、第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bとは、同一の形状を有するため、第1光アイソレーター部材120A(光アイソレーター部材120)について説明する。
【0049】
図9A~Dは、本実施の形態に係る光アイソレーター部材120(120A)の構成を示す図である。
図9Aは、光アイソレーター部材120(120A)の右側面図であり、
図9Bは、
図9Aの光アイソレーター部材120(120A)の9B-9B線の断面図であり、
図9Cは、左側面図であり、
図9Dは、正面図である。
【0050】
図9A~Dに示されるように、本実施の形態に係る光アイソレーター部材120(120A)は、複数のレンズ面122と、1つの透過面124と、位置決め部125と、1つの固定部126と、2つの嵌合部127および128とを有する。すなわち、本実施の形態では、レンズ面122の数は、光伝送体110Aの本数に対応して、12個である。
【0051】
透過部124は、光アイソレーター部材120(120A)の第2面123において、複数のレンズ面122に対応する位置を包含するように配置されている。
【0052】
位置決め部125は、光伝送体110Aの多芯一括型のコネクター110aと嵌合するように配置されている。本実施の形態では、位置決め部125は、コネクター110aと嵌合する一対の凸部(ガイド)である。
【0053】
2つの嵌合部127および128は、複数のレンズ面122を合わせて1つのレンズ面としてみたときに、当該1つのレンズ面と透過面124を通る光の光軸に対して対称な位置に配置されている。
【0054】
(効果)
本実施の形態に係る光アイソレーター100は、実施の形態1の効果に加え、光送信の多チャンネル化に対応することができる。
【0055】
[変形例]
なお、上記実施の形態1および2では、第1光アイソレーター部材120Aと第2光アイソレーター部材120Bとが、同一の形状を有する例を示したが、これに限定されず、異なる形状を有してもよい。
【0056】
例えば、第1光アイソレーター部材120Aおよび第2光アイソレーター部材120Bの一方のみが固定部126を有し、他方は固定部125を有しなくてもよい。また、第1光アイソレーター部材120Aの2つの嵌合部127および128は、いずれも凸部であり、かつ第2光アイソレーター部材120Bの2つの嵌合部127および128は、いずれも凹部であってもよい。また、第1光アイソレーター部材120Aにおける2つの嵌合部127および128は、透過面124とレンズ面122とを通る光の光軸に対して非対称な位置に配置されてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態1および2では、第1光アイソレーター部材120A(または第2光アイソレーター部材120B)において、嵌合部127(または128)が2つ設けられる例を示したが、これに限定されず、1つだけであってもよいし、3つ以上あってもよい。
【0058】
また、上記実施の形態1および2では、光伝送体110Aの位置決め部125が、光アイソレーター部材120(120A)の第1面121に設けられた筒状部材(実施の形態1)または一対の凸部(実施の形態2)である例を示したが、これに限定されない。例えば、光アイソレーター部材120(120A)における位置決め部125は、位置決め用の凸部を有するコネクター110aと嵌合するような、(第1面121に設けられた)凹部などであってもよい。
【0059】
また、上記実施の形態2では、位置決め部125を一対の凸部(ガイド)としたが、これに限定されず、2対以上設けてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態1および2では、光学素子として、偏光子130と回転子140とを組み合わせる例を示したが、これに限定されず、光アイソレーターとして機能しうるような種々の組み合わせが可能である。
【0061】
図10A、10Bおよび11は、光学素子の組み合わせの変形例を示す説明図である。例えば、複屈折板150、回転子140(ファラデー回転子)、1/2波長板160および複屈折板150の順に配置してもよい(
図10A参照)。同図では、光の偏光状態を両向き矢印で示している。
【0062】
例えば、
図10Aでは、縦方向の偏光は、複屈折板150を屈折しながら透過し(L1-F)、横方向の偏光は、複屈折板150をまっすぐ透過し(L2-F)、それぞれ回転子140で進行方向に対して右側に45°回転した後、1/2位相差板160で進行方向に対して右側にさらに45°回転する。その結果、偏光L1-Fは横方向の偏光となり、偏光L2-Fは縦方向の偏光となり、それぞれ複屈折板150に入射する。横方向の偏光となったL1-Fは複屈折板150をまっすぐに透過し、縦方向の偏光となった偏光L2-Fは、屈折して透過し、それぞれが合わさって1つの光となって出射される。
【0063】
一方、横方向の偏光となったL1-Fが逆方向に進む場合(戻る場合)、横方向の偏光は、複屈折板150をまっすぐに透過し(L1-R)、縦方向の偏光は、複屈折板150を屈折しながら透過する(L2-R)。次いで、1/2波長板160で、それぞれ進行方向に対して左側に45°回転した後、回転子140でさらに進行方向に対して右側に45°回転する。その結果、偏光L1-Rは横方向の偏光となるため、複屈折板150をまっすぐに透過し;偏光L2-Rは縦方向の偏光となるため、複屈折板150を屈折して透過する。その結果、それぞれの偏光は、入射位置とは異なる位置から出射されるため、光アイソレーター部材120A(120)のレンズ面122を透過しないこととなる。
【0064】
また、偏光子130、ローター付きファラデー回転子140’および偏光子130の順に配置してもよい(
図10B参照)。
【0065】
また、光が進む経路内に反射面がある場合、偏光子130を、ビームスプリッター170に置き換えた以外は
図6Bと同様に構成してもよい(
図11参照)。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る光アイソレーターは、例えば光伝送体を用いた光通信に有用である。
【符号の説明】
【0067】
100 光アイソレーター
110A、110B 光伝送体
110a、110b コネクター
120 光アイソレーター部材
120A 第1光アイソレーター部材
120B 第2光アイソレーター部材
121 第1面
122 レンズ面
123 第2面
124 透過面
125 位置決め部
126 固定部
127 嵌合部(第1嵌合部)
128 嵌合部(第2嵌合部)
130 偏光子
140 回転子
140’ ローター付きファラデー回転子
150 複屈折板
160 1/2波長板
170 ビームスプリッター
180A、180B 光伝送体の束