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特許7296326鋳造業で成形材料混合物およびその成形体を製造するための方法ならびにこの方法での使用のためのキットおよびこの方法での使用のための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】鋳造業で成形材料混合物およびその成形体を製造するための方法ならびにこの方法での使用のためのキットおよびこの方法での使用のための装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 1/18 20060101AFI20230615BHJP
   B22C 1/10 20060101ALI20230615BHJP
   B22C 1/00 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
B22C1/18 B
B22C1/10 C
B22C1/00 F
B22C1/00 B
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019572657
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018067392
(87)【国際公開番号】W WO2019002452
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】102017114628.8
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591194322
【氏名又は名称】ヒュッテネス-アルベルトゥス ヒェーミッシェ ヴェルケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【住所又は居所原語表記】Wiesenstrasse 23,D-40549 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ルスティヒ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バルディ マルツィン
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ライノルト ルーカス ミルコ
(72)【発明者】
【氏名】アンデルテン サブリナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイネフース マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルゴヴィッチ レネ
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104907485(CN,A)
【文献】特表2016-523183(JP,A)
【文献】米国特許第04347890(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料混合物を製造するための、または成形材料混合物を製造し、かつ成形材料混合物から成形体を製造するための方法であって、前記成形材料混合物が、
(M1)モールドベース材料
および
(M2) 1.6~3.5の範囲のSiO2/M2Oモル比を有し、
2O内のLi2Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲である、
リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液
を含み、
以下のステップ
(1)以下の別々の成分(K1)、(K2a)および(K2b):
(K1)SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲であ、水ガラスを含む水溶液または分散液、
(K2a) リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲であり、かつ、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲である、水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液、
および
(K2b) リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)における濃度より低く、かつ
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲である、水に溶解したリチウム金属イオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液
を少なくとも含むキットを製造または提供するステップを含み、
(2)モールドベース材料(M1)と成分(K1)の一部との、成分(K2a)の一部との、および成分(K2b)の一部との混合物を製造し、使用するキットの成分を一緒に混合することにより、溶液または分散液(M2)が形成されるステップ
をさらに含み、
2Oは、酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表す、前記方法。
【請求項2】
成分(K1)のSiO2/M2Oモル比が、製造される成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
成分(K2b)のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下異なる、
成形材料混合物を製造し、かつ成形材料混合物から成形体を製造するための請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記成形材料混合物が、
(M1)モールドベース材料
および
(M2) 1.6~3.5の範囲のSiO2/M2Oモル比を有し、
2O内のLi2Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲である、
リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液
を含み、
以下のステップ
(1)以下の別々の成分(K1)、(K2a)および(K2b):
(K1) SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲であ、水ガラスを含む水溶液または分散液、
(K2a) リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲であり、かつ、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲である、水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液、
および
(K2b) リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)における濃度より低く、かつ、0.1~5.0mol/Lの範囲であり、かつ、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲であり、かつ、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下異なる、
水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液
を少なくとも含むキットを製造または提供するステップ、
および、その後
(2)モールドベース材料(M1)と成分(K1)の一部との、成分(K2a)の一部との、および成分(K2b)の一部との混合物を製造し、使用するキットの成分を一緒に混合することにより、溶液または分散液(M2)が形成されるステップ
を含み、
2Oは、酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表す、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
追加のステップ
- 成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される1つまたは複数のパラメータを確立、決定または推定するステップ、
および
- 成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される確立、決定、または推定したパラメータ(単数)またはパラメータ(複数)の関数として、成分(K2a)および(K2b)の使用すべき割合を制御するステップ
を含む、
および/または
方法が、いくつかの成形体の少なくとも部分的に連続式の製造として実施され、
成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される1つまたは複数のパラメータが増加する場合、または増加すると予想される場合、
- 成形体の製造のために、成分(K2a)の使用する割合を増加させ、
および/または
- 成形体の製造のために、溶液または分散液(M2)中のM2O内のLi2Oのモル分率を増加させる、
または
成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される1つまたは複数のパラメータが減少する、もしくは低下する、または減少が予想される、もしくは低下が予想される場合、
- 成形体の製造のために使用する成分(K2a)の割合を減少させおよび/または成形体の製造のために使用する成分(K2b)の割合を増加させ、
および/または
- 成形体の製造のために、溶液または分散液(M2)中のM2O内のLi2Oのモル分率を減少させる、
成形材料混合物を製造し、かつ成形材料混合物から成形体を製造するための請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される1つまたは複数のパラメータを確立、決定または推定するために、データ収集設備またはデータ処理設備が提供され、
確立、決定または推定したパラメータ(単数)またはパラメータ(複数)の関数として、成分(K2a)および(K2b)の使用すべき割合を制御するために、制御設備が提供され、
データ収集設備またはデータ処理設備と制御設備の間に、パラメータデータを移動するためにデータ接続が設定される、
請求項に記載の方法。
【請求項7】
成形材料混合物の製造の間に、
(M3) 粒子状、非晶質二酸化ケイ素;硫酸バリウム;炭水化物;リン化合物;表面活性化合物;酸化ホウ素化合物;金属酸化物;潤滑剤、エステルおよび離型剤
からなる群から選択される1つまたは複数の構成成分が、さらに添加される、
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第1の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2a)が水に溶解した水酸化リチウムを含、請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第2の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2b)が水に溶解した水酸化リチウムを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
- 水ガラスを含む水溶液または分散液(K1)が、10.0~13.0の範囲のpHを有し、
および/または
- 水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2a)が、8.0~14.0の範囲のpHを有し、
および/または
- 水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2b)が、8.0~14.0の範囲のpHを有する、
請求項1からまでのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(2)で、最初に、モールドベース材料なしで、使用するキットの成分を一緒に混合することにより、溶液または分散液(M2)が形成され、その後、モールドベース材料(M1)またはその一部と得られる溶液または分散液(M2)の一部または総量との混合物が形成され
請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
製造される溶液または分散液(M2)が、モールドベース材料(M1)との混合物の形成前に、目に見える析出物またはゲル部分を含まない、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
混合設備で、使用するキットの成分が、一緒に混合されて、溶液または分散液(M2)を形成し、混合設備が、計量容器または混合管である、請求項11または12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
形成される溶液または分散液(M2)の一部または総量が、モールドベース材料(M1)またはその一部との混合物の形成前に、混合設備で7日間以下の期間貯蔵される、請求項11から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
以下の別々の成分(K1)、(K2a)および(K2b):
(K1) SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲であ、水ガラスを含む水溶液または分散液、
(K2a) リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲であり、かつ、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲である、水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液および
(K2b) リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)における濃度より低く、かつ、0.1~5.0mol/Lの範囲であり、かつ、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲である、水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液、
を少なくとも含み、
2Oは、酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表す、リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液を製造するためのキット。
【請求項16】
成分(K1)のSiO2/M2Oモル比が、製造される成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
成分(K2b)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下異なる、請求項15または16のいずれか1項に記載のキット。
【請求項18】
請求項15から17までのいずれか1項に記載のキットを提供することを含む、成形材料混合物を製造するための、または成形材料混合物を製造し、かつ成形材料混合物から成形体を製造する方法であって、
前記成形材料混合物が、
(M1)モールドベース材料
および
(M2) 1.6~3.5の範囲のSiO2/M2Oモル比を有し、
2O内のLi2Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲である、
リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液
を含む、
前記方法。
【請求項19】
成形材料混合物の製造における使用のための、または成形材料混合物を製造し、かつ成形材料混合物から成形体を製造するための装置であって、
-装置が、
- 第1の成分として、SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲であ、水ガラスを含む水溶液または分散液(K1)を含有する第1の貯蔵タンク(Z1)、
- 第2の成分として、
〇リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲であり
および
〇リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲である、
水に溶解したリチウムイオンを含み、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2a)を含有する、第2の貯蔵タンク(Z2)、
- 少なくとも第1および第2の成分を混合して、中間体溶液または分散液を製造するための、混合設備(Z3)
を含み、
- 少なくとも第1および第2の貯蔵タンク(Z1、Z2)が、それぞれ1つまたは複数のライン(Z4)により、混合設備(Z3)に接続されており、
2Oは、酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表し、
および、
第3の成分として、
〇リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)における濃度より低く、0.1~5.0mol/Lの範囲であり、
および
〇リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲である、
水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2b)を含有する、第3の貯蔵タンク(Z5)をさらに含み、
少なくとも第1、第2、および第3の成分を混合するために、混合設備(Z3)を実施して、中間体溶液または分散液を製造し、
少なくとも第1、第2、および第3の貯蔵タンクが、それぞれ1つまたは複数のライン(Z4)により混合設備(Z3)に接続されている、
前記装置。
【請求項20】
成分(K1)のSiO 2 /M 2 Oモル比が、製造される成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
中間体溶液または分散液中のリチウム含有水ガラスが、1.6~3.5の範囲のSiO 2 /M 2 Oモル比を有し、および/またはM 2 O内のLi 2 Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲であり、M 2 Oは、酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表す、請求項19または20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記使用が請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法において行われる請求項19から21までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
成分(K2b)のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下異なる、請求項19から22までのいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形材料混合物を製造するための、または鋳造業での使用のための、成形材料混合物およびその成形体、好ましくは鋳型またはコアを製造するための方法に関し、成形材料混合物は、モールドベース材料、およびリチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液を含み、方法は、(1)別々の成分として:(K1)水ガラスを含む水溶液または分散液、および(K2a)水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液、およびまた好ましくは(K2b)好ましくは水に溶解した成分(K2a)よりも低い濃度のリチウムイオンを含む第2の水ガラスを含まない溶液または分散液を少なくとも含むキットを製造または提供するステップ、および、その後(2)モールドベース材料と成分(K1)の一部との、および成分(K2a)の一部との混合物であって、成分(K2b)の一部も含んでいてもよい混合物を製造するステップを含む。本発明はさらに、より詳細には本発明の方法における適用のための、前記のキットに関する。本発明は、リチウム含有水ガラスを含む中間体溶液または分散液を製造するための、成形材料混合物の製造における使用のための、または成形材料混合物およびその成形体を製造するための装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
鋳型は、本質的にモールド、またはモールドおよびコアからなり、構成された後に、製造されるべき鋳物の反対の形状を表す。これらのコアおよびモールドは、成形体であり、一般に耐火性モールドベース材料、例えば、ケイ砂、および適切なバインダー系からなり、これは、成形型から鋳型を取り出す際に鋳型に十分な機械的強度を付与する。耐火性モールドベース材料は、好ましくは粒子状で、自由流体の形態であり、(成形材料混合物へと取り込んだ後)適切な中空のモールドに導入し、圧縮することが可能である。バインダーは、モールドベース材料の粒子間の堅い凝集をもたらし、必要とされる機械的安定性を鋳型に付与する。
【0003】
鋳型およびこれに含まれる成形体(モールドおよびコアの場合もある)は、様々な要件を満たさなければならない。鋳造操作それ自体の際に、1つまたは複数の鋳造(部分)モールドから形成される中空スペースに液体金属を収容することができるように、当初十分な強度および温度安定性を有しなければならない。凝固プロセスの開始後、次いで、鋳型の壁に沿って展開する固化された金属層により、鋳造の機械的安定性は確実となる。
次いで、金属から生じる熱の影響下で、鋳型の材料は、その機械的強度を失うように分解することになり、したがって、耐火材料の個々の粒子間の凝集の取り消しが生じる。理想的な場合では、鋳型は、再びモールドベース材料の微粒子にまで分解し、鋳物から容易に除去することができる。
【0004】
成形体は、有機および無機の両方のバインダーを使用して製造することができ、各場合にコールド法またはホット法によりこれらのバインダーを硬化することができる。コールド法は、一般に周囲温度または任意の反応により生じる温度でのコアの製造のために使用される、成形型の加熱を実質的に伴わずに実施される方法である。硬化は、例えば、化学反応の誘発を伴い、硬化すべき成形材料混合物に気体を通過させることにより実施される。ホット法の場合に、例えば、バインダー中に存在する溶媒を追い出すために、および/またはバインダーが硬化する化学反応を開始するために、加熱成形型による成形後の成形材料混合物は十分高い温度に加熱される。
しかし、フェノール樹脂ベースの有機バインダーの欠点は、その組成とは独立して、鋳造時に分解し、その際に、多少の量の、場合によってはかなりの量の有害物質、例えば、ベンゼン、トルエンおよびキシレンを排出することである。さらに、有機バインダーの鋳造は、一般原則として、望ましくない臭いおよび煙の排出を生じる。ある種の系では、鋳型の製造および/または貯蔵の初期の段階で、望ましくない排出が起こる。
この理由のため、鋳造業での使用のために無機バインダーが選択されることが増えている。それに応じて製造される鋳型成形体、特にモールドおよびコアの製品特性をさらに改善することに高い技術的および経済的関心が向けられている。
【0005】
無機バインダー、特に水ガラスベースのものは、長い間周知されている。水ガラスを硬化するために、特に利用できる3つの異なる方法がある。(i)気体、例えば、CO2、空気または両方の組み合わせの通過;(ii)液体または固体の硬化剤、例えば、ある種のエステルの添加;および(iii)例えば、ホットボックス法で、または例えばマイクロ波処理による熱的硬化。
しかし、無機バインダー系の使用は、しばしば他の典型的な欠点と関連している。
【0006】
したがって、適切で特別な対策を取らなければ、無機バインダーから製造される鋳型成形体は、相対的頻度で、低い強度を有する。このことは、型からのコアもしくは鋳型、または成形体の除去直後に特にはっきりと明らかになる。この時点の強度(「熱間強度」または「瞬間強度」)は、型からの取り出し時のコアまたはモールドの信頼性の高い取り扱いにとって特に重要である。高い「冷間強度」(すなわち、コアまたは鋳型の完全な硬化後の強度)も重要であり、それにより、所望の鋳物は、できるだけ鋳傷なしに製造することができる。
独国特許出願公開第2652421号は、ケイ酸カリウムおよび/またはケイ酸ナトリウムとケイ酸リチウムとの混合物の溶液からなり、例えば、鋳物用コア用のバインダーとして適しているバインダーを記載する。
【0007】
米国特許第4,347,890号は、粒子状材料を結合するための方法を記載する。方法は、粒子状材料をリチウムイオン含有溶液(例1によれば、これはケイ酸リチウムまたはリチウム水ガラスの水溶液である)と混合すること、ケイ酸ナトリウムをこの混合物に加え混合すること、および最後に混合物を成形し、マイクロ波照射により硬化することを含む。
国際公開第2006/024540号パンフレットは、その記述に鋳型を製造する方法を含み、水ガラス系バインダーに粒子状金属酸化物の一部を混和する。
国際公開第2014/202042号パンフレットは、金属鋳造用のモールドおよびコアを製造するための無機バインダーベースのリチウム含有成形材料混合物を記載する。例えば、水ガラスベースの無機バインダーへのリチウム含有化合物の明白な添加による、そのようなバインダーを使用して製造される鋳型またはコアの貯蔵安定性を改善する可能性が記載されている。同時に、前記コアまたは鋳型は、高いレベルの強度を有すると言われている。
【0008】
工業的実施では、リチウムイオンの一部を有する液体無機バインダー、特に水ガラスベースのものは、そのリチウムイオンの濃度および貯蔵条件(特に保存温度)に依存して、かなり急速に不安定になり得ることがわかった。例えば、貯蔵の過程においてわずか数日間で、この種の不安定なバインダーは、例えば、ゲル形成の結果、濁度を生じ、および/または、例えば、炭酸塩および/またはケイ酸塩の固体の析出物を生じ、したがって、不均質または不均一になる。同様に、液体のリチウム含有無機バインダー中のそのような濁度、または、液体のリチウム含有無機バインダーからの固体の析出は、これらのバインダーの処理における欠点であり、特にポンプ、フィルターおよび/または計量ユニットの問題、またはさらなる処理の段階での他の問題を生じ得ることがわかった。したがって、高いレベルのリチウムイオンおよびまた温度の上昇は、これらの液体バインダーの不安定性への不利な傾向を高める。
したがって、水ガラスベースの無機バインダー系でのリチウムイオン含量の一定の増加は、鋳造業におけるコアまたはモールドの高い安定性、特に高い貯蔵安定性を実現するために有利である。しかし、他方で、高いリチウムイオン含量を有するそのような前記のバインダーは、比較的不十分な貯蔵完全性を示す。
【発明の概要】
【0009】
したがって、成形材料混合物を製造するための、または成形材料混合物および成形体(例えば、モールドまたはコア)、より詳細には、鋳造業用の貯蔵安定性成形体を製造するための方法を提供することが、本発明の主要な目的であった。鋳造業では、外部パラメータに依存して、可変的に調節できる濃度-高濃度を含む-のリチウムイオンを有する無機バインダー、特に水ガラスの使用が可能であり、その際、前記従来技術の欠点は軽減または回避される。
【0010】
本発明のさらなる目的は、可変的に調節できるリチウムイオン濃度を有する、液体リチウム含有無機バインダーの製造に適する容易に管理できるキットを提供することであった。この場合、バインダーは、意図した使用の前にとにかく個々の貯蔵条件下で安定であるべきである。
本発明のさらなる特定の目的は、前記方法の実施が工業製造スケールでも可能となる、装置、例えば、製造プラントを提供することであった。
本発明、また、本発明の好ましいパラメータ、特性および/または構成成分の発明性のある好ましい組み合わせは、添付の特許請求の範囲で定義される。本発明の好ましい態様は、以下の記述においても、および実施例においても明記または定義される。
【0011】
驚くべきことに、本発明の主要な目的およびまたさらなる目的および/または成分の目的が、成形材料混合物を製造するための、または成形材料混合物およびその成形体、好ましくは貯蔵安定性成形体を製造するための本発明の方法であって、成形材料混合物が、
(M1)モールドベース材料
および
(M2) 1.6~3.5の範囲の、好ましくは1.8~3.0の範囲のSiO2/M2Oモル比を有し、
2O内のLi2Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲、好ましくは0.1~0.4の範囲である、
リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液
を含み、
以下のステップ:
(1)以下の別々の成分:
(K1)SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲、好ましくは25~34質量%の範囲であり、および/またはSiO2/M2Oモル比が、製造される成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、
水ガラスを含む水溶液または分散液、
および
(K2a) リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲、好ましくは1.0~5.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲である、
水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液
を少なくとも含むキットを製造または提供するステップ
および、その後
(2)モールドベース材料(M1)と成分(K1)の一部とのおよびまた成分(K2a)の一部との混合物を製造し、使用するキットの成分を一緒に混合することにより溶液または分散液(M2)が形成されるステップ
を含み、
2Oは、各場合に酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表す
方法により達成されることがわかった。
本発明では、成分(K1)では、SiO2/M2Oモル比が、製造される成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、上記に特定した本発明の方法の実施形態が好適である。
【0012】
成分(K1)が、水ガラスを含む水溶液または分散液の形態をとり、SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲、好ましくは25~34質量%の範囲であり、およびSiO2/M2Oモル比が、製造される成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、上記に特定した本発明の方法の実施形態が、特に好ましい。
水ガラス(K1)を含む水溶液または分散液が、10.0~13.0の範囲の、好ましくは11.0~12.5の範囲のpHを有する、上記の本発明の方法(より詳細には、本文で好ましいと表される本発明の方法)が好適である。
水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2a)が、8.0~14.0の範囲の、好ましくは11.5~13.5の範囲のpHを有する、上記の本発明の方法(より詳細には、本文で好ましいと表される本発明の方法)も同時に好適である。
【0013】
本発明の文脈では、以下の名称はそれぞれ、以下で明記する定義を有し、
「SiO2」は、本発明の方法(または本発明のキット)において、この計算が基準とするケイ素がSiO2として実際に存在するかとは独立して、実験式SiO2に従い算出した水溶液または分散液中のケイ素のモル量を表す。
「M」は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムからなる群から選択されるアルカリ金属を表す。
「M2O」は、実験式M2Oに従い算出した水溶液または分散液中のアルカリ金属の総モル量を表す。したがって、「Li2O」は、実験式Li2Oに従い算出したリチウムのモル量を表す。これらの計算値は、各場合に計算が基準とするアルカリ金属が、本発明の方法(または本発明のキット)で形態「M2O」で実際に存在するかどうかから独立している。
【0014】
本発明の上記で明記された方法では、成分(K1)は、水ガラスを含む水(水含有)溶液または分散液を含む。本発明の文脈の水ガラスは、それ自体知られているアルカリ金属水ガラスであり、これは、メルトから固化した、ガラス質の、すなわち、非晶質の水溶性ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、および水ガラスの安定性、特に貯蔵安定性に影響を及ぼさない低い濃度のケイ酸リチウム、または前記ケイ酸ナトリウム、カリウムおよびリチウムの各水溶液を含む。
モールドベース材料(M1)は、好ましくは粒子状耐火性モールドベース材料である。当業者の通常の理解と一致する本文での「耐火物」は、融解金属、例えば、アルミニウムの鋳造および/または固化に関わる温度暴露に少なくとも短時間耐えることができる組成物、材料および鉱物を表す。適切なモールドベース材料の例は、ケイ砂、ジルコンまたはクロム鉱砂、かんらん石、バーミキュライト、ボーキサイト、シャモット、および合成モールドベース材料である。モールドベース材料(M1)は、2つ以上の(好ましくは粒子状、耐火性)物質の混合物であってもよい。
【0015】
本発明の上記で明記された方法により製造した成形体は、好ましくは鋳造業での使用のための成形体、より好ましくはモールドまたはコアである。本発明の方法の特定の利点は、高強度および高貯蔵安定性を有する成形体の製造のために求められる、バインダー系を使用する可能性であり、そのバインダー系は高いおよび/または可変的に調節できるリチウムイオン含量を有し、高い(しかし、一般に変更可能および/または変更予定ではない)リチウムイオン含量を有する既知のバインダーの貯蔵期間への時間的制限を受けない、またはかなり小さく受ける。したがって、本発明の方法により、高強度を有し、比較的長期間、好ましくは1日間から最大で2週間の範囲の期間貯蔵することができる成形体をその有利な特性の減損なしに、実施に関連する程度に製造することが可能である。したがって、その製造後および鋳造作業でのその使用まで、本発明の方法により製造した成形体は、変形または断片化なしに容易に扱うことができ、および/または比較的長期間貯蔵することができ、したがって、在庫からの製造が可能になる。特定の利点は、本発明の方法により製造した成形体が有する、高い湿度でも高強度を維持し、安定を保つ特性であり、そのため、製造した成形体は、多湿または高温および湿潤気候帯でも高い貯蔵安定性により識別される。しかし、変化する気象条件(季節)に対し、温帯気候帯でも、本発明の方法は利点をもたらす。
【0016】
上記で明記された本発明の方法では、成分(K2a)は、水に溶解したリチウムイオンを含む。成分(K2a)が溶液である場合、リチウムイオンは、溶液の構成成分である。成分(K2a)が分散液である場合、リチウムイオンは、好ましくは溶液中に、少なくとも主におよび好ましくは完全に連続(液体、水性)相に存在する。さらに、リチウムイオンに対し、成分(K2a)は好ましくは、ナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンをさらなるアルカリ金属イオンとして含む。成分(K2a)は、リチウムイオンおよびカリウムイオンを含み得、または成分(K2a)は、リチウムイオンおよびナトリウムイオンを含み得、または成分(K2a)は、リチウムイオン、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンを含み得る。成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの最大の総濃度が、存在するアルカリ金属イオンの性質および割合を含めた要因に依存する。当業者には、一般的および/または所望の条件下のアルカリ金属イオンの必要なおよび/または好ましい濃度を確立する方法は知られている。
【0017】
ステップ(1)で製造または提供されるキットが、以下の別々の成分:
(K2b) リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0~2.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲であり、
好ましくは、リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下、好ましくは10%以下異なる、
水に溶解したアルカリ金属イオンを含み、好ましくは水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液
をさらに含み、
ステップ(2)が、以下:
(2)モールドベース材料(M1)と成分(K1)の一部とのおよびまた成分(K2a)の一部との混合物、または成分(K2b)の一部も含んでいてもよい混合物を製造し、使用するキットの成分を一緒に混合することにより溶液または分散液(M2)が形成される、ステップ
を含む
上記の本発明の方法(より詳細には、以下で好ましいと言及される方法)が特に好ましい。
【0018】
水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2b)が、8.0~14.0の範囲の、好ましくは11.5~13.5の範囲のpHを有する、上記の本発明の方法(より詳細には、本文で好ましいと言及される本発明の方法)が好ましい。溶液または分散液(K1)および/または(K2a)のための好ましいpH値に関しては、上記した本開示を参照のこと。
【0019】
したがって、成形材料混合物が:
(M1)モールドベース材料
および
(M2) 1.6~3.5の範囲の、好ましくは1.8~3.0の範囲のSiO2/M2Oモル比を有し、
2O内のLi2Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲、好ましくは0.1~0.4の範囲である
リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液
を含み、以下のステップ:
(1)以下の別々の成分:
(K1) SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲、好ましくは25~34質量%の範囲であり、および/またはSiO2/M2Oモル比が、製造される成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、
水ガラスを含む水溶液または分散液、
(K2a) リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲、好ましくは1.0~5.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲である、
水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液、
および
(K2b) リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0~2.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲であり、
好ましくは、リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下、好ましくは10%以下異なる、
水に溶解したアルカリ金属イオンを含む、好ましくは水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液
を少なくとも含むキットを製造または提供するステップ
および、その後
(2)モールドベース材料(M1)と成分(K1)の一部との、およびまた成分(K2a)の一部との、および成分(K2b)の一部との混合物を製造し、使用するキットの成分を一緒に混合することにより、溶液または分散液(M2)が形成されるステップ
を含み、
2Oは、各場合に酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表す、
成形材料混合物を製造するための、または成形材料混合物およびその成形体、好ましくは貯蔵安定性成形体を製造するための、本発明の方法が特に好ましい。
【0020】
上に示す本発明の特に好ましい方法では、成分(K2b)は、水に溶解した、アルカリ金属イオン、好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンおよび/またはカリウムイオンを含む。成分(K2b)は、好ましくはリチウムイオンを含む。成分(K2b)中のアルカリ金属イオンは、リチウムイオンのみ、またはナトリウムイオンのみ、またはカリウムイオンのみを含み得る。成分(K2b)は、アルカリ金属イオンとして、リチウムイオンおよびナトリウムイオンも含み得、または、リチウムイオンおよびカリウムイオンを含み得、またはナトリウムイオンおよびカリウムイオンを含み得る。本発明の方法のまたは本発明による好ましい方法の好ましい一実施形態では、成分(K2b)中のリチウムイオンの濃度が、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0.1~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0.1~2.0mol/Lの範囲である。
【0021】
成分(K2b)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下、好ましくは10%以下異なる場合の本発明の方法の好ましい実施形態の効果は、キット構成成分(K1)、(K2a)および(K2b)が、一緒に混合される場合(モールドベース材料(M1)のない場合またはある場合)、その結果得られる溶液または分散液(M2)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、キット構成成分(K1)および(K2a)を一緒に混合することによってのみ形成される溶液または分散液(M2)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と同一または少なくとも類似していることである。したがって、キット構成成分(K2b)(キット構成成分(K2a)より低いリチウムイオン濃度を有する)が本発明の方法で使用される場合、その結果得られる溶液または分散液(M2)のリチウムイオン濃度が、影響され、好ましくはキット構成成分(K1)と(K2a)のみを一緒に混合し、その他では同一の条件で製造した溶液または分散液(M2)に比べて、低い。
【0022】
したがって、容易に計量可能で良く制御可能な方法で、実施に関連する方法で、得られる溶液または分散液(M2)の他の特性、例えば、そのSiO2/M2Oモル比またはその全アルカリ金属イオン濃度に影響を及ぼす、または変更することなく、対応するキット構成成分(K2a)の量の添加により起こることになるものと異なる任意の方法でキット構成成分(K2b)は、溶液または分散液(M2)のリチウムイオン含量を低減するために有利に使用することができる。したがって、成分(K2b)を添加した結果、製造するバインダー(M2)がより高い割合の(K2a)を用いた以前の場合と同じ比および同じ濃度を有することを確実にしながら、(K2a)の添加を減らすことが可能である。
【0023】
上記に示す本発明の好ましい方法のステップ(2)では、混合物が、成分(K1)の一部およびまた成分(K2a)の一部と一緒に、また成分(K2b)の一部も一緒であってもよく、モールドベース材料(M1)から製造される。この場合、および以下で「含んでいてもよい(Optionally)」は、個々の要件に依存して、成分(K2b)の一部を使用するまたは使用しないことを意味する。その結果、所望のリチウムイオン濃度を、溶液または分散液(M2)で個々におよび柔軟に確立することができる。したがって、溶液または分散液(M2)のリチウムイオン含量または濃度を確立する際に、周囲条件(特に湿度)を考慮すること、および一般的な環境条件下で製造動作を最適化するのに必要なリチウムイオンの量のみを各場合に添加することが可能である。溶液または分散液(M2)を製造する際に、リチウムイオンを計量するこの柔軟な手段により可能になる対策の1つは、キット構成成分(K2a)および好ましくは(K2b)にも存在する高価なリチウム化合物用の原材料のコスト節約である。
【0024】
上記で特定した混合物は、最初に成分(K1)の一部をモールドベース材料(M1)と混合し、次いで、この予備混合物を成分(K2a)の一部と混合し、また成分(K2b)の一部とも混合してもよく、成形材料混合物を得ることにより製造することができ;成形材料混合物中のリチウムイオンの量は、好ましくはそれぞれ適切な量およびリチウムイオン濃度の成分(K2a)により確立され、また成分(K2b)の選択によっても確立されることがある。予備混合物を成分(K2a)の一部と混合し、成分(K2b)の一部とも混合してもよく、これにより溶液または分散液(M2)の形成も生じる。
【0025】
混合物が、最初にモールドベース材料(M1)を成分(K2a)の一部と混合し、成分(K2b)の一部とも混合してもよく、次いで、この予備混合物を成分(K1)の一部と混合して、成形材料混合物を得ることにより製造することもできる;成形材料混合物中のリチウムイオンの量は、好ましくはそれぞれ適切な量およびリチウムイオン濃度の成分(K2a)によって確立され、成分(K2b)の選択によっても確立されることがある。予備混合物を成分(K1)の一部と混合すると、溶液または分散液(M2)の形成も生じる。
【0026】
本発明の方法のステップ(2)の混合物は、好ましくは、最初に成分(K1)の一部を成分(K2a)の一部と混合し、また成分(K2b)の一部とも混合してもよく、これにより溶液または分散液(M2)を生じることにより製造され、好ましくは、溶液または分散液(M2)中のリチウムイオンの量は、それぞれ適切な量の成分およびリチウムイオン濃度(K2a)の選択によって確立され、成分(K2b)の選択よっても確立されることがある。次いで、この別々に製造した溶液または分散液(M2)をモールドベース材料(M1)と混合する。
【0027】
特に好ましくは、本発明の方法のステップ(2)の混合物は、成分(K2a)の一部を成分(K2b)の一部と最初に混合して、「(K2a)+(K2b)予備混合物」を形成し、次いでこの「(K2a)+(K2b)予備混合物」を成分(K1)の一部と混合して、溶液または分散液(M2)を生じることにより製造され、溶液または分散液(M2)中のリチウムイオンの量は、好ましくはそれぞれ適切な量の成分(K2a)および成分(K2b)の選択およびリチウムイオン濃度により確立される。
【0028】
成形材料混合物が、
(M1)モールドベース材料
および
(M2) 1.6~3.5の範囲の、好ましくは1.8~3.0の範囲のSiO2/M2Oモル比を有し、
2O内のLi2Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲、好ましくは0.1~0.4の範囲である
リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液
を含み、
以下のステップ:
(1)以下の別々の成分
(K1)SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲、好ましくは25~34質量%の範囲であり、および/またはSiO2/M2Oモル比が、製造される成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい
水ガラスを含む水溶液または分散液、
(K2a) リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲、好ましくは1.0~5.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲である
水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液
および
(K2b) リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0.1~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0.1~2.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲であり、
好ましくは、リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下、好ましくは10%以下異なる
水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液
を少なくとも含むキットを製造または提供するステップ、
および、その後
(2)モールドベース材料(M1)と成分(K1)の一部との、およびまた成分(K2a)の一部との、および成分(K2b)の一部との混合物を製造し、使用するキットの成分を一緒に混合することにより、溶液または分散液(M2)が形成される、ステップ、
を含み、
2Oは、各場合に酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表す
成形材料混合物を製造するため、または成形材料混合物およびその成形体、好ましくは貯蔵安定性成形体を製造するための本発明の方法が特に好ましい。
【0029】
上記または下記で示されるように、本発明の、または本発明に従い好ましい方法が好適であり、ステップ(2)で、モールドベース材料のないときには、最初に、使用するキットの成分を一緒に混合することにより、溶液または分散液(M2)が形成され、その後、モールドベース材料(M1)またはその一部と得られる溶液または分散液(M2)の一部または総量との混合物を形成する。
使用するキットの成分は、通常の方法で、好ましくは撹拌機構または混合管、好ましくは静的混合パイプにより、一緒に混合される。
【0030】
このように、好ましくは、不安定性が析出(溶液または分散液(M2)からの構成成分の析出による)および/またはゲル化を起こさないように、予備混合した溶液または分散液(M2)を調製し、次いで一定期間貯蔵し、および周囲条件に適応(または適応可能に)することが可能であるので、好ましい方法バリアント(以下で「使用するキット構成成分の予備混合」とも呼ばれる)が、特に有利である。この種の予備混合した溶液または分散液(M2)は、自動または半自動製造設備に供給するために使用することもでき、そのため、予備混合した溶液または分散液(M2)は、連続的な、または主に連続的な工業製造プロセスで直接使用することができる。
【0031】
社内調査により、溶液または分散液(M2)(これに関して、下記参照)の場合に、または貯蔵した溶液または分散液(M2)を使用する成形体の製造で、または貯蔵した溶液または分散液(M2)を用いて製造した成形体を使用して製造される鋳造で、観察可能な品質不良なしに、上記のように(予備混合した)製造した溶液または分散液(M2)を、-濃度および貯蔵条件(例えば、温度、撹拌)に依存して-最大で数週間、好ましくは最大で6日間、より好ましくは最大で3日間貯蔵することができることがわかった。
【0032】
別々の(未混合)成分(K1)、(K2a)および(K2b)が、例えば、1年を超える長期間にわたり安定を保ち、貯蔵で未変化または実質的に未変化であり、実施に関連する品質低下がないことがさらにわかった。したがって、本発明により提供される特定のサービスは、高いリチウムイオン濃度を有する水ガラス含有バインダーが、製造または生産用に需要に依存して利用することができ、高いリチウムイオン濃度を有するこの種の水ガラス含有バインダーの腐敗しやすさおよび/または不十分な(短い)貯蔵性に関連する問題への解決策を有して速やかに使用することができることである。製造した(予備混合した)溶液または分散液(M2)は、好ましくは密閉容器に貯蔵される。
本発明の方法の特に有利な一実施形態では、上記の方法(特に上記または下記で好ましいと特定された方法、好ましくは、使用するキット構成成分の予備混合を含む方法バリアント)が好適であり、製造される溶液または分散液(M2)は、モールドベース材料(M1)を有する混合物が形成される前に、目に見える析出物またはゲル部分を含まない。
【0033】
社内トライアルでは、製造した溶液または分散液(M2)の、目に見える析出物またはゲル部分に関する試験が、簡便な検査とすることができることがわかった。したがって、実際には、当業者は、十分な信頼性をもって溶液または分散液(M2)が、求められる一貫性、または本発明の方法、ステップ(2)でのさらなる処理のために必要な品質を有するかどうかを認識し、決定することができる。成形材料混合物を製造する目的のために、前記試験は、好ましくは、製造した溶液または分散液(M2)を有するモールドベース材料(M1)から混合物が製造される直前に実施する。製造した溶液または分散液(M2)が、さらなる処理に求められる品質または一貫性を有しないことを試験が示す場合、それはさらなる方法ステップで使用されず、代わりに、好ましくは、さらなる処理に求められる品質または一貫性を有する様々な溶液または分散液(M2)により置換される。方法のこの設計により、迅速、簡便で費用効率が高い品質管理を製造作業で実施することが可能になる。
使用するキットの成分が、一緒に混合されて、混合設備で溶液または分散液(M2)を形成し、好ましくは、混合設備は、計量容器または混合管、およびより好ましくは混合管、非常に好ましくは静的混合パイプである、上記の本発明の方法(特に上記または下記で確認された方法、好ましくは、使用するキット構成成分の予備混合を含む方法バリアント)も好適である。
【0034】
この混合設備は、成形体の少なくとも部分的に連続式の製造で一緒におよび/または独立に操作される(「バッチ動作」)、別々の、例えば自立型の、混合設備であってもよい。この種のバッチ動作は、様々なバッチの溶液または分散液(M2)が、いつでも製造することができ、また、その品質が各場合に検証できるという利点を有する。混合設備は、少なくとも部分的に連続式の成形体製造の構成成分、例えば、少なくとも部分的に連続式の成形体製造のための装置の構成成分であってもよい(「連続式または半連続式動作」)。この種の連続式または半連続式動作は、(工業的に好ましい)少なくとも部分的に連続式の比較的多数の成形体の製造、例えば、在庫からの製造用に特に適切である。混合設備は、ストック容器であってもよく、少なくとも1つの成分(K1)、(K2a)および/または(K2b)が、少なくとも部分的に連続式の成形体の製造での使用のために貯蔵または保持され、および、必要に応じておよび必要な場合、少なくとも1つの相補成分(K1)、(K2a)と混合され、(K2b)とも混合されてもよい。
【0035】
上記の混合設備は、好ましくは計量容器または混合管である。好ましい混合管は、静的混合パイプである。静的混合パイプは、混合設備であり、本発明の方法での使用にとって特に好ましい。Sulzer製の静的混合パイプ、「CompaX(商標)」または「SMX(商標)plus」型は、本発明の方法における使用の例として適切である。
好ましい計量容器は、Intermediate Bulk Containers(IBCコンテナまたはSchutzコンテナと同一)、ドラムおよびキャニスターからなる群から選択される。前記連続式または半連続式動作用の好ましい混合設備は、混合管、好ましくは静的混合パイプである。しかし、前記計量容器は、連続式または半連続式動作で使用することもできる。
【0036】
形成される溶液または分散液(M2)の一部または総量が、モールドベース材料(M1)の一部との混合物の形成前に、混合設備で7日間以下、好ましくは3日間以下、より好ましくは2日間以下の期間貯蔵される、上記の本発明の方法(特に上記または下記で好ましいと特定された方法、好ましくは、使用するキット構成成分の予備混合を含む、方法バリアント)も好適である。これは、析出物(溶液または分散液(M2)からの構成成分の析出による)および/またはゲルの発生に対抗する。
【0037】
混合設備(混合管または計量容器)が、少なくとも部分的に連続式の成形体製造の構成成分である場合、製造する溶液または分散液(M2)の長期貯蔵、例えば、2日間を超える期間、好ましくは、1日間を超える期間の貯蔵のための規定は一般にない。代わりに、これらの場合、好ましくは1日間以下の比較的短い貯蔵のための規定は慣習的にあり、それで、この種の少なくとも部分的に連続式の製造または生産プロセスが可能である。しかし、モールドベース材料(M1)と混合する前に、混合設備が、製造する溶液または分散液(M2)用のストック容器としても機能する場合、製造される溶液または分散液(M2)の長期貯蔵(好ましくは上記で定義した7日以下の期間)が、好ましい可能性がある。
【0038】
追加のステップ
- 成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される1つまたは複数のパラメータを確立、決定または推定するステップ、
および
- 成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される、確立、決定または推定したパラメータ(単数)またはパラメータ(複数)の関数として成分(K2a)および(K2b)の使用すべき割合を制御するステップ
を含む、成形材料混合物およびその成形体を製造するための、上記の本発明の方法(特に上記または下記で好ましいと特定された方法)が好適である。
成形体の製造の間の周囲温度および成形体の貯蔵の間の温度からなる群からのパラメータと、成形体の製造の間の相対湿度および成形体の貯蔵の間の相対湿度からなる群からのパラメータの組み合わせが、この場合特に好ましい。
「相対湿度」はこの場合-当業者の通常の理解と一致して-所与の温度での空気中の物理的最大水分量を基準にした、その温度での空気中の実際の水の割合を示す。
絶対湿度は-当業者の通常の理解と一致して-温度および相対湿度から決定する。例えば、相対湿度が同じまま温度が上昇する場合、または相対湿度が一定温度で上昇する場合、より高い絶対湿度が達成される。
リチウムイオンの比較的高い濃度の確立が本発明の方法で実用的に見える要因は、特に、成形体の製造の間および/または貯蔵の間のより高い絶対湿度、および/または成形体のより長い貯蔵期間である。
【0039】
したがって、好ましくは、確立、決定または推定したパラメータ値に従い、より高いまたはより低いリチウムイオンの濃度が、溶液または分散液(M2)で確立される。より高いリチウムイオンの濃度が、好ましくは溶液または分散液(M2)中の成分(K2a)の割合を増加することにより、例えば、成分(K2a)の混和の割合を上げることにより、および/または(成分(K2b)を使用する場合)成分(K2b)の混和の割合を下げることにより確立することができる。要件によれば、成分(K2b)は、完全に省略することもできる。
【0040】
したがって、方法は、少なくとも部分的に連続式の、好ましくは主に連続式のいくつかの成形体の製造として実施され、
成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される1つまたは複数のパラメータが増加する、または増加が予想される場合、
- 成形体の製造のために、成分(K2a)の使用する割合を増加させ、
および/または
- 成形体の製造のために、溶液または分散液(M2)中のM2O内のLi2Oのモル分率を増加させる
上記の本発明の方法(特に上記または下記で好ましいと特定された方法)が好適である。
【0041】
反対に、成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される1つまたは複数のパラメータが減少する、もしくは低下する、または減少が予想される、もしくは低下が予想される場合、
- 成形体の製造のために使用する成分(K2a)の割合を減少させおよび/または成形体の製造のために用いられてもよい成分(K2b)の割合を増加させ、
および/または
- 成形体の製造のために、溶液または分散液(M2)中のM2O内のLi2Oのモル分率を減少させる
ように本発明の方法を設計することは、当然有利である。
【0042】
同様に、上記の本発明の方法(特に上記または下記で好ましいと特定された方法)が好適であり、成形体の製造の間の周囲温度、成形体の製造の間の相対湿度、成形体の貯蔵の間の温度、成形体の貯蔵の間の相対湿度、成形体の製造の間の絶対湿度、成形体の貯蔵の間の絶対湿度、および成形体の貯蔵期間からなる群から選択される1つまたは複数のパラメータを確立、決定、または推定するために、データ収集設備またはデータ処理設備が提供され、
および
確立、決定または推定したパラメータ(単数)またはパラメータ(複数)の関数として成分(K2a)および(K2b)の使用すべき割合を制御するために、制御設備が提供され、好ましくは、データ収集設備またはデータ処理設備と制御設備の間で、パラメータデータを移動するためにデータ接続が設定される。
前記データ収集設備またはデータ処理設備は、好ましくは気候条件を取得するための機器、またはデータロガーである。前記制御設備は、好ましくは自動混合設備である。
本発明の方法のこの前記実施形態は、工業製造作業における影響パラメータの関数として自動化または少なくとも部分的な自動化を用いてキット構成成分の混和または計量を実施することができるという利点を有する。
【0043】
成形材料混合物の製造の間に、
(M3)粒子状、非晶質二酸化ケイ素;硫酸バリウム;炭水化物;リン化合物;表面活性化合物;酸化ホウ素化合物;金属酸化物;潤滑剤、エステルおよび離型剤
からなる群から選択される1つまたは複数の構成成分がさらに添加される
上記の本発明の方法(特に上記または下記で好ましいと特定された方法)も好適である。
【0044】
使用する粒子状非晶質二酸化ケイ素(「SiO2」)は、好ましくは通常の純度の、すなわち、通常の不純物および二次的構成成分を有する粒子状非晶質二酸化ケイ素である。本発明の目的のために、少なくとも85質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、および非常に好ましくは少なくとも95質量%の二酸化ケイ素含量を有する粒子状非晶質二酸化ケイ素を使用することが好適である。用語「粒子状」は、この場合、固体粉末(ダストを含む)、あるいは、好ましくは注げる、したがって、ふるい分けもできる粒状材料を指す。粒子状非晶質二酸化ケイ素の粒子の数に基づくd90は、好ましくは100μm未満、より好ましくは45μm未満である。このことは、成形材料混合物中に存在する粒子状非晶質二酸化ケイ素の粒子の90%が、好ましくは100μmより小さい、より好ましくは45μmより小さいことを意味する。d90は、好ましくは走査電子顕微鏡で撮影した顕微鏡写真により決定する。使用する粒子状非晶質二酸化ケイ素は、合成的に製造されたものでも、天然に存在するものでもよい。後者は、例えば、独国特許第102007045649号で知られているが、しばしばある程度の結晶性部分を含み、そのため、発がん性と分類されているので、好ましくない。合成的に製造した粒子状非晶質二酸化ケイ素は、慎重に実施される化学反応により製造される。そのような例は、ケイ素およびフェロシリコンの製造では、四塩化珪素の火炎加水分解およびアークオーブン内でのコークスを用いるケイ砂の還元である。これらの2つの方法により製造される非晶質SiO2は、フュームドSiO2とも呼ばれる。合成的に製造された粒子状非晶質二酸化ケイ素のさらなる例は、例えば、独国特許第102012020509号に記載されているようにZrSiO4のZrO2およびSiO2への熱分解、およびZrO2の部分的または実質的に完全な除去により得られる二酸化ケイ素である。本発明の方法による構成成分(M3)として、または中で、合成的に製造された粒子状非晶質SiO2、より好ましくはフュームド粒子状非晶質SiO2および/またはZrSiO4の熱分解によるSiO2の使用が好適である。本発明の目的に適した粒子状非晶質二酸化ケイ素は、例えば、独国特許出願公開第102004042535号、独国特許出願公開第102012020510号および独国特許出願公開第102012020511号にも記載される。粒子状非晶質二酸化ケイ素は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.3~3.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
【0045】
使用する硫酸バリウムは、合成的に製造されても、天然の硫酸バリウム、すなわち、硫酸バリウムを含有する鉱物、例えば、重晶石またはバライトの形態であってもよい。合成的に製造した硫酸バリウム(「沈降硫酸バリウム」とも呼ばれる)は、例えば、析出反応により製造される。この目的のため、通常、易溶のバリウム化合物(バリウム塩)を水に溶解する。次いで、易溶の硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム)あるいは硫酸の添加により、低い溶解性の硫酸バリウムが析出する。析出した硫酸バリウムは、ろ過、乾燥により分離し、粉砕により分離してもよい。本発明の目的に適した硫酸バリウムは、例えば、独国特許第102012104934号にも記載される。硫酸バリウムは、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.02~5.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
【0046】
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができる炭水化物は、好ましくはオリゴ糖および多糖からなる群から選択され、好ましくはセルロース、スターチおよびデキストリンからなる群から選択される。記載した炭水化物は、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の目的に適した炭水化物は、例えば、欧州特許第2104580号にも記載される。炭水化物(単数)または炭水化物(複数)は、好ましくは、成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.01~10.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
【0047】
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができるリン化合物は、好ましくは有機リン酸塩および無機リン酸塩からなる群から選択され、好ましくは無機アルカリ金属リン酸塩からなる群から選択される。記載したリン化合物は、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の目的に適したリン化合物は、例えば、欧州特許第2097192号にも記載される。リン化合物(単数)またはリン化合物(複数)は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.05~1.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
【0048】
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができる表面活性化合物は、好ましくはアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される。記載した界面活性剤は、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の目的に適した界面活性剤は、例えば、独国特許第102007051850号にも記載される。表面活性化合物(単数)または表面活性化合物(複数)は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.001~1.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。上記の表面活性化合物も、成分(K1)の構成成分として使用することができる。
【0049】
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができる酸化ホウ素化合物は、好ましくはホウ酸塩、ホウ酸、無水ホウ酸、ホウケイ酸塩、ホウリン酸塩およびホウリンケイ酸からなる群から選択され、より好ましくはアルカリ金属ホウ酸塩およびアルカリ土類金属ホウ酸塩からなる群から選択され、酸化ホウ素化合物は好ましくは有機基を含有しない。記載した酸化ホウ素化合物は、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の目的に適した酸化ホウ素化合物は、例えば、独国特許第102013111626号にも記載される。酸化ホウ素化合物(単数)または酸化ホウ素化合物(複数)は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.001~1.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。上記の酸化ホウ素化合物も、成分(K1)の構成成分として使用することができる。
【0050】
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができる金属酸化物は、好ましくは粒子状混合金属酸化物を含み、好ましくはアルミニウムの酸化物および/またはジルコニウムの酸化物を含む。好ましい金属酸化物は、好ましくはα相の粒子状アルミニウム酸化物、および/または層状ケイ酸塩構造のない粒子状アルミニウム/ケイ素混合酸化物を含む。記載した金属酸化物は、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の目的に適した金属酸化物は、例えば、独国特許第102012113074号および独国特許第102012113073号にも記載される。金属酸化物(単数)または金属酸化物(複数)は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.05~8.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができる潤滑剤は、好ましくはグラファイトおよび/または硫化モリブデン(IV)から選択される。記載した潤滑剤は、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の目的に適した潤滑剤は、例えば、国際公開第2014/202042号パンフレットにも記載される。潤滑剤(単数)または潤滑剤(複数)は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.01~0.2質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
【0051】
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができるシランは、好ましくはアミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン、ヒドロキシシランおよびウレイドシランからなる群から選択される。前記シランは、潤滑剤としても作用し得る。記載したシランは、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の目的に適したシランは、例えば、国際公開第2014/202042号パンフレットにも記載される。シラン(単数)またはシラン(複数)は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.1~2.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
【0052】
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができる離型剤は、好ましくはステアリン酸カルシウム、脂肪酸エステル、ワックス、天然樹脂およびアルキド樹脂からなる群から選択される。記載した離型剤は、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。本発明の目的に適した離型剤は、例えば、欧州特許第1802409号にも記載される。離型剤(単数)または離型剤(複数)は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして0.1~2.0質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
【0053】
上述の本発明の方法での構成成分(M3)としてまたは中で使用することができるエステル(1つまたは複数)は、好ましくはアルコールおよび酸の分子内または分子間反応生成物からなる群から選択され、アルコールは、C1-C8モノアルコール、C1-C8ジアルコール、好ましくはC2-C8ジアルコール、およびC1-C8トリアルコール、好ましくはC3-C8トリアルコールからなる群から選択され、好ましくはエチレングリコール、1,2-プロパンジオールおよびグリセロールからなる群から選択され、および酸は、有機C1-C8モノカルボン酸、好ましくは有機C2-C8モノカルボン酸、有機C2-C8ジカルボン酸、有機C2-C8トリカルボン酸、好ましくは有機C3-C8トリカルボン酸、および無機酸からなる群から選択され、好ましくはギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、リン酸、硫酸、ホウ酸および炭酸からなる群から選択され、少なくとも1つのエステルは、好ましくはプロピレンカーボネートまたはγ-ブチロラクトンである。前記エステルは、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。エステル(単数)またはエステル(複数)は、好ましくは成形材料混合物の総重量(総質量)を基準にして最大で0.4質量%の範囲の量で、好ましくは0.01質量%~0.4質量%の範囲の量で使用される(それぞれ構成成分(M1)、(M2)およびある場合は(M3)およびさらなる任意の構成成分の重量または質量の合計)。
【0054】
前記1つまたは複数の構成成分(M3)、粒子状非晶質二酸化ケイ素;硫酸バリウム;炭水化物;リン化合物;表面活性化合物;酸化ホウ素化合物;金属酸化物;潤滑剤、エステルおよび離型剤は、個々にまたは互いに組み合わせて使用することができる。1つまたは複数の構成成分(M3)は、例えば個々にまたは一緒に、好ましくは一緒に、モールドベース材料(M1)に添加することができ、および後者と混合することができ、次いで、この成分(M1)と(M3)の予備混合物は、製造した(予備混合した)溶液または分散液(M2)と混和することができ、およびそれと混合することができる(好ましくは均一に)。成分(M1)と(M3)の予備混合物をさらなる成分(K1)、(K2a)と個々に混和することができ、(K2b)も混合してもよく、次いで、得られる成形材料混合物を混合することができる(好ましくは均一に)。水溶性の構成成分(M3)は、好ましくは前記表面活性化合物および/または酸化ホウ素化合物は、例えば、成分(K1)に個々にまたは一緒に添加することができ、および/または成分(K1)の一部であってもよい。
さらに、上記の本発明の方法(特に上記または下記で好ましいと表される方法)も好ましく、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2a)は水に溶解した水酸化リチウムを含み、(存在するまたは使用される場合)第2の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2b)も水に溶解した水酸化リチウムを含んでもよい。
【0055】
したがって、水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2a)は、水に溶解した水酸化リチウムを含むことが好ましい。水に溶解したアルカリ金属イオンを含む第2の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2b)は、リチウムイオンを含む場合、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液が、水に溶解した水酸化リチウムを含むこともしたがって好ましい。水酸化リチウム、特に水酸化リチウム一水和物は、本発明の目的に適した水溶性を有する。社内トライアルでは、さらに、非常に適切な貯蔵安定性を有する溶液および/または分散液(K2a)および/または(K2b)が、本発明の目的のために水酸化リチウム、特に水酸化リチウム一水和物を用いて製造することができることがわかった。したがって、リチウムイオンを含有する成分(K2a)および/または(K2b)は、好ましくは水酸化リチウム、より好ましくは水酸化リチウム一水和物を使用して製造される。
【0056】
- 水ガラスを含む水溶液または分散液(K1)が、10.0~13.0の範囲の、好ましくは11.0~12.5の範囲のpHを有し、
および/または(好ましくは「および」)
- 水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2a)が、8.0~14.0の範囲の、好ましくは11.5~13.5の範囲のpHを有し、
および/または(好ましくは成分(K2b)が存在する場合「および」)
- 水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2b)(使用される場合)が、8.0~14.0の範囲の、好ましくは11.5~13.5の範囲のpHを有する、
上記の本発明の方法(特に本文で好ましいと言及される本発明の方法)も好ましい。
【0057】
本発明は、以下の別々の成分:
(K1)SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲、好ましくは25~34質量%の範囲であり、および/またはSiO2/M2Oモル比が、製造されるリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、
水ガラスを含む水溶液または分散液、
および
(K2a) リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲、好ましくは1.0~5.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲である
水に溶解したリチウムイオンを含む第1の水ガラスを含まない溶液または分散液
を少なくとも含む、
リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液を製造するためのキットにも関する。
【0058】
さらなる別々の成分として、
(K2b) リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0~2.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲であり、
好ましくは、リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下、好ましくは10%以下異なる
水に溶解したアルカリ金属イオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液
をさらに含む
上記の本発明のキットが、特に好ましい。
本発明のキットまたは本発明により好ましいキットの好ましい一実施形態では、成分(K2b)中のリチウムイオンの濃度は、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0.1~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0.1~2.0mol/Lの範囲である。
【0059】
以下の別々の成分:
(K1)SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲、好ましくは25~34質量%の範囲であり、および/またはSiO2/M2Oモル比が、製造中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、
水ガラスを含む水溶液または分散液、
(K2a) リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲、好ましくは1.0~5.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲である
水に溶解したリチウムイオンを含む、第1の水ガラスを含まない溶液または分散液、
および
(K2b) リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0.1~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0.1~2.0mol/Lの範囲であり、
リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲にあり、
好ましくは、リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下、好ましくは10%以下異なる
水に溶解したリチウムイオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液
を少なくとも含む、上記の本発明のキット(特に上記または下記で好ましいと言及されるキット)が特に好ましい。
本発明のキットのさらなる好ましい実施形態に関して、本発明の方法に対し上記で明記される説明は、それに対応して有効であり、その逆も同様である。
本発明の上記で明記されたキットは、本発明の上記で明記された方法での使用に適切であり、意図される。
【0060】
本発明は同様に、成形材料混合物が、
(M1)モールドベース材料
および
(M2) 1.6~3.5の範囲の、好ましくは1.8~3.0の範囲のSiO2/M2Oモル比を有し、
2O内のLi2Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲、好ましくは0.1~0.4の範囲である、
リチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液
を含む、成形材料混合物を製造するための、または成形材料混合物およびその成形体を製造するための、本発明の上記のキットまたは本発明の好ましいキットの使用に関する。
本発明による使用の好ましい実施形態に関して、本発明の方法および本発明のキットに対し上記で明記される説明は、それに対応して有効である。
【0061】
本発明は、さらに、
装置が、
- SiO2含量が、溶液または分散液の総質量を基準にして20~34質量%の範囲、好ましくは25~34質量%の範囲であり、および/またはSiO2/M2Oモル比が、製造中の成形材料混合物中のリチウム含有水ガラスのモル比より大きい、第1の成分として水ガラスを含む水溶液または分散液(K1)を含有する第1の貯蔵タンク(Z1)、

〇リチウムイオンの濃度が、0.3~5.3mol/Lの範囲、好ましくは1.0~5.0mol/Lの範囲であり、
〇リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲である、
第2の成分として、水に溶解したリチウムイオンを含む第1の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2a)を含有する、第2の貯蔵タンク(Z2)、
- 少なくとも第1および第2の成分を混合して、(前記または不定の)中間体溶液または分散液(本発明の方法に関連して、この中間体溶液または分散液は、(M2)と確認される)を製造するための、好ましくは混合設備(Z3)、より好ましくは混合管、非常に好ましくは静的混合パイプ
を少なくとも含み、
- 好ましくは少なくとも第1および第2の貯蔵タンクが、各場合に1つまたは複数のライン(Z4)により混合設備(Z3)に接続されており、
2Oは、各場合に酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表し、
および/または
- 中間体溶液または分散液中のリチウム含有水ガラスが、1.6~3.5の範囲、好ましくは1.8~3.0の範囲のSiO2/M2Oモル比を有し、および/またはM2O内のLi2Oのモル分率が、0.05~0.60の範囲、好ましくは0.1~0.4の範囲であり、M2Oは、各場合に酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウムの総量を表し、
および/または
- 使用が、上記の本発明の方法で起こる(特に上記または下記で好ましいと言及される方法)、
成形材料混合物の製造における使用のための、または成形材料混合物およびその成形体を製造するための(好ましくは、本発明の方法による製造における使用のための)、好ましくは成形材料混合物の製造における使用のためのリチウム含有水ガラスを含む中間体溶液または分散液を製造するための、または成形材料混合物およびその成形体を製造するための、装置にも関する。
【0062】
本発明の装置は、好ましくは混合設備(Z3)を含み、好ましくは少なくとも第1および第2の貯蔵タンクは、各場合に1つまたは複数のライン(Z4)により混合設備(Z3)に接続されている。この好ましい実施形態では、本発明の装置は、成形材料混合物の製造における使用のための、または成形材料混合物およびその成形体を製造するための、リチウム含有水ガラスを含む中間体溶液または分散液を製造するための装置である(本発明の方法に関して、この中間体溶液または分散液は、(M2)と呼ばれる)。
【0063】
しかし、本発明は、混合設備なしで何とかでき、成分(K1)、(K2a)および-存在し、使用される場合-(K2b)が、モールドベース材料(M1)に直接通され、そこで初めて互いにおよびモールドベース材料(M1)と混合される、上記のような装置も含む。
【0064】
混合設備(Z3)は、同時に貯蔵タンク((Z1)、(Z2)または(Z5);下記参照)であってもよい。貯蔵タンクまたはタンクの内容物は、1つまたは複数のポンプによって混合設備に搬送することができる。成分(K1)、(K2a)および(K2b)を、提供される貯蔵タンクの1つのみで予備混合することもでき、および次いで、モールドベース材料と混合することができる。貯蔵タンクで成分(K1)のみを(K2a)と、または(K1)を(K2b)とであっても、または(K2a)を(K2b)とであっても予備混合し、そのときに初めてそれぞれ第3の成分(それぞれ(K2b)または(K2a)または(K1))と混合することも可能である。成分(K1)、(K2a)および(K2b)のそれぞれを、他の成分のいずれかと混合することなく、モールドベース材料と直接混合することも可能である。
本発明の装置の好ましい実施形態に関して、本発明の方法、本発明のキット、および本発明による使用に対し上記で明記される説明は、それに対応して有効であり、その逆も同様である。
上記または下記で明記される本発明の装置は、本発明の上記で明記された方法での使用に適切であり、意図される。
上記で明記される本発明のキットは、上記または下記で明記される装置での使用に適切であり、意図される。
【0065】
上記の本発明の装置もさらに好ましく、

〇リチウムイオンの濃度が、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0~2.0mol/Lの範囲であり、
〇リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、0.3~28.0mol/Lの範囲、好ましくは0.3~20.0mol/Lの範囲、より好ましくは1.0~10.0mol/Lの範囲であり、
〇好ましくは、リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度が、成分(K2a)中のリチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度と20%以下、好ましくは10%以下異なる、
水に溶解したアルカリ金属イオンを含む、第2の水ガラスを含まない溶液または分散液(K2b)を含有する第3の貯蔵タンク(Z5)
をさらに含み、
好ましくは混合設備(Z3)が、少なくとも第1、第2、および第3の成分を混合するために実施されて、中間体溶液または分散液を製造し、および
好ましくは少なくとも第1、第2、および第3の貯蔵タンクが、各場合に1つまたは複数のライン(Z4)により混合設備(Z3)に接続されている。
【0066】
本発明の装置の、または本発明による好ましい装置の好ましい一実施形態では、第3の貯蔵タンク(Z5)の成分(K2b)のリチウムイオンの濃度が、成分(K2a)の場合より低く、好ましくは0.1~5.0mol/Lの範囲、より好ましくは0.1~2.0mol/Lの範囲である。
本発明を、以下で、以下で明記される実施例で、および図面に関連してより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1図1は、以下の装置の成分:第1の貯蔵タンク(Z1)、第2の貯蔵タンク(Z2)、混合設備(Z3)、ならびに第1および第2の貯蔵タンクを混合設備に接続する1つまたは複数の(この場合、複数の)ライン(Z4)を有する本発明の詳細な装置の図式的な構造を示す。
図2図2は、以下の装置の成分:第1の貯蔵タンク(Z1)、第2の貯蔵タンク(Z2)、混合設備(Z3)(この場合、第1の貯蔵タンク(Z1)と同一)、ならびに第1および第2の貯蔵タンクを混合設備に接続する1つまたは複数の(この場合、1つの)ライン(Z4)(第1の貯蔵タンクおよび混合設備は同一である)を有する本発明の詳細な装置の図式的な構造を示す。
図3図3は、以下の装置の成分:第1の貯蔵タンク(Z1)、第2の貯蔵タンク(Z2)、第3の貯蔵タンク(Z5)、混合設備(Z3)、ならびに第1、第2および第3の貯蔵タンクを混合設備に接続する1つまたは複数の(この場合、複数の)ライン(Z4)を有する本発明の詳細な装置の図式的な構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0068】
実施例は、その保護範囲を制限することなく、本発明をより詳細に記載し、説明することを意図するものである。
別段の明記がない限り、作業は、通常の実験室条件(25℃、標準圧力)下で行った。
【0069】
(例1a)
例示的成分(K1)、(K2a)および(K2b)
表1aに示す特性を有する、例示的成分(K1)、(K2a)および(K2b)は、通常の方法で製造した。
【0070】

表1aでは、「c(Li+)」は、リチウムイオンの濃度を表し、「c(Li+/Na+/K+)」は、リチウム、ナトリウムおよびカリウムイオンの総濃度を表す。「n.s.」は、当該のセルに何も値が記載されていないことを意味する。「質量%」の数値は、各場合に対応する成分(K1)、(K2a)または(K2b)の総質量に基づく。
【0071】
(例1b)
成分(K1)、(K2a)および(K2b)のpHの決定
好ましい成分(K1)、(K2a)および(K2b)は、通常の方法で製造した。次いで、好ましい成分のpH値を通常の方法で決定した。結果を以下の表1bに示す。
【0072】

好ましい成分(K1)、(K2a)および(K2b)の他の特性は、表1aのものに非常に類似している。大きなずれはない。
【0073】
(例2)
本発明のリチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液の製造
リチウム含有水ガラスを含む例示的溶液または分散液(M2)は、本発明の方法により、通常の方法で、成分(K1)、(K2a)を互いに混合することにより、また(K2b)も混合することにより製造される。使用する成分は、各場合に例1で明記されたものである。この目的のため、成分(K1)の各割合を最初に導入し、各割合の成分(K2a)を加え、(K2b)も加えてもよい。振とうまたは撹拌により、得られた溶液または分散液(M2)をホモジナイズする。結果を表2に示す。
【0074】
【0075】
(例3)
成形材料混合物の製造
表4に示す構成成分から、以下に示すプロトコルにより、成形材料混合物を本発明の方法(成形材料混合物EF1~EF3)により製造し、また、従来の、非発明性の方法により比較用の成形材料混合物(VF1)を製造した。表4のすべての量は、質量部で示す。
【0076】
使用した「バインダー」(表4参照)は、表3に従い製造した本発明のリチウム含有水ガラスを含む溶液または分散液(M2)、および、それぞれ非発明性の溶液または分散液(M2v)(バインダーEL1~EL3およびVL1参照)を含む。各場合に使用した「モールドベース材料」(M1)は、ケイ砂(Quarzwerke GmbH(Frechen)製のH31)であった。各場合に使用した「添加剤」は、鋳型成形用の市販の粉末状添加剤、Anorgit(登録商標)8610(Huttenes-Albertus Chemische Werke Gesellschaft mit beschrankter Haftung製)であった。その構成成分は、粒子状の非晶質二酸化ケイ素を含む。
【0077】
【0078】

成形材料混合物の構成成分を実験室用のパドルミキサー(Multiserw製)で混合した。この目的のため、最初にケイ砂を導入し、粉末状の添加剤を加え混合した。その後、予備混合したバインダー(表3参照)を添加した。次いで、混合物を合計2分間撹拌した。次いで、得られた成形材料混合物をそれぞれ以下の調査のために使用した。
【0079】
(例4)
成形体の製造
例3で製造した成形材料混合物(表4参照)を使用し、曲げ試験片製造用の加熱可能なモールドを用いて(March 1974 M11 Merkblatt of the Verein deutscher GieBereifachleuteに示される)、成形体(試験片、すなわち、寸法22.4mm×22.4mm×165mmを有する標準曲げ試験棒)を製造し、これを以下の実験のために使用した。
【0080】
成形材料混合物を各々圧縮空気(4バール)によりモールド(コア取り温度180℃)に導入した。注入時間は3秒で、その後の硬化時間は30秒(遅延時間3秒)であった。混合物の硬化を加速するため、30秒の硬化時間中に、熱風(ガス圧力:2バール、ガスおよびガスホース温度:180℃)をモールドに通過させた。
製造した試験片は、成形体に相当し、鋳造業で使用することができる成形体、例えば、モールドまたはコアのモデル-当該の技術分野で一般的である-として存在する。
【0081】
(例5)
成形体の貯蔵安定性の調査
水ガラス結合成形体の貯蔵安定性は、周囲条件、特に空気湿度に依存する。湿度が高いほど、成形体への損傷(例えば、コア損傷)のリスクが大きくなる。成形体への損傷は、例えば、部品不良(例えば、コアの破壊)または強度の大きな低下(冷間強度に比べて低い残留強度)で明らかである。高い湿度の場合に、さらに、水の取り込みがあり、鋳造でガス欠陥(例えば、鋳造での気泡)を生じ得る。
定められた条件(温度および相対湿度)下で調査を実施し、各場合にデータロガーによりモニターした。成形体(試験片)は、各々表5(「実験」カラム参照)で、それを製造するために使用した成形材料混合物(例3および表3参照)により特徴付けられる。
【0082】
5.1.部品不良の時間の決定
部品不良(試験片の破壊)の時間の決定のために、試験片を調節されたキャビネットに貯蔵し、破壊までの時間を観察した。それぞれの時間(時間)は、各場合に3つの測定値の平均として表5に示す。
5.2.試験片の残留強度の決定
残留強度は、試験片を調節されたキャビネット内に定められた期間(表5参照)貯蔵することにより決定した。次いで、調節されたキャビネットから除去直後に曲げ強さを測定した。
【0083】
曲げ強さは、例4で製造した試験片を3点曲げ装置を備えたGeorg-Fischer強度試験機(Multiserw製)に装置することにより決定し、試験片の破壊を起こす力を測定した。表5に示す期間後に曲げ強さを測定した。成形体(試験片)は、各々表5(「実験」カラム参照)で、それを製造するために使用した成形材料混合物(例3および表4参照)により特徴付けられる。
得られた測定値(元の値の百分率で表す残留強度)は、各場合に3つの測定値の平均として表5に示す。
【0084】
5.3.試験片の水分吸収の決定
水分吸収を決定するために、モールドから除去して1時間後に試験片を秤量し、次いで調節されたキャビネットに所定の時間貯蔵した(表5参照)。調節されたキャビネットから除去直後に試験片を再び秤量した。得られた重量差(または質量差)(%)は、3つの測定値の平均として表5に示す。
【0085】

表5では、「rh」は、相対湿度を意味し、「n.d.」は、「未決定(not determined)」(すなわち、測定値は決定されなかった)を意味する。数値「31.3g/m3」、「35.3g/m3」、「14.7g/m3」および「25.0g/m3」は、各場合の絶対湿度を示す。
【0086】
表5で報告した測定値から、リチウム含有水ガラス(試験片EF1、EF2およびEF3)を用いて本発明の方法により製造した成形体は、非発明性の方法(リチウムの添加なし)により製造した比較試験片(VF1)より良好な貯蔵安定性を示すことが明白である。本発明により製造した成形体は、本発明により製造されない比較用成形体よりも、より良い貯蔵能力(表5、カラム「部品不良の時間」参照)、貯蔵後のより大きい残留強度(表5、カラム「35℃での残留強度」参照)およびより低い水分吸収(表5、カラム「水分吸収」参照)を示した。
成形体を製造するために使用する溶液または分散液(M2)のリチウムイオン含量が、記載される範囲内で増加すると、観察される成形体の貯蔵安定性(より高い)、残留強度(より高い)および水分吸収(より低い)の特性に改善が見られたことが表5からさらに明らかである。成形体のその部分でのより高い水分吸収は鋳造操作時のガスの発生、したがって、気泡の取り込みによる鋳造の品質低下のリスクを高める一般的効果を有する。
【0087】
これらの観察から得られる結論は、所望の成形体の特性、特にバインダーと結合した成形体の所望の貯蔵特性を目標とした方法で、確立および/または制御することが可能になるので、それぞれ一般的な気候条件(特に周囲温度および相対および/または絶対湿度)に依存して、本発明の方法および/または本発明のキットおよび/または本発明の装置の使用の場所で、それに対応して柔軟に調節できる調製(本発明の方法および/または本発明のキットを用いて可能な)すべき溶液または分散液(M2)中のリチウムイオン濃度が有利であることである。
【0088】
例えば、関連する気候条件がこれを必要としない場合、すなわち、それほどきつくない関連する気候条件が主流である限り、特に比較的低い湿度では、溶液または分散液(M2)中のリチウムイオン含量を低減し、その結果、経費を節約することが可能である。主に電池産業での需要の高まりにより、リチウム化合物がかなり高価になってきたので、このコスト節約は、最近ではさらに重要になってきた。
【0089】
5.4.成形体の貯蔵安定性に対する溶液または分散液(M2)の貯蔵期間の影響
以下に示す方法で、およびその他では一定の条件下で、溶液または分散液(M2)の成分(K1)、(K2a)および(K2b)を使用し、互いに、または互いにおよびモールドベース材料(M1)と混合した。
a)予備混合なしに、成分(K1)、(K2a)および(K2b)を直接モールドベース材料と混合した。
b)成分(K1)、(K2a)および(K2b)を予備混合し、次いで、予備混合物をモールドベース材料と直接混合した。
c)成分(K1)、(K2a)および(K2b)を予備混合し、予備混合物をその製造の1日後にモールドベース材料と直接混合した。
d)成分(K1)、(K2a)および(K2b)を予備混合し、予備混合物をその製造の2日後にモールドベース材料と直接混合した。
e)成分(K1)、(K2a)および(K2b)を予備混合し、予備混合物をその製造の3日後にモールドベース材料と直接混合した。
次いで、上記で得られた成形材料混合物a)~e)を使用して、上記に示すように成形体(試験片;例4参照)を製造し、その貯蔵安定性を調べた(「部品不良の時間」;例5.1参照)。
上記の成形材料混合物a)~e)を用い、本発明の方法により製造した成形体(試験片)の貯蔵安定性を測定した際、著しい違いは確認されなかった。
この結果から、本発明の方法により製造した溶液または分散液(M2)を、実施に関連する品質低下が何も生じない試験条件下で、少なくとも3日間貯蔵できると結論付けることが可能である。
【0090】
(例6)
溶液または分散液(M2)の貯蔵安定性の調査
例3で製造した溶液または分散液(M2)の試料(名称「EL3」)を、表6に明記した条件下で密閉容器に貯蔵し、表6に示した時間でのその品質および一貫性を各場合に検査により決定し、結果を同様に表6に示す。
【0091】
【0092】
表6では、記号は以下の意味を有する。「++」:溶液または分散液(M2)に変化が認められない;「+」:溶液または分散液(M2)にわずかな変化が認められる、品質に悪影響はない;「o」:わずかなゲル化が検出可能、溶液または分散液(M2)はまだ悪影響なしの使用に適する;「-」:かなりの析出物が見える、溶液または分散液(M2)はもはや悪影響なしの使用に適さない(例えば、ポンプ、フィルター、計量ユニットで)。
上記の結果から、本発明の方法により製造した溶液または分散液(M2)は、悪い貯蔵条件下でも、鋳造業での成形体製造のための実施に関連する程度に品質を低下させずに最大で8日間(好ましくは最大で7日間)使用できることが明らかである。
【0093】
したがって、同様に表6から明らかなように、有利な(高い)リチウム含量を用いて製造される溶液または分散液(M2)は、短期的にまたはせいぜい中期的に予備混合した形態での工業的実施で貯蔵し、使用することができる。しかし、長期貯蔵(例えば、数週間)のためには、有利な(高い)リチウム含量を有する均一な(例えば、予備混合した)溶液または分散液(M2)は、先に示した理由のため適切ではない。
【0094】
したがって、本発明の主題によれば、別々に貯蔵した成分(K1)、(K2a)と、また(K2b)も、互いに、またはモールドベース材料と混合して、成形材料混合物を作ることによる、実際の工業的配備前の短期間または中期間まで、有利な(高い)リチウム含量を有するこの種の溶液または分散液(M2)を混合するべきではない。
図1
図2
図3