(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-14
(45)【発行日】2023-06-22
(54)【発明の名称】組み換え糖タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/85 20060101AFI20230615BHJP
A61K 38/47 20060101ALI20230615BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230615BHJP
C12N 9/40 20060101ALI20230615BHJP
C12N 15/56 20060101ALI20230615BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230615BHJP
【FI】
C12N15/85 Z ZNA
A61K38/47
A61P9/10
C12N9/40
C12N15/56
C12P21/02 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020005541
(22)【出願日】2020-01-17
(62)【分割の表示】P 2016526026の分割
【原出願日】2014-10-22
【審査請求日】2020-01-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-25
(32)【優先日】2013-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500034653
【氏名又は名称】ジェンザイム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】カレン・リー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ウヮン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン・デマリア
【合議体】
【審判長】長井 啓子
【審判官】上條 肇
【審判官】天野 貴子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-121260(JP,A)
【文献】特表2001-504324(JP,A)
【文献】特表2002-538183(JP,A)
【文献】Cytotechnology,1998,Vol.28,p.31-42
【文献】Biotechnology and Bioengineering,2011,Vol.108,No.11,p.2611-2622
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
C12N 1/00 - 7/08
C12N 9/40
C12P 1/00 - 41/00
CAPlus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-A(rhAGA)タンパク質の組み換え発現に有用な哺乳動物細胞株を生成する方法であって、該方法は:
(a)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を供給すること;
(b)CHO細胞から単細胞クローン培養物を生成すること、ここで該単細胞クローンは、無タンパク質で動物由来成分(ADC)を含まない培地で成長する;
(c)工程(b)からの単細胞クローンを、rhAGAタンパク質をコードする配列を含む発現ベクターで、安定にトランスフェクトすること;
(d)rhAGAタンパク質を産生するトランスフェクトされたクローンを選択すること;
(e)(d)のクローンを、無タンパク質でADCを含まない培地中
で5日
~10日間培養すること;並びに
(f)細胞培養からrhAGAタンパク質を採取すること、
を含み、
ここで、該rhAGAタンパク質は
、9.0%より大きい、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を含む、
上記方法。
【請求項2】
培養は懸濁細胞培養を使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
培養はバイオリアクターを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
CHO細胞は、ジヒドロ葉酸還元酵素を内因的に発現しない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
糖タンパク質をコードする配列は、配列番号1と少なくとも90%同一である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
発現ベクターが、さらに、以下の:
rhAGAタンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されているプロモ
ーター配列;
rhAGAタンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたTTG開始
コドンを有するヒトCD52タンパク質のペプチドをコードする配列;及び
rhAGAタンパク質をコードする配列の3'末端に作動可能に連結されたポリ(A)
認識部位
をコードする配列;
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
プロモーター配列は、ハムスターrpS21プロモーター、ハムスターβ-アクチンプロモーター、及びSV40初期プロモーターからなる群より選択され;及び
ポリ(A)認識部位をコードする配列は、SV40初期ポリ(A)認識配列である;
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
プロモーター配列は、ハムスターβ-アクチンプロモーターである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
発現ベクターは、さらに、ヒト若しくはイヌグルタミン合成酵素、又はジヒドロ葉酸還元酵素をコードする配列を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ヒト若しくはイヌグルタミン合成酵素、又はジヒドロ葉酸還元酵素をコードする配列の5'末端は、SV40初期プロモーターに作動可能に連結されており、並びに、ヒト若し
くはイヌグルタミン合成酵素、又はジヒドロ葉酸還元酵素をコードする配列の3'末端は
、SV40初期イントロン及びポリ(A)シグナル配列に作動可能に連結されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
9.0%より大きい、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;および
1.8~3.0の間である、タンパク質に対するマンノース-6-リン酸のモル対モル比;
を含む、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-A(rhAGA)タンパク質
であって、
該rhAGAたんぱく質は、無血清培地または動物製剤非含有培地中で製造される、
前記rhAGAタンパク質。
【請求項12】
14.8%より大きい、モノリン酸化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を、さらに含む、請求項
11に記載のrhAGAタンパク質。
【請求項13】
4.9%より大きい、テトラシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を、さらに含む、請求項
11又は
12に記載のrhAGAタンパク質。
【請求項14】
16%より大きい、モノリン酸化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する、請求項
12に記載のrhAGAタンパク質。
【請求項15】
6%より大きい、テトラシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する、請求項
13に記載のrhAGAタンパク質。
【請求項16】
請求項
11~15のいずれか1項に記載のrhAGAタンパク質及び薬学的に許容しうる担体を含む、医薬組成物。
【請求項17】
組成物が、静脈内、動脈内、筋内、皮内、皮下、又は腹腔内の投与用に製剤化される、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
医薬組成物が
、4mg/mL
~6mg/mLの濃度のrhAGAを含む、請求項
17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
医薬組成物が
、5mg/mLの濃度のrhAGAを含む、請求項
18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
医薬組成物が、滅菌凍結乾燥粉末である、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項21】
薬学的に許容しうる担体が:マンニトール、リン酸一ナトリウム一水和物、及びリン酸二ナトリウム七水和物からなる群より選択される1つ又はそれ以上の薬剤である、請求項
20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
患者におけるファブリー病の処置のために使用される、請求項
11~15のいずれか1項に記載のrhAGAタンパク質、又は請求項
16~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、米国仮特許出願第61/894,879号(2013年10月23日出願)、及び米国仮特許出願第61/901,942号(2013年11月8日)に対して優先権を主張する;これらの内容全体は参照により本明細書に加入される。
【0002】
技術分野
この出願はバイオテクノロジーの分野に関し、より詳細には、組み換え糖タンパク質(
例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-A)の製造、及び被験体におけるリソソーム蓄積症(例えば、ファブリー病)の処置に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
リソソーム蓄積症は、細胞のリソソーム内の糖脂質又は多糖類老廃物を分解する酵素をコードする遺伝子における欠損の結果である40を超える一群の障害である。次いで酵素産物、例えば糖類及び脂質は、新しい生成物へと再利用される。これらの障害はそれぞれ、リソソームにおける酵素のレベルに影響を及ぼす遺伝性常染色体又はX連鎖劣性遺伝形質に起因する。一般に、罹患した個体の細胞及び組織におけるこれらの酵素の生物学的又は機能的活性は減少しているか全く無い。例となるリソソーム蓄積症及び関連する酵素欠乏のリストは
図1に示され、そして特許文献1の表1に記載される。このような疾患において、酵素機能の欠乏は、体内の細胞のリソソームにおける脂質又は炭水化物基質の進行性で全身性の蓄積を生じ、器官機能の喪失及び死亡さえ引き起こす。
【0004】
ファブリー病は、リソソーム酵素α-ガラクトシダーゼ-Aの欠乏により引き起こされる
リソソーム蓄積病である。このリソソーム加水分解酵素の欠乏は、身体の大部分の組織においてスフィンゴ糖脂質グロボトリアシルセラミド(globotriasylceramide)(GL3)及び
関連脂質の進行性の沈着を生じる。GL3の沈着は、主に血管内皮で見られる。GL3の進行性内皮蓄積は、腎臓、心臓、又は脳のような器官における虚血及び梗塞をもたらし、非常に激しい痛み、腎不全、並びに心臓及び脳血管疾患を引き起こす。血管疾患からの腎臓、心臓及び/又は脳の合併症からの、酵素置換治療で処置されていないファブリー患者の平均寿命は、男性で50歳、そして女性で70歳である(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Lidove et al., Int. J. Clin. Pract. 61:293-302, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
医療処置における使用のための組み換えタンパク質は、しばしば血液産物(例えば、非ヒト動物血清又は血漿)を含む液体培地の使用を含む細胞培養方法により製造される。組み換えタンパク質を含有する医薬品の汚染は、バイオテクノロジー産業において問題となってきた(Nims, BioProcessing J. 10:4-10, 2011;Plavsic et al., BioProcessing J. 9:6-12, 2011;Plavsic et al., Dev. Biol. Stand 99:95-109, 1999)。例えば、このよ
うな医薬品における多数の様々なウイルスの存在の原因は、いくつかの例では、組み換え
タンパク質を産生する細胞を培養するために使用される液体培地中に存在する血液製剤(
例えば、非ヒト動物血清又は血漿)にある。組み換えタンパク質製造細胞培養物中に見ら
れ、かつ動物製剤(例えば、動物血清、動物血漿、又は動物血清タンパク質)の使用により引き起こされる夾雑物の例は、本明細書に記載される。培地としての組み換えタンパク質製造細胞培養における無血清培地又は動物製剤非含有培地の使用は、より良好に規定され簡略化され、減少した程度の夾雑物を有し、組み換えタンパク質産物細胞培養における汚染の危険性又は夾雑物のレベルを排除又は減少させ、そして細胞培養を使用して組み換えタンパク質の製造のより低い費用を生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
要旨
本発明は、変更された(例えば、改善された)グリコシル化プロフィールを有するタンパク質(例えば、酵素、例えば、α-ガラクトシダーゼ-A)が本明細書に記載される方法を使用して製造され得るという発見に、少なくとも一部基づく。従って、グリコフォームの減少した可変性、汚染の減少した危険性もしくはレベル(例えば、ウイルス混入の減少した
危険性又はレベル)、及び/又は変更され改善されたグリコシル化プロフィール(例えば、酵素置換治療のために以前に製造された酵素と比較して)を有するα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質、これらのα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の1つ又はそれ以上を含む医薬組成物及びキット(例えば、グリコフォームの減少した可変性及び/又は汚染の減少した危
険性(例えば、ウイルス混入の減少した危険性又はレベル)を有する医薬組成物)、糖タンパク質(例えば、α-ガラクトシダーゼ-A)の組み換え発現に有用な哺乳動物細胞を生成す
る方法、組み換え糖タンパク質(例えば、α-ガラクトシダーゼ-A)の製造方法、ファブリ
ー病の処置方法、並びに被験体におけるグロボトリアオシルセラミドの血清レベルを減少させる方法、並びに哺乳動物細胞(例えば、インビトロでの細胞又は被験体中の細胞)中のリソソームにおけるα-ガラクトシダーゼ-Aのレベルを増加させる方法が本明細書におい
て提供される。α-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列を含む発現ベクター
もまた提供される。
【0009】
約0.1%と約1.5%との間である、モノシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;及び約9%より大きい、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合の構造的特徴のうち1つ又は両方を有する組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-A(rhAGA)タンパク質が本明細書において提供される。例えば、項目1に記載のrhAGAタンパク質は:約0.1%と約1.5%との間の、モノシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合、及び約9%より大きい、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合の構造的特徴を有し得る。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約0.1%と約1.3%と
の間(例えば、約0.1%と約1.0%との間、又は約0.1%と約0.7%との間)である、モノシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。いくつかの実施態様において、rhAGA
タンパク質は、約8.5%より大きい(例えば、約9.0%より大きい)、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。
【0010】
本明細書において提供されるrhAGAタンパク質は: 約13.5%より大きい、ビシアル化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約2.0%より大きい、フォーム2のトリシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;及び約3.0より大きい、シアル酸/タンパク質のモル/モル比の群より選択される構造的特徴の1つ又はそれ以上をさらに有し得る。例えば、本明細書において提供されるrhAGAタンパク質は、約13.5%より大きい、ビシアル化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約2.0%より大きい、フォーム2のトリシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;及び約3.0より大きい、シア
ル酸/タンパク質のモル/モル比の構造的特徴をさらに有し得る。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約13.8%より大きい(例えば、約14.0%より大きい)、ビシアル
化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。いくつかの実施態様に
おいて、rhAGAタンパク質は、約4%より大きい(例えば、約6%より大きい)、フォーム2の
トリシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約3.2より大きい(例えば約3.4より大きい)、シアル酸/タンパク質のモル/モル比を有する。
【0011】
本明細書において提供されるrhAGAタンパク質は:約0.1%と約3.9%との間である、中性荷電オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と約3.0%との間である、モノシアル化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と約5.3%との間である、ビシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と約9.0%との間である、フォーム1のトリシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約1%と約7.0%との間である、マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約14.8%より大きい、モノリン酸化(monophosphosphorylated)オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約4.9%より大きい、テトラシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;及び約8.2%より大きい、モノシアル化モノリン酸化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合の群より選択される1つ又はそれ以上の構造的特徴をさらに有し得る。例えば、本明細書に記載されるrhAGAタンパク質は:約0.1%と約3.9%との間である、中性荷電オリゴ糖である総N-連結オリゴ
糖の割合;約0.1%と約3.0%との間である、モノシアル化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と約5.3%との間である、ビシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と約9.0%との間である、フォーム1のトリシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;約1%と約7.0%との間である、マンノース-6-リン酸オリゴ糖
である総N-連結オリゴ糖の割合;約14.8%より大きい、モノリン酸化オリゴ糖である総N-
連結オリゴ糖の割合;約4.9%より大きい、テトラシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合;及び約8.2%より大きい、モノシアル化モノリン酸化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合からなる群より選択される、4又はそれ以上の構造的特徴を有し得る。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約0.1%と約3.0%との間(例えば、約0.1%と約2.0%との間)である、中性荷電オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。いく
つかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約1.0%と約2.0%との間(例えば、約1.5%と約2.0%との間)である、モノシアル化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割
合を有する。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約3.0%と約5.0%との間(例えば、約4.0%と約5.0%との間)である、ビシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の
割合を有する。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約0.5%と約8.0%との
間(例えば、約0.5%と約5.0%との間)である、フォーム1のトリシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約4%と約6.9%との間(例えば、約5%と約6.8%との間)である、マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質
は、約15%より大きい(例えば、約16%より大きい)、モノリン酸化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約6%より
大きい、テトラシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。いくつかの実施態様において、rhAGAタンパク質は、約8.5%より大きい(例えば、約9.0%より大きい)、
モノシアル化モノリン酸化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。
【0012】
本明細書において提供されるrhAGAタンパク質は、(i) Fabrazyme(R)と比較して、
マンノース-6-リン酸受容体タンパク質を発現する哺乳動物細胞による増加したエンドサイトーシス;及び(ii) Fabrazyme(R)と比較して、マンノース-6-リン酸受容体タンパク質に対する増加した親和性のうちの1つ又は両方を有し得る。例えば、本明細書において提供されるrhAGAタンパク質は、(i) Fabrazyme(R)と比較して、マンノース
-6-リン酸受容体タンパク質を発現する哺乳動物細胞による増加したエンドサイトーシス;及び(ii) Fabrazyme(R)と比較して、マンノース-6-リン酸受容体タンパク質に対する増加した親和性を有し得る。
【0013】
本明細書において提供されるrhAGAタンパク質はいずれも、動物製剤(例えば、動物血清、動物血漿、又は動物血液製剤)中に存在する、検出可能なレベルのタンパク質、脂質、
炭水化物、核酸及び夾雑物を有していないか、又は全く有していないことが可能である。
【0014】
本明細書において提供されるrhAGAタンパク質はいずれも、無タンパク質、無血清、か
つ化学的に規定された培地の群から選択される培地のみを使用した細胞培養で製造されたrhAGAタンパク質であり得る。本明細書において提供されるrhAGAタンパク質はいずれも、無タンパク質かつ/又は化学的に規定された培地のみを使用した細胞培養において製造さ
れたrhAGAタンパク質であり得る。本明細書において提供されるrhAGAタンパク質はいずれも、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地からなる群より選択された培地のみを使用した細胞培養で製造され、そして統合された連続的な方法を使用して単離されたrhAGAタンパク質であり得る。いくつかの実施態様において、統合された連続的な方法は、以
下の工程:(a) 本明細書において提供されるrhAGAタンパク質を含み、実質的に無細胞である液体培地を供給する工程[ここで液体培地は第一のマルチクロマトグラフィーシステム(MCCS1)中に供給される];(b) MCCS1を使用して液体培地中のrhAGAタンパク質を捕捉す
る工程[ここで組み換え治療的タンパク質を含有するMCCS1の溶出液は第二のマルチカラ
ムクロマトグラフィーシステム(MCCS2)中に連続的に供給される];及び(c) MCCS2を使用して組み換え治療的タンパク質を精製及び仕上げする(polishing)工程[ここで、MCCS2からの溶出液はrhAGA製剤原料である]を含み、そしてここでこの方法は、統合されてお
り、液体培地からrhAGA製剤原料であるMCCS2からの溶出液へと連続的に実行される。いくつかの実施態様において、MCCS1及び/又はMCCS2は、2つの異なる単位操作を行う。いくつかの実施態様において、MCCS1又はMCCS2、又は両方の使用は、カラム切り替えを含む。いくつかの実施態様において、MCCS1は組み換えタンパク質を捕捉してウイルスを不活化
する単位操作を行う。いくつかの実施態様において、MCCS2は、組み換え治療的タンパク
質を精製及び仕上げする単位操作を行う。いくつかの実施態様において、MCCS1及び/又
はMCCS2は、少なくとも2つのクロマトグラフィーカラムを利用する。いくつかの実施態
様において、MCCS1は、第一の周期向流クロマトグラフィーシステム(PCCS1)、例えば、4カラムPCCSを含むPCCS1である。いくつかの実施態様において、4カラムPCCS(PCCS1の一
実施態様において)における4つのカラムのうちの3つは、液体培地から組み換え治療的
タンパク質を捕捉する単位を行う。いくつかの実施態様において、4カラムPCC1(PCCS1の実施態様において)における4つのカラムのうち3つからの本明細書において提供されるrhAGAタンパク質を含有する溶出液は、4カラムPCCSの第四のカラムに供給される。いくつかの実施態様において、4カラムPCCS(PCCS1の実施態様において)の第四のカラムは、組
み換え治療的タンパク質を含有する溶出液をウイルス不活化のために低pHに保持することによりウイルスを不活化する単位操作を行う。いくつかの実施態様において、4カラムPCCSの第四のカラムからの溶出液のpHを、4カラムPCCSの第四のカラムからの溶出液がPCCS2に供給される前にインライン緩衝液調節リザーバーを使用して調節することを含む。いくつかの実施態様において、PCCS2は、3つのクロマトグラフィーカラム及びクロマトグラ
フィー膜を含む。いくつかの実施態様において、PCCS2における3つのクロマトグラフィ
ーカラムは、本明細書において提供されるrhAGAをPCCS1の溶出液からカチオン又はアニオン交換クロマトグラフィーにより精製する単位操作を行う。いくつかの実施態様において、PCCS2における3つのクロマトグラフィーカラムからの溶出液は、PCCS2におけるクロマトグラフィー膜に供給される。いくつかの実施態様において、PCCS2におけるクロマトグ
ラフィー膜は、PCCS2における3つのクロマトグラフィーカラムからの溶出液中の本明細
書において提供されるrhAGAタンパク質を、カチオン又はアニオン交換クロマトグラフィ
ーにより仕上げる単位操作を行う。いくつかの実施態様において、PCCS2におけるクロマ
トグラフィー膜は、カチオン交換による仕上げの単位操作を行う。いくつかの実施態様において、PCCS2におけるクロマトグラフィー膜のフロースルー及び洗浄液はrhAGA製剤原料である。
【0015】
本明細書に記載されるrhAGAタンパク質のいずれか、及び薬学的に許容しうる担体を含
有する医薬組成物も提供される。例えば、医薬組成物は、静脈内、動脈内、筋内、皮内、皮下、又は腹腔内投与用に製剤化され得る。いくつかの実施態様において、医薬組成物は、約4mg/mL~約6mg/mL(例えば、約5mg/mL)の濃度のrhAGAを含有する。いくつかの例にお
いて、医薬組成物は、滅菌凍結乾燥散剤である。いくつかの実施態様において、薬学的に許容しうる担体は、マンニトール、リン酸一ナトリウム一水和物、及びリン酸二ナトリウム七水和物からなる群より選択される1つ又はそれ以上の薬剤であり得る。
【0016】
本明細書において提供される医薬組成物はいずれも、動物製剤(例えば、動物血清、動
物血漿、又は動物血液製剤)中に存在する、検出可能なレベルのタンパク質、脂質、炭水
化物、核酸及び夾雑物(例えば、本明細書中に記載される夾雑物のいずれか)を有していないか、又は全く有していないことが可能である。
【0017】
本明細書において提供される医薬組成物はいずれも、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地の群から選択される培地のみを使用した細胞培養において製造された、本明細書において提供されるrhAGAタンパク質を含み得る。本明細書において提供される医薬
組成物はいずれも、無タンパク質培地及び/又は化学的に規定された培地のみを使用した細胞培養において製造される本明細書において提供されるrhAGAタンパク質を含み得る。
本明細書において提供される医薬組成物はいずれも、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地の群から選択される培地のみを使用した細胞培養により製造され、そして統合された連続的な方法を使用して(例えば、本明細書に記載される例となる統合された連続的な方法のいずれかを使用して)単離される、本明細書において提供されるrhAGAタンパ
ク質を含み得る。
【0018】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列;ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたプロモーター配列;ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたTTG開始コドンを有するヒトCD52タンパク質のペプチドをコードする配列;及びヒト
α-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列の3'末端に作動可能に連結されたポリ(A)認識部位をコードする配列を含有する発現ベクターもまた提供される。いくつかの実施態様において、プロモーター配列は、ハムスターrpS21プロモーター、ハムスターβ-アクチンプロモーター、及びSV40初期プロモーターからなる群より選択され;かつポリ(A)認識部位をコードする配列がSV40初期ポリ(A)認識配列である。いくつかの実施態様において、発現ベクターはさらに、ヒト若しくはイヌグルタミン合成酵素、又はジヒドロ葉酸還元酵素をコードする配列を含有する。いくつかの実施態様において、ヒト又はイヌグルタミン合成酵素をコードする配列の5'末端はSV40初期プロモーターに作動可能に連結されており、そしてヒト若しくはイヌグルタミン合成酵素、又はジヒドロ葉酸還元酵素をコードする配列の3'末端は、SV40初期イントロン及びポリ(A)シグナル配列に作動可能に連結
されている。
【0019】
糖タンパク質の組み換え発現に有用な哺乳動物細胞株を生成する方法もまた提供され、該方法は:(a) 血清依存性不死化哺乳動物細胞株を供給すること;(b) (1)第
一の濃度(1倍)の動物血清を含む細胞培養液中で約5日~約10日間;(2)約0.2倍~約0.3倍濃度の動物血清を含む細胞培養液中で約5日~約10日間;そして(3)約0.01倍~約.08倍の動物血清を含む細胞培養液中で約5日~約10日間、哺乳動物細胞を連続的に培養すること;(c) (b)の後に培養物から単細胞サブクローン培養物を生成すること;(d) 許容しうるトランスフェクション効率、無血清培地での細胞増殖、及び組み換えタンパク質発現を有する(c)のサブクローンを選択すること;(d) 無タンパク質無血清で化学的に規定された培地中で約5日~約30日間(例えば、約5
日~約25日間、約5日~約20日間、約5日~約15日間、又は約5日~約10日間)(d)の選択
されたサブクローンを培養すること;(e) (d)の後に培養物から単細胞サブクローン培養物を生成すること;並びに(f) 糖タンパク質についての許容しうるトランスフェクション効率、ピーク細胞密度、成長特性、体積生産性速度(VPR)、及びグリコシル化プロフィールを有する(e)のサブクローンを選択することを含み、ここで(f)の選択されたサブクローンは、糖タンパク質の組み換え発現に有用である。糖タンパク質の組み換え発現に有用な哺乳動物細胞を生成する方法もまた提供され、該方法は:(a)
血清依存性不死化哺乳動物細胞株を供給すること;(b) (1)第一の濃度(1倍)の動物血清を含む細胞培地中で約1日~約10日間(例えば、約3日間);(2)約0.2倍
~約0.6倍(例えば、0.5倍)濃度の動物血清を含む細胞培地中で約1日~約10日間(例えば、約3日間);そして(3)0倍~約0.10倍の動物血清を含む細胞培地中で約5日~約10日間(例えば、約8日間)、哺乳動物細胞株を連続的に培養すること;(c) (
b)の後に培養物から単細胞サブクローン培養物を生成すること;(d) 許容しうるトランスフェクション効率、無血清培地での細胞増殖、及び組み換えタンパク質発現を有する、(c)のサブクローンを選択すること;(e) (d)の選択されたサブクローンから単細胞サブクローン培養物を生成すること;そして(f) 許容しうるトランスフェクション効率、ピーク細胞密度、成長特性、体積生産性速度(VPR)、及び組み換えタンパク質発現を有する(e)のサブクローンを選択することを含み、ここで(f)の選択されたサブクローンは、糖タンパク質の組み換え発現に有用である。
【0020】
いくつかの例において、血清依存性不死化哺乳動物細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣細胞株である。いくつかの実施態様において、血清依存性不死化哺乳動物細胞株は、ジヒドロ葉酸還元酵素を内因的に発現しない。いくつかの実施態様において、(f)の選択
されたサブクローンは懸濁液で増殖する。いくつかの実施態様において、組み換えタンパク質発現は、抗体及び酵素(例えば、ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質)の両方のう
ち1つの発現である。本明細書において提供される方法のいずれかにより製造さた糖タンパク質の組み換え発現に有用な哺乳動物細胞もまた提供される。
【0021】
本明細書において提供される方法のいずれかにより製造された糖タンパク質の組み換え発現に有用な哺乳動物細胞を供給すること;糖タンパク質をコードする配列を含有する発現ベクターを細胞に導入すること;無血清増殖培地中で、糖タンパク質を産生するために十分な条件下で細胞を培養すること;及び細胞又は増殖培地から糖タンパク質を採取することを含む、組み換え糖タンパク質を製造する方法もまた提供される。いくつかの例において、培養は懸濁細胞培養を使用して行われる。いくつかの実施態様において、培養はバイオリアクターを使用して行われる。いくつかの実施態様において、培養は無タンパク質無血清で化学的に規定された培地を使用して行われる(例えば、チャイニーズハムスター
卵巣(CHO)細胞を、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地を使用して培養する)。いくつかの実施態様において、CHO細胞はジヒドロ葉酸還元酵素を内因的に発現しない。
いくつかの実施態様において、組み換え糖タンパク質は酵素(例えば、ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質)である。いくつかの実施態様において、糖タンパク質をコードする
配列は、配列番号1と少なくとも90%同一である。いくつかの実施態様において、発現
ベクターは:糖タンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されているプロモーター配列;糖タンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたTTG開始コドンを有するヒトCD52タンパク質のペプチドをコードする配列;及び糖タンパク質をコードする配列の3'末端に作動可能に連結されたポリ(A)認識部位をコードする配列をさら
に含有する。いくつかの実施態様において、プロモーター配列は:ハムスターrpS21プロモーター、ハムスターβ-アクチンプロモーター、及びSV40初期プロモーターからなる群よ
り選択され;そしてポリ(A)認識部位をコードする配列は、SV40初期ポリ(A)認識配列で
ある。いくつかの実施態様において、発現ベクターは、ヒト若しくはイヌグルタミン合成酵素、又はジヒドロ葉酸還元酵素をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施態様において、ヒト若しくはイヌグルタミン合成酵素、又はジヒドロ葉酸還元酵素をコードする
配列の5'末端は、SV40初期プロモーターに作動可能に連結されており、かつヒト若しくはイヌグルタミン合成酵素、又はジヒドロ葉酸還元酵素をコードする配列の3’末端は、SV40初期イントロン及びポリ(A)シグナル配列に作動可能に連結さている。いくつかの例において、糖タンパク質は細胞から採取される。いくつかの例において、糖タンパク質は細胞培養液から採取される。本明細書において提供される方法のいずれかにより製造された組み換え糖タンパク質(例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質)もまた
提供される。本明細書において提供される方法のいずれかにより製造された組み換え糖タンパク質、及び薬学的に許容しうる担体を含有する医薬組成物もまた提供される。例えば、医薬組成物は、静脈内、動脈内、筋内、皮内、皮下、又は腹腔内の投与用に製剤化され得る。いくつかの実施態様において、糖タンパク質は組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質であり、そして医薬組成物は、約4mg/mL~約6mg/mL(例えば、約5mg/mL)の濃
度の組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含有する。いくつかの実施態様に
おいて、医薬組成物は、滅菌凍結乾燥散剤である。
【0022】
被験体においてファブリー病を処置する方法もまた提供され、該方法は、ファブリー病を有する被験体に、治療有効量の本明細書に提供される組み換えヒトα-ガラクトシダー
ゼ-A (rhAGA)タンパク質のいずれかを投与することを含む。いくつかの実施態様において、投与は全身投与(例えば、静脈内投与)である。いくつかの実施態様において、被験体
は、約0.5mg/体重kg~約2.0mg/体重kg(例えば、約1.0mg/体重kg)の用量でrhAGAを投与さ
れる。いくつかの実施態様において、被験体は、2又はそれ以上の用量のrhAGAタンパク
質を投与される。例えば、rhAGAタンパク質の2又はそれ以上の用量のうち少なくとも、
約2週離れて投与され得る。いくつかの実施態様は、鎮痛薬、抗凝固薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、β-遮断薬、及びグルコシルセラミド合成酵素阻害剤の群より選択される1つ又はそれ以上のさらなる治療剤を被験体に投与することをさらに含む。いくつかの実施態様において、被験体はヒト被験体である。いくつかの実施態様において、被験体はファブリー病を有すると診断されている。
【0023】
哺乳動物細胞におけるリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のレベルを増
加させる方法もまた提供され、該方法は、有効量の本明細書に提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-A (rhAGA)タンパク質と哺乳動物細胞を接触させることを含む。いく
つかの実施態様において、細胞はインビトロ(例えば、インビトロでのヒト細胞)である。いくつかの実施態様において、細胞は被験体(例えば、ヒト)中にある。いくつかの実施態様において、被験体はファブリー病を有すると診断されている。いくつかの例において、接触はrhAGAを被験体に全身投与することにより行われる。例えば、全身投与は静脈内投
与であり得る。いくつかの実施態様において、被験体は、約0.5mg/体重kg~約2.0mg/体重kg(例えば、約1.0mg/体重kg)の用量でrhAGAを投与される。いくつかの実施態様において
、被験体は2又はそれ以上の用量のrhAGAタンパク質を投与される。例えば、rhAGAタンパ
ク質の2又はそれ以上の用量のうち少なくとも2回は約2週離れて投与され得る。
【0024】
被験体の血清中のグロボトリアオシルセラミドのレベルを減少させる方法もまた提供され、該方法は、それを必要とする被験体に、治療有効量の本明細書に提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-A(rhAGA)タンパク質のいずれかを投与することを含む。いくつかの実施態様において、被験体は、8μg/mLより大きい、グロボトリアオシルセラミドの
血清レベルを有する。いくつかの例において、被験体は、ファブリー病を有すると診断されている。いくつかの実施態様において、投与は全身投与(例えば、静脈内投与)である。いくつかの実施態様において、被験体は、約0.5mg/体重kg~約2.0mg/体重kg(例えば、
約1.0mg/体重kg)の用量でrhAGAを投与される。いくつかの実施態様において、被験体は2
又はそれ以上の用量のrhAGAタンパク質を投与され得る。例えば、rhAGAタンパク質の2又
はそれ以上の用量のうち少なくとも2回は約2週離れて投与され得る。いくつかの実施態様は、鎮痛薬、抗凝固薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、β-遮断薬、及びグルコシ
ルセラミド合成酵素阻害剤の群より選択される1つ又はそれ以上のさらなる治療剤を被験体に投与することをさらに含む。いくつかの実施態様において、被験体はヒトである。
【0025】
用語「単離された」は、少なくとも1つの夾雑物(例えば、タンパク質、核酸、脂質、
又は炭水化物、又はそれらの組み合わせ)から分離された分子を意味する。非限定的な例
において、単離されたα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は他の糖タンパク質は、少な
くとも80質量%、85質量%、90質量%、91質量%、92質量%、93質量%、94質量%、95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、又は99質量%純粋である。
【0026】
用語「液体培地」は、哺乳動物細胞をインビトロで成長又は増殖させるために十分な栄養分を含む流体を意味する。例えば、液体培地は、アミノ酸(例えば、20アミノ酸)、プリン(例えば、ヒポキサンチン)、ピリミジン(例えば、チミジン)、コリン、イノシトール、チアミン、葉酸、ビオチン、カルシウム、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チミジン、シアノコバラミン、ピルビン酸、リポ酸、マグネシウム、グルコース、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛、及び炭酸水素ナトリウムの1つ又はそれ以上を含み
得る。いくつかの実施態様において、液体培地は、哺乳動物由来の血清を含み得る。いくつかの実施態様において、液体培地は、哺乳動物からの血清も別の抽出物も含まない(規
定された液体培地)。いくつかの実施態様において、液体培地は、微量金属、哺乳動物成長ホルモン、及び/又は哺乳動物成長因子を含み得る。液体培地の別の例は、最少培地(
例えば、無機塩、炭素源、及び水のみを含む培地)である。液体培地の非限定的な例は、
本明細書に記載される。液体培地のさらなる例は、当該分野で公知であり、そして市販されている。液体培地は、任意の密度の哺乳動物細胞を含み得る。例えば、本明細書において使用される、バイオリアクターから取り出される量の液体培地は、実質的には哺乳動物を含まないことが可能である。
【0027】
用語「無血清液体培地」は、哺乳動物血清を含まない液体培地を意味する。
【0028】
用語「血清含有液体培地」は、哺乳動物血清を含む液体培地を意味する。
【0029】
用語「化学的に規定された液体培地」は、専門用語であり、全ての化学的成分が分かっている液体培地を意味する。例えば、化学的に規定された液体培地は、これらの調製物が典型的にアルブミン及び脂質の複雑な混合物を含むような、ウシ胎仔血清も、ウシ血清アルブミンも、ヒト血清アルブミンも含まない。
【0030】
用語「無タンパク質液体培地」は、いずれのタンパク質も(例えば、いずれの検出可能
なタンパク質も)含まない液体培地を意味する。
【0031】
用語「統合された方法」は、特定の結果(例えば、液体培地からの治療的タンパク質製
剤原料(例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含む)の生成)を達成するために共同して機能する構造要素を使用して行われる方法を意味する。
【0032】
用語「連続的な方法」は、組み換えタンパク質(例えば、本明細書中に記載される組み
換えタンパク質のいずれか)を含有する培地から製剤原料(例えば、組み換えタンパク質
を含有する製剤原料)を製造するためのシステムの少なくとも一部を通して連続的に流体を供給する方法を意味する。例えば、組み換え治療的タンパク質(例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質)を含む液体培地)は、システムが作動中の間、連続的にそのシステムに供給され、そして治療的タンパク質製剤原料は、システムから送出される。連続的な方法を行うために使用され得るこのようなシステムの非限定的な例は、米国仮特許出願第61/856,930号及び同第61/775,060号に記載される。
【0033】
用語「マルチカラムクロマトグラフィーシステム」又は「MCCS」は、2つ又はそれ以上の相互接続されているか又は切り替えのクロマトグラフィーカラム及び/又はクロマトグラフィー膜のシステムを意味する。1つの例となるマルチカラムクロマトグラフィーシステムは、2つ又はそれ以上の相互接続されているか又は切り替えのクロマトグラフィーカラム及び/又はクロマトグラフィー膜を含む周期向流クロマトグラフィーシステム(PCC)
である。マルチカラムクロマトグラフィーシステムのさらなる例は、当該分野で公知である。
【0034】
用語「分泌されたタンパク質」又は「分泌された組み換えタンパク質」は、当該分野で周知であり、そして少なくとも部分的に哺乳動物細胞から少なくとも細胞外空間へ(例え
ば、液体培地中へ)分泌されたタンパク質(例えば、組み換えタンパク質)を意味する。
当業者には当然のことながら、「分泌された」タンパク質は、分泌されたタンパク質とみなされるために細胞から完全に解離する必要はない。
【0035】
用語「灌流培養」は、第一の液体培地中で複数の細胞(例えば哺乳動物細胞)を培養することを意味し、ここで培養は、第一の液体培地を周期的又は連続的に除去し、そして同時又は直後に実質的に同じ体積の第二の液体培地を容器(例えばバイオリアクター)に加えることを含む。いくつかの例において、培養期間の間に(例えば、毎日の培地再供給速
度)漸進的期間(例えば、約24時間の期間、約1分と約24時間との間の期間、又は24時間よ
り長い期間)にわたって除去されそして加えられる第一の液体培地の体積の漸進的変化(
例えば、増加又は減少)がある。毎日除去され置き換えられる培地の割合は、培養される特定の細胞、初期播種密度、及び特定の時点の細胞密度によって変わり得る。「RV」又は「リアクター体積」は、培養プロセスの開始時に存在する培地の体積を意味する(例えば
、播種後に存在する培地の総体積)。灌流培養を行うために使用され得るバイオリアクタ
ーは当該分野で公知である。当業者には当然のことながら、バイオリアクターは、灌流培養において使用されるために適合され得る(例えば、灌流バイオリアクターであるように
適合される)。
【0036】
用語「流加(fed-batch)培養」は専門用語であり、第一の液体培地中で複数の細胞(
例えば、哺乳動物細胞)を培養することを意味し、ここで容器(例えば、バイオリアクター)中に存在する細胞の培養は、細胞培養からの第一の液体培地又は第二の液体培地の実質的な又は相当量の除去なく、第二の液体培地を第一の液体培地へ周期的又は連続的に加えることを含む。第二の液体培地は、第一の液体培地と同じでもよい。流加培養のいくつかの例において、第二の液体培地は、第一の液体培地の濃縮形態である。流加培養のいくつかの例において、第二の液体培地は乾燥粉末として加えられる。当業者には当然のことながら、バイオリアクターは、流加培養において使用されるように適合され得る(例えば
、流加バイオリアクターであるように適合される)。
【0037】
「比生産性速度(Specific productivity rate)」又は「SPR」は専門用語であり、本
明細書で使用されるように、1日あたり哺乳動物細胞あたり産生される組み換え治療的タンパク質の質量又は酵素活性を指す。組み換え治療抗体についてのSPRは、通常は質量/細胞/日として測定される。組み換え治療的酵素についてのSPRは、通常は単位/細胞/日又は(単位/質量)/細胞/日として測定される。
【0038】
「体積生産性速度(Volume productivity rate)」又は「VPR」は専門用語であり、そ
して本明細書で使用されるように、1日あたり培養の体積あたり(例えば、バイオリアクター、容器、又はチューブの体積1Lあたり)産生される組み換え治療的タンパク質の質
量又は酵素活性を指す。組み換え治療的抗体についてのVPRは、通常は質量/L/日として測定される。組み換え治療的酵素についてのVPRは、通常は単位/L/日又は質量/L/日として
測定される。
【0039】
別の定義がなければ、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。方法及び材料が本発明における使用について本明細書に記載されるが;当該分野で公知の他の適切な方法及び材料も使用され得る。材料、方法、及び実施例は実例のためのみのものであり、限定することを意図されない。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、及び他の参考文献は、それら全体として参照により加入される。対立する場合には、定義を含めて本明細書が支配する。
【0040】
本発明の1つ又はそれ以上の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明において示される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、明細書及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、リソソーム蓄積症及び各疾患についての対応する酵素欠損のリストである。
【
図2-1】
図2は、前駆体ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードするcDNA配列、及び前駆体ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のアミノ酸配列(それぞれ配列番号1及び2)、並びに成熟ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のアミノ酸配列(配列番号3)である。
【
図3】
図3は、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(2GFZ)をコードするcDNA配列を含むpGZ629-2GFZベクターのマップである。
【
図4】
図4は、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を発現させるために使用され得るベクターのマップである。
【
図5】
図5は、組み換え糖タンパク質の発現について最適化された親細胞株を生成するために使用される工程を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)のサイズ排除カラムからの溶出を示すクロマトグラムである。
【
図7】
図7Aは、Fabrazyme
(R)の質量対電荷マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析(MALDI-TOF MS)プロフィールである。
図7Bは、Replagal
(R)のMALTI-TOF MS質量分析プロフィールである。
【
図8】
図8は、Fabrazyme
(R)(上)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)(中央及び下)の3つの質量対電荷MALDI-TOF質量分析プロフィールのセットである。
【
図9】
図9は、Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲルの画像である。
【
図10】
図10は、各ピークに対応するN-連結オリゴ糖構造を示す、2-アントラニル酸(AA-標識)で誘導体化されたN-連結オリゴ糖の例となるクロマトグラフィー溶出プロフィールである。差し込み図は、2つの三本触角性(triantennary)トリシアル化オリゴ糖構造を示し、ここでは2つの構造のうちの1つが、2-AAで誘導体化されたN-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー溶出プロフィールにおけるピーク6(フォーム1)に対応し、そして2つの構造のうち他方はピーク6'(フォーム2)に対応する。
【
図11】
図11は、Fabrazyme
(R)(青)及びReplagal
(R)(赤)からのAA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー溶出プロフィールである。
【
図12】
図12は、Fabrazyme
(R)(2本のバーの各組における左のバー)及びReplagal
(R) (2本のバーの各組における右のバー)における、中性荷電オリゴ糖(ピーク1)、モノシアル化フコース含有オリゴ糖(ピーク2)、モノシアル化オリゴ糖(ピーク3)、ビシアル化フコース含有オリゴ糖(ピーク4)、ビシアル化オリゴ糖(ピーク5)、三本触覚性、トリシアル化オリゴ糖(フォーム1;ピーク6)、三本触覚性、トリシアル化オリゴ糖(フォーム2;ピーク6’)、マンノース-6-リン酸オリゴ糖(ピーク7)、モノリン酸化オリゴ糖(ピーク8)、テトラシアル化オリゴ糖(ピーク9)、モノシアル化モノリン酸化オリゴ糖(ピーク10)、及びビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(ピーク11)(左から右へ)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
【
図13】
図13は、それぞれ酵素消化されたタンパク質のLCMS分析により決定された、Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)中のAsn108のアミノ酸残基に存在するN-連結オリゴ糖の分布を示すグラフである。
【
図14】
図14は、それぞれ酵素消化されたタンパク質のLCMS分析により決定された、Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)中のAsn161のアミノ酸残基に存在するN-連結オリゴ糖の分布を示すグラフである。
【
図15】
図15は、それぞれ酵素消化されたタンパク質のLCMS分析により決定された、Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)中のAsn184のアミノ酸残基に存在するN-連結オリゴ糖の分布を示すグラフである。
【
図16】
図16は、それぞれ酵素消化されたタンパク質のLCMS分析により決定された、Fabrazyme
(R)及びFZ2G中のAsn108のアミノ酸残基に存在するN-連結オリゴ糖の分布を示すグラフである。
【
図17】
図17は、Fabrazyme
(R)及びFZ2G中のAsn108のアミノ酸残基に存在するN-連結オリゴ糖のLCMS分析後の各ピークに存在するN-連結オリゴ糖の構造を示す例となるグラフである。
【
図18】
図18は、それぞれ酵素消化されたタンパク質のLCMS分析により決定された、Fabrazyme
(R)及びFZ2G中のAsn161のアミノ酸残基に存在するN-連結オリゴ糖の分布を示すグラフである。
【
図19】
図19は、それぞれ酵素消化されたタンパク質のLCMS分析により決定された、Fabrazyme
(R)及びFZ2G中のAsn184のアミノ酸残基に存在するN-連結オリゴ糖の分布を示すグラフである。
【
図20】
図20は、Fabrazyme
(R)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)からのAA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー溶出プロフィールである。
【
図21】
図21Aは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の中性荷電オリゴ糖(ピーク1)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
図21Bは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、モノシアル化、マイナスフコースオリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
図21Cは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、モノシアル化フコース含有オリゴ糖(ピーク2)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
【
図22】
図22Aは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、ビシアル化フコース含有オリゴ糖(ピーク4)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
図22Bは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、ビシアル化オリゴ糖(ピーク5)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
図22Cは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、三本触角性トリシアル化オリゴ糖(フォーム1;ピーク6)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
【
図23】
図23Aは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、三本触角性トリシアル化オリゴ糖(フォーム2;ピーク6')である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
図23Bは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、マンノース-6-リン酸オリゴ糖(ピーク7)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
図23Cは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、モノリン酸化オリゴ糖(ピーク8)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
【
図24】
図24Aは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、テトラシアル化オリゴ糖(ピーク9)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
図24Bは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、モノシアル化モノリン酸化オリゴ糖(ピーク10)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
図24Cは、AA-標識N-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー分析により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)中及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)中の、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(ピーク11)である総N-連結オリゴ糖の割合を示すグラフである。
【
図25】
図25Aは、Fabrazyme
(R)(FZ)のタンパク質(上)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)に対するマンノース-6-リン酸のモル対モル比を示すグラフである。
図25Bは、Fabrazyme
(R)(FZ)のタンパク質及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)に対するN-アセチルノイラミン酸(NANA)のモル対モル比を示すグラフである。
【
図26】
図26は、Fabrazyme
(R)(FZ)(赤)及びReplagal
(R)(緑)の表面プラズモン共鳴(Biacore)可溶性カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体結合データを示すグラフである。
【
図27】
図27は、Fabrazyme
(R)(FZ)(赤)及びReplagal
(R)(緑)の表面プラズモン共鳴(Biacore)可溶性カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体結合データを示すグラフである。
【
図28】
図28は、表面プラズモン共鳴(Biacore)により決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の相対的可溶性カチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体結合を示すグラフである。
【
図29】
図29は、増加する濃度のマンノース-6-リン酸を用いてマンノース-6-リン酸受容体アフィニティカラムから溶出されたFabrazyme
(R)(FZ)及びReplagal
(R)の相対的割合を示すグラフである。
【
図30】
図30は、増加する濃度のマンノース-6-リン酸を用いてマンノース-6-リン酸受容体アフィニティカラムから溶出されたFabrazyme
(R)(FZ)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の相対的割合を示すグラフである。
【
図31】
図31は、Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)の画像化キャピラリー等電点電気泳動(imaged capillary isoelectric focusing)(icIEF)ピークプロフィールである。
【
図32】
図32Aは、ciIEFのピーク1~5に存在するFabrazyme
(R) (FZ)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)のパーセントを示すグラフである。
図32Bは、ciIEFのピーク6~11に存在するFabrazyme
(R) (FZ)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)のパーセントを示すグラフである。
図32Cは、ciIEFのピーク12~14に存在するFabrazyme
(R) (FZ)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)のパーセントを示すグラフである。
【
図33】
図33は、合成pNP基質を使用して決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)のK
mのグラフである。
【
図34】
図34は、合成pNP基質を使用して決定された、Fabrazyme
(R)(FZ)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)のV
maxのグラフである。
【
図35】
図35は、逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)カラムからのFabrazyme
(R)(青)及びReplagal
(R)(緑)の溶出プロフィールである。
【
図36】
図36は、ファブリーマウスモデルにおいて0.1mg/kg Fabrazyme
(R)の単回静脈内投与の3日後若しくは14日後、又は0.1mg/kgの本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼAタンパク質(FZ2G)の単回静脈内投与、又はファブリーマウスモデルにおいてビヒクルの単回用量を静脈内投与した3日後若しくは14日後の、肝臓組織におけるGL3の量(ng GL3/肝臓組織のmg)を示すグラフである。グラブス検定に従って外れ値であると計算されたので(p<0.01)、1つのサンプルを分析から除外した(グラフにおいて「a」とともに示される)。
【
図37】
図37は、ファブリーマウスモデルにおいて0.1mg/kg Fabrazyme
(R)の単回静脈内投与の3日後若しくは14日後、又は0.1mg/kgの本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼAタンパク質(FZ2G)の単回静脈内投与、又はファブリーマウスモデルにおいてビヒクルの単回用量を静脈内投与した3日後若しくは14日後の、脾臓組織におけるGL3の量(ng GL3/脾臓組織のmg)を示すグラフである。
【
図38】
図38は、ファブリーマウスモデルにおいて1.0mg/kg Fabrazyme
(R)の単回静脈内投与の3日後若しくは14日後、又は1.0mg/kgの本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼAタンパク質(FZ2G)の単回静脈内投与、又はファブリーマウスモデルにおいてビヒクルの単回用量を静脈内投与した3日後若しくは14日後の、心臓組織におけるGL3の量(ng GL3/心臓組織mg)を示すグラフである。
【
図39】
図39は、ファブリーマウスモデルにおいて1.0mg/kg Fabrazyme
(R)の単回静脈内投与の3日後若しくは14日後、又は1.0mg/kgの本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼAタンパク質(FZ2G)の単回静脈内投与、又はファブリーマウスモデルにおいてビヒクルの単回用量を静脈内投与した3日後若しくは14日後の、腎臓組織におけるGL3の量(ng GL3/腎臓組織のmg)を示すグラフである。
【
図40】
図40は、1mg/kg Fabrazyme
(R)の単回静脈内投与(円;各時点で5匹のマウス)後、又は1mg/kg本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(四角;各時点での8匹のマウス)後のファブリーマウスモデルにおける経時的な酵素活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
詳細な説明
Fabrazyme(R)と比較して変更されたグリコシル化プロフィールを有する組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質、並びに組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aの少なくとも1つを含有する組成物、医薬組成物、及びキットが本明細書において提供される。現在提供される組み換え糖タンパク質及び現在提供される組み換え糖タンパク質を含有する組成物は、例えば、以下の利益を有する:グリコフォームにおけるより少ない可変性及び/
又は混入のより低い危険性若しくはレベル(例えば、ウイルス混入のより低い危険性又は
レベル)。現在提供される組み換え糖タンパク質はまた、以下の非限定的利点の1つ又は
それ以上を有し得る:Fabrazyme(R)と比較して、任意の組み合わせで、肝臓への減少した
非特異的標的化(被験体、例えば、ヒト被験体への組み換え糖タンパク質の投与後の肝細
胞の表面上に発現されるアシアロ糖タンパク質受容体への結合により)、その表面上にマ
ンノース-6-リン酸受容体タンパク質を発現している哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)
による組み換え糖タンパク質のエンドサイトーシスの増加した速度、マンノース-6-リン
酸受容体タンパク質への増加した親和性、増加した血清半減期、及び減少した有効用量。組み換え糖タンパク質(例えば、ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質)の組み換え発現
に有用な哺乳動物細胞を生成する方法、及び組み換え糖タンパク質(例えば、ヒトα-ガ
ラクトシダーゼ-Aタンパク質)の製造方法もまた提供される。ファブリー病を処置する方
法、被験体の血清中のグロボトリアオシルセラミドのレベルを減少させる方法、及び哺乳動物細胞(例えば、インビトロでの細胞又は被験体中の細胞)中のリソソームにおけるα-ガラクトシダーゼ-Aのレベルを増加させる方法もまた提供される。ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列を含む発現ベクターもまた提供される。
【0043】
アルファ-ガラクトシダーゼ-A
ヒトα-ガラクトシダーゼ-A (α-D-ガラクトシド ガラクトヒドロラーゼ;α-gal A;EC 3.2.1.22)は、Xq22上の遺伝子によりコードされるリソソームエキソグリコシダーゼである。成熟ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aは、2つの非共有結合で連結された398アミノ
酸(約51kD)サブユニットから構成されるホモ二量体であり、これらのそれぞれが活性部位及び潜在的な3つのN-連結グリコシル化部位(N139、N192、及びN215)を含む。α-ガラク
トシダーゼ-Aタンパク質の活性部位は、触媒活性に重要な2つのアスパラギン酸残基(D170及びD231)を有する。α-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の3次元結晶構造は、1996年に
公開された(Munier-Lehmann et al., J. Biol. Chem. 271:15166-15174, 1996)。アルフ
ァ-ガラクトシダーゼ-Aは、グロボトリアオシルセラミド(GL-3)及び他のα-ガラクチル(galactyl)-終端中性スフィンゴ糖脂質、例えばガラビオシルセラミド及び血液型B物質のセラミドジヘキソシド及びガラクトースへの加水分解を触媒する。α-ガラクトシダーゼ-Aの組み換え形態の特異的活性を、合成基質、例えば、p-ニトロフェニル-α-D-ガラクト
ピラノシド(pNP)を使用して試験することができる。
【0044】
ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のグリコシル化は、ヒト細胞中のリソそむへの
その標的化を可能にする。ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質及び他のヒト糖タンパ
ク質をグリコシル化するために使用される細胞経路の概要が以下に示される。
【0045】
ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、小胞体において合成される。合成後に、ヒ
トα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の各単量体は、ゴルジ体において翻訳後修飾を受け
る。上記のように、ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の各単量体は、3つの可能なN-グリコシル化部位(N139、N192、及びN215)を有する。ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のいくつかの生理学的グリコフォームがある。N139残基は複雑な炭水化物を連結するが、N192及びN215残基はマンノースが豊富なオリゴ糖を連結し、従ってリソソームによる取り込みに関して酵素の標的化に関与する。小胞体における合成後に、リソソーム酵素の前駆体はゴルジ体に移送される。翻訳後修飾、及び特にマンノース-6-リン酸(M6P)残基の付加がシス-ゴルジにおいて起こる。M6P-酵素複合体はM6P受容体に結合し、そしてトランス-ゴルジネットワークから放出され、ここからプレリソソーム(prelysosomal)/エンドソーム区画に輸送される。エンドソーム区画内に入ると、酸性pHが酵素をその受容体から解離させる。次いで脱リン酸を受けて成熟及び機能性酵素を生じる。次いで受容体はトランス-ゴルジに再循環されて他の酵素を補充するか、又は細胞膜に移動し、ここで内因性
酵素を集めることができる(Sly et al., J. Cell Biochem. 18:67-85, 1982;Helenius et al., Ann. Rev. Biochem. 32:1-100, 1997)。
【0046】
全ての真核生物N-グリカンの生合成は、小胞体(ER)膜の細胞質面上でGlcNAc-PのUDP-GlcNAcから脂質様前駆体ドリコールリン酸(Dol-P)への移行を伴って開始して、ドリコール
ピロリン酸 N-アセチルグルコサミン(Dol-P-P-GlcNAc)を生成する。14の糖が連続してDol-Pに付加されて、タンパク質オリゴサッカリルトランスフェラーゼによるERにおけるタンパク質中のAsn-X-Ser/Thrの配列中のアスパラギンへのグリカン全体の移行前に、Glc3Man9GlcNAc2のグリカンを得る。その後タンパク質結合N-グリカンは、膜結合グリコシダーゼ及びグリコシルトランスフェラーゼにより触媒される複雑な一連の反応によりER及びゴルジ体において再構築される。14糖オリゴマンノースグリカンのAsn-X-Ser/Thrへの共有
結合による結合後に、一連の反応を使用して3つの糖をGlc3Man9GlcNAc2からERにおいて
除去する。これらのトリミング段階は、全ての真核生物の間で保存される。Glc3Man9GlcNAc2のトリミングは、α-グリコシダーゼI及びIIによるグルコース残基の連続的除去で始
まる。両方のグルコシダーゼがERの管腔において機能し、α-グリコシダーゼIは末端α1-2Glcに作用し、そしてα-グルコシダーゼIIは2つの内部α1-3Glc残基を連続的に除去す
る。ERを出る前に、多くの糖タンパク質はER α-マンノシダーゼIにより作用され、これ
は末端α1-2ManをMan9GlcNAc2の中央アームから特異的に除去してMan8GlcNAc2異性体を生じる。ERを出る糖タンパク質の大部分はゴルジ体への途中で8又は9のマンノース残基を
含むN-グリカンを有する(それらがER α-マンノシダーゼIにより作用されたか否かによる)。大部分の糖タンパク質については、さらなるマンノース残基が、Man5GlcNAc2が生成されるまでゴルジ体のシス区画において除去される。
【0047】
ハイブリッド及び複合N-グリカンの生合成は、GlcNAcT-1と呼ばれるN-アセチルグルコ
サミニルトランスフェラーゼの作用によりメディアル(medial)ゴルジ体において開始される。GlcNAcT-1は、N-アセチル-グルコサミン残基をMan5GlcNAc2のコアにおいてマンノ
ースα1-3のC-2に付加し、これはN-グリカンの第一の枝を開始する。この段階が発生すると、N-グリカンの大部分はα-マンノシダーゼIIによりトリミングされ、これは末端α1-3Man及びα1-6Man残基をGlcNAcMan5GlcNAc2から除去してGlcNAcMan3GlcNAc2を形成する。
2つのマンノース残基が除去されると、第二のN-アセチルグルコサミンがGlcNAcT-IIによりマンノースα1-6のC-2に付加されて、全ての二分岐複合N-グリカンの前駆体を生じる。得られたグリカンは、2つの末端N-アセチルグルコサミン残基の付加により開始された2
本の触角又は枝を有する。さらなる枝は、コアマンノースα1-3(GlcNAcT-IVにより)のC-4及びコアマンノースα1-6のC-6(GlcNAcT-Vにより)で開始されて、三本触角性及び四本触
角性(tetra-antennary)のN-グリカンを生じ得る。GlyNAcT-IX又はGlcNAcT-Vbと呼ばれ
る別の酵素は、C-6コアマンノースα1-6上でGlcNAcT-Vと同じ反応を触媒するが、GlcNAcT-Vと対照的に、GlnNAcT-IX/VbはN-アセチルグルコサミンをコアマンノースα1-3のC-6に
も移動させ得る。別の枝は、コアマンノースα1-3のC-4においてGlcNAcT-VIにより開始され得る。
【0048】
複合及びハイブリッドN-グリカンは、by GlcNAcT-IIIによりコアのβ-マンノースに結
合された分岐したN-アセチルグルコサミン残基を有し得る。分岐したN-アセチルグルコサミンを有する二分岐、三本触角性、及び四本触角性の複合N-グリカンは、GlcNAcT-IIIが
、α-マンノシドII並びにGlcNAcT-II、GlcNAcT-IV、及びGlcNAcT-Vによる枝の開始後に作用する場合に合成される。
【0049】
大部分はトランスゴルジ体において生じるさらなる糖付加は、ハイブリッド分枝N-グリカンを成熟、複合N-グリカンの広範囲の配列へと変換する。糖はコアへと付加され得、分枝N-アセチルグルコサミン残基は、糖付加により延長され得、そして延長された枝はキャップされても装飾されてもよい。例えば、GlcNAcT-IIの生成物は、フコース、ガラクトース、及びシアル酸の付加により延長されて、2つの枝を有する複合N-グリカンを生じ得る二分岐N-グリカンである。複合N-グリカンは、例えば、N-グリカンのコア、さらなる枝、ポリ-N-アセチルラクトサミン単位、及び異なるキャッピング構造に結合されたものを含
めて多くのさらなる糖を有し得る。複合型オリゴ糖は、マンノース-3含有オリゴ糖から、例えばN-アセチルグリコサミン、ガラクトース、及びシアル酸残基の付加により、ゴルジ体において合成される。
【0050】
コア修飾は、しばしばグリカンのコアにおけるアスパラギンに隣接するN-アセチルグルコサミンへのα1-6連結でのフコースの付加である。フコースのこのコアN-アセチルグル
コサミンへの移動に関与するフコシルトランスフェラーゼは、GlcNAcT-1の事前作用を必
要とする。複合ハイブリッドN-グリカンの大部分は、β-連結ガラクトース残基を開始N-
アセチルグルコサミンに付加して、2型N-アセチルラクトサミンと呼ばれる偏在するビル
ディングブロックGalβ1-4GlcNAcを生じることにより作製される延長された枝を有する。触角は、N-アセチルグルコサミン及びガラクトース残基の連続的付加によりさらに延長されて、ポリ-N-アセチルラクトサミンと呼ばれるLacNAcの縦列反復(-3Galβ1-4GlcNAcβ1-)nを生じ得る。別の例において、β-連結ガラクトースは、N-アセチルグルコサミンのC-3に付加されて、1型N-アセチルラクトサミン配列と呼ばれるGalβ1-3GlcNAcを生じる。い
くつかのタンパク質において、β-連結N-アセチルガラクトサミンは、β-連結ガラクトースの代わりにN-アセチルグルコサミンに付加されて、GalNAcβ1-4GlcNAc延長を有する触
角を生じる。
【0051】
キャッピング又は装飾反応は、シアル酸、フコース、ガラクトース、N-アセチルガラクトサミン、及びサルフェートの枝への付加を含む。糖のキャッピングは最も一般的にはα-連結であり、従ってβ-連結リボン状ポリ-N-アセチルラクトサミンの枝から離れて延長
される。
【0052】
リソソーム酵素は、シスゴルジ体においてオリゴマンノースN-グリカン上のマンノース残基のC-6においてGlcNAc-1-Pを捕捉し得る。次いで、N-アセチル-グルコサミンは、トランスゴルジ体においてグリコシダーゼにより除去され、それによりMan-6-P残基を露出し
、これがMan-6-P受容体に認識され、そして酸性化されたプレリソソーム区画に送られる
。
【0053】
ハイブリッド型オリゴ糖は、例えば、N-アセチルグリコサミン、ガラクトース、及びシアル酸残基の付加により、マンノース-3及びマンノース-5からゴルジにおいて合成される。ハイブリッドN-グリカンは、GlcNAcMan5GlcNAc2グリカンがα-マンノシダーゼIIにより作用されない場合に形成され、成熟糖タンパク質において末梢α1-3Man及びα1-6Man残基はインタクトで未修飾のままである。α-マンノシダーゼIIの不完全な作用はGlcNAcMan4GlcNAc2ハイブリッドを生じ得る。別のゴルジ体マンノシダーゼ、α-マンノシダーゼIIXもまた、GlcNAcT-1により生成されたGlnNAcMan5GlcNAc2に作用する。
【0054】
N-連結グリカン(例えば、高マンノース型オリゴ糖)を生成するために使用される生合成経路及び酵素の詳細な概説は、Stanley et al.,「N-Glycans」in Essentials of Glycobiology, Ed. Varki, Cummings, and Eskho, Cold Spring Harbor Press, 2009に記載され
る。上記のように、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aの翻訳後グリコシル化は、タン
パク質の適切な輸送のために重要である。例えば、アミノ酸位置215におけるセリン残基の置換は、リソソームへの酵素輸送の障害を生じる(Munier-Lehmann et al., J. Biol.
Chem. 271:15166-15174, 1996;Wildt et al., Nat. Rev. Microbiol. 3:119-128, 2005)。CHO細胞で発現されたヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の様々なグリコフォーム
を説明する研究は、Matsuura et al., Glycobiology 8:329-339, 1998に記載される。
【0055】
ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の例となる前駆体及び成熟配列はそれぞれ
図2
に示される(それぞれ配列番号1及び2)。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼは、配列番号1又は2と少なくとも95%同一(例えば、少なくとも96%、97%、98%、99%、又は100%同一)である配列を含み得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、配列番号1又は2と少なくとも95%同一(例えば、少なくとも96%、97%、98%、99%、又は100%同一)である配列を有し得る(例えば、それらからなる)。他の例において、組み換えヒトα-ガ
ラクトシダーゼ-Aタンパク質は、1~30個のアミノ酸(例えば、1~25個のアミノ酸、1~20個のアミノ酸、1~15個のアミノ酸、1~10個のアミノ酸、1~5個のアミノ酸、1~3個のアミノ酸、1又は2個のアミノ酸、20~25個のアミノ酸、15~25個のアミノ酸、10~25個のアミノ酸、1~10個のアミノ酸、1~8個のアミノ酸、及び5~15個のアミノ酸)がN末端から、かつ/又は1~30個のアミノ酸(例えば、1~25個のアミノ酸、1~20個のアミノ酸、1~15個
のアミノ酸、1~10個のアミノ酸、1~5個のアミノ酸、1~3個のアミノ酸、1又は2個のア
ミノ酸、20~25個のアミノ酸、15~25個のアミノ酸、10~25個のアミノ酸、1~10個のア
ミノ酸、1~8個のアミノ酸、及び5~15個のアミノ酸)がC末端から除去された配列番号2の配列を含み得る。
【0056】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、異種アミノ酸配列又はタグに共有
結合で結合され得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼタンパク質に結合され得る異種
アミノ酸配列の非限定的な例としては:ポリ-Hisタグ、キチン結合タンパク質、マルトー
ス結合タンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、及びストレプトアビジンが挙
げられる。いずれの種類のタグもヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質に共有結合で結
合され得る(例えば、蛍光性基、放射性核種、及び蛍光タンパク質)。ヒトα-ガラクトシ
ダーゼ-Aタンパク質に共有結合で結合され得る分子のさらなる例としては、ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニル、ポリエステル、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、及びそれらのコポリマーが挙げられる。
【0057】
ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の例となる前駆体及び成熟配列を
図2にそれぞれ示す(それぞれ配列番号1及び2)。本明細書中に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダ
ーゼタンパク質は、配列番号1又は2と少なくとも95%同一(例えば、少なくとも96%、97%、98%、99%、又は100%同一)である配列を含み得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、配列番号1又は2と少なくとも95%同一(例えば、少なくとも96%、97%、98%、99%、又は100%同一)である配列を有し得る(例えば、それからなる)。他の例において、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、1~30個のアミノ酸(例えば、1~25個のアミノ酸、1~20個のアミノ酸、1~15個のアミノ酸、1~10個のアミノ酸、1~5個の
アミノ酸、1~3個のアミノ酸、1又は2個のアミノ酸、20~25個のアミノ酸、15~25個のアミノ酸、10~25個のアミノ酸、1~10個のアミノ酸、1~8個のアミノ酸、及び5~15個のアミノ酸)がN末端から、かつ/又は1~30個のアミノ酸(例えば、1~25個のアミノ酸、1~20
個のアミノ酸、1~15個のアミノ酸、1~10個のアミノ酸、1~5個のアミノ酸、1~3個のアミノ酸、1又は2個のアミノ酸、20~25個のアミノ酸、15~25個のアミノ酸、10~25個のアミノ酸、1~10個のアミノ酸、1~8個のアミノ酸、及び5~15個のアミノ酸)がC末端から除去された配列番号2の配列を含み得る。
【0058】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、異種アミノ酸配列又はタグに共有
結合で結合され得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼタンパク質に結合され得る異種
アミノ酸配列の非限定的な例としては:ポリ-Hisタグ、キチン結合タンパク質、マルトー
ス結合タンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、及びストレプトアビジンが挙
げられる。いずれの種類のタグもヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質に共有結合で結
合され得る(例えば、蛍光性基、放射性核種、及び蛍光タンパク質)。ヒトα-ガラクトシ
ダーゼ-Aタンパク質に共有結合で結合され得る分子のさらなる例としては、ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニル、ポリエステル、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、及びそれらのコポリマーが挙げられる。
【0059】
ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする例となる核酸(例えば、cDNA)を
図2に示す(配列番号1)。
【0060】
いくつかの例において、本明細書に記載される核酸(例えば、cDNA)のいずれかは、1つ
又はそれ以上の蛍光タグ及び消光剤に共有結合で結合され得る。他の例において、核酸(
例えば、cDNA)のいずれかは、放射性同位体(例えば、P32、P33、及び/又はS35)を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含んでいてもさらに含んでいてもよい。
【0061】
α-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の変更されたグリコフォーム
本明細書は、Fabrayzme(R)と比較して変更された(例えば、改善された)グリコシル化を有する組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)を提供する。本明細書で
提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、例えば、(Fabrazyme(R)と比較して)ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の増加した割合を
有し、これはマンノース-6-リン酸受容体への増加した結合を生じ、これが今度は、(Fabrazyme(R)と比較して)その表面にマンノース-6-リン酸受容体タンパク質を発現する哺乳
動物細胞(例えば、ヒト細胞)による組み換えタンパク質のエンドサイトーシスの速度を増加させることができる。本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼAタンパク質はまた、Fabrazyme(R)と比較して、モノシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の減少した割合、及びテトラシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の増加した割合のうちの一方又は両方を有し、これらは、それぞれFabrazyme(R)と比較して、肝臓への組み換えタンパク質の非特異的標的化の減少(組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の被験体、例えばヒト被験体への投与後に肝細胞の表面上に発現されたアシアロ糖タンパク質受容体への結合により)、及び増加した血清半減期を生じ得る。
【0062】
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼAタンパク質はまた、例えば、その組成におけるより低い可変性(例えば、グリコフォームのより低い可変性)を示し、かつ/又はより安全な製品である(例えば、バクテリオファージ、細菌、マイコバクテリア
、及びウイルス(例えば、エンテロウイルス(例えば、ヒト又は動物エンテロウイルス)、
ライノウイルス(例えば、動物又はヒトライノウイルス)、動物又はヒトピコビルナウイルス、コブウイルス、ウシ感染性鼻気管炎、ウシウイルス性下痢ウイルス、ウシレオウイルス-3、カリシウイルス科、エコーウイルス、ポリオウイルス、ロタウイルス(例えば、動
物又はヒトロタウイルス)、ウシスプーマウイルス、ブタ内在性レトロウイルス、ウシ免
疫不全ウイルス、肝炎ウイルス、ベシウイルス(例えば、ベシウイルス2117)、ノロウイルス(例えば、動物又はヒトノロウイルス)、アストロウイルス(例えば、ヒト又は動物アス
トロウイルス)、動物又はヒトパラインフルエンザ又はメタニューモウイルス、アネロウ
イルス、コロナウイルス、フレボウイルス、ウシシュマレンベルク(schmallenberg)ウ
イルス、カリシウイルス、サイクロウイルス(cycloviruses)、サーコウイルス(例えば
、ブタ又はウシサーコウイルス)、コサウイルス(cosaviruses)、コクサッキーウイルス、クバウイルス(kubavirus)、ペスチウイルス、ポリオーマウイルス(例えば、ウシポリオーマウイルス)、ウシパピローマウイルス、新しい齧歯動物パピローマ2型SV40、パルボウイルス(例えば、ブタ、齧歯動物、ヒト、又はウシパルボウイルス)、カルジオウイルス(例えば、EMCV)、パラミクソウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ジャイロウイルス、コサウイルス(cosavirus)、セネカバレー(Seneca valley)ウイルス、コロナウイルス、ウマ伝染性貧血、ヒトアデノウイルス、ネコカリシウイルス、アデノウイルス2型、ウシア
デノウイルス3型、仮性狂犬病ウイルス、ウシウイルス性下痢症、パラインフルエンザ3型、ウシ感染性鼻気管炎、ブルータングウイルス、ネコ白血病ウイルス、マウス微小ウイルス、ウシパルボウイルス、カシェ渓谷ウイルス、レオウイルス(例えば、動物又はヒトレ
オウイルス)、イヌアデノウイルス、SV-40ウイルス、脳心筋炎ウイルス、ポリス(porice)PRRSV、ウシヘルペスウイルス4、又は口蹄疫)の1つ又はそれ以上の混入の減少した危険性又はレベル)。
【0063】
Fabrazyme(R)は、Replagal(R)と比較して有意に異なるグリコシル化パターンを有する
ことが以前に示された(Lee et al.、Glycobiology 13:305-313、2003)。Fabrazyme(R)及
びReplagal(R)のグリコシル化パターンにおける顕著な差異は、これらのタンパク質を産
生するために使用された異なる細胞株に一部起因すると考えられる(例えば、Fabrazyme(R)はCHO細胞株により産生され、そしてReplagal(R)はヒト細胞株により産生される)。
【0064】
Fabrazyme(R)は、Genzymeにより製造及び販売されるヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の組み換え形態である。Fabrazyme(R)及びFabrazyme(R)の製造方法は、例えば米国特
許第5,356,804号に記載される。Replagal(R)は、Shireにより製造及び販売されるヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の組み換え形態である。Replagal(R)及びReplagal(R)の製造方法は、例えば米国特許第6,083,725号;同第6,458,574号;同第6,395,884号;及び同
第7,133,354号に記載される。
【0065】
本明細書において提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼタンパク質(FZ2G)は、2つ又はそれ以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12)の以下に列挙される構
造的特徴(i)~(xii)のいずれか(例えば、任意の組み合わせで)を有する。(i)~(xii)の1
つ又はそれ以上のパラメーターのそれぞれについて以下に列挙される値の範囲はいずれも、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質において存在し
得る。さらに、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼタンパク質はい
ずれも、このセクションに記載される例となる機能的特性の1つ又はそれ以上(例えば、1、2、又は3)を有し得る。本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の物理的特徴及び/又は機能的特性のいずれの組み合わせも任意のやり方で組み合わせられ得る。本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質
の構造的特徴の例となる組み合わせを以下に記載する。
【0066】
さらに、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)
は、構造のより低い可変性(例えば、グリコフォームのより低い可変性)及び/又は混入の減少した危険性若しくはレベル(例えば、混入の減少した危険性又はレベル)を有し得る。
【0067】
本明細書において提供されるrhAGAタンパク質はいずれも、動物製剤(例えば、動物血清、動物血漿、又は動物血液製剤)中に存在する検出可能なレベルのタンパク質、脂質、炭
水化物、核酸、及び夾雑物(例えば、本明細書に記載される夾雑物のいずれか)を有さないことが可能であるか、又は全く有さないことが可能である。本明細書で提供されるrhAGAタンパク質はいずれも、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地の群から選択さ
れた培地のみを使用した細胞培養において製造されたrhAGAタンパク質であり得る。本明
細書で提供されるrhAGAタンパク質は、無タンパク質かつ/又は化学的に規定された培地のみを使用した細胞培養において製造されたrhAGAタンパク質であり得る。本明細書で提供
されるrhAGAタンパク質はいずれも、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地から
なる群より選択される培地のみを使用した細胞培養で製造され、かつ統合された連続的な方法(例えば、本明細書又はWO14/137903に記載される統合された連続的な方法のいずれか)を使用して単離されたrhAGAタンパク質であり得る。本明細書で提供されるrhAGAタンパ
ク質はいずれも、動物製剤(例えば、動物血清、動物血漿、又は動物血液因子若しくはタ
ンパク質)を含有する培地の使用を含む方法により製造された本明細書で提供されるrhAGAタンパク質と比較して、改善された安全性プロフィール(例えば、混入(例えば、本明細書に記載されるか又は当該分野で公知の例となる夾雑物のいずれか)の減少した危険性)を有するrhAGAタンパク質であり得る。
【0068】
生物物理学的特性
I. N-連結モノシアル化オリゴ糖
本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較して、モノシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の減少した割合を有し得る
。本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較して、モノシアル化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖のほぼ同じか
又はわずかに減少した割合を有し得る。モノシアル化オリゴ糖は、肝臓における肝細胞上に発言されたアシアロ糖タンパク質受容体に結合する露出したガラクトース残基を含有し得るので、この特徴は有利である。肝臓は組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク
質の標的組織ではなく、従ってモノシアル化オリゴ糖の量の減少は、ヒト身体内のこの酵素の非生産的標的化を減少させると考えられる。
【0069】
Fabrazyme(R)は、約1.7%~約3.2%の間である、モノシアル化オリゴ糖(例えば、アント
ラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロフィールにおけるピーク3)である総N-連結オリゴ糖の
割合を有する。本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約0.1%と約1.6%との間(例えば、約0.1%と約1.5%との間、約0.1%と約1.4%との間、約0.1%と約1.3%との間、約0.1%と約1.2%との間、約0.1%と約1.1%との間、約0.1%と約1.0%との間、約0.1%と約0.9%との間、約0.1%と約0.8%との間、約0.1%と約0.7%との間、約0.1%と約0.6%との間、約0.1%と約0.5%との間、約0.1%と約0.4%との間、約0.2%と約1.4%との間、約0.2%と約1.3%との間、約0.2%と約1.2%との間、約0.2%と約1.0%との間、約0.2%と約0.9%との間、約0.2%と約0.8%との間、約0.2%と約0.7%との間、約0.3%と約1.4%との間、約0.3%と約1.3%との間、約0.3%と約1.3%との間、約0.3%と約1.2%との間、約0.3%と約1.2%との間、約0.3%と約1.1%との間、約0.3%と約1.0%との間、約0.3%と約0.9%との間、約0.3%と約0.8%との間、約0.3%と約0.7%との間、約0.4%と約1.4%との間、約0.4%と約1.3%との間、約0.4%と約1.2%との間、約0.4%と約1.1%との間、約0.4%と約1.0%との間、約0.4%と約0.9%との間、約0.4%と約0.8%との間、約0.4%と約0.7%との間、約0.5%と約1.4%との間、約0.5%と約1.3%との間、約0.5%と約1.2%との間、約0.5%と約1.1%との間、約0.5%と約1.0%との間、約0.5%と約0.9%との間、又は約0.6%と約1.2%との間)の、モノシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロフィールにおけるピーク3)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0070】
Fabrazyme(R)は、約2.0%と約5.7%との間の、モノシアル化フコース含有オリゴ糖(例え
ば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロフィールにおけるピーク2)である総N-連結
オリゴ糖の割合を有する。本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタ
ンパク質(FZ2G)は、約0.1%と3.0%との間(例えば、約0.1%と約2.9%との間、約0.1%と約2.8%との間、約0.1%と約2.7%との間、約0.1%と約2.6%との間、約0.1%と約2.5%との間、約0.1%と約2.4%との間、約0.1%と約2.3%との間、約0.1%と約2.2%との間、約0.1%と約2.1%との
間、約0.1%と約2.0%との間、約0.1%と約1.9%との間、約0.1%と約1.8%との間、約0.1%と約1.7%との間、約0.1%と約1.6%との間、約0.1%と約1.5%との間、約0.1%と約1.4%との間、約0.1%と約1.3%との間、約0.1%と約1.2%との間、約0.3%と約3.0%との間、約0.3%と約2.9%との間、約0.3%と約2.8%との間、約0.3%と約2.7%との間、約0.3%と約2.6%との間、約0.3%と約2.5%との間、約0.3%と約2.4%との間、約0.3%と約2.3%との間、約0.3%と約2.2%との間、約0.3%と約2.1%との間、約0.3%と約2.0との間、約0.3%と約1.9%との間、約0.3%と約1.8%
との間、約0.3%と約1.7%との間、約0.3%と約1.6%との間、約0.3%と約1.5%との間、約0.3%と約1.4%との間、約0.3%と約1.3%との間、又は約0.3%と約1.2%との間)の、モノシアル化
フコース含有オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングに
おけるピーク2)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0071】
モノシアル化オリゴ糖又はモノシアル化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を決定するための例となる方法は、実施例に記載される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0072】
II. N-連結ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較して、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク11)である総N-連結オリゴ糖の増加した割合を有
し得る。ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖の増加したレベルは、その細胞膜上でマンノース-6-リン酸受容体を発現する細胞への増加した標的化を生じる。マンノース-6-リン酸受容体への結合は、その酵素の細胞へのエンドサイトーシス、そしてその酵素の細胞リソソームへの往復を誘発する。
【0073】
Fabrazyme(R)は、約4.0%と約7.0%との間の、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例え
ば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロフィールにおけるピーク11)である総N-連結
オリゴ糖の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダ
ーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約7.5%より大きい(例えば、約7.6%より大きい、約7.7%より
大きい、約7.8%より大きい、約7.9%より大きい、約8.0%より大きい、約8.1%より大きい、約8.2%より大きい、約8.2%より大きい、約8.3%より大きい、約8.4%より大きい、約8.5%より大きい、約8.6%より大きい、約8.7%より大きい、約8.8%より大きい、約8.9%より大きい、約8.9%より大きい、約9.0%より大きい、約9.1%より大きい、約9.2%より大きい、約9.3%より大きい、約9.4%より大きい、約9.5%より大きい、約9.6%より大きい、約9.7%より大きい、約9.8%より大きい、約9.9%より大きい、約10.0%より大きい、約10.1%より大きい、約10.2%より大きい、約10.3%より大きい、約10.4%より大きい、約10.5%より大きい、約10.6%より大きい、約10.7%より大きい、約10.8%より大きい、約10.9%より大きい、又は約11%
より大きい)、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク11)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る
。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)
は、約7.0%と約13%との間、約8.0%と約12.0%の間、又は約9.0%と約11.0%との間である、
ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロフ
ァイリングにおいてピーク11)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0074】
ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を決定するための例となる方法は実施例に記載される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0075】
III. N-連結ビシアル化及びN-連結ビシアル化フコース含有オリゴ糖
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較して、ビシアル化フコース含有オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク4)である総N-連結オリゴ糖のほぼ同じか又は増加
した割合を有し得る。提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較して、ビシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおいてピーク5)である総N-連結オリゴ糖の減少した割合を有し得る
。ビシアル化フコース含有オリゴ糖の増加したレベルは、インビボ及び/又はインビトロで(例えば、被験体における血清中又は医薬組成物で)タンパク質の半減期を増加させると考えられる。
【0076】
Fabrazyme(R)は、約11.0%と約14.2%との間の、ビシアル化フコース含有オリゴ糖(例え
ば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク4)である総N-
連結オリゴ糖の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクト
シダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約13.0%より大きい(例えば、約13.1%より大きい、約13.2%より大きい、約13.3%より大きい、約13.4%より大きい、約13.5%より大きい、約13.6%より大きい、約13.7%より大きい、約13.8%より大きい、約13.9%より大きい、約14.0%より大きい、約14.1%より大きい、約14.2%より大きい、約14.3%より大きい、約14.4%より大きい、約14.5%より大きい、約 14.6%より大きい、約14.7%より大きい、約14.8%より大きい、
約14.9%より大きい、又は15.0%より大きい)、ビシアル化フコース含有オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク4)である総N-連結
オリゴ糖の割合を有し得る。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシ
ダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約13.0%~約15.0%の間、約13.5%~約15.5%の間、約14.0%
~約16.0%の間、又は約14.5%と約16.5%との間の、ビシアル化フコース含有オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク4)である総N-
連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0077】
Fabrazyme(R)は、約5.6%と約7.1%との間の、ビシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニ
ル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク5)である総N-連結オリゴ糖の
割合を有する。本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は
、約0.1%と約5.3%との間(例えば、約0.1%と約5.2%との間、約0.1%と約5.1%との間、約0.1%と約5.0%との間、約0.1%と約4.9%との間、約0.1%と約4.8%との間、約0.1%と約4.7%との
間、約0.1%と約4.6%との間、約0.1%と約4.5%との間、約0.1%と約4.4%との間、約0.1%と約4.3%との間、約0.1%と約4.2%との間、約0.1%と約4.1%との間、約0.1%と約4.0%との間、約0.1%と約3.9%との間、約0.1%と約3.8%、約0.1%と約3.7%との間、約0.1%と約3.6%との間、約0.1%と約3.5%との間、約0.1%と約3.4%との間、約0.1%と約3.3%との間、約0.1%と約3.2%との間、約0.1%と約3.1%との間、約0.1%と約3.0%との間、約0.1%と約2.9%との間、約0.1%と約2.8%との間、約0.1%と約2.7%との間、約0.1%と約2.6%との間、約0.1%と約2.5%との間、約0.3%と約5.2%との間、約0.3%と約5.1%との間、約0.3%と約5.0%との間、約0.3%と約4.9%との間、約0.3%と約4.8%との間、約0.3%と約4.7%との間、約0.3%と約4.6%との間、約0.3%と約4.5%との間、約0.3%と約4.4%との間、約0.3%と約4.3%との間、約0.3%と約4.2%との間、約0.3%と約4.1%との間、約0.3%と約4.0%との間、約0.3%と約3.9%との間、約0.3%と約3.8%との間、約0.3%と約3.7%との間、約0.3%と約3.6%との間、約0.3%と約3.5%との間、約0.3%と約3.5%との間、約0.3%と約3.4%との間、約0.3%と約3.3%との間、約0.3%と約3.2%との間、約0.3%と約3.1%との間、約0.3%と約3.0%との間、約0.3%と約2.9%との間、約0.3%と約2.8%との間、約0.3%と約2.7%との間、約0.3%と約2.6%との間、又は約0.3%と約2.5%との間)である、ビシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおいてピーク5)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0078】
ビシアル化及びビシアル化フコース含有オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を決定するための例となる方法は実施例に記載される。さらなるものは当該分野で公知である。
【0079】
IV. N-連結トリシアル化オリゴ糖
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme
(R)と比較して、増加した割合のフォーム2の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(すなわち、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク6')である総N-連結オリゴ糖を有し得る。本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパ
ク質は、Fabrazyme
(R)と比較して減少した割合の、フォーム1の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク
6)である総N-連結オリゴ糖を有し得る。
図10の差し込み図は、2つの三本触角性トリ
シアル化オリゴ糖構造を示し、ここで2つの構造のうちの一方は、2-AAで誘導体化されたN-連結オリゴ糖のクロマトグラフィー溶出プロフィールにおいてピーク6(フォーム1)に対応し、そして2つの構造の他方はピーク6'(フォーム2)に対応する。増加したレベルのト
リシアル化フコース含有オリゴ糖は、インビボ及び/又はインビトロで(例えば、被験体
において血清中で、又は医薬組成物で)タンパク質の半減期を増加させると考えられてい
る。
【0080】
Fabrazyme(R)は、約0.5%と約1.2%との間の、フォーム2の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク6')である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-
ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、2.0%より大きい(例えば、2.1%より大きい、2.2%より大きい、2.3%より大きい、2.4%より大きい、2.5%より大きい、2.6%より大きい、2.7%より大きい、2.8%より大きい、2.9%より大きい、3.0%より大きい、3.1%より大きい、3.2%より大きい、3.3%より大きい、3.4%より大きい、3.5%より大きい、3.6%より大きい、3.7%より大きい、3.8%より大きい、3.9%より大きい、4.0%より大きい、4.1%より大きい、4.2%より大きい、4.3%より大きい、4.4%より大きい、4.5%より大きい、4.6%より大きい、4.7%より大きい、4.8%より大きい、4.9%より大きい、5.0%より大きい、5.1%より大きい、5.2%より大きい、5.3%より大きい、5.4%より大きい、5.5%より大きい、5.6%より大きい、5.7
%より大きい、5.8%より大きい、5.9%より大きい、6.0%より大きい、6.1%より大きい、6.2%より大きい、6.3%より大きい、6.4%より大きい、6.5%より大きい、6.7%より大きい、6.8%より大きい、6.9%より大きい、7.0%より大きい、又は7.1%より大きい)、フォーム2の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイ
リングにおけるピーク6')である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。例えば、本明細書
で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約5.0%と約9.0%
との間、約5.5%と約8.5%との間、約6.0%と約8.0%との間、又は約6.5%と約7.5%との間である、フォーム2の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結
オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク6')である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0081】
Fabrazyme(R)は、約9.5%と約13%との間の、フォーム1の三本触角性トリシアル化オリ
ゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク6)である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-
ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、約0.1%と約9.0%(例えば、約0.1%と約8.9%との間、約0.1%と約8.8%との間、約0.1%と約8.7%との間、約0.1%と約8.6%との間、約0.1%と約8.5%と
の間、約0.1%と約8.4%との間、約0.1%と約8.3%との間、約0.1%と約8.2%との間、約0.1%と約8.1%との間、約0.1%と約8.0%との間、約0.1%と約7.9%との間、約0.1%と約7.8%との間、約0.1%と約7.7%との間、約0.1%と約7.6%との間、約0.1%と約7.5%との間、約0.1%と約7.4%との間、約0.1%と約7.3%との間、約0.1%と約7.2%との間、約0.1%と約7.1%との間、約0.1%と約7.0%との間、約0.1%と約6.9%との間、約0.1%と約6.8%との間、約0.1%と約6.7%との間、約0.1%と約6.6%との間、約0.1%と約6.5%との間、約0.1%と約6.4%との間、約0.1%と約6.3%との間、約0.1%と約6.2%との間、約0.1%と約6.1%との間、約0.1%と約6.0%との間、約0.1%と約5.9%との間、約0.1%と約5.8%との間、約0.1%と約5.7%との間、約0.1%と約5.6%との間、約0.1%と約5.5%との間、約0.1%と約5.4%との間、約0.1%と約5.3%との間、約0.1%と約5.2%との間、約0.1%と約5.1%との間、約0.1%と約5.0%との間、約0.1%と約4.9%との間、約0.1%と約4.8%との間、約0.1%と約4.7%との間、約0.1%と約4.6%との間、約0.1%と約4.5%との間、約0.1%と約4.4%との間、約0.1%と約4.3%との間、約0.1%と約4.2%との間、約0.1%と約4.1%との間、約0.1%と約4.0%との間、約0.1%と約3.9%との間、約0.1%と約3.8%との間、約0.1%と約3.7%との間、約0.1%と約3.6%との間、約0.1%と約3.5%との間、約0.1%と約3.4%との間、約0.1%と約3.3%との間、約0.1%と約3.2%との間、約0.1%と約3.1%との間、又は約0.1%と約3.0%との間)である、フォーム1の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク6)である総N-連結オ
リゴ糖の割合を有し得る。
【0082】
トリシアル化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を決定するための例となる方法は実施例に記載される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0083】
V. シアル酸/タンパク質のモル/モル比
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)とほぼ同じか又はFabrazyme(R)より大きい、シアル酸対タンパク質のモル対モル比を有
し得る。オリゴ糖中に存在するシアル酸分子の増加した数は、インビトロ及び/又はインビボで(例えば、医薬組成物で、及び哺乳動物の血清中で)タンパク質の半減期を増加させると考えられている。
【0084】
Fabrazyme(R)は、約2.6~約3.3のシアル酸対タンパク質のモル対モル比を有する。Fabrazyme(R)はまた、1.5より大きい、シアル酸対マンノース-6-リン酸のモル対モル比を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、3.0より大きい(例えば、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より
大きい、3.5より大きい、3.6より大きい、3.7より大きい、3.8より大きい、3.9より大き
い、4.0より大きい、4.1より大きい、4.2より大きい、4.3より大きい、4.4より大きい、4.5より大きい、4.6より大きい、4.7より大きい、4.8より大きい、4.9より大きい、又は5.0より大きい)、シアル酸対タンパク質のモル/モル比を有し得る。
【0085】
シアル酸対タンパク質のモル/モル比を決定するための例となる方法は、実施例に記載
される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0086】
VI. N-連結中性荷電オリゴ糖
本明細書に提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較して減少した、中性荷電オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク1)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0087】
Fabrazyme(R)は、約4.0%~約7.1%の間の、N-連結中性荷電オリゴ糖(例えば、アントラ
ニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク1)である総N-連結オリゴ糖
の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタ
ンパク質は、約0.1%と約3.9%との間(例えば、約0.1%と約3.8%との間、約0.1%と約3.7%と
の間、約0.1%と約3.6%との間、約0.1%と約3.5%との間、約0.1%と約3.4%との間、約0.1%と約3.3%との間、約0.1%と約3.2%との間、約0.1%と約3.1%との間、約0.1%と約3.0%との間、約0.1%と約2.9%との間、約0.1%と約2.8%との間、約0.1%と約2.7%との間、約0.1%と約2.6%との間、約0.1%と約2.5%との間、約0.1%と約2.4%との間、約0.1%と約2.3%との間、約0.1%と約2.2%との間、約0.1%と約2.1%との間、約0.1%と約2.0%との間、約0.1%と約1.9%との間、約0.1%と約1.8%との間、約0.1%と約1.7%との間、約0.1%と約1.6%との間、約0.1%と約1.5%との間、約0.1%と約1.4%との間、約0.1%と約1.3%との間、約0.1%と約1.2%との間、約0.1%と約1.1%との間、約0.1%と1.0%との間、約0.3%と約3.9%との間、約0.3%と約3.8%との間、約0.3%と約3.7%との間、約0.3%と約3.6%との間、約0.3%と約3.5%との間、約0.3%と約3.4%との間、約0.3%と約3.3%との間、約0.3%と約3.2%との間、約0.3%と約3.1%との間、約0.3%と約3.0%との間、約0.3%と約2.9%との間、約0.3%と約2.8%との間、約0.3%と約2.7%との間、約0.3%と約2.6%との間、約0.3%と約2.5%との間、約0.3%と約2.4%との間、約0.3%と約2.3%との間、約0.3%と約2.2%との間、約0.3%と約2.1%との間、約0.3%と約2.0%との間、約0.3%と約1.9%との間、約0.3%と約1.8%との間、約0.3%と約1.7%との間、約0.3%と約1.6%との間、約0.3%と約1.5%との間、約0.3%と約1.4%との間、約0.3%と約1.3%との間、約0.3%と約1.2%との間、約0.3%と約1.1%との間、又は約0.3%と約1.0%との間)である、中性荷電オ
リゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク1)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0088】
中性荷電オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにお
けるピーク1)である総N-連結オリゴ糖の割合を決定する例となる方法は実施例に記載さ
れる。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0089】
VII. N-連結マンノース-6-リン酸オリゴ糖
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較してほぼ同じか又はわずかに減少した、マンノース-6-リン酸オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0090】
Fabrazyme(R)は、約5.5%~約10.0%の間の、N-連結マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例え
ば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク7)である総N-
連結オリゴ糖の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクト
シダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約0.1%~約7.0%の間(例えば、約0.1%~約6.9%の間、約0.1%~約6.8%の間、約0.1%~約6.7%の間、約0.1%~約6.6%の間、約0.1%~約6.5%の間、約0.1%~約6.4%の間、約0.1%~約6.3%の間、約0.1%~約6.2%の間、約0.1%~約6.1%の間、約0
.1%~約6.0%の間、約0.1%~約5.9%の間、約0.1%~約5.8%の間、約0.1%~約5.7%の間、約0.1%~約5.6%の間、約0.1%~約5.5%の間、約0.1%~約5.4%の間、約0.1%~約5.3%の間、約0.1%~約5.2%の間、約0.1%~約5.1%の間、又は約0.1%~約5.0%の間)である、マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク7)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。例えば、本明細書で提供される組
み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約5.0%と約7.0%との間である、
マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク7)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0091】
マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク7)である総N-連結オリゴ糖の割合を決定するための例となる方法
は実施例に記載される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0092】
VIII. N-連結モノリン酸化オリゴ糖
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較して増加した、モノリン酸化オリゴ糖である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る
。
【0093】
Fabrazyme(R)は、約10.9%~約14.7%の間である、N-連結モノリン酸化オリゴ糖(例えば
、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク8)である総N-連
結オリゴ糖の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシ
ダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約14.8%より大きい(例えば、約14.9%より大きい、15.0%より大きい、約15.1%より大きい、約15.2%より大きい、約15.3%より大きい、約15.4%より大きい、約15.5%より大きい、約15.6%より大きい、約15.7%より大きい、約15.8%より大きい、約15.9%より大きい、約16.0%より大きい、約16.1%より大きい、約16.2%より大きい、約16.3%より大きい、約16.4%より大きい、約16.5%より大きい、約16.6%より大きい、約16.7%より大きい、約16.8%より大きい、約16.9%より大きい、約17.0%より大きい、約17.1%よ
り大きい、約17.2%より大きい、約17.3%より大きい、約17.4%より大きい、約17.5%より大きい、約17.6%より大きい、約17.7%より大きい、約17.8%より大きい、約17.9%より大きい、約18.0%より大きい、約18.1%より大きい、約18.2%より大きい、約18.3%より大きい、約18.4%より大きい、約18.5%より大きい、約18.6%より大きい、約18.7%より大きい、約18.8%より大きい、約18.9%より大きい、約19.0%より大きい、約19.1%より大きい、約19.2%よ
り大きい、約19.3%より大きい、約19.4%より大きい、約19.5%より大きい、約19.6%より大きい、約19.7%より大きい、約19.8%より大きい、約19.9%より大きい、約20.0%より大きい、約20.1%より大きい、約20.2%より大きい、約20.3%より大きい、約20.4%より大きい、約20.5%より大きい、約20.6%より大きい、約20.7%より大きい、約20.8%より大きい、約20.9%より大きい、約21.0%より大きい、約21.1%より大きい、約21.2%より大きい、約21.3%よ
り大きい、約21.4%より大きい、約21.5%より大きい、約21.6%より大きい、約21.7%より大きい、約21.8%より大きい、約21.9%より大きい、約22.0%より大きい、約22.1%より大きい、約22.2%より大きい、約22.3%より大きい、約22.4%より大きい、約22.5%より大きい、約22.6%より大きい、約22.7%より大きい、約22.8%より大きい、約22.9%より大きい、又は約23.0%より大きい)、モノリン酸化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖
プロファイリングにおけるピーク8)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。例えば
、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約15.5%と約17.5%との間、約16.0%と約18.0%との間、又は約16.5%と約18.5%との間である、モ
ノリン酸化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにお
けるピーク8)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0094】
モノリン酸化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリング
におけるピーク8)である総N-連結オリゴ糖の割合を決定するための例となる方法は実施
例に記載される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0095】
IX. N-連結テトラシアル化オリゴ糖
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較して増加した、テトラシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク9)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。増
加したレベルのテトラシアル化オリゴ糖は、インビボ及び/又はインビトロで(例えば、
被験体における血清中、又は医薬組成物で)タンパク質の半減期を増加させると考えられ
ている。
【0096】
Fabrazyme(R)は、約2.3%~約4.8%の間である、テトラシアル化オリゴ糖(例えば、アン
トラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク9)である総N-連結オリ
ゴ糖の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約4.9%より大きい(例えば、より大きい、約5.0%より大きい、約5.1%より大きい、約5.2%より大きい、約5.3%より大きい、約5.4%より大きい、約5.5%より大きい、約5.6%より大きい、約5.7%より大きい、約5.8%より大きい、約5.9%より大きい、約6.0%より大きい、約6.1%より大きい、約6.2%より大きい、約6.3%より大きい、約6.4%より大きい、約6.5%より大きい、約6.6%より大きい、約6.7%より大きい、約6.8%より大きい、約6.9%より大きい、約7.0%より大きい、約7.1%より大きい、約7.2%より大きい、約7.3%より大きい、約7.4%より大きい、約7.5%より大きい、約7.6%より大きい、約7.7%より大きい、約7.8%より大きい、約7.9%より大きい、又は約8.0%より大きい)、テトラシアル化オリ
ゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク9)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、約6.0%~約8.0%の間、約6.5%~約8.5%の間、
約6.0%と約9.0%との間、又は約7.0%と約9.0%との間である、テトラシアル化オリゴ糖(例
えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク9)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0097】
テトラシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリン
グにおけるピーク9)である総N-連結オリゴ糖の割合を実行し決定する例となる方法は実
施例に記載される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0098】
X. モノシアル化及びモノリン酸化されたN-連結ハイブリッド構造
提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)と比較し
て増加した、モノシアル化モノリン酸化ハイブリッド構造である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0099】
Fabrazyme(R)は、約6.0%~約8.1%の間の、モノシアル化モノリン酸化ハイブリッドオリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク10)である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、約8.2%より大きい(例えば、約8.3%より大きい、約8.4%より大きい、約8.5%より大きい、約8.6%より大きい、約8.7%より大きい、約8.8%より大きい、約8.9%より大きい、約9.0%より大きい、約9.1%より大きい、約9.2%より大きい、約9.3%より大きい、約9.4%より大きい、約9.5%より大きい、約9.6%より大きい、約9.7%より大きい、約9.8%より大きい、約9.9%より大きい、約10.0%より大きい、約10.1%より大きい、約10.2%より大きい、約10.3%より大きい、約10.4%より大きい、約10.5%より大きい、約10.6%より大きい、約10.7%より大きい、約10.8%より大きい、約10.9%より大きい、約11.0%より大きい、約11.1%より大きい、約11.2%より大きい、約11.3%より大きい、約11.4%よ
り大きい、又は約11.5%より大きい)、モノシアル化モノリン酸化ハイブリッドオリゴ糖(
例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク10)であ
る総N-連結ハイブリッドオリゴ糖の割合を有し得る。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、約8.5%と10.5%との間、約9.0%と約11.0%
との間、又は約8.5%と約9.5%との間である、モノシアル化モノリン酸化ハイブリッドオリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク10)である総N-連結ハイブリッドオリゴ糖の割合を有し得る。
【0100】
モノシアル化モノリン酸化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロ
ファイリングにおけるピーク10)である総N-連結オリゴ糖の割合を決定するための例と
なる方法は実施例に記載される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0101】
XI. 等電点
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質はまた、画像化
キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)により分析した場合、Fabrazyme(R)と比較して変更
された等電点を有する(実施例3及び表3を参照のこと)。
【0102】
ポリペプチドの等電点を決定する例となる方法は実施例に記載される。ポリペプチドの等電点を決定するためのさらなる方法(例えば、等電点電気泳動ゲル(isoelectric focusing gels))は当該分野で公知である。
【0103】
XII. マンノース-6-リン酸/タンパク質のモル/モル比
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)とほぼ同じかFabrazyme(R)より大きい、マンノース-6-リン酸対タンパク質のモル対モル比を有し得る。マンノース-6-リン酸対タンパク質の増加したモル対モル比は、細胞膜に
おいてマンノース-6-リン酸受容体を発現する細胞によるタンパク質の細胞更新を増加さ
せると考えられる。
【0104】
Fabrazyme(R)は、約1.7~約3.1のマンノース-6-リン酸対タンパク質のモル対モル比を
有する。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)は、Fabrazyme(R)と実質的にほぼ同じか、又は1.7より大きい(例えば、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、2.1より大きい、2.2より大きい、2.3より大きい、2.4より大きい、2.5より大きい、2.6より大きい、2.7より大きい、2.8より大きい、2.9よ
り大きい、3.0より大きい、3.1より大きい、3.2より大きい、3.3より大きい、3.4より大
きい、又は3.5より大きい)、マンノース-6-リン酸対タンパク質のモル/モル比を有し得る。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)
は、約1.8と約3.5との間(例えば、約1.8~約3.4の間、約1.8~約3.3の間、約1.8と約3.2
との間、約1.8と約3.1との間、約1.8と約3.0との間、約1.8と約2.9との間、約1.8と約2.8との間、約1.8と約2.7との間、約1.8と約2.6との間、約1.8と約2.5、1.8と約2.4との間、約1.8と約2.3との間、約1.8と約2.2との間、約1.8と約2.1との間、約1.8と約2.0との間、約1.9と約3.5との間、約1.9と約3.4との間、約1.9と約3.3との間、約1.9と約3.2との間、約1.9と約3.1との間、約1.9と約3.0との間、約1.9と約2.9との間、約1.9と約2.8との間、約1.9と約2.7との間、約1.9と約2.6との間、約1.9と約2.5との間、約1.9と約2.5との間、約1.9と約2.4との間、約1.9と約2.3との間、約1.9と約2.2との間、約1.9と約2.1との間、約2.0と約3.5との間、約2.0と約3.4との間、約2.0と約3.3との間、約2.0と約3.2との間、約2.0と約3.1との間、約2.0と約3.0との間、約2.0と約2.9との間、約2.0と約2.8との間、約2.0と約2.7との間、約2.0と約2.6との間、約2.0と約2.5との間、約2.0と約2.4との間、約2.0と約2.3との間、約2.0と約2.2との間、約2.1と約3.5との間、約2.1と約3.4との間、約2.1と約3.3との間、約2.1と約3.2との間、約2.1と約3.1との間、約2.1と約3.0との間、約2.1と約2.9との間、約2.1と約2.8との間、約2.1と約2.7との間、約2.1と約2.6との間、約2.1と約2.5との間、約2.1と約2.4との間、約2.1と約2.3との間、約2.2と約3.5との間、約2.2と約3.4との間、約2.2と約3.3との間、約2.2と約3.2との間、約2.2と約3.1との間、
約2.2と約3.0との間、約2.2と約2.9との間、約2.2と約2.8との間、約2.2と約2.7との間、約2.2と約2.6との間、約2.2と約2.5との間、約2.2と約2.4との間、約2.3と約3.5との間、約2.3と約3.4との間、約2.3と約3.3との間、約2.3と約3.2との間、約2.3と約3.1との間、約2.3と約3.0との間、約2.3と約2.9との間、約2.3と約2.8との間、約2.3と約2.7との間、約2.3と約2.6との間、約2.3と約2.5との間、約2.4と約3.5との間、約2.4と約2.9との間、約2.4と約2.8との間、約2.4と約2.7との間、約2.4と約2.6との間、約2.5と約3.5との間、約2.5と約3.4との間、約2.5と約3.3との間、約2.5と約3.2との間、約2.5と約3.1との間、約2.5と約3.0との間、約2.5と約2.9との間、約2.5と約2.8との間、約2.5と約2.7との間、約2.6と約3.5との間、約2.6と約3.4との間、約2.6と約3.3との間、約2.6と約3.2との間、約2.6と約3.1との間、約2.6と約3.0との間、約2.6と約2.9との間、約2.6と約2.8との間、約2.7と約3.5との間、約2.7と約3.4との間、約2.7と約3.3との間、約2.7と約3.2との間、約2.7と約3.1との間、約2.7と約3.0との間、約2.7と約2.9との間、約2.8と約3.5との間、約2.8と約3.4との間、約2.8と約3.3との間、約2.8と約3.2との間、約2.8と約3.1との間、約2.8と約3.0との間、約2.9と約3.5との間、約2.9と約3.4との間、約2.9と約3.3との間、約2.9と約3.2との間、約2.9と約3.1との間、約3.0と約3.5との間、約3.0と約3.4との間、約3.0と約3.3との間、約3.0と約3.2との間、約3.1と約3.5との間、約3.1と約3.4との間、約3.1と約3.3との間、約3.2と約3.5との間、約3.4と約3.4との間、又は約3.3と約3.5との間)である、マンノース-6-リン酸対タンパク質のモル/モル比を有し得る。
【0105】
マンノース-6-リン酸対タンパク質のモル/モル比を決定するための例となる方法は実施例に記載される。さらなる方法は当該分野で公知である。
【0106】
機能的特性
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、以下の機能
的特徴の1つ又はそれ以上(例えば、1、2、又は3)を有し得る:それぞれFabrazyme(R)と比較して、マンノース-6-リン酸受容体を発現する哺乳動物細胞による増加したエンドサ
イトーシス(例えば、エンドサイトーシスの増加した速度)、アシアロ糖タンパク質受容体への減少した結合、及びマンノース-6-リン酸受容体に対する増加した親和性。
【0107】
マンノース-6-リン酸を発現する哺乳動物細胞における組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のエンドサイトーシス(例えば、エンドサイトーシスの速度)を決定するための方法は、当該分野で公知である(例えば、Osborne et al.、Curr. Protoc. Cell Biol.、Chapter 11、Unit 11.18、2005)。マンノース-6-リン酸受容体を発現する哺乳動物
細胞の非限定的な例としては、線維芽細胞及び上皮細胞が挙げられる。当該分野で公知のように、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のエンドサイトーシスは、組織
培養培地(又は哺乳動物の血清)中のタンパク質のレベルの減少、マンノース-6-リン酸受
容体を発現する哺乳動物細胞における組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の
リソソームレベル若しくは細胞内レベルの増加により、又は間接的に、例えば、接触した哺乳動物細胞若しくは組織培養培地(又は哺乳動物の血清)中の末端α-ガラクトシル残基
を有するスフィンゴ糖脂質脂質(例えばグロボトリアオシルセラミド(GL-3))の蓄積の減少として、検出され得る。組織培養培地(又は哺乳動物の血清)中の組み換えヒトα-ガ
ラクトシダーゼ-Aタンパク質のレベルの減少は、例えば、抗体ベースのアッセイ(例えば
、酵素結合免疫吸着測定法)又は活性アッセイ(例えば、基質としてpNP又は4MUを使用する活性アッセイ)を使用して測定され得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質に結合する抗体の例は、Millipore、LifeSpan BioSciences、Inc.、Thermo Scientific Pierce Antibodies、Acris Antibodies GmbH、及びR&D Systemsから入手可能である。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のリソソームレベル又は細胞内レベルを決定
するための方法としては、例えば、免疫蛍光顕微鏡、細胞透過処理、及び免疫ブロット法、ならびに/又は細胞若しくはリソソーム溶解物の質量分析の使用を挙げることができる
。グロボトリアオシルセラミド(GL-3)の蓄積の減少は、例えば、組織培養培地中若しくは
哺乳動物の血清中のGL-3のレベルを経時的に質量分析を使用して検出することにより(例
えば、Kim et al.、Korean J. Intern. Med. 25:415-421、2010)又は抗体ベースのアッセイ(例えば、米国特許出願公開第2012/0178105号)により決定され得る。各例において、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のエンドサイトーシスをFabrazyme(R)と比
較することができる。
【0108】
タンパク質(例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質)のアシアロ糖タ
ンパク質受容体に結合する能力を決定するための方法は当該分野で公知である。例えば、アシアロ糖タンパク質受容体への組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の結合
を測定するためのアッセイは、アシアロ糖タンパク質を発現する細胞(例えば、肝細胞)を接触させる工程を含み得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のアシアロ
糖タンパク質受容体への結合はまた、表面プラズモン共鳴(例えば、Biacore technology)(例えば、Stokmaier et al.、Bioorg. Med. Chem. 17:7254-7264、2009を参照のこと)又
はKornilovaら(Anal. Biochem. 425:43-46、2012)により記載される蛍光偏光アシアロ糖
タンパク質受容体結合アッセイを使用して測定され得る。いずれの場合にも、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のアシアロ糖タンパク質受容体への結合はFabrazyme(R)と比較され得る。
【0109】
組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のマンノース-6-リン酸受容体への結合を測定するための方法は、組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を、マンノース-6-リン酸受容体を発現する細胞(例えば、線維芽細胞又は内皮細胞)と接触させる工程を含むア
ッセイを使用して行われ得る。他の例において、組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパ
ク質のマンノース-6-リン酸受容体への結合は、表面プラズモン共鳴(例えば、Biacore技
術)又はアフィニティークロマトグラフィー法を使用して決定され得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のマンノース-6-リン酸受容体への結合はFabrazyme(R)と
比較され得る。
【0110】
例となる組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、約0.1%と約1.6%との間(例えば、約0.1%と約1.3%との間又は約0.1%と約1.0%との間)の、モノシアル化
オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク
3)である総N-連結オリゴ糖の割合、及び約7.5%より大きい(例えば、約8.5%より大きい、約9.0%より大きい、又は約9.5%より大きい)、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク11)である総N-
連結オリゴ糖の割合を有し得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質はさら
に、約13.0%より大きい(例えば、約13.5%より大きい、約14.0%より大きい、約14.5%より
大きい、約15.0%より大きい、約15.5%より大きい、又は約16.0%より大きい)、ビシアル化フコース含有オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングに
おけるピーク4)である総N-連結オリゴ糖の割合、及び約2.0%より大きい(例えば、約2.5%より大きい、約3.0%より大きい、約3.5%より大きい、約4.0%より大きい、約4.5%より大きい、約5.0%より大きい、約5.5%より大きい、約6.0%より大きい、約6.5%より大きい、又は約7.0%より大きい)、フォーム2の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク6’)である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0111】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質はさらに、以下の物理的特徴の1つ又
はそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又は9)を有し得る: 約0.1%と約3.9%との間(例えば、約0.1%と約3.5%との間、約0.1%と約3.0%との間、約0.1%と約2.5%との間
、又は約0.1%と約2.0%との間)の、中性荷電オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク1)である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と
約3.0%との間(例えば、約0.1%と約2.5%との間、又は約0.1%と約2.0%との間)の、モノシアル化フコース含有オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリン
グにおけるピーク2)である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と約5.3%との間(例えば、約0.1%と約5.0%との間、約0.1%と約4.5%との間、約0.1%と約4.0%との間、約0.1%と約3.5%と
の間、約0.1%と約3.0%との間、又は約0.1%と約2.5%との間)である、ビシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク5)である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と約9.0%との間(例えば、約0.1%と約8.5%との間、約0.1%
と約8.0%との間、約0.1%と約7.5%との間、約0.1%と約7.0%との間、約0.1%と約6.5%との間、約0.1%と約6.0%との間、約0.1%と約5.5%との間、約0.1%と約5.0%との間、約0.1%と約4.5%との間、約0.1%と約4.0%との間、約0.1%と約3.5%との間、約0.1%と約3.0%との間、約0.1%と約2.5%との間、又は約0.1%と約2.0%との間)である、フォーム1の三本触角性トリシ
アル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおける
ピーク6)である総N-連結オリゴ糖の割合;約0.1%と約7.0%との間(例えば、約0.1%と約6.5%との間、約0.1%と約6.0%との間、約0.1%と約5.5%との間、約0.1%と約5.0%との間、約0.1%と約4.5%との間、又は約0.1%と約4.0%との間)である、マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク7)である総N-連結オリゴ糖の割合;約14.8%より大きい(例えば、約15.0%より大きい、約15.5%より大
きい、約16.0%より大きい、約16.5%より大きい、約17.0%より大きい、約17.5%より大きい、約18.0%より大きい、約18.5%より大きい、約19.0%より大きい、約19.5%より大きい、約20.0%より大きい、約20.5%より大きい、約21.0%より大きい、約21.5%より大きい、約22.0%より大きい、約22.5%より大きい、又は約23.0%より大きい)、モノリン酸化オリゴ糖(例
えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク8)である総N-連結オリゴ糖の割合;約4.9%より大きい(例えば、約5.0%より大きい、約5.5%より大きい、約6.0%より大きい、約6.5%より大きい、約7.0%より大きい、約7.5%より大きい、又は約8.0%より大きい)、テトラシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク9)である総N-連結オリゴ糖の割合;及び約8.2%より大
きい(例えば、約8.5%より大きい、約9.0%より大きい、約9.5%より大きい、又は約10.0%より大きい)、モノシアル化モノリン酸化ハイブリッドオリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク10)である総N-連結オリゴ糖の割合
。
【0112】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質はまた、以下の機能的特徴の1つ又は
それ以上を有し得る: Fabrazyme(R)と比較して、マンノース-6-リン酸受容体を発現する
哺乳動物細胞による増加したエンドサイトーシス(例えば、エンドサイトーシスの増加した速度)、アシアロ糖タンパク質受容体への減少した結合、及びマンノース-6-リン酸受
容体への増加した親和性。
【0113】
他の例において、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、Fabrazyme(R)よ
り小さい、モノシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファ
イリングにおけるピーク3)である総N-連結オリゴ糖の割合、及びFabrazyme(R)より大き
い、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プ
ロファイリングにおけるピーク11)である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。組み換え
ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質はまた、Fabrazyme(R)とほぼ同じか又はFabrazyme(R)より大きい、ビシアル化フコース含有オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク4)である総N-連結オリゴ糖の割合、及びFabrazyme(R)より大きい、フォーム2の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク6')である総N-連結オリゴ糖の割合を有し得る。
【0114】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質はまた、以下の構造的特徴の1つ又は
それ以上を有し得る: Fabrazyme(R)より小さい、中性荷電オリゴ糖(例えば、アントラニ
ル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク1)である総N-連結オリゴ糖の
割合;Fabrazyme(R)とほぼ同じか又はFabrazyme(R)より小さい、モノシアル化フコース含有オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピー
ク2)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)より小さい、ビシアル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク5)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)より小さい、フォーム1の三本触角性トリシアル化
オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク
6)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)とほぼ同じか又はFabrazyme(R)より小
さい、マンノース-6-リン酸オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおけるピーク7)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)より大きい
、モノリン酸化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリング
におけるピーク8)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)より大きい、テトラシ
アル化オリゴ糖(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイリングにおける
ピーク9)である総N-連結オリゴ糖の割合;及びFabrazyme(R)より大きい、モノシアル化
モノリン酸化ハイブリッド構造(例えば、アントラニル酸標識N-連結オリゴ糖プロファイ
リングにおけるピーク10)である総N-連結オリゴ糖の割合。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質はまた、以下の機能的特徴の1つ又はそれ以上を有し得る: それぞれFabrazyme(R)と比較して、マンノース-6-リン酸受容体を発現する哺乳動物細胞による増
加したエンドサイトーシス(例えば、増加したエンドサイトーシスの速度)、アシアロ糖タンパク質受容体への減少した結合、及びマンノース-6-リン酸受容体への増加した親和性
。
【0115】
発現ベクター
本発明の組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列(例えば、cDNA)を含有する発現ベクターもまた本明細書で提供される。例えば、発現ベクターは、配
列番号1と少なくとも90%同一(例えば、少なくとも90%、92%、94%、96%、98%、99%又は100%同一)である組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列(例え
ば、cDNA)を含み得る。その配列に加えて、発現ベクターは、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたプロモーター(及び場合により1つ又はそれ以上のエンハンサー配列)を含み得る。発現ベクターは、組み
換えタンパク質をコードする配列(例えば、cDNA)の5'末端に作動可能に連結されたTTG開始コドンを有するヒトCD52タンパク質のペプチドをコードする配列、及び組み換えタンパク質をコードする配列(例えば、cDNA)の3'末端に作動可能に連結されたポリ(A)認識部
位をコードする配列を含み得る。発現ベクターは、哺乳動物選択マーカー(例えば、ヒト
又はイヌ合成酵素タンパク質)をコードする配列(例えば、cDNA)、及び哺乳動物選択マー
カーをコードする配列(例えば、cDNA)の5'末端に作動可能に連結されたプロモーター配
列、及び場合により、哺乳動物選択遺伝子をコードする配列(例えば、cDNA)の3’末端に両方とも作動可能に連結されたSV40初期イントロン配列及びポリ(A)シグナル配列を含み
得る。発現ベクターは:原核生物選択遺伝子(例えば、アンピシリン抵抗性遺伝子)をコードする配列の5'末端に作動可能に連結された原核生物プロモーター配列、複製配列の原
核生物起点、及び複製配列の真核生物起点の1つ又はそれ以上(例えば、2又は3)を含み得る。
【0116】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列(例えば、cDNA)に作
動可能に連結され得るプロモーター配列(及び場合により1つ又はそれ以上のエンハンサー配列)の非限定的な例としては:サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、リボソーム
タンパク質21(rpS21)プロモーター、ハムスターβ-アクチンプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(例えば、CMV最初期プロモーター(例えば、Teschendorf et al.、Anticancer Res. 22:3325-3330、2002を参照のこと)、ユビキチンC(UBC)プロモータ
ー、伸長因子1-α(EF1A)プロモーター、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PCK)プロモーター、マウスCMV由来のIE2プロモーター/エンハンサー領域(例えば、Chatellard et al.、Biotechnol. Bioeng.96:106-117、2007を参照のこと)、及びニワトリβ-ア
クチンプロモーターが挙げられる。本明細書に記載される発現ベクターのいずれかにおいて使用され得るヒト遺伝子プロモーターのさらなる非限定的な例は、哺乳動物プロモーターデーターベース(Mammalian Promoter Database)(mrpombdb.wister.upenn.eduにおけ
るWistar Instituteウェブサイト)に記載される。発現ベクターにおいて使用され得る哺
乳動物プロモーター配列のさらなる例は、当該分野で公知である。発現プラスミドにおいて使用され得るプロモーター及びエンハンサーの1つの非限定的な例は、CMVエンハンサ
ーを伴うニワトリβ-アクチンプロモーター(当該分野においてCAGGプロモーターとして知られる)である。本明細書で提供される発現ベクターは、rpS21プロモーター、ハムスターβ-アクチンプロモーター、又はヒト組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列(例えば、cDNA)の5'末端に作動可能に連結したSV40初期プロモーター配列、ヒ
ト組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする核酸(例えば、cDNA)(例えば、本明細書で記載されるヒト組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする核酸
のいずれか)の5'末端に作動可能に連結されたTTG開始コドンを有するヒトCD52タンパク
質のペプチドをコードする配列、及び組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を
コードする核酸配列の3'末端に作動可能に連結されるポリ(A)認識部位を含有する配列
を含み得る。
【0117】
ポリ(A)認識部位配列の非限定的な例は、ウシ成長ホルモンポリ(A)認識部位である。ヒトポリ(A)認識部位の構造的特徴は、Nunes et al.、EMBO J. 29:1523-1536、2010に記載
される。さらなるポリ(A)認識部位は当該分野で周知である。
【0118】
いくつかの例において、発現ベクターは、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパ
ク質をコードする配列(例えば、cDNA)の5'末端に両方とも作動可能に連結された、ハム
スターβ-アクチンプロモーター及びTTG開始コドンを有するヒトCD52タンパク質のペプチドをコードする配列、並びにSV40初期イントロン及び組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列(例えば、cDNA)の3'末端に作動可能に連結されたポリ(A)認識配列を含む。
【0119】
いくつかの発現ベクターは、哺乳動物選択遺伝子をコードする配列を含み得る。哺乳動物選択遺伝子の非限定的な例としては: ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ハイドロマイシン(hydromycin)耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ゼオシン(zeocin)耐性遺伝子、グルタミン合成酵素遺伝子、ジヒドロ葉酸耐性遺伝子、及びヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が挙げられる。これらの哺乳動物選択遺伝子をコードする配列の例は当該分野で公知である。哺乳動物選択遺伝子をコードする配列の5'末端は、プロモーター(例えば、本明細書に記載されるか又は
当該分野で公知の例となるプロモーターのいずれかに作動可能に連結され得る。
【0120】
いくつかの発現ベクター(例えば、本明細書に記載される発現ベクターのいずれか)は、複製配列の哺乳動物起点及び/又は複製配列の原核生物起点を含み得る。複製配列の哺乳動物起点は当該分野で公知である(例えば、Todorovic et al.、Front. Biosci.4:D859-D568、1999;Aladjem、Front. Biosci. 9:2540-2547、2004;Hamlin、Bioessays 14:651-659、1992)。複製配列の原核生物起点も当該分野で公知である(例えば、Marczynski et al.、Curr. Opin. Genet. Dev. 3:775-782、1993)。
【0121】
ベクターの非限定的な例はプラスミドである。本明細書で提供されるプラスミドの非限定的な例を
図3及び4に示す。
図3は、以下のエレメントをコードするプラスミドを示す:組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする核酸(例えば、cDNA)、ヒト
α-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする核酸の5'末端に連結されたプロモーター(例えば、ハムスターβ-アクチンプロモーター)、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたTTG開始コドンを有するヒトCD52のペプチドをコードする配列、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコ
ードする第二のものの3'末端に作動可能に連結されたポリ(A)認識配列(例えば、SV40初
期ポリ(A)認識配列)、哺乳動物選択遺伝子(マーカー)をコードする核酸配列(例えば、
ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子又はヒト若しくはイヌグルタミン合成酵素遺伝子)、及び哺
乳動物選択遺伝子(マーカー)をコードする核酸配列の5'末端に作動可能に連結された
プロモーター配列(例えば、SV40初期プロモーター)。
図4は:組み換えヒトα-ガラクトシ
ダーゼ-Aタンパク質をコードする配列、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質
をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたプロモーター配列(例えば、CMVプロ
モーター及びイントロン)、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列の3'末端に作動可能に連結されたポリ(A)認識配列(例えば、SV40初期ポリ(A)認識配列)、哺乳動物選択遺伝子(マーカー)(例えば、グルタミン合成酵素)をコードする配列、
哺乳動物選択遺伝子(マーカー)をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたプロ
モーター配列(例えば、SV40プロモーター)、複製配列の原核生物起点、原核生物選択遺伝子(マーカー)(例えば、アンピシリン耐性遺伝子)をコードする配列、原核生物選択遺伝子(マーカー)の5'末端に作動可能に連結された原核生物プロモーター配列、及び複製
配列の真核生物起点を含む発現プラスミドを含む発現プラスミドを示す。
【0122】
発現ベクターはウイルスベクターでもよい。ウイルスベクターの非限定的な例としては、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、及びレトロウイルスベクターが挙げられる。発現ベクターはプラスミドでもコスミドでもよい。
【0123】
宿主細胞
本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配
列を含む宿主細胞も本明細書で提供される。配列はプロモーター配列(例えば、本明細書
に記載される例となるプロモーター配列のいずれか、又は当該分野で公知のウイルス若しくは哺乳動物プロモーター配列のいずれか)に作動可能に連結される。例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列、及び組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたプロモーター
配列の配列は、宿主細胞中の染色体内に組み込まれ得る。他の例において、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列、及び組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質をコードする配列の5'末端に作動可能に連結されたプロモーター配列
は、宿主細胞内の発現ベクター(例えば、本明細書で既視される発現ベクターのいずれか
)中に存在する。
【0124】
核酸(例えば、本明細書に記載される核酸又は発現ベクターのいずれか)を細胞(例えば
、哺乳動物宿主細胞)に導入するための方法は当該分野で公知である。例えば、核酸は、
リポフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、ウイルス(例えば、レトロウイルス)形質導入、DEAE-デキストラン媒介細胞トランス
フェクション、デンドリマー媒介トランスフェクション、超音波穿通(sono-poration)
、光学トランスフェクション、インペイルフェクション(impalefection)、水力学的送
達、マグネトフェクション、又は弾道的トランスフェクション(ballistic transfection)を使用して細胞に導入され得る。
【0125】
宿主細胞はいずれの種類の哺乳動物細胞でもよい。例えば、宿主細胞は、細胞株、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO DG44細胞、CHO-K1s細胞、C02.31クローン細胞、A14.13クローン細胞、C02.57クローン細胞、及びF05.43クローン細胞)、
Sp2.0、骨髄腫細胞(例えば、NS/0)、B細胞、ハイブリドーマ細胞、T細胞、ヒト胎児由来
腎臓(HEK)細胞(例えば、HEK 293E及びHEK 293F)、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero)細胞、又はメイディン・ダービー・イヌ(Cocker Spaniel)腎臓上皮細胞(MDCK)細胞であ
り得る。本明細書に記載される方法を使用して培養され得るさらなる哺乳動物細胞は当該分野で公知である。宿主細胞は、例えば、上皮細胞、内皮細胞、リンパ球、腎細胞、肺細胞、T細胞、骨髄腫細胞、又はB細胞であり得る。いくつかの宿主細胞は、懸濁細胞培養又は接着細胞培養で増殖され得る。
【0126】
哺乳動物細胞株を生成する方法
糖タンパク質(例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質、表1に列挙される他の酵素のいずれか、又は当該分野で公知の他の糖タンパク質のいずれか)の組み換
え発現に有用な哺乳動物細胞を生成する方法も本明細書に提供される。
図5は、組み換え
糖タンパク質の発現について最適化された親細胞を生成するために使用され得る工程を示すフローチャートである。これらの方法は、血清依存性不死化細胞株を提供すること、及び: (1) 第一の濃度(1倍)の動物血清を含む細胞培養液中で約5日~約30日間(例えば、約5日~約25日間、約5日~約20日間、約5日~約15日間、約5日~約12日間、約5日~約11日間、約5日~約10日間、約5日~約9日間、約5日~約8日間、又は約5日~約7日間);(2) 約0.2倍~約0.4倍(例えば、約0.2倍~約0.3倍)濃度の動物血清を含む細胞培養液中で約5日~
約30日間(例えば、約5日~約25日間、約5日~約20日間、約5日~約15日間、約5日~約12
日間、約5日~約11日間、約5日~約10日間、約5日~約9日間、約5日~約8日間、又は約5
日~約7日間);そして(3) 約0.01倍~約0.25倍(例えば、約0.01倍~約0.20倍、約0.01倍
~約0.15倍、又は約0.01倍~約0.08倍)の動物血清を含む細胞培養液中で約5日~約30日間(例えば、約5日~約25日間、約5日~約20日間、約5日~約15日間、約5日~約12日間、約5日~約11日間、約5日~約10日間、約5日~約9日間、約5日~約8日間、又は約5日~約7日
間)、哺乳動物細胞株を連続的に培養すること、連続的に培養した後に培養物から単細胞
クローン培養物を生成すること、並びに許容しうるトランスフェクション効率、無血清培地での細胞増殖、及び組み換えタンパク質発現を有するサブクローンを選択すること;並びに無タンパク質無血清で化学的に規定された培地中で約5日~約30日間(例えば、約5日
~約25日間、約5日~約20日間、約5日~約15日間、約5日~約12日間、約5日~約11日間、約5日~約10日間、約5日~約9日間、約5日~約8日間、又は約5日~約7日間)、選択されたサブクローンを培養すること;無タンパク質無血清で化学的に規定された培地中で培養した後培養物から単細胞サブクローン培養物を生成すること;並びに糖タンパク質についての許容しうるトランスフェクション効率、ピーク細胞密度、成長特性、体積生産性速度(VPR)、及びグリコシル化プロフィールを有するサブクローンを選択することを含み得、ここで(f)の選択されたサブクローンは、糖タンパク質の組み換え発現に有用である。
【0127】
糖タンパク質(例えば、本明細書に記載されるか又は当該分野で公知の組み換えタンパ
ク質のいずれか)の組み換え発現に有用な哺乳動物細胞株を生成する方法もまた提供され
、該方法は:(a) 血清依存性不死化細胞株を供給すること、及び哺乳動物細胞株を:(1) 第一の濃度(1倍)(例えば、約5%)の動物血清(例えば、ウシ胎仔血清)を含む細胞培養液中で
約1日~約30日間(例えば、約2日~約25日間、約2日~約20日間、約2日~約15日間、約2日~約12日間、約2日~約11日間、約2日~約10日間、約2日~約9日間、約2日~約8日間、又は約2日~約7日間);(2) 約0.2倍~約0.6倍(例えば、約0.2倍~約0.5倍)濃度の動物血清(例えば、ウシ胎児血清)を含む細胞培養液中で約1日~約30日間(例えば、約2日~約25日間、約2日~約20日間、約2日~約15日間、約2日~約12日間、約2日~約11日間、約2日~約10日間、約2日~約9日間、約2日~約8日間、又は約2日~約7日間);そして(3) 約0倍~約0.20倍(例えば、約0倍~約0.15倍、約0倍~約0.10倍、又は約0倍~約0.05倍)の動物血清(
例えば、ウシ胎児血清)を含む細胞培養液中で約5日~約30日間(例えば、約5日~約25日間、約5日~約20日間、約5日~約15日間、約5日~約12日間、約5日~約11日間、約5日~約1
0日間、約5日~約9日間、約5日~約8日間、又は約5日~約7日間)、連続的に培養すること;(b) 連続的に培養した後、培養物から単細胞サブクローン培養物を生成すること、そして許容しうるトランスフェクション効率、無血清培地での細胞増殖、及び組み換えタンパク質発現を有するサブクローン培養物を選択すること(例えば、他の試験されたサブクロ
ーン培養物と比較して、最良のトランスフェクション効率、細胞増殖、及び組み換えタンパク質発現を有するサブクローン培養物を選択すること);(c) (b)において選択されたサブクローン培養物から単細胞サブクローン培養物を生成すること;並びに(d) 許容しうるトランスフェクション効率、ピーク細胞密度(例えば、無血清培地におけるピーク細胞密
度)、増殖特性(例えば、無血清培地中での増殖)、体積生産性速度(volumetric productivity rate)(VPR)、及び組み換えタンパク質発現を有する(c)において生成された単細胞サブクローン培養物を選択することを含み、ここで(d)の選択されたサブクローンは、
糖タンパク質の組み換え発現に有用である(例えば、他の試験されたサブクローン培養物
と比較して、最良のトランスフェクション効率、ピーク細胞密度、増殖特性、VPR、及び
組み換えタンパク質発現を有するサブクローン培養物)。
【0128】
本明細書に記載される方法のいずれかにより製造された哺乳動物細胞又は哺乳動物細胞株もまた本明細書で提供される。本明細書に記載される方法のいずれかにおいて使用され得る血清依存性不死化細胞株の非限定的な例としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、骨髄腫細胞、B細胞、ハイブリドーマ細胞、T細胞、ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞、アフリカミドリザル腎臓上皮細胞(Vero)細胞、及びメイディン・ダービー・イヌ(コッカ
ースパニエル)腎臓上皮細胞(MDCK)細胞が挙げられる。本明細書に記載される方法のいず
れかにおいて使用され得る他の血清依存性不死化細胞株は当該分野で公知である。例えば、血清依存性不死化細胞株は、上皮細胞株、内皮細胞株、リンパ球細胞株、腎臓細胞株、肺細胞株、T細胞株、骨髄腫細胞株、又はB細胞株であり得る。いくつかの例において、血清依存性不死化細胞株は、懸濁液中で増殖する。他の例において、血清依存性不死化細胞株は、接着細胞培養で増殖する。
【0129】
いくつかの例において、血清依存性不死化細胞株は、ジヒドロ葉酸還元酵素を内因的に発現しない。選択されたサブクローン(これらの方法において選択された第一又は第二の
サブクローンのいずれか)が懸濁液中で増殖し得る。
【0130】
不死化細胞株を培養するための方法は当該分野で公知である。トランスフェクション有効性、無血清培地での細胞増殖、組み換えタンパク質発現、ピーク細胞密度(例えば、ピ
ーク生細胞密度)、細胞増殖特性、体積生産性速度、及び産生された組み換えタンパク質
のグリコシル化プロフィールを決定するための方法は当該分野で周知である。例えば、トランスフェクション効率は、細胞中にトランスフェクトされた発現プラスミド中のレポーター遺伝子の発現レベルを検出することにより決定され得る(例えば、このようなレポー
ター遺伝子の発現は、蛍光支援細胞選別(fluorescence-assisted cell sorting)を使用して検出され得る)。組み換えタンパク質発現は、例えば、組み換えタンパク質に特異的
に結合する抗体を使用して組織培養物中又は細胞内に存在する組み換えタンパク質を検出することにより決定され得る。組み換えタンパク質発現は、例えば、抗体又は酵素(例え
ば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は
図1に列挙される酵素のいずれ
か)の一方又は両方であり得る。ピーク細胞密度及び細胞増殖は、例えば、細胞培養にお
いて経時的に(例えば、血球計数器又は他の市販の自動化細胞計数機を使用して)細胞密度(例えば、生細胞密度)を測定することにより評価され得る。細胞の体積生産性速度は、細胞培養液中又は細胞内に存在する組み換えタンパク質のレベルを経時的に評価することにより、当該分野で公知の方法を使用して決定され得る。細胞により酸性された組み換え糖タンパク質のグリコシル化プロフィールは、例えば、本明細書の実施例のセクションにおいて記載される方法のいずれか(例えば、2-アミノ安息香酸(AA)誘導体化及びレーザー誘
導蛍光検出を用いたキャピラリー電気泳動)を使用して決定され得る。
【0131】
当該分野で周知のように、本明細書に記載される方法により製造された哺乳動物細胞株は、低温で(例えば、-20℃未満、-30℃未満、-40℃未満、-50℃未満、-60℃未満、-70℃
未満、又は-80℃未満)将来の使用のために保存され得る。低温での貯蔵のための哺乳動物細胞株のストックを準備するための方法は、例えばHewitt、Methods Mol. Biol. 640:83-105、2010、及びPhelan、Curr. Protoc. Hum. Genet. Apendix 3:3G、2006に記載される
。いくつかの例において、本明細書に記載される方法により製造された哺乳動物細胞株は、血清含有及び/又は血清含有培地に(例えば、貯蔵前かつ/又は貯蔵後に)曝露されない。いくつかの例において、本明細書に記載された哺乳動物細胞株は、動物由来の成分(ADC)を含まない培地においてのみ培養される。いくつかの例において、本明細書に記載され
た方法により製造された哺乳動物細胞株は、無血清無タンパク質で化学的に規定された増殖培地でのみ培養される。
【0132】
組み換え糖タンパク質の製造方法
組み換え糖タンパク質(例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質、
図1に記載される酵素のいずれか、又は当該分野で公知のいずれかの組み換え糖タンパク質)
の製造方法もまた本明細書に提供される。これらの方法は、本明細書に記載される方法のいずれかにより製造された哺乳動物細胞を供給すること、糖タンパク質(例えば、組み換
えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質、
図1に記載される酵素のいずれか、及び当該
分野で公知のいずれかの他の糖タンパク質)をコードする配列を含む核酸(例えば、発現
ベクター)を細胞に導入すること、糖タンパク質を製造するために十分な条件下で無血清培地中で細胞を培養すること、及び細胞又は増殖培地から糖タンパク質を採取することを含む。本明細書に記載される方法のいずれかにより製造された組み換え糖タンパク質(例
えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質)もまた提供される。
【0133】
場合によっては、糖タンパク質をコードする配列を含む核酸は発現ベクター(例えば、
本明細書に記載される発現ベクターのいずれか)である。他の例において、糖タンパク質
をコードする配列を含む核酸は、哺乳動物細胞の染色体に組み込まれている。
【0134】
いくつかの例において、培養は懸濁細胞培養を使用して行われる。他の例において、培養は、哺乳動物細胞の付着及び増殖を可能にする表面を有する複数のマイクロキャリアを使用して行われる。複数のマイクロキャリアは、例えば、約20μm~約1mmの間(例えば、20μmと約250μmとの間、約100μm~約250μmの間、約150μm~約250μmの間、約250μmと500μmとの間、約200μm~約300μmの間、約750μmと1mmとの間、約200μm~約800μmの
間、約200μmと約500μmとの間、又は約500μmと約800μmとの間)の平均直径を有し、こ
こでマイクロキャリアは、哺乳動物細胞(例えば、本明細書に記載されるか又は当該分野で公知の哺乳動物細胞のいずれか)の接着を許容するか又は促進する表面を有する。いくつかの例において、マイクロキャリアは、1つ又はそれ以上の孔(例えば、約10μm~約100μmの平均直径を有する1つ又はそれ以上の孔)を含み得る。場合によっては、マイクロキャリアの表面及び/又は複数のマイクロキャリアにおける1つ若しくはそれ以上の孔の表面は、マイクロキャリアへの哺乳動物細胞の接着(例えば、マイクロキャリアの外面及び
/又はマイクロキャリアの孔の表面への接着)を促進する薬剤で被覆される。マイクロキャリアはほぼ球状又は楕円体の形状であり得る。いくつかの実施態様において、マイクロキャリアは、正に荷電された(例えば、N,N-ジエチルアミノエチル基の存在に起因して正に荷電された)外面及び/又はマイクロキャリア孔を有する。本明細書に記載される方法
のいずれかにおいて使用され得る非限定的な例となるマイクロキャリアとしては、CytoPoreTM 1及びCytoPoreTM 2 (GE Healthcare、Life Sciences、Piscataway、New Jerseyから入手可能)が挙げられる。培養に使用され得るマイクロキャリアのさらなる例は、公開で
利用可能であるか当該分野で公知である。
【0135】
いくつかの例において、培養はバイオリアクターを使用して行われる。バイオリアクターは、例えば、約1L~約10,000Lの間(例えば、約1L~約50Lの間、約50L~約500Lの間、約500L~約1000Lの間、500L~約5000Lの間、約500L~約10,000Lの間、約5000L~約10,000L
の間、約1Lと約10,000Lとの間、約1Lと約8,000Lとの間、約1Lと約6,000Lとの間、約1Lと
約5,000Lとの間、約100Lと約5,000Lとの間、約10Lと約100Lとの間、約10Lと約4,000Lとの間、約10Lと約3,000Lとの間、約10Lと約2,000Lとの間、又は約10Lと約1,000Lとの間)の体積を有し得る。バイオリアクター中に存在する液体培地の量は、例えばおよそ約0.5L~約5,000Lの間(例えば、約0.5L~約25Lの間、約25L~約250Lの間、約250L~約500Lの間、250L~約2500Lの間、約250L~約5,000Lの間、約2500L~約5,000Lの間、約0.5Lと約5,000Lと
の間、約0.5Lと約4,000Lとの間、約0.5Lと約3,000Lとの間、約0.5Lと約2,500Lとの間、約50Lと約2,500Lとの間、約5Lと約50Lとの間、約5Lと約2,000Lとの間、約5Lと約1,500Lとの間、約5Lと約1,000Lとの間、又は約5Lと約500Lとの間)であり得る。細胞の培養は、例え
ば、流加バイオリアクター又は灌流バイオリアクターを使用して行われ得る。培養は、流加培養又は灌流培養により(例えば、バイオリアクターにおいて)行われ得る。
【0136】
本明細書に記載されるバイオリアクターのいずれかの内部表面は、少なくとも1つのコーティング(例えば、ゼラチン、コラーゲン、ポリ-L-オルニチン、ポリスチレン、及びラミニンの少なくとも1つのコーティング)、並びに当該分野で公知のように、O2、CO2、及びN2の液体培地への注入のための1つ又はそれ以上のポート、及び液体培地を撹拌するた
めの撹拌機構を有し得る。バイオリアクターは、制御された過湿雰囲気下で(例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%より高い湿度で、又は100%の湿度で)細胞培養物をインキュベートし得る。バイオリアクターはまた、ある体積の
液体培地をバイオリアクターから除去することができる機械装置、及び場合により、バイオリアクターからの液体培地の移送の過程の間に液体培地から細胞を除去する機械装置内のフィルター(例えば、交互接線流(ATF)又は接線流ろ過(TFF)システム)を備え得る。培養は、バイオリアクター中の液体培地を、最大で又は約15%のCO2(例えば、最大で若しくは
約14% CO2、12% CO2、10% CO2、8% CO2、6% CO2、5% CO2、4% CO2、3% CO2、2% CO2、又
は最大で若しくは約1%のCO2)を含む雰囲気に曝露することを含む。
【0137】
培養は約31℃~約40℃で行われ得る。当業者には当然のことながら、温度は培養の間特定の時点で、例えば、1時間毎又は毎日変化し得る。例えば、温度は、バイオリアクター
に哺乳動物細胞を最初に播種した約1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7
日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、又は約20日後又はそれ以上後)に、変化又はシフト
し得る(例えば、増加又は減少)。例えば、温度は、上方に(例えば、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19℃まで若しくは約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19℃の、又は約20℃まで若しくは約20℃の変化)シフトされ得る。例えば、温度は、下方に(例えば、0.05℃より大きい、又は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は約20℃まで若しくは約20℃の変化)シフトされ得る。
【0138】
培養は、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地を使用して行われ得る。このような培地の非限定的な例は当該分野で公知であり、市販されている。有用な培地の非限定的な例としては、例えば、CD CHO、Opti CHO、及びForti CHO(全てLife Technologies;Grand Island、NYから入手可能)、Hycell CHO培地(Thermo Fisher Scientific、Inc.;Waltham、MA)、Ex-cell CD CHO Fusion培地(Sigma-Aldrich Co.;St. Louis、MO)、及びPowe
rCHO培地(Lonza Group、Ltd.;Basel、Switzerland)が挙げられる。
【0139】
哺乳動物細胞は、本明細書に記載される哺乳動物細胞のいずれでもよい。例えば、哺乳動物細胞はCHO細胞であり得る。哺乳動物細胞は、ジヒドロ葉酸還元酵素を内因的に発現
しない細胞であり得る(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素を内因的に発現しないCHO細胞)。
【0140】
組み換え糖タンパク質は、酵素(例えば、ヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質、
図1
に記載されるタンパク質のいずれか、又は当該分野で公知のいずれかの他の糖タンパク質)でも、抗体又はその抗原結合フラグメントでもよい。いくつかの例において、核酸(例えば、発現ベクター)は、配列番号1と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%)同一である配列を含む。核酸(例えば、発現ベ
クター)は、糖タンパク質をコードする核酸の5'末端に作動可能に連結されたプロモーター配列、糖タンパク質をコードする核酸の5’末端に作動可能に連結されたTTG開始コド
ンを有するヒトCD52タンパク質のペプチドをコードする配列、及び糖タンパク質をコードする核酸の3'末端に作動可能に連結されたポリ(A)認識部位をコードする配列を含み得
る。例えば、プロモーター配列は、ハムスターrpS21プロモーター、ハムスターβ-アクチンプロモーター、及びSV40初期プロモーターからなる群より選択され得る。ポリ(A)認識
部位をコードする配列は、SV40初期ポリ(A)認識配列であり得る。いくつかの例において
、プロモーター配列は、ハムスターβ-アクチンプロモーターであり、かつポリ(A)認識配列はSV40初期ポリ(A)認識配列であり得る。いくつかの例において、核酸は、ヒト又はイ
ヌグルタミン合成酵素をコードする配列をさらに含む(例えば、この場合、ヒト又はイヌ
グルタミン合成酵素をコードする核酸の5'末端はSV40初期プロモーターに作動可能に連結され、かつヒト又はイヌグルタミン合成酵素をコードする核酸の3'末端は、SV40初期イ
ントロン及びポリ(A)シグナル配列に作動可能に連結される)。いくつかの例において、核酸は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)(例えば、ヒト又はマウスDHFR)をコードする配列をさらに含む(例えば、この場合、ジヒドロ葉酸還元酵素をコードする核酸の5'末端は、SV40
初期プロモーターに作動可能に連結され、かつジヒドロ葉酸還元酵素をコードする核酸の3'末端は、SV40初期イントロン及びポリ(A)シグナル配列に作動可能に連結される)。
【0141】
培養は灌流バイオリアクターを使用して行われ得る。灌流培養は当該分野で周知であり、そして第一の体積の第一の液体培地(例えば、いずれかの濃度の哺乳動物細胞を含むも
の、例えば、実質的に細胞を含まない第一の体積の第一の液体培地)をバイオリアクター
から除去すること、及び第一の液体培地に第二の体積の第二の液体培地を加えることを含む。除去及び加えることは、同時にもしくは連続して、又は2つの組み合わせで行われ得る。さらに、除去及び加えることは、継続的に(例えば、バイオリアクターの体積の0.1%
~800%の間(例えば、1%と700%との間、1%と600%との間、1%と500%との間、1%と400%との
間、1%と350%との間、1%と300%との間、1%と250%との間、1%と100%との間、100%と200%との間、5%と150%との間、10%と50%との間、15%と40%との間、8%と80%との間、及び4%と30%との間)の体積、又はいずれかの所定の期間にわたって(例えば、24時間の期間にわたって、約1時間~約24時間の徐々に増加する期間にわたって、又は24時間より長い徐々に増加
する期間にわたって)第一の液体培地の体積を除去して置き換える速度で)、又は周期的に(例えば、3日ごとに1回、1日おき、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4
回、又は1日に5回)、又はそれらのいずれかの組み合わせで行われ得る。周期的に行わ
れる場合、除去されるか又は置き換えられる体積は(例えば、約24時間の期間内、約1時間~約24時間の徐々に増加する期間内、又は24時間より長い徐々に増加する期間内)、例
えば、バイオリアクターの体積の0.1%~800%の間(例えば、1%と700%との間、1%と600%と
の間、1%と500%との間、1%と400%との間、1%と300%との間、1%と200%との間、1%と100%との間、100%と200%との間、5%と150%との間、10%と50%との間、15%と40%との間、8%と80%
との間、及び4%と30%との間)又は第一の液体培地体積であり得る。除去される第一の液体培地の第一の体積及び加えられる第二の液体培地の第二の体積は、場合によっては、培養
期間の全体又は一部にわたって、24時間の期間ごとに(またあるいは、約1時間~約24時間の徐々に増加する期間又は24時間より長い徐々に増加する期間)ほぼ同じに保持され
得る。当該分野で公知のように、第一の体積の第一の液体培地が除去される速度(体積/単位時間)及び第二の体積の第二の液体培地が加えられる速度(体積/単位時間)は変動し得る。第一の体積の第一の液体培地が除去される速度(体積/時間単位)及び第二の体積の第二
の液体培地が加えられる速度(体積/単位時間)は、ほぼ同じでも異なっていてもよい。
【0142】
あるいは、除去され加えられる体積は、培養期間の間に(例えば、24時間の期間(またあるいは、1時間と約24時間の間の徐々に増加する期間又は24時間より長い徐々に増加す
る期間)毎にわたって変化し得る(例えば徐々に増加する)。例えば、培養期間の間に2
4時間の期間(またあるいは、約1時間と24時間より長い時間との間の徐々に増加する期間若しくは24時間より長い徐々に増加する期間)ごと以内に除去される第一の液体培地
の体積及び加えられる第二の液体培地の体積は、バイオリアクターの体積又は第一の液体培地の体積の0.5%~約20%の間からバイオリアクターの体積又は第一の液体培地の体積の
約25%~約150%の間までである体積から、培養期間にわたって増加させることができる(例えば、徐々に、又は互い違いの増分により)。
【0143】
当業者には当然のことながら、第一の液体培地及び第二の液体培地は、同じ種類の培地(例えば、無血清又は無血清無タンパク質で化学的に規定された培地)であってもよい。他の場合には、第一の液体培地及び第二の液体培地は異なっていてもよい。
【0144】
第一の体積の第一の液体培地は、例えば、機械システムを使用して、及び/又はその体積に存在する哺乳動物細胞を排除する分子量カットオフを有する滅菌膜を通した体積の浸出若しくは重力流により除去され得る。
【0145】
第二の体積の第二の液体培地は、自動化された方法で、例えば、注入ポンプにより第一の液体培地に加えられ得る。場合によっては、第一の体積の第一の液体培地(例えば、実
質的に哺乳動物細胞を含まない第一の体積の第一の液体培地)を除去すること、及び第一
の液体培地に第二の体積の第二の液体培地を加えることは、バイオリアクターへの哺乳動物細胞の播種の少なくとも1時間以内には起こらない(例えば、2時間以内、3時間以内、4
時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、12
時間以内、14時間以内、16時間以内、18時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、72時間以内、96時間以内、又は96時間後)。
【0146】
あるいは又はさらに、培養は、流加バイオリアクターを使用して行われ得る。このような培養は当該分野で公知であり、そして培養期間の大部分にわたって、第一の液体培地に第二の体積の第二の液体培地を加えること(例えば、周期的又は連続的な添加)を含む。第二の液体培地の添加は、継続的に(例えば、バイオリアクターの体積又は第一の液体培
地の体積の0.1%~300%の間(例えば、1%と250%との間、1%と100%との間、100%と200%との
間、5%と150%との間、10%と50%との間、15%と40%との間、8%と80%との間、及び4%と30%との間)をいずれかの所定の期間にわたって(例えば、24時間にわたって、約1時間~約24時
間の徐々に増加する期間にわたって、又は24時間より長い徐々に増加する期間にわたって)加える速度で)又は周期的に(例えば、3日に1回、1日おきに、1日に1回、1日に2回、1日
に3回、1日に4回、又は1日に5回)、又はそれらのいずれかの組み合わせで行われ得る。周期的に行われる場合、加えられる体積(例えば、24時間以内、約1時間~約24時間の徐々に増加する期間内、又は24時間より長い徐々に増加する期間内)は、バイオリアクターの体
積又は第一の液体培地の体積の例えば、0.1%~300%の間(例えば、1%と200%との間、1%と100%との間、100%と200%との間、5%と150%との間、10%と50%との間、15%と40%との間、8%
と80%との間、及び4%と30%との間)であり得る。加えられる第二の体積の第二の液体培地
は、場合によって、培養期間の全体又は一部にわたって、各24時間(又は、あるいは、約1
時間~約24時間の徐々に増加する期間若しくは24時間より長い徐々に増加する期間)の間
ほぼ同じに保持され得る。当該分野で公知のように、第二の体積の第二の液体培地が加えられる速度(体積/単位時間)は、培養期間の全体又は一部にわたって変動し得る。例えば
、加えられる第二の液体培地の体積は、培養期間の間24時間ごとに(あるいは、1時間と約24時間との間の徐々に増加する期間又は24時間より長い徐々に増加する期間)わたって
変化し得る(例えば、徐々に増加する)。例えば、培養期間の間、各24時間(あるいは、約1時間と24時間超との間の徐々に増加する期間又は24時間より長い徐々に増加する期間)の
期間内に加えられる第二の液体培地の体積は、培養期間にわたって、バイオリアクターの体積又は第一の液体培地の体積の0.5%~約20%の間である体積から、バイオリアクターの
体積又は第一の液体培地の体積の約25%~約150%まで増加し得る(例えば、徐々に又は互い違いの増分により)。第二の体積の第二の液体培地が加えられる速度(体積/単位時間)は、培養期間の全体又は一部にわたってほぼ同じであり得る。
【0147】
当業者には当然のことながら、第一の液体培地及び第二の液体培地は、同じ種類の培地(例えば、無タンパク質培地又は無血清無タンパク質で化学的に規定された培地)であり得る。他の場合において、第一の液体培地は、第二の液体培地と異なる種類のものであり得る。第二の液体培地の体積は、自動化された方法で、例えば注入ポンプにより第一の液体培地に加えられ得る。
【0148】
場合によっては、第一の液体培地に第二の体積の第二の液体培地を加えることは、バイオリアクターに哺乳動物細胞を播種した少なくとも1時間後まで起こらないが7日は超えない(例えば、バイオリアクターの哺乳動物細胞の播種の後少なくとも2時間以内、3時間以
内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、12時間以内、14時間以内、16時間以内、18時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、72時間以内、96時間以内まで、又は96時間後であるが7日を超えない)。流加培養における細胞培養液は、典型的には培養期間の終わりに採取されるが、流加培養における細胞培養液は、培養期間の間の1つ又はそれ以上の時点で採取してもよい。
【0149】
当業者には当然のことながら、本明細書において示される培養についての様々なパラメータ(例えば、バイオリアクター、体積、速度又は培養体積置き換えの頻度、撹拌、温度
、培地、及び/又はCO2濃度)は、これらの方法を行う際に任意の組み合わせで使用され得る。
【0150】
組み換え糖タンパク質を単離するさらなる工程が行われ得る。当該分野で周知のように、このような方法は糖タンパク質の物理特性及び活性によって異なる。例えば、糖タンパク質の結合特異性(例えば、基質又は抗原結合活性)、正味荷電、及び/又はサイズのようなパラメータは、組み換え糖タンパク質を(例えば、培地又は細胞から)単離するための工程を設計する場合に考慮されるべきである。以下の方法のいずれかの1つ又はそれ以上が
組み換え糖タンパク質(例えば、本明細書に記載される方法のいずれかを使用して製造さ
れた組み換え糖タンパク質)を単離するために使用され得る:アフィニティーカラムクロマトグラフィー、イオン(例えば、カチオン又はアニオン)交換カラムクロマトグラフィー、サイズ排除カラムクロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィー、ろ過、及び沈殿。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を単離するための非限定的な方法は実
施例に記載される。
【0151】
いくつかの例において、液体培地から組み換え糖タンパク質を単離することは、統合された連続的な方法(例えば、少なくとも2つのマルチカラムクロマトグラフィーシステム(MCCS)の使用を含む方法)を使用して行われ得る。組み換え糖タンパク質を単離するための統合された連続的な方法の非限定的な例は、米国仮特許出願第61/775,060号及び同第61/856,390号、並びにWO 14/137903に記載される。本明細書で提供されるrhAGAを液体培地か
ら単離するための統合された連続的な方法の非限定的な例は以下に記載される。
【0152】
本明細書に記載される方法は、単離された組み換え糖タンパク質を薬学的に許容しうる賦形剤又は緩衝液中で(例えば、被験体への投与のために)製剤化することをさらに含み得る。これらの方法は、滅菌ろ過、ウイルス不活化、UV照射、及び/若しくは凍結乾燥、又はそれらのいずれかの組み合わせをさらに含み得る。
【0153】
rhAGAタンパク質を単離するための統合された連続的な方法
本明細書で提供されるrhAGAは、統合された連続的な方法を使用して単離され得る。統
合された連続的な方法を使用して組み換えタンパク質を単離するための方法及びこのような方法の工程に関する詳細は当該分野で公知である。WO 14/137903及び米国特許出願公開第2014/0225994号を参照のこと。さらに、WO 14/137903はまた、これらの統合された連続的な方法を行うために使用され得るシステム及び装置を記載する。
【0154】
例えば、本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を単離するための統合された連続的な
方法は: (a)本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を含み実質的に細胞を含まない液体培地を供給すること[ここで液体培地は、第一のマルチカラムクロマトグラフィーシステム(MCCS1)に供給される];(b) 本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を液体培地中にMCCS1を使用して捕捉すること、[ここで本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を含有するMCCS1の溶出液は、第二のマルチカラムクロマトグラフィーシステム(MCCS2)に連続的に供給される];及び(c)本明細書で提供されるrhAGAタンパク質をMCCS2を使用して精製しそし
て仕上げすることを含み得、ここでMCCS2からの溶出液は、本明細書で提供される単離さ
れたrhAGAタンパク質であるか、又はrhAGAタンパク質製剤原料であり、そしてこの方法は、上記液体培地から、本明細書で提供される単離されたrhAGAタンパク質又はrhAGA製剤原料であるMCCS2からの溶出液へと統合されそして連続的に実行される。
【0155】
MCCS1及び/又はMCCS2は、例えば、少なくとも3つの単位操作を行うことができる。いくつかの実施態様において、MCCS1若しくはMCCS2、又は両方がカラム交換を含む。いくつかの実施態様において、MCCS1は、本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を捕捉し、そしてウイルスを賦活化する単位操作を行う。いくつかの実施態様において、MCCS2は、本明
細書で提供されるrhAGAタンパク質を精製し仕上げする単位操作を行う。
【0156】
MCCS1及び/又はMCCS2は、例えば、少なくとも2つのクロマトグラフィーカラムを利用し得る。MCCS1及び/又はMCCS2は、例えば、少なくとも2つのクロマトグラフィー膜を利用し得る。MCCS1及び/又はMCCS2は、例えば、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラム及び少なくとも1つのクロマトグラフィー膜を利用し得る。
【0157】
MCCS1は、例えば、周期向流クロマトグラフィーシステム(PCCS1)であり得る。PCCS1は
、例えば、4カラムPCCSであり得る。いくつかの実施態様において、4カラムPCCSにおける4つのカラムは、本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を液体培地から捕捉する単位操
作を行うことができる。捕捉は、例えば、アフィニティークロマトグラフィー、カチオン交換クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、又は分子ふるいクロマトグラフィーを使用して行われ得る。アフィニティークロマトグラフィーは、例えば、プロテインA-結合捕捉機構、基質結合捕捉機構、抗体又は抗体フラグメント捕捉機構、アプタマー結合捕捉機構、及び補因子結合機構から選択される捕捉機構を用いて行われ得る。4カ
ラムPCCSにおける4つのカラムのうちの3つからの本明細書で提供されるrhAGAタンパク
質を含有する溶出液は、4カラムPCCSの第四のカラムに供給され得る。4カラムPCCSの第四のカラムは、例えば、本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を含有する溶出液をウイ
ルス不活化のために低pHに保持することにより、ウイルス不活化の単位操作を行うことができる。例えば、4カラムPCCSの第四のカラムは、本明細書で提供されるrhAGAタンパク
質をウイルス不活化のために低pHに約10分~約1.5時間の間保持し得る。
【0158】
いくつかの実施態様において、MCCS2は、例えば、周期向流クロマトグラフィーシステ
ム(PCCS2)であり得る。いくつかの例において、この方法は、4カラムPCCSの第四のカラ
ムからの溶出液のpHを、4カラムPCCSの第四のカラムからの溶出液がPCCS2に供給される前にインライン緩衝液調節リザーバーを使用して調節する工程をさらに含む。
【0159】
PCCS2は、例えば、3つのクロマトグラフィーカラム及びクロマトグラフィー膜を含み
得る。PCCS2における3つのクロマトグラフィーカラムは、例えば、本明細書で提供され
るrhAGAを(例えば、カチオン又はアニオン交換クロマトグラフィーを通して)精製する単
位操作を行うことができる。PCCS2における3つのカラムからの溶出液は、例えば、PCCS2におけるクロマトグラフィー膜に供給され得る。PCCS2におけるクロマトグラフィー膜は
、例えば、PCCS2における3つのクロマトグラフィーカラムの溶出液中の本明細書で提供
されるrhAGAタンパク質を(例えば、カチオン又はアニオン交換クロマトグラフィーを通して)仕上げする単位操作を行い得る。クロマトグラフィー膜のフロースルー及び洗浄液は
、本明細よで提供される単離されたrhAGAタンパク質又はrhAGA製剤原料であり得る。
【0160】
いくつかの例は、PCCS2における3つのカラムからの溶出液のイオン濃度を、PCCS2における3つのカラムからの溶出液がPCCS2におけるクロマトグラフィー膜に供給される前に
インライン緩衝液調節を使用して調節することをさらに含む。いくつかの実施態様は、PCCS1とPCCS2との間での中断タンク(break tank)の使用をさらに含む。いくつかの例は、PCCS2に供給される前にPCCS1からの溶出液をろ過することをさらに含む。いくつかの実施態様は、MCCS1に供給される前に液体培地をろ過することをさらに含む。
【0161】
医薬組成物及びキット
少なくとも1つ(例えば、1、2、3、又は4つ)の本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含む医薬組成物もまた本明細書において提供される
。2つ又はそれ以上の(例えば、2、3、又は4つ)の、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質はいずれも、任意の組み合わせで医薬組成物中に存
在し得る。本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質及び薬
学的に許容しうる担体を含むか、それらからなるか、又は本質的にそれらからなる医薬組成物も本明細書において提供される。
【0162】
本明細書で提供される医薬組成物はいずれも、動物製剤(例えば、動物血清、動物血漿
、又は動物血液製剤)中に存在する検出可能なレベルのタンパク質、脂質、炭水化物、核
酸及び夾雑物(例えば、本明細書に記載される夾雑物のいずれか)を有さないことが可能であるか又は全く有さない事が可能である。
【0163】
本明細書で提供される医薬組成物は、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地の群から選択される培地のみを使用した細胞培養で製造された本明細書で提供されるrhAGA
タンパク質を含み得る。本明細書で提供される医薬組成物はいずれも、無タンパク質培地及び/又は化学的に規定された培地のみを使用した細胞培養において製造された本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を含み得る。本明細書で提供される医薬組成物はいずれも
、無タンパク質無血清で化学的に規定された培地の群から選択される培地のみを使用した細胞培養で製造され、そして統合された連続的な方法(例えば、本明細書又はWO 14/137903に記載される例となる統合された連続的な方法のいずれか)を使用して単離された本明細書で提供されるrhAGAタンパク質を含み得る。
【0164】
本明細書で提供される医薬組成物はいずれも、動物製剤(例えば、動物血清、動物血漿
、又は動物血液因子若しくはタンパク質)を含有する培地の使用を含む方法により製造さ
れたrhAGAタンパク質(例えば、本明細書で提供されるrhAGAタンパク質のいずれか)と比較して、改善された安全性プロフィール(例えば、混入の減少した危険性(例えば、本明細書に記載されるか又は当該分野で公知の例となる夾雑物のいずれか))を有し得る。
【0165】
医薬組成物は、当該分野で公知のいずれかの方法で製剤化され得る。本明細書で提供される医薬組成物は、混入の減少した危険性もしくはレベルを有し(例えば、ウイルス混入
の減少した危険性又はレベル)、かつ/又は組成物中に存在するグリコフォームにおける減少した不均一性を有するので有利である。
【0166】
医薬組成物は、それらの意図された投与経路(例えば、静脈内、動脈内、筋内、皮内、
皮下、又は腹腔内)と適合性であるように製剤化される。組成物は、薬学的に許容しうる
担体、例えば、滅菌希釈剤(例えば、滅菌水又は食塩水)、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒、抗菌又は抗真菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩、及び等張剤、例えば糖類(例えば、デキストロース)、多価アルコール(例え
ば、マンニトール又はソルビトール)、又は塩(例えば、塩化ナトリウム)、又はそれらの
いずれかの組み合わせを含み得る。リポソーム懸濁液もまた薬学的に許容しうる担体として使用され得る(例えば、米国特許第4,522,811号を参照のこと)。組成物の調製物は、製剤化されてアンプル、使い捨てシリンジ、又は複数回投与バイアルに封入され得る。必要な場合(例えば、注射可能製剤のように)、適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング、又は界面活性剤の使用により維持され得る。組み換えヒトα-ガラクトシダ
ーゼ-Aタンパク質の吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウ
ム及びゼラチン)を含めることにより延長され得る。あるいは、放出制御は、インプラン
ト及びマイクロカプセル化送達系により達成され得、これは生分解性生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオル
トエステル、及びポリ乳酸;Alza Corporation and Nova Pharmaceutical、Inc.)を含み
得る。
【0167】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のいずれか1つ又はそれ以上を含む組成物は、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋内、皮内、皮下、又は腹腔内)投与のために単位投薬形態(すなわち、投与の容易性及び投薬量の均一性のために所定量のタンパク質を
含有する物理的に別個の単位)用に製剤化され得る。
【0168】
組成物の毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物(例えば、サル)において標準的な薬学的手順により決定され得る。例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)及びED50(手段の50%において治療的に有効な用量):LD50:ED50の比である治療指数を決定すること
ができる。高い治療指数を示す薬剤が好ましい。薬剤が望ましくない副作用を示す場合、潜在的な損傷を最小化する(すなわち、望ましくない副作用を減少させる)ように対処されるべきである。毒性及び治療有効性は、他の標準的な薬学的手順により決定され得る。
【0169】
細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、被験体(例えば、ヒト)における使用のために、適切な投薬量のいずれかの所定の組み換え糖タンパク質(例えば、本明
細書に記載される組み換え糖タンパク質のいずれか)を製剤化する際に使用され得る。1つ又はそれ以上の(例えば、1、2、3、又は4)組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタン
パク質(例えば、本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のいずれか)の治療有効量は、被験体においてファブリー病を処置する(例えば、被験体(例
えば、ファブリー病を発症する増加した危険性を有すると同定されたヒト被験体)におい
てファブリー病の発症の危険性を減少させるか又は発症を予防する)量、被験体(例えば
、ヒト)においてファブリー病の1つ又はそれ以上の症状の重篤度、頻度、及び/又は持続期間を減少させる(例えば、同じ疾患を有するが、例えば処置を受けていないか、異な
る処置を受けるか、若しくはプラセボを投与される対照被験体、又は処置前の同じ被験体と比較して)量、ファブリー病を有する被験体(例えば、ヒト)においてグロボトリアオ
シルセラミドのような末端α-ガラクトシル残基を有するスフィンゴ糖脂質の蓄積レベル
を減少させる(例えば、同じ疾患を有するが、例えば処置を受けておらず、異なる処置を
受けたか、又はプラセボを受けた対照被験体、又は処置前の同じ被験体と比較して)量で
ある。本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のいずれか
の有効性及び用量は、当該分野で公知の方法を使用して、さらには被験体(例えば、ヒト)におけるファブリー病の1つ又はそれ以上の症状の観察により、医療専門家又は獣医学
専門家により決定され得る。特定の因子は、被験体を有効に処置するために必要とされる投薬量及びタイミングに影響を及ぼし得る(例えば、疾患又は障害の重篤度、以前の処置
、被験体の全体的な健康及び/又は年齢、並びに他の疾患の存在)。
【0170】
本明細書に記載される医薬組成物はいずれも、1つ又はそれ以上(例えば、2、3、4
、又は5)のさらなる治療剤をさらに含み得る。本明細書に記載される医薬組成物のいず
れかに含まれ得るさらなる治療剤の非限定的な例としては: 抗痙攣薬(例えば、フェニト
イン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、メチルフェノバルビタール、バルベキサクロン、ベンゾジアゼピン、クロボザン(clobozan)、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、ミダゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、テマゼパム、ニメタゼパム、フェルバメート、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、酢酸エスリカルバゼピン、ビガバトリン、プロガビド、チアガビン、トピラマート、ガバペンチン、プレガバリン、エトトイン、フェニトイン、メフェニトイン、ホスフェニトイン、パラメタジオン、トリメタジオン、エタジオン、ベクラミド、プリミドン、ブリバラセタム、レベチラセタム、セレトラセタム(seletracetam)、エトスクシミド、フェンスクシミド、メスクシミド、アセタゾラミド、スルチアム、メタゾラミド、ゾニサミド、ラモトリギン、フェネトライド、フェナセミド、バルプロミド、及びバルノクタミド)及び制吐薬(例えば、メトクロプラミド、プロクロルペラジン、アリザプリド、ドラセトロン、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、パロノセトロン、ミルタザピン、ドンペリドン、オランザピン、ドロペリドール、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロクロルペラジン、アプレピタント、及びカソピタント)が挙げられる。
【0171】
例となる用量としては、被験体の体重1キログラムあたりの本明細書に記載される組み
換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のいずれかのミリグラム又はマイクログラム
量(例えば、約50μg/kg~約3mg/kg;約100μg/kg~約2.5mg/kg;約100μg/kg~約2.0mg/kg;約500μg/kg~約1.5mg/kg;約500μg/kg~約1.5mg/kg;又は約800μg/kg~約1.2mg/kg)が挙げられる。例となる用量は、被験体の体重1キログラムあたり本明細書に記載される1つ又はそれ以上のさらなる治療剤のいずれか1つ又はそれ以上のミリグラム又はマイクログラム量も含み得る(例えば、それぞれの投与されたさらなる治療剤について約1μg/kg~約500mg/kg;約100μg/kg~約500mg/kg;約100μg/kg~約50mg/kg;約10μg/kg~約5mg/kg;約10μg/kg~約0.5mg/kg;又は約1μg/kg~約50μg/kg)。これらの用量は広範囲に及ぶが、当業者には当然のことながら、組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタン
パク質を含む治療剤及び本明細書に記載されるさらなる治療剤は、効力の点で異なり、そして有効量は当該分野で公知の方法により決定され得る。典型的には、比較的低い用量が最初に投与され、そしてその後担当医療専門家又は獣医専門家(治療適用の場合)又は研究者(まだ開発段階で作業中の場合)は、適切な応答が得られるまで徐々に用量を増加させることができる。さらに、いずれか特定の被験体のための特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、被験体の年齢、体重、全体的な健康、性別、及び食餌、投与の回数、投与経路、排出速度、及び組み換え糖タンパク質(例えば、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質)又はさらなる治療剤のインビボでの半減期を含む様々な因子に依存
するということが理解される。医薬組成物は、投与のための指示書とともに容器、パック、又はディスペンサー中に含まれ得る。
【0172】
例えば、本明細書で提供される1つ又はそれ以上の組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、後の再構成及び投与のために凍結乾燥粉末又はケーキとして滅菌バイアル中に包装され得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含む凍結乾燥粉末
又はケーキは、1つ又はそれ以上の安定化剤(例えば、マンニトール、リン酸二水素ナトリウム一水和物、及びリン酸水素ナトリウム七水和物の1つ又はそれ以上)を含み得る。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含む凍結乾燥粉末又はケーキの例は:組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質37mg、222mgマンニトール、20.4mgリン酸二水素ナトリウム一水和物、及び59.2mgリン酸水素ナトリウム七水和物を含む。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼタンパク質の使用又は投与の前に、凍結乾燥粉末又はケーキは、1mLあたり組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質5.0mgの溶液を得るために、注射用滅菌水(USP)7.2mLの注入により再構成される。この再構成された溶液は、約1mg/kgでの
被験体への静脈内投与の前に、0.9%塩化ナトリウム注入(USP)を用いて最終体積500mLまでさらに希釈され得る。凍結乾燥組み換えヒトα-ガラクトシダーゼケーキ又は粉末(この段落に記載されるとおり)のバイアル、ケーキ又は粉末を再構成するための指示書(この段落に記載されるとおり)、及び約1.0mg/kgの用量での被験体への再構成された溶液の週2回の静脈内投与についての指示書を含むキットも含まれる。
【0173】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含む凍結乾燥粉末又はケーキの別の
例は: 組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質 5.5mg、33.0mgマンニトール、3.0mg リン酸二水素ナトリウム一水和物、及び8.8mg リン酸水素ナトリウム七水和物を含む。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼタンパク質の使用又は投与前に、凍結乾燥粉末又は
ケーキは、注射用滅菌水(USP)1.1mLをバイアルに注入して、1mLあたり組み換えヒトα-
ガラクトシダーゼ-Aタンパク質5.0mgの溶液を得ることにより再構成される。この再構成
された溶液は、約1mg/kgの用量での被験体への静脈内投与の前に、0.9%塩化ナトリウム注入(USP)を用いて最終体積500mLまでさらに希釈され得る。凍結乾燥された組み換えヒトα-ガラクトシダーゼケーキ又は粉末のバイアル(この段落に記載されるとおり)、ケーキ
又は粉末を再構成するための指示書(この段落に記載されるとおり)、及び再構成された溶液を約1.0mg/kgの用量で被験体に週に2回静脈内投与するための指示書を含むキットも含まれる。
【0174】
本明細書に記載される医薬組成物のいずれかの少なくとも用量を含むキットも本明細書で提供される。いくつかの実施態様において、キットは、哺乳動物(例えば、ヒト)に医薬組成物(例えば、本明細書に記載される医薬組成物のいずれか)を投与する際の使用のための品目(例えば、シリンジ、例えば、充填済みシリンジ)をさらに含み得る。キット
のいくつかの例は、本明細書に記載される医薬組成物のいずれかの1又はそれ以上の用量(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
、20、30、又は40用量)(例えば、静脈内、皮下、又は腹腔内用量)を含む。いくつ
かの例において、キットは、医薬組成物(又は医薬組成物の用量)を哺乳動物(例えば、ファブリー病を有するヒト)に投与するための指示書をさらに含む。
【0175】
いくつかの実施態様において、キットは、本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラ
クトシダーゼ-Aタンパク質の少なくとも1つを含む組成物、及び少なくとも1つのさらなる治療剤(例えば、本明細書に記載されるさらなる治療剤の1つ又はそれ以上のいずれかの組み合わせ)を含有する組成物を含む。いくつかの実施態様において、キットは、本明細書に記載される方法のいずれかを行うための指示書をさらに含む。
【0176】
ファブリー病
ファブリー病は、セラミドトリヘキソシダーゼとして知られるα-ガラクトシダーゼ-A
の欠損を特徴とするX連鎖劣性遺伝リソソーム蓄積症であり、これは、グロボトリアオシ
ルセラミド(GL-3)のような末端α-ガラクトシル残基を有するスフィンゴ糖脂質の蓄積に
よる血管及び他の疾患症状に至る。ファブリー病の非限定的な例としては、無汗症、痛む指、左心室肥大、腎臓の症状、及び虚血発作が挙げられる。症状の重症度は劇的に変化する(Grewal et al.、J. Neurol. 241:153-156、1994を参照のこと)。心臓に限定された症
状を有する変異形が認められており、その発生率は信じられていたものより高頻度であり得る(Nakao、N. Eng. J. Med. 333:288-293、1995を参照のこと)。異常な変異形の認識は、かなり晩年まで遅らせることができるが、小児期での診断は臨床的警戒で可能である(Ko et al.、Arch. Pathol. Lab. Med. 120:86-89、1996;Mendez et al.、Dement. Geriatr. Cogn. Disord. 8:252-257、1997;Shelley et al.、Pediatric Derm. 12:215-219、1995)。ファブリー病の診断の平均年齢は29歳である。
【0177】
ファブリー病を処置する方法、哺乳動物細胞のリソソームにおいてα-ガラクトシダー
ゼのレベルを増加させる方法、及び被験体におけるグロボトリアオシルセラミドのレベルを減少させる方法
治療有効量の少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含む
組成物又は本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与することを含む、被験体(例えば、ヒト)においてファブリー病を処置する方法も本明細書に提供される。本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は、被験体において哺乳動物
細胞中のリソソームにおいてα-ガラクトシダーゼ-Aの濃度を増加させることによりファ
ブリー病の処置を媒介する。被験体におけるファブリー病の成功した処置は、医療従事者(例えば、看護師、医師、又は医師の助手)により決定され得る。例えば、成功した処置は、(例えば、同じ疾患を有するが、例えば処置を受けていないか、異なる処置を受けるか
、若しくはプラセボを投与される対照被験体、又は処置前の同じ被験体と比較して)被験
体におけるファブリー病の1つ又はそれ以上の症状(例えば、無汗症、痛む指、左心室肥
大、腎臓の症状、虚血発作、及び被験体の血清中のグロボトリアオシルセラミドの増加したレベル)の数、重症度、及び/又は頻度の減少を生じ得る。さらに、成功した処置は、
被験体の血清又は組織(例えば、腎臓)中のグロボトリアオシルセラミドのレベルを経時的に観察することにより(例えば、異なる処置を受けるか、プラセボを投与されるか、若し
くは処置を受けていない、ファブリー病を有する被験体と比較して、又は処置前の同じ被験体と比較して)決定され得る。被験体におけるファブリー病の成功した処置を決定する
ためのさらなる方法は本明細書に記載され、そして当該分野で公知である。
【0178】
細胞におけるリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のレベルを増加させる
ために十分な量で、本明細書に記載される少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシ
ダーゼ-Aタンパク質又は本明細書に記載される医薬組成物の少なくとも1つと細胞を接触させることを含む、哺乳動物細胞(例えば、インビトロでの細胞又は哺乳動物、例えばヒトにおける細胞)におおけるリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のレベル
を増加させる方法も提供される。哺乳動物細胞は、マンノース-6-リン酸受容体を発現す
る細胞であり得る。哺乳動物細胞のリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aのレベルは、
ヒトα-ガラクトシダーゼプロテイン-Aに特異的に結合する交代を使用して免疫蛍光顕微
鏡を使用して決定され得る。哺乳動物細胞のリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aタン
パク質のレベルはまた、哺乳動物細胞からリソソームを単離し、そして単離されたリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のレベルを、例えば、α-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質に特異的に結合する抗体の使用により、又は単離されたリソソームからの溶解物を使用したα-ガラクトシダーゼプロテイン-A活性アッセイを行うことにより、決定さ
れ得る。α-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質アッセイの例は、O-ニトロフェニル α-D-ガ
ラクトシドを基質として使用するアッセイである。このアッセイにおいて、O-ニトロフェニル α-D-ガラクトシドは、O-ニトロフェノール及びD-ガラクトースの生成物に変換され
る。α-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質活性を検出するためのアッセイの別の例は、蛍光
性基質、α-D-ガラクトピラノシドを使用する(Shi et al.、Anal. Bioanal. Chem. 394:1903-1909、2009)。被験体(例えば、ヒト)において細胞のリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のレベルの増加は、被験体が経験するファブリー病の症状の数の減少(例えば、同じ疾患を有するが、例えば処置を受けていないか、異なる処置を受けるか、
若しくはプラセボを投与される対照被験体、又は処置前の同じ被験体と比較して)、被験
体において観察されるファブリー病の新しい症状の発生の比率の減少(例えば、同じ疾患
を有するが、例えば処置を受けていないか、異なる処置を受けるか、若しくはプラセボを投与される対照被験体、又は処置前の同じ被験体と比較して)、被験体におけるファブリ
ー病の1つ若しくはそれ以上の症状の重症度の減少(例えば、同じ疾患を有するが、例えば処置を受けていないか、異なる処置を受けるか、若しくはプラセボを投与される対照被験体、又は処置前の同じ被験体と比較して)、又は被験体におけるファブリー病の1つ若しくはそれ以上の悪化の減少(例えば、同じ疾患を有するが、例えば処置を受けていないか、
異なる処置を受けるか、若しくはプラセボを投与される対照被験体、又は処置前の同じ被験体と比較して)を観察することにより間接的に検出され得る。あるいは、又はさらに、
細胞のリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のレベルの増加は、例えば、被
験体の血清のグロボトリアオシルセラミドのレベルの減少を観察することにより検出され得る(例えば、同じ疾患を有するが、例えば処置を受けていないか、異なる処置を受ける
か、若しくはプラセボを投与される対照被験体、又は処置前の同じ被験体と比較して)。
本明細書に記載される組み換えタンパク質を用いた処置後の哺乳動物細胞におけるリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質のレベルは、未処置の哺乳動物細胞(例えば
、同じ種類の細胞)のリソソーム中のα-ガラクトシダーゼ-Aのレベルと比較され得る。
【0179】
本明細書に記載される少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク
質又は少なくとも1つの医薬組成物を被験体に投与することを含む、血清又は組織(例えば、腎臓)中のグロボトリアオシルセラミドのレベルを減少させる方法も提供される。被験体の血清中のグロボトリアオシルセラミドのレベルは、例えば、質量分析(Kim et al.
、Korean J. Intern. Med. 25:415-421、2010)又は抗体サンドイッチアッセイ(例えば、
米国特許出願公開第2012/0178105号に記載されるアッセイ)を使用して測定され得る。少
なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は本明細書に記載され
る医薬組成物の投与後の被験体の血清又は組織中のグロボトリアオシルセラミドのレベルは、ファブリー病を有するが、処置を受けていないか、異なる処置を受ける被験体の血清もしくは組織中のグロボトリアオシルセラミドのレベル、又は本明細書に提供される少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質若しくは医薬組成物の投与
前の被験体におけるグロボトリアオシルセラミドのレベルと比較され得る。
【0180】
いくつかの実施態様において、被験体(例えば、ヒト)は、以前にファブリー病を有すると診断されているか、又はファブリー病を有すると疑われる。いくつかの実施態様において、哺乳動物はファブリー病を発症する増加した危険性(例えば、ファブリー病を発症する増加した遺伝的危険性)を有すると同定されている。哺乳動物は雌性でも雄性でもよく、成体でも若年(例えば、乳児又は幼児)でもよい。場合によっては、被験体はヒトである。哺乳動物が若年である場合、彼又は彼女は、1日齢と18歳を含めて1日齢と18歳との間(
例えば、1日齢と17歳との間、1日齢と16歳との間、1日齢と15歳との間、1日齢と14歳との間、1日齢と13歳との間、1日齢と12歳との間、1日齢と11歳との間、1日齢と10歳との間、1日齢と9歳との間、1日齢と8歳との間、1日齢と7歳との間、1日齢と6歳との間、1日齢と5歳との間、1日齢と4歳との間、1日齢と3歳との間、1日齢と2歳との間、1日齢と1歳との間、1日齢と6月齢との間、6月齢と4歳との間、1月齢と5歳との間、3歳と13歳との間、又は13歳と18歳との間)であり得る。哺乳動物が成体である場合、哺乳動物は、例えば、18歳と20歳を含めて18~20歳の間、又は少なくとも若しくは約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、又は少なくとも若しくは約100歳であり得る。
【0181】
被験体は、被験体における1つ又はそれ以上の症状(例えば、本明細書に記載されるか又は当該分野で公知のファブリー病の症状のいずれか1つ又はそれ以上)の観察により医療専門家によりファブリー病を有すると診断され得る。いくつかの例において、被験体はファブリー病の処置を既に受けていてもよい。その他では、ファブリー病のための以前の処置は不成功であった。
【0182】
本明細書に記載される組み換えタンパク質又は医薬組成物は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、リンパ内(interlymphatic)、筋内、眼、又はくも膜下腔内投与により投与され得る。さらに、組み換えタンパク質及び医薬組成物は、当該分野で公知の技術を使用して、かつ/又は本明細書に記載されるように製剤化され得る(例えば、皮下、静脈内、動脈
内、リンパ内、筋内、筋肉周囲、若しくはくも膜下腔内投与のために製剤化された、かつ/又はリポソーム若しくはナノ粒子で製剤化される)。
【0183】
本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は医薬組成物
は、医療専門家(例えば、医師、医師の助手、看護師、看護師の助手、又は研究技術者)又は獣医専門家により投与され得る。あるいは又はさらに、組み換えタンパク質又は医薬組成物は、ヒト、例えば、患者自信により自己投与され得る。投与は、例えば、病院、診療所、又はプライマリ・ケア施設(例えば、養護施設)、又はそれらのいずれかの組み合わせで起こり得る。
【0184】
いくつかの実施態様において、哺乳動物は、本明細書に記載される組み換えヒトα-ガ
ラクトシダーゼ-Aタンパク質のいずか又は本明細書に記載される医薬組成物のいずれかの1mg~400mgの間(例えば、1mg~300mgの間、1mg~250mgの間、1mgと200mgとの間、1mgと150mgとの間、1mgと100mgとの間、1mgと80mgとの間、1mgと70mgとの間、1mgと60mgとの間、1mgと50mgとの間、1mgと40mgとの間、1mgと30mgとの間、1mgと20mgとの間、1mgと10mgと
の間、20mgと120mgとの間、30mgと90mgとの間、又は40mgと80mgとの間)の用量を投与される。いくつかの例において、被験体は、約0.1mg/kg~約4.0mg/kg(例えば、約0.1mg/kgと
約3.5mg/kgとの間、約0.1mg/kgと約3.0mg/kgとの間、約0.1mg/kgと約2.5mg/kgとの間、約0.1mg/kgと約2.0mg/kgとの間、約0.1mg/kgと約1.5mg/kgとの間、約0.5mg/kgと約1.5mg/kgとの間、又は約0.7mg/kgと約1.3mg/kgとの間)の用量の組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を投与される。
【0185】
いくつかの実施態様において、被験体は、さらなる治療剤(例えば、本明細書に記載されるさらなる治療剤のいずれか)をさらに投与される。さらなる治療剤は、組み換えタンパク質若しくは医薬組成物が投与される時と実質的に同じ時に、及び/又は1つ若しくは
それ以上の他の時点で投与され得る。いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は、少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質と一緒に(例えば、本明細書に記載される処方及び組成物の例のいずれかを使用して)製剤化される。
【0186】
いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は第一の投薬形態で製剤化され、そして少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質は第二の投薬形態で製
剤化される。さらなる治療剤が第一の投薬形態で製剤化され、かつ少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質が第二の投薬形態で製剤化される場合、第一
の投薬形態及び第二の投薬形態は、例えば、同じ投与経路(例えば、経口、皮下、筋内、
静脈内、動脈内、くも膜下腔内、リンパ内、又は腹腔内投与)用に製剤化されても異なる
投与経路(例えば、経口投与用に製剤化された第一の投薬形態及び皮下、静脈内、動脈内
、又は筋内投与の投与用に製剤化された第二の投薬形態)用に製剤化されてもよい。この
ような処置計画の組み合わせは、本発明において明確に検討される。
【0187】
上記のように、投与される少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタン
パク質(及び場合により、さらなる治療剤)の量は、投与が局所的(例えば、筋内)又は全身であるかに依存する。いくつかの実施態様において、被験体(例えば、ヒト)は、少なくとも1つの組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は少なくとも1つの医薬
組成物の1より多い用量で投与される。いくつかの実施態様において、被験体(例えば、
ヒト)は、本明細書に記載される組成物のいずれかの1より多い用量(例えば、2又はそれ
以上の用量)を投与される。いくつかの実施態様において、被験体は、少なくとも1つの
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は少なくとも1つの医薬組成物の用量
を、月に少なくとも1回(例えば、月に少なくとも2回、月に少なくとも3回、月に少なくとも4回、週に少なくとも1回、週に少なくとも2回、週に3回、1日に1回、又は1日に2回)投与される。例えば、被験体は、医薬組成物のいずれか又は1若しくはそれ以上
の組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の2若しくはそれ以上の用量を、2ヶ月毎に少なくとも1回の用量の頻度で(例えば、毎月少なくとも1用量、週に少なくとも1用量、2週ごとに少なくとも1用量、又は1日に少なくとも1用量)投与され得る。
【0188】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は医薬組成物は、被験体に慢性的に
投与され得る。慢性処置は、長期間の反復投与、例えば、1ヶ月若しくはそれ以上、1ヶ月と1年との間、1年若しくはそれ以上、5年より長い、10年より長い、15年より長い、20年より長い、25年より長い、30年より長い、35年より長い、40年より長い、45年より長い、又はそれ以上の間の反復投与のいずれかの形態を含む。あるいは又はさらに、慢性処置た投与され得る。慢性処置は、規則正しい投与、例えば1日に1回若しくはそれ以上、週に1回若しくはそれ以上、又は1ヶ月に1回若しくはそれ以上を含み得る。例えば、慢性処
置は、約2週間ごと(例えば、約10~18日の間ごと)の投与(例えば、静脈内投与)を含み得る。適切な用量は、所望の治療効果を生じるために有効な最も低い用量である組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の量であり得る。このような有効用量は、一般的
には本明細書に記載される因子に依存する。所望の場合、組み換えヒトα-ガラクトシダ
ーゼ-Aタンパク質又は医薬組成物の有効日用量は、1日を通して適切な感覚で別々に投与
される2、3、4、5又は6又はそれ以上の副用量(sub-doses)として、場合により単
一投薬形態で、投与され得る。
【0189】
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は医薬組成物は、持続放出用に処方
され得(例えば、生分解性ポリマー又はナノ粒子で製剤化される)、そして場合によっては、被験体において筋肉組織中、皮下組織、又は腹腔に直接投与され得る(それぞれ筋内、
腹腔内、又は皮下デポー投与)。あるいは又はさらに、持続放出製剤は、全身投与され得
る(例えば、経口、静脈内、動脈内、腹腔内リンパ内、又は皮下投与)。場合によっては
、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質又は医薬組成物は、経口、腺内(intraglandular)、腺周囲、皮下、管間(interductal)、筋内、筋肉周囲、腹腔内、筋内、動脈内、経皮、リンパ間(interlymphatic)、又は静脈内投与用に製剤化され得る。
【実施例】
【0190】
本発明は、以下の実施例にさらに記載され、これらは特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない。
【0191】
実施例1. 糖タンパク質を産生するための組み換え細胞株の製造
糖タンパク質の組み換え産生に有用な細胞株を発生させるための実験を行った。これらの実験において、出発血清依存性CHO細胞株(DXB11)を連続的に: 5%ウシ胎仔血清を含む組織培養培地中で3日間増殖させ、2.5%ウシ胎仔血清を含む組織培養培地で3日間増殖させ、そしてウシ胎仔血清を含まない組織培養培地で8日間増殖させた。この培養期間の終わりに、得られたCHO細胞培養物を希釈してアリコートに分けて、無血清分集団、又はプー
ルの懸濁培養物を生成した。増殖及び成長評価後に、無血清プールをアリコートに分けて
単細胞クローン培養物を生成した。各単細胞クローンを、無血清培地中の細胞増殖について試験し、次いでクローンのサブセットを、赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードする発現
ベクターのハムスターβ-アクチンプロモーターの制御下でのエレクトロポレーションに
より、RFP発現をトランスフェクションの2日後にフローサイトメトリーによる分析して
、トランスフェクション効率について試験した。倍増時間(<35時間)及びトランスフェクション効率(>75%培養生存率で>30% RFP陽性)についての基準を満たすクローンを、ハムスターβ-アクチンプロモーターの制御下で目的の遺伝子をコードする発現ベクター及びSV40プロモーターの制御下でDHFR遺伝子をコードする発現ベクターでの安定トランスフェク
ション後の組み換えタンパク質発現について評価した。トランスフェクション後に、安定にトランスフェクトされたプールを、メトトレキサート(MTX)を使用して選択し、そして
選択後に、無供給バッチ培養に細胞を播種し、そして組み換えタンパク質のレベルについて浄化培地採取物を分析することによりプールを評価した。安定にトランスフェクトされたプールのMTX選択生存及び安組み換えタンパク質産生レベルに基づいて、リード無血清
親クローンを同定した。
【0192】
リード親クローンをサブクローニングし、そして無タンパク質の動物由来成分(ADC)を
含まず、かつ化学的に規定された培地(InvitrogenからのCD DG44培地)で培養し、バンク
に保存した(banked)。無ADC培地で約27の細胞世代が単細胞サブクローニング工程から
初期凍結細胞バンクへと経過した。単細胞クローンを、以下について試験した: トランスフェクション効率(上記のRFPコードベクターを用いたエレクトロポレーションにより)、
細胞増殖特性(InvitrogenからのCD DG44培地中で)、及び組み換えタンパク質を生じる安
定した形質転換。安定にトランスフェクトされたプールの評価(InvitrogenからのCD CHO
培地を用いる)は、MTX選択、ピーク細胞密度、増殖特性、及び体積生産性速度(VPR)を含
んでいた。組み換えタンパク質生産性を上記のように試験した。
【0193】
上記の全ての培養工程後に、単一クローン親細胞株を、最良のトランスフェクション効率、並びに安定にトランスフェクトされたプールの最良のMTX選択、ピーク細胞密度、細
胞増殖特性、及び体積生産性速度(VPR)を有すると同定した。この親細胞株を増殖させて
将来の実験のためにアリコートで凍結した。
【0194】
実施例2. 組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aの製造
組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を産生する(そして分泌する)細胞の
バイアルを解凍し、振盪フラスコ中の化学的に規定された、動物由来成分(ADC)を含まな
い細胞培養液に入れた。この混合物を、十分な量の細胞が種灌流(seed perfusion)バイオリアクターに利用可能になるまで増殖させた。培養物を標的高生存能細胞密度似達するまで増殖させ、この時点で細胞密度制御を開始した。連続灌流を接種の1日後に開始し、
次いで灌流バイオリアクターにおいて標的高細胞密度で固定灌流速度まで徐々に増加させた。浄化採取液(組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含有する)を、統合された連続的捕捉クロマトグラフィーシステムを使用して捕捉カラムに直接ロードした。次いで、捕捉された溶出液(組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含有する)を
、アニオン交換クロマトグラフィー樹脂(ANX)を通してさらに精製し、DNA、宿主細胞タンパク質、及び他の不純物を除去した。ANX溶出液(組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタ
ンパク質を含有する)を、固定金属アフィニティークロマトグラフィー樹脂を通してさら
に精製した。金属アフィニティークロマトグラフィー溶出液(組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を含有する)を、標的組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質濃度まで濃縮し、次いで接線流ろ過膜を使用して製剤原料緩衝液に緩衝液を交換した。次いで、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質製剤原料を解析評価にかけた(実施例に記載されるとおり)。その後、動物PK/PD研究(実施例5)の準備において、組み換えヒ
トα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質製剤原料を、マンニトールを加えることにより製剤
化し、0.22cm2アブソリュートフィルタを通してろ過した。
【0195】
実施例3. 組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aの物理的特徴付け
実施例2で製造及び精製された組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質を、様
々な生物物理技術を使用して物理的に特徴づけし、そしてFabrazyme(R)及びReplagal(R)
と比較した。組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の調べられた構造的及び機
能的特徴を、各構造的及び機能的特徴を決定するために使用された方法とともにそれぞれ以下で考察した。
【0196】
分子サイズ
Fabrazyme(R)、Replagal(R)、及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の分子サイズを、サイズ排除クロマトグラフィー、MALDI-TOF MS、及びゲル電気泳動を使用して評価した。
【0197】
SEC
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析を、TSK-Gel G3000SWXLカラム(Tosoh、7.8mm x 30cm)を使用するAgilent 1200 HPLCを使用して行った。サンプル50μLを注入し、そ
してカラムクロマトグラフィーを0.5mL/分の流量で行った。溶出されたタンパク質を280nmで検出した。
【0198】
MALDI-TOF MS
MALDI-TOF MSを、0.1%ギ酸水溶液でサンプルを最初に希釈することにより(1:5)行った
。BSAを0.1%ギ酸水溶液で2mg/mLに希釈した。希釈されたサンプルを、1μL/1μLの比の0.1% TFA水溶液、50%アセトニトリル中の飽和シナピン酸を用いてステンレススチールMALDIターゲット上に三連でスポットした。10のスペクトルを、各スポットから様々な部位でレーザー強度を変えて生成し、次いで平均化した。機器設定を表1に記載する。スペクトルをBSAの一価及び二価のm/zピークに対して較正した。生データを、デフォルトの平滑化ルーティンを使用して200のピーク分解能で平滑化した。三連の測定からのピーク値を平
均化し、そして標準偏差を決定した。
【0199】
【0200】
SDS-PAGE
各サンプル10μgを、ジチオールトレイトール(dithiolthreitol)(DTT)を含むサン
プルローディング緩衝液中の4-20%トリスグリシンゲル(Invitrogen)上にロードした。電
圧150をゲルに1時間25分間印加した。完了の際、ゲルをCoomassie R-250染色液で30分間染色した。過剰な染色を、脱染液を使用して30分間除去した。
【0201】
結果
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)分析は、Replagal
(R)と比較して跡にショルダーを伴ってFabrazyme
(R)が最初に溶出するということを示す(
図6)。これらの結果は、Fabrazyme
(R)が不均一であり、Replagal
(R)と比較してより高分子量を有し得るということを示唆する。
図7A-7BのMALDI-TOF MSスペクトルは、Fabrazyme
(R)において観察される主要な種
のm/z比を示し、そしてReplagal
(R)は類似している。Fabrazyme
(R)はまた、Replagal
(R)
において観察されない組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aのより低分子量の種を含む。
図8のMALDI-TOF MSスペクトルは、Fabrazyme
(R)にいおて観察される主要な種のm/z比を
示し、そしてFZ2Gは類似していた。Fabrazyme
(R)は、FZ2G MALDI-TOF MSスペクトルでは
観察されないより低分子量の種を含む。Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)のSDS-PAGE移動度
は類似している。より高い移動度を有する(より低い見掛けの分子量)少量の種がFabrazyme
(R)において観察されたが、Replagal
(R)では観察されなかった(
図9)。
【0202】
グリコシル化プロフィール
Kamoda et al.、J. Chromatography A 1133:332-339、2006)に一般的に記載されるように、蛍光検出を用いた2-アントラニル酸(antrhanilic acid)(AA)誘導体化及び順相液体クロマトグラフィーを使用して、Fabrazyme(R)、Replagal(R)、及びFZ2GのN-連結グリコ
シル化プロフィールを決定した。
【0203】
部位特異的グリカン分析
Fabrazyme(R)、Replagal(R)、及びFZ2Gの部位特異的グリコシル化分析を、液体クロマ
トグラフィーシステム(nanoAcquity LC、Waters)と連結されたハイブリッド線形イオントラップ-Orbitrap質量分析計(LTQ-Orbitrap、Thermo Fisher Scientific)を使用して行っ
た。この手順において、最初にタンパク質100μgをジチオールトレイトールで還元し、次いでヨード酢酸でアルキル化することにより、酵素消化の準備をした。Biospin30カラム(Bio-Rad)を使用してその後サンプルをTris-Cl、pH 8.0に交換し、続いてエンドプロテイ
ナーゼLys-Cで18時間消化、そしてトリプシンで2時間消化を行った。消化をクエンチするためにギ酸で希釈した後、各サンプル消化物(digest)200ngを75μm x 10cm C-18カラム(Picofrit、New Objectives)に注入した。ペプチドを、0.1%ギ酸中2~95%アセトニトリルの段階的グラジエントで溶出した。m/z範囲は、上位5強度データ依存性CIDスキャンを用
いて60,000分解能でFTMSにより325~1800をスキャンした。MSデータを統合し、そして定
量のためにRefinerMS V 7.6ソフトウェア(Genedata)を使用して処理し、そしてCIDスペクトルをグリコフォーム組成の確認のために収集した。
【0204】
結果
図10は、Fabrazyme
(R) AA-誘導体化N-連結オリゴ糖の典型的なクロマトグラムを示し、各々のピークにおいて存在するN-連結オリゴ糖の得手の型を示す。AA-標識グリカンプロ
フィールにおいて観察されるグリカン種のアイデンティティをLCMS分析により決定した。Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)における異なる型のAA-誘導体化N-連結オリゴ糖の溶出を示すクロマトグラムを
図11に示す。Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)についてのN-連結オリ
ゴ糖の各型に対応する総N-連結オリゴ糖の割合を
図12に示す。Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)のAsn108、Asn161、及びAsn184に見られる各グリカン種の相対的割合を
図13、14、及
び15にそれぞれ示す。Fabrazyme
(R)及びFZ2GのAsn108、Asn161、及びAsn184に見られる各グリカン種の相対的割合を
図16及び17、18、及び19にそれぞれ示す。
【0205】
Fabrazyme
(R)及びFZ2GのAA-標識プロフィールを
図20に示す。Fabrazyme
(R)及びFZ2Gに
おける中性荷電オリゴ糖(ピーク1)、モノシアル化フコース含有オリゴ糖(ピーク2)、及びモノシアル化オリゴ糖(ピーク3)に対応する総N-連結オリゴ糖の割合を
図21A-Cに示す。Fabrazyme
(R)及びFZ2Gにおけるビシアル化フコース含有オリゴ糖(ピーク4)、ビシアル化オ
リゴ糖(ピーク5)、及びフォーム1の三本触角性トリシアル化オリゴ糖(ピーク6)に対応する総N-連結オリゴ糖の割合を
図22A-Cに示す。Fabrazyme
(R)及びFZ2Gにおけるフォーム2
の三本触角性トリシアル化オリゴ糖 (ピーク6')、マンノース-6-リン酸オリゴ糖(ピーク7)、及びモノリン酸化オリゴ糖(ピーク8)に対応する総N-連結オリゴ糖の割合を
図23A-Cに
示す。Fabrazyme
(R)及びFZ2Gにおけるテトラシアル化オリゴ糖(ピーク9)、モノシアル化
又はモノリン酸化オリゴ糖(ピーク10)、及びビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(ピーク11)に対応する総N-連結オリゴ糖の割合を
図24A-Cに示す。
【0206】
これらのデータは、現在提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)がFabrazyme(R)と比較して実質的に異なるグリコシル化パターンを有するということ
を明らかにする。例えば、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタ
ンパク質(FZ2G)は:Fabrazyme(R)より少ない、中性荷電オリゴ糖(ピーク1)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)より少ない、モノシアル化フコース含有オリゴ糖(ピーク2)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)とほぼ同じか又はFabrazyme(R)より少な
い、マンノース-6-リン酸オリゴ糖(ピーク7)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)より大きい、モノリン酸化オリゴ糖(ピーク8)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)より大きい、テトラシアル化オリゴ糖(ピーク9)である総N-連結オリゴ糖の割合;Fabrazyme(R)より大きい、モノシアル化及びモノリン酸化(ピーク10)された総N-連結オリゴ糖の割合;並びにFabrazyme(R)より大きい、ビス-マンノース-6-リン酸オリゴ糖(ピーク11)である総N-連結オリゴ糖の割合を有する。本明細書に記載される組み換えヒトα-ガラ
クトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の変更されたグリコシル化パターン(例えば、Fabrazyme(R)と比較して)は、いくつかの利点をもたらし、例えば、以下の1つ又はそれ以上である:Fabrazyme(R)と比較して、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の肝臓への
非特異的標的化の減少(被験体、例えばヒト被験体への組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の投与後の、肝細胞の表面上に発現されたアシアロ糖タンパク質への減少した結合により)、その表面上にマンノース-6-リン酸受容体タンパク質を発現する細胞(例えば、ヒト細胞)による組み換えヒトα-ガラクトシダーゼタンパク質のエンドサイトー
シスの増加した速度、マンノース-6-リン酸受容体タンパク質への増加した親和性、及び
増加した血清半減期。
【0207】
マンノース-6-リン酸及びN-アセチルノイラミン酸のタンパク質に対する比
さらなる一連の実験を、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタ
ンパク質(FZ2G)及びFabrazyme(R)におけるマンノース-6-リン酸対タンパク質のモル比及
びN-アセチルノイラミン酸対タンパク質のモル比を決定するために行った。
【0208】
データは、本明細書に提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)が、Fabrazyme
(R)とほぼ同じマンノース-6-リン酸対タンパク質のモル比、及びFabrazyme
(R)と比較してN-アセチルノイラミン酸対タンパク質の上昇したモル比を有するということを示す(
図25A~B)。
【0209】
等電点
画像化キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)を使用して、それぞれの試験したタンパク
質のタンパク質電荷を評価した。Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)のエレクトロフェログラ
ムを
図31に示す。エレクトロフェログラムの低、中、及び高pI範囲の相対的割合を、本
明細書で提供される組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)及びFabrazyme
(R)
について決定し、
図32A~Cに示す。
【0210】
逆相クロマトグラフィー
別の一連の実験において、Fabrazyme(R)及びReplagal(R)を逆相高圧液体クロマトグラ
フィー(RP-HPLC)を使用して分析した。サンプルを、YMCオクチルカラム(Waters、2.0x100
mm)上に注入し、そして線形TFA/アセトニトリルグラジエントを使用して0.25mL/分の流量で溶出した。溶出されたタンパク質を215nmで検出した。Agilent 1200 HPLCを使用して分析を行った。
【0211】
データは、Replagal
(R)がFabrazyme
(R)よりも速い時点でRP-HPLCから溶出することを示す(
図35)。
【0212】
実施例4. 組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aの機能性特徴付け
カチオン依存性マンノース-6-リン酸受容体結合活性
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質、Fabrazyme(R)
、及びReplagal(R)のカチオン依存性マンノース-6-リン酸受容体(CIMPR)へ結合する能力
を試験するために一連のBiacore実験を行った。
【0213】
Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)についてのBiacoreセンサーグラム(sensorgrams)を
図26に示す。Fabrazyme
(R)及びReplagal
(R)のこれらのセンサーグラムからの結合曲線を
図27に示す。本明細書で提供される組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)及びFabrazyme
(R)のCIMPR結合活性をまとめたグラフを
図28に示す。これらのデータの比較は、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)が、Fabrazyme
(R)と比較して増加したCIMPR結合活性を有するということを示す。
【0214】
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)、Fabrazyme
(R)、及びReplagal
(R)のマンノース-6-リン酸受容体に結合する能力もまた、アフィニ
ティーカラムクロマトグラフィーを使用して試験した。マンノース-6-リン酸受容体カラ
ムを、マンノース-6-リン酸を用いて段階溶出し、そして各溶出フラクションにおけるカ
ラムから溶出するロードされた組み換えタンパク質全体の割合を
図29及び30に示す。本明細書で提供される組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)が、Fabrazyme
(R)及
びReplagal
(R)と比較して、未結合種のより低い相対的割合及び高親和性種のより高い割
合を有するということを示す。
【0215】
Km及びVmax
本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)及びFabrazyme(R)のKm及びVmaxも決定した。
【0216】
データは、本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)が、Fabrazyme
(R)と比較して減少した又はほぼ同じK
mを有し(
図33)、そしてFabrazyme
(R)と比較してほぼ同じか又はわずかに減少したV
maxを有するということを示す(
図34)。
【0217】
要約すると、本明細書で提供されるデータは、本明細書で提供される組み換えヒトα-
ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)が、Fabrazyme(R)と比較して、変更されたグリコシル化パターン及び改善されたマンノース-6-リン酸受容体結合活性を有するというこを示
す。
【0218】
実施例5. 動物研究
2つの動物モデル研究を、GL-3クリアランス及び薬物動態パラメーターに対する本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の効果を評価するために
行った。
【0219】
第一の研究を、ファブリーマウスにおける0.1mg/kg及び1mg/kgでの単回静脈内(IV)投与後の組織GL-3クリアランスに対する、組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質の
効果(Fabrazyme(R)と比較して)を調べるために行った。この研究では、90匹のファブリ
ーマウス(46M/44F)を5つの群に分けた(以下の表2を参照のこと)。群1の動物(n=10、6M/4F)に、ビヒクルを単回静脈内(IV)投与した。群2及び3の動物(群あたりn=20、10M/10F)
に、Fabrazyme(R)をそれぞれ0.1mg/kg及び1.0mg/kgで単回IV投与した。群4及び5の動物(
群あたりn=20、10M/10F)に、本明細書で提供されるヒト組み換えα-ガラクトシダーゼ-A
タンパク質(FZ2G)をそれぞれ0.1mg/kg及び1.0mg/kgで単回IV投与した。群6の野生型動物(n=1M)は処置せず、GL-3較正のための対照としての役目を果たした。動物を、投薬の3日
後(群2~5、群あたりn=10、5M/5F)及び投薬の14日後(群1及び群2~5、群あたりn=10、5M/5F)に安楽死させた。GL-3分析を以下の組織で行った:心臓及び腎臓(群1、3、及び5)、並
びに脾臓及び肝臓(群1、2、及び4)。
【0220】
【0221】
本実施例で記載された動物研究においてファブリーマウスに投与された、本明細書で提供される組み換えα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の機能的及び構造的特徴のい
くつかの要約を以下の表3に示す。
【0222】
データは、ファブリー病のマウスモデルにおいて肝臓、脾臓、心臓及び腎臓におけるGL-3の蓄積の同様の減少が、Fabrazyme
(R)の単回用量又は本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の単回用量の静脈内投与後に達成されるとい
うことを示す(それぞれ
図36、37、38、及び39を参照のこと)。要約すると、データは、Fabrazyme
(R)の単回の静脈内投与された用量又は本明細書で提供される組み換えヒトα-ガ
ラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の単回の静脈内投与された用量の後のファブリー病のマウスモデルにおけるGL-3クリアランスには統計学的に有意な差異がないということを示す。
【0223】
【0224】
第二の研究を、単回1mg/kg(IV)投与後のファブリーマウスにおけるFabrazyme(R)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の薬物動態パ
ラメーターを特徴づけ及び比較するために行った。この研究では、20匹のファブリーマウス(12M/8F)を2つの群に分けた(以下の表4を参照のこと)。群1及び2の動物(群あたりn=10、6M/4F)に、Fabrazyme(R)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)をそれぞれ1.0mg/kgで単回IV投与した。乾燥した血斑での酵素分析の
ために投薬の2、15、30、60、120、240、及び480分後に血液サンプルを集めた。薬物動態分析を、Phoenix WinNonlin(R) (Pharsight Corporation、Mountain View、CA)を使用し
て行った。
【0225】
【0226】
データは、分析された時点でのFabrazyme
(R)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の薬物動態(
図40)は類似しているということを示
す。サンプルを乾燥血斑として集めたので、酵素活性を各時点で計算したが濃度は計算しなかった。まとめると、データは、分析した時点でのFabrazyme
(R)及び本明細書で提供される組み換えヒトα-ガラクトシダーゼ-Aタンパク質(FZ2G)の単回静脈内投与後の酵素の
間の類似した酵素活性を示す。
【0227】
他の実施態様
当然のことながら、本発明はその詳細な説明と合わせて記載されてきたが、前述の記載は、説明することを意図され、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定することは意図されない。他の局面、利点、及び改変は以下の特許請求の範囲内である。
【配列表】