(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】電子喫煙具用繊維状ろ過材
(51)【国際特許分類】
A24D 3/17 20200101AFI20230615BHJP
A24D 3/10 20060101ALI20230615BHJP
A24D 3/12 20060101ALI20230615BHJP
A24F 40/10 20200101ALI20230615BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20230615BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D3/10
A24D3/12
A24F40/10
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2019567588
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(86)【国際出願番号】 IB2018054065
(87)【国際公開番号】W WO2018224986
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-04-12
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン,アンドリーズ・ドン
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,マイケル・エフ
(72)【発明者】
【氏名】エニ・エニ,サミー
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,ジャネル
(72)【発明者】
【氏名】ヘフナー,トレイシー・エム
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0081267(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0027454(US,A1)
【文献】特表2009-506761(JP,A)
【文献】米国特許第06119701(US,A)
【文献】特表2004-500901(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0005534(US,A1)
【文献】特表2013-532483(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009179(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/17
A24D 3/10
A24D 3/12
A24F 40/10
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達装置であって、
液体エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバ、
リザーバと流体連絡し、液体エアロゾル前駆体組成物を蒸発させ、続いて1種以上の標的化合物を任意に含むエアロゾルを形成するように構成された電気ヒーター、及び
セルロース含有材料およびイオン交換繊維を含むフィルタであって、形成されたエアロゾルの少なくとも一部がその中を通過するように前記ヒーターに対して作動可能に配置されたフィルタを備え、フィルタは前記1種以上の標的化合物と選択的に結合するように構成され、
当該フィルタが、ハウジングの口端に係合するように構成された取り外し可能な使い捨てのマウスピース内に配置されており、
前記1種以上の標的化合物が、ニトロソ含有化合物を含み;および
前記イオン交換繊維が、求電子性官能基を含む、エアロゾル送達装置。
【請求項2】
フィルタ中の前記セルロース含有材料の量が、フィルタの総重量に基づいて約1~約99重量%の範囲である、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項3】
フィルタ中の前記イオン交換繊維の量が、フィルタの総重量に基づいて約1~約99重量%の範囲である、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項4】
前記セルロース含有材料が、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、セルロースサルフェート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び再生セルロース繊維の1種以上を含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項5】
前記セルロース含有材料がセルロースアセテートである、請求項4に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項6】
前記ニトロソ含有化合物が、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタナール(NNA)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタノール(iso-NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-ブタン酸(iso-NNAC)又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項7】
前記ヒーター及び前記リザーバが、ハウジング内に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項8】
形成されたエアロゾルから標的化合物を除去する方法であって、電気ヒーターによるエアロゾル前駆体組成物の加熱によってエアロゾル送達装置内に形成されたエアロゾルがフィルタを通過し、エアロゾル中に存在する1種以上の標的化合物がフィルタに結合するように、エアロゾル送達装置において電気ヒーターから下流にフィルタを構成することを含み、
前記フィルタはセルロース含有材料およびイオン交換繊維を含み
、当該フィルタが、ハウジングの口端に係合するように構成された取り外し可能な使い捨てのマウスピース内に配置されており;
前記1種以上の標的化合物が、ニトロソ含有化合物を含み;および
前記イオン交換繊維が、求電子性官能基を含み、当該イオン交換繊維が、前記エアロゾル中に存在するニトロソ含有化合物に結合するように構成されている、方法。
【請求項9】
前記ニトロソ含有化合物が、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタナール(NNA)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタノール(iso-NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-ブタン酸(iso-NNAC)又はそれらの組み合わせを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記フィルタが、形成されたエアロゾルと接触し、装置の使用完了時に約0.5ng~約50ngの範囲の量のニトロソ含有化合物を吸着する、請求項
8または
9に記載の方法。
【請求項11】
前記標的化合物の除去が、フィルタと接触する前及びフィルタと接触した後に、エアロゾル中に存在する標的化合物のレベルの減少を測定することによって決定される、請求項
8または
9に記載の方法。
【請求項12】
前記求電子性官能基が
アルデヒドまたはハロゲン化アルキルである、請求項1に記載のエアロゾル送達装置。
【請求項13】
前記求電子性官能基が
アルデヒドまたはハロゲン化アルキルである、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙具のようなエアロゾル送達装置に関するものであり、より詳細には、エアロゾルの製造のために電気的に生成された熱を利用することができるエアロゾル送達装置(例えば、電子タバコと一般的に呼ばれる喫煙具)に関するものである。喫煙具は、エアロゾル前駆体を加熱するように構成されていてもよく、エアロゾル前駆体は、タバコから製造されるか、又はタバコに由来する材料を組み込むか、又はそうでなければタバコを組み込むことができ、前駆体は、ヒトが消費するために吸入可能な材料を形成することができる。
【背景技術】
【0002】
喫煙具の多くは、使用のためにタバコを燃焼させることを必要とする喫煙製品に対する改善又は代替として、長年にわたって提案されてきた。これらの装置の多くは、紙巻きたばこ、葉巻、又はパイプによる喫煙に関連する感覚を提供するように意図的に設計されているが、タバコの燃焼に起因するかなりの量の不完全燃焼生成物及び熱分解生成物を送達しないで前記感覚を提供できるように設計されている。この目的のために、電気エネルギーを利用して揮発性物質を蒸発又は加熱させるか、または、タバコを燃焼させずに紙巻きたばこ、葉巻、又はパイプによる喫煙の感覚をかなりの程度まで提供しようとする、多数の喫煙製品、香味発生器、及び医療用吸入器が提案されている。例えば、Robinsonらの米国特許第7,726,320号、Griffith Jr.らの米国特許出願公開第2013/0255702号、及びSearsらの米国特許出願公開第2014/0096781号(これらは参照により本明細書に援用される)に記載された背景技術に示されている種々の代替喫煙具、エアロゾル送達装置、及び加熱源を参照されたい。例えば、Blessらの米国特許出願公開第2015/0216232号(これは参照によりその全体が本明細書に援用される)の販売名及び商業的供給源によって参照される様々なタイプの喫煙具、エアロゾル送達装置、及び電気的に作動する加熱源も参照されたい。現在、多くのエアロゾル装置は、その使用期間を通して揮発性物質の一貫した組成物を作り出すことができない。さらに、揮発性物質の組成物は、揮発性物質の組成物を製造するためのエアロゾル送達装置内で蒸発した揮発性物質に由来する望ましくない不純物を含む可能性もある。
【0003】
エアロゾル送達装置において、液体(例えば、液体エアロゾル前駆体組成物)は、典型的には、蒸発されるべきリザーバ中に存在する。使用者がこの装置で吸入すると、ヒーターが作動して少量の液体を蒸発させ、これが吸引された空気と混合されてエアロゾルを形成し、それをその後使用者が吸入する。液体エアロゾル前駆体組成物はすでにいくつかの少量の望ましくない不純物を含んでいることが多く、これらの不純物は加熱されると蒸発する可能性があり、エアロゾル組成物の一部となる。このような望ましくない不純物の例としては、タバコ由来ニトロソアミン(例えば、N-ニトロソノルニコチン(NNN)及び4-(メチルニトロソアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK))が挙げられる。
【0004】
またある時には、そこに記載されたエアロゾル送達装置の通常の作動中に必ずしも予想されるわけではないが、ある条件下では、ヒーター(例えば、電気ヒーター)が、蒸発されるべき液体を加熱によって望ましくない不純物が形成される程度まで加熱する可能性がある。考えられる望ましくない不純物の例としては、カルボニル含有化合物(例えば、アルデヒド、ケトン)が挙げられる。したがって、意図せずに形成されたあらゆる不純物が、引き出されたエアロゾル中で消費者に移動することを実質的に防止するように、エアロゾル送達装置を構成することは有益であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7,726,320号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0216232号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その使用を通して一貫した風味プロファイルを維持し、あらゆる望ましくない不純物、特にエアロゾルの風味プロファイルを経時的に変化させる可能性のある不純物を含まないエアロゾルを使用者が吸引することを可能にする、電子的に駆動するエアロゾル送達装置、例えば、電子タバコを提供することが非常に望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、エアロゾル送達装置、そのような装置を形成する方法、及びそのような装置の部品に関する。特に、本開示の実施形態は、エアロゾル形成中に形成されるか、又は液体エアロゾル前駆体組成物中にすでに存在するかのいずれかの、最小量の望ましくない不純物を含むエアロゾルを生成するエアロゾル送達装置を対象にする。
【0008】
本開示の態様はエアロゾル送達装置を対象にし、この装置は、その使用を通して非常に風味の高いエアロゾルを維持することが可能であるが、機能化フィルタ部品を用いて望ましくない不純物を除去するように依然として構成されている。
【0009】
そのようなものとして、本開示の第1の態様は、液体エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバ、リザーバと流体連絡し、液体エアロゾル前駆体組成物を蒸発させ、続いてエアロゾルを形成するように構成されたヒーター、及び形成されたエアロゾルの少なくとも一部がその中を通過するようにヒーター(例えば、電気ヒーター)に対して作動可能に配置されたフィルタを備え、フィルタは1種以上の標的化合物と選択的に結合するように構成されたエアロゾル送達装置を対象にする。いくつかの実施形態において、フィルタは、セルロース含有材料及びイオン交換繊維を含む。いくつかの実施形態において、フィルタ中のセルロース含有材料の量は、フィルタの総重量に基づいて約1~約99重量%の範囲である。いくつかの実施形態において、フィルタ内のイオン交換繊維の量は、フィルタの総重量に基づいて約1~約99重量%の範囲である。いくつかの実施形態において、セルロース含有材料は、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、セルロースサルフェート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び再生セルロース繊維の1種以上を含む。いくつかの実施形態において、セルロース含有材料は、セルロースアセテートである。いくつかの実施形態において、イオン交換繊維は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、ヒドラジン基、ベンゼンスルホニルヒドラジン基及びそれらの組合せから選択される求核性官能基を含む。いくつかの実施形態において、求核性官能基は、第一級アミン基又は第二級アミン基である。いくつかの実施形態において、求核性官能基は、約0.5mmol/gから約5mmol/gの範囲の量でイオン交換繊維中に存在する。いくつかの実施形態において、求核性官能基は、イオン交換繊維の総重量に基づいて少なくとも20重量%の量でイオン交換繊維中に存在する。
【0010】
いくつかの実施形態において、標的化合物は求電子性官能基を含む。いくつかの実施形態において、標的化合物はカルボニル含有化合物を含む。いくつかの実施形態において、カルボニル含有化合物は、アルデヒド、ケトン、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、カルボニル含有化合物は、少なくとも1種のアルデヒドである。いくつかの実施形態において、アルデヒドは、アセトアルデヒド、アクロレイン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ホルムアルデヒド、又はプロピオンアルデヒドの少なくとも1種以上を含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、標的化合物はニトロソ含有化合物を含む。いくつかの実施形態において、ニトロソ含有化合物は、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタナール(NNA)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタノール(iso-NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-ブタン酸(iso-NNAC)又はそれらの組み合わせを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、ヒーター及びリザーバはハウジング内に存在する。いくつかの実施形態において、フィルタは、ヒーターの下流のハウジング内に含まれる。いくつかの実施形態において、フィルタは、ハウジングの口端とかみ合うように構成された取り外し可能なマウスピース内に配置される。いくつかの実施形態において、マウスピースは使い捨てである。
【0013】
本発明の別の態様は、形成されたエアロゾルから標的化合物を除去する方法を対象にし、この方法は、ヒーターによるエアロゾル前駆体組成物の加熱によってエアロゾル送達装置内に形成されたエアロゾルがフィルタを通過し、1種以上の標的化合物がフィルタに結合するように、エアロゾル送達装置においてヒーターに対してフィルタを構成することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態において、フィルタは形成されたエアロゾルと接触し、装置の使用完了時に約0.2μg~約750μgの範囲の量の標的化合物を吸着する。いくつかの実施形態において、標的化合物の除去は、エアロゾル中に存在する標的化合物のレベルの減少をフィルタと接触する前及びフィルタと接触した後に測定することによって決定される。いくつかの実施形態において、1種以上のアルデヒドを含む標的化合物のレベルは、フィルタと接触する前の1種以上のアルデヒドのレベルと比較して、少なくとも50%低下する。
【0015】
本開示は、限定するものではないが、以下の実施形態を含む。
【0016】
実施形態1:液体エアロゾル前駆体組成物を含むリザーバ、リザーバと流体連絡し、液体エアロゾル前駆体組成物を蒸発させ、続いてエアロゾルを形成するように構成された電気ヒーター、及び形成されたエアロゾルの少なくとも一部がその中を通過するようにヒーターに対して作動可能に配置されたフィルタを備え、フィルタは1種以上の標的化合物と選択的に結合するように構成されたエアロゾル送達装置。
【0017】
実施形態2:フィルタがセルロース含有材料及びイオン交換繊維を含む、先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0018】
実施形態3:フィルタ中のセルロース含有材料の量が、フィルタの総重量に基づいて約1~約99重量%の範囲である、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0019】
実施形態4:フィルタ中のイオン交換繊維の量が、フィルタの総重量に基づいて約1~約99重量%の範囲である、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0020】
実施形態5:セルロース含有材料が、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、セルロースサルフェート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及び再生セルロース繊維の1種以上を含む、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0021】
実施形態6:セルロース含有材料がセルロースアセテートである、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0022】
実施形態7:イオン交換繊維が、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、ヒドラジン基、ベンゼンスルホニルヒドラジン基、及びそれらの組み合わせから選択される求核性官能基を含む、いずれかの先行実施形態に記載のエアロゾル送達装置。
【0023】
実施形態81:求核性官能基が第一級アミン基又は第二級アミン基である、いずれかの先行実施形態に記載のエアロゾル送達装置。
【0024】
実施形態9:求核性官能基が約0.5mmol/g~約5mmol/gの範囲の量でイオン交換繊維中に存在する、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0025】
実施形態10:求核性官能基が、イオン交換繊維の総重量に基づいて少なくとも20重量%の量でイオン交換繊維中に存在する、いずれかの先行実施形態に記載のエアロゾル送達装置。
【0026】
実施形態11:標的化合物が求電子性官能基を含む、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0027】
実施形態12:標的化合物がカルボニル含有化合物を含む、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0028】
実施形態13:カルボニル含有化合物がアルデヒド、ケトン、又はそれらの組み合わせを含む、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0029】
実施形態14:カルボニル含有化合物が少なくとも1種のアルデヒドである、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0030】
実施形態15:アルデヒドが、アセトアルデヒド、アクロレイン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ホルムアルデヒド、又はプロピオンアルデヒドの少なくとも1種以上を含む、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0031】
実施形態16:標的化合物がニトロソ含有化合物を含む、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0032】
実施形態17:ニトロソ含有化合物が、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタナール(NNA)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタノール(iso-NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-ブタン酸(iso-NNAC)又はそれらの組み合わせを含む、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0033】
実施形態18:ヒーター及びリザーバがハウジング内に存在する、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0034】
実施形態19:フィルタがヒーターの下流のハウジング内に含まれる、いずれかの先行実施形態のエアロゾル送達装置。
【0035】
実施形態20:フィルタが、ハウジングの口端にかみ合うように構成された取り外し可能なマウスピース内に配置されている、いずれかの先行実施形態に記載のエアロゾル送達装置。
【0036】
実施形態21:マウスピースが使い捨てである、いずれかの先行実施形態に記載のエアロゾル送達装置。
【0037】
実施形態22:形成されたエアロゾルから標的化合物を除去する方法であって、電気ヒーターによるエアロゾル前駆体組成物の加熱によってエアロゾル送達装置内に形成されたエアロゾルがフィルタを通過し、エアロゾル中に存在する1種以上の標的化合物がフィルタに結合するように、エアロゾル送達装置において電気ヒーターに対してフィルタを構成することを含む、方法。
【0038】
実施形態23:標的化合物が求電子性官能基を含む、先行実施形態に記載の方法。
【0039】
実施形態24:標的化合物が、カルボニル含有化合物、ニトロソ含有化合物、又はそれらの組み合わせを含む、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0040】
実施形態25:カルボニル含有化合物が、アルデヒド、ケトン、又はそれらの組み合わせを含む、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0041】
実施形態26:カルボニル含有化合物が少なくとも1種のアルデヒドである、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0042】
実施形態27:アルデヒドが、アセトアルデヒド、アクロレイン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ホルムアルデヒド、又はプロピオンアルデヒドの少なくとも1種以上を含む、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0043】
実施形態28:ニトロソ含有化合物が、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタナール(NNA)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタノール(iso-NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-ブタン酸(iso-NNAC)又はこれらの組み合わせを含む、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0044】
実施形態29:フィルタが形成されたエアロゾルと接触し、装置の使用完了時に約0.2μg~約750μgの範囲の量のカルボニル含有化合物を吸着する、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0045】
実施形態30:フィルタが形成されたエアロゾルと接触し、装置の使用完了時に約0.5ng~約50ngの範囲の量のニトロソ含有化合物を吸着する、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0046】
実施形態31:標的化合物の除去が、フィルタと接触する前及びフィルタと接触した後に、エアロゾル中に存在する標的化合物のレベルの減少を測定することによって決定される、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0047】
実施形態32:1種以上のアルデヒドを含む標的化合物のレベルが、フィルタと接触する前の1種以上のアルデヒドのレベルと比較して、少なくとも50%低下する、いずれかの先行実施形態に記載の方法。
【0048】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下に簡単に記述する添付図面と共に以下の詳細な説明を読むことにより明らかになる。本発明は、上述の実施形態の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の任意の組み合わせ、並びに本明細書に記載される任意の2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特徴又は要素の組み合わせを含み、そのような特徴又は要素が、本明細書における具体的な実施形態の説明において明示的に組合わされるかどうかにかかわらない。本開示は、その様々な態様及び実施形態のいずれにおいても、本発明の任意の分離可能な特徴又は要素が、文脈が別途明確に指示していない限り、組み合わせ可能であることを意図しているとみなすように、全体的に読まれることを意図したものである。本発明の他の態様及び利点は、以下から明らかになる。
【0049】
このように開示を前述の一般用語で説明する一方で、必ずしも正確な比率で描かれていない添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、カートリッジ及び本開示の種々の実施形態によるエアロゾル送達装置に利用され得る種々の要素を含む制御本体を備えたエアロゾル送達装置の部分断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の種々の実施形態によるエアロゾル送達装置に利用され得る種々の要素を備えたエアロゾル送達装置のカートリッジ及び取り付け可能なマウスピースの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下に本開示を、その例示的な実施形態を参照して、より詳細に説明する。これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、当業者に本開示の範囲を完全に伝えるように記載される。実際、本開示は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、本開示が適用可能な法的要件を満たすように、これらの実施形態が提供される。明細書及び添付の特許請求範囲に使用されるように、文脈が別途明確に指示する場合を除き、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は複数の指示対象を含む。
【0052】
本明細書に記載されているように、本開示は、消費者との接触前に放出された蒸気又はエアロゾル中の望ましくない化合物と結合するように設計されたエアロゾル送達装置を対象にする。これらの望ましくない化合物は、(a)使用中に蒸発した液体エアロゾル前駆体中の不純物、又は(b)エアロゾル送達装置の使用中に形成された不純物のいずれかである。
【0053】
例えば、液体エアロゾル前駆体中の不純物は、液体エアロゾル前駆体中に存在するニコチン抽出物に由来することが多い。天然源から単離されたニコチン抽出物は、タバコに特有なニトロソアミン(TSNA)を伴うことが多い。TSNAは、タバコ植物の部分(例えば、葉、茎)に見られる望ましくない成分と考えられているが、このようなタバコ植物の部分の加工中にさらに生じる可能性がある。例えば、タバコが供される収穫後の加工の間にTSNAが形成されることが観察されている。Tricker, A. Canc. Lett.1998,42,113-118、Chamberlain, W.ら、J. Agric. Food Chem.1988,36,48-50(これは、その全体が参照により本明細書に援用される。)を参照されたい。ニコチン及びノルニコチンのようなタバコアルカロイドはニトロソ化されてTSNAを形成する。ニトロソ化の間に、例えば、ニコチン及びノルニコチンのアミン官能基は亜酸化窒素と反応してニトロソアミン(R1N(R2)N=O、式中R1及びR2はアルキル置換基を表す)を形成する。このニトロソ化は、タバコの加工及び貯蔵中、並びにニコチン及びノルニコチンを含むタバコを硝酸塩に富む環境で燃焼させることによって起こる可能性がある。例示的なTSNAは、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタナール(NNA)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタノール(iso-NNAL)及び4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-ブタン酸(iso-NNAC)である。最も懸念される2つのTSNAは、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)及び4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)である。これら2つのうち、NNKが最も懸念されている。例えば、Hecht, S. Chem. Res. Toxicol. 1998,11,6,559-603(その全体が参照により本明細書に援用される。)を参照されたい。しかし、1種以上のTSNAのニトロソアミン官能基は転位して、アミン官能基を含むTSNA誘導体を形成する一酸化窒素(NO)を放出する可能性がある。この転位は室温で起こりうるが、高温ではより頻繁に起こる。例えば、Anselme, J.-P. ACS Symposium Series,1979,1-10及びLijnsky, W., Chemistry and Biology of N-Nitroso Compounds,Cambridge University Press,1992(これらは、その全体が参照により本明細書に援用される。)を参照されたい。
【0054】
液体エアロゾル前駆体中に存在するTSNAの量は、抽出物がそれから単離されたタバコに使用される加工法に依存する。例えば、天然由来タバコの合成由来又は広範な精製を受けている医薬品グレードのニコチンは、最低量のTSNAを含有することが多い。
【0055】
望ましくない化合物は、蒸発すべき液体エアロゾル前駆体中に存在する可能性があるだけでなく、従来のエアロゾル送達装置の使用中に形成する可能性がある。蒸発すべき液体は、加熱すると温度変動が発生する可能性があり、その結果、生成されたエアロゾルの全体的な香味プロフィールに影響を及ぼし得、また吸入時に消費者に送達するのに望ましくないこともある望ましくない不純物が形成される。
【0056】
本装置は、固定化支持体を含み、該支持体はエアロゾルが装置の様々な構成要素を通過する際に、エアロゾル中の標的化合物とも呼ばれることが多い、望ましくない化合物を標的とし、結合する。固定化支持体は、フィルタ要素等の装置の任意の成分に組み込むことができるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、固定化支持体を含むフィルタ要素は、化学吸着法を用いて標的化合物を引き付け、これと結合する。ここで気体状の標的化合物は、固定化支持体の表面に向けられ、次いで該表面に吸着され、続いて該表面に共有結合して、それによって主流のエアロゾルからそのような化合物を除去する。標的化合物が固定化支持体に結合される一方で、処理されたエアロゾルは、消費者に到達するために装置の残りの要素を通過し続ける。
【0057】
理論に拘束されることを意図するものではないが、標的化合物の官能基は固定化支持体表面の官能基と化学反応を起こし、固定化支持体と望ましくない化合物との間に共有結合を形成すると考えられる。一般に、化学吸着法は、反対の電荷をもつ官能基の引力とそれに続く結合に基づき、例えば、求核性官能基は求電子性官能基と結合し、その逆も同様である。したがって、フィルタ要素内の固定化支持体は、求電子性官能基又は求核性官能基のいずれかを含有するように修飾することができ、これらの官能基は反対の電荷の官能基をもつ標的化合物を引き付け、これと結合することができる。例えば、求電子性官能基で修飾されたフィルタ要素の固定化支持体は、求核性官能基を含む標的化合物を引き付け、これと結合することができる。いくつかの実施形態において、求核性官能基を有する標的化合物は、アミン含有化合物(例えば、TSNA誘導体)である。求電子性官能基(例えば、アルデヒド、ハロゲン化アルキル)を含む固定化支持体を用いて、このようなアミン含有化合物を固定化支持体に引き付け、共有結合させ、それによって主流のエアロゾルからそのような種を除去することができる。対照的に、求核性基で修飾されたフィルタ要素の固定化支持体は、求電子性官能基を含む標的化合物を引き付け、これと結合することができる。例えば、いくつかの実施形態において、求電子性官能基を有する標的化合物は、カルボニル含有化合物(例えば、アルデヒド及び/又はケトン)及び/又はニトロソ含有化合物(例えば、TSNA)である。カルボニル含有化合物及びニトロソ含有化合物の求核剤に対する反応性は類似しており、したがって、同じ求核性官能基をカルボニル含有化合物及びニトロソ含有化合物を引き付けるためにしばしば使用することができる。そのような求核性官能基(例えば、アミン及び/又はアルコール)を支持体上に固定化して、カルボニル含有化合物及び/又はニトロソ含有化合物を支持体上に引き付け、共有結合させ、それによって主流のエアロゾルからそのような種を除去する。そのようなものとして、フィルタ要素内の固定化支持体のこの結合過程は、典型的には、固定化支持体によって担持される電荷に関して、反対の電荷の官能基を有する標的化合物に対して選択的である。
【0058】
以下に記載するように、本開示の実施形態はエアロゾル送達システムに関する。本開示によるエアロゾル送達システムは、吸入可能な物質を形成するために、(好ましくはかなりの程度まで材料を燃焼させることなく、及び/又は材料のかなりの化学的変化がなく)材料を加熱するために電気エネルギーを使用し、このようなシステムの構成要素は、手持ち式装置とみなされるのに最も好ましくは十分にコンパクトな物品の形態を有する。すなわち、好ましいエアロゾル送達システムの構成要素の使用は、煙を生じさせない、すなわちタバコの燃焼又は熱分解の副産物を形成せず、むしろ、これらの好ましいシステムの使用は、その中に組み込まれた特定の構成要素の揮発又は蒸発に起因するエアロゾルを生じる。好ましい実施態様において、エアロゾル送達システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けられ得、それらの電子タバコは、最も好ましくはタバコ及び/又はタバコ由来成分を組み込み、それによりエアロゾル形態でタバコ由来成分を送達する。
【0059】
特定の好ましいエアロゾル送達システムのエアロゾル発生断片は、そのあらゆる構成要素のかなりの程度の燃焼を伴わずに、紙巻きたばこ、葉巻を吸うこと、又はタバコに火をつけて燃焼させること(したがって、タバコの煙を吸入すること)によって使用されるパイプで喫煙することの多くの感覚(例えば、吸入及び呼気の仕方、味覚又は風味の種類、官能効果、身体的感覚、使用の仕方、目に見えるエアロゾルによって提供されるもの等の視覚的刺激)を提供することができる。例えば、本開示のエアロゾル発生断片の使用者は、伝統的な種類の喫煙具を使用する喫煙者と非常に類似して断片を保持し、使用し、その断片によって生成されたエアロゾルの吸入のためにその断片の一端をくわえ、選択された時間間隔でパフを入れたり出したりすること等ができる。
【0060】
本開示のエアロゾル送達装置は、蒸気生成物品又は薬剤送達物品であると特徴付けることもできる。したがって、そのような物品又は装置は、1種以上の物質(例えば、風味剤及び/又は医薬活性成分)を吸入可能な形態又は状態で提供するように適合させることができる。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態であり得る(すなわち、その臨界点より低い温度で気相にある物質)。あるいは、吸入可能な物質はエアロゾルの形態であり得る(すなわち、気体中の微細な固体粒子又は液滴の懸濁液)。単純化の目的のために、本明細書で使用される用語「エアロゾル」は、ヒトの吸入に適した形態又はタイプの蒸気、気体、及びエアロゾルを含み、目に見えるかどうか、及び煙のようであると考えられ得る形態であるかどうかを問わないことを意味する。
【0061】
本開示のエアロゾル送達装置は、一般に、外側筐体又は外側シェル(ハウジングと称され得る)内に提供される複数の構成要素を含む。外側筐体又は外側シェルの全体的なデザインは変化させることができ、エアロゾル送達装置の全体的なサイズ及び形状を規定できる外側筐体のフォーマット又は構成は変化させることができる。典型的には、紙巻きたばこ又は葉巻の形状に似た細長い筐体は、単一の一体的なハウジングから形成され得るか、又は細長いハウジングは、2つ以上の分離可能な筐体から形成され得る。例えば、エアロゾル送達装置は、形状が実質的に管状であり得、そのため従来の紙巻きたばこ又は葉巻の形状に類似する細長いシェル又は筐体を備えることができる。一実施形態において、エアロゾル送達装置の構成要素の全ては、1つのハウジング内に収納される。あるいは、エアロゾル送達装置は、連結された分離可能な2つ以上のハウジングを備えることができる。例えば、エアロゾル送達装置は、一端に、1つ以上の構成要素(例えば、電池、及びその物品の作動を制御するための種々の電子機器)を収納するハウジングを備える制御本体、他端に、取り外し可能に取り付けられた、エアロゾルを形成する構成要素(例えば、風味剤及びエアロゾル形成剤等の1種以上のエアロゾル前駆体成分、1つ以上のヒーター、及び/又は1つ以上の芯)を備える外側筐体又は外側シェルを有することができる。
【0062】
本開示のエアロゾル送達装置は、形状が実質的に管状ではないが、実質的により大きな寸法に形成することができる外側ハウジング又はシェルで形成することができる。このハウジング又はシェルは、マウスピースを含むように構成することができ、及び/又は液体エアロゾル形成剤等の消耗性要素を含むことができ、気化器又は噴霧器を含むことができる別個のシェル(例えば、カートリッジ又はタンク)を受け入れるように構成することができる。
【0063】
本開示のエアロゾル送達装置は、電源(すなわち、電気源)、少なくとも1つの制御要素(例えば、電源、電源から物品の他の構成要素への電流を制御することによって、熱発生のための電力を作動させ、制御し、調節し、停止するための手段、例えば、マイクロコントローラ又はマイクロプロセッサ)、ヒーター又は熱発生部材(例えば、電気抵抗加熱素子又は他の構成要素(単独で又は1つ以上のさらなる要素と組み合わせて「噴霧器」と一般的に呼ばれる)、エアロゾル前駆体組成物(例えば、一般的に、「スモークジュース」、「e-液体」及び「e-ジュース」と一般的に呼ばれる成分のように十分な熱を加えるとエアロゾルを生じることができる液体)、エアロゾル吸入用エアロゾル送達装置をくわえることを可能にするマウスピース又は口部(例えば、生成されたエアロゾルを吸い込む際にそこから引き出すことができるように物品を通る規定された気流路)のある組み合わせを含むことが最も好ましい。
【0064】
本開示のエアロゾル送達システム内の構成要素のより具体的なフォーマット、構成及び配置は、以下に提供するさらなる開示に照らして明らかになる。さらに、種々のエアロゾル送達システムの構成要素の選択及び配置は、本開示の背景技術の項で参照されている代表的な製品のような、市販の電子エアロゾル送達装置を考慮すると理解できる。
【0065】
本開示によるエアロゾル送達装置において利用され得る構成要素を示すエアロゾル送達装置100の一実施形態が、
図1に提供される。そこに図示されている断面図に見られるように、エアロゾル送達装置100は、機能的な関係で永久的に又は着脱可能に配列され得る制御本体102及びカートリッジ104を備えることができる。制御本体102とカートリッジ104との係合は、圧入(図示のように)、ネジ、締まりばめ、磁気等であり得る。特に、本明細書にさらに記載するような連結要素を使用することができる。例えば、制御本体は、カートリッジ上に接続部を係合するように適合された連結器を備えることができる。
【0066】
具体的な実施形態において、制御本体102及びカートリッジ104の一方又は両方を使い捨てであるか、又は再利用可能であると言うことができる。例えば、制御本体は、置換可能な電池又は再充電可能な電池を有することができ、したがって、典型的な電気コンセントへの接続、自動車の充電器(すなわち、タバコのライター用容器)への接続、及び、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルによるコンピュータへの接続をはじめとする任意のタイプの再充電技術と組み合わせることができる。例えば、一端にUSBコネクタを含み、反対端に制御本体コネクタを含むアダプタがNovakらの米国特許出願公開第2014/0261495号に開示されており、これはその全体が参照により本明細書に援用される。さらに、いくつかの実施形態において、カートリッジは、Changらの米国特許第8,910,639号(その全体が参照により本明細書に援用される。)に開示されているように、使い捨てカートリッジを含むことができる。
【0067】
図1に示すように、制御本体102は、制御要素106(例えば、プリント基板(PCB)、集積回路、メモリー要素、マイクロコントローラ等)を含むことができる制御本体シェル101、流量センサ108、電池110及びLED112から形成でき、このような構成要素を可変的に整列させることができる。さらなるインジケータ(例えば、触覚フィードバック要素、音声フィードバック要素等)は、LEDに加えて、又はLEDの代替物として含めることができる。発光ダイオード(LED)要素のような視覚的刺激を生じる素子又はインジケータのさらなる代表的なタイプ、並びにその構成及び用途は、Sprinkelらの米国特許第5,154,192号、Newtonの米国特許第8,499,766号及びScatterdayの米国特許第8,539,959号、Gallowayらの米国特許出願公開第2015/0020825号及びSearsらの米国特許出願公開第2015/0216233号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0068】
カートリッジ104は、リザーバハウジング内に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物をヒーター134に毛管作用により運ぶか、別のやり方で輸送するように適合された液体輸送要素136と流体連絡しているリザーバ144を包むカートリッジシェル103から形成することができる。液体輸送要素は、毛細管作用等による液体の輸送のために構成された1種以上の材料から形成することができる。液体輸送要素は、例えば、繊維状材料(例えば、オーガニックコットン、セルロースアセテート、再生セルロース布、ガラス繊維)、多孔性セラミック、多孔性炭素、グラファイト、多孔性ガラス、焼結ガラスビーズ、焼結セラミックビーズ、毛細管等から形成することができる。したがって、流体輸送要素は、開いた細孔ネットワーク(すなわち、流体が要素を通る複数の方向に1つの細孔から別の細孔へと流れることができるように相互接続された複数の細孔)を含む任意の材料であることができる。電流がその中を通るときに熱を発生するように構成された材料の様々な実施形態を用いて、抵抗性加熱素子134を形成することができる。ワイヤコイルが形成され得る例示的な材料には、カンタール(FeCrAl)、ニクロム、二ケイ化モリブデン(MoSi2)、ケイ化モリブデン(MoSi)、アルミニウムをドープした二ケイ化モリブデン(Mo(Si,Al)2)、チタン、白金、銀、パラジウム、グラファイト及びグラファイトベースの材料(例えば、炭素ベースの発泡体及び糸)並びにセラミック(例えば、正又は負の温度係数のセラミック)が挙げられる。いくつかの実施形態において、ヒーター134は電気ヒーターである。
【0069】
開口部128は、カートリッジ104から形成されたエアロゾルの排出を可能にするために、カートリッジシェル103(例えば、口端)に存在してもよい。このような構成要素は、カートリッジ内に存在し得る構成要素の代表であり、本開示によって包含されるカートリッジ要素の範囲を制限することを意図していない。
【0070】
また、カートリッジ104は、集積回路、メモリー要素、センサ等を含むことができる1つ以上の電子要素150を備えることもできる。電子要素150は、有線又は無線手段によって制御要素106及び/又は外部装置と通信するように適合されてもよい。電子要素150は、カートリッジ104又はそのベース140内のどこに位置してもよい。
【0071】
制御要素106及び流量センサ108は別々に図示されているが、制御要素及び流量センサは、空気流量センサが直接付着した電子回路基板として組み合わせてもよいことは理解される。さらに、電子回路基板は、電子回路基板が制御本体の中心軸に対して長さが平行になることができる点で、
図1の図に対して水平に配置することができる。いくつかの実施形態において、空気流量センサは、空気流量センサを取り付けることができる自身の回路基板又は他の基本要素を備えることができる。いくつかの実施形態において、可撓性の回路基板を利用することができる。可撓性の回路基板は、実質的に管状の形状をはじめとする様々な形状に構成されてもよい。
【0072】
制御本体102及びカートリッジ104は、それらの間の流体の係合を容易にするように適合された構成要素を含むことができる。
図1に示すように、制御本体102は、その中に空洞125を有する連結器124を含むことができる。カートリッジ104は、連結器124と係合するように適合されたベース140を備えることができ、空洞125内に収まるように適合された突起141を備えることができる。このような係合は、制御本体102とカートリッジ104との間の安定した接続を容易にすると共に、制御本体内の電池110及び制御要素106とカートリッジ内のヒーター134との間の電気的接続を確立することができる。さらに、制御本体シェル101は空気取込み口118を備えることができ、これはシェル内の切欠きであってもよく、そこでは空気取込み口118が連結器124に接続して連結器の周りの周囲空気のシェル内への通過を可能にし、そこで周囲空気は連結器の空洞125を通過し、突起141を通ってカートリッジ内に入る。
【0073】
本開示に従い有用な連結器及びベースは、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号に記載されており、その開示はその全体が参照により本明細書に援用される。例えば、
図1に見られる連結器は、ベース140の内周142と接続されるように構成された外周126を規定することができる。一実施形態において、ベースの内周は、連結器の外側周辺の半径と実質的に等しいか、又はそれよりわずかに大きい半径を規定することができる。さらに、連結器124は、ベースの内周に規定された1つ以上の凹部178と係合するように構成された、外周126の1つ以上の突起129を規定することができる。しかし、構造、形状、及び構成要素の様々な他の実施形態を用いて、ベースを連結器に連結することができる。いくつかの実施形態において、カートリッジ104のベース140と制御本体102の連結器124との接続は実質的に永久的であり得るが、他の実施形態では、それらの間の接続は解放可能であり得、例えば、制御本体は使い捨て及び/又は詰め替え可能な1つ以上の追加カートリッジと共に再利用され得る。
【0074】
エアロゾル送達装置100は、いくつかの実施形態において、実質的にロッド状又は実質的に管状又は実質的に円筒状であってもよい。他の実施形態では、さらなる形状及び寸法が包含され、例えば、長方形又は三角形の断面、多角形等が包含される。特に、制御本体102はロッド状でなくてもよく、むしろ実質的に長方形、円形であってもよく、又はあるさらなる形状を有してもよい。同様に、制御本体102は、実質的に従来の紙巻きたばこの大きさであると期待されるであろう制御本体よりも実質的に大きくてもよい。
【0075】
図1に示すリザーバ144は、容器(例えば、エアロゾル前駆体組成物に対して実質的に不透過性の壁で形成される)であってもよく、繊維状リザーバであってもよい。例えば、リザーバ144は、この実施形態では、カートリッジシェル103の内部を取り囲む管の形状に実質的に形成された不織布繊維の1層以上を含むことができる。エアロゾル前駆体組成物をリザーバ144内に保持することができる。例えば、液体成分は、リザーバ144によって吸着されて保持され得る。リザーバ144は、液体輸送要素136と流体接続することができる。液体輸送要素136は、リザーバ144に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を毛細管作用により加熱素子134(この実施形態では金属ワイヤコイルの形態である)に輸送することができる。このように、加熱素子134は、液体輸送要素136と共に暖房装置内にある。
【0076】
入力素子はエアロゾル送達装置と共に含まれてもよい。入力素子は、使用者が装置の機能を制御すること及び/又は使用者への情報の出力を可能にするために含むことができる。装置の機能を制御するための入力素子として、任意の構成要素又は構成要素の組合せを利用することができる。例えば、Wormらの米国特許出願公開第2015/0245658号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されているように、1つ以上のプッシュボタンを使用することができる。同様に、Searsらの米国特許出願公開第2016/0262454号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されているように、タッチスクリーンを使用することができる。さらなる例として、エアロゾル送達装置の特定の動きに基づいてジェスチャー認識に適合された構成要素を入力素子として使用することができる。Henryらの米国特許出願公開第2016/0158782号(その全体が参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0077】
いくつかの実施形態において、入力素子は、スマートフォン又はタブレットのようなコンピュータ又は演算装置を備えることができる。特に、エアロゾル送達装置は、コンピュータ又は他の装置に、例えば、USBコード又は類似のプロトコルの使用により配線することができる。エアロゾル送達装置はまた、無線通信によりコンピュータ又は入力素子として作用する他の装置と通信することができる。例えば、Ampoliniらの米国特許出願公開第2016/0007561号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されているように、読み取り要求により装置を制御するためのシステム及び方法を参照されたい。そのような実施形態では、APP又は他のコンピュータプログラムを、コンピュータ又は他の演算装置に関連して使用して、エアロゾル送達装置へ制御指示、例えば、ニコチン含有量及び/又は含まれるべきさらなる風味剤の含有量を選択することによって特定の組成のエアロゾルを形成する能力をはじめとする制御指示を入力することができる。
【0078】
本開示によるエアロゾル送達装置の様々な構成要素は、当該技術分野に記載され、市販されている構成要素から選択することができる。本開示に従って使用することができる電池の例は、Peckerarらの米国特許出願公開第2010/0028766号に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0079】
エアロゾル送達装置は、エアロゾル発生が望ましい場合(例えば、使用中の吸い込み時)、熱発生要素への電力の供給を制御するためのセンサ又は検出器を組み込むことができる。そのようなものとして、例えば、使用中にエアロゾル送達装置を吸っていない時に、熱発生要素への電源のスイッチを切り、吸い込み時に熱発生要素による熱の発生を作動させたり、引き起こしたりするために、電源のスイッチを入れるための方式又は方法が提供される。追加の代表的なタイプの感知又は検出メカニズム、その構造及び構成、その構成要素、及びその一般的な操作方法は、Sprinkel Jr.の米国特許第5,261,424号、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号及びFlickのPCT WO2010/003480号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0080】
エアロゾル送達装置は、吸い込み時の熱発生要素への電力量を制御する制御機構を組み込んでいることが最も好ましい。電子要素の代表的なタイプ、その構造及び構成、その特徴、並びにその一般的な操作方法は、Gerthらの米国特許第4,735,217号、Brooksらの米国特許第4,947,874号、McCaffertyらの米国特許第5,372,148号、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号、Nguyenらの米国特許第7,040,314号、Panの米国特許第8,205,622号、Fernandoらの米国特許出願公開第2009/0230117号、Colletらの米国特許出願公開第2014/0060554号、Ampoliniらの米国特許出願公開第2014/0270727号及びHenryらの米国特許出願公開第2015/0257445号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0081】
基材、リザーバ又はエアロゾル前駆体を担持するための他の構成要素の代表的なタイプは、Newtonの米国特許第8,528,569号、Chapmanらの米国特許出願公開第2014/0261487号、Davisらの米国特許出願公開第2014/0059780号、Blessらの米国特許出願公開第2015/0216232号に記載されており、これらは参照により本明細書に援用される。さらに、種々の吸引材料、及び特定のタイプの電子タバコ内の吸引材料の構成及び作動は、Searsらの米国特許第8,910,640号に記載されており、この特許は参照により本明細書に援用される。
【0082】
さらに、本開示のエアロゾル送達装置に組み込むことができる他の特徴、制御装置又は構成要素は、Harrisらの米国特許第5,967,148号、Watkinsらの米国特許第5,934,289号、Countsらの米国特許第5,954,979号、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号、Honの米国特許第8,365,742号、Fernandoらの米国特許第8,402,976号、Fernandoらの米国特許出願公開第2010/0163063号、Tuckerらの米国特許出願公開第2013/0192623号、Levenらの米国特許出願公開第2013/0298905号、Kimらの米国特許出願公開第2013/0180553号、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号及びDePianoらの米国特許出願公開第2014/0261408号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0083】
電子タバコとして特徴付けられるエアロゾル送達システムのために、エアロゾル前駆体組成物は、最も好ましくはタバコ又はタバコ由来成分を組み込む。一点において、タバコは、微粉砕、粉砕又は粉末化タバコ葉身のようなタバコの一部又は断片として提供され得る。別の点では、タバコの水溶性成分の多くを組み込んだ噴霧乾燥抽出物のような抽出物の形態でタバコを提供することができる。あるいは、タバコ抽出物は比較的高いニコチン含有量の抽出物の形態を有してもよく、該抽出物はタバコに由来する少量の他の抽出成分も組み込んでいる。別の点において、タバコ由来成分は、タバコに由来するある種の風味剤のように比較的純粋な形態で提供され得る。1つの点において、タバコに由来し、高度に精製された又は本質的に純粋な形態で使用され得る成分は、ニコチン(例えば、医薬グレードのニコチン)である。
【0084】
エアロゾル前駆体組成物は、蒸気前駆体組成物とも呼ばれ、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、又はその混合物)、ニコチン、タバコ、タバコ抽出物、及び/又は風味剤をはじめとする種々の成分を含むことができる。エアロゾル前駆体成分及び配合物の代表的なタイプもまた、Robinsonらの米国特許第7,217,320号、Zhengらの米国特許出願公開第2013/0008457号、Chongらの米国特許出願公開第2013/0213417号、Collettらの米国特許出願公開第2014/0060554号、Lipowiczらの米国特許出願公開第2015/0020823号及びKollerの米国特許出願公開第2015/0020830号並びにBowenらのWO2014/182736号(これらは、その全体が参照により本明細書に援用される。)に記載され、特徴付けられている。使用可能な他のエアロゾル前駆体としては、R.J.Reynolds Vapor Company社のVUSE(R)製品に組み込まれているエアロゾル前駆体、Lorillard Technologies社のBLU(商標)製品、Mistic Ecigs社のMISTIC MENTHOL製品、及びCN Creative Ltd社のVYPE製品が挙げられる。Johnson Creek Enterprises LLCから入手可能な電子タバコ用のいわゆる「スモークジュース」も望ましい。
【0085】
エアロゾル送達システム内に組み込まれるエアロゾル前駆体の量は、エアロゾル生成断片が許容可能な感覚的特性及び望ましい性能特性を提供するようなものである。例えば、多くの点でタバコ煙の外観に類似する目に見える主流のエアロゾルの生成を提供するために、十分な量のエアロゾル形成物質(例えば、グリセリン及び/又はプロピレングリコール)を使用することが非常に好ましい。エアロゾル発生システム内のエアロゾル前駆体の量は、エアロゾル発生断片当たりに所望されるパフの数のような因子に依存し得る。典型的には、エアロゾル送達システム内、特にエアロゾル発生断片内に組み込まれるエアロゾル前駆体の量は、約2g未満、一般に約1.5g未満、しばしば約1g未満、及び頻繁には約0.5g未満である。
【0086】
本開示のエアロゾル送達システムに組み込むことができるさらなる他の特徴、制御装置又は構成要素は、Harrisらの米国特許第5,967,148号、Watkinsらの米国特許第5,934,289号、Countsらの米国特許第5,954,979号、Fleischhauerらの米国特許第6,040,560号、Honの米国特許第8,365,742号、Fernandoらの米国特許第8,402,976号、Fernandoらの米国特許出願公開第2010/0163063号、Tuckerらの米国特許出願公開第2013/0192623号、Levenらの米国特許出願公開第2013/0298905号、Kimらの米国特許出願公開第2013/0180553号、Sebastianらの米国特許出願公開第2014/0000638号、Novakらの米国特許出願公開第2014/0261495号及びDePianoらの米国特許出願公開第2014/0261408号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0087】
本物品の使用に関する前述の説明は、本明細書に提供されたさらなる開示に照らして当業者に明白であり得る軽微な修正を介して本明細書に記載される種々の実施形態に適用することができる。しかし、上記の使用の記述は、物品の使用を制限することを意図したものではなく、本開示における開示の全ての必要な要件に適合するために提供されるものである。
図1に図示された、又はその他の点では上述された物品に示されたいずれの要素も、本開示に従い、エアロゾル送達装置に含めることができる。
【0088】
エアロゾル送達装置(例えば、電子タバコ)の使用中に、不純物が形成される可能性がある。例えば、エアロゾル前駆体組成物の制御されていない加熱は、エアロゾル前駆体組成物内に存在する種々の成分(例えば、グリセロール、プロピレングリセロール)の酸化をもたらし、エアロゾル前駆体の組成に応じて種々の量の、酸素に富む標的化合物、例えば、カルボニル含有化合物(例えば、アルデヒド及び/又はケトン)を生成することがある。使用の全期間中、類似の温度で連続的に燃焼されるタバコとは異なり、エアロゾル送達装置は、加熱及び冷却という繰り返しの熱サイクルを受けることができる。
【0089】
装置が駆動されると、加熱素子にエネルギーが供給され、液体輸送要素内の液体エアロゾル前駆体組成物を加熱し、蒸発させる。消費者がパフを終えた後、もはやエネルギーは加熱素子及び芯に送達されず、温度は徐々に低下すると同時に、液体エアロゾル前駆体が芯に再供給される。使用中、液体輸送要素への液体エアロゾル前駆体の供給が不十分なこともあり得、これは、液体前駆体組成物の利用可能性の低下を認識できない可能性がある、加熱素子による液体エアロゾル前駆体の過熱をもたらす可能性がある。しかし、液体エアロゾル前駆体の過熱は、消費者が検出できる強い不快な味覚の発生をもたらす可能性があり、これは望ましくない不純物(例えば、カルボニル含有化合物のような酸素に富む標的化合物)の存在が形成されたことに起因する。
【0090】
エアロゾル送達装置の使用中に不純物が形成される別の例は、微量のTSNAを含む液体エアロゾル前駆体組成物の蒸発時である。TSNAは、液体エアロゾル前駆体組成物で使用されるニコチン抽出物(タバコから単離される)中の微量不純物としてしばしば存在する。これらの不純物は、液体エアロゾル前駆体組成物中の他の全ての成分と共にエアロゾル送達装置の使用中に蒸発される。いくつかの実施形態において、TSNAは転位して、アミン含有TSNA誘導体(例えば、第一級又は第二級アミン官能基を含む)を形成する一酸化窒素(NO)を放出する。
【0091】
一以上の実施形態において、本開示は、
図1の例示的な実施形態に示されるように、フィルタ要素を含むエアロゾル送達装置に関する。フィルタ要素130は、加熱素子134及び液体輸送要素136の下流に位置するが、口端111の開口部128の上流に位置するように、カートリッジ104内に存在することができる。フィルタ要素は、エアロゾルが口端111(すなわち消費者)に到達する前にフィルタを通過するので、形成されたエアロゾル中の1種以上の標的化合物と結合するように適合されている。フィルタは、圧入プラグの形態であってもよく、又はカートリッジ104の構造内の特徴によって所定の位置に保持することができる。フィルタは、様々な繊維(例えば、セルロース含有繊維、イオン交換繊維)から作ることができ、消費者が装置の口端111をくわえた時にフィルタ全体の圧力低下を最小限に抑えるのに十分な気孔率を有する。
【0092】
いくつかの実施形態において、
図2に示すように、フィルタ要素130は、カートリッジ、例えば、
図1のカートリッジ104と機能的な関係で永久的に、又は着脱可能に整列され得るスライド可能な係合マウスピース113内に配置することができる。フィルタ要素130は、マウスピース113の形状を与える壁114に囲まれている。第1端109及び第2端107は開放されており、第1端109はエアロゾル送達装置の口端と係合し、第2端107はエアロゾルが送達装置から出るための排出口を提供する。いくつかの実施形態において、フィルタ要素130を収容するマウスピース113は、カートリッジ104の口端111と係合することができる。
【0093】
フィルタ要素130は、カートリッジ104の開口部128から出て、第1端109を介してマウスピース113に入るエアロゾルに存在する標的化合物を部分的に捕捉する。このような標的化合物を捕捉するために、フィルタ要素130は、求電子性官能基又は求核性官能基のいずれかを含み、それらは反対の電荷の官能基を含む標的化合物を引き付け、これと結合することができる。求電子性官能基を含むフィルタ要素は求核性官能基を含む標的化合物を引き付け、これと結合することができる。例えば、アミン官能基を含むTSNAの誘導体(例えば、アナバシン、アナタビン、ノルニコチン、4-(メチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン)を、アルデヒド、ハロゲン化アルキル、又はスルホン酸アルキル(これらに限定されない)等の求電子性官能基で捕捉することができる。対照的に、求核性官能基を含むフィルタ要素は、求電子性官能基を含む標的化合物を引き付け、これと結合することができる。いくつかの実施形態において、標的化合物は、カルボニル含有化合物(例えば、アルデヒド及び/又はケトン)及び/又はニトロソ含有化合物(TSNA)であり、それらは本質的に求電子性であり、そのためフィルタ要素130は求核性官能基(例えば、アミン及び/又はアルコール)を含み、そのようなカルボニル含有化合物及び/又はニトロソ含有化合物をフィルタ要素130に引き付け、共有結合させ、それによって主流のエアロゾルからそのような種を除去する。このようにして、標的化合物は、フィルタ要素中に存在する官能基、すなわち求核性官能基又は求電子性官能基に応じて、主流のエアロゾルから選択的に除去することができる。したがって、当業者は、フィルタ要素130の官能基を変えることによって、エアロゾル中に存在する他の成分、例えば、風味化合物及び/又は他のエアロゾル成分から標的化合物を選択的に除去させることができる。フィルタ130の位置は、形成されたエアロゾルの少なくとも一部がフィルタ130を通過し、そのような1種以上の標的化合物がフィルタに結合されるように、ヒーターに対して配置される。エアロゾルがフィルタ要素130を通過する際に、標的化合物(例えば、カルボニル含有化合物及び/又はニトロソ含有化合物)がフィルタ上に結合し、残りのエアロゾル組成物が第1端107の開口部を介してマウスピース113から出て消費者に到達する。いくつかの実施形態において、マウスピース113は使い捨てであり、使用後に廃棄することができる。
【0094】
図1及び
図2に例示されるような開示された実施形態又は適切な代替物によれば、フィルタ要素130は、一般に、イオン交換材料と組み合わせて、任意のセルロース含有材料から製造することができる。セルロース含有材料の例には、有機エステル(例えば、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB))、無機エステル(例えば、ニトロセルロース(セルロースナイトレート、セルロースサルフェート)、セルロースエーテル(例えば、アルキルエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース)、ヒドロキシアルキルエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシアルキルエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC))、再生セルロース繊維、又はそれらの混合物等のセルロースの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、セルロース含有材料は、ヘミセルロースを含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、ロッドを形成するために加工することができるセルロースアセテートトウを含む。セルロースアセテートトウは、当業者に知られた種々の方法に従って調製することができる。例えば、Yabuneの米国特許第4,439,605号、Nielsenらの米国特許第5,167,764号、Ozakiの米国特許第6,803,458号(これらはその全体が参照により本明細書に援用される。)に記載されている方法を参照されたい。典型的には、セルロースアセテートは、木材パルプから精製したセルロースを硫酸の存在下で酢酸及び無水酢酸と反応させることによってセルロースから誘導される。次いで、得られた生成物を制御された部分的加水分解させ、硫酸塩及び十分な数の酢酸基を除去し、最終的に剛性又は半剛性のロッドを形成することができるセルロースアセテートに必要な特性を生じる。次に、セルロースアセテートを押し出し、紡ぎ、トウにすることができる。セルロースアセテート繊維は、開繊、捲縮することができ、又は連続フィラメントにすることができる。
【0096】
いくつかの実施形態において、水蒸気結合法を用いて、セルロースアセテートベースのロッドを製造することができる。セルロースアセテートのロッドを形成するためのさらなる例示的な方法は、Beardらの米国特許出願公開第2012/0255569号に見出すことができ、これはその全体が本明細書に援用される。さらなる実施形態において、セルロースアセテートは、従来のフィルタトウ加工ユニットを用いて加工することができる。さらに、フィルタ材料供給ユニット及びフィルタ製造ユニットを操作するための代表的な方式及び方法は、Bynreの米国特許第4,281,671号、Green,Jrらの米国特許第4,850,301号、Green,Jrらの米国特許第4,862,905号、Siemsらの米国特許第5,060,664号、Riversの米国特許第5,387,285号及びLanier,Jrらの米国特許第7,074,170号(これらはその全体が本明細書に援用される。)に記載されている。
【0097】
いくつかの実施形態において、セルロースアセテートは、従来の紙巻きたばこ用のタバコ煙フィルタを提供するために使用することができるタイプの任意の酢酸塩材料であり得る。例えば、伝統的なタバコフィルタ材料、例えば、セルロースアセテートトウ、ギャザーセルロースアセテートウェブセルロースアセテートウェブ、又はギャザーセルロースアセテートウェブが使用される。セルロースアセテートの代替物として使用することができる材料の例としては、ポリプロピレントウ、ギャザー紙(gathered
paper)、再構成タバコのより糸等が挙げられる。例えば、適切なフィルタロッドを提供することができる1種のフィルタ材料は、フィラメント当たり3デニール及び合計40,000デニールを有するセルロースアセテートトウである。別の例として、フィラメント当たり3デニール及び合計35,000デニールを有するセルロースアセテートトウを使用することができる。別の例として、繊維当たり8デニール及び合計40,000デニールを有するセルロースアセテートトウを使用することができる。さらなる例については、Neurathの米国特許第3,424,172号、Cohenらの米国特許第4,811,745号、Hillらの米国特許第4,925,602号、Takegawaらの米国特許第5,225,277号及びArzonicoらの米国特許第5,271,419号(これらの各々はその全体が参照により本明細書に援用される。)に示されているタイプのフィルタ材料を参照されたい。
【0098】
いくつかの実施形態において、セルロースアセテート繊維は、セルロース、ビスコース、コットン、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA))、活性炭、ガラス繊維、金属繊維、木材繊維等のような他の材料と混合して、セルロース含有材料を生成することができる。
【0099】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、異なるタイプの繊維の混合物を含むことができる。このような混合物を形成するための適切な繊維には、セルロースアセテート、木材パルプ、羊毛、絹、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、捕捉部分(例えば、窒素、酸素、硫黄、又はリン含有)で機能化された繊維等が含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、フィルタ要素の総乾燥重量に基づいて約1%~約99重量%のセルロース含有材料を含むことができる。より具体的には、フィルタ要素は、約15%~約80%、約30%~約60%、又は約40%~約50重量%のセルロース含有材料(又は少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の重量で、上限は99%)を含むことができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、セルロース含有材料は、セルロースアセテート繊維を含むことができ、バインダーをさらに含むことができる。充填剤(例えば、セルロース)及び異なる材料で形成された繊維も使用することができる。セルロース含有材料は、セルロース含有材料の総重量に基づき、約70%~約99重量%のセルロースアセテート繊維を含むことができる。より具体的には、フィルタ要素は、約75重量%~約98重量%、約80重量%~約97.5重量%、又は約90重量%~約97重量%のセルロースアセテート繊維を含むことができる。セルロース含有材料は、約1重量%~約30重量%のバインダーを含むことができる。より具体的には、セルロース含有材料は、セルロース含有材料の総重量に基づいて、約2重量%~約25重量%、約2.5重量%~約20重量%、又は約3重量%~約10重量の%バインダーを含むことができる。
【0102】
バインダーは、開示されたフィルタ要素を形成する際に使用される繊維に凝集効果を付与する材料であると理解される。例えば、バインダーは、繊維が互いに結合するように、又は繊維が織物又は不織布フィルタ要素に含まれるさらなる繊維状材料に結合するように、セルロースアセテート繊維を部分的に可溶化する材料とすることができる。使用できる例示的なバインダーには、ポリビニルアセテート(PVA)バインダー、デンプン、及びトリアセチンが挙げられる。タバコフィルタ製造の当業者は、トリアセチンをそのようなフィルタの可塑剤であると認識することができる。したがって、本開示に従い有用なバインダーの群と、可塑剤としてさらなる技術分野で認識され得る材料との間に重複がある可能性があることは理解される。したがって、バインダーとして使用され、本明細書に記載される凝集剤は、他の分野において可塑剤として認識され得る材料を包含し得る。また、セルロースアセテートの可塑剤としてタバコフィルタの分野で認識される材料は、本明細書中のバインダーという用語の使用によって包含され得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、セルロース含有材料は、一般に捕捉部分と称される求電子性(electrohpilic)官能基又は求核性官能基で機能化されたイオン交換繊維と混合されて、フィルタ要素を生成する。捕捉部分は生成されたエアロゾル中の1種以上の標的化合物と結合し、それによって消費者に到達する前に生成されたエアロゾルから標的化合物を除去する。いくつかの実施形態において、生成されたエアロゾルから除去されない場合、標的化合物は、エアロゾルの風味プロファイルを変化させるおそれがある。捕捉部分の原子機能化は標的化合物の原子構造特性に依存する。
【0104】
イオン交換繊維は、上記調製工程のいずれの段階においてもセルロース含有材料と混合して、フィルタ要素を生成することができる。イオン交換繊維は、典型的には、イオン交換材料の粒子を繊維構造に埋め込むか、又はイオン交換樹脂で繊維を被覆することによって製造される。
【0105】
理論に拘束されるつもりはないが、捕捉部分の原子機能化は、標的化合物の構造的特徴によって運ばれる電荷に関して反対の電荷を運ぶと考えられる。そのため、帯電した繊維は標的化合物を引きつけ、標的化合物はまず機能化繊維の表面に吸着された後、続いて繊維の帯電した官能基と共有結合を形成して固定化される。
【0106】
一般に、「求核性官能基」という用語は、求核中心(本質的に中性又はイオン性であり得る)並びに陰イオン(負電荷を運ぶ)のようなイオン性部分を有する官能基を含むことが理解される。したがって、一般的には、「求電子性官能基」という用語は、求電子中心(本質的に中性又はイオン性であり得る)並びに陽イオン(正電荷を運ぶ)のようなイオン性部分を有する官能基を含むことも理解される。
【0107】
例えば、求電子性官能基を有する標的化合物は、一般に求核性官能基を有する捕捉部分を必要とする。求核性官能基の例としては、第一級アミノ基(すなわち-NH2)、第二級アミノ基(すなわち、NH(アルキル基))、第三級アミノ基(すなわち、N(アルキル基)2)、ヒドラジン基(-NHNH2)、スルホニルヒドラジン基(-SO2NHNH2)を有する塩基性官能基、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、追加の求核性官能基は、酸素原子(例えば、第一級アルコール(-OH基)、硫黄原子(例えば、チオール基(-SH))、リン原子(例えば、ホスホン酸塩(phosphonate)(-PO3H))又はそれらの組合せを含む基を含む。これらの求核性官能基のいずれかは、カルボニル基(アルデヒド、ケトン、酸、エステル、無水物等に存在する-C=O)、ニトロソ基(ニトロソアミンに存在するN-N=O)、シアナト基(-O-C=N)、iso-シアノ基(-N=C=O)、イミノ基(-C=NH)、オキシム基(-C=NOH)、スルホニル基(SO2アルキル)、スルフィノ基(-SO2H)、スルホ基(-SO3H)、チオシアネート基(-SCN)、チオイル基(-CSアルキル)、ハロゲン化アルキル(-C-ハロゲン化物)、リン酸基(PO(OH)3)等のような求電子性官能基を含む標的化合物に対して親和性を示す。
【0108】
いくつかの実施形態において、求核性官能基を有する標的化合物は、一般に求電子性官能基を有する捕捉部分を必要とする。求電子性官能基の例としては、スルホン酸基(-SO3H)、カルボン酸基(-COOH)、ホスホン酸基(-PO3H)、エステル基(-COOアルキル基等)、カルボン酸ハライド基(-CO-ハライド)、ハロゲン化アルキル(-C-ハライド)、アルデヒド基(-COH)、シアナト基(-O-C=N)、iso-シアノ基(-N=C=O)、イミノ基(-C=NH)、オキシム基(-C=NOH)、スルホニル基(SO2アルキル)、スルフィノ基(-SO2H)、チオシアネート基(-SCN)、チオイル基(-CSアルキル)、リン酸基(PO(OH)3)又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらの求電子性官能基のいずれかは、第一級アミノ基(すなわち-NH2)、第二級アミノ基(すなわち、NH(アルキル基))、第三級アミノ基(すなわち、N(アルキル基)2)、ヒドラジン基(-NHNH2)、スルホニルヒドラジン基(-SO2NHNH2)、オキソアニオン(例えば、リン酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、炭酸イオン、亜リン酸イオン)等の求核性官能基を含む標的化合物に対して親和性を示す。いくつかの実施形態において、追加の求核性官能基は、酸素原子(例えば、第一級アルコール(-OH基)、硫黄原子(例えば、チオール基(-SH))、リン原子(例えば、ホスホン酸(phosphonate)(-PO3H))又はそれらの組合せを含む基を含む。
【0109】
機能化繊維のようなフィルタの要素は、1種以上の望ましくない標的化合物を選択的に、部分的に又は完全に除去することができる。機能化繊維の選択性は、捕捉部分の機能化及び電荷に関係し得る。例えば、いくつかの実施形態において、求核性官能基を含む捕捉部分は、求核性官能基を含む標的化合物より求電子性官能基を含む標的化合物と選択的に結合する。別の例において、求電子性官能基を含む捕捉部分は、求電子性官能基を含む標的化合物より求核性官能基を含む標的化合物と選択的に結合する。また、求電子性官能基又は求核性官能基を含む繊維は、エアロゾル中に存在する風味化合物及び/又は他の望ましい成分のようなエアロゾル中に存在する任意の他の化合物より標的化合物と選択的に結合する。したがって、当業者は、所望の結合パートナー(例えば、求核性又は求電子性の標的化合物)との最適な結合を達成するために、それに応じて繊維の機能化を変えることができる。
【0110】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、規定されたレベルの選択性でもって1種以上の標的化合物と結合する。例えば、フィルタによって除去される化合物の総重量の少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は1種以上の標的化合物であり、上限は100%である。例えば、いくつかの実施形態において、標的化合物は求電子性官能基(カルボニル基及び/又はニトロソ基等)を含み、求核性官能基(アミン基等)を有する捕捉部分と選択的に結合する。いくつかの実施形態において、このようなカルボニル含有化合物は、アルデヒド、ケトン、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、アルデヒドは、アセトアルデヒド、アクロレイン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、このようなニトロソ含有化合物はTSNAを含む。いくつかの実施形態において、TSNAは、N’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタナール(NNA)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタノール(iso-NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタン酸(iso-NNAC)又はそれらの組み合わせを含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、1種以上のカルボニル含有化合物との選択的結合を示す。例えば、フィルタによって除去される化合物の総重量の少なくとも約30重量%、又は少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は1種以上のカルボニル含有化合物であり、上限は100%である。
【0112】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、1種以上のアルデヒドとの選択的結合を示す。例えば、フィルタによって除去される化合物の少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は1種以上のカルボニル含有化合物であり、上限は100%である。
【0113】
いくつかの実施形態において、フィルタは、1種以上のケトンとの選択的結合を示す。例えば、フィルタによって除去される化合物の少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%は1種以上のケトンであり、上限は100%である。いくつかの実施形態において、ケトンはアセトンである。
【0114】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、1種以上のニトロソ含有化合物との選択的結合を示す。例えば、フィルタによって除去される化合物の総重量の少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は1種以上のニトロソ含有化合物であり、上限は100%である。
【0115】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、1種以上のTSNAとの選択的結合を示す。例えば、フィルタによって除去される化合物の少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は1種以上のTSNAであり、上限は100%である。
【0116】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、1種以上のTSNA誘導体との選択的結合を示す。例えば、フィルタによって除去される化合物の少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約重量80%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%は1種以上のTSNA誘導体であり、上限は100%である。
【0117】
いくつかの実施形態において、イオン交換繊維は、イオン交換ファイバーの総重量に基づき、少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約重量70%、又は少なくとも約80重量の量で捕捉部分を含み、上限は100%である。
【0118】
陽イオン性又は陰イオン性繊維のイオン交換容量は、繊維の表面に存在する捕捉部分の量にも応じて同様に変化し得る。例示的な範囲は、陽イオン性繊維の総重量に基づいて約0.5mmol/g~約5mmol/g、好ましくは約1mmol/g~約3mmol/gであり得る。
【0119】
例示的なイオン交換繊維は、Rembaumらの米国特許第3,944,485号及びEconomyらの米国特許第6,706,361号に記載されており、これらはいずれもその全体が参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態において、イオン交換繊維は、Kelheim Fibers社から市販されている。Kelheim製の例示的な繊維には、改良型ビスコースレーヨン繊維(すなわち、再生セルロース系繊維)が挙げられ、その使用及び調製はBerntの米国特許出願公開第2015/0354095号、Roggensteinの米国特許出願公開第2015/0329707号、Harmsの米国特許出願公開第2014/0308870号、Berntの米国特許出願公開第2014/0154507号、Berntの米国特許出願公開第2014/0147616号、及びBerntの米国特許第9,279,196号、Huberの米国特許第7,694,827号、Fischerの米国特許第6,538,130号、Kinseherの米国特許第6,503,371号、Cowenの米国特許第6,451,884号、Poggiの米国特許第6,392,033号、Wilkesの米国特許第6,333,108号及びHuberの米国特許第5,776,598号にさらに記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。
【0120】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、フィルタ要素の重量に基づいて約10重量%~約99重量%のイオン交換繊維を含むことができる。より具体的には、フィルタ要素は、フィルタの総重量に基づいて、約15重量%~約80重量%、約30重量%~約60重量%、又は約40重量%~約50重量%のイオン交換繊維を含むことができる。さらなる実施態様において、フィルタ要素は、フィルタの総重量に基づいて少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%のイオン交換繊維を含むことができ、上限は99%である。
【0121】
使用中に、使用者が物品100を吸い込むと、センサ108によって気流が検出され、加熱素子134が駆動され、エアロゾル前駆体組成物のための成分が加熱素子134によって蒸発する。物品100の口端111を吸い込むと、空気が空気取込口118に入り、連結器124内の空洞125及び基部140の突起141内の中央開口部を通過する。カートリッジ104において、吸い込まれた空気が形成された水蒸気と混合されてエアロゾルを形成する。エアロゾルは、混ぜられ、吸引され、さもなければ加熱素子134から離れ、フィルタ要素130を通って、物品100の口端111の開口部128に向かう。いくつかの実施形態では、混ぜられ、吸引されたエアロゾルは、マウスピース113を通過する。
【0122】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるようなフィルタ要素を有するエアロゾル送達装置は、タンクシステムを含むことができる。タンクシステムの非限定的な例は、Zhuの米国特許出願公開第2016/0007654号、DeMerrittの米国特許出願公開第2016/0192708号、Dosterの米国特許出願公開第2015/0114410号、及びWormの米国特許第9,078,473号並びにDeMerrittのPCT WO2016/109701号に記載されており、これらはその全体が参照により本明細書に援用される。いくつかの実施形態において、イオン交換繊維を含むフィルタは、タンクシステム内にある。いくつかの実施形態において、イオン交換繊維を含むフィルタは、タンクシステムから分離され、タンクシステムに取り付けることができるマウスピース内にある。
【0123】
本発明の別の態様は、ヒーターによるエアロゾル前駆体組成物の加熱によってエアロゾル送達装置内に形成されたエアロゾルがフィルタを通過し、1種以上の標的化合物がフィルタと結合するように、エアロゾル送達装置においてヒーターに対してフィルタを構成することによって、形成されたエアロゾルから1種以上の標的化合物を除去する方法を対象にする。1種以上の標的化合物の除去は、フィルタと接触する前にエアロゾル中に存在する標的化合物のレベルの減少を測定することによって決定される。いくつかの実施形態において、1種以上の標的化合物は求電子性官能基を含む。いくつかの実施形態において、1種以上の標的化合物は、カルボニル含有化合物、ニトロソ含有化合物、又はそれらの組合せである。いくつかの実施形態において、1種以上の標的化合物は求核性官能基を含む。いくつかの実施形態において、1種以上の標的化合物は、アミン含有化合物(例えば、TSNA誘導体)である。
【0124】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上の標的化合物のレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上の標的化合物のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0125】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のカルボニル含有化合物のレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のカルボニル含有化合物のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0126】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のアルデヒドのレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のアルデヒドのレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。例えば、いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、エアロゾル中のアセトアルデヒド、アクロレイン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、ホルムアルデヒド、及びプロピオンアルデヒドから選択される1種以上のアルデヒドのレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のアルデヒドのレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0127】
一以上の実施形態では、フィルタ要素は、エアロゾル中のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、及びアクロレインの合計レベルを、フィルタ要素との接触前のエアロゾル中に存在するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、及びアクロレインのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約50%、又は少なくとも約70%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0128】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のケトンのレベルを、フィルタ要素と接触する前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のケトンのレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。いくつかの実施形態において、ケトンはアセトンである。
【0129】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のニトロソ含有化合物のレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のニトロソ含有化合物のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0130】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のTSNAのレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のTSNAのレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタ要素は、エアロゾル中のN’-ニトロソノルニコチン(NNN)、N’-ニトロソアナタビン(NAT)、N’-ニトロソアナバシン(NAB)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノン(NNK)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタナール(NNA)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノール(NNAL)、4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-1-ブタノール(iso-NNAL)及び4-(N-ニトロソメチルアミノ)-4-(3-ピリジル)-ブタン酸(iso-NNAC)から選択される1種以上のTSNAのレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のTSNAのレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0131】
一以上の実施形態において、フィルタ要素は、エアロゾル中のNNA及びNNKの合計レベルを、フィルタ要素との接触前のエアロゾル中に存在するNNA及びNNKのレベルと比較して、少なくとも約30%、少なくとも約50%、又は少なくとも約70%低下させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0132】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のアミン含有化合物のレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のアミン含有化合物のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0133】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のTSNA誘導体のレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のTSNA誘導体のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。例えば、いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、エアロゾル中のアナバシン、アナタビン、ノルニコチン、4-(メチルアミノ)-1-(3-ピリジル)-1-ブタノンから選択される1種以上のTSNA誘導体のレベルを、フィルタ要素との接触前に生成されたエアロゾル中に存在する1種以上のTSNA誘導体のレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%減少させ、各値は100%の上限を有すると理解される。
【0134】
いくつかの実施形態において、生成されたエアロゾル中に存在する1種以上の標的化合物(例えば、カルボニル含有化合物(例えば、アルデヒド及びケトン)及び/又はニトロソ含有化合物(例えば、TSNA))及び/又はアミン含有化合物(例えば、TSNA誘導体)の組成並びにそれらの相対レベルは、当業者が認識するであろうように、蒸発されるべきエアロゾル前駆体組成物中に存在する物質の初期組成に依存する。当業者は、1種以上の標的化合物(例えば、カルボニル含有化合物及び/又はニトロソ含有化合物及び/又はアミン含有化合物)のレベルが、エアロゾル送達装置の使用中を通して変化し得ることをさらに認識するであろう。
【0135】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、1種以上の標的化合物(例えば、アルデヒド及び/若しくはケトン、又はアミン)と結合する。この過程はしばしば「化学吸着」又は「吸着」と呼ばれ、ここでは、標的化合物が最初にフィルタ要素に引き付けられ、次にフィルタ要素に吸着され、続いてフィルタ要素と結合する。例えば、1種以上のアルデヒド及び/又はケトンのようなカルボニル含有化合物と機能化フィルタ要素との間に結合を形成することができる。フィルタ要素はアミン官能基を含むことができ、これはアルデヒドを引き付け、続いて反応して固定されたイミン含有化合物を形成することができ、イミン含有化合物はフィルタ要素と結合したままであるが、エアロゾル中の残りの物質はフィルタ要素を通過して消費者に到達することができる。いくつかの実施形態において、フィルタ要素に吸着及び/又は結合した標的化合物(例えば、カルボニル含有化合物)の量は、フィルタ要素のイオン交換能(例えば、存在するアミン官能基の数)に依存する。例えば、いくつかの実施形態において、エアロゾルからフィルタ上に吸着される標的化合物(例えば、カルボニル含有化合物)の総量は、約0.2μg~約750μgの範囲である。さらなる実施形態において、エアロゾルからフィルタ上に吸着される標的化合物(例えば、カルボニル含有化合物)の総量は、エアロゾル送達装置の作動時間の完了時に、少なくとも0.2μg、又は少なくとも2μg、又は少なくとも20μg、又は少なくとも200μgであり、上限は約750μgである。
【0136】
いくつかの実施形態において、フィルタ要素は、上記の化学吸着法に従い、1種以上のニトロソ含有化合物又はアミン含有化合物と結合する。いくつかの実施形態において、エアロゾルからフィルタ上に吸着される標的化合物の総量は、エアロゾル送達装置の作動時間の完了時に、少なくとも0.1ng、又は少なくとも0.5ng、又は少なくとも1.0ng、又は少なくとも3ng、又は少なくとも5ng、又は少なくとも10ng、又は少なくとも20ng、又は少なくとも30ng、又は少なくとも40ng、又は少なくとも50ngであり、上限は約100ngである。
【0137】
本開示が関係する、前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有する当業者は、本開示の多くの修正及び他の実施形態を想到するであろう。したがって、開示は本明細書に開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正及び他の実施形態は添付の特許請求範囲の範囲内に含まれることを意図していることは理解されるべきである。本明細書で特定の用語を用いているが、それらは包括的かつ説明のためにのみ用いられており、限定するためではない。
【実施例】
【0138】
本発明の態様は、本発明の特定の態様を説明するために記載され、その限定と解釈されるべきではない、以下の実施例によってより完全に説明される。
【0139】
[実施例1:タバコの主流煙試料の収集及び分析]
<ステップA-試験試料の予備調整>
試験試料の予備調整は、使用されている喫煙方式によって異なり得る。例えば、ISO仕様に従って喫煙した試料の予備調整は、試験前の最長10日間までの最低48時間から開始した。予備調整温度は約69.8゜F~約73.4゜Fであり、相対湿度は約50.0~約63.0%の範囲であった。ただし、試験試料が45%未満又は75%超の湿度で保存された場合は、追加試料製品の再調整又は開封が必要であった。同様に、温度が61.6゜F未満又は81.6゜F超過である場合も、追加試料製品の再調整又は開封が必要であった。湿度又は温度が列挙されている範囲内であっても、1時間を超えて仕様から外れていた場合は、追加試料製品の再調整又は開封が必要であった。
【0140】
試料を開封し、ラベルを貼り、スモークマシーンに装填した後、標準的なタバコの長さに印を付けた。一般に、この長さは様々である。例えば、ISO仕様では、紙巻きたばこに印を付ける標準的なタバコの長さは、a)23mm、b)フィルタの長さ+8mm、c)フィルタのオーバーラップの長さ+3mmのいずれか1つよりも一般的に大きかった。スモークマシーンに一旦装填されると、試料は使用の準備ができた。
【0141】
<ステップB-タバコの主流煙の収集>
タバコの主流煙は、スモークマシーンを用いて実験室環境で収集する。この実験のために、線形スモークマシーン(例えば、セルリーン線形スモークマシーン)を用いて、タバコの主流煙を発生させ、収集した。各試験試料の喫煙された紙巻きたばこの本数は使用した喫煙方式に依存し、一般に約2~約5本の試験用紙巻きたばこであった。
【0142】
以下の2つの喫煙方式を用いた。
【0143】
a)ケンブリッジパッド、ISO及び電子喫煙方式、及び
b.)代替喫煙方式。
【0144】
スモークマシーンに採煙システムを装着し、採煙システムの後ろに44-μmケンブリッジフィルタパッドを任意に設置した。任意に、使用されているスモークマシーンの各ポートのパフ容量を、それに応じて調節することができた。
【0145】
ケンブリッジパッド、ISO及び電子喫煙方式については、捕集液を調製し、ピペッターを用いて125mLのガス洗浄ボトルの各々に試薬溶液100mLを分注した。喫煙試料の各反復試験に1本のガスボトルを使用した(電子タバコを喫煙した場合、燃え尽きた試料による交差汚染を避けるために使用前にスモークマシーンを徹底的に洗浄し、チューブを交換した)。代替喫煙方式については、捕集液を調製し、ピペッターを用いて125mLのガス洗浄ボトルの各々に試薬溶液100mLを分注した。しかし、ここでは、煙試料の各反復試験に2つのガス洗浄ボトルを使用した。
【0146】
喫煙が完了した後、試料125mLのガス洗浄ボトルは少なくとも10分間ただし30分以内は触れずにおいた。ピペットで各ガスボトルにピリジン(1.460mL)を加えた。ケンブリッジパッド、ISO及び電子喫煙方式については、洗浄ボトル中の溶液を十分に混合した後、洗浄ボトルから約5mLの溶液を0.45mm細孔径の使い捨て有機(PFTE)フィルタに移し、分析物をHPLC分析前にろ過した。任意の代替喫煙方式について、2つのガス洗浄ボトルの各々からの試料の5mLアリコートを、10mL自動ピペットを用いて採取し、20mLシンチレーションバイアル又は同等物に入れた。試料をよく混合し、HPLC分析前に0.45μm孔径の使い捨て有機(PFTE)フィルタを通してろ過した。
【0147】
上記の調製、ろ過された試料のHPLC分析は、Agilent Zorbax Eclipse XDB-C18カラム(4.6×100μm×3.5μm)をAgilent 2.0μm粒径プレカラムフィルタ又は等価のものに接続したもので、移動相A(100%水)、B(100%アセトニトリル)及びC(100%テトラヒドロフラン)を用いて、1.1mL/分の流速で以下の勾配で実施した。
【0148】
【0149】
得られた生データは、次の工程で概説するように処理した。
【0150】
<ステップC-タバコの主流煙の分析>
最初に、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)-アルデヒド付加体の濃度が約0.400~約160.00μg/mLの範囲の一連の標準試薬を調製した(表2参照)。
【0151】
【0152】
対応するカルボニル濃度は、表1の標準試薬濃度を、対応するDNPH-カルボニル付加体に対する遊離カルボニル化合物の式量の適切な比で除して計算した(表3参照)。
【0153】
【0154】
これらの標準を用いて、個々のアルデヒドの検量線を作成した。しかし、HPLC機器の初期較正検証(ICV)はICV標準で行った。このような標準を、検証された基準品及びRestek社から得た各カルボニル約15.00μm/mLを含むアルデヒド/ケトンDNPHミックスを希釈して調製した。667μLのカルボニルミックスを10mL容量フラスコ(又はその比率が同じである限り他の量、例えば、25mL容量フラスコにミックス1.668mL)に加えることにより、15mg/mLのカルボニルミックスを希釈し、アセトニトリルを用いて所定の体積にし、1μg/mLの濃度のICV標準溶液を調製した。このICV標準は、約3か月間、冷凍機(-25~-5℃)で安定なままである。一般に、アセトアルデヒドを除き、ICVは目標値の15%以内とし、アセトアルデヒドは目標値の20%以内とすべきである。
【0155】
次に、表2の標準の検量線作成のための生データを収集した。直線回帰計算を行うために、Openlabソフトウェアを使用した。検量線を見直し、すべての投入が特定され、すべての相関係数が0.990以上であることを確認した。Openlabソフトウェアは、強制的に検量線のいずれもがゼロ点を通過しないようにした。
【0156】
スモークマシーンから得られた煙の試料の分析中、各検体の高さ/面積の相対標準偏差(RSD)は典型的には8%以下であり、保持時間のRSDは典型的には2%以下であった。大部分の試料のRSDは一般に25%未満であるが、電子タバコ試料は25%を上回るRSDを示すことができる。2つのピークとして溶出され、ピーク面積によって積分されたアセトアルデヒドを除いて、全ての検体をピーク高さによって積分した(両方のピークを積分した)。結果を、μg/紙巻きたばこ及びμg/パフで表し、以下の式に従って手動で計算することができる。
【0157】
【0158】
101.46及び202.92の標準値は、2つの喫煙方式のそれぞれに対するインピンジャ+ピリジンの体積の合計体積である。検体の最終量は以下によって決定される:
【0159】