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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】湯水混合装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20230615BHJP
   E03C 1/044 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
F24D17/00 L
E03C1/044
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019175482
(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公開番号】P2021050578
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】小瀬木 憲二
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 安住
(72)【発明者】
【氏名】永田 雅昭
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-311135(JP,A)
【文献】特開2018-165595(JP,A)
【文献】特開2013-076486(JP,A)
【文献】特開平01-241607(JP,A)
【文献】特開2015-190204(JP,A)
【文献】特開2015-152196(JP,A)
【文献】国際公開第2007/007093(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/044
F24D 17/00
G05D 23/00
G05D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源に接続し、前記給水源から供給される水が流れる給水路と、
給湯源に接続し、前記給湯源から供給される湯が流れる給湯路と、
前記給水路及び前記給湯路に接続し、前記給水路から供給される水及び前記給湯路から供給される湯を混合した混合水が流れる混合水路と、
前記給水路に有る水の流量を調節する水側流量調節部と、
前記給湯路に有る湯の流量を調節する湯側流量調節部と、
前記給水路に有る水の温度及び流量を含む水情報を取得する水側情報取得部と、
前記給湯路に有る湯の温度及び流量を含む湯情報を取得する湯側情報取得部と、
前記混合水路に有る混合水の温度及び流量を設定する設定部と、
前記設定部の設定情報、前記水側情報取得部の水情報、及び前記湯側情報取得部の湯情報に基づき、前記給水路に流す水の目標流量及び前記給湯路に流す湯の目標流量を算出し、前記水側流量調節部及び前記湯側流量調節部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記水側流量調節部と前記湯側流量調節部のうち少なくともいずれか一方の開度が最大になって流量を増やせず、且つ、前記一方の目標流量と前記一方に流れている流量とを比較し、前記一方の目標流量の方が多いと判定した場合、前記設定部で設定された混合水の温度になるように、他方の目標流量を算出して更新し、更新された他方の目標流量を基準にして他方を制御する湯水混合装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記水側流量調節部及び前記湯側流量調節部の開度をそれぞれ記憶し、流量を増やせない状態であることを判定する請求項1に記載の湯水混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、湯水混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は湯水混合装置を開示している。この湯水混合装置は、給水源から供給された水と給湯源から供給された湯とを混合し、所定の温度及び所定の流量の混合水を吐出する。この湯水混合装置は、設定された流量の水や湯を流せない場合、目標流量を補正することによって、吐水される混合水の温度の変動を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-183986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の湯水混合装置は、給水源の圧力、及び給湯源の圧力が、所定の圧力より低かったり、差圧が大きかったりするなどの圧力変動があった場合、目標流量の補正が不十分で、混合水の温度と設定温度の差が大きくなる恐れがある。
【0005】
本開示は、このような事情を鑑み、圧力変動があった場合でも、安定した温度制御ができる湯水混合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の湯水混合装置は、給水源に接続し、前記給水源から供給される水が流れる給水路と、給湯源に接続し、前記給湯源から供給される湯が流れる給湯路と、前記給水路及び前記給湯路に接続し、前記給水路から供給される水及び前記給湯路から供給される湯を混合した混合水が流れる混合水路と、前記給水路に有る水の流量を調節する水側流量調節部と、前記給湯路に有る湯の流量を調節する湯側流量調節部と、前記給水路に有る水の温度及び流量を含む水情報を取得する水側情報取得部と、前記給湯路に有る湯の温度及び流量を含む湯情報を取得する湯側情報取得部と、前記混合水路に有る混合水の温度及び流量を設定する設定部と、前記設定部の設定情報、前記水側情報取得部の水情報及び前記湯側情報取得部の湯情報に基づき、前記給水路に流す水の目標流量及び前記給湯路に流す湯の目標流量を算出し、前記水側流量調節部及び前記湯側流量調節部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記水側流量調節部と前記湯側流量調節部のうち少なくともいずれか一方が流量を増やせず、且つ、前記一方の目標流量と前記一方に流れている流量とを比較し、前記一方の目標流量の方が多いと判定した場合、前記設定部で設定された混合水の温度になるように、他方の目標流量を算出して更新し、更新された他方の目標流量を基準にして他方を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る湯水混合装置の全体を示す概略図。
図2】実施形態に係る湯水混合装置の温度制御及び流量制御の流れを示すフローチャート。
図3図2における各目標流量の算出の流れを示すフローチャート。
図4図2における各流量調節弁へ制御信号を送信する流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、実施形態に係る湯水混合装置について、図面を用いて説明する。湯水混合装置10は、キッチンや浴室に設置される。湯水混合装置10は、シンクや洗い場に取り付けられた吐出管に対し、所定の温度及び流量の混合水を供給する。湯水混合装置10は、図1に示すように、給水管1C、給湯管1H、及び混合管1Mを備えている。
【0009】
給水管1Cは、給水源Cに接続しており、内部に給水路が形成されている。給水路は例えば20℃の水が流れる。給水管1Cは、上流側から下流側に向かう順番に、逆止弁2C、温度センサ3C、流量調節弁4C、及び流量センサ5Cを有している。
【0010】
給湯管1Hは、ガス給湯機などの給湯源Hに接続しており、内部に給湯路が形成されている。給湯路は例えば60℃の湯が流れる。給湯管1Hは、前述した給水管1Cと同様に、上流側から下流側に向かう順番に、逆止弁2H、温度センサ3H、流量調節弁4H、及び流量センサ5Hを有している。
【0011】
混合管1Mは、給水管1C及び給湯管1Hに接続しており、内部に混合水路が形成されている。混合水路は、給水路から供給される水、及び給湯路から供給される湯を混合した混合水が流れる。混合管1Mは、上流側から下流側に向かう順番に、温度センサ3M及び開閉弁6Mを有している。混合管1Mの下流側は、図示しない各種の吐出管に接続している。
【0012】
温度センサ3C,3H,3Mは、サーミスタである。温度センサ3C,3H,3Mは、給水管1Cの内部に有る水の温度、給湯管1Hの内部に有る湯の温度、及び混合管1Mの内部に有る混合水の温度を検出する。温度センサ3C,3Hは、水側情報取得部及び湯側情報取得部の一部に対応する。
【0013】
流量調節弁4C,4Hは、ステッピングモータにより駆動し、給水路、及び給湯路の流路を拡げたり狭めたりして開度を調節する弁体である。流量調節弁4C,4Hは、給水路に流れる水の流量Q、及び給湯路に流れる湯の流量Qを調節する。流量調節弁4C,4Hは、水側流量調節部及び湯側流路湯調節部に対応する。
【0014】
開閉弁6Mは、電磁弁である。開閉弁6Mは、混合水路の流路を開閉して、混合水路に混合水を流したり止めたりする。
【0015】
流量センサ5C,5Hは、羽根車式の流量計である。流量センサ5C,5Hは、給水路に流れる水、及び給湯路に流れる湯によって羽根車が回転し、その回転数に基づいて、水の流量Q、湯の流量Qを検出する。流量センサ5C,5Hは、水側情報取得部及び湯側情報取得部の一部に対応する。
【0016】
湯水混合装置10は、設定部70及び制御部80を備えている。設定部70は、キッチンや浴室に設置されたリモコンである。設定部70は、図示しない各種操作ボタンや、混合水路に有る混合水の温度及び流量を表示する表示パネルを有している。使用者は、所望する混合水の温度及び流量の設定値を操作ボタンで入力すると、設定部70は、制御部80へ設定情報を送信する。
【0017】
制御部80は、温度センサ3C,3H,3M、流量センサ5C,5H、流量調節弁4C,4H、開閉弁6M、及び設定部70とそれぞれ有線で接続している。制御部80は、温度センサ3C,3Hで検出した温度情報、及び流量センサ5C,5Hで検出した流量情報をそれぞれ受信し、記憶している。温度センサ3Cで検出した温度情報、及び流量センサ5Cで検出した流量情報は、水情報に対応する。温度センサ3Hで検出した温度情報、及び流量センサ5Hで検出した流量情報は、湯情報に対応する。また、制御部80は、流量調節弁4C,4Hの開度状態及び開閉弁6Mの開閉状態をそれぞれ記憶している。さらに、制御部80は、給水路に流す水、及び給湯路に流す湯の目標流量に対し、流量調節弁4C,4Hの開度をどのくらい調節するかを予め記憶している。
【0018】
制御部80は、設定部70から吐出開始や吐出停止の設定情報を受信した場合、開閉弁6Mへ制御信号を送信し、開閉弁6Mを開閉する。制御部80は、設定部70の設定情報、温度センサ3C,3Hの温度情報、及び流量センサ5C,5Hの流量情報に基づき、給水路に流す水及び給湯路に流す湯の目標流量を算出し、流量調節弁4C,4Hへ制御信号を送信し、流量調節弁4C,4Hの開度を調節する。
【0019】
制御部80は、図2に示すように、混合流路に有る混合水の温度及び流量を制御する。まず、制御部は、設定部から設定された混合水の設定温度T及び設定流量Qを受信する(ステップS1)。設定温度T及び設定流量Qは、設定情報に対応する。次に、制御部80は、温度センサ3C,3Hで検出した現在の給水路に有る水の温度T及び給湯路に有る湯の温度T、流量センサ5C,5Hで検出した現在の給水路に有る水の流量Q及び給湯路に有る湯の流量Qを受信する(ステップS2)。次に、制御部80は、設定情報T,Q、現在の温度情報T,T、及び現在の流量情報Q,Qに基づき、給水路に流す水の目標流量QC1、及び給湯路に流す湯の目標流量QH1を算出する(ステップS3)。給水路に流れる水の流量Qは、給水路の流量調節弁4Cに流れる水の流量と同じである。また、給湯路に流れる湯の流量Qは、給湯路の流量調節弁4Hに流れる湯の流量と同じである。この算出方法の詳細は、後述する。
【0020】
次に、制御部80は、算出した目標流量QC1,QH1に基づき、予め記憶している流量調節弁4C,4Hの開度からの調節量を決定する(ステップS4)。制御部80は、ステップS4において、算出した目標流量QC1,QH1と同じ流量にならないように、現在の開度に対し、目標流量QC1,QH1と同じ流量を流せる開度への変化量を80%程度に抑えて、流量調節弁4C,4Hの調節量を決定する。最後に、制御部80は、決定した流量調節弁4C,4Hの調節量に基づき、流量調節弁4C,4Hへ制御信号を送信し(ステップS5)、設定情報を受信するステップS1に戻って繰り返す。ステップS5において、制御部80は、所定の条件を満たすと判定した場合、設定情報T,Q、現在の温度情報T,T、及び現在の流量情報Q,Qに基づき、目標流量QC1,QH1を再度算出する。この算出方法の詳細は、後述する。ステップ1からステップ5の繰り返し回数は、所定の回数に定めてもよいし、設定情報に応じて変更できるようにしてもよい。ステップS1からステップS5の繰り返し回数が最後となった場合、制御部80は、ステップ4において、算出した目標流量と同じ流量となるように、流量調節弁4C,4Hの調節量を決定する。
【0021】
制御部80は、図3に示すように、給水路の流量調節弁4Cの目標流量QC1、及び給湯路の流量調節弁4Hの目標流量QH1を算出する。まず、制御部80は、設定温度Tが、給湯路の湯の温度Tよりも低いかを判定する(ステップS301)。ステップS301において、設定温度Tが給湯路の湯の温度Tよりも高いと判定された場合(Noと判定された場合)、制御部80は、流量調節弁4Cの目標流量QC1をゼロと算出し(ステップS302)、流量調節弁4Hの目標流量QH1を設定流量Qと同じと算出し(ステップS303)、流量調節弁4C,4Hの調節量を決定するステップS4へ移る。ステップS301において、設定温度Tが給湯路の湯の温度Tに等しい、若しくは設定温度Tが給湯路の湯の温度Tよりも低いと判定された場合(Yesと判定された場合)、制御部80は、設定温度Tが、給水路に有る水の温度Tよりも高いかを判定する(ステップS304)。ステップS304において、設定温度Tが水の温度Tよりも低いと判定された場合(Noと判定された場合)、制御部80は、流量調節弁4Cの目標流量QC1を設定流量Qと同じと算出し(ステップS305)、流量調節弁4Hの目標流量QH1をゼロと算出し(ステップS306)、流量調節弁4C,4Hの調節量を決定するステップS4へ移る。
【0022】
ステップS304において、設定温度Tが水の温度Tに等しい、若しくは設定温度Tが水の温度Tよりも高いと判定された場合(Yesと判定された場合)、制御部80は、流量調節弁4Cの目標流量QC1を以下に示す式1で算出し(ステップS307)、流量調節弁4Hの目標流量QH1を以下に示す式2で算出する(ステップS308)。
C1=(T-T)×Q/(T-T) … 式1
H1=Q-QC1 … 式2
【0023】
次に、制御部80は、流量調節弁4Cの開度が最大であるかを判定すると共に、現在の給水路に有る水の流量Qが、流量調節弁4Cの目標流量QC1よりも少ないかを判定する(ステップS309)。流量調節弁4Cの開度が最大である場合は、給水路に流れる水の流量Qを増やせない場合と同義である。ステップS309において、流量調節弁4Cの開度が最大であり、かつ水の流量Qが目標流量QC1よりも少ないと判定された場合(Yesと判定された場合)、制御部80は、流量調節弁4Hの目標流量QH1を、現在の給水路に有る水の流量Qを基準として、以下に示す式3で再度算出して更新する(ステップS310)。
H1=(T-T)×Q/(T-T) … 式3
次に、制御部80は、ステップS307において算出した流量調節弁4Cの目標流量QC1、及びステップS310において再度算出して更新した流量調節弁4Hの目標流量QH1に基づき、流量調節弁4C,4Hの調節量を決定するステップS4へ移る。
【0024】
ステップS309において、流量調節弁4Cの開度が最大でないか、目標流量QC1が水の流量Qに等しい、若しくは目標流量QC1が水の流量Qよりも少ないと判定された場合(Noと判定された場合)、制御部80は、流量調節弁4Hの開度が最大であるかを判定すると共に、現在の給湯路に有る湯の流量Qが、流量調節弁4Hの目標流量QH1よりも少ないかを判定する(ステップS311)。流量調節弁4Hの開度が最大である場合は、給湯路に流れる湯の流量Qを増やせない場合と同義である。ステップS311において、流量調節弁4Hの開度が最大であり、かつ湯の流量Qが目標流量QH1よりも少ないと判定された場合(Yesと判定された場合)、制御部80は、流量調節弁4Cの目標流量QC1を、現在の給湯路に有る湯の流量Qを基準として、以下に示す式4で再度算出して更新する(ステップS312)。
C1=(T-T)×Q/(T-T) … 式4
次に、制御部80は、ステップS308において算出した給湯路の目標流量QH1、及びステップS312において再度算出して更新した給水路の目標流量QC1に基づき、流量調節弁4C,4Hの調節量を決定するステップS4へ移る。ステップS311において、流量調節弁4Hの開度が最大でないか、目標流量QH1が湯の流量Qに等しい、若しくは目標流量QH1が湯の流量Qよりも少ないと判定された場合(Noと判定された場合)、流量調節弁4C,4Hは、開度を大きくすることができる。この場合、制御部80は、目標流量QC1,QH1を更新せず、流量調節弁4C,4Hの調節量を決定するステップS4へ移る。
【0025】
制御部80は、図4に示すように、ステップS5において、流量調節弁4Cの目標流量QC1、または流量調節弁4Hの目標流量QH1を再度算出する。まず、制御部80は、流量調節弁4Cへ制御信号を送信し、ステップS4で決定した流量調節弁4Cの調節量だけ、流量調節弁4Cを駆動させる(ステップS501)。次に、制御部80は、流量調節弁4Cの開度が最大であるかを判定すると共に、現在の給水路に有る水の流量Qが、流量調節弁4Cの目標流量QC1よりも少ないかを判定する(ステップS502)。ステップS502において、流量調節弁4Cの開度が最大であり、かつ水の流量Qが流量調節弁4Cの目標流量QC1よりも少ないと判定された場合(Yesと判定された場合)、制御部80は、給湯路の目標流路QH1を、現在の給水路の水の流量Qを基準として、以下に示す式5で再度算出して更新する(ステップS503)。
H1=(T-T)×Q/(T-T) … 式5
次に、制御部80は、ステップS4において決定した流量調節弁4Hの調節量を、ステップS503で再度算出した目標流量QH1を基準として再度決定して更新する(ステップS504)。次に、制御部80は、流量調節弁4Hへ制御信号を送信し、ステップS504で決定した流量調節弁4Hの調節量だけ、流量調節弁4Hを駆動させる(ステップS505)。ステップS502において、流量調節弁4Cの開度が最大でないか、目標流量QC1が水の流量Qに等しい、若しくは目標流量QC1が水の流量Qよりも少ないと判定された場合(Noと判定された場合)、流量調節弁4Cは、開度を大きくすることができる。この場合、制御部80は、ステップS503及びステップS504を実行せずに、ステップS505へ移る。この場合、流量調節弁4Hの調節量は、ステップS4で決定した調節量のままである。
【0026】
次に、制御部80は、流量調節弁4Hの開度が最大であるかを判定すると共に、現在の給湯路に有る湯の流量Qが、流量調節弁4Hの目標流量QH1よりも少ないかを判定する(ステップS506)。ステップS506において、流量調節弁4Hの開度が最大であり、かつ湯の流量Qが目標流量QH1よりも少ないと判定された場合(Yesと判定された場合)、制御部80は、流量調節弁4Cの目標流量QC1を、現在の給湯路に有る湯の流量Qを基準として、以下に示す式6で再度算出して更新する(ステップS507)。
C1=(T-T)×Q/(T-T) … 式6
次に、制御部80は、ステップS4において決定した給水路の流量調節弁4Cの調節量を、ステップS507で再度算出した流量調節弁4Cの目標流量QC1を基準として再度決定して更新する(ステップS508)。次に、制御部80は、流量調節弁4Cへ制御信号を送信し、ステップS508で決定した流量調節弁4Cの調節量だけ、流量調節弁4Cを駆動させる(ステップS509)。ステップS506において、流量調節弁4Hの開度が最大でないか、目標流量QH1が湯の流量Qに等しい、若しくは目標流量QH1が湯の流量Qよりも少ないと判定された場合(Noと判定された場合)、流量調節弁4Hは、開度を大きくすることができる。この場合、制御部80は、ステップS507及びステップS508を実行せずに、ステップS509へ移る。この場合、給水路の流量調節弁4Cの調節量は、ステップS4で決定した調節量のままである。
【0027】
次に、本実施形態の作用及び効果について、説明する。本実施形態の湯水混合装置10は、給水源Cに接続し、内部に給水源Cから供給される水が流れる給水路を形成した給水管1Cと、給湯源Hに接続し、内部に給湯源Hから供給される湯が流れる給湯路を形成した給湯管1Hと、給水管1C及び給湯管1Hに接続し、内部に給水路から供給される水及び給湯路から供給される湯を混合した混合水が流れる混合水路を形成した混合管1Mと、を備えている。また、湯水混合装置10は、給水路に有る水の流量を調節する流量調節弁4Cと、給水路に有る水の温度及び流量を検出する温度センサ3C及び流量センサ5Cと、を備えている。さらに、湯水混合装置10は、給湯路に有る湯の流量を調節する流量調節弁4Hと、給湯路に有る湯の温度及び流量を検出する温度センサ3H及び流量センサ5Cと、を備えている。また、湯水混合装置10は、混合水路に有る混合水の温度及び流量を設定する設定部70と、流量調節弁4C,4Hを制御する制御部80と、を備えている。さらに、湯水混合装置10の制御部80は、設定部70の設定温度T及び設定流量Q、温度センサ3Cから取得した給水路に有る水の温度T、温度センサ3Hから取得した給湯路に有る湯の温度Tに基づき、流量調節弁4Cの目標流量QC1、及び流量調節弁4Hの目標流量QH1を算出し、目標流量QC1,QH1に基づき、流量調節弁4C,4Hの調節量を決定して制御する。これにより、湯水混合装置10は、使用者が所望する温度及び流量の混合水を供給することができる。
【0028】
湯水混合装置10の制御部80は、流量調節弁4Cが流量を増やせず、且つ、流量調節弁4Cの目標流量QC1と、給水路に流れている水の流量Qとを比較し、目標流量QC1の方が多いと判定した場合、設定部70で設定された混合水の温度Tとなるように、現在の給水路に流れている水の流量Qを基準にして、流量調節弁4Hの目標流量QH1を算出して更新し、更新された目標流量QH1を基準にして、流量調節弁4Hを制御する。また、制御部80は、流量調節弁4Hが流量を増やせず、且つ、流量調節弁4Hの目標流量QH1と、給湯路に流れている湯の流量Qとを比較し、目標流量QH1の方が多いと判定した場合、設定部70で設定された混合水の温度Tとなるように、現在の給湯路に流れている湯の流量Qを基準として、流量調節弁4Cの目標流量QC1を算出して更新し、更新された目標流量QC1を基準にして、流量調節弁4Cを制御する。給水源Cの圧力、及び給湯源Hの圧力が、所定の圧力よりも低かったり、差圧が大きかったりするなどの圧力変動があった場合、流量調節弁4C,4Hの開度を最大にしても、その目標流量まで流量を増やせない状態となるが、湯水混合装置10は、混合水の設定流量Qよりも設定温度Tを優先し、目標流量を更新して流量調節弁4C,4Hを制御する。これにより、湯水混合装置10は、安定した温度制御ができる。
【0029】
また、湯水混合装置10の制御部80は、流量調節弁4C,4Hの開度をそれぞれ記憶し、開度が最大であるか判定することにより、流量を増やせない状態であることを判定する。これにより、湯水混合装置10は、流量調節弁4C,4Hを駆動して、流量センサ5C,5Hの流量情報の変動がないことを検出せずとも、迅速に流量を増やせない状態であることを判定できる。よって、湯水混合装置10は、さらに安定した温度制御ができる。
【0030】
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、次のような実施形態も発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態の湯水混合装置10は、混合管1Mに開閉弁6Mを有しているが、混合管1Mに開閉弁がなくてもよい。この場合、給水管1Cと給湯管1Hが開閉弁を有していてもよいし、流量調節弁4C,4Hが、開閉弁として各流路を閉じる機能を有していてもよい。
(2)本実施形態の給水管1C及び給湯管1Hは、流量センサ5C,5Hを有しているが、流量センサ5C,5Hのいずれか一方を省略し、混合管1Mが流量センサを有していてもよい。例えば、給湯管1Hに流量センサ5Hがない場合、給湯路の湯の流量Qは、混合管1Mの流量センサで検出した混合水の流量から、給水管1Cの流量センサ5Cで検出した水の流量Qを差分することにより、算出する。
(3)本実施形態の制御部80は、流量センサ5C,5Hや設定部70などと有線で接続しているが、一部または全部と無線で電気的に接続していてもよい。
(4)本実施形態の制御部80は、流量調節弁4C,4Hの開度をそれぞれ記憶しているが、開度を記憶していなくてもよい。この場合、制御部80は、流量調節弁4C,4Hが流量を増やせない状態であるかを判定するために、流量調節弁4C,4Hを駆動して、流量センサ5C,5Hの流量情報の変動を検出する方法がある。
【符号の説明】
【0031】
10…湯水混合装置、1C…給水管(給水路)、1H…給湯路(給湯路)、1M…混合管(混合水路)、3C…温度センサ(水側情報取得部の一部)、3H…温度センサ(湯側情報取得部の一部)、4C…流量調節弁(水側流量調節部)、4H…流量調節弁(湯側流量調節部)、5C…流量センサ(水側情報取得部の一部)、5H…流量センサ(湯側情報取得部の一部)、70…設定部、80…制御部、Q…設定流量(設定情報の一部)、T…設定温度(設定情報の一部)、Q…給水路の水の流量(水情報の一部)、T…給水路の水の温度(水情報の一部)、Q…給湯路の湯の流量(湯情報の一部)、T…給湯路の湯の温度(湯情報の一部)、QC1…給水路に流す水の目標流量、QH1…給湯路に流す湯の目標流量
図1
図2
図3
図4